半導体試験装置及びその調整方法
【課題】高精度のタイミング調整が可能であり、且つ短時間でタイミング調整を行うことができる半導体試験装置及びその調整方法を提供する。
【解決手段】半導体試験装置1は、半導体試験装置本体2、複数の交換可能な調整用治具3a、及び切替装置4を備える。上記の半導体試験装置本体2は、被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を出力する複数のドライバピンブロック11a〜11nと、被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を出力するとともに信号入出力ピンから出力される信号を測定する複数のIOピンブロック12a〜12nとを備える。上記の調整用治具3aは、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34n並びにIOピンブロック12a〜12nの信号出力端子44a〜44n及び及び信号入力端子45a〜45nを所定の接続状態にする。
【解決手段】半導体試験装置1は、半導体試験装置本体2、複数の交換可能な調整用治具3a、及び切替装置4を備える。上記の半導体試験装置本体2は、被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を出力する複数のドライバピンブロック11a〜11nと、被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を出力するとともに信号入出力ピンから出力される信号を測定する複数のIOピンブロック12a〜12nとを備える。上記の調整用治具3aは、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34n並びにIOピンブロック12a〜12nの信号出力端子44a〜44n及び及び信号入力端子45a〜45nを所定の接続状態にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験デバイスの試験を行う半導体試験装置及びその調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スキュー(skew)とは複数の伝送系において同一の信号を伝送する際に、その信号間に生ずる位相又は時間的な振幅の期待値からのずれをいう。半導体試験装置においては、上記スキューとして、被試験デバイスの試験に用いる信号がドライバを通過する際にドライバを形成する素子の特性誤差及び回路誤差により生ずるドライバスキュー、及び、被試験デバイスから出力された信号がコンパレータを通過する際に生じるコンパレータスキュー等がある。スキューが生じていると被試験デバイスの試験が正常に行われないことがあるため、半導体試験装置においては、定期又は不定期にスキュー調整が行われる。
【0003】
図9は、従来の半導体試験装置の要部構成を示す図である。尚、図9においては、半導体試験装置100の被試験デバイス(図示省略)とのインターフェイス部に、スキューを調整するための調整用治具200及び切替装置300が配置されている状態を図示している。図9に示す通り、従来の半導体試験装置100は、複数のドライバピンブロック101a〜101m、複数のIO(Input/Output)ピンブロック102a〜102n、調整用ピンブロック103、基準ドライバ信号発生部104、及び制御装置105を備えている。
【0004】
ドライバピンブロック101a〜101mは、被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を生成して信号出力端子114a〜114mからそれぞれ出力するものである。尚、被試験デバイスがメモリである場合には、上記の信号入力ピンは例えばアドレスピンに相当する。ドライバピンブロック101a〜101mは、ドライバ信号発生回路111、可変遅延回路112、及び駆動回路(ドライバ)113を備える。尚、図9においては、図示の都合上、ドライバピンブロック101aの内部構成のみを図示しているが、他のドライバピンブロック101b〜101mの内部構成も同様である。
【0005】
ドライバ信号発生回路111は、パターン発生部(図示省略)から出力される試験パターンを用いてドライバ信号A10aを生成する。可変遅延回路112は、制御装置105から出力される可変遅延量データD10aに応じた時間だけドライバ信号A10aを遅延させる。駆動回路113は、可変遅延回路112からのドライバ信号を信号出力端子に出力する。尚、ドライバピンブロック101b〜101mには、制御装置105から出力される可変遅延量データD10b〜D10mがそれぞれ入力される。
【0006】
IOピンブロック102a〜102nは、被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を生成して信号出力端子124a〜124nからそれぞれ出力するとともに、被試験デバイスの信号入出力ピンから出力されて信号入力端子125a〜125nから入力される信号をそれぞれ測定するものである。尚、被試験デバイスがメモリである場合には、上記の信号入出力ピンは例えばデータピンに相当する。IOピンブロック102a〜102nは、ドライバ信号発生回路121、可変遅延回路122、駆動回路(ドライバ)123、電圧比較回路(コンパレータ)126、論理比較器127、タイミング発生回路128、可変遅延回路129、及び抵抗130を備える。尚、図9においては、図示の都合上、IOピンブロック102aの内部構成のみを図示しているが、他のIOピンブロック102b〜102nの内部構成も同様である。
【0007】
ドライバ信号発生回路121、可変遅延回路122、及び駆動回路123は、ドライバピンブロック101a〜101mに設けられたドライバ信号発生回路111、可変遅延回路112、及び駆動回路113とそれぞれ同様のものである。尚、ドライバ信号発生回路121から出力されるドライバ信号A20aの可変遅延回路122における遅延量は、制御装置105から出力される可変遅延量データD20aに基づいて設定される。
【0008】
電圧比較回路126は、信号入力端子から入力される信号を所定の電圧と比較する。論理比較器127は、可変遅延回路129から出力される判定ストロボ信号B21aのタイミングで、電圧比較回路126から出力される信号の電圧と所定の判定電圧値とを比較し、その結果(パス又はフェイル)を示す信号を判定信号F20aとして制御装置105に出力する。タイミング発生回路128は、被試験デバイスから出力される信号のパス/フェイルを判定するタイミングを規定する判定ストロボパルスB20aを生成する。可変遅延回路129は、制御装置105から出力される可変遅延量データD21aに応じた時間だけ判定ストロボパルスB20aを遅延させて判定ストロボ信号B21aとして出力する。抵抗130は、信号入力端子を終端するものであり、一端が信号入力端子(電圧比較回路126の入力端)に接続され、他端が所定の終端電圧が供給される電圧供給線に接続されている。
【0009】
尚、IOピンブロック102b〜102nには、制御装置105から出力される可変遅延量データD20b〜D20nがそれぞれ入力されるとともに、可変遅延量データD21b〜D21nがそれぞれ入力される。また、IOピンブロック102b〜102nの各々から出力される判定信号F20b〜F20nは、制御装置105に入力される。
【0010】
調整用ピンブロック103は、ドライバピンブロック101a〜101m及びIOピンブロック102a〜102nで生ずるスキュー(ドライバスキュー及びコンパレータスキュー)を調整するために、信号入力端子135から入力される信号を測定するものである。この調整用ピンブロック103は、電圧比較回路131、論理比較器132、タイミング発生回路133、可変遅延回路134、及び抵抗136を備える。調整用ピンブロック103に設けられるこれらの構成は、IOピンブロック102a〜102nに設けられる電圧比較回路126、論理比較器127、タイミング発生回路128、可変遅延回路129、及び抵抗130とそれぞれ同様のものである。尚、タイミング発生回路133から出力される判定ストロボパルスB30の可変遅延回路134における遅延量は、制御装置105から出力される可変遅延量データD30に基づいて設定される。また、論理比較器132における比較の結果を示す信号は、判定信号F30として制御装置105に出力される。
【0011】
基準ドライバ信号発生部104は、基準ドライバ信号発生回路141、駆動回路142、及び抵抗143を備えており、ドライバピンブロック101a〜101m及びIOピンブロック102a〜102nで生ずるスキュー(ドライバスキュー及びコンパレータスキュー)を調整するときに用いる基準ドライバ信号A30を生成する。駆動回路142の出力端は端子144に接続されている。また、抵抗143は、一端が端子145に接続され、他端が所定の終端電圧が供給される電圧供給線に接続されている。
【0012】
制御装置105は、半導体試験装置100の動作を統括的に制御する。具体的には、可変遅延量データD10a〜D10nを調整してドライバピンブロック101a〜101mの各々から出力されるドライバ信号のタイミングを制御するとともに、可変遅延量データD20a〜D20nを調整してIOピンブロック102a〜102nの各々から出力されるドライバ信号のタイミングを制御する。また、可変遅延量データD21a〜D21nを調整して、IOピンブロック102a〜102nの各々におけるパス/フェイルの判定タイミングを制御するとともに、可変遅延量データD30を調整して、調整用ピンブロック103におけるパス/フェイルの判定タイミングを制御する。
【0013】
尚、制御装置105は、IOピンブロック102a〜102nの各々から出力される判定信号F20a〜F20n又は調整用ピンブロック103から出力される判定信号F30の値に応じて、ドライバピンブロック101a〜101mに対する可変遅延量データD10a〜D10m、IOピンブロック102a〜102nに対する可変遅延量データD20a〜D20n,D21a〜D21n、又は調整用ピンブロック103に対する可変遅延量データD30を調整することもある。また、制御装置105は、切替装置300の制御も行う。
【0014】
調整用治具200は、半導体試験装置100のインターフェイス部に対して着脱自在に設けられる。この調整用治具200は、半導体試験装置100のインターフェイス部に取り付けられた場合には、ドライバピンブロック101a〜101mの信号出力端子114a〜114m、IOピンブロック102a〜102nの信号出力端子124a〜124n及び信号入力端子125a〜125n、調整用ピンブロック103の信号入力端子135、並びに基準ドライバ信号発生部104の信号出力端子144及び信号入力端子145を所定の接続状態にする。
【0015】
具体的には、ドライバピンブロック101aの信号出力端子114aが調整用治具200に設けられた接触用金座201aに一対一で接続される状態にする。ドライバピンブロック101b〜101mについても同様に、信号出力端子114b〜114mが調整用治具200に設けられた接触用金座201b〜201mに一対一で接続される状態にする。また、IOピンブロック102aの信号出力端子124a及び信号入力端子125aが共に調整用治具200に設けられた接触用金座202aに接続される状態にする。IOピンブロック102b〜102nについても同様に、信号出力端子124b〜124n及び信号出力端子125b〜125nが共に調整用治具200に設けられた接触用金座202b〜202nにそれぞれ接続される状態にする。また、調整用治具200は、切替装置300の信号出力端302と調整用ピンブロック103の信号入力端子135とが接続される状態にする。更に、基準ドライバ信号発生部104の信号出力端子144及び信号入力端子145が共に調整用治具200に設けられた接触用金座203に接続される状態にする。
【0016】
切替装置300は、移動可能に構成された接触端子301と、接触端子301に電気的に接続された信号出力端302とを備えており、信号出力端302と電気的に接続される接触用金座を切り替えるものである。つまり、接触端子301を接触用金座201a〜201m,202a〜202n,203の何れに接触させるかによって、信号出力端302と電気的に接続される接触用金座が切り替わる。接触端子301を接触用金座201a〜201m,202a〜202n,203の何れに接触させるかは、半導体試験装置100の制御装置105によって制御される。尚、ここでは、移動可能な1つの接触端子301を備える場合を例に挙げて説明するが、切替装置300は接触用金座201a〜201m,202a〜202n,203の各々に接触する複数の接触端子を設け、リレー等によって信号出力端302と電気的に接続される接触端子を切り替える構成のものであっても良い。
【0017】
次に、従来の半導体試験装置の調整方法について説明する。図10は、従来の半導体試験装置の調整方法を示すフローチャートである。処理が開始されると、まず制御装置105は、予めユーザによって作成された調整手順を示す調整手順データを読み込む(ステップS101)。次に、制御装置105は、読み込んだ調整手順データに従って、基準ドライバ信号発生部104から出力される基準ドライバ信号A30を用いて、調整用ピンブロック103における判定ストロボ信号B31のタイミング調整を行う(ステップS102)。
【0018】
具体的には、制御装置105が切替装置300を制御して、接触端子301を調整用治具200の接触用金座203に接触させる。これにより、基準ドライバ信号発生部104の基準ドライバ信号発生回路141から出力された基準ドライバ信号A30は、駆動回路142、信号出力端子144、及び接触用金座203を順に介して切替装置300に入力される。尚、調整用治具200により、駆動回路142の出力端(信号出力端子144)は抵抗143で終端される。切替装置300に入力された基準ドライバ信号A30は、信号出力端302から出力されて調整用ピンブロック103に入力される。尚、調整用ピンブロック103の信号入力端子135は抵抗136によって終端されている。
【0019】
基準ドライバ信号A30が調整用ピンブロック103に入力されると、電圧比較回路131で所定の電圧と比較され、その比較結果を示す信号が電圧比較回路131から論理比較器132に入力される。論理比較器132は、入力される判定ストロボ信号B31のタイミングで、電圧比較回路131からの信号の電圧と所定の判定電圧値とを比較し、その結果(パス又はフェイル)を示す信号を判定信号F30として制御装置105に出力する。制御装置105は、入力される判定信号F30を参照しつつ可変遅延量データD30を調整して可変遅延回路134における遅延量を制御し、判定信号F30がフェイル(H(ハイ))からパス(L(ロー))に変化するときの可変遅延量データD30の値を求める。以上の処理によって、判定ストロボ信号B31のタイミング調整が行われる。
【0020】
次に、制御装置105は、調整手順データで規定された調整手順を全て実行して調整が終了したか否かを判断する(ステップS103)。調整が終了していないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、制御装置105は、切替装置300を制御して調整対象のピンブロックが接続された接触用金座に接触端子301を接触させる(ステップS104)。例えば、調整対象のピンブロックがドライバピンブロック101aであるとすると、制御装置105は、切替装置300を制御して接触端子301を調整用治具200に設けられた接触用金座201aに接触させる。
【0021】
次いで、制御装置105は、ステップS102でタイミング調整を行った調整用ピンブロックを用いて、調整対象のピンブロックの調整を行う(ステップS105)。ここで、ドライバピンブロック101aが調整対象であるとすると、ドライバピンブロック101aの信号出力端子114aから出力されたドライバ信号が、接触用金座201aを介して切替装置300に入力される。尚、駆動回路113の出力端(信号出力端子114a)は終端されておらず開放端となっている。
【0022】
切替装置300に入力されたドライバ信号は、信号出力端302から出力されて調整用ピンブロック103に入力される。このドライバ信号は、調整用ピンブロック103の電圧比較回路131を介して論理比較器132に入力され、タイミング調整が行われた判定ストロボ信号B31のタイミングで所定の判定電圧値との比較が行われ、その結果(パス又はフェイル)を示す信号が判定信号F30として制御装置105に出力される。制御装置105は、入力される判定信号F30を参照しつつドライバピンブロック101aに与える可変遅延量データD10aを調整してドライバピンブロック101aから出力されるドライバ信号のタイミングを制御し、調整用ピンブロック103から出力される判定信号F30が変化したときにドライバピンブロック101aに与えている可変遅延量データD10aの値を求める。以上の処理によって、ドライバピンブロック101aのタイミング調整が行われる。
【0023】
次に、制御装置105は、調整対象のピンブロックを変更する。例えば、ドライバピンブロック101bを調整対象とする。そして、調整手順データで規定された調整手順を全て実行して調整が終了したか否かを判断し(ステップS103)、調整が終了していないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、上記と同じ手順でドライバピンブロック101bの調整を行う。尚、ここでは、ドライバピンブロックの調整について説明するが、IOピンブロック102a〜102nから出力されるドライバ信号のタイミング調整も同様の手順で行われる。
【0024】
調整手順データで規定される調整対象の全てについて、以上説明した調整が行われると、ステップS103の判断結果が「YES」となって一連の処理が終了する。尚、従来の半導体試験装置及びその調整方法の詳細については、例えば以下の特許文献1を参照されたい。
【特許文献1】特開2003−315411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
