印刷流体容器
印刷流体容器(300)は、外周を有する最前面を設けたタンクを備える。冗長インターフェース要素(304、306、308、310)は、外周の内部で最前面から窪んでいる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
インクジェット印刷システムは、有限量のインクを保持する1つ又は複数の交換式インク容器を利用する場合が多い。インク容器がインクを送出することができない場合、インク容器を交換することができる。たとえば、インク容器内のインクのすべてが使用され、インク容器が空である場合、インク容器を交換することができる。多くの既知のインク容器は、インク容器内のインクのすべてを送出することはできず、一部のインクがインク容器内に残っていても、実際上は空であると見なされる。そのようなインク容器は、インク容器がインクを十分に送出しなくなると、交換されることができる。ユーザは、頻繁に交換する必要がないインク容器を一般的に好む。さらに、ユーザは、交換が必要なときに比較的交換しやすいインク容器を一般的に好む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0002】
図1は、流体噴射システム10を概略的に示す。流体噴射システムは、さまざまな実施形態においてさまざまな異なった流体を対応のさまざまな異なった媒体上に噴射するように構成されることができるが、本開示は、インクを紙に噴射、すなわち印刷するのに使用される例示的な印刷システムに焦点を当てる。しかしながら、他の印刷システムも、印刷以外の用途に設計された流体噴射システムとともに、本開示の範囲に含まれることを理解されたい。
【0003】
流体噴射システム10は、制御システム12、媒体位置決めシステム14、流体送出システム16及び制御インターフェース18を備える。制御システム12は、プリント回路板、プロセッサ、メモリ、特定用途向け集積回路などの、受け取った流体噴射信号20に対応する流体噴射を実行する構成部品を含むであろう。流体噴射信号は、有線又は無線制御インターフェース18、若しくは他の適当な機構を介して受信されるであろう。流体噴射信号は、所望の流体噴射処理を実行する命令を含むであろう。そのような流体噴射信号を受け取ると、制御システムは媒体位置決めシステム14及び流体送出システム16を協働させ、それにより、流体を媒体22上に噴射させるであろう。一例として、流体噴射信号は、印刷すべき特定の画像を画定する印刷ジョブを含むであろう。制御システムは、その印刷ジョブを分析して、印刷ジョブによって画定される画像を再現するパターンでインクなどの流体を紙の上に噴射する。
【0004】
媒体位置決めシステム14は、流体噴射システムと、流体噴射システムが流体を噴射しようとする媒体との相対位置付けを制御するであろう。たとえば、媒体位置決めシステム14は、紙を前進させて流体噴射システムの印刷帯24を通過させる紙送りを含むであろう。媒体位置決めシステムは、追加的又は代替として、流体を印刷帯の異なった領域に噴射するためにプリントヘッド又は他の適当な装置を横方向に位置決めする機構を有するであろう。流体が媒体の所望の部分だけに噴射されるように、媒体及び流体噴射システムの相対位置が制御されるであろう。一部の実施形態では、媒体位置決めシステム14は、2つ以上の異なった種類及び/又は寸法の媒体に適応するように選択的に構成可能であろう。
【0005】
図2は、印刷流体送出システム16’の形の例示的な流体送出システムを概略的に示す。印刷流体送出システムは、走査プリントヘッド30を備え、これは、印刷流体を流体供給部から受け取り、且つその印刷流体を印刷媒体上に噴射するようになっている1つ又は複数のノズルを有するであろう。ノズルは、制御システムに動作接続されている、半導体抵抗器などの流体エジェクタと組み合わされるであろう。制御システムにより、流体エジェクタは、その流体エジェクタに送出された印刷流体を選択的に加熱するであろう。流体エジェクタとして抵抗器を利用する実施形態では、抵抗器は、電流を1つ又は複数のパルスで抵抗器に流すことによって励起されるであろう。加熱された印刷流体は、少なくとも部分的に蒸発して、印刷流体気泡を生じるであろう。印刷流体気泡の膨張により、印刷流体の一部が対応のノズルから印刷媒体上に噴射されるであろう。プリントヘッドは、単色のインク又は2つ以上の異なった色のインク、プレコンディショナー、定着液及び/又は他の印刷流体とともに印刷するようになっているであろう。流体を媒体上に噴射するための他の機構を使用することも、本開示の範囲に含まれ、プリントヘッド30は、非制限的な例として提示されている。たとえば、プリントヘッドは、振動などの非熱的機構を介して流体噴射を実行するように構成された流体エジェクタを含むことができる。
【0006】
印刷流体送出システム16’は、軸外インク供給ステーション40を備える。「軸外」インク供給部は、プリントヘッドから離して配置され、それにより、インク供給部はほぼ静止状態のままでありながら、プリントヘッドが印刷帯を横切って走査することができるであろう。そのような構造は、プリントヘッドアセンブリの総重量を、軸上インク供給部を備えるプリントヘッドアセンブリと比べて減少させるであろう。相対的に軽量のプリントヘッドアセンブリは、移動のために相対的に少ないエネルギーを必要としながら、一体形軸上インク供給部を備えたプリントヘッドより高速、低騒音且つ/又は低振動で移動するであろう。軸外インク供給部は、インク供給部の補充を容易にするためにアクセスしやすく位置付けられ、かつ所望量のインクを収容できる寸法を有することができる。より詳細に後述するように、印刷流体容器を印刷システム内に横方向に挿入することができるように、インク供給ステーションは前面挿入式として構成されるであろう。軸外インク供給部が静止位置にあり、且つそのアクセスが比較的容易であることにより、比較的大量のインクを貯蔵し、且つ送出することができる。
【0007】
軸外インク供給部は、単色又は複数色のインクを他の印刷流体とともに貯蔵し、且つ送出するための容器を備えるであろう。たとえば、インク供給ステーション40は、6個の対応するインク容器を収容するように構成された6個のインク容器ベイを備える。図示の実施形態では、インク供給ステーション40は、黄色ベイ42、暗マゼンタベイ44、明マゼンタベイ46、暗シアンベイ48、明シアンベイ50及び黒色ベイ52を含み、これらはそれぞれ、黄色インク容器54、暗マゼンタインク容器56、明マゼンタインク容器58、暗シアンインク容器60、明シアンインク容器62及び黒色インク容器64を受け取るようになっている。他の印刷システムは、上記のものと異なる色を含めて、より多くの、又はより少ない色を使用するように設計されてもよい。本明細書で使用するとき、「インク」は、包括的な意味で使用され、それにより、やはりインク容器によって保持され、且つ流体送出システムを介して送出されることができる、プレコンディショナー、定着液などの他の印刷流体を指すことができることを理解されたい。同一色及び/又は種類の印刷流体を保持する2つ以上のインク容器を同一の印刷システム内に使用してもよい。一部の実施形態では、インク容器ベイの1つ又は複数を、別のインク容器ベイと異なった寸法にしてもよい。たとえば、図示の実施形態では、黒色ベイ52がその他のインク容器ベイより大きく、したがって、相対的により大きいインク容器を収容することができる。より詳細に後述するように、1つの特定のインク容器ベイが、異なった寸法のインク容器を収容してもよい。
【0008】
インク送出システム16’は、インクをインク供給ステーションからプリントヘッドに移動させるように構成されたインク搬送システム70を有する。一部の実施形態では、インク搬送システムは、インクをインク供給ステーションからプリントヘッドに、またその逆に移動させることができる両方向搬送システムであろう。インク搬送システムは、各色のインク用に1つ又は複数の搬送路を有することができる。図示の実施形態では、インク搬送システム70は、インク供給ステーションのインク容器をプリントヘッドに連結するチューブ72を有する。図示の実施形態では、インク容器をプリントヘッドに流体結合するそのようなチューブが6本ある。チューブは、プリントヘッドが印刷帯を横切って走査することができるだけの十分な長さ及び可撓性を備えて構成され得る。さらに、チューブは、チューブが搬送するインクに対して少なくとも部分的には化学的に不活性であり得る。
【0009】
インク搬送システムは、インク搬送路を通ってインクの搬送を実行するように構成された1つ又は複数の機構を有し得る。そのような機構は、インクの移動を促進する差圧を生じるように働くことができる。図示の実施形態では、流体搬送システム70は、各チューブ72を通るインクの搬送を実行するように構成されたポンプ74を備える。そのようなポンプは、インクを対応のインク搬送路を通して異なった方向に移動させるように構成されている両方向ポンプとして構成されてもよい。
【0010】
インク搬送路は、2つ以上の部分を含み得る。たとえば、各チューブ72は、インク容器をポンプに連結する静的部分76と、ポンプをプリントヘッドに連結する動的部分78とを有する。搬送路は、静的部分を動的部分に有効に連結し、且つポンプと相互作用してインクの搬送を実行するポンピング部分も有し得る。インク搬送路の個々の部分は、1つ又は複数の相互接続部によって流体連結されている、物理的に個別のセグメントであってもよい。一部の実施形態では、インク容器をプリントヘッドに連結する単一長のチューブが、静的及び動的部分を含めた2つ以上の部分に機能的に分割され得る。図示の実施形態では、動的部分78は、印刷中に移動する走査プリントヘッドに静止インク供給ステーションを連結するようになっており、したがって、動的部分は、プリントヘッドとともに移動し、且つたわむように構成されている。静止インク供給ステーションを静止ポンプに連結する静的部分は、ほぼ固定状態にあってもよい。
【0011】
インク供給ステーション40のインク容器は、容器に対するインクの流出入を容易にするように構成されたベントを有し得る。たとえば、ベントは、インク容器の内部を大気に流体結合し、それにより、インクの搬送を妨げる可能性がある不都合な圧力勾配の低減を助けるであろう。そのようなベントは、インクがベントを通ってインク容器から出るのを制限し、それにより、不必要なインクの消失を防止するように構成されるであろう。流体インターフェースの形の例示的なベントについてより詳細に後述する。
【0012】
印刷流体送出システム16’は、インク蒸発及び/又は他のインク損失を低減させるように構成されたベント室90を有し得る。インク供給ステーション40の各インク容器は、そのインク容器のベントをベント室に連結するチューブ92を介してベント室90に流体結合され得る。言い換えると、インク容器のベントをベント室に接続し、それにより、インク容器及びプリントヘッド間のインクの搬送を容易にすることができる。ベント室は、大気へのインクの蒸発を制限しながら、不都合な圧力勾配を低減させ得る。一部の実施形態では、ベント室90は、インク損失を制限するラビリンスを備え得る。ベント室90は、実質的に静止した位置に固定され得る。
【0013】
上述したように、図2は、印刷流体送出システム16’を幾分概略的に示す。印刷流体送出システムの構成要素の正確な配置は、所望の工業デザインに従って物理的に配置され得る。同様に、本開示の範囲に入っている限り、個々の要素を図示の実施形態から変化させてもよい。本開示による印刷流体送出システムを利用する流体噴射システムの設計時に考慮されることができる因子には、寸法、形状、アクセス及び審美性が含まれる。軸外インク供給部を参照しながら説明し、且つ図示するが、本明細書に記載の原理の多くが軸上インク供給部にも適用可能であることを理解されたい。軸外インク供給部は非制限的な例として提示されており、軸上インク供給部も本開示の範囲に入る。
【0014】
図2は、取り外し状態の暗シアンインク容器60を実線で示す。破線61で示されているように、暗シアンインク容器は、インク供給ステーション40内に取り付けられることができる。同様に、インク供給ステーション40のその他のインク容器についても取り付け及び取り外しを選択的に行うことができる。このように、満杯状態のインク容器を取り付けることにより、使い尽くされたインク供給部を補充し、これにより、流体噴射システムの動作寿命を延ばすことができる。インク供給ステーションは、個々のインク容器を互いに独立的に交換することができるように構成されることができる。たとえば、1つのインク容器だけが使い尽くされた場合、そのインク容器を交換し、その他のインク容器はそのままにしておくことができる。さらに、2つ以上の異なった印刷流体及び/又は色を共通の容器アセンブリ内に収容する一括式インク供給部をインク容器ベイ内に着座させてもよい。図2は、インク容器60がインク供給ステーション40内にほぼ垂直方向に取り付けられるように示しているが、必ずしもそうである必要はないことを理解されたい。インク供給ステーション40は、横方向に取り付けられるインク容器を受け取るような向きにすることができる。
【0015】
インク送出システムは、送出に使用可能なインク量を追跡するように構成されたインクレベルモニターを含むことができる。インクレベルモニターは、個別のインク容器、同一色のインクを供給するインク容器群、及び/又はシステムの一括式インク供給部を個別に監視するように構成されることができる。インクレベルモニターが通報システムと協働し、それにより、ユーザにインクレベルの状態を知らせてもよく、それにより、ユーザはインクレベルを推定し、且つインク補充の準備をすることができる。さらに、より詳細に後述するように、インク容器にメモリ及び関連の電気インターフェースを設けて、インク容器のインクレベルに関する情報をそのようなメモリに記憶し、且つ電気インターフェースを介して伝達してもよい。
【0016】
図3及び図4は、インク容器102を選択的に受け取るように構成された例示的なインク容器ベイ100のより詳細な図を示す。図3は、インク容器ベイ100を開放位置に示し、図4は、インク容器ベイを閉鎖位置に示し、この場合、インク容器ベイはインク容器102を保持している。インク容器ベイは、インク容器の一部分と対になるように適応させた受け座104を備えることができる。言い換えると、受け座104とインク容器の一部分とは相補的に構成され、それにより、インク容器を受け座内に合体することができる。受け座は、インク容器の一部分、たとえば、インク容器蓋及び/又はインク容器タンク本体の肩部分の寸法及び形に合った寸法及び形を有し得る。インク容器ベイは、インク容器を所定位置に保持するように適応させたラッチ部材106を有し得る。図示の実施形態では、ラッチ部材106は、ヒンジを中心にして回動し、それにより、インク容器102のリム部分108に係合する。リム部分108は、ラッチ面の一例であり、ラッチ部材がこれに係合し、それにより、インク容器をインク容器ベイ内に保持することができる。図示の実施形態では、ラッチ部材106は、インク容器102の後部分112を挿通することができる開放空隙110を有する。インク容器を所定位置に保持するように構成された1つのラッチ部材、又は2つ以上のラッチ部材の組み合わせを、異なった寸法のインク容器に対応するように構成してもよい。一部の実施形態では、ラッチ部材が、インク容器の1つ又は複数の部分、たとえばリム部分108のラッチ面に係合することができる。図示の実施形態では、ラッチ部材106は、後部分112を開放空隙110に挿通している間、インク容器の各側のリム部分108に係合するように構成されたプランジャ114を有する。プランジャ114は、ラッチ部材106が閉鎖位置にあるとき、インク容器102に着座圧力を加えるようになっている弾性部材を備える。一部の実施形態では、2つ以上のラッチ部材が、大きな後部分を容易にする個別移動式構成部品であってもよく、若しくは一体形ラッチ部材を、大きな後部分に対応するように構成することができる。さらに、一部の実施形態では、インク容器を所定位置に保持するために、代替又は追加のラッチ機構を使用してもよい。
【0017】
図5〜図7は、インクを内部に収容することができる限界体積を共同で画定するように相補的に構成されたインク容器蓋122及びインク容器タンク本体124を有するインク容器120を示す。インク容器蓋及びタンク本体は、総称してタンク、インクタンク又は印刷流体タンクと呼ばれるであろう。一部の実施形態では、そのようなタンクは、単一の構造部材片で、又は図示の実施形態に示されたものとは異なって接続される2つ以上の部材片から形成されることができる。蓋122は、タンク本体を蓋に結合したときにインク容器の内側の方に面する内側を有することができる。蓋は、タンク本体に係合するか、又は、他の方法で蓋をタンク本体に固定するようになっている1つ又は複数の部分を備え得る。一部の実施形態では、蓋及びタンク本体を互いに取り外し可能に固定することができる一方、一部の実施形態は、ほぼ永久的な構造に接続された蓋及びタンク本体を使用し得る。ガスケット又は他の適当なシールを、蓋122とタンク本体124との間の接合面にはめ付け、それにより、蓋及びタンク本体が多量のインク又は他の印刷流体を保持する能力を高めるようにしてもよい。
【0018】
インク容器120は、自由体積のインクを保持するようになっている遊離型インク容器として構成されてもよい。本明細書で使用するとき、自由体積のインクとは、スポンジ、発泡体、インクサック又は同様な中間保持装置及び/又は背圧印加機構を用いることなく、容器内に保持される、多量の(或る量の)インクのことである。遊離型インク容器は、その境界内でほぼオープンであり、そのため、比較的大きい割合の閉鎖空間にインクを満たすことができ、インクはタンク内を自由に流れることができる。本明細書により詳細に記載するように、インク容器120の構造により、自由体積のインクをインク容器から引き出し、且つプリントヘッドに送出することができる。さらに、後述するように、非常に高い割合の自由体積のインクを遊離型インク容器から引き出すことができ、このため、残留インクの量が抑えられる。
【0019】
インク容器蓋122は、インク容器の内容物から離れる方に面する外面126を有する。外面126は、インク容器を対応のインク容器ベイ内に取り付けたとき、インク容器の「前」向き部分になるように構成されることができる。したがって、外面は、インク容器の最前面と呼ぶ、又はインク容器の最前平面に整列すると言うことができる。一部の実施形態では、印刷流体容器の蓋以外の部分が、印刷流体容器の最前面であってもよい。
【0020】
インク容器蓋122は、ほぼ平坦なプロファイルを有する外面126を備えることができる。より詳細に後述するように、外面は、機械的位置合わせ及び/又はキー結合を行うようになっている1つ又は複数の凹部を有することができる。外面は、インク容器の外側からインク容器の内側まで通る穴を追加的に、又は代替として有することができる。そのような穴は、印刷流体及び/又は空気をインク容器の内部からインク容器の外へ、又はその逆に移動させるための流体インターフェースとして使用されることができる。各凹部、穴及び/又は他のインターフェースの入口点を同一の最前面上に配置することができる。一部の実施形態では、印刷流体容器のさまざまなインターフェースへの入口点を、最前面の別の部分より上方に隆起したタワー上に配置してもよい。そのような実施形態は、ほぼ平坦なプロファイルを有さないが、さまざまな機械的、流体的及び/又は電気的インターフェースの入口点を共通の最前平面上に位置合わせさせることができる。一部の実施形態では、各インターフェースへの入口点は、最前平面の各側の許容距離内に配置されることができる。たとえば、一部の実施形態では、或るインターフェースの入口点と別のインターフェースの入口点との前方又は後方の変動が約5mm未満であることができるが、ほとんどの実施形態では、そのような変動が約2mm未満、さらには1mm未満であろう。ほぼ平坦なプロファイルを有する外面を有するインク容器蓋は、ほぼ平坦なインク容器蓋と呼ぶことができるが、そのようなインク容器蓋は、測定可能な厚さ、凹凸状の内側及び/又は外面上の1つ又は複数の表面誤差を有することができる。
