説明

単分散粒子を含む染色用及び/又は印刷用配合物

本発明は、単分散粒子、少なくとも1種の硬化性物質、少なくとも1種の開始剤、及び溶媒を含む印刷用配合物、並びにこれらの配合物の使用及びこれらの配合物で印刷された基材に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単分散粒子、少なくとも1種の硬化性物質、少なくとも1種の開始剤、及び溶媒を含む印刷用配合物、並びに印刷のためのそれらの配合物の使用、及びこれらの配合物を用いて印刷した基材に関する。
【背景技術】
【0002】
単分散粒子を含むインクジェット技術用配合物は、例えば国際公開WO2005/063902号パンフレットにより公知である。
【0003】
そのような配合物の問題点は、単分散粒子が基材上に印刷された場合に、そのような印刷の安定性が低いことである。この印刷は非常に容易に損傷をうけ又は除去されうる。これは粘着テープ試験によってはっきり示すことができる。
【0004】
硬化が溶媒の蒸発の間に行われ、架橋が常温又は高温で起こる場合には、別の問題が生じる。そのようなシステムは国際公開WO2005/063902号パンフレットにみられる。このプロセスは時間がかかり、印刷がいくらかの損傷を受けるおそれが高く、得られる印刷の性質はしばしば充分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2005/063902号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第20050137283A1号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】M. Egen、R. Zentel(Macromol. Chem. Phys. 2004, 205, 1479-1488)
【非特許文献2】Bogushら(J. Non-Crys. Solids 1988, 104, 95)
【非特許文献3】Stoeber、Fink、及びBohn(J. Colloid Interface Sci. 1968, 26, 62)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本願の目的は、短時間に良好な安定性を有する印刷された基材をもたらす、単分散粒子を含む、印刷方法のための配合物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、少なくとも1種の硬化性物質と少なくとも1種の開始剤との添加によって、得られた印刷の品質が改善され、並びにそのような良好な印刷が素早く得られることを見出した。
この印刷は、機械的な影響に対して良好な安定性を示す(例えば、良好な耐引っかき性)。それはより高い耐温度性並びに増大した耐溶剤性を示す。さらに、この単分散粒子は酸化される傾向が小さく、これはその印刷のより長い寿命をもたらす。
かつ、良好な全体特性の印刷を得るための時間が短い。
【0009】
第一の側面では、本発明は、
(i) 単分散粒子、
(ii) 少なくとも1種の硬化性物質、
(iii) 少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 少なくとも1種の溶媒
を含む印刷用配合物(PF I)を提供する。
【0010】
本発明の単分散粒子は、可視光の波長に相当する範囲内の波長を有する光を分散させるコロイド結晶を形成することができる。
【0011】
「単分散粒子」の用語は、配合物中の全てのこれらの粒子が同じ大きさ(直径)を有することを意味する。より包括的な定義は以下に示す。
【0012】
(シェルがマトリクスシステムを形成しているコア/シェル粒子に代えて)別々の硬化性物質と開始剤を添加することの利点は、任意の種類の硬化性物質と開始剤を用いることができることである。そのような硬化性物質/開始剤-システムは、層配列中の各球状粒子の間のギャップを優れた仕方でカバーし、それにより、マトリクス形成性シェルを有するコア/シェル粒子でさえ、より良好な安定性を得て、したがってより良好な印刷品質が得られる。
開始剤を用いることにより、硬化反応はすぐに起こり、印刷は迅速な仕方で安定にされる。
この開始工程は、エネルギーの投入によって開始される。そのようなエネルギーは、熱、輻射(例えば、通常光、UV光)、圧力などの形態でありうる。
この印刷の硬化は(UV)光によって行われることが好ましい。そのような場合、「開始剤」の用語は「光開始剤」の用語と等価であり、これはUV又は可視光からのエネルギーで分解する化学物質である。
【0013】
硬化は、高分子化学及びプロセス工学の用語であり、ポリマー鎖の架橋によるポリマー材料の強化又は硬化をいう。
【0014】
本発明の配合物を適用する方法は、一般に公知の方法であり、それらは以下に議論する。
【0015】
本発明の配合物において、可視光の波長に相当する範囲内の波長を有する光を分散するコロイド結晶を形成しうる単分散粒子の量は、この配合物が(水及び/又はその他の溶媒で)希釈されるべき濃縮物として用いられるか、又はそのまま使用できる配合物として使用されるかによって、非常に大きく変動しうる。第一の場合には、単分散粒子の量は多く、印刷用配合物の全質量を基準にして最大70質量%(wt%)である。後者の場合は、単分散粒子の量は印刷用配合物の全質量を基準にして0.01〜30wt%で変動しうる。
【0016】
単分散粒子の量は、印刷される基材並びに得る必要がある色調によっても決まることは明らかである。
【0017】
本発明は濃縮された印刷用配合物にも関し、そこでは単分散粒子の量は、印刷用配合物の全質量を基準にして30wt%〜70wt%、好ましくは30wt%〜60wt%、より好ましくは30wt%〜55wt%にはいる。
【0018】
本発明は印刷用配合物にも関し、そこでは単分散粒子の量は、印刷用配合物の全質量を基準にして0.01wt%〜30wt%、0.1wt%〜30wt%、より好ましくは0.1〜20wt%にはいる。
【0019】
単分散粒子の量は、その配合物の物理的形態に応じて変動しうることも述べておかなければならず、これはその濃度が、配合物が液体、ゲル、ワックス、又はペーストの形態である場合に変動しうることを意味する。
【0020】
単分散粒子は、少なくとも60%の粒子が、特定した粒径の範囲にはいっているものとして定義される。単分散粒子は、二乗平均平方根(root mean square, rms)直径において10%未満の偏差しかない。非常に単分散な粒子は、rms直径において5%未満の偏差しかない。本発明に用いるための単分散粒子は、約1μm未満であり且つ約1nmより大きなrms直径を有し、したがって、ナノ粒子として分類される。この単分散粒子は、約150又は約200nmより大きなrms直径をもつことが好ましい。この単分散粒子は、約900nm又は約800nm未満のrms直径をもつことが好ましい。これは、通常直径が150nm〜900nm、好ましくは150nm〜800nmであることを意味する。単分散粒子の直径は、約200nm〜約550nmであることがより好ましい。
【0021】
単分散粒子は、人間の目、すなわち可視スペクトルにおいて着色して見えるコロイド結晶を形成できるように選択された。結晶の色(1色又は複数色)は、2つの因子、すなわちコロイド結晶内の格子面間隔と、粒子及びマトリクスの屈折率とに原理的に依存し、これらが、分散される光の波長に影響を及ぼす。格子面間隔は、単分散粒子の大きさなどの因子によって定まる。例えば、青及び赤から緑及び黄色の範囲の色を有する着色したコロイド結晶を生成させるために、250〜510nmの直径を有する粒子を用いている。コロイド結晶は、異なる角度から見た場合に異なる色を有することができ、なぜなら格子面間隔はその結晶の別の軸では異なりうるからである。少なくとも1つの軸での格子面間隔が可視スペクトルの波長をもつ光の回折をもたらす場合には、その結晶は着色して見える。
【0022】
単分散粒子は様々な形状でありうる。好ましい態様では、単分散粒子は実質的に球形である。本発明の別の好ましい態様では、単分散粒子は球形である。
【0023】
本発明の別の好ましい態様では、単分散粒子は無機物である。
【0024】
本発明の別の好ましい態様では、単分散粒子は有機ポリマーである。
【0025】
少なくとも1つの軸の格子面間隔が約350〜約780nmであり、好ましくは380〜770nmである。
【0026】
本発明の着色剤組成物に用いるために適した単分散粒子は、有機及び/又は無機物質から選択された1種以上を含めた任意の好適な物質から作られることができる。例えば、適した有機物質には、有機ポリマー粒子、例えば、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子、が含まれる。好適な無機物質には、金属カルコゲニド、金属ニクタイド(pnictide)、シリカ、金属、及び金属酸化物の粒子が含まれる。好適な金属酸化物の例には、例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びYが含まれる。好適な金属の例には、例えば、金、銅、及び銀が含まれる。
【0027】
用語「金属カルコゲニド」は、(制定されたIUPAC命名法にしたがって)元素周期律表の16族、例えば、酸素、硫黄、セレン、テルル、及びポリニウムのアニオンと形成された金属化合物を意味する。
【0028】
用語「金属ニクタイド」は、(制定されたIUPAC命名法にしたがって)元素周期律表の15族、例えば、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、及びビスマスのアニオンと形成された金属化合物を意味する。
【0029】
