説明

印刷制御装置および印刷装置

【課題】ラスタライズされて出力待ちキューに登録済みの印刷ジョブに係る印刷条件を端末装置から変更でき、かつその変更可能な期間を端末装置側のユーザが認識可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】複合機10は受信した印刷ジョブに係るラスタライズを行った後に該印刷ジョブを出力待ちキュー51に登録し、該印刷ジョブの印刷条件を変更可能な期間の開始を示す開始通知43を端末装置30に送信する。端末装置30から印刷条件の変更要求44を受信すると、変更後の印刷条件に従って再ラスタライズし、出力待ちキュー内の登録順位を変えずに変更前の印刷ジョブを変更後の印刷ジョブに置き換える。印刷開始時にはその印刷ジョブに係る印刷条件の変更可能期間の終了通知45を端末装置30に送信する。端末装置30では開始通知から終了通知までの間その印刷ジョブに対する印刷条件の設定変更が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受け付け済みの印刷ジョブに対する印刷条件を変更可能な印刷制御装置および印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、情報処理装置などの端末装置から印刷装置あるいはスプール機能を果たす印刷制御装置に通常の印刷ジョブを送信すると、その印刷ジョブに係るラスタライズ処理が行われてイメージデータが生成されて記憶された後、印刷ジョブはこのイメージデータと関連付けされて出力待ちキューの末尾に登録される。登録された印刷ジョブに係る印刷は、その印刷ジョブに関連付けて記憶されているイメージデータを用いて出力待ちキューの先頭から順に実行される。
【0003】
また、端末装置からデータを受信してもすぐに印刷を開始させない親展印刷などの場合は、ラスタライズ処理や出力待ちキューへの登録が行われない状態で印刷ジョブは記憶される(このような印刷ジョブを未展開ジョブとする。)。未展開ジョブは後に出力指示を受けた際にラスタライズされて印刷される。
【0004】
未展開ジョブに関しては、複数のジョブを連結し、1つのジョブでまとめて印刷するといった技術がある(たとえば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−130082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
未展開ジョブの場合は、端末装置から印刷装置へジョブを送信した後であっても複数のジョブを1つに統合するなどの変更を可能にする技術が存在する。しかしながら、受信後すぐにラスタライズ処理されて出力待ちキューへ登録される通常の印刷ジョブに対して、端末装置から送信後にステープルで綴じる処理の追加や片面印刷の指定を両面印刷に変えるなどの変更を行うには、印刷装置の操作パネルからその印刷ジョブを一度削除した後、変更後の印刷条件で印刷ジョブを端末装置から別途送信するといった方法しかなく、不便であった。また、一度ジョブを削除してから送信し直すと、出力待ちキューへの登録順位が下がってしまい、印刷物を取得するまでの待ち時間が長くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、ラスタライズされて出力待ちキューに登録済みの印刷ジョブに係る印刷条件を端末装置から変更でき、かつその変更可能な期間を端末装置側のユーザが認識することのできる印刷制御装置および印刷装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]通信部と、記憶部と、制御部とを備え、
前記制御部は、
端末装置から印刷ジョブを受信した場合に前記印刷ジョブに係るイメージデータをラスタライズにより生成して前記記憶部に記憶した後、該イメージデータと関連付けて前記印刷ジョブを出力待ちキューに登録する展開登録処理と、
前記出力待ちキューから印刷ジョブを取り出して、その印刷ジョブに係る印刷を、該印刷ジョブに関連付けて記憶されている前記イメージデータを使用して印刷装置に実行させる出力処理と、
前記出力待ちキューから印刷ジョブを取り出す際に、その印刷ジョブに係る印刷条件を変更可能な期間が終了したことを該印刷ジョブの送信元の端末装置に通知する終期通知処理と、
