説明

半調理食品

【課題】コンビニやスーパー等での流通・販売に適し、かつ、直火で調理するという食品本来の調理方法を購入者が簡便に実現することができて、熱々感のある食品を簡便に食することができる半調理食品を提供することを目的とする。
【解決手段】アルミ箔製容器の底面に直接ゲル状の調味液3を配置し、該ゲル状の調味液3の上に直接食材4を配置した半調理食品を基本として提供する。そして、食材4を予め全部又は部分的に調理しておき、食材4がパスタ,うどん,そば,中華麺,やきそば,春雨,フォー,リゾットその他の水分含有量の少ない半調理済み食品であって、ゲル状の調味液3と絡めて加熱することによって完成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半調理食品に関し、コンビニエンスストア(以下、コンビニという)やスーパーマーケット(以下、スーパーという)等での流通・販売に適し、かつ、直火で調理するという食品本来の調理方法を購入者が簡便に実現することができて、熱々感のある食品を簡便に食することができるものである。
【背景技術】
【0002】
近時は、各種弁当,おにぎり,丼物その他のご飯類,パスタその他の麺類等の各種調理済み食品をコンビニやスーパー等で購入して食することが、食生活の一分野を形成している。これらの調理済食品は、常温状態、冷蔵状態、チルド状態、或いは冷凍状態で流通しているが、流通を支えている大きな柱が、いまや日本列島の津々浦々まで出店しているコンビニ、或いは古くより地域と密着している大小のスーパーである。
【0003】
調理済み食品、中でも皿状のトレイにパスタ等の麺類やリゾット等のご飯類からなる調理済み食品を収納した個食トレイタイプの調理済み食品には、加熱するタイプとそのままで食するタイプとが存在し、加熱するタイプは電子レンジで簡単に加熱調理できて、比較的家庭では味わえない一皿を味わえるということで主にコンビニやスーパーで商品展開されている。これら加熱タイプの調理済み食品はコンビニ等の店頭において、或いは自宅や職場において電子レンジを使用して加熱して食することが一般に行われている。
【0004】
従前は、比較的簡単なパスタにソースをかけただけの製品やしっかりと味をつけた麺の製品(トマトケチャップなどの味)が主流であったが、近時は食材にこだわったものや、麺に下味をつけてソースとあわせてひとつの味になる味付けをセパレートタイプにした製品が人気で需要が高い。即ち、電子レンジによって加熱することにより、手軽に温かく、美味しい食品を食することができるという簡便性に重点をおいた商品設計が採用されている。
【0005】
さらに、前記した個食トレイタイプの調理済み食品においては、単に再加熱による温め直しに留まらず、電子レンジを使用して最終調理を行う食品も提供されている。例えば、冷蔵状態で販売される調理済みの加熱食品として、茹で処理をすることなく電子レンジによる加熱によって最終のパスタの調理を完成させるために、乾燥パスタを標準茹で時間の30〜50%の茹で時間で茹で、これを自然冷却により20〜30℃ に冷却して得られる冷蔵半生パスタ麺と、一般的なパスタソース組成に対し、5〜25質量%水分量の多い冷蔵パスタソースとを含む冷蔵パスタセットが提供されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−197919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パスタ類やリゾット類等の個食トレイタイプの調理済み食品は、確かに電子レンジによって簡便に温め直すことはでき、取扱が簡便であるため、調理済み食品の主流となっている。しかしながら、電子レンジを使用して、過不足なく満遍に加熱することは難しく、冷たい部分が残ったり、加熱が不足したり、或いは加熱し過ぎて食材の食感が悪くなったりすることが多い。また、野菜などの食材について生で食するのが可能であったものにも火が通り、食感、味覚の面で妥協を強いられていた。
【0007】
本来、これらの食品はフライパン等を使用して直火によって加熱調理されるべき商品であり、電子レンジによる加熱では、その食品が持つ本来の味、食感、中でも熱々感を実現することはできず、到底、熱々感を楽しんで食品を美味しく食するというレベルに至っていない。さらに、必要以上に加熱した場合には、トレイの変形や、食品の液漏れ、場合によっては爆発のおそれさえある。よって、電子レンジによる加熱では、直火加熱による熱々感を実現することができない。
【0008】