単分散ポリ(メチルメタクリレート)複合材料は、M. Egen、R. Zentel(Macromol. Chem. Phys. 2004, 205, 1479-1488)によって記載された方法によって調製でき、あるいはDuke Scientific Corporationから市販されている。
【0030】
単分散粒子の調製方法は当技術分野で公知である。粒子が高分子である場合には、分散物は、エマルション重合、分散重合、懸濁重合を用いて調製でき、あるいは粒子が無機物(例えば、シリカ粒子)である場合には、分散物はゾル−ゲル法を用いて調製できる。
【0031】
単分散シリカ球状粒子は、Stoeber、Fink、及びBohn(J. Colloid Interface Sci. 1968, 26, 62)による周知の方法にしたがって調製できる。この方法は後にBogushら(J. Non-Crys. Solids 1988, 104, 95)によって改良された。あるいは、シリカ粒子は、Blue Helix, Limited社から購入することができ、あるいはそれらは米国特許第4775520号明細書及び米国特許第4911903号明細書に記載された方法によって新たに調製することができる。
【0032】
例えば、単分散シリカ球状粒子は、水性アンモニア性媒体中でのテトラアルコキシシランの加水分解重縮合によって製造でき、一次粒子のゾルが最初に生成し、次に、得られたシリカ粒子がテトラアルコキシシランの連続的な制御された添加によって所望の粒径にされる。この方法を用いると、7%未満の標準偏差をもつ0.05〜10μmの平均粒径を有する単分散SiO球状粒子を製造することができる。
【0033】
本発明の配合物は、例えば基材へその着色剤組成物を適用した場合にコロイド結晶を形成することができる単分散粒子を含む。
【0034】
疑念を避けるために、「コロイド結晶」と本明細書でいうのは、1種以上のコロイド結晶に関することを意図するものである。
【0035】
用語「コロイド結晶」は、その間に実質的に規則正しい又は一定の間隔を有する、単分散粒子の規則正しい配列、を意味する。したがって、単分散粒子の配列は、連続層(すなわちマトリクス)中に配列した分散相を家伊勢宇する。連続相(すなわちマトリクス)は、分散相に対して異なる屈折率の気体、液体、又は固体を含むことができる。
【0036】
当業者が理解するとおり、しかしながら、コロイド結晶はいくらかの不純物及び/又は欠陥を含みうる。不純物及び/又は欠陥の量は、通常、用いる物質及び用いる製造方法に左右される。
【0037】
用語「コロイド結晶」は、用語「超格子」と同じ意味をもつ。コロイド結晶あるいは超格子は一種のフォトニック結晶であり、これは誘電体の二次元又は三次元の周期的な配列によって特徴づけられる光学的な人工的構造であり、これが、それを伝搬する電磁波に対するエネルギーバンド構造の形成をもたらす。このコロイド結晶は、可視光の波長に対応する範囲の格子面間隔を有することが好ましい。
【0038】
好ましい態様では、コロイド結晶は可視光の波長に対応する範囲の格子面間隔を有する。
【0039】
本発明は、
(i) 有機ポリマー粒子、例えば、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子;無機物質、例えば、金属カルコゲニド、金属ニクタイド、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、並びに金属酸化物粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)からなる群から選択された単分散粒子、及び
(ii) 少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 少なくとも1種の溶媒
を含む印刷用組成物(printing formulation, PF Ia)にも関する。
【0040】
無機物質を用いる印刷用配合物が好ましい。そのような物質は(UV)光耐性であるばかりでなく、高温に対してもより安定である。印刷工程の間又は後で溶媒を除去するために(その配合物の溶媒に応じて)高温を用いることができる。
【0041】
本発明はまた、
(i) 無機物質、例えば、金属カルコゲニド、金属ニクタイド、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、並びに金属酸化物粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)からなる群から選択された単分散粒子、及び
(ii) 少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 少なくとも1種の溶媒
を含む印刷用組成物(printing formulation, PF Ib)に関する。
【0042】
印刷用配合物(PF Ia)及び(PF Ib)の単分散粒子は、二乗平均平方根(root mean square, rms)直径において10%未満の偏差しかなく、好ましくは5%未満の偏差しかなく、且つそれらは150nm〜900nm、好ましくは150nm〜800nmの直径を有し、より好ましくは、単分散粒子の直径は約200nm〜約550nmである。
【0043】
この印刷用組成物は、少なくとも1種の溶媒を含む。
【0044】
この溶媒は有機溶媒であることが好ましく、これは極性又は非極性でありうる。極性溶媒の例には、水、アルコール類(モノ又はポリ)、エステル、ケトン、及びエーテル類が含まれ、特にグリコール類及びポリグリコール類のモノ−及びジ−アルキルエーテル類、例えば、モノ-、ジ-、及びトリ-プロピレングリコール類のモノメチルエーテル、及びエチレン-、ジエチレン-、及びトリ-エチレングリコールのモノ-n-ブチルエーテル類、例えば、モノ-、ジ-、及びトリ-プロピレングリコール類のモノメチルエーテル類、及びエチレン-、ジエチレン-、トリエチレングリコール類のモノ-n-ブチルエーテル類、が含まれる。
【0045】
非極性溶媒の例には、少なくとも6つの炭素原子を有する脂肪族及び芳香族炭化水素、並びに精製蒸留製品及び精製蒸留副生成物を含めたそれらの混合物が包含される。
【0046】
上記印刷用組成物は、水性溶液として、又は非水性溶液として調製できる。
したがって、上述した印刷用組成物に関連する本発明の別の態様では、この組成物は非水性である。
【0047】
したがって、本発明の別の態様は上述した印刷用配合物に関し、その配合物は水性である。
【0048】
したがって、本発明は、
(i) 単分散粒子、及び
(ii) 少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 少なくとも1種の開始剤、及び
(iva) 水、及び
(ivb) 任意選択により、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、並びに、精製蒸留製品及び精製蒸留副生成物を含めた、少なくも6つの炭素原子を有する脂肪族及び芳香族炭化水素及び前記炭化水素の混合物からなる群から選択された少なくとも1種の溶媒
を含む印刷用配合物(printing formulation, PF IIa)にも関する。
【0049】
印刷用配合物(PF II)及び(PF IIa)の単分散粒子は、二乗平均平方根(root mean square, rms)直径において10%未満の偏差しかなく、好ましくは5%未満の偏差しかなく、且つそれらは150nm〜900nm、好ましくは150nm〜800nmの直径を有し、より好ましくは、単分散粒子の直径は約200nm〜約550nmである。
【0050】
好ましい態様では、溶媒は、水、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール)、エステル、ケトン、及びエーテル(特に、グリコール類及びポリグリコール類のモノ-及びジ-アルキルエーテル、例えばモノ-、ジ-、及びトリ-プロピレングリコールのモノメチルエーテル類、並びにエチレン-、ジエチレン-、及びトリエチレングリコールのモノn-ブチルエーテル類)、から選択できる。
【0051】
しかし、水を、非水性媒体に意図的に全く添加しない場合でも、いくらかの外来の水が配合物に運び込まれることがあるが、一般に、これは、印刷用配合物の全質量を基準にして約2〜4質量%以下である。定義により、本発明の非水性インクは、印刷用配合物の全質量を基準にして、約10質量%以下、好ましくは約5質量%以下の水しか含まない。
【0052】
印刷用配合物中の溶媒の量は、典型的には、印刷用配合物の全質量を基準にして、約10〜約99.99質量%、好ましくは約20〜約99.9質量%、より好ましくは約30〜約99.9質量%である。
【0053】
本発明の配合物の一部である溶媒の量は大きく変動しうる。その理由は、先に単分散粒子について説明したものと同じである。
【0054】
本配合物を濃縮物として用いる場合は、溶媒の量は少なく、通常は、印刷用組成物の全質量を基準に、30〜70質量%である。ある場合には、この印刷用組成物は30質量%未満の溶媒を含むことができる。
組成物が、すぐに使用可能な形態である場合は、溶媒含有量は、印刷用組成物の全質量を基準にして99.99質量%以下でありうる。
【0055】
溶媒の量は、印刷がされる基材、並びに得ることが必要な色調にも左右されることは明らかである。
【0056】
したがって、本発明は、濃縮された印刷用配合物にも関し、その場合、溶媒の量は、印刷用配合物の全質量を基準にして、30質量%〜70質量%、好ましくは35質量%〜70質量%、より好ましくは35質量%〜65質量%である。
【0057】
本発明は、水の量が、印刷用組成物の全質量を基準にして70質量%〜99.99質量%、好ましくは70質量%〜99.9質量%、より好ましくは80質量%〜99.9質量%である印刷用配合物にも関する。
【0058】
水を含む組成物(純粋な水性並びに水/溶媒混合物)が好ましい。