前記通知前の印刷ジョブに対する印刷条件の変更要求を端末装置から受信した場合に、前記出力待ちキューに登録されている前記印刷ジョブを、前記変更要求に従って印刷条件を変更した印刷ジョブに置き換える変更処理と、
を行う
ことを特徴とする印刷制御装置。
【0010】
上記発明では、ラスタライズして出力待ちキューに登録した印刷ジョブの印刷を開始する際に、その印刷ジョブに対する印刷条件の設定変更を可能な期間が終了したことを、当該印刷ジョブの送信元の端末装置に通知する。これにより、印刷条件を変更可能な期間の終期を端末装置側で認識することができ、該期間の経過後に変更要求が誤って発行されることが防止される。
【0011】
[2]前記制御部は、前記出力待キューにおける登録順位を変えずに、前記置き換えを行う
ことを特徴とする[1]に記載の印刷制御装置。
【0012】
上記発明では、印刷条件を変更しても印刷の順位が維持されるので、印刷条件の変更により印刷物を取得するまでの待ち時間が延びることはない。
【0013】
[3]前記制御部は、前記変更要求を受けた印刷ジョブに関連付けされて前記記憶部に記憶されているイメージデータを、前記変更要求に従って変更後の印刷条件で生成したイメージデータに更新する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の印刷制御装置。
【0014】
上記発明では、変更後の印刷条件に従ってラスタライズ処理が行われて新たなイメージデータが生成され、変更前のイメージデータはこの新たなイメージデータに置き換えられる。
【0015】
[4]前記制御部は、端末装置から受信した印刷ジョブに関する前記展開登録処理が完了したとき、前記印刷ジョブに係る印刷条件を変更可能な期間が開始したことを前記端末装置に通知する始期通知処理をさらに行う
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の印刷制御装置。
【0016】
上記発明では、出力待ちキューに印刷ジョブが登録されたとき、その印刷ジョブに係る印刷条件を変更可能な期間の開始がその印刷ジョブの送信元の端末装置に通知される。
【0017】
[5][1]乃至[4]のいずれか1つに記載の印刷制御装置と、印刷部とを備え、
前記印刷制御装置の制御部は、前記出力処理において、前記印刷ジョブに係る印刷を前記印刷部に実行させる
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る印刷制御装置および印刷装置によれば、ラスタライズされて出力待ちキューに登録されている印刷ジョブに係る印刷条件を端末装置から変更でき、かつその変更可能な期間を端末装置側で認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態に係わる印刷制御装置を備えた印刷装置としての複合機10の概略構成を示している。複合機10は、原稿を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部の端末装置へ送信したりするスキャン機能、外部の端末装置から受信した印刷用のデータに基づいて記録紙に印刷するプリンタ機能(印刷装置としての機能)、画像データを送受信するファクシミリ機能などを備えている。
【0021】
複合機10は、当該複合機10の動作を統括制御する制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11を備え、このCPU11にバス12を介して、画像読み取り部13と、印刷部14と、プログラムメモリ15と、システムメモリ16と、操作表示部18と、ハードディスク装置19と、不揮発メモリ21と、ネットワークI/F部22と、ファクシミリ通信制御部23が接続されている。
【0022】
画像読み取り部13は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。画像読み取り部13は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路、ラインイメージセンサの出力信号をデジタル信号に変換する変換器などを備えて構成される。
【0023】
印刷部14は、入力される画像データ(イメージデータ)に応じた画像を記録紙に印刷する機能を果たす。ここでは、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂、レーザープリンタとして構成されている。
【0024】
