説明

半径方向隙間の隙間寸法の検出方法

流体機械における回転部品と静止部品との間の半径方向隙間(18)の隙間寸法を検出する方法において、回転部品の表面に配置された送信装置(22)から放射された原始信号が、静止部品上に配置された受信装置(24)により変化して受信され、評価装置(48)に伝えられ、この評価装置(48)が受信信号から、回転送信装置(22)の軌道曲線のパラメータの検出によって(軌道検出)、半径方向隙間(18)の隙間寸法を検出し表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に流体機械における回転部品と静止部品との間の半径方向隙間の隙間寸法を検出する方法とその装置に関する。また本発明は、そのような装置を備えた流体機械に関する。
【0002】
例えば圧縮機やタービンのような流体機械は、流路内に、固定翼輪の形に配置された静翼と、流体機械のロータに固く結合された翼輪の形に配置された動翼を、互い違いに連続して有している。動翼の半径方向外側先端は、流路の半径方向内側境界面と、半径方向隙間を形成している。同様に、静翼の先端は、ロータの外周面で形成された流路の内側境界面と、半径方向隙間を形成している。運転中にその半径方向隙間を測定するために、種々の方法が知られている。
【0003】
米国特許第4326804号明細書に、タービンの案内輪と動翼との間の半径方向隙間を測定する方法が記載されている。その場合、各動翼先端に、測定光線、好ましくは、レーザ光を反射する光反射手段が設けられている。その都度反射された光線は、レンズ装置を介して、光点位置検出器に向けて転向される。その検出器において半径方向隙間に関係して或る位置に焦点が生じ、その位置から半径方向隙間が検出される。その場合、各動翼に対して一回転ごとに測定が行われる。
【0004】
また、独国特許第2730508号明細書で、静止部品と回転部品との間の間隔を検出する方法が知られている。光源から送信された円錐状光線に基づいて、その光線は、隙間寸法に関係して、輝度検出器上に、種々の大きさの光点を投射し、その光点が間隔測定のために評価される。
【0005】
さらに、独国特許第19601225号明細書に、タービンの半径方向隙間の監視装置が開示されている。その場合、タービン翼上に光を反射するための測定基準点が設けられ、その測定基準点に、タービン車室を貫通して導かれたグラスファイバ・ゾンデから光が導かれる。タービンの運転中、実際に検出された送信光と受信光との輝度差が、基準測定時に求められた輝度差と比較され、実際測定値と基準値との輝度差偏差から、半径方向隙間の大きさが計算される。
【0006】
また、欧州特許出願公開第492381号明細書で、光学的な送信器と受信器によりタービン翼における先端隙間を測定する方法が知られている。その受信器は、タービン翼で反射された光を受信し、その際、反射輝度の時間的経過を評価する。
【0007】
これらの方法は、光学的作用を利用して、回転部品および従って受信器あるいはセンサ先端のそばを通過する部品を認識するため、ないし、この瞬間におけるその部品との間隔を検出するために、送信器およびセンサとして形成された受信器が、静止系例えば外側境界壁や車室に置かれている、ことを基礎としている。
【0008】
これらの方法は、全般的に、採用される受信器ないしセンサが、所定の限度以下には小形化できず、このために、無視できる質量にすることができない、という問題を有する。また、幾つかの方法は高価な給電ないし送信エレクトロニクス(電子部品)を必要とする。
【0009】
それらのセンサは、静翼の固有振動挙動に不利な影響を与えるために、流体機械の静翼自由端に取り付けることができない。そのような場合、静翼は運転中に振動を励起され、静翼の寿命が短縮される。
【0010】
回転系へのセンサの配置は、しばしば不可能、あるいは通常高価なエレクトロニクス(電子部品)への給電のために、過度に高い経費を必要とする。回転系にセンサあるいは特に受信器が設けられる場合、回転系から情報を導出するために、高価で故障し易い電波装置が必要とされ、これは総費用を高める。
【0011】
本発明の課題は、回転部品と静止部品との間の半径方向隙間を安価に且つ確実に検出する方法と、そのための非常に小さな質量と小さな体積のセンサを有する検出装置を提供することにある。
【0012】
