説明

半導体装置

【課題】放熱効果の向上を図り得る半導体装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る半導体装置は、第1の面と当該第1の面と反対の第2の面とを有するシリコンインターポーザと;前記シリコンインターポーザの第1の面側に搭載された複数の半導体チップとを備える。前記シリコンインターポーザには、前記第1及び第2の面に渡る複数の貫通孔が設けられている。そして、前記貫通孔には、ペルチェ素子を構成するN型半導体及びP型半導体が各々形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の構造に関するものである。特に、実装密度の高い半導体装置の放熱性向上に寄与する半導体装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一つのデバイスにおける放熱対策に関しては、特許文献1に開示されており、ペルチェ素子をデバイス内に組み込むことで、冷却と放熱を行うことができる。一方で、機器の小型化、高機能化に伴い、様々な形態の実装が採用されている。一例として、MCP(マルチ・チップ・パッケージ)がある。MCPにおける放熱対策に関しては、特許文献2に開示されており、積層された複数のICチップの下側にペルチェ素子を含むクーラーチップを配置している。
【0003】
ここで、ペルチェ素子を用いた冷却原理(ペルチェ効果)について簡単に説明する。二つの異種金属または半導体を電気的に直列に接合して電流を流すと、その接合部分にジュール熱以外の吸熱及び発熱が発生する。このような現象がペルチェ効果である。ペルチェ素子はペルチェ効果を利用したモジュールであり、N型半導体とP型半導体を金属などの導体を介して直列に接続し、この直列構造に所定の電流を流すと、その電流の方向に応じて吸熱や放熱が生じる熱電変換素子である。例えば、導体A→N型半導体→導体B→P型半導体→導体Cの方向に電流を流すと、導体Bで吸熱現象が生じ、導体A及び導体Cでは放熱現象が生じる。
【0004】
ところで、複数のICチップを積層したパッケージに比べて、平面的に複数のICチップを一つのモジュールに実装する場合、Si−IP(シリコンインターポーザ)が使用される。Si−IPは微細配線加工が可能となり、モジュールの更なる高機能化及び高密度化につながる。Si−IPを使用したモジュールでは、放熱の促進が必要とされており、放熱効率の向上が求められている。
【特許文献1】特開2006−032453号公報
【特許文献2】特開2004−228485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであり、放熱効果の向上を図り得る半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、第1の面と当該第1の面と反対の第2の面とを有するシリコンインターポーザと;前記シリコンインターポーザの第1の面側に搭載された複数の半導体チップとを備える。前記シリコンインターポーザには、前記第1及び第2の面に渡る複数の貫通孔が設けられている。そして、前記貫通孔には、ペルチェ素子を構成するN型半導体及びP型半導体が各々形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記のような構成の本発明によれば、Si−IP内部にN型半導体及びP型半導体を貫通させることで、Si−IP上に搭載された半導体チップの発熱部から実装基板までの熱伝導距離が短縮されることになる。熱伝導距離が短くなることにより、熱抵抗が小さくなり、その結果、放熱効果が向上することになる。
【0008】
また、Si−IPの下部に形成された放熱作用の生じる導体から、接続導体(例えば、はんだ)を介して、実装基板へと熱伝導が行われる構造とすることが好ましい。この場合、モジュールの放熱経路内では、ペルチェ構造を構成している導体や接続導体を介して熱伝導が行われるため、高い放熱効果が維持されることになる。

【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明が適用可能な半導体装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施例に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
【図3】図3は、図2に示された半導体装置の一部(破線で囲まれた部分)の構造を示す断面図である。
【図4】図4は、図3の概略平面図である。
【図5】図5は、図3の概略裏面図である。
【図6】図6(A)−(D)は、図2及び図3に示す半導体装置に使用されるシリコンインターポーザの製造工程を示す断面図である。
【図7】図7(E)、(F)は、図2及び図3に示す半導体装置に使用されるシリコンインターポーザの製造工程を示す断面図である。
