説明

単糖類及びその組成物の使用

【課題】皮膚又はその外皮の加齢の兆候を軽減又は防止するための、化粧品組成物又は器具に関わる、美容的使用法の提供。
【解決手段】生理学的に許容しうる媒体中に、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖を含む組成物であって、いかなるテンショニング剤を含まず、かつキシリトールとマンニトールとの組合せを含まない、特に無菌溶液の形での、皮膚注射を介する投与に適していることを特徴とする組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚又はその外皮の加齢の兆候を軽減又は防止するための、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖の使用、特に美容的及び/又は皮膚科学的使用に関する。本発明はまた、生理学的に許容しうる媒体中に、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖を含む化粧品組成物、及びまたこれを含有する器具に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は、2つの主要な層(即ち、真皮、及び真皮の表面を覆う表皮)からなる。自然なヒトの表皮は主に3つのタイプの細胞(即ち、大部分を占めるケラチン細胞、メラニン細胞、及びランゲルハンス細胞)からなる。これらの3つのタイプの細胞のそれぞれは、その内因性機能を介して、皮膚が体で果たす本質的な役割、特に外的な攻撃因子(気候、紫外線、タバコなど)から体を防御するという役割(これはまた「バリア機能」としても知られている)に寄与する。
【0003】
表皮は、90%がケラチン細胞から形成される角質化した重層扁平上皮である。真皮を表皮から分ける基底膜の細胞の、表皮の表面に向かう漸進的分化は、特に皮膚の表面(ここでケラチン細胞は剥離する)に向かって移動するケラチン細胞の分化を包含する。
【0004】
表皮の加齢は、主としてその厚さの減少に現れる。表皮の萎縮は、ケラチン細胞増殖の減速と、老化ケラチン細胞の蓄積との結果である。角質層はくすみになる。
【0005】
真皮は表皮に固体支持体を提供する。これはまた表皮の栄養要素である。これは主に繊維芽細胞及び細胞外マトリックス(主に、コラーゲン、エラスチン及び基質として知られている物質からなる)から構成される。これらの成分は繊維芽細胞により合成される。表皮と真皮の間の結合は、真皮表皮接合部により与えられる。これは、約100nmの厚さの複雑な領域であって、基底ケラチン細胞の基底極、表皮膜及び真皮浅層の基底下帯を含む。
【0006】
コラーゲンは皮膚の細胞外マトリックスの主要なタンパク質である。今日まで20種類のコラーゲンが同定されており、I〜XXと表されている。表皮全体に優勢に存在するコラーゲンは、全真皮の細胞外マトリックスを形成するI型及びIII型のコラーゲンである(これらのコラーゲンは真皮の乾燥重量の70〜80%を占める)。更にコラーゲンは、必ずしも全てが同じタイプの細胞により合成される訳ではない:I型及びIII型のコラーゲンは基本的に真皮繊維芽細胞により産生されるが、VII型コラーゲンは2種類の細胞(ケラチン細胞及び繊維芽細胞)によって産生される。これらの発現の制御はコラーゲン毎に異なり、例えば、コラーゲンI及びVIIは、ある種のサイトカインにより同様には調節されない:具体的には、TNF−α及びロイコレグリンはコラーゲンVIIを刺激して、コラーゲンIを負に調節する。最後に、全てのコラーゲン分子は、共通の前駆体(これはプロコラーゲンのα鎖である)の変種である。
【0007】
加齢により、コラーゲンは薄くなり、皮膚の表面にしわが現れる。皮膚の加齢は、遺伝的にプログラムされた機構である。
【0008】
更には、喫煙及び日光への曝露のようなある種の環境因子がこれを加速させる。よって皮膚は、手の甲や顔のような日光に曝される領域ではるかに加齢の進んだ外観を有する。こうして、これらの他の因子もまた、皮膚の生得のコラーゲンに対して負の影響を有する。
【0009】
したがって、皮膚の完全性及び機械的なタイプの外部攻撃因子に対するその抵抗性におけるコラーゲンの重要な役割を考慮すると、これらのコラーゲン(特にI型コラーゲン)合成の刺激は、皮膚の加齢の兆候を克服するための有効な手段であると考えられる。暦年加齢の間に、表皮はまた多くの修飾や分解を受けるが、これらは加齢にともなって、皮膚のバリア機能の障害に関連する微細な凹凸の障害、しわや小じわの出現、皮膚の機械的性質の障害(特に皮膚の弾力性の欠如)、及び肌の色つやの消失に反映される。
【0010】
よって、ケラチン細胞の増殖を上昇させ、繊維芽細胞の増殖及び/又は代謝を刺激し、特にコラーゲン合成を刺激することを介して、その作用で皮膚組織の再生を目指す生成物を利用可能にすることの重要性は理解されよう。
【0011】
ケラチン細胞増殖を促進し、表皮再生を刺激することができ、そして表皮の厚さを維持及び/又は上昇させることができる、レチノールのような物質を使用することは、文献から公知の実務である:そしてこれは直接生物学的作用と呼ばれる。しかしレチノールは、化粧品組成物として使用すると、幾つかの欠点がある。具体的には、これは酸化に対して安定性が低く、使用者に、特に皮膚刺激のような有害な副作用を引き起こす。よって容易に入手でき、かつその効力が化粧品における最適使用について許容しうるものである、直接生物学的作用を持つ他の化合物を見つける必要がある。
【0012】
本出願人は、驚くべきことにかつ予想外に、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される単糖類が、このような状況において、かつ前項で言及した外的制約に関して望まれる活性を有することを証明した。
【0013】
こうして本発明者らは、マンノース及び/又はラムノースが、コラーゲン合成(特にI型プロコラーゲンの合成)を刺激することにより、ケラチン細胞及び/又は繊維芽細胞の数を増加させ、繊維芽細胞代謝を刺激できること;そして皮膚の加齢の兆候、特に加齢にともなう表皮及び/又は真皮萎縮に対抗できることを見出した。
【0014】
上に略述される直接生物学的作用のためにこれらの単糖類を使用することは、これまで知られていなかった。特許出願WO 2007/128939は、糖化合物と組合せたテンショニング剤(tensioning agent)の生体力学的作用を介して得られる抗加齢活性(これは、皮膚細胞の機械受容器の発現を上昇させることを可能にする)について記載する。機械受容器発現のこの上昇は、テンショニング剤の作用に応答するための皮膚細胞の感作を上昇させると記載されている。同様に、フランス特許出願FR 2900572は、皮膚細胞機械受容器の発現を上昇させることができる糖化合物を含む組成物と、皮膚へ機械的拘束を加えることを目的とする器具との併用をともなう、スキンケア美容法を記載しているが、これによって皮膚細胞機械受容器の数を増加させることにより、機械的拘束の効力を上げることが可能になる。
【0015】
特許出願US 2007/0025933は、2種類の成分、及び場合により追加の成分の混合物[例えば、組成物の安定性に寄与する、単糖類(マンノース、フルクトース及びグルコースなど)及びクレブス回路の酸又はその誘導体(クエン酸、リンゴ酸、フマル酸など)など]から構成される光防護基剤を含む組成物を開示する。単糖類に特異的な皮膚への活性は開示されていない。
【0016】
特許出願WO 2005/063194は、特にマンノース又はラムノースを含む、非常に高い忍容性を有するガレヌス基剤を記載する。このようなガレヌス基剤は、そのガレヌス基剤が単にビヒクルである活性物質と組合せるときのみ機能できると明記されている。開示された皮膚用及び/又は化粧品用ガレヌス基剤は、基本的に2つのポリオール(即ち、マンニトール及びキシリトール)の存在に基づく。
【0017】
マンノースは、グルコースのC2エピマーである六炭糖である。ラムノース(又は6−デオキシマンノース)は、正式にはC6でのマンノースの脱酸素の生成物を構成する。本発明の単糖類は、D又はL型のマンノース及び/又はラムノース、又はこれらの混合物であり、それぞれの型自体は、α及び/又はβ−アノマーであってもよい。本発明で好ましい型は、D−マンノース又はL−ラムノースである。
【0018】