プログラムメモリ15は各種のプログラムを格納し、これらのプログラムに従ってCPU11が各種の処理を実行する。システムメモリ16はCPU11がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像メモリとして使用される。不揮発メモリ21には、ユーザ名、ユーザIDやパスワードといったユーザ認証に必要な情報のほか、複合機10の各機能の使用度数を示すカウンタなど、電源がオフされても保存しておくべき各種の情報が記憶される。
【0025】
操作表示部18は、押下された座標位置を検出するタッチパネルを表面に備えた液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)とテンキーやスタートボタンなどの各種操作スイッチとから構成され、各種の操作画面や設定画面、案内画面を表示したり、ユーザから各種の操作を受け付けたりする。
【0026】
ネットワークI/F部22は、ネットワークを通じて外部の端末装置と通信する機能を果たす。ファクシミリ通信制御部23は、ファクシミリ送信やファクシミリ受信のための通信制御を行う。
【0027】
ハードディスク装置19は大容量の不揮発記憶装置である。ハードディスク装置19には、外部の端末装置から受信した印刷ジョブに係わるデータやラスタライズ後のイメージデータなどが保存される。
【0028】
図2は、複合機10に対して印刷を依頼する端末装置30の概略構成を示している。端末装置30は、当該端末装置30の動作を制御するCPU31にバス32を通じてROM(Read Only Memory)33、RAM(Random Access Memory)34、操作部35、表示装置36、ネットワークI/F37、ハードディスク装置38などを接続して構成される。
【0029】
ROM33には、端末装置30を起動するための初期プログラムなどが格納される。ハードディスク装置38にはOSプログラム、文書データや図面データを作成可能なアプリケーションプログラムなどのほか、複合機10に対応したプリンタドライバ39のプログラムなどが格納される。RAM34はワークメモリなどとして使用される。CPU31は必要なプログラムをハードディスク装置38からRAM34に読み出して使用する。
【0030】
操作部35は、キーボード、マウス(ポインティングデバイス)などで構成され、ユーザから各種の入力操作を受け付ける。表示装置36は、液晶ディスプレイなどで構成されユーザに対して操作画面など各種の画面を表示する機能を果たす。ネットワークI/F37はネットワークを通じて複合機10と各種のデータを送受信するための通信制御機能を果たす。
【0031】
次に、複合機10の動作について説明する。
【0032】
複合機10は、端末装置30から通常の印刷ジョブを受信すると、直ちにラスタライズ処理を行ってビットマップ形式のイメージデータを作成し、当該印刷ジョブをこのイメージデータと関連付けて出力待ちキュー(印刷スプール)の末尾に登録する。そして、出力待ちキューの先頭から順に印刷ジョブを取り出して、その印刷ジョブに係る印刷を該印刷ジョブに関連付けて記憶されているイメージデータを使用して印刷する。出力待ちキューは、たとえば、システムメモリ16に作成される。また、通常の印刷ジョブとは、直ぐに印刷を開始するように設定された印刷ジョブである。
【0033】
ここでは、印刷ジョブを出力待ちキューから取り出す代わりに、ステータスを「印刷待ち」から「印刷中」に変更し、印刷が完了した時点でその印刷ジョブを出力待ちキューから削除するようになっている。すなわち、「印刷ジョブを出力待ちキューから取り出す」とは、印刷待ちの印刷ジョブの印刷を開始させることに相当する。なお、印刷を開始する際にその印刷ジョブを出力待ちキューから実際に取り出し、この印刷ジョブを別途設けた実行ジョブ登録エリアなどに移して管理するように構成されてもよい。
【0034】
複合機10は、さらに、出力待ちキューで印刷待ちの状態にある印刷ジョブに対して印刷条件の設定変更を受け付け可能に構成されている。また、出力待ちキューから印刷ジョブを取り出して(ステータスを印刷待ちから印刷中へ変更して)印刷を開始する際に、その印刷ジョブの送信元の端末装置に印刷条件の設定変更が可能な期間が終了したことを通知する機能を備えている。
【0035】