ところで、図9に示す通り、半導体試験装置100に設けられたドライバピンブロック101a〜101mの出力端(信号出力端子114a〜114m)は終端されておらず開放端となっている。これに対し、IOピンブロック102a〜102nの出力端(信号出力端子124a〜124n)は、調整用治具200によって信号入力端子125a〜125nとそれぞれ接続されて抵抗130によって終端されている。従来は、図10を用いて説明した通り、ドライバピンブロック101a〜101mから出力されるドライバ信号のタイミングを調整する場合、及びIOピンブロック102a〜102nから出力されるドライバ信号のタイミングを調整する場合の何れの場合であっても調整用ピンブロック103を用いて行っていた。
【0026】
ここで、調整用ピンブロック103の信号入力端子135は抵抗136により終端されているが、この抵抗136と切替装置300の線路上に存在する浮遊容量とによってフィルタ回路が形成されてしまう。このため、ドライバピンブロック101a〜101mのタイミング調整は、実際の使用時の状態(出力端が開放端となっている状態)とは異なる状態で行われるため、タイミング調整を行ったとしても実際の使用時のタイミングは100psec程度ずれてしまうという問題があった。
【0027】
また、従来は、1つの調整用ピンブロック103を用いて、ドライバピンブロック101a〜101m及びIOピンブロック102a〜102nのタイミング調整を順次行っている。ここで、ドライバピンブロック101a〜101m及びIOピンブロック102a〜102nは、それぞれ十数個〜数十個程度設けられているため、調整に長時間(例えば、数時間程度)を要し、試験に要するコストを上昇させる一因となっている。
【0028】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高精度のタイミング調整が可能であり、且つ短時間でタイミング調整を行うことができる半導体試験装置及びその調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記課題を解決するために、本発明の半導体試験装置は、被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を出力する複数の第1ピンブロック(11a〜11n)と、前記被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を出力するとともに当該信号入出力ピンから出力される信号を測定する複数の第2ピンブロック(12a〜12n)とを備える半導体試験装置(1)において、前記第1ピンブロックの信号出力端子(34a〜34n)並びに前記第2ピンブロックの信号入力端子(45a〜45n)及び信号出力端子(44a〜44n)を所定の接続状態にする交換可能な複数の調整用治具(3a〜3c)を備えることを特徴としている。
この発明によると、第1ピンブロックの信号出力端子並びに第2ピンブロックの信号入力端子及び信号出力端子を所定の接続状態にする複数の調整用治具を交換しつつ、第1ピンブロックの信号出力タイミング並びに第2ピンブロックの信号出力タイミング及び信号測定タイミングがそれぞれ並行して調整される。
また、本発明の半導体試験装置は、前記複数の調整用治具が、前記第1ピンブロックの信号出力端子の全てが互いに接続されるとともに、前記第2ピンブロックの信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された接続状態にする第1調整用治具(3a)と、前記第2ピンブロックの信号入力端子と信号出力端子とが、前記第2ピンブロック毎に接続された接続状態にする第2調整用治具(3b)と、前記第1ピンブロックの信号出力端子と前記第2ピンブロックの信号入力端子とが一対一に接続された接続状態にする第3調整用治具(3c)とを含むことを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記複数の調整用治具の交換制御を行うとともに、前記第1ピンブロックにおける信号出力タイミング、並びに、前記第2ピンブロックにおける信号出力タイミング及び信号測定タイミングを制御する制御装置(13)を備えることを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記第1調整用治具により信号出力端子の全てが互いに接続された第1ピンブロックから出力される信号と、前記第1調整用治具により信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された第2ピンブロックから出力される信号とを測定する測定装置(5)を備えることを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記制御装置が、前記第1調整用治具により信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された第2ピンブロックから出力される信号を当該第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、当該第2ピンブロックの各々における信号測定タイミングを制御することを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記制御装置が、前記第2調整用治具により信号入力端子と信号出力端子とが前記第2ピンブロック毎に接続されている状態で、前記第2ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、当該第2ピンブロックの各々における信号出力タイミングを制御することを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記制御装置が、前記第3調整用治具により前記第1ピンブロックの信号出力端子と前記第2ピンブロックの信号入力端子とが一対一に接続されている状態で、前記第1ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、当該第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを制御することを特徴としている。
更に、本発明の半導体試験装置は、前記制御装置が、前記測定装置の測定結果を加味して第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを制御することを特徴としている。
本発明の半導体試験装置の調整方法は、被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を出力する複数の第1ピンブロック(11a〜11n)と、前記被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を出力するとともに当該信号入出力ピンから出力される信号を測定する複数の第2ピンブロック(12a〜12n)とを備える半導体試験装置(1)の調整方法において、前記第1ピンブロックの信号出力端子(34a〜34n)の全てを互いに接続するとともに、前記第2ピンブロックの信号入力端子(45a〜45n)及び信号出力端子(44a〜44n)の全てを互いに接続する第1調整用治具(3a)を配置する第1ステップ(S12)と、信号出力端子の全てが互いに接続された前記第1ピンブロックから出力される信号と、信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された前記第2ピンブロックから出力される信号とを測定する第2ステップ(S13)と、信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された前記第2ピンブロックから出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、前記第2ピンブロックの各々における信号測定タイミングを調整する第3ステップ(S14)と、前記第2ピンブロックの信号入力端子と信号出力端子とを、前記第2ピンブロック毎に接続する第2調整用治具(3b)を配置する第4ステップ(S15)と、前記第2ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、前記第2ピンブロックの各々における信号出力タイミングを調整する第5ステップ(S16)と、前記第1ピンブロックの信号出力端子と前記第2ピンブロックの信号入力端子とを一対一に接続する第3調整用治具(3c)を配置する第6ステップ(S17)と、前記第1ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、前記第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを、前記第2ステップで得られた測定結果を加味しつつ調整する第7ステップ(S18)とを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、第1ピンブロックの信号出力端子と、第2ピンブロックの信号出力端子及び信号入力端子とを所定の接続関係にする調整治具を交換しつつ、第2ピンブロックの信号測定タイミング、第2ピンブロックの信号出力タイミング、及び第1ピンブロックの信号出力タイミングをそれぞれ並行して調整しているため、半導体試験装置のタイミング調整を短時間で行うことができるという効果がある。
また、信号出力端子の全てが互いに接続された前記第1ピンブロックから出力される信号と、信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された前記第2ピンブロックから出力される信号とを測定し、この測定結果を加味しつつ第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを調整しているため、高精度のタイミング調整を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による半導体試験装置及びその調整方法について詳細に説明する。図1〜図3は、本発明の一実施形態による半導体試験装置の要部構成を示す図である。図1〜図3に示す通り、本実施形態の半導体試験装置1は、半導体試験装置本体2、調整用治具3a〜3c、切替装置4、及びオシロスコープ5(測定装置)を備える。尚、図1においては半導体試験装置本体2の被試験デバイス(図示省略)とのインターフェイス部に、調整用治具3a(第1調整用治具)、切替装置4、及びオシロスコープ5が配置されており、図2においては同インターフェイス部に調整用治具3b(第2調整用治具)が配置されており、図3においては同インターフェイス部に調整用治具3c(第3調整用治具)が配置されている状態を図示している。
【0032】
図1〜図3に示す通り、本実施形態の半導体試験装置1の半導体試験装置本体2は、複数のドライバピンブロック11a〜11n、複数のIO(Input/Output)ピンブロック12a〜12n、及び制御装置13を備えている。尚、本実施形態では、説明の簡単のために、ドライバピンブロック11a〜11nの数とIOピンブロック12a〜12nの数とが同数であるとする。
【0033】
ドライバピンブロック11a〜11nは、被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を生成して信号出力端子34a〜34nからそれぞれ出力するものである。尚、被試験デバイスがメモリである場合には、上記の信号入力ピンは例えばアドレスピンに相当する。ドライバピンブロック11a〜11nは、ドライバ信号発生回路31、可変遅延回路32、及び駆動回路(ドライバ)33を備える。尚、図1〜図3においては、図示の都合上、ドライバピンブロック11aの内部構成のみを図示しているが、他のドライバピンブロック11b〜11nの内部構成も同様である。
【0034】
ドライバ信号発生回路31は、パターン発生部(図示省略)から出力される試験パターンを用いてドライバ信号A1aを生成する。可変遅延回路32は、制御装置13から出力される可変遅延量データD1aに応じた時間だけドライバ信号A1aを遅延させる。駆動回路33は、可変遅延回路32からのドライバ信号を信号出力端子に出力する。尚、ドライバピンブロック11b〜11nには、制御装置13から出力される可変遅延量データD1b〜D1nがそれぞれ入力される。
【0035】
IOピンブロック12a〜12nは、被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を生成して信号出力端子44a〜44nからそれぞれ出力するとともに、被試験デバイスの信号入出力ピンから出力されて信号入力端子45a〜45nから入力される信号をそれぞれ測定するものである。尚、被試験デバイスがメモリである場合には、上記の信号入出力ピンは例えばデータピンに相当する。IOピンブロック12a〜12nは、ドライバ信号発生回路41、可変遅延回路42、駆動回路(ドライバ)43、電圧比較回路(コンパレータ)46、論理比較器47、タイミング発生回路48、可変遅延回路49、及び抵抗50を備える。尚、図1〜図3においては、図示の都合上、IOピンブロック12aの内部構成のみを図示しているが、他のIOピンブロック12b〜12nの内部構成も同様である。
【0036】
ドライバ信号発生回路41、可変遅延回路42、及び駆動回路43は、ドライバピンブロック11a〜11nに設けられたドライバ信号発生回路31、可変遅延回路32、及び駆動回路33とそれぞれ同様のものである。尚、ドライバ信号発生回路41から出力されるドライバ信号A2aの可変遅延回路42における遅延量は、制御装置13から出力される可変遅延量データD2aに基づいて設定される。
【0037】
電圧比較回路46は、信号入力端子から入力される信号を所定の電圧と比較する。論理比較器47は、可変遅延回路49から出力される判定ストロボ信号B3aのタイミングで、電圧比較回路46から出力される信号の電圧と所定の判定電圧値とを比較し、その結果(パス又はフェイル)を示す信号を判定信号Faとして制御装置13に出力する。タイミング発生回路48は、被試験デバイスから出力される信号のパス/フェイルを判定するタイミングを規定する判定ストロボパルスB2aを生成する。可変遅延回路49は、制御装置13から出力される可変遅延量データD3aに応じた時間だけ判定ストロボパルスB2aを遅延させて判定ストロボ信号B3aとして出力する。抵抗50は、信号入力端子を終端するものであり、一端が信号入力端子(電圧比較回路46の入力端)に接続され、他端が所定の終端電圧が供給される電圧供給線に接続されている。
【0038】
尚、IOピンブロック12b〜12nには、制御装置13から出力される可変遅延量データD2b〜D2nがそれぞれ入力されるとともに、可変遅延量データD3b〜D3nがそれぞれ入力される。また、IOピンブロック12b〜12nの各々から出力される判定信号Fb〜Fnは、制御装置13に入力される。
【0039】
制御装置13は、半導体試験装置1の動作を統括的に制御する。具体的には、可変遅延量データD1a〜D1nを調整してドライバピンブロック11a〜11nの各々から出力されるドライバ信号のタイミング(信号出力タイミング)を制御するとともに、可変遅延量データD2a〜D2nを調整してIOピンブロック12a〜12nの各々から出力されるドライバ信号のタイミング(信号出力タイミング)を制御する。また、可変遅延量データD3a〜D3nを調整して、IOピンブロック12a〜12nの各々におけるパス/フェイルの判定タイミング(信号測定タイミング)を制御する。尚、制御装置13は、IOピンブロック12a〜12nの各々から出力される判定信号Fa〜Fnの値に応じて、ドライバピンブロック11a〜11nに対する可変遅延量データD1a〜D1n、IOピンブロック12a〜12nに対する可変遅延量データD2a〜D2nの調整を行う。更に、制御装置13は、半導体試験装置本体2の被試験デバイスとのインターフェイス部に配置する調整用治具3a〜3cの交換制御を行い、また切替装置4の制御も行う。
【0040】
調整用治具3a〜3cは、半導体試験装置本体2のインターフェイス部に対して交換可能に構成されている。これら調整用治具3a〜3cの何れかが半導体試験装置本体2のインターフェイス部に取り付けられた場合には、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34n、並びにIOピンブロック12a〜12nの信号出力端子44a〜44n及び信号入力端子45a〜45nを所定の接続状態にする。
【0041】
具体的には、調整用治具3aは、図1に示す通り、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34n及び調整用治具3aに設けられた接触用金座51a〜51nの全てが電気的に接続される状態にする。また、IOピンブロック12a〜12nの信号出力端子44a〜44n及び信号入力端子45a〜45n並びに調整用治具3aに設けられた接触用金座52a〜52nの全てが電気的に接続される状態にする。
【0042】
調整用治具3bは、図2に示す通り、ドライバピンブロック11aの信号出力端子34aが調整用治具3bに設けられた接触用金座61aに一対一で接続される状態にする。ドライバピンブロック11b〜11nについても同様に、信号出力端子34b〜34nが調整用治具3bに設けられた接触用金座61b〜61nに一対一で接続される状態にする。また、調整用治具3bは、IOピンブロック12aの信号出力端子44a及び信号入力端子45aが共に調整用治具3bに設けられた接触用金座62aに接続される状態にする。IOピンブロック12b〜12nについても同様に、信号出力端子44b〜44n及び信号入力端子45b〜45nが共に調整用治具3bに設けられた接触用金座62b〜62nにそれぞれ接続される状態にする。
【0043】
調整用治具3cは、図3に示す通り、ドライバピンブロック11aの信号出力端子34aが調整用治具3cに設けられた接触用金座71a,72aを介してIOピンブロック12aの信号入力端子45aに一対一に接続される状態にする。ドライバピンブロック11b〜11n及びIOピンブロック12b〜12nについても同様に、信号出力端子34b〜34nが調整用治具3bに設けられた接触用金座71b〜71n及び接触用金座72b〜72nをそれぞれ介して信号入力端子45b〜45nに一対一に接続される状態にする。
【0044】