D−マンノースは植物、特にクランベリーを包含するある種の果実、又は硬木(ブナ及びカバノキ)中に存在する。ラムノースは天然にはL型で存在する。D−マンノース及びL−ラムノースは、例えば、Danisco Sweeteners(登録商標)社又はSymrise社から市販されている。
【0019】
本発明において、単糖は好ましくはモノマーとして存在する。
【0020】
よって本発明は、皮膚又はその外皮の加齢の兆候を軽減又は防止するための、ケラチン細胞及び/又は繊維芽細胞増殖を上昇させるための、かつ/あるいはコラーゲン合成を刺激するための、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖の使用、特に美容的及び/又は皮膚科学的使用に関する。
【0021】
ある特定の態様において、本発明は、皮膚(特に表皮及び/又は真皮)の良好な細胞再生(cell renewal)により、皮膚(特に表皮及び/又は真皮)の再生(regeneration)を刺激するための、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖の使用、特に美容的及び/又は皮膚科学的使用に関する。
【0022】
本発明の単糖は、皮膚又はその外皮の表皮及び真皮細胞(特にケラチン細胞及び繊維芽細胞)の再生を、それらの増殖を上昇させることにより刺激することを可能にする。したがってこれは、加齢、特に暦年加齢の兆候と闘うのに特に有効な方法、特に美容的方法を提供する。暦年加齢の兆候は、個体の内的加齢による皮膚の内部分解に対応する。
【0023】
活性物質、即ち上記と同義の単糖は、表皮及び/又は真皮を維持及び/又は強化し、そして皮膚、特に表皮及び/又は真皮の種々の層の完全性及び/又は厚さを維持することを可能にする。これはまた、皮膚の弾力性及び張りを維持することを可能にする。
【0024】
本発明の別の態様は、皮膚、特に体又は顔の皮膚の加齢の兆候、特に皮膚の加齢の時間生物学的兆候、特に皮膚の弾力性の低下により、かつ/又は組織の構造中のコラーゲンの分解により引き起こされる加齢を、予防的又は治療的に処置するための、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖の美容的及び/又は皮膚科学的使用に関する。
【0025】
本発明の別の目的は、しわ及び/又は小じわ、しわのよった皮膚、皮膚の弾力性及び/又は張りの欠如、真皮の菲薄化、コラーゲン繊維の分解、皮膚のたるみ、菲薄化皮膚あるいは皮膚の何らかの内部分解を、予防的又は治療的に処置するための、あるいは軽減又は防止するための、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖の使用に関する。
【0026】
本発明の別の目的は、皮膚のバリア機能を維持及び/又は改善するための、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖の使用に関する。
【0027】
本発明の別の目的は、皮膚のつやを維持するための、かつ/又は皮膚につやを出すための、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖の使用に関する。
【0028】
本発明はまた、皮膚の微細な凹凸を改善及び/又は軽減するための、あるいは皮膚のバリア機能を維持及び/又は改善するための、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖の使用、特に美容的使用に関する。
【0029】
本発明の単糖の使用は、体又は顔の皮膚の加齢の兆候と効率的に闘うことを可能にする。よって本発明の単糖は、しわ及び/又は小じわを予防的又は治療的に処置することができる。本発明の単糖はまた、しわ及び/又は小じわの出現を遅延させるか又は防止することができる。
【0030】
更に具体的には、本発明は、しわ及び/又は小じわ、及び/又は皮膚の何らかの内部分解を、予防的又は治療的に処置するための、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖の美容的使用に関する。
【0031】
本発明はまた、表皮及び/又は真皮を維持及び/又は強化するための、あるいは表皮及び真皮の種々の層の完全性及び/又は厚さを維持するための、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖の美容的使用に関する。
【0032】
本発明の単糖は、皮膚又はその外皮に経口的、局所的に、又は皮膚注射を介して投与してもよい。
【0033】
更に具体的には、マンノース、ラムノース又はこれらの混合物は、化粧品組成物又は皮膚用組成物の活性物質として使用される。
【0034】
本発明はまた、経口的に、局所的に、又は皮膚注射により、特に皮膚及び/又は頭皮ケア用に投与される、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖の使用に関する。
【0035】
マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖を含む、本発明のヘアケア化粧品組成物は、特に毛髪成長を刺激するか、抜け毛に抵抗するか、その消失を遅らせるか、又は毛髪のつやを強化することができる。
【0036】
更に本発明は、生理学的に許容しうる媒体中に、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖を含む化粧品組成物及び/又は皮膚用組成物であって、いかなるテンショニング剤を含まず、かつキシリトールとマンニトールとの組合せを含まない前記組成物に関する。
【0037】
よって本発明の組成物は、前述のような使用を目的とすることができる。
【0038】
本発明の単糖は、更に詳しくは、本発明の組成物中に活性物質(又は活性成分)として、特に唯一の活性物質として存在する。
【0039】
本発明において「活性物質」及び「活性成分」という用語は、更に具体的には、個体、特にヒト個体に投与されると、特に本発明の組成物中に存在する別の化合物の生物学的又は機械的作用を改善することなく、体、特に皮膚又はその外皮に対して直接の生物学的役割を演じる化合物を意味する。
【0040】
更に詳しくは、本発明の組成物は更なる単糖を含まない。
【0041】
本発明において、「テンショニング剤」という用語は一般に、25℃〜50℃の範囲の温度で、水中の7重量%の濃度で又は均一な外観の媒体が形成される最大濃度で、水に可溶性又は分散性であり、この7%の濃度又は水中のこの最大濃度で、後述の試験で15%を超える収縮を引き起こす、任意のポリマーを意味する。
【0042】
均一な外観の媒体が生成する最大濃度は、±20%以内、好ましくは±5%以内で決定される。
【0043】
「均一な外観の媒体」という表現は、肉眼で見える凝集物を何も含有しない媒体を意味する。
【0044】
前記最大濃度の測定のために、テンショニング剤は、25℃〜50℃の範囲の温度で撹拌して凝集を防ぎながら徐々に水に加え、次にこの混合物を1時間撹拌する。こうして調製した混合物を24時間後に観察して、均一な外観(肉眼で見える凝集物が存在しない)かどうかを見る。
【0045】
テンショニング効果は、インビトロ収縮試験により特性評価することができる。
【0046】
7重量%の濃度又は上記と同義の最大濃度の、水中のテンショニング剤の均質混合物は、前もって、かつ前述のとおり調製する。
【0047】
30μlの均質混合物を、弾性率が20MPaで厚さが100μmの長方形のエラストマー試料(10×40mm、よって最初の幅Lは10mm)上に置く。
【0048】
22±3℃及び相対湿度RH40±10%で3時間乾燥後、エラストマー試料は、添加したテンショニング剤による張力のために幅(L3hと記載)が縮んだ。
【0049】
次に前記ポリマーのテンショニング効果(TE)は、以下の方法で定量する:
【表1】


テンショニング剤は以下から選択できる:
a)植物又は動物タンパク質、及びこれらの加水分解物;
b)天然由来の多糖類;
c)混合シリケート;
d)無機充填剤のコロイド粒子;
e)合成ポリマー;
並びにこれらの混合物。
【0050】
当業者であれば、上記の化合物分類から、前述のような試験に対応する物質を選択する方法は知るところであろう。
【0051】
本発明はまた、有利にはクリーム、ゲル、ローション、ミルク、オイル、軟膏、ワックス、ムース、ペースト、セラム、ポマード又はシャンプーの形の、局所投与に適したマンノース及び/又はラムノースを含む組成物に関する。
【0052】