【0059】
単分散粒子の量並びに溶媒の量は、配合物の物理的形態に応じて変わりうることも記載しておくべきであろうし、このことは、その濃度が、印刷用組成物が液体、ゲル、又はペーストである場合に変わりうることを意味する。
【0060】
本発明による組成物は、少なくとも1種の硬化性物質も含む。硬化性物質は、良好な機械的特性、接着特性、及び堅牢性、並びに環境下での分解に対する良好な耐性を有する。この硬化性物質は、「熱可塑性」及び「熱硬化性」の2つの大きなグループに分類できる。全ての種類の一般に公知の硬化性物質を用いることができる。通常、硬化性物質は、架橋可能な樹脂である。それらは、分子量が1000g/mol未満の、低分子又はオリゴマー状多官能化合物である。しばしば末端基である官能基(例えば、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、又はヒドロキシ基)は、重付加又は重縮合機構にしたがって反応するように(官能基の量並びに官能基の種類が)選択される。
【0061】
好適な硬化性物質は、ポリエステル、ビニルエステル、及びエポキシ化合物である。さらには、フェノール性化合物、シアネートエステル、ポリウレタン、ビスマレイミド、ポリイミド、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化ポリオール、及びアクリル化ポリエーテル化合物も同様に用いることができる。
硬化性物質は周知であり、例えば、BASF社、Jenton International UK社、又はALBERDINGK社から市販されているものを購入できる。
【0062】
したがって、本発明のさらなる好ましい態様は、上記硬化性物質が、ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール性化合物、シアネートエステル、ポリウレタン、ビスマレイミド、ポリイミド、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化ポリオール、及びアクリル化ポリエーテル化合物からなる群から選択された印刷用配合物に関する。
【0063】
そのような硬化性物質は、印刷用配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%の量で用いられる。好ましくは、硬化性物質は、印刷用組成物の全質量を基準にして0.1〜10質量%の量で存在する。
【0064】
上記硬化性物質と組み合わせて、少なくとも1種の開始剤が用いられる。この開始剤は、硬化性物質の重合を開始するものである。
開始反応が放射で起こる場合は、それは通常、光(400nm〜800nm)及び/又はUV光(100nm〜400nm)及び/又はIR(800nm〜1400nm)に曝露することによって行われる。
そのような開始剤は、ペルオキシド又はペルオキシド含有化合物、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン及びアセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、並びにチオキサントン誘導体であることができる。
【0065】
したがって、本発明のさらなる好ましい態様は、開始剤が、ペルオキシド又はペルオキシド含有化合物、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン及びアセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、並びにチオキサントン誘導体からなる群から選択された、印刷用組成物に関する。
【0066】
さらなる好適な開始剤は、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート(phenyglyoxylate)、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノアシルホスフィン、ビスアシルホスフィン、ホスフィンオキシド、メタロセン、ヨードニウム塩(iodinum salt)である。
【0067】
そのような開始剤は周知であり、例えば、BASF社(Lucricin(登録商標))又はCiba Specialty Chemicals社(IRGACURE(登録商標)類:IRGACURE(登録商標)184、IRGACURE(登録商標)500、IRGACURE(登録商標)2959、IRGACURE(登録商標)754、IRGACURE(登録商標)651、IRGACURE(登録商標)369、IRGACURE(登録商標)907、IRGACURE(登録商標)1300、IRGACURE(登録商標)819、IRGACURE(登録商標)819DW、IRGACURE(登録商標)2202、IRGACURE(登録商標)2100、IRGACURE(登録商標)784、IRGACURE(登録商標)250、並びにDAROCUR(登録商標)類:DAROCUR(登録商標)1173、DAROCUR(登録商標)MBF、DAROCUR(登録商標)TPO、及びDAROCUR(登録商標)4265)から入手できる。
【0068】
そのような開始剤は、印刷用組成物の全質量を基準にして0.005質量%〜10質量%の量で用いられる。好ましくは、開始剤は、印刷用組成物の全質量を基準にして0.01〜8質量%の量で存在する。
【0069】
したがって、本発明は、
(i) 配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜70質量%の単分散粒子、及び
(ii) 配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%の少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 配合物の全質量を基準にして0.005質量%〜10質量%の少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 配合物の全質量を基準にして10質量%〜99.99質量%の少なくとも1種の溶媒
を含む印刷用配合物(printing formulation, PF III)を提供する。
【0070】
したがって、本発明は、
(i) 有機ポリマー粒子〔たとえば、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子〕、並びに、無機物質〔たとえば、金属カルコゲニド、金属ニクタイド、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、及び金属酸化物粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)〕からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜70質量%の単分散粒子、
(ii) 配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%の少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 配合物の全質量を基準にして0.005質量%〜10質量%の少なくとも1種の開始剤、及び
(iva) 配合物の全質量を基準にして10質量%〜99.99質量%の水、及び
(ivb) 任意選択で、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、並びに、精製蒸留製品及び精製蒸留副生成物を含めた、少なくも6つの炭素原子を有する脂肪族及び芳香族炭化水素及び前記炭化水素の混合物からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.1質量%〜89.99質量%の少なくとも1種の溶媒
を含む印刷用組成物(printing formulation, PF IIIa)を提供する。
【0071】
本発明は、
(i) 有機ポリマー粒子〔たとえば、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子〕、並びに、無機物質〔たとえば、金属カルコゲニド、金属ニクタイド、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、及び金属酸化物粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)〕からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜70質量%の単分散粒子、
(ii) ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール性化合物、シアネートエステル、ポリウレタン、ビスマレイミド、ポリイミド、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化ポリオール、及びアクリル化ポリエーテル化合物からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%の少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) ペルオキシド又はペルオキシド含有化合物、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン及びアセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、チオキサントン誘導体、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノアシルホスフィン、ビスアシルホスフィン、ホスフィンオキシド、メタロセン、ヨードニウム塩(iodinum salts)からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.005質量%〜10質量%の少なくとも1種の開始剤、及び
