説明

半田検査修正治具

【課題】第1の目的は、プリント配線実装基板の反転機構を簡単な機構で実現し、第2の目的は、プリプント配線実装基板上の搭載部品の重量によって反りが発生しないようにし、半田接合部に応力を掛けずに反転や搬送を可能にする。
【解決手段】プリント配線実装基板3を挟む上フレーム1及び下フレーム6と、上フレーム1に傾斜して設けられた1対のハンドル兼反転支え2とを備える。上フレーム1は、プリント配線実装基板3の周辺部より内側に位置する開口部1aを備え、下フレーム6は、プリント配線実装基板3の周辺部より内側に位置する開口部6aを備え、上フレーム1と下フレーム6とによりプリント配線実装基板3の周辺部を挟み込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大型コイルのような重量部品や応力に弱く部品破損の可能性があるチップ部品を混載するプリント配線基板の半田検査修正を行う際に用いられる半田検査修正治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半田検査修正治具にはプリント板の反転機構を備えたものがあるが、その反転機構は、ハンダ付けネストに設けられた回転軸を使用して、基板を保持しているハンダ付けネスト及び部品押さえを反転している(特許文献1参照。)。
また、フレキシブル配線板の固定に際しては、治具本体の上面に突出部を設け、その突出部の周縁部にフレキシブル配線板を固定する固定部を設けたものがある(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−100873号公報(第7図、第8図)
【特許文献2】特開平1−119095号公報(第6図、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の半田検査修正治具において、プリント板の反転機構には回転軸を保持する軸受を設ける必要があり、そのためには、ハンダ付けネストの外側に位置する領域を有する治具ベースが必要であり、このため治具自体が大型になり、複数の作業工程間の搬送には不向きであるという問題点があった。さらに、反転機構の構造が複雑となり、治具自体が高価になるという問題点もあった。
また、反転する際にプリント板周辺部を保持していない為、プリント板上の搭載部品の重さによる反りが発生し、その反りにより半田接合部に応力が掛かり、信頼性を損なうという問題点があった。
また、上記の特許文献2のフレキシブル配線板の固定に際しても、フレキシブル配線板の周縁だけでなく、その全体を突起部が保持することになるので、上記の特許文献1の場合と同様に、プリント板上の搭載部品の重さによる反りが発生し、その反りにより半田接合部に応力が掛かり、信頼性を損なうという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、第1の目的はプリント配線実装基板の反転機構を簡単な機構で実現した半田検査修正治具を提供することにある。
また、この発明の第2の目的は、プリント配線実装基板の搭載部品の重量による反りを発生させないようにし、半田接合部に応力を掛けずに反転や搬送を可能にした半田検査修正治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る半田検査修正治具は、プリント配線実装基板を挟む上フレーム及び下フレームと、傾斜部分を有し、前記上フレームに傾斜して設けられた1対のハンドル兼反転支えとを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の半田検査修正治具によれば、ハンドル兼反転支え部分に傾斜部分を有する構成にしたので、反転機構が簡単な機構で実現されており、反転時に別の保持治具を使用しないで半田検査及び修正を実施でき、作業時間を短縮するとともに治具費用を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る半田検査修正治具の斜視図(プリント配線実装基板を取り付けた状態)である。
【図2】図1の半田検査修正治具おいて半田検査修正作業時にプリント配線実装基板を反転させた状態の斜視図である。
【図3】図1の半田検査修正治具においてプリント配線実装基板の脱着時の状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る半田検査修正治具の斜視図(プリント配線実装基板を取り付けた状態)である。図2は、図1の半田検査修正治具おいて半田検査修正作業時にプリント配線実装基板を反転させた状態の斜視図であり、図3は、図1の半田検査修正治具においてプリント配線実装基板の脱着時の状態を示した斜視図である。
【0010】
本実施の形態1に係る半田検査修正治具は、上フレーム1及び下フレーム6を備えている。これらの2枚のフレーム1、6は、プリント配線実装基板3の外形に対応した開口部1a、6a(プリント配線実装基板3の外形寸法よりも小さい開口寸法からなる)が形成されており、蝶番4にて一方の端部が固定されており、プリント配線実装基板3の外形周辺部を上下から挟み込むように配置されている。また、フレーム1、6の他方の端部には突起部5a、5bが形成されており、これらの突起部5a、5bbがロック機構5を構成しており、このロック機構5により上フレーム1と下フレーム6とが結合される。
