説明

単結晶製造装置

【課題】原料がルツボとヒーターの間に挟まるなどの不測の事態が発生してもヒーターの変形や破損等が発生することを防ぐことができる単結晶製造装置を提供する。
【解決手段】少なくとも、原料融液22を収容する石英ルツボ12と、該石英ルツボ12を保持する黒鉛ルツボ13と、前記石英ルツボ12内の原料を加熱して溶融させるためのヒーター14と、前記融液22から結晶を引上げる引上げ機構15と、前記黒鉛ルツボ13を回転させるためのルツボ回転軸16と、該ルツボ回転軸16を回転させるための回転機構17と、前記ルツボ回転軸16の回転トルクを制限する機械式または電気式のトルクリミット18と、を具備するチョクラルスキー法による単結晶製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CZ(チョクラルスキー)法により単結晶を製造する装置に関するもので、具体的には、融液を保持するルツボの回転によるヒーターの破損を防止する機構を具備した単結晶製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の基本材料であるシリコン単結晶の製造方法としてチョクラルスキー法(CZ法)がある。
CZ法においては、チャンバー内に設けられた石英ルツボ内に高純度の多結晶シリコンを投入し、ヒーターにより加熱して多結晶シリコンを溶融させ、このシリコン融液に種結晶を浸しながら回転して引上げることで、単結晶を成長させ、円柱状のシリコン単結晶が製造される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、この石英ルツボは、通常黒鉛からなるルツボに支持されている。
また、この石英ルツボや黒鉛ルツボを回転させる機構は、該黒鉛ルツボを支えるルツボ回転軸とルツボ軸駆動部で構成され、このルツボ回転軸とルツボ軸駆動部はプーリーやベルト等で連結されており、これによって黒鉛ルツボひいては石英ルツボを回転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−4890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、多結晶シリコン(原料)を溶融させる際に石英ルツボに充填した多結晶シリコンの一部がころがり出たり、石英ルツボに原料を追加投入するリチャージの際に多結晶シリコンが跳ね上がるなどして、多結晶シリコンが石英ルツボから飛び出し、黒鉛ルツボとヒーターの間に挟まることがある。
そして、この状態のまま黒鉛ルツボを回転させ続けると、挟まった多結晶シリコンを介してヒーターにルツボの回転方向に力がかかり、ヒーターが変形したり破損する事があった。
【0006】
例えば、ヒーターが変形すると、加熱の条件が変わってくるため、融液の温度分布等が設定条件から変わってしまい、所望の単結晶を得られない、加熱パワーが必要以上にかかる等の問題がある。
また、最悪破損すると高価なヒーターを交換する必要があり、ランニングコストが増加するとの問題もある。
そしてヒーターが破損した場合は単結晶の製造を中止せざるを得なくなってしまい、歩留り、生産性の低下を招く。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、原料がルツボとヒーターの間に挟まるなどの不測の事態が発生してもヒーターの変形や破損等が発生することを防ぐことができる単結晶製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、少なくとも、原料融液を収容する石英ルツボと、該石英ルツボを保持する黒鉛ルツボと、前記石英ルツボ内の原料を加熱して溶融させるためのヒーターと、前記融液から結晶を引上げる引上げ機構と、前記黒鉛ルツボを回転させるためのルツボ回転軸と、該ルツボ回転軸を回転させるための回転機構と、前記ルツボ回転軸の回転トルクを制限する機械式または電気式のトルクリミットと、を具備するものであることを特徴とするチョクラルスキー法による単結晶製造装置を提供する。
【0009】
このように、本発明ではルツボ回転軸の回転トルクを制限する機械式または電気式のトルクリミットを設けた単結晶製造装置とする。
