説明

半導体試料の検査装置

【課題】半導体試料のグラウンドと電気特性測定手段のグラウンドとの間の電位差に揺らぎが生じる場合でも、当該電位差の揺らぎに起因するノイズの発生を確実に抑制することが可能な半導体試料の検査装置を提供すること。
【解決手段】半導体試料の検査装置IE1は、半導体試料Sに定電圧を印加する定電圧源9と、半導体試料Sの電気特性を測定する電気特性測定部11と、電気特性測定部11に入力される信号に、外部電源装置41に接続される半導体試料Sのグラウンド(サンプルグラウンドG1)と定電圧源9のグラウンド(検出回路グラウンドG2)との電位差を逆相にして加算する逆相加算部33と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体試料の検査装置、特に、OBIRCH(Optical Beam Induced Resistance Change)法を用いた半導体試料の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部電源装置に接続される半導体試料にレーザビームを走査して照射し、レーザビームの照射に伴う半導体試料の電気特性変化を測定し、電気特性変化に基づいて半導体試料の欠陥箇所を検査する半導体試料の検査装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されている半導体試料の検査装置は、半導体試料に定電圧を印加する電源と、半導体試料の電気特性を測定する電気特性測定手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−300824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている半導体試料の検査装置は、以下のような問題点を有している。
【0005】
OBIRCH法を用いた半導体試料の検査装置では、半導体試料を動作させた状態で検査を行うことがある。この場合、半導体試料に外部電源装置(たとえば、半導体素子テスタ、安定化電源、ファンクションジェネレータ、又はパルスジェネレータなど)を接続した状態で、検査が行われる。本発明者等の調査研究の結果、上述した外部電源装置が半導体試料に接続されている状態では、半導体試料のグラウンドと電気特性測定手段のグラウンドとの間の電位差に揺らぎが生じ、この電位差の揺らぎがノイズとして電気特性測定手段に混入することが新たに判明した。
【0006】
半導体試料と電気特性測定手段とは、信号線により電気的に接続されている。この信号線が有するインピーダンスの影響で、半導体試料のグラウンドと電気特性測定手段のグラウンドとが分離されてしまう。このため、外部電源装置のグラウンドノイズが、半導体試料のインピーダンスを通して電気特性測定手段に混入することとなる。この外部電源装置のグラウンドノイズの混入が、上述した電位差の揺らぎとなり、電気特性測定手段に混入する。半導体試料と電気特性測定手段とが、メートルオーダーの同軸ケーブルで接続されている場合、半導体試料のグラウンドと電気特性測定手段のグラウンドとの間の電位差には、数μV程度の揺らぎが生じることが判明した。
【0007】
半導体試料のグラウンドと電気特性測定手段のグラウンドとの間の電位差の揺らぎは、半導体試料、電気特性測定手段、及び外部電源装置の各グラウンドを共通化することで抑制することは可能ではある。しかしながら、半導体試料と電気特性測定手段とを接続する信号線が有するインピーダンスが存在するため、上述した電位差の揺らぎは、依然として残る。また、半導体試料、電気特性測定手段、及び外部電源装置の各グラウンドを共通化した場合でも、これらのグラウンドの電位を同一にすることは不可能である。特に、外部電源装置と半導体試料の検査装置とは、別構成とされ、グラウンドもそれぞれ独自に設定されていることが一般的である。
【0008】
上述した電位差の揺らぎに起因するノイズの影響を抑えるため、測定時間を長くして、電位差の揺らぎを平均化することが考えられる。しかしながら、この場合には、測定時間が長くなることにより、検査工程のターンアラウンドタイム(TAT)が長くなってしまう懼れがある。半導体試料に照射するレーザビームの強度を高くすることにより、SN比を改善して、上述した電位差の揺らぎに起因するノイズの影響を抑えることも考えられる。しかしながら、この場合には、レーザビームの強度が高いために、半導体試料を破壊してしまう懼れがある。
【0009】
