説明

半導体集積回路、画像形成装置

【課題】機能モジュールがリセット中において、機能モジュールの動作モードを他の動作モードに切り換えることができる半導体集積回路及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】システムリセット信号がアサートされたときにリセットされる機能モジュール25と、機能モジュール25に、機能モジュール25に設定されている動作モード以外の他の動作モードの設定を受け付けることを要求する切換要求信号を出力する制御部10に接続され、切換要求信号を受け付けたときに切換要求信号を保持する信号保持部20と、信号保持部20に保持された切換要求信号を受け付けて機能モジュール25に出力する信号出力部21と、システムリセット信号がアサートされたときに、信号保持部20に保持されている切換要求信号を信号出力部21に伝達して、機能モジュール25に向けて出力させる信号出力制御部23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、互いに異なる複数の動作モードを備える機能モジュールが存在する。この種の機能モジュールは、例えば、機能モジュールの動作テストを行うテストモードや、機能モジュール本来の動作を行う通常動作モードなどの各種モードを備える。この種の機能モジュールは、各動作モードのうちいずれかの動作モードが設定されると、設定された動作モードを実行する。
【0003】
この種の機能モジュールには、例えば、以下のようにして動作モードが設定される。特許文献1に記載の技術では、回路に入力されるリセット信号のアサートが終了した後に当該回路の動作モードが設定されるように、リセット信号がアサートされている間に、回路の通常動作時に入力端子として使用される端子の電圧レベルがプルアップ或いはプルダウンされる。
【0004】
そして、プルアップ或いはプルダウンされた端子の電圧レベルは、リセット信号のアサートが終了した後に回路内にラッチされ、動作モードを設定するための動作モード信号として使用される。これにより、リセット信号のアサートが終了した後において、動作モードの設定が行われる。
【0005】
また、特許文献2に記載の技術では、回路にシステム・リセットが入力されて現在の設定がリセットされると、当該回路が、不揮発性メモリに記憶されている動作モードのデータを読み出し、読み出したデータにより、システム・リセットが入力される前の動作モードを再設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−256488号公報
【特許文献2】特開平9−148843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記した特許文献1に記載の技術では、回路に入力されるリセット信号のアサートが終了した後に当該回路の動作モードが設定されており、リセット信号がアサート中に当該回路の動作モードが設定されるようには構成されていない。
【0008】
また、上記した特許文献1に記載の技術では、端子の電圧レベルをプルアップ或いはプルダウンして動作モードを設定するようにしているため、端子の電圧レベルをプルアップ或いはプルダウンするための抵抗器などといった、動作モードを設定するための専用の構成要素が必要となる。
【0009】
さらに、特許文献2に記載の技術では、回路にシステム・リセットが入力されて現在の設定がリセットされた後に、不揮発性メモリに記憶されている動作モードが再設定されており、回路へのシステム・リセット入力中に当該回路の動作モードが設定されるようには構成されていない。
【0010】
したがって、例えば、CPUのように、リセット中に動作モードを切り換えることを要する機能モジュールに設定されている動作モードを、他の動作モードに切り換える際には、特許文献1及び2に記載の技術を適用することができない。
【0011】
また、特許文献1のように、端子の電圧レベルを制御して動作モードの設定を行う場合には、端子の電圧レベルを制御する専用の構成要素が必要となる。そのため、専用の構成要素を必要とせずに部品点数の削減を図ることが望まれる。
【0012】
本発明は、上記問題を解決するために提案されるものであり、機能モジュールがリセット中において、当該機能モジュールの端子を制御することなく、機能モジュールの動作モードを他の動作モードに切り換えることができる半導体集積回路及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一局面に係る半導体集積回路は、互いに異なる複数の動作モードのうちいずれかの動作モードが設定されており、システムリセット信号がアサートされたときにリセットされる機能モジュールと、前記機能モジュールに、前記各動作モードのうち当該機能モジュールに設定されている動作モード以外の他の動作モードの設定を受け付けることを要求する切換要求信号を前記システムリセット信号がアサートされていないときに出力する制御部に接続され、当該制御部から前記切換要求信号を受け付けたときに当該切換要求信号を保持する信号保持部と、前記信号保持部に保持された前記切換要求信号を受け付けて、前記機能モジュールに出力する信号出力部と、前記システムリセット信号がアサートされたときに、前記信号保持部に保持されている前記切換要求信号を前記信号出力部に伝達して、前記機能モジュールに向けて出力させる信号出力制御部と、を備えており、前記機能モジュールは、前記システムリセット信号がアサートされているときに、前記信号出力部から出力された前記切換要求信号を受け付けたときには、前記切換要求信号で要求されている動作モードの設定を受け付けることを特徴とする(請求項1)。
