説明

印刷システム

【課題】印刷データが印刷装置に送信されていない場合に報知手段によって報知することによって、上位装置が印刷装置に送信すべき印刷データが存在することを、ユーザが知らずに上位装置の電源を落としてしまうことがないようにする。
【解決手段】印刷データの印刷要求を送信する印刷要求送信手段を備える上位装置と、送信された印刷要求を保存する印刷要求保存手段、及び、印刷要求保存手段に保存された印刷要求に基づいて上位装置に印刷要求に対応する印刷データの送信要求を行う送信要求手段を備える印刷装置とを有する印刷システムであって、上位装置は、送信した印刷要求に対応した印刷データが印刷装置に送信されたか否かを判断するデータ判断手段、及び、印刷要求を送信した後、データ判断手段によって印刷データが印刷装置に送信されていないと判断された場合、印刷データが送信されていない旨を報知する報知手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上位装置としてのホスト、及び、印刷装置としてのプリンタやファクシミリ装置によって構成される印刷システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷システムにおいては、印刷ジョブをホストからプリンタに転送する場合、ホストからプリンタに対して予約要求を発行し、プリンタはホストからの予約要求を発行順に登録し、登録順にホストに対して印刷データの転送を要求するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−14118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の印刷システムにおいては、ホストからプリンタに予約要求を発行した後に、まだプリンタがホストから予約要求に対応する印刷データを取得する前に、ユーザがホストの電源を落としてしまうことがある。すると、ユーザがプリンタの入力手段からパスワードを入力して予約に対応する印刷を行おうとしても、前記印刷データの印刷が行われず、ユーザは印刷が行われない理由を理解することができなかった。
【0004】
本発明は、前記従来の印刷システムの問題点を解決して、印刷データが印刷装置に送信されていない場合に報知手段によって報知することによって、上位装置が印刷装置に送信すべき印刷データが存在することを、ユーザが知らずに上位装置の電源を落としてしまうことがない印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明の印刷システムにおいては、印刷データの印刷要求を送信する印刷要求送信手段を備える上位装置と、送信された前記印刷要求を保存する印刷要求保存手段、及び、該印刷要求保存手段に保存された印刷要求に基づいて前記上位装置に印刷要求に対応する印刷データの送信要求を行う送信要求手段を備える印刷装置とを有する印刷システムであって、前記上位装置は、送信した印刷要求に対応した印刷データが前記印刷装置に送信されたか否かを判断するデータ判断手段、及び、前記印刷要求を送信した後、前記データ判断手段によって印刷データが前記印刷装置に送信されていないと判断された場合、前記印刷データが送信されていない旨を報知する報知手段を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、印刷システムは、印刷データが印刷装置に送信されていない場合に報知手段によって報知するようになっている。これにより、上位装置が印刷装置に送信すべき印刷データが存在することを、ユーザが知らずに上位装置の電源を落としてしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明の第1の実施の形態における印刷システムの構成を示す図である。
【0009】
まず、上位装置としてのホスト10の構成について説明する。
【0010】
該ホスト10は、パーソナルコンピュータ等であり、ネットワーク16を介して印刷装置としてのプリンタ20に印刷要求情報、印刷データ等を送信する装置である。そして、図に示されるように、前記ホスト10は、該ホスト10を構成する各種手段の動作の開始や終了の操作、ホスト10の電源監視等のようにホスト10全体の管理を行う装置管理手段11、ネットワーク16を介して印刷要求情報の送信、印刷データの送信、送信要求の受信等を行う印刷要求送信手段としての通信手段13、印刷要求情報と印刷データとを対応させて記憶する印刷情報保存手段15、印刷情報管理に関する処理を行う印刷情報管理手段12、及び、図示されないモニタにメッセージウィンドウを表示する報知手段としての表示手段14を有する。
【0011】
また、前記印刷情報管理手段12は、印刷要求が発生した場合に印刷データ管理情報を作成して前記印刷情報保存手段15に保存し、印刷データ管理情報から印刷要求を作成した後、通信手段13に送信する印刷要求手段12a、及び、前記通信手段13が受信した送信要求に対応する印刷データ情報を印刷情報保存手段15から検索し、必要な印刷データ情報を判断するとともに、前記印刷情報保存手段15に印刷データ情報が保存されていないことを判断するデータ判断手段12bを備える。
【0012】
次に、印刷装置としてのプリンタ20の構成について説明する。
【0013】
本実施の形態において、印刷装置は、ホスト10からネットワーク16を介して受信した印刷データを印刷する装置であれば、ファクシミリ装置であってもよく、いかなる装置であってもよいが、ここではプリンタであるものとして説明する。また、プリンタ20はインクジェット式、電子写真式、熱転写式等いかなる種類のプリンタであってもよい。そして、図に示されるように、プリンタ20は、ネットワーク16を介してホスト10との通信を行う通信手段21、該通信手段21で受信された印刷データに従って印刷を行う印刷手段24、ユーザが印刷するためにパスワード等を入力するボタン等から成る入力手段25、情報を選択するためのメッセージ、入力を促すメッセージ、入力された情報等を表示する表示手段26、印刷要求を保存する印刷要求保存手段22、及び、前記入力手段25から入力された情報と印刷要求保存手段22に保存されている情報とを比較し、送信要求を行う印刷要求管理手段23を有する。
【0014】
そして、該印刷要求管理手段23は、前記入力手段25から入力された情報と印刷要求保存手段22に保存されている情報とを比較することによって対応する印刷要求情報を判断するデータ判断手段23b、判断された印刷要求に対応した送信要求を行う送信要求手段23a、及び、前記表示手段26に表示させるメッセージや印刷要求保存手段22に保存されている情報を必要に応じて前記表示手段26に通知する表示情報通知手段23cを備える。
【0015】
次に、前記構成の印刷システムの動作について説明する。
【0016】
図2は本発明の第1の実施の形態における印刷要求情報の例を示す図である。
【0017】
この場合、図2に示される印刷要求情報は、ホスト10からネットワーク16を介してプリンタ20に送信される印刷要求情報の例であり、ホスト10から送信される印刷要求であることをプリンタ20に識別させるためのコマンド種別と印刷要求情報とから成る。