また、その方法および装置が、例えば圧力および温度に対する不感受性のような全般的要件、大きな作業範囲、即ち、利用温度並びに回転数に関するダイナミックレンジを有し、および/又は、調整不要ないし校正不要である、ようにすることにある。本発明の他の課題は、そのような半径方向隙間の監視装置の利用にある。
【0013】
方法に向けられた課題は、請求項1に記載の特徴あるいは請求項2に記載の特徴によって解決される。また、装置に向けられた課題は、請求項8に記載の特徴あるいは請求項11に記載の特徴によって解決される。最後の課題は、請求項18に記載の特徴によって解決される。有利な実施態様は従属請求項に記載されている。
【0014】
方法に向けられた課題の解決策は、特に流体機械における回転部品と静止部品との間の半径方向隙間の隙間寸法を検出する方法において、回転部品の表面に配置された送信装置から電波として放射された原始信号が、静止部品上に配置された受信装置により受信され、評価装置に伝えられ、この評価装置が受信信号から、回転送信装置の軌道曲線のパラメータの検出によって(軌道検出)、半径方向隙間の隙間寸法を検出し表示する、ことにある。
【0015】
方法に向けられた課題のもう1つの解決策は、特に流体機械における回転部品と静止部品との間の半径方向隙間の隙間寸法を検出する方法において、静止部品に配置された送信装置から電波として放射ないし送信された原始信号が、回転部品上に配置された反射組織により変化して反射され、その反射信号が受信信号として、静止部品上に配置された受信装置により受信され、評価装置に伝えられ、この評価装置が受信信号からその原始信号に対する変化を、半径方向隙間の隙間寸法を検出し表示するために、回転反射組織の軌道曲線のパラメータを検出する(軌道検出)ために評価する、ことにある。
【0016】
これらの両解決策は、回転部品上に配置された規定点の軌道曲線のパラメータの検出によって、即ち、その軌道検出によって、半径方向隙間の隙間寸法が検出できる、という本発明に基づく考えを基礎としている。このために、受信装置の位置が固定基準点として用いられる。
【0017】
少なくとも時折、回転部品上に配置された一方では送信装置であり、又は他方では反射組織である回転規定点と、固定基準点としての受信装置の位置との間の常時変化する間隔は、回転部品の回転角に関係して検出される。回転角に関する間隔の値の関数曲線が、評価装置(軌道検出)によって導き出され、この関数曲線から、所望のパラメータ、つまり、回転部品と静止部品との半径方向隙間に相当する回転送信装置と固定配置された受信装置との最小間隔が検出される。
【0018】
電波はそれが光波に比べて比較的単純な電子部品で発生され、伝送され、放射され、受信され、再処理される、という利点を有する。また、電波の利用によって、特に大きな利用範囲、即ち、ダイナミックレンジが得られる。
【0019】
有利な実施態様において、信号は、0.5MHz〜100GHz、特に100MHz〜10GHzの周波数の高周波(HF)電磁波である。電磁波の利用によって、半径方向隙間内に存在する媒体に対して全般的独立が生ずる。また、電磁波に対して、高い解析率と動特性を有する非常に小形で小さな質量の送信/受信・部品要素が安価に利用でき、これは、例えば流体機械の運転中に生ずるような高速回転中でも、半径方向隙間の微分測定を可能とする。
【0020】
他の有利な実施態様において、回転点と基準点との間隔を検出するための評価装置は、電界強度ないし受信信号の強さを評価する。基準点としての回転送信装置は、その円形軌道上において固定受信装置に周期的に接近および離隔し、これにより、両送信/受信装置の相対間隔に関係して、常時変化する電界強度ないし受信信号の強さが受信装置によって受けられる。その電界強度ないし受信信号の強さは、送信装置と受信装置が相対的に最も小さな間隔で対向して位置する場所で最大となる。信号として電磁波を利用する場合、電界強度が評価される。
【0021】
回転部品上に送信装置の代わりに反射組織が設けられる。この反射組織は、固定して設置された送信装置から電波として放射された原始信号を、固定して設置された受信装置に向けて反射し、その場合、評価装置によって認識できる原始信号の操作、即ち、変化を生じさせる。また、その評価装置は第1の解決策に類似して形成される。
【0022】