切替装置4は、移動可能に構成された接触端子4aと、接触端子4aに電気的に接続された信号出力端4bとを備えており、信号出力端4bと電気的に接続される接触用金座を切り替えるものである。つまり、接触端子4aを接触用金座51a〜51n,52a〜52の何れに接触させるかによって、信号出力端4bと電気的に接続される接触用金座が切り替わる。但し、図1に示す通り、接触用金座51a〜51nは互いに電気的に接続されており、接触用金座52a〜52nは互いに電気的に接続されている。このため、接触用金座51a〜51nの中で接触端子4aを接触させる接触用金座を変えても意味はない。接触用金座52a〜52nの中で接触端子4aを接触させる接触用金座を変える場合も同様である。
【0045】
尚、ここでは、移動可能な1つの接触端子4aを備える場合を例に挙げて説明するが、切替装置4は接触用金座51a〜51nと電気的に接触する接触端子と、接触用金座52a〜52と電気的に接触する接触端子とを設け、リレー等によって信号出力端4bと電気的に接続される接触端子を切り替える構成のものであっても良い。また、切替装置4は、接触用金座51a〜51n,52a〜52nと接触する接触端子4a側におけるインピーダンスが極力高インピーダンスであることが望ましい。
【0046】
オシロスコープ5は、切替装置4の出力端4bに接続されており、出力端4bから出力される信号を測定する。具体的には、電気的に互いに接続されたドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34nから信号が出力されてから、その信号の電圧が所定の電圧になるまでの時間を測定する。同様に、電気的に互いに接続されたIOピンブロック12a〜12nの信号出力端子44a〜44nから信号が出力されてから、その信号の電圧が所定の電圧になるまでの時間を測定する。
【0047】
次に、半導体試験装置1の調整方法について説明する。図4は、本発明の一実施形態における半導体試験装置の調整方法を示すフローチャートである。処理が開始されると、まず半導体試験装置本体2に設けられた制御装置13は、予めユーザによって作成された調整手順データを読み込む(ステップS11)。この調整手順データは、調整対象のピンブロックを特定するデータ、及び調整手順を示すデータを含むデータである。
【0048】
次いで、制御装置13は、読み込んだ調整手順データに従って、半導体試験装置本体2の被試験デバイスとのインターフェイス部に調整用治具3a及び切替装置4を配置する(ステップS12:第1ステップ)。これにより、図1に示す通り、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34n及び調整用治具3aに設けられた接触用金座51a〜51nの全てが電気的に接続され、また、IOピンブロック12a〜12nの信号出力端子44a〜44n及び信号入力端子45a〜45n並びに調整用治具3aに設けられた接触用金座52a〜52nの全てが電気的に接続された状態になる。
【0049】
以上の処理が終了すると、オシロスコープ5を用いてドライバピンブロック11a〜11n及びIOピンブロック12a〜12nの信号出力タイミングの測定が行われる(ステップS13:第2ステップ)。具体的には、まず、制御装置13が、ドライバピンブロック11a〜11nの各々に設けられた可変遅延回路32、及びIOピンブロック12a〜12nの各々に設けられた可変遅延回路42に対して、同一の値に設定された可変遅延量データD1a〜D1n,D2a〜D2nをそれぞれ与える。尚、可変遅延量データD1a〜D1n,D2a〜D2nの値は、同一の値であれば、最大値、最小値、及び中間値の何れでも良い。
【0050】
次に、制御装置13は、切替装置4を制御して調整用治具3aに設けられた接触用金座51a〜51nの何れかに接触端子4aを接触させる。そして、制御装置13は、ドライバピンブロック11a〜11nの各々から振幅が同一のドライバ信号を同一のタイミングで出力させる。ドライバピンブロック11a〜11nの各々から出力されたドライバ信号は調整用金座3aによって合成され、この合成されたドライバ信号は、接触端子4aを介して切替装置4に入力された後に出力端4bから出力されてオシロスコープ5に入力され、その遅延時間が測定される。尚、この遅延時間は、オシロスコープに入力されているトリガ信号と出力端4bから出力される信号との時間差である。
【0051】
次いで、制御装置13は、切替装置4を制御して調整用治具3aに設けられた接触用金座52a〜52nの何れかに接触端子4aを接触させる。そして、制御装置13は、IOピンブロック12a〜12nの各々から振幅が同一のドライバ信号を同一のタイミングで出力させる。IOピンブロック12a〜12nの各々から出力されたドライバ信号は、接触端子4aを介して切替装置4に入力された後に出力端4bから出力されてオシロスコープ5に入力され、その遅延時間が測定される。尚、この遅延時間は、上記と同様に、オシロスコープに入力されているトリガ信号と出力端4bから出力される信号との時間差である。
【0052】
図5は、オシロスコープ5に入力されるドライバ信号の電圧の時間変化の一例を示す図である。図5において、符号R1を付した曲線はドライバピンブロック11a〜11nの各々から出力されて合成されたドライバ信号の電圧の時間変化を示す観測波形であり、符号R2を付した曲線はIOピンブロック12a〜12nの各々から出力されて合成されたドライバ信号の電圧の時間変化を示す観測波形である。オシロスコープ5は、入力される信号の電圧と予め設定された閾電圧V0とを比較し、入力される信号の電圧が閾電圧V0になるまでの時間を測定する。
【0053】
図5に示す例では、ドライバピンブロック11a〜11nの各々から出力されて合成されたドライバ信号(曲線R1)の遅延時間はtd1であり、IOピンブロック12a〜12nの各々から出力されて合成されたドライバ信号(曲線R2)の遅延時間はtd2である。オシロスコープ5で測定された遅延時間は制御装置13に入力され、制御装置13は入力された遅延時間の差分(Δtd=|td1−td2|)を求め、この差分を補正データとして記憶する。尚、詳細は後述するが、この補正データΔtdは、ドライバピンブロック11a〜11nの各々の信号出力タイミングを調整する際に用いられる。
【0054】
オシロスコープ5を用いた測定を終えると、IOピンブロック12a〜12nの各々から出力されて合成されたドライバ信号を用いて、IOピンブロック12a〜12nにおける信号測定タイミングの調整が並行して行われる(ステップS14:第3ステップ)。具体的には、ステップS13と同様に、制御装置13が、IOピンブロック12a〜12nの各々から振幅が同一のドライバ信号を同一のタイミングで出力させる。IOピンブロック12a〜12nの各々から出力されたドライバ信号は調整用金座3aによって合成され、この合成された信号は入力端子45a〜45nを介してIOピンブロック12a〜12nの各々に入力される。尚、このときは接触用金座52a〜52nの何れにも接触端子4aが接触していない状態にするのが望ましい。
【0055】
ドライバ信号がIOピンブロック12a〜12nの各々に入力されると、IOピンブロック12a〜12n内の電圧比較回路46で所定の電圧とそれぞれ比較され、その比較結果を示す信号が電圧比較回路46から論理比較器47に入力される。IOピンブロック12a〜12nの各々の論理比較器47は、入力される判定ストロボ信号B3a〜B3nの各々のタイミングで、電圧比較回路46からの信号の電圧と所定の判定電圧値とを比較し、その結果(パス又はフェイル)を示す信号を判定信号Fa〜Fnとして制御装置13に出力する。制御装置13は、IOピンブロック12a〜12nの各々から出力される判定信号Fa〜Fnを参照しつつ可変遅延量データD3a〜D3nをそれぞれ個別に調整してIOピンブロック12a〜12nの各々に設けられた可変遅延回路49における遅延量を個別に制御し、判定信号Fa〜Fnの各々ががフェイル(H(ハイ))からパス(L(ロー))に変化するときの可変遅延量データD3a〜D3nの値を個別に求める。尚、以上の処理が、IOピンブロック12a〜12nの各々で並行して行われる。
【0056】
図6は、IOピンブロック12a,12nにおける信号測定タイミング調整を説明するための図である。尚、ここではIOピンブロック12a,12nを例に挙げて説明するが、他のIOピンブロックについても同様の方法で信号測定タイミング調整が行われる。図6において、符号R11を付した曲線はIOピンブロック12aに入力されるドライバ信号の電圧の時間変化を示す観測波形であり、符号R12を付した曲線はIOピンブロック12nに入力されるドライバ信号の電圧の時間変化を示す観測波形である。また、図6においては、IOピンブロック12aで用いられる判定ストロボ信号B3a及びIOピンブロック12aから出力される判定信号Faをドライバ信号R11とともに図示している。同様に、IOピンブロック12nで用いられる判定ストロボ信号B3n(図1〜図3においては図示省略)及びIOピンブロック12nから出力される判定信号Fnをドライバ信号R12とともに図示している。
【0057】
尚、図6においては、ドライバ信号R11とともに図示された判定ストロボ信号B3a及び判定信号Faが3組あるが、これは制御装置13からIOピンブロック12aに出力される可変遅延量データD3aの値を「0」,「5」,「10」に設定したときの判定ストロボ信号B3a及び判定信号Faをそれぞれ示している。同様に、ドライバ信号R12とともに図示された判定ストロボ信号B3n及び判定信号Fnが4組あるが、これは制御装置13からIOピンブロック12nに出力される可変遅延量データD3nの値を「0」,「5」,「10」,「18」に設定したときの判定ストロボ信号B3n及び判定信号Fnをそれぞれ示している。
【0058】
ここで、最初にIOピンブロック12aの信号測定タイミング調整について説明する。前述した通り、IOピンブロック12aに入力されたドライバ信号R11は、電圧比較器46を介して論理比較器47に入力され、判定ストロボ信号B3aのタイミング(立ち上がりのタイミング)で所定の判定電圧値V1と比較され、その結果(パス又はフェイル)を示す信号が判定信号Faとして制御装置13に出力される。図6に示す通り、可変遅延量データD3aの値が「0」又は「5」に設定されている場合には、判定ストロボ信号B3aの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R11の電圧値は判定電圧値V1より低いため、判定信号Faはフェイル(H)となる。一方、可変遅延量データD3aの値が「10」に設定されている場合には、判定ストロボ信号B3aの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R11の電圧値は判定電圧値V1であるため、判定信号Faはパス(L)となる。制御装置13は、判定信号Faがフェイル(H)からパス(L)に変化したときの可変遅延量データD3aの値(図6に示す例では「10」)を、IOピンブロック12aの信号測定タイミング調整値として求める。
【0059】
次に、IOピンブロック12nの信号測定タイミング調整について説明する。IOピンブロック12nに入力されたドライバ信号R12も判定ストロボ信号B3nのタイミング(立ち上がりのタイミング)で所定の判定電圧値V2と比較され、その結果(パス又はフェイル)を示す信号が判定信号Fnとして制御装置13に出力される。図6に示す通り、可変遅延量データD3nの値が「0」,「5」,又は「10」に設定されている場合には、判定ストロボ信号B3nの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R12の電圧値は判定電圧値V2より低いため、判定信号Fnはフェイル(H)となる。一方、可変遅延量データD3nの値が「18」に設定されている場合には、判定ストロボ信号B3nの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R12の電圧値は判定電圧値V2であるため、判定信号Fnはパス(L)となる。制御装置13は、判定信号Fnがフェイル(H)からパス(L)に変化したときの可変遅延量データD3nの値(図6に示す例では「18」)を、IOピンブロック12nの信号測定タイミング調整値として求める。
【0060】
制御装置13は、以上の処理をIOピンブロック12a〜12nの各々について並行して行い、IOピンブロック12a〜12nの信号測定タイミング調整値をそれぞれ求める。以上の処理が終了すると、制御装置13は、求めた信号測定タイミング調整値を可変遅延量データD3a〜D3nとしてIOピンブロック12a〜12nの各々に出力して各IOピンブロック12a〜12nに設けられた可変遅延回路49における遅延量を設定する。これにより、IOピンブロック12a〜12nにおける信号測定タイミング調整が完了する。
【0061】
以上の処理が終了すると、制御装置13は、読み込んだ調整手順データに従って、半導体試験装置本体2のインターフェイス部に配置されている調整用治具3a及び切替装置4を取り外すとともに、半導体試験装置本体2のインターフェイス部に調整用治具3bを配置する(ステップS15:第4ステップ)。これにより、図2に示す通り、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34nが調整用治具3bに設けられた接触用金座61a〜61nにそれぞれ一対一で接続され、また、IOピンブロック12a〜12nの信号出力端子44a〜44n及び信号入力端子45a〜45nが調整用治具3bに設けられた接触用金座62a〜62nにそれぞれ接続された状態になる。
【0062】
次に、IOピンブロック12a〜12nの各々における信号出力タイミング調整が並行して行われる(ステップS16:第5ステップ)。具体的には、制御装置13が、IOピンブロック12a〜12nからドライバ信号を出力させる。IOピンブロック12a〜12nから出力されたドライバ信号はIOピンブロック12a〜12nにそれぞれ入力される。ここで、IOピンブロック12aを例に挙げると、図2に示す通り、調整用治具3bによってIOピンブロック12aの信号出力端44aと信号入力端45aとが電気的に接続されているため、信号出力端44aから出力されたドライバ信号は、信号入力端45aから信号測定タイミング調整が完了したIOピンブロック12aに入力される。
【0063】
IOピンブロック12aに入力されたドライバ信号は、論理比較器47において所定の判定電圧値と比較され、その結果(パス又はフェイル)を示す信号が判定信号Faとして制御装置13に出力される。制御装置13は、IOピンブロック12aから出力される判定信号Faを参照しつつIOピンブロック12aに与える可変遅延量データD2aを調整して可変遅延回路42における遅延量を制御し、判定信号Faがパス(L)からフェイル(H)に変化するときの可変遅延量データD2aの値を求める。以上の処理がIOピンブロック12a〜12nについて並行して行われ、IOピンブロック12a〜12nの各々における信号出力タイミング調整が行われる。
【0064】
図7は、IOピンブロック12a,12nにおける信号出力タイミング調整を説明するための図である。尚、ここではIOピンブロック12a,12nを例に挙げて説明するが、他のIOピンブロックについても同様の方法で信号出力タイミング調整が行われる。図7において、符号R21を付した曲線は信号出力タイミング調整前にIOピンブロック12aから出力されたドライバ信号(IOピンブロック12aに入力されたドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形であり、符号R22を付した曲線は信号出力タイミング調整後にIOピンブロック12aから出力されるドライバ信号(IOピンブロック12aに入力されるドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形である。
【0065】
また、図7において、符号R31を付した曲線は信号出力タイミング調整前にIOピンブロック12nから出力されたドライバ信号(IOピンブロック12nに入力されたドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形であり、符号R32を付した曲線は信号出力タイミング調整後にIOピンブロック12nから出力されるドライバ信号(IOピンブロック12nに入力されるドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形である。更に、図7においては、IOピンブロック12aで用いられる判定ストロボ信号B3a及びIOピンブロック12aから出力される判定信号Faをドライバ信号R21,R22とともに図示している。同様に、IOピンブロック12nで用いられる判定ストロボ信号B3n及びIOピンブロック12nから出力される判定信号Fnをドライバ信号R31,R32とともに図示している。
【0066】
ここで、最初にIOピンブロック12aの信号出力タイミング調整について説明する。図7に示すドライバ信号R21がIOピンブロック12aに入力されると、判定ストロボ信号B3aの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R21の電圧値は判定電圧値V1以上であるため、図7中において破線で示す通り、判定信号Faはパス(L)となる。一方、制御装置13がIOピンブロック12aに与える可変遅延量データD2aを可変させて図7に示すドライバ信号R22がIOピンブロック12aに入力されると、判定ストロボ信号B3aの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R22の電圧値は判定電圧値V1よりも低いため、図7中において実線で示す通り、判定信号Faはフェイル(H)となる。制御装置13は、判定信号Faがパス(L)からフェイル(H)に変化したときの可変遅延量データD2aの値を、IOピンブロック12aの信号出力タイミング調整値として求める。
【0067】
