説明

印刷装置、印刷処理プログラム、印刷処理方法および画像処理装置、画像処理プログラム、画像処理方法、並びに前記プログラムを記録した記録媒体

【課題】飛行曲がり現象によりバンディングを目立たなくできる印刷装置およびプログラム、印刷方法並びに画像処理装置、プログラム、方法、記録媒体などの提供。
【解決手段】ドットサイズを打ち分けられる印字ヘッドを備えたインクジェット方式の印刷装置であって、多値の画像データをN値化(N≧2)してN値の画像データを生成するに際してバンディング発生画素の直前の注目画素をN値化するときは、その注目画素をN値化するまえに、前記バンディング発生画素をその相対位置ずれ量に応じてN値化すると共に、その誤差を前記注目画素に伝搬してからその注目画素をN値化処理する。これによって、バンディング現象に関与するドットの大きさが自動的に調整されて白スジや濃いスジがなくなるため、いわゆる飛行曲がり現象によって発生するバンディング現象を解消または殆ど目立たなくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置や複写機、OA機器のプリンタなどの印刷装置などに係り、特に、複数色の液体インクの微粒子を印刷用紙(記録材)上に吐出して所定の文字や画像を描画するようにした、いわゆるインクジェット方式の印刷処理を行なうのに好適な印刷装置、印刷プログラム、印刷方法および画像処理装置、画像処理プログラム、画像処理方法、並びに前記プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下は、印刷装置、特に、インクジェット方式を採用したプリンタ(以下、「インクジェットプリンタ」と称す)について説明する。
インクジェットプリンタは、一般に安価でかつ高品質のカラー印刷物が容易に得られることから、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの普及に伴い、オフィスのみならず一般ユーザにも広く普及してきている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタは、一般に、インクカートリッジと印字ヘッドが一体的に備えられたキャリッジなどと称される移動体が、印刷媒体(用紙)上をその紙送り方向に対し垂直な方向に往復しながらその印字ヘッドのノズルから液体インクの粒子をドット状に吐出(噴射)することで、印刷媒体上に所定の文字や画像を描画して所望の印刷物を作成するようになっている。そして、このキャリッジに黒色(ブラック)を含めた4色(イエロー、マゼンタ、シアン)のインクカートリッジと各色ごとの印字ヘッドを備えることで、モノクロ印刷のみならず、各色を組み合わせたフルカラー印刷も容易に行えるようになっている(さらに、これら各色に、ライトシアンやライトマゼンタなどを加えた6色や7色、あるいは8色のものも実用化されている)。
【0004】
また、このようにキャリッジ上の印字ヘッドを紙送り方向に対し垂直な方向に往復させながら印刷を実行するようにしたタイプのインクジェットプリンタでは、1ページ全体をきれいに印刷するために印字ヘッドを数十回から100回以上も往復動させる必要があるため、他の方式の印刷装置、例えば、複写機などのような電子写真技術を用いたレーザープリンタなどに比べて大幅に印刷時間がかかるといった欠点がある。
【0005】
これに対し、印刷用紙の幅と同じ(もしくは長い)寸法の長尺の印字ヘッドを配置してキャリッジを使用しないタイプのインクジェットプリンタでは、印字ヘッドを印刷用紙の幅方向に移動させる必要がなく、いわゆる1走査(1パス)での印刷が可能となるため、前記レーザープリンタと同様な高速な印刷が可能となる。また、印字ヘッドを搭載するキャリッジやこれを移動させるための駆動系などが不要となるため、プリンタ筐体の小型・軽量化が可能となり、さらに静粛性も大幅に向上するといった利点も有している。なお、前者方式のインクジェットプリンタを一般に「マルチパス型プリンタ」、後者方式のインクジェットプリンタを一般に「ラインヘッド型プリンタ」と呼んでいる。
【0006】
ところで、このようなインクジェットプリンタに不可欠な印字ヘッドは、直径が10〜70μm程度の微細なノズルを一定の間隔を隔てて1列、または印刷方向に複数列に配設してなるものであるため、例えば、製造誤差によって一部のノズルのインクの吐出方向が傾いてしまったり、ノズルの位置が理想位置とはずれた位置に配置されてしまうといったことがあり、その結果、そのノズルで印刷媒体に形成されるドットの着弾位置が理想位置よりもずれてしまうといった、いわゆる「飛行曲がり現象」を発生してしまうことがある。また、ノズルのばらつき特性により、そのばらつきが大きいものとしては、インク量が理想量と比較して非常に多くなったり少なくなったりするものが存在する。
【0007】
この結果、その不良ノズルを用いて印刷された部分に、いわゆる「バンディング(スジ)現象」と称される印刷不良が発生して、印刷品質を著しく低下させてしまうことがある。すなわち、「飛行曲がり現象」が発生すると隣り合うノズルにより吐出されたドット間距離が不均一となり、隣接ドット間の距離が正常より長くなる部分には「白スジ(印刷用紙が白色の場合)」が発生し、隣接ドット間の距離が正常時により短くなる部分には、「濃いスジ」が発生する。また、インク量の値が理想と外れている場合も、インク量が多いノズル部分に関しては、濃いスジ、インク量が少なくなる部分では白スジが発生する。
【0008】
特に、このようなバンディング現象は、前述したような「マルチパス型プリンタ」(シリアルプリンタ)の場合よりも、印字ヘッドもしくは印刷媒体が固定(1パス印刷)である「ラインヘッド型プリンタ」の方に顕著に発生し易い(マルチパス型プリンタでは、印字ヘッドを何回も往復させることを利用してバンディングを目立たなくする技術がある)。
【0009】
そのため、このような「バンディング現象」による一種の印刷不良を防止するために、印字ヘッドの製造技術の向上や設計改良などといった、いわゆるハード的な部分での研究開発が鋭意進められているが、製造コスト、技術面などから100%「バンディング現象」が発生しない印字ヘッドを提供するのは困難となっている。
そこで、現状では前記のようなハード的な部分での改良に加え、以下に示すような印刷制御といった、いわゆるソフト的な手法を用いてこのような「バンディング現象」を低減するような技術が併用されている。
【0010】
例えば、以下に示す特許文献1では、ドットの大きさを打ち分けることができる印刷装置において、小さなドットのみが形成される場合は、記録率がある上限値よりも高くなるとバンディングを生ずるため、そのような場合は大ドットを適当に混在させて記録することでバンディングが目立たないようにしている。
また、以下に示す特許文献2においては、スジむらが目立ち易い、主に小ドットが打たれる中間階調部に大ドットを混在させることにより、バンディングが目立たないようにしている。
【特許文献1】特開2000−79710号公報
【特許文献2】特開2002−301815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記特許文献1や2などに開示された技術では、ある程度の(小さな)バンディング現象を目立たなくすることは可能であるが、前述したように、「飛行曲がり現象」などに起因するバンディング現象に対しては十分な効果が得られ難いという問題がある。
