説明

印刷システム

【課題】前段の印刷装置において熱収縮を生じた頁を有する長尺状記録媒体が、後段の印刷装置に送り込まれた場合であっても、前段の印刷装置と後段の印刷装置により当該頁に形成される画像の位置を整合させる。
【解決手段】第1の印刷装置P1は、ウェブWの搬送方向に、所定の長さで区画される単位領域に対応する位置合わせマークを形成し、第2の印刷装置P2は、位置合わせマークの間隔及び検出タイミングのいずれかを計測し、該計測の結果に応じてウェブWの搬送速度を制御する制御手段200と、を有し、制御手段200は、第1の印刷装置P1の転写位置から第2の印刷装置P2の転写位置までの搬送経路上に載置されたウェブWの単位領域の数と、第1の印刷装置P1の熱定着装置における過剰加熱によりウェブWの熱収縮が生じた際の縮み量と、に基づいてウェブWの両面に形成される画像の位置合わせを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真式印刷装置などの少なくとも2台の印刷装置からなる印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
長尺に連続した帯状の用紙に代表される長尺状記録媒体(以下、「ウェブ」ともいう)の両面に画像を形成する印刷システムとしては、2台の印刷装置を直列に配置し、前段の印刷装置(以下、「第1の印刷装置」という)でウェブの第1の面(表面)に印刷を行ない、第1の印刷装置から排出されたウェブを反転装置で表裏反転させた後、ウェブを後段の印刷装置(以下、「第2の印刷装置」という)に送り込み、第2の印刷装置でウェブの第2の面(裏面)に印刷を行うようものが提案され、実用化されている。また、反転装置を有さずに、第1の印刷装置で印刷したウェブの第1の面と同一面に異なる色のトナー等により第2の印刷装置で印刷を行うものも知られている。
【0003】
このような印刷装置は、例えば、印刷後に切断される所定長さで区切られた単位領域(以下、「頁」ともいう)毎に、印刷データに基づいた画像や文字を印刷する構成をとっている。例えば、電子写真式印刷装置では、ウェブに印刷される印刷データが、レーザスキャンにより所定周期で感光ドラムに露光される。次に、感光ドラムに露光されたパターンは、トナーによって視覚化された後、転写部にて、一定速度で搬送されてくるウェブに転写される。パターンが転写されたウェブは、加熱によりパターンが定着されて印刷が終了する。
【0004】
印刷システムとしては、送り孔が設けられたウェブ及び送り孔が設けられていないウェブの何れも対応可能なものが普及しつつある。しかしながら、送り孔が設けられていないウェブの印刷を行う場合、ウェブの表面と裏面に形成される画像の位置あわせが困難となる場合がある。例えば、印刷装置が電子写真方式の場合、ウェブ上に転写された画像(トナー像)をウェブに溶融定着させるための熱定着工程において、熱作用によってウェブの熱収縮が生じることがあり、複数の印刷装置が配置されたシステムの場合、1台目の印刷装置の熱定着工程により熱収縮したウェブが、2台目の印刷装置に送り込まれることになる。すると、表面印刷時と裏面印刷時とでは、単位領域の長さ(頁長)が異なるため、ウェブ上に形成された表面側の画像位置と裏面側の画像位置とが揃わなくなることがあった。
【0005】
そこで、このような問題に対処するため、第1の印刷装置でウェブの所定位置に位置合わせマークを形成し、第2の印刷装置で、予め設定された周期毎に発生させるウェブ送り制御信号の発生タイミングと、位置合わせマーク検出信号の発生タイミングとの位相を整合させて表面側と裏面側との画像位置を揃える両面印刷システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、過剰加熱されたウェブの単位領域の搬送速度を変更し、変更した速度で搬送されてくる単位領域に対して第2の印刷装置が画像を形成して画像位置を揃える両面印刷システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の印刷システムでは、位置合わせマークの検出タイミングと両面位置合わせのための所定のタイミングとの差のみによってウェブ搬送速度の補正を実施しているため、十分な位置合わせ制御が実施されない場合がある。特に、大きく熱収縮変形した頁の画像は、その裏面の頁の画像に比べ、搬送方向に対して短くなってしまうという問題がある。具体的には、大きな熱収縮変形部分を有する頁の後続の頁に形成された位置合わせマークの計測タイミングが、前の頁の計測タイミングに比べ相当早くなるため、裏面の頁の画像位置を整合させるためには、ウェブ搬送速度を相当量減速させる必要がある。
【0007】
印刷システムにおいて、例えば、障害などの発生により印刷動作が一時的な印刷停止状態にあるとき、ウェブは印刷装置の定着予備加熱プレート及び加熱ロールにより加熱され続けることになり、正常な定着工程での熱作用による熱収縮よりも大きく熱収縮変形することがある。印刷装置の停止などによるウェブに大きな熱収縮が生じた場合であっても、ウェブ両面に形成される画像の位置合わせを制御することができる印刷システムが求められているが、未だ提供されていない。
【0008】