本発明の単糖、即ち、マンノース及び/又はラムノース、そして特にラムノースはまた、有利には、表皮又は真皮細胞、特にケラチン細胞又は繊維芽細胞の異常に低い増殖に関連する皮膚障害を処置するのに(又は処置するための薬剤組成物の調製のために)使用される。本発明の単糖は、コラーゲンレベルの低下に関連する皮膚障害を処置するのに(又は処置するための薬剤組成物の調製のために)使用されてもよい。特に、前記障害は上に特定したようなものである。本組成物は、特にケラチン細胞又は繊維芽細胞増殖を上昇させることにより、かつ/あるいはコラーゲン、特にI型コラーゲンの合成を刺激することにより、皮膚又はその外皮の加齢の兆候を軽減又は防止することを目的としてもよい。好ましくは、本薬剤組成物は皮膚用組成物である。
【0053】
本発明の目的はまた、個体、好ましくはヒトに、有効量の前記と同義の少なくとも1つの単糖又は本発明の組成物を投与することにより、皮膚又はその外皮の加齢の兆候を軽減又は防止するための、処置方法、特に美容的又は治療的処置方法である。
【0054】
本発明で使用すべき単糖の量は、所望の美容的又は治療的効果に依存するため、広範囲内で変動させてもよい。
【0055】
当業者は、その者の一般的な知識に基づいて、適切な量を容易に決定できる。
【0056】
本発明の組成物は、上記と同義の少なくとも1つの単糖を、組成物の総重量に対して0.001〜30重量%の間の量、特に組成物の総重量に対して0.1〜10重量%の間、より特に0.5〜6重量%の間の量で含むことができる。
【0057】
本発明の組成物は、前記と同義の少なくとも1つの単糖を、生理学的に許容しうる媒体、特に化粧品的又は薬学的に許容しうる媒体と組合せて含む。
【0058】
一般に、この媒体は無水であっても水性であってもよい。よってこれは、水相及び/又は脂肪相を含んでいてもよい。
【0059】
本発明の化合物が使用されてもよい生理学的に許容される媒体、及びまたその成分、それらの量、組成物のガレヌス型、その調製のモード、及びその投与のモードは、当業者によって、その者の一般的な知識に基づいて、所望のタイプの組成物との相関関係として選択されうる。
【0060】
組成物が局所投与用の組成物であるとき、有利にはこれは水溶液又は水性アルコール溶液、水中油型(O/W)若しくは油中水型(W/O)エマルション、又は多成分エマルション(3成分:W/O/W又はO/W/O)、ナノエマルション、特にO/Wナノエマルション(ここで液滴のサイズは100nm未満である)、水性ゲル、あるいは球状体を用いた水相中の脂肪相の分散液[これらの球状体は、ナノ粒子及びナノカプセルのようなポリマーナノ粒子、又は例えば、イオン型及び/又は非イオン型の脂質小胞(リポソーム、ニオソーム又はオレオソーム)である]の形である。
【0061】
これらの組成物は常法により調製する。
【0062】
更に、本発明で使用してもよい組成物は、大体が液体であって、白色若しくは着色クリーム、ポマード、ミルク、ローション、セラム、ペースト又はムースの外観を有してもよい。これらは場合により、エアロゾルの形で皮膚に適用してもよい。これらはまた、固体型、例えば、スティック型であってもよい。
【0063】
毛髪又は頭皮への局所適用のために、本組成物は、水溶液、アルコール溶液又は水性アルコール溶液の形でも;クリーム、ゲル、エマルション又はムースの形でも;加圧噴射剤をも含むエアロゾルの形であってもよい。
【0064】
組成物が水性型、特に水性分散液、水性エマルション又は水溶液の形であるとき、これは、水、フローラルウォーター、及び/又はミネラルウォーターを含んでもよい水相を含んでもよい。
【0065】
組成物がエマルションであるとき、脂肪相の比率は、組成物の総重量に対して約5〜80重量%、好ましくは約2〜50重量%の範囲であってもよい。エマルション型の組成物で使用されるオイル、ワックス、乳化剤、及び共乳化剤は、化粧品で従来から使用されているものから選択される。乳化剤及び共乳化剤は、組成物中に、組成物の総重量に対して約0.3〜30重量%、好ましくは約0.5〜20重量%の範囲の比率で存在する。エマルションはまた、脂質小胞を含んでもよい。
【0066】
組成物が油性溶液又はゲルであるとき、この脂肪相は組成物の総重量の90%を超えてもよい。
【0067】
油相はまた、本明細書に後述のように、一般な任意の脂溶性又は脂質分散性添加剤を含んでもよい。
【0068】
これは特に、ロウ、ペースト状化合物、脂肪アルコール又は脂肪酸のような脂肪性物質を含んでもよい。油相は、少なくとも1つの油、更に特に少なくとも1つの化粧品用油を含有する。「油」という用語は、室温(25℃)で液体である脂肪物質を意味する。
【0069】
本発明の組成物に使用できる油として、以下の例が挙げられる:
− 動物由来の炭化水素ベースの油(ペルヒドロスクアレンなど);
− 植物由来の炭化水素ベースの油(4〜10個の炭素原子を含有する脂肪酸の液体トリグリセリド、例えば、ヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド、又は例えば、ヒマワリ油、コーン油、大豆油、マロー油、ブドウ種子油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アンズ油、マカダミア油、アララ油、コエンドロ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社から販売されているもの、又はDynamit Nobel社により商品名Miglyol 810、812及び818の下で販売されているもの、ホホバ油、シアバター油、及びカプリリルグリコールなど);
− 合成エステル及びエーテル類、特に脂肪酸のもの、例えば、式:RCOOR及びROR(ここで、Rは、8〜29個の炭素原子を含有する脂肪酸又は脂肪アルコール残基を表し、そしてRは、3〜30個の炭素原子を含有する分岐又は非分岐の炭化水素ベースの鎖を表す)の油、例えば、Purcellin油、ステアリン酸2−オクチルドデシル、エルカ酸2−オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル;水酸化エステル類、例えば、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル又はクエン酸トリイソセチル;ヘプタン酸、オクタン酸又はデカン酸脂肪アルコール類;ポリオールエステル類、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール及びジイソノナン酸ジエチレングリコール;並びにペンタエリトリトールエステル類、例えば、テトライソステアリン酸ペンタエリトリトール、又はサルコシン酸イソプロピルラウロイル(特にAjinomoto社により商品名Eldew SL 205の下で販売されている);
− 鉱物又は合成由来の線状又は分岐炭化水素(揮発性若しくは不揮発性流動パラフィン、及びその誘導体、ワセリン、ポリデセン類、イソヘキサデカン、イソドデカン、水素化ポリイソブテン(Parleam油など)、又はn−ウンデカン(C11)とn−トリデカン(C13)との混合物(Cognis社により参照コードCetiol UTの下で販売されている)など);
− 部分的に炭化水素ベースの及び/又はシリコーンベースのフッ素オイル、例えば、文献JP-A-2295912に記載されているもの;
− シリコーン油、例えば、線状又は環状シリコーン鎖を有する、揮発性若しくは不揮発性ポリメチルシロキサン(PDMS)(これらは室温で液体又はペースト状である)、特に揮発性シリコーン油、特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン類)(シクロヘキサジメチルシロキサン及びシクロペンタジメチルシロキサンなど);アルキル、アルコキシ又はフェニル基を含むポリジメチルシロキサン類(これらはペンダントであるか又はシリコーン鎖の末端にあり、これらの基は2〜24個の炭素原子を含む);フェニルシリコーン類、例えば、フェニルトリメチコン類、フェニルジメチコン類、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン類、ジフェニルジメチコン類、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン類又は2−フェニルエチルトリメチルシロキシケイ酸塩、及びポリメチルフェニルシロキサン類;
− これらの混合物。
【0070】