【0014】
この構成によれば、リセット中の状態となる前の制御部により、機能モジュールに、当該機能モジュールに設定されている動作モード以外の動作モードの設定を受け付けることを要求する切換要求信号が、信号保持部に向けて出力される。
【0015】
信号保持部に向けて出力された切換要求信号は信号保持部に保持され、保持された切換要求信号は、システムリセット信号がアサートされて機能モジュールがリセット中の状態となったときに、信号出力制御部により信号出力部に伝達されて、当該信号出力部から機能モジュールに向けて出力される。
【0016】
また、機能モジュールは、システムリセット信号がアサートされてリセット中の状態となり、さらに、信号出力部から出力された切換要求信号を受け付けたときに、切換要求信号で要求されている動作モードの設定を受け付ける。
【0017】
つまり、この構成によれば、機能モジュール及び制御部がリセット中の状態となる前に、制御部により出力された切換要求信号を保持しておき、機能モジュール及び制御部がリセット中の状態となったときに、保持しておいた切換要求信号をリセット中の機能モジュールに向けて出力して、機能モジュールに対して機能モードを切り換えさせる。
【0018】
これにより、機能モジュールがリセット中において、当該機能モジュールの端子を制御することなく、機能モジュールの動作モードを他の動作モードに切り換えることができる。
【0019】
上記構成において、前記信号保持部は、前記制御部により出力される前記切換要求信号をD端子で受け付けて保持し、当該保持した切換要求信号をQ端子より出力する第1のD型フリップフロップで構成されており、前記信号出力部は、前記第1のD型フリップフロップのQ端子より出力される前記切換要求信号をD端子で受け付けて保持し、当該保持した切換要求信号をQ端子を通じて前記機能モジュールに出力する第2のD型フリップフロップで構成されており、前記信号出力制御部は、前記第1のD型フリップフロップのQ端子に接続された第1入力端子と、前記第2のD型フリップフロップのQ端子に接続された第2入力端子と、前記第2のD型フリップフロップのD端子に接続された出力端子と、前記システムリセット信号を受け付ける制御端子と、を備えるマルチプレクサで構成されており、前記第1入力端子に向けて前記第1のD型フリップフロップのQ端子より出力される前記切換要求信号を、前記制御端子により受け付けている前記システムリセット信号がアサートされているときに、前記出力端子を通じて前記第2のD型フリップフロップのD端子に出力することが好ましい(請求項2)。
【0020】
この構成によれば、信号保持部を構成する第1のD型フリップフロップが、リセット中の状態となる前の制御部から切換要求信号を受け付けて保持する。そして、第1のD型フリップフロップに保持された切換要求信号は、機能モジュール及び制御部がリセット中の状態となったときに、マルチプレクサにより、信号出力部を構成する第2のD型フリップフロップに出力される。
【0021】
そして、第2のD型フリップフロップに出力された切換要求信号が、当該第2のD型フリップフロップにより、リセット中の状態の機能モジュールに向けて出力される。
【0022】
これにより、機能モジュールがリセット中において、当該機能モジュールの端子を制御することなく、機能モジュールの動作モードを切り換えさせる構成を、安価なD型フリップフロップやマルチプレクサを用いて、実現することができる。
【0023】
また、本発明の他の局面に係る画像形成装置は、請求項1又は請求項2に記載の半導体集積回路を備えており、前記機能モジュールは、原稿の画像を表す画像データを記録紙上に形成する画像形成モジュールを構成しており、前記制御部は、前記画像形成モジュールを制御することを特徴とする(請求項3)。この構成によれば、請求項1又は請求項2の効果を奏する画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、機能モジュール及び制御部がリセット中の状態となる前に、制御部により出力された切換要求信号を保持しておき、機能モジュール及び制御部がリセット中の状態となったときに、保持しておいた切換要求信号をリセット中の機能モジュールに向けて出力して、機能モジュールに対して機能モードを切り換えさせる。
【0025】
これにより、機能モジュールがリセット中において、当該機能モジュールの端子を制御することなく、機能モジュールの動作モードを他の動作モードに切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の概略構成の一例を示した機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る半導体集積回路の概略構成の一例を示したブロック図である。
【図4】図3に示す半導体集積回路の動作の一例を示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る半導体集積回路及び画像形成装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符合を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。図1に示されるように、画像形成装置Aは、画像読取部200と装置本体3とを備える。画像読取部200は、原稿給紙部210と、スキャナ部220と、CIS231と、ユーザインタフェース部Iと、後述する反転機構を備えてなる。