図3は、上記印刷動作の全体シーケンスを示している。まず、端末装置30から通常の印刷ジョブを複合機10に送信する(ステップS101)。このとき、印刷ジョブに係るデータとして印刷データ42とこの印刷データに基づいて印刷する際の印刷条件(印刷の設定内容)を示す印刷条件データ41とが端末装置30から複合機10へ送信される。印刷条件データ41は、部数、ステープルの有無、片面/両面印刷、Nin1設定などを示すものである。印刷条件データ41は、たとえば、PJL(Printer Job Language)などの制御コマンドで構成される。印刷データは、たとえば、印刷対象の文字列や図形、書式などを示すコード情報で構成される。
【0036】
複合機10は、印刷ジョブ(印刷条件データ41と印刷データ42)を受信し(ステップS201)、その印刷条件データ41に従って印刷データ42をラスタライズしてイメージデータを生成する(ステップS202)。ラスタライズ処理の後、当該印刷ジョブにジョブIDを割り当て、当該印刷ジョブを先ほど生成したイメージデータと関連付けて出力待ちキュー(印刷スプール)51の末尾に登録する。登録時のステータスが「印刷待ち」の印刷待ちジョブにされる。図3の例ではステップS203において、ジョブIDが「5」の印刷待ちジョブ5が出力待ちキュー51の末尾に登録されている。なお、受信した印刷データ42はジョブIDに関連付けされて、当該印刷ジョブに係る印刷が完了するまでハードディスク装置19に保存される。
【0037】
図4は、複合機10の操作表示部18に表示されるジョブリスト画面60の一例である。ジョブリスト画面60には、出力待ちキュー51に登録されている印刷中および印刷待ちの印刷ジョブに関する情報が出力待ちキュー51内での順位に従って表示される。詳細には、ジョブリスト画面60には、印刷ジョブ毎に、その印刷ジョブのユーザ(送信者)名、印刷対象のドキュメント名(ファイル名)、状態(印刷中/印刷待ち)、当該出力待ちキュー51に登録された時刻を示す登録時間、原稿枚数、印刷部数などが表示される。
【0038】
複合機10では、印刷待ちの印刷ジョブについてはその印刷条件を設定変更可能となっており、印刷待ちの状態から印刷中に変化した後は、その印刷ジョブに係る印刷条件の設定変更は不可になる。図4では、説明の便宜上、各印刷ジョブについて印刷条件の設定変更の可否を記載してある。
【0039】
さらに複合機10のCPU11は、印刷ジョブを出力待ちキュー51に追加登録したとき、当該印刷ジョブに係る印刷条件を設定変更可能な期間が開始したこと(言い換えると、出力待ちキュー51に印刷ジョブが登録されたこと)を示す開始通知43をそのジョブIDと共に、当該印刷ジョブの送信元である端末装置30に送信する(ステップS204)。
【0040】
端末装置30のプリンタドライバ39は、複合機10から送信されてくる開始通知43や後述する終了通知45などに基づいて、当該端末装置30から複合機10に送信した印刷ジョブの状態を認識して、該状態を示す所定の画面を表示装置36に表示する(ステップS102)。
【0041】
図5は、端末装置30のプリンタドライバ39がユーザからの表示要求に応じて端末装置30の表示装置36に表示する設定変更画面70の一例を示している。設定変更画面70には、当該端末装置30から複合機10に対して送信した印刷ジョブに関する情報がリスト表示されるスプールリスト71と、印刷ジョブの削除釦72と、一時停止釦73と、設定変更釦74とが表示される。スプールリスト71には、印刷ジョブ毎に、ドキュメント名、状態、ジョブID、ページ数、サイズ(データ量)、受付時刻などが表示される。
【0042】
図5は、複合機10の出力待ちキュー51が図4に示す状態の場合におけるユーザ(Yamada)の端末装置30に表示される設定変更画面70を例示したものである。ユーザ(Yamada)についてはファイルBに係る印刷ジョブとファイルEに係る印刷ジョブが印刷待ちの状態にあるので、ユーザ(Yamada)の端末装置30の設定変更画面70にはファイルBに係る印刷ジョブとファイルEに係る印刷ジョブが印刷待ちの状態で表示されている。
【0043】
設定変更画面70で印刷待ちの印刷ジョブの選択を受けた後、設定変更釦74が操作されると、プリンタドライバ39は、図示省略した印刷条件の変更画面を表示して印刷条件の変更操作を受け付ける(ステップS103)。変更画面には、たとえば、その印刷ジョブに対して現在設定されている印刷条件の内容がデフォルト表示され、ユーザは必要な箇所のみを変更する。たとえば、片面印刷を両面印刷に変更する、あるいは、2ページ分の画像を1ページに縮小印刷する2in1を設定するなどの変更操作を受ける。