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は、特に、飛行曲がり現象によるバンディング現象を解消または殆ど目立たなくすることができる新規な印刷装置、印刷プログラム、印刷方法および画像処理装置、画像処理プログラム、画像処理方法並びに前記プログラムを記録した記録媒体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
〔形態1〕前記課題を解決するために形態1の印刷装置は、
ノズルを備えた印字ヘッドと、当該印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、当該印刷データ生成手段で生成した印刷用データに基づいて印刷を実行する印刷手段と、を備え、前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の直前に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除くその近傍の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする。
【0013】
すなわち、前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の直前に移ったときは、そのバンディング発生画素をその注目画素よりも先に、元のドットサイズよりも大きなドットが選択されるようにN値化してから注目画素をN値化するので、バンディング発生画素に対応するドットのサイズが大きくなると共に、それらの誤差を前記バンディング発生画素を除く未処理画素に拡散させるようにしたので、バンディング発生画素の画素値が大きく変化し、その直前の注目画素に対応するドットサイズが元のドットサイズよりも小さくなる方向に働く。例えば、前記ラインヘッド型の印字ヘッドのノズルの配置方向である主走査方向に沿って前記多値の画像データのN値化処理を実行する際にバンディング発生画素の直前に注目画素が移ったときは、そのバンディング発生画素をその注目画素よりも先に、元のドットサイズよりも大きなドットが選択されるようにN値化してから注目画素をN値化した後、それらの誤差を前記バンディング発生画素を除く未処理画素に拡散させるようにしている。
【0014】
この結果、いわゆる飛行曲がり現象によって発生するバンディング現象による「白スジ」や「濃いスジ」を解消または殆ど目立たなくすることができる。
なお、「バンディング発生画素の直前に注目画素が移ったとき」とは、注目画素の注目する順序を示す方向において、バンディング発生画素の1つ前にN値化される画素すなわち注目画素が移ったときのことを意味し、結果として、注目画素とバンディング発生画素とは、隣接している状態のことをいう。
【0015】
また、バンディング発生部分には大きなドットと小さなドットが組み合わされて印字されやすくなるため、そのバンディング発生部分の面積階調が他の正常な部分の面積階調とほぼ均一となり、高品質な印刷物を得ることができる。
ここでいう「M値(M≧3)」とは、例えば、8ビット256階調などとして表される、いわゆる輝度および濃度に関する複数の画素値のことであり、また、「N値(M>N≧2)」とは、このようなM値(多値)のデータをある閾値に基づいてその画素値をN種類に分類する処理のことであり、また、「ドットサイズ」とは、ドットの大きさ(面積)自体の他に、ドットを打たないといったことも含む概念である(以下の「印刷装置」に関する形態、「印刷プログラム」に関する形態、「印刷方法」に関する形態、「画像処理装置」に関する形態、「画像処理プログラム」に関する形態、「画像処理方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0016】
また、この「N」の値を「N≧2」としたのは、印刷用データを生成するためには、ドットを打つか打たないかに関する2値化以上を少なくとも規定する必要があるためであり、また、「M>N」としたのは、例えば8ビット256階調の多値(M値)の画素値を元の画素値よりも少ない階調(例えば4〜8階調程度)に減値化するためである(以下の「印刷装置」に関する形態、「印刷プログラム」に関する形態、「印刷方法」に関する形態、「画像処理装置」に関する形態、「画像処理プログラム」に関する形態、「画像処理方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0017】
また、「バンディング現象」とは、「飛行曲がり現象」によって発生する「白スジ」だけでなく、この「白スジ」と共に「濃いスジ」が同時に発生する印刷不良のことをいうものとする(以下の「印刷装置」に関する形態、「印刷プログラム」に関する形態、「印刷方法」に関する形態、「画像処理装置」に関する形態、「画像処理プログラム」に関する
形態、「画像処理方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0018】
また、「飛行曲がり現象」とは、前述したように単なる一部のノズルの不吐出現象とは異なり、インクは吐出するものの、その一部のノズルの吐出方向が傾くなどしてドットが目標位置よりずれて形成されてしまう現象をいう(以下の「印刷装置」に関する形態、「印刷プログラム」に関する形態、「印刷方法」に関する形態、「画像処理装置」に関する形態、「画像処理プログラム」に関する形態、「画像処理方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0019】
また、「白スジ」とは、「飛行曲がり現象」によって隣接ドット間の距離が所定の距離よりも広くなる現象が連続的に発生して印刷媒体の下地の色がスジ状に目立ってしまう部分(領域)をいい、また、「濃いスジ」とは、同じく「飛行曲がり現象」によって隣接ドット間の距離が所定の距離よりも短くなる現象が連続的に発生して印刷媒体の下地の色が見えなくなったり、あるいはドット間の距離が短くなることによって相対的に濃く見えたり、さらにはずれて形成されたドットの一部が正常なドットと重なり合ってその重なり合った部分が濃いスジ状に目立ってしまう部分(領域)をいうものとする(以下の「印刷装置」に関する形態、「印刷プログラム」に関する形態、「印刷方法」に関する形態、「画像処理装置」に関する形態、「画像処理プログラム」に関する形態、「画像処理方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0020】
また、「誤差拡散処理」とは、画像処理の分野で通常に利用されているものと同一であり、ある画素の2値化処理によって生じた誤差を所定の誤差拡散マトリクスに従って周囲の画素へ割り振り、続く処理においてその影響を考慮することで全体としての誤差を最小にする処理のことをいう。すなわち、画素の濃度値がその画像のもつ階調数の半分の中間値より大きければ黒、小さければ白に分類し、その後、分類前の濃度値と処理後の濃度値との誤差を適当な割合で周りの画素に分散させ、調整する方法である(以下の「印刷装置」に関する形態、「印刷プログラム」に関する形態、「印刷方法」に関する形態、「画像処理装置」に関する形態、「画像処理プログラム」に関する形態、「画像処理方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0021】