次に、IOピンブロック12nの信号出力タイミング調整について説明する。図7に示すドライバ信号R31がIOピンブロック12nに入力されると、判定ストロボ信号B3nの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R31の電圧値は判定電圧値V2以上であるため、図7中において破線で示す通り、判定信号Fnはパス(L)となる。一方、制御装置13がIOピンブロック12nに与える可変遅延量データD2nを可変させて図7に示すドライバ信号R32がIOピンブロック12nに入力されると、判定ストロボ信号B3nの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R32の電圧値は判定電圧値V2よりも低いため、図7中において実線で示す通り、判定信号Fnはフェイル(H)となる。制御装置13は、判定信号Fnがパス(L)からフェイル(H)に変化したときの可変遅延量データD2nの値を、IOピンブロック12nの信号出力タイミング調整値として求める。
【0068】
制御装置13は、以上の処理をIOピンブロック12a〜12nの各々について並行して行い、IOピンブロック12a〜12nの信号出力タイミング調整値をそれぞれ求める。以上の処理が終了すると、制御装置13は、求めた信号出力タイミング調整値を可変遅延量データD2a〜D2nとしてIOピンブロック12a〜12nの各々に出力して各IOピンブロック12a〜12nに設けられた可変遅延回路42における遅延量を設定する。これにより、IOピンブロック12a〜12nにおける信号出力タイミング調整が完了する。尚、図7において、IOピンブロック12aで用いられる判定ストロボ信号B3aのタイミングと、IOピンブロック12nで用いられる判定ストロボ信号B3aのタイミングとがΔt0だけずれているが、これは図2に示す接触用金座52aからIOピンブロック12aに設けられた論理比較器47までの信号遅延量と、接触用金座52nからIOピンブロック12nに設けられた論理比較器47までの信号遅延量とが異なるからである。
【0069】
以上の処理が終了すると、制御装置13は、読み込んだ調整手順データに従って、半導体試験装置本体2のインターフェイス部に配置されている調整用治具3bを取り外すとともに、半導体試験装置本体2のインターフェイス部に調整用治具3cを配置する(ステップS17:第6ステップ)。これにより、図3に示す通り、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34nがIOピンブロック12a〜12nの信号入力端子45a〜45nにそれぞれ一対一に接続された状態になる。
【0070】
次に、ドライバピンブロック11a〜11nの各々における信号出力タイミング調整が並行して行われる(ステップS18:第7ステップ)。具体的には、まず制御装置13がステップS13で求めた補正データΔtdを用いてIOピンブロック12a〜12nの各々における信号測定タイミングを補正する。これは、ドライバピンブロック11a〜11nの出力端子34a〜34nは開放端になっており、図5に示す通り、ドライバピンブロック11a〜11nから出力されるドライバ信号と、IOピンブロック12a〜12nから出力されるドライバ信号との間には時間ずれが生ずるからである。
【0071】
以上の補正が終了すると、制御装置13は、ドライバピンブロック11a〜11nからドライバ信号を出力させる。ドライバピンブロック11a〜11nから出力されたドライバ信号はIOピンブロック12a〜12nにそれぞれ入力される。IOピンブロック12a〜12nにそれぞれ入力されたドライバ信号は、論理比較器47において所定の判定電圧値と比較され、その結果(パス又はフェイル)を示す信号が判定信号Fa〜Fnとして制御装置13に出力される。制御装置13は、IOピンブロック12aから出力される判定信号Faを参照しつつドライバピンブロック11aに与える可変遅延量データD1aを調整して可変遅延回路32における遅延量を制御し、判定信号Faがパス(L)からフェイル(H)に変化するときの可変遅延量データD1aの値を求める。以上の処理がドライバピンブロック11a〜11nについて並行して行われ、ドライバピンブロック11a〜11nの各々における信号出力タイミング調整が行われる。
【0072】
図8は、ドライバピンブロック11a,11nにおける信号出力タイミング調整を説明するための図である。尚、ここではドライバピンブロック11a,11nを例に挙げて説明するが、他のドライバピンブロックについても同様の方法で信号出力タイミング調整が行われる。図8において、符号R41を付した曲線は信号出力タイミング調整前にドライバピンブロック11aから出力されたドライバ信号(IOピンブロック12aに入力されたドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形であり、符号R42を付した曲線は信号出力タイミング調整後にドライバピンブロック11aから出力されるドライバ信号(IOピンブロック12aに入力されるドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形である。
【0073】
また、図8において、符号R51を付した曲線は信号出力タイミング調整前にドライバピンブロック11nから出力されたドライバ信号(IOピンブロック12nに入力されたドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形であり、符号R52を付した曲線は信号出力タイミング調整後にドライバピンブロック11nから出力されるドライバ信号(IOピンブロック12nに入力されるドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形である。更に、図8においては、IOピンブロック12aで用いられる判定ストロボ信号B3a及びIOピンブロック12aから出力される判定信号Faをドライバ信号R41,R42とともに図示している。同様に、IOピンブロック12nで用いられる判定ストロボ信号B3n及びIOピンブロック12nから出力される判定信号Fnをドライバ信号R51,R52とともに図示している。
【0074】
ここで、図8中において破線で示す判定ストロボ信号B3a,B3nは、ステップS14で信号測定タイミングが調整されたIOピンブロック12a,12nで用いられる判定ストロボ信号をそれぞれ表している。一方、図8中において実線で示す判定ストロボ信号B3a,B3nは、制御装置13によって補正データΔtdの分だけ信号測定タイミングが補正されたIOピンブロック12a,12nで用いられる判定ストロボ信号をそれぞれ表している。図5を参照すると、ドライバ信号R2に対してドライバ信号R1が先行しているため、破線で示す判定ストロボ信号よりも実線で示す判定ストロボ信号が補正データΔtdの分だけ時間的に先行している。
【0075】
最初にドライバピンブロック11aの信号出力タイミング調整について説明する。図8に示すドライバ信号R41がIOピンブロック12aに入力されると、実線で示す判定ストロボ信号B3aの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R41の電圧値は判定電圧値V1以上であるため、図8中において破線で示す通り、判定信号Faはパス(L)となる。一方、制御装置13がドライバピンブロック11aに与える可変遅延量データD1aを可変させて図8に示すドライバ信号R42がIOピンブロック12aに入力されると、判定ストロボ信号B3aの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R42の電圧値は判定電圧値V1よりも低いため、図8中において実線で示す通り、判定信号Faはフェイル(H)となる。制御装置13は、判定信号Faがパス(L)からフェイル(H)に変化したときの可変遅延量データD1aの値を、ドライバピンブロック11aの信号出力タイミング調整値として求める。
【0076】
次に、ドライバピンブロック11nの信号出力タイミング調整について説明する。図8に示すドライバ信号R51がIOピンブロック12nに入力されると、実線で示す判定ストロボ信号B3nの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R51の電圧値は判定電圧値V2以上であるため、図8中において破線で示す通り、判定信号Fnはパス(L)となる。一方、制御装置13がドライバピンブロック11nに与える可変遅延量データD1nを可変させて図8に示すドライバ信号R52がIOピンブロック12nに入力されると、判定ストロボ信号B3nの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R52の電圧値は判定電圧値V2よりも低いため、図8中において実線で示す通り、判定信号Fnはフェイル(H)となる。制御装置13は、判定信号Fnがパス(L)からフェイル(H)に変化したときの可変遅延量データD1nの値を、ドライバピンブロック11nの信号出力タイミング調整値として求める。
【0077】
制御装置13は、以上の処理をドライバピンブロック11a〜11nの各々について並行して行い、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力タイミング調整値をそれぞれ求める。以上の処理が終了すると、制御装置13は、求めた信号出力タイミング調整値を可変遅延量データD1a〜D1nとしてドライバピンブロック11a〜11nの各々に出力して各ドライバピンブロック11a〜11nに設けられた可変遅延回路32における遅延量を設定する。これにより、ドライバピンブロック11a〜11nにおける信号出力タイミング調整が完了する。
【0078】
以上説明した本実施形態の半導体試験装置1及びその調整方法においては、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34nと、IOピンブロック12a〜12bの信号出力端子44a〜44n及び信号入力端子45a〜45nとを所定の接続関係にする調整治具3a〜3cを交換しつつ、IOピンブロック12a〜12bの信号測定タイミング、IOピンブロック12a〜12bの信号出力タイミング、及びドライバピンブロック11a〜11nの信号出力タイミングをそれぞれ並行して調整している。このため、半導体試験装置1のタイミング調整を短時間で行うことができる。具体的には、従来は数時間程度要していた調整時間を半分以下に短縮することができる。
【0079】
また、本実施形態の半導体試験装置1及びその調整方法は、ドライバピンブロック11a〜11nの各々から出力されるドライバ信号を合成した信号の遅延時間と、IOピンブロック12a〜12bの各々から出力されるドライバ信号を合成した信号の遅延時間をオシロスコープ5を用いて測定している。そして、これらの差を示す補正データΔtdを求め、これを加味してドライバピンブロック11a〜11nの信号出力タイミングを調整している。このため、ドライバピンブロック11a〜11nの実際の使用時の状態(出力端が開放端となっている状態)での出力信号タイミング調整を行うことができ、高精度のタイミング調整が可能である。
【0080】
以上、本発明の実施形態による半導体試験装置及びその調整方法について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、説明の簡単のためにドライバピンブロック11a〜11nの数とIOピンブロック12a〜12nの数とが同数である場合を例に挙げて説明したが、これらの数が異なる場合であっても本発明を適用することができる。かかる場合において、ドライバピンブロック11a〜11nの数がIOピンブロック12a〜12nの数よりも多いときには、信号出力タイミングの調整を行うことができないドライバピンブロックが存在することになる。しかしながら、このようなドライバピンブロックをIOピンブロックと接続する新たな調整用治具を用意することで対応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施形態による半導体試験装置の要部構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による半導体試験装置の要部構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による半導体試験装置の要部構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態における半導体試験装置の調整方法を示すフローチャートである。
【図5】オシロスコープ5に入力されるドライバ信号の電圧の時間変化の一例を示す図である。
【図6】IOピンブロック12a,12nにおける信号測定タイミング調整を説明するための図である。
【図7】IOピンブロック12a,12nにおける信号出力タイミング調整を説明するための図である。
【図8】ドライバピンブロック11a,11nにおける信号出力タイミング調整を説明するための図である。
【図9】従来の半導体試験装置の要部構成を示す図である。
【図10】従来の半導体試験装置の調整方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1 半導体試験装置
3a〜3c 調整用治具
5 オシロスコープ
11a〜11n ドライバピンブロック
12a〜12n IOピンブロック
13 制御装置
34a〜34n 信号出力端子
44a〜44n 信号出力端子
45a〜45n 信号入力端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験デバイスの試験を行う半導体試験装置及びその調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スキュー(skew)とは複数の伝送系において同一の信号を伝送する際に、その信号間に生ずる位相又は時間的な振幅の期待値からのずれをいう。半導体試験装置においては、上記スキューとして、被試験デバイスの試験に用いる信号がドライバを通過する際にドライバを形成する素子の特性誤差及び回路誤差により生ずるドライバスキュー、及び、被試験デバイスから出力された信号がコンパレータを通過する際に生じるコンパレータスキュー等がある。スキューが生じていると被試験デバイスの試験が正常に行われないことがあるため、半導体試験装置においては、定期又は不定期にスキュー調整が行われる。
【0003】
図9は、従来の半導体試験装置の要部構成を示す図である。尚、図9においては、半導体試験装置100の被試験デバイス(図示省略)とのインターフェイス部に、スキューを調整するための調整用治具200及び切替装置300が配置されている状態を図示している。図9に示す通り、従来の半導体試験装置100は、複数のドライバピンブロック101a〜101m、複数のIO(Input/Output)ピンブロック102a〜102n、調整用ピンブロック103、基準ドライバ信号発生部104、及び制御装置105を備えている。
【0004】
ドライバピンブロック101a〜101mは、被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を生成して信号出力端子114a〜114mからそれぞれ出力するものである。尚、被試験デバイスがメモリである場合には、上記の信号入力ピンは例えばアドレスピンに相当する。ドライバピンブロック101a〜101mは、ドライバ信号発生回路111、可変遅延回路112、及び駆動回路(ドライバ)113を備える。尚、図9においては、図示の都合上、ドライバピンブロック101aの内部構成のみを図示しているが、他のドライバピンブロック101b〜101mの内部構成も同様である。
【0005】
ドライバ信号発生回路111は、パターン発生部(図示省略)から出力される試験パターンを用いてドライバ信号A10aを生成する。可変遅延回路112は、制御装置105から出力される可変遅延量データD10aに応じた時間だけドライバ信号A10aを遅延させる。駆動回路113は、可変遅延回路112からのドライバ信号を信号出力端子に出力する。尚、ドライバピンブロック101b〜101mには、制御装置105から出力される可変遅延量データD10b〜D10mがそれぞれ入力される。
【0006】
IOピンブロック102a〜102nは、被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を生成して信号出力端子124a〜124nからそれぞれ出力するとともに、被試験デバイスの信号入出力ピンから出力されて信号入力端子125a〜125nから入力される信号をそれぞれ測定するものである。尚、被試験デバイスがメモリである場合には、上記の信号入出力ピンは例えばデータピンに相当する。IOピンブロック102a〜102nは、ドライバ信号発生回路121、可変遅延回路122、駆動回路(ドライバ)123、電圧比較回路(コンパレータ)126、論理比較器127、タイミング発生回路128、可変遅延回路129、及び抵抗130を備える。尚、図9においては、図示の都合上、IOピンブロック102aの内部構成のみを図示しているが、他のIOピンブロック102b〜102nの内部構成も同様である。
【0007】
ドライバ信号発生回路121、可変遅延回路122、及び駆動回路123は、ドライバピンブロック101a〜101mに設けられたドライバ信号発生回路111、可変遅延回路112、及び駆動回路113とそれぞれ同様のものである。尚、ドライバ信号発生回路121から出力されるドライバ信号A20aの可変遅延回路122における遅延量は、制御装置105から出力される可変遅延量データD20aに基づいて設定される。
【0008】
電圧比較回路126は、信号入力端子から入力される信号を所定の電圧と比較する。論理比較器127は、可変遅延回路129から出力される判定ストロボ信号B21aのタイミングで、電圧比較回路126から出力される信号の電圧と所定の判定電圧値とを比較し、その結果(パス又はフェイル)を示す信号を判定信号F20aとして制御装置105に出力する。タイミング発生回路128は、被試験デバイスから出力される信号のパス/フェイルを判定するタイミングを規定する判定ストロボパルスB20aを生成する。可変遅延回路129は、制御装置105から出力される可変遅延量データD21aに応じた時間だけ判定ストロボパルスB20aを遅延させて判定ストロボ信号B21aとして出力する。抵抗130は、信号入力端子を終端するものであり、一端が信号入力端子(電圧比較回路126の入力端)に接続され、他端が所定の終端電圧が供給される電圧供給線に接続されている。
【0009】
尚、IOピンブロック102b〜102nには、制御装置105から出力される可変遅延量データD20b〜D20nがそれぞれ入力されるとともに、可変遅延量データD21b〜D21nがそれぞれ入力される。また、IOピンブロック102b〜102nの各々から出力される判定信号F20b〜F20nは、制御装置105に入力される。
