説明

半導体集積回路および装置

【課題】外部抵抗を備える半導体集積回路において、外部抵抗の抵抗値を容易に変更可能にする技術を提供する。
【解決手段】外部抵抗を備える半導体集積回路であって、半導体集積回路の入出力インピーダンスは、外部抵抗の抵抗値に基づいて調整され、外部抵抗は、その抵抗値として、複数の抵抗値の中から所望の抵抗値を選択できるように形成されていることを特徴とする半導体集積回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信波形を調整可能な外部抵抗を備える半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、USB(Universal Serial Bus)デバイスとなるIC(Integrated Circuit:半導体集積回路)チップには、USBホストとの間の通信波形および読み込みタイミングを適正にするように、ICの入出力インピーダンスを調整するために、外部抵抗が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
その外部抵抗については、ICチップの製造メーカによって推奨値が定められている。しかしながら、ICチップの固体差があるため、製造メーカの推奨値に従って外部抵抗の抵抗値を定めても、適正に使用できない場合がある。また、基板が異なると配置等が違ってくるため、その基板に適する外部抵抗の抵抗値が異なり、基板が変わるたびに、外部抵抗の抵抗値を変更する必要があった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−298395号公報
【特許文献2】特開2004−6789号公報
【特許文献3】特開2006−100384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、ICの通信波形等を適正にするように、ICの入出力インピーダンスを調整するために、外部抵抗の抵抗値を調整する場合には、所定の抵抗値の抵抗を付けて、USBホストとUSBデバイスとの間の通信波形を測定し、通信波形が適正でない場合には、別の抵抗値の抵抗を付けて、再び、通信波形を測定するというように、抵抗をいくつか取り替えて、適正な抵抗値を見つけていた。そのため、抵抗を取り替えるのに、手間がかかるという問題があった。
【0006】
なお、このような問題は、USB規格に準拠する半導体集積回路に限らず、外部抵抗によって、入出力インピーダンスを調整する半導体集積回路に共通する問題であった。
【0007】
そこで、本発明は、外部抵抗を備える半導体集積回路において、外部抵抗の抵抗値を容易に変更可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1] 外部抵抗を備える半導体集積回路であって、
前記半導体集積回路の入出力インピーダンスは、前記外部抵抗の抵抗値に基づいて調整され、
前記外部抵抗は、
その抵抗値として、複数の抵抗値の中から所望の抵抗値を選択できるように形成されていることを特徴とする半導体集積回路。
【0010】
このようにすると、外部抵抗が、複数の抵抗値の中から所望の抵抗値を選択できるように形成されているため、外部抵抗の抵抗値を変更する際に、抵抗ごと交換する場合と比べて、外部抵抗の抵抗値を、容易に変更することができるようになる。
【0011】
[適用例2] 適用例1に記載の半導体集積回路において、
前記外部抵抗は、
複数の抵抗と、
前記複数の抵抗を選択的に接続させるトランジスタと、
を備えると共に、
前記トランジスタのゲートに制御信号が印加されることにより、前記外部抵抗の前記所望の抵抗値が選択されることを特徴とする半導体集積回路。
【0012】
[適用例3] 適用例1または2に記載の半導体集積回路であって、
USB規格に準拠することを特徴とする半導体集積回路。
【0013】
[適用例4] 適用例2または3に記載の半導体集積回路を備える装置であって、
前記トランジスタのゲートに、前記制御信号を印加する制御信号送出部を、さらに備えることを特徴とする装置。
【0014】
[適用例5] 適用例4に記載の装置であって、
前記制御信号送出部は、
前記装置の外部から入力される指示にしたがって、前記制御信号を送出することを特徴とする装置。
【0015】
