説明

半田検査方法

【課題】高い精度で且つ高速に半田の状態の検査を行う。
【解決手段】
基板20のリード穴21に挿通された電子部品22のリード23と該基板20とを接合する半田24の状態を検査する半田検査方法であって、半田24の上方に位置するカメラ1に対して基板20の表面に平行な半田24の平坦部分からの反射光が該半田24の傾斜部分からの反射光に比べて強く入射するように該半田24の上方から光を照射し、カメラ1によって半田24を撮像し、カメラ1の撮像画像内の所定の検査ウィンドウ32の輝度に基づいて半田24の状態を検査する。検査ウィンドウ32は、撮像画像におけるリード23の外周より外側の領域の少なくとも一部分である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が実装されたプリント基板において、半田の状態を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品実装、例えば、クリーム半田を用いてリフロー装置による半田付けを行う表面実装ラインは、電子部品の小型化・高実装密度化に伴い、急速に全自動化が進んでいる。これは、電子部品を基板に実装する実装装置や、実装状態を検査する検査装置の開発が、進展していることも理由である。
【0003】
実装の全自動化が進んでいるものの、一部は、例えば、リード付き電子部品などの部分的に基板に挿入される電子部品の実装は、いまだに人手に頼ることがある。特に、半田の検査は、半田の外観状態が多様であるため、他の検査に比べて自動化が困難であり、いまでも目視で検査されている。
【0004】
しかし、不良品の発生の抑制、省人化の観点から半田の検査の自動化に対するニーズは高く、いくつかの半田の自動検査が検討されている。
【0005】
例えば、特許文献1に記載する半田の検査方法は、図11に示すように、検査対象の半田100の上方に位置する照明101によって半田100に対して光を照射し、光が照射された半田100をカメラ102によって撮像する。次に、ウィンドウ発生部103が、カメラ102の撮像画像に対してリード穴と略同じ大きさの検査ウィンドウ(撮影画像内において検査に使用する領域を定義するためのウィンドウ)を設定する。続いて、2値化部104が検査ウィンドウ内の撮影画像領域を2値化(白黒化)し、面積測定部105が2値化された領域における2値のいずれか一方の面積(白または黒の面積)を測定する。そして、判定部106が測定した面積に基づいて半田100の状態の良否を判定する。
【0006】
また例えば、特許文献2に記載する半田の検査方法は、図12に示すように、三次元センサ107と座標演算部108とによって半田109の形状を三次元測定して三次元データを取得し、取得した三次元データに基づいて良否判定部110が半田109の状態の良否を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭62−299709号公報
【特許文献2】特開平3−072203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の半田外観検査方法は、電子部品のリードが検査範囲(検査ウィンドウ)に含まれているため、リードの先端の形状のバラツキ、リード穴に対するリードの位置やリード穴に対するリードの傾きのバラツキ(すなわちリード付き電子部品の実装誤差)などの影響を大きく受け、半田の状態の判定において誤判定が起こることがある。また、電子部品のリードがクリンチされている場合(リードが屈曲されている場合)、屈曲したリード部分からの反射光や屈曲したリード部分によって発生する影により、誤判定が起こることがある。さらに、現実には、特許文献1に記載の検査方法が想定しない半田の状態が発生し、半田が想定外の状態であるときに誤判定が起こることがある。
【0009】
また、特許文献2のように、半田の形状の三次元データに基づいて半田の状態を検査する場合、特に検査対象である半田の数が多い場合、検査に要する時間が長くなる。例えば、半田の形状をレーザスキャンによって測定する場合、半田の数だけのスキャン時間が必要になり、半田の数が増えるほど検査時間は長くなる。検査時間が長くなることは、生産効率の観点から言えば、好ましくない。
【0010】
そこで、本発明は、上述の課題を解決し、判定精度が高く、且つ、高速に半田を検査できる半田検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明の第1の態様によれば、基板のリード穴に挿通された電子部品のリードと該基板とを接合する半田の状態を検査する半田検査方法であって、上方からの光が照射された前記半田を前記カメラによって撮像し、前記カメラの撮像画像内の検査領域の輝度に基づいて前記半田の状態を検査するに際し、前記検査領域が、前記撮像画像における前記電子部品のリードの外周より外側の領域の少なくとも一部分を含む、半田検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高精度に半田の状態を検査することができる。また、検査がカメラの撮影画像に基づいて行われるため、半田の形状を3次元測定する場合に比べて、高速に複数の半田の状態の検査を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半田検査装置の概略的な構成図