【0010】
調整用ピンブロック103は、ドライバピンブロック101a〜101m及びIOピンブロック102a〜102nで生ずるスキュー(ドライバスキュー及びコンパレータスキュー)を調整するために、信号入力端子135から入力される信号を測定するものである。この調整用ピンブロック103は、電圧比較回路131、論理比較器132、タイミング発生回路133、可変遅延回路134、及び抵抗136を備える。調整用ピンブロック103に設けられるこれらの構成は、IOピンブロック102a〜102nに設けられる電圧比較回路126、論理比較器127、タイミング発生回路128、可変遅延回路129、及び抵抗130とそれぞれ同様のものである。尚、タイミング発生回路133から出力される判定ストロボパルスB30の可変遅延回路134における遅延量は、制御装置105から出力される可変遅延量データD30に基づいて設定される。また、論理比較器132における比較の結果を示す信号は、判定信号F30として制御装置105に出力される。
【0011】
基準ドライバ信号発生部104は、基準ドライバ信号発生回路141、駆動回路142、及び抵抗143を備えており、ドライバピンブロック101a〜101m及びIOピンブロック102a〜102nで生ずるスキュー(ドライバスキュー及びコンパレータスキュー)を調整するときに用いる基準ドライバ信号A30を生成する。駆動回路142の出力端は端子144に接続されている。また、抵抗143は、一端が端子145に接続され、他端が所定の終端電圧が供給される電圧供給線に接続されている。
【0012】
制御装置105は、半導体試験装置100の動作を統括的に制御する。具体的には、可変遅延量データD10a〜D10nを調整してドライバピンブロック101a〜101mの各々から出力されるドライバ信号のタイミングを制御するとともに、可変遅延量データD20a〜D20nを調整してIOピンブロック102a〜102nの各々から出力されるドライバ信号のタイミングを制御する。また、可変遅延量データD21a〜D21nを調整して、IOピンブロック102a〜102nの各々におけるパス/フェイルの判定タイミングを制御するとともに、可変遅延量データD30を調整して、調整用ピンブロック103におけるパス/フェイルの判定タイミングを制御する。
【0013】
尚、制御装置105は、IOピンブロック102a〜102nの各々から出力される判定信号F20a〜F20n又は調整用ピンブロック103から出力される判定信号F30の値に応じて、ドライバピンブロック101a〜101mに対する可変遅延量データD10a〜D10m、IOピンブロック102a〜102nに対する可変遅延量データD20a〜D20n,D21a〜D21n、又は調整用ピンブロック103に対する可変遅延量データD30を調整することもある。また、制御装置105は、切替装置300の制御も行う。
【0014】
調整用治具200は、半導体試験装置100のインターフェイス部に対して着脱自在に設けられる。この調整用治具200は、半導体試験装置100のインターフェイス部に取り付けられた場合には、ドライバピンブロック101a〜101mの信号出力端子114a〜114m、IOピンブロック102a〜102nの信号出力端子124a〜124n及び信号入力端子125a〜125n、調整用ピンブロック103の信号入力端子135、並びに基準ドライバ信号発生部104の信号出力端子144及び信号入力端子145を所定の接続状態にする。
【0015】
具体的には、ドライバピンブロック101aの信号出力端子114aが調整用治具200に設けられた接触用金座201aに一対一で接続される状態にする。ドライバピンブロック101b〜101mについても同様に、信号出力端子114b〜114mが調整用治具200に設けられた接触用金座201b〜201mに一対一で接続される状態にする。また、IOピンブロック102aの信号出力端子124a及び信号入力端子125aが共に調整用治具200に設けられた接触用金座202aに接続される状態にする。IOピンブロック102b〜102nについても同様に、信号出力端子124b〜124n及び信号出力端子125b〜125nが共に調整用治具200に設けられた接触用金座202b〜202nにそれぞれ接続される状態にする。また、調整用治具200は、切替装置300の信号出力端302と調整用ピンブロック103の信号入力端子135とが接続される状態にする。更に、基準ドライバ信号発生部104の信号出力端子144及び信号入力端子145が共に調整用治具200に設けられた接触用金座203に接続される状態にする。
【0016】
切替装置300は、移動可能に構成された接触端子301と、接触端子301に電気的に接続された信号出力端302とを備えており、信号出力端302と電気的に接続される接触用金座を切り替えるものである。つまり、接触端子301を接触用金座201a〜201m,202a〜202n,203の何れに接触させるかによって、信号出力端302と電気的に接続される接触用金座が切り替わる。接触端子301を接触用金座201a〜201m,202a〜202n,203の何れに接触させるかは、半導体試験装置100の制御装置105によって制御される。尚、ここでは、移動可能な1つの接触端子301を備える場合を例に挙げて説明するが、切替装置300は接触用金座201a〜201m,202a〜202n,203の各々に接触する複数の接触端子を設け、リレー等によって信号出力端302と電気的に接続される接触端子を切り替える構成のものであっても良い。
【0017】
次に、従来の半導体試験装置の調整方法について説明する。図10は、従来の半導体試験装置の調整方法を示すフローチャートである。処理が開始されると、まず制御装置105は、予めユーザによって作成された調整手順を示す調整手順データを読み込む(ステップS101)。次に、制御装置105は、読み込んだ調整手順データに従って、基準ドライバ信号発生部104から出力される基準ドライバ信号A30を用いて、調整用ピンブロック103における判定ストロボ信号B31のタイミング調整を行う(ステップS102)。
【0018】
具体的には、制御装置105が切替装置300を制御して、接触端子301を調整用治具200の接触用金座203に接触させる。これにより、基準ドライバ信号発生部104の基準ドライバ信号発生回路141から出力された基準ドライバ信号A30は、駆動回路142、信号出力端子144、及び接触用金座203を順に介して切替装置300に入力される。尚、調整用治具200により、駆動回路142の出力端(信号出力端子144)は抵抗143で終端される。切替装置300に入力された基準ドライバ信号A30は、信号出力端302から出力されて調整用ピンブロック103に入力される。尚、調整用ピンブロック103の信号入力端子135は抵抗136によって終端されている。
【0019】
基準ドライバ信号A30が調整用ピンブロック103に入力されると、電圧比較回路131で所定の電圧と比較され、その比較結果を示す信号が電圧比較回路131から論理比較器132に入力される。論理比較器132は、入力される判定ストロボ信号B31のタイミングで、電圧比較回路131からの信号の電圧と所定の判定電圧値とを比較し、その結果(パス又はフェイル)を示す信号を判定信号F30として制御装置105に出力する。制御装置105は、入力される判定信号F30を参照しつつ可変遅延量データD30を調整して可変遅延回路134における遅延量を制御し、判定信号F30がフェイル(H(ハイ))からパス(L(ロー))に変化するときの可変遅延量データD30の値を求める。以上の処理によって、判定ストロボ信号B31のタイミング調整が行われる。
【0020】
次に、制御装置105は、調整手順データで規定された調整手順を全て実行して調整が終了したか否かを判断する(ステップS103)。調整が終了していないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、制御装置105は、切替装置300を制御して調整対象のピンブロックが接続された接触用金座に接触端子301を接触させる(ステップS104)。例えば、調整対象のピンブロックがドライバピンブロック101aであるとすると、制御装置105は、切替装置300を制御して接触端子301を調整用治具200に設けられた接触用金座201aに接触させる。
【0021】
次いで、制御装置105は、ステップS102でタイミング調整を行った調整用ピンブロックを用いて、調整対象のピンブロックの調整を行う(ステップS105)。ここで、ドライバピンブロック101aが調整対象であるとすると、ドライバピンブロック101aの信号出力端子114aから出力されたドライバ信号が、接触用金座201aを介して切替装置300に入力される。尚、駆動回路113の出力端(信号出力端子114a)は終端されておらず開放端となっている。
【0022】
切替装置300に入力されたドライバ信号は、信号出力端302から出力されて調整用ピンブロック103に入力される。このドライバ信号は、調整用ピンブロック103の電圧比較回路131を介して論理比較器132に入力され、タイミング調整が行われた判定ストロボ信号B31のタイミングで所定の判定電圧値との比較が行われ、その結果(パス又はフェイル)を示す信号が判定信号F30として制御装置105に出力される。制御装置105は、入力される判定信号F30を参照しつつドライバピンブロック101aに与える可変遅延量データD10aを調整してドライバピンブロック101aから出力されるドライバ信号のタイミングを制御し、調整用ピンブロック103から出力される判定信号F30が変化したときにドライバピンブロック101aに与えている可変遅延量データD10aの値を求める。以上の処理によって、ドライバピンブロック101aのタイミング調整が行われる。
【0023】
次に、制御装置105は、調整対象のピンブロックを変更する。例えば、ドライバピンブロック101bを調整対象とする。そして、調整手順データで規定された調整手順を全て実行して調整が終了したか否かを判断し(ステップS103)、調整が終了していないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、上記と同じ手順でドライバピンブロック101bの調整を行う。尚、ここでは、ドライバピンブロックの調整について説明するが、IOピンブロック102a〜102nから出力されるドライバ信号のタイミング調整も同様の手順で行われる。
【0024】
調整手順データで規定される調整対象の全てについて、以上説明した調整が行われると、ステップS103の判断結果が「YES」となって一連の処理が終了する。尚、従来の半導体試験装置及びその調整方法の詳細については、例えば以下の特許文献1を参照されたい。
【特許文献1】特開2003−315411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
ところで、図9に示す通り、半導体試験装置100に設けられたドライバピンブロック101a〜101mの出力端(信号出力端子114a〜114m)は終端されておらず開放端となっている。これに対し、IOピンブロック102a〜102nの出力端(信号出力端子124a〜124n)は、調整用治具200によって信号入力端子125a〜125nとそれぞれ接続されて抵抗130によって終端されている。従来は、図10を用いて説明した通り、ドライバピンブロック101a〜101mから出力されるドライバ信号のタイミングを調整する場合、及びIOピンブロック102a〜102nから出力されるドライバ信号のタイミングを調整する場合の何れの場合であっても調整用ピンブロック103を用いて行っていた。
【0026】
ここで、調整用ピンブロック103の信号入力端子135は抵抗136により終端されているが、この抵抗136と切替装置300の線路上に存在する浮遊容量とによってフィルタ回路が形成されてしまう。このため、ドライバピンブロック101a〜101mのタイミング調整は、実際の使用時の状態(出力端が開放端となっている状態)とは異なる状態で行われるため、タイミング調整を行ったとしても実際の使用時のタイミングは100psec程度ずれてしまうという問題があった。
【0027】
また、従来は、1つの調整用ピンブロック103を用いて、ドライバピンブロック101a〜101m及びIOピンブロック102a〜102nのタイミング調整を順次行っている。ここで、ドライバピンブロック101a〜101m及びIOピンブロック102a〜102nは、それぞれ十数個〜数十個程度設けられているため、調整に長時間(例えば、数時間程度)を要し、試験に要するコストを上昇させる一因となっている。
【0028】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高精度のタイミング調整が可能であり、且つ短時間でタイミング調整を行うことができる半導体試験装置及びその調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記課題を解決するために、本発明の半導体試験装置は、被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を出力する複数の第1ピンブロック(11a〜11n)と、前記被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を出力するとともに当該信号入出力ピンから出力される信号を測定する複数の第2ピンブロック(12a〜12n)とを備える半導体試験装置(1)において、前記第1ピンブロックの信号出力端子(34a〜34n)並びに前記第2ピンブロックの信号入力端子(45a〜45n)及び信号出力端子(44a〜44n)を所定の接続状態にする交換可能な複数の調整用治具(3a〜3c)を備えることを特徴としている。
この発明によると、第1ピンブロックの信号出力端子並びに第2ピンブロックの信号入力端子及び信号出力端子を所定の接続状態にする複数の調整用治具を交換しつつ、第1ピンブロックの信号出力タイミング並びに第2ピンブロックの信号出力タイミング及び信号測定タイミングがそれぞれ並行して調整される。
また、本発明の半導体試験装置は、前記複数の調整用治具が、前記第1ピンブロックの信号出力端子の全てが互いに接続されるとともに、前記第2ピンブロックの信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された接続状態にする第1調整用治具(3a)と、前記第2ピンブロックの信号入力端子と信号出力端子とが、前記第2ピンブロック毎に接続された接続状態にする第2調整用治具(3b)と、前記第1ピンブロックの信号出力端子と前記第2ピンブロックの信号入力端子とが一対一に接続された接続状態にする第3調整用治具(3c)とを含むことを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記複数の調整用治具の交換制御を行うとともに、前記第1ピンブロックにおける信号出力タイミング、並びに、前記第2ピンブロックにおける信号出力タイミング及び信号測定タイミングを制御する制御装置(13)を備えることを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記第1調整用治具により信号出力端子の全てが互いに接続された第1ピンブロックから出力される信号と、前記第1調整用治具により信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された第2ピンブロックから出力される信号とを測定する測定装置(5)を備えることを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記制御装置が、前記第1調整用治具により信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された第2ピンブロックから出力される信号を当該第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、当該第2ピンブロックの各々における信号測定タイミングを制御することを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記制御装置が、前記第2調整用治具により信号入力端子と信号出力端子とが前記第2ピンブロック毎に接続されている状態で、前記第2ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、当該第2ピンブロックの各々における信号出力タイミングを制御することを特徴としている。
また、本発明の半導体試験装置は、前記制御装置が、前記第3調整用治具により前記第1ピンブロックの信号出力端子と前記第2ピンブロックの信号入力端子とが一対一に接続されている状態で、前記第1ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、当該第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを制御することを特徴としている。
更に、本発明の半導体試験装置は、前記制御装置が、前記測定装置の測定結果を加味して第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを制御することを特徴としている。
