説明

半導体装置用多層基板の部分めっき方法

【課題】 めっき用給電配線が基板表面パターン上に無く、基板配線設計自由度を向上させ、且つ高周波信号への影響の少ない半導体装置用多層基板を形成できる前記基板の部分めっき方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 絶縁基材3の表面に線状配線2とその端部に接続する配線用ビア1とが形成され、回路素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置用多層基板を製造する際に、基板表面上に形成された線状配線2を、半導体装置用多層基板の中央に配置される基準電位用ランドパターン4に、めっき用給電配線6により接続し、中間導体層9から基準電位用ビア5、基準電位用ランドパターン4を介して、線状配線2に給電を行うことにより、部分めっき処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁基材の表面に線状配線とその端部に接続する実装端子とが形成され、且つ内層に導体層を備え、回路素子が形成された半導体チップを搭載する半導体装置用多層基板の部分めっき方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回路素子が形成された半導体チップを、導体パターンを備えた基板に搭載した半導体装置は周知である。半導体チップの搭載には、電気的な接続と機械的な固定とを同時に実現できる「はんだ付け」が広く用いられている。しかし、基板上の端子や配線などの接合対象部位がはんだ付けに適した材料で形成されているとは限らない。例えばタングステンやモリブデンなどの高融点金属で形成されている場合は、はんだ付けによる接合はできない。また、接合対象部位が酸化している場合も、はんだ付けによる安定した接合は得られない。
【0003】
そこで半導体チップ搭載時の接合安定性のために、基板表面の導体パターンの露出部に金めっきを施すことが一般的である。
高密度配線基板については、高密度配線の形成後にめっき用給電配線を形成することはできないので、無電解金めっきを実施するか、あるいは高密度配線の形成と同時にめっき用給電配線を形成しておき、電解金めっきを実施することになる。一般的には、無電解金めっきは、めっき液や皮膜の形成が不安定であるため電解金めっきに比べて皮膜の品質が悪く、またコストが高いことから、電解金めっきを実施することが多い。
【0004】
従来のパッケージ基板の平面図を図14に示す。図14に示すように、絶縁材料43の表面に、線状配線42とその端部に接続する配線用ビア41が形成され、さらに配線用ビア41に接続するめっき用給電配線44が形成されている。
【0005】
しかしながら、半導体装置の動作信号の高周波化が進むにつれて、半導体製品の電気特性に、めっき用給電配線44が大きな影響を与えることが、めずらしくなくなってきている。
【0006】
たとえば、めっき用給電配線44が原因で、線状配線42を通して入出力する信号に反射が生じたり、あるいはめっき用給電配線44により不要に付加される静電容量が入出力信号に影響を与える可能性がある。そのため、金めっき実施後にめっき用給電配線44を除去する必要があり、その方法としてエッチングが用いられている。(たとえば特許文献1参照。)
また、基板表面パターンにより周囲に引き出されためっき用給電配線44が、基板表面の配線パターンに制限をかけることになることから、めっき用給電配線44を内層に配置することも考えられている。(特許文献2参照。)
【特許文献1】特開2003−101195号公報
【特許文献2】特開昭52−42259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、高周波信号向け半導体装置の電気特性に大きな影響を与えるめっき用給電配線44は、従来はエッチングによって除去しているが、エッチングの最適条件を設定するのは困難であり、エッチングの結果がパッケージ基板の出来映えに大きな影響を与えることがある。まためっき用給電配線44を確実に除去しようとすると、その下の絶縁膜も削り取ることになり、パッケージ基板の平坦性が損なわれる。逆にめっき用給電配線44の除去が不十分であると、エッチングしない場合と同様に、入力信号の反射など、半導体装置の電気的特性への影響が発生する。