本発明は、半導体試料のグラウンドと電気特性測定手段のグラウンドとの間の電位差に揺らぎが生じる場合でも、当該電位差の揺らぎに起因するノイズの発生を確実に抑制することが可能な半導体試料の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、外部電源装置に接続される半導体試料にレーザビームを走査して照射し、該レーザビームの照射に伴う半導体試料の電気特性変化を測定し、該電気特性変化に基づいて半導体試料の欠陥箇所を検査する半導体試料の検査装置であって、半導体試料に定電圧を印加する又は定電流を供給する電源と、半導体試料の電気特性を測定する電気特性測定手段と、電気特性測定手段に入力される信号及び電気特性測定手段から出力される信号のいずれか一方の信号に、外部電源装置に接続される半導体試料のグラウンドと電源のグラウンドとの電位差を逆相にして加算する逆相加算手段と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る半導体試料の検査装置では、逆相加算手段により、電気特性測定手段に入力される信号及び電気特性測定手段から出力される信号のいずれか一方の信号に、外部電源装置に接続される半導体試料のグラウンドと電源のグラウンドとの電位差が逆相とされて加算される。これにより、半導体試料のグラウンドと電気特性測定手段のグラウンドとの間の電位差に揺らぎが生じる場合でも、当該電位差の揺らぎがキャンセルされることとなり、ノイズの発生を確実に抑制することができる。
【0012】
本発明では、半導体試料のグラウンドと電気特性測定手段のグラウンドとの間の電位差の揺らぎがキャンセルされることにより、ノイズの発生が抑制されている。したがって、ノイズの影響を抑えるために、測定時間を長く設定する必要がなく、また、レーザビームの強度を高める必要もない。
【0013】
電源が、定電圧を印加する定電圧源であり、電気特性測定手段が、入力される電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換器を有し、逆相加算手段は、電流電圧変換器の前段に設けられていてもよい。この場合には、電源として定電圧源が用いられている場合でも、半導体試料の電気特性変化として電流変化をノイズの影響を抑制しつつ測定することができる。逆相加算手段が、電流電圧変換器の前段に設けられているので、電流電圧変換器にて信号が増幅される前に上述した電位差の揺らぎがキャンセルされ、ノイズの発生をより一層確実に抑制することができる。
【0014】
電源が、定電流を供給する定電流源であり、電気特性測定手段が、入力される電圧信号を増幅して出力する電圧増幅器を有し、逆相加算手段は、電圧増幅器の前段に設けられていてもよい。この場合には、電源として定電流源が用いられている場合でも、半導体試料の電気特性変化として電圧変化をノイズの影響を抑制しつつ測定することができる。逆相加算手段が、電圧増幅器の前段に設けられているので、電圧増幅器にて信号が増幅される前に上述した電位差の揺らぎがキャンセルされ、ノイズの発生をより一層確実に抑制することができる。
【0015】
逆相加算手段が、外部電源装置に接続される半導体試料のグラウンドと電源のグラウンドとの電位差を逆相にする逆相増幅器と、逆相増幅器からの出力を加算する加算器と、を有していてもよい。この場合、外部電源装置に接続される半導体試料のグラウンドと電源のグラウンドとの電位差を逆相にして加算する逆相加算手段の構成を簡易且つ低コストにて実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、半導体試料のグラウンドと電気特性測定手段のグラウンドとの間の電位差に揺らぎが生じる場合でも、当該電位差の揺らぎに起因するノイズの発生を確実に抑制することが可能な半導体試料の検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る半導体試料の検査装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】半導体試料、加算部、及び電流電圧変換部を説明するための概略図である。
【図3】本実施形態の変形例に係る半導体試料の検査装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図4】半導体試料、加算部、及び電圧増幅部を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0019】
図1及び図2を参照して、本実施形態に係る半導体試料の検査装置IE1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る半導体試料の検査装置の構成を示す概略ブロック図である。図2は、半導体試料、逆相加算部、及び電流電圧変換部を説明するための概略図である。
【0020】
半導体試料の検査装置IE1は、OBIRCH法を用いた検査装置であって、図1に示されるように、レーザ発生源1、レーザ走査部3、顕微鏡5、試料台7、定電圧源9、電気特性測定部11、システム制御部13、及びモニタ15を備えている。
