説明

印刷された吸着体

本発明の吸収性物品は、印刷された表示を有する吸収体と、この印刷を覆う保護コーティングとを備えている。前記印刷が着色剤と樹脂を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療または食品産業に利用可能な印刷に関する。
特に、医療または食品産業に利用可能な吸収材料への印刷に関する。
【背景技術】
【0002】
食品及び医療製品に安全に印刷する必要性がある。更に、これら材料に印刷が消えにくいように印刷する必要性がある。
【0003】
下記の特許文献は、食品及び医療用材料への印刷に関するものである。
・米国特許第4,933,133号(1990年6月12日にYoshidaらに付与)
・米国特許第5,344,017号(1994年9月6日にWittrockに付与)
・米国特許第6,147,140号(2000年11月14日にJaegerらに付与)
・米国特許第6,059,404号(2000年5月9日にJaegerらに付与)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食品及び医療用材料に印刷するための方法及び製品はあったが、印刷が劣化しにくい、改良された印刷方法及び印刷された吸収体、の必要性は残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、印刷された表示を有する吸収体と、この印刷を覆う保護コーティングとを備え、前記印刷が着色剤と樹脂を含む、吸収性物品に関する。
他の態様では、本発明は、吸収性製品に印刷を形成する方法であって、吸収性製品を提供する工程と、吸収性製品に機械的に又は肉眼で読み取り可能な形態でインクを印刷する工程と、印刷された読み取り可能な情報をオーバーコート層で被覆する工程とを備えた方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、従来のプロセス及び物品に対し、多くの利点を有している。本発明は、食品及び医療用製品のための保護及び安全な標識(コード、coding)を提供する。本発明は、複数の吸収剤パックを収容する、吸収剤パケット及び吸収剤キャニスターの低コストのマーキングを提供する。
【0007】
食品及び医薬の長期の貯蔵に有害である水、酸素又は他の物質を吸収する材料が、食品及び医療用パッケージに提供されることは、周知である。そのような特許の典型は、2002年8月20日にMcKedyに付与された米国特許第6,436,872号、1993年11月16日にMcKedyに付与された米国特許第5,262,375号、2003年12月23日にCullenらに付与された米国特許第6,667,273号、2003年5月6日にPowersに付与された米国特許第6,558,571号、及び1994年6月26日にMcKedyに付与された米国特許第5,332,590号である。
【0008】
そのような材料の使用において、正当な吸収剤がそれぞれの食品または医療用パッケージに収容されるように、明確に識別(特定、同定)され得るならば、それは有用である。本発明は、水蒸気、酸素、または酸若しくは溶剤のような他のガス状物質を吸収する、食品または医療用パッケージのための吸収剤パックを識別する方法を提供する。
【0009】
本発明は、気体を透過し得るエンドキャップ(端部キャップ)を有するプラスチック製のキャニスター又はカプセルへの印刷に好ましい用途を見出している。そのような製品の例は、Multisorb Technoligies社製の「Sorbicap」である。キャニスターはポリエチレンのような硬質プラスチックであり、吸収剤は、湿分及び臭気を吸収する。本発明の印刷は、後述する実施例1の材料を用いてパッド印刷技術により実施される。この印刷は、この印刷にScotch(登録商標)の接着テープを貼ってから剥がしても耐え、親指でこすっても耐えるであろう。キャニスターは、米国特許第5,815,438号、第5,894,490号、及び第7,542,272号に示されており、これらはここに引用されることにより本明細書に含められる。
【0010】
本発明は、医療又は食品の安全性を維持しながら、吸収剤パックに印刷することにより達成される。本明細書で用いられる「パック」なる語は、食品パッケージ又は医療用パッケージに収容される、吸収材料の個々の容器を指すものである。個々のパックは、任意の適切な材料から作ることができる。典型的には、容器(小袋:Sachet)を形成するシート材料は、気体を通すが、液体は通さない。適切な材料は、微細孔を有するか、不織布か、又は微細多孔質のシート等のような、液体に対してはバリアであるが気体に対してはバリアではない、布である。そのような材料の典型は、Tyvec(登録商標)のシート材料である。
【0011】
シート材料は、典型的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は他のポリオレフィンのようなポリマー樹脂からなる。そのような材料への印刷は困難である。そのため、そのような材料の表面をコロナ処理等で活性化するのが好ましい。そのような処理は、気体透過可能なシートにインクを結合するのを助ける。
【0012】
印刷インクは、一般に、溶媒と、樹脂と、染料及び/又は顔料を含む。医療用又は食品用に安全な染料又は顔料が適切である。FDA(アメリカ食品医薬品局)は、食品用に多くの染料及び顔料を承認している。適切な染料は、多くの天然染料、銅染料(銅系染料)、及び炭素含有染料である。他の適切な染料は、いずれもJaegerらに付与された米国特許第6,147,140及び6,059,404に見られ、これらはここに引用されることにより本明細書に含められる。
【0013】
インクに用いられる樹脂は、食品又は医療用の製品に触れるのに適切なものであるのがよい。典型的なそのような材料は、医療用及び食品の包装技術において安全なものとして知られているエステル及びポリウレタンである。他の適切な樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン及びポリエチレンワックスを含む樹脂がある。
【0014】