【図8】図8(G)、(H)は、図2及び図3に示す半導体装置に使用されるシリコンインターポーザの製造工程を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施例に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第3実施例に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明が適用可能な半導体装置10を示す斜視図である。図1において、シリコンインターポーザ12上に半導体チップとして3個のDRAMと1個のSoC(System on a Chip)が搭載されている。本発明は、このように、シリコンインターポーザ上に平面的に複数の半導体チップを搭載した半導体装置に適したものである。半導体デバイスの発熱部分(集積回路形成面)を再配線層等の導体で被覆することにより本発明の効果はより顕著となる。
【0011】
図2は、本発明の第1実施例に係る半導体装置100の構造を示す断面図である。図3は、図2に示された半導体装置100の一部(破線で囲まれた部分)の構造を詳細に示す断面図である。図4は図3の概略平面図であり、図5は図3の概略裏面図である。
【0012】
本実施例の半導体装置100は、実装基板102に搭載されるシリコンインターポーザ106と;シリコンインターポーザ106に搭載された複数の半導体チップ104とを備えている。シリコンインターポーザ106には、N型半導体112N及びP型半導体112Pが各々形成された貫通孔が設けられている。そして、N型半導体112N及びP型半導体112Pを利用してペルチェ素子が構成されている。
【0013】
図2において、シリコンインターポーザ106には、複数の貫通電極118が形成されている。貫通電極118は、アルミパッド114及び外部端子(はんだ)115を介して実装基板102に電気的に接続可能となっている。シリコンインターポーザ106には、また、ペルチェ素子を構成するN型半導体112N及びP型半導体112Pが厚さ方向に貫通した状態で設けられている。これらのN型半導体112N及びP型半導体112Pについても、アルミパッド114及び、外部端子115介して実装基板102に電気的に接続可能となっている。N型半導体112Nとしては、アンチモン・テルル(Sb2Te3)を使用することができ、P型半導体112Pとしては、ビスマス・テルル(Bi2Te3)を使用することができる。N型半導体112N及びP型半導体112Pは、スパッタリング法や蒸着法により形成することができる。また、スキージ法により穴埋めし、焼結等で形成することも可能である。
【0014】
シリコンインターポーザ106の上面(実装基板102と反対側の面)には、再配線層のような第1導体層116が形成されている。第1導体層116の上には、半導体チップ104が搭載され、ボンディングワイヤ110によって配線層と電気的に接続されている。半導体チップ104は封止樹脂108によって覆われている。
【0015】
図2において、電流の流れる方向は、外部電極115→N型半導体112N→第1導体層116→P型半導体112P→第2導体層134→N型半導体112N→第1導体層116→P型半導体112P→外部電極115となり、外部電源によって閉回路を形成している。
【0016】
一方、熱の流れるルート(冷却ルート)に関し、集積回路104で発生した熱は、第1導体層116、P型半導体112P及びN型半導体112Nに達する。その後、第2導体層134へ熱伝導し、第2導体層134で放熱現象が起こる。第2導体層134で生じている放熱現象は、主に外部電極115を経由する実装基板102への熱伝導である。
【0017】
図3は、図2の構造の一部をより詳しく示したものである。図3において、外部端子115とシリコンインターポーザ106との間には、ペルチェ素子の放熱部として機能する第2導体層134が形成されている。この第2導体層134と上述したアルミパッド114との間には、バリアメタル132が形成されている。シリコンインターポーザ106の表面は保護膜120によって覆われている。外部電極115としてはんだを用いる場合には、所謂「はんだ走り」を防止するために、ソルダーレジストを塗布してもよい。第2導体層134と外部電極115との間にはUBM(Ni−Au層)膜135が形成されている。
【0018】
図3において、シリコンインターポーザ106に埋め込まれたN型半導体112N及びP型半導体112Pと第1導体層116との間には、保護膜(窒化膜)144によって覆われた導体(アルミニウム)パッド138が形成されている。半導体チップ104はサーマルインターフェースマテリアル130によって第1導体層116と接続されている。シリコンインターポーザ106の上面には、また、ボンディングワイヤ110の端部が接続される、ボンディングパッド142が形成されている。なお、図3において、符号104aは、半導体チップの集積回路形成面(発熱部分)を示す。