上述の油のリストにおいて「炭化水素ベースの油」という用語は、主として炭素原子及び水素原子を含み、そしてエステル、エーテル、フルオロ、カルボン酸及び/又はアルコール基を含んでもよい任意の油を意味する。
【0071】
油相中に存在してもよい他の脂肪物質は、例えば、8〜30個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸;ロウ、例えば、ラノリンロウ、蜜ロウ、カルナウバロウ又はカンデリラロウ、パラフィンロウ、亜炭ワックス又はミクロクリスタリンワックス、セレシン若しくはオゾケライト、及び合成ロウ、例えば、ポリエチレンロウ及びFischer-Tropschロウ;シリコーン樹脂(トリフルオロメチル−C1〜4−アルキルジメチコン及びトリフルオロプロピルジメチコンなど);並びにシリコーンエラストマー、例えば、Shin-Etsu社により商品名KSGの下で販売されている製品、Dow Corning社により商品名Trefil、BY29若しくはEPSXの下で販売されている製品、又はGrant Industries社により商品名Gransilの下で販売されている製品である。
【0072】
これらの脂肪物質は、当業者により種々のやり方で所望の性質(例えば、粘稠度又はテクスチャーに関して)を有する組成物を調製するために選択してもよい。
【0073】
エマルションは一般に、両親媒性、陰イオン性、陽イオン性及び非イオン性乳化剤から選択される少なくとも1つの乳化剤を含有し、単独で又は混合物として、及び場合により共乳化剤として使用される。乳化剤は、得られるエマルション(W/O又はO/W)により、適切なやり方で選択される。乳化剤及び共乳化剤は一般に、組成物の総重量に対して0.3%〜30重量%、そして好ましくは0.5%〜20重量%の範囲の比率で組成物中に存在する。
【0074】
W/Oエマルションについて、挙げ得る乳化剤の例には、ジメチコンコポリオール類(Dow Corning社により商品名DC5225Cの下で販売されているシクロメチコンとジメチコンコポリオールとの混合物など)、及びアルキルジメチコンコポリオール類(Dow Corning社により商品名Dow Corning 5200 Formulation Aidの下で販売されているラウリルジメチコンコポリオール、及びGoldschmidt社により商品名Abil EM90(登録商標)の下で販売されているセチルジメチコンコポリオールなど)が含まれる。少なくとも1つのオキシアルキレン基を含む架橋弾性固体オルガノポリシロキサン[特許US-A-5,412,004の実施例3、4及び8、及び特許US-A-5,811,487の実施例の手順にしたがって得られるもの、特に特許US-A-5,412,004の実施例3(合成例)の生成物(Shin-Etsu社により参照コードKSG21の下で販売されている製品)など]もまた、W/Oエマルション用の界面活性物質として使用することができる。
【0075】
O/Wエマルションについて、挙げ得る乳化剤の例には、非イオン性乳化剤、例えば、グリセロールのオキシアルキレン化(更に詳しくはポリオキシエチレン化)脂肪酸エステル;ソルビタンのオキシアルキレン化脂肪酸エステル;オキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)脂肪酸エステル;オキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)脂肪アルコールエーテル;ステアリン酸スクロースのような糖エステル;及びこれらの混合物(ステアリン酸グリセリルとステアリン酸PEG−40との混合物など)が含まれる。
【0076】
これらの組成物はまた、粒子(例えば、特許FR 2,760,641に記載されたポリマー粒子)、又は特許出願FR 2,853,543及びFR 2,819,175に記載されるような、架橋若しくは非架橋両親媒性ポリマーを用いて安定化されるO/Wエマルションであってもよい。
【0077】
既知の方法で、化粧品組成物はまた、化粧品で一般的な補助剤、例えば、親水性若しくは親油性ゲル化剤、親水性若しくは親油性活性物質、保存剤、抗酸化剤、溶媒、香料、充填剤、臭気吸収剤及び色素などを含有してもよい。これらの種々の補助剤の量は、化粧品分野で従来から使用されるものであり、例えば、組成物の総重量の約0.01%〜10%の範囲である。その性質に応じて、これらの補助剤は、脂肪相、水相及び/又は脂質球状体中に導入することができる。
【0078】
本発明に使用できる溶媒として、低級アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール及びプロピレングリコールが挙げ得る。
【0079】
本発明に使用できる親水性ゲル化剤として、非限定例には、カルボキシビニルポリマー類(Carbomer(登録商標))、アクリルコポリマー類(アクリレート/アルキルアクリレートコポリマーなど)、ポリアクリルアミド類、ヒドロキシプロピルセルロースのような多糖類、天然ゴム及び粘土があり、そして親油性ゲル化剤には、ベントンのような改質粘土、脂肪酸の金属塩、例えば、ステアリン酸アルミニウム、疎水性シリカ、エチルセルロース及びポリエチレンが含まれる。
【0080】
単糖が経口投与されるとき、これを含有する組成物は、有利にはゲルカプセル剤、錠剤又は丸剤の形であってもよい。単糖が皮膚注射により投与されるとき、これを含有する組成物は、特に無菌溶液の形であってもよい。
【0081】
本発明の組成物は、他の親水性又は親油性活性物質を含有してもよい。これらの活性物質は特に、抗酸化剤、皮膚弛緩性若しくは皮膚脱収縮性物質、抗加齢剤、抗糖化剤、真皮若しくは表皮の高分子の合成を刺激するための、かつ/又はこれらの分解を防止するための物質、繊維芽細胞若しくはケラチン細胞の増殖及び/又はケラチン細胞の分化を刺激するための物質、角質肥厚膜の成熟を促進するための物質、NOシンターゼインヒビター、及び細胞のエネルギー代謝を刺激するための物質から選択される。
【0082】
抗加齢剤:
加齢の兆候、特に皮膚の加齢と闘うことが知られている活性物質の中で、特に以下が挙げられる:
ビタミンB3、補酵素Q10(又はユビキノン)、ビタミンB9、ビタミンE、リン酸塩誘導体のようなビタミンE誘導体、例えば、Showa Denko社により販売されているTPNA(登録商標)、レスベラトロール又はその誘導体、例えば、Estee Lauder社により販売されているResveratrate(登録商標)、レチノール又はその誘導体、及びこれらの混合物。
【0083】
抗糖化剤:
「抗糖化剤」という用語は、皮膚タンパク質、特にコラーゲンのような皮膚タンパク質の糖化を防止及び/又は軽減する化合物を意味する。
【0084】
特に挙げ得る抗糖化剤には、ツツジ科の植物エキス[ブルーベリー(Vaccinium angustifolium又はVaccinium myrtillus)エキス、例えば、Cosmetochem社により商品名Blueberry Herbasol Extract PGの下で販売されている製品など]、エルゴチオネイン及びその誘導体、ヒドロキシスチルベン類及びその誘導体[レスベラトロール及び3,3’,5,5’−テトラヒドロキシスチルベン(これらの抗糖化剤は、それぞれ特許出願FR 2,802,425、FR 2,810,548、FR 2,796,278及びFR 2,802,420に記載されている)など]、ジヒドロキシスチルベン類及びその誘導体、アルギニン及びリジンのポリペプチド類[Solabia社により商品名Amadorine(登録商標)の下で販売されている製品など]、塩酸カルシニン(Exsymolにより商品名Alistin(登録商標)の下で販売されている)、Helianthus annuusエキス、例えば、SilabからのAntiglyskin(登録商標)、ワインエキス[Givaudan社により商品名Vin blanc deshydrate 2Fの下で販売されているマルトデキストリン支持体上の粉末白ワインエキスなど]、チオクト酸(又はα−リポ酸)、クマコケモモと海産グリコーゲンエキスの混合物、例えば、Laboratoires SerobiologiquesからのAglycal LS 8777(登録商標)、及び紅茶エキス、例えば、SedermaからのKombuchka(登録商標)、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0085】