【図2】本発明の実施の形態1に係るリング形状の検査ウィンドウを説明するための図
【図3】本発明の実施の形態1における、半田の状態、カメラの撮像画像、および検査ウィンドウの対応関係を示す図
【図4】検査ウィンドウの内周および外周を説明する図
【図5】本発明の実施の形態1における検査の流れを示すフローチャート
【図6】本発明の実施の形態2における、半田の状態、カメラの撮像画像、および検査ウィンドウの対応関係を示す図
【図7】本発明の実施の形態2における検査の流れを示すフローチャート
【図8】本発明の実施の形態3に係る半田検査装置の概略的な構成図
【図9】本発明の実施の形態3における、半田の状態、カメラの撮像画像、および検査ウィンドウの対応を示す図
【図10】本発明の実施の形態3における検査の流れを示すフローチャート
【図11】従来の半田検査装置の概略的な構成図
【図12】別の従来の半田検査装置の概略的な構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1〜図5は本発明の実施の形態1を説明する図である。図1は、実施の形態1に係る半田検査装置の構成を概略的に示している。
【0016】
半田検査装置は、半田を撮像するカメラ1と、半田に対して光を照射するリング照明2と、カメラ1の撮像画像を画像処理して半田の状態を判定する画像処理装置3とを有する。
【0017】
カメラ1は、検査時、基板20に形成されたリード穴21の中心と光軸C(一点鎖線)とが一致した状態で配置される。カメラ1は、リード穴21に挿通された電子部品22のリード23と基板20とを接合する半田24を上方から撮像する。また、カメラ1は、撮像した画像に対応する画像信号を画像処理装置3に出力する。なお、半田24は、リード穴21の円周に沿って基板20上に設けられたランド25上に盛られている。
【0018】
なお、本実施の形態において、カメラは1つの半田を撮像しているが、本発明はこれに限らない。例えば、高解像度のカメラを使用して複数の半田を同時に撮像してもよい。複数の半田が映る撮像画像から1つの半田が含まれる撮像領域を画像処理によって抽出することにより、カメラが1つの半田を撮像するように、1つの半田が映る撮像画像を得ることができる。
【0019】
リング照明2は、リング形状の照明であって、半田24に向かってその上方から光を照射する。具体的には、リング照明2は、半田24の上方から光を照射するように構成されている。そして、リング照明2からの照射は、半田24の上方に位置するカメラ1に対して基板20の表面に平行な半田24の平坦部分からの反射光が、該半田24の傾斜部分(リード23に沿って半田24が盛り上がる部分)からの反射光に比べて強く入射するように、構成されている。
【0020】
画像処理装置3は、例えばマイクロコンピュータであって、カメラ1の撮像画像を画像処理して半田24の状態を判定するように構成されている。画像処理装置3は、撮像画像のランド25内において所定輝度以上の高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出部4と、撮像画像のランド25内に所定領域(特許請求の範囲に記載の「検査領域」に対応)を定義する検査ウィンドウを設定する検査ウィンドウ設定部5と、所定領域における高輝度領域の面積を算出する面積算出部6と、算出された高輝度領域の面積に基づいて半田24の状態を判定する判定部7とを有する。ここで、半田の状態とは、検査によって調べた、半田の三次元的な形状を示す。
【0021】
画像処理装置3の高輝度領域抽出部4は、例えば、256階調のグレースケール画像である撮像画像のランド25内(ランド25の外周内の領域)において、所定階調以上の領域を高輝度領域として抽出する。例えば、図2に示すように、ランド25内において、高輝度領域30が抽出される。なお、31は、高輝度領域30を除いた領域、すなわち所定階調未満の低輝度領域である。
【0022】
検査ウィンドウ設定部5が設定する検査ウィンドウ32は、撮影画像において半田24の検査に使用する領域を定義するウィンドウである。すなわち、検査ウィンドウ32内が検査に使用する領域である。また、検査ウィンドウ32は、図2に点線によって示すように、リング形状であって、その中心がリード穴21の中心に一致するように設定される。なお、検査ウィンドウ32の具体的な形状を決定する内周の大きさ(直径)と外周の大きさ(直径)とについては後述する。