【0018】
該印刷要求情報は、例えば、ホスト10によりジョブ毎に一意に与えられるジョブ識別子としてのジョブID、プリンタ20が利用されるネットワーク16において一意な上位装置識別子としての装置ID、及び、アクセス制限を必要とする印刷データの場合に付加するパスワードから成り、プリンタ20はどのホスト10にどの印刷データを要求するかを識別することができる。なお、ホスト10とプリンタ20との接続は、ネットワーク16に限らず、ローカルに接続してもよい。また、前記ジョブIDは印刷要求毎に連番にする方法がある。さらに、装置IDはIP(Internet Protocol)アドレスやMAC(Media Access Control)アドレスを使う方法がある。さらに、パスワードは、ユーザが印刷ジョブ毎に設定する方法やユーザ毎に固定にして同じパスワードにする方法もある。
【0019】
図3は本発明の第1の実施の形態におけるホストが管理する印刷データ管理情報の例を示す図である。
【0020】
図3に示される例においては、三つの印刷ジョブに対応する情報が記憶管理されている。この場合、ホスト10がプリンタ20からの送信要求に対して該プリンタ20に送信する印刷データを識別することができるように、ジョブID、装置ID、パスワード及び印刷データを用いる。なお、装置IDはホスト10を識別する情報であるので、同一のホストでは同じ情報となる。
【0021】
図4は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタから送信要求を受けたホストがプリンタに送信するデータの例を示す図である。
【0022】
図4は、ホスト10がプリンタ20から送信要求を受けたときにプリンタ20に対して送信するデータの例である。この場合、該データは、前記ホスト10から送信される印刷データであることをプリンタ20に識別させるためのコマンド種別、プリンタ20が印刷ジョブを識別して印刷することができるようにジョブID、装置ID及び印刷データから成る。
【0023】
図5は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタが管理する印刷要求管理情報の例を示す図である。
【0024】
この場合、印刷要求管理情報は、ホスト10から受信した印刷要求情報から成る。
【0025】
図6は本発明の第1の実施の形態における上位装置に表示される送信待ち印刷データがある場合の表示の例を示す図である。
【0026】
図6は、ホスト10がモニタとしてのディスプレイに表示するメッセージウィンドウ30の例である。この場合、前記ホスト10において送信待ちの印刷データが存在し、かつ、印刷情報管理を終了しようとした(例えば、電源をOFFにしようとした)場合に前記メッセージウィンドウ30が表示される。該メッセージウィンドウ30は、ウィンドウ31、注意を促すアイコンと文字列とから成るメッセージ32、並びに、該メッセージ32に応じた処理を続行するためのボタン33及びボタン34から成る。該ボタン33及びボタン34はメッセージ32に対応するように表示すればよいので、選択する必要のないメッセージ32である場合、メッセージウィンドウ30を閉じるために一つのボタンを表示させる方法がある。
【0027】
図7は本発明の第1の実施の形態におけるホストの印刷データ管理情報の登録例を示す図である。なお、図7(a)は印刷データ管理情報の登録例の第1の状態を示し、図7(b)は印刷データ管理情報の登録例の第2の状態を示し、図7(c)は印刷データ管理情報の登録例の第3の状態を示す。
【0028】
まず、印刷データ管理情報の初期状態は、図7(a)に示されるように、まだ一つの印刷ジョブも登録されていない。そして、ホスト10によって一つの印刷要求が発生し、印刷ジョブが登録されると、図7(b)に示されるように、ホスト10において印刷ジョブを登録するとともにホスト10からプリンタ20に印刷要求が送信される。なお、印刷データ1はプリンタ20に送信する印刷データが保存されている領域のアドレスとする方法もある。
【0029】
続いて、ホスト10が印刷データ1をプリンタ20に送信し終える前に、新たな印刷要求が発生して印刷ジョブが登録されると、図7(c)に示されるように、印刷ジョブは発生した順番に印刷データ管理情報に登録される。また、印刷データ管理情報はホスト10の記憶装置に保存される。なお、前記ホスト10の記憶装置は、ホスト10からアクセスすることができるメモリやハードディスクであり、必ずしも内蔵されている必要はない。
【0030】
図8は本発明の第1の実施の形態におけるホストの印刷データ管理情報の削除例を示す図である。なお、図8(a)は印刷データ管理情報の削除例の第1の状態を示し、図8(b)は印刷データ管理情報の削除例の第2の状態を示す。
【0031】
まず、図8(a)は印刷データ管理情報に三つの印刷ジョブが登録されている状態である。例えば、ホスト10は、プリンタ20からジョブID1及び装置ID111.222.333.444から成る送信要求を受信すると、印刷データ管理情報に登録されている情報の最初から順番にジョブIDと装置IDとを比較していく。図8に示される例においては、一つ目の印刷ジョブが、送信要求のジョブID及び装置IDと一致するので、ホスト10はジョブID1の印刷ジョブをプリンタ20に送信する。ホスト10はジョブID1の印刷ジョブを送信し終えると、図8(b)に示されるように、印刷データ管理情報からジョブID1に関する情報を削除する。
【0032】
また、ホスト10上で管理情報を見ることができ、ユーザ操作によって削除することができるようにしてもよい。この場合、ホスト10上で削除されたことをプリンタ20に通知する。そして、通知された該プリンタ20は後述される印刷要求管理情報から対応するデータを削除する。
【0033】
図9は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの印刷要求管理情報の登録例を示す図である。なお、図9(a)は印刷要求管理情報の登録例の第1の状態を示し、(b)は印刷要求管理情報の登録例の第2の状態を示し、図9(c)は印刷要求管理情報の登録例の第3の状態を示す。
【0034】
まず、印刷要求管理情報の初期状態では、図9(a)に示されるように、まだ一つの印刷要求も登録されていない。そして、ホスト10からプリンタ20にジョブID1、装置ID111.222.333.444及びパスワード1234から成る印刷要求が送信されてくると、図9(b)に示されるように、登録される。
【0035】
続いて、プリンタ20がジョブID1の印刷ジョブを印刷し終える前に、新たな印刷要求が発生して印刷要求が登録されると、図9(c)に示されるように、プリンタ20がホスト10から受信した印刷要求はプリンタ20が受け付けた順番に印刷要求管理情報に登録される。また、該印刷要求管理情報はプリンタ20の記憶装置に保存する。なお、前記プリンタ20の記憶装置は、プリンタ20からアクセスすることができるメモリやハードディスクであり、必ずしも内蔵されている必要はない。
