説明

協調型のセルネットワークで送信リソースを割り当てる方法

【課題】低レベルのセル間干渉を保証するが多数の送信リソースを動員しない、半二重中継協調を行うセルネットワークのためのリソース割り当て方法を提案すること。
【解決手段】本発明は、協調型のセルネットワークで送信リソースを割り当てる方法に関する。各セルは、ソースと、受信機とを備え、任意選択で、ソースによって送信されたデータを受信機に中継する半二重中継器を備える。本発明は、ある同じ送信タイムスロットにおいて、セルに属する中継器によって使用されるリソースを、隣接するセルのソースに割り当てることによって、この中継器の半二重モードから利益を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にセル電気通信の分野に関し、より詳細には、協調方式を使用するセル電気通信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のセルネットワークの受信可能範囲およびスループットを増加させる、WiMax、3GPP LTE (3GPP Long Term Evolution)などの無線携帯電話の新しい電気通信規格の領域で最近研究されている1つの有望な技術は、基地局においてまたは移動端末において導入される協調方式技術である。
【0003】
協調方式を使用するセルネットワークの例が、Proc. of the Joint Workshop on Coding and Communications、Austria、2007年10月14〜16日に所載の「Cooperative multi-cell networks: impact of limited capacity backhaul and inter-users links」というタイトルのS. Shamaiらの論文、およびProc. of 15th IST Mobile and Wireless Communication Summit、2006年6月に所載の「Flexible Relay Wireless OFDM-based Networks」というタイトルのC. Hoymannらの論文に示されている。
【0004】
MCP(マルチセル処理の略)と呼ばれる基地局協調は、異なるアンテナによる送信/受信信号の統合符号化/復号化を行うMultiple Input Multiple Output (MIMO)という種類の分散アンテナシステムを使用することになる。ただし、この協調方式の短所は、基地局を接続するバックホールネットワークに負荷をかけすぎることである。
【0005】
移動端末における協調は、いくつかの端末が、アップリンク用であれダウンリンク用であれ、受信端末用の中継器として機能するという事実として解釈される。この役割を遂行するいくつかの専用固定中継器をセルに設置することも提案されている。以下では、これらの技術のいずれか1つを区別せずに示すために「中継協調」という表現を使用するものとする。いずれにおいても、中継器は、ソース(ダウンリンクでは基地局、アップリンクでは端末)から信号を受信し、それを受信機(アップリンクでは基地局、ダウンリンクでは端末)に再送信する。
【0006】
中継器は、全二重モードまたは半二重モードでソース信号を再送信することができる。従来の方法では、全二重モードでは、中継器はある同じリソース上で同時に送受信できるが、半二重モードでは、中継器は所与のリソース上で連続して受信段階および送信段階になる。
【0007】
半二重モードで動作する中継器を使用する協調の1例が、IEEE Trans. on Wireless Communications、6巻、8号、2942〜2951頁、2007年8月に所載の「Uplink throughput of TDMA cellular systems with multicell processing and Amplify-and-Forward cooperation between mobiles」というタイトルのO. Simeoneらの論文に記載されている。
【0008】
図1は、半二重中継器を介する協調セルネットワークの非常に概略的な図である。隣接する2つのセル110および120が示されている。
【0009】
セル110では、ソースs1(ここでは移動端末)が宛先の受信機d1(ここでは基地局B1)にデータフローを送信する。中継器r1(ここでは移動端末)もs1由来のデータフローを受信し、それを受信機d1に中継する。したがって、中継器r1は、s1とd1の間のデータ送信と協調する。たとえば、特にs1とd1の間に障害物が存在するために、チャネルs1-d1の品質が低い場合、チャネルs1-r-1-d1によって、その障害物を迂回して満足な通信品質を得ることができる。データフローは、送信経路の空間ダイバーシティをさらに増加させるためにいくつかの端末によって中継されてよい。さらに、データフローは、1回(シングルホップ)でまたは数回連続(マルチホップ)で中継されてもよい。