このようにすると、例えば、装置に、PCを接続してPCから制御信号を送出させる指示を入力させれば、容易に、外部抵抗の抵抗値を変更することができる。
【0016】
なお、本発明は、上記した半導体集積回路の態様に限ることなく、その半導体集積回路が搭載されたプロジェクタ、プリンタ、PCとしての態様など、種々の態様で実現することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて、以下の順序で説明する。
A.第1の実施例:
A−1.実施例の構成:
A−2.外部抵抗の抵抗値の決定:
A−3.実施例の効果
B.第2の実施例
B−1.実施例の構成:
B−2.実施例の動作:
B−3.実施例の効果
C.変形例:
【0018】
A.第1の実施例:
A−1.実施例の構成
本実施例において、本発明の半導体集積回路(Integrated Circuit:以下、「IC」と省略する。)は、USBデバイス40として用いられる。図1は、本発明の第1の実施例としてのUSBデバイス40が装着されている基板100を示すブロック図である。基板100は、プロジェクタに搭載されるものである。基板100には、CPU10と、メモリ20と、USBホスト30と、USBデバイス40と、PC接続用コネクタ50と、メモリソケット60と、が主に装着されている。これらの構成要素は、バスで接続されている。特に、USBホスト30とUSBデバイス40とは、2本のディファレンシャル信号線で繋がっている。
【0019】
CPU10は、メモリ20に格納されたコンピュータプログラムに従って種々の処理や制御を行う。また、CPU10は、後述するように、外部に接続されたPCからの指示に従って、USBデバイス40としてのICの通信波形を調整する外部抵抗42に対して制御信号を送出する制御信号送出部としても機能する。メモリ20は、EEPROMやNAND Flash ROM等の書き換え可能な不揮発性メモリで構成されている。メモリ20には、プロジェクタ用のコンピュータプログラムや、後述する外部抵抗に関する情報等が格納される。
【0020】
USBデバイス40は、SDカード、メモリスティック、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の外部メモリ300に格納されている画像データ(静止画像、動画像を含む)を読み込む機能を有する。USBデバイス40は、外部抵抗42を備え、外部抵抗42の抵抗値に基づいて、入出力インピーダンスが調整されるように、構成されている。
【0021】
図2は、外部抵抗42の概略構成を示す回路図である。外部抵抗42は、抵抗値1kΩの抵抗A、2kΩの抵抗B、4kΩの抵抗C、8kΩの抵抗D、16kΩの抵抗Eとが並列に、トランジスタT1〜T5を介して接続され、各トランジスタT1〜T5に制御信号が印加されることにより、各抵抗A〜Eが、選択的に接続される。
【0022】
外部抵抗42の抵抗値を変更する場合には、図1に示すように、PC接続用コネクタ50を介して、PC200を接続する。外部抵抗42の抵抗値を調整する者が、PC200を用いて、CPU10に対して、トランジスタT1〜T5に対して所定の制御信号を送出するように指示を出すと、CPU10は、その指示に従って、トランジスタT1〜T5に対して、ON/OFF信号を印加する。例えば、トランジスタT1に対してON信号、トランジスタT2〜T5に対して、OFF信号が印加された場合には、抵抗Aのみが接続され、外部抵抗の抵抗値は、1000Ωになる。また、トランジスタT1、T2にON信号が印加され、他のトランジスタT3〜T5にOFF信号が印加された場合には、抵抗Aと抵抗Bが並列に接続され、外部抵抗の抵抗値は、666.667Ωになる。このように、外部抵抗42の抵抗値は、PC200を用いて、容易に変更することができる。
【0023】
図3は、並列に接続される各抵抗A〜Fの組み合わせと、その組み合わせによる外部抵抗42の抵抗値を示す表である。図3では、各組み合わせに対して、抵抗値の小さい順から、昇順で番号を振り、その番号を、パラメータとしている。図4は、外部抵抗42の備える抵抗A〜Fの組み合わせによる抵抗値の変化を示すグラフである。図4では、図3におけるパラメータを横軸に、縦軸に抵抗値を示している。図5は、図4のX部(パラメータ1〜24)を、拡大して示すグラフである。図3〜5に示すように、抵抗A〜Fの組み合わせを変えることにより、外部抵抗42の抵抗値を変更することができる。特に、図5に示すように、パラメータ1〜24の組み合わせでは、外部抵抗42の抵抗値を、細かく変えることができる。すなわち、PC200を用いて、外部抵抗42の抵抗値を、図3〜5に示す31通りの中から、容易に選択することができる。