【0029】
原稿給紙部210は、ADF(Automatic Document Feeder)を備え、原稿トレイ211、ピックアップローラ212、プラテン213、排紙ローラ214及び排紙トレイ215を有する。原稿トレイ211には、読取対象とされる原稿が載置される。原稿トレイ211に載置された原稿は、1枚ずつピックアップローラ212によって取り込まれ、間隙を介して順次プラテン213へ搬送される。プラテン213を経由した原稿は、排紙ローラ214によって排紙トレイ215へ順次排出される。
【0030】
前記プラテン213の周面に対向する位置のうち、原稿の搬送方向において読取位置Pより手前の予め定められた位置には、用紙を検出する図略のタイミングセンサが設置されており、該タイミングセンサの出力要求に基づき、前記読取位置Pへの原稿の搬送タイミングが図られる。前記タイミングセンサは、例えばフォトインタラプタにより構成される。
【0031】
スキャナ部220は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するものである。スキャナ部220は、ガラス221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、CCD(Charged Coupled Device)229を備える。
【0032】
このスキャナ部220は、光源222として冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプが用いられ、前記第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227及び結像レンズ228により、原稿からの光をCCD229に導く。スキャナ部220は、光源222として冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプを用いて構成されていることから、光源として3色LED等が用いられる後述のCIS231よりも色再現性に優れる。
【0033】
ガラス221には、前記原稿給紙部210によらない原稿読取時に、ユーザの手動により原稿が載置される。光源222及び第1ミラー223は第1キャリッジ226によって支持され、第2ミラー224及び第3ミラー225は第2キャリッジ227によって支持されている。
【0034】
画像読取部200の原稿読取方式として、ガラス221上に載置された原稿をスキャナ部220が読み取るフラットベッド読取モードと、原稿を原稿給紙部210(ADF)によって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードがある。
【0035】
フラットベッド読取モードでは、光源222がガラス221上に載置された原稿を照射し、主走査方向1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。
【0036】
CCD229は一次元のイメージセンサであり、1ライン分の原稿の画像データを重複して処理する。第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、主走査方向と直交する方向(副走査方向、矢印Y方向)に移動可能に構成されており、1ライン分の読み取りが終了すると、副走査方向に第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227が移動し、次のラインの読み取りが行われる。
【0037】
ADF読取モードでは、原稿給紙部210が原稿トレイ211に載置された原稿をピックアップローラ212によって1枚ずつ取り込む。このとき、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、読取窓230の下方に位置する予め定められた読取位置Pに配置される。
【0038】
原稿給紙部210による原稿搬送で、原稿がプラテン213から排紙トレイ215への搬送経路に設けられた読取窓230上を通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。続いて原稿は原稿給紙部210によって搬送され、次のラインが読み取られる。
【0039】
更に、原稿給紙部210は、設定ガイド216、反転ローラ217及び反転搬送路218を備えた原稿反転機構を有する。この原稿反転機構が、1回目のADF読み取りによって表面が読み取られた原稿を表裏反転させて読取窓230に再搬送することで、再度CCD229によって裏面の読み取りが行われる。
【0040】
この原稿反転機構は、両面読み取り時にのみ動作し、片面読み取り時は動作しない。片面読み取り時及び両面読み取り時において裏面の読み取り後、設定ガイド216は上側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は、排紙ローラ214によって排紙トレイ215に排紙される。
【0041】