【0010】
同様に、セル120は、直接的な方法と中継器r2(ここでは移動端末)を介する方法の両方で受信機d2(ここでは移動端末)にデータフローを送信するソースs2(ここでは基地局B2)を備える。
【0011】
中継器端末r1は、待ち受け(listening)段階においてソース端末s1からデータを受信し、送信段階においてそのデータを基地局に対して再送信する。したがって、受信機基地局は、1回目はソース端末からの送信タイムスロットにおいて、2回目は中継端末からの送信タイムスロットにおいて、異なる経路を介して同じデータを受信する。セル120内での協調はこれと同一であり、唯一の違いは、ここではソースは基地局B2であり、受信機は移動端末であることである。
【0012】
中継協調を使用するセルネットワークでは、セル間およびセル内の干渉に関する新しい問題が発生する。従来のセルネットワークでは、隣接するセルに別個の送信リソース(たとえば、周波数)を割り当てること、およびセル同士が離れている場合に所定のパターン(周波数再利用パターン)に沿ってこれらのリソースを再利用することが知られている。したがって、所与の数の送信リソースについては、セルの周縁で特に重要である、セル間の干渉レベルが低減する。
【0013】
半二重中継器を介する協調を行うセルネットワークで前記のリソース割り当てパターンを使用することが可能である。ただし、このネットワークにおける接続数は従来のセルネットワークにおける接続数よりかなり多いので、後述するように、この割り当て方式では送信リソースに対する負荷が高い。
【0014】
図2Aおよび図2Bは、それぞれ半二重中継器を介する協調を行う場合と行わない場合の、セルネットワークで送信リソースを割り当てる方法を概略的に示している。
【0015】
異なる端末に関連する送信タイムスロットがX軸に示され、別の送信リソース、たとえばOFDM方式の周波数チャンクδf1およびδf2がY軸に示される。
【0016】
協調がないとき(図2Aを参照。中継器r1およびr2がないかまたは非活動状態)、ソースs1およびs2は、それぞれ周波数チャンクδf1およびδf2に属するサブキャリアを変調することによって、送信タイムスロットT1およびT2においてデータフローを送信する。記号s1(T1)およびs2(T2)は、タイムスロットT1およびT2においてs1およびs2によって送信されるそれぞれのデータを表すために使用される。
【0017】
協調が存在するとき(図2Bを参照)、ソースs1およびs2は、前述のように送信タイムスロットT1においてチャンクδf1およびδf2でデータフローを送信する。半二重中継器r1およびr2は、タイムスロットT1においてそれぞれδf1およびδf2で待ち受け段階にあり、たとえば同じ周波数チャンクδf1およびδf2を使用してタイムスロットT2において受信データを再送信する。記号r1(T1)およびr2(T1)は、タイムスロットT1においてr1およびr2によって送信されるデータを表すために使用される。
【0018】
図2Cは、隣接する2つのセルの一方(ここでは110)のみが協調方式を使用するときにリソースを割り当てる方法を示す。
【0019】
送信タイムスロットT1中の割り当ては、図2Aまたは図2Bに示された割り当てと同一である。一方、送信タイムスロットT2において、中継器r1はs1から受信されたデータを周波数チャンクδf1を使用して中継し、s2は周波数チャンクδf2を使用してデータを送信し続ける。
【0020】
同量のデータを送信するために、図2Bに示された協調構成では、図2Aに示された、協調を行わない構成に比べて2倍多い送信リソースを使用することが必要なことが理解されよう。同様に、図2Cに示された混合協調構成では、図2Aに示された、協調を行わない構成に比べて1.5倍多いリソースを使用することが必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Proc. of the Joint Workshop on Coding and Communications、Austria、2007年10月14〜16日に所載の「Cooperative multi-cell networks: impact of limited capacity backhaul and inter-users links」というタイトルのS. Shamaiらの論文
【非特許文献2】Proc. of 15th IST Mobile and Wireless Communication Summit、2006年6月に所載の「Flexible Relay Wireless OFDM-based Networks」というタイトルのC. Hoymannらの論文