(iva) 配合物の全質量を基準にして10質量%〜99.99質量%の水、及び
(ivb) 任意選択で、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、並びに、精製蒸留製品及び精製蒸留副生成物を含めた、少なくも6つの炭素原子を有する脂肪族及び芳香族炭化水素及び前記炭化水素の混合物からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.1質量%〜89.99質量%の少なくとも1種の溶媒
を含む印刷用組成物(printing formulation, PF IIIa’)を提供する。
【0072】
本発明は、
(i) 有機ポリマー粒子〔たとえば、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子〕、並びに、無機物質〔たとえば、金属カルコゲニド、金属ニクタイド、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、及び金属酸化物粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)〕からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜70質量%の単分散粒子、
(ii) 配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%の少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 配合物の全質量を基準にして0.005質量%〜10質量%の少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) アルコール、エステル、ケトン、エーテル、並びに、精製蒸留製品及び精製蒸留副生成物を含めた、少なくも6つの炭素原子を有する脂肪族及び芳香族炭化水素及び前記炭化水素の混合物からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして10質量%〜99.99質量%の少なくとも1種の溶媒
を含む印刷用組成物(printing formulation, PF IIIb)を提供する。
【0073】
本発明は、
(i) 有機ポリマー粒子〔たとえば、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子〕、並びに、無機物質〔たとえば、金属カルコゲニド、金属ニクタイド、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、及び金属酸化物粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)〕からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜70質量%の単分散粒子、
(ii) ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール性化合物、シアネートエステル、ポリウレタン、ビスマレイミド、ポリイミド、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化ポリオール、及びアクリル化ポリエーテル化合物からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%の少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) ペルオキシド又はペルオキシド含有化合物、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン及びアセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、チオキサントン誘導体、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノアシルホスフィン、ビスアシルホスフィン、ホスフィンオキシド、メタロセン、ヨードニウム塩(iodinum salts)からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.005質量%〜10質量%の少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) アルコール、エステル、ケトン、エーテル、並びに、精製蒸留製品及び精製蒸留副生成物を含めた、少なくも6つの炭素原子を有する脂肪族及び芳香族炭化水素及び前記炭化水素の混合物からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして10質量%〜99.99質量%の少なくとも1種の溶媒
を含む印刷用組成物(printing formulation, PF IIIb’)を提供する。
【0074】
水(純粋な水性、並びに水/溶媒混合物)、少なくとも1種の硬化性物質、及び少なくとも1種の光開始剤(例えば、光、UV、又はIR)を含む配合物が最も好ましい。
【0075】
印刷用配合物(PF III)、(PF IIIa)、(PF IIIa’)、(PF IIIb)、及び(PF IIIb’)の単分散粒子は、二乗平均平方根(root mean square, rms)直径において10%未満の偏差しかなく、好ましくは5%未満の偏差しかなく、且つそれらは150nm〜900nm、好ましくは150nm〜800nmの直径を有し、より好ましくは、単分散粒子の直径は約200nm〜約550nmである。
【0076】
先に開示した化合物と量とに関する、成分(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(iva)、及び(ivb)に関する全ての上述の好ましいものは、これらの配合物(PF III)、(PF IIIa)、(PF IIIa’)、(PF IIIb)、及び(PF IIIb’)に全て適用可能である。
【0077】
加えて、印刷用組成物はさらなる補助剤を含むことができる。そのような補助剤は、印刷分野で通常用いられるものである。
【0078】
補助剤は、染料とともに用いてその染料を布帛に固定するために用いられる、あるいは印刷方法の我々の結果を改善する、追加の化学物質である。さらに、補助剤の用語は、例えば、配合物の貯蔵性、配合物のより良い取り扱い性などの配合物自体の特性を向上させる助けになる化学物質と理解されるべきである。
【0079】
補助剤の例は、例えば、顔料(例えば、二酸化チタン又はカーボンブラック)、フィラー(例えば、バライト、カルサイト、マイカ、タルク、チョーク、及びウォラストナイト)、増量剤(例えば、ケイ酸アルミニウム)、脱気剤、無水流動化剤(dry flow agent)、流動化剤(例えば、ポリアクリレート、シリコーン、界面活性剤、及びフッ素化アルキルエステル)、艶消し剤、テクスチャー付与剤、レオロジー調整剤、合体剤(coalescence agent)、及びワックスである。
【0080】
そのような補助剤は、通常、少量で存在し、その量は印刷用組成物の全質量を基準にして約10質量%以下であることができる。
1以上の補助剤が存在する場合は、その量は通常0.1質量%〜10質量%である。
【0081】
したがって、本発明のさらなる態様は、少なくとも1種の補助剤を含む、上述した印刷用配合物に関する。
【0082】
したがって、本発明のさらなる態様は、
(i) 単分散粒子、及び
(ii) 少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 少なくとも1種の溶媒、及び
(v) 少なくとも1種の補助剤
を含む印刷用配合物(printing formulation, PF IV)に関する。
【0083】
したがって、本発明のさらなる態様は、
(i) 有機ポリマー粒子、例えば、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子;無機物質、例えば、金属カルコゲニド、金属ニクタイド、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、並びに金属酸化物粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)からなる群から選択された単分散粒子、及び
(ii) 少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 少なくとも1種の溶媒、及び
(v) 少なくとも1種の補助剤
を含む印刷用組成物(printing formulation, PF V)に関する。
【0084】
したがって、本発明のさらなる態様は、
(i) 単分散粒子、及び
(ii) 少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 少なくとも1種のさらなる溶媒、及び
(v) 顔料(例えば、二酸化チタン又はカーボンブラック)、フィラー(例えば、バライト、カルサイト、マイカ、タルク、チョーク、及びウォラストナイト)、増量剤(例えば、ケイ酸アルミニウム)、脱気剤、無水流動化剤(dry flow agent)、流動化剤(例えば、ポリアクリレート、シリコーン、界面活性剤、及びフッ素化アルキルエステル)、艶消し剤、テクスチャー付与剤、レオロジー調整剤、合体剤(coalescence agent)、及びワックスからなる群から選択された、少なくとも1種の補助剤