また、上フレーム1の左右には1対のハンドル兼反転支え2が設けられており、このハンドル兼反転支え2は、前後の支柱部分の長さが異なっており、その結果、水平部分は傾斜して傾斜部分2aが形成されている。なお、下フレーム6の開口6aについては、それに代えて、窪みを形成しても良い。また、下フレーム6の下面には、この発明の車輪に相当するフリーローラー7が取り付けられている。
【0011】
次に、半田検査修正治具の動作について説明する。
上記のように構成された半田検査修正治具は、下フレーム6に形成された開口部6aを覆うようにしてプリント配線実装基板3をセットし、蝶番4にて片側が固定されたフレーム1、6の解放部側を閉じ合わせ、ロック機構5にてプリント配線実装基板3の外形周辺部を平面で固定する。
半田検査修正治具は、部品面検査時には、図1の状態で使用され、半田面検査時は、図2に示されるように、ハンドル兼反転支え2を下にすることで、プリント配線実装基板3の半田面を表側にし、半田面の検査及び修正を実施する。
また、検査終了時には、ハンドル兼反転支え2側が上になるようにし、搬送用フリーローラー7を使用してハンドル兼反転支え2を保持することで搬送することができる。
【0012】
以上のように本実施の形態1においては、プリント配線実装基板3を、その外形周辺部をガイドにして上フレーム1及び下フレーム6とにより挟み込むようにしたので、プリント配線実装基板3に搭載された部品の重量に関わらず、基板反りが発生しない。このため、部品半田接合部に応力を掛けずに検査を実施できる。また、例えば、部品とプリント配線実装基板3との隙間がないか等の検査をする際には、フレーム1、6を斜めに立掛けてプリント配線実装基板3を斜めにして検査することがあるが、その場合においてもフレーム1、6によりプリント配線実装基板3の外形周辺部を挟み込んでフレーム1、6がその荷重を受けるので、基板反りが発生しない。
【0013】
また、プリント配線実装基板3の外形周辺部を固定する上フレーム1に、傾斜部分2aを備えたハンドル兼反転支え2を設け、半田検査修正治具の反転時にはフレーム1、6をハンドル兼反転支え2により支えるようにしたので、反転時の受け台等の別の保持治具を必要とせず、搭載された部品にプリント配線実装基板3の重量を加えることなく、半田面の検査が可能である。また、プリント配線実装基板3が反転された状態においては、開口部1a、6aによりプリント配線実装基板3に搭載された部品が中空で保持されることとなり、反転時においても部品にストレスを与えない。
【0014】
以上のようにして、本実施の形態1においては基板反りの発生が避けられるので、半田接合部に応力を掛けずに、反転や搬送が可能になっている。
【0015】
また、プリント配線実装基板3を反転するための機構に回転軸を使用しておらず、フレーム6の外側に軸受けを設ける必要がないことから、半田検査修正治具自体を小型化することができ、後工程への搬送も可能となっている。
【0016】
さらに、フレーム6の下面に配置されたフリーローラー7により、半田接合部への応力の原因である基板反りの発生なしに次工程に搬送することができ、複数の作業工程間を搬送することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 上フレーム、1a 開口部、2 ハンドル兼反転支え、2a 傾斜部分、3 プリント配線実装基板、4 蝶番、5 ロック機構、6 下フレーム、6a 開口部、7 フリーローラー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線実装基板を挟む上フレーム及び下フレームと、
前記上フレームに傾斜して設けられた1対のハンドル兼反転支えと
を備えたことを特徴とする半田検査修正治具。
【請求項2】
前記上フレームは、プリント配線実装基板の周辺部より内側に位置する開口部を備え、
前記下フレームは、プリント配線実装基板の周辺部より内側に位置する開口部又は窪みを備え、
前記上フレームと前記下フレームとによりプリント配線実装基板の周辺部を挟み込むことを特徴とする請求項1に記載の半田検査修正治具。
【請求項3】
前記下フレームの下面側に取り付けられた車輪を、更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の半田検査修正治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−176196(P2011−176196A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40080(P2010−40080)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】