挙げ得る好ましい抗糖化剤には、ブルーベリー(Vaccinium myrtillus)エキス及び紅茶エキスが含まれる。
【0086】
真皮及び/又は表皮の高分子の合成を刺激するための、かつ/あるいはそれらの分解を防止するための物質
真皮の高分子を刺激するか又はそれらの分解を防止するための活性物質の中で、以下のものが挙げられる:
− コラーゲン合成に作用するもの、例えば、Centella asiaticaエキス、アジアチコシド類及びこれらの誘導体;合成ペプチド[イアミン、Sederma社により販売されているバイオペプチドCL又はパルミトイルオリゴペプチドなど];植物から抽出されるペプチド[Coletica社により商品名Phytokine(登録商標)の下で販売されているダイズ加水分解物など];米ペプチド[SilabからのNutripeptide(登録商標)など];マンヌロン酸メチルシラノール[Exsymolにより販売されているAlgisium C(登録商標)など];植物ホルモン(オーキシン及びリグナンなど);葉酸;及びMedicago sativa(アルファルファ)エキス[Silabにより商品名Vitanol(登録商標)の下で販売されている製品など];ヘーゼルナッツのペプチドエキス[Solabia社により商品名Nuteline C(登録商標)の下で販売されている製品など];及びアルギニン;あるいは
− コラーゲン分解の阻害に作用するもの、特にメタロプロテアーゼ(MMP)、更に詳しくは、MMP1、2、3及び9などの阻害に作用する物質。次のものを挙げることができる:レチノイド及び誘導体、Medicago sativaエキス[SilabからのVitanol(登録商標)など]、Atrium Biotechnologiesにより商品名Lanablue(登録商標)の下で販売されているAphanizomenon flos-aquae(藍藻類)のエキス、オリゴペプチド及びリポペプチド、リポアミノ酸、Coletica社により商品名Collalift(登録商標)の下で販売されているモルトエキス;ブルーベリー又はローズマリーのエキス;リコピン;イソフラボン類、これらの誘導体又はこれらを含有する植物エキス、特にダイズエキス(例えば、Ichimaru Pharcos社により商品名Flavosterone SB(登録商標)の下で販売されている)、レッドクローバーエキス、亜麻エキス又は葛根エキス;ライチエキス;SEPPICにより商品名Sepilift DPHP(登録商標)の下で販売されているジパルミトイルヒドロキシプロリン;Baccharis genistelloides又はSilabにより販売されているBaccharine、モリンガエキス[CognisからのArganyl LS 9781(登録商標)など];特許出願FR-A-2,812,544に記載のシソ科(Flacksmann社からのSalvia officinalis)からのセージエキス、シャクナゲエキス、ブルーベリーエキス、及びVaccinium myrtillusエキス(特許出願FR-A-2,814,950に記載のものなど);あるいは
− エラスチン類(エラスチン及びフィブリリン)に属する分子の合成に作用するもの、例えば:レチノール及び誘導体、特にパルミチン酸レチニル;LSN社により商品名Cytovitin(登録商標)の下で販売されているSaccharomyces cerevisiaeエキス;及びSecma社により商品名Kelpadelie(登録商標)の下で販売されている藻Macrocystis pyriferaのエキス;ヘーゼルナッツのペプチドエキス[Solabia社により商品名Nuteline C(登録商標)の下で販売されている製品など];あるいは
− エラスチン分解の阻害に作用するもの、例えば、LSN社により商品名Parelastyl(登録商標)の下で販売されているPisum sativumの種子のペプチドエキス;ヘパリン類似物質;及び特許出願WO 01/94381に記載のN−アシルアミノアミド化合物[例えば、{2−[アセチル(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−3−メチルブチリルアミノ}酢酸(またN−[N−アセチル−N’−(3−トリフルオロメチル)フェニルバリル]グリシン、又はN−アセチル−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]バリルグリシン若しくはアセチルトリフルオロメチルフェニルバリルグリシンとしても知られている)又はC−Cアルコールとのこのエステルなど];米ペプチドエキス[PentapharmからのColhibin(登録商標)など]、又はPhyllanthus emblicaエキス[RonaからのEmblica(登録商標)など];あるいは
− グリコサミノグリカンの合成に作用するもの、例えば、Brooks社により商品名Biomin Yoghurt(登録商標)の下で販売されている、Lactobacillus vulgarisでの発酵乳製品;Alban Mueller社により商品名HSP3(登録商標)の下で販売されている褐藻Padina pavonicaエキス;特にSilab社から商品名Firmalift(登録商標)の下で、又はLSN社から商品名Cytovitin(登録商標)の下で入手可能なSaccharomyces cerevisiaeエキス;Laminaria ochroleucaエキス[SecmaからのLaminaine(登録商標)など]; Lucas MeyerからのMamakuエッセンス、及びカラシナ(Cress)エキス(SilabからのOdraline(登録商標));あるいは
− フィブロネクチンの合成に作用するもの、例えば、Seporga社により商品名GP4G(登録商標)の下で販売されている動物プランクトンのSalinaエキス;特にAlban Mueller社から商品名Drieline(登録商標)の下で入手可能な酵母エキス;及びSederma社から商品名Matrixyl(登録商標)の下で販売されているパルミトイルペンタペプチド。
【0087】
フィラグリン及びケラチンのような表皮高分子を刺激するための活性物質の中で、特にSilab社により商品名Structurine(登録商標)の下で販売されているルピナス(lupin)エキス;Gattefosse社により商品名Gatuline(登録商標)RCの下で販売されているFagus sylvaticaブナの花芽のエキス;及びSeporga社により商品名GP4G(登録商標)の下で販売されている動物プランクトンSalinaエキス;Procyteからの銅トリペプチド; Voandzeia subterraneaのペプチドエキス[Laboratoires Serobiologiques社により商品名Filladyn LS 9397(登録商標)の下で販売されている製品など]を挙げることができる。
【0088】
好ましくは、グリコサミノグリカンの合成を刺激する物質、エラスチン分解を阻害する物質、フィブロネクチン合成を刺激する物質、表皮高分子の合成を刺激する物質、及びこれらの混合物から選択される、真皮及び/又は表皮高分子の合成を刺激するか、かつ/又はこれらの分解を防止する活性物質が用いられよう。
【0089】
更に優先的には、褐藻Padina pavonicaエキス、Saccharomyces cerevisiaeエキス、Laminaria ochroleucaエキス、Mamakuエッセンス、及びカラシナエキス、並びにこれらの混合物から選択される、グリコサミノグリカンの合成を刺激する活性物質が使用されよう。
【0090】
真皮及び/又は表皮高分子の合成を刺激するための、かつ/又はこれらの分解を防止するための好ましい物質として、次のものを挙げることができる:
合成ペプチド、例えば、イアミン、Sederma社により販売されているバイオプチドCL又はパルミトイルオリゴペプチド;植物から抽出されたペプチド[Coletica社により商品名Phytokine(登録商標)の下で販売されているダイズ加水分解物など];米ペプチド[SilabからのNutripeptide(登録商標)など];マンヌロン酸メチルシラノール[Exsymolにより販売されているAlgisium C(登録商標)など];葉酸;Medicago sativa(アルファルファ)エキス[Silabにより商品名Vitanol(登録商標)の下で販売されている製品など];ヘーゼルナッツのペプチドエキス[Solabia社により商品名Nuteline C(登録商標)の下で販売されている製品など];アルギニン;Atrium Biotechnologiesにより商品名Lanablue(登録商標)の下で販売されているAphanizomenon flos-aquae(藍藻類)エキス、Coletica社により商品名Collalift(登録商標)の下で販売されているモルトエキス、リコピン;ライチエキス;モリンガエキス[CognisからのArganyl LS 9781(登録商標)など];Vaccinium myrtillusエキス(特許出願FR-A-2,814,950に記載のものなど);レチノール及びその誘導体、特にパルミチン酸レチニル;LSN社により商品名Cytovitin(登録商標)の下で販売されているSaccharomyces cerevisiaeエキス;ヘーゼルナッツのペプチドエキス[Solabia社により商品名Nuteline C(登録商標)の下で販売されている製品など];{2−[アセチル(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−3−メチルブチリルアミノ}酢酸(またN−[N−アセチル−N’−(3−トリフルオロメチル)フェニルバリル]グリシン、又はN−アセチル−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]バリルグリシン若しくはアセチルトリフルオロメチルフェニルバリルグリシンとしても知られている)又はC−Cアルコールとのこのエステル;米ペプチドエキス[PentapharmからのColhibin(登録商標)など]、又はPhyllanthus emblicaエキス[RonaからのEmblica(登録商標)など];Alban Mueller社により商品名HSP3(登録商標)の下で販売されている褐藻Padina pavonicaエキス;特にSilab社から商品名Firmalift(登録商標)の下で、又はLSN社から商品名Cytovitin(登録商標)の下で入手可能なSaccharomyces cerevisiaeエキス;Laminaria ochroleucaエキス[SecmaからのLaminaine(登録商標)など];Lucas MeyerからのMamakuのエッセンス、Silab社により商品名Structurine(登録商標)の下で販売されているルピナスエキス;Gattefosse社により商品名Gatuline(登録商標)RCの下で販売されているFagus sylvaticaブナの花芽のエキス。
【0091】
繊維芽細胞若しくはケラチン細胞の増殖及び/又はケラチン細胞の分化を刺激する物質
本発明の組成物に使用できる繊維芽細胞の増殖を刺激する物質は、例えば、植物タンパク質又はポリペプチド、特にダイズから抽出されたもの(例えば、LSN社により商品名Eleseryl SH−VEG 8(登録商標)の下で販売されているか又はSilab社により商品名Raffermine(登録商標)の下で販売されているダイズエキス);加水分解されたダイズタンパク質のエキス[SilabからのRidulisse(登録商標)など];並びにジベレリン及びサイトカイニンのような植物ホルモン;ヘーゼルナッツのペプチドエキス[Solabia社から商品名Nuteline C(登録商標)の下で販売されている製品など]から選択することができる。
【0092】
好ましくは、ケラチン細胞の増殖及び/又は分化を促進する物質が用いられよう。
【0093】
本発明の組成物において使用できるケラチン細胞の増殖を刺激する物質には、特にフロログルシノール、Hydrangea macrophyllaの葉のエキス、例えば、Ichimaru PharcosからのAmacha Liquid E(登録商標)、CLRからのStimoderm(登録商標)のような酵母エキス;Larrea divaricataエキス[SedermaからのCapislow(登録商標)など]、パパイア、オリーブの葉及びレモンのエキスの混合物[VincienceからのXyleine(登録商標)など]、レチノール及びそのエステル(パルミチン酸レチニルを包含する)、フロログルシノール、Gattefosseにより販売されているナッツケーキエキス、並びにSolanum tuberosumエキス[Sedermaにより販売されているDermolectine(登録商標)など]が含まれる。
【0094】
ケラチン細胞の分化を刺激する物質の中には、例えば、カルシウムのような鉱物;ルピナスのペプチドエキス[Silab社により商品名Structurine(登録商標)の下で販売されている製品など];β−シトステリル硫酸ナトリウム[Seporga社により商品名Phytocohesine(登録商標)の下で販売されている製品など];及びトウモロコシの水溶性エキス[Solabia社により商品名Phytovityl(登録商標)の下で販売されている製品など];Voandzeia substerraneaのペプチドエキス[Laboratoires Serobiologiques社により商品名Filladyn LS 9397(登録商標)の下で販売されている製品など];及びセコイソラリシレシノール(secoisolariciresinol)のようなリグナン類、並びにレチノール及びそのエステル(パルミチン酸レチニルを包含する)がある。
【0095】
ケラチン細胞の増殖及び/又は分化を刺激する物質として、エストラジオール及び同族体のようなエストロゲン類;又はサイトカイン類も挙げることができる。
【0096】
繊維芽細胞若しくはケラチン細胞の増殖、及び/又はケラチン細胞の分化を刺激するための好ましい活性物質として、植物タンパク質又はポリペプチド、特にダイズから抽出されたもの(例えば、LSN社により商品名Eleseryl SH−VEG 8(登録商標)の下で販売されているか、又はSilab社により商品名Raffermine(登録商標)の下で販売されているダイズエキス);加水分解されたダイズタンパク質のエキス[SilabからのRidulisse(登録商標)など];ヘーゼルナッツのペプチドエキス[Solabia社により商品名Nuteline C(登録商標)の下で販売されている製品など];フロログルシノール、酵母エキス[CLRからのStimoderm(登録商標)など];ルピナスのペプチドエキス[Silab社により商品名Structurine(登録商標)の下で販売されている製品など];水溶性トウモロコシエキス[Solabia社により商品名Phytovityl(登録商標)の下で販売されている製品など];Voandzeia subterraneaのペプチドエキス[Laboratoires Serobiologiques社により商品名Filladyn LS 9397(登録商標)の下で販売されている製品など];レチノール及びそのエステル(パルミチン酸レチニルを包含する)を挙げることができる。
【0097】
角質肥厚膜の成熟を促進する物質
角質肥厚膜(これは、加齢によって損なわれ、トランスグルタミナーゼ活性の低下を招く)の成熟に関与する物質を、本発明の組成物に使用してもよい。挙げることができる例には、尿素及びその誘導体、そして特にNational StarchからのHydrovance(登録商標)及びロレアル(L'Oreal)の特許出願FR 2,877,220に挙げられている他の活性物質が含まれる。
【0098】
NOシンターゼ阻害剤
NOシンターゼに対して阻害作用を有する物質は、PCO(プロシアニドールオリゴマー);特にEuromed社により商品名「Leucocyanidines de raisins extra」の下で、又はIndena社により商品名Leucoselect(登録商標)の下で、又は最後にHansen社により商品名「Extrait de marc de raisin」の下で販売されているVitis vinifera種の植物エキス;好ましくはオリーブの木の葉から得られ、そして特にVinyals社からドライエキス状で、又はBiologia & Technologia社により商品名Eurol(登録商標)BTの下で販売されているOlea europaea種の植物エキス;及びGingko biloba種の植物エキス、好ましくはBeaufour社により商品名「Ginkgo biloba extrait standard」の下で販売されているこの植物の水性ドライエキス、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0099】
細胞のエネルギー代謝を刺激する物質