あるいはまた、軌道検出、即ち、回転円形軌道上における規定点の軌道曲線のパラメータが、強さ測定ないし電界強度測定の代わりに、受信信号のドップラー効果で引き起こされた周波数偏移が評価される、ことにより検出される。
【0023】
有利な実施態様において、評価装置は、受信信号から周波数変調によってドップラー周波数、即ち、受信信号の差周波数をフィルタ通過する。差周波数の変化の時間幅に基づいて、半径方向隙間の隙間寸法が検出される。
【0024】
装置に向けられた課題の第1の解決策は、特に流体機械における回転部品と静止部品との間の半径方向隙間の隙間寸法を検出する請求項1、3〜7のいずれか1つに記載の方法を実施するための装置において、高周波電波を放射する送信装置が回転部品上に、高周波電波を受信し評価装置に通信接続された受信装置が静止部品上にそれぞれ配置される、ことにある。
【0025】
装置の有利な実施態様において、送信装置は静止部品から誘導結合によってエネルギを供給される。その代わりに、送信装置は同様に回転部品上に配置された電池からエネルギを供給される。これにより、送信装置に非接触式に、従って摩耗なしにエネルギを供給することができる。この経済的送信装置の形態に基づいて、その電池の容量は、例えば流体機械の点検がロータの露出および従って電池の交換を可能とするまで、数年にわたり送信装置にエネルギを供給するために十分足りる。
【0026】
装置に向けられた課題の第2の解決策は、特に流体機械における回転部品と静止部品との間の半径方向隙間の隙間寸法を検出する請求項2〜7のいずれか1つに記載の方法を実施するための装置において、高周波電波を受信でき放射できる反射組織が回転部品上に、高周波電波を処理する送受信装置が静止部品にそれぞれ配置され、その受信装置が評価装置に通信接続されている、ことにある。
【0027】
目的に適って、反射組織は絶縁キャリヤ層上に配置されたHFダイオード付きダイポールによって形成され、このダイポールは、好ましくは、非線形非励振ダイポールとして形成されている。ダイポールは送信装置から放射された原始信号を受信し、HFダイオードによりほぼ2倍の周波数を有する電磁波を返信し、またこの電磁波は、回転によってドップラー効果で変調される。受信装置は受信信号から2倍の送信周波数をした電磁波をフィルタ通過して、評価装置に伝える。これによって、回転部品の金属表面ないし平らな表面でもともと反射された原始周波数と同じ周波数を有する電磁波は消去される。装置は0.5MHz〜100GHz、好ましくは100MHz〜10GHzの周波数の電波で作動する。
【0028】
送信装置および受信装置の可能な同軸配置は、送信装置および受信装置がそれぞれ、点放射特性ないし線放射特性を有する送信および受信アンテナを有している、ことにより達成される。
【0029】
利用に向けられた課題の解決策は、流体機械が、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法を実施するための請求項9〜13あるいは請求項14〜17のいずれか1つに記載の装置を備えている、ことにある。これによって、特に定置ガスタービンとして形成された流体機械の半径方向隙間が監視でき、その半径方向隙間は、特に流体機械の暖機始動時に臨界値をとることができる。また、円錐状流路を有する流体機械のロータの効率向上のために実施される軸方向変位は、特に精確に実施される。これによって、流体機械の流れ媒体は、流体機械の動翼を規則通りに通過し、その場合、翼先端の先で半径方向隙間によって引き起こされる流れ媒体における流れ損失は最小となる。
【0030】
以下図を参照して本発明を詳細に説明する。
【0031】
図6は、圧縮機3と燃焼器5とタービン装置7とを備えたガスタービンとして形成された本発明に基づく流体機械1を示している。圧縮機3において、ガスタービンのロータ9に動翼13が配置され、この動翼13は、車室10に固定された静翼11と共に、流路6内における吸い込まれた空気流15を圧縮する。燃焼器5において、圧縮空気流15が燃料と混合されて燃焼され、燃焼ガス17が発生され、この燃焼ガス17は、タービン装置7において静翼11および動翼13で仕事をしながら膨張する。その際、ロータ9が駆動され、このロータ9が圧縮機3のほかに作業機械例えば発電機を駆動する。
【0032】