このようなトルクリミットを設けることにより、ルツボ回転軸に加わる回転トルクが制限できる。よって、原料溶融の際に石英ルツボから落下したり、原料投入の際に跳ね上がるなどしてルツボ外に飛び出した原料がヒーターとルツボの間に挟まったまま原料の溶融、すなわちルツボを回転させても、ヒーターの変形や破損が生じるような力でルツボが回転することを防止することができる。従って、偶発的に発生するヒーターの変形・破損などの不測の事態の発生を回避することができ、メンテナンスコストやランニングコストの低減を図ることができる。
【0010】
ここで、前記トルクリミットは、前記回転トルクを前記ヒーターの破壊強度以下に制限するものであることが好ましい。
このように、トルクリミットは、回転トルクをヒーターの破壊強度以下に制限するものとすることによって、ヒーターの変形・破損が発生するような力でルツボが回転することを確実に防止することができ、ヒーターが変形・破損することを確実に防止することができる。
【0011】
また、更に、前記ルツボ回転軸の実際の回転数を検出する回転検出器と、該回転検出器と前記回転機構の回転数との差分を評価して前記トルクリミットによって発生する滑りを検出する滑り検出機構と、該滑り検出機構によって検出された前記滑りを通知する滑り通知機構を備えるものであることが好ましい。
併せて、ルツボ回転軸の実際の回転数を検出する回転検出器を設け、またトルクリミットによるルツボ回転の低下を検知することで、トルク制限動作(ヒーターとルツボの間に原料が挟まる等)となるような異常動作を速やかに検知することができ、ヒーターの変形や破損、原料の損失の発生を確実に防止することができる。
【0012】
更に、前記トルクリミットで制限する前記回転トルクの最大値をTL(kgf・m)、前記石英ルツボの直径をD(m)としたとき、前記最大値TLはTL≦D×118−36で表される範囲を満たすものであることが好ましい。
このように、トルクリミットで制限する回転トルクの最大値TL(kgf・m)を、石英ルツボの直径をD(m)としたときにTL≦D×118−36で表される範囲を満たすものとすることによって、更に確実にヒーターの変形・破損が発生するような力でルツボが回転することを確実に防止することができ、ヒーターの破損を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明のように、ルツボ回転軸の回転トルクを制限する機械式または電気式のトルクリミットを設けた単結晶製造装置であれば、原料が挟まった場合にはルツボ回転を停止させることができる。よって、ルツボとヒーターの間に入った原料によるヒーター損壊を回避できる。また、ルツボ回転軸の回転数を実測して、その異常を通知する事で、高価なヒーターや原料の損失を更に確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の単結晶製造装置の概略の一例を示した図である。
【図2】本発明の単結晶製造装置の概略の他の一例を示した図である。
【図3】ヒーター強度の計算方法の概略を示した図である。
【図4】各ルツボ口径のモーターが与える最大回転トルクTLとヒーター強度から算出される許容回転トルク(許容回転トルク)との関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明についてより具体的に説明する。
前述のように、原料がルツボとヒーターの間に挟まるなどの不測の事態が発生してもヒーターの変形や破損等が発生することを防ぐことができる単結晶製造装置の開発が待たれていた。
【0016】
そこで、本発明者は、ルツボの回転に伴って発生する回転力と、ヒーターの強度の関係について検討を行った。
まず、ルツボ回転軸を回転させるための回転機構がルツボ回転軸に与える最大回転トルクについて考える。このうち、ここでは回転力の駆動源としてモーターのみの駆動力を考えた。
まず、石英ルツボ、黒鉛ルツボ、多結晶シリコンの慣性モーメントを合算してモーターを選定し、そのモーターによるルツボ回転軸への最大回転トルクと各口径のヒーターの強度を、ルツボ回転軸の回転トルクに換算した。
【0017】
例えば、直径18インチ(450mm)ルツボ(原料60kgチャージ)の慣性モーメントは38,000(kg・cm)となり、選定したモーターによるルツボ回転軸への最大回転トルクは22(kgf・m)となる。
また、直径24インチ(600mm)ルツボ(150kgチャージ)の慣性モーメントは150,000(kg・cm)となり、選定したモーターによるルツボ回転軸への最大回転トルクは44kgf・mとなる。