【0021】
レーザ発生源1は、レーザ光を発生させ、出射する。レーザ走査部3は、レーザ発生源1から出射されたレーザ光の光路上に配置されており、レーザ光が入射する。レーザ走査部3は、入射したレーザ光を所定の方向に走査する。レーザ走査部3は、たとえば、入射方向に直交する二次元方向にラスタスキャン(raster scan)させる。顕微鏡5は、走査されたレーザ光を微小スポット径に集束させる。試料台7は、半導体試料S(たとえば、半導体集積回路など)が載置される。試料台7に載置された半導体試料Sは、顕微鏡5の焦点位置に、位置決めがなされる。
【0022】
定電圧源9は、半導体試料Sに所定の定電圧を印加する。定電圧源9は、信号線21を介して試料台7に接続されており、試料台7の配線を通して半導体試料Sの電源端子と電気的に接続されている。試料台7に載置された半導体試料Sのグラウンド端子Sは、試料台7のグラウンド配線7a及びグラウンド端子7b、並びにグラウンド線23を介して定電圧源9のグラウンド端子と電気的に接続されている。
【0023】
半導体試料Sのグラウンド端子Sは、試料台7のグラウンド配線7a及びグラウンド端子7cを介して、試料台7のグラウンド(サンプルグラウンド)G1に接続されている。定電圧源9は、グラウンド(検出回路グラウンド)G2に接続されている。
【0024】
電気特性測定部11は、半導体試料Sの電気特性を測定する。本実施形態では、半導体試料Sの電気特性として、電流を測定する。電気特性測定部11は、信号線25を介して試料台7に接続されており、試料台7の配線を通して半導体試料Sの所定の端子と電気的に接続されている。信号線25は、たとえば同軸ケーブルが用いられる。図2に示されるように、同軸ケーブル(信号線25)の外部導体(シールド層)の一端側は、サンプルグラウンドG1に接続されており、同軸ケーブルの外部導体の他端側は、検出回路グラウンドG2に接続されている。
【0025】
電気特性測定部11は、図2に示されるように、電流電圧変換器31を有している。電流電圧変換器31は、入力された電流信号を一旦増幅した後に、電圧信号に変換する。電気特性測定部11(電流電圧変換器31)は、定電圧源9と同じく、グラウンド(検出回路グラウンド)G2に接続されている。
【0026】
システム制御部13は、制御線27を介して、レーザ走査部3、定電圧源9、及び電気特性測定部11に接続されている。システム制御部13は、モニタ15にも接続されている。
【0027】
本実施形態では、検査装置IE1に、外部電源装置41が接続されている。外部電源装置41は、半導体試料Sを所望の動作状態とするものであり、信号線43を介して試料台7に接続されており、試料台7の配線を通して半導体試料Sの所定の端子と電気的に接続されている。試料台7に載置された半導体試料Sのグラウンド端子Sは、試料台7のグラウンド配線7a及びグラウンド端子7d、並びにグラウンド線45を介して、外部電源装置41のグラウンド端子と電気的に接続されている。外部電源装置41は、グラウンド(外部電源装置グラウンド)G3に接続されている。外部電源装置41は、たとえば、LSIテスタなどの半導体素子テスタ、安定化電源、ファンクションジェネレータ、又はパルスジェネレータなどが用いられる。
【0028】
検査装置IE1では、レーザ発生源1から出射されたレーザ光は、レーザ走査部3で走査されると共に顕微鏡5で集光されて、レーザビームとして半導体試料Sの表面の微細部分に照射される。レーザ走査部3による走査は、システム制御部13によって制御される。
【0029】
半導体試料Sには、定電圧源9により、所定の電圧が印加されており、半導体試料Sの回路内には所定の電流が流れている。半導体試料Sにおけるレーザビームが照射されている箇所では、レーザビームの吸収に伴い、その温度が上昇し、抵抗率が変化する。このため、半導体試料Sを流れる電流値が変化する。ボイドなどの欠陥がある箇所では、熱伝導が悪い。したがって、こうした箇所にレーザビームが照射された場合は、熱が周囲に逃げ難いために、欠陥がある箇所では温度上昇が大きい。これにより、所定の電圧が印加された半導体試料Sの欠陥箇所では、温度上昇に伴って抵抗率変化が増加し、電流値の変化も大きい。
【0030】
電気特性測定部11(電流電圧変換器31)では、検出された電流が一旦増幅された後に電圧に変換される。変換された電圧値に相当する検出信号(電圧信号)が電流電圧変換器31からシステム制御部13に送られる。システム制御部13は、順次検出信号として得られた電圧値の差を輝度情報に変換してレーザビーム照射位置に対応して並べられた画像情報をモニタ15に表示する。これにより、半導体試料Sの欠陥箇所を画像で確認できる。信号線21、グラウンド線23、及び信号線25の長さは、たとえば、1m以上である。