本発明の半導体試験装置の調整方法は、被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を出力する複数の第1ピンブロック(11a〜11n)と、前記被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を出力するとともに当該信号入出力ピンから出力される信号を測定する複数の第2ピンブロック(12a〜12n)とを備える半導体試験装置(1)の調整方法において、前記第1ピンブロックの信号出力端子(34a〜34n)の全てを互いに接続するとともに、前記第2ピンブロックの信号入力端子(45a〜45n)及び信号出力端子(44a〜44n)の全てを互いに接続する第1調整用治具(3a)を配置する第1ステップ(S12)と、信号出力端子の全てが互いに接続された前記第1ピンブロックから出力される信号と、信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された前記第2ピンブロックから出力される信号とを測定する第2ステップ(S13)と、信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された前記第2ピンブロックから出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、前記第2ピンブロックの各々における信号測定タイミングを調整する第3ステップ(S14)と、前記第2ピンブロックの信号入力端子と信号出力端子とを、前記第2ピンブロック毎に接続する第2調整用治具(3b)を配置する第4ステップ(S15)と、前記第2ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、前記第2ピンブロックの各々における信号出力タイミングを調整する第5ステップ(S16)と、前記第1ピンブロックの信号出力端子と前記第2ピンブロックの信号入力端子とを一対一に接続する第3調整用治具(3c)を配置する第6ステップ(S17)と、前記第1ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、前記第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを、前記第2ステップで得られた測定結果を加味しつつ調整する第7ステップ(S18)とを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、第1ピンブロックの信号出力端子と、第2ピンブロックの信号出力端子及び信号入力端子とを所定の接続関係にする調整治具を交換しつつ、第2ピンブロックの信号測定タイミング、第2ピンブロックの信号出力タイミング、及び第1ピンブロックの信号出力タイミングをそれぞれ並行して調整しているため、半導体試験装置のタイミング調整を短時間で行うことができるという効果がある。
また、信号出力端子の全てが互いに接続された前記第1ピンブロックから出力される信号と、信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された前記第2ピンブロックから出力される信号とを測定し、この測定結果を加味しつつ第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを調整しているため、高精度のタイミング調整を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による半導体試験装置及びその調整方法について詳細に説明する。図1〜図3は、本発明の一実施形態による半導体試験装置の要部構成を示す図である。図1〜図3に示す通り、本実施形態の半導体試験装置1は、半導体試験装置本体2、調整用治具3a〜3c、切替装置4、及びオシロスコープ5(測定装置)を備える。尚、図1においては半導体試験装置本体2の被試験デバイス(図示省略)とのインターフェイス部に、調整用治具3a(第1調整用治具)、切替装置4、及びオシロスコープ5が配置されており、図2においては同インターフェイス部に調整用治具3b(第2調整用治具)が配置されており、図3においては同インターフェイス部に調整用治具3c(第3調整用治具)が配置されている状態を図示している。
【0032】
図1〜図3に示す通り、本実施形態の半導体試験装置1の半導体試験装置本体2は、複数のドライバピンブロック11a〜11n、複数のIO(Input/Output)ピンブロック12a〜12n、及び制御装置13を備えている。尚、本実施形態では、説明の簡単のために、ドライバピンブロック11a〜11nの数とIOピンブロック12a〜12nの数とが同数であるとする。
【0033】
ドライバピンブロック11a〜11nは、被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を生成して信号出力端子34a〜34nからそれぞれ出力するものである。尚、被試験デバイスがメモリである場合には、上記の信号入力ピンは例えばアドレスピンに相当する。ドライバピンブロック11a〜11nは、ドライバ信号発生回路31、可変遅延回路32、及び駆動回路(ドライバ)33を備える。尚、図1〜図3においては、図示の都合上、ドライバピンブロック11aの内部構成のみを図示しているが、他のドライバピンブロック11b〜11nの内部構成も同様である。
【0034】
ドライバ信号発生回路31は、パターン発生部(図示省略)から出力される試験パターンを用いてドライバ信号A1aを生成する。可変遅延回路32は、制御装置13から出力される可変遅延量データD1aに応じた時間だけドライバ信号A1aを遅延させる。駆動回路33は、可変遅延回路32からのドライバ信号を信号出力端子に出力する。尚、ドライバピンブロック11b〜11nには、制御装置13から出力される可変遅延量データD1b〜D1nがそれぞれ入力される。
【0035】
IOピンブロック12a〜12nは、被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を生成して信号出力端子44a〜44nからそれぞれ出力するとともに、被試験デバイスの信号入出力ピンから出力されて信号入力端子45a〜45nから入力される信号をそれぞれ測定するものである。尚、被試験デバイスがメモリである場合には、上記の信号入出力ピンは例えばデータピンに相当する。IOピンブロック12a〜12nは、ドライバ信号発生回路41、可変遅延回路42、駆動回路(ドライバ)43、電圧比較回路(コンパレータ)46、論理比較器47、タイミング発生回路48、可変遅延回路49、及び抵抗50を備える。尚、図1〜図3においては、図示の都合上、IOピンブロック12aの内部構成のみを図示しているが、他のIOピンブロック12b〜12nの内部構成も同様である。
【0036】
ドライバ信号発生回路41、可変遅延回路42、及び駆動回路43は、ドライバピンブロック11a〜11nに設けられたドライバ信号発生回路31、可変遅延回路32、及び駆動回路33とそれぞれ同様のものである。尚、ドライバ信号発生回路41から出力されるドライバ信号A2aの可変遅延回路42における遅延量は、制御装置13から出力される可変遅延量データD2aに基づいて設定される。
【0037】
電圧比較回路46は、信号入力端子から入力される信号を所定の電圧と比較する。論理比較器47は、可変遅延回路49から出力される判定ストロボ信号B3aのタイミングで、電圧比較回路46から出力される信号の電圧と所定の判定電圧値とを比較し、その結果(パス又はフェイル)を示す信号を判定信号Faとして制御装置13に出力する。タイミング発生回路48は、被試験デバイスから出力される信号のパス/フェイルを判定するタイミングを規定する判定ストロボパルスB2aを生成する。可変遅延回路49は、制御装置13から出力される可変遅延量データD3aに応じた時間だけ判定ストロボパルスB2aを遅延させて判定ストロボ信号B3aとして出力する。抵抗50は、信号入力端子を終端するものであり、一端が信号入力端子(電圧比較回路46の入力端)に接続され、他端が所定の終端電圧が供給される電圧供給線に接続されている。
【0038】
尚、IOピンブロック12b〜12nには、制御装置13から出力される可変遅延量データD2b〜D2nがそれぞれ入力されるとともに、可変遅延量データD3b〜D3nがそれぞれ入力される。また、IOピンブロック12b〜12nの各々から出力される判定信号Fb〜Fnは、制御装置13に入力される。
【0039】
制御装置13は、半導体試験装置1の動作を統括的に制御する。具体的には、可変遅延量データD1a〜D1nを調整してドライバピンブロック11a〜11nの各々から出力されるドライバ信号のタイミング(信号出力タイミング)を制御するとともに、可変遅延量データD2a〜D2nを調整してIOピンブロック12a〜12nの各々から出力されるドライバ信号のタイミング(信号出力タイミング)を制御する。また、可変遅延量データD3a〜D3nを調整して、IOピンブロック12a〜12nの各々におけるパス/フェイルの判定タイミング(信号測定タイミング)を制御する。尚、制御装置13は、IOピンブロック12a〜12nの各々から出力される判定信号Fa〜Fnの値に応じて、ドライバピンブロック11a〜11nに対する可変遅延量データD1a〜D1n、IOピンブロック12a〜12nに対する可変遅延量データD2a〜D2nの調整を行う。更に、制御装置13は、半導体試験装置本体2の被試験デバイスとのインターフェイス部に配置する調整用治具3a〜3cの交換制御を行い、また切替装置4の制御も行う。
【0040】
調整用治具3a〜3cは、半導体試験装置本体2のインターフェイス部に対して交換可能に構成されている。これら調整用治具3a〜3cの何れかが半導体試験装置本体2のインターフェイス部に取り付けられた場合には、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34n、並びにIOピンブロック12a〜12nの信号出力端子44a〜44n及び信号入力端子45a〜45nを所定の接続状態にする。
【0041】
具体的には、調整用治具3aは、図1に示す通り、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34n及び調整用治具3aに設けられた接触用金座51a〜51nの全てが電気的に接続される状態にする。また、IOピンブロック12a〜12nの信号出力端子44a〜44n及び信号入力端子45a〜45n並びに調整用治具3aに設けられた接触用金座52a〜52nの全てが電気的に接続される状態にする。
【0042】
調整用治具3bは、図2に示す通り、ドライバピンブロック11aの信号出力端子34aが調整用治具3bに設けられた接触用金座61aに一対一で接続される状態にする。ドライバピンブロック11b〜11nについても同様に、信号出力端子34b〜34nが調整用治具3bに設けられた接触用金座61b〜61nに一対一で接続される状態にする。また、調整用治具3bは、IOピンブロック12aの信号出力端子44a及び信号入力端子45aが共に調整用治具3bに設けられた接触用金座62aに接続される状態にする。IOピンブロック12b〜12nについても同様に、信号出力端子44b〜44n及び信号入力端子45b〜45nが共に調整用治具3bに設けられた接触用金座62b〜62nにそれぞれ接続される状態にする。
【0043】
調整用治具3cは、図3に示す通り、ドライバピンブロック11aの信号出力端子34aが調整用治具3cに設けられた接触用金座71a,72aを介してIOピンブロック12aの信号入力端子45aに一対一に接続される状態にする。ドライバピンブロック11b〜11n及びIOピンブロック12b〜12nについても同様に、信号出力端子34b〜34nが調整用治具3bに設けられた接触用金座71b〜71n及び接触用金座72b〜72nをそれぞれ介して信号入力端子45b〜45nに一対一に接続される状態にする。
【0044】
切替装置4は、移動可能に構成された接触端子4aと、接触端子4aに電気的に接続された信号出力端4bとを備えており、信号出力端4bと電気的に接続される接触用金座を切り替えるものである。つまり、接触端子4aを接触用金座51a〜51n,52a〜52の何れに接触させるかによって、信号出力端4bと電気的に接続される接触用金座が切り替わる。但し、図1に示す通り、接触用金座51a〜51nは互いに電気的に接続されており、接触用金座52a〜52nは互いに電気的に接続されている。このため、接触用金座51a〜51nの中で接触端子4aを接触させる接触用金座を変えても意味はない。接触用金座52a〜52nの中で接触端子4aを接触させる接触用金座を変える場合も同様である。
【0045】
尚、ここでは、移動可能な1つの接触端子4aを備える場合を例に挙げて説明するが、切替装置4は接触用金座51a〜51nと電気的に接触する接触端子と、接触用金座52a〜52と電気的に接触する接触端子とを設け、リレー等によって信号出力端4bと電気的に接続される接触端子を切り替える構成のものであっても良い。また、切替装置4は、接触用金座51a〜51n,52a〜52nと接触する接触端子4a側におけるインピーダンスが極力高インピーダンスであることが望ましい。
【0046】
オシロスコープ5は、切替装置4の出力端4bに接続されており、出力端4bから出力される信号を測定する。具体的には、電気的に互いに接続されたドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34nから信号が出力されてから、その信号の電圧が所定の電圧になるまでの時間を測定する。同様に、電気的に互いに接続されたIOピンブロック12a〜12nの信号出力端子44a〜44nから信号が出力されてから、その信号の電圧が所定の電圧になるまでの時間を測定する。
【0047】
次に、半導体試験装置1の調整方法について説明する。図4は、本発明の一実施形態における半導体試験装置の調整方法を示すフローチャートである。処理が開始されると、まず半導体試験装置本体2に設けられた制御装置13は、予めユーザによって作成された調整手順データを読み込む(ステップS11)。この調整手順データは、調整対象のピンブロックを特定するデータ、及び調整手順を示すデータを含むデータである。
【0048】
次いで、制御装置13は、読み込んだ調整手順データに従って、半導体試験装置本体2の被試験デバイスとのインターフェイス部に調整用治具3a及び切替装置4を配置する(ステップS12:第1ステップ)。これにより、図1に示す通り、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34n及び調整用治具3aに設けられた接触用金座51a〜51nの全てが電気的に接続され、また、IOピンブロック12a〜12nの信号出力端子44a〜44n及び信号入力端子45a〜45n並びに調整用治具3aに設けられた接触用金座52a〜52nの全てが電気的に接続された状態になる。
【0049】
以上の処理が終了すると、オシロスコープ5を用いてドライバピンブロック11a〜11n及びIOピンブロック12a〜12nの信号出力タイミングの測定が行われる(ステップS13:第2ステップ)。具体的には、まず、制御装置13が、ドライバピンブロック11a〜11nの各々に設けられた可変遅延回路32、及びIOピンブロック12a〜12nの各々に設けられた可変遅延回路42に対して、同一の値に設定された可変遅延量データD1a〜D1n,D2a〜D2nをそれぞれ与える。尚、可変遅延量データD1a〜D1n,D2a〜D2nの値は、同一の値であれば、最大値、最小値、及び中間値の何れでも良い。
【0050】
次に、制御装置13は、切替装置4を制御して調整用治具3aに設けられた接触用金座51a〜51nの何れかに接触端子4aを接触させる。そして、制御装置13は、ドライバピンブロック11a〜11nの各々から振幅が同一のドライバ信号を同一のタイミングで出力させる。ドライバピンブロック11a〜11nの各々から出力されたドライバ信号は調整用金座3aによって合成され、この合成されたドライバ信号は、接触端子4aを介して切替装置4に入力された後に出力端4bから出力されてオシロスコープ5に入力され、その遅延時間が測定される。尚、この遅延時間は、オシロスコープに入力されているトリガ信号と出力端4bから出力される信号との時間差である。
【0051】
次いで、制御装置13は、切替装置4を制御して調整用治具3aに設けられた接触用金座52a〜52nの何れかに接触端子4aを接触させる。そして、制御装置13は、IOピンブロック12a〜12nの各々から振幅が同一のドライバ信号を同一のタイミングで出力させる。IOピンブロック12a〜12nの各々から出力されたドライバ信号は、接触端子4aを介して切替装置4に入力された後に出力端4bから出力されてオシロスコープ5に入力され、その遅延時間が測定される。尚、この遅延時間は、上記と同様に、オシロスコープに入力されているトリガ信号と出力端4bから出力される信号との時間差である。
【0052】
図5は、オシロスコープ5に入力されるドライバ信号の電圧の時間変化の一例を示す図である。図5において、符号R1を付した曲線はドライバピンブロック11a〜11nの各々から出力されて合成されたドライバ信号の電圧の時間変化を示す観測波形であり、符号R2を付した曲線はIOピンブロック12a〜12nの各々から出力されて合成されたドライバ信号の電圧の時間変化を示す観測波形である。オシロスコープ5は、入力される信号の電圧と予め設定された閾電圧V0とを比較し、入力される信号の電圧が閾電圧V0になるまでの時間を測定する。
【0053】
図5に示す例では、ドライバピンブロック11a〜11nの各々から出力されて合成されたドライバ信号(曲線R1)の遅延時間はtd1であり、IOピンブロック12a〜12nの各々から出力されて合成されたドライバ信号(曲線R2)の遅延時間はtd2である。オシロスコープ5で測定された遅延時間は制御装置13に入力され、制御装置13は入力された遅延時間の差分(Δtd=|td1−td2|)を求め、この差分を補正データとして記憶する。尚、詳細は後述するが、この補正データΔtdは、ドライバピンブロック11a〜11nの各々の信号出力タイミングを調整する際に用いられる。
【0054】
オシロスコープ5を用いた測定を終えると、IOピンブロック12a〜12nの各々から出力されて合成されたドライバ信号を用いて、IOピンブロック12a〜12nにおける信号測定タイミングの調整が並行して行われる(ステップS14:第3ステップ)。具体的には、ステップS13と同様に、制御装置13が、IOピンブロック12a〜12nの各々から振幅が同一のドライバ信号を同一のタイミングで出力させる。IOピンブロック12a〜12nの各々から出力されたドライバ信号は調整用金座3aによって合成され、この合成された信号は入力端子45a〜45nを介してIOピンブロック12a〜12nの各々に入力される。尚、このときは接触用金座52a〜52nの何れにも接触端子4aが接触していない状態にするのが望ましい。
【0055】