【0008】
さらに、基板表面の配線パターンの自由度を上げるために、内層にめっき用給電配線を配置すると、内層の配線パターンに制約がかかることになり、結果的にめっき専用給電配線を設けると、同様の問題が発生することになる。特に、高周波信号向け半導体装置用多層基板の場合、70%から80%程度の高い占有率の内層の導体を回路素子動作の基準電位の配線として用いることにより、電気的特性を確保するよう設計されるが、内層にめっき用給電配線を設けることにより、基準電位用の内層の導体面積を削ることになり、電気的特性へ影響を及ぼすことになる。
【0009】
そこで、本発明は、めっき専用の給電配線を設けず、配線パターンの設計自由度を向上させ、且つ高周波信号への影響を低減できる半導体装置用多層基板を形成できる、半導体装置用多層基板の部分めっき方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の半導体装置用多層基板の部分めっき方法は、絶縁基材の表面に線状配線が形成され、且つ内層にも導体層を備え、半導体チップが前記絶縁基材に搭載される半導体装置用多層基板の部分めっき方法であって、前記内層の導体層と前記半導体装置用多層基板上のめっき部分を電気的に接続し、前記内層の導体層を給電経路として前記めっき部分に給電することにより、前記めっき部分にめっき処理を実行することを特徴とするものである。
【0011】
また請求項2記載の半導体装置用多層基板の部分めっき方法は、前記絶縁基材の表面に、前記内層の導体層と電気的に接続されたランドパターンを形成し、前記ランドパターンと前記半導体装置用多層基板上のめっき部分を電気的に接続し、前記内層の導体層を給電経路として前記ランドパターンを介して前記めっき部分に給電することにより、前記めっき部分にめっき処理を実行し、めっき処理後、前記ランドパターンと前記めっき部分の電気的な接続を分離することを特徴とするものである。
【0012】
さらに請求項3記載の半導体装置用多層基板の部分めっき方法は、前記ランドパターンと前記めっき部分を、導体配線により電気的に接続し、めっき処理後、前記ランドパターンと前記めっき部分の電気的な接続を分離するとき、前記導体配線を機械的あるいは化学的に除去することを特徴とするものである。
【0013】
また請求項4記載の半導体装置用多層基板の部分めっき方法は、前記絶縁基材の内層に、前記内層の導体層と前記半導体装置用多層基板上のめっき部分を電気的に接続する専用のめっき用ビアを形成し、前記内層の導体層を給電経路として前記めっき用ビアを介して前記めっき部分に給電することにより、前記めっき部分にめっき処理を実行し、めっき処理後、前記めっき用ビアと前記めっき部分の電気的な接続を分離することを特徴とするものである。
【0014】
さらに請求項5記載の半導体装置用多層基板の部分めっき方法は、めっき処理後、前記めっき用ビアと前記めっき部分の電気的な接続を分離するとき、前記めっき用ビアを機械的あるいは化学的に除去し、除去して形成された穴を穴埋め材により穴埋めすることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項6記載の半導体装置用多層基板の部分めっき方法は、前記絶縁基材に、前記内層の導体層と電気的に接続されるビア周囲導体と、前記半導体装置用多層基板上のめっき部分に電気的に接続されるビア中心導体を有す二重構造ビアを設け、前記二重構造ビアのビア周囲導体とビア中心導体を電気的に接続し、前記内層の導体層を給電経路として前記ビア周囲導体およびビア中心導体を介して前記めっき部分に給電することにより、前記めっき部分にめっき処理を実行し、めっき処理後、前記ビア周囲導体とビア中心導体の電気的な接続を分離することを特徴とするものである。
【0016】
さらに請求項7記載の半導体装置用多層基板の部分めっき方法は、前記二重構造ビアのビア周囲導体とビア中心導体を、導体配線により電気的に接続し、めっき処理後、前記ビア周囲導体とビア中心導体の電気的な接続を分離するとき、前記導体配線を機械的あるいは化学的に除去することを特徴とするものである。
【0017】