両面読み取り時における表面読み取り後、設定ガイド216は下側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は反転ローラ217によって反転搬送路218へ搬送される。その後、設定ガイド216は上側へ切り替わり、反転ローラ217が逆回転して原稿をプラテン213へ再給紙する。以下、原稿反転機構を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面反転読取モードと表記する。
【0042】
更に、本実施形態の画像読取部200は、ADF読取モード時において、前述したように原稿の搬送途中でCCD229(スキャナ部220)によって原稿の表面の読み取りを行わせると略重複して(略並行して)、CIS231によって原稿の裏面の読み取りを行わせることが可能である。この場合、原稿トレイ211から原稿給紙部210により搬送された原稿は、読取窓230上を通過するときにCCD229によって表面が読み取られ、更にCIS231の配置箇所を通過する際に裏面が読み取られる。なお、CIS231では、光源としてRGBの3色LED等が用いられる。
【0043】
このようにCCD229とCIS231を用いることで、原稿給紙部210による原稿トレイ211から排紙トレイ215までの一回の原稿搬送操作(ワンパス)によって原稿の表裏両面の読み取りが可能となる。以下、このようにCCD229とCIS231を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面同時読取モードと表記する。
【0044】
この両面反転読取モード及び両面同時読取モードは、ADF読取モードを用いて原稿の両面読み取りを行う際の読取モードとして備えられている。両面反転読取モードは、両面の印刷画像の画質を揃えたい場合に利用される一方、両面同時読取モードは、両面の印刷画像の画質に差があっても、読取時間の短縮化を優先させたい場合に利用される。なお、本実施形態における画像形成装置Aは、両面同時読取モードに初期設定されており、前記読取モードのモード設定操作が何も行われないまま画像形成指示が入力された場合には、両面同時読取モードで原稿の画像読取動作が行われるようになっている。
【0045】
画像処理装置Aは、装置本体3と、装置本体3の左方に配設されたスタックトレイ6とを有している。装置本体3は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像を形成する画像形成部40とを備える。また、装置本体3は、給紙トレイ471と該給紙トレイ471に載置された原稿を1枚ずつ画像形成部40に向けて繰り出す繰り出しローラ472とを備える。
【0046】
画像形成部40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を帯電させる帯電装置422と、スキャナ部220で取得された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43の表面を露光し、当該感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、前記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44K,44Y,44M,44Cと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像が転写されて重ね合わせされる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。
【0047】
なお、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色に対するトナーの供給は、図略のトナーカートリッジから行われる。また、画像形成部40を通過した記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463,464等が設けられている。
【0048】
記録紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部40で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ48側の搬送ローラ463にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ463を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って画像形成部40の上流域に再度搬送し、画像形成部40により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48に排出する。
【0049】
また、装置本体3の前方には、タッチパネルなどで構成された表示部106、及び、各種の操作ボタンを有する操作部105が組み込まれたユーザインタフェース部Iが、装置本体3の前方に露出するように設けられている。
【0050】
図2は、図1に示す画像形成装置の概略構成の一例を示した機能ブロック図である。図2に示すように、画像形成装置Aは、ユーザインタフェース部I、CPU(制御部)10を有する制御モジュール1、ROM(Read Only Memory)101、RAM(Ramdom Access Memory)102、画像読取部200、画像形成部40、画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部100、及び、公衆回線を通じたファクシミリ通信を行うためのFAX通信部104を備える。