【0044】
印刷条件の変更操作の受け付けが完了し、その変更の実行指示を受けると、端末装置30のプリンタドライバ39は、印刷条件を変更する印刷ジョブのジョブIDとその変更内容を示すデータとを含む変更要求44を複合機10に送信する(ステップS104)。変更要求44には印刷データは含まれず、XML(Extensible Markup Language)で構成されたPJLなどのプリンタ制御コマンドやジョブIDのみが送信される。印刷データ42は複合機10に保存されている。
【0045】
変更要求44を受信(ステップS205)した複合機10は、その変更要求44に含まれるジョブIDから変更対象の印刷ジョブを認識し、そのジョブIDに関連付けされている印刷データ42をハードディスク装置19から読み出し、この印刷データと変更要求44に含まれている変更後の印刷条件とに基づいてラスタライズ処理を行ってイメージデータ(新イメージデータとする)を生成する(ステップS206)。
【0046】
さらに、出力待ちキュー51に登録されている当該ジョブIDを有する変更前の印刷ジョブ(変更前)を、新イメージデータと関連付けした変更後の印刷ジョブに置き換えて更新する(ステップS207)。このように、出力待ちキュー51に存在している元の印刷ジョブを変更後の印刷ジョブに置き換えるので、出力待ちキュー51内での登録順位は変化しない。図3の例では印刷待ちジョブ5が同じジョブIDの印刷待ちジョブ5aに置き換えられている。
【0047】
なお、印刷条件の変更内容からラスタライズをやり直すか否かを判定し選択するように構成されてもよい。たとえば、ステープルで綴じる処理の追加などイメージデータを変更する必要のない印刷条件の変更の場合は、元のイメージデータをそのまま使用して新たな印刷条件でのラスタライズを省略してもかまわない。一方、画像の拡大縮小率を変更されたり、2ページ分を1ページに縮小してレイアウトする2in1が新たに設定されたりした場合は変更後の印刷条件でラスタライズする。
【0048】
複合機10は出力待ちキュー51に登録されている印刷ジョブをその先頭から順に印刷処理する。印刷中の印刷ジョブに係る印刷処理が完了すると、その印刷ジョブは出力待ちキュー51から削除され、新たに出力待ちキュー51の先頭となった印刷ジョブの状態が印刷待ちから印刷中に変更され、当該印刷ジョブの印刷が開始される(ステップS208)。
【0049】
また、印刷ジョブの状態を印刷待ちから印刷中に変化させる(出力待ちキュー51から取り出して印刷を開始する)際に、複合機10はその印刷ジョブの送信元の端末装置30に対して、印刷条件の設定変更可能な期間が終了したことを示す終了通知45を送信する(ステップS209)。終了通知45には、印刷条件の設定変更可能な期間が終了した印刷ジョブのジョブIDが含まれる。なお、先に終了通知45を送信してから印刷を開始することが好ましい。
【0050】
終了通知45を受信した端末装置30のプリントドライバ39は、その終了通知45に含まれるジョブIDの印刷ジョブをスプールリスト71から削除する(ステップS105)。これにより、以後、端末装置30からそのジョブIDの印刷ジョブに対する印刷条件の設定変更はできなくなる。
【0051】
すなわち、端末装置30から複合機10に送信した印刷ジョブに係る開始通知43を複合機10から受信した後、その印刷ジョブに係る終了通知45を受信するまでの間、端末装置30の設定変更画面70においてその印刷ジョブに対する印刷条件の設定変更が可能になる。
【0052】
このように印刷条件を設定変更可能な期間をリアルタイムに複合機10から端末装置30へ通知して端末装置30側のプリンタドライバ39に認識させるので、複合機10で印刷が開始された後にプリンタドライバ39側でその印刷ジョブに対する印刷条件の設定変更が行われるといった事態が防止される。
【0053】
図6は、図3の全体シーケンスにおける端末装置30のプリンタドライバ39の処理を示している。プリンタドライバ39はドライバ画面を表示装置36に表示する(ステップS301)。このドライバ画面にてユーザから印刷ジョブの送信指示を受けると、その印刷ジョブに係るデータ(印刷条件データ41と印刷データ42)を複合機10に送信する(ステップS302)。プリンタドライバ39は、当該印刷ジョブに係る開始通知43を複合機10から受信し、当該印刷ジョブのジョブIDおよび状態(ラスタライズされてスプールされたこと)を認識する(ステップS303)。