また請求項8記載の半導体装置用多層基板の部分めっき方法は、前記絶縁基材に、前記内層の導体層と電気的に接続されるめっき用ビアと、前記半導体装置用多層基板上のめっき部分に電気的に接続される配線用ビアを短い間隔で並べて有す二重構造ビアを設け、前記二重構造ビアのめっき用ビアと配線用ビアを電気的に接続し、前記内層の導体層を給電経路として前記めっき用ビアと配線用ビアを介して前記めっき部分に給電することにより、前記めっき部分にめっき処理を実行し、めっき処理後、前記めっき用ビアと配線用ビアの電気的な接続を分離することを特徴とするものである。
【0018】
さらに請求項9記載の半導体装置用多層基板の部分めっき方法は、前記二重構造ビアのめっき用ビアと配線用ビアを導体配線により接続し、前記めっき用ビアと配線用ビアの電気的な接続を分離するとき、前記導体配線を、機械的あるいは化学的に除去することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の半導体装置用多層基板の部分めっき方法は、通常欠くことのできない半導体チップ上の回路素子の基準電位となる内層の導体層をめっきの給電配線として用いることにより、めっき専用の給電配線を設ける必要がなくすことができ、配線パターンの設計自由度を向上させ、且つ高周波信号への影響を低減できる半導体装置用多層基板を製造できる、という効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1における半導体装置用多層基板の部分めっき方法が実行される、半導体装置用多層基板(以下、パッケージ基板という)のめっき処理前の状態を示す平面図、図2は同パッケージ基板の図1におけるa−a′断面図、図3は同パッケージ基板の製造工程を示す工程図である。前記パッケージ基板は、絶縁基材の表面に線状配線が形成され、且つ内層にも導体層(中間導体層)を備え、半導体チップが前記絶縁基材に搭載される基板であり、半導体パッケージの構成部品である。
【0021】
図1および図2に示すパッケージ基板において、絶縁材料3の中央部が半導体チップの搭載領域であり、その中央部に放熱性の向上と半導体チップ上の回路素子の基準電位をとる基準電位用ランドパターン4が形成されている。この基準電位用ランドパターン4は、パッケージ基板の内部に配置され基準電位用配線として用いられる中間導電層(内層の導体層の一例)9と、基準電位用ビア5を介して、電気的に接続されている。
【0022】
また、絶縁基材3の表面には、基準電位用ランドパターン4の周囲に、搭載される半導体チップと接続する線状配線2、ワイヤーボンディングパッド112および外部電極113が任意のパターンで形成される。線状配線2の基準電位用ランドパターン4側の端部に、前記ワイヤーボンディングパッド112が設けられ、他方の端部に配線用ビア1が設けられている。
【0023】
また、めっき後に除去されるめっき用給電配線(導体配線)6により、前記基準電位用ランドパターン4と線状配線2は電気的に接続されている。
この状態において、前記中間導電層9を給電経路として基準電位用ランドパターン4、めっき用給電配線6を介して、めっき部分であるワイヤーボンディングパッド112、外部電極113、基準電位用ランドパターン4に給電することにより、前記めっき部分に電解めっき処理が実行される。
【0024】
上記の実施の形態1の半導体装置用多層基板の部分めっき方法を用いたパッケージ基板の製造方法を、図3を参照しながら説明する。
図3(a)に示すように、矩形の絶縁基材8の上に導体を積層し、中間導体層9を形成する。絶縁基材8はエポキシ系樹脂、中間導体層9は、銅を主成分とした金属材料が一般に用いられる。
【0025】
前記中間導体層9は、半導体チップ上の回路素子の基準電位をとることがあり、できるだけ全面を導体で覆うことが望ましいが、表層の配線の接続のため、配線用ビアを通す穴が多数設けられる。
【0026】
次に、前記中間導体層9にパターニング処理を施した後、図3(b)に示すように、絶縁材料3を積層する。絶縁材料3は、前記絶縁基材8と同様のエポキシ系樹脂が用いられる。
【0027】