【0023】
面積算出部6は、検査ウィンドウ32内における高輝度領域の面積を算出する。例えば、図2に示す場合、検査ウィンドウ32内に高輝度領域30が含まれていないので、面積算出部6は、高輝度領域の面積をゼロ(高輝度領域の面積比0%)と算出する。
【0024】
判定部7は、面積算出部6が算出した高輝度領域の面積に基づいて、半田24の状態を判定する。判定部7は、面積算出部6が算出した高輝度領域の面積が所定のしきい値以上(例えば、検査ウィンドウ32の面積に対して、高輝度領域の面積比が50%以上)である場合、半田24を「不良品」と判定する。なお、高輝度領域の面積が所定のしきい値以上であるときに半田24を「不良品」と判定する理由については後述する。
【0025】
ここからは、検査ウィンドウ32の詳細について図3および図4を参照しながら説明する。
【0026】
図3(a)、図3(e)、図3(i)、図3(m)は、異なる形状の半田24の断面を示している。また、図3(b)、図3(f)、図3(j)、図3(n)は、半田24の各形状に対応する、カメラ1の撮像画像、具体的には画像処理装置3の高輝度領域抽出部4が抽出した高輝度領域30を示している。さらに、図3(c)、図3(g)、図3(k)、図3(o)は、カメラ1の撮像画像に検査ウィンドウ32(点線)を設定した様子を示している。なお、比較例として、図3(d)、図3(h)、図3(l)、図3(p)に、従来の検査ウィンドウ(特許文献1)をカメラ1の撮影画像に設定した様子も示している。
【0027】
図3(a)は、電子部品22のリード23のリード穴21からの突出量と半田24の量とが適量であって、さらにリード23の先端が半田24から突出して露出している、いわゆる「良品」の半田24の状態を示している。半田24は、ランド25の周縁からリード23に近づくにしたがって平坦から徐々に立ち上がり(盛り上がり)、リード23に沿って急激に立ち上がる形状となっている。すなわち、半田24の傾斜は、リード23に向けて二次関数的に大きくなっている。
【0028】
図3(a)に示すような半田24の状態である場合、図3(b)に示すように、高輝度領域30として、撮影画像のランド25内において、リード23の直径と略同一直径の高輝度領域30aと、リード穴21の直径に比べて大きい内径のリング形状の高輝度領域30bとが、間に低輝度領域31を挟んで出現する。この高輝度領域30aは、リード23の先端面からの反射光の多くがカメラ1に入射することによって出現する。一方、高輝度領域30bは、ランド25上の半田24の平坦部分からの反射光の多くがカメラ1に入射することによって出現する。これに対して、低輝度領域31は、リード23の傾斜部分から、カメラ1に向かう方向以外の方向に反射光が反射するために出現する。
【0029】
図3(e)は、リード23のリード穴21からの突出量が少なく、また半田24の量が過多である、さらにリード23の先端が半田24から突出していない、いわゆる「不良品」の半田24の状態を示している。半田24は、ランド25の周縁から急激に立ち上がり、リード23に近づくにしたがってその傾斜が緩やかになり、リード23の先端を完全に覆っている。
【0030】
図3(e)に示すような半田24の状態である場合、図3(f)に示すように、リード穴21より大きい高輝度領域30が中央に出現し、その外側に低輝度領域31が出現する。これは、半田24の頭頂部の傾斜が緩やかなためである。
【0031】
図3(i)は、リード23のリード穴21からの突出量が不足し、また半田24の量が適量または適量より僅少である、さらにリード23の先端面上に半田24が薄く広がる(場合によってはリード23の一部がわずかに見える)、いわゆる「不良品」の半田24の状態を示している。半田24は、ランド25の周縁からリード23に向かって緩やかに盛り上がっている。
【0032】
図3(i)に示すような半田24の状態である場合、図3(j)に示すように、リード23の直径よりわずかに大きい直径の低輝度領域31が中央に出現し、その外側に高輝度領域30が出現する。これは、リード23の先端面上において半田24が略完全平面になって鏡面を構成し、リード23の先端面からの反射光が、カメラ1に向かう方向と異なる一方向のみに進行するためである。すなわち、リード23の先端面に当たった光が様々な方向に拡散して反射することがないために起こる。
【0033】
図3(m)は、リード23のリード穴21からの突出量が大きく不足し、また半田24の量が過少である、さらにリード23の先端が半田24から突出していない、いわゆる「不良品」の半田24の状態を示している。半田24は、略平坦状態である。
【0034】
図3(m)に示すような半田24の状態である場合、図3(n)に示すように、撮影画像のランド25内全体にわたって高輝度領域30が出現する。これは、半田24が略平坦状態であることによる。