【0051】
この画像形成装置Aにおいて、ROM101及びRAM102には、この画像形成装置Aが動作するために必要な各種のプログラムなどが記憶されている。
【0052】
また、この画像形成装置Aでは、操作部105、表示部106、画像読取部200、画像形成部40、画像処理部100、及び、FAX通信部104は、それぞれ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などからなる機能モジュールを備える。
【0053】
操作部105は、機能モジュールとして操作モジュール105Aを備える。表示部106は、機能モジュールとして表示モジュール106Aを備える。画像読取部200は、機能モジュールとして画像読取モジュール200Aを備える。画像形成部40は、機能モジュールとして画像形成モジュール40Aを備える。
【0054】
画像処理部100は、機能モジュールとして画像処理モジュール100Aを備える。FAX通信部104は、機能モジュールとしてFAX通信モジュールを備える。
【0055】
この画像形成装置Aでは、操作部105、表示部106、画像読取部200、画像形成部40、画像処理部100、及び、FAX通信部104は、本発明の一実施形態に係る半導体集積回路を構成している。
【0056】
図3は、本発明の一実施形態に係る半導体集積回路の概略構成の一例を示したブロック図である。図3において、半導体集積回路2は、システムバスBを通じて制御モジュール1に接続されている。
【0057】
半導体集積回路2は、第1のD型フリップフロップ(信号保持部;以下、第1フリップフロップという)20と、第2のD型フリップフロップ(信号出力部;以下、第2フリップフロップという)21と、マルチプレクサ(信号出力制御部)23と、機能モジュール25と、を備える。
【0058】
第1フリップフロップ20は、クロック信号発生源22より発生する周期Tのクロック信号(SYSTEM_CLOCK)(図4参照)を受け付けて動作する。第1フリップフロップ20のD端子はシステムバスBに接続されている。システムバスB上には、CPU10により出力される、1及び0のいずれかの値からなるデータを受け付けて保持するレジスタ(不図示)が配置されている。
【0059】
CPU10は、機能モジュール25の動作モードを設定するに際し、システムリセット信号(SYSTEM_RESET_N)がアサートされていないときに、1及び0のいずれかの値からなるデータをレジスタに出力して当該レジスタに設定する。
【0060】
第1フリップフロップ20は、レジスタに設定されたデータを、当該第1フリップフロップ20のD端子を通じて受け付けて保持しつつ、当該データをQ端子より出力する。
【0061】
また、第1フリップフロップ20では、Q端子には、マルチプレクサ23の第1入力端子23Aが接続されている。第1フリップフロップ20に保持されたデータは、当該第1フリップフロップ20のQ端子を通じてマルチプレクサ23の第1入力端子23Aに出力される。マルチプレクサ23の第1入力端子23Aに出力されたデータは、当該マルチプレクサ23により第1入力端子23Aが選択されたときに、第2フリップフロップ21に出力される。
【0062】
第2フリップフロップ21も、第1フリップフロップ20と同様に、クロック信号発生源22より発生する周期Tのクロック信号(SYSTEM_CLOCK)(図4参照)を受け付けて動作する。この第2フリップフロップ21は、当該第2フリップフロップ21のD端子に入力されたデータを保持しつつ、当該データをQ端子より機能モジュール25に向けて出力する。
【0063】
第2フリップフロップ21のD端子には、マルチプレクサ23の出力端子23Dが接続されている。また、第2フリップフロップ21では、Q端子が機能モジュール25に接続されている。
【0064】
この第2フリップフロップ21では、マルチプレクサ23により第1入力端子23Aが選択されたときに、フリップフロップ20のQ端子から出力されたデータが、D端子に入力される。そして、第2フリップフロップ21は、D端子に入力されたデータを保持しつつ、当該データを、Q端子を通じて機能モジュール25に向けて出力する。
【0065】
さらに、第2フリップフロップ21のQ端子と機能モジュール25との接続ラインの1点が、マルチプレクサ23の第2入力端子23Bと接続されている。これにより、第2フリップフロップ21のQ端子から機能モジュール25に向けて出力されたデータが、マルチプレクサ23の第2入力端子23Bに帰還する。
【0066】
マルチプレクサ23は、第1フリップフロップ20のQ端子に接続される第1入力端子23A、第2フリップフロップ21のQ端子と機能モジュール25との接続ラインの1点が接続される第2入力端子23B、出力端子23D、及び、制御端子23Cを備える。
【0067】
制御端子23Cには、システムリセット信号(SYSTEM_RESET_N)を出力するリセット信号出力部24が接続されており、当該制御端子23Cは、リセット信号出力部24により出力されるシステムリセット信号を受け付ける。リセット信号出力部24は、リセット信号をアサート及びディアサートさせる。
【0068】