【0036】
図10は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの印刷データ管理情報の削除例を示す図である。なお、図10(a)は印刷要求管理情報の削除例の第1の状態を示し、図10(b)は印刷要求管理情報の削除例の第2の状態を示す。
【0037】
まず、図10(a)は印刷要求管理情報にホスト10から受信した三つの印刷要求が登録されている状態である。例えば、ユーザがプリンタ20のオペレーションパネル等から入力したジョブID1、装置ID111.222.333.444及びパスワード1234と、印刷要求管理情報に登録されている情報の最初から順番に、ジョブID、装置ID及びパスワードとを比較していく。図10(a)に示される例においては、一つ目のジョブID1の印刷要求が入力された情報と一致するので、プリンタ20はホスト10に対して、ジョブID1の印刷データを送信するように要求する。プリンタ20はホスト10からジョブID1の印刷ジョブを受信して印刷し終えると、図10(b)に示されるように、印刷要求管理情報からジョブID1、装置ID111.222.333.444及びパスワード1234の情報を削除する。
【0038】
次に、前記構成のホスト10の動作について説明する。
【0039】
図11は本発明の第1の実施の形態におけるホストの動作を示すフローチャートである。
【0040】
まず、要求イベントの発生を待機する。そして、ホスト10の電源を落とす場合等に印刷情報管理手段12の終了を通知されたときに、終了イベントが発生したか否かや、プリンタ20からコマンドを受信し、コマンドの種別情報から印刷データの送信要求等の送信要求イベントが発生したか否かや、ホスト10上であるジョブの印刷要求が発生したか否かを判断する。
【0041】
そして、印刷要求イベントが発生した場合、印刷要求を含む印刷データ管理情報を作成してホスト10の記憶装置に保存し、プリンタ20に印刷要求を送信して、要求イベント待機状態に戻る。なお、前記イベントのいずれでもないイベントが要求された場合も、要求イベント待機状態に戻る。
【0042】
また、送信要求イベントが発生した場合は、送信要求元のプリンタ20から受信した送信要求とホスト10の記憶装置に保存されている印刷データ管理情報とを比較する。そして、一致した印刷データ管理情報と対応する印刷データを送信要求元であるプリンタ20に送信する。また、一致したものがない場合はその旨をプリンタ20に送信する。そして、印刷データを送信し終えると、対応する印刷要求情報と印刷データとを削除し、要求イベント待機状態に戻る。
【0043】
さらに、終了イベントが発生した場合は、ホスト10の記憶装置に保存されている印刷ジョブの登録有無を印刷データ管理情報によって確認する。そして、印刷ジョブが一つでも登録されていた場合、未送信データがあることをメッセージウィンドウ30に表示してユーザに注意を促す。続いて、メッセージウィンドウ30に表示されるボタンの選択を確認する入力確認を行う。本実施の形態においては、送信待ちの印刷データがある場合に印刷情報管理を終了するか否かを選択するために、メッセージウィンドウ30において終了するときにはボタン33の「はい」を選択し、終了しないときにはボタン34の「いいえ」を選択する。
【0044】
そして、前記ボタン33の「はい」が選択された場合は、印刷情報管理を終了するが、印刷管理情報はハードディスクに保存されているので、ホスト10の電源が落ちても削除されることはない。また、ホスト10の電源を入れ直したときに、印刷情報管理が動作開始になることによって、印刷管理情報を利用することができる。
【0045】
また、前記ボタン34の「いいえ」が選択された場合は、要求イベント待機状態に戻る。そして、印刷ジョブが一つも登録されていないことが確認された場合は、印刷情報管理を終了する。
【0046】
本実施の形態においては、電源をオフにしようとしたときにデータ判断を行ってアラームを表示するようになっているが、ホスト10がプリンタ20に対して印刷要求を送信した後に「転送データあり」のワーニングを表示するようにしてもよい。
【0047】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 要求イベントの発生を待機する。
ステップS2 終了イベントが発生したか否かを判断する。終了イベントが発生した場合はステップS3に進み、終了イベントでない場合はステップS8に進む。
ステップS3 印刷ジョブを確認する。
ステップS4 印刷ジョブが登録されているか否かを判断する。印刷ジョブが登録されている場合はステップS5に進み、印刷ジョブが登録されていない場合は処理を終了する。
ステップS5 未送信データがあることをメッセージウィンドウ30に表示する。
ステップS6 入力確認を行う。
ステップS7 印刷情報管理を終了するか否かを判断する。印刷情報管理を終了する場合は処理を終了し、印刷情報管理を終了しない場合はステップS1に戻る。
ステップS8 送信要求イベントが発生したか否かを判断する。送信要求イベントが発生した場合はステップS9に進み、送信要求イベントでない場合はステップS12に進む。
ステップS9 送信要求と印刷データ管理情報とを比較する。
ステップS10 印刷データを送信する。
ステップS11 印刷要求情報と印刷データを削除し、ステップS1に戻る。
ステップS12 印刷要求イベントが発生したか否かを判断する。印刷要求イベントが発生した場合はステップS13に進み、印刷要求イベントでない場合はステップS1に戻る。
ステップS13 印刷要求を保存する。
ステップS14 印刷要求を送信して、ステップS1に戻る。
【0048】
次に、前記構成のプリンタ20の動作について説明する。
【0049】
図12は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【0050】
まず、プリンタ20はホスト10から印刷要求イベントが発生したか否かや、プリンタ20のオペレーションによってパスワード等の入力が行われた場合は、入力情報が印刷要求管理手段23に通知されて入力情報イベントが発生したか否かや、ホスト10からコマンドを受信し、コマンドの種別情報から印刷データの受信等の印刷データイベントが発生したかを判断する。
【0051】
そして、プリンタ20はホスト10から印刷要求を受信した場合、受信した印刷要求をプリンタ20の記憶装置に印刷要求管理情報として保存し、処理を終了する。
【0052】
また、入力情報イベントが発生した場合は、プリンタ20のオペレーションパネルから情報が入力されると、入力された情報とプリンタ20の記憶装置に保存されている印刷要求管理情報とを比較し、一致した場合は一致した印刷要求情報に基づいてホスト10に対して送信要求を行い、処理を終了する。また、一致しない場合は、送信要求を送信しないが、一致しない旨の情報を表示して処理を終了する。
【0053】
次に、印刷データイベントが発生した場合は、プリンタ20はホスト10から印刷要求情報及び印刷データを受信すると、印刷を行い、印刷が終了すると、受信した印刷要求情報と対応する印刷要求を検索し、一致した印刷要求情報をプリンタ20の記憶装置から削除して、処理を終了する。