また、これらの個食トレイタイプの調理済み食品は既に味付けを含めて調理が完了しており、電子レンジでは温め直しをするだけであるため、流通時や保管時に味が麺類やご飯類、更には野菜類や肉類等の食材の内部までに浸透してゆき、時間経過とともに味が劣化していってしまう。また、既に調理を完了しているため、消費者の好みに合わせて味付けを調節することができない。
【0009】
さらに、特許文献1にかかるパスタセットは、電子レンジによる加熱によって茹で処理を代替させるものであり、電子レンジで加熱されることにおいて、前記した従来の個食トレイタイプの調理済み食品と同様であり、直火加熱による熱々感を実現できるものではない。
【0010】
これに対し、発明者は従来の電子レンジによる加熱調理を行う個食トレイタイプの製品がレストランなどで食する製品とは大きく相違する理由は、加熱手段、味付けから食するのまでの時間にあるのではないかと考えた。そこで、本発明は上記従来の問題点に鑑みて、コンビニやスーパーでの流通・販売に適し、かつ、直火で調理するという食品本来の調理方法を購入者が簡便に実現することができて、限りなく実際に調理する料理に近づけるように熱々感のある食品を簡便に食することができる半調理食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために、アルミ箔製容器の底面に直接ゲル状の調味液を配置し、該ゲル状の調味液の上に直接食材を配置した半調理食品を基本として提供する。そして、食材を予め全部又は部分的に調理しておき、食材が、パスタ,うどん,そば,中華麺,やきそば,春雨,フォー,リゾットその他の水分含有量の少ない半調理済み食品であって、ゲル状の調味液と絡めて加熱することによって完成させる。
【0012】
また、アルミ箔製容器が皿状のトレイである構成、冷蔵又はチルド状態で流通・保存可能である構成、アルミ箔製容器内のゲル状の調味液及び食材を適宜の蓋体で被覆してなる構成、及びゲル状の調味液の存在によって、アルミ箔製容器を直接直火で加熱して食材を調理できるようにした構成を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる半調理食品によれば、食材と皿状のトレイからなるアルミ箔製容器との間にゲル状の調味液を配置してあるため、アルミ箔製容器を直火で加熱しても損傷することがない。そして、加熱によってゲル状の調味液が液状に溶け出すため、食材と絡めつつ最終の調理・味付けを直火を利用して任意の仕上がり状態で行うことができ、電子レンジによる加熱では得られない熱々感を有する仕上がりを実現することができる。
【0014】
また、調味液をゲル状とすることによって、調味液を収納する袋体を使用することなく、調味液を直接アルミ箔製容器に配置することができ、更にゲル状の調味液の上に直接食材を配置することができるため、調味液と食材を個別に包装する必要がなく、半調理食品を蓋体で被覆すれば一つの包装体で流通・販売が可能である。よって、ゲル状の調味液は、本来の調味液としての役割とともに、食材を支持する役割、及び水分の少ない食材であってもアルミ箔製容器を直火で加熱することを可能とする役割を有している。
【0015】
更に、冷凍状態とすることなく、冷蔵状態やチルド状態で流通が可能であるため、食材として生鮮食材を使用可能であり、より美味しい状態でコンビニやスーパー等で販売することができる。そして、食材の種類によって、その調理の程度を未調理、半調理、調理済み迄任意に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明にかかる半調理食品の最良の実施形態を説明する。本発明における半調理食品とは、食する前に直火で加熱することによって調味液と絡める調理をすることを前提とする食品を意味するものである。よって、使用する食材そのものは、加熱済みであっても、調理済みであっても、半加熱状態であっても、半調理状態であっても、非加熱の状態であっても、未調理の状態であっても、これらの各種状態の混合した食材であってもよい。
【0017】
本発明にかかる半調理食品は、アルミ箔製容器の底面に直接ゲル状の調味液を配置し、該ゲル状の調味液の上に直接食材を配置したことに特徴を有する。本実施形態では、半調理食品としてパスタを例として説明する。図1は本発明にかかる半調理食品としてのパスタ1を示す全体平面図、図2は、その部分拡大平面図、図3は中央部断面模式図である。図において、2はアルミ箔製容器としての平底部を有する皿状のトレイ、3はゲル状の調味液、4は食材としてのパスタ、5は副食材としての海鮮魚介類である。
【0018】
