説明

半導体装置

【課題】 小型化が可能で、かつ、信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体装置は、ベース基板12と、第1の配線16及びその隣に配置された第2の配線18を含む複数の配線14とを有する配線基板10と、第1の配線16と接触して電気的に接続されてなり、ベース基板12と接触する先端面25を有するバンプ24を有する半導体チップ20とを含む。配線14のピッチPは、0<P<35μmである。配線14の上端面の幅Ltは、0<Lt<10μmである。バンプ24の先端面25と第2の配線18とのギャップGは2μm以上である。幅Ltと、ボンディング精度に起因する位置ずれ寸法Kと、バンプ24の幅Bとは、B>Lt+Kの関係を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの高集積化や、半導体装置の小型化の要請を受けて、配線パターンの微細化が進んでいる。しかし、半導体装置の信頼性を確保するためには、配線パターンが微細化しても、配線間のショートを防止することが必要である。
【0003】
本発明の目的は、小型化が可能で、かつ、信頼性が高い半導体装置を提供することにある。
【特許文献1】特開2001−93938号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明に係る半導体装置は、ベース基板と、第1の配線及び前記第1の配線の隣に配置された第2の配線を含む複数の配線とを有する配線基板と、
前記第1の配線と接触して電気的に接続されてなり、前記ベース基板と接触する先端面を有するバンプを有する半導体チップと、
を含み、
前記配線のピッチPは、
0<P<35μm
であり、
前記配線の上端面の幅Ltは、
0<Lt<10μm
であり、
前記バンプの先端面と前記第2の配線とのギャップGは2μm以上であり、
前記幅Ltと、ボンディング精度に起因する位置ずれ寸法Kと、前記バンプの幅Bとは、
B>Lt+2K
の関係を有する。本発明によれば、小型化が可能で、かつ、電気的な信頼性を確保することが可能な半導体装置を提供することができる。
(2)この半導体装置において、
前記ピッチPと、前記配線の基端面の幅Lbと、前記幅Bと、前記ギャップGと、前記位置ずれ寸法Kとは、
P≧(B/2)+G+(Lb/2)+K
の関係を有してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0006】
図1及び図2は、本発明を適用した実施の形態に係る半導体装置について説明するための図である。なお、図1は、半導体装置1の概略図である。また、図2は、半導体装置1の断面の一部拡大図であり、配線14(第1の配線16)とバンプ24との接合の様子を示す図である。
【0007】
本実施の形態に係る半導体装置は、図1及び図2に示すように、配線基板10を含む。配線基板10は、ベース基板12を有する。ベース基板12の材料や構造は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの基板を利用してもよい。ベース基板12は、フレキシブル基板であってもよく、リジッド基板であってもよい。ベース基板12は、積層型の基板であってもよく、あるいは、単層の基板であってもよい。また、ベース基板12の外形も特に限定されるものではない。
【0008】
配線基板10は、図1に示すように、複数の配線14を有する。複数の配線14を合わせて、配線パターンと称してもよい。配線14は、第1の配線16と、第1の配線16の隣に配置された第2の配線18とを含む(図2参照)。配線14は、ベース基板12に設けられていてもよい。このとき、配線14は、ベース基板14の表面に設けられていてもよい。ベース基板12が多層基板である場合、ベース基板12の層間に形成された導電パターンを含めて、配線14と称してもよい。配線14の構造や材料は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの配線を利用してもよい。例えば、配線パターン14は、銅(Cu)、クローム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、チタンタングステン(Ti−W)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケルバナジウム(NiV)、タングステン(W)、スズ(Sn)のうちのいずれかを貼り合せまたは積層して、あるいはいずれかの一層で形成されていてもよい。本実施の形態に係る半導体装置では、配線14のピッチPは、
0<P<35μm
である。ピッチPを一定の範囲内にすることで、高密度化された配線パターンを有する半導体装置を提供することができる。なお、ピッチPは、後述する半導体チップ20と対向する領域内(のみ)で、上記の関係を有していてもよい。また、配線14の上端面の幅Ltは、
0<Lt<10μm
である。配線の幅を一定の範囲内にすることで、配線パターンを高密度化することができる。なお、幅Ltは、後述する半導体チップ20と対向する領域内(のみ)で、上記の関係を有していてもよい。
【0009】
本実施の形態に係る半導体装置は、図1及び図2に示すように、半導体チップ20を含む。半導体チップ20は、例えばシリコン基板であってもよい。半導体チップ20には、集積回路が形成されていてもよい。集積回路の構成は特に限定されないが、例えば、トランジスタ等の能動素子や、抵抗、コイル、コンデンサ等の受動素子を含んでいてもよい。半導体チップ20は、配線基板10に搭載されていてもよい。
【0010】