【0054】
その後、ユーザから所定の操作を受けるとプリンタドライバ39は設定変更画面70を表示する(ステップS304)。スプールリスト71内の印刷ジョブが選択された状態で設定変更釦74の操作を受けると(ステップS305、S306;Yes)、印刷条件を設定変更するための変更画面(変更用のドライバ画面)を表示して印刷条件の変更操作を受ける(ステップS307)。そして印刷条件の変更を実行する操作を受けると(ステップS308;Yes)、変更要求44を複合機10に対して送信する(ステップS309)。
【0055】
図7は、図3の全体シーケンスにおける複合機10の処理の流れを示している。端末装置30から印刷ジョブ(印刷条件データ41と印刷データ42)を受信すると(ステップS401)、その印刷ジョブに係るラスタライズ処理を行ってイメージデータを生成する(ステップS402)。該ラスタライズの完了後にそのイメージデータを関連付けて当該印刷ジョブを出力待ちキュー51の末尾に登録し、開始通知43を当該印刷ジョブの送信元の端末装置30(そのプリンタドライバ39)に送信する(ステップS403)。
【0056】
出力待ちキュー51に登録された印刷ジョブは印刷待ち状態で印刷の開始を待つ(ステップS404)。複合機10の操作表示部18には、図4に示すようなジョブリスト画面60が表示される(ステップS405)。
【0057】
その後、端末装置30のプリンタドライバ39から、出力待ちキュー51に登録されている印刷待ちジョブに対する変更要求44を受信すると(ステップS406)、その変更要求44が示す変更後の印刷条件にしたがってライスタライズ処理を行う(ステップS407)。さらに、出力待ちキュー51に登録されている当該変更要求に係る変更前の印刷ジョブを、新イメージデータと関連付けした変更後の印刷ジョブに置き換えて更新する(ステップS408)。
【0058】
その後、印刷処理の進行に伴って出力待ちキュー51内での登録順位が上がり、印刷開始の順位が到来すると、該印刷ジョブに係わる終了通知45をその印刷ジョブの送信元の端末装置30に送信する(ステップS409)。さらに、その印刷ジョブに係る印刷を実行する(ステップS410)。印刷が完了すると印刷完了通知を該当の端末装置30に送信して(ステップS411)処理を終了する。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0060】
たとえば、実施の形態では複合機10を例に説明したが、画像読み取り部13やファクシミリ通信制御部23などを具備せず、プリント機能のみを備えた印刷装置として構成されてもよい。さらに、実施の形態では複合機10で出力待ちキュー51の管理と印刷を実行するようにしたが、印刷部14を持たずに、ネットワークなどで接続された外部の印刷装置に印刷させる印刷サーバ(印刷制御装置)として構成されてもよい。たとえば、図1の複合機10から画像読み取り部13、印刷部14、ファクシミリ通信制御部23を取り去り、出力待ちキュー51から取り出した印刷ジョブに係る印刷をネットワークI/F部22を介して接続された外部の印刷装置に行わせるように構成されてもよい。
【0061】
また、実施の形態では開始通知43から終了通知45までの間をその印刷ジョブに係る印刷条件を設定変更可能な期間としたが、開始通知43の送信を省略し、印刷ジョブを最初に送信してからその印刷ジョブに係る終了通知45を受信するまでの間を印刷ジョブに係る印刷条件を設定変更可能な期間としてもよい。この場合、ラスタライズ待ちの印刷ジョブに対しても印刷条件の設定変更を受け付けるようにし、ラスタライズ前に変更要求44を受けた場合は、変更後の印刷条件で初回のラスタライズ処理を行うようにすればよい。
【0062】
このほか印刷完了まで印刷データ42をハードディスク装置19に記憶しておくようにしたが、印刷データ42をそのまま記憶することに代えて、何らかの前処理を印刷データに施した中間コードを記憶するように構成されてもよい。
【0063】