【0031】
OBIRCH法を用いた検査装置の構成及び動作は、当該技術分野では既知であり(たとえば、上述した特許文献1や、本願出願人による国際公開第2004/065972号パンフレットなどに記載されている。)、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0032】
ところで、本実施形態に係る検査装置IE1は、図1及び図2に示されるように、逆相加算部33を備えている。逆相加算部33は、逆相増幅器35と、加算器37と、を有しており、電流電圧変換器31の前段に設けられている。
【0033】
逆相増幅器35には、反転入力端子にサンプルグラウンドG1が接続され、非反転入力端子に検出回路グラウンドG2が接続される。すなわち、逆相増幅器35には、半導体試料Sのグラウンドの電圧と、定電圧源9のグラウンドの電圧と、が入力されている。逆相増幅器35は、半導体試料Sのグラウンド電圧と定電圧源9のグラウンド電圧との電位差を増幅し且つ逆相として出力する。
【0034】
加算器37は、信号線25に挿入されている。これにより、逆相増幅器35からの出力が電流電圧変換器31に入力される信号に加算されることとなる。すなわち、逆相加算部33(逆相増幅器35及び加算器37)により、電流電圧変換器31に入力される信号に、半導体試料Sのグラウンド電圧と定電圧源9のグラウンド電圧との電位差が逆相とされて加算されることとなる。
【0035】
以上のように、本実施形態では、半導体試料SのサンプルグラウンドG1と電気特性測定部11(電流電圧変換器31)の検出回路グラウンドG2との間の電位差に揺らぎ(たとえば、数μV程度の揺らぎ)が生じる場合でも、当該電位差の揺らぎが逆相加算部33(逆相増幅器35及び加算器37)によりキャンセルされることとなる。この結果、検査装置IE1においては、上述した電位差の揺らぎに起因するノイズの発生を確実に抑制することができる。
【0036】
そして、本実施形態では、半導体試料SのサンプルグラウンドG1と電気特性測定部11(電流電圧変換器31)の検出回路グラウンドG2との間の電位差の揺らぎがキャンセルされることにより、ノイズの発生が抑制されている。したがって、検査装置IE1では、ノイズの影響を抑えるために、測定時間を長く設定する必要がなく、また、レーザビームの強度を高める必要もない。
【0037】
本実施形態では、検査装置IE1が電源として定電圧源9を備え、電気特性測定部11が電流電圧変換器31を有し、逆相加算部33(加算器37)が電流電圧変換器31の前段に設けられている。これにより、まず、電源として定電圧源9が用いられている場合でも、検査装置IE1は、半導体試料Sの電気特性変化として電流変化をノイズの影響を抑制しつつ測定することができる。そして、逆相加算部33(加算器37)が電流電圧変換器31の前段に設けられているので、電流電圧変換器31にて信号が増幅される前に上述した電位差の揺らぎがキャンセルされることとなる。この結果、検査装置IE1では、上述した電位差の揺らぎに起因するノイズの発生をより一層確実に抑制することができる。
【0038】
本実施形態では、逆相加算部33が、逆相増幅器35と、加算器37と、を有している。これにより、逆相加算部33の構成を簡易且つ低コストにて実現することができる。
【0039】
続いて、図3及び図4を参照して、変形例に係る半導体試料の検査装置IE2の構成を説明する。図3は、変形例に係る半導体試料の検査装置の構成を示す概略ブロック図である。図4は、半導体試料、逆相加算部、及び電流電圧変換部を説明するための概略図である。
【0040】
変形例に係る検査装置IE2も、OBIRCH法を用いた検査装置であって、図3に示されるように、レーザ発生源1、レーザ走査部3、顕微鏡5、試料台7、定電流源51、電気特性測定部11、システム制御部13、モニタ15、及び逆相加算部33を備えている。検査装置IE2は、図3に示されるように、定電圧源9の代わりに、所定の定電流を供給する定電流源51を備えている。電気特性測定部11は、図4に示されるように、電流電圧変換器31の代わりに、電圧増幅器53を有している。検査装置IE2は、レーザビームの照射に伴う半導体試料Sの電気特性変化として電圧変化を測定し、当該電圧変化に基づいて半導体試料Sの欠陥箇所を検査する点で、検査装置IE1と相違する。
【0041】
本変形例においても、半導体試料SのサンプルグラウンドG1と電気特性測定部11(電流電圧変換器31)の検出回路グラウンドG2との間の電位差に揺らぎが生じる場合でも、当該電位差の揺らぎが逆相加算部33(逆相増幅器35及び加算器37)によりキャンセルされることとなる。この結果、検査装置IE2においては、上述した電位差の揺らぎに起因するノイズの発生を確実に抑制することができる。また、検査装置IE2でも、ノイズの影響を抑えるために、測定時間を長く設定する必要がなく、また、レーザビームの強度を高める必要もない。