そこで、本発明は、複数の印刷装置が配置されたシステムにおいて、前段の印刷装置において著しく熱収縮を生じた頁を有するウェブが、後段の印刷装置に搬送された場合であっても、当該頁に形成される画像の表面と裏面の位置を整合させることができる印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、本発明に係る印刷システムは、長尺状記録媒体の片面に画像を形成する第1の印刷装置と、第1の印刷装置に画像が形成された長尺状記録媒体の同一面または裏面に画像を形成する第2の印刷装置と、を備える印刷システムであって、第1の印刷装置は、長尺状記録媒体の搬送方向に、所定の長さで区画される単位領域に対応する位置合わせマークを形成するマーク形成手段を有し、第2の印刷装置は、位置合わせマークを検出する検出手段、および検出された位置合わせマークの間隔及び検出タイミングのいずれかを計測し、該計測の結果に応じて長尺状記録媒体の搬送速度を制御する制御手段と、を有し、制御手段は、第1の印刷装置の転写位置から第2の印刷装置の転写位置までの搬送経路上に載置された長尺状記録媒体の単位領域の数と、第1の印刷装置の熱定着装置における過剰加熱により長尺状記録媒体の熱収縮が生じた際の縮み量と、に基づいて長尺状記録媒体の両面に形成される画像の位置合わせを制御するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱収縮を生じた頁を有するウェブが、後段の印刷装置に搬送された場合であっても、前段の印刷装置と後段の印刷装置により当該頁に形成される画像の位置を整合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】印刷システムを構成する印刷装置の一例を示す説明図である。
【図2】印刷システムの全体構成の一例を示す模式図である。
【図3】ウェブ上の位置合わせマークの位置関係を示す模式図である。
【図4】印刷システムにおける位置合わせ制御の説明図である。
【図5】通常の位置合わせ制御に用いられるタイミングチャートである。
【図6】ウェブ搬送と感光体ドラムの同期制御を示すタイミングチャートである。
【図7】熱収縮変形部分をもつ頁Aとその裏面のAの画像位置のずれを示す説明図である。
【図8】熱収縮変形部分をもつ頁Aとその裏面のAの画像位置のずれを補正した状態を示す説明図である。
【図9】熱収縮変形を有する頁Aの特定方法を説明する説明図である。
【図10】第2の印刷装置の制御手段のブロック図である。
【図11】熱定着装置の要部拡大図である。
【図12】縮み量△xと停止時間Tzと加熱ロールの設定温度Hとの関係を示すグラフである。
【図13】縮み量△xと停止時間Tzと頁長に対するL5の割合Sとの関係を示すグラフである。
【図14】印刷の停止時間Tzに応じた縮み量Δxのテーブルの例である。
【図15】ウェブの頁A上のL5の割合Sに対応した係数Kのテーブルの例である。
【図16】熱収縮変形を有する頁Aの特定方法を説明する説明図の他の例である。
【図17】熱収縮変形部分をもつ頁Aの画像位置のずれを補正した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る印刷システムの一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
(印刷装置の構成)
本実施形態に係る印刷システムは、複数の印刷装置を備えて構成される。例えば、送り孔が設けられていない長尺状記録媒体(ウェブ)の第1の面(表面)に画像を形成する第1の印刷装置と、第1の印刷装置の後段に設けられ、ウェブの第2の面(裏面、または同一面)に画像を形成する第2の印刷装置と、第1および第2の印刷装置およびウェブの搬送等を制御する印刷制御装置とを備える。印刷システムに適用される印刷装置の一実施態様として、図1に電子写真式印刷装置の一例を示す。
【0014】
図1に示すように、ウェブWは、給送装置(図示せず)から印刷装置Pの内部に送り込まれ、ガイドローラ1に案内されてウェブバッファ機構2に搬送される。なお、ウェブWとしては、印刷システムを構成する印刷装置により画像を形成可能であれば特に限定されず、例えば、紙やプラスティックフィルムなどが挙げられるが、紙が一般的である。
【0015】
ウェブバッファ機構2は、搬送されるウェブWを一時的に蓄える蓄積部2aと、ウェブWの弛み量(バッファ量)を検出する複数の光学的センサ2d,2e,2f,2gと、ウェブ搬送方向の上流部に設けられた1対のローラ2b,2cとを備えている。ローラ2cには、ローラ2bへの圧接力を調節するための調節機構が装備されている。本実施態様においては、ローラ2cの一端から突出した軸2hに錘2iを摺動可能に設け、この錘2iの位置を変えることにより、この原理でローラ2cの2dに対する圧接力を調節している。なお、本実施態様におけるウェブバッファ機構2としては、特許文献1に記載の印刷システムにおけるウェブバッファ機構と同様の構成であってもよい。
【0016】
ガイド部材3を通過したウェブWは、次に異物除去機構4に送り込まれる。異物除去機構4には、固定して設けられたシャフト4a、4b、4c、及び4dが設けられている。シャフト4aと4bは、予め設定された極めて狭い間隔をなして設けられており、異物の侵入を阻止する役目を有する。