【非特許文献3】IEEE Trans. on Wireless Communications、6巻、8号、2942〜2951頁、2007年8月に所載の「Uplink throughput of TDMA cellular systems with multicell processing and Amplify-and-Forward cooperation between mobiles」というタイトルのO. Simeoneらの論文
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、本発明の目的は、低レベルのセル間干渉を保証するが多数の送信リソースを動員しない、半二重中継協調を行うセルネットワークのためのリソース割り当て方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、少なくとも2つの隣接するセルを備えるセルネットワークでリソースを割り当てる方法によって定義され、第1セルは第1ソースと、第1中継器と、第1受信機とを備え、第2セルは少なくとも1つの第2ソースと、第2受信機とを備える。第1送信リソースは、中継器が以前に少なくとも1つの先行する送信タイムスロットにおいて第1ソースから受信されたデータを第1受信機に再送信する第1送信タイムスロットにおいて、第1中継器に割り当てられ、前記第1リソースは、前記第1送信タイムスロットにおいて前記第2ソースにも割り当てられる。
【0024】
ある特定の実施形態によれば、第2セルは第2中継器を備え、第2送信リソースは、第2中継器が以前に少なくとも1つの先行する送信タイムスロットにおいて第2ソースから受信したデータを第2受信機に再送信する第2送信タイムスロットにおいて、第2中継器に割り当てられ、前記第2リソースは前記第2送信タイムスロットにおいて前記第1ソースにも割り当てられる。
【0025】
前記第1送信タイムスロットおよび前記第2送信タイムスロットは、同一または別個であるように選択可能である。
【0026】
実施形態の第1の例によれば、第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンクは、それぞれ第1ソースおよび第2ソースに割り当てられ、各送信タイムスロットにおいて、第1中継器は、先行する送信タイムスロットにおいて第1周波数チャンクで第1ソースから受信したデータを再送信するために第2周波数チャンクに割り当てられる。
【0027】
実施形態の第2の例によれば、第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンクは、現在の送信タイムスロットにおいてそれぞれ第1ソースおよび第2ソースに割り当てられ、この割り当ては次の送信タイムスロットにおいて入れ替えられる。さらに、現在の送信タイムスロットにおいて、第1中継器は、先行する送信タイムスロットにおいて第2周波数チャンクで第1ソースから受信したデータを送信するために第2周波数チャンクに割り当てられ、次の送信タイムスロットにおいて、第1中継器は、現在の送信タイムスロットにおいて第1周波数チャンクで第1ソースから受信したデータを再送信するために第1周波数チャンクに割り当てられる。
【0028】
実施形態の第3の例によれば、第1送信タイムスロットの後に第2送信タイムスロットが続き、第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンクが、第1送信タイムスロットにおいてそれぞれ第1ソースおよび第2ソースに割り当てられ、第2周波数チャンクは、先行する送信タイムスロットに第1ソースから受信したデータを再送信するために第1送信タイムスロットにおいて第1中継器にも割り当てられ、第1周波数チャンクは、第1送信タイムスロットにおいて第2ソースから受信したデータを再送信するために第2送信タイムスロットにおいて第2中継器にも割り当てられる。
【0029】
実施形態の第4の例によれば、第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンクは、それぞれ第1ソースおよび第2ソースに割り当てられる。ある送信タイムスロットにおいて、第1中継器および第2中継器は、それぞれ第1ソースおよび第2ソースからデータを受信し、次の送信タイムスロットにおいて、第1中継器および第2中継器は、それぞれ第1ソースおよび第2ソースから受信したデータを再送信するために第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンクにそれぞれ割り当てられる。
【0030】
第5の実施形態によれば、第1ソースおよび第2ソースは、現在の送信タイムスロットにおいてそれぞれ第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンクに割り当てられ、この割り当ては次の送信タイムスロットにおいて入れ替えられる。現在の送信タイムスロットにおいて、第1中継器は、先行する送信タイムスロットにおいて第2周波数チャンクで第1ソースから受信したデータを送信するために第2周波数チャンクに割り当てられ、第2中継器は、先行する送信タイムスロットにおいて第1周波数チャンクで第2ソースから受信したデータを再送信するために第1周波数チャンクに割り当てられる。次の送信タイムスロットにおいて、第1中継器は、現在の送信タイムスロットにおいて第1周波数チャンクで第1ソースから受信したデータを再送信するために第1周波数チャンクに割り当てられ、第2中継器は、現在の送信タイムスロットにおいて第2周波数チャンクで第2ソースから受信したデータを再送信するために第2周波数チャンクに割り当てられる。