【0024】
A−2.外部抵抗の抵抗値の決定:
上記したように、外部抵抗42は、複数の抵抗値から任意の抵抗値を選択できるように構成されている。本実施例では、プロジェクタの試作の段階で、開発者が、USBデバイス40の通信波形を見ながら、外部抵抗42の抵抗値を決定する。具体的には、D+/D−信号線に、差動プローブを介してオシロスコープを接続し、USBデバイス40からの信号の波形をオシロスコープ(図示しない)で取り込む。オシロスコープ(図示しない)で取り込んだ信号の波形からアイパターンを生成し、USBコンプライアンステストに定められているアイパターンのリミット線(マスクパターンともいう)にかからないように、波形を調整する。ここで、アイパターンとは、デジタル伝送信号を、横軸を時間、縦軸を電圧として1UI(ユニットインターバル)ごとに、重ねて表示したものである。なお、1UIとは、デジタル信号の信号周期であり、0、1を切替える最小時間幅のことをいう。アイパターンのリミット線は、六角形状またはひし形状をしている。
【0025】
図6は、アイパターンを用いた通信波形の評価方法を説明するための説明図である。図6(a)は、一般的な差動伝送信号(1→0→1→0→1→0→)の波形を示し、(b)は、(a)の差動信号のアイパターンIと、リミット線L、(c)は本実施例におけるアイパターンの一例を示す。
【0026】
例えば、開発者は、最初に、PC200から指示を出して、外部抵抗42の抵抗を、抵抗値1000Ω(パラメータ16)にする。そして、USBデバイス40からの信号をオシロスコープで取り込んで、アイパターンを確認する。図6(c)に示すように、このときのUSBデバイス40の通信波形のアイパターンI10は、振幅のリミット線を越えている。そこで、次に、開発者は、外部抵抗42の抵抗値を1066.667Ω(パラメータ17)に変更して、再び、USBデバイス40からの信号をオシロスコープで取り込んで、アイパターンを確認する。図6(c)に示すように、このときのUSBデバイス40の通信波形のアイパターンI20は、振幅のリミット線内に収まっており、かつ、六角形のアイパターンにも、かかっていない。そこで、開発者は、外部抵抗42の抵抗値を、そのままにして、実際に、外部メモリ300から動画像データを読み込んで、プロジェクタで投写し、その映像を確認する。
【0027】
通信波形が適正でない場合には、間欠的な画像データとなり、動画の動きがガタダタになったり、動画像データが送られず、動画を投写できなくなったりする。仮に、そのようになった場合には、再度、外部抵抗42の抵抗値を変更して(例えば、941.1765Ω(パラメータ15))、波形を調整し、アイパターンを確認する。一方、正常に、動画が表示された場合には、外部抵抗42の抵抗値を、1066.667Ω(パラメータ17)に決定する。
【0028】
販売される製品では、試作において決定された抵抗値に関する情報(パラメータ、組み合わせ、抵抗値)が、メモリ20に記憶されている。そして、ユーザが、プロジェクタを起動すると、CPU10が、メモリ20に記憶されている抵抗値に関する情報に基づいて、外部抵抗42のトランジスタT1〜T5に制御信号を印加して、外部抵抗42の抵抗値を、メモリ20に記憶されている抵抗値にする。そうすると、USBデバイス40の通信波形が適正になるような入出力インピーダンスに調整されるため、外部メモリ300から画像データを読み込んで、その画像を投写させることができる。
【0029】
A−3.実施例の効果:
本実施例の効果について、比較例(従来のUSBデバイス)と比較して説明する。図7は、比較例のUSBデバイス40Pが装着されている基板を示すブロック図である。従来は、USBデバイス40Pは、所定の抵抗値(固定値)の外部抵抗42Pを備えていた。USBデバイス40Pの通信波形を適正にするように、入出力インピーダンスを調整するためには、上記したように、アイパターンを確認しながら、外部抵抗の抵抗値を変更して、適正な抵抗値を見つけ出す必要がある。従来のUSBデバイス40Pにおいて、適正な抵抗値を見つける場合には、所定の抵抗値の抵抗を接続してアイパターンを確認し、通信波形が適正でない場合には、抵抗を別の抵抗値の抵抗に交換し、再度、アイパターンを確認するという工程を繰り返していたため、手間がかかっていた。