【0021】
インク容器蓋122は、2つ以上の構造部材片の組み合わせと異なって、単一式構造部材片130として構成することができる。そのような部材片は、強度、重量、加工性、コスト、インクとの適合性、及び/又は他の考慮事項に基づいて選択された材料から成形、押し出し、又は他の方法で形成されるであろう。たとえば、蓋は、適当な合成材料から射出成形されることができる。単一式構造部材片による構造は、内側及び外面が同一の材料部材片の両側であるインク容器蓋をもたらす。
【0022】
単一式構造部材片から構成されたインク容器蓋は、相補的な補助構成要素を備えることができる。たとえば、インク容器蓋及びタンク本体間の液密シールを向上させるために、ガスケットを使用してもよい。単一式構造部材片内に形成される流体インターフェースには、インクをインク容器内に選択的に密封するように構成されたシールを取り付けることができる。シールは、隔壁、ボール及び隔壁アセンブリ、又は他の機構の形をとることができる。メモリ装置をインク容器蓋122に取り付けることができ、インク容器蓋は、メモリ装置との間でデータを転送するための電気インターフェースを装備することができる。そのような補助構成要素は、インク容器蓋の全体寸法及び形状を画定する単一式構造部材片と一体化して協働できるようにすることができる。
【0023】
インク容器120は、インク容器蓋122と協働し、それにより、多量のインクを収容するための構造境界を設けるタンク本体124を備える。より詳細に後述するように、インク容器122のさまざまな機械的、電気的及び流体的インターフェースをインク容器蓋上に配置することができる。言い換えると、インク容器のインターフェース機能をインク容器蓋にほぼ統合し、それにより、タンク本体に関する設計自由を与えることができる。たとえば、図8は、3種類の寸法のタンク本体124a〜124cを有するインク容器蓋122を示す。それからわかるように、異なったインク容量を有するインク容器は、異なったタンク本体を同一のインク容器蓋と組み合わせることによって形成されることができる。したがって、所望のインク容量を与えるために、インク容器の寸法を選択的に定めることができる。さらに、異なったインク容量を有する2つ以上のインク容器を同一のインク容器ベイ内に択一的に取り付けてもよく、それにより、プリンタ構成の融通性が高まる。インク容器蓋構造を規格化することは、製造コストの削減も助けるであろう。異なった構成のインク容器蓋も本開示の範囲に含まれることを理解されたい。
【0024】
インク容器タンク本体の一部分を標準的な寸法及び形状で構成する一方、別の部分を2つ以上の形態の間で変化する寸法及び形状で構成することができる。たとえば、図8は、互いに同様に構成された肩部分132a〜132cをそれぞれ有するタンク本体124a〜124cを示す。そのような肩部分は、インク容器蓋の対応幅とほぼ同じ幅を有する。タンク本体124a〜124cはそれぞれ、互いに異なった構成の後部分134a〜134cも有する。そのような後部分は、インク容器蓋の対応幅より狭い幅を有する。肩部分及び後部分は、ラッチ表面138a〜138cを有するリム部分136a〜136cによって接合されている。タンク本体の一部分、たとえば肩部分132a〜132cを標準的な寸法及び形状で構成することは、標準インク容器蓋122によって与えられる互換性と同様に、異なったインク容器間の互換性を改善する。たとえば、同様な構成の肩部分を有するが、異なった寸法の後部分を有し得る異なったインク容器を同一のラッチ部材で固定することができる。
【0025】
タンク本体124は、インク容器の取り扱い部分として役立つように構成されてもよい。インク容器をインク供給ステーションのインク容器ベイに装填し、且つそれから取り出すとき、インク容器を物理的に持って扱うことができる。インク容器はまた、補充プロセス中、保守点検中、又は他のさまざまな状況において把持部分で持つこともできる。タンク本体124は、そのような場合にインク容器を取り扱うために使用され得る。タンク本体は、快適且つ確実な把持を行うための寸法及び形状を有することができる。さらに、タンク本体の表面を、そのテクスチャー加工などによって把持牽引力を高めるように適応させてもよい。タンク本体の形状は、印刷流体容器をインク供給ステーションの対応のインク容器ベイに挿入しやすくすることもできる。たとえば、水平軸に関して対称的でないことは、ユーザが容易に確認することができる上下を画定するのを助け、それにより、インク容器を対応のインク容器ベイ内へ取り付けることが簡単になる。
【0026】
上述したように、インク容器蓋は、インク容器を受け取るように適応させたインク容器ベイの相補的機能部分に対応する1つ又は複数のインターフェース機能部分を含み得る。たとえば、図5に示されているように、インク容器蓋122は、位置合わせポケット152、キー結合ポケット154、空気インターフェース156としての上部流体インターフェース、インクインターフェース158としての下部流体インターフェース、及び電気インターフェース160を設けたインターフェースパッケージ150を有する。本明細書で使用するとき、インクインターフェースは、空気を通すためにも使用され、且つ/又は空気インターフェースは、印刷流体を通すために使用されることができる。インターフェースパッケージ150は、インク容器蓋122の外周128の内部に配置されている。言い換えると、インターフェースパッケージ150の構成機能部分は、インク容器蓋の側縁部の周り、又はタンク本体上のその他の場所には配置されていない。
【0027】
より詳細に後述するように、インターフェースパッケージ150は、インク容器からのインクの送出を可能且つ/又は促進するようになっている機械的、流体的及び電気的インターフェースの例示的な集合体である。インターフェースパッケージ150は、非制限的な例として与えられており、他の構造は追加的及び/又は代替の機能部分を備えてもよい。さらに、さまざまな機能部分の配置は、図示の実施形態と異なってもよい。
【0028】
図5は、インク容器を所望位置に所望向きで位置付けるように構成された例示的な位置合わせポケット152を示す。そのような位置付けは、インク容器とインク容器ベイとのはめ合いを容易にする。特に、位置合わせポケットを使用して、インク容器を適当な位置に位置付けることができ、それにより、インク容器のさまざまな側面が、インク容器ベイの対応の側面と結合されるように位置合わせされる。たとえば、キー結合ポケット154をインク容器ベイの対応のキーポストに位置合わせすることができる。空気インターフェース156及びインクインターフェース158をインク容器ベイの対応の空気及びインクコネクタに位置合わせすることができる。電気インターフェース160をインク容器ベイの対応の電気接点に位置合わせすることができる。
【0029】
位置合わせポケット152を印刷流体容器の最前面から窪ませ、それにより、印刷流体容器の最前面から突出するタワー状のインターフェースに比べて、損傷を受けにくい頑強なインターフェースを提供することができる。一部の実施形態では、位置合わせポケットを最前面から10ミリメートル、15ミリメートル又はそれ以上に窪ませてもよい。位置合わせポケットの断面幅は、所望の長さ/幅比を達成できるように選択されるであろう。特に、約1.5の長さ/幅比が、対応の位置合わせ部材にはめ合わせたときに印刷流体容器の回転を制限することがわかった。一部の実施形態では1.0〜4.0の範囲の比が適当であろうが、ほとんどの状況では1.2〜2.0の比が適当である。位置合わせポケットの幅は、印刷流体容器の回転及びさまざまなインターフェース機能部分の位置合わせ不良の原因になり得るねじり力に耐えるのに十分に機械的に強力である位置合わせ部材を収容するのに十分な大きさに選択され得る。
【0030】
図9〜図11及び図14〜図16は、インク容器120がインク容器ベイ170内に着座していく状態の一連の断面図を示す。図9〜図11は、インク容器120が脱座位置から着座位置へ移動していくところを示す上面図である。同様に、図14〜図16は、インク容器120が脱座位置から着座位置へ移動していくところを示す側面図である。インク容器蓋122は、インク容器蓋の中心部分から窪んだ位置合わせポケット152を有する。図示の実施形態では、位置合わせポケット152は、ほぼ平坦な外面、すなわち最前面から窪んだ終端面172及び側壁174を有する。位置合わせポケットは、インク容器ベイ170の対応の外向き突出位置合わせ部材176を収容するのに十分な深さを有するような寸法であることができる。側壁174は、外面に対して垂直に配置されるか、又は、側壁の1つ又は複数にテーパを付け、それにより、位置合わせポケット152の開口178の断面積が、終端面172の断面積より大きくなるようにしてもよい。
【0031】
位置合わせ部材176及び位置合わせポケット152間のはめ合わせを十分に緊密にし、それにより、位置合わせポケットを位置合わせ部材に係合させたとき、インク容器蓋122が所望の移動経路に効果的に制限されるようにすることができる。このように、インク容器蓋及び対応のインク容器ベイの位置合わせを確実に行うことができる。はめ合わせは、位置合わせポケット152及び位置合わせ部材176の部分間の物理的接触によって行われることができる。そのような接触は、図面に示すように、位置合わせポケット及び位置合わせ部材の表面全体に沿ったものであってもよい。一部の実施形態では、表面全体より少ない部分に沿って接触が起きるようにしてもよい。一部の実施形態では、位置合わせ部材と位置合わせポケットとのはめ合いがあまり緊密ではなく、位置合わせポケットは、位置合わせ部材に緊密に係合することなく、突出した位置合わせ部材を収容する寸法でありさえすればよい。
【0032】
インク容器蓋122は、漸進的位置合わせ機構を有することができ、これは、インク容器蓋がインク容器ベイ内により完全に着座するほど、インク容器蓋の位置合わせがより正確になる。たとえば、外周128をインク容器ベイ170の対応の側壁180よりわずかに小さい寸法にすることができ、また、インク容器ベイは、位置合わせポケットが位置合わせ部材に緊密に係合する前に、インク容器蓋に係合するように構成されることができる。したがって、外周がインク容器蓋に対して概略位置合わせを行うことができる。インク容器及び側壁180間のはめ合わせに比較的許容性があり、そのため、概略位置合わせの開始を容易にすることができる。概略位置合わせは、位置合わせポケット172によって行われる位置合わせほど正確ではないであろうが、インク容器は、概略位置合わせの開始時には、精密位置合わせの開始時に比べて広範囲の位置にあることができる。インク容器及びインク容器ベイは、外周128、肩部分132及び側壁180間の概略位置合わせ相互作用により、位置合わせポケット152が位置合わせ部材176に係合する位置へ向けられるように構成されることができる。一部の実施形態では、概略位置合わせは、実際の物理的相互作用を含まないで、インク容器を大雑把な位置合わせ位置に置くための視覚的手掛かりとなり得る。
【0033】
位置合わせ部材176及び位置合わせポケット152は相補的に構成され、それにより、インク容器蓋がインク容器ベイ内に着座するのに伴って、位置合わせ部材及び位置合わせポケット間のはめ合わせが漸進的に緊密になるようにすることができる。たとえば、位置合わせポケットの一部の実施形態は、開口178の断面積が終端面172の断面積より大きいように構成され得る。さらに、位置合わせ部材176は、終端面172の断面積に一致する断面積を有する端部182を備えて構成されることができる。したがって、端部182は幾分遊嵌状態で開口178にはまるが、終端面172に向かって完全に着座したとき、緊密にはまり得る。位置合わせ部材及び位置合わせポケットが互いにより完全にはめ合わせられていくと、位置合わせポケット及び位置合わせ部材間のはめ合わせが漸進的に緊密になり得る。一部の実施形態では、位置合わせポケットとの位置合わせ接触を開始しやすくするために、位置合わせ部材の端部にわずかなテーパ又は丸みを付けてもよい。
【0034】
インク容器蓋122の側面がインク容器ベイ170の対応の機能部分に適切に位置合わせされることを確実にするために、漸進的位置合わせシステムを使用することができる。言い換えると、位置合わせポケット及び位置合わせ部材間のはめ合わせは、インターフェースパッケージの側面(たとえば、インクインターフェース、空気インターフェース、キー結合ポケット、電気インターフェースなど)がインク容器ベイの対応の側面に係合する前に、所望の緊密レベルを達成するように構成され得る。漸進的位置合わせは、着座の開始時のインク容器位置付けの許容度が、インク容器をインク容器ベイ内に完全に着座させるときに比べて大きいので、位置合わせの開始も容易にするであろう。いったん位置合わせが開始されると、インク容器は所望位置に所望向きで、且つ向上した精度で効果的に進められるであろう。インク容器の側面とインク容器ベイの側面との間の相互作用は、所望の精度レベルに達したときに開始されるように設計されることができる。上述した漸進的位置合わせシステムは、非制限的な例として提示されている。他の漸進的位置合わせシステムも使用され得る。さらに、一部の実施形態は、非漸進的位置合わせシステムを使用し得る。
【0035】
図5は、インク容器を適切なインク容器ベイ内に確実に着座させるように構成された例示的なキー結合ポケット154を示す。インク供給ステーションの各ベイは、特定の印刷流体(インクの種類、インクの色、定着液、プレコンディショナーなど)を保持するインク容器を受け取るようにすることができる。たとえば、各インク容器ベイは、そのインク容器ベイが受け取るようになっているインクの色に対応する独特の形状及び/又は向きのキーポストを有し得る。同様に、その色のインクを保持するインク容器は、その色に関連する対応のキーポストだけとはめ合わされるキー結合ポケットを備えることができる。キーポストはキー結合ポケットと、相互に排他的関係ではめ合わされることができ、このことは、1つのインク色に関連したキーポストは、異なったインク色又は別の種類の印刷流体に関連したキー結合ポケットとはめ合わされないことを意味する。言い換えると、各インク色は、独特の形態のキーポスト及びキー結合ポケットの組み合わせによってキー結合され得る。このように、印刷流体容器のキー結合ポケットの特徴が、その容器によって保持される印刷流体を示し得る。
【0036】
キー結合ポケットは、流体容器が適切な流体容器ベイに挿入されつつあることを物理的に確認するために使用されることができる。たとえば、インク容器をインク容器ベイに装填しようとする際、キー結合ポケットが触感的フィードバックを与えることができる。インク容器をベイ機構に装填しつつあり、それにより、そのインク容器に入っている色のインクを送出しようとするのか、又は別の色のインクを送出しようとするのかに応じて、触感的フィードバックが明らかに異なるように、キー結合ポケット及び/又はキーポストを構成することができる。キー結合ポケットは、インク容器蓋のキー結合ポケットに対応するキーポストを備えていないインク容器ベイ内へのインク容器の装填を妨げるようになっていることができる。一部の実施形態では、そのようなインク容器を装填することはできるが、相補的でないキーポスト及びキー結合ポケット間の相互作用が、互いに係合する相補的キー結合機能部分の感触と明らかに異なる感触を発生することができる。たとえば、インク容器のキー結合ポケットが、そのキー結合ポケットに係合中のキーポストに対して相補的に構成されていないインク容器を挿入するとき、より大きい抵抗があるであろう。
【0037】
図9〜図11は、インク容器120をインク容器ベイ170内に着座させていくときの、キーポスト190を受け取るキー結合ポケット154の断面図を示す。キー結合ポケット154及びキーポスト190は、対応のインク色に基づいて相補的に構成される。キー結合ポケット154などのキー結合ポケットは、正しいインク色に対応したキーポストだけとはめ合わされるように構成されることができる。他のインク容器は、異なったインク色に関連付けられた異なったキーポストとはめ合わされるようになっている同様のキー結合ポケットを備え得る。このように、印刷システムが送出するように構成されている各インク色を、キーポスト及び対応のキー結合ポケットの独特の組み合わせに関連付けることができる。特定のインク色のキー結合に関して主に説明してきたが、キー結合機構は、印刷流体の代替又は追加態様のキー結合にも使用されることができることを理解されたい。たとえば、写真用インクなどの特別な種類のインクに固有のキーを付け、それにより、適切な種類のインクが特定ベイに確実に取り付けられるようにすることができる。さらに、プレコンディショナー及び/又は定着液などの他の印刷流体にキーを付け、それにより、そのような流体を収容している流体容器が、そのような流体を送出するように構成された対応のベイ内に確実に取り付けられるようにすることができる。
【0038】
位置合わせ部材176は、キーポスト190がキー結合ポケット154に係合する前に、位置合わせポケット152に係合するように構成されることができる。したがって、位置合わせ部材及び位置合わせポケットが協働して、キー結合ポケット154がキーポスト190に係合するのに適した位置に確実に位置付けられるようにすることができる。キーポスト及びキー結合ポケットのはめ合いより前に位置合わせ部材及び位置合わせポケットをはめ合わせやすくするために、位置合わせ部材をキーポストより長くしてもよい。そのような実施形態では、位置合わせポケットがキー結合ポケットより深いであろう。一部の実施形態では、キー結合ポケット及び位置合わせポケットを、それぞれキーポスト及び位置合わせ部材にほぼ同時に係合するように構成してもよい。一部の実施形態では、位置合わせポケット及びキー結合ポケットの機能を合体させて、インク容器を所望位置に所望向きで位置付け、且つインク容器を適切なインク容器ベイ内に確実に着座させるように構成された単一の機能部分にすることができる。
【0039】
図12は、例示的なキーポスト190の断面図を概略的に示し、このキーポストは、相補的に構成されたキー結合ポケット154に挿入されるように構成されている。図示の実施形態では、キーポスト190は、第1スポーク192、第2スポーク194及び第3スポーク196を備える「Y」字形態を有する。第1スポーク192及び第2スポーク194間の角度αは、第1スポーク192及び第3スポーク196間の角度αと同じである。第2スポーク194及び第3スポーク196間の角度θは、角度αより小さい。キーポストは、第1スポーク192を通って角度θを二分する対称軸Sに関して対称的であると記載することができる。図示のように、キーポスト190は、対称軸Sと共平面関係にあるいずれの他の軸に関しても対称的でない。
【0040】