【0035】
検査ウィンドウ32は、図3(a)、図3(e)、図3(i)、および図3(m)に示す半田24の状態を識別できるようにするために、その外周が、リード穴21の直径と同一の直径の外周とされている。また、検査ウィンドウ32の内周は、リード23の直径、または、好ましくはリード23の直径とリード穴21の径方向の電子部品22の実装誤差との和と同一の直径の内周とされている。
【0036】
なお、ここで言う「リード穴21の直径」は、リード穴21の公差の範囲の直径または許容最小直径以上であって許容最大直径以下の間の直径を言う。また、「リード23の直径」は、リード23の公差の範囲の直径または許容最小直径以上であって許容最大直径以下の間の直径を言う。さらに、「径方向の電子部品22の実装誤差」は、電子部品22のリード23をリード穴21に挿入したときに、リード23の中心とリード穴21の中心との間の許容できるリード穴径方向の距離を言う。
【0037】
図3(a)に示すような半田24の状態である場合、図3(c)に示すように、検査ウィンドウ32内は低輝度領域31である。したがって、画像処理装置の面積測定部6が高輝度領域30の面積を、例えば0%と算出し、判定部7が半田24を「良品」と判定する。
【0038】
図3(e)に示すような半田24の状態である場合、図3(g)に示すように、検査ウィンドウ32内は高輝度領域30である。したがって、画像処理装置の面積測定部6が高輝度領域30の面積を、例えば100%と算出し、判定部7が半田24を「不良品」と判定する。
【0039】
図3(i)に示すような半田24の状態である場合、図3(k)に示すように、検査ウィンドウ32内は高輝度領域30である。したがって、半田24は「不良品」と判定される。
【0040】
図3(m)に示すような半田24の状態である場合、図3(o)に示すように、検査ウィンドウ32内は高輝度領域30である。したがって、半田24は「不良品」と判定される。
【0041】
なお、図3(d)に比較例として示すように、リード21穴の直径と同一の直径である円形状の従来の検査ウィンドウ132(特許文献1の検査ウィンドウ)を採用すると、図3(a)に示すような半田24の状態である場合、リード23の直径や判定部7が判定するときの基準である所定しきい値の値によっては、半田24が「不良品」と誤判定される。
【0042】
また、図3(h)に比較例として示すように、従来の検査ウィンドウ132を使用すると、図3(e)に示すような半田24の状態である場合、半田24は「不良品」と判定される。
【0043】
さらに、図3(l)に比較例として示すように、従来の検査ウィンドウ132を使用すると、図3(i)に示すような半田24の状態である場合、リード23の直径や判定部7が判定するときの基準である所定しきい値の値によっては、半田24は「良品」と誤判定される。
【0044】
さらにまた、図3(p)に比較例として示すように、従来の検査ウィンドウ132を使用すると、図3(m)に示すような半田24の状態である場合、半田24は「不良品」と判定される。
【0045】
ここからは、検査ウィンドウ32の内周と外周とについての補足説明を、図4を参照しながら行う。
【0046】
図4(a)は電子部品22のリード23がリード穴21の中心に位置しているときの半田24の状態を示し、図4(b)は、図4(a)に対応する、カメラ1の撮像画像に検査ウィンドウ32(点線)を設定した様子を示している。図4(a)に示す検査ウィンドウ32は、その内周の直径が電子部品22のリード23の直径である。このとき、検査ウィンドウ32内は低輝度領域31である。
【0047】
図4(c)に示すように電子部品22のリード23がリード穴21の中心から許容範囲内でずれると、図4(d)に示すように検査ウィンドウ32内に部分的に高輝度領域30aが含まれる。このような場合を想定し(すなわち、このような場合に半田24の状態を「良品」にもかかわらず「不良品」と判定しないように)、画像処理装置3の判定部7は構成されている(所定しきい値が決定されている)。例えば、検査ウィンドウ32内に50%以上の高輝度領域30が含まれる場合に「不良品」と判定するように、判定部7は構成されている。これは、幾何学的に説明すれば、検査ウィンドウ32のようなリングに該リングに包囲される大きさ(リングの内周より小さい直径)のサークルを重ねた場合、リングとサークルとが重なる面積は、確実にリングの面積の50%以下であることに基づいている。
【0048】
より好ましくは、検査ウィンドウ32の内周の直径は、電子部品22のリード23がリード穴21の中心から許容範囲内でずれることを想定した直径にするのがよい。すなわち、上述したように、検査ウィンドウ32の内周の直径を、リード23の直径とリード穴21の径方向の電子部品22の実装誤差との和と同一の直径にするのがよい。これにより、図4(f)に示すように、リード23がリード穴21の中心からずれても、検査ウィンドウ32内に高輝度領域30aがほとんど含まれない。このような検査ウィンドウ32を採用することにより、高精度に半田24の状態を検査することができる。