【0054】
なお、プリンタ20が送信要求を送信してから印刷データを受信するまではプリンタ20の表示手段26に「印刷データ要求中」を表示し、印刷データを受信してから印刷を開始するまでは「印刷データ受信中」を表示する、等のように動作の進行状況を表示手段26を用いて行うこともできる。
【0055】
また、送信要求はデータが送信されるまで所定間隔で所定回数行われるが、それらの処理を行ってもホスト10からのデータが送信されてこない場合、表示手段26に「ホスト応答なし」等の表示を行うこともできる。
【0056】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 印刷要求イベントが発生したか否かを判断する。印刷要求イベントが発生した場合はステップS22に進み、印刷要求イベントでない場合はステップS23に進む。
ステップS22 印刷要求を保存し、処理を終了する。
ステップS23 入力情報イベントが発生したか否かを判断する。入力情報イベントが発生した場合はステップS24に進み、入力情報イベントでない場合はステップS27に進む。
ステップS24 入力情報と印刷要求管理情報とを比較する。
ステップS25 入力情報と印刷要求管理情報とが一致するか否かを判断する。入力情報と印刷要求管理情報とが一致する場合はステップS26に進み、印刷情報と印刷要求管理情報とが一致しない場合は処理を終了する。
ステップS26 送信要求を行い、処理を終了する。
ステップS27 印刷データイベントが発生したか否かを判断する。印刷データイベントが発生した場合はステップS28に進み、印刷データイベントでない場合は処理を終了する。
ステップS28 印刷を行う。
ステップS29 印刷要求情報を削除して、処理を終了する。
【0057】
このように、本実施の形態においては、ホスト10からプリンタ20に印刷データの送信が行われていないうちに電源が落とされようとした場合、ホスト10において印刷データの送信が行われていないことをメッセージウィンドウ30で表示するようになっている。そのため、誤ってホスト10の電源を落としてしまうことを防止することができる。
【0058】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成を有するものは、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0059】
図13は本発明の第2の実施の形態における印刷システムの構成を示すブロック図である。
【0060】
図13に示されるように、本実施の形態において、ホスト10の印刷情報管理手段12は、印刷要求手段12a、データ判断手段12b及び状態通知手段12cを有する。該状態通知手段12cは、印刷情報管理手段12の終了に代表される印刷情報管理手段12の状態を通信手段13によってプリンタ20に送信する。
【0061】
また、該プリンタ20の印刷要求管理手段23は、送信要求手段23a、データ判断手段23b、表示情報通知手段23c及び状態判断手段23dを有し、ホスト10から通信手段21を介して受信したホスト10の装置状態を印刷要求保存手段22に保存する。そして、前記状態判断手段23dは、印刷要求保存手段22からホスト10の装置状態を読み出し、ホスト10が通信可能状態にない場合は、表示情報通知手段23cによって通知する。
【0062】
次に、本実施の形態における印刷システムの動作について説明する。
【0063】
図14は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの印刷要求管理情報の例を示す図である。
【0064】
図14に示されるように、装置IDに対して一意に装置状態が対応付けられている。図14に示される例においては、装置IDが111.222.333.444のホスト10は電源断の状態にあり、装置IDが222.333.444.555のホスト10は通信可能である。なお、装置状態は、ホスト10の状態を示した文字列や、文字列に対応した数値で管理してもよい。また、装置IDと装置状態とから成る印刷要求管理情報を別途作成する方法もある。この場合、印刷要求管理情報の装置IDから前記印刷要求管理情報の装置状態を一意に決定することができる。
【0065】
図15は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタに表示されるメッセージの例を示す図である。
【0066】
ユーザが印刷しようと印刷ジョブの情報をプリンタ20のオペレーションパネルから入力して、プリンタ20がホスト10と通信することができないと判断した場合は、プリンタ20のLCD(Liquid Crystal Display)等の表示手段26に図15に示されるようなメッセージが表示される。ここでは、ジョブID及び印刷することができない理由が表示される。
【0067】
図16は本発明の第2の実施の形態におけるホストから送信される装置状態情報の例を示す図である。
【0068】
図16に示されるように、ホスト10から送信される装置状態情報は、ホスト10から送信されるコマンドが装置状態情報であることをプリンタ20に識別させるためのコマンド種別、プリンタ20においてどのホスト10の装置状態であるかを識別するための装置ID、及び、装置状態から成る。(状態情報には、Power On、Power OFF、Busy等がある。電源が入れられたときにPower On状態を通知し、落とされたときはOFF、大きい処理を行っているときはBusy等が考えられる。)。
【0069】
次に、本実施の形態におけるホスト10の動作について説明する。
【0070】
図17は本発明の第2の実施の形態におけるホストの動作を示すフローチャートである。
【0071】
本実施の形態においては、終了イベントが発生した場合に、前記第1の実施の形態において説明した図6に示される表示で「はい」が選択されて終了が選択されたときに、ホスト10からプリンタ20に対して装置状態を送信してから処理を終了する。なお、その他の動作については前記第1の実施の形態におけるホスト10の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0072】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS31 要求イベントの発生を待機する。
ステップS32 終了イベントが発生したか否かを判断する。終了イベントが発生した場合はステップS33に進み、終了イベントでない場合はステップS39に進む。
ステップS33 印刷ジョブを確認する。
ステップS34 印刷ジョブが登録されているか否かを判断する。印刷ジョブが登録されている場合はステップS35に進み、印刷ジョブが登録されていない場合は処理を終了する。
ステップS35 未送信データがあることをメッセージウィンドウ30に表示する。
ステップS36 入力確認を行う。