キー結合ポケット154は、キーポスト190とはめ合わされる形状であり、それにより、各スポークはキー結合ポケットの対応スロット内に効果的に滑り込む。固有のキー結合インターフェースが、特定のキーポスト及びキー結合ポケットの組み合わせの同一の全体形状でありながら、その組み合わせの向きを回転させることに基づいてもよい。たとえば、キーポスト190と同一の全体形状を有するキーポストの対称角を回転させることによって、異なったインターフェースを構成してもよい。固有のインターフェース組み合わせを生じるために、対応のキー結合ポケットも同様に回転させることができるであろう。たとえば、対称角を45°増分刻みで回転させ、それにより、8つの固有のキーポスト形態をもたらすことができる。図13は、キーポスト190によってキーを付けられたインク色と異なる5つのインク色にキーを付けるために使用されることができる5つのそのような形態を示す。上述したキーポスト及びキー結合ポケット形態は、非制限的な例として提示されている。他のキー結合インターフェースを使用してもよい。
【0041】
インク容器及びそれに対応付けられたインク容器ベイ上のキー結合インターフェースの相対位置を移動させることにより、1つのキー結合インターフェースを別のキー結合インターフェースに対して追加的且つ/又は代替として変化させてもよい。たとえば、キーポストを45°増分刻みで回転させ、それにより、8つの異なる可能なキーポスト形態をもたらすことができる上記例を使用すると、キーポストの位置を3つの異なった位置間で選択し、それにより、合計で24(8×3)の固有キーポスト形態をもたらすことができる。対応の位置及び向きのキー結合ポケットを、そのようなキーポストとはめ合わされるように構成することができる。所望ならば、回転の増加分の大きさの減少、キーポスト位置の追加、新しいキーポスト形状の追加などにより、追加のキー結合形態を達成することができる。たとえば、キーポストを22.5°増分刻みで回転させ、それにより、16個の異なった形態をもたらすことができる。同様に、異なったキーポスト及びキーポケットの形状を使用することができ、それらの例として、「T」、「L」及び「V」字形がある。
【0042】
上述したように、インク容器のキー結合機能部分及び/又は位置合わせ機能部分は、インク容器から外方に延出する突起に対立するものとして、インク容器内に延出する凹部として構成されることができる。そのような凹部は、損傷を受けにくい頑強なインターフェースを提供する。さらに、インク容器に凹部を設けることは、インク容器蓋の外面のほぼ平坦なプロファイルを崩さない。
【0043】
図5は、例示的な上部流体インターフェース156及び例示的な下部流体インターフェース158を示し、これらは、インク容器120へ、且つ/又はそれからインク、空気又はインク/空気混合体を移送するように構成されている。本明細書で使用するとき、上部流体インターフェース156は空気インターフェースと呼ばれ、下部流体インターフェース158はインクインターフェースと呼ばれ得る。しかしながら、一部の実施形態及び/又は動作モードでは、両方のインターフェースがインク、空気又はそれらの混合体を移送することができることを理解されたい。1つの例示的な動作モードでは、下部流体インターフェース158が印刷流体を送出する一方、上部流体インターフェース156が印刷流体容器内の圧力を制御し得る。
【0044】
図示の実施形態では、流体インターフェースは、ボールシール構造を有する隔壁として構成されている。流体インターフェースは、インク容器の内容物を密封し、それにより、内容物の望ましくない漏れが起きないようになっている。各インターフェースは、隔壁の選択的シールを貫通し、且つ流体をインク容器の内外へ移送することができる、中空ニードルなどの流体コネクタを取り外し可能に受け取るように構成されている。隔壁は、流体コネクタの挿入時、及び流体コネクタの取り外し後の望ましくない漏れを防止するように構成されることができる。たとえば、隔壁は、挿入されたニードルを密接に包み込み、それにより、インク又は空気がニードルを通ることができるが、ニードルと隔壁との間を通ることができないようにする。
【0045】
図14〜図16は、空気インターフェース156に係合する流体コネクタ200と、インクインターフェース158に係合する流体コネクタ202とを示す。位置合わせ部材176は、流体コネクタが流体インターフェースに係合する前に位置合わせポケット152に係合するように構成されることができる。したがって、位置合わせ部材及び位置合わせポケットが協働して、流体インターフェースが流体コネクタに係合するのに適した位置に確実に位置付けられるようにすることができる。言い換えると、位置合わせインターフェースは、流体コネクタがインク容器の望ましくない部分に係合し、そのことが流体コネクタの破損を引き起こし得ることを防止する。位置合わせポケット及び位置合わせ部材が協働して流体インターフェースを適切に位置合わせするので、流体インターフェースへの入口点は、インク容器の外面から延出する位置合わせポスト上に対立するものとして、インク容器の最前面とほぼ共平面の関係に位置付けられることができる。
【0046】
図17〜図19は、流体インターフェース158のシール部材260のより詳細な図を示す。シール部材260は、ボールシール部分262を有し、これは、降伏可能に付勢されたプラグ部材と合わせられる形状であり、それにより、流体インターフェースが対応の流体コネクタと係合していないとき(図18)、望ましくない流体漏れを防止する液密シールを形成する。シール部分260は、流体インターフェースが対応の流体コネクタと係合しているときに(図19)、望ましくない流体漏れを防止するニードルシール部分264も有する。図18に示されているように、ばね部材266がプラグ部材268をシール部材のボールシール部分262に押し付ける。シール部分262は、プラグ部材に対して相補的な形状を有し、それにより、プラグ部材がシール部分に押し付けられたとき、液密シールが確立される。図19に示されているように、流体コネクタ202は、シール部材260に挿通されることができ、且つ流体コネクタは、ばね部材によって加えられる復元力に抗してプラグ部材をシール部材から離れるように移動させることができる。プラグ部材がシール部材から離れて移動するとき、シール部材とプラグ部材との間の液密シールが緩められる。しかしながら、流体コネクタとシール部材との間の液密シールは確立されるであろう。図20に示されているように、流体コネクタ202は、流体コネクタをプラグ部材に係合させたとき、流体コネクタの中空部分276内へ流体を流入させることができる流体通路機能部分274を有する端部分272を備えることができる。以上は、流体インターフェース及び対応の流体コネクタの可能な形態の非制限的な例として提示されている。本開示の範囲にある限り、流体容器内の流体を選択的にシールするために他の機構を使用することができることを理解されたい。一例として、ニードルが取り外された時に自封するスリット隔壁を使用してもよい。
【0047】
図14〜図16に示されているように、インクインターフェース158は、対応のインク容器ベイ内に着座した位置での向きにおけるインク容器の鉛直下方の底部付近に位置することができる。そのような位置では、流体コネクタ202もインク容器の鉛直下方の底部付近にある。さらに、インク容器のタンク本体124は、流体コネクタに向かって傾斜する底面204を設けた形状を有することができ、それにより、インクが流体コネクタへ自然に流れることができる。言い換えると、底面204は、インク容器の下部分に向かって重力により付勢されている。図示の実施形態では、インク容器の形状は、流体コネクタ202が接近できる位置にインクを流出させることができるように構成されたインク溜め206をもたらす。タンクの残り部分に対するインク溜めの位置により、インクレベルが低下すると、印刷流体がインク溜め内に蓄積するであろう。使用中にインクレベルが低下すると、流体コネクタ202は、インク溜め206に入っているインクを引き出し続けることができる。
【0048】
インク溜め、インクインターフェース及び対応の流体コネクタは、インク容器内に残留するインクの量を制限するように位置付けられ、それにより、無駄を最小限に抑えることができる。一部の実施形態では、印刷流体容器は多くても2立方センチメートルの印刷流体を除いて全て送出することができるが、ほとんどの実施形態では、多くても1立方センチメートルの印刷流体を除いて全て送出することができる。上述したように、タンク本体の寸法を増加させ、それにより、さらなるインク容量を提供することができる。また、そのようなタンクは、インク溜め206に似たインク溜めを備えて構成されることができるか、又は、他の方法として、インクインターフェースがタンクの底部付近に位置するように構成されることができ、それにより、インク容器内に残留し得るインク量が最小限に抑えられる。言い換えると、本開示によれば、インク容器の内部に残留し得るインク量は、インク容器のインク容量に比例する必要がない。
【0049】
図5に示されているように、インク容器蓋122の外面126は、インクインターフェース158が位置する場所に突出部210を有することができる。図示の実施形態では、突出部210は、流体コネクタが通ることができるインクインターフェース158の中心部分をインク容器タンクの低い地点付近に位置付けることができるように構成される。したがって、流体コネクタを流体インターフェースに挿入し、それにより、インク容器の比較的低い領域からインクを引き出すことができ、そのため、より多い割合のインクをインク容器から引き出しやすくなる。突出部210はまた、インクインターフェースを外面126の外周128内に置いたまま、インクタンクの底部付近に配置することができるようにする。
【0050】
図21は、底面204の一部分から窪み、それによってインク溜め206を形成するトラフ212に位置合わせされた突出部210を幾分概略的に示す。インク溜め206は、タンクの残り部分よりも鉛直下方であり、そのため、印刷流体が容器から取り出されるとき、インク溜め内に印刷流体が蓄積しやすい。言い換えると、底面のインク溜め部分207は、底面の残り部分から窪ませることができる。インク溜め206内への印刷流体の蓄積を向上させるために、底面204にはインク溜めに向かって重力により付勢され、それにより、印刷流体がインク溜めまで「下り坂を」効率的に流れるようにすることができる。底面204は、インク溜め206への流体経路がなく、捕らえられた印刷流体を蓄積する可能性がある誤ったインク溜めをまったく伴わない形状にすることができる。
【0051】
突出部210及びトラフ212は、図示の実施形態に示されているように、互いにほぼ位置合わせされることができる。そのように位置合わせされるとき、最前面の下縁部の輪郭が、底面の下縁部の輪郭をたどる。突出部210及びトラフ212は、インク容器蓋122に対して水平方向に位置合わせされてもよい。突出部及びトラフは、追加的又は代替として、インク容器ベイの挿入軸に対して水平方向に位置合わせされてもよい。言い換えると、インク容器が対応のインク容器ベイ内に取り付けられたとき、突出部及び/又は突出部上の流体インターフェースが、インク容器ベイの各側からほぼ等距離に位置するように、突出部がインク容器蓋上に位置付けられ得る。
【0052】
図21では、流体レベル214が概略的に図示され、容器がインク溜めを有するとき、いかに多くのインクを印刷流体容器から引き出すことができるかを示している。反対に、図22は、インク溜めを有していない容器の流体レベル216を概略的に示している。比較すれば理解できるように、インク溜め206は、残留印刷流体量を抑制する。流体レベル214及び流体レベル216の深さは同程度であろうが、流体レベル214に対応付けられる印刷流体の量は、流体レベル216に対応付けられる印刷流体の量より相当に少ない。流体容器の、流体レベル214と接する部分の断面積が、流体容器の、流体レベル216と接する部分の断面積より小さく、そのため、同様な深さであると考えると、それぞれの体積を減少させるように、インク溜め206を構成することができる。一部の実施形態では、インク溜め206は、実質的に空の流体容器に対応する流体レベルの上表面積(及び対応の体積)を少なくとも75%、通常は90%以上減少させるように構成されることができる。さらに、上述したように、インク溜めの寸法を変えず、且つ容器内に残留する印刷流体の量を増加させることなく、インク容器の残り部分の容量を増加させることができる。インク溜め206は、さまざまな寸法及び形状にすることができる。一般的に、容器内に残留し得る印刷流体の量を減らすために、インク溜め206の体積を減少させるであろう。インク溜め206は、印刷流体がインク溜めに自由に流れ込むことができるようにする十分な追加体積を有する流体インターフェースを収容できる寸法であることができる。
【0053】
空気インターフェース156は、インク容器が対応のインク容器ベイ内に着座した位置での向きにおいて、インクインターフェース158の重力的上方に位置することができる。上部流体インターフェース156は、インク容器内の圧力等化を容易にするように構成された通気ポートとして機能することができる。インクがインクインターフェース158から引き出されるとき、空気インターフェース156は空気をインク容器タンクに流入させ、それにより、その内部の圧力を等化することができるであろう。同様に、インクがインク容器に戻される場合、空気インターフェースがインク容器から空気を排出するであろう。上述したように、上部流体インターフェースは、インク蒸発及び/又は他のインク損失を低減させるように構成されたベント室90に流体結合され得る。本明細書に説明して図示するように、インク容器(及び対応のインク容器ベイ、又はインク容器を着座させる他の機構)は、横方向に取り付けられるように構成されることができる。横方向の取り付けを容易にする構成は、印刷システムに設計の柔軟性も与える。特に、横方向取り付けにより、印刷システムは、上部装填に制限される場合とは対照的に、インク容器を前方、後方又は側方装填できるように設計されることができる。
【0054】
図2に示されているように、インクインターフェースは、インク容器への、及びそれからのインクの送出を制御するように構成されたポンプ74に流体結合されている能動インターフェースであることができる。空気インターフェースは、ポンプによって直接的に制御されず、むしろ圧力平衡が自然に達成されるように構成されている受動インターフェースであることができる。図示の実施形態は非制限的な例として提示されており、他の構成形態も本開示の範囲に入ることを理解されたい。たとえば、一部の実施形態では、空気インターフェースが、インク容器内に所望圧力を生じるように能動的に制御される能動インターフェースであってもよい。
【0055】
図5は、インク容器120の1つ又は複数の電気装置用の通信及び/又は電力経路を提供するように構成された電気インターフェース160を示す。電気インターフェース160は、インク容器ベイの対応の電気接点と電気接続されるようになっている1つ又は複数の電気接点162を有するであろう。インク容器をインク容器ベイ内に着座させると、電流が電気接続部を横切って流れることができる。このように、情報及び/又は電力が接続部を横切って伝達されることができる。たとえば、インク容器がメモリ装置164を備えて、電気インターフェースを使用してデータをメモリ装置に書き込み、且つ/又はメモリ装置からデータを読み取ることができる。たとえば、メモリは、適切な印刷流体を送出するように構成されたインク容器ベイ内にインク容器が装填されていることを確認するために使用されることができる電子キー結合情報を記憶するように構成されることができる。誤りが検出されると、電子キー結合を使用して、インク搬送システムの汚染を回避するように印刷を不能にすることができる。メモリは、使用期限、及び/又は対応付けられたインク容器内に残留するインクの相対量に関する情報を含むこともできる。一部の実施形態では、電気インターフェースは、特定用途向け回路などの追加の、又は代替構成部品を含むことができる。
【0056】
位置合わせポケット152を外面126のほぼ中心に位置付けることができ、インターフェースパッケージ150の他のインターフェースを位置合わせポケットの周囲に配置することができる。このように、空気インターフェース156、インクインターフェース158、電気インターフェース160及びキー結合ポケット154を位置合わせポケットと外周128との間に配置することができる。本明細書で使用するとき、「中心」という表現は、インク容器の外面の外周から相対的に遠位の位置を表す。インク容器の外面の中心は、インク容器の寸法及び形状によって変化するであろう。
【0057】
位置合わせポケットを外面の中心付近に位置付けることにより、その他のインターフェースの各々を位置合わせポケットに比較的近づけて配置することができる。位置合わせポケット152をその他のインターフェースに近接させて位置付けることにより、それらのインターフェースをインク容器ベイの対応の機能部分に整合させやすくなるであろう。たとえば、インターフェースを位置合わせポケットに近接させて位置付けることにより、位置合わせインターフェースに存在する許容差の影響が軽減されるであろう。したがって、位置合わせインターフェースが位置合わせにいくらかの変動を許す場合でも、その他のインターフェースは、インク容器ベイの対応位置に係合するための許容位置内に留まるであろう。言い換えると、位置合わせインターフェースが許容するいずれの移動の影響も、位置合わせポケットからの相対距離に比例して増幅されるであろう。したがって、さまざまなインターフェース機能部分を位置合わせポケットに近接させて位置付けることにより、そのような影響を最小限に抑えることができる。
【0058】
図5に示されているように、インク容器の流体インターフェースは、印刷流体容器の前面の垂直軸Vに沿って配置され得る。位置合わせポケット152も垂直軸Vに沿って配置されることができ、それにより、垂直軸Vは、上部流体インターフェース156、下部流体インターフェース158及び位置合わせポケット152と交差する。同様に、電気インターフェース160及び/又はキー結合ポケット154は、印刷流体容器の前面の水平軸Hに沿って配置され得る。位置合わせポケット152も水平軸Hに沿って配置されることができ、そのため、水平軸Hは、電気インターフェース、キー結合ポケット及び位置合わせポケットと交差する。言い換えると、位置合わせパッケージは「十字」構成に配置されることができ、位置合わせポケットが十字の中心(垂直軸V及び水平軸Hの交点)に位置する。一部の実施形態では、水平軸Hは垂直軸Vの、上部流体インターフェース156と下部流体インターフェース158との間の線分を二分することができ、且つ/又は垂直軸Vは水平軸Hの、電気インターフェース160とキー結合ポケット154との間の線分を二分することができる。さらに、図5に示されているように、垂直軸Vは対称軸であって、流体容器の基本形状が、軸の左右で同一であることができる。軸及びインターフェース機能部分に関連して使用するとき、「交差する」という用語は、インターフェース機能部分の少なくとも一部分が軸と交わることを意味する。したがって、共通軸は2つ以上の機能部分と交差することができるが、そのような機能部分の正確な中心はその軸に整合しない。
【0059】