ドライバ信号がIOピンブロック12a〜12nの各々に入力されると、IOピンブロック12a〜12n内の電圧比較回路46で所定の電圧とそれぞれ比較され、その比較結果を示す信号が電圧比較回路46から論理比較器47に入力される。IOピンブロック12a〜12nの各々の論理比較器47は、入力される判定ストロボ信号B3a〜B3nの各々のタイミングで、電圧比較回路46からの信号の電圧と所定の判定電圧値とを比較し、その結果(パス又はフェイル)を示す信号を判定信号Fa〜Fnとして制御装置13に出力する。制御装置13は、IOピンブロック12a〜12nの各々から出力される判定信号Fa〜Fnを参照しつつ可変遅延量データD3a〜D3nをそれぞれ個別に調整してIOピンブロック12a〜12nの各々に設けられた可変遅延回路49における遅延量を個別に制御し、判定信号Fa〜Fnの各々ががフェイル(H(ハイ))からパス(L(ロー))に変化するときの可変遅延量データD3a〜D3nの値を個別に求める。尚、以上の処理が、IOピンブロック12a〜12nの各々で並行して行われる。
【0056】
図6は、IOピンブロック12a,12nにおける信号測定タイミング調整を説明するための図である。尚、ここではIOピンブロック12a,12nを例に挙げて説明するが、他のIOピンブロックについても同様の方法で信号測定タイミング調整が行われる。図6において、符号R11を付した曲線はIOピンブロック12aに入力されるドライバ信号の電圧の時間変化を示す観測波形であり、符号R12を付した曲線はIOピンブロック12nに入力されるドライバ信号の電圧の時間変化を示す観測波形である。また、図6においては、IOピンブロック12aで用いられる判定ストロボ信号B3a及びIOピンブロック12aから出力される判定信号Faをドライバ信号R11とともに図示している。同様に、IOピンブロック12nで用いられる判定ストロボ信号B3n(図1〜図3においては図示省略)及びIOピンブロック12nから出力される判定信号Fnをドライバ信号R12とともに図示している。
【0057】
尚、図6においては、ドライバ信号R11とともに図示された判定ストロボ信号B3a及び判定信号Faが3組あるが、これは制御装置13からIOピンブロック12aに出力される可変遅延量データD3aの値を「0」,「5」,「10」に設定したときの判定ストロボ信号B3a及び判定信号Faをそれぞれ示している。同様に、ドライバ信号R12とともに図示された判定ストロボ信号B3n及び判定信号Fnが4組あるが、これは制御装置13からIOピンブロック12nに出力される可変遅延量データD3nの値を「0」,「5」,「10」,「18」に設定したときの判定ストロボ信号B3n及び判定信号Fnをそれぞれ示している。
【0058】
ここで、最初にIOピンブロック12aの信号測定タイミング調整について説明する。前述した通り、IOピンブロック12aに入力されたドライバ信号R11は、電圧比較器46を介して論理比較器47に入力され、判定ストロボ信号B3aのタイミング(立ち上がりのタイミング)で所定の判定電圧値V1と比較され、その結果(パス又はフェイル)を示す信号が判定信号Faとして制御装置13に出力される。図6に示す通り、可変遅延量データD3aの値が「0」又は「5」に設定されている場合には、判定ストロボ信号B3aの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R11の電圧値は判定電圧値V1より低いため、判定信号Faはフェイル(H)となる。一方、可変遅延量データD3aの値が「10」に設定されている場合には、判定ストロボ信号B3aの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R11の電圧値は判定電圧値V1であるため、判定信号Faはパス(L)となる。制御装置13は、判定信号Faがフェイル(H)からパス(L)に変化したときの可変遅延量データD3aの値(図6に示す例では「10」)を、IOピンブロック12aの信号測定タイミング調整値として求める。
【0059】
次に、IOピンブロック12nの信号測定タイミング調整について説明する。IOピンブロック12nに入力されたドライバ信号R12も判定ストロボ信号B3nのタイミング(立ち上がりのタイミング)で所定の判定電圧値V2と比較され、その結果(パス又はフェイル)を示す信号が判定信号Fnとして制御装置13に出力される。図6に示す通り、可変遅延量データD3nの値が「0」,「5」,又は「10」に設定されている場合には、判定ストロボ信号B3nの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R12の電圧値は判定電圧値V2より低いため、判定信号Fnはフェイル(H)となる。一方、可変遅延量データD3nの値が「18」に設定されている場合には、判定ストロボ信号B3nの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R12の電圧値は判定電圧値V2であるため、判定信号Fnはパス(L)となる。制御装置13は、判定信号Fnがフェイル(H)からパス(L)に変化したときの可変遅延量データD3nの値(図6に示す例では「18」)を、IOピンブロック12nの信号測定タイミング調整値として求める。
【0060】
制御装置13は、以上の処理をIOピンブロック12a〜12nの各々について並行して行い、IOピンブロック12a〜12nの信号測定タイミング調整値をそれぞれ求める。以上の処理が終了すると、制御装置13は、求めた信号測定タイミング調整値を可変遅延量データD3a〜D3nとしてIOピンブロック12a〜12nの各々に出力して各IOピンブロック12a〜12nに設けられた可変遅延回路49における遅延量を設定する。これにより、IOピンブロック12a〜12nにおける信号測定タイミング調整が完了する。
【0061】
以上の処理が終了すると、制御装置13は、読み込んだ調整手順データに従って、半導体試験装置本体2のインターフェイス部に配置されている調整用治具3a及び切替装置4を取り外すとともに、半導体試験装置本体2のインターフェイス部に調整用治具3bを配置する(ステップS15:第4ステップ)。これにより、図2に示す通り、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34nが調整用治具3bに設けられた接触用金座61a〜61nにそれぞれ一対一で接続され、また、IOピンブロック12a〜12nの信号出力端子44a〜44n及び信号入力端子45a〜45nが調整用治具3bに設けられた接触用金座62a〜62nにそれぞれ接続された状態になる。
【0062】
次に、IOピンブロック12a〜12nの各々における信号出力タイミング調整が並行して行われる(ステップS16:第5ステップ)。具体的には、制御装置13が、IOピンブロック12a〜12nからドライバ信号を出力させる。IOピンブロック12a〜12nから出力されたドライバ信号はIOピンブロック12a〜12nにそれぞれ入力される。ここで、IOピンブロック12aを例に挙げると、図2に示す通り、調整用治具3bによってIOピンブロック12aの信号出力端44aと信号入力端45aとが電気的に接続されているため、信号出力端44aから出力されたドライバ信号は、信号入力端45aから信号測定タイミング調整が完了したIOピンブロック12aに入力される。
【0063】
IOピンブロック12aに入力されたドライバ信号は、論理比較器47において所定の判定電圧値と比較され、その結果(パス又はフェイル)を示す信号が判定信号Faとして制御装置13に出力される。制御装置13は、IOピンブロック12aから出力される判定信号Faを参照しつつIOピンブロック12aに与える可変遅延量データD2aを調整して可変遅延回路42における遅延量を制御し、判定信号Faがパス(L)からフェイル(H)に変化するときの可変遅延量データD2aの値を求める。以上の処理がIOピンブロック12a〜12nについて並行して行われ、IOピンブロック12a〜12nの各々における信号出力タイミング調整が行われる。
【0064】
図7は、IOピンブロック12a,12nにおける信号出力タイミング調整を説明するための図である。尚、ここではIOピンブロック12a,12nを例に挙げて説明するが、他のIOピンブロックについても同様の方法で信号出力タイミング調整が行われる。図7において、符号R21を付した曲線は信号出力タイミング調整前にIOピンブロック12aから出力されたドライバ信号(IOピンブロック12aに入力されたドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形であり、符号R22を付した曲線は信号出力タイミング調整後にIOピンブロック12aから出力されるドライバ信号(IOピンブロック12aに入力されるドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形である。
【0065】
また、図7において、符号R31を付した曲線は信号出力タイミング調整前にIOピンブロック12nから出力されたドライバ信号(IOピンブロック12nに入力されたドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形であり、符号R32を付した曲線は信号出力タイミング調整後にIOピンブロック12nから出力されるドライバ信号(IOピンブロック12nに入力されるドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形である。更に、図7においては、IOピンブロック12aで用いられる判定ストロボ信号B3a及びIOピンブロック12aから出力される判定信号Faをドライバ信号R21,R22とともに図示している。同様に、IOピンブロック12nで用いられる判定ストロボ信号B3n及びIOピンブロック12nから出力される判定信号Fnをドライバ信号R31,R32とともに図示している。
【0066】
ここで、最初にIOピンブロック12aの信号出力タイミング調整について説明する。図7に示すドライバ信号R21がIOピンブロック12aに入力されると、判定ストロボ信号B3aの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R21の電圧値は判定電圧値V1以上であるため、図7中において破線で示す通り、判定信号Faはパス(L)となる。一方、制御装置13がIOピンブロック12aに与える可変遅延量データD2aを可変させて図7に示すドライバ信号R22がIOピンブロック12aに入力されると、判定ストロボ信号B3aの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R22の電圧値は判定電圧値V1よりも低いため、図7中において実線で示す通り、判定信号Faはフェイル(H)となる。制御装置13は、判定信号Faがパス(L)からフェイル(H)に変化したときの可変遅延量データD2aの値を、IOピンブロック12aの信号出力タイミング調整値として求める。
【0067】
次に、IOピンブロック12nの信号出力タイミング調整について説明する。図7に示すドライバ信号R31がIOピンブロック12nに入力されると、判定ストロボ信号B3nの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R31の電圧値は判定電圧値V2以上であるため、図7中において破線で示す通り、判定信号Fnはパス(L)となる。一方、制御装置13がIOピンブロック12nに与える可変遅延量データD2nを可変させて図7に示すドライバ信号R32がIOピンブロック12nに入力されると、判定ストロボ信号B3nの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R32の電圧値は判定電圧値V2よりも低いため、図7中において実線で示す通り、判定信号Fnはフェイル(H)となる。制御装置13は、判定信号Fnがパス(L)からフェイル(H)に変化したときの可変遅延量データD2nの値を、IOピンブロック12nの信号出力タイミング調整値として求める。
【0068】
制御装置13は、以上の処理をIOピンブロック12a〜12nの各々について並行して行い、IOピンブロック12a〜12nの信号出力タイミング調整値をそれぞれ求める。以上の処理が終了すると、制御装置13は、求めた信号出力タイミング調整値を可変遅延量データD2a〜D2nとしてIOピンブロック12a〜12nの各々に出力して各IOピンブロック12a〜12nに設けられた可変遅延回路42における遅延量を設定する。これにより、IOピンブロック12a〜12nにおける信号出力タイミング調整が完了する。尚、図7において、IOピンブロック12aで用いられる判定ストロボ信号B3aのタイミングと、IOピンブロック12nで用いられる判定ストロボ信号B3aのタイミングとがΔt0だけずれているが、これは図2に示す接触用金座52aからIOピンブロック12aに設けられた論理比較器47までの信号遅延量と、接触用金座52nからIOピンブロック12nに設けられた論理比較器47までの信号遅延量とが異なるからである。
【0069】
以上の処理が終了すると、制御装置13は、読み込んだ調整手順データに従って、半導体試験装置本体2のインターフェイス部に配置されている調整用治具3bを取り外すとともに、半導体試験装置本体2のインターフェイス部に調整用治具3cを配置する(ステップS17:第6ステップ)。これにより、図3に示す通り、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34nがIOピンブロック12a〜12nの信号入力端子45a〜45nにそれぞれ一対一に接続された状態になる。
【0070】
次に、ドライバピンブロック11a〜11nの各々における信号出力タイミング調整が並行して行われる(ステップS18:第7ステップ)。具体的には、まず制御装置13がステップS13で求めた補正データΔtdを用いてIOピンブロック12a〜12nの各々における信号測定タイミングを補正する。これは、ドライバピンブロック11a〜11nの出力端子34a〜34nは開放端になっており、図5に示す通り、ドライバピンブロック11a〜11nから出力されるドライバ信号と、IOピンブロック12a〜12nから出力されるドライバ信号との間には時間ずれが生ずるからである。
【0071】
以上の補正が終了すると、制御装置13は、ドライバピンブロック11a〜11nからドライバ信号を出力させる。ドライバピンブロック11a〜11nから出力されたドライバ信号はIOピンブロック12a〜12nにそれぞれ入力される。IOピンブロック12a〜12nにそれぞれ入力されたドライバ信号は、論理比較器47において所定の判定電圧値と比較され、その結果(パス又はフェイル)を示す信号が判定信号Fa〜Fnとして制御装置13に出力される。制御装置13は、IOピンブロック12aから出力される判定信号Faを参照しつつドライバピンブロック11aに与える可変遅延量データD1aを調整して可変遅延回路32における遅延量を制御し、判定信号Faがパス(L)からフェイル(H)に変化するときの可変遅延量データD1aの値を求める。以上の処理がドライバピンブロック11a〜11nについて並行して行われ、ドライバピンブロック11a〜11nの各々における信号出力タイミング調整が行われる。
【0072】
図8は、ドライバピンブロック11a,11nにおける信号出力タイミング調整を説明するための図である。尚、ここではドライバピンブロック11a,11nを例に挙げて説明するが、他のドライバピンブロックについても同様の方法で信号出力タイミング調整が行われる。図8において、符号R41を付した曲線は信号出力タイミング調整前にドライバピンブロック11aから出力されたドライバ信号(IOピンブロック12aに入力されたドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形であり、符号R42を付した曲線は信号出力タイミング調整後にドライバピンブロック11aから出力されるドライバ信号(IOピンブロック12aに入力されるドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形である。
【0073】
また、図8において、符号R51を付した曲線は信号出力タイミング調整前にドライバピンブロック11nから出力されたドライバ信号(IOピンブロック12nに入力されたドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形であり、符号R52を付した曲線は信号出力タイミング調整後にドライバピンブロック11nから出力されるドライバ信号(IOピンブロック12nに入力されるドライバ信号)の電圧の時間変化を示す観測波形である。更に、図8においては、IOピンブロック12aで用いられる判定ストロボ信号B3a及びIOピンブロック12aから出力される判定信号Faをドライバ信号R41,R42とともに図示している。同様に、IOピンブロック12nで用いられる判定ストロボ信号B3n及びIOピンブロック12nから出力される判定信号Fnをドライバ信号R51,R52とともに図示している。
【0074】
ここで、図8中において破線で示す判定ストロボ信号B3a,B3nは、ステップS14で信号測定タイミングが調整されたIOピンブロック12a,12nで用いられる判定ストロボ信号をそれぞれ表している。一方、図8中において実線で示す判定ストロボ信号B3a,B3nは、制御装置13によって補正データΔtdの分だけ信号測定タイミングが補正されたIOピンブロック12a,12nで用いられる判定ストロボ信号をそれぞれ表している。図5を参照すると、ドライバ信号R2に対してドライバ信号R1が先行しているため、破線で示す判定ストロボ信号よりも実線で示す判定ストロボ信号が補正データΔtdの分だけ時間的に先行している。
【0075】
最初にドライバピンブロック11aの信号出力タイミング調整について説明する。図8に示すドライバ信号R41がIOピンブロック12aに入力されると、実線で示す判定ストロボ信号B3aの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R41の電圧値は判定電圧値V1以上であるため、図8中において破線で示す通り、判定信号Faはパス(L)となる。一方、制御装置13がドライバピンブロック11aに与える可変遅延量データD1aを可変させて図8に示すドライバ信号R42がIOピンブロック12aに入力されると、判定ストロボ信号B3aの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R42の電圧値は判定電圧値V1よりも低いため、図8中において実線で示す通り、判定信号Faはフェイル(H)となる。制御装置13は、判定信号Faがパス(L)からフェイル(H)に変化したときの可変遅延量データD1aの値を、ドライバピンブロック11aの信号出力タイミング調整値として求める。