図1は、提案された軌道方法の測定装置の一部を示している。送信装置22は、ガスタービンのロータ9の回転軸線2が延びる直交座標系P(x,y)の座標原点P(0,0)の周りを、半径rの円形軌道K上を回転する。送信装置22は例えばガスタービンの流路6における内側境界面を形成するロータ9の表面に配置される。
【0033】
その場合、固定配置の受信装置24は、円形軌道Kの外側に、例えば、流路6の内側境界面に半径方向隙間18(図6参照)を形成して対向位置するガスタービンの静翼11の自由端に置かれている。
【0034】
送信装置22の常時変動する位置と受信装置24との間隔sは、少なくとも時々検出される。その間隔sの最小値は、ガスタービンにおいて静止部品と回転部品との間の半径方向隙間の隙間寸法として検出されねばならない監視且つ検出すべき間隔s0である。
【0035】
定角速度によるロータ9の回転中、時間的および場所的に解析される間隔sに対して、図2の線図に部分的に示された次のロータ9の回転角φと間隔sの関係式が生ずる。
【数1】

その回転角φの考察区域は、静翼に取り付けられた受信装置24の位置が点P(0、yE)に位置し、即ち、受信装置24が縦軸上に配置されている、という前提で、86°から94°まで延びている。
【0036】
図2は、ロータ9の半径r=0.5mで測定する場合における3つの異なった間隔s0に対する回転角φと間隔sとの関係を示し、これにより、3つの異なった相対軌道曲線が生じている。これにより得られる3つの間隔・関数曲線26は図2に示されている。各間隔・関数曲線26は、回転角φ=90°の点に、送信装置24の検出軌道曲線における相対最小値27が存在している。
【0037】
運転中に間隔s0が測定されねばならないので、間隔sを測定するのではなく、間隔sの第1導関数ds/d(φ)によって送信装置24の速度を測定する、ことが目的に適っている。
【0038】
図2に示された間隔関数の第1導関数は、図3に速度・関数として示されている。存在する最小間隔s0に応じて、速度・関数曲線28は種々の勾配をしている。回転角φ=90°の点で送信装置24と受信装置24との最小間隔s0が大きくなればなるほど、速度・関数曲線28の勾配は緩くなる。
【0039】
速度下限値Guと速度上限値Goで規定されたインターバル[Gu、Go]の内部の速度・関数曲線28において必要な回転角Δφを求めることによって、隙間寸法が検出できる。そのように求められた回転角Δφは、間隔s0に相当する半径方向隙間18の隙間寸法に比例する。定置流体機械で電流発生のために必ず必要とされるロータ9の定角速度によって、回転角Δφは線形変換によって時間幅に変換される。
【0040】
間隔測定のために、種々の信号形式、即ち、キャリヤ媒体と種々の検出方法が利用できる。キャリヤ媒体として音波ないし超音波あるいは電磁波が用いられる。検出方法として、一方では、音波の場合には強さ測定が採用され、他方では、電磁波の場合には電界強度測定が採用される。さらに、両キャリヤ媒体に対する検出方法として、ドップラー効果が利用される。
【0041】
以下にドップラー効果を利用した検出方法について説明する。
【0042】
図4は、超音波基礎の送信装置22と受信装置24を採用した場合における受信信号からフィルタ通過された差周波数を示している。例えば、送信周波数f0=40kHz、半径r=0.5m、回転数n=3600rpmで、超音波基礎の送信装置と受信装置を利用して、半径方向隙間が求められるとき、微分可能な有用受信信号がΔφ≒±2°の回転角の範囲でしか期待できない、ことが分かっている。しかし、送信周波数f0=40kHzの場合、このインターバルにおいて約4〜6回の発振しか生ぜず、これにより、回転数n=3600rpmの流体機械における利用に対して、ドップラー周波数・関数曲線30の十分精確な微分は限られた範囲でしかできない。低速回転中に半径方向隙間18を監視するとき、経費的に有利な超音波基礎の送信装置22と受信装置24の採用で足りる。
【0043】
一定音波伝搬速度の仮定のもとで、接近時には、
【数2】

離隔時には、
【数3】

のドップラー方程式の解析が、予測すべき周波数偏移、即ち、予測すべき差周波数が位置する周波数インターバルが送信周波数に比例する、ことを示している。従って、特に良好に評価できる受信信号を得るために、できるだけ高い送信周波数が有利である。
【0044】