ステップS37 印刷情報管理を終了するか否かを判断する。印刷情報管理を終了する場合はステップS38に進み、印刷情報管理を終了しない場合はステップS31に戻る。
ステップS38 装置状態を通知して、処理を終了する。
ステップS39 送信要求イベントが発生したか否かを判断する。送信要求イベントが発生した場合はステップS40に進み、送信要求イベントでない場合はステップS43に進む。
ステップS40 送信要求と印刷データ管理情報とを比較する。
ステップS41 印刷データを送信する。
ステップS42 印刷要求情報と印刷データを削除し、ステップS31に戻る。
ステップS43 印刷要求イベントが発生したか否かを判断する。印刷要求イベントが発生した場合はステップS44に進み、印刷要求イベントでない場合はステップS46に進む。
ステップS44 印刷要求を保存する。
ステップS45 印刷要求を送信して、ステップS31に戻る。
ステップS46 装置情報送信イベントが発生したか否かを判断する。装置情報送信イベントが発生した場合はステップS47に進み、装置情報送信イベントでない場合はステップS31に戻る。
ステップS47 装置情報を取得する。
ステップS48 装置情報をプリンタ20へ送信して、ステップS31に戻る。
【0073】
次に、本実施の形態におけるプリンタ20の動作について説明する。
【0074】
図18は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【0075】
前記第1の実施の形態においては、要求イベントが印刷要求、入力情報及び印刷のいずれでもない場合に処理を終了するようになっているが、本実施の形態においては状態受信イベントを待機するようにする。
【0076】
この場合、プリンタ20がホスト10から装置状態を受信すると、状態受信イベントが発生する。そして、前記プリンタ20の記憶装置に保存されている印刷要求管理情報に登録されている装置IDのうち、装置状態を送信してきたホスト10と一致する装置IDに対応させて装置状態を保存する。
【0077】
また、要求イベントがプリンタ20のオペレーションパネルからの入力情報の場合、入力された情報とプリンタ20の記憶装置に保存されている印刷要求管理情報とを比較し、一致したときには一致した印刷要求情報の装置情報が通信可能であるか否かを判断する。そして、通信可能である場合は送信要求を行い、入力された情報が印刷要求管理情報にない場合は、プリンタ20のLCDに情報がない旨のメッセージを表示して、処理を終了する。
【0078】
また、通信可能でない場合は、プリンタ20のLCDにホスト10が通信不可である旨のメッセージを表示し、処理を終了する。なお、その他の動作については前記第1の実施の形態におけるプリンタ20の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0079】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS51 印刷要求イベントが発生したか否かを判断する。印刷要求イベントが発生した場合はステップS52に進み、印刷要求イベントでない場合はステップS53に進む。
ステップS52 印刷要求を保存し、処理を終了する。
ステップS53 入力情報イベントが発生したか否かを判断する。入力情報イベントが発生した場合はステップS54に進み、入力情報イベントでない場合はステップS59に進む。
ステップS54 入力情報と印刷要求管理情報とを比較する。
ステップS55 入力情報と印刷要求管理情報とが一致するか否かを判断する。入力情報と印刷要求管理情報とが一致する場合はステップS56に進み、入力情報と印刷要求管理情報とが一致しない場合はステップS58に進む。
ステップS56 通信可能であるか否かを判断する。通信可能である場合はステップS57に進み、通信可能でない場合はステップS58に進む。
ステップS57 送信要求を行い、処理を終了する。
ステップS58 メッセージを表示して、処理を終了する。
ステップS59 印刷データイベントが発生したか否かを判断する。印刷データイベントが発生した場合はステップS60に進み、印刷データイベントでない場合はステップS62に進む。
ステップS60 印刷を行う。
ステップS61 印刷要求情報を削除して、処理を終了する。
ステップS62 状態受信イベントが発生したか否かを判断する。状態受信イベントが発生した場合はステップS63に進み、状態受信イベントでない場合は処理を終了する。
ステップS63 装置状態を保存して、処理を終了する。
【0080】
このように、本実施の形態においては、ホスト10からプリンタ20に印刷データの送信が行われていないことをホスト10上で表示した上でホスト10の電源が落とされた場合、ホスト10からプリンタ20にホスト10の電源が落とされたことを通知するようになっている。そのため、ホスト10の電源が落とされたことを知らない別のパスワードを知るユーザは、プリンタ20で印刷しようとしたときに印刷を行うことができない理由を知ることができる。プリンタ20も複数回の要求を送信することなく、通知することができる。
【0081】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構成を有するものは、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0082】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0083】
図19は本発明の第3の実施の形態における印刷システムの構成を示すブロック図である。
【0084】
図19に示されるように、プリンタ20の印刷要求管理手段23は、送信要求手段23a、データ判断手段23b、状態判断手段23d及び出力要求判断手段23eを有する。該出力要求判断手段23eは、印刷要求保存手段22に保存されている印刷要求管理情報から所定の印刷ジョブが出力要求されているか否かを判断する。
【0085】
次に、本実施の形態における印刷システムの動作について説明する。
【0086】
ところで、前記第1及び第2の実施の形態において、プリンタ20が印刷データの送信要求をホスト10に送信するのは、プリンタ20のオペレーションによって出力要求が発生した場合である。本実施の形態においては、前記第1及び第2の実施の形態の動作に加えて、プリンタ20の記憶装置に空きがある場合、送信要求を行うことができるようになっている。なお、プリンタ20からホスト10に印刷データの送信要求を行うタイミングを設定可能な装置設定をプリンタ20が備え、装置設定に従ってプリンタ20がホスト10に送信要求を行う方法が考えられる。
【0087】
図20は本発明の第3の実施の形態における上位装置の印刷要求情報の例を示す図である。
【0088】
図20に示されるように、上位装置の印刷要求情報は、ホスト10から送信されるコマンドをプリンタ20に識別させるためのコマンド種別、印刷要求情報であるジョブID、装置ID、パスワード及び印刷データサイズから成る。この場合、ジョブIDに印刷データサイズを対応させているので、プリンタ20は前もって印刷データのサイズを知ることができる。
