説明

印刷システム

【課題】プリンタにセットされる前の消耗品(消耗品のストック物)が盗難された場合、盗まれた消耗品を使用することができない印刷システムを提供することを目的とする。
【解決手段】消耗品を一意に識別可能なIDを、消耗品の内部記憶装置と外部記憶装置とに付与する。消耗品をプリンタで使用する際には、消耗品の外部記憶装置から消耗品IDを予め入力しなければ使用できない構成にする。消耗品が盗まれた場合、外部記憶装置の情報が知られなければ、盗難先で消耗品を使用することができない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置の消耗品が盗難された場合、この盗難品の使用を防止する技術と盗難対策技術とに関する。
【背景技術】
【0002】
大判プリンタの普及に伴い、飲食店、学校、印刷ショップ等、以前まで大判プリンタが導入されていなかった業種、業態にも、大判プリンタの設置が進んでいる。これに伴い、公共の場所や、不特定多数の人間が出入りする場所等、セキュリティの弱い場所に大判プリンタが設置されるケースが増えている。
【0003】
大判プリンタを商用で使用するケースが多く、大判プリンタの消耗品を切らすと、商機の損失に繋がる。このために、大判プリンタのユーザは、消耗品を大量に購入するケースが多い。また、小判系の民生品プリンタに比べると、その消耗品、たとえばインクであれば、大容量であり高価である。
【0004】
以上の理由から、プリンタに直ちにセットする消耗品以外の消耗品を、ストック物として管理するケースが多い。また、大判プリンタ自体をセキュリティの弱い場所に置くことが増加している。そして、セキュリティの弱い場所に、消耗品を置くケースがある。また、その消耗品が高価であるので、消耗品に盗難防止対策が施すことが望まれる。
【0005】
しかし、上記従来技術において、プリンタにセットされる前の消耗品(すなわち消耗品のストック物)についての盗難対策ができないか、または、難しい。
【0006】
プリンタに取り付け済みの消耗品の盗難を防止する場合、消耗品のICチップにプリンタのID情報を記録し、これによって、その消耗品を、他のプリンタに取り付けても使用できないようにすることが知られている。
【0007】
しかし、この従来例では、プリンタに取り付けられる前の消耗品では、盗難防止効果を発揮することができない。すなわち、物品棚にストックしてある消耗品が盗まれた場合は、対処できない。
【0008】
また、ストックからの盗難を防止する場合、消耗品に地域コードを予め書き込み出荷することによって、地域外のプリンタでは、その消耗品を使用できないようにする技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2005−503937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記従来例では、地域内で盗難された場合には対処できないという問題がある。また、小規模事業者等が管理している消耗品の盗難防止対策を行なおうとすると、メーカ側が、地域コードを小規模事業者レベル毎に管理・設定し、消耗品を生産する必要があるので、現実的ではないという問題がある。
【0011】
本発明は、プリンタにセットされる前の消耗品(消耗品のストック物)が盗難された場合、盗難された消耗品を使用することができない印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、プリンタは、外部記憶手段が記憶している消耗品識別情報を入力する入力手段と、入力した消耗品識別情報を記憶する消耗品識別情報記憶手段と、上記消耗品がプリンタに取り付けられた際に、上記内部記憶手段から消耗品識別情報を読み取る消耗品識別情報読取手段と、上記読み取った消耗品識別情報が、消耗品識別情報記憶手段に保存されているかどうかを判定する判定手段と、消耗品識別情報が消耗品識別情報記憶手段に保存されていると、上記判定手段が判定すると、上記消耗品を使用可能として扱う消耗品使用制御手段とを有する印刷システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ストック物等のプリンタ未セット状態の消耗品が盗難されても、盗難先のプリンタにおいて使用できず、盗難された消耗品を使用することができないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1である印刷システムPS1を示すブロック図である。
【図2】消耗品200の構成を示す図である。
【図3】印刷システムPS1を示すブロック図である。
【図4】端末装置、プリンタの入力手段の入力画面の表示例である。
【図5】端末装置101から消耗品IDを入力する動作のフローチャートである。