【0049】
次に、検査ウィンドウ32の外周について説明する。
【0050】
図4(g)は、図4(a)に比べて半田24の量がわずかに少ない、「良品」の半田24の状態を示している。この場合、半田24は、図4(a)に比べてランド25上において平坦状態になり、それにより図4(h)に示すように、外側の高輝度領域30bが図4(b)に比べて厚くなる。
【0051】
図4(g)に示すような半田24の状態の場合に、検査ウィンドウ32の外周がリード穴21に比べて大きいと、図4(h)に示すように検査ウィンドウ32内は高輝度領域30bを含むことになる。そして、そのために、「良品」であるにもかかわらず、図4(g)に示すような半田24の状態を「不良品」と誤判定することになる。したがって、検査ウィンドウ32の外周の直径は、ランド25の外周直径および内周直径の間の中間の直径より小さくするのがよく、より好ましくは、ランド25の内周の直径以下、すなわちリード穴21の直径以下にするのがよい。
【0052】
なお、現実的には、リード23の直径やリード穴21の径にはバラツキがあるので、検査ウィンドウ32の内周および外周の径は適宜変更される。そのために、画像処理装置3の検査ウィンドウ設定部5は、検査ウィンドウ32の内周および外周の径を変更可能に構成されているのが好ましい。
【0053】
次に、以上の説明してきた検査ウィンドウ32を使用する、半田検査装置による半田24の状態の外観検査の一例の流れについて、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。図5に示すフローチャートは、1つの半田24に対する検査の流れを示している。
【0054】
まず、ステップS1において、リング照明2を点灯して半田24に光を照射する。そしてカメラ1によって半田24を撮像する。
【0055】
次に、ステップS2において、画像処理装置3の高輝度領域抽出部4は、カメラ1の撮影画像のランド25内において所定輝度以上の高輝度領域を抽出する。例えば、図2に示すように、高輝度領域30を抽出する。
【0056】
続いて、ステップS3において、画像処理装置3の検査ウィンドウ設定部5が、図2に示すように、ランド25内に検査ウィンドウ32を設定する。
【0057】
続いて、ステップS4において、画像処理装置3の面積算出部6が、検査ウィンドウ32内における高輝度領域の面積を算出する。
【0058】
続いて、ステップS5において、画像処理装置3の判定部7が、ステップS4で算出された高輝度領域面積が所定しきい値以上か否かを判定する。高輝度領域面積が所定しきい値以上である場合、ステップS6に進み、半田24の状態が「不良品」であると判定する。高輝度領域面積が所定しきい値以上でない場合、ステップS7に進み、半田24の状態が「良品」であると判定する。判定部7による半田24の状態の判定が完了すると、1つの半田24に対する外観検査が完了する。
【0059】
本実施の形態によれば、リード23の先端形状やリード付き電子部品22の実装誤差に影響されることなく高精度に半田24の状態を外観検査することができる。また、検査がカメラ1の撮影画像に基づいて行われるため、半田24の形状を3次元測定する場合に比べて、高速に複数の半田24の状態を検査することが可能になる。
【0060】
(実施の形態2)
本実施の形態と実施の形態1の違いは、検査ウィンドウの数であり、本実施の形態は2つの検査ウィンドウを使用する。その理由は後述する。なお、本実施の形態は、画像処理装置の検査ウィンドウ設定部、面積測定部、および判定部が実施の形態1と異なるだけなので、ここではその異なる点について説明する。
【0061】
図6は半田24の状態、カメラ1の撮影画像、および検査ウィンドウの対応関係を示している。
【0062】
図6(a)に示す半田24の状態は図3(a)と同一であって、また、図6(d)と図3(e)とが同一、図6(g)と図3(i)とが同一、図6(j)と図3(m)とが同一である。
【0063】
さらに、図6(b)に示すカメラ1の撮影画像は図3(b)と同一であって、また、図6(e)と図3(f)とが同一、図6(h)と図3(j)とが同一、図6(k)と図3(n)とが同一である。
【0064】
図6(c)、図6(f)、図6(i)、および図6(l)に示すように、本実施の形態の画像処理装置3の検査ウィンドウ設定部5は、2つの検査ウィンドウ32,33を設定する。
【0065】
内側に位置する第1の検査ウィンドウ32は、実施の形態1と同じである。ただし、外周の直径は、リード穴21の直径である。
【0066】