【0089】
図21は本発明の第3の実施の形態におけるホストの印刷データ管理情報の例を示す図である。
【0090】
図21に示されるように、ホスト10の印刷データ管理情報は、ジョブID、装置ID、パスワード、印刷データ及び印刷データサイズから成る。そして、プリンタ20に印刷要求を行う場合、ジョブID、装置ID、パスワード、印刷データ及び印刷データサイズを送信する。
【0091】
図22は本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの印刷要求管理情報の例を示す図である。
【0092】
図22に示されるように、プリンタ20の印刷要求管理情報は、ジョブID、装置ID、パスワード、装置状態、印刷データ、印刷データサイズ及び出力要求から成る。そして、印刷データは、最初、印刷データなしに設定されていて、ホスト10から印刷データを受信すると印刷データが設定される。また、出力要求は、最初、なしに設定されていて、印刷ジョブの出力が要求されるとありに設定される。
【0093】
図22に示される例において、装置ID111.222.333.444のジョブID12は、出力要求はあったが印刷されていない状態であることを示し、ジョブID13はまだ出力要求されていないことを示している。また、ジョブID12、ジョブID13ともに印刷データを受信済である。そして、装置ID222.333.444.555のジョブID7は出力要求されていなく、印刷データも受信していないことを示している。
【0094】
図23は本発明の第3の実施の形態におけるプリンタに表示されるメッセージの例を示す図である。
【0095】
ユーザが印刷ジョブを出力しようとオペレーションした場合に、ホスト10から受信する印刷データのサイズがプリンタ20が印刷データを保存する記憶装置の空き容量より大きいときは、プリンタ20のLCD等の表示手段26に図23に示されるようなメッセージが表示される。
【0096】
次に、前述されたような管理情報を記憶装置に保存して管理する方法について説明する。
【0097】
図24は本発明の第3の実施の形態における印刷データ管理方法の例を示す図である。
【0098】
図24に示されるように、未使用ブロック情報40は、印刷要求情報や印刷データの保存に利用可能な記憶装置の領域を所定の容量のブロック単位に分割して管理するための情報であり、リンクされている未使用ブロックの先頭のリンク情報のアドレスを示す未使用ブロック先頭アドレスと、印刷データ等の保存に割り当てられていない未使用ブロックの数を示す未使用ブロック数とから成る。
【0099】
そして、印刷データを保存する空き領域の判断は、未使用ブロック情報40の未使用ブロック数を利用することで可能であり、例えば、所定の数より大きいか否かによって判断してもよいし、受信した印刷データを保存可能なブロック数であるか否かによって判断してもよい。
【0100】
また、リンク情報41は、ブロックをキュー管理するためのアドレス情報であり、一つ前にリンクされているリンク情報のアドレスを示す前リンクアドレスと、次にリンクされているリンク情報のアドレスを示す次リンクアドレスと、印刷データを保存してある領域のアドレスを示す印刷データ保存アドレスとから成る。
【0101】
そして、未使用ブロック情報42、印刷データキュー43及び印刷データ保存領域44は、まだ一つも印刷データが保存されていない初期状態を示している。前記未使用ブロック情報42において、最初のリンク情報のアドレスは0であり、未使用ブロック数は100である。また、前記印刷データキュー43は、アドレス0000から始まる印刷保存領域を所定の大きさで分割した領域を管理するように、アドレス0からアドレス99までのリンク情報を分割した領域に、それぞれ、割り当てた例を示している。
【0102】
前記アドレス0のリンク情報はアドレス0000から始まる単位ブロックを管理していて、キューの最初であるので前リンクアドレスはNULLであり、次のリンク情報はアドレス1のリンク情報であるので次リンクアドレスは1になっている。また、アドレス99のリンク情報はアドレス9900から始まる単位ブロックを管理していて、前のリンク情報はアドレス98のリンク情報であるので前リンク情報は98であり、キューの最後であるので次リンクアドレスはNULLになっている。
【0103】
次に、印刷データを前記キュー管理を使用して保存した例について説明する。
【0104】
図25は本発明の第3の実施の形態における印刷データ保存の例を示す図、図26は本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの印刷要求管理情報の例を示す図である。
【0105】
図26において、印刷データの保存のために、ジョブID9はアドレス0から2の3ブロックの領域を確保し、ジョブID10はアドレス3の1ブロックの領域を確保している。それぞれ確保した領域のリンク情報の先頭アドレスを印刷要求管理情報の印刷データ部に保存しておき、印刷データを利用するときはリンクをたどってリンク情報の印刷データ保存アドレスから印刷データを得る。
【0106】
図25及び26に示される例においては、合計4ブロックが確保され、未使用ブロックの先頭アドレスは4になったので、未使用ブロック情報42に示されるように、未使用ブロック先頭アドレスは4に、未使用ブロック数は100−4で96になる。また、ジョブID9及びジョブID10のブロック確保に伴って、アドレス2、アドレス3及びアドレス4がリンクし直されたので、前リンクアドレス及び次リンクアドレスは設定し直されている。
【0107】
そして、印刷が終わって印刷データを削除する場合に、確保しておいたリンク情報を未使用ブロックのキューにリンクし直すとともに、未使用ブロック数を再設定することによって確保しておいた保存領域の再利用を可能にする。例えば、ジョブID9の印刷が終わると、アドレス0のリンク情報で管理していた領域を解放するため、未使用ブロック情報42のキューの最後であるアドレス99の次リンクアドレスを0にし、アドレス0のリンク情報の前リンクアドレスを99にするとともに、3ブロックを解放したので未使用ブロック情報42の未使用ブロック数を96+3の99にする。
【0108】
なお、ここでは、印刷データ管理の例について説明したが、他の管理情報等、記憶装置に保存するデータに適用することができる。
【0109】
次に、印刷要求管理情報及び印刷データをプリンタ20の記憶装置に保存する場合の割り当て例について説明する。
【0110】
図27は本発明の第3の実施の形態における印刷要求管理情報及び印刷データ保存の第1の例を示す図、図28は本発明の第3の実施の形態における印刷要求管理情報及び印刷データ保存の第2の例を示す図である。
【0111】
図27に示される例は、プリンタ20の記憶装置の領域を保存するデータ毎に割り当てることなく、利用可能な保存領域を利用する方法である。
【0112】
また、図28に示される例は、プリンタ20の記憶装置を利用する情報に対して所定の容量を割り当てる方法である。そして、プリンタ20の記憶装置を印刷データ用と印刷要求情報用とに別々に割り当て、それぞれ割り当てられた領域を利用している。