【図6】プリンタに消耗品をセットする動作を示すフローチャートである。
【図7】内部記憶手段222に保存されている消耗品情報データ形式例の図である。
【図8】消耗品識別情報のデータ形式のリストを示す図である。
【図9】取り付け情報のデータ形式例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明を実施するための形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1である印刷システムPS1を示すブロック図である。
【0017】
印刷システムPS1において、ネットワーク104を介して、ユーザPC等の端末装置101がユーザが管理するプリンタ102、103に接続されている。
【0018】
印刷システムPS1において、プリンタの管理者であるユーザが、購入した消耗品を、ストック棚に保管する場合、上記消耗品をユーザのプリンタにだけ使用できるようにすることによって、消耗品の盗難対策を行なう。
【0019】
なお、本発明において、消耗品の種別(インク/ロール紙/ヘッド等)は問わないが、実施例1では、消耗品としてインクを例にとって説明する。
【0020】
図2は、消耗品200の構成を示す図である。
【0021】
消耗品200は、パッケージ211と消耗品本体221とによって構成されている。パッケージ211は、消耗品本体221を梱包するものであり、消耗品識別情報シール212が貼り付けられている。消耗品識別情報シール212は、外部記憶手段の一例であり、パッケージ211の表面に貼り付けられている。また、消耗品識別情報シール212は、消耗品本体221を個体毎に一意に識別することが可能な消耗品IDが、人が視認可能な形式で記載されている。消耗品IDは、消耗品識別情報である。
【0022】
消耗品本体221は、内部記憶手段222を有する。消耗品200を使用する際に、消耗品本体221をプリンタ102または103にセットして使用する。消耗品本体221には、内部記憶手段222が組み込まれている。内部記憶手段222には、消耗品識別情報シール212に記憶されている消耗品IDと同情報である消耗品IDと、消耗品200の種別情報と、消耗品200が盗難防止を目的とした消耗品200であることを示す盗難防止目的情報を記憶している。消耗品種別は、インク種別(Cyan/Magenta/Yellow/Black等)や、ロール紙種別(普通紙/光沢紙/コート紙等)が種別毎に一意に識別可能な情報である。
【0023】
なお、実施例1において、外部記憶手段としての消耗品識別情報シール212は、パッケージ211に貼り付けられている。また、消耗品識別情報シール212は、消耗品200とは分離可能であることが求められる。よって、消耗品識別情報シール212は、たとえば、消耗品本体221に直接貼り付けられていてもよく、遠隔地に設けられているサーバ等が、消耗品識別情報シール212としての外部記憶手段であるとしてもよい。
【0024】
消耗品本体221は、プリンタに取り付ける消耗品であって、自身を一意に識別可能な消耗品識別情報を記憶している内部記憶手段を具備する消耗品の例である。消耗品識別情報シール212は、上記消耗品とは分離可能な外部記憶手段であって、上記消耗品を一意に識別可能な消耗品識別情報を記憶している外部記憶手段の例である。
【0025】
図3は、消耗品本体221と、パッケージ211と、端末装置101と、プリンタ102との内部構成図を示す図である。プリンタ103の構成は、プリンタ102の構成と同様である。
【0026】
消耗品識別情報入力手段321は、端末装置101における消耗品IDを入力する手段である。ユーザは、消耗品識別情報入力手段321を介して、購入した消耗品200を、プリンタ102、103に、使用可能な消耗品であることを認証させるために、消耗品識別情報シール212に記載されている消耗品IDを入力する。
【0027】
通知手段322は、消耗品識別情報入力手段321を介して入力した消耗品IDをプリンタ102、103へ通知する手段である。消耗品IDの入力を受け、ネットワーク内に接続されているプリンタへ、消耗品IDを配信する。なお、実施例1において、端末装置101からネットワーク内に接続されている全てのプリンタに、消耗品IDを通知する。しかし、特定のプリンタだけに、消耗品IDを認証させたい場合、IPアドレス等によって指定してもよい。また、後述するように、認証させたいプリンタのパネルから、消耗品IDを直接入力するようにしてもよい。
【0028】
消耗品識別情報入力/受信手段331は、プリンタ102、103における消耗品IDを入力/受信する手段である。プリンタは、消耗品IDを入力する画面を、パネルに表示し、表示画面上から、当該プリンタに認証させたい消耗品識別情報シール212記載の消耗品IDを、ユーザに入力させる。ユーザに入力させた消耗品IDを、消耗品情報記憶手段332に登録する。または、消耗品情報記憶手段332が、通知された消耗品IDを受信し、登録する。