【0031】
実施形態の第6の例によれば、各送信タイムスロットにおいて、第1ソースおよび第2ソースは、第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンクにそれぞれ割り当てられ、この同じタイムスロットにおいて、第1中継器は、先行する送信タイムスロットにおいて第1周波数チャンクで第1ソースから受信したデータを再送信するために第1周波数チャンクに割り当てられ、第2中継器は、先行する送信タイムスロットにおいて第2周波数チャンクで第2ソースから受信したデータを再送信するために第2周波数チャンクに割り当てられる。
【0032】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して記載されている本発明の好ましい一実施形態を読めば、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来技術で知られている中継器を介する協調セルネットワークの概略図である。
【図2A】中継協調を行わない場合の、隣接するセルへのリソースの割り当てを示す図である。
【図2B】中継協調を行う場合の、隣接するセルへのリソースの割り当てを示す図である。
【図2C】隣接する2つのセルの一方のみで中継協調を行う構成におけるリソースの割り当てを示す図である。
【図3A】隣接するセルの一方のみで中継協調を行うセルネットワークのための、本発明によるリソースの割り当て例の概略図である。
【図3B】隣接するセルの一方のみで中継協調を行うセルネットワークのための、本発明によるリソースの割り当て例の概略図である。
【図3C】隣接する2つのセルで中継協調を行うセルネットワークのための、本発明によるリソースの割り当て例の概略図である。
【図3D】隣接する2つのセルで中継協調を行うセルネットワークのための、本発明によるリソースの割り当て例の概略図である。
【図3E】隣接する2つのセルで中継協調を行うセルネットワークのための、本発明によるリソースの割り当て例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
協調方式が半二重モードで動作する中継器を用いる協調型のセルネットワークを再検討する。したがって、各セルはソースのグループと、受信機のグループと、中継器のグループとを備えてよく、この最後のグループは、中継器を介する協調が対象のセルで想定されていない場合は空である。基地局によって担当されるセルがセクタまたはマイクロセルに分割されるときに各セクタ/マイクロセルでリソースの割り当てが提供される場合、「セル」という用語がリソースの割り当てがなされる基本的要素に該当するものであることが、概要を失うことなく理解される。
【0035】
一般に、セルネットワークは送信リソースを使用するが、このリソースは、送信タイムスロット(TDMA方式を参照)、周波数(FDMA方式を参照)、周波数チャンク(OFDMA方式を参照)、直交符号(CDMA方式を参照)、または前記リソースの組み合わせであってよい。
【0036】
OFDMA方式に関連する好ましい一実施形態では、リソースは、送信タイムスロットおよび周波数チャンク(より正確にはOFDM多重方式のサブキャリアのグループ)であるように選択される。
【0037】
本発明の根本にある第1の考えは、ソースと中継器の間のチャネルが低干渉のみを有する限りにおいてのみ、中継器を介する協調方式が有効であるということである。チャネル上に干渉がある場合、復号化されてから再送信される(復号転送型の中継)信号または増幅されてから再送信される信号(増幅転送型の中継)の品質が低くなることがある。したがって、協調を行わない場合に比べて受信機側の信号対雑音比が低いということになる。
【0038】
本発明の根本にある第2の考えは、対象の中継器の半二重機能から利益を得ることである。より正確には、前記中継器が所与のリソースたとえば周波数帯域上で送信段階にあるとき、この中継器は同時にこのリソース上で受信することはできない。このリソースは次に、隣接するセルの別のソースに同時に割り当て可能である。この割り当てにより中継器と受信機の間のチャネル上で干渉が誘発されても、この干渉は、ソースと中継器の間のチャネル上で発生した場合に比べて受信機側の信号対雑音比に関する不利益が少なくなる。
【0039】