【0019】
本実施例の構造は、特に、部品が多ピン、狭ピッチ等の制約によってW−CSP化できない場合に有効である。本実施例において、半導体チップ104の動作に係る電源系、信号系の配線は、シリコンインターポーザ106上で、ペルチェ素子動作電源とは分離されている。ペルチェ素子の動作には公知の通り、直流電源が割り当てられる。
【0020】
図3において、電流の流れる方向は、外部電極115→第2導体層134→N型半導体112N→第1導体層116→P型半導体112P→第2導体層134→外部電極115となり、外部電源によって閉回路を形成している。
【0021】
一方、熱の流れるルート(冷却ルート)に関し、集積回路104で発生した熱は、サーマルグリース130を経由して第1導体層116、P型半導体112P及びN型半導体112Nに達する。その後、第2導体層134へ熱伝導し、第2導体層134で放熱現象が起こる。第2導体層134で生じている放熱現象は、主に外部電極115を経由する実装基板102への熱伝導である。
【0022】
上述した本発明の第1の実施例によれば、柱状電極を形成する必要が無く、さらに、半導体チップ104から実装基板102まで、シリコンインターポーザ106を介して最短距離で接続可能なため、高い放熱効果を期待できる。また、シリコンインターポーザ106に形成された貫通孔にP型、N型半導体を形成し、両端から電極をとる構造(ペルチェ素子内蔵Si−IP)である為、縦方向に熱伝導の制御が可能となる。ここで、「熱伝導の制御」とは、半導体チップ104の温度を温度センサ等で計測、モニタリングし、その結果に基づいて制御回路にてペルチェ素子にかかる電圧のコントロールを行うことである。例えば、半導体チップ104の温度が高ければ、ペルチェ素子にかかる電圧を上げ、冷却効果を高める。一方、半導体チップ104の温度が低ければ、ペルチェ素子にかかる電圧を下げ、温度が下がり過ぎないように制御する。
【0023】
図6(A)−(D)、図7(E)、(F)、図8(G),(H)は、図3に示す半導体装置に使用されるシリコンインターポーザ106の製造工程を示す断面図である。先ず、フォトリソグラフィ工程、ドライ又はウェットエッチング工程などを用いてシリコンウェハ160に貫通孔を形成する。次に、(B)図に示すように、金型を用いて上述した貫通孔内部に金属粉体を射出成形する。この時、金属粉体にバインダを混合してもよい。次に、焼結によりN型半導体112N及びP型半導体112Pを貫通孔の内部に順次形成する。その後、N型半導体112N及びP型半導体112Pの表面を平坦化し所望の厚さとする。
【0024】
次に、スパッタ法により窒化チタン層、アルミニウム層、窒化チタン層からなる厚さ1−2umの積層膜(TiN/Al/TiN)をシリコンインターポーザ160上に形成する。その後、フォトリソグラフィ法及びエッチング法により、図6(B)に示すように、P型半導体112P及びN型半導体112Nの両端部に接続されるアルミパッド114,138を形成する。
【0025】
次に、プラズマCVD法により保護膜(SiN)120を1−2umの厚さでシリコンインターポーザ160上に形成し、フォトリソグラフィ法及びエッチング法により、図6(C)に示すように、アルミパッド114,138を露出する。
【0026】
続いて、スピンコート法により絶縁膜(ポリイミド)144を保護膜120上に4−5umの厚さで形成し、フォトリソグラフィ法及びエッチング法により、図6(D)に示すように、アルミパッド114,138を露出する。
【0027】
次に、スパッタ法により、図7(E)に示すように、アルミパッド114,138に接続されるバリアメタル層(シリコンインターポーザ160側から順にTi、Cu)132,136を絶縁膜144上に形成する。ここで、Ti層、Cu層の厚さは、0.4−0.5um程度とする。
【0028】
続いて、フォトリソグラフィ法によりパターニングしたレジスト膜(図示せず)をバリアメタル上に形成する。その後、電解めっき法により、図7(F)に示すように、P型半導体112P及びN型半導体112Nを電気的に接続される導体層(Cu)116,134を4−5umの厚さで形成する。
【0029】
第1導体層116を形成後、レジスト除去せず、シリコンインターポーザ160の下側の第2導体層134上に、図8(G)に示すようにUBM(Under Bump Metal)膜135を電解めっき法により形成する。ここで、UBM膜135は、厚さ5−7umのNi、Auから形成することができる。
【0030】
次に、レジスト除去した後、エッチング法により、図8(H)に示すように、バリアメタル135を部分的に除去する。次に、スクリーン印刷法により、外部端子115形成部のUBM膜135を露出するように、絶縁膜144上及び第2導体層134上にソルダーレジスト150を形成する。その後、スクリーン印刷法とリフロー法により、露出したUBM膜135上に外部端子115を形成する。ここで、外部端子(はんだ)115の高さは、例えば0.5mmピッチの場合、LGAでは100um程度、BGAの場合300um程度とする。