【0017】
ウェブWは次に張力付加機構5に搬送される。張力付与機構5は、駆動源を持たないドラム5aと、ドラム5aに圧接して設けられたローラ5bと、ウェブ搬送経路上において移動可能に支持されたドラム5cとから構成されている。ドラム5aは、回動可能に支持されたアーム5dの自由端に固定されており、バネ5eによってウェブWの面に付勢されている。張力付与機構5によって、ウェブWの張力は一定に保たれる。
【0018】
さらに、ウェブWは、ガイドシャフト6、ガイド板7を経て、搬送ローラ8,9によって印写部10へ搬送される。なお、印写部10としては、図1に示す本実施態様では電子写真記録方式による印写装置が用いられているが、特に限定されず、インクジェット方式であってもよい。
【0019】
像担持体として例示される感光体ドラム101が回転を開始すると、コロナ帯電器102に高電圧が印加され、感光体ドラム101表面には均一に例えば正電荷が帯電する。半導体レーザや発光ダイオードなどで構成された光源103から出力された光は、感光体ドラム101上を像露光し、感光体ドラム101上に静電潜像を形成する。この静電潜像を保持した感光体ドラム領域が、現像装置104と対向する位置に到達すると、静電潜像に現像剤が供給され、感光体ドラム101上にトナー像が形成される。感光体ドラム101上に形成されたトナー像は、ウェブWの背面側にトナー像と逆極性の電荷を付与する転写器105の作用によってウェブW上に吸引される。感光体ドラム101の転写位置を通過した領域は、清掃装置106で清掃され、次の印刷動作に備える。
【0020】
上記のようにして印写部10からトナー像が転写されたウェブWは、搬送ベルト11によって後段へと搬送される。搬送ローラ8は駆動源を持つ駆動ローラとして設けられており、後述するモータによって駆動される。搬送ローラ9は、バネ9aの弾性力によってウェブWを介して搬送ローラ8に圧接された従動ローラとして設けられている。また、搬送ベルト11は、駆動ローラ11aと従動ローラ11bに掛け渡して支持されるとともに、吸引装置(図示せず)を備えた構成となっており、ウェブWの背面を搬送ベルト11上に吸着させた状態で搬送するように構成されている。
【0021】
搬送ベルト11から送り出されたウェブWは、バッファプレート12を経て熱定着装置13に搬送される。熱定着装置13に到達したウェブWは、プレヒータ13aで予熱された後、加熱ロール13bと加圧ロール13cとからなる一対の定着ローラによって形成されるニップ部によって加熱加圧されながら挟持搬送されて、トナー像が溶融定着される。
【0022】
加熱ロール13bと加圧ロール13cとによって送り出されたウェブWは、送出しローラ14を経て、通常は、スイングフィン15の振り子動作によって交互に折り分けられ、印刷装置P内で折りたたまれて積み重ねられる。これに対し、第1の印刷装置Pの後段にもう1台の第2の印刷装置を配置する印刷システムにおいては、加熱ロール13bと加圧ロール13cによって送り出されてきたウェブWは、送出しローラ14を経てスイングフィン15の下に2点鎖線で示すように印刷装置Pの外へと排出され、2台目の印刷装置(図示せず)に向けて搬送される。なお、センサ13dは、ウェブWの蛇行を検出するセンサである。
【0023】
本実施形態の印刷システムは、第1の印刷装置が、長尺状記録媒体の搬送方向に、所定の長さで区画される単位領域に対応する位置合わせマークを形成するマーク形成手段(印写部10等の画像形成手段である)を有し、後段の第2の印刷装置が、位置合わせマークを検出する検出手段(マークセンサ16)と、該検出手段により検出された位置合わせマークの間隔及び検出タイミングのいずれかを計測し、該計測の結果に応じて長尺状記録媒体の搬送速度を制御する手段(制御手段200)とを有する。図1において、センサ16が、第2の印刷装置が備える位置合わせマークを検出する検出手段であるマークセンサであり、第1の印刷装置はマークセンサを備える必要はない。すなわち、前段の第1の印刷装置にてウェブWの表面に画像印刷を行う際に、併せて、印刷後に切断される所定長さで区切られた単位領域である頁の先頭端位置に位置合わせマークを印刷する。また、後段の第2の印刷装置は、マークセンサ16により該位置合わせマークを検出するものである。
【0024】
(印刷システムの構成)
図2は、本発明の印刷システムの全体構成の一実施態様を示す模式図である。図2に示すように、本実施形態に係る印刷システムは、図1に示した構成を有する印刷装置P1及びP2と、印刷装置P1から排紙されたウェブを反転させる反転装置Tと、2台の印刷装置に接続されたコントローラ17とから構成される。第1の印刷装置P1でウェブWの第1の面に画像が形成されて送り出されたウェブWは、反転装置Tによって表裏反転された後、第2の印刷装置P2に送られ、ウェブWの第2の面に画像が形成される。
【0025】
第1の印刷装置P1で画像が形成された第1面の裏面に、第2の印刷装置P2で画像を形成する場合、P1とP2の画像データを制御する印刷制御装置としてのコントローラ17は、第1の印刷装置P1と第2の印刷装置P2との間に存在する頁数を第2の印刷装置P2の制御手段200(図10参照、詳細は後述する)に出力し、制御手段200が頁数を把握(記憶)する。コントローラ17は、第2の印刷装置P2の制御手段200に対し、第1の印刷装置P1の転写ポイントTPから第2の印刷装置P2の転写ポイントTPとの間にあるウェブWの頁数を出力する。