を含む印刷用配合物(printing formulation, PF VI)に関する。
【0085】
したがって、本発明のさらなる態様は、
(i) 有機ポリマー粒子、例えば、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子;無機物質、例えば、金属カルコゲニド、金属ニクタイド、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、並びに金属酸化物粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)からなる群から選択された単分散粒子、及び
(ii) 少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 少なくとも1種のさらなる溶媒、及び
(v) 顔料(例えば、二酸化チタン又はカーボンブラック)、フィラー(例えば、バライト、カルサイト、マイカ、タルク、チョーク、及びウォラストナイト)、増量剤(例えば、ケイ酸アルミニウム)、脱気剤、無水流動化剤(dry flow agent)、流動化剤(例えば、ポリアクリレート、シリコーン、界面活性剤、及びフッ素化アルキルエステル)、艶消し剤、テクスチャー付与剤、レオロジー調整剤、合体剤(coalescence agent)、及びワックスからなる群から選択された、少なくとも1種の補助剤
を含む印刷用組成物(printing formulation, PF VII)に関する。
【0086】
本発明の別の態様は、
(i) 配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜70質量%の単分散粒子、及び
(ii) 配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%の少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 配合物の全質量を基準にして0.005質量%〜10質量%の少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 配合物の全質量を基準にして10質量%〜99.99質量%の少なくとも1種の溶媒、及び
(v) 配合物の全質量を基準にして0.1質量%〜10質量%の少なくとも1種の補助剤
を含む印刷用配合物(printing formulation, PF VIII)に関する。
【0087】
本発明の別の態様は、
(i)有機ポリマー粒子、例えば、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子;無機物質、例えば、金属カルコゲニド、金属ニクタイド、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、並びに金属酸化物粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜70質量%の単分散粒子、及び
(ii) 配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%の少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 配合物の全質量を基準にして0.005質量%〜10質量%の少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 配合物の全質量を基準にして10質量%〜99.99質量%の少なくとも1種の溶媒、及び
(v) 配合物の全質量を基準にして0.1質量%〜10質量%の少なくとも1種の補助剤
を含む印刷用組成物(printing formulation, PF IX)に関する。
【0088】
本発明の別の態様は、
(i) 配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜70質量%の単分散粒子、及び
(ii) 配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%の少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 配合物の全質量を基準にして0.005質量%〜10質量%の少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 配合物の全質量を基準にして10質量%〜99.99質量%の少なくとも1種のさらなる溶媒、及び
(v) 顔料(例えば、二酸化チタン又はカーボンブラック)、フィラー(例えば、バライト、カルサイト、マイカ、タルク、チョーク、及びウォラストナイト)、増量剤(例えば、ケイ酸アルミニウム)、脱気剤、無水流動化剤(dry flow agent)、流動化剤(例えば、ポリアクリレート、シリコーン、界面活性剤、及びフッ素化アルキルエステル)、艶消し剤、テクスチャー付与剤、レオロジー調整剤、合体剤(coalescence agent)、及びワックスからなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.1質量%〜10質量%の少なくとも1種の補助剤
を含む印刷用配合物(printing formulation, PF X)に関する。
【0089】
本発明の別の態様は、
(i) 有機ポリマー粒子、例えば、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子;無機物質、例えば、金属カルコゲニド、金属ニクタイド、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、並びに金属酸化物粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜70質量%の単分散粒子、及び
(ii) 配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%の少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 配合物の全質量を基準にして0.005質量%〜10質量%の少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 配合物の全質量を基準にして10質量%〜99.99質量%の少なくとも1種の溶媒、及び
(v) 顔料(例えば、二酸化チタン又はカーボンブラック)、フィラー(例えば、バライト、カルサイト、マイカ、タルク、チョーク、及びウォラストナイト)、増量剤(例えば、ケイ酸アルミニウム)、脱気剤、無水流動化剤(dry flow agent)、流動化剤(例えば、ポリアクリレート、シリコーン、界面活性剤、及びフッ素化アルキルエステル)、艶消し剤、テクスチャー付与剤、レオロジー調整剤、合体剤(coalescence agent)、及びワックスからなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.1質量%〜10質量%の少なくとも1種の補助剤
を含む印刷用組成物(printing formulation, PF XI)に関する。
【0090】
本発明の別の態様は、
(i) 有機ポリマー粒子、例えば、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子;無機物質、例えば、金属カルコゲニド、金属ニクタイド、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、並びに金属酸化物粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜70質量%の単分散粒子、及び
(ii) ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール性化合物、シアネートエステル、ポリウレタン、ビスマレイミド、ポリイミド、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化ポリオール、及びアクリル化ポリエーテル化合物からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%の少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) ペルオキシド又はペルオキシド含有化合物、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン及びアセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、チオキサントン誘導体、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノアシルホスフィン、ビスアシルホスフィン、ホスフィンオキシド、メタロセン、ヨードニウム塩(iodinum salts)からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.005質量%〜10質量%の少なくとも1種の開始剤、及び
(iva) 配合物の全質量を基準にして10質量%〜89.99質量%の水、及び
(ivb) 任意選択で、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、並びに、精製蒸留製品及び精製蒸留副生成物を含めた、少なくも6つの炭素原子を有する脂肪族及び芳香族炭化水素及び前記炭化水素の混合物からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして10質量%〜89.99質量%の少なくとも1種の溶媒、及び