超音波基礎の送信および受信装置の代わりに、例えば送信周波数f0=435MHzの高周波(HF)の送信および受信装置が採用されるとき、評価装置で求められたドップラー周波数・関数曲線30の十分精確な微分が可能となる。その結果、この場合、特に良好に評価できるドップラー周波数が、受信周波数からフィルタ通過される。選択された例において、それは[−280Hz、280Hz]の周波数偏移を有する。
【0045】
これに加えて、図5は図4と同一パラメータでドップラー周波数・関数曲線30を示している。それぞれのドップラー周波数・関数曲線30′、30″、30′″の勾配ないしそれらの勾配から、当該隙間寸法および従って間隔s0を求めることができる。
【0046】
例で選択された送信周波数f0=435MHzは遠隔測定に対して認可されている。また、安価で機能最良の小形送信/受信部品がSMD(Surface Mounted Device)として市販され、その質量は片持ち式静翼に関して無視できる。その場合、高い周波数が望ましく、また得られる。
【0047】
差周波数は受信信号から周波数変調によって得られる。所望の隙間寸法の決定は、差周波数・関数曲線30が[−200Hz、+200Hz]の周波数インターバルに位置する時間幅から決定できる回転角Δφの検出から導き出される。信号を評価するために、例えばシグナルプロセッサが利用される。
【0048】
目的に適って、送信装置22および受信装置24は約20cmの通達距離で十分であり、これにより、Sub−mW範囲におけるほんの僅かな送信出力しか必要とされない。その結果、送信装置22の非常に僅かな電力消費が期待でき、これは回転系への取付けを可能にする。必要な供給エネルギは非接触式(誘導式)で回転系に入力できる。あるいはまた、十分な運転期間が得られる市販のリチウム電池による給電も考えられる。また、限られた通達距離により、半径方向隙間は時折しか求められない。
【0049】
なお、差周波数の代わりに、電磁信号の電界強度あるいは音波の強さも、同じようにして、差関数s=f(φ、s0)を決定するために関与できる。
【0050】
間隔関数を求めるための技術的実行は、ドップラー効果が選択された信号形式と無関係に生ずるので、以下にドップラー効果をもとに説明する。すべての技術的実行に対して、電界強度経過、強さ経過ないし周波数偏移に応じ、隙間寸法を検出するために軌道方法が利用される。
【0051】
図7および図8は、回転系と静止系との間、即ち、回転部品と静止部品との間の隙間を検出するための測定系の構成をそれぞれ概略的に示している。
【0052】
図7は、エネルギ源を含む送信装置22が回転系上に、即ち、ロータ上に配置されている本発明の実施形態を示している。送信装置22はエネルギ源32と、周波数発生器34と送信アンテナ36を有している。
【0053】
静止系は受信アンテナ40を有している。ドップラー効果をもとに、受信装置24″はFM復調器41とHF発振器42を有している。ドップラー効果の代わりに、電界強度ないし受信信号の強さが評価されるとき、受信装置24′は受信アンテナ40のほかに電界強度検出器43を有している。
【0054】
受信装置24は、軌道検出が実施される評価装置48に接続されている。
【0055】
図8は異なった実施形態を示している。送受信複合装置50が固定して配置され、これは、評価装置48に接続されている。
【0056】
ドップラー効果により引き起こされる差周波数が隙間寸法を検出するために評価されるとき、送受信複合装置50″はその送受信アンテナ51のほかに、HF発振器42と周波数発生器34とFM復調器41を有している。検出方法として電界強度測定ないし強さ測定が用いられるとき、送受信複合装置50′は周波数発生器34と電界強度検出器43を有している。
【0057】
送受信複合装置50から放射された周波数fsの原始信号を回転系によって変化させるために、回転系に反射組織52、例えばHFダイオード付きの非線形非励振ダイポールが配置され、このダイポールは、電磁波を反射しない絶縁層ないしキャリヤ層の上に配置されている。ダイポールは、これが送受信アンテナ51の通達距離内に存在する限りにおいて原始信号を受信する。非線形ダイポールは、HFダイオードにより、受信原始信号の周波数fsを倍増し、倍増信号fEの信号を受信信号として受信装置に返信する。反射信号は、円形軌道K上におけるダイポールの運動によって変調され、これにより、送受信アンテナ51は周波数を倍増し、ドップラー効果で変調された受信信号を受ける。受信装置50は、受信周波数スペクトルから倍増周波数fEの信号だけを抜粋し、即ち、フィルタ通過し、評価装置48に伝える。評価装置48は、受信信号の変動電界強度ないし変動ドップラー周波数によって、軌道曲線のパラメータを決定し(軌道決定)、そこから、回転系ないし回転部品と静止系ないし回転部品との間の半径方向隙間の隙間寸法が決定される。