次に、図3(c)に示すように、基準電位用ビア5をパッケージ基板の中央部に形成する。基準電位用ビア5の形成は、ドリルなどを用いた機械的な穴あけを行った後、無電解めっきにより穴の壁面に金属層を形成し、穴の中心部分に樹脂埋めを行う方法が一般的である。穴の壁面に形成する金属層は、銅を主成分とした金属材料、穴埋め樹脂はエポキシ系樹脂を用いることが一般的である。
【0028】
基準電位用ビア5形成後、図3(d)に示すように、前記絶縁材料3の上に、表面導体層10を積層し、エッチングにより、図3(e)に示すように、線状配線2、ワイヤーボンディングパッド112、外部電極113、基準電位用ランドパターン4及びめっき用給電配線6を任意のパターンで形成する。
【0029】
線状配線2、ワイヤーボンディングパッド112、外部電極113、基準電位用ランドパターン4及びめっき用給電配線6をパターニングした後、図3(f)に示すように、線状配線2、ワイヤーボンディングパッド112、外部電極113、基準電位用ランドパターン4及びめっき用給電配線6の上に、保護膜7を形成する。このとき、前記保護膜7は部分めっきを施すワイヤーボンディングパッド112、外部電極113、基準電位用ランドパターン4の上部を除いて、形成される。前記保護膜7の形成は、一旦前面に保護膜を形成し、部分めっき部の上部をエッチングにより、除去する方法がとられる。
【0030】
この後、前記中間導電層9から給電して、電解めっき処理を実行することにより、図3(g)に示すように、ワイヤーボンディングパッド112、外部電極113、および基準電位用ランドパターン4上にめっき層111を形成する。めっき層111は、金やパタジウムなどの金属を用いることが多い。
【0031】
めっき終了後に、図3(h)に示すように、前記基準電位用ランドパターン4と前記線状配線3を接続しているめっき用給電配線6をエッチングなどによる化学的な、あるいはレーザーなどによる機械的な方法により除去し、前記基準電位用ランドパターン4と前記めっき部分を電気的に分離し、除去された穴を穴埋め材料114にて、穴埋めをする。
【0032】
以上のように実施の形態1によれば、ワイヤーボンディングパッド112、外部電極113、および基準電位用ランドパターン4上にめっき層111を形成するとき、中間導電層9から基準電位用ビア5を介して給電し、電解めっき処理が実行されることにより、めっき専用の給電配線を設ける必要をなくすことができ、配線パターンの設計自由度を向上させ、且つ高周波信号への影響を低減できる半導体装置用多層基板を製造することができる。
[実施の形態2]
図4は本発明の実施の形態2における半導体装置用多層基板の部分めっき方法が実行される、パッケージ基板のめっき処理前の状態を示す平面図、図5は同パッケージ基板の図4におけるb−b′断面図、図4は同パッケージ基板の製造工程を示す工程図である。
【0033】
図4に示すパッケージ基板において、絶縁材料13の中央部が半導体チップの搭載領域である。絶縁基材13の表面には、その周囲に、搭載される半導体チップと接続する線状配線12、ワイヤーボンディングパッド121および外部電極122が任意のパターンで形成される。線状配線12の半導体チップの搭載領域側の端部に、前記ワイヤーボンディングパッド121が設けられ、他方の端部に配線用ビア11が設けられている。
【0034】
また、絶縁基材13の内層に、線状配線12の任意の部分に接触し、内層の中間導体層(内層の導体層の一例)17と半導体装置用多層基板上のめっき部分(ワイヤーボンディングパッド121及び外部電極122)を電気的に接続する専用のめっき用ビア14が設けられている。なお、めっき用ビア14は線状配線12に直接接触せず、離れた位置に配置され、表面の配線により接続されても問題はない。また、めっき用ビア14は、めっき実施における電力供給で能力的に問題がなければ、複数の線状配線12と共用させてもよい。
【0035】
この状態において、中間導電層17を給電経路としてめっき用ビア14と線状配線12を介して、めっき部分であるワイヤーボンディングパッド121及び外部電極122に給電することにより、前記めっき部分に電解めっきを実行する。
【0036】
上記の実施の形態1の半導体装置用多層基板の部分めっき方法を用いたパッケージ基板の製造方法を、図6および図7を参照しながら説明する。
図6(a)に示すように、矩形の絶縁基材16の上に導体を積層し、中間導体層17を形成する。絶縁基材16はエポキシ系樹脂、中間導体層17は、銅を主成分とした金属材料が一般に用いられる。