アルミ箔としては0.2mm〜0.006mmのものが提供されているが、皿状のトレイ2としては保形性を有する厚手のアルミ箔を使用して、底部の直径140mm、上面開口部の直径200mmで、深さ30mm程度の浅い皿状のトレイを使用した。この皿状のトレイ2は、後述するようにゲル状の調味液3、食材4及び副食材5を載置して収納する運搬容器、直火にて加熱調理するための調理器具、及び食べるときの食器としての3つの機能を発揮するものである。アルミ箔は融点が660℃と比較的低く、焼却によって容易に灰となって土に返る環境に優しい素材である。一方において、融点が低いため空焚きをすることができず、そのまま直火にかけたのでは直ぐに破損して穴が空いてしまう。
【0019】
そこで、本発明では、皿状のトレイ2を直火で加熱可能とするために、皿状のトレイ2の平底部にゲル状の調味液3を袋等に収納することなく直接配置してある。ゲル状の調味液3は、食材4や副食材5を調理するために必要な調味料、例えば食塩や醤油などの塩分、糖分、辛味成分、苦味成分、酸味成分、その他の水溶性の調味料を組み合わせ、必要に応じて水分を添加して所定の調味液を製造する。次いで、この液状の調味液に約1%程度のゼラチンを添加して、冷却してゲル状の調味液3を製造する。
【0020】
ゲル状の調味液3は、ゲル状であるため皿状のトレイ2の平底部に敷くように配置することができ、皿状のトレイ2の空焚きを防止することができて、皿状のトレイ2をガスコンロ等にかけて直火で直接加熱することを可能とする。また、ゲル状としたため、袋体等に収納することなく、直接皿状のトレイ2に配置することができる。ゲル状の調味液3は加熱されることによって直ぐに溶け出し、食材4や副食材5などと絡み、これらに味付けをして調理することができる。
【0021】
このゲル状の調味液3の上に、パスタ,うどん,そば,中華麺,やきそば,春雨,フォー,リゾットその他の水分含有量の少ない総菜食品としての半調理済み食品からなる食材4を載置して配置する。食材4には、それぞれの製品に応じた各種の具材を混入しておくとよい。そして、食材4は直火加熱によってゲル状の調味液3と絡めて仕上げをされるものでありさえすればよく、食材4そのものの状態はどのような状態であっても使用することができ、加熱済み、調理済み、半加熱状態、半調理状態、非加熱の状態、未調理の状態、味付け済み、下味付け済みの状態であってもよく、又これらの各種状態の混合した食材であってもよい。好ましくは、事前加工として加熱処理や下味を付けておくとよい。また、食材4としてはチルド状態(10℃以下)又は冷蔵状態で流通する食材が適している。
【0022】
この食材4にトッピング或いは具材として、副食材5を載置して配置する。本実施形態では海の幸のパスタとして、イカ、タコ、エビの海鮮魚介類やオリーブその他のピクルス、唐辛子等を加熱した状態で配置した。そして、皿状のトレイ2、ゲル状の調味液3、食材4、及び副食材5を図示しない適宜の蓋体で被覆して商品として完成する。蓋体としては透明なものを使用することにより中身が確認できるため、適当である。また、蓋体に香辛料のトッピング部材や調味オイル等を収納した小袋を貼り付けておくこともできる。
【0023】
かかる半調理食品としてのパスタ1は、必要に応じて包装を施して流通過程に供給され、コンビニやスーパー等の店頭で冷蔵或いはチルド状態で販売される。パスタ1を購入した購入者は、包装を開き、蓋体や香辛料等の小袋を取り去った状態でガスコンロ等の直火にかけて加熱する。アルミ箔製の皿状のトレイ2を直火で加熱しても、皿状のトレイ2の底部にはゲル状の調味液3が配置されているため、ゲル状の調味液3が解けて液状となるため、皿状のトレイ2が直火によって穴が空いたりする等の損傷を生じることがない。その後、溶け出したゲル状の調味液3を食材4や副食材5と絡めて加熱をし、適当な状態となったところで調理を終了する。加熱時間としては概ねガスコンロの中火で3分程度が適当である。
【0024】
なお、食材4や副食材5の加熱の程度は食材や料理品に応じて最適の完成状態を選択することができ、食材や料理品によって、完全に火が通った状態、部分的に火が通った状態等を選択することができる。よって、食する直前の直火による加熱によって最適の状態となるように、食材4や副食材5の事前調理を施しておく。また、副食材5として、生鮮食品等を選択した場合は、加熱に際して副食材5を除去して直火により加熱調理し、調理後に副食材5を食材4に絡めたり、食材4の上にトッピングすることもできる。
【0025】
次に前記したパスタ1を家庭用ガスコンロの中火による直火で3分加熱して、ゲル状の調味液3と食材4及び副食材5を絡めた場合(本発明)と、ほぼ同様の材料を使用した電子レンジで加熱する同量の従来のパスタ(従来例)を商品設計に基づいた規格時間の電子レンジで加熱した場合の仕上がり時のパスタの芯温度を測定した。その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