【0076】
次に、ドライバピンブロック11nの信号出力タイミング調整について説明する。図8に示すドライバ信号R51がIOピンブロック12nに入力されると、実線で示す判定ストロボ信号B3nの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R51の電圧値は判定電圧値V2以上であるため、図8中において破線で示す通り、判定信号Fnはパス(L)となる。一方、制御装置13がドライバピンブロック11nに与える可変遅延量データD1nを可変させて図8に示すドライバ信号R52がIOピンブロック12nに入力されると、判定ストロボ信号B3nの立ち上がりのタイミングにおけるドライバ信号R52の電圧値は判定電圧値V2よりも低いため、図8中において実線で示す通り、判定信号Fnはフェイル(H)となる。制御装置13は、判定信号Fnがパス(L)からフェイル(H)に変化したときの可変遅延量データD1nの値を、ドライバピンブロック11nの信号出力タイミング調整値として求める。
【0077】
制御装置13は、以上の処理をドライバピンブロック11a〜11nの各々について並行して行い、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力タイミング調整値をそれぞれ求める。以上の処理が終了すると、制御装置13は、求めた信号出力タイミング調整値を可変遅延量データD1a〜D1nとしてドライバピンブロック11a〜11nの各々に出力して各ドライバピンブロック11a〜11nに設けられた可変遅延回路32における遅延量を設定する。これにより、ドライバピンブロック11a〜11nにおける信号出力タイミング調整が完了する。
【0078】
以上説明した本実施形態の半導体試験装置1及びその調整方法においては、ドライバピンブロック11a〜11nの信号出力端子34a〜34nと、IOピンブロック12a〜12bの信号出力端子44a〜44n及び信号入力端子45a〜45nとを所定の接続関係にする調整治具3a〜3cを交換しつつ、IOピンブロック12a〜12bの信号測定タイミング、IOピンブロック12a〜12bの信号出力タイミング、及びドライバピンブロック11a〜11nの信号出力タイミングをそれぞれ並行して調整している。このため、半導体試験装置1のタイミング調整を短時間で行うことができる。具体的には、従来は数時間程度要していた調整時間を半分以下に短縮することができる。
【0079】
また、本実施形態の半導体試験装置1及びその調整方法は、ドライバピンブロック11a〜11nの各々から出力されるドライバ信号を合成した信号の遅延時間と、IOピンブロック12a〜12bの各々から出力されるドライバ信号を合成した信号の遅延時間をオシロスコープ5を用いて測定している。そして、これらの差を示す補正データΔtdを求め、これを加味してドライバピンブロック11a〜11nの信号出力タイミングを調整している。このため、ドライバピンブロック11a〜11nの実際の使用時の状態(出力端が開放端となっている状態)での出力信号タイミング調整を行うことができ、高精度のタイミング調整が可能である。
【0080】
以上、本発明の実施形態による半導体試験装置及びその調整方法について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、説明の簡単のためにドライバピンブロック11a〜11nの数とIOピンブロック12a〜12nの数とが同数である場合を例に挙げて説明したが、これらの数が異なる場合であっても本発明を適用することができる。かかる場合において、ドライバピンブロック11a〜11nの数がIOピンブロック12a〜12nの数よりも多いときには、信号出力タイミングの調整を行うことができないドライバピンブロックが存在することになる。しかしながら、このようなドライバピンブロックをIOピンブロックと接続する新たな調整用治具を用意することで対応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施形態による半導体試験装置の要部構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による半導体試験装置の要部構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による半導体試験装置の要部構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態における半導体試験装置の調整方法を示すフローチャートである。
【図5】オシロスコープ5に入力されるドライバ信号の電圧の時間変化の一例を示す図である。
【図6】IOピンブロック12a,12nにおける信号測定タイミング調整を説明するための図である。
【図7】IOピンブロック12a,12nにおける信号出力タイミング調整を説明するための図である。
【図8】ドライバピンブロック11a,11nにおける信号出力タイミング調整を説明するための図である。
【図9】従来の半導体試験装置の要部構成を示す図である。
【図10】従来の半導体試験装置の調整方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1 半導体試験装置
3a〜3c 調整用治具
5 オシロスコープ
11a〜11n ドライバピンブロック
12a〜12n IOピンブロック
13 制御装置
34a〜34n 信号出力端子
44a〜44n 信号出力端子
45a〜45n 信号入力端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を出力する複数の第1ピンブロックと、前記被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を出力するとともに当該信号入出力ピンから出力される信号を測定する複数の第2ピンブロックとを備える半導体試験装置において、
前記第1ピンブロックの信号出力端子並びに前記第2ピンブロックの信号入力端子及び信号出力端子を所定の接続状態にする交換可能な複数の調整用治具を備えることを特徴とする半導体試験装置。
【請求項2】
前記複数の調整用治具は、
前記第1ピンブロックの信号出力端子の全てが互いに接続されるとともに、前記第2ピンブロックの信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された接続状態にする第1調整用治具と、
前記第2ピンブロックの信号入力端子と信号出力端子とが、前記第2ピンブロック毎に接続された接続状態にする第2調整用治具と、
前記第1ピンブロックの信号出力端子と前記第2ピンブロックの信号入力端子とが一対一に接続された接続状態にする第3調整用治具と
を含むことを特徴とする請求項1記載の半導体試験装置。
【請求項3】
前記複数の調整用治具の交換制御を行うとともに、前記第1ピンブロックにおける信号出力タイミング、並びに、前記第2ピンブロックにおける信号出力タイミング及び信号測定タイミングを制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項2記載の半導体試験装置。
【請求項4】
前記第1調整用治具により信号出力端子の全てが互いに接続された第1ピンブロックから出力される信号と、前記第1調整用治具により信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された第2ピンブロックから出力される信号とを測定する測定装置を備えることを特徴とする請求項3記載の半導体試験装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1調整用治具により信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された第2ピンブロックから出力される信号を当該第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、当該第2ピンブロックの各々における信号測定タイミングを制御することを特徴とする請求項4記載の半導体試験装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第2調整用治具により信号入力端子と信号出力端子とが前記第2ピンブロック毎に接続されている状態で、前記第2ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、当該第2ピンブロックの各々における信号出力タイミングを制御することを特徴とする請求項5記載の半導体試験装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第3調整用治具により前記第1ピンブロックの信号出力端子と前記第2ピンブロックの信号入力端子とが一対一に接続されている状態で、前記第1ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、当該第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを制御することを特徴とする請求項6記載の半導体試験装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記測定装置の測定結果を加味して第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを制御することを特徴とする請求項7記載の半導体試験装置。
【請求項9】
被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を出力する複数の第1ピンブロックと、前記被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を出力するとともに当該信号入出力ピンから出力される信号を測定する複数の第2ピンブロックとを備える半導体試験装置の調整方法において、
前記第1ピンブロックの信号出力端子の全てを互いに接続するとともに、前記第2ピンブロックの信号入力端子及び信号出力端子の全てを互いに接続する第1調整用治具を配置する第1ステップと、
信号出力端子の全てが互いに接続された前記第1ピンブロックから出力される信号と、信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された前記第2ピンブロックから出力される信号とを測定する第2ステップと、
信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された前記第2ピンブロックから出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、前記第2ピンブロックの各々における信号測定タイミングを調整する第3ステップと、
前記第2ピンブロックの信号入力端子と信号出力端子とを、前記第2ピンブロック毎に接続する第2調整用治具を配置する第4ステップと、
前記第2ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、前記第2ピンブロックの各々における信号出力タイミングを調整する第5ステップと、
前記第1ピンブロックの信号出力端子と前記第2ピンブロックの信号入力端子とを一対一に接続する第3調整用治具を配置する第6ステップと、
前記第1ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、前記第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを、前記第2ステップで得られた測定結果を加味しつつ調整する第7ステップと
を含むことを特徴とする半導体試験装置の調整方法。
【請求項1】
被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を出力する複数の第1ピンブロックと、前記被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を出力するとともに当該信号入出力ピンから出力される信号を測定する複数の第2ピンブロックとを備える半導体試験装置において、
前記第1ピンブロックの信号出力端子並びに前記第2ピンブロックの信号入力端子及び信号出力端子を所定の接続状態にする交換可能な複数の調整用治具を備えることを特徴とする半導体試験装置。
【請求項2】
前記複数の調整用治具は、
前記第1ピンブロックの信号出力端子の全てが互いに接続されるとともに、前記第2ピンブロックの信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された接続状態にする第1調整用治具と、
前記第2ピンブロックの信号入力端子と信号出力端子とが、前記第2ピンブロック毎に接続された接続状態にする第2調整用治具と、
前記第1ピンブロックの信号出力端子と前記第2ピンブロックの信号入力端子とが一対一に接続された接続状態にする第3調整用治具と
を含むことを特徴とする請求項1記載の半導体試験装置。
【請求項3】
前記複数の調整用治具の交換制御を行うとともに、前記第1ピンブロックにおける信号出力タイミング、並びに、前記第2ピンブロックにおける信号出力タイミング及び信号測定タイミングを制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項2記載の半導体試験装置。
【請求項4】
前記第1調整用治具により信号出力端子の全てが互いに接続された第1ピンブロックから出力される信号と、前記第1調整用治具により信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された第2ピンブロックから出力される信号とを測定する測定装置を備えることを特徴とする請求項3記載の半導体試験装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1調整用治具により信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された第2ピンブロックから出力される信号を当該第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、当該第2ピンブロックの各々における信号測定タイミングを制御することを特徴とする請求項4記載の半導体試験装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第2調整用治具により信号入力端子と信号出力端子とが前記第2ピンブロック毎に接続されている状態で、前記第2ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、当該第2ピンブロックの各々における信号出力タイミングを制御することを特徴とする請求項5記載の半導体試験装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第3調整用治具により前記第1ピンブロックの信号出力端子と前記第2ピンブロックの信号入力端子とが一対一に接続されている状態で、前記第1ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、当該第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを制御することを特徴とする請求項6記載の半導体試験装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記測定装置の測定結果を加味して第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを制御することを特徴とする請求項7記載の半導体試験装置。
【請求項9】
被試験デバイスの信号入力ピンに与える信号を出力する複数の第1ピンブロックと、前記被試験デバイスの信号入出力ピンに与える信号を出力するとともに当該信号入出力ピンから出力される信号を測定する複数の第2ピンブロックとを備える半導体試験装置の調整方法において、
前記第1ピンブロックの信号出力端子の全てを互いに接続するとともに、前記第2ピンブロックの信号入力端子及び信号出力端子の全てを互いに接続する第1調整用治具を配置する第1ステップと、
信号出力端子の全てが互いに接続された前記第1ピンブロックから出力される信号と、信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された前記第2ピンブロックから出力される信号とを測定する第2ステップと、
信号入力端子及び信号出力端子の全てが互いに接続された前記第2ピンブロックから出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、前記第2ピンブロックの各々における信号測定タイミングを調整する第3ステップと、
前記第2ピンブロックの信号入力端子と信号出力端子とを、前記第2ピンブロック毎に接続する第2調整用治具を配置する第4ステップと、
前記第2ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、前記第2ピンブロックの各々における信号出力タイミングを調整する第5ステップと、
前記第1ピンブロックの信号出力端子と前記第2ピンブロックの信号入力端子とを一対一に接続する第3調整用治具を配置する第6ステップと、
前記第1ピンブロックの各々から出力される信号を前記第2ピンブロックの各々で測定して得られる信号に基づいて、前記第1ピンブロックの各々における信号出力タイミングを、前記第2ステップで得られた測定結果を加味しつつ調整する第7ステップと
を含むことを特徴とする半導体試験装置の調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−122180(P2008−122180A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305183(P2006−305183)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
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