実施の形態では、印刷ジョブを出力待ちキュー51から取り出す代わりにステータスを「印刷待ち」から「印刷中」に変更し、印刷が完了したときその印刷ジョブを出力待ちキューから削除するようにしたが、印刷開始時にその印刷ジョブを出力待ちキュー51から取り出し、該印刷ジョブを、別途設けた実行ジョブの登録エリアなどに移して管理するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷制御装置を含む複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図2】複合機に印刷を依頼する端末装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る複合機および端末装置による印刷動作の全体シーケンスを示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る複合機の操作表示部に表示されるジョブリスト画面の一例を示す正面図である。
【図5】端末装置のプリンタドライバが表示する設定変更画面の一例を示す正面図である。
【図6】図3の全体シーケンスにおける端末装置のプリンタドライバ側の処理を示す流れ図である。
【図7】図3の全体シーケンスにおける複合機側の処理を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0065】
10…複合機
11…CPU
12…バス
13…画像読み取り部
14…印刷部
15…プログラムメモリ
16…システムメモリ
18…操作表示部
19…ハードディスク装置
21…不揮発メモリ
22…ネットワークI/F部
23…ファクシミリ通信制御部
30…端末装置
31…CPU
32…バス
33…ROM
34…RAM
35…操作部
36…表示装置
37…ネットワークI/F
38…ハードディスク装置
39…プリンタドライバ
41…印刷条件データ
42…印刷データ
43…開始通知
44…変更要求
45…終了通知
51…出力待ちキュー
60…ジョブリスト画面
70…設定変更画面
71…スプールリスト
72…削除釦
73…一時停止釦
74…設定変更釦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と、記憶部と、制御部とを備え、
前記制御部は、
端末装置から印刷ジョブを受信した場合に前記印刷ジョブに係るイメージデータをラスタライズにより生成して前記記憶部に記憶した後、該イメージデータと関連付けて前記印刷ジョブを出力待ちキューに登録する展開登録処理と、
前記出力待ちキューから印刷ジョブを取り出して、その印刷ジョブに係る印刷を、該印刷ジョブに関連付けて記憶されている前記イメージデータを使用して印刷装置に実行させる出力処理と、
前記出力待ちキューから印刷ジョブを取り出す際に、その印刷ジョブに係る印刷条件を変更可能な期間が終了したことを該印刷ジョブの送信元の端末装置に通知する終期通知処理と、
前記通知前の印刷ジョブに対する印刷条件の変更要求を端末装置から受信した場合に、前記出力待ちキューに登録されている前記印刷ジョブを、前記変更要求に従って印刷条件を変更した印刷ジョブに置き換える変更処理と、
を行う
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記出力待キューにおける登録順位を変えずに、前記置き換えを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記変更要求を受けた印刷ジョブに関連付けされて前記記憶部に記憶されているイメージデータを、前記変更要求に従って変更後の印刷条件で生成したイメージデータに更新する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、端末装置から受信した印刷ジョブに関する前記展開登録処理が完了したとき、前記印刷ジョブに係る印刷条件を変更可能な期間が開始したことを前記端末装置に通知する始期通知処理をさらに行う
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の印刷制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の印刷制御装置と、印刷部とを備え、
前記印刷制御装置の制御部は、前記出力処理において、前記印刷ジョブに係る印刷を前記印刷部に実行させる
ことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−260852(P2009−260852A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109627(P2008−109627)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】