【0037】
前記中間導体層17は半導体チップ上の回路素子の基準電位をとることがあり、できるだけ全面が導体であることが望ましいが、表層の配線の接続のため、次に中間導体層17にパターニング処理を施し、図6(b)に示すように、配線用ビアを通す穴を多数設ける。
【0038】
前記中間導体層17にパターニング処理を施した後、図6(c)に示すように、絶縁材料13を積層する。絶縁材料13は、前記絶縁基材16と同様のエポキシ系樹脂が用いられる。
【0039】
次に、図6(d)に示すように、基板の表裏に形成された配線パターンをつなぐ配線用ビア11を形成する。前記配線用ビア11の形成は、ドリルなどを用いた機械的な穴あけを行った後、無電解めっきにより穴の壁面に金属層を形成し、穴の中心部分に樹脂埋めを行う方法が一般的である。穴の壁面に形成する金属層は、銅を主成分とした金属材料、穴埋め樹脂は、エポキシ系樹脂を用いることが一般的である。
【0040】
前記配線用ビア11形成後、図6(e)に示すように、前記絶縁材料13に線状配線12と中間導体層17をつなぐめっき用ビア14を形成する。めっき用ビア14の形成は、比較的浅いビアであることから、エッチングなどの化学的な穴あけを行った後、無電解めっきにより金属で穴埋めする方法が一般的である。
【0041】
めっき用ビア14形成後、図6(f)に示すように、表面導体層18を積層する。前記表面導体層18は、前記中間導電層17と同様の銅を主成分とした金属材料が一般に用いられる。
【0042】
次に、図7(a)に示すように、前記表面導体層18に、線状配線12、ワイヤーボンディングパッド121および外部電極122の任意のパターンを形成する。表面のパターニングは、エッチングによる加工が一般的である。
【0043】
線状配線12、ワイヤーボンディングパッド121および外部電極122のパターニングの後、図7(b)に示すように、表面パターンの上に、保護膜15を形成する。このとき、前記保護膜15は、部分めっきを施すワイヤーボンディングパッド121及び外部電極122の上部を除いて形成される。前記保護膜15の形成は、一旦全面に保護膜を設け、不要部分をエッチングにより除去する方法を用いることが一般的である。
【0044】
この後、前記中間導電層17からめっき用ビア14を介して給電して、電解めっき処理を実行することにより、図7(c)に示すように、ワイヤーボンディングパッド121および外部電極122上にめっき層19を形成する。めっき層19は、金やパタジウムなどの金属を用いることが多い。
【0045】
めっき終了後に、図7(d)に示すように、前記中間導電層17と前記線状配線12を接続している前記めっき用ビア14を、エッチングなどによる化学的な方法、あるいはレーザーなどによる機械的な方法により除去し、前記中間導電層17と前記線状配線12(めっき部分)を電気的に分離し、除去して形成された穴を穴埋め材料20にて、穴埋めをする。また、前記めっき用ビア14が前記線状配線12に直接接触せず、配線パターンでつながれている場合は、前記めっき用ビア14を除去せずに、配線パターンを除去しても問題はない。
【0046】
以上のように実施の形態2によれば、ワイヤーボンディングパッド121および外部電極122上にめっき層19を形成するとき、中間導電層9からめっき用ビア14を介して給電し、電解めっき処理が実行されることにより、めっき専用の給電配線を設ける必要をなくすことができ、配線パターンの設計自由度を向上させ、且つ高周波信号への影響を低減できる半導体装置用多層基板を製造することができる。
[実施の形態3]
図8は本発明の実施の形態3における半導体装置用多層基板の部分めっき方法が実行される、パッケージ基板のめっき処理前の状態を示す平面図、図9は同パッケージ基板のビアの構造図、図10は同パッケージ基板のビアの形成方法を示す工程図、図11は同パッケージ基板のめっき前構造と最終構造のビアの斜視図である。
【0047】
図8に示すパッケージ基板において、絶縁材料23の中央部が半導体チップの搭載領域である。絶縁基材13の表面には、その周囲に、搭載される半導体チップと接続する線状配線22、ワイヤーボンディングパッド221および外部電極(図示せず)が任意のパターンで形成される。線状配線22の半導体チップの搭載領域側の端部に、前記ワイヤーボンディングパッド221が設けられ、他方の端部に二重構造ビア21が設けられている。