【0031】
図9は、本発明の第2実施例に係る半導体装置200の構造を示す断面図である。本実施例の構造についても、上述した第1実施例と同様に、部品が多ピン、狭ピッチ等の制約によってW−CSP化できない場合に有効である。
【0032】
本実施例の半導体装置200は、実装基板202に搭載されるシリコンインターポーザ206と;シリコンインターポーザ206に搭載された複数の半導体チップ204とを備えている。シリコンインターポーザ206には、貫通孔が設けられており、その貫通孔にはN型半導体212N及びP型半導体212Pが各々形成(充填)されている。そして、N型半導体212N及びP型半導体212Pを利用してペルチェ素子が構成されている。
【0033】
図9において、シリコンインターポーザ206には、複数の貫通電極218が形成されている。貫通電極218は、放熱効果を奏する第2導体層242に接続されている。シリコンインターポーザ206には、また、ペルチェ素子を構成するN型半導体212N及びP型半導体212Pが厚さ方向に貫通した状態で設けられている。これらのN型半導体212N及びP型半導体212Pの両端には、第1導体層216,242が接続されている。
【0034】
N型半導体212Nとしては、アンチモン・テルル(Sb2Te3)を使用することができ、P型半導体212Pとしては、ビスマス・テルル(Bi2Te3)を使用することができる。N型半導体212N及びP型半導体212Pは、スパッタリング法や蒸着法により形成することができる。また、スキージ法により穴埋めし、焼結等で形成することも可能である。
【0035】
本実施例においては、半導体チップ204の動作に係る電源系、信号系の配線は、ワイヤボンディングによりシリコンインターポーザ206上に接続され、ペルチェ素子動作電源とは分離されている。N型半導体212N及びP型半導体212Pが接続される導体層(吸熱部、第1導体層)216は、熱伝導性の良い接着剤により接続されている。シリコンインターポーザ206上(図の下側)には、柱状電極240が複数形成され、樹脂封止(208)された構造を採用している。また、ペルチェ素子の動作には公知の通り、直流電源が割り当てられている。柱状電極240は、はんだ(外部端子)215を介して実装基板202に接続される。
【0036】
半導体チップ204は、ボンディングワイヤ210によって配線層216と電気的に接続されている。また、半導体チップ204は封止樹脂208によって覆われている。
【0037】
図9において、電流の流れる方向は、外部電極215→柱状電極240→貫通電極218→第2導体層242→N型半導体212N→第1導体層216→P型半導体212P→第2導体層242→貫通電極218→柱状電極240→外部電極215となり、外部電源によって閉回路を形成している。
【0038】
一方、熱の流れるルート(冷却ルート)に関し、集積回路204で発生した熱は、第1導体層216、P型半導体212P及びN型半導体212Nに達する。その後、第2導体層242へ熱伝導し、第2導体層242で放熱現象が起こる。第2導体層242で生じている放熱現象は、第2導体層242の表面から外気への熱伝達と、貫通電極218と柱状電極240及び外部電極215を経由する実装基板202への熱伝導である。
【0039】
本実施例によれば、上述した第1実施例に比べて放熱作用を奏する導体層の露出面積が拡大し、更に放熱効率が向上することになる。なお、本実施例においても上述した第1実施例と同様の方法(図7)によってシリコンインターポーザ206を製造することができる。なお、図9において、シリコンインターポーザ206のチップ非実装面(上面)は、例えば、放熱フィン等を設置して、放熱効率を上げる構造としてもよい。
【0040】
図10は、本発明の第3実施例に係る半導体装置の構造を示す断面図である。なお、図10は図3に対応する拡大断面図であるが、実際には、図2や図9のように複数の半導体チップ(304)がシリコンインターポーザ(306)上に搭載されている。
【0041】
本実施例の特徴は、半導体チップの発熱部(集積回路形成面)304aが第1導体層316で被覆されていることにある。被覆された第1導体層316上の柱状電極350は外部電極352を介して、N型半導体312N及びP型半導体312Pにそれぞれ接続されている。
【0042】
本実施例においては、半導体チップ304の動作に係る電源系、信号系の配線は、シリコンインターポーザ306上でペルチェ素子動作電源とは分離されている。ペルチェ素子の動作には公知の通り、直流電源が割り当てられている。
【0043】