【0026】
(位置合わせ制御)
図3に、第1の印刷装置P1において、位置合わせマークが形成されたウェブWの一例を示す。ウェブW上には図3に示すように印刷データに基づく画像Imが印刷されるとともに、各頁の搬送方向先頭端部に位置合わせマーク(トナーマーク)Rmが印刷される。なお、位置合わせマークを形成するマーク形成手段は、画像Imを形成する装置と兼用であっても、独立であってもよい。本実施態様では、画像形成手段と兼用し、感光体ドラム101上に画像Imを形成する際に一緒に形成している。
【0027】
第1の印刷装置P1から排出されたウェブWは、反転装置Tにて表裏が反転されて第2の印刷装置P2へ送り込まれる。反転装置TによるウェブWの表裏反転により、トナーマークRmを保持した側のウェブ面(第1面)は、マークセンサ16の検出面と対向するようになり、また、白紙状態のウェブ面(第2面)は感光体ドラム101表面と対向するようになる。
【0028】
第1の印刷装置P1の光源103により、感光体ドラム101上にページ先頭を示すトナーマークRmに対応する静電潜像が形成されると、そのトナーマークRmの形成タイミングと同期したウェブ搬送制御信号(CPF−N信号)がコントローラ17によって形成される。同様に第2の印刷装置P2の光源103は、第1の印刷装置P1とは独立したタイミングで露光を開始し、この露光タイミングでウェブ搬送制御信号(CPF−N)を発生する。P1のウェブ搬送制御信号と、P2のウェブ搬送制御信号は発生するタイミングは独立であるが、その間隔は等しい。なお、レーザ光の発生に同期したパルスを形成すること自体は公知であるのでコントローラ17の詳細は示していない。コントローラ17で生成されたウェブ搬送制御信号(CPF−N)は,それぞれ第1の印刷装置P1、第2の印刷装置P2に送られ、該ウェブ搬送制御信号を基にして、ウェブWの速度を制御するモータの制御信号がつくられる。
【0029】
図4に、印刷システムにおける画像の位置合わせ制御の説明図を示し、図5に制御信号と動作のタイミングの説明図を示す。図4において、感光ドラム101上の位置EPが露光ポイントであり、ここで静電潜像が形成される。レーザ等の光源103により頁の搬送方向先頭(以下、単に「頁先頭」と表す)に相当する静電潜像が形成されるたびに、図5に示すウェブ搬送制御信号(CPF−N)がつくられる。また、感光体ドラム101は、通常予め設定されたプロセス速度で定速回転するように制御されているため、感光体ドラム101上における頁先頭は、ウェブ搬送制御信号の一周期毎、すなわち図5に示す「CPF長」毎に転写ポイントTPに到達することになる。したがって、第2の印刷装置P2においてコントローラ17からのウェブ搬送制御信号(CPF−N)の発信タイミングと、マークセンサ16がトナーマークRmを検出するタイミングとの位相差が一定になるようにウェブ搬送速度を制御することにより、感光体ドラム101上の頁先頭とウェブWの頁先頭とを、転写ポイントTPで高精度に一致させることが可能となる。
【0030】
上述のウェブ搬送制御を実施するために、2台目の印刷装置P2は図10に示すような制御手段200を有している。図10に示すように、制御手段200は、コントローラ17と接続されており、マイコン部210と、CPF信号処理部220等を備えて構成される。マイコン部210とCPF信号処理部220とは、バスBを介して接続されている。マイコン部210は、印刷装置P2の動作を指示すると共にその動作に必要な各種演算を行うCPU211と、CPU211で実行される様々なプログラムが格納されるROM212と、演算結果などを一時的に記憶するRAM213と、後述する縮み量を記憶する記憶装置(RAM214)等から構成される。本実施態様においては、マイコン部210は、特にウェブWの搬送を制御と感光体ドラム101の回転速度を制御する。 そのため、マイコン部210に、マークセンサ16が、I/Oインターフェース16a及びバスBを介して接続されると共に、搬送ローラ8、9、搬送ベルト11、及び感光体ドラム101を駆動する各モータMも、I/OインターフェースMa及びバスBを介して接続されている。コントローラ17は、ウェブWに印刷される印刷データに対応したCPF−N信号を所定周期で生成する。CPF信号処理部220は、波形成形回路221と、カウンタ222とから構成される。波形成形回路221は、CPF−N信号が入力され、入力されたCPF−N信号の波形を成形してカウンタ222に向けて出力する。 カウンタ222は、CPF−N信号の入力に反応して、外部から供給されるクロックによりカウントを開始する。
【0031】
本実施形態では、図4に示すように、転写器105による転写ポイントTPから露光ポイントEPまでの感光体ドラム表面上での距離を「L1」、転写ポイントTPからマークセンサ16による検出ポイントDPまでのウェブ搬送路上における距離を「L2」とする。また、感光体ドラム101上に仮想的に設定される頁先頭PPと、ウェブWのページ先頭を表すトナーマークRmとが転写ポイントTPで一致する関係にてウェブ搬送が行なわれている状態を想定した時、トナーマークRmがマークセンサ16に検出されるタイミングを「制御タイミング」とする。「位置合わせを行なう」ということは、マークセンサ16によりトナーマークRmを検出するタイミング、すなわち、図5に示す「マークセンサ信号」を常に「制御タイミング」と一致するように制御することである。