また、「誤差」とは、N値化後の濃度値(輝度値)と入力画像データの濃度値(輝度値)との差をいう(以下の「印刷装置」に関する形態、「印刷プログラム」に関する形態、「印刷方法」に関する形態、「画像処理装置」に関する形態、「画像処理プログラム」に関する形態、「画像処理方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0022】
また、「注目画素」とは、ノズル配列方向とノズル配列に対して垂直方向に配列された多数の画素のうち、N値化処理とその誤差を拡散する中心となる画素をいい、また、「未処理画素」とは、前記多数の画素のうち、未だN値化処理が行われていない画素をいうものとする(以下の「印刷装置」に関する形態、「印刷プログラム」に関する形態、「印刷方法」に関する形態、「画像処理装置」に関する形態、「画像処理プログラム」に関する形態、「画像処理方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0023】
また、「注目画素を含む画素」とは、ある「注目画素」そのものの他、その「注目画素」を含む一連(ブロック状)の画素をも意味するものとする(以下の「印刷装置」に関する形態、「印刷プログラム」に関する形態、「印刷方法」に関する形態、「画像処理装置」に関する形態、「画像処理プログラム」に関する形態、「画像処理方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0024】
また、「取得する」とは、スキャナ手段などの光学的印刷結果読取り手段などから入力されたデータを取得したり、LANやWAN等のネットワークを介して外部装置に記憶されたデータを受動的又は能動的に取得したり、印刷装置の有する記憶装置に記憶されたデータを取得したりなどする。つまり、前記「取得」には、入力、獲得、受信および読出しが含まれる(以下の「印刷装置」に関する形態、「印刷プログラム」に関する形態、「印刷方法」に関する形態、「画像処理装置」に関する形態、「画像処理プログラム」に関する形態、「画像処理方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0025】
〔形態2〕形態2の印刷装置は、
ノズルを備えた印字ヘッドと、当該印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、当該印刷データ生成手段で生成した印刷用データに基づいて印刷を実行する印刷手段と、を備え、前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の近傍に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除く他の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする。
【0026】
これによって、形態1と同様に、バンディング発生画素に対応するドットのサイズが大きくなると共に、その近傍の画素の画素値が大きく変化してその近傍画素に対応するドットサイズが元のドットサイズよりも小さくなる方向に働くようになる。
この結果、いわゆる飛行曲がり現象によって発生するバンディング現象による「白スジ」や「濃いスジ」を解消または殆ど目立たなくすることができる。
【0027】
なお、「バンディング発生画素の近傍に注目画素が移ったとき」とは、注目画素の注目する順序を示す方向において、バンディング発生画素の2つ以上前にN値化される画素すなわち注目画素が移ったときのことを意味し、結果として、注目画素とバンディング発生画素とは、距離的に近い位置にある状態のことをいう。
また、バンディング発生部分には大きなドットと小さなドットが組み合わされて印字されやすくなるため、そのバンディング発生部分の面積階調が他の正常な部分の面積階調とほぼ均一となり、高品質な印刷物を得ることができる。
【0028】
〔形態3〕形態3の印刷装置は、
形態1または2に記載の印刷装置において、
前記N値化データ生成手段は、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成することを特徴とする。
これによって、注目画素がM値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定されてN値化データが生成されるので、高画質化を図ることができる。
【0029】
〔形態4〕形態4の印刷装置は、
形態1または2に記載の印刷装置において、前記N値化データ生成手段は、前記バンディング発生画素をN値化すると共に、当該バンディング発生画素の近傍の画素も同時にN値化することを特徴とする。
これによって、バンディング発生画素に対応するドットのサイズが大きくなると共に、その近傍の画素の画素値が大きく変化してその近傍画素に対応するドットサイズが元のドットサイズよりも小さくなる方向に働くようになる。
この結果、いわゆる飛行曲がり現象によって発生するバンディング現象による「白スジ」や「濃いスジ」を解消または殆ど目立たなくすることができる。
【0030】
〔形態5〕形態5の印刷装置は、
形態1または2に記載の印刷装置において、前記M値の画像データを取得する画像データ取得手段を備えたことを特徴とする。
これにより、パソコンなどの印刷指示端末が接続されている場合は、前記画像データ取得手段がその印刷指示端末から明示的な印刷指示があるかどうかを監視し、印刷指示があったと判断したときは、その印刷指示端末から印刷指示と共に、印刷対象となる多値の画像データが送られてきたかどうかを判断することができる。
【0031】
〔形態6〕形態6の印刷装置は、
形態1または2に記載の印刷装置において、前記M値の画像データを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする。
これにより、パソコンなどの印刷指示端末が接続されていない場合でも、過去の画像データを内蔵されている記憶手段に記憶させることにより、必要なときに随時取り出してN値化を行うことができる。
【0032】
〔形態7〕形態7の印刷装置は、
形態1〜6のいずれか1に記載の印刷装置において、前記印字ヘッドは、前記媒体の幅分の長さを有し、前記媒体の幅方向に移動することなく1走査での印刷を可能とする印字ヘッドであることを特徴とする。
これによって、前記媒体の幅分の長さを有し、前記媒体の幅方向に移動することなく1走査での印刷を可能とする印字ヘッドを用いた場合に特に発生し易いバンディング現象による「白スジ」や「濃いスジ」を解消または殆ど目立たなくすることができる。この印字ヘッドにはラインヘッド型の印字ヘッドが含まれる。
【0033】
〔形態8〕形態8の印刷装置は、
形態1〜6のいずれか1に記載の印刷装置において、前記印字ヘッドは、前記媒体の幅よりも短い長さを有し、前記媒体の幅方向に往復動する印字ヘッドであることを特徴とする。
【0034】