図3Aは、図1に示される中継協調などの中継協調を行うセルネットワークでの、本発明によるリソースの割り当て例を示す。ここで、セル110のみが中継協調を使用する、言い換えれば中継器r2がないかまたは非活動状態であると仮定されている。
【0040】
タイムスロットT1において、ソースs1はデータをリソースδf1で送信し、ソースs2はデータをリソースδf2で送信する。同じタイムスロットにおいて、中継器r1はリソースδf1でs1からデータを受信し、以前に先行するタイムスロット(ここではT0)において受信したデータをリソースδf2で送信する。前述のように、si(Tj)は、タイムスロットTjにおいてソースsiによって送信されるデータを示すために使用され、ri(Tj)はタイムスロットTjにおいて中継器riによって再送信されるデータを示す。半二重モードでは、中継器は、第1リソースたとえばδfiで受信し、同時に第2リソースδfj≠δfiで送信することができる。中継器によって再送信されたデータは必ずしもその中継器が受信したデータと同一の形で再送信されないことに留意されたい。受信データはたとえば復号化されてから再符号化されてよい。
【0041】
タイムスロットT2において、リソースの割り当てが同様に繰り返され、中継器r1は、タイムスロットT1においてリソースδf1で受信したデータをリソースδf2で送信する。
【0042】
したがって、δf1を使用するチャネルs1-r1はδf2を使用するs2とd2の間の通信によって干渉されないことが理解されよう。
【0043】
図3Bは、図3Aに示された構成と同じ協調構成のための、本発明による別の割り当て例を示す。
【0044】
前述の割り当てパターンとは異なり、リソースδf1およびδf2の割り当ては、第1タイムスロットと第2タイムスロットで逆にされる。より正確には、タイムスロットT2において、中継器r1はリソースδf2でs1からデータを受信し、タイムスロットT1においてリソースδf1で受信したデータをリソースδf1で送信する。
【0045】
したがって、中継器r1は、図3Aに示されたパターンとは異なり、交互にどちらかのリソースで受信して送信する。ただし、前述のように、チャネルs1-r1はs2とd2の間の通信によって干渉されないことに留意されたい。
【0046】
図3Cは、隣接する2つのセル110および120において中継器を介する協調を使用するセルネットワークでの、本発明によるリソースの割り当て例を示す。
【0047】
タイムスロットT1中のリソースの割り当ては、図3Aおよび図3Bに示された割り当てと同一である。言い換えれば、ソースs1およびs2は、それぞれリソースδf1およびδf2を使用してデータを送信し、中継器r1は、タイムスロットT0においてs1から受信したデータをリソースδf2で再送信する。一方、前述の割り当てパターンとは異なり、中継器r2はタイムスロットT2においてリソースδf1で、以前に先行するタイムスロットにおいてリソースδf2で受信したデータを送信する。
【0048】
したがって、チャネルs1-r1およびs2-r2上での干渉はないことが理解されよう。一方、協調は、タイムスロットの2つに1つの間にのみ受信する限りにおいて、1回おきにのみ有効である。示した例では、中継器r1は、タイムスロットT2においては受信しないが、タイムスロットT1においてのみ受信する。同様に、中継器r2は、タイムスロットT1においては受信しないが、タイムスロットT2においてのみ受信する。
【0049】
図示されない一変形形態によれば、中継器r1およびr2は、それぞれリソースδf1およびδf2で永続的に受信する。タイムスロットT1において、中継器r1は、以前にタイムスロットT-1およびT0においてs1から受信したデータをリソースδf2で送信する。同様に、タイムスロットT2において、中継器r2は、以前にタイムスロットT0およびT1においてs2から受信したデータをリソースδf1で送信する。ただし、タイムスロットT1においてチャネルs2-r2がr1の再送信によって干渉され、タイムスロットT2においてチャネルs1-r1がr2の再送信によって干渉されることに留意されたい。さらに、データは、ソースの速度より2倍速い速度で中継器によって再送信されなければならない。
【0050】
図3Dは、本発明によるリソース割り当ての別の例を示す。中継協調の状況は、図3Cで想定された状況と同じである。
【0051】
第1送信タイムスロットT1において、ソースs1はリソースδf1を使用してデータを送信し、ソースs2はリソースδf2を使用してデータを送信する。中継器r1およびr2は、T1においてそれぞれs1およびs2からデータを受信し、それをT2においてそれぞれリソースδf1およびδf2で再送信する。ソースは、第2送信タイムスロットにおいてこれらの同じリソースでデータを送信し続ける。
【0052】
したがって、T1においてまたはT2においてチャネルs1-r1およびs2-r2上での干渉はない。
【0053】
図3Eは、本発明によるリソースの割り当ての最後の例を示す。中継器を介する協調状況は、ここでも図3Cで想定された状況と同じである。