【0032】
ところで、印刷開始時の最初の頁(第1ページ目)の裏面印刷に関しては、通常、オペレータが予めウェブWを印刷装置P2の所定位置に装填して印刷を開始させることが多く、この場合、ウェブWの表面の頁先頭位置と裏面の頁先頭位置とは一致する。第1ページ目の印刷データが感光体ドラム101上に形成し終わるタイミングになると、印刷装置は、図5に示すようにコントローラ17から第1回目のCPF_LEG−P信号を受信する。CPF_LEG−P信号を受信すると、制御タイミングの算出が実行される。
【0033】
ここで、制御タイミングの算出は、例えば以下のように行なわれる。すなわち、感光体ドラム101上に仮想的に設定される第2ページ目の頁先頭と、ウェブWの第2ページ目のトナーマークRmとを転写ポイントTPで一致させるには、感光体ドラム101上の第2ページ目の頁先頭が、図4に示す転写ポイントTPからL2の位置に来た時にトナーマーク19が検出される必要がある。従って、第2回目のCPF−N信号を受信してから制御タイミングまでの時間をt1、印刷装置のプロセス速度をVpとすると、t1は下記式(1)にて表される。
t1=(L1−L2)/Vp ・・・式(1)
【0034】
この制御タイミングに対するトナーマークRmの検出ずれ時間から、表面のページ先頭に対し裏面に印刷するページ先頭がどの程度ずれているかを把握し、トナーマークRmの検出タイミングが、制御タイミングよりも遅い場合はウェブ搬送速度を加速させる。逆に、トナーマークRmの検出タイミングが制御タイミングよりも早い場合はウェブ搬送速度を減速する。すなわち、トナーマークRmを検出するタイミングが制御タイミングと一致するようにウェブ搬送速度を制御する。この場合のウェブ搬送速度は、例えば、図6に示すように、ウェブ搬送モータから出力されるエンコーダパルス(WFモータエンコーダパルス)を基準パルス(WF基準パルス)に追従させることによって制御される。
【0035】
さらに、制御手段200は、上記制御に加え、トナーマークRmを検出する毎に、CPF−N信号が送信されてからトナーマークRmを検出するまでの時間(マーク時間)をRAM213等に記憶することが好ましい。トナーマークRmを検出する毎に、前回のトナーマーク検出時にメモリに記憶された旧データ(マーク時間t0)と、今回のトナーマーク検出時にメモリに記憶された新データ(マーク時間t2)との差Δtを、演算手段(CPU211)にて、例えば下記式(2)に基づき算出する。
Δt=t2−t0 ・・・式(2)
【0036】
また、制御手段200は、CPF長に対するΔtの割合だけ、その時点でのウェブ搬送速度を加速あるいは減速させる制御を行う。ウェブ搬送速度をVW、補正する速度をΔv1とすると、Δv1は下記式(3)にて求められる。
Δv1=(Δt/CPF長)×VW ・・・式(3)
このΔv1を当該検出時点におけるウェブ搬送速度VWに加えることにより、トナーマークRmを検出するタイミングと制御タイミングとが一致するようになる。
【0037】
以上の構成によれば、表面印刷時に通常の定着熱の影響などにより熱収縮してしまったウェブWが後段の印刷装置に送り込まれたとしても、表面の印刷位置に対して裏面の印刷位置を一致させることが可能となり、送り孔を持たないウェブに対する印刷信頼性を高めることができる。
【0038】
しかしながら、図2に示した印刷システムにおいて、例えば、障害などの発生により印刷動作が一時的な印刷停止状態にあるとき、ウェブWは図1に示す印刷装置の定着予備加熱プレート13aおよび加熱ロール13bにより加熱され続けることになり、通常の定着工程における熱作用による熱収縮よりも、大きく熱収縮変形することになる。なお、熱収縮が生じた領域とは、図7に示すように、定着予備加熱プレート(プレヒータ)及び加熱ロールにより加熱され続けた領域である。特に図11に示した最終的な定着手段となる加熱ロール13bは、熱源の温度が高いため、例えば、ニップ点13eを中心とした一定区間(以下、「L5」と表す)のウェブWは、停止中の熱作用による熱収縮が他と比べ大きくなる。
【0039】
図7に示すように、このL5が存在する頁をAとし、この状態で印刷を再開すると、第1の印刷装置P1から排出された熱収縮変形部分を持つ頁Aは、反転装置にて表裏が反転され、第2の印刷装置P2へ送り込まれる。このとき、熱収縮変形部分をもつ頁Aの後続の頁に形成された位置合わせマークの計測タイミングが、前に比べ相当早くなる。このため、図7に示す頁Aの裏面である頁Aの画像位置を整合させるためには、ウェブ搬送速度を相当量減速させる必要がある。
【0040】