前述したバンディング現象は、前記媒体の幅分の長さを有し、前記媒体の幅方向に移動することなく1走査での印刷を可能とする印字ヘッドの場合に顕著にみられるが、前記媒体の幅よりも短い長さを有し、前記媒体の幅方向に往復動する印字ヘッドの場合でも発生する。この印字ヘッドにはマルチヘッド型の印字ヘッドが含まれる。従って、前記形態1〜6のいずれかに記載の印刷方法をマルチパス型の印字ヘッドの場合に適用すれば、マルチパス型の印字ヘッドで発生したバンディング現象による「白スジ」や「濃いスジ」も確実に解消または殆ど目立たなくすることが可能となる。
【0035】
また、マルチパス型の印字ヘッドの場合は、印字ヘッドの走査を繰り返すなどの工夫を施すことで、前記のようなバンディング現象を回避することが可能であるが、前記の形態1または2の印刷装置を適用すれば、印字ヘッドを同じ箇所を何度も走査させる必要がなくなるため、より高速な印刷を実現することも可能となる。
【0036】
〔形態9〕形態9の印刷プログラムは、
コンピュータを、ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、当該印刷データ生成手段で生成した印刷用データに基づいて印刷を実行する印刷手段と、を備え、前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の直前に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除くその近傍の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする。
【0037】
これによって、形態1と同様に「白スジ」や「濃いスジ」が低減して、飛行曲がり現象によるバンディング現象を解消または殆ど目立たなくすることができる。また、面積階調も均一となり、高品質が印刷物が得られる。
また、インクジェットプリンタなどといった現在市場に出回っている殆どの印刷装置は中央処理装置(CPU)や記憶装置(RAM、ROM)、入出力装置などからなるコンピュータシステムを備えており、そのコンピュータシステムを用いてソフトウェアによって前記各手段を実現することができるため、専用のハードウェアを作成して前記各手段を実現する場合に比べて経済的かつ容易に実現することができる。
さらに、プログラムの一部を書き換えることによって機能改変や改良などによるバージョンアップも容易に行うことができる。
【0038】
〔形態10〕形態10の印刷プログラムは、
コンピュータを、ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、当該印刷データ生成手段で生成した印刷用データに基づいて印刷を実行する印刷手段と、を備え、前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の近傍に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除く他の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする。
【0039】
これによって、形態2と同様に「白スジ」や「濃いスジ」が低減して、飛行曲がり現象によるバンディング現象を解消または殆ど目立たなくすることができる。また、面積階調も均一となり、高品質が印刷物が得られる。
また、形態2と同様にインクジェットプリンタなどといった現在市場に出回っている殆どの印刷装置は中央処理装置(CPU)や記憶装置(RAM、ROM)、入出力装置などからなるコンピュータシステムを備えており、そのコンピュータシステムを用いてソフトウェアによって前記各手段を実現することができるため、専用のハードウェアを作成して前記各手段を実現する場合に比べて経済的かつ容易に実現することができる。
さらに、プログラムの一部を書き換えることによって機能改変や改良などによるバージョンアップも容易に行うことができる。
【0040】
〔形態11〕形態11のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
形態9または10に記載の印刷プログラムを記録した、コンピュータ読取り可能な記録媒体である。
これによって、CD−ROMやDVD−ROM、FD、半導体チップなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して前記形態9または10に記載の印刷プログラムをユーザなどの需用者に対して容易かつ確実に提供することができる。
【0041】
〔形態12〕形態12の印刷方法は、
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得ステップと、当該吐出精度情報取得ステップで取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定ステップと、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成ステップと、前記N値化データ生成ステップで前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散ステップと、前記N値化データ生成ステップで生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成ステップと、当該印刷データ生成ステップで生成した印刷用データに基づいて印刷を実行する印刷ステップと、を含み、前記N値化データ生成ステップは、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定ステップで特定されたバンディング発生画素の直前に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、前記誤差拡散ステップは、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除くその近傍の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする。
【0042】
これによって、形態1と同様にバンディング発生画素に対応するドットのサイズが大きくなると共に、その近傍の画素の画素値が大きく変化してその近傍画素に対応するドットサイズが元のドットサイズよりも小さくなる方向に働くようになる。
この結果、いわゆる飛行曲がり現象によって発生するバンディング現象による「白スジ」や「濃いスジ」を解消または殆ど目立たなくすることができる。
また、バンディング発生部分には大きなドットと小さなドットが組み合わされて印字されやすくなるため、そのバンディング発生部分の面積階調が他の正常な部分の面積階調とほぼ均一となり、高品質な印刷物を得ることができる。
【0043】
〔形態13〕形態13の印刷方法は、