【0058】
平滑表面によって又は他の方式で生ずる本質的に原始信号と同じ周波数を有する原始信号の反射は、受信装置によって消去され、ないしフィルタ通過される。
【0059】
本発明に基づく装置は、これが0℃〜450℃の温度範囲で採用できる、という利点を有する。また、この検出方法は、回転部品の表面性質、幾何学状態および物理特性に左右されない。さらに、この装置は調整不要であり、一度組立後に、装置の全耐用期間に対して十分である校正しか必要とされない。
【0060】
そのようにして、小形で非常に小さな質量のセンサのために、片持ち式静翼の先端とロータハブとの間に存在する半径方向隙間が測定できる。勿論、片持ち式あるいは囲い輪付きの動翼の先端に反射組織あるいは送信装置が設けられ、受信装置の少なくとも受信アンテナが外側境界面に設けられる、利用方式も考えられる。
【0061】
例えば動翼輪(列)の各動翼が送信装置を有し、および/又は、円周にわたって複数の受信アンテナが分布されているとき、隙間寸法の一層改善された検出ないし複数箇所における同時検出が行える。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】回転点の相対軌道曲線のパラメータを検出するための測定方式の概略図。
【図2】間隔関数s=f(φ)の線図。
【図3】速度関数ds=d(φ)の線図。
【図4】可動送信装置のドップラー効果により変調された音波信号の差周波数。
【図5】可動送信装置のドップラー効果により変調された電磁HF信号の差周波数。
【図6】ガスタービンとして形成された流体機械の概略図。
【図7】半径方向隙間の隙間寸法を検出するための本発明に基づく装置。
【図8】半径方向隙間の隙間寸法を検出するための異なった実施例の本発明に基づく装置。
【符号の説明】
【0063】
1 流体機械(ガスタービン)
9 ロータ
11 静翼
18 半径方向隙間
22 送信装置
24 受信装置
48 評価装置
50 受信装置
52 反射組織

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に流体機械(1)における回転部品と静止部品との間の半径方向隙間(18)の隙間寸法を検出する方法において、回転部品の表面に配置された送信装置(22)から電波として放射された原始信号が、静止部品上に配置された受信装置(24)により変化して受信され、評価装置(48)に伝えられ、該評価装置(48)が受信信号から、回転送信装置(22)の軌道曲線のパラメータの検出によって(軌道検出)、半径方向隙間(18)の隙間寸法を検出し表示することを特徴とする特に流体機械における半径方向隙間の隙間寸法の検出方法。
【請求項2】
特に流体機械(1)における回転部品と静止部品との間の半径方向隙間(18)の隙間寸法を検出する方法において、静止部品上に配置された送信装置(50)から電波として放射された原始信号が、回転部品上に配置された反射組織(52)により変化して反射され、その反射信号が受信信号として、静止部品上に配置された受信装置(50)により受信され、評価装置(48)に伝えられ、該評価装置(48)が受信信号からその原始信号に対する変化を、半径方向隙間(18)の隙間寸法を検出し表示するために、回転反射組織(52)の軌道曲線のパラメータを検出するために評価することを特徴とする半径方向隙間の隙間寸法の検出方法。
【請求項3】
信号が、0.5MHz〜100GHz、特に1GHz〜10GHzの周波数の高周波電磁波であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
評価装置(48)が、軌道検出するために、電界強度ないし受信信号の強さを評価することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