図10において、シリコンインターポーザ306には、ペルチェ素子を構成するN型半導体312N及びP型半導体312Pが厚さ方向に貫通した状態で設けられている。これらのN型半導体312N及びP型半導体312Pの半導体チップ304側の端部には、アルミパッド324及び外部電極352が形成され、柱状電極350を介して第1導体層316が形成されている。実装基板302側の端部には、第2導体層334が形成されている。また、第2導体層334及びバリアメタル332は、外部電極315形成部を除いて、ソルダーレジストで被覆されている。
【0044】
上述した第1及び第2実施例と同様に、N型半導体312Nとしては、アンチモン・テルル(Sb2Te3)を使用することができ、P型半導体312Pとしては、ビスマス・テルル(Bi2Te3)を使用することができる。N型半導体312N及びP型半導体312Pは、スパッタリング法や蒸着法により形成することができる。また、スキージ法により穴埋めし、焼結等で形成することも可能である。
【0045】
第2導体層334は、UBM(Ni−Au層)膜335と外部電極315を介して実装基板302に接続される。上述したように、半導体チップ304の発熱部(集積回路形成面)304a上には第1導体層316が形成(被覆)されている。第1導体層316上には柱状電極350が形成され、外部電極352を介して、N型半導体312N及びP型半導体312Pにそれぞれ接続されている。なお、シリコンインターポーザ306の第1導体層324は、外部電極352を介して柱状電極350に接続されている。柱状電極は樹脂封止(344)されている。
【0046】
図10において、電流の流れる方向は、外部電極315→導体層314→N型半導体312N→第1導体層316→P型半導体312P→導体層314→外部電極315であり、外部電源によって閉回路を形成している。
【0047】
一方、熱の流れるルート(冷却ルート)に関し、集積回路304で発生した熱は、第1導体層316、P型半導体312P及びN型半導体312Nを経由し、導体層314に達する。そして、導体層314で放熱現象が起こる。導体層314で生じる放熱現象は、主に外部電極315を経由する実装基板302への熱伝導である。
【0048】
本実施例によれば、半導体チップ304の発熱部(集積回路形成面304a)をカバーする第1導体層316と、N型半導体312N及びP型半導体312Pを含むペルチェ素子と、実装基板302の直流電源系が閉回路を形成し、ペルチェ効果が発動して効果的な放熱が可能となる。なお、半導体チップ304の集積回路形成面304aを再配線するための再配線層(図示せず)とペルチェ素子構造の第1導体層316とは、同一レベルの層に形成され、同一工程で形成可能であるが、これらの層間に電気的な接続は存在しない。
【0049】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において変更可能なものである。

【符号の説明】
【0050】
12,106,206,306:シリコンインターポーザ、
14,104,204,304:半導体チップ、
100,200,300:半導体装置。
102,202,302:実装基板
104a,204a,304a:集積回路形成面
112N,212N,312N:N型半導体
112P,212P,312P:P型半導体
116,216,316:第1導体層
134,242,334:第2導体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と当該第1の面と反対の第2の面とを有するシリコンインターポーザと;
前記シリコンインターポーザの第1の面側に搭載された複数の半導体チップとを備え、
前記シリコンインターポーザには、前記第1及び第2の面に渡る複数の貫通孔が設けられ、
前記貫通孔には、ペルチェ素子を構成するN型半導体及びP型半導体が各々形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体チップと前記N型半導体及びP型半導体との間に配置された第1の導体層と;
前記シリコンインターポーザの前記第2の面に形成され、前記N型半導体及びP型半導体と導通する外部電極とを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記N型半導体及びP型半導体と前記外部電極との間に形成された第2の導体層を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップを封止する封止樹脂層を更に備え、
前記封止樹脂には、前記第1の導体層と導通する貫通電極が形成され、
前記貫通電極が外部端子を介して実装基板に導通し、
前記第2の導体層が外部に対して露出することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップの発熱部が吸熱作用を生じる再配線層によって被覆され、
前記再配線層は、前記第1の導体層に導通していることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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