説明

印刷装置、テープ印刷装置および印刷装置の制御方法

【課題】印刷物の内容がファイルの内容を編集加工したものか否かを簡単に識別することができる印刷装置、テープ印刷装置および印刷装置の制御方法を提供する。
【解決手段】ユーザーにより入力されたテキストデータをファイルとして登録するファイル登録手段14と、登録したファイルを呼び出すファイル呼出手段14と、呼び出したファイルのテキストデータを編集する編集手段3と、印刷対象となるテキストデータが、編集手段3により編集されたか否かを判別する判別手段と、印刷対象となるテキストデータと、判別手段による判別結果と、を印刷媒体Tに印刷する印刷手段43と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作成したテキストデータをファイルとして登録することができる印刷装置、テープ印刷装置および印刷装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーが作成したラベルのテキストデータを、装置本体にファイルとして登録(保存)することができるテープ印刷装置が知られている。このテープ印刷装置では、ユーザーがテキストを入力した後、所定のキー操作を行うことにより当該テキストのデータをファイル登録する(ファイル登録機能)。また、登録したファイルは、所定のキー操作によりユーザーが所望するタイミングで呼び出すことができる(ファイル呼出機能)。これにより、例えば、以前に作成した印刷物を再度印刷するような場合、その印刷物の内容を再入力することなく、ファイルを呼び出すのみで印刷することができるため、利便性がよい(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「テプラ」PRO SR828 取扱説明書、第2版(1998年7月発行)、p.122−p.123
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のテープ印刷装置を用いて、似通った内容の印刷物を作成する場合、ファイル呼出機能を用いてファイルを呼び出し、その内容を若干変えて所望の印刷物を作成することが多い。しかしながら、作成した印刷物の内容がファイルの内容を変えたものであるということが分からないため、例えば、後にこの印刷物と同じ内容のものを作成しようとした場合、一から新規に印刷データを作成するような手間をかけたり、当該印刷物の内容がファイルの内容を変えたものであることが分からないまま、改めてファイルを呼び出して印刷をしてしまうことにより、結果として異なる内容の印刷物を作成してしまうということがある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みたものであり、印刷物の内容がファイルの内容を編集加工したものか否かを簡単に識別することができる印刷装置、テープ印刷装置および印刷装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷装置は、ユーザーにより入力されたテキストデータをファイルとして登録するファイル登録手段と、登録したファイルを呼び出すファイル呼出手段と、呼び出したファイルのテキストデータを編集する編集手段と、印刷対象となるテキストデータが、編集手段により編集されたか否かを判別する判別手段と、印刷対象となるテキストデータと、判別手段による判別結果と、を印刷媒体に印刷する印刷手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の印刷装置の制御方法は、ユーザーにより入力されたテキストデータをファイルとして登録するファイル登録工程と、登録したファイルを呼び出すファイル呼出工程と、呼び出したファイルのテキストデータを編集する編集工程と、印刷対象となるテキストデータが、編集工程により編集されたか否かを判別する判別工程と、印刷対象となるテキストデータと、判別工程による判別結果と、を印刷媒体に印刷する印刷工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、ファイルを呼び出して印刷を行う場合、印刷対象となるテキストデータが、呼び出したファイルのデータを編集したものか否かを判別し、印刷媒体にその判別結果を印刷する。例えば、ファイルから呼び出したテキストデータをそのまま印刷した場合は、印刷媒体に「変更なし(編集なし)」という情報を印刷し、編集したものであれば「変更あり(編集あり)」という情報を印刷する。
これにより、作成した印刷物の内容がファイルの内容を編集したものか否かを識別することができるため、例えば、ユーザーが、後にこの印刷物と同じ内容のものを作成しようとした場合、呼び出したファイルをそのまま印刷しても良いか、なんらかの編集処理が必要かどうかを容易に判断することができる。つまり、編集(変更)があったことを知らずに、誤ってそのままファイルを印刷することを回避することができる。
【0009】