【0054】
送信タイムスロットT1において、ソースs1およびs2はリソースδf1およびδf2でそれぞれのデータを送信する。中継器r1は、リソースδf1でs1からデータを受信し、以前にタイムスロットT0においてこのソースから受信されたデータをリソースδf2で再送信する。同様に、中継器r2は、このタイムスロットにおいてリソースδf2でs2からデータを受信し、以前にタイムスロットT0においてこのソースから受信されたデータをリソースδf1で再送信する。
【0055】
タイムスロットT2において、リソースの割り当てがソースs1およびs2と中継器r1およびr2の両方に関して逆にされる。言い換えれば、ソースs1およびs2は、リソースδf2およびδf1でそれぞれのデータを送信する。中継器r1は、リソースδf2でs1からデータを受信し、以前にタイムスロットT1において受信されたデータをリソースδf1で再送信する。同様に、中継器r2は、リソースδf1でs2からデータを受信し、以前にタイムスロットT1において受信されたデータをリソースδf2で再送信する。
【0056】
タイムスロットT1またはタイムスロットT2において、チャネルs1-r1はr2の再送信によってのみ干渉され、チャネルs2-r2はr1の再送信によってのみ干渉される。
【0057】
図3Eに示された例に示されていない一変形形態によれば、第2タイムスロット中のリソースの割り当ては、第1タイムスロットの割り当てと同一であるように選択される。
【0058】
上記の例すべてにおいて、1つのセルに属する中継器の半二重モードは、同じ送信タイムスロットにおいてこの中継器によって使用されるリソースを隣接するセルのソースに割り当てることによって、使用される。
【0059】
隣接する2つのセルに関して本発明を上記で説明してきたが、任意の数のこのようなセルに対して問題なく本発明を拡張できることが当業者には理解されよう。同様に、2つの送信タイムスロット、より一般的には2つのソースのための2つの送信リソースに関して本発明を説明してきたが、本発明は一般に複数のソースのための任意の数の送信リソースに当てはまることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0060】
110 セル
120 セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの隣接するセル(110、120)を備えるセルネットワークでリソースを割り当てる方法であって、第1セル(110)は第1ソース(s1)と、第1中継器(r1)と、第1受信機(d1)とを備え、第2セル(120)は少なくとも第2ソース(s2)と、第2受信機(d2)とを備える方法において、前記第1中継器が以前に少なくとも1つの先行する送信タイムスロットにおいて前記第1ソースから受信されたデータを前記第1受信機に再送信する第1送信タイムスロットにおいて、第1送信リソースが前記第1中継器に割り当てられることと、前記第1リソースが前記第1送信タイムスロットにおいて前記第2ソースにも割り当てられることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2セルが第2中継器を備えることと、前記第2中継器が以前に少なくとも1つの先行する送信タイムスロットにおいて前記第2ソースから受信されたデータを前記第2受信機に再送信する第2送信タイムスロットにおいて、第2セル送信リソースが前記第2中継器に割り当てられることを特徴とし、前記第2リソースが、前記第2送信タイムスロットにおいて前記第1ソースにも割り当てられる、請求項1に記載の、リソースを割り当てる方法。
【請求項3】
前記第1送信タイムスロットと第2送信タイムスロットが同一であることを特徴とする、請求項2に記載の、リソースを割り当てる方法。
【請求項4】
前記第1送信タイムスロットと第2送信タイムスロットが別個であることを特徴とする、請求項2に記載の、リソースを割り当てる方法。
【請求項5】
前記第1ソースおよび第2ソースがそれぞれ第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンク(δf1、δf2)に割り当てられることと、各送信タイムスロット(T1、T2)において前記第1中継器が、前記先行する送信タイムスロット(T0、T1)において前記第1周波数チャンク(δf1)で前記第1ソースから受信したデータを送信するために前記第2周波数チャンク(δf2)に割り当てられることを特徴とする、請求項1に記載の、リソースを割り当てる方法。
【請求項6】