図23は、インク容器ベイの側部ラッチ部材に対応するラッチ面を設けるようになっているラッチスロット222を備える例示的なインク容器220を示す。図24〜図26は、インク容器ベイ224に係合するときのインク容器220を示す。図示の実施形態では、インク容器ベイ224は、インク容器をインク容器ベイ内の着座位置に取り外し可能に固定するように構成された側部ラッチ部材226を備える。側部ラッチ部材は、少なくとも閉鎖位置及び開放位置間を弾性的に移動可能であろう。たとえば、側部ラッチ部材は、インク容器がインク容器ベイ内に着座するとき、側部ラッチ部材がインク容器と接触するように位置付けられる閉鎖位置に付勢される。インク容器がインク容器ベイ内へ移動するのに伴って、図25に示されているようにインク容器が側部ラッチ部材を開放位置へとたわませる。図26に示されているように、インク容器がインク容器ベイ内に着座すると、側部ラッチ部材は閉鎖位置に弾性的に戻る。側部ラッチ部材226は、ラッチスロット222に係合する留め部分228を有し、それにより、インク容器220をインク容器ベイ内の着座位置に保持する。インク容器は、側部ラッチ部材を開放位置へ移動させることにより、取り外すことができる。
【0060】
インク容器の両側部に配置された1対のラッチスロットは、位置合わせポケットと共平面状態に位置付けられることができる。たとえば、ラッチスロット222は、位置合わせポケット230と同一平面上に位置付けられることができる。図示の実施形態では、ラッチ面及び位置合わせポケットの各々が、水平方向に延在する共通平面と交差する。キー結合ポケット232及び電気インターフェース234も、同一平面上に位置付けられ得る。位置合わせポケットを通る平面に沿ってラッチ圧力を加えるように他のラッチ機構を構成してもよいことを理解されたい。一部の実施形態では、ラッチスロットを、位置合わせポケットと交差する別の平面上、たとえば、位置合わせポケット及び1つ又は複数の流体インターフェースと交差する垂直面上に位置付けてもよい。
【0061】
図27〜図29は、別のラッチ機構を用いる別の実施形態を示す。図示のように、インク容器ベイ240は、内部ラッチ部材244を備える位置合わせ部材242を有する。内部ラッチ部材244は、インク容器248をインク容器ベイ内に着座させるとき、位置合わせポケット246に選択的に係合するように構成されている。内部ラッチ部材は、少なくとも閉鎖位置及び開放位置間を弾性的に移動可能であり得る。たとえば、内部ラッチ部材は、インク容器をインク容器ベイ内へ着座させるとき、内部ラッチ部材が位置合わせポケット246と接触するように位置付けられる閉鎖位置に付勢される。インク容器がインク容器ベイ内へ移動するのに伴って、図28に示されているようにインク容器は内部ラッチ部材を開放位置へとたわませる。図29に示されているように、インク容器がインク容器ベイ内に着座すると、内部ラッチ部材は閉鎖位置に弾性的に戻る。内部ラッチ部材244は、位置合わせポケット246の対応のラッチタブ252に係合する留め部分250を有し、それにより、インク容器248をインク容器ベイ内の着座位置に保持する。インク容器は、内部ラッチ部材を開放位置へ移動させることにより、取り外すことができる。
【0062】
上記側部ラッチ及び内部ラッチ機構は、可能なラッチ構成の非制限的な例として提示されている。側部ラッチ機構及び内部ラッチ機構は、互いに協働的又は独立的に使用されてもよい。同様に、側部ラッチ機構及び/又は内部ラッチ機構を、図3及び図4を参照しながら記載したラッチ機構などの他のラッチ機構に対して追加的又は代替として使用してもよい。他の適当なラッチ機構を使用してもよい。
【0063】
図示の実施形態を参照しながら上記したように、インク容器は、1つ又は複数の流体的、機械的及び/又は電気的インターフェースを備えるインターフェースパッケージを有することができる。インク容器は、最前面を有するものとして記載されており、インク供給ステーションのインク容器ベイ内に横方向に挿入されるように構成されている。インク容器の最前面は、ほぼ平坦な外面として構成されることができる。インターフェースパッケージのそれぞれのインターフェースは、インク容器のほぼ平坦な最前面上に配置されることができる。最前面は、外周を有するものとして記載されており、インターフェースパッケージのそれぞれのインターフェースは、外周の内部に位置することができる。先に示した実施形態は、インターフェースパッケージを構成するための形態の非制限的な例を示す。他の構成も本開示の範囲に入ることを理解されたい。
【0064】
図30は、図5の印刷流体容器120より比較的大きい印刷流体容器300を示す。一部の実施形態では、他の印刷流体より一般的に使用される印刷流体を保持するために、大きい印刷流体容器が使用されるであろう。たとえば、印刷流体容器300は、黒色インクを保持するために使用されることができるのに対して、図5の印刷流体容器120などのより小さい印刷流体容器は、黄色インク、明シアンインク、暗シアンインク、明マゼンタインク又は暗マゼンタインクを保持するために使用される。一部の実施形態では、比較的大きい印刷流体容器は、大量印刷に使用されることができ、それにより、印刷流体容器の交換が必要になる頻度が減少する。印刷流体容器300は、図5のインターフェースパッケージ150と同様のインターフェースパッケージを有することができる。しかしながら、図30に示されているように、印刷流体容器300は、1つ又は複数の追加インターフェース要素を備えてもよい。特に、印刷流体容器300は、冗長インターフェース要素を備えることができる。たとえば、インターフェースパッケージは、2つ以上の位置合わせポケット及び/又は2つ以上のキー結合ポケットを有してもよい。比較的大きい黒色インクの印刷流体容器を参照しながら説明するが、他の印刷流体容器が冗長インターフェース要素を備えてもよいことを理解されたい。
【0065】
印刷流体容器300は、上部位置合わせポケット304、下部位置合わせポケット306、上部キー結合ポケット308、下部キー結合ポケット310、空気インターフェース312としての上部流体インターフェース、インクインターフェース314としての下部流体インターフェース、及び電気インターフェース316を設けたインターフェースパッケージ302を有する。インターフェースパッケージ302は、印刷流体容器300の最前面322の外周320の内部に配置されている。言い換えると、インターフェースパッケージ302の構成機能部分は、最前面の側縁部の周り、又はタンク本体上のその他の場所には配置されていない。
【0066】
冗長位置合わせポケットは、印刷流体容器ベイ内での印刷流体容器の位置合わせを改善することができる。上述したように、位置合わせインターフェースの許容差は、位置合わせインターフェースから離れる距離と相関して増加する。したがって、キー結合ポケット及び/又は流体インターフェースを位置合わせポケットに近づけて位置付けることにより、そのようなインターフェース要素の位置合わせを改善することができる。したがって、位置合わせポケットを印刷流体容器の上部の空気インターフェースに近づけ、且つ印刷流体容器の底部のインクインターフェースに近づけて配置することにより、空気インターフェース及びインクインターフェースの位置合わせを改善することができる。比較的小さい印刷流体容器の場合、同一の位置合わせポケットをインクインターフェース及び空気インターフェースに近づけることができる。しかしながら、より大きい印刷流体容器は、流体インターフェースを配置する最前面が比較的縦長であるように構成されることができる。したがって、各流体インターフェースを位置合わせポケットから所望の距離以内に配置するために、各流体インターフェースの近くに個別の位置合わせポケットを位置付けることができる。
【0067】
冗長位置合わせポケットは、2つ以上の独立した位置合わせ場所を与えることにより、印刷流体容器ベイ内での印刷流体容器の位置合わせも改善することができる。印刷流体容器300を、2つの相補的な位置合わせ部材を有する対応の印刷流体容器ベイ内に着座させるために、上部位置合わせポケット304及び下部位置合わせポケット306がそれぞれの位置合わせ部材に個別に係合する。いずれの位置合わせインターフェースにも小さい位置合わせ許容差が個別に存在するであろうが、他の位置合わせポケットが対応の位置合わせ部材に係合することにより、そのような許容差を最小限に抑えることができる。言い換えると、さまざまな位置合わせポケットの相対位置は、位置合わせ部材の相対位置に対応しており、各位置合わせ部材を対応の位置合わせ部材に係合するように個別に位置付ける必要があるだけでなく、すべての位置合わせポケットを一括して適切に位置付ける必要がある。印刷流体容器が不適切な向きにある場合、位置合わせポケットの1つ又は複数が対応の位置合わせ部材に係合する準備が整わないであろう。そのため、位置合わせポケットは一括して、位置合わせ部材に係合することにより印刷流体容器を適切な位置及び向きにするのに役立つ。
【0068】
冗長キー結合ポケットは、追加のキー結合選択肢を与えることができる。上述したように、キー結合ポケットの形状、向き及び/又は位置を変化させ、それにより、異なった印刷流体を示すことができる。たとえば、図13に示されているように、「Y」字形のキー結合ポケットは、異なった印刷流体を示す幾つかの異なった向きの1つを有することができる。2つ以上のキー結合ポケットの形状及び向きを定め、それにより、さらに多くの可能性を与えることができる。たとえば、それぞれが8つの可能な向きの1つをとる2つの「Y」字形キー結合ポケットは、64種類の異なった印刷流体を集合的に示すことができる。言い換えると、上部キー結合ポケットの8つの可能な向きの各々について、下部キー結合ポケットは8つの可能な向きの1つをとることができる。したがって、個々のキーポケットの各々が8種類の異なったインク流体を示すことができ、両方のキー結合ポケットの向きを合わせることで、64種類の異なった印刷流体を示すことができる。異なった形状を有するキー結合ポケットを使用すること、特定形状のキー結合ポケットについてより独特な向きを使用すること、且つ/又はキー結合ポケットの位置を変化させることにより、さらなる種類を達成することができる。さらに、3つ以上のキー結合ポケットを設けて、さらに多くの可能な種類を得ることもできる。
【0069】
一部の実施形態では、冗長キー結合ポケットが同一形状であり、且つ隣接のインターフェース要素に対して同一の位置付けであることができる。たとえば、図30に示されているように、上部キー結合ポケット308及び下部キー結合ポケット310が同一の「T」字形であり、これらの字形は同一向きでもある。さらに、上部キー結合ポケット308は、上部位置合わせポケット304と水平方向に整合しており、下部キー結合ポケット310は、下部位置合わせポケット306と水平方向に整合している。上部キー結合ポケット308と上部位置合わせポケット304との間の距離は、下部キー結合ポケット310と下部位置合わせポケット306との間の距離と同一である。したがって、上部キー結合ポケット308は、下部キー結合ポケット310の垂直方向上方に整合している。同一の形状及び向きの冗長キー結合ポケットを有するものとして図示されているが、異なった形状及び/又は向きも本開示の範囲に入ることを理解されたい。
【0070】
図31は、対応の印刷流体容器ベイ330内に合体されるように整合した印刷流体容器300を示す側部断面図である。図14〜図16を参照しながら上述したように、印刷流体容器は横方向に取り付けられることができ、そのため、前面装填システムが可能である。図14との比較により、印刷流体容器300の着座が印刷流体容器120の着座とほぼ同様であることがわかる。図14〜図16を参照しながら上述したように、印刷流体容器300は、漸進的に位置合わせされることができ、それにより、印刷流体容器が印刷流体容器ベイ内により完全に着座していくにつれ、それだけ高い精度で印刷流体容器の位置及び向きを制御することができる。
【0071】
印刷流体容器ベイ330は、印刷流体容器300を収容するために冗長はめ合い要素を備えて構成されることができる。たとえば、印刷流体容器ベイ330は、上部位置合わせ部材332及び下部位置合わせ部材334を有し、これらの部材はそれぞれ上部位置合わせポケット304及び下部位置合わせポケット306に係合するように構成されている。印刷流体容器ベイ330は、それぞれ上部キー結合ポケット308及び下部キー結合ポケット310に係合する上部キーポスト及び下部キーポストも有する。印刷流体容器の冗長インターフェース要素は、印刷流体容器ベイの対応の要素に同時に(又は少なくともほぼ同時に)係合するように構成されることができる。たとえば、位置合わせポケット304及び位置合わせポケット306は、位置合わせ部材332及び位置合わせ部材334とほぼ同時にはめ合うように構成されることができる。一部の実施形態では、冗長インターフェース要素をずらし、それにより、そのような要素と印刷流体容器ベイの対応構造とのはめ合いを効果的に互い違いにすることができる。そのような互い違いのはめ合わせは、漸進的位置合わせ、多層キー結合及び/又は他の機能を与えることができる。
【0072】
上記動作原理及び実施形態を参照しながら本開示を提示してきたが、添付の特許請求の範囲に定義されている精神及び範囲から逸脱しない限り、形及び詳細にさまざまな変化を加えることができることは、当業者には明らかであろう。本開示は、そのような代替、修正及び変更をすべて包含するものとする。開示又は特許請求の範囲が「1つの」、「第1の」又は「別の」要素又はそれらの等価物を記載する場合、それらが1つ又は複数のそのような要素を有するのであって、2つ以上のそのような要素を必要とすることも排除することもないと解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態による流体噴射システムの概略図である。
【図2】図1の流体噴射システムに使用されるような印刷流体送出システムの一実施形態の幾分概略的な図である。
【図3】図2の流体送出システムに使用されるような印刷流体容器ベイの一実施形態を開放位置で示す図である。
【図4】図3の印刷流体容器ベイを閉鎖位置で示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による印刷流体容器の前方等角投影図である。
【図6】図5の印刷流体容器の底面図である。
【図7】図5の印刷流体容器の後方等角投影図である。
【図8】3つの同様な構成の蓋と3つの異なったタンク本体を組み合わせることによって形成される1組の3つの印刷流体容器を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す上部断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す上部断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す上部断面図である。
【図12】本発明の一実施形態による印刷流体容器の対応のキー結合ポケットとはめ合うように構成されたキーポストの断面図である。
【図13】5つの異なった印刷流体をそれぞれキー結合するように構成された5つのキーポストを示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す側部断面図である。
【図15】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す側部断面図である。
【図16】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す側部断面図である。
【図17】図14〜図16の印刷流体容器のシール部材の断面図である。
【図18】図14〜図16の印刷流体容器のボールシール機構の幾分概略的な図である。
【図19】図18のボールシール機構が流体コネクタに係合するところを示す図である。
【図20】図19の流体コネクタを示す図である。
【図21】インク溜めを備える印刷流体容器の印刷流体レベルを示す概略図である。
【図22】インク溜めを備えていない印刷流体容器の印刷流体レベルを示す概略図である。
【図23】本発明の一実施形態による印刷流体容器の後方等角投影図である。
【図24】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す上部断面図である。
【図25】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す上部断面図である。
【図26】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す上部断面図である。
【図27】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す側部断面図である。
【図28】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す側部断面図である。
【図29】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す側部断面図である。
【図30】冗長インターフェース部材を有する印刷流体の前方等角投影図である。
【図31】図30の印刷流体容器を本発明の一実施形態による印刷流体容器ベイ内に着座させるところを示す側部断面図である。
【背景技術】
【0001】
インクジェット印刷システムは、有限量のインクを保持する1つ又は複数の交換式インク容器を利用する場合が多い。インク容器がインクを送出することができない場合、インク容器を交換することができる。たとえば、インク容器内のインクのすべてが使用され、インク容器が空である場合、インク容器を交換することができる。多くの既知のインク容器は、インク容器内のインクのすべてを送出することはできず、一部のインクがインク容器内に残っていても、実際上は空であると見なされる。そのようなインク容器は、インク容器がインクを十分に送出しなくなると、交換されることができる。ユーザは、頻繁に交換する必要がないインク容器を一般的に好む。さらに、ユーザは、交換が必要なときに比較的交換しやすいインク容器を一般的に好む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0002】
図1は、流体噴射システム10を概略的に示す。流体噴射システムは、さまざまな実施形態においてさまざまな異なった流体を対応のさまざまな異なった媒体上に噴射するように構成されることができるが、本開示は、インクを紙に噴射、すなわち印刷するのに使用される例示的な印刷システムに焦点を当てる。しかしながら、他の印刷システムも、印刷以外の用途に設計された流体噴射システムとともに、本開示の範囲に含まれることを理解されたい。
【0003】
流体噴射システム10は、制御システム12、媒体位置決めシステム14、流体送出システム16及び制御インターフェース18を備える。制御システム12は、プリント回路板、プロセッサ、メモリ、特定用途向け集積回路などの、受け取った流体噴射信号20に対応する流体噴射を実行する構成部品を含むであろう。流体噴射信号は、有線又は無線制御インターフェース18、若しくは他の適当な機構を介して受信されるであろう。流体噴射信号は、所望の流体噴射処理を実行する命令を含むであろう。そのような流体噴射信号を受け取ると、制御システムは媒体位置決めシステム14及び流体送出システム16を協働させ、それにより、流体を媒体22上に噴射させるであろう。一例として、流体噴射信号は、印刷すべき特定の画像を画定する印刷ジョブを含むであろう。制御システムは、その印刷ジョブを分析して、印刷ジョブによって画定される画像を再現するパターンでインクなどの流体を紙の上に噴射する。