【0113】
次に、本実施の形態におけるホスト10の動作について説明する。
【0114】
本実施の形態においては、印刷要求を保存するときに、図21に示されるように、印刷要求があった印刷データ及び印刷データサイズを保存する。そして、プリンタ20に送信する印刷要求は、図20に示されるように、印刷データサイズも付加して送信する。なお、その他の動作については前記第1及び第2の実施の形態におけるホスト10の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0115】
次に、本実施の形態におけるプリンタ20の動作について説明する。
【0116】
図29は本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【0117】
まず、印刷要求を受信した場合、受信した印刷要求を保存する。そして、印刷要求管理情報を参照し、未受信の印刷データがあるか否かを判断して、印刷データなしの印刷要求があった場合は、その印刷要求の印刷データサイズとプリンタ20における印刷データを保存する記憶装置の空き容量とを比較し、空き容量が足りるときは、受信した印刷要求に対する印刷データの送信要求を行い、空き容量が足りないときは処理を終了する。また、印刷要求管理情報に印刷データなしの印刷要求がなかった場合は処理を終了する。
【0118】
続いて、プリンタ20のオペレーションパネルから情報が入力されると、入力された情報と印刷要求管理情報とを比較する。そして、一致する情報がなく、特定することができなかった場合は、プリンタ20は入力された情報に対するジョブがない旨のメッセージを表示して処理を終了する。一致する印刷要求情報を特定することができた場合は、特定した印刷要求情報に印刷データが保存されていないか否かを確認する。そして、印刷データが保存されていない場合は、特定した印刷要求情報の出力要求にありを設定する。
【0119】
続いて、特定した印刷要求の印刷データサイズとプリンタ20における印刷データを保存する記憶装置の空き容量とを比較し、印刷データを保存する空き容量があり、印刷要求元であるホスト10と通信可能である場合は、ホスト10に対して送信要求を行う。また、印刷データの空き容量がない場合は、プリンタ20に、例えば、図23に示されるように、空き容量が不足している旨のメッセージを表示して処理を終了する。
【0120】
さらに、プリンタ20は、ホスト10から印刷要求情報及び印刷データを受信した場合、受信した印刷要求情報と対応する印刷要求を印刷要求管理情報から検索し、一致した印刷要求情報の出力要求有無を確認する。そして、印刷要求がありになっていたときは、印刷を行い、印刷が終了した後、印刷要求情報をプリンタ20の記憶装置から削除し、未受信の印刷データがあるか否かを確認する。また、特定した印刷要求情報に印刷データが保存されている場合は、印刷を行い、特定した印刷要求情報を印刷要求管理情報から削除した後、未受信の印刷データ確認に移行して処理を続ける。なお、その他の動作については前記第1及び第2の実施の形態におけるプリンタ20の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0121】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS71 印刷要求イベントが発生したか否かを判断する。印刷要求イベントが発生した場合はステップS72に進み、印刷要求イベントでない場合はステップS76に進む。
ステップS72 印刷要求を保存する。
ステップS73 未受信の印刷データがあるか否かを判断する。未受信の印刷データがある場合はステップS74に進み、未受信の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS74 印刷データを保存する空き容量があるか否かを判断する。印刷データを保存する空き容量がある場合はステップS75に進み、印刷データを保存する空き容量がない場合は処理を終了する。
ステップS75 送信要求を行い、処理を終了する。
ステップS76 入力情報イベントが発生したか否を判断する。入力情報イベントが発生した場合はステップS77に進み、入力情報イベントでない場合はステップS85に進む。
ステップS77 入力情報と印刷要求管理情報とを比較する。
ステップS78 入力情報と印刷要求管理情報とが一致するか否かを判断する。入力情報と印刷要求管理情報とが一致する場合はステップS79に進み、入力情報と印刷要求管理情報とが一致しない場合はステップS84に進む。
ステップS79 印刷データが保存されていないか否かを判断する。印刷データが保存されていない場合はステップS80に進み、印刷データが保存されている場合はステップS87に進む。
ステップS80 出力要求にありを設定する。
ステップS81 印刷データを保存する空き容量があるか否かを判断する。印刷データを保存する空き容量がある場合はステップS82に進み、印刷データを保存する空き容量がない場合はステップS84に進む。
ステップS82 通信可能であるか否かを判断する。通信可能である場合はステップS83に進み、通信可能でない場合はステップS84に進む。
ステップS83 送信要求を行い、処理を終了する。
ステップS84 メッセージを表示して、処理を終了する。
ステップS85 印刷データイベントが発生したか否を判断する。印刷データイベントが発生した場合はステップS86に進み、印刷データイベントでない場合はステップS90に進む。
ステップS86 出力要求がありであるか否かを判断する。出力要求がありである場合はステップS87に進み、出力要求がありでない場合はステップS89に進む。
ステップS87 印刷を行う。
ステップS88 印刷要求情報を削除して、ステップS73に戻る。
ステップS89 印刷データを保存して、ステップS73に戻る。
ステップS90 状態受信イベントが発生したか否かを判断する。状態受信イベントが発生した場合はステップS91に進み、状態受信イベントでない場合は処理を終了する。
ステップS91 装置状態を保存して、処理を終了する。
【0122】
このように、本実施の形態においては、ホスト10から送信される印刷データがプリンタ20の空き容量より大きい場合に、印刷データを保存することができることを確認してからホスト10に送信要求を行うようになっている。そのため、(Power OFF等の)早めに印刷データを保存することができる。
【0123】
なお、前記第1〜第3の実施の形態は、上位装置がファクシミリ装置であり、かつ、印刷装置がファクシミリ装置である印刷システムにも適用することができる。
【0124】
また、記憶装置として不揮発性のメモリを利用するとよい。
【0125】