半導体チップ20は、図2に示すように、バンプ24を有する。バンプ24は、第1の配線16と接触して電気的に接続されてなる。そして、バンプ24は、ベース基板12と接触する先端面25を有する。そして、本実施の形態に係る半導体装置では、バンプ24の先端面25と第2の配線18とのギャップGが2μm以上である。バンプの先端面25と第2の配線18との距離を一定以上とすることで、バンプ24と第2の配線18との間で、マイグレーションを原因とするショートが発生することを防止することができる。すなわち、ギャップGに制限を加えることで、配線パターンが高密度化していても隣り合う配線間の電気的なショートを防止することができるため、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、幅Ltと、ボンディング精度に起因する位置ずれ寸法Kと、バンプ24の幅Bとは、
B>Lt+2K
の関係を有する。一般的に、半導体チップを配線基板に搭載する際には、ボンディング精度の関係で、バンプと配線との間に位置ずれが発生することがある。そのため、バンプと配線との位置が設計上のボンディング位置からずれた場合でも信頼性を確保することができるように、半導体装置を設計することが好ましい。そして、設計上確保すべき寸法が、位置ずれ寸法Kである。すなわち、位置ずれ寸法Kは、配線基板に半導体チップをボンディングする際に発生し得る、設計上のボンディング位置と実際のボンディング位置との位置ずれ幅の最大値であると言える。そのため、バンプ24の幅Bが上記の関係を有すれば、ボンディング時に位置ずれが発生した場合でも、バンプと配線とを対向させることが可能になる。このことから、本実施の形態に係る半導体装置によれば、信頼性を確保しつつ効率よく製造することが可能な半導体装置を提供することができる。なお、位置ずれ寸法Kは、ボンディング装置の精度、ボンディング環境、ボンディング対象物等の諸条件を前提にして設定することが可能である。本実施の形態では、バンプ24の構造や材料は特に限定されず、既に公知となっているいずれかのバンプを利用してもよい。バンプ24は、半導体チップ20の内部と電気的に接続されていてもよい。バンプ24は、集積回路と電気的に接続されていてもよい。バンプ24は、図2に示すように、パッド22上に形成されていてもよい。このとき、パッド22は、アルミニウム又は銅等の金属で形成されていてもよい。なお、半導体チップ20は、図示しない他のバンプをさらに有してもよい。該バンプは、それぞれ、いずれかの配線14と対向して電気的に接続されていてもよい。また、該バンプは、半導体チップ20の辺に対して千鳥状に配列されていてもよい。また、本実施の形態では、半導体チップ20は、図示しないパッシベーション膜をさらに有していてもよい。
【0011】
本実施の形態に係る半導体装置では、ピッチPと、配線14の基端面の幅Lbと、幅Bと、ギャップGと、位置ずれ量Kとは、
P≧(B/2)+G+(Lb/2)+2K
の関係を有してもよい。これによれば、先の条件とあいまって、小型化が可能で信頼性が高く、かつ、効率よく製造することが可能な半導体装置を提供することができる。
【0012】
なお、本実施の形態に係る半導体装置は、図1に示すように、封止材30を含んでいてもよい。封止材30の材料は特に限定されず、例えば、エポキシ、ポリイミド、ポリアミドイミド、シアネートエステル、ウレタン、アクリル等によって形成されていてもよい。封止材30は、配線基板10と半導体チップ20とを接着する役割を果たしていてもよい。また、封止材30は、配線パターン14及びバンプ24の露出を防止し、これらの劣化を防止する役割を果たしていてもよい。封止材30は、上記いずれかの材料のペースト、あるいはフィルムを利用して形成してもよい。
【0013】
そして、図3に、本発明を適用した実施の形態に係る半導体装置1を有する電子モジュール1000を示す。電子モジュール1000は、表示デバイスであってもよい。表示デバイスは、例えば液晶表示デバイスやEL(Electrical Luminescence)表示デバイスであってもよい。さらに、半導体装置1を有する電子機器として、図4にノート型パーソナルコンピュータ2000を、図5に携帯電話3000を、それぞれ示す。
【0014】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明を適用した実施の形態に係る半導体装置について説明するための図である。
【図2】図2は、本発明を適用した実施の形態に係る半導体装置について説明するための図である。
【図3】図3は、本発明を適用した実施の形態に係る半導体装置を有する電子モジュールを示す図である。
【図4】図4は、本発明を適用した実施の形態に係る半導体装置を有する電子機器を示す図である。
【図5】図5は、本発明を適用した実施の形態に係る半導体装置を有する電子機器を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
10…配線基板、 12…ベース基板、 14…配線、 16…第1の配線、 18…第2の配線、 20…半導体チップ、 22…パッド、 24…バンプ、 25…先端面、 30…封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、第1の配線及び前記第1の配線の隣に配置された第2の配線を含む複数の配線とを有する配線基板と、
前記第1の配線と接触して電気的に接続されてなり、前記ベース基板と接触する先端面を有するバンプを有する半導体チップと、
を含み、
前記配線のピッチPは、
0<P<35μm
であり、
前記配線の上端面の幅Ltは、
0<Lt<10μm
であり、
前記バンプの先端面と前記第2の配線とのギャップGは2μm以上であり、
前記幅Ltと、ボンディング精度に起因する位置ずれ寸法Kと、前記バンプの幅Bとは、
B>Lt+2K
の関係を有する半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記ピッチPと、前記配線の基端面の幅Lbと、前記幅Bと、前記ギャップGと、前記位置ずれ寸法Kとは、
P≧(B/2)+G+(Lb/2)+K
の関係を有する半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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