【0004】
媒体位置決めシステム14は、流体噴射システムと、流体噴射システムが流体を噴射しようとする媒体との相対位置付けを制御するであろう。たとえば、媒体位置決めシステム14は、紙を前進させて流体噴射システムの印刷帯24を通過させる紙送りを含むであろう。媒体位置決めシステムは、追加的又は代替として、流体を印刷帯の異なった領域に噴射するためにプリントヘッド又は他の適当な装置を横方向に位置決めする機構を有するであろう。流体が媒体の所望の部分だけに噴射されるように、媒体及び流体噴射システムの相対位置が制御されるであろう。一部の実施形態では、媒体位置決めシステム14は、2つ以上の異なった種類及び/又は寸法の媒体に適応するように選択的に構成可能であろう。
【0005】
図2は、印刷流体送出システム16’の形の例示的な流体送出システムを概略的に示す。印刷流体送出システムは、走査プリントヘッド30を備え、これは、印刷流体を流体供給部から受け取り、且つその印刷流体を印刷媒体上に噴射するようになっている1つ又は複数のノズルを有するであろう。ノズルは、制御システムに動作接続されている、半導体抵抗器などの流体エジェクタと組み合わされるであろう。制御システムにより、流体エジェクタは、その流体エジェクタに送出された印刷流体を選択的に加熱するであろう。流体エジェクタとして抵抗器を利用する実施形態では、抵抗器は、電流を1つ又は複数のパルスで抵抗器に流すことによって励起されるであろう。加熱された印刷流体は、少なくとも部分的に蒸発して、印刷流体気泡を生じるであろう。印刷流体気泡の膨張により、印刷流体の一部が対応のノズルから印刷媒体上に噴射されるであろう。プリントヘッドは、単色のインク又は2つ以上の異なった色のインク、プレコンディショナー、定着液及び/又は他の印刷流体とともに印刷するようになっているであろう。流体を媒体上に噴射するための他の機構を使用することも、本開示の範囲に含まれ、プリントヘッド30は、非制限的な例として提示されている。たとえば、プリントヘッドは、振動などの非熱的機構を介して流体噴射を実行するように構成された流体エジェクタを含むことができる。
【0006】
印刷流体送出システム16’は、軸外インク供給ステーション40を備える。「軸外」インク供給部は、プリントヘッドから離して配置され、それにより、インク供給部はほぼ静止状態のままでありながら、プリントヘッドが印刷帯を横切って走査することができるであろう。そのような構造は、プリントヘッドアセンブリの総重量を、軸上インク供給部を備えるプリントヘッドアセンブリと比べて減少させるであろう。相対的に軽量のプリントヘッドアセンブリは、移動のために相対的に少ないエネルギーを必要としながら、一体形軸上インク供給部を備えたプリントヘッドより高速、低騒音且つ/又は低振動で移動するであろう。軸外インク供給部は、インク供給部の補充を容易にするためにアクセスしやすく位置付けられ、かつ所望量のインクを収容できる寸法を有することができる。より詳細に後述するように、印刷流体容器を印刷システム内に横方向に挿入することができるように、インク供給ステーションは前面挿入式として構成されるであろう。軸外インク供給部が静止位置にあり、且つそのアクセスが比較的容易であることにより、比較的大量のインクを貯蔵し、且つ送出することができる。
【0007】
軸外インク供給部は、単色又は複数色のインクを他の印刷流体とともに貯蔵し、且つ送出するための容器を備えるであろう。たとえば、インク供給ステーション40は、6個の対応するインク容器を収容するように構成された6個のインク容器ベイを備える。図示の実施形態では、インク供給ステーション40は、黄色ベイ42、暗マゼンタベイ44、明マゼンタベイ46、暗シアンベイ48、明シアンベイ50及び黒色ベイ52を含み、これらはそれぞれ、黄色インク容器54、暗マゼンタインク容器56、明マゼンタインク容器58、暗シアンインク容器60、明シアンインク容器62及び黒色インク容器64を受け取るようになっている。他の印刷システムは、上記のものと異なる色を含めて、より多くの、又はより少ない色を使用するように設計されてもよい。本明細書で使用するとき、「インク」は、包括的な意味で使用され、それにより、やはりインク容器によって保持され、且つ流体送出システムを介して送出されることができる、プレコンディショナー、定着液などの他の印刷流体を指すことができることを理解されたい。同一色及び/又は種類の印刷流体を保持する2つ以上のインク容器を同一の印刷システム内に使用してもよい。一部の実施形態では、インク容器ベイの1つ又は複数を、別のインク容器ベイと異なった寸法にしてもよい。たとえば、図示の実施形態では、黒色ベイ52がその他のインク容器ベイより大きく、したがって、相対的により大きいインク容器を収容することができる。より詳細に後述するように、1つの特定のインク容器ベイが、異なった寸法のインク容器を収容してもよい。
【0008】
インク送出システム16’は、インクをインク供給ステーションからプリントヘッドに移動させるように構成されたインク搬送システム70を有する。一部の実施形態では、インク搬送システムは、インクをインク供給ステーションからプリントヘッドに、またその逆に移動させることができる両方向搬送システムであろう。インク搬送システムは、各色のインク用に1つ又は複数の搬送路を有することができる。図示の実施形態では、インク搬送システム70は、インク供給ステーションのインク容器をプリントヘッドに連結するチューブ72を有する。図示の実施形態では、インク容器をプリントヘッドに流体結合するそのようなチューブが6本ある。チューブは、プリントヘッドが印刷帯を横切って走査することができるだけの十分な長さ及び可撓性を備えて構成され得る。さらに、チューブは、チューブが搬送するインクに対して少なくとも部分的には化学的に不活性であり得る。
【0009】
インク搬送システムは、インク搬送路を通ってインクの搬送を実行するように構成された1つ又は複数の機構を有し得る。そのような機構は、インクの移動を促進する差圧を生じるように働くことができる。図示の実施形態では、流体搬送システム70は、各チューブ72を通るインクの搬送を実行するように構成されたポンプ74を備える。そのようなポンプは、インクを対応のインク搬送路を通して異なった方向に移動させるように構成されている両方向ポンプとして構成されてもよい。
【0010】
インク搬送路は、2つ以上の部分を含み得る。たとえば、各チューブ72は、インク容器をポンプに連結する静的部分76と、ポンプをプリントヘッドに連結する動的部分78とを有する。搬送路は、静的部分を動的部分に有効に連結し、且つポンプと相互作用してインクの搬送を実行するポンピング部分も有し得る。インク搬送路の個々の部分は、1つ又は複数の相互接続部によって流体連結されている、物理的に個別のセグメントであってもよい。一部の実施形態では、インク容器をプリントヘッドに連結する単一長のチューブが、静的及び動的部分を含めた2つ以上の部分に機能的に分割され得る。図示の実施形態では、動的部分78は、印刷中に移動する走査プリントヘッドに静止インク供給ステーションを連結するようになっており、したがって、動的部分は、プリントヘッドとともに移動し、且つたわむように構成されている。静止インク供給ステーションを静止ポンプに連結する静的部分は、ほぼ固定状態にあってもよい。
【0011】
インク供給ステーション40のインク容器は、容器に対するインクの流出入を容易にするように構成されたベントを有し得る。たとえば、ベントは、インク容器の内部を大気に流体結合し、それにより、インクの搬送を妨げる可能性がある不都合な圧力勾配の低減を助けるであろう。そのようなベントは、インクがベントを通ってインク容器から出るのを制限し、それにより、不必要なインクの消失を防止するように構成されるであろう。流体インターフェースの形の例示的なベントについてより詳細に後述する。
【0012】
印刷流体送出システム16’は、インク蒸発及び/又は他のインク損失を低減させるように構成されたベント室90を有し得る。インク供給ステーション40の各インク容器は、そのインク容器のベントをベント室に連結するチューブ92を介してベント室90に流体結合され得る。言い換えると、インク容器のベントをベント室に接続し、それにより、インク容器及びプリントヘッド間のインクの搬送を容易にすることができる。ベント室は、大気へのインクの蒸発を制限しながら、不都合な圧力勾配を低減させ得る。一部の実施形態では、ベント室90は、インク損失を制限するラビリンスを備え得る。ベント室90は、実質的に静止した位置に固定され得る。
【0013】
上述したように、図2は、印刷流体送出システム16’を幾分概略的に示す。印刷流体送出システムの構成要素の正確な配置は、所望の工業デザインに従って物理的に配置され得る。同様に、本開示の範囲に入っている限り、個々の要素を図示の実施形態から変化させてもよい。本開示による印刷流体送出システムを利用する流体噴射システムの設計時に考慮されることができる因子には、寸法、形状、アクセス及び審美性が含まれる。軸外インク供給部を参照しながら説明し、且つ図示するが、本明細書に記載の原理の多くが軸上インク供給部にも適用可能であることを理解されたい。軸外インク供給部は非制限的な例として提示されており、軸上インク供給部も本開示の範囲に入る。
【0014】
図2は、取り外し状態の暗シアンインク容器60を実線で示す。破線61で示されているように、暗シアンインク容器は、インク供給ステーション40内に取り付けられることができる。同様に、インク供給ステーション40のその他のインク容器についても取り付け及び取り外しを選択的に行うことができる。このように、満杯状態のインク容器を取り付けることにより、使い尽くされたインク供給部を補充し、これにより、流体噴射システムの動作寿命を延ばすことができる。インク供給ステーションは、個々のインク容器を互いに独立的に交換することができるように構成されることができる。たとえば、1つのインク容器だけが使い尽くされた場合、そのインク容器を交換し、その他のインク容器はそのままにしておくことができる。さらに、2つ以上の異なった印刷流体及び/又は色を共通の容器アセンブリ内に収容する一括式インク供給部をインク容器ベイ内に着座させてもよい。図2は、インク容器60がインク供給ステーション40内にほぼ垂直方向に取り付けられるように示しているが、必ずしもそうである必要はないことを理解されたい。インク供給ステーション40は、横方向に取り付けられるインク容器を受け取るような向きにすることができる。
【0015】
インク送出システムは、送出に使用可能なインク量を追跡するように構成されたインクレベルモニターを含むことができる。インクレベルモニターは、個別のインク容器、同一色のインクを供給するインク容器群、及び/又はシステムの一括式インク供給部を個別に監視するように構成されることができる。インクレベルモニターが通報システムと協働し、それにより、ユーザにインクレベルの状態を知らせてもよく、それにより、ユーザはインクレベルを推定し、且つインク補充の準備をすることができる。さらに、より詳細に後述するように、インク容器にメモリ及び関連の電気インターフェースを設けて、インク容器のインクレベルに関する情報をそのようなメモリに記憶し、且つ電気インターフェースを介して伝達してもよい。
【0016】
図3及び図4は、インク容器102を選択的に受け取るように構成された例示的なインク容器ベイ100のより詳細な図を示す。図3は、インク容器ベイ100を開放位置に示し、図4は、インク容器ベイを閉鎖位置に示し、この場合、インク容器ベイはインク容器102を保持している。インク容器ベイは、インク容器の一部分と対になるように適応させた受け座104を備えることができる。言い換えると、受け座104とインク容器の一部分とは相補的に構成され、それにより、インク容器を受け座内に合体することができる。受け座は、インク容器の一部分、たとえば、インク容器蓋及び/又はインク容器タンク本体の肩部分の寸法及び形に合った寸法及び形を有し得る。インク容器ベイは、インク容器を所定位置に保持するように適応させたラッチ部材106を有し得る。図示の実施形態では、ラッチ部材106は、ヒンジを中心にして回動し、それにより、インク容器102のリム部分108に係合する。リム部分108は、ラッチ面の一例であり、ラッチ部材がこれに係合し、それにより、インク容器をインク容器ベイ内に保持することができる。図示の実施形態では、ラッチ部材106は、インク容器102の後部分112を挿通することができる開放空隙110を有する。インク容器を所定位置に保持するように構成された1つのラッチ部材、又は2つ以上のラッチ部材の組み合わせを、異なった寸法のインク容器に対応するように構成してもよい。一部の実施形態では、ラッチ部材が、インク容器の1つ又は複数の部分、たとえばリム部分108のラッチ面に係合することができる。図示の実施形態では、ラッチ部材106は、後部分112を開放空隙110に挿通している間、インク容器の各側のリム部分108に係合するように構成されたプランジャ114を有する。プランジャ114は、ラッチ部材106が閉鎖位置にあるとき、インク容器102に着座圧力を加えるようになっている弾性部材を備える。一部の実施形態では、2つ以上のラッチ部材が、大きな後部分を容易にする個別移動式構成部品であってもよく、若しくは一体形ラッチ部材を、大きな後部分に対応するように構成することができる。さらに、一部の実施形態では、インク容器を所定位置に保持するために、代替又は追加のラッチ機構を使用してもよい。
【0017】
図5〜図7は、インクを内部に収容することができる限界体積を共同で画定するように相補的に構成されたインク容器蓋122及びインク容器タンク本体124を有するインク容器120を示す。インク容器蓋及びタンク本体は、総称してタンク、インクタンク又は印刷流体タンクと呼ばれるであろう。一部の実施形態では、そのようなタンクは、単一の構造部材片で、又は図示の実施形態に示されたものとは異なって接続される2つ以上の部材片から形成されることができる。蓋122は、タンク本体を蓋に結合したときにインク容器の内側の方に面する内側を有することができる。蓋は、タンク本体に係合するか、又は、他の方法で蓋をタンク本体に固定するようになっている1つ又は複数の部分を備え得る。一部の実施形態では、蓋及びタンク本体を互いに取り外し可能に固定することができる一方、一部の実施形態は、ほぼ永久的な構造に接続された蓋及びタンク本体を使用し得る。ガスケット又は他の適当なシールを、蓋122とタンク本体124との間の接合面にはめ付け、それにより、蓋及びタンク本体が多量のインク又は他の印刷流体を保持する能力を高めるようにしてもよい。
【0018】
インク容器120は、自由体積のインクを保持するようになっている遊離型インク容器として構成されてもよい。本明細書で使用するとき、自由体積のインクとは、スポンジ、発泡体、インクサック又は同様な中間保持装置及び/又は背圧印加機構を用いることなく、容器内に保持される、多量の(或る量の)インクのことである。遊離型インク容器は、その境界内でほぼオープンであり、そのため、比較的大きい割合の閉鎖空間にインクを満たすことができ、インクはタンク内を自由に流れることができる。本明細書により詳細に記載するように、インク容器120の構造により、自由体積のインクをインク容器から引き出し、且つプリントヘッドに送出することができる。さらに、後述するように、非常に高い割合の自由体積のインクを遊離型インク容器から引き出すことができ、このため、残留インクの量が抑えられる。
【0019】
インク容器蓋122は、インク容器の内容物から離れる方に面する外面126を有する。外面126は、インク容器を対応のインク容器ベイ内に取り付けたとき、インク容器の「前」向き部分になるように構成されることができる。したがって、外面は、インク容器の最前面と呼ぶ、又はインク容器の最前平面に整列すると言うことができる。一部の実施形態では、印刷流体容器の蓋以外の部分が、印刷流体容器の最前面であってもよい。
【0020】
インク容器蓋122は、ほぼ平坦なプロファイルを有する外面126を備えることができる。より詳細に後述するように、外面は、機械的位置合わせ及び/又はキー結合を行うようになっている1つ又は複数の凹部を有することができる。外面は、インク容器の外側からインク容器の内側まで通る穴を追加的に、又は代替として有することができる。そのような穴は、印刷流体及び/又は空気をインク容器の内部からインク容器の外へ、又はその逆に移動させるための流体インターフェースとして使用されることができる。各凹部、穴及び/又は他のインターフェースの入口点を同一の最前面上に配置することができる。一部の実施形態では、印刷流体容器のさまざまなインターフェースへの入口点を、最前面の別の部分より上方に隆起したタワー上に配置してもよい。そのような実施形態は、ほぼ平坦なプロファイルを有さないが、さまざまな機械的、流体的及び/又は電気的インターフェースの入口点を共通の最前平面上に位置合わせさせることができる。一部の実施形態では、各インターフェースへの入口点は、最前平面の各側の許容距離内に配置されることができる。たとえば、一部の実施形態では、或るインターフェースの入口点と別のインターフェースの入口点との前方又は後方の変動が約5mm未満であることができるが、ほとんどの実施形態では、そのような変動が約2mm未満、さらには1mm未満であろう。ほぼ平坦なプロファイルを有する外面を有するインク容器蓋は、ほぼ平坦なインク容器蓋と呼ぶことができるが、そのようなインク容器蓋は、測定可能な厚さ、凹凸状の内側及び/又は外面上の1つ又は複数の表面誤差を有することができる。
【0021】
インク容器蓋122は、2つ以上の構造部材片の組み合わせと異なって、単一式構造部材片130として構成することができる。そのような部材片は、強度、重量、加工性、コスト、インクとの適合性、及び/又は他の考慮事項に基づいて選択された材料から成形、押し出し、又は他の方法で形成されるであろう。たとえば、蓋は、適当な合成材料から射出成形されることができる。単一式構造部材片による構造は、内側及び外面が同一の材料部材片の両側であるインク容器蓋をもたらす。
【0022】
単一式構造部材片から構成されたインク容器蓋は、相補的な補助構成要素を備えることができる。たとえば、インク容器蓋及びタンク本体間の液密シールを向上させるために、ガスケットを使用してもよい。単一式構造部材片内に形成される流体インターフェースには、インクをインク容器内に選択的に密封するように構成されたシールを取り付けることができる。シールは、隔壁、ボール及び隔壁アセンブリ、又は他の機構の形をとることができる。メモリ装置をインク容器蓋122に取り付けることができ、インク容器蓋は、メモリ装置との間でデータを転送するための電気インターフェースを装備することができる。そのような補助構成要素は、インク容器蓋の全体寸法及び形状を画定する単一式構造部材片と一体化して協働できるようにすることができる。
【0023】