【0029】
消耗品情報記憶手段332は、消耗品識別情報入力/受信手段331を介して入力/受信した消耗品IDを記憶する。入力した消耗品IDを消耗品情報記憶手段332に登録し、当該プリンタにおいて使用可能な認証済み消耗品200のリストを作る。消耗品200がプリンタにセットされると、消耗品情報記憶手段332に登録されている消耗品IDと一致する消耗品IDを持つ消耗品のみを使用可能とする。
【0030】
消耗品情報読み取り手段333は、内部記憶手段222から情報を読み取る手段である。プリンタ102、103は、消耗品本体221が、当該プリンタにセットされた際に、内部記憶手段222から、消耗品IDと、消耗品種別と、消耗品200が盗難防止目的用であることを示すデータである盗難防止目的情報とを読み取る。
【0031】
消耗品情報の判定手段334は、消耗品識別情報を判定する手段である。消耗品情報読み取り手段333が読み取った消耗品ID、消耗品種別、盗難防止目的情報を読み取る。これら読み取った消耗品ID、消耗品種別、盗難防止目的情報に基づいて、セットした消耗品200が、盗難防止目的の消耗品であるのか、消耗品種別がそのプリンタに初めてセットされたものであるのか、消耗品IDが認証済みであるのかを判定する。消耗品種別が初めてセットされたものかどうかは、消耗品種別取り付け履歴情報記憶手段336に記憶されている情報に基づいて判定する。消耗品IDが認証済みであるかどうかは、消耗品情報記憶手段332に消耗品IDが登録されているかどうかに基づいて判定する。
【0032】
消耗品使用制御手段335は、消耗品200の使用可否を制御する。消耗品情報の判定手段334の判定結果を元に、セットされた消耗品200の使用可否を制御する。消耗品200が盗難防止目的では無い場合、または、セットした消耗品200の消耗品種別が当該プリンタに初めてセットする場合、または、消耗品200が既に認証済みである場合、その消耗品200は使用可能であるとする。盗難防止目的の消耗品200であり、かつ、セットした消耗品200の消耗品種別が、消耗品種別取り付け履歴情報記憶手段336に登録されていない場合、かつ、消耗品200が認証されていない場合は、使用不可とする。また、当該プリンタにおいて初めてセットする消耗品種別であれば、使用可能とした後に、消耗品種別取り付け履歴情報記憶手段336に該消耗品種別を使用したことがあると記憶させる。
【0033】
消耗品種別取り付け履歴情報記憶手段336は、消耗品種別の取り付け履歴情報を記憶する装置である。プリンタに取り付け可能な消耗品200毎に、過去に一度でも取り付けたことがあることを記憶する。本情報を元に、セットした消耗品200の消耗品種別が過去に取り付けたことがなければ、消耗品使用制御手段335が、消耗品200を使用可能とする。これによって、プリンタの初期設置時等では、消耗品200を認証せずに、使用可能であり、ユーザの手間を省くことができる。
【0034】
消耗品識別情報入力/受信手段331は、外部記憶手段が記憶している消耗品識別情報を入力する入力手段の例である。消耗品情報記憶手段332は、入力した消耗品識別情報を記憶する消耗品識別情報記憶手段の例である。消耗品情報読み取り手段333は、消耗品がプリンタに取り付けられた際に、上記内部記憶手段から消耗品識別情報を読み取る消耗品識別情報読取手段の例である。消耗品情報の判定手段334は、上記読み取った消耗品識別情報が、消耗品識別情報記憶手段に保存されているかどうかを判定する判定手段の例である。消耗品使用制御手段335は、消耗品識別情報が消耗品識別情報記憶手段に保存されていると、上記判定手段が判定すると、上記消耗品を使用可能として扱う消耗品使用制御手段の例である。
【0035】
また、内部記憶手段222は、当該消耗品の種別を示す情報を記憶する記憶手段の例である。消耗品情報読み取り手段333は、上記消耗品が当該プリンタに取り付けられた際に、上記種別を表す情報を読み取る種別読取手段の例である。消耗品種別取り付け履歴情報記憶手段336は、当該プリンタに取り付け可能な消耗品の種別毎に、過去にプリンタに取り付けられたことを記憶する消耗品種別取り付け履歴情報記憶手段の例である。
【0036】
消耗品種別は、インクの色種別またはロール紙の紙種別である。内部記憶手段222は、盗難防止用の消耗品であるかどうかを示す盗難防止目的情報を記憶する盗難防止目的情報記憶手段の例である消耗品情報読み取り手段333は、取り付けられている消耗品に関する盗難防止目的情報を読み取る手段の例である。
【0037】
上記プリンタは、動作モードが切り替え可能であり、特定の動作モードとして動作するときは、当該プリンタにおいてセットされている消耗品の使用可否を、任意に切り替えることが可能である。