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得ステップと、当該吐出精度情報取得ステップで取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定ステップと、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成ステップと、前記N値化データ生成ステップで前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散ステップと、前記N値化データ生成ステップで生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成ステップと、当該印刷データ生成ステップで生成した印刷用データに基づいて印刷を実行する印刷ステップと、を含み、前記N値化データ生成ステップは、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定ステップで特定されたバンディング発生画素の近傍に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、前記誤差拡散ステップは、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除く他の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする。
【0044】
これによって、形態2と同様にバンディング発生画素を含むその近傍画素の誤差を広い範囲に拡散させることができるため、バンディングによる白スジを目立たなくすることができることは勿論、その部分の面積階調を他の部分と均一にすることが可能となり、より高品質の印刷物を得ることが可能となる。
【0045】
〔形態14〕形態14の画像処理装置は、
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、
前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の直前に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除くその近傍の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする。
【0046】
これによって、形態1と同様にいわゆる飛行曲がり現象によって発生するバンディング現象による「白スジ」や「濃いスジ」を解消または殆ど目立たなくすることができる。
また、バンディング発生部分には大きなドットと小さなドットが組み合わされて印字されやすくなるため、そのバンディング発生部分の面積階調が他の正常な部分の面積階調とほぼ均一となり、高品質な印刷物を得ることができる。
【0047】
また、この画像処理装置は、前記印刷装置のように印字ヘッドや印刷手段を用いていないため、各手段をソフトウェア上で実現可能である。従って、この画像処理装置はパソコンなどの汎用のコンピュータシステム(情報処理装置)のみによって容易に実現することができる。
【0048】
〔形態15〕形態15の画像処理装置は、
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の近傍に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除く他の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする。
【0049】
これによって、形態2と同様にバンディング発生画素を含むその近傍画素の誤差を広い範囲に拡散させることができるため、バンディングによる白スジを目立たなくすることができることは勿論、その部分の面積階調を他の部分と均一にすることが可能となり、より高品質の印刷物を得ることが可能となる。
また、形態14と同様に、各手段をソフトウェア上で実現可能であるため、パソコンなどの汎用のコンピュータシステム(情報処理装置)のみによって容易に実現することができる。
【0050】
〔形態16〕形態16の画像処理プログラムは、
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の直前に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除くその近傍の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする。
【0051】
これによって、飛行曲がり現象を起こしている印字ヘッドの特性に対応した印刷用データが得られるため、この印刷用データに基づいて印刷を実行することにより、形態1と同様に飛行曲がり現象によって発生するバンディング現象による「白スジ」は勿論、「濃いスジ」も効果的に解消または殆ど目立たなくすることができる。
また、パソコン(PC)などの汎用のコンピュータシステムを用いてソフトウェアによって前記各手段を実現することができるため、専用のハードウェアを作成して前記各手段を実現する場合に比べて経済的かつ容易に実現することができる。
さらに、プログラムの一部を書き換えることによって機能改変や改良などによるバージョンアップも容易に行うことができる。
【0052】
〔形態17〕形態17の画像処理装置は、
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の近傍に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除く他の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする。
【0053】
これによって、形態2と同様にバンディング発生画素を含むその近傍画素の誤差を広い範囲に拡散させることができるため、バンディングによる白スジを目立たなくすることができることは勿論、その部分の面積階調を他の部分と均一にすることが可能となり、より高品質の印刷物を得ることが可能となる。
また、形態16と同様に、各手段をソフトウェア上で実現可能であるため、パソコンなどの汎用のコンピュータシステム(情報処理装置)のみによって容易に実現することができる。
【0054】
〔形態18〕形態18のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
形態16または17に記載の画像処理プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
これによって、CD−ROMやDVD−ROM、FD、半導体チップなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して前記形態16または17に記載の画像処理プログラムをユーザなどの需用者に対して容易かつ確実に提供することができる。
【0055】
〔形態19〕形態19の画像処理方法は、