(v) 顔料(例えば、二酸化チタン又はカーボンブラック)、フィラー(例えば、バライト、カルサイト、マイカ、タルク、チョーク、及びウォラストナイト)、増量剤(例えば、ケイ酸アルミニウム)、脱気剤、無水流動化剤(dry flow agent)、流動化剤(例えば、ポリアクリレート、シリコーン、界面活性剤、及びフッ素化アルキルエステル)、艶消し剤、テクスチャー付与剤、レオロジー調整剤、合体剤(coalescence agent)、及びワックスからなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.1質量%〜10質量%の少なくとも1種の補助剤
を含む印刷用配合物(printing formulation, PF XIa)に関する。
【0091】
本発明の別の態様は、
(i) 有機ポリマー粒子、例えば、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子;無機物質、例えば、金属カルコゲニド、金属ニクタイド、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、並びに金属酸化物粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜70質量%の単分散粒子、及び
(ii) ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール性化合物、シアネートエステル、ポリウレタン、ビスマレイミド、ポリイミド、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化ポリオール、及びアクリル化ポリエーテル化合物からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%の少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) ペルオキシド又はペルオキシド含有化合物、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン及びアセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、チオキサントン誘導体、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノアシルホスフィン、ビスアシルホスフィン、ホスフィンオキシド、メタロセン、ヨードニウム塩(iodinum salts)からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.005質量%〜10質量%の少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) アルコール、エステル、ケトン、エーテル、並びに、精製蒸留製品及び精製蒸留副生成物を含めた、少なくも6つの炭素原子を有する脂肪族及び芳香族炭化水素及び前記炭化水素の混合物からなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして10質量%〜99.99質量%の少なくとも1種の溶媒、及び
(v) 顔料(例えば、二酸化チタン又はカーボンブラック)、フィラー(例えば、バライト、カルサイト、マイカ、タルク、チョーク、及びウォラストナイト)、増量剤(例えば、ケイ酸アルミニウム)、脱気剤、無水流動化剤(dry flow agent)、流動化剤(例えば、ポリアクリレート、シリコーン、界面活性剤、及びフッ素化アルキルエステル)、艶消し剤、テクスチャー付与剤、レオロジー調整剤、合体剤(coalescence agent)、及びワックスからなる群から選択された、配合物の全質量を基準にして0.1質量%〜10質量%の少なくとも1種の補助剤
を含む印刷用配合物(printing formulation, PF XIb)に関する。
【0092】
印刷用配合物(PF IV)、(PF V)、(PF VI)、(PF VII)、(PF VIII)、(PF IX)、(PF X)、(PF XI)、(PF XIa)、及び/又は(PF XIb)の単分散粒子は、二乗平均平方根(root mean square, rms)直径において10%未満の偏差しかなく、好ましくは5%未満の偏差しかなく、且つそれらは150nm〜900nm、好ましくは150nm〜800nmの直径を有し、より好ましくは、単分散粒子の直径は約200nm〜約550nmである。
【0093】
先に述べたとおり、本発明による配合物は任意の好適な物理的形態であることができる。通常、それは液体、ゲル、ワックス、又はペーストの形態である。
【0094】
水の含有量及び単分散粒子の含有量は、濃縮配合物又はそのまま使える(希釈された)配合物のいずれを提供するかに応じて変わりうることに再度同じように述べておくべきである。
本発明は、基材に印刷するための印刷用配合物(PF I)、(PF Ia)、(PF Ib)、(PF II)、(PF IIa)、(PF III)、(PF IIIa)、(PF IIIa’)、(PF IIIb)、(PF IIIb’)、(PF IV)、(PF V)、(PF VI)、(PF VII)、(PF VIII)、(PF IX)、(PF X)、(PF XI)、(PF XIa)、及び/又は(PF XIb)の使用にも関し、この方法は、可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を回折するコロイド結晶を形成しうる単分散粒子を含有する組成物に基材を接触させ、それにより、基材上に、単分散粒子を含むコロイド結晶が生成する工程を含む。
【0095】
この印刷工程は、周知の印刷法、例えば、インクジェット(例えば、バブルジェット(登録商標)、コンパウンドジェット、ドライインクジェット、ホットメルトインクジェット)、ローラーコーティング、レリーフ印刷、インタリオ、レタープレス、リソグラフィー、フレキソグラフィー、グラビア、スクリーン印刷、パッド印刷などによって行うことができる。
【0096】
どの種類の方法を用いるかに応じて、上記配合物は、所望の特性を得るために必要量の添加剤を添加することによって適合させることができる。
【0097】
本発明による配合物は全ての好適な基材に適用できる。
上記印刷法は、任意の種類のエネルギー入力による硬化工程をも含む。それは通常、熱、放射(例えば、通常光又はUV光)、又は圧力によって行われる。これらのエネルギー源の組み合わせも可能である。
【0098】
基材は、上述した印刷用配合物の適用時及び/又は適用後に、光(400nm〜800nm)及び/又はUV光(100nm〜400nm)及び/又はIR(800nm〜1400nm)に曝露することが好ましい。
【0099】
好ましい基材は、結晶核生成のための位置(サイト)として作用する表面不規則性をもつものが好ましい。基材には、繊維(例えば毛髪)、皮膚、爪、食品材料、石、セラミック、ガラス、紙、布帛、木材、皮革、及びプラスチックが含まれる。
【0100】
繊維は、生物由来、鉱物由来、又は合成由来の細い毛髪状構造物である。本発明との関連では、繊維には動物又はヒトの毛髪が含まれる。繊維は布帛、例えば織物又は不織布などの一部である。
【0101】
市販されている繊維は、約0.001mm未満〜約0.2mmより大きな範囲の直径を有し、それらは様々な異なる形態、すなわち、短繊維(ステープル(ワタ)、チョップドとしても知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、連続フィラメントの捻られていない繊維束(トウ(tow))、及び連続フィラメントの捻られた繊維束(ヤーン)である。
【0102】
繊維は、それらの源、化学構造、又はその両者によって分類される。繊維は、ロープ及び縄に編まれ、フェルト(不織物又は不織布ともよばれる)にされ、織物(テキスタイルファブリーク)に織られ又は編まれ、あるいは高強度繊維の場合には複合材の強化材として用いられる。
【0103】
繊維は、天然繊維、合成すなわち人工繊維、あるいはそれらの組み合わせであってよい。天然繊維の例には、以下に限定されないが、動物性繊維(例えば、ウール、絹、毛皮、及び毛髪)、植物繊維(例えば、セルロース、コットン、亜麻、リネン、麻)、及びある種の天然産無機繊維、が含まれる。合成繊維は、天然繊維から誘導することもできるが、そうでなくてもよい。天然繊維から誘導される合成繊維の例には、以下に限定されないが、レーヨン及びリヨセル(lyocell)が含まれ、これら両者とも、セルロースである天然の多糖類繊維から誘導される。天然繊維から誘導されない合成繊維は、その他の天然資源又は無機資源から誘導できる。天然資源から誘導される合成繊維の例には、多糖類、例えば澱粉が含まれる。無機資源からの繊維の例には、以下に限定されないが、ポリオレフィン繊維、例えば、石油から誘導されるポリプロピレン及びポリエチレン繊維、及びケイ酸塩繊維、例えば、ガラス及びアスベストが含まれる。合成繊維は、通常、可能な場合は、液状処理法(例えば、液体、例えば、樹脂又は溶液を押出し、引出し、又は紡績する)によって形成される。合成繊維は、固体処理粉砕法(例えば、より大きな物体、たとえばモノリス(一枚の板)、フィルム、又は布帛の機械的細断又は切断)によっても形成される。
【0104】
一般的な合成繊維には、以下に限定されないが、ナイロン(ポリアミド)、アクリル(ポリアクリロニトリル)、アラミド(芳香族ポリアミド)、ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリエステル、及びブタジエン-スチレンブロックコポリマーが含まれる。
【0105】