本発明の印刷装置において、ファイル登録手段は、ファイル毎に、当該ファイルを特定するための識別子を登録し、印刷手段は、印刷媒体に識別子をさらに印刷することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、印刷媒体にファイルの識別子(ファイル番号)を印刷することで、印刷結果と同じ内容のファイルを呼び出す際に、どのファイルを呼び出せばいいのかを容易に識別でき、利便性が良い。
【0011】
本発明の印刷装置において、印刷手段は、印刷対象となるテキストデータを、印刷媒体の第1の印刷領域に印刷し、判別結果および識別子を、第1の印刷領域とは異なる第2の印刷領域に印刷することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、テキストデータと異なる領域に判別結果および識別子を印刷する。例えば、判別結果および識別子を印刷媒体の余白部分に印刷することで、テキストデータの印刷内容の見栄えを損なうことなく、有用な情報(判別結果および識別子)を印刷することができる。
【0013】
本発明の印刷装置において、印刷媒体をハーフカットするハーフカット手段をさらに備え、印刷媒体の第1の印刷領域と第2の印刷領域とは、ハーフカットによるハーフカットラインにより領域分けされることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、テキストデータの印刷領域と、判別結果および識別子の印刷領域と、をハーフカットにより分離することができるため、テキストデータの印刷内容の見栄えを損なうことがない。
【0015】
本発明のテープ印刷装置は、上記に記載の印刷装置における各手段を備え、印刷媒体がテープであることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、印刷対象となるテキストデータが、呼び出したファイルのデータを編集したものか否かを示す情報をテープに印刷することが可能なテープ印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置の開蓋状態における外観斜視図である。
【図2】テープ印刷装置の制御ブロック図である。
【図3】ラベルの印刷内容について説明する図である。
【図4】ハーフカットしたラベルの印刷内容について説明する図である。
【図5】ファイル呼出処理の手順について説明するフローチャートである。
【図6】印刷処理の手順について説明するフローチャートである。
【図7】ラベルの印刷内容について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、印刷装置として、テープ状媒体に印刷を行うことによってラベルを作成するテープ印刷装置を例に挙げて説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るテープ印刷装置1の開閉蓋4を開いた状態の外観斜視図である。図1に示すようにテープ印刷装置1は、装置ケース2により外装が形成され、装置ケース2の前部上面には各種入力キーを備えたキーボード3(編集手段)が配置されると共に、後部上面には、その左部に開閉蓋4が取り付けられ、その右部には表示画面5が配設されている。開閉蓋4の内側にはテープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部6が窪入形成されており、テープカートリッジCは、開閉蓋4を開放した状態でカートリッジ装着部6に着脱可能に装着される。また、開閉蓋4にはこれを閉じた状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓7が形成されている。
【0020】
キーボード3には、文字キー群3a、および各種動作モード等を指定するための機能キー群3bが配列されている。文字キー群3aは、JIS配列に基づいたフルキー構成であり、操作するキー数の増加を抑えるためのシフトキーを備えるなど、一般のワードプロセッサー等と同様である。機能キー群3bには、[印刷]キー11、カーソルキー12、[選択]キー13、[ファイル]キー14(ファイル登録手段,ファイル呼出手段)などが含まれる。なお、これらのキー入力は、一般的なキーボードと同様に、キー入力毎に個別にキーを設けても良いし、シフトキー等と組み合わせてより少ない数のキーを用いて入力するようにしても良い。
【0021】
[印刷]キー11は、印刷実行を指示するためのキーである。カーソルキー12は、上下左右キー([↓],[↑],[←],[→])から成り、カーソル移動やスクロール操作を行うためのキーである。また、[選択]キー13は、選択候補(選択肢)の選択および確定操作を行うためのキーである。
【0022】
一方、[ファイル]キー14は、入力されたデータ(テキストデータや画像データ等)をファイルとして登録したり、あるいは登録したファイルの呼び出し/消去/複写などを行うためのキーである(以下、便宜上、ファイルのデータはテキストデータとする)。
【0023】
なお、詳細は後述するが、[ファイル]キー14の操作により呼び出したファイルに基づいてラベルを作成する場合、そのラベルには、当該ファイルの内容(あるいは、当該ファイルを編集した内容)に加え、そのファイルに関する情報が印刷される。
【0024】
