説明

印刷可能枚数予測可能な印刷装置

【課題】 ユーザが指定した印刷枚数が、印刷装置に積載された印刷用紙の枚数より多い場合や、インク残量が指定した印刷枚数分より少ない場合、印刷が途中で中断されてしまう事がある。
【解決手段】 本発明は印刷装置に積載されている印刷用紙の枚数・印刷データ1枚分のインク消費量とインク残量・ユーザが指定した印刷枚数から実際に印刷可能な印刷枚数を予測し、ユーザが指定した印刷枚数印刷不可能な場合は、再度印刷枚数の設定を行える事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載量検知及びインク残量検知が可能な印刷装置及び印刷システムにおいてその積載枚数とインク残量・指定印刷枚数より印刷可能枚数を正確に予測する手法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、ユーザにより複数枚指定されたある印刷データの一枚分の印刷結果(ドットカウント)からインク使用量を測定し、そのインク使用量とインク残量から印刷可能枚数を予測していた。
【特許文献1】特開平11−221931
【特許文献2】特開2001−47699
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記技術では、インク使用量とインク残量から印刷可能枚数は予測できるが、実際に印刷装置に積載された印刷用紙の枚数は加味していない為、指定した枚数分印刷ができずに途中で紙なしエラーが発生してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では印刷装置に積載された印刷用紙の枚数情報を予め取得しておく事により、一枚印字した印刷結果よりユーザに指定された枚数分の印刷が可能か正確に予測する手段を有する。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、印刷途中にインクなしエラー及び紙なしエラーの発生を回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による印刷装置及び印刷システムについて説明する。
【0007】
図1は本発明を好適に説明可能な101ホストコンピュータと102印刷装置と103表示装置である。101ホストコンピュータには104プリンタドライバがインストールされている。102印刷装置内105CPUは印字データの作成、印字制御のためのモータ駆動、印字ヘッド吐出制御、104プリンタドライバから転送されたコマンドの解析などを行う演算装置である。106ROMはプリンタを駆動するための制御プログラム、各種固定値データ(モータの駆動テーブル等)、フォントデータ等が格納されている。106ROMは105CPUによって読み出されプログラムとして実行される。各種固定値データはそのまま初期値として使用されるものと、107RAMに展開され105CPUにより加工され使用される。107RAMはイメージデータの場合、105CPUによって読み込まれたイメージデータを指定された印字位置と対応する107RAM上に展開され印字データとして使用する。更に107RAMはプログラム実行に必要なワークメモリ、108I/Fから入力データの一時格納場所としての受信バッファとしても使用している。108I/Fは101ホストコンピュータと接続され、101ホストコンピュータにインストールされた104プリンタドライバから印字データ、プリント指示コマンド等のデータを受信するためのものである。本実施例の108I/FはUSBの規格に準拠した電気的仕様となっており、101ホストコンピュータからのデータだけでなく、102印刷装置の状態を101ホストコンピュータに転送するため、双方向の通信が可能なI/Fとなっている。109EEPROMはプリンタの設定状態を保管しておくだけでなく、その他、印刷枚数、インク残量なども格納されている。プリンタの状態としては、対応用紙、自動電源ON/OFFなどの機能項目、として格納されている。110モータコントローラは本実施例のプリンタにおいては、主走査方向に印字ヘッドを走査させて印字を行うプリンタ、印字ヘッドを1回、又は複数回走査させて印字を行うために使用する。110モータコントローラへの制御は105CPUが行い印字はモータの等速域と加減速領域を使用して印字が行われる。110モータコントローラのもう一つの制御は紙を進行方向へ移動させるためのモータであるラインフィードモータコントローラである。このモータはヘッド走査用のモータとは独立で動作可能であり、通常印刷においては、ヘッド走査用モータが1回または複数回走査後、ラインフィードモータコントローラが所定量紙を送る制御を行う。112バスラインはデータを転送するためのデータ及びアドレスバスである。111積載量検知は印刷装置に積載されている印刷用紙の総重量または高さを検知する手段を有している。105CPUが112バスラインを使用し、105から111までの各ユニットを制御する。
【0008】
印刷装置の給紙口に積載された印刷用紙の積載量検知の第一の手段としては、積載された印刷用紙の総重量を111積載量検知で検知し、そのデータを104プリンタドライバによって指定された用紙種類1枚毎の平均重量で割る手段が考えられる。また第二の手段としては、積載された印刷用紙の高さを111積載量検知で検知し、そのデータを104プリンタドライバによって指定された用紙種類1枚毎の平均高さ(厚さ)で割る手段が考えられる。この指定された用紙種類の平均重量又は平均高さのテーブルは106ROM上に持つものとする。
【0009】
図2は104プリンタドライバのブロック図である。この104プリンタドライバには201印刷管理部、202積載枚数計測要求出力部、203ドットカウント計測要求出力部、204計測データ取得部、205積載枚数検出部、206インク消費量検出部、207印刷枚数予測部の機能ブロック及び208スプールファイルを備えて構成される。なお、実際にはユーザインターフェース画面となる種々のダイヤログやウインドウの描写を行う描写処理部や102印刷装置との間で種々のデータ送受信を行う通信管理部等も備えるが、これらは公知の物を用いることが出来るので、ここでは本発明を実施する上で必要な機能のみを挙げる。201印刷管理部は、101ホストコンピュータからの印刷要求に基づく印刷データをイメージ展開し、展開後のデータを102印刷装置が解読可能な形態の制御コードに変換して208スプールファイルに保存するものである。
【0010】