評価装置(48)が、軌道検出するために、受信信号のドップラー効果で引き起こされた周波数偏移を評価することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
評価装置(48)が、受信信号からの周波数変調によって、ドップラー周波数を、即ち、受信信号の差周波数をフィルタ通過することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
半径方向隙間(18)の隙間寸法が、差周波数の変化の時間幅から検出されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
特に流体機械(1)における回転部品と静止部品との間の半径方向隙間(18)の隙間寸法を検出する請求項1、3〜7のいずれか1つに記載の方法を実施するための装置において、回転部品上に配置された高周波電波を放射する送信装置(22)と、静止部品上に配置され高周波電波を受信し且つ評価装置(48)に通信接続された受信装置(24)を備えていることを特徴とする半径方向隙間の隙間寸法の検出装置。
【請求項9】
回転部品上に配置された送信装置(22)が、静止部品から誘導結合によってエネルギを供給されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
回転部品上に配置された送信装置(22)が、回転部品上に配置された電池からエネルギを供給されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
特に流体機械(1)における回転部品と静止部品との間の半径方向隙間(18)の隙間寸法を検出する請求項2ないし7のいずれか1つに記載の方法を実施するための装置において、回転部品上に配置され高周波電波を受信でき放射できる反射組織(52)と、静止部品上に配置され高周波電波を送信し高周波電波を受信し且つ評価装置(48)に通信接続された送受信器(50)を備えていることを特徴とする半径方向隙間の隙間寸法の検出装置。
【請求項12】
反射組織(52)が、絶縁キャリヤ層上に配置されたHFダイオード付きダイポールによって形成されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
ダイポールが非線形非励振ダイポールとして形成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
反射組織(52)が、それで受信された原始信号の周波数(fE)の2倍の大きさの周波数(fs)の反射電波を送り返すことを特徴とする請求項9ないし13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
0.5MHz〜100GHzの範囲の周波数の電波が、送信装置から送信され受信装置で受信されることを特徴とする請求項9ないし13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項16】
送信装置および受信装置がそれぞれ、点放射特性ないし線放射特性を有する送信および受信アンテナ(51、36、40)を有していることを特徴とする請求項9ないし15のいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
回転部品が流体機械(1)のロータ(9)であり、静止部品がロータ(9)に対向して位置する片持ち式静翼(11)であることを特徴とする請求項9ないし17のいずれか1つに記載の装置。
【請求項18】
流体機械特に定置ガスタービンに利用されることを特徴とする請求項9〜14あるいは請求項15〜17のいずれか1つに記載の装置の利用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2008−506134(P2008−506134A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520806(P2007−520806)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053157
【国際公開番号】WO2006/005690
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】