【0048】
この二重構造ビア21は、図9に示すように、ビアの周囲と中心に絶縁された2つの導体、すなわち、内層の中間導体層(内層の導体層の一例)28と電気的に接続されるビア周囲導体24と、半導体装置用多層基板上のめっき部分(ワイヤーボンディングパッド221および外部電極)に電気的に接続されるビア中心導体25を有している。
【0049】
本発明の方法により製造されるパッケージ基板の製造方法は、前述の実施の形態2とほぼ同様である。ここでは、図9および図10を用いて、実施の形態2と異なる二重構造ビアの構造および形成方法について説明する。
【0050】
図10(a)に示すように、基板上の前記線状配線22の端部にビア用穴27をあけ、図10(b)に示すように、めっきにより、ビア周囲導体24となる金属で穴埋めを行う。このとき、前記ビア用穴27は、ドリルなどによる機械的な方法によりあけられる。また、前記ビア用穴27をうめる金属は、銅を主成分とした金属が用いられることが一般的である。ところで、この時点では、前記ビア用穴27は完全にふさがれなくても問題ない。
【0051】
次に、図10(c)に示すように、線状配線22の引き出し方向に中心位置をずらして、三日月状にめっき(金属)を残すように、前記ビア用穴27の形成と同様の方法で穴をあけ、ビア周囲導体24を形成する。このとき、前記ビア周囲導体24は、図9に示すように、中間導体層28と接続されているものとする。次に、穴を樹脂埋めし、ビア絶縁材料26を形成する。
【0052】
次に、図10(d)に示すように、前記ビア絶縁材料26の中心付近に穴をあけ、めっきにより金属で穴埋めを行い、ビア中心導体25を形成して、二重構造ビア21を形成する。
【0053】
次に、図11(a)に示すように、二重構造ビア25の端面の全面を、表面導体(導体配線)で覆い、中間導体層28と前記線状配線22を、前記ビア周囲導体24、前記表面導体およびビア中心導体25を介して電気的に接続し、中間導体層28を給電経路としてビア周囲導体24、前記表面導体およびビア中心導体25を介して前記めっき部分に給電することにより、前記めっき部分に電解めっきを実行する。
【0054】
めっき実行後、前記ビア周囲導体24の上部の表面導体を、エッチングなどによる化学的な、あるいはレーザーなどによる機械的な方法により除去し、中間導体層28と線状配線22(めっき部分)を電気的に分離する。
【0055】
以上のように実施の形態3によれば、ワイヤーボンディングパッド221および外部電極上にめっき層を形成するとき、中間導電層28から二重構造ビア25のビア周囲導体24およびビア中心導体25を介して給電し、電解めっき処理が実行されることにより、めっき専用の給電配線を設ける必要をなくすことができ、配線パターンの設計自由度を向上させ、且つ高周波信号への影響を低減できる半導体装置用多層基板を製造することができる。
[実施の形態4]
図12は本発明の実施の形態4における半導体装置用多層基板の部分めっき方法が実行される、パッケージ基板のめっき処理前の状態を示す平面図、図13は同パッケージ基板の図12におけるc−c’断面図である。
【0056】
本発明の方法により製造されるパッケージ基板の製造方法は、前述の実施の形態2とほぼ同様である。ここでは、実施の形態2と異なる二連構造ビアについて記載する。
図12に示すパッケージ基板において、絶縁材料33の中央部が半導体チップの搭載領域である。絶縁材料33の表面には、その周囲に、搭載される半導体チップと接続する線状配線32、ワイヤーボンディングパッド321および外部電極322が任意のパターンで形成される。線状配線32の半導体チップの搭載領域側の端部に、前記ワイヤーボンディングパッド321が設けられ、他方の端部に二重構造ビア31が設けられている。
【0057】
前記二連構造ビア31は、図13に示すように、中間導体層(内層の導体層の一例)37と電気的に接続されるめっき用ビア39と、半導体装置用多層基板上のめっき部分(ワイヤーボンディングパッド321および外部電極322)に電気的に接続される配線用ビアを短い間隔で並べて有し構成されており、めっき用ビア39と配線用ビア34は表面の導体配線38により電気的に接続されている。