さらに、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の第1の実施の形態における印刷システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における印刷要求情報の例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるホストが管理する印刷データ管理情報の例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタから送信要求を受けたホストがプリンタに送信するデータの例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタが管理する印刷要求管理情報の例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における上位装置に表示される送信待ち印刷データがある場合の表示の例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるホストの印刷データ管理情報の登録例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるホストの印刷データ管理情報の削除例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの印刷要求管理情報の登録例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの印刷データ管理情報の削除例を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態におけるホストの動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施の形態における印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの印刷要求管理情報の例を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタに表示されるメッセージの例を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態におけるホストから送信される装置状態情報の例を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態におけるホストの動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第3の実施の形態における印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の第3の実施の形態における上位装置の印刷要求情報の例を示す図である。
【図21】本発明の第3の実施の形態におけるホストの印刷データ管理情報の例を示す図である。
【図22】本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの印刷要求管理情報の例を示す図である。
【図23】本発明の第3の実施の形態におけるプリンタに表示されるメッセージの例を示す図である。
【図24】本発明の第3の実施の形態における印刷データ管理方法の例を示す図である。
【図25】本発明の第3の実施の形態における印刷データ保存の例を示す図である。
【図26】本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの印刷要求管理情報の例を示す図である。
【図27】本発明の第3の実施の形態における印刷要求管理情報及び印刷データ保存の第1の例を示す図である。
【図28】本発明の第3の実施の形態における印刷要求管理情報及び印刷データ保存の第2の例を示す図である。
【図29】本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0127】
10 ホスト
12 印刷情報管理手段
12b データ判断手段
13 通信手段
14 表示手段
20 プリンタ
22 印刷要求保存手段
23a 送信要求手段
30 メッセージウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)印刷データの印刷要求を送信する印刷要求送信手段を備える上位装置と、
(b)送信された前記印刷要求を保存する印刷要求保存手段、及び、該印刷要求保存手段に保存された印刷要求に基づいて前記上位装置に印刷要求に対応する印刷データの送信要求を行う送信要求手段を備える印刷装置とを有する印刷システムであって、
(c)前記上位装置は、送信した印刷要求に対応した印刷データが前記印刷装置に送信されたか否かを判断するデータ判断手段、及び、前記印刷要求を送信した後、前記データ判断手段によって印刷データが前記印刷装置に送信されていないと判断された場合、前記印刷データが送信されていない旨を報知する報知手段を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記報知手段は、モニタにメッセージウィンドウを表示する請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記上位装置は、印刷データを管理する印刷情報管理手段を備え、該印刷情報管理手段を終了するとき、前記データ判断手段が実行される請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記印刷情報管理手段が管理する情報は、ジョブ識別子又はパスワードを含む請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記印刷情報管理手段が管理する情報は、上位装置識別子を含む請求項3に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記上位装置は、該上位装置の装置状態を前記印刷装置に通知する請求項3に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記装置状態を通知するタイミングは、前記印刷情報管理手段を終了するときである請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記印刷装置は印刷データを格納する格納手段を備え、前記送信要求手段は前記格納手段の空き容量に応じて前記上位装置に送信要求を行う請求項1に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記上位装置は印刷要求とともに印刷データサイズを前記印刷装置に通知し、前記格納手段の空き容量と前記印刷データサイズとを比較して前記印刷装置の記憶装置に印刷データを保存可能な場合に、前記送信要求手段は前記上位装置に送信要求を行う請求項8に記載の印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2006−65774(P2006−65774A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250507(P2004−250507)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】