そして、直径32インチ(800mm)ルツボ(300kgチャージ)の慣性モーメントは525,000(kg・cm)となり、選定したモーターによるルツボ回転軸への最大回転トルクは65(kgf・m)となる。
【0018】
また、ヒーター強度は、図1に示されるように、ヒーターの厚み(b)と、ヒーター上端からスリット上端までの長さ(h)から算出した。通常、この部分に原料が挟まり、ヒーターの変形や破損が発生するからである。そして、ヒーターの一部分をモデル化して計算した。
【0019】
具体的には、図3に示す様に、ヒーターの1ブロックでヒーター強度を考える。
まず、図3(a)に示す様に、ヒーターの厚みをb(cm)、ヒーターのスリット上部の幅をh(cm)、ヒーターの高さをL(cm)となり、断面係数ZはZ=b・h/6(cm)となる。
そして、図3(b)に示す様に、ヒーターを直線として考えて、その一端を固定した時、ヒーターの強度Pは、別の一端に矢印の向きに加わる力とみなすことができる。これはヒーターに原料が挟まった場合に、ルツボの回転によって受ける力の向きがこの矢印の方向であり、変形・破損するのはこの強度を上回る場合だからである。
【0020】
そして、図3(c)に示す様に、これを円周の一部分として回転トルクで算出する。ここで、ヒーターの半径をr、曲げ応力σ=M/Z(Mは曲げモーメント)とすると、曲げモーメントM=P・Lとなる。そしてこれらの関係からヒーター強度P=σ・Z/Lが導かれる。また、ヒーター強度から算出される許容回転トルク(許容回転トルク)TはT=P・rで表されるから、以上の関係を用いると、T=(σ・bh・r)/6L(kgf・m)で表され、これを用いて計算することとした。ここで、黒鉛材の曲げ応力σは39(MPa(=398kgf/cm))として計算した。
【0021】
例えば、直径18インチ(450mm)ルツボ用のヒーターの場合、b=21mm、h=50mm、L=45cm、r=0.26mとなり、許容回転トルクT=20(kgf・m)(196N・m)の値が得られる。
また、直径24インチ(600mm)ルツボ用のヒーターの場合、b=25mm、h=60mm、L=60cm、r=0.35mとなり、許容回転トルクT=35(kgf・m)(343N・m)の値が得られる。
更に、直径32インチ(800mm)ルツボ用のヒーターの場合、b=28mm、h=80mm、L=90cm、r=0.46mとなり、許容回転トルクT=61(kgf・m)(597.8N・m)の値が得られる。
【0022】
そしてこのモーターが与える最大回転トルクとヒーター強度から算出される許容回転トルク(許容回転トルク)を比較すると、直径18インチ(450mm)ルツボ用のヒーター強度から算出される許容回転トルク(許容回転トルク)は20(kgf・m)、選別したモーターによる最大回転トルクは22(kgf・m)となり、最大回転トルクが許容回転トルクを上回ることが判る。
同様に、直径24インチ(600mm)ルツボ用のヒーター強度から算出される許容回転トルク(許容回転トルク)35(kgf・m)、選別したモーターによる最大回転トルクは44(kgf・m)となり、最大回転トルクが許容回転トルクを上回る。
そして直径32インチ(800mm)ルツボ用のヒーター強度から算出される許容回転トルク(許容回転トルク)61(kgf・m)、選別したモーターによる最大回転トルクは65(kgf・m)となり、最大回転トルクが許容回転トルクを上回る。
この場合の各ルツボ口径のモーターが与える最大回転トルクTLとヒーター強度から算出される許容回転トルク(許容回転トルク)との関係は図4のようになり、TL≦D(m)×118−36とすれば、モーターが与える最大回転トルクTLをヒーター強度から算出される許容回転トルク(許容回転トルク)より確実に小さいものとすることができる。
【0023】
従って、ルツボ回転軸と、当該ルツボ回転軸を回転させるための回転機構の間に何らかの緩衝を設けて回転トルクを調節する必要があることを知見した。
そこで、更なる鋭意検討を重ねた結果、ルツボ回転軸の回転トルクを制限する機械式または電気式のトルクリミットを設ける事によって、ルツボ回転軸と、当該ルツボ回転軸を回転させるための回転機構の間の回転トルクを調節でき、これによってルツボとヒーターの間に原料が挟まった場合であっても、ヒーターが変形・破損するような力でルツボが回転することを防止できることを発想し、本発明を完成させた。
【0024】