インク容器120は、インク容器蓋122と協働し、それにより、多量のインクを収容するための構造境界を設けるタンク本体124を備える。より詳細に後述するように、インク容器122のさまざまな機械的、電気的及び流体的インターフェースをインク容器蓋上に配置することができる。言い換えると、インク容器のインターフェース機能をインク容器蓋にほぼ統合し、それにより、タンク本体に関する設計自由を与えることができる。たとえば、図8は、3種類の寸法のタンク本体124a〜124cを有するインク容器蓋122を示す。それからわかるように、異なったインク容量を有するインク容器は、異なったタンク本体を同一のインク容器蓋と組み合わせることによって形成されることができる。したがって、所望のインク容量を与えるために、インク容器の寸法を選択的に定めることができる。さらに、異なったインク容量を有する2つ以上のインク容器を同一のインク容器ベイ内に択一的に取り付けてもよく、それにより、プリンタ構成の融通性が高まる。インク容器蓋構造を規格化することは、製造コストの削減も助けるであろう。異なった構成のインク容器蓋も本開示の範囲に含まれることを理解されたい。
【0024】
インク容器タンク本体の一部分を標準的な寸法及び形状で構成する一方、別の部分を2つ以上の形態の間で変化する寸法及び形状で構成することができる。たとえば、図8は、互いに同様に構成された肩部分132a〜132cをそれぞれ有するタンク本体124a〜124cを示す。そのような肩部分は、インク容器蓋の対応幅とほぼ同じ幅を有する。タンク本体124a〜124cはそれぞれ、互いに異なった構成の後部分134a〜134cも有する。そのような後部分は、インク容器蓋の対応幅より狭い幅を有する。肩部分及び後部分は、ラッチ表面138a〜138cを有するリム部分136a〜136cによって接合されている。タンク本体の一部分、たとえば肩部分132a〜132cを標準的な寸法及び形状で構成することは、標準インク容器蓋122によって与えられる互換性と同様に、異なったインク容器間の互換性を改善する。たとえば、同様な構成の肩部分を有するが、異なった寸法の後部分を有し得る異なったインク容器を同一のラッチ部材で固定することができる。
【0025】
タンク本体124は、インク容器の取り扱い部分として役立つように構成されてもよい。インク容器をインク供給ステーションのインク容器ベイに装填し、且つそれから取り出すとき、インク容器を物理的に持って扱うことができる。インク容器はまた、補充プロセス中、保守点検中、又は他のさまざまな状況において把持部分で持つこともできる。タンク本体124は、そのような場合にインク容器を取り扱うために使用され得る。タンク本体は、快適且つ確実な把持を行うための寸法及び形状を有することができる。さらに、タンク本体の表面を、そのテクスチャー加工などによって把持牽引力を高めるように適応させてもよい。タンク本体の形状は、印刷流体容器をインク供給ステーションの対応のインク容器ベイに挿入しやすくすることもできる。たとえば、水平軸に関して対称的でないことは、ユーザが容易に確認することができる上下を画定するのを助け、それにより、インク容器を対応のインク容器ベイ内へ取り付けることが簡単になる。
【0026】
上述したように、インク容器蓋は、インク容器を受け取るように適応させたインク容器ベイの相補的機能部分に対応する1つ又は複数のインターフェース機能部分を含み得る。たとえば、図5に示されているように、インク容器蓋122は、位置合わせポケット152、キー結合ポケット154、空気インターフェース156としての上部流体インターフェース、インクインターフェース158としての下部流体インターフェース、及び電気インターフェース160を設けたインターフェースパッケージ150を有する。本明細書で使用するとき、インクインターフェースは、空気を通すためにも使用され、且つ/又は空気インターフェースは、印刷流体を通すために使用されることができる。インターフェースパッケージ150は、インク容器蓋122の外周128の内部に配置されている。言い換えると、インターフェースパッケージ150の構成機能部分は、インク容器蓋の側縁部の周り、又はタンク本体上のその他の場所には配置されていない。
【0027】
より詳細に後述するように、インターフェースパッケージ150は、インク容器からのインクの送出を可能且つ/又は促進するようになっている機械的、流体的及び電気的インターフェースの例示的な集合体である。インターフェースパッケージ150は、非制限的な例として与えられており、他の構造は追加的及び/又は代替の機能部分を備えてもよい。さらに、さまざまな機能部分の配置は、図示の実施形態と異なってもよい。
【0028】
図5は、インク容器を所望位置に所望向きで位置付けるように構成された例示的な位置合わせポケット152を示す。そのような位置付けは、インク容器とインク容器ベイとのはめ合いを容易にする。特に、位置合わせポケットを使用して、インク容器を適当な位置に位置付けることができ、それにより、インク容器のさまざまな側面が、インク容器ベイの対応の側面と結合されるように位置合わせされる。たとえば、キー結合ポケット154をインク容器ベイの対応のキーポストに位置合わせすることができる。空気インターフェース156及びインクインターフェース158をインク容器ベイの対応の空気及びインクコネクタに位置合わせすることができる。電気インターフェース160をインク容器ベイの対応の電気接点に位置合わせすることができる。
【0029】
位置合わせポケット152を印刷流体容器の最前面から窪ませ、それにより、印刷流体容器の最前面から突出するタワー状のインターフェースに比べて、損傷を受けにくい頑強なインターフェースを提供することができる。一部の実施形態では、位置合わせポケットを最前面から10ミリメートル、15ミリメートル又はそれ以上に窪ませてもよい。位置合わせポケットの断面幅は、所望の長さ/幅比を達成できるように選択されるであろう。特に、約1.5の長さ/幅比が、対応の位置合わせ部材にはめ合わせたときに印刷流体容器の回転を制限することがわかった。一部の実施形態では1.0〜4.0の範囲の比が適当であろうが、ほとんどの状況では1.2〜2.0の比が適当である。位置合わせポケットの幅は、印刷流体容器の回転及びさまざまなインターフェース機能部分の位置合わせ不良の原因になり得るねじり力に耐えるのに十分に機械的に強力である位置合わせ部材を収容するのに十分な大きさに選択され得る。
【0030】
図9〜図11及び図14〜図16は、インク容器120がインク容器ベイ170内に着座していく状態の一連の断面図を示す。図9〜図11は、インク容器120が脱座位置から着座位置へ移動していくところを示す上面図である。同様に、図14〜図16は、インク容器120が脱座位置から着座位置へ移動していくところを示す側面図である。インク容器蓋122は、インク容器蓋の中心部分から窪んだ位置合わせポケット152を有する。図示の実施形態では、位置合わせポケット152は、ほぼ平坦な外面、すなわち最前面から窪んだ終端面172及び側壁174を有する。位置合わせポケットは、インク容器ベイ170の対応の外向き突出位置合わせ部材176を収容するのに十分な深さを有するような寸法であることができる。側壁174は、外面に対して垂直に配置されるか、又は、側壁の1つ又は複数にテーパを付け、それにより、位置合わせポケット152の開口178の断面積が、終端面172の断面積より大きくなるようにしてもよい。
【0031】
位置合わせ部材176及び位置合わせポケット152間のはめ合わせを十分に緊密にし、それにより、位置合わせポケットを位置合わせ部材に係合させたとき、インク容器蓋122が所望の移動経路に効果的に制限されるようにすることができる。このように、インク容器蓋及び対応のインク容器ベイの位置合わせを確実に行うことができる。はめ合わせは、位置合わせポケット152及び位置合わせ部材176の部分間の物理的接触によって行われることができる。そのような接触は、図面に示すように、位置合わせポケット及び位置合わせ部材の表面全体に沿ったものであってもよい。一部の実施形態では、表面全体より少ない部分に沿って接触が起きるようにしてもよい。一部の実施形態では、位置合わせ部材と位置合わせポケットとのはめ合いがあまり緊密ではなく、位置合わせポケットは、位置合わせ部材に緊密に係合することなく、突出した位置合わせ部材を収容する寸法でありさえすればよい。
【0032】
インク容器蓋122は、漸進的位置合わせ機構を有することができ、これは、インク容器蓋がインク容器ベイ内により完全に着座するほど、インク容器蓋の位置合わせがより正確になる。たとえば、外周128をインク容器ベイ170の対応の側壁180よりわずかに小さい寸法にすることができ、また、インク容器ベイは、位置合わせポケットが位置合わせ部材に緊密に係合する前に、インク容器蓋に係合するように構成されることができる。したがって、外周がインク容器蓋に対して概略位置合わせを行うことができる。インク容器及び側壁180間のはめ合わせに比較的許容性があり、そのため、概略位置合わせの開始を容易にすることができる。概略位置合わせは、位置合わせポケット172によって行われる位置合わせほど正確ではないであろうが、インク容器は、概略位置合わせの開始時には、精密位置合わせの開始時に比べて広範囲の位置にあることができる。インク容器及びインク容器ベイは、外周128、肩部分132及び側壁180間の概略位置合わせ相互作用により、位置合わせポケット152が位置合わせ部材176に係合する位置へ向けられるように構成されることができる。一部の実施形態では、概略位置合わせは、実際の物理的相互作用を含まないで、インク容器を大雑把な位置合わせ位置に置くための視覚的手掛かりとなり得る。
【0033】
位置合わせ部材176及び位置合わせポケット152は相補的に構成され、それにより、インク容器蓋がインク容器ベイ内に着座するのに伴って、位置合わせ部材及び位置合わせポケット間のはめ合わせが漸進的に緊密になるようにすることができる。たとえば、位置合わせポケットの一部の実施形態は、開口178の断面積が終端面172の断面積より大きいように構成され得る。さらに、位置合わせ部材176は、終端面172の断面積に一致する断面積を有する端部182を備えて構成されることができる。したがって、端部182は幾分遊嵌状態で開口178にはまるが、終端面172に向かって完全に着座したとき、緊密にはまり得る。位置合わせ部材及び位置合わせポケットが互いにより完全にはめ合わせられていくと、位置合わせポケット及び位置合わせ部材間のはめ合わせが漸進的に緊密になり得る。一部の実施形態では、位置合わせポケットとの位置合わせ接触を開始しやすくするために、位置合わせ部材の端部にわずかなテーパ又は丸みを付けてもよい。
【0034】
インク容器蓋122の側面がインク容器ベイ170の対応の機能部分に適切に位置合わせされることを確実にするために、漸進的位置合わせシステムを使用することができる。言い換えると、位置合わせポケット及び位置合わせ部材間のはめ合わせは、インターフェースパッケージの側面(たとえば、インクインターフェース、空気インターフェース、キー結合ポケット、電気インターフェースなど)がインク容器ベイの対応の側面に係合する前に、所望の緊密レベルを達成するように構成され得る。漸進的位置合わせは、着座の開始時のインク容器位置付けの許容度が、インク容器をインク容器ベイ内に完全に着座させるときに比べて大きいので、位置合わせの開始も容易にするであろう。いったん位置合わせが開始されると、インク容器は所望位置に所望向きで、且つ向上した精度で効果的に進められるであろう。インク容器の側面とインク容器ベイの側面との間の相互作用は、所望の精度レベルに達したときに開始されるように設計されることができる。上述した漸進的位置合わせシステムは、非制限的な例として提示されている。他の漸進的位置合わせシステムも使用され得る。さらに、一部の実施形態は、非漸進的位置合わせシステムを使用し得る。
【0035】
図5は、インク容器を適切なインク容器ベイ内に確実に着座させるように構成された例示的なキー結合ポケット154を示す。インク供給ステーションの各ベイは、特定の印刷流体(インクの種類、インクの色、定着液、プレコンディショナーなど)を保持するインク容器を受け取るようにすることができる。たとえば、各インク容器ベイは、そのインク容器ベイが受け取るようになっているインクの色に対応する独特の形状及び/又は向きのキーポストを有し得る。同様に、その色のインクを保持するインク容器は、その色に関連する対応のキーポストだけとはめ合わされるキー結合ポケットを備えることができる。キーポストはキー結合ポケットと、相互に排他的関係ではめ合わされることができ、このことは、1つのインク色に関連したキーポストは、異なったインク色又は別の種類の印刷流体に関連したキー結合ポケットとはめ合わされないことを意味する。言い換えると、各インク色は、独特の形態のキーポスト及びキー結合ポケットの組み合わせによってキー結合され得る。このように、印刷流体容器のキー結合ポケットの特徴が、その容器によって保持される印刷流体を示し得る。
【0036】
キー結合ポケットは、流体容器が適切な流体容器ベイに挿入されつつあることを物理的に確認するために使用されることができる。たとえば、インク容器をインク容器ベイに装填しようとする際、キー結合ポケットが触感的フィードバックを与えることができる。インク容器をベイ機構に装填しつつあり、それにより、そのインク容器に入っている色のインクを送出しようとするのか、又は別の色のインクを送出しようとするのかに応じて、触感的フィードバックが明らかに異なるように、キー結合ポケット及び/又はキーポストを構成することができる。キー結合ポケットは、インク容器蓋のキー結合ポケットに対応するキーポストを備えていないインク容器ベイ内へのインク容器の装填を妨げるようになっていることができる。一部の実施形態では、そのようなインク容器を装填することはできるが、相補的でないキーポスト及びキー結合ポケット間の相互作用が、互いに係合する相補的キー結合機能部分の感触と明らかに異なる感触を発生することができる。たとえば、インク容器のキー結合ポケットが、そのキー結合ポケットに係合中のキーポストに対して相補的に構成されていないインク容器を挿入するとき、より大きい抵抗があるであろう。
【0037】
図9〜図11は、インク容器120をインク容器ベイ170内に着座させていくときの、キーポスト190を受け取るキー結合ポケット154の断面図を示す。キー結合ポケット154及びキーポスト190は、対応のインク色に基づいて相補的に構成される。キー結合ポケット154などのキー結合ポケットは、正しいインク色に対応したキーポストだけとはめ合わされるように構成されることができる。他のインク容器は、異なったインク色に関連付けられた異なったキーポストとはめ合わされるようになっている同様のキー結合ポケットを備え得る。このように、印刷システムが送出するように構成されている各インク色を、キーポスト及び対応のキー結合ポケットの独特の組み合わせに関連付けることができる。特定のインク色のキー結合に関して主に説明してきたが、キー結合機構は、印刷流体の代替又は追加態様のキー結合にも使用されることができることを理解されたい。たとえば、写真用インクなどの特別な種類のインクに固有のキーを付け、それにより、適切な種類のインクが特定ベイに確実に取り付けられるようにすることができる。さらに、プレコンディショナー及び/又は定着液などの他の印刷流体にキーを付け、それにより、そのような流体を収容している流体容器が、そのような流体を送出するように構成された対応のベイ内に確実に取り付けられるようにすることができる。
【0038】
位置合わせ部材176は、キーポスト190がキー結合ポケット154に係合する前に、位置合わせポケット152に係合するように構成されることができる。したがって、位置合わせ部材及び位置合わせポケットが協働して、キー結合ポケット154がキーポスト190に係合するのに適した位置に確実に位置付けられるようにすることができる。キーポスト及びキー結合ポケットのはめ合いより前に位置合わせ部材及び位置合わせポケットをはめ合わせやすくするために、位置合わせ部材をキーポストより長くしてもよい。そのような実施形態では、位置合わせポケットがキー結合ポケットより深いであろう。一部の実施形態では、キー結合ポケット及び位置合わせポケットを、それぞれキーポスト及び位置合わせ部材にほぼ同時に係合するように構成してもよい。一部の実施形態では、位置合わせポケット及びキー結合ポケットの機能を合体させて、インク容器を所望位置に所望向きで位置付け、且つインク容器を適切なインク容器ベイ内に確実に着座させるように構成された単一の機能部分にすることができる。
【0039】
図12は、例示的なキーポスト190の断面図を概略的に示し、このキーポストは、相補的に構成されたキー結合ポケット154に挿入されるように構成されている。図示の実施形態では、キーポスト190は、第1スポーク192、第2スポーク194及び第3スポーク196を備える「Y」字形態を有する。第1スポーク192及び第2スポーク194間の角度αは、第1スポーク192及び第3スポーク196間の角度αと同じである。第2スポーク194及び第3スポーク196間の角度θは、角度αより小さい。キーポストは、第1スポーク192を通って角度θを二分する対称軸Sに関して対称的であると記載することができる。図示のように、キーポスト190は、対称軸Sと共平面関係にあるいずれの他の軸に関しても対称的でない。
【0040】
キー結合ポケット154は、キーポスト190とはめ合わされる形状であり、それにより、各スポークはキー結合ポケットの対応スロット内に効果的に滑り込む。固有のキー結合インターフェースが、特定のキーポスト及びキー結合ポケットの組み合わせの同一の全体形状でありながら、その組み合わせの向きを回転させることに基づいてもよい。たとえば、キーポスト190と同一の全体形状を有するキーポストの対称角を回転させることによって、異なったインターフェースを構成してもよい。固有のインターフェース組み合わせを生じるために、対応のキー結合ポケットも同様に回転させることができるであろう。たとえば、対称角を45°増分刻みで回転させ、それにより、8つの固有のキーポスト形態をもたらすことができる。図13は、キーポスト190によってキーを付けられたインク色と異なる5つのインク色にキーを付けるために使用されることができる5つのそのような形態を示す。上述したキーポスト及びキー結合ポケット形態は、非制限的な例として提示されている。他のキー結合インターフェースを使用してもよい。
【0041】
インク容器及びそれに対応付けられたインク容器ベイ上のキー結合インターフェースの相対位置を移動させることにより、1つのキー結合インターフェースを別のキー結合インターフェースに対して追加的且つ/又は代替として変化させてもよい。たとえば、キーポストを45°増分刻みで回転させ、それにより、8つの異なる可能なキーポスト形態をもたらすことができる上記例を使用すると、キーポストの位置を3つの異なった位置間で選択し、それにより、合計で24(8×3)の固有キーポスト形態をもたらすことができる。対応の位置及び向きのキー結合ポケットを、そのようなキーポストとはめ合わされるように構成することができる。所望ならば、回転の増加分の大きさの減少、キーポスト位置の追加、新しいキーポスト形状の追加などにより、追加のキー結合形態を達成することができる。たとえば、キーポストを22.5°増分刻みで回転させ、それにより、16個の異なった形態をもたらすことができる。同様に、異なったキーポスト及びキーポケットの形状を使用することができ、それらの例として、「T」、「L」及び「V」字形がある。
【0042】
上述したように、インク容器のキー結合機能部分及び/又は位置合わせ機能部分は、インク容器から外方に延出する突起に対立するものとして、インク容器内に延出する凹部として構成されることができる。そのような凹部は、損傷を受けにくい頑強なインターフェースを提供する。さらに、インク容器に凹部を設けることは、インク容器蓋の外面のほぼ平坦なプロファイルを崩さない。