図7に示す著しい熱収縮変形部分をもつ頁Aとその裏面のAの画像位置のずれを解決するため、本実施形態に係る印刷システムの制御手段200は、第1の印刷装置P1の転写位置から第2の印刷装置P2の転写位置までの搬送経路上に載置されたウェブWの頁数を把握する手段と、第1の印刷装置P1の熱定着装置における過剰加熱によりウェブWの熱収縮が生じた際の縮み量を、該縮み量を規定する条件に応じて記憶する記憶装置(図10のRAM214)とを有し、縮み量に応じて、ウェブWの両面に形成される画像の位置合わせを制御する。すなわち、記憶装置(RAM214)は、第1の印刷装置P1の熱定着装置13における過剰加熱により長尺記録媒体の熱収縮が生じた際の縮み量として、熱収縮が生じた領域のうち搬送方向先頭の単位領域に(A1)における縮み量を記憶するものである。また、記憶装置(RAM214)は、記憶した頁Aの縮み量により、頁Aの裏面のA上に形成される画像の搬送方向の長さを補正するものである。
【0041】
次に、図9を用いて、著しい熱収縮変形を有する頁Aの特定方法について説明する。図9に示すように、第1の印刷装置P1の転写点TPから加熱ロール13bと加圧ロール13cのニップ点13eまでの長さをL3、ウェブWの1頁の長さ(CPF長)をPL、第1の印刷装置P1の転写点TPから第2の印刷装置P2の転写ポイントTPとの間にあるウェブの頁数をXとした場合、印刷開始からニップ点13eを含む頁が第2の印刷装置P2の転写点TPを通過する頁数Yは、下記式(4)で表わすことができる。
Y=X−(L3/PL) ・・・式(4)
つまり、印刷開始からY頁目が、L5を含む割合が最も大きい熱収縮変形した第1面の頁Aとなり、メモリに記憶される。なお、L4は、第1の印刷装置P1のニップ点13eから第2の印刷装置P2の転写点TPまでの距離である。
【0042】
最も大きい熱収縮変形を有すると特定された第1面の頁Aの裏面の頁Aに形成される画像のトナー像を感光体ドラム101上に形成する際に、感光ドラムの回転速度を減速方向に短く補正することで、搬送方向に短くすることができ、図8に示すように頁Aと頁Aのウェブ搬送方向の画像の長さを整合させることができる。
【0043】
なお、感光体ドラム101を駆動させる感光体駆動モータの回転速度制御は、感光体駆動モータから出力されるエンコーダパルス(以下、「DRモータエンコーダパルス」と称する)を基準パルス(以下、「DR基準パルス」と称する)に追従させることによって制御される。従って、DR基準パルスの周波数を変更することにより、感光体ドラム101の回転速度を変えることができる。図6にウェブ搬送と感光体ドラムの同期制御を示すタイミングチャートを示す。
【0044】
なお、本実施形態においては、図7に示すように、位置合わせマークRmが頁先頭に1個存在しているため、感光体ドラムの回転速度の補正を頁長単位で実施しているが、位置合わせマークが頁上に複数ある場合は、その間隔で実施してもよい。
【0045】
次に、感光体ドラム101のDR基準パルス周波数を変更する方法について説明する。まず、頁Aの縮み量をΔxとすると、頁長PLに対するΔxの割合だけ、感光ドラム101の回転速度Vdを減速させる。感光体ドラムの速度をVd、補正する速度をΔv2とすると、Δv2は下記式(5)にて求めることができる。
Δv2=(Δx/PL)×Vd ・・・式(5)
【0046】
印刷開始からY頁目のトナー画像を感光体ドラム面上に形成する場合は、上述の位置合わせマークの検出タイミングと制御タイミングを合わせる制御と、位置合わせマークを検出する間隔による制御(通常の位置合わせ制御)を中断し、感光体ドラム101の回転速度Vdに式(5)で求めたΔv2を補正した速度となるようDR基準パルスを変更する。そして、Y頁目以降は補正前の速度に戻し、上述の通常の位置合わせ制御を実施する。
【0047】
(縮み量Δxの規定条件)
本実施形態に係る印刷システムでは、第1の印刷装置P1の熱定着装置13における過剰加熱により、上述した方法で特定される図8に示す著しい熱収縮変形を有する頁Aの熱収縮が生じた際の縮み量Δxを、以下に規定する条件に応じて記憶する。
【0048】
縮み量Δxを規定する条件として、例えば、第1の印刷装置P1の熱定着装置13内におけるウェブWの搬送停止による滞留時間(以下、「停止時間」ともいう)Tzが挙げられる。
【0049】
第1の印刷装置P1の熱定着装置13内での縮み量Δxは、図12に示すように、停止時間Tzが長くなるにしたがい大きくなり、一定時間(T)以上経過すると、縮み量の変化はなくなる。
【0050】
停止時間Tzは、例えば、図10に示したI/Oインターフェース18a及びバスBを介して接続されたタイマ18により計測され、RAM213に記憶される。そして、例えば、停止時間Tzに応じた縮み量Δxを、予め実験予測に基づいて決定する。例えば、停止時間Tzに応じた縮み量Δxとして、図14に示すようなテーブルをRAM213に記憶する。図14では、停止時間T以上のときの縮み量を△x、停止時間がT〜Tのときの縮み量を△x、停止時間がT〜Tのときの縮み量を△x、停止時間がT〜Tのときの縮み量を△x、停止時間0〜Tのときの縮み量を△xとして決定しており、それぞれ、T>T>T>T>0、△x>△x>△x>△x>△xの関係を有する。
【0051】
このように、ウェブWの搬送停止による滞留時間、すなわち、印刷停止時間によって縮み量を認識することができ、画像の表面と裏面の位置を容易に整合させることが可能となる。
【0052】
また、縮み量△xを規定する他の条件として、例えば、第1の印刷装置P1の熱定着装置13内の加熱ロール13bの設定温度Hが挙げられる。
【0053】