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得ステップと、当該吐出精度情報取得ステップで取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定ステップと、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成ステップと、前記N値化データ生成ステップで前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散ステップと、前記N値化データ生成ステップで生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成ステップと、を含み、前記N値化データ生成ステップは、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定ステップで特定されたバンディング発生画素の直前に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、前記誤差拡散ステップは、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除くその近傍の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする。
【0056】
これによって、飛行曲がり現象を起こしている印字ヘッドの特性に対応した印刷用データが得られるため、この印刷用データに基づいて印刷を実行することにより、形態1と同様に飛行曲がり現象によって発生するバンディング現象による「白スジ」は勿論、「濃いスジ」も効果的に解消または殆ど目立たなくすることができる。
【0057】
〔形態20〕形態20の画像処理方法は、
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得ステップと、当該吐出精度情報取得ステップで取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定ステップと、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成ステップと、前記N値化データ生成ステップで前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散ステップと、前記N値化データ生成ステップで生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成ステップと、を含み、前記N値化データ生成ステップは、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定ステップで特定されたバンディング発生画素の近傍に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、前記誤差拡散ステップは、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除く他の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする。
【0058】
これによって、形態2と同様にバンディング発生画素を含むその近傍画素の誤差を広い範囲に拡散させることができるため、バンディングによる白スジを目立たなくすることができることは勿論、その部分の面積階調を他の部分と均一にすることが可能となり、より高品質の印刷物を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照しながら詳述する。
図1〜図18は、本発明の印刷装置100および印刷プログラム、印刷方法、画像処理装置、画像処理プログラム、画像処理方法、並びにコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する実施の一形態を示したものである。
図1は、本発明に係る印刷装置100の実施の一形態を示した機能ブロック図である。
【0060】
図示するように、この印刷装置100は、サイズの異なる2種類以上のドットを打ち分けられるノズルを複数備えた印字ヘッド200と、この印字ヘッド200のノズルNごとの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段10と、この吐出精度情報取得手段10で取得された前記印字ヘッド200のノズルNごとの吐出精度情報に基づいて次の画像データ取得手段14で取得された画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段12と、多値(M値)の画像データを取得する画像データ取得手段14と、この画像データ取得手段14で取得された多値の画像データを画素ごとにN値化してN値(M>N)の画像データを生成するN値化データ生成手段16と、このN値化データ生成手段16で注目画素ごとにN値化する際に、発生した注目画素ごとの誤差を未処理画素に拡散していく誤差拡散手段17と、前記N値化データ生成手段16で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段18と、この印刷データ生成手段18で生成された印刷用のデータに基づいて印刷を実行するインクジェット方式の印刷手段20と、から主に構成されている。
【0061】
先ず、本発明に適用される印字ヘッド200について説明する。
図3は、この印字ヘッド200の構造を示す部分拡大底面図、図4は、その部分拡大側面図である。
図3に示すように、この印字ヘッド200は、印刷手段22の一部を構成すると共に、いわゆるラインヘッド型のプリンタに用いられる印刷用紙の紙幅方向に延びる長尺構造をしており、ブラック(K)インクを専用に吐出するノズルNが複数個(図では18個)、ノズル配列方向に直線状に配列されたブラックノズル群50と、イエロー(Y)インクを専用に吐出するノズルNが複数個、同じくノズル配列方向に直線状に配列されたイエローノズル群52と、マゼンタ(M)インクを専用に吐出するノズルNが複数個、同じくノズル配列方向に直線状に配列されたマゼンタノズル群54と、シアン(M)インクを専用に吐出するノズルNが複数個、同じくノズル配列方向に直線状に配列されたシアンノズル群56といった4つのノズル群50、52、54、56が印刷方向(ノズル配列に対して垂直方向)に重なるように一体的に配列して構成されている。
【0062】
なお、モノクロ印刷専用の印字ヘッド200の場合は、このうちブラックノズル群50のみから構成され、また、高画質な画像をターゲットとする印字ヘッド200の場合は、さらにライトマゼンタやライトシアンなどを加えた6つ、または7つのノズル群が印刷方向(ノズル配列に対して垂直方向)に重なるように一体的に配列して構成されている。
そして、図4は、例えばこれら4つのノズル群50、52、54、56のなかの1つであるブラックノズル群50を側面から示したものであり、左から6番目のノズルN6が飛行曲がり現象を起こしてそのノズルN6からインクが斜め方向に吐出されてその隣りの正常なノズルN7の近傍にドットが印字(インク着弾)されてしまっている状態を示している。
【0063】
従って、図5に示すように、飛行曲がりを発生していない理想的なドットパターンの状態では、いずれのドットも規定の印字位置に印字されるのに対し、その一部、例えば図4に示すように左から6番目のノズルN6が飛行曲がり現象を起こしていると、図6に示すように、そのドット印字位置が目的とする印字位置から距離aだけその隣りの正常なノズルN7側にずれて印字されてしまい、これによってドット間の距離が部分的に広くなり、その広くなった部分が白い縦スジとなって目立って印刷品質を著しく悪化させてしまうことがある。
【0064】