好ましくは、本発明は、繊維(例えば、毛髪)、皮膚、爪、食品材料、石、セラミック、ガラス、紙、布帛、木材、皮革、及びプラスチックからなる群から選択される基材に印刷するための、配合物(PF I)、(PF Ia)、(PF II)、(PF IIa)、(PF III)、(PF IIIa)、(PF IIIa’)、(PF IIIb)、(PF IIIb’)、(PF IV)、(PF V)、(PF VI)、(PF VII)、(PF VIII)、(PF IX)、(PF X)、(PF XI)、(PF XIa)、及び/又は(PF XIb)の使用にも関する。
【0106】
個人の毛髪及び布帛繊維から選択される基材を着色する方法は、基材を、可視光の波長に相当する範囲の波長を有する光を回折するコロイド結晶を形成できる単分散粒子を含む組成物と接触させて、それによって単分散粒子を含むコロイド結晶がその基材上に形成される工程を含む。
本発明の繊維着色用組成物は、布帛中の繊維を着色するために用いることができる。繊維の着色には、白色織物材料の場合には、繊維の「増白」も含まれる。
【0107】
繊維は、その繊維(例えば、個人の毛髪又は布帛繊維)を、本発明の組成物と接触させることによって着色できる。毛髪着色用組成物は、典型的には、毛髪の全体又は一部に直接適用することができるスプレー、ローション、シャンプー、クリーム、又はペーストの形態である。好ましくは、本組成物は、少なくとも2又は3層のコロイド結晶が形成されるために充分な時間、毛髪と接触させておかれる。
【0108】
布帛/織物を着色又は増白するのに用いるための繊維着色組成物は、水に溶解/分散する粉末又は錠剤などの当技術分野で公知の標準的洗濯用配合物の一部として、あるいは液体として、適用可能である。
【0109】
本発明のインク組成物は、所定範囲の基材にインクを適用するための当技術分野で公知の標準的印刷手法を用いて、基材に適用できる。典型的には、インク組成物は、文字、数字、又はその他の記号、あるいはグラフィックデザインを形成するために、基材に適用される。
【0110】
上記用途においては、基材又は繊維の上もしくは中に、コロイド結晶の単一層を形成させることで充分である。しかし、少なくとも2又は3層のコロイド結晶が形成されることが好ましい。コロイド結晶層の被覆は完全である必要はなく、すなわちそれは不連続層であってよい。基材(これは多孔性であってもよい)に応じて、コロイド結晶は、基材の表面上、及び/又は基材中に生成しうる。さらに、所望の着色効果が達成されるならば、この単一又は複数の結晶層は完全に規則的である必要はない。言い換えれば、いくらかの結晶の不規則性は許容される。
【0111】
好ましくは、本発明の配合物を適用して、基材上に文字、数字、もしくはその他の記号、又はグラフィックデザインを形成する。
【0112】
一つの態様では、本発明の配合物は、毛髪着色用組成物である。別の態様では、本発明の組成物は布帛着色用組成物である。さらなる態様では、本発明の配合物はインク組成物であり、すなわち、印刷可能な表面、例えば、紙又は布帛の上に印刷するために適している。
【0113】
関連する側面では、本発明は、基材上に印刷する方法を提供し、この方法は、基材の少なくともある領域を、可視光の波長に相当する範囲に格子面間隔をもつコロイド結晶を形成できる単分散粒子を含む本発明の配合物と接触させて、その単分散粒子を含むコロイド結晶を基材の少なくとも一部に形成させる工程を含む。
【0114】
関連する側面では、本発明は、可視光の波長に相当する範囲に波長をもつ光を回折するコロイド結晶を形成できる単分散粒子を含む本発明の配合物の、個人の毛髪を着色するための製品の製造における使用を提供する。
【0115】
同様に、本発明は、可視光の波長に相当する範囲に波長をもつ光を回折するコロイド結晶を形成できる単分散粒子を含む本発明の配合物の、布帛中の繊維を着色するための製品の製造における使用を提供する。
【0116】
本発明のなお別の面は、可視光の波長に相当する範囲に波長をもつ光を回折するコロイド結晶を形成できる単分散粒子を含む本発明の配合物の、インクの製造における使用を提供する。
【0117】
本発明は、単分散粒子を含む少なくとも1つのコロイド結晶層(このコロイド結晶層は、可視光の波長に相当する範囲に波長をもつ光を回折する)を有する基材にも関する。
【0118】
本発明は、繊維(例えば毛髪)、皮膚、爪、食品材料、石、セラミック、ガラス、紙、布帛、木材、皮革、及びプラスチックからなる群から選択され、単分散粒子を含む少なくとも1つのコロイド結晶層(このコロイド結晶層は、可視光の波長に相当する範囲に波長をもつ光を回折する)を有する基材にも関する。
【0119】
本発明は、単分散粒子を含む少なくとも1つのコロイド結晶層(このコロイド結晶層は、可視光の波長に相当する範囲に波長をもつ光を回折する)を典型的にはその上又はその中に含む繊維材料も提供する。一つの態様では、繊維材料は布帛である。好ましくは、この繊維材料は、少なくとも2又は3のコロイド結晶層を含む。
【0120】
本発明は、本発明のインク組成物がその上に適用されて、基材上に文字、数字、もしくはその他の記号、又はグラフィックデザインが形成された基材も提供する。
【0121】
関連する側面では、本発明は、単分散粒子を含む少なくとも1つのコロイド結晶層(このコロイド結晶層は、可視光の波長に相当する範囲に波長をもつ光を回折する)を典型的にはその上又はその中に含み、その結晶層が文字、数字、もしくはその他の記号、又はグラフィックデザインを基材上に形成している基材も提供する。
【0122】
上述した様々な面及び態様において、少なくとも1つの軸における格子面間隔が、約350nm〜約770nmであることが好ましい。
【0123】
上述した様々な面及び態様において、粒子は球状であることが好ましい。
【0124】
別の定義がない限り、本明細書で用いた全ての技術及び学術用語は、当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。
【0125】
本明細書で用いる「色」及び「着色された」の用語には「白」も含まれ、基材及び繊維の着色には「増白」、例えば布帛の増白が含まれる。
【0126】
以下の例は、本発明を例に限定することなく、本発明を説明するためのものである。
【0127】
別に記載がない場合は、パーセントは質量パーセントであり、温度は摂氏で示される。
【0128】
[実施例]
〔インク組成物の調製〕
いくつかのインク組成物を調製したが、これは市販されている、すぐに使用できる基礎材料中に分散させたシリカ粒子を含む。
【0129】
〔シリカ粒子の合成〕
単分散シリカ球状粒子は、Bogushら、(J. Non-Crys. Solids 1988, 104, 95)によって改良された、Stoeber、Fink、及びBohn (J. Colloid Interface Sci. 1968, 26, 62)による周知の方法にしたがって調製した。
【0130】
手短にいえば、上記球状粒子は、水性アンモニア性媒体中でのテトラアルコキシシランの加水分解重縮合により、最初に一次粒子のゾルを形成させ、次に、得られたSiO粒子を、テトラアルコキシシランの連続的な制御した添加によって所望の粒径にすることによって製造した(米国特許第4,775,520号明細書を参照されたい)。得られる最終的な粒径は、合計で添加したテトラアルコキシシランの量によって決まる。この方法を用いると、7%未満の標準偏差を有し、0.05から10μmの間の平均粒子直径をもつ単分散SiO球状粒子を製造することができる。この方法を用いて、250nm、330nm、410nm、又は500nmの平均粒子直径をもつ単分散シリカ球状粒子を調製した。
【0131】
上記サンプルは次に以下の方法を用いて精製した。すなわち、分散液を3000rpmで20分間遠心して、液体から固体を分離した。この固体を、機械撹拌及び超音波処理によって無水エタノール中で当初の体積に再分散させた。
【0132】
そのようにして調製した分散液を次に遠心し、乾燥して、シリカ球状粒子を含む白色粉末を得て、以下のインク組成物のための固体成分として以後用いた。
【実施例1】
【0133】
[実施例1]
透明サイジング剤ベース溶液(Vitalac 710(登録商標)、ICI Packaging Coatings社)中のシリカコロイド
【0134】
【表1】

【0135】
この溶剤系インク組成物は、基材、特に黒い基材に適用した場合、虹色の金属的な青い印刷を形成し、これは250nmのコロイドを用いた場合には大きな視野角で緑に変わる。
【実施例2】
【0136】
[実施例2]
重ね刷りワニス溶液(Aquabase 105(登録商標)、ICI Packaging Coatings社)中のシリカコロイド
【0137】
【表2】

【0138】
この水性インク組成物は、基材、特に黒い基材に適用した場合、虹色の金属的な青い印刷を形成し、これは250nmのコロイドを用いた場合には大きな視野角で緑に変わる。このフィルムは、エポキシ樹脂を組み込んでいない従来技術のシステム(例えば、米国特許出願公開第20050137283A1号公報)に比べて、機械的な力を加えた場合に安定である。
【0139】
両方の試験とも、無色コロイドが、溶媒系及び水系のシステムの両方に分散可能であり、基材上に適用した場合に、カーボンブラックの存在なしに色を示し、加えて、硬化性物質を液相中に存在させた場合に安定性をもたらすことを示している。
【実施例3】
【0140】
[実施例3]
水性重ね刷りワニス UVレジンLUX 3381(ALBERDINGK(登録商標)からの無溶剤UV硬化性ポリウレタン-アクリル分散液)中のシリカコロイド
【0141】
【表3】

【0142】
この水性UV硬化性ポリウレタン-アクリルインク組成物は、基材、特に黒色基材に適用した場合、虹色の金属的な青い印刷を形成し、これは250nmのコロイドを用いた場合には大きな視野角で金属的な緑に変わる。このフィルムは、通常光下、50℃で5〜10分の予備乾燥の後で安定であるが、有効なUVランプへの曝露後にさらに安定であり、通常は少なくとも80W/cm(Hg 80W/cm)の中圧水銀灯が必要である。