加熱ロール13bの温度設定としては、例えば、高温設定、中温設定、低温設定が設けられている。これらの温度設定は、ウェブの種類(厚紙、薄紙など)に応じて変更されるものであり、例えば、コントローラ17を介し、オペレータにより設定される。縮み量Δxは、図12に示すように、加熱ロールの温度設定Hが高温設定の場合(B)と低温設定の場合(A)とでは、高温設定(B)のほうが大きくなる。そして縮み量の変化がなくなるまでの時間は、低温設定(A)におけるTよりも、高温設定におけるTの方が短くなる。このような温度設定によって異なる縮み量Δxを、予め実験予測に基づいて決定し、図14に示す縮み量Δxのテーブルを各温度設定ごとに作成してRAM213に記憶しておことにより、設定温度に対する縮み量Δxを正確に決定することができる。
【0054】
このようにすることで、熱定着装置内の加熱ロールの設定温度によって縮み量を正確に決定することができ、画像の表面と裏面の位置を容易かつ精細に整合させることが可能となる。
【0055】
さらに、縮み量△xを規定する他の条件として、例えば、第1の印刷装置P1の熱定着装置13内で加熱されたウェブWの単位領域の長さである頁長が挙げられる。
【0056】
頁長が異なると、図11に示したニップ点13eを中心とした一定区間である「L5」の占める割合Sが異なるため、縮み量Δxも変化する。なお、L5の値としては、例えば、加熱ロール13bの径の長さや、搬送停止中の加熱ロール13bと長尺状記録媒体とのギャップの長さにより決定することができる。その他、インクジェット方式の場合は、例えば、インク付着量が多い区間は乾燥時の熱収縮も大きくなるため、インク付着量の多い区間の長さにより決定することができる。例えば、図13のDに示すようにS=50%の場合は、S=100%の場合(図13のC)に比べ、同等の停止時間に対して縮み量△xは小さくなる。そこで、本実施形態に係る印刷システムは、頁長を縮み量△xを規定する条件として、頁A上に占めるL5の割合を認識する。頁A上のL5の割合S(%)は、第1の印刷装置P1のニップ点13eから第2の印刷装置P2の転写点TPまでの距離をL4とすると、下記式(6)及び(7)で算出することができる。
【0057】
(L4+L5/2) %PL<L5/2の場合(ただし、「%」は除算時の余りを表す)
S=[L5−{(L4+L5/2) %PL}]/PL×100 ・・・式(6)
【0058】
(L4+L5/2) %PL>L5/2の場合
S=(L5/2+L4%PL) /PL×100 ・・・式(7)
【0059】
上記式(6)または式(7)で求めた割合Sに応じて、縮み量Δxを補正すればよい。補正は、例えば、図15に示すように、頁A上のL5の割合(S)に対応した係数Kのテーブルから、対応する係数を用いて行うことができる。図15に示す係数Kは、頁AのL5の割合(S)が100%のときを1としている。なお、上記式(6)及び式(7)から、Sは100%以上となる場合がある。補正した縮み量Δxsは、下記式(8)で算出することができる。
Δxs=K×Δx ・・・式(8)
【0060】
以上のように、各温度設定Hによる停止時間Tzと頁長から求めた頁A上に占めるL5の割合により、頁Aの縮み量Δxsを求めることができる。そして、該縮み量Δxsを上記式(5)に代入し、感光体ドラム101の補正速度を算出することができる。算出された補正速度で感光体ドラムの回転速度を変更することにより、図8に示すように頁Aの画像とその裏面に形成される頁Aの画像の位置をより精細に整合させることができる。こうして、印刷停止中に第一印刷装置P1の熱定着装置13の熱定着部付近で大きく熱収縮変形した部分を生じた頁について、該頁の裏面の画像位置を整合させることができる。
【0061】
このようにすることで、長尺状記録媒体の単位領域の長さの違いによって縮み量を正確に決定することができ、画像の表面と裏面の位置を容易かつ精細に整合させることが可能となる。
【0062】
以上説明した本実施形態に係る印刷システムによれば、熱収縮を生じた頁を有するウェブが、後段の印刷装置に搬送された場合であっても、当該頁に形成される画像の表面と裏面の位置を整合させることができる。また、縮み量として、熱収縮が生じた領域のうち搬送方向先頭の単位領域における縮み量を記憶することで、熱収縮が生じた領域の最も縮み量が著しい単位領域の縮み量を認識し、最も熱収縮が著しい当該頁に形成される画像の表面と裏面の位置を整合させることができる。
【0063】
なお、上記の実施形態では、電子写真式印刷装置を適用した構成を説明したが、ウェブWに対する印刷は、例えば、インクジェット方式による印刷装置でも実施することができる。この場合は、ヘッドから、直接ウェブの走査方向に印刷データに基づいた描画が行われる。このように、第2の印刷装置P2をインクジェット方式の印刷装置で構成した場合においても、第2の印刷装置P2による印刷を、第1の印刷装置P1による印刷に整合させることができる。
【0064】
なお、インクジェット方式による印刷の場合は、ウェブの加熱は、例えば、通常ウェブでのインクの乾燥を促進させるために行われる。そこで、ウェブの加熱が、第2の印刷装置P2において、ウェブ搬送路においてマークセンサ16の上流で行われる場合、上述のように印刷制御を行うと、許容範囲を超えて縮んだウェブに対しても、第2の印刷装置P2による印刷を、第1の印刷装置P1による印刷に正確に整合させることができる。