表示画面5は、液晶ディスプレイで形成されている。表示画面5は、ユーザーがキーボード3により所望の情報(テキストや画像等)を入力して、テキストデータや画像データ等の印刷データを作成・編集したり、その結果等を視認(確認)したりする際に用いられる。
【0025】
装置ケース2の左側部には、カートリッジ装着部6と外部とを連通するテープ排出口21が形成され、このテープ排出口21には、送り出した印刷テープTを切断するためのテープカッター22(フルカッター52およびハーフカッター54,図2参照)が臨んでいる。そして、テープ排出口21から印刷済みの印刷テープTが所定長さだけ送り出され、送りを一旦停止させた状態で、この印刷済みの印刷テープTをテープカッター22により切断することにより、短冊状のラベルを作成する。
【0026】
一方、カートリッジ装着部6には、ヘッドカバー25内にサーマルタイプの印刷ヘッド26が内蔵されたヘッドユニット24と、印刷ヘッド26に対峙するプラテン駆動軸27と、後述のインクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸28と、後述のテープリール32の位置決め突起29とを備えている。また、カートリッジ装着部6の下側には、プラテン駆動軸27および巻き取り駆動軸28を回転させるテープ送りモーター30(図2参照)が内蔵されている。
【0027】
テープカートリッジCは、カートリッジケース31内部の上部中央部に、一定の幅(4mm〜48mm程度)の印刷テープTを巻回したテープリール32と、右下部にインクリボンRを巻回したリボンリール33とを収容して構成されており、印刷テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、テープリール32の左下部には前記ヘッドユニット24を覆うヘッドカバー25に差し込まれるための貫通孔34が形成されている。さらに、貫通孔34に差し込まれたヘッドユニット24は印刷テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、前記プラテン駆動軸27に嵌合されて回転駆動するプラテンローラー35が配置されている。一方、前記リボンリール33に近接してリボン巻き取りリール36が配置され、リボンリール33から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー25を周回するように配置され、リボン巻き取りリール36に巻き取られるようになっている。
【0028】
テープカートリッジCがカートリッジ装着部6に装着されると、ヘッドカバー25に貫通孔34が、位置決め突起29にテープリール32の中心孔が、巻き取り駆動軸28にリボン巻き取りリール36の中心孔がそれぞれ差し込まれ、印刷テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド26がプラテンローラー35に当接して印刷が可能になる。その後、ユーザーが表示画面5の編集結果を確認しながらキーボード3により所望のテキスト(文字、数字、記号、簡易図形等のキャラクタ)や画像を入力し、印刷を指示すると、テープ印刷装置1は、テープ送りモーター30によりテープカートリッジCから印刷テープTを繰り出し、印刷ヘッド26の発熱素子を選択的に発熱させることにより印刷テープTに所望の印刷を行う。印刷テープTの印刷済み部分はテープ排出口21から随時外部に送り出され、印刷を完了すると、テープ送りモーター30は、余白分を含むテープ長さの位置まで印刷テープTの送りを行った後、その送りを停止する(その後、切断処理に移行する)。
【0029】
一方、印刷テープTは、裏面に粘着剤層が形成された記録テープTaと、この粘着剤層により記録テープTaに貼り付けられた剥離テープTbとから構成されている。そして、印刷テープTは、記録テープTaを外側にし、かつ剥離テープTbを内側にしてロール状に巻回されてカートリッジケース31内に収容されている。また、印刷テープTは、テープ種別(テープ幅、テープの地色、地模様、材質(質感)など)が異なる複数種のものが用意されており、各カートリッジケース31には、このうち1種類の印刷テープTおよびインクリボンRが収容されている。また、カートリッジケース31の裏面にはテープカートリッジCの種別を特定する複数の孔(図示省略)が設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部6には、これらを検出するテープ識別センサー(マイクロスイッチ等)37(図2参照)が、複数設けられており、このテープ識別センサー37により複数の孔の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。
【0030】
次に、図2の制御ブロック図を参照し、テープ印刷装置1の制御構成について説明する。テープ印刷装置1は、操作部41、検出部42、印刷部43(印刷手段)、切断部44、駆動部45、およびこれら各部と接続して、テープ印刷装置1全体を制御する制御部40を有している。
【0031】