【0058】
このとき、前記二連構造ビア31を構成しているめっき用ビア39と配線用ビア34の間隔は最小であることが好ましいが、配線レイアウトの状況により、その間隔を広げても問題ない。
【0059】
現在は、ビア径:150μmΦ、ビア最小間隔:400μmが一般的な設計ルールとなっているが、今後、微細化が進むにつれて、ビア径が小さくなり、ビア最小間隔も狭くなることが予測される。
【0060】
この構造により、前記中間導体層37給電経路としてめっき用ビア39、導体配線38および配線用ビア34を介して前記めっき部分に給電することにより、前記めっき部分に電解めっきを実行する。めっき後、表面の導体配線38を、エッチングなどによる化学的な、あるいはレーザーなどによる機械的な方法により除去し、めっき用ビア39と配線用ビア34(めっき部分)を電気的に分離する。
【0061】
以上のように実施の形態4によれば、ワイヤーボンディングパッド321および外部電極322上にめっき層を形成するとき、中間導電層37から二重構造ビア31のめっき用ビア39と配線用ビア34を介して給電し、電解めっき処理が実行されることにより、めっき専用の給電配線を設ける必要をなくすことができ、配線パターンの設計自由度を向上させ、且つ高周波信号への影響を低減できる半導体装置用多層基板を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の半導体装置用多層基板の部分めっき方法は、部分的に電解めっきを必要とする基板に有効であり、特に、高周波信号の入出力がある半導体装置のパッケージ基板および実装基板に有用である。また、携帯電話など高速通信を必要とする電子機器全般にも有用である。なお、実装基板とは、半導体チップを内蔵した半導体装置を搭載する基板である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置用多層基板の部分めっき方法が実行される、パッケージ基板のめっき処理前の状態を示す平面図である。
【図2】同パッケージ基板の図1のa−a’断面図である。
【図3】同パッケージ基板を製造する工程図である。
【図4】本発明の実施の形態2における半導体装置用多層基板の部分めっき方法が実行される、パッケージ基板のめっき処理前の状態を示す平面図である。
【図5】同パッケージ基板の図4のb−b’断面図である。
【図6】同パッケージ基板を製造する工程図である。
【図7】同パッケージ基板を製造する工程図である。
【図8】本発明の実施の形態3における半導体装置用多層基板の部分めっき方法が実行される、パッケージ基板のめっき処理前の状態を示す平面図である。
【図9】同パッケージ基板の二重構造ビアの構造を示す断面図である。
【図10】同パッケージ基板の二重構造ビアの形成方法を示す工程図である。
【図11】同パッケージ基板の二重構造ビアのめっき実施前構造と最終構造を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態4における半導体装置用多層基板の部分めっき方法が実行される、パッケージ基板のめっき処理前の状態を示す平面図である。
【図13】同パッケージ基板の図12のc−c’断面図である。
【図14】従来の方法で製造される、パッケージ基板のめっき処理前の状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0064】
1,11,34 配線用ビア
2,12,22,32 線状配線
3,13,23,33 絶縁材料
4 基準電位用ランドパターン
5 基準電位用ビア
6 めっき供給用配線
7,15,35 保護膜
8,16,36 絶縁基材
9,17,28,37 中間導電層
10,18 表面導体層
111,19 めっき層
112,121,221,321 ワイヤーポンディングパッド
113,122,322 外部電極
14 めっき用ビア
20 穴埋め用絶縁材料
21,31 二重構造ビア
24 ビア周囲導体
25 ビア中心導体
26 ビア絶縁材料
27 ビア用穴