【0030】
それに対して、本実施例のUSBデバイス40では、外部抵抗42が、複数の抵抗と、トランジスタを備えている。そして、外部抵抗42は、CPU10からトランジスタに印加される制御信号にしたがって、それらの抵抗の接続の可否が変更されて、その抵抗の組み合わせにより外部抵抗42の抵抗値が変更されるように構成されている。本実施例における外部抵抗42の構成は簡単で安価であり、比較例に比べて、容易に外部抵抗42の抵抗値を変更することができる。
【0031】
B.第2の実施例:
B−1.実施例の構成:
続いて、第2の実施例について説明する。図8は、本発明の第2の実施例としてのプロジェクタPJの構成を示すブロック図である。プロジェクタPJは、照明光学系70と、液晶パネル80と、投写光学系90と、CPU10Aと、画像処理部12と、メモリ20Aと、USBホスト30と、USBデバイス40と、外部接続用コネクタ50Aと、メモリソケット60と、を主に備える。なお、プロジェクタPJには、さらに、図示しない操作部が設けられている。操作部は、プロジェクタPJ本体に設けられるボタンや、リモコンなどを含んでいる。ユーザは、操作部を操作することによって、プロジェクタPJに関する種々の設定を行うことができる。
【0032】
液晶パネル80は、画像処理部12から与えられる画像データを用いて、照明光学系70から射出された光を変調し、画像を表す光を射出する。
【0033】
投写光学系90は、液晶パネル80から射出された光をスクリーン上に投写し、この結果、スクリーン上に画像が表示される。
【0034】
CPU10Aと、画像処理部12と、メモリ20Aと、USBホスト30と、USBデバイス40と、外部接続用コネクタ50Aと、メモリソケット60とは、バスで接続されている。特に、USBホスト30とUSBデバイス40とは、2本のディファレンシャル信号線で繋がっている。各構成要素のうち、第1の実施例と同様の機能を有するものには、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
CPU10Aは、メモリ20Aに格納されたコンピュータプログラムに従って種々の処理や制御を行う。メモリ20Aには、インピーダンス調整部として機能するコンピュータプログラム等が格納されている。インピーダンス調整部としての機能は、CPU10Aがコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0036】
画像処理部12は、例えば、外部接続用コネクタ50Aに接続されたPC210、DVDプレイヤー220、外部メモリ300等、外部から与えられた画像データに対して画像処理を施して、処理済み画像データを、液晶パネル80に供給する。
【0037】
インピーダンス調整部は、後に詳述するように、外部抵抗42に、制御信号を印加して、外部抵抗42の抵抗値を変更しながら、USBデバイス40の入出力インピーダンスが適正になる外部抵抗42の抵抗値を設定する。具体的には、メモリ20Aには、インピーダンス調整部として機能するコンピュータプログラムと共に、定数テーブルおよび後述するテストパケット用のテストコンテンツが格納されている。外部抵抗42は、第1の実施例と同一の、抵抗値を変更可能な抵抗である。定数テーブルは、外部抵抗42の備える抵抗A〜Eの接続の組み合わせと、その組み合わせによる外部抵抗42の抵抗値を示すテーブルである。すなわち、図3に示すテーブルが、本実施例における定数テーブルである。本実施例では、抵抗A〜Eの接続の組み合わせに対して付された番号をパラメータ、その組み合わせによる外部抵抗42の抵抗値を定数と称する。インピーダンス調整部は、パラメータ1の定数から順に、定数を変更し、その都度、USBホスト30、USBデバイス40間の通信状況に基づいて、入出力インピーダンスが適正か否か判定し、適正な定数(抵抗値)を決定する。
【0038】
B−2.実施例の動作:
図9は、本実施例のプロジェクタPJにおいて実行される、USBデバイス40の入出力インピーダンスが適性になる外部抵抗42の抵抗値を設定する処理の流れを示すフローチャートである。本ルーチンは、ユーザ(後述する点検者を含む)が操作部(図示しない)を操作して、プロジェクタPJを起動する際に、実行される。以下に、プロジェクタPJが組み上げられ、完成した後、出荷される前の点検時に、USBデバイス40の入出力インピーダンスが自動的に調整される場合を例に挙げて、本実施例の動作を説明する。
【0039】
本実施例では、第1の実施例とは異なり、プロジェクタPJが製品として、完成しているため、点検者は、D+/D−信号線に、差動プローブを介してオシロスコープを接続して、アイパターンを確認しながら、通信波形が適性になるように、入出力インピーダンスを調整することができない。そのため、CPU10Aは、外部抵抗42の抵抗値を変更しては、USBデバイス40からテストパケットを所定時間送信させて、USBホスト30におけるそのテストパケットの受信状況に基づいて、入出力インピーダンスが適正か否か判定する。
【0040】
USBデバイス40の入出力インピーダンスが適正でない場合には、USBホスト30がそのテストパケットを受信できない場合があり、その場合には、USBデバイス40に対して再送要求を送信する。その再送要求が送信された回数が、所定の閾値以上である場合には、CPU10Aは、USBデバイス40の入出力インピーダンスが適正でない、と判定する。そして、外部抵抗42の抵抗値を変更して、再度、同じように入出力インピーダンスが適正か否か判定する。入出力インピーダンスが適正と判定された場合(再送要求の送信回数が閾値以下の場合)には、その抵抗値に対応するパラメータが、メモリ20Aに保存される。一旦、メモリ20Aに、パラメータが記憶されると、その後プロジェクタPJを起動した場合には、メモリ20Aに記憶されているパラメータに従って、外部抵抗42の抵抗値が設定される。以下に、外部抵抗42の抵抗値を決定する流れを、図9に基づいて説明する。
【0041】
点検者が、プロジェクタPJの電源を入れると、CPU10Aは、まず、メモリ20Aにパラメータが保存されているか否か判定する(ステップS102)。本実施例では、メモリ20Aにパラメータが保存されていないため(ステップS102においてNO)、CPU10Aは、初期定数になるように、外部抵抗42に対して制御信号を送信する(ステップS104)。本実施例では、初期定数は、パラメータ1に対応する516.129Ω(図3)である。従って、CPU10Aは、トランジスタT1〜T5全てに対して、ON信号を送信する。
【0042】
続いて、CPU10Aは、USBホスト30を介して、USBデバイス40にテストパケットを送信させる(ステップS106)。そうすると、所定時間の間に、所定回数のテストパケットが、USBデバイス40からUSBホスト30に対して送出される。上記したように、USBホスト30は、テストパケットを受信できない場合には、USBデバイス40に対して、再送要求を送信する。所定時間経過後、CPU10Aは、USBホスト30が再送要求を送信した回数が所定の閾値以上か否か判定する(ステップS108)。
【0043】
送信要求の回数が、閾値以上の場合には(ステップS108)、CPU10Aは、次のパラメータ(仮パラメータ=2)を選択した後(ステップS110)、仮パラメータが、定数テーブル内のパラメータか否か判定する(ステップS112)。仮パラメータ(=2)は、定数テーブル内のパラメータであるため(ステップS112においてYES)、CPU10Aは、定数テーブル(図3)に従って、仮パラメータに対応する定数(=533.3333Ω)になるように、外部抵抗42に対して制御信号を送信する(ステップS114)。すなわち、CPU10Aは、トランジスタT1〜T4それぞれに対してON信号を、トランジスタT5に対してOFF信号を送信する。
【0044】
そして、再び、CPU10Aは、USBデバイス40にテストパケットを送信させ(ステップS106)、上記と同様に、USBホスト30が再送要求を送信した回数が所定の閾値以上か否か判定する(ステップS108)。再送要求の回数が閾値よりも少ない場合には(ステップS108においてNO)、CPU10Aは、定数を533.3333Ωに決定し、パラメータ2をメモリ20Aに保存する(ステップS116)。そして、CPU10Aは、メモリ20Aに保存されたパラメータに従って、外部抵抗42に対して制御信号を送信し(ステップS118)、外部抵抗42の抵抗値を設定し、本ルーチンを終了する。