操作部41は、キーボード3上の文字キー群3aや機能キー群3bからの情報の入力・編集や設定、およびこれら各種情報の表示画面5への表示等、ユーザーインターフェイスとして機能する。検出部42は、上述したテープ識別センサー37を有し、印刷テープT(テープカートリッジC)の種別を検出する。印刷部43は、印刷ヘッド26およびテープ送りモーター30を有し、印刷テープTおよびインクリボンRを搬送しながら印刷テープT上に、生成された印刷データに基づく印刷を行う。
【0032】
切断部44は、印刷テープTをフルカットするフルカッター52およびこれを駆動するフルカッターモーター51と、印刷テープTをハーフカットするハーフカッター54(ハーフカット手段)およびこれを駆動するハーフカッターモーター53と、を有している。そして、これらフルカッター52およびハーフカッター54により、印刷部43で印刷処理済みの印刷テープTを所定の長さになるように切断し、ラベルを作成する。駆動部45は、ディスプレイドライバー55、ヘッドドライバー56、テープ送りモータードライバー57およびカッターモータードライバー58を有し、各部を駆動する。
【0033】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63、フラッシュROM64、および入出力制御装置(以下、「IOC:Input Output Controller」と称する)65を備え、これらは互いに内部バス66により接続されている。
【0034】
ROM62は、CPU61が各種制御を行うための制御プログラムおよび制御データを記憶している。RAM63は、CPU61が各種処理を実行するための作業領域として使用される。
【0035】
また、RAM63は、テキスト領域71およびファイル情報領域72を有している。テキスト領域71は、現時点で表示画面5に表示されている表示内容のテキストデータを記憶する領域である。つまり、このテキスト領域71のデータは、ユーザーが文字等を入力するたびに、随時更新される。例えば、ユーザーによりファイルが呼び出された場合、テキスト領域71には、当該ファイルのテキストデータが記憶され、ユーザーにより編集が行われるたびに、随時更新される。
【0036】
ファイル情報領域72は、ユーザーにより呼び出されたファイルの各種情報を記憶する。ファイル情報領域72は、ファイル番号領域72aと比較対象データ領域72bとにより構成されており、ファイル番号領域72aには、呼び出されたファイルのファイル番号(識別子)が記憶される。一方、比較対象データ領域72bには、呼び出されたファイルのテキストデータが記憶される。つまり、呼び出されたファイル内容がそのまま記憶される。なお、テープ印刷装置1の初期化処理によって、ファイル情報領域72の内容は初期化され、ファイルが呼び出されていないことを示す状態になる。例えば、ファイル番号領域72aには「0」が書き込まれ、比較対象データ領域72bには領域サイズ分の「0」が書き込まれることにより初期化される。
【0037】
フラッシュROM64は、ファイル領域73を有している。ファイル領域73は、ユーザーにより入力されたテキストデータ毎にファイルとして記憶する。この記憶した各ファイルには、各ファイルを一意に特定するためのファイル番号が関連付けられている。また、このファイル領域73へのアクセス(ファイルの登録/呼び出し/消去/複写など)は、上述の[ファイル]キー14の操作により行われる。
【0038】
上記の構成により、CPU61は、ROM62内の各種制御プログラムに従って、IOC65を介してテープ印刷装置1内の各部から各種信号・データを入力する。また、入力された各種信号・データに基づいてRAM63内の各種データを処理し、IOC65を介してテープ印刷装置1の各部に各種信号・データを出力することにより、入力編集処理や印刷切断処理の制御を行なう。
【0039】
ところで、印刷結果が類似する、または同一のラベルを作成する場合、登録されているファイルを呼び出し、その内容を編集・加工してラベルを印刷したり、または呼び出したファイルの内容をそのままラベルとして印刷するということが行われる。この場合、本発明のテープ印刷装置1では、呼び出されたファイルを編集した内容(あるいは、呼び出されたファイルの内容そのもの)に加え、そのファイルに関する情報を印刷したラベルを生成する。以下、図3ないし図6を参照して、具体的に説明する。
【0040】
図3は、ファイルを呼び出し、そのデータに基づいて印刷されたラベルLの一例について説明する図である。図3(a)は、ラベルLにおける印刷領域の割り当ての様子を示す図である。ラベルLは、テキスト印刷領域81(点線の内側の領域,第1の印刷領域)および余白領域82(実線と点線との間の領域,第2の印刷領域)を有している。テキスト印刷領域81には、対象となるテキストデータ(テキスト領域71のテキストデータ)が印刷され、余白領域82には、呼び出したファイルのファイル番号を示すファイル番号情報、およびテキスト印刷領域81に印刷されたテキストデータがファイルから呼び出したテキストデータを編集したか否かを示す編集情報が印刷される。
【0041】