前記第1ソースおよび第2ソースが、現在の送信タイムスロット(T1)においてそれぞれ第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンク(δf1、δf2)に割り当てられることと、この割り当てが、次の送信タイムスロット(T2)において入れ替えられることと、前記現在の送信タイムスロット中の前記第1中継器が、前記先行する送信タイムスロットにおいて前記第2周波数チャンク(δf2)で前記第1ソースから受信したデータを送信するために前記第2周波数チャンク(δf2)に割り当てられることと、前記次の送信タイムスロット(T2)中の前記第1中継器が、前記現在の送信タイムスロット(T1)において前記第1周波数チャンク(δf1)で前記第1ソースから受信したデータを再送信するために前記第1周波数チャンク(δf1)に割り当てられることを特徴とする、請求項1に記載の、リソースを割り当てる方法。
【請求項7】
前記第1送信タイムスロットの後に前記第2送信タイムスロットが続くことと、前記第1ソースおよび前記第2ソースが前記第1送信タイムスロット(T1)においてそれぞれ第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンク(δf1、δf2)に割り当てられることを特徴とし、前記第2周波数チャンク(δf2)が、前記先行する送信タイムスロット(T0)において前記第1ソースから受信したデータ(r1(T0))を再送信するために前記第1送信タイムスロットにおいて前記第1中継器にも割り当てられ、前記第1周波数チャンク(δf1)が、前記第1送信タイムスロット(T1)において前記第2ソースから受信されたデータ(r2(T1))を再送信するために前記第2送信タイムスロットにおいて前記第2中継器にも割り当てられる、請求項4に記載の、リソースを割り当てる方法。
【請求項8】
前記第1ソースおよび前記第2ソースがそれぞれ第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンク(δf1、δf2)に割り当てられることと、送信タイムスロット(T1)において前記第1中継器および前記第2中継器が、それぞれ前記第1ソースおよび前記第2ソースからデータを受信することと、前記次の送信タイムスロットにおいて前記第1中継器および前記第2中継器が、それぞれ前記第1ソースおよび前記第2ソースから受信されたデータを再送信するためにそれぞれ前記第1周波数チャンクおよび前記第2周波数チャンクに割り当てられることを特徴とする、請求項3に記載の、リソースを割り当てる方法。
【請求項9】
前記第1ソースおよび前記第2ソースが、現在の送信タイムスロット(T1)においてそれぞれ第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンク(δf1、δf2)に割り当てられることと、この割り当てが、前記次の送信タイムスロット(T2)において入れ替えられることと、前記現在の送信タイムスロットにおいて、前記第1中継器が、前記先行する送信タイムスロット(T0)において前記第2周波数チャンク(δf2)で前記第1ソースから受信したデータを再送信するために前記第2周波数チャンク(δf2)に割り当てられ、前記第2中継器が、前記先行する送信タイムスロット(T0)において前記第1周波数チャンク(δf1)で前記第2ソースから受信したデータを再送信するために前記第2周波数チャンク(δf2)に割り当てられることと、前記次の送信タイムスロット(T2)において、前記第1中継器が、前記現在の送信タイムスロット(T1)において前記第1周波数チャンク(δf1)で前記第1ソースから受信したデータを再送信するために前記第1周波数チャンク(δf1)に割り当てられ、前記第2中継器が、前記現在の送信タイムスロット(T1)において前記第2周波数チャンク(δf2)で前記第2ソースから受信したデータを再送信するために前記第2周波数チャンク(δf2)に割り当てられることを特徴とする、請求項3に記載の、リソースを割り当てる方法。
【請求項10】
各送信タイムスロット(T1)において、前記第1ソースおよび前記第2ソースが、それぞれ第1周波数チャンクおよび第2周波数チャンク(δf1、δf2)に割り当てられることと、この同じタイムスロットにおいて、前記第1中継器が、前記先行する送信タイムスロット(T0)において前記第1周波数チャンク(δf1)で前記第1ソースから受信したデータを再送信するために前記第2周波数チャンク(δf2)に割り当てられ、前記第2中継器が、前記先行する送信タイムスロット(T0)において前記第2周波数チャンク(δf2)で前記第2ソースから受信したデータを再送信するために前記第2周波数チャンク(δf2)に割り当てられることを特徴とする、請求項3に記載の、リソースを割り当てる方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図3E】
image rotate


【公開番号】特開2011−24212(P2011−24212A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−161697(P2010−161697)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】