【0045】
以上のように、一旦、定数が決定され、パラメータがメモリ20Aに保存されると、その後プロジェクタPJを起動した場合には、CPU10Aは、メモリ20Aにパラメータが保存されていると判定し(ステップS102においてYES)、メモリ20Aに保存されているパラメータに従って、外部抵抗42に対して制御信号を送信し(ステップS118)、外部抵抗42の抵抗値を設定し、本ルーチンを終了する。
【0046】
なお、ステップS110では、1→2→3→・・・のように、パラメータが順次大きくなるように選択される。例えば、パラメータ31まで、ステップS106〜S114を繰り返し、その間に、再送要求の回数が閾値よりも少なくなることがなかったら、ステップS110において、仮パラメータとして、32が選択される。そうすると、仮パラメータは、定数テーブル内に存在しないため(ステップS112においてNO)、CPU10Aは、エラー処理を実施して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。
【0047】
上記したように、定数テーブル(図3)に記載されている全ての定数について、USBデバイス40の入出力インピーダンスが適正でないとすると、USBデバイス40に異常があることが考えられる。そこで、例えば、エラー処理としては、エラーメッセージをスクリーンに表示させたり、プロジェクタPJの備える操作部の警告ランプを点灯させるなど、点検者に対して、異常を知らせる処理であればよい。
【0048】
B−3.実施例の効果:
上記したように、本実施例のプロジェクタPJによれば、プロジェクタPJが起動される際に、CPU10Aによって、自動的に、USBデバイス40の入出力インピーダンスが適性になるように、外部抵抗42の抵抗値が設定される。したがって、第1の実施例に比べて、さらに、USBデバイス40の入出力インピーダンスを調整する際の手間を軽減することができる。
【0049】
C.変形例
なお、本発明は上記した実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0050】
(1)上記した実施例において、外部抵抗42は、1kΩ、2kΩ、4kΩ、8kΩ、16kΩの抵抗を備え、それらを並列に接続する組み合わせを変更することにより、外部抵抗42の抵抗値を変更しているが、外部抵抗42が備える抵抗の抵抗値、およびその接続方法は、上記した実施例に限定されない。USBデバイス40として使用されるICに応じて、適宜選択すればよい。そのようにしても、上記した実施例と同様の効果を得ることができる。
【0051】
(2)上記した実施例において、外部抵抗42を備えるICとして、外部メモリ300に格納されている画像データを読み込む機能を有するものを示したが、ICの機能は、上記した実施例に限定されない。外部抵抗42を備えるICであって、その外部抵抗42の抵抗値によって、入出力インピーダンスが調整されるように構成されているICであればよい。そのようなICであっても、外部抵抗を上記した実施例と同様の構成にすることにより、同様の効果を得ることができる。
【0052】
(3)上記した実施例において、外部抵抗42を備えるICが、プロジェクタに搭載される場合を例に挙げて説明したが、プロジェクタに搭載されるICに限定されず、プリンタ、PC等、種々の装置に搭載されるICであってもよい。そのようなICであっても、外部抵抗を上記した実施例と同様の構成にすることにより、同様の効果を得ることができる。
【0053】
(4)上記した実施例において、外部抵抗42を備えるICとして、USB規格に準拠するものを示したが、USB規格に準拠するものに限定されず、IEEE1394規格に準拠するものであってもよい。
【0054】
(5)上記した実施例において、外部抵抗42の備える抵抗A〜EをトランジスタT1〜T5を介して接続し、トランジスタT1〜T5に制御信号を印加することにより、抵抗A〜Eの接続可否を変更するものを示したが、例えば、トランジスタT1〜T4に代えてON抵抗の低いゲート素子を内包したロジック、または手動で接続の可否を切替えるスイッチを設けたり、リレーを設けるようにしてもよい。
【0055】