外側に位置する第2の検査ウィンドウ33は、第1の検査ウィンドウ32と同様にリング形状であって、リード穴21と同心である。また、その外周の直径は、ランド25の外周直径および内周直径の間の中間の直径より小さい。なお、第2の検査ウィンドウ33の内周の直径は、第1の検査ウィンドウ32の外周の直径より大きければよく、細かい条件は特に規定しない。
【0067】
画像処理装置3の面積測定部6は、2つの検査ウィンドウ32,33それぞれについて高輝度領域の面積を算出する。
【0068】
画像処理装置3の判定部7は、面積算出部6が算出した2つの検査ウィンドウ32,33内の高輝度領域の面積に基づいて、半田24の状態を判定する。判定部7は、2つの検査ウィンドウ32,33の少なくとも一方において、面積算出部6が算出した高輝度領域の面積が所定しきい値以上である場合に半田24の状態を「不良品」と判定する。
【0069】
具体的に説明すると、図6(a)に示すような半田24の状態である場合、図6(c)に示すように、2つの検査ウィンドウ32,33内は、ともに低輝度領域31である。したがって、この場合、画像処理装置3の判定部7は、半田24の状態を「良品」と判定する。
【0070】
図6(d)に示すような半田24の状態である場合、図6(f)に示すように、内側の第1の検査ウィンドウ32内が高輝度領域30であって、外側の第2の検査ウィンドウ33内が低輝度領域31である。したがって、この場合、画像処理装置3の判定部7は、半田24の状態を「不良品」と判定する。
【0071】
図6(g)に示すような半田24の状態である場合、図6(i)に示すように、内側の第1の検査ウィンドウ32内が部分的に高輝度領域30であって、外側の第2の検査ウィンドウ33内が高輝度領域30である。したがって、この場合、画像処理装置3の判定部7は、半田24の状態を「不良品」と判定する。
【0072】
図6(j)に示すような半田24の状態である場合、図6(l)に示すように、2つの検査ウィンドウ32,33内は、ともに高輝度領域30である。したがって、画像処理装置3の判定部7は、半田24の状態を「不良品」と判定する。
【0073】
2つの検査ウィンドウ32,33を設定する理由は、図6(d)に示すような半田24の状態と、図6(g)に示すような半田24の状態とを識別するためである。
【0074】
図6(e)と図6(h)を参照すれば、高輝度領域30の配置が正反対であることが分かる。図6(d)に示すような半田24の状態の場合には高輝度領域30が中央に位置し、これに対し、図6(g)に示すような半田24の状態の場合には高輝度領域30が周縁に位置する。この場合、図6(d)と図6(g)の半田24の状態を1つの検査ウィンドウによって識別する場合、検査ウィンドウの内周および外周の直径を非常に厳しく設定しなければならない。さもなくば、例えば、検査ウィンドウが図6(f)に示すような低輝度領域31に位置し、そのために半田24の状態を「良品」と誤判定する可能性がある。すなわち、半田24の状態の検査の精度が低精度になる。したがって、これらを考慮して、2つの検査ウィンドウ32,33が設定されている。
【0075】
次に、2つの検査ウィンドウ32,33を使用する、本実施の形態の半田24の状態の外観検査の一例の流れを、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0076】
まず、ステップS21において、図5に示す実施の形態1のステップS1と同様に、リング照明2を点灯して半田24に光を照射する。そしてカメラ1によって半田24を撮像する。
【0077】
次に、ステップS22において、実施の形態1のステップ2と同様に、画像処理装置3の高輝度領域抽出部4は、カメラ1の撮影画像のランド25内において所定輝度以上の高輝度領域を抽出する。
【0078】
続いて、ステップS23において、画像処理装置3の検査ウィンドウ設定部5が、ランド25内に第1(内側)の検査ウィンドウ32を設定する。
【0079】
続いて、ステップS24において、画像処理装置3の検査ウィンドウ設定部5が、ランド25内に第2(外側)の検査ウィンドウ33を設定する。
【0080】
続いて、ステップS25において、画像処理装置3の面積算出部6が、2つの検査ウィンドウ32,33内における高輝度領域の面積を算出する。
【0081】
続いて、ステップS26において、画像処理装置3の判定部7が、ステップS25で算出された2つの検査ウィンドウ内の高輝度領域面積の少なくとも一方が所定しきい値以上か否かを判定する。少なくとも一方が高輝度領域面積が所定しきい値以上である場合、ステップS27に進み、半田24の状態が「不良品」であると判定する。そうでない場合、ステップS28に進み、半田24の状態が「良品」であると判定する。判定部7による半田24の状態の判定が完了すると、1つの半田24に対する検査が完了する。
【0082】