以下、本発明について図を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図1は、本発明の単結晶製造装置の概略の一例を示した図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の単結晶製造装置10は、少なくとも、チャンバー11と、原料融液22を収容する石英ルツボ12と、石英ルツボ12を保持する黒鉛ルツボ13と、石英ルツボ12内の原料を加熱して溶融させるためのヒーター14と、ヒーター14の外周部に配置された断熱材23と、原料融液22から結晶を引上げる引上げ機構15と、黒鉛ルツボ13を回転させるためのルツボ回転軸16と、ルツボ回転軸16を回転させるための回転機構17と、ルツボ回転軸16の回転トルクを制限する機械式または電気式のトルクリミット18と、を具備するものである。
【0026】
通常、原料が挟まった場合、作業者がこのことに気付けば、ルツボの回転を止めてそのまま溶融させている。しかし、作業者が気付かなかった場合、原料がヒーター14とルツボ12,13の間に挟まったままルツボが回転し続けることになり、ヒーターが変形したり、最終的にはヒーターが破損してしまうといった不測の事態が発生する。
しかし、本発明のように、ルツボ回転軸の回転トルクを制限する機械式または電気式のトルクリミット18を設けてルツボの回転トルクを制限することによって、原料が挟まる不具合が発生してもルツボ12,13の回転が止まるため、ヒーター14が変形したり破損することなく原料をそのまま溶融させることができる。このようにルツボ中の原料の溶融がそのまま続行されたとしても、挟まった原料も同時に加熱され、溶融して脱落することになる。これによって、単結晶の製造を何事もなかったかのように続行でき、安全に操業することができる。すなわち、従来の単結晶製造装置に比べて安全かつ効率よく単結晶の製造を行うことができる単結晶製造装置となる。
【0027】
また、図2に示す様に、単結晶製造装置10’は、図1に備える装備の他に、更に、ルツボ回転軸16の実際の回転数を検出する回転検出器19と、回転検出器19と回転機構17の回転数との差分を評価してトルクリミット18によって発生する滑りを検出する検出機構20と、検出機構20によって検出された滑りを通知する通知機構21を備えるものとすることができる。
【0028】
このような回転検出器と滑り検出機構と滑り通知機構を備えた単結晶製造装置において、例えば、回転機構の回転数Aを測定する。また同時にルツボ回転軸の実際の回転数Bを回転検出器によって検出する。そして、この2つの回転数A,Bを滑り検出機構によって評価し、A=Bならばルツボの回転数と回転機構の回転数が一致しており、トルクリミットが働いていない、すなわち原料の挟まり等が発生しておらず、正常と判定する。逆に、A≠Bの場合、ルツボの回転数と回転機構の回転数が一致しないということであり、すなわち原料が挟まってトルクリミットが作動して滑りが発生しており、異常が発生している、と判定できることになる。そしてこの異常を滑り通知機構によって通知し、挟まった原料を取り除く等の対応を取ることができ、ヒーターの変形や破損を確実に防止することができるものとなる。
【0029】
より具体的に、滑り検出機構や滑り通知機構の一例について説明する。
例えば回転機構としてサーボモーターを用いる場合、このサーボモーターの制御装置よりモーターの回転数を得、モーターからルツボ回転軸までの減速比から、回転機構の回転数Aを測定する。
また、回転検出器としてルツボ回転軸にギアを介したロータリーエンコーダを取り付ける場合、ギア比とロータリーエンコーダの分解能から、ルツボ回転軸の回転数Bを測定する。
そして、滑り検出機構によって、上記2つの回転数A,Bの差を判定し、回転数の差が検出器の誤差を考慮して例えば、(|回転数A−回転数B|)/(回転数A)が1%以上となった時に滑り発生と判定する。
また、このように滑り検出機構によって滑りを検出した際には、単結晶製造装置の制御部や作業者へ、滑り通知機構によって電気信号、警報等を発生させ、通知することができる。
【0030】
また、トルクリミット18は、回転トルクをヒーター14の破壊強度以下に制限するものとすることができる。
これによって、ルツボの回転する回転トルクがヒーターの破壊強度以下に制限されるため、高価なヒーターの破損が発生することを確実に防止することができ、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0031】