【0038】
消耗品識別情報シール212は、外部記憶手段であり、ICタグである。消耗品情報識別情報入力/受信手段331は、プリンタの消耗品識別情報の入力手段の例であり、上記ICタグを読取可能な手段の例である。
【0039】
上記外部記憶手段の消耗品識別情報は、視認可能な情報として表示され、プリンタの消耗品識別情報の入力手段は、上記視認可能な情報を入力可能な手段である。
【0040】
消耗品情報の判定手段334は、読み取った消耗品識別情報が消耗品識別情報記憶手段に保存されているかどうかを判定する判定手段の例である。消耗品使用制御手段335は、読み取った消耗品識別情報が消耗品識別情報記憶手段に保存されていると、上記判定手段が判定すると、その消耗品を使用可能として扱う消耗品使用制御手段の例である。
【0041】
図4は、端末装置101、プリンタの入力手段である321、331の入力画面の表示例を示す図である。本入力画面を用いて、認証させたい消耗品200の消耗品IDを入力する。
【0042】
実施例1において、消耗品IDを手動で認証するが、消耗品識別情報シール212にICタグを組み込み、消耗品識別情報シール212を端末装置101やプリンタのICタグ読み取り装置に近づけるだけで読み取るように構成するようにしてもよい。このようにすれば、ユーザの入力の手間を削減することができる。
【0043】
図5は、本印刷システムPS1において、ユーザが購入した消耗品200を、プリンタに認証させるために端末装置101から消耗品IDの入力を行なう際の処理を示すフローチャートである。
【0044】
S10で、端末側の処理を実行し、ユーザが端末装置101に入力した消耗品IDを、ネットワークに繋がっているプリンタに通知する。
【0045】
S20で、プリンタ側の処理を実行し、プリンタ側においてS10で通知された消耗品IDを受信し、認証した消耗品200として登録する処理を行なう。
【0046】
S11で、端末装置101における消耗品IDの入力画面を、図4に示すように表示する。S12では、S11で表示した画面の入力処理を実行し、ユーザが入力した消耗品IDを処理する。S13では、S12で入力した消耗品IDを、ネットワークに繋がっている全てのプリンタへ通知する。
【0047】
なお、実施例1において、ネットワークに繋がっている全てのプリンタに通知することによって、ユーザ環境のプリンタの全てに、一度に認証させるようにしてもよい。特定のプリンタだけに認証させたい場合、IPアドレス指定等によって特定プリンタだけに通知してもよく、プリンタのパネルから消耗品IDを直接入力してもよい。
【0048】
S21では、S13で通知された消耗品IDを受信処理する。S22では、S21で受信した消耗品IDを登録処理する。プリンタは、受信した消耗品IDを消耗品情報記憶手段332へ登録することによって、認証した消耗品200のリストを作成する。
【0049】
以上によって、ユーザは、購入した消耗品200を、プリンタに認証させることができる。
【0050】
図6は、消耗品200を使用する際に、ユーザがプリンタ102、103に消耗品200をセットする場合におけるプリンタの処理を示すフローチャートである。
【0051】
S31では、消耗品200がプリンタにセットされた際に、消耗品情報読み取り手段333が、内部記憶手段222から、消耗品種別、消耗品ID、盗難防止情報を読み取る。
【0052】
図7は、内部記憶手段222に保存されている消耗品情報データ形式例を示す図である。
【0053】
S32では、セットした消耗品200が盗難防止目的であるかどうかを、S31で読み取った情報に基づいて判定する。盗難防止用の消耗品200であれば、S33の処理を実行し、そうでなければ、S37の処理を実行し、取り付けた消耗品200を使用可能にする。
【0054】
S33で、セットした消耗品200の消耗品種別が、取り付けたプリンタにおいて初めてのセットであるかどうかを、消耗品種別取り付け履歴情報記憶手段336の情報に基づいて判断する。上記消耗品種別は、Cyan Ink/Magenta Ink/Yellow Ink/Black Ink等である。
【0055】
図8は、消耗品情報記憶手段332に記憶されている消耗品識別情報のデータ形式のリストを示す図である。
【0056】
入力した消耗品IDを、認証済みの消耗品200として管理する。
【0057】
S34では、S33で判定した結果に応じて処理を分岐する。取り付けた消耗品種別が、過去に一度でも取り付けられた種別であれば、S35の処理を実行する。初めてセットする消耗品種別であれば、S37の処理を実行し、消耗品200を使用可能とする。
【0058】