マルチプレクサ23は、制御端子23Cで受け付けているシステムリセット信号(SYSTEM_RESET_N)がアサートされていないときには、第2入力端子23Bを選択し、制御端子23Cで受け付けているシステムリセット信号(SYSTEM_RESET_N)がアサートされているときには、第1入力端子23Aを選択する。
【0069】
これにより、マルチプレクサ23は、システムリセット信号がアサートされていないときに、出力端子23Dより、第2入力端子23Bで受け付けたデータを出力し、システムリセット信号がアサートされているときには、出力端子23Dより、第1入力端子23Aで受け付けたデータを出力する。
【0070】
機能モジュール25は、第2フリップフロップ21のQ端子から出力されたデータを受け付けて、当該データに基づいて動作モードを設定する。この機能モジュール25は、データが値「1」である場合には、例えば、動作モードAを設定し、データが値「0」である場合には、例えば、動作モードBを設定する。
【0071】
また、機能モジュール25は、リセット信号出力部24に接続されており、リセット信号出力部24から出力されるシステムリセット信号がアサートされているときにリセットされる。
【0072】
図4は、図3に示す半導体集積回路の動作の一例を示したタイミングチャートである。
尚、図4において、「CPUの出力」とは、CPU10から出力され、図示しないレジスタに設定されている、1及び0のいずれかの値からなるデータを意味しているものとする。
【0073】
この半導体集積回路2において、機能モジュール25は、動作モードAと動作モードBとの2つの動作モードを備えている。
【0074】
以下、機能モジュール25に動作モードBが設定されており、機能モジュール25に設定されている動作モードを、動作モードBから動作モードAに切り換える処理について説明する。
【0075】
機能モジュール25の動作モードを動作モードBから動作モードAに切り換える処理が開始される時間T0が到来するまでの間は、レジスタには、CPU10から出力され、機能モジュール25に動作モードBを設定させるために用いられた値「0」からなるデータが設定されている。
【0076】
また、当該時間T0が到来するまでの間は、レジスタには、値「0」からなるデータが設定されているため、第1フリップフロップ20は値「0」からなるデータを受け付け、当該データを保持しつつ、当該データをマルチプレクサ23の第1入力端子23Aに向けて出力している。
【0077】
ところが、当該時間T0が到来するまでの間は、リセット信号出力部24から出力されるリセット信号はアサートされていないため、マルチプレクサ23は、第2入力端子23Bを選択している。
【0078】
そのため、時間T0が到来するまでの間は、第1フリップフロップ20からマルチプレクサ23の第1入力端子23Aに出力される値「0」からなるデータは、第2フリップフロップ21には出力されない。
【0079】
その一方で、時間T0が到来するまでの間は、マルチプレクサ23が第2入力端子23Bを選択しているため、第2フリップフロップ21の出力側から帰還した、機能モジュール25に動作モードBを設定させるために用いられた値「0」からなるデータが、機能モジュール25に向けて出力されている。
【0080】
その後、時間T0が到来したときには、CPU10が、機能モジュール25の動作モードを、動作モードBから動作モードAに切り換えるために、値「1」からなるデータを、機能モジュール25に、当該時間T0が到来した時点で当該機能モジュール25に設定されている動作モードB以外の動作モードAの設定を受け付けることを要求する切換要求信号として、レジスタに出力する。この時、レジスタは、CPU10から受け付けた、値「1」からなるデータをその内部に設定する。
【0081】
また、時間T0が到来したときには、第1フリップフロップ20が、レジスタに設定された値「1」からなるデータをD端子で受け付け、当該データをD端子で受け付けてから初めてクロック信号が立ち上がる時間T1が到来するまで当該データを保持し、時間T1が到来したときに、保持しておいた当該データを出力する。
【0082】
その後、第1フリップフロップ20は、CPU10よりレジスタに値「0」からなるデータが設定されるまでの間、同じ処理を繰り返すことにより、レジスタに設定されている値「1」からなるデータを、マルチプレクサ23の第1入力端子23Aに向けて出力し続ける。
【0083】
マルチプレクサ23は、システムリセット信号が時間T2においてアサートされると、第1入力端子23Aを選択する。これにより、時間T2が到来したときには、第2フリップフロップ21は、第1フリップフロップ20から出力される値「1」からなるデータをD端子で受け付ける。
【0084】
そして、第2フリップフロップ21は、当該第2フリップフロップ21のD端子で受け付けた当該データを、当該データをD端子で受け付けてから初めてクロック信号が立ち上がる時間T3が到来するまで保持し、時間T3が到来すると、保持しておいた当該データを、当該第2フリップフロップ21のQ端子を通じて、機能モジュール25に向けて出力する。
【0085】
その後、第2フリップフロップ21は、システムリセット信号のアサートが終了する時間T4が到来するまでの間、マルチプレクサ23の第1入力端子23A、及び、マルチプレクサの出力端子23Dを通じて出力されてくる、値「1」からなるデータを受け付けて、当該データを保持しつつ当該データを機能モジュール25に向けて出力する。
【0086】