また、さらに、この印字ヘッド200に備えられた各ノズルNは、1つの印刷処理においてサイズの異なる2種類以上のドット(本実施の形態では7種類)を自在に打ち分けられるようになっている。
このように1つの印刷処理においてドットサイズを打ち分ける技術自体は、従来公知の技術であり、特に印刷速度と印刷画質を高いバランスで実現する印刷物を得る際に従来から既に多用されている技術である。つまり、ドットサイズを小さくすることによって高画質が得られる一方、ドットサイズを小さくすると機械精度に高度な性能が要求され、また、小さなドットでベタ画像を形成するためには多くのドットを打つ必要がある。
【0065】
そこで、高詳細な画像部分はドットサイズを小さくし、ベタ画像部分はドットサイズを大きくするなどといったドットサイズ打ち分け技術を利用することによって印刷速度と画質を高いバランスで実現するものである。
なお、このようにドットサイズの打ち分けを実現する技術的方法としては、例えば、印字ヘッドにピエゾ素子(piezo actuator)を使用した方式の場合は、そのピエゾ素子に加える電圧を変えてインクの吐出量をコントロールすることで容易に実現可能となっている。
【0066】
また、一般的な印字ヘッドによって通常打ち分け可能なドットのサイズとしては、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」、「ドットなし」の4パターンが一般的であるが、本実施の形態における印字ヘッド200により打ち分けられるドットのサイズとしては、図7のN値化変換テーブル300Aに示すようにさらにそれらの中間のドットサイズをいくつか含めた全8パターン(ドットなしを含む)の打ち分けが可能となっている。
【0067】
次に、吐出精度情報取得手段10は、この印字ヘッド200のノズルNごとの吐出精度情報を取得する機能を提供するものであり、より具体的には、前述した図6に示すように印字ヘッド200に飛行曲がり現象が発生しているか否か、および飛行曲がり現象が発生している場合は、その飛行曲がり現象を引き起こしている異常ノズルN、およびその相対位置ずれ量がどの程度あるかをなどを具体的に特定する機能を発揮するようになっている。
【0068】
すなわち、図1に示すようにこの吐出精度情報取得手段10には、さらに印字ヘッド特性記憶部22、または印字ヘッド特性検出部24が備えられており、この印字ヘッド特性記憶部22に予め記憶された前記印字ヘッド200の特性を読み出してきたり、あるいは印字ヘッド特性検出部24で検出された前記印字ヘッド200の特性を読み出すことで必要な時期に前記印字ヘッド200の特性を容易に取得できるようになっている。
【0069】
ここで、印字ヘッド特性記憶部22は、例えば前記印字ヘッド200の製造時、あるい印刷装置100(印刷手段20)への組み込み時などに行われた印字ヘッド特性試験結果を書き込んだ読み出し自在なROMやRAMなどの記憶手段から構成され、また、印字ヘッド特性検出部24は、使用後にその印字ヘッド200の特性が変化した場合に対応するために定期的にあるいは所定の時期にスキャナ手段などの光学的印刷結果読み取り手段など利用してその印字ヘッド200による印刷結果からその印字ヘッド200の特性を検査してその検査結果を前記印字ヘッド特性記憶部22のデータと共に、あるいはそのデータに上書きなどして保存するようになっている。
【0070】
なお、この印字ヘッド200の特性は、製造段階である程度固定されてしまい、インク詰まりなどによる吐出不良を除けば製造後に変化することは比較的稀であると考えられている。
図8は、この印字ヘッド200を構成する各ノズルN(ノズル番号)ごとの相対位置ずれ量(吐出精度)を記録した吐出精度記録テーブル300Bの一例を示したものである。
【0071】
同図に示すように、例えばノズル番号「1」のノズルN1は、その相対位置ずれ量が、「0μm(検出精度以下)」であって飛行曲がり現象は殆ど皆無であるのに対し、その隣りのノズル番号「2」のノズルN2は、その相対位置ずれ量が「+1μm」であり、本来の正確なドット印字位置に対してノズルN1側(あるいはノズル3側)に「1μm」だけドット印字位置がずれてしまうことを示している。また、その隣りのノズル番号「3」のノズルN3は、その相対位置ずれ量が「−2μm」であり、本来の正確なドット印字位置に対してノズルN4側(あるいはノズル2側)に「2μm」だけドット印字位置がずれてしまうことを示している。
【0072】
なお、この吐出精度記録テーブル300Bに示す1つのノズル群に対するノズルNの数とノズル番号とは一対一に対応しており、図の例では1つのノズル群に対して「1440」個のノズルが設けられていることを示している。
また、この吐出精度記録テーブル300Bは、前記印字ヘッド特性記憶部24に記憶され、必要に応じて読み出されると共に適宜その精度が変化したときは、その内容が適宜更新されるようになっている。
【0073】
次に、バンディング画素特定手段12は、この吐出精度記録テーブル300Bに記録されたような、前記印字ヘッド200のノズルNごとの吐出精度情報に基づいて次の画像データ取得手段14で取得された画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定する機能を提供するようになっている。
すなわち、ある1つのノズルNが飛行曲がる現象を起こしているラインヘッド型の印字ヘッド200よって、例えば図13に示すように各画素が縦横(x−y方向)に配列された画像データを印字すると、図中太枠で示すように、実際に飛行曲がり現象を発生しているノズルNによって印字される画素がそのノズル配列に対して垂直方向(紙送り方向(y方向))に連なるように発生するため、この一連の画素群がバンディングを発生する画素として特定されることになる。
【0074】
次に、画像データ取得手段14は、この印刷装置100と繋がったパソコン(PC)やプリンタサーバなどの印刷指示装置(図示せず)から送られてくる印刷に供する多値の(カラー)画像データをネットワークなどを介して取得したり、あるいは図示しないスキャナやCD−ROMドライブなどの画像(データ)読込装置などから直接読み込んで取得する機能を提供するようになっている。
【0075】
なお、さらに取得した多値の画像データが多値のRGBデータ、例えば1画素あたり各色(R、G、B)ごとの階調(輝度値)が8ビット(0〜255)で表現されるカラー画像データであれば、これを色変換処理して前記印字ヘッド200の各インクに対応する多値のCMYK(4色の場合)データに変換する機能も同時に発揮するようになっている。
次に、N値化データ生成手段16は、この画像データ取得手段14で取得された多値の画像データを、例えば図7に示すようなN値化変換テーブル300Aに基づいて各画素ごとにN値化(図の例では8値化)してN値(8値)の画像データを生成する機能を提供するようになっている。
【0076】