S35で、セットした消耗品200の消耗品IDが、取り付けられたプリンタにおいて認証済みであるかどうかを、消耗品情報記憶手段332の記憶内容に応じて判断する。セットした消耗品200の消耗品IDが、消耗品情報記憶手段332に記憶されていれば、認証されていると判断し、記憶されていなければ、認証されていないと判断する。
【0059】
S36では、S35で判定した結果によって処理を分岐する。認証されていれば、S37の処理を実行し、取り付けた消耗品200を使用可能とする。認証されていなければ、S39の処理を実行し、エラーメッセージを表示する。
【0060】
S37で、取り付けた消耗品200が取り付けたプリンタにおいて認証されていれば、当該プリンタで消耗品200を使用開始する。S38では、S37で使用開始した消耗品200の消耗品種別を消耗品種別取り付け履歴情報記憶手段336に記憶させる。
【0061】
S39では、S36で認証されていないと判断された際に、消耗品200が当該プリンタにおいて認証されていないことを、ユーザに伝える。図7に示すように、消耗品識別情報は、消耗品種別、消耗品ID、盗難防止目的であるかどうかを示す盗難防止目的フラグからなる。
【0062】
図9は、消耗品種別取り付け履歴情報記憶手段336に記憶されている取り付け情報のデータ形式例を示す図である。
【0063】
プリンタにセット可能な消耗品種別が、1列目にあり、それぞれに対して過去にセットしたかことがある否かを示すフラグからなる。
【0064】
上記実施例によれば、消耗品をプリンタで使用する場合、使用する消耗品の消耗品IDを、プリンタに予め登録する必要があるので、消耗品が盗難された場合、盗難先では消耗品IDが分からないと、その消耗品を使用できない。プリンタ管理者であるユーザは、消耗品をストック棚に保管する際に、盗難されても消耗品IDが分からないように、消耗品識別情報シール212を、パッケージ211から剥して保管する。これによって、盗難先での使用を防ぐことができる。
【0065】
メーカが消耗品を生産する際には、消耗品を個体毎に一意に識別できるIDを消耗品に付与すれば足り、メーカ側において、消耗品対策を行なう地域毎にIDを付ける必要はない。
【0066】
また、盗難防止用の消耗品かどうかを内部記憶手段222に保持し、盗難防止用の消耗品であるか否かで処理を分けることによって、盗難防止用消耗品でなければ、取り付けた消耗品は従来通りに使用可能であるとしている。メーカが盗難防止目的消耗品と通常消耗品とを分けて出荷すれば、ユーザが目的に応じて、通常消耗品または盗難防止目的用消耗品を購入すればよい。セキュリティを考慮しなくてもよいと考えるユーザは、通常消耗品を購入し、プリンタにセットすることによって、特別な手順を実行せずに、消耗品を使用することができる。セキュリティを考慮する必要があると考えるユーザは、盗難防止用消耗品を購入すれば、盗難防止になる。
【0067】
また、初期設置時等のプリンタに何も登録されていない状態で全インクをセットする必要がある場合でも、消耗品を一度も取り付けたことが無い状態では、盗難防止用消耗品であっても、通常通りセットすれば使用可能であるので、ユーザの手間にはならない。
【0068】
ストック物の消耗品が盗まれ、盗難先において初期出荷状態のプリンタにセットされると、盗難消耗品は使用可能であるが、実施例1において、それは考慮していない。これを考慮するのであれば、消耗品が過去に取り付けられていなければ、消耗品を使用不可能として扱うようにすればよい。初期出荷状態においても使用できないので、盗難先の初期状態のプリンタにセットされても使用が不可となる。
【0069】
また、上記プリンタを、動作モードを切り替え可能とし、特定の動作モードとして動作するときは、当該プリンタにおいてセットされている消耗品の使用可否を、任意に切り替えることが可能な消耗品使用制御手段を設けることが考えられる。このようにすれば、プリンタにサービスマン用の保守モードのような特別な動作モードをもつので、セットされている消耗品を使用可能である。
【0070】
また、個人レベルの事業者等によって管理されている消耗品に対して、上記実施例を適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
101…端末装置、
102、103…プリンタ、
212…消耗品識別情報シール、
221…消耗品本体、
222…内部記憶手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタに取り付ける消耗品であって、自身を一意に識別可能な消耗品識別情報を記憶している内部記憶手段を具備する消耗品と、上記消耗品とは分離可能な外部記憶手段であって、上記消耗品を一意に識別可能な消耗品識別情報を記憶している外部記憶手段と、プリンタとを具備する印刷システムにおいて、
上記プリンタは、
上記外部記憶手段が記憶している消耗品識別情報を入力する入力手段と;
上記入力した消耗品識別情報を記憶する消耗品識別情報記憶手段と;