【0065】
また、上記の実施形態では、図9に示したように反転装置Tを有し、第1の印刷装置P1で印刷されたウェブの第1の面を反転させた第2の面に第2の印刷装置P2で印刷を行う例について説明したが、例えば、図16に示すように、反転装置Tを有さず、第1面の頁Aと同一面に第2の印刷装置P2で2度目の印刷(例えば、異なる色のトナー等による印刷)を実施する場合においても、上述の印刷制御により、第1の印刷装置P1で頁Aに印刷した画像と第2の印刷装置P2で頁Aに印刷する画像の長さを図17に示すように整合させることができる。なお、この場合、マークセンサ16は、上記実施形態の場合と異なり搬送経路を挟んだ対向側に設けられれば良い。また、マークセンサ16を、搬送経路を挟んで両側に設けておくことにより、反転装置Tを用いて両面側に印刷を行う場合と、反転装置Tを用いずに片面側に2度の印刷を行う場合とで使用するマークセンサ16を切り替えて上記位置合わせ制御を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
1 ガイドローラ
2 ウェブバッファ機構
2a 蓄積部
2b,2cローラ
2d,2e,2f,2g 光学的センサ
2h 軸(調節機構)
2i 錘(調節機構)
3 ガイド部材
4 異物除去機構
4a,4b,4c,4d シャフト
5 張力付加機構
5a ドラム
5b ローラ
5c ドラム
5d アーム
5e バネ
6 ガイドシャフト
7 ガイド板
8,9 搬送ローラ
9a バネ
10 印写部
11 搬送ベルト
11a 駆動ローラ
11b 従動ローラ
12 バッファプレート
13 熱定着装置
13a プレヒータ
13b 加熱ロール
13c 加圧ロール
13d ウェブ蛇行検出センサ
14 送出しローラ
15 スイングフィン
16 マークセンサ(検出手段)
16a I/Oインターフェース
17 コントローラ(印刷制御手段)
101 感光体ドラム
102 コロナ帯電器
103 光源
104 現像装置
105 転写器
106 清掃装置
200 制御手段(第2の印刷装置)
210 マイコン部
211 CPU
212 ROM
213 RAM
214 RAM
220 CPF信号処理部
221 波形成形回路
222 カウンタ
B バス
M モータ
Ma I/Oインターフェース
P1 第1の印刷装置
P2 第2の印刷装置
W ウェブ(長尺状記録媒体)
T 反転装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開2002−187660号公報
【特許文献2】特開2005− 96081号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状記録媒体の片面に画像を形成する第1の印刷装置と、
前記第1の印刷装置に画像が形成された前記長尺状記録媒体の同一面または裏面に画像を形成する第2の印刷装置と、を備える印刷システムであって、
前記第1の印刷装置は、前記長尺状記録媒体の搬送方向に、所定の長さで区画される単位領域に対応する位置合わせマークを形成するマーク形成手段を有し、
前記第2の印刷装置は、前記位置合わせマークを検出する検出手段、および検出された前記位置合わせマークの間隔及び検出タイミングのいずれかを計測し、該計測の結果に応じて前記長尺状記録媒体の搬送速度を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記第1の印刷装置の転写位置から前記第2の印刷装置の転写位置までの搬送経路上に載置された前記長尺状記録媒体の前記単位領域の数と、前記第1の印刷装置の熱定着装置における過剰加熱により前記長尺状記録媒体の熱収縮が生じた際の縮み量と、に基づいて前記長尺状記録媒体の両面に形成される画像の位置合わせを制御することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記長尺状記録媒体の熱収縮が生じた際の縮み量は、熱収縮が生じた領域のうち搬送方向先頭の前記単位領域における縮み量であることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記縮み量を、前記第1の印刷装置の熱定着装置内における前記長尺状記録媒体の搬送停止による滞留時間に基づいて規定することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記縮み量を、前記第1の印刷装置の熱定着装置内の加熱ロールの設定温度に基づいて規定することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記縮み量を、加熱された前記長尺状記録媒体の前記単位領域の長さに基づいて規定することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−48207(P2012−48207A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142854(P2011−142854)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】