例えば、図3(b)に示すように、ファイル番号が「025」、ファイル内容(テキストデータ)が「備品管理者 総務:伊藤 期限:2012年3月」のファイルを呼び出してラベルLを作成する場合において、このファイルの内容を編集せずに、そのまま印刷した場合、テキスト印刷領域81に呼び出したファイルのテキストデータがそのまま印刷され、余白領域82にファイル番号情報(ここでは、「ファイル番号:025」)、およびテキスト印刷領域81の内容が呼び出したファイルのテキストデータをそのまま印刷したことを示す(ファイルの内容を編集していないことを示す)編集情報(「変更なし」)が印刷されたラベルL1が作成される。
【0042】
一方、ファイルの内容を編集して印刷した場合(「伊藤」を「山田」に、「2012年」を「2013年」に編集)、テキスト印刷領域81に編集後のテキストデータが印刷され、余白領域82にファイル番号情報(「ファイル番号:025」)、およびテキスト印刷領域81の内容が呼び出したファイルの内容を編集したものであることを示す編集情報(「変更あり」)が印刷されたラベルL2が作成される。上記のように、ファイル番号情報および編集情報をラベルLの余白領域82に印刷することで、テキストデータの印刷内容の見栄えを損なうことなく、有用な情報を印刷することができる。
【0043】
なお、図3(a)に示すテキスト印刷領域81および余白領域82の領域サイズは一例であり、これに限るものではない。また、ファイル番号情報および編集情報の印刷位置は、余白領域82内であればその位置を問わず、例えば、図3(c)のラベルL3およびL4に示すように、ラベルLの余白領域82の左側に印刷するようにしても良い。また、あるいは、余白領域82の右側や下側に印刷するようにしても良い(不図示)。また、編集情報は、ファイルの内容(テキストデータ)を編集したか否かが識別できればよく、文字のみならず、記号や図形などで印刷しても良い。
【0044】
また、ラベルLの切断方法としてハーフカットの設定が行われている場合、図4に示すように、ハーフカットライン83を境界として右側の領域(テキスト印刷領域84)にテキストデータを印刷し、ハーフカットライン83の左側の領域(ハーフカット領域85)にファイル番号情報および編集情報を印刷するようにしても良い。このように印刷することにより、テキストデータの印刷領域と、ファイル番号情報および編集情報の印刷領域とを分離することができるため、テキストデータの印刷内容の見栄えを損なうことがない。なお、この場合、請求項における第1の印刷領域はテキスト印刷領域84に相当し、第2の印刷領域はハーフカット領域85に相当する。
【0045】
次に、図5のフローチャートを参照して、ファイル呼出処理の手順について説明する。まず、ユーザーによる[ファイル]キー14の操作により、ファイル呼出指示が発行されると(S01)、テープ印刷装置1は、呼び出し対象となるファイルのファイル番号をファイル番号領域72aに記憶する(S02)。続いてテープ印刷装置1は、呼び出し対象となるファイルの内容(テキストデータ)を比較対象データ領域72bおよびテキスト領域71にコピーする(S03,S04)。
【0046】
次に、図6のフローチャートを参照して、印刷処理の手順について説明する。まず、ユーザーによる[印刷]キー11の操作により、印刷が指示されると(S11)、テープ印刷装置1は、ファイル番号領域72aを参照する(S12)。この時、ファイル番号領域72aに記憶されている値が「0」以外の場合(S13;No)、テープ印刷装置1は、テキスト領域71のテキストデータ(印刷対象となるテキストデータ)は、ファイルから呼び出したデータであると判別し、ファイル番号情報として、ファイル番号領域72aに記憶された値をファイル番号とした印刷データを作成する(S14)。続いて、テープ印刷装置1は、テキスト領域71のテキストデータと、比較対象データ領域72bのテキストデータとを比較し、これら2つのテキストデータが一致するか否かを判定する(S15)。
【0047】
比較の結果、両領域73、71bのテキストデータが一致した場合(S16;Yes)、テープ印刷装置1は、テキスト領域71のテキストデータはファイルから呼び出したテキストデータを編集していないと判別し(判別手段)、編集情報として「変更なし」を示す印刷データを作成する(S17)。一方、比較の結果、両領域73、71bのテキストデータが一致しない場合(S16;No)、テープ印刷装置1は、テキスト領域71のテキストデータはファイルから呼び出したテキストデータを編集したものであると判別し(判別手段)、編集情報として「変更あり」を示す印刷データを作成する(S18)。
【0048】
続いて、テープ印刷装置1は、テキスト領域71のテキストデータから印刷データを作成する(S19)。そして、テープ印刷装置1は、上記S14、S17〜S19で作成した印刷データに基づいて印刷処理を行う(S20)。この印刷結果として、図3または図4に示すラベルL(L1〜L6)を作成することができる。
【0049】