(6)上記した第2の実施例において、USBデバイス40が送出するテストパケット用のテストコンテンツは、メモリ20Aに格納され、CPU10AがUSBデバイス40を制御することにより、テストパケットを送出させているが、例えば、USBデバイス40が、CPUとメモリを備え、その備えるメモリ内に、テストパケットを送出させるプログラムおよびテストコンテンツが格納されるように構成してもよい。このようにしても、第2の実施例と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施例としてのUSBデバイス40が装着されている基板100を示すブロック図である。
【図2】外部抵抗42の概略構成を示す回路図である。
【図3】並列に接続される各抵抗A〜Fの組み合わせとその組み合わせによる外部抵抗42の抵抗値を示す表である。
【図4】外部抵抗42の備える抵抗A〜Fの組み合わせによる抵抗値の変化を示すグラフである。
【図5】図4のX部を拡大して示すグラフである。
【図6】アイパターンを用いた通信波形の評価方法を説明するための説明図である。
【図7】比較例のUSBデバイス40Pが装着されている基板を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施例としてのプロジェクタPJの構成を示すブロック図である。
【図9】本実施例のプロジェクタPJにおいて実行される外部抵抗42の抵抗値を設定する処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
10、10A…CPU
12…画像処理部
20、20A…メモリ
30…USBホスト
40、40P…USBデバイス
42、42P…外部抵抗
50A…外部接続用コネクタ
50…PC接続用コネクタ
60…メモリソケット
70…照明光学系
80…液晶パネル
90…投写光学系
100…基板
200、210…PC
300…外部メモリ
I…アイパターン
L…リミット線
PJ…プロジェクタ
T1〜T5…トランジスタ
PJ…プロジェクタ
I10、I20…アイパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部抵抗を備える半導体集積回路であって、
前記半導体集積回路の入出力インピーダンスは、前記外部抵抗の抵抗値に基づいて調整され、
前記外部抵抗は、
その抵抗値として、複数の抵抗値の中から所望の抵抗値を選択できるように形成されていることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体集積回路において、
前記外部抵抗は、
複数の抵抗と、
前記複数の抵抗を選択的に接続させるトランジスタと、
を備えると共に、
前記トランジスタのゲートに制御信号が印加されることにより、前記外部抵抗の前記所望の抵抗値が選択されることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体集積回路であって、
USB規格に準拠することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項4】
請求項2または3に記載の半導体集積回路を備える装置であって、
前記トランジスタのゲートに、前記制御信号を印加する制御信号送出部を、さらに備えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記制御信号送出部は、
前記装置の外部から入力される指示にしたがって、前記制御信号を送出することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の装置は、外部メモリに格納されている画像データを取り込んで、取り込まれた画像データに基づいて画像を表示させるプロジェクタであって、
前記半導体集積回路は、
前記外部メモリに格納されている画像データを、前記プロジェクタが備える外部メモリスロットを介して読み込む機能を有することを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−135570(P2009−135570A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307537(P2007−307537)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】