そして、トルクリミット18で制限する回転トルクの最大値をTL(kgf・m)、石英ルツボ12の直径をD(m)としたとき、最大値TLは、TL≦D×118−36で表される範囲を満たすものとすることができる。
【0032】
上述のように、ルツボ回転軸への最大回転トルクは、慣性モーメントの関係で使用する石英ルツボの口径の2乗に比例する事になる。これは慣性モーメントが口径の2乗となり、それに見合うモーターが必要となるためである。
しかし、ヒーターの厚みは口径の2乗ではなく単に口径に比例する為、ルツボの口径が大きくなってもヒーター強度はそれほど上がらない。
そこで、最大回転トルクを、ヒーター強度をベースとして考え、口径に比例させることとすると、Dをルツボ口径(m)、トルクリミットで制限する回転トルクの最大値をTL(kgf・m)とすると、
TL(kgf・m)=D(m)×118−36
の関係式が導かれる。
すなわち、このような関係式を満たす場合、確実に使用するルツボの口径に合った最大回転トルクを算出することができ、これをトルクリミットで制限する回転トルクの最大値とすることによって、ヒーターの変形や破損を確実かつ容易に防止することができる。
【0033】
なお、ルツボの直径は0.3m(約12インチ)以上にすることが望ましい。これより直径が小さいルツボの場合は、元々ルツボの回転トルクが小さいので、トルクリミットで制限する必要性がない。
【0034】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0035】
例えば、上記実施例ではCZ法でシリコン単結晶を育成する場合を例に挙げて本発明を説明したが、本発明はシリコン単結晶の製造のみに限定されるものではなく、CZ法による単結晶製造装置であれば、いかなる形態のものであっても本発明を適用できるものである。また、本発明でいうCZ法には、例えば融液に磁場を印加するMCZ(Magnetic Field Applied Czochralski)法も含まれる。
【符号の説明】
【0036】
10、10’…単結晶製造装置、 11…チャンバー、 12…石英ルツボ、 13…黒鉛ルツボ、 14…ヒーター、 15…引上げ機構、 16…ルツボ回転軸、 17…回転機構、 18…トルクリミット、 19…回転検出器、 20…滑り検出機構、 21…滑り通知機構、 22…原料融液、 23…断熱材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、原料融液を収容する石英ルツボと、
該石英ルツボを保持する黒鉛ルツボと、
前記石英ルツボ内の原料を加熱して溶融させるためのヒーターと、
前記融液から結晶を引上げる引上げ機構と、
前記黒鉛ルツボを回転させるためのルツボ回転軸と、
該ルツボ回転軸を回転させるための回転機構と、
前記ルツボ回転軸の回転トルクを制限する機械式または電気式のトルクリミットと、を具備するものであることを特徴とするチョクラルスキー法による単結晶製造装置。
【請求項2】
前記トルクリミットは、前記回転トルクを前記ヒーターの破壊強度以下に制限するものであることを特徴とする請求項1に記載の単結晶製造装置。
【請求項3】
更に、前記ルツボ回転軸の実際の回転数を検出する回転検出器と、該回転検出器と前記回転機構の回転数との差分を評価して前記トルクリミットによって発生する滑りを検出する滑り検出機構と、該滑り検出機構によって検出された前記滑りを通知する滑り通知機構を備えるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の単結晶製造装置。
【請求項4】
前記トルクリミットで制限する前記回転トルクの最大値をTL(kgf・m)、前記石英ルツボの直径をD(m)としたとき、前記最大値TLは
TL≦D×118−36
で表される範囲を満たすものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の単結晶製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−73952(P2011−73952A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230395(P2009−230395)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000190149)信越半導体株式会社 (867)
【Fターム(参考)】