本実施の形態によれば、2つの検査ウィンドウ32,33を設定することにより、図6(d)と図6(g)に示すような半田24の状態を確実に識別することができるため、実施の形態1に比べて高精度に半田24の状態を検査できる。
【0083】
(実施の形態3)
本実施の形態は、実施の形態2の改良形態であって、電子部品のリードがクリンチ(屈曲)されている場合に対応するものである。
【0084】
図8は、本実施の形態に半田検査装置の構成を概略的に示している。実施の形態2と異なる点は、面積算出部6とマスク設定部8である。したがって、面積算出部6とマスク設定部8を主に説明する。
【0085】
図9は、半田24の形状、カメラ1の撮影画像、検査ウィンドウおよびマスクの対応関係を示している。
【0086】
図9(a)に示すように、電子部品22のリード23はクリンチされている(屈曲されている)。
【0087】
図9(a)に示すようにリード23がクリンチされると、リード23の屈曲部分より先端側部分からの反射により、図9(b)に示すように、中央からリード23のクリンチ方向と逆方向に向かって延びる高輝度領域30dが出現する。
【0088】
図9(b)に示すようにリード23のクリンチ由来の高輝度領域30dが出現した状態で、実施の形態2のように半田24の状態の外観検査を実施すると、「良品」にもかかわらず「不良品」と誤判定する可能性がある。
【0089】
例えば、図9(c)に示すように内側の第1の検査ウィンドウ32と外側の第2の検査ウィンドウ33とに高輝度領域30dが含まれるために、画像処理装置3の判定部7が「不良品」と誤判定する可能性がある。
【0090】
この対処として、本実施の形態の画像処理装置3は、リード23がクリンチされている場合、図9(d)に示すように、リード23のクリンチ方向と逆方向をマスクする、すなわちマスクされた撮影画像の領域を検査に利用しないようにするマスク34を設定するマスク設定部8を有する。
【0091】
マスク設定部8によって設定されるマスク34は、リード23のクリンチ方向と逆方向に延びる高輝度領域30dをマスクする扇形状であって、リード穴21の中心から反クリンチ方向に延びている。扇形状の角度は0〜180°の範囲の角度であって、具体的な角度はクリンチの角度によって決定される。なお、マスク34は、扇形状以外の形状であってもよく、リード穴21の中心より反クリンチ方向側を少なくとも部分的に、すなわち反クリンチ方向側に現れる高輝度領域30dを少なくとも部分的にマスクできる形状であればよい。
【0092】
このようなマスク34により、図9(d)に示すようにクリンチによって現れる高輝度領域30dを除いて、第1および第2の検査ウィンドウ32,33を使用して半田24の状態を検査することができる。例えば、図9(d)の場合、両方の検査ウィンドウ32,33内の高輝度領域が50%以下になるので、画像処理装置3の判定部7は「良品」と正しく判定する。
【0093】
次に、リード23がクリンチされている場合における、2つの検査ウィンドウ32,33を使用する、本実施の形態の半田24の状態の外観検査の一例の流れを、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0094】
まず、ステップS31において、図5に示す実施の形態1のステップS1と同様に、リング照明2を点灯して半田24に光を照射する。そしてカメラ1によって半田24を撮像する。
【0095】
次に、ステップS32において、実施の形態1のステップ2と同様に、画像処理装置3の高輝度領域抽出部4は、カメラ1の撮影画像のランド25内において所定輝度以上の高輝度領域を抽出する。
【0096】
続いて、ステップS33において、マスク設定部8が、図9(d)に示すように、マスク34を設定する。
【0097】
続いて、ステップS34において、マスク34が設定された撮影画像の領域を除外する。
【0098】
続いて、ステップS35において、画像処理装置3の検査ウィンドウ設定部5が、ランド25内に第1(内側)の検査ウィンドウ32を設定する。
【0099】
続いて、ステップS36において、画像処理装置3の検査ウィンドウ設定部5が、ランド25内に第2(外側)の検査ウィンドウ33を設定する。
【0100】
続いて、ステップS37において、画像処理装置3の面積算出部6が、2つの検査ウィンドウ32,33内における高輝度領域の面積を算出する。
【0101】
続いて、ステップS38において、画像処理装置3の判定部7が、ステップS37で算出された2つの検査ウィンドウ内の高輝度領域面積の少なくとも一方が所定しきい値以上か否かを判定する。少なくとも一方が高輝度領域面積が所定しきい値以上である場合、ステップS39に進み、半田24の状態が「不良品」であると判定する。そうでない場合、ステップS40に進み、半田24の状態が「良品」であると判定する。判定部7による半田24の状態の判定が完了すると、1つの半田24に対する検査が完了する。