上記消耗品がプリンタに取り付けられた際に、上記内部記憶手段から消耗品識別情報を読み取る消耗品識別情報読取手段と;
上記読み取った消耗品識別情報が、消耗品識別情報記憶手段に保存されているかどうかを判定する判定手段と;
消耗品識別情報が消耗品識別情報記憶手段に保存されていると、上記判定手段が判定すると、上記消耗品を使用可能として扱う消耗品使用制御手段と;
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1であって、
上記消耗品は、当該消耗品の種別を示す情報を記憶する記憶手段を有し、
上記プリンタは、
上記消耗品が当該プリンタに取り付けられた際に、上記種別を表す情報を読み取る種別読取手段と;
当該プリンタに取り付け可能な消耗品の種別毎に、過去にプリンタに取り付けられたことを記憶する消耗品種別取り付け履歴情報記憶手段と;
上記消耗品使用制御手段は、取り付けた消耗品から読み取った種別を表す情報と、上記消耗品種別取り付け履歴情報記憶手段が記憶している上記消耗品種別取り付け履歴情報とから、当該プリンタにおいて上記消耗品が過去に取り付けられたことがあるかどうかを判断し、取り付けられていれば、上記消耗品を使用可能として扱い、取り付けられていなければ、消耗品を使用可能として扱う手段であることを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項2であって、
上記消耗品種別は、インクの色種別またはロール紙の紙種別であることを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項1であって、
上記消耗品は、盗難防止用の消耗品であるかどうかを示す盗難防止目的情報を記憶する盗難防止目的情報記憶手段を具備し、
上記プリンタは、取り付けられている消耗品に関する盗難防止目的情報を読み取る手段を有し、
上記消耗品使用制御手段は、読み取った情報に基づいて、消耗品が盗難防止用消耗品であり、しかも、消耗品識別情報が消耗品識別情報記憶手段に保存されていると、上記判定手段が判定すると、上記消耗品を使用可能として扱い、盗難防止用消耗品でなければ、取り付けた消耗品を使用可能として扱う手段であることを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項1であって、
上記プリンタは、動作モードが切り替え可能であり、
特定の動作モードとして動作するときは、当該プリンタにおいてセットされている消耗品の使用可否を、任意に切り替えることが可能であることを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
請求項1であって、
上記外部記憶手段は、ICタグであり、
上記プリンタの消耗品識別情報の入力手段は、上記ICタグを読取可能な手段であることを特徴とする印刷システム
【請求項7】
請求項1であって、
外部記憶手段の消耗品識別情報は、視認可能な情報として表示され、
プリンタの消耗品識別情報の入力手段は、上記視認可能な情報を入力可能な手段であることを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
プリンタに取り付ける消耗品と、上記消耗品とは分離可能な外部記憶手段と、ネットワークを介して上記プリンタに接続されている端末装置と、上記プリンタとを具備する印刷システムにおいて、
上記消耗品は、自身を一意に識別可能な消耗品識別情報を記憶する内部記憶手段を具備し、
上記外部記憶手段は、上記消耗品を一意に識別可能な消耗品識別情報を記憶し、
上記端末装置は、
外部記憶手段の消耗品識別情報入力手段と;
入力手段を介して入力された消耗品識別情報を、ネットワークを介してプリンタへ通知する通知手段と;
を備え、
上記プリンタは、
上記通知手段が通知した消耗品識別情報を受信する手段と;
受信した消耗品識別情報を記憶する消耗品識別情報記憶手段と;
上記消耗品がプリンタに取り付けられた際に、内部記憶手段から消耗品識別情報を読み取る手段と;
読み取った消耗品識別情報が消耗品識別情報記憶手段に保存されているかどうかを判定する判定手段と;
読み取った消耗品識別情報が消耗品識別情報記憶手段に保存されていると、上記判定手段が判定すると、その消耗品を使用可能として扱う消耗品使用制御手段と;
を有することを特徴とする印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−284817(P2010−284817A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138351(P2009−138351)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】