【0042】
本実施形態では、検査装置IE2が電源として定電流源51を備え、電気特性測定部11が電圧増幅器53を有し、逆相加算部33(加算器37)が電流電圧変換器31の前段に設けられている。これにより、まず、電源として定電流源51が用いられている場合でも、検査装置IE2は、半導体試料Sの電気特性変化として電流変化をノイズの影響を抑制しつつ測定することができる。そして、逆相加算部33(加算器37)が電圧増幅器53の前段に設けられているので、電流電圧変換器31にて信号が増幅される前に上述した電位差の揺らぎがキャンセルされることとなる。この結果、検査装置IE2においても、上述した電位差の揺らぎに起因するノイズの発生をより一層確実に抑制することができる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0044】
本実施形態及び変形例では、外部電源装置41に接続される半導体試料Sのグラウンドの電圧として、サンプルグラウンドG1の電圧が逆相加算部33(逆相増幅器35)に入力されているが、これに限られない。たとえば、半導体試料Sのグラウンドの電圧として、グラウンド端子Sの電圧が逆相加算部33(逆相増幅器35)に直接入力されてもよく、グラウンド端子7b〜7dの電圧が逆相加算部33(逆相増幅器35)に直接入力されていてもよい。
【0045】
本実施形態及び変形例では、逆相加算部33(加算器37)が電流電圧変換器31の前段に設けられているが、これに限られない。たとえば、逆相加算部33(加算器37)が電流電圧変換器31の後段に設けられていてもよい。ただし、ノイズの発生をより一層確実に抑制するためには、逆相加算部33(加算器37)が電流電圧変換器31の前段に設けられていることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、OBIRCH法を用いた半導体試料の検査装置に利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1…レーザ発生源、3…レーザ走査部、5…顕微鏡、7…試料台、7b〜7d…グラウンド端子、9…定電圧源、11…電気特性測定部、13…システム制御部、25…信号線、31…電流電圧変換器、33…逆相加算部、35…逆相増幅器、37…加算器、41…外部電源装置、51…定電流源、53…電圧増幅器、G1…サンプルグラウンド、G2…検出回路グラウンド、G3…外部電源装置グラウンド、IE1,IE2…検査装置、S…半導体試料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源装置に接続される半導体試料にレーザビームを走査して照射し、該レーザビームの照射に伴う半導体試料の電気特性変化を測定し、該電気特性変化に基づいて半導体試料の欠陥箇所を検査する半導体試料の検査装置であって、
半導体試料に定電圧を印加する又は定電流を供給する電源と、
半導体試料の電気特性を測定する電気特性測定手段と、
前記電気特性測定手段に入力される信号及び前記電気特性測定手段から出力される信号のいずれか一方の信号に、外部電源装置に接続される半導体試料のグラウンドと前記電源のグラウンドとの電位差を逆相にして加算する逆相加算手段と、を備えていることを特徴とする半導体試料の検査装置。
【請求項2】
前記電源が、定電圧を印加する定電圧源であり、
前記電気特性測定手段が、入力される電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換器を有し、
前記逆相加算手段は、前記電流電圧変換器の前段に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体試料の検査装置。
【請求項3】
前記電源が、定電流を供給する定電流源であり、
前記電気特性測定手段が、入力される電圧信号を増幅して出力する電圧増幅器を有し、
前記逆相加算手段は、前記電圧増幅器の前段に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体試料の検査装置。
【請求項4】
前記逆相加算手段が、外部電源装置に接続される半導体試料のグラウンドと前記電源のグラウンドとの電位差を逆相にする逆相増幅器と、前記逆相増幅器からの出力を加算する加算器と、を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体試料の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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