表1に示すように、本発明によれば、加熱調理後のパスタの芯温が75℃あり、3分後でも64℃あるため、熱々感を充分に実感してパスタを食することができる。これに対し、従来の電子レンジで加熱したパスタは加熱調理後の芯温が62℃しかなく、3分経過後には54℃まで低下している。このことからも直火で調理するという食品本来の調理方法が持つ優位性を確認することができ、本発明によって半調理食品において直火加熱による調理を簡便に実現することができる。
【0028】
次に、上記手段によって調理した本発明にかかるパスタと従来例のパスタの10名による試食結果を表2に示す。
【0029】
【表2】

【0030】
表2に示すようにパスタの温度に関しては、圧倒的に本発明にかかるパスタが「温度の高さが今までにない製品」として評価されており、しかも「簡単調理が可能」と評価されている。このことはパスタの温度に関して、10人の試食者全員が満足していることからも裏付けられている。さらに、「麺の表面が引き締まっている。」「ソースの水分量が多めなので食べやすい。」との評価を得ている。これに対して、従来例では、「規定時間加熱しても軽く混ぜた後は熱い状態で食べられない。」として、パスタの食感に関して満足している人は2人しかいない。更に、「麺表面の水分含有量が低めなのでソースとの絡みが悪い。」と評価されている。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明にかかる半調理食品によれば、食材と皿状のトレイからなるアルミ箔製容器との間にゲル状の調味液を配置してあるため、アルミ箔製容器を直火で加熱しても損傷することがない。そして、加熱によってゲル状の調味液が液状に溶け出すため、食材と絡めつつ最終の調理・味付けを直火を利用して任意の仕上がり状態で行うことができ、電子レンジによる加熱では得られない熱々感を有する仕上がりを実現することができる。
【0032】
また、調味液をゲル状とすることによって、調味液を収納する袋体を使用することなく、調味液を直接アルミ箔製容器に配置することができ、更にゲル状の調味液の上に直接食材を配置することができるため、調味液と食材を個別に包装する必要がなく、半調理食品を蓋体で被覆すれば一つの包装体で流通・販売が可能である。よって、ゲル状の調味液は、本来の調味液としての役割とともに、食材を支持する役割、及び水分の少ない食材であってもアルミ箔製容器を直火で加熱することを可能とする役割を有している。
【0033】
更に、冷凍状態とすることなく、冷蔵状態やチルド状態で流通が可能であるため、食材として生鮮食材を使用可能であり、より美味しい状態でコンビニやスーパー等で販売することができる。そして、食材の種類によって、その調理の程度を未調理、半調理、調理済み迄任意に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明にかかる半調理食品としてのパスタを示す全体平面図。
【図2】部分拡大平面図。
【図3】中央部断面模式図。
【符号の説明】
【0035】
1…パスタ
2…皿状のトレイ
3…ゲル状の調味液
4…食材
5…副食材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ箔製容器の底面に直接ゲル状の調味液を配置し、該ゲル状の調味液の上に直接食材を配置したことを特徴とする半調理食品。
【請求項2】
食材を予め全部又は部分的に調理しておく請求項1記載の半調理食品。
【請求項3】
食材が、パスタ,うどん,そば,中華麺,やきそば,春雨,フォー,リゾットその他の水分含有量の少ない半調理済み食品であって、ゲル状の調味液と絡めて加熱することによって完成させる請求項1又は2記載の半調理食品。
【請求項4】
アルミ箔製容器が皿状のトレイである請求項1,2又は3記載の半調理食品。
【請求項5】
冷蔵又はチルド状態で流通・保存可能である請求項1,2,3又は4記載の半調理食品。
【請求項6】
アルミ箔製容器内のゲル状の調味液及び食材を適宜の蓋体で被覆してなる請求項1,2,3,4又は5記載の半調理食品。
【請求項7】
ゲル状の調味液の存在によって、アルミ箔製容器を直接直火で加熱して食材を調理できるようにした請求項1,2,3,4,5又は6記載の半調理食品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−81897(P2010−81897A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256356(P2008−256356)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(508295454)近森食品株式会社 (1)
【Fターム(参考)】