一方、ファイル番号領域72aに記憶されている値が「0」の場合(S13;Yes)、テープ印刷装置1は、テキスト領域71のテキストデータから印刷データを作成する(S19)。そして、当該印刷データに基づいて印刷処理を行う(S20)。この場合、テキスト領域71のテキストデータ(印刷対象となるテキストデータ)は、ファイルから呼び出したデータでは無いと判別されるため、ラベルLには、ファイル番号情報および編集情報は印刷されない。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、ファイルを呼び出して印刷を行う場合、印刷対象となるテキストデータが呼び出したファイルのデータを編集したものか否かを示す編集情報を印刷する。これにより、作成したラベルLの内容がファイルの内容を編集したものか否かを識別することができるため、例えば、ユーザーが、後にこのラベルと同じ内容のものを作成しようとした場合、呼び出したファイルをそのまま印刷しても良いか、なんらかの編集が必要かどうかを容易に判断することができる。つまり、編集(変更)があったことを知らずに、誤ってそのままファイルを印刷することを回避することができる。
【0051】
また、ラベルLにファイル番号を印刷することで、印刷結果(ラベル)と同じ内容のファイルを呼び出す際に、どのファイルを呼び出せばいいのかを容易に識別でき、利便性が良い。
【0052】
なお、本実施形態では、テキストデータと、ファイル番号情報および編集情報とをラベルLの異なる領域(例えば、図3におけるテキスト印刷領域81および余白領域82)に印刷しているが、これに限るものではない。例えば、図7に示すように、テキストデータ、ファイル番号情報および編集情報を1つの印刷データとして作成し、これをテキスト印刷領域81に印刷するようにしても良い。
【0053】
また、本実施形態では、印刷対象となるテキストデータが編集されたか否かを判別するために、ファイル呼び出し時に当該ファイルのテキストデータを比較対象データ領域72bにコピーしておき、この比較対象データ領域72bのテキストデータと、印刷対象となるテキストデータと、を比較しているが、これに限るものではない。例えば、編集フラグを設け、ファイル呼び出し直後に編集フラグを「0」にセットし(編集されていない状態を示す)、呼び出したファイルのテキストデータが編集された時点で編集フラグを「1」にセットすることで、編集されたか否かを判別するようにしても良い。
【0054】
また、上述した実施例によらず、テープ印刷装置1の装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…テープ印刷装置 3…キーボード 11…[印刷]キー 14…[ファイル]キー 43…印刷部 53…ハーフカッターモーター 54…ハーフカッター 81…テキスト印刷領域 82…余白領域 83…ハーフカットライン 84…テキスト印刷領域 85…ハーフカット領域 T…印刷テープ L…ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーにより入力されたテキストデータをファイルとして登録するファイル登録手段と、
登録した前記ファイルを呼び出すファイル呼出手段と、
呼び出した前記ファイルのテキストデータを編集する編集手段と、
印刷対象となるテキストデータが、前記編集手段により編集されたか否かを判別する判別手段と、
前記印刷対象となるテキストデータと、前記判別手段による判別結果と、を印刷媒体に印刷する印刷手段と、を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記ファイル登録手段は、
前記ファイル毎に、当該ファイルを特定するための識別子を登録し、
前記印刷手段は、
前記印刷媒体に前記識別子をさらに印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷手段は、
前記印刷対象となるテキストデータを、前記印刷媒体の第1の印刷領域に印刷し、
前記判別結果および前記識別子を、前記第1の印刷領域とは異なる第2の印刷領域に印刷することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷媒体をハーフカットするハーフカット手段をさらに備え、
前記印刷媒体の前記第1の印刷領域と前記第2の印刷領域とは、前記ハーフカットによるハーフカットラインにより領域分けされることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷装置における各手段を備え、前記印刷媒体がテープであることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項6】
ユーザーにより入力されたテキストデータをファイルとして登録するファイル登録工程と、
登録した前記ファイルを呼び出すファイル呼出工程と、
呼び出した前記ファイルのテキストデータを編集する編集工程と、
印刷対象となるテキストデータが、前記編集工程により編集されたか否かを判別する判別工程と、
前記印刷対象となるテキストデータと、前記判別工程による判別結果と、を印刷媒体に印刷する印刷工程と、を備えたことを特徴とする印刷装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−167585(P2010−167585A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9919(P2009−9919)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】