細胞のエネルギー代謝を刺激する活性物質は、例えば、ビオチン、Saccharomyces cerevisiaeエキス[SedermaからのPhosphovital(登録商標)など]、ピロリドンカルボン酸のナトリウム、マンガン、亜鉛及びマグネシウム塩の混合物、例えば、SolabiaからのPhysiogenyl(登録商標)、グルコン酸亜鉛、銅及びマグネシウム塩の混合物[SEPPICからのSepitonic M3(登録商標)など]、及びこれらの混合物;Saccharomyces cerevisiaeに由来するβ−グルカン[Mibelle AG Biochemistry社により販売されている製品など]から選択することができる。
【0100】
本発明の単糖は、治療すべき皮膚又はその外皮の一部に、特に顔、首、手、毛髪又は頭髪に、好ましくは毎日又は1日数回適用することができる。適用は、例えば、望まれる効果に応じて可変期間(一般的には3〜6週間)毎日繰り返されるが、連続的に延長するか又は継続してもよい。
【0101】
代わりに、本発明の単糖又はこれを含有する組成物は、場合により充填物と合わせて注射によって投与される。具体的には、しわ及び/又は軟組織の容量の消失と闘うために採用される解決策の1つは、充填物(又は充填剤)の使用である。この充填は、ポリアクリルアミドゲル又はポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子のような、再吸収が不可能な生成物を使用することにより達成されてもよい。しかしこれらの化合物は、炎症又は過敏症のようなタイプの不耐性反応を引き起こす場合がある。
【0102】
タンパク質、脂肪、コラーゲン又はヒアルロン酸のような、再吸収可能な成分の使用が好ましい。しかし、これらの化合物は体内で比較的急速に分解されるため、その効力は低下する。これを克服するために、これらの成分の多少費用のかかる架橋を実行しなければならない。
【0103】
現在、薬剤又は医療器具において使用されるヒアルロン酸は、ヒアルロン酸ナトリウムゲルの形である。
【0104】
本発明の単糖又はこれを含有する組成物はまた、メソセラピーにより適用してもよい。
【0105】
メソセラピーは、活性物質、例えば、微量栄養物質、ビタミン類及び/又はヒアルロン酸の表皮内及び/又は真皮内及び/又は皮下注射を介する処置法である。本組成物はこの手法により注射を介して多数の小滴の形で、表皮、真皮表皮接合部及び/又は真皮に、特に皮下層形成を実行するために投与される。メソセラピー法は、特にJacques L Cozにより刊行物"Traite de mesotherapie"(Massonにより発行、2004)に記載されている。
【0106】
顔に実行されるメソセラピーはまた、メソリフト(mesolift)又はメソグロー(mesoglow)と呼ばれる。
【0107】
よって本発明の別の目的は、上記と同義の少なくとも1つの単糖を含む器具、特に医療器具であって、表皮内及び/又は真皮内及び/又は皮下注射に適した器具である。前記単糖は、好ましくは無菌溶液と合わせられる。前記器具は、少なくとも1つの他の化合物、例えば、少なくとも1つの再吸収可能な又は再吸収不可能な生成物(上述のものなど)を含むが、これは場合により架橋されていてもよい。
【0108】
前記器具は、例えば、針の付いたシリンジ又は針のない注入器具[メソセラピーとして知られているケア法で使用されるものなど]であってもよい。器具を含むキットもまた想定されてもよく、前記キットは、器具(特にシリンジ又は注入器具)、及び上記と同義の少なくとも1つの単糖を含む。前記キットはまた針を含んでよい。前記器具は、即時使用型、即ち、プレフィルドであっても、又は使用前に充填する必要があってもよい。後者の場合、組成物又は別の器具(バイアルなど)は、前記単糖を、場合により少なくとも1つの他の活性化合物、例えば、少なくとも1つの再吸収可能な又は再吸収不可能な物質(上述の充填物など、これは場合により架橋されている)と合わせて含む。
【0109】
本発明の単糖の注入は、皮膚又は外皮への、生理学的に許容しうる支持体中に少なくとも1つの上述のような他の活性物質を含む、別の化粧品組成物又は医薬組成物、好ましくは皮膚用組成物の適用と同時に、又はその前若しくは後に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】対照の存在下で、異なるマーカーの存在下で、成長因子欠損培地中で、及び異なる濃度のL−ラムノース(x軸に記載)を添加しての、ケラチン細胞増殖について得られた結果を概略的に表す図である。y軸に記載した値は、対照に対する測定した標識細胞の割合(%)に対応する。
【図2】対照の存在下で、異なるマーカーの存在下で、成長因子欠損培地中で、及び異なる濃度のD−マンノース(x軸に記載)を添加しての、ケラチン細胞増殖について得られた結果を概略的に表す図である。y軸に記載した値は、対照に対する測定した標識細胞の割合(%)に対応する。
【図3】左側の未処理の対照の全再構成皮膚と、右側の5mMのラムノースで処置した全再構成皮膚との間で測定した繊維芽細胞の数を表す図である。繊維芽細胞は処理の異なる段階で計数した。よって、各タイプの皮膚について、左側のカラムは48時間の処理で得られた数に相当し、右側のカラムは120時間の処理で得られた数に相当する。
【図4】7μmの厚さの再構成皮膚の凍結切片の写真。蛍光レベルは、白黒写真上の白い点として現れる;これはI型プロコラーゲンの量に比例する。対照皮膚は左側であり、1mMのラムノースで処理した皮膚は右側である。
【発明を実施するための形態】
【0111】
本発明は、以下の実施例で更に詳細に説明するが、これらは本発明の分野の非限定例として示すものである。
【実施例】
【0112】
実施例1:ケラチン細胞の増殖
【0113】
プロトコール
ケラチン細胞(HaCat株)を2つの条件下で培養した:全成分培地(標準条件)及び成長因子欠損培地。この欠損培地は、細胞増殖の制御された遅延を引き起こす。そしてこれらの条件下では、培地の成長因子の欠損を補い、よって細胞増殖を再開させ、かつ/又は細胞代謝を刺激することができる化合物の作用を測定することが可能である。
【0114】
ケラチン細胞増殖は、同じ細胞集団で3つのマーカーを用いて測定した:DNAレベル(これは細胞の数に比例する)(Cyquantプローブ)、細胞膜の構成極性脂質のレベル(Nile redプローブ)及びミトコンドリア呼吸(これは一般的細胞代謝を反映する)(XTTプローブ)。
【0115】
結果
結果を図1及び2に示す。
【0116】
ケラチン細胞を、成長因子を枯渇させた培地で培養(これらの細胞増殖を有意に遅延させる培養条件)したとき、ラムノース及びマンノースの2つの単糖は、ケラチン細胞増殖を活性化できることを証明した。
【0117】
この2つの化合物による細胞増殖の活性化は、未処理対照と比較して細胞の数が多いことにより明らかになった。
【0118】
細胞数の増加は、単糖を1mMで評価するとき、有意に上昇した、DNAレベル(Cyquant)、極性脂質のレベル(Nile redシグナル)及びミトコンドリア呼吸(XTTシグナル)により現れた。500μMで2つの分子はすでに効力を示した。よってラムノース及びマンノースの2つの単糖は、ケラチン細胞増殖に影響を及ぼした。これらは、成長因子を枯渇させた培地中で培養したケラチン細胞の増殖を活性化したが、このことは未処理対照と比較して細胞の数が多いことにより明らかになった。
【0119】
よってラムノース及びマンノースは、表皮再生を助長し、そして加齢にともなう表皮萎縮と闘うことにより、抗加齢効力を示した。
【0120】
実施例2:繊維芽細胞の増殖
【0121】
プロトコール
皮膚コンパートメントに及ぼす抗加齢効力を測定するために、全再構成皮膚のモデルでラムノースを試験した。
【0122】
簡単に述べると、使用した再構成皮膚のモデルは、Bellらにより記載されたものである(Bell E. et al., The reconstitution of living skin, J. Invest. Dermatol., 1983, July; 81):これは、多層化した表皮がその上に再構成された皮膚同等物を包含する;皮膚同等物は、酸可溶性コラーゲン、血清含有培地及び正常な成人繊維芽細胞から製造した。5日間の収縮後、この同等物にケラチン細胞を接種し、次に浸漬して6日間培養し、そして角質層を有する多層化及び分化した表皮を得るために、外に出して7日間培養した。
【0123】