202積載枚数計測要求出力部及び203ドットカウント計測要求出力部は、101ホストコンピュータからの指示に基づき、1ページ分の印刷データについての積載枚数の計測要求及びドットカウント数の計測要求を102印刷装置に送信する。204計測データ取得部は、積載枚数計測要求及びドットカウント計測要求の送信に対応して102印刷装置に積載された用紙情報及びドットカウンタが計測したドットカウント数を取得するものであり、205積載枚数検出部では、204計測データ取得部が取得したデータより積載枚数を計測し、また206インク消費量検出部では、204計測データ取得部が取得したドットカウント数を1ページ分の印刷データに基づくインク消費量に換算するものである。307印刷枚数予測部では、積載枚数と1枚分の印刷データに対応するインク消費量と109EEPROM内のインク残量とから上記印刷データに基づく印刷が何枚分可能かどうかを予測するものである。
【0011】
図3は積載枚数の予測時における102印刷装置及び103プリンタドライバに関するフローチャートである。
【0012】
ユーザに指定された印刷用紙種類を積載枚数計測要求出力部より102印刷装置へ出力する。(S301)102印刷装置では、104プリンタドライバから出力された用紙種類データを108I/Fで受信し、107RAMに保存する。(S302)その用紙種類データをもとに108ROM内に保存されている印刷用紙別重量または高さテーブルより平均重量または平均高さを取得する。(S303)同様に重量検知部でも積載されている印刷用紙の総重量または高さを取得し、109EEPROMに保存する。(S304)S303及びS304で取得したデータを計測データ取得部に通知(S305)通知されたデータをもとに積載枚数検出部では積載枚数を予測する。(S306)
図4は印刷可能枚数の予測時における102印刷装置及び103プリンタドライバに関するフローチャートである。
【0013】
ユーザに指定された複数枚の印刷データの内1枚分の印刷データをドットカウント計測要求出力部から102印刷装置へ出力する。(S401)102印刷装置では、104プリンタドライバから出力されたデータを108I/Fで受信し、107RAMに展開し印刷及びドットカウント計測を行う。(S402)計測されたドットカウント数は109EEPROMに保存され計測データ取得部へ通知される。(S403)計測データ取得部にて受信されたデータをもとにインク消費量計測部では印字可能枚数を予測する。
【0014】
図5は106ROM上に用意されている印刷用紙別重量または高さテーブルの例を示したものである。
【0015】
図6は図3積載枚数検出フローチャート及び図4インク消費量検出フローチャートより計測されたデータとユーザからの指定枚数をもとに、最終的に印字可能な用紙枚数を予測し、印刷管理部より101ホストコンピュータを介し103表示装置上に表示するためのフローチャートである。
【0016】
積載枚数と指定印刷枚数を比較する。(S601)印字可能枚数と指定枚数を比較する。(S602)印字可能枚数と指定印刷枚数を比較する。(S603)
表示例としては、
表示例1:指定した枚数で印字可能です。(S604)
表示例2:指定した枚数(○○枚)ですと、△△枚でインクが足りなくなってしまいます。(S605)
表示例3:指定した枚数(○○枚)ですと、××枚で用紙が足りなくなって
しまいます。(S606)
表示例4:指定した枚数(○○枚)ですと、△△枚でインクが、××枚で用紙が足りなくなってしまいます。(S607)
となり、印字不可能な場合は再設定ダイアログを表示する等の処理をする事が考えられる。もちろんS604は印字可能なので表示しなくても構わないし、S607はどちらかの枚数を表示する事も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明により、ユーザは1枚印字した時点で設定した枚数印字可能か不可能か知ることができるようになり、紙なしエラー及びインクなしエラーを事前に回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態を示す要部のブロック図。
【図2】本発明の印刷装置の制御ブロック。
【図3】本発明の積載量検知のフローチャート。
【図4】本発明のインク消費量検知のフローチャート。
【図5】本発明の積載枚数予測用テーブル。
【図6】本発明の印刷枚数予測のフローチャート。
【符号の説明】
【0019】
101 ホストコンピュータ
102 印字装置
103 表示装置
104 プリンタドライバ
105 CPU
106 ROM
107 RAM
108 I/F
109 EEPROM
110 モータコントローラ
111 印字ヘッド・コントローラ
112 積載量検知部
113 アドレスバス
201 印刷管理部
202 積載枚数計測要求出力部
203 ドットカウント計測要求出力部
204 計測データ取得部
205 積載枚数検出部
206 インク消費量検出部
207 印刷枚数演算部
208 スプールファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置に積載された印刷用紙の積載枚数を検知する手段及びインク残量から印刷可能枚数を予測する手段を有する印刷装置において、ユーザが指定した印刷枚数と検知された印刷用紙の積載枚数とインク残量から予測した印刷可能枚数から実際に印刷可能な印刷枚数を予測する事を特徴とする。
【請求項2】
請求項1に記載の積載枚数検知手段として、給紙口に積載された印刷用紙の総重量と印刷用紙の平均重量から求める事を特徴とする。
【請求項3】
請求項1に記載の積載枚数検知手段として、給紙口に積載された印刷用紙の高さと印刷用紙の平均高さから求める事を特徴とする。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷装置において、予測された印刷可能枚数に応じて異なる表示ダイアログを表示する機能を有することを特徴とする。
【請求項5】
請求項1に記載の印刷装置において、予測された印刷可能枚数に応じて印刷指定枚数を変更することが可能な手段を有することを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−23918(P2006−23918A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200538(P2004−200538)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】