38 導体配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材の表面に線状配線が形成され、且つ内層にも導体層を備え、半導体チップが前記絶縁基材に搭載される半導体装置用多層基板の部分めっき方法であって、
前記内層の導体層と前記半導体装置用多層基板上のめっき部分を電気的に接続し、前記内層の導体層を給電経路として前記めっき部分に給電することにより、前記めっき部分にめっき処理を実行すること
を特徴とする半導体装置用多層基板の部分めっき方法。
【請求項2】
前記絶縁基材の表面に、前記内層の導体層と電気的に接続されたランドパターンを形成し、
前記ランドパターンと前記半導体装置用多層基板上のめっき部分を電気的に接続し、前記内層の導体層を給電経路として前記ランドパターンを介して前記めっき部分に給電することにより、前記めっき部分にめっき処理を実行し、めっき処理後、前記ランドパターンと前記めっき部分の電気的な接続を分離すること
を特徴とする請求項1の半導体装置用多層基板の部分めっき方法。
【請求項3】
前記ランドパターンと前記めっき部分を、導体配線により電気的に接続し、
めっき処理後、前記ランドパターンと前記めっき部分の電気的な接続を分離するとき、前記導体配線を機械的あるいは化学的に除去すること
を特徴とする請求項2の半導体装置用多層基板の部分めっき方法。
【請求項4】
前記絶縁基材の内層に、前記内層の導体層と前記半導体装置用多層基板上のめっき部分を電気的に接続する専用のめっき用ビアを形成し、
前記内層の導体層を給電経路として前記めっき用ビアを介して前記めっき部分に給電することにより、前記めっき部分にめっき処理を実行し、めっき処理後、前記めっき用ビアと前記めっき部分の電気的な接続を分離すること
を特徴とする請求項1の半導体装置用多層基板の部分めっき方法。
【請求項5】
めっき処理後、前記めっき用ビアと前記めっき部分の電気的な接続を分離するとき、前記めっき用ビアを機械的あるいは化学的に除去し、除去して形成された穴を穴埋め材により穴埋めすること
を特徴とする請求項4の半導体装置用多層基板の部分めっき方法。
【請求項6】
前記絶縁基材に、前記内層の導体層と電気的に接続されるビア周囲導体と、前記半導体装置用多層基板上のめっき部分に電気的に接続されるビア中心導体を有す二重構造ビアを設け、
前記二重構造ビアのビア周囲導体とビア中心導体を電気的に接続し、前記内層の導体層を給電経路として前記ビア周囲導体およびビア中心導体を介して前記めっき部分に給電することにより、前記めっき部分にめっき処理を実行し、めっき処理後、前記ビア周囲導体とビア中心導体の電気的な接続を分離すること
を特徴とする請求項1の半導体装置用多層基板の部分めっき方法。
【請求項7】
前記二重構造ビアのビア周囲導体とビア中心導体を、導体配線により電気的に接続し、
めっき処理後、前記ビア周囲導体とビア中心導体の電気的な接続を分離するとき、前記導体配線を機械的あるいは化学的に除去すること
を特徴とする請求項6の半導体装置用多層基板の部分めっき方法。
【請求項8】
前記絶縁基材に、前記内層の導体層と電気的に接続されるめっき用ビアと、前記半導体装置用多層基板上のめっき部分に電気的に接続される配線用ビアを短い間隔で並べて有す二重構造ビアを設け、
前記二重構造ビアのめっき用ビアと配線用ビアを電気的に接続し、前記内層の導体層を給電経路として前記めっき用ビアと配線用ビアを介して前記めっき部分に給電することにより、前記めっき部分にめっき処理を実行し、めっき処理後、前記めっき用ビアと配線用ビアの電気的な接続を分離すること
を特徴とする請求項1の半導体装置用多層基板の部分めっき方法。
【請求項9】
前記二重構造ビアのめっき用ビアと配線用ビアを導体配線により接続し、
前記めっき用ビアと配線用ビアの電気的な接続を分離するとき、前記導体配線を、機械的あるいは化学的に除去すること
を特徴とする請求項8の半導体装置用多層基板の部分めっき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−42957(P2007−42957A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227322(P2005−227322)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】