【0043】
図5は、例示的な上部流体インターフェース156及び例示的な下部流体インターフェース158を示し、これらは、インク容器120へ、且つ/又はそれからインク、空気又はインク/空気混合体を移送するように構成されている。本明細書で使用するとき、上部流体インターフェース156は空気インターフェースと呼ばれ、下部流体インターフェース158はインクインターフェースと呼ばれ得る。しかしながら、一部の実施形態及び/又は動作モードでは、両方のインターフェースがインク、空気又はそれらの混合体を移送することができることを理解されたい。1つの例示的な動作モードでは、下部流体インターフェース158が印刷流体を送出する一方、上部流体インターフェース156が印刷流体容器内の圧力を制御し得る。
【0044】
図示の実施形態では、流体インターフェースは、ボールシール構造を有する隔壁として構成されている。流体インターフェースは、インク容器の内容物を密封し、それにより、内容物の望ましくない漏れが起きないようになっている。各インターフェースは、隔壁の選択的シールを貫通し、且つ流体をインク容器の内外へ移送することができる、中空ニードルなどの流体コネクタを取り外し可能に受け取るように構成されている。隔壁は、流体コネクタの挿入時、及び流体コネクタの取り外し後の望ましくない漏れを防止するように構成されることができる。たとえば、隔壁は、挿入されたニードルを密接に包み込み、それにより、インク又は空気がニードルを通ることができるが、ニードルと隔壁との間を通ることができないようにする。
【0045】
図14〜図16は、空気インターフェース156に係合する流体コネクタ200と、インクインターフェース158に係合する流体コネクタ202とを示す。位置合わせ部材176は、流体コネクタが流体インターフェースに係合する前に位置合わせポケット152に係合するように構成されることができる。したがって、位置合わせ部材及び位置合わせポケットが協働して、流体インターフェースが流体コネクタに係合するのに適した位置に確実に位置付けられるようにすることができる。言い換えると、位置合わせインターフェースは、流体コネクタがインク容器の望ましくない部分に係合し、そのことが流体コネクタの破損を引き起こし得ることを防止する。位置合わせポケット及び位置合わせ部材が協働して流体インターフェースを適切に位置合わせするので、流体インターフェースへの入口点は、インク容器の外面から延出する位置合わせポスト上に対立するものとして、インク容器の最前面とほぼ共平面の関係に位置付けられることができる。
【0046】
図17〜図19は、流体インターフェース158のシール部材260のより詳細な図を示す。シール部材260は、ボールシール部分262を有し、これは、降伏可能に付勢されたプラグ部材と合わせられる形状であり、それにより、流体インターフェースが対応の流体コネクタと係合していないとき(図18)、望ましくない流体漏れを防止する液密シールを形成する。シール部分260は、流体インターフェースが対応の流体コネクタと係合しているときに(図19)、望ましくない流体漏れを防止するニードルシール部分264も有する。図18に示されているように、ばね部材266がプラグ部材268をシール部材のボールシール部分262に押し付ける。シール部分262は、プラグ部材に対して相補的な形状を有し、それにより、プラグ部材がシール部分に押し付けられたとき、液密シールが確立される。図19に示されているように、流体コネクタ202は、シール部材260に挿通されることができ、且つ流体コネクタは、ばね部材によって加えられる復元力に抗してプラグ部材をシール部材から離れるように移動させることができる。プラグ部材がシール部材から離れて移動するとき、シール部材とプラグ部材との間の液密シールが緩められる。しかしながら、流体コネクタとシール部材との間の液密シールは確立されるであろう。図20に示されているように、流体コネクタ202は、流体コネクタをプラグ部材に係合させたとき、流体コネクタの中空部分276内へ流体を流入させることができる流体通路機能部分274を有する端部分272を備えることができる。以上は、流体インターフェース及び対応の流体コネクタの可能な形態の非制限的な例として提示されている。本開示の範囲にある限り、流体容器内の流体を選択的にシールするために他の機構を使用することができることを理解されたい。一例として、ニードルが取り外された時に自封するスリット隔壁を使用してもよい。
【0047】
図14〜図16に示されているように、インクインターフェース158は、対応のインク容器ベイ内に着座した位置での向きにおけるインク容器の鉛直下方の底部付近に位置することができる。そのような位置では、流体コネクタ202もインク容器の鉛直下方の底部付近にある。さらに、インク容器のタンク本体124は、流体コネクタに向かって傾斜する底面204を設けた形状を有することができ、それにより、インクが流体コネクタへ自然に流れることができる。言い換えると、底面204は、インク容器の下部分に向かって重力により付勢されている。図示の実施形態では、インク容器の形状は、流体コネクタ202が接近できる位置にインクを流出させることができるように構成されたインク溜め206をもたらす。タンクの残り部分に対するインク溜めの位置により、インクレベルが低下すると、印刷流体がインク溜め内に蓄積するであろう。使用中にインクレベルが低下すると、流体コネクタ202は、インク溜め206に入っているインクを引き出し続けることができる。
【0048】
インク溜め、インクインターフェース及び対応の流体コネクタは、インク容器内に残留するインクの量を制限するように位置付けられ、それにより、無駄を最小限に抑えることができる。一部の実施形態では、印刷流体容器は多くても2立方センチメートルの印刷流体を除いて全て送出することができるが、ほとんどの実施形態では、多くても1立方センチメートルの印刷流体を除いて全て送出することができる。上述したように、タンク本体の寸法を増加させ、それにより、さらなるインク容量を提供することができる。また、そのようなタンクは、インク溜め206に似たインク溜めを備えて構成されることができるか、又は、他の方法として、インクインターフェースがタンクの底部付近に位置するように構成されることができ、それにより、インク容器内に残留し得るインク量が最小限に抑えられる。言い換えると、本開示によれば、インク容器の内部に残留し得るインク量は、インク容器のインク容量に比例する必要がない。
【0049】
図5に示されているように、インク容器蓋122の外面126は、インクインターフェース158が位置する場所に突出部210を有することができる。図示の実施形態では、突出部210は、流体コネクタが通ることができるインクインターフェース158の中心部分をインク容器タンクの低い地点付近に位置付けることができるように構成される。したがって、流体コネクタを流体インターフェースに挿入し、それにより、インク容器の比較的低い領域からインクを引き出すことができ、そのため、より多い割合のインクをインク容器から引き出しやすくなる。突出部210はまた、インクインターフェースを外面126の外周128内に置いたまま、インクタンクの底部付近に配置することができるようにする。
【0050】
図21は、底面204の一部分から窪み、それによってインク溜め206を形成するトラフ212に位置合わせされた突出部210を幾分概略的に示す。インク溜め206は、タンクの残り部分よりも鉛直下方であり、そのため、印刷流体が容器から取り出されるとき、インク溜め内に印刷流体が蓄積しやすい。言い換えると、底面のインク溜め部分207は、底面の残り部分から窪ませることができる。インク溜め206内への印刷流体の蓄積を向上させるために、底面204にはインク溜めに向かって重力により付勢され、それにより、印刷流体がインク溜めまで「下り坂を」効率的に流れるようにすることができる。底面204は、インク溜め206への流体経路がなく、捕らえられた印刷流体を蓄積する可能性がある誤ったインク溜めをまったく伴わない形状にすることができる。
【0051】
突出部210及びトラフ212は、図示の実施形態に示されているように、互いにほぼ位置合わせされることができる。そのように位置合わせされるとき、最前面の下縁部の輪郭が、底面の下縁部の輪郭をたどる。突出部210及びトラフ212は、インク容器蓋122に対して水平方向に位置合わせされてもよい。突出部及びトラフは、追加的又は代替として、インク容器ベイの挿入軸に対して水平方向に位置合わせされてもよい。言い換えると、インク容器が対応のインク容器ベイ内に取り付けられたとき、突出部及び/又は突出部上の流体インターフェースが、インク容器ベイの各側からほぼ等距離に位置するように、突出部がインク容器蓋上に位置付けられ得る。
【0052】
図21では、流体レベル214が概略的に図示され、容器がインク溜めを有するとき、いかに多くのインクを印刷流体容器から引き出すことができるかを示している。反対に、図22は、インク溜めを有していない容器の流体レベル216を概略的に示している。比較すれば理解できるように、インク溜め206は、残留印刷流体量を抑制する。流体レベル214及び流体レベル216の深さは同程度であろうが、流体レベル214に対応付けられる印刷流体の量は、流体レベル216に対応付けられる印刷流体の量より相当に少ない。流体容器の、流体レベル214と接する部分の断面積が、流体容器の、流体レベル216と接する部分の断面積より小さく、そのため、同様な深さであると考えると、それぞれの体積を減少させるように、インク溜め206を構成することができる。一部の実施形態では、インク溜め206は、実質的に空の流体容器に対応する流体レベルの上表面積(及び対応の体積)を少なくとも75%、通常は90%以上減少させるように構成されることができる。さらに、上述したように、インク溜めの寸法を変えず、且つ容器内に残留する印刷流体の量を増加させることなく、インク容器の残り部分の容量を増加させることができる。インク溜め206は、さまざまな寸法及び形状にすることができる。一般的に、容器内に残留し得る印刷流体の量を減らすために、インク溜め206の体積を減少させるであろう。インク溜め206は、印刷流体がインク溜めに自由に流れ込むことができるようにする十分な追加体積を有する流体インターフェースを収容できる寸法であることができる。
【0053】
空気インターフェース156は、インク容器が対応のインク容器ベイ内に着座した位置での向きにおいて、インクインターフェース158の重力的上方に位置することができる。上部流体インターフェース156は、インク容器内の圧力等化を容易にするように構成された通気ポートとして機能することができる。インクがインクインターフェース158から引き出されるとき、空気インターフェース156は空気をインク容器タンクに流入させ、それにより、その内部の圧力を等化することができるであろう。同様に、インクがインク容器に戻される場合、空気インターフェースがインク容器から空気を排出するであろう。上述したように、上部流体インターフェースは、インク蒸発及び/又は他のインク損失を低減させるように構成されたベント室90に流体結合され得る。本明細書に説明して図示するように、インク容器(及び対応のインク容器ベイ、又はインク容器を着座させる他の機構)は、横方向に取り付けられるように構成されることができる。横方向の取り付けを容易にする構成は、印刷システムに設計の柔軟性も与える。特に、横方向取り付けにより、印刷システムは、上部装填に制限される場合とは対照的に、インク容器を前方、後方又は側方装填できるように設計されることができる。
【0054】
図2に示されているように、インクインターフェースは、インク容器への、及びそれからのインクの送出を制御するように構成されたポンプ74に流体結合されている能動インターフェースであることができる。空気インターフェースは、ポンプによって直接的に制御されず、むしろ圧力平衡が自然に達成されるように構成されている受動インターフェースであることができる。図示の実施形態は非制限的な例として提示されており、他の構成形態も本開示の範囲に入ることを理解されたい。たとえば、一部の実施形態では、空気インターフェースが、インク容器内に所望圧力を生じるように能動的に制御される能動インターフェースであってもよい。
【0055】
図5は、インク容器120の1つ又は複数の電気装置用の通信及び/又は電力経路を提供するように構成された電気インターフェース160を示す。電気インターフェース160は、インク容器ベイの対応の電気接点と電気接続されるようになっている1つ又は複数の電気接点162を有するであろう。インク容器をインク容器ベイ内に着座させると、電流が電気接続部を横切って流れることができる。このように、情報及び/又は電力が接続部を横切って伝達されることができる。たとえば、インク容器がメモリ装置164を備えて、電気インターフェースを使用してデータをメモリ装置に書き込み、且つ/又はメモリ装置からデータを読み取ることができる。たとえば、メモリは、適切な印刷流体を送出するように構成されたインク容器ベイ内にインク容器が装填されていることを確認するために使用されることができる電子キー結合情報を記憶するように構成されることができる。誤りが検出されると、電子キー結合を使用して、インク搬送システムの汚染を回避するように印刷を不能にすることができる。メモリは、使用期限、及び/又は対応付けられたインク容器内に残留するインクの相対量に関する情報を含むこともできる。一部の実施形態では、電気インターフェースは、特定用途向け回路などの追加の、又は代替構成部品を含むことができる。
【0056】
位置合わせポケット152を外面126のほぼ中心に位置付けることができ、インターフェースパッケージ150の他のインターフェースを位置合わせポケットの周囲に配置することができる。このように、空気インターフェース156、インクインターフェース158、電気インターフェース160及びキー結合ポケット154を位置合わせポケットと外周128との間に配置することができる。本明細書で使用するとき、「中心」という表現は、インク容器の外面の外周から相対的に遠位の位置を表す。インク容器の外面の中心は、インク容器の寸法及び形状によって変化するであろう。
【0057】
位置合わせポケットを外面の中心付近に位置付けることにより、その他のインターフェースの各々を位置合わせポケットに比較的近づけて配置することができる。位置合わせポケット152をその他のインターフェースに近接させて位置付けることにより、それらのインターフェースをインク容器ベイの対応の機能部分に整合させやすくなるであろう。たとえば、インターフェースを位置合わせポケットに近接させて位置付けることにより、位置合わせインターフェースに存在する許容差の影響が軽減されるであろう。したがって、位置合わせインターフェースが位置合わせにいくらかの変動を許す場合でも、その他のインターフェースは、インク容器ベイの対応位置に係合するための許容位置内に留まるであろう。言い換えると、位置合わせインターフェースが許容するいずれの移動の影響も、位置合わせポケットからの相対距離に比例して増幅されるであろう。したがって、さまざまなインターフェース機能部分を位置合わせポケットに近接させて位置付けることにより、そのような影響を最小限に抑えることができる。
【0058】
図5に示されているように、インク容器の流体インターフェースは、印刷流体容器の前面の垂直軸Vに沿って配置され得る。位置合わせポケット152も垂直軸Vに沿って配置されることができ、それにより、垂直軸Vは、上部流体インターフェース156、下部流体インターフェース158及び位置合わせポケット152と交差する。同様に、電気インターフェース160及び/又はキー結合ポケット154は、印刷流体容器の前面の水平軸Hに沿って配置され得る。位置合わせポケット152も水平軸Hに沿って配置されることができ、そのため、水平軸Hは、電気インターフェース、キー結合ポケット及び位置合わせポケットと交差する。言い換えると、位置合わせパッケージは「十字」構成に配置されることができ、位置合わせポケットが十字の中心(垂直軸V及び水平軸Hの交点)に位置する。一部の実施形態では、水平軸Hは垂直軸Vの、上部流体インターフェース156と下部流体インターフェース158との間の線分を二分することができ、且つ/又は垂直軸Vは水平軸Hの、電気インターフェース160とキー結合ポケット154との間の線分を二分することができる。さらに、図5に示されているように、垂直軸Vは対称軸であって、流体容器の基本形状が、軸の左右で同一であることができる。軸及びインターフェース機能部分に関連して使用するとき、「交差する」という用語は、インターフェース機能部分の少なくとも一部分が軸と交わることを意味する。したがって、共通軸は2つ以上の機能部分と交差することができるが、そのような機能部分の正確な中心はその軸に整合しない。
【0059】
図23は、インク容器ベイの側部ラッチ部材に対応するラッチ面を設けるようになっているラッチスロット222を備える例示的なインク容器220を示す。図24〜図26は、インク容器ベイ224に係合するときのインク容器220を示す。図示の実施形態では、インク容器ベイ224は、インク容器をインク容器ベイ内の着座位置に取り外し可能に固定するように構成された側部ラッチ部材226を備える。側部ラッチ部材は、少なくとも閉鎖位置及び開放位置間を弾性的に移動可能であろう。たとえば、側部ラッチ部材は、インク容器がインク容器ベイ内に着座するとき、側部ラッチ部材がインク容器と接触するように位置付けられる閉鎖位置に付勢される。インク容器がインク容器ベイ内へ移動するのに伴って、図25に示されているようにインク容器が側部ラッチ部材を開放位置へとたわませる。図26に示されているように、インク容器がインク容器ベイ内に着座すると、側部ラッチ部材は閉鎖位置に弾性的に戻る。側部ラッチ部材226は、ラッチスロット222に係合する留め部分228を有し、それにより、インク容器220をインク容器ベイ内の着座位置に保持する。インク容器は、側部ラッチ部材を開放位置へ移動させることにより、取り外すことができる。
【0060】
インク容器の両側部に配置された1対のラッチスロットは、位置合わせポケットと共平面状態に位置付けられることができる。たとえば、ラッチスロット222は、位置合わせポケット230と同一平面上に位置付けられることができる。図示の実施形態では、ラッチ面及び位置合わせポケットの各々が、水平方向に延在する共通平面と交差する。キー結合ポケット232及び電気インターフェース234も、同一平面上に位置付けられ得る。位置合わせポケットを通る平面に沿ってラッチ圧力を加えるように他のラッチ機構を構成してもよいことを理解されたい。一部の実施形態では、ラッチスロットを、位置合わせポケットと交差する別の平面上、たとえば、位置合わせポケット及び1つ又は複数の流体インターフェースと交差する垂直面上に位置付けてもよい。
【0061】
図27〜図29は、別のラッチ機構を用いる別の実施形態を示す。図示のように、インク容器ベイ240は、内部ラッチ部材244を備える位置合わせ部材242を有する。内部ラッチ部材244は、インク容器248をインク容器ベイ内に着座させるとき、位置合わせポケット246に選択的に係合するように構成されている。内部ラッチ部材は、少なくとも閉鎖位置及び開放位置間を弾性的に移動可能であり得る。たとえば、内部ラッチ部材は、インク容器をインク容器ベイ内へ着座させるとき、内部ラッチ部材が位置合わせポケット246と接触するように位置付けられる閉鎖位置に付勢される。インク容器がインク容器ベイ内へ移動するのに伴って、図28に示されているようにインク容器は内部ラッチ部材を開放位置へとたわませる。図29に示されているように、インク容器がインク容器ベイ内に着座すると、内部ラッチ部材は閉鎖位置に弾性的に戻る。内部ラッチ部材244は、位置合わせポケット246の対応のラッチタブ252に係合する留め部分250を有し、それにより、インク容器248をインク容器ベイ内の着座位置に保持する。インク容器は、内部ラッチ部材を開放位置へ移動させることにより、取り外すことができる。