【0143】
機械的な力を加えた場合、本特許出願による配合物を用いることによって得られた印刷物は、組み込まれた水性UV活性化樹脂なしの従来技術のもの(例えば、米国特許出願公開第20050137283A1号公報)よりも良好である。
【実施例4】
【0144】
水性重ね刷りワニス UVレジンLUX 285(ALBERDINGK(登録商標)からの無溶剤UV硬化性ポリウレタン-アクリル分散液)中のシリカコロイド
【0145】
【表4】

【0146】
この水性UV硬化性ポリウレタン-アクリルインク組成物は、基材、特に黒色基材に適用した場合、虹色の金属的な青い印刷を形成し、これは250nmのコロイドを用いた場合には大きな視野角で金属的な緑に変わる。このフィルムは、通常光下、50℃で5〜10分の予備乾燥の後で安定であるが、有効なUVランプへの曝露後にさらに安定であり、通常は少なくとも80W/cm(Hg 80W/cm)の中圧水銀灯が必要である。
【0147】
機械的な力を加えた場合、本特許出願による配合物を用いることによって得られた印刷物は、組み込まれた水性UV活性化樹脂なしの従来技術のもの(例えば、米国特許出願公開第20050137283A1号公報)よりも良好である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 単分散粒子、及び
(ii) 少なくとも1種の硬化性物質、及び
(iii) 少なくとも1種の開始剤、及び
(iv) 少なくとも1種の溶媒
を含む印刷用配合物。
【請求項2】
(i) 印刷用配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜70質量%の単分散粒子を含み、前記粒子が、可視光の波長に相当する範囲内の波長を有する光を分散させるコロイド結晶を形成することができる、請求項1記載の配合物。
【請求項3】
(i) 印刷用配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜30質量%、好ましくは0.1質量%〜30質量%、より好ましくは0.1〜20質量の単分散粒子
を含む、請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項4】
印刷用配合物の全質量を基準にして30質量%〜70質量%、好ましくは30質量%〜60質量%、より好ましくは30質量%〜55質量%の単分散粒子
を含む、請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項5】
液体、ゲル、ワックス、又はペーストの形態である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項6】
前記単分散粒子が球形である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項7】
前記単分散粒子が無機物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項8】
前記単分散粒子が有機ポリマーである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項9】
前記単分散粒子が、金属カルコゲニド、金属ニクタイド(pnictide)、シリカ、金属(例えば、金、銅、及び銀)、及び金属酸化物の粒子(例えば、Al、TiO、SnO、Sb、Fe、ZrO、CeO、及びY)からなる群から選択される、請求項7に記載の配合物。
【請求項10】
前記単分散粒子が、ラテックス、アクリル、ポリスチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、及びポリ(フルオロメチルメタクリレート)の粒子からなる群から選択される、請求項8に記載の配合物。
【請求項11】
(iva) 水、及び
(ivb) 任意選択により、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、並びに、精製蒸留製品及び精製蒸留副生成物を含めた、少なくも6つの炭素原子を有する脂肪族及び芳香族炭化水素及び前記炭化水素の混合物からなる群から選択された少なくとも1種の溶媒
を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項12】
(iv) アルコール、エステル、ケトン、エーテル、並びに、精製蒸留製品及び精製蒸留副生成物を含めた、少なくも6つの炭素原子を有する脂肪族及び芳香族炭化水素及び前記炭化水素の混合物からなる群から選択された少なくとも1種の溶媒
を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項13】
印刷用配合物の全質量を基準にして、10〜99.99質量%、好ましくは20〜99.9質量%、より好ましくは30〜99.9質量%の少なくとも1種の溶媒
を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項14】
印刷用配合物の全質量を基準にして、30〜70質量%、好ましくは35〜70質量%、より好ましくは35〜65質量%の少なくとも1種の溶媒
を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項15】
(iv) 印刷用配合物の全質量を基準にして、70〜99.99質量%、好ましくは70〜99.9質量%、より好ましくは80〜99.9質量%の少なくとも1種の溶媒
を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項16】
前記硬化性物質が、ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール性化合物、シアネートエステル、ポリウレタン、ビスマレイミド、ポリイミド、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化ポリオール、及びアクリル化ポリエーテル化合物からなる群から選択される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項17】
(ii) 印刷用配合物の全質量を基準にして0.01質量%〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%の少なくとも1種の硬化性物質
を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項18】
前記開始剤が、ペルオキシド又はペルオキシド含有化合物、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン及びアセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、チオキサントン誘導体α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノアシルホスフィン、ビスアシルホスフィン、ホスフィンオキシド、メタロセン、ヨードニウム塩からなる群から選択される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項19】
(iii) 印刷用組成物の全質量を基準にして0.005〜10質量%、好ましくは0.01〜8質量%の少なくとも1種の開始剤
を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項20】
(v) 少なくとも1種の補助剤
を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項21】
前記補助剤が、顔料(例えば、二酸化チタン又はカーボンブラック)、フィラー(例えば、バライト、カルサイト、マイカ、タルク、チョーク、及びウォラストナイト)、増量剤(例えば、ケイ酸アルミニウム)、脱気剤、無水流動化剤、流動化剤(例えば、ポリアクリレート、シリコーン、界面活性剤、及びフッ素化アルキルエステル)、艶消し剤、テクスチャー付与剤、レオロジー調整剤、合体剤、及びワックスからなる群から選択される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項22】
(v) 印刷用組成物の全質量を基準にして0.1〜10質量%の少なくとも1種の補助剤
を含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項23】
基材に印刷をするための、請求項1〜22のいずれか一項に記載の配合物の使用。
【請求項24】
前記基材が、繊維(例えば毛髪)、皮膚、爪、食品材料、石、セラミック、ガラス、紙、布帛、木材、皮革、及びプラスチックからなる群から選択される、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の少なくとも1つの配合物を用いて印刷された基材。
【請求項26】
繊維(例えば毛髪)、皮膚、爪、食品材料、石、セラミック、ガラス、紙、布帛、木材、皮革、及びプラスチックからなる群から選択される、請求項25に記載の基材。

【公表番号】特表2010−503739(P2010−503739A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527771(P2009−527771)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058939
【国際公開番号】WO2008/031720
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】