図7のN値化変換テーブル300Aでは、各画素の画素値(輝度)が8ビット「256」階調である場合、7つの閾値を用い、画素値が「255」〜「223」のときは、画素値を「1」にまとめてそのN値を「1」とし、画素値が「222」〜「191」のときは、画素値を「219」にまとめてそのN値を「2」とする。さらに画素値が「190」〜「159」のときは、画素値を「182」にまとめてそのN値を「3」とし、画素値が「158」〜「128」のときは、画素値を「146」にまとめてそのN値を「4」としている。さらに、画素値が「127」〜「96」のときは、画素値を「109」にまとめてそのN値を「5」とし、画素値が「95」〜「64」のときは、画素値を「73」にまとめてそのN値を「6」とし、さらに画素値が「63」〜「32」のときは、画素値を「36」にまとめてそのN値を「7」とし、画素値が「31」〜「0」のときは、画素値を「0」にまとめてそのN値を「8」としている。
【0077】
そして、N値「1」には、「ドットなし」を割り当てると共に、N値「2」には面積が最も小さいドット番号「0」のドットを割り当て、以後N値が上昇するごとに面積が大きいドットを割り当て、N値「8」には最も面積が大きいドット番号「7」のドットがそれぞれ割り当てられるようになっている。
なお、前記の例は画素値として輝度を採用した場合であり、画素値として濃度を採用する場合は、図の括弧に示すように各輝度の反対の値(「255」から各輝度値を引いた値)をとることになる。また、これら輝度または濃度の値をM値として用いることができる。
【0078】
また、このN値化データ生成手段16は、各画素をN値化処理する際に、後述する誤差拡散手段17によって拡散された誤差を加算した後の画素値に基づいてN値化処理を実行すると共に、N値処理対象となる注目画素が前記バンディング画素特定手段12で特定されたバンディング発生画素の直前に移ったときは、その注目画素をN値化するまえに、前記バンディング発生画素をその相対位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該N値化で発生した誤差を前記注目画素を含む画素に伝搬してから当該注目画素を含む画素をN値化処理するようになっており、その具体的な例については後に詳述する。
【0079】
次に、誤差拡散手段17は、このN値化データ生成手段16で注目画素ごとにN値化する際に、発生した注目画素ごとの誤差を図11および図12などに示すような所定の誤差拡散マトリクスに従ってその周囲の未処理画素に拡散すると共に、前記N値化済みのバンディング発生画素の誤差と、前記N値化済みの注目画素の誤差とを前記N値化済みのバンディング発生画素近傍の未処理画素に拡散させるようになっており、その具体的な例については同じく後に詳述する。
【0080】
次に、印刷データ生成手段18は、このように誤差拡散手段17を併用したN値化データ生成手段16で生成されたN値の画像データに基づいて図7に示すように各画素ごとに所定のドットを割り当てて印刷用データを生成する機能を提供するようになっている。
また、印刷手段20は、印刷媒体(用紙)Sまたは印字ヘッド200の一方、あるいは双方を移動させながら前記印字ヘッド200に形成された前記ノズル群50,52,54,56からインクをそれぞれドット状に噴射して前記印刷媒体S上に多数のドットからな
る所定の画像を形成するようにしたインクジェット方式のプリンタであり、前述した印字ヘッド200の他に、この印字ヘッド200を印刷媒体S上をその幅方向に往復移動させる図示しない印字ヘッド送り機構(マルチパス型の場合)、前記印刷媒体Sを移動させるための図示しない紙送り機構、前記印刷用データに基づいて印字ヘッド200のインクの吐出を制御する図示しない印字コントローラ機構などの公知の構成要素から構成されている。
【0081】
ここで、この印刷装置100は、印刷のための各種制御や前記吐出精度情報取得手段10、バンディング画素特定手段12、画像データ取得手段14、N値化データ生成手段16、誤差拡散手段17、印刷データ生成手段18、および印刷手段20などをソフトウェア上で実現するためのコンピュータシステムを備えており、そのハードウェア構成は、図2に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)60と、主記憶装置(Main Storage)を構成するRAM(Random Access Memory)62と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)64との間をPCI(Peripheral Component Interconnect)バスやISA(Industrial Standard Architecture)バス等からなる各種内外バス68で接続すると共に、このバス68に入出力インターフェース(I/F)66を介して、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置(Secondary Storage)70や、CRT、LCDモニター等の出力装置72、操作パネルやマウス、キーボード、スキャナなどの入力装置74、および図示しない印刷指示装置などと通信するためのネットワークLなどを接続したものである。
【0082】
そして、電源を投入すると、ROM64などに記憶されたBIOS等のシステムプログラムが、同じくROM64などに予め記憶された各種専用のコンピュータプログラム、あるいは、CD−ROMやDVD−ROM、フレキシブルディスク(FD)などの記憶媒体を介して、またはインターネットなどの通信ネットワークLを介して記憶装置70にインストールされた各種専用のコンピュータプログラムを同じくRAM62にロードし、そのRAM62にロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPU60が各種リソースを駆使して所定の制御および演算処理を行うことで前述したような各手段の各機能をソフトウェア上で実現できるようになっている。
【0083】
次に、このような構成をした印刷装置100を用いた印刷処理の流れの一例を図10および図11のフローチャート図を主に参照しながら説明する。
なお、前述したようにドットを印字するための印字ヘッド200は、一般に4色および6色などといった複数種類の色のドットをほぼ同時に印字できるようになっているが、以下の例では説明を判り易くするためにいずれのドットもいずれか1色(単色)の印刷ヘッド200によって印字されるものとして説明する(モノクロ画像)。また、図10はこの印刷装置100全体の処理の流れの一例を示したフローチャート図であり、また、図11は、この図10に示す処理のうち、特に、誤差拡散処理を併用したN値化処理をより詳細に説明したフローチャート図である。
【0084】
先ず、図10のフローチャート図に示すように、この印刷装置100は、電源投入後印刷処理のための所定の初期動作が終了したならば、最初のステップS100に移行して、パソコンなどの図示しない印刷指示端末が接続されている場合は、前記画像データ取得手段14がその印刷指示端末から明示的な印刷指示があるかどうかを監視し、印刷指示があったと判断したとき(Yes)は、次のステップS102に移行してその印刷指示端末から印刷指示と共に、印刷対象となる多値の画像データが送られてきたかどうかを判断する。
【0085】
この結果、例えば所定時間経っても画像データが送られてこないと判断したとき(No)は、そのまま処理を終了することになるが、所定時間内に画像データが送られてきたと判断したとき(Yes)は、次のステップS104に移行し、吐出精度情報取得手段10が