【0062】
上記側部ラッチ及び内部ラッチ機構は、可能なラッチ構成の非制限的な例として提示されている。側部ラッチ機構及び内部ラッチ機構は、互いに協働的又は独立的に使用されてもよい。同様に、側部ラッチ機構及び/又は内部ラッチ機構を、図3及び図4を参照しながら記載したラッチ機構などの他のラッチ機構に対して追加的又は代替として使用してもよい。他の適当なラッチ機構を使用してもよい。
【0063】
図示の実施形態を参照しながら上記したように、インク容器は、1つ又は複数の流体的、機械的及び/又は電気的インターフェースを備えるインターフェースパッケージを有することができる。インク容器は、最前面を有するものとして記載されており、インク供給ステーションのインク容器ベイ内に横方向に挿入されるように構成されている。インク容器の最前面は、ほぼ平坦な外面として構成されることができる。インターフェースパッケージのそれぞれのインターフェースは、インク容器のほぼ平坦な最前面上に配置されることができる。最前面は、外周を有するものとして記載されており、インターフェースパッケージのそれぞれのインターフェースは、外周の内部に位置することができる。先に示した実施形態は、インターフェースパッケージを構成するための形態の非制限的な例を示す。他の構成も本開示の範囲に入ることを理解されたい。
【0064】
図30は、図5の印刷流体容器120より比較的大きい印刷流体容器300を示す。一部の実施形態では、他の印刷流体より一般的に使用される印刷流体を保持するために、大きい印刷流体容器が使用されるであろう。たとえば、印刷流体容器300は、黒色インクを保持するために使用されることができるのに対して、図5の印刷流体容器120などのより小さい印刷流体容器は、黄色インク、明シアンインク、暗シアンインク、明マゼンタインク又は暗マゼンタインクを保持するために使用される。一部の実施形態では、比較的大きい印刷流体容器は、大量印刷に使用されることができ、それにより、印刷流体容器の交換が必要になる頻度が減少する。印刷流体容器300は、図5のインターフェースパッケージ150と同様のインターフェースパッケージを有することができる。しかしながら、図30に示されているように、印刷流体容器300は、1つ又は複数の追加インターフェース要素を備えてもよい。特に、印刷流体容器300は、冗長インターフェース要素を備えることができる。たとえば、インターフェースパッケージは、2つ以上の位置合わせポケット及び/又は2つ以上のキー結合ポケットを有してもよい。比較的大きい黒色インクの印刷流体容器を参照しながら説明するが、他の印刷流体容器が冗長インターフェース要素を備えてもよいことを理解されたい。
【0065】
印刷流体容器300は、上部位置合わせポケット304、下部位置合わせポケット306、上部キー結合ポケット308、下部キー結合ポケット310、空気インターフェース312としての上部流体インターフェース、インクインターフェース314としての下部流体インターフェース、及び電気インターフェース316を設けたインターフェースパッケージ302を有する。インターフェースパッケージ302は、印刷流体容器300の最前面322の外周320の内部に配置されている。言い換えると、インターフェースパッケージ302の構成機能部分は、最前面の側縁部の周り、又はタンク本体上のその他の場所には配置されていない。
【0066】
冗長位置合わせポケットは、印刷流体容器ベイ内での印刷流体容器の位置合わせを改善することができる。上述したように、位置合わせインターフェースの許容差は、位置合わせインターフェースから離れる距離と相関して増加する。したがって、キー結合ポケット及び/又は流体インターフェースを位置合わせポケットに近づけて位置付けることにより、そのようなインターフェース要素の位置合わせを改善することができる。したがって、位置合わせポケットを印刷流体容器の上部の空気インターフェースに近づけ、且つ印刷流体容器の底部のインクインターフェースに近づけて配置することにより、空気インターフェース及びインクインターフェースの位置合わせを改善することができる。比較的小さい印刷流体容器の場合、同一の位置合わせポケットをインクインターフェース及び空気インターフェースに近づけることができる。しかしながら、より大きい印刷流体容器は、流体インターフェースを配置する最前面が比較的縦長であるように構成されることができる。したがって、各流体インターフェースを位置合わせポケットから所望の距離以内に配置するために、各流体インターフェースの近くに個別の位置合わせポケットを位置付けることができる。
【0067】
冗長位置合わせポケットは、2つ以上の独立した位置合わせ場所を与えることにより、印刷流体容器ベイ内での印刷流体容器の位置合わせも改善することができる。印刷流体容器300を、2つの相補的な位置合わせ部材を有する対応の印刷流体容器ベイ内に着座させるために、上部位置合わせポケット304及び下部位置合わせポケット306がそれぞれの位置合わせ部材に個別に係合する。いずれの位置合わせインターフェースにも小さい位置合わせ許容差が個別に存在するであろうが、他の位置合わせポケットが対応の位置合わせ部材に係合することにより、そのような許容差を最小限に抑えることができる。言い換えると、さまざまな位置合わせポケットの相対位置は、位置合わせ部材の相対位置に対応しており、各位置合わせ部材を対応の位置合わせ部材に係合するように個別に位置付ける必要があるだけでなく、すべての位置合わせポケットを一括して適切に位置付ける必要がある。印刷流体容器が不適切な向きにある場合、位置合わせポケットの1つ又は複数が対応の位置合わせ部材に係合する準備が整わないであろう。そのため、位置合わせポケットは一括して、位置合わせ部材に係合することにより印刷流体容器を適切な位置及び向きにするのに役立つ。
【0068】
冗長キー結合ポケットは、追加のキー結合選択肢を与えることができる。上述したように、キー結合ポケットの形状、向き及び/又は位置を変化させ、それにより、異なった印刷流体を示すことができる。たとえば、図13に示されているように、「Y」字形のキー結合ポケットは、異なった印刷流体を示す幾つかの異なった向きの1つを有することができる。2つ以上のキー結合ポケットの形状及び向きを定め、それにより、さらに多くの可能性を与えることができる。たとえば、それぞれが8つの可能な向きの1つをとる2つの「Y」字形キー結合ポケットは、64種類の異なった印刷流体を集合的に示すことができる。言い換えると、上部キー結合ポケットの8つの可能な向きの各々について、下部キー結合ポケットは8つの可能な向きの1つをとることができる。したがって、個々のキーポケットの各々が8種類の異なったインク流体を示すことができ、両方のキー結合ポケットの向きを合わせることで、64種類の異なった印刷流体を示すことができる。異なった形状を有するキー結合ポケットを使用すること、特定形状のキー結合ポケットについてより独特な向きを使用すること、且つ/又はキー結合ポケットの位置を変化させることにより、さらなる種類を達成することができる。さらに、3つ以上のキー結合ポケットを設けて、さらに多くの可能な種類を得ることもできる。
【0069】
一部の実施形態では、冗長キー結合ポケットが同一形状であり、且つ隣接のインターフェース要素に対して同一の位置付けであることができる。たとえば、図30に示されているように、上部キー結合ポケット308及び下部キー結合ポケット310が同一の「T」字形であり、これらの字形は同一向きでもある。さらに、上部キー結合ポケット308は、上部位置合わせポケット304と水平方向に整合しており、下部キー結合ポケット310は、下部位置合わせポケット306と水平方向に整合している。上部キー結合ポケット308と上部位置合わせポケット304との間の距離は、下部キー結合ポケット310と下部位置合わせポケット306との間の距離と同一である。したがって、上部キー結合ポケット308は、下部キー結合ポケット310の垂直方向上方に整合している。同一の形状及び向きの冗長キー結合ポケットを有するものとして図示されているが、異なった形状及び/又は向きも本開示の範囲に入ることを理解されたい。
【0070】
図31は、対応の印刷流体容器ベイ330内に合体されるように整合した印刷流体容器300を示す側部断面図である。図14〜図16を参照しながら上述したように、印刷流体容器は横方向に取り付けられることができ、そのため、前面装填システムが可能である。図14との比較により、印刷流体容器300の着座が印刷流体容器120の着座とほぼ同様であることがわかる。図14〜図16を参照しながら上述したように、印刷流体容器300は、漸進的に位置合わせされることができ、それにより、印刷流体容器が印刷流体容器ベイ内により完全に着座していくにつれ、それだけ高い精度で印刷流体容器の位置及び向きを制御することができる。
【0071】
印刷流体容器ベイ330は、印刷流体容器300を収容するために冗長はめ合い要素を備えて構成されることができる。たとえば、印刷流体容器ベイ330は、上部位置合わせ部材332及び下部位置合わせ部材334を有し、これらの部材はそれぞれ上部位置合わせポケット304及び下部位置合わせポケット306に係合するように構成されている。印刷流体容器ベイ330は、それぞれ上部キー結合ポケット308及び下部キー結合ポケット310に係合する上部キーポスト及び下部キーポストも有する。印刷流体容器の冗長インターフェース要素は、印刷流体容器ベイの対応の要素に同時に(又は少なくともほぼ同時に)係合するように構成されることができる。たとえば、位置合わせポケット304及び位置合わせポケット306は、位置合わせ部材332及び位置合わせ部材334とほぼ同時にはめ合うように構成されることができる。一部の実施形態では、冗長インターフェース要素をずらし、それにより、そのような要素と印刷流体容器ベイの対応構造とのはめ合いを効果的に互い違いにすることができる。そのような互い違いのはめ合わせは、漸進的位置合わせ、多層キー結合及び/又は他の機能を与えることができる。
【0072】
上記動作原理及び実施形態を参照しながら本開示を提示してきたが、添付の特許請求の範囲に定義されている精神及び範囲から逸脱しない限り、形及び詳細にさまざまな変化を加えることができることは、当業者には明らかであろう。本開示は、そのような代替、修正及び変更をすべて包含するものとする。開示又は特許請求の範囲が「1つの」、「第1の」又は「別の」要素又はそれらの等価物を記載する場合、それらが1つ又は複数のそのような要素を有するのであって、2つ以上のそのような要素を必要とすることも排除することもないと解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態による流体噴射システムの概略図である。
【図2】図1の流体噴射システムに使用されるような印刷流体送出システムの一実施形態の幾分概略的な図である。
【図3】図2の流体送出システムに使用されるような印刷流体容器ベイの一実施形態を開放位置で示す図である。
【図4】図3の印刷流体容器ベイを閉鎖位置で示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による印刷流体容器の前方等角投影図である。
【図6】図5の印刷流体容器の底面図である。
【図7】図5の印刷流体容器の後方等角投影図である。
【図8】3つの同様な構成の蓋と3つの異なったタンク本体を組み合わせることによって形成される1組の3つの印刷流体容器を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す上部断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す上部断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す上部断面図である。
【図12】本発明の一実施形態による印刷流体容器の対応のキー結合ポケットとはめ合うように構成されたキーポストの断面図である。
【図13】5つの異なった印刷流体をそれぞれキー結合するように構成された5つのキーポストを示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す側部断面図である。
【図15】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す側部断面図である。
【図16】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す側部断面図である。
【図17】図14〜図16の印刷流体容器のシール部材の断面図である。
【図18】図14〜図16の印刷流体容器のボールシール機構の幾分概略的な図である。
【図19】図18のボールシール機構が流体コネクタに係合するところを示す図である。
【図20】図19の流体コネクタを示す図である。
【図21】インク溜めを備える印刷流体容器の印刷流体レベルを示す概略図である。
【図22】インク溜めを備えていない印刷流体容器の印刷流体レベルを示す概略図である。
【図23】本発明の一実施形態による印刷流体容器の後方等角投影図である。
【図24】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す上部断面図である。
【図25】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す上部断面図である。
【図26】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す上部断面図である。
【図27】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す側部断面図である。
【図28】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す側部断面図である。
【図29】本発明の一実施形態に従って印刷流体容器を印刷流体容器ベイ内へ着座させていくところを示す側部断面図である。
【図30】冗長インターフェース部材を有する印刷流体の前方等角投影図である。
【図31】図30の印刷流体容器を本発明の一実施形態による印刷流体容器ベイ内に着座させるところを示す側部断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷流体容器ベイ(330)に挿入されるように構成された印刷流体容器(300)であって、前記容器は、はめ合い面を有するタンクを備え、前記はめ合い面に、
(a)最前面の一端部に位置する印刷流体出口(314)と、
(b)前記最前面の他端部に位置する空気入口(312)と、
(c)前記印刷流体出口(314)及び前記空気入口(312)間で前記印刷流体出口(314)に隣接する位置にある第1窪み位置合わせポケット(304)と、
(d)前記空気入口(312)及び前記印刷流体出口(314)間で前記空気入口(312)に隣接する位置にある第2窪み位置合わせポケット(306)と、
が配置されていることを特徴とする印刷流体容器。
【請求項2】
(e)前記第1窪み位置合わせポケット(304)に隣接する位置にある第1キー結合ポケット(308)と、
(f)前記第2窪み位置合わせポケット(306)に隣接する位置にある第2キー結合ポケット(310)と、
が前記タンクの前記はめ合い面にさらに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷流体容器。
【請求項3】
前記第1キー結合ポケット及び前記第2キー結合ポケットは、「Y」字形であることを特徴とする請求項2に記載の印刷流体容器。
【請求項4】
前記第1キー結合ポケット及び前記第2キー結合ポケットは、「T」字形であることを特徴とする請求項2に記載の印刷流体容器。
【請求項5】
電気インターフェース(316)が前記タンクの前記はめ合い面にさらに配置されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の印刷流体容器。
【請求項6】
前記電気インターフェース(316)は、前記第1窪み位置合わせポケット(304)に隣接して配置されることを特徴とする請求項5に記載の印刷流体容器。
【請求項1】
印刷流体容器ベイ(330)に挿入されるように構成された印刷流体容器(300)であって、前記容器は、はめ合い面を有するタンクを備え、前記はめ合い面に、
(a)最前面の一端部に位置する印刷流体出口(314)と、
(b)前記最前面の他端部に位置する空気入口(312)と、
(c)前記印刷流体出口(314)及び前記空気入口(312)間で前記印刷流体出口(314)に隣接する位置にある第1窪み位置合わせポケット(304)と、
(d)前記空気入口(312)及び前記印刷流体出口(314)間で前記空気入口(312)に隣接する位置にある第2窪み位置合わせポケット(306)と、
が配置されていることを特徴とする印刷流体容器。
【請求項2】
(e)前記第1窪み位置合わせポケット(304)に隣接する位置にある第1キー結合ポケット(308)と、
(f)前記第2窪み位置合わせポケット(306)に隣接する位置にある第2キー結合ポケット(310)と、
が前記タンクの前記はめ合い面にさらに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷流体容器。
【請求項3】
前記第1キー結合ポケット及び前記第2キー結合ポケットは、「Y」字形であることを特徴とする請求項2に記載の印刷流体容器。
【請求項4】
前記第1キー結合ポケット及び前記第2キー結合ポケットは、「T」字形であることを特徴とする請求項2に記載の印刷流体容器。
【請求項5】
電気インターフェース(316)が前記タンクの前記はめ合い面にさらに配置されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の印刷流体容器。
【請求項6】
前記電気インターフェース(316)は、前記第1窪み位置合わせポケット(304)に隣接して配置されることを特徴とする請求項5に記載の印刷流体容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2007−500620(P2007−500620A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522023(P2006−522023)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/024312
【国際公開番号】WO2005/011986
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/024312
【国際公開番号】WO2005/011986
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】
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