保護コートは、任意の適切な樹脂である。保護コートに適切な樹脂として、上記インクに用いられる樹脂がある。保護コートは、肉眼で又は機械的に読み取り可能なインクの表示情報が除去されないように保護する。一般に、これらの材料は、食品及び医療用材料に使用するのに適切なポリエチレンワックス材料、ポリウレタン、及びポリエステルである。保護コートは、食品、錠剤、又はこれらの材料のパッケージによって除去されないように、充分な強度を有する必要がある。
【0015】
本発明の表示の印刷には、任意の印刷技術を用いることができる。ゼログラフィー技術、インクジェット、ロールコーティング、及びパッド印刷が含まれる。
【0016】
以下の実施例は、本発明を例示するものであって、本発明のすべての実施形態を示すものではない。部及びパーセントは、特に断らない限り、重量部及び重量パーセントである。
【実施例1】
【0017】
鉄、重炭酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムを含む酸素吸収材料のためのTyvecの小袋(Sachet)が、樹脂、着色剤、溶媒からなるインク「No-Tox Lon-1743NT-24(ブルー)を含む製品番号のインク」を用いて印刷された。この印刷は、溶媒保護コーティングとしての樹脂「No-Tox Lon-1916NT-26」により被覆(overcoat)された。これらの材料は、Colorcon 社から入手可能である。
【実施例2】
【0018】
実施例1のインクをインクNo-Tox Lon-2297NT-24(ブルー)と置換したことを除いて、実施例1のプロセスを繰り返した。
【実施例3】
【0019】
実施例1の小袋(Sachet)への表示として、米国特許第6,059,404の実施例6のインクで印刷した。連続保護コートとして、米国特許第6,059,404の実施例7のインクの連続保護コートを、上記表示を覆うように印刷した。これにより、食品産業で用いられる表示印刷の適切な保護が提供された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷された表示を有する吸収体と、この印刷を覆う保護コーティングとを備え、前記印刷が着色剤と樹脂を含む、吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収体が、吸収剤粉末を収容する容器を有する請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記容器が小袋を含む請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記容器の表面が、コロナ処理された高密度ポリエチレンを含む請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記高密度ポリエチレンの表面が、40を超えるダインレベルを有する請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収体は、吸収剤を収容し気体透過性のエンドキャップを有するプラスチック製キャニスターを有する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記印刷表示が個々のパックにされている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記印刷表示が前記キャニスターの表面にされている請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記容器が鉄を含む請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項10】
吸収性製品の容器を提供する工程と、
機械的に又は肉眼で読み取り可能な形態で、インク表示を前記吸収性製品に印刷する工程と、
前記印刷された表示をオーバーコート層で被覆する工程と、
を具備する吸収性製品への印刷方法。
【請求項11】
前記吸収剤製品が、吸収剤の個々のパックのための容器である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記印刷が、吸収材料の個々のパックにされる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記インクが、食品又は医療向け用途に認可されている請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記インクが、溶媒、樹脂、及び着色剤を含む請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒が、キシレン、鉱油、クメン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、メチルプロピルベンゼン、及びそれらの混合物を含む群から選ばれる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記着色剤が、食品の包装用に認可されている青色染料を含む請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記樹脂が、ポリエチレンワックス、テトラフルオロエチレン、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記着色剤が、銅含有着色剤を含む請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記インク中に、4乃至14重量%の顔料が存在する請求項14に記載の方法。


【公表番号】特表2013−520313(P2013−520313A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554986(P2012−554986)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054033
【国際公開番号】WO2011/106041
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(509196903)マルチソーブ テクノロジーズ インク (9)
【Fターム(参考)】