これにより、機能モジュール25は、システムリセット信号のアサートが開始される時間T3以降、当該システムリセット信号のアサートが終了する時間T4までの間に、第2フリップフロップ21から、値「1」からなるデータを受け付けることができるため、当該機能モジュール25がリセットされている途中に、当該機能モジュール25に設定されている動作モードを、現在設定されている動作モードBから切換要求信号により要求された動作モードAに切り換えることができる。
【0087】
そして、時間T4が到来してシステムリセット信号のアサートが終了すると、マルチプレクサ23は、第2入力端子23Bを選択する。
【0088】
第2フリップフロップ21は、マルチプレクサ23により第2入力端子23Bが選択された時間T4に、当該時間T4が到来する直前に保持され、当該時間T4が到来した時点で機能モジュール25に向けて出力されている、値「1」からなるデータの帰還を受け付ける。そして、第2フリップフロップ21は、時間T4に当該第2フリップフロップ21に帰還した当該データを、時間T4が経過してから初めてクロック信号が立ち上がったときに、機能モジュール25に向けて出力する。
【0089】
その後、第2フリップフロップ21は、当該第2フリップフロップ21の出力側から帰還したデータを受け付けて保持しつつ、当該データを機能モジュール25に向けて出力することを繰り返す。
【0090】
以上のように、半導体集積回路2によれば、システムリセット信号がアサートされて機能モジュール25がリセットされているときに、CPU10によりレジスタに設定されたデータを、第1フリップフロップ20、マルチプレクサ23、及び、第2フリップフロップ21を通じて機能モジュール25に伝達する。
【0091】
これにより、機能モジュール25がリセット中において、当該機能モジュール25の端子を制御することなく、機能モジュール25の動作モードを他の動作モードに切り換えさせることができる。
【符号の説明】
【0092】
A 画像形成装置
1 制御モジュール
10 CPU
20 第1のD型フリップフロップ
21 第2のD型フリップフロップ
23 マルチプレクサ
23A 第1入力端子
23B 第2入力端子
23C 制御端子
23D 出力端子
25 機能モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる複数の動作モードのうちいずれかの動作モードが設定されており、システムリセット信号がアサートされたときにリセットされる機能モジュールと、
前記機能モジュールに、前記各動作モードのうち当該機能モジュールに設定されている動作モード以外の他の動作モードの設定を受け付けることを要求する切換要求信号を前記システムリセット信号がアサートされていないときに出力する制御部に接続され、当該制御部から前記切換要求信号を受け付けたときに当該切換要求信号を保持する信号保持部と、
前記信号保持部に保持された前記切換要求信号を受け付けて、前記機能モジュールに出力する信号出力部と、
前記システムリセット信号がアサートされたときに、前記信号保持部に保持されている前記切換要求信号を前記信号出力部に伝達して、前記機能モジュールに向けて出力させる信号出力制御部と、を備えており、
前記機能モジュールは、前記システムリセット信号がアサートされているときに、前記信号出力部から出力された前記切換要求信号を受け付けたときには、前記切換要求信号で要求されている動作モードの設定を受け付ける
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
前記信号保持部は、前記制御部により出力される前記切換要求信号をD端子で受け付けて保持し、当該保持した切換要求信号をQ端子より出力する第1のD型フリップフロップで構成されており、
前記信号出力部は、前記第1のD型フリップフロップのQ端子より出力される前記切換要求信号をD端子で受け付けて保持し、当該保持した切換要求信号を、Q端子を通じて前記機能モジュールに出力する第2のD型フリップフロップで構成されており、
前記信号出力制御部は、
前記第1のD型フリップフロップのQ端子に接続された第1入力端子と、前記第2のD型フリップフロップのQ端子に接続された第2入力端子と、前記第2のD型フリップフロップのD端子に接続された出力端子と、前記システムリセット信号を受け付ける制御端子と、を備えるマルチプレクサで構成されており、
前記第1入力端子に向けて前記第1のD型フリップフロップのQ端子より出力される前記切換要求信号を、前記制御端子により受け付けている前記システムリセット信号がアサートされているときに、前記出力端子を通じて前記第2のD型フリップフロップのD端子に出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の半導体集積回路を備えており、
前記機能モジュールは、原稿の画像を表す画像データを記録紙上に形成する画像形成モジュールを構成しており、
前記制御部は、前記画像形成モジュールを制御する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−217257(P2011−217257A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85263(P2010−85263)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】