【0102】
本実施の形態によれば、マスク設定部8が設定するマスク34により、電子部品22のリード23がクリンチされていても高精度に半田24の状態を検査できる。
【0103】
以上、3つの実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は、これら3つの実施の形態に限定されない。
【0104】
例えば、上述の実施の形態の場合、検査ウィンドウ内の撮影画像領域全てを用いて半田の状態を検査しているが、本発明はこれに限らない。広義には、検査に使用する撮影画像の領域(検査領域)は、撮像画像におけるリードの外周より外側の領域の少なくとも一部分であればよい。また、必ずしも連続した領域である必要はない。例えば、図3(c)に示すような内径がリードの直径と同一であって外径がリード穴の直径と同一であるリング形状の領域内において、間隔をあけて配置される複数の独立した領域を検査に使用する検査領域としてもよい。例えば、90度ずつ間隔を開けて配置される4つの独立した領域であってもよい。
【0105】
また、上述の実施の形態の場合、画像処理装置の判定部は、半田の状態を「良品」または「不良品」と判定するように構成されているが、本発明はこれに限定されない。本発明は、図3(a)、図3(e)、図3(i)、図3(m)に示すように、4つの半田の状態を識別できるので、画像処理装置の判定部を「良品」、「不良品1」、「不良品2」、または「不良品3」の少なくとも1つを判定結果として出力するように構成してもよい。これによれば、「不良品1」、「不良品2」、「不良品3」とそれぞれ判定されたときの対応策を予め決めておくことにより、判定部による「不良品」との判定後、「不良品」と判定された半田を確認することなく、すぐに対応策を実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、基板のリード穴に装通された電子部品のリードと該基板とを接合する半田の状態を検査する方法であるので、電子基板の半田外観検査に適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 カメラ
2 リング照明
20 基板
21 リード穴
22 電子部品
23 リード
24 半田
25 ランド
30 高輝度領域
31 低輝度領域
32 検査ウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板のリード穴に挿通された電子部品のリードと該基板とを接合する半田の状態を検査する半田検査方法であって、
上方からの光が照射された前記半田をカメラによって撮像し、
前記カメラの撮像画像内の検査領域の輝度に基づいて前記半田の状態を検査するに際し、
前記検査領域が、前記撮像画像における前記電子部品のリードの外周より外側の領域の少なくとも一部分を含む
半田検査方法。
【請求項2】
前記半田の上方からの光は、前記カメラに対して前記基板の表面に平行な半田の平坦部分からの反射光が該半田の傾斜部分からの反射光に比べて強くなるように調整された、
請求項1に記載の半田検査方法。
【請求項3】
前記検査領域が、前記リード穴と同心のリング形状の検査領域であって、その内径が前記リード穴の径方向の前記電子部品の実装誤差と前記リードの直径との和である
請求項1または2に記載の半田検査方法。
【請求項4】
前記検査領域が、前記リード穴と同心のリング形状の検査領域であって、その外径が前記リード穴の直径と同一である
請求項1から3のいずれか1項に記載の半田検査方法。
【請求項5】
前記検査領域の輝度が所定の輝度を超える場合に、前記半田の状態を不良と判定する
請求項1から4のいずれか1項に記載の半田検査方法。
【請求項6】
前記リング形状の検査領域を囲む第2のリング形状の検査領域を定義し、
2つのリング形状の検査領域それぞれにおける反射光の光量に基づいて前記半田の状態を検査する
請求項3または4に記載の半田検査方法。
【請求項7】
前記2つのリング形状の検査領域の輝度の少なくとも一方が所定の輝度を超える場合に、半田の状態を不良と判定する
請求項6に記載の半田検査方法。
【請求項8】
前記リードがクリンチされており、
前記リード穴の中心より前記リードの反クリンチ方向側の領域を少なくとも部分的に除いた撮影画像に基づいて、前記半田の状態の検査を行う
請求項1から7のいずれか1項に記載の半田検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−2681(P2012−2681A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138145(P2010−138145)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】