再構成した皮膚は、5mMラムノースにより培地中で2日間及び5日間処理した;処理後、再構成皮膚をTissue Tekに入れることにより、クリオスタットを用いて7μm厚さの凍結切片を作成した。次に作成した切片は、ヨウ化プロピジウムで染色して、繊維芽細胞の核のDNAを計数するために、これらを標識した。各再構成皮膚について、3つの凍結切片をランダムに調製した;各切片について2つの顕微鏡視野(25×対物レンズ)を蛍光顕微鏡により分析して写真を撮った。こうして真皮繊維芽細胞は、検討した6つの顕微鏡視野である全部で6つの画像上で、各再構成皮膚について計数した。真皮繊維芽細胞の数を、2点の動的段階で対照皮膚及びラムノースで処理した皮膚の間で比較した。
【0124】
結果
結果を図3に示す。
【0125】
ラムノースは、処理の48時間以内に再構成皮膚の真皮繊維芽細胞増殖の刺激を誘導することが判ったが、この刺激は、処理120時間の時点で30%〜35%の間の増加細胞として確認した(図3を参照)。この刺激は、5mMで、及び1mMでも、プロコラーゲン1合成の刺激(これはまた、細胞外マトリックスのこの主要タンパク質の分泌に関与する繊維芽細胞数の増加にも由来しうる)をともなうことに注目すべきである。
【0126】
これらの2つの作用は、真皮コンパートメントの主要な細胞である繊維芽細胞の増殖及び代謝を刺激することにより、表皮コンパートメントで既に測定されたラムノースの抗加齢活性を補完する。
【0127】
実施例3:プロコラーゲンIの合成
再構成皮膚の真皮におけるI型プロコラーゲンの間接免疫蛍光法による従来の検出もまた、他のシリーズの凍結切片について実行した[抗procoll 1抗体(MAB 1912 Millipore)+FITC−結合複合体(112-095-068 Jackson Immunoresearch)]。切片の顕微鏡検査中に皮膚構造内の相対的位置を取得するために、ケラチン細胞及び繊維芽細胞の細胞核は、上述のようにヨウ化プロピジウムで染色することにより局在化させた。各再構成皮膚について3つの凍結切片をランダムに調製し、そして各切片について、2つの顕微鏡視野(25×対物レンズ)を蛍光顕微鏡により分析して写真を撮った。I型プロコラーゲンの量に比例する蛍光レベルを、対照皮膚及びラムノースで処理した皮膚の間で比較した。
【0128】
120時間の培養時の対照再構成皮膚の切片に相当する画像1(図4)では、真皮繊維芽細胞により合成されたI型プロコラーゲンの存在が、画像の下の部分に位置する緑色の蛍光により現れた。多くのケラチン細胞核により視覚化しうる表皮の基底部分(密な細胞組織)は、画像の上の部分に見分けることができた。真皮(あまり密ではない細胞組織)もまた、真皮細胞外マトリックス内の繊維芽細胞のランダムな分布を明らかにした。
【0129】
例えば、1mMラムノースで120時間処理した再構成皮膚の切片に相当する画像2(図4)では、対照皮膚(画像1)で観察されたものと比較すると、緑色の蛍光の顕著な上昇に気づき、また蛍光シグナルの分布には、新たに合成されたI型プロコラーゲンの繊維性が明瞭に現れた。緑色の蛍光のこの上昇は、ラムノース処理が繊維芽細胞によるI型プロコラーゲンの合成を強く刺激したことを示している。
【0130】
これらの結果は、ラムノースが繊維芽細胞代謝を刺激できることを明瞭に示しているが、この代謝は、加齢の過程で、その再生よりも細胞外マトリックスの分解の方へとバランスが傾くようになる。
【0131】
真皮繊維芽細胞の代謝及び増殖の両方を刺激することにより、ラムノースは明らかに真皮に対してその抗加齢効力を実証しており、この効力は表皮部分に関して測定されたものを補完している。
【0132】
実施例4:化粧品組成物
− 組成物A
【表2】

【0133】
− 組成物B
【表3】

【0134】
− 組成物C
抗加齢顔用デイクリーム
フェーズA1:
− Stearinerie Dubois社から販売されているジステアリン酸スクロース 1.75%
− ICI社から商品名Tween 61の下で販売されている、4molのエチレンオキシドでオキシエチレン化したステアリン酸ソルビタン 1.15%
− ステアリン酸 0.75%
− ヘプタン酸ステアリル 4.00%
− ワセリン(コーデックス規格) 1.50%
− アボカド油 3.20%
− ホホバ油 3.00%
− 揮発性シリコーン油 2.70%
− 酢酸ビタミンE 1.00%
− ビタミンFグリセリド 3.00%
【0135】
フェーズA2:
− Dow Corningから商品名Q2-1403 Fluidの下で販売されているシリコーンゴム
3.00%
− プロピルパラベン 0.2%
− 香料 0.3%
フェーズB:
− グリセロール 3.00%
− ヒドロキシプロリン 1.00%
− D−パンテノール 1.00%
− トリエタノールアミン 0.35%
− ラムノース 3.00%
− メチルパラベン 0.3%
− 脱塩水 適量 100%
フェーズC:
− アンモニウムポリアクリルジメチルタウルアミド(ClariantからのHostacerin AMPS) 1%
【0136】
− 組成物D
顔及び体用抗加齢ナノエマルション
油相:
− Nikkol DGMS(モノステアリン酸ジグリセリル)(Nikkoから) 4%
− N−ステアロイル−L−グルタミン酸の二ナトリウム塩
(Ajinomoto社からのAcylglutamate HS21) 0.5%
− ホホバ油 6%
− 揮発性シリコーン油 6%
− ステアリン酸イソセチル(MW=508) 6%
水相:
− グリセロール 5%
− ジプロピレングリコール 10%
− 水 55%
− マンノース 4%
透明のナノエマルションを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚又はその外皮の加齢の兆候を軽減又は防止するための、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖の美容的使用。
【請求項2】
しわ及び/又は小じわ、しわのよった皮膚、皮膚の弾力性及び/又は張りの欠如、真皮の菲薄化、コラーゲン繊維の分解、皮膚のたるみ、きめの細かい肌、並びに皮膚の何らかの内部分解を、軽減又は防止するための、あるいは皮膚の微細な凹凸を改善及び/又は軽減するための、かつ/あるいは皮膚のバリア機能を維持及び/又は改善するための、前記請求項に記載の使用。
【請求項3】
表皮及び/又は真皮を維持及び/又は強化するための、あるいは皮膚の種々の層の完全性及び/又は厚さを維持するための、前記請求項に記載の使用。
【請求項4】
しわ及び/又は小じわを予防的又は治療的に処置するための、前記請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
ケラチン細胞及び/又は繊維芽細胞増殖を上昇させるための、前記請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
コラーゲン合成を刺激するための、前記請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
ヘアケアを目的とすることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
毛髪成長を刺激するか、抜け毛と闘うか、又は毛髪のつやを強化するための、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
生理学的に許容しうる媒体中に、マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖を含む組成物であって、いかなるテンショニング剤を含まず、かつキシリトールとマンニトールとの組合せを含まない、特に無菌溶液の形での、皮膚注射を介する投与に適していることを特徴とする組成物。
【請求項10】
マンノース、ラムノース及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの単糖を含む器具であって、表皮内及び/又は真皮内及び/又は皮下注射に適した器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−155833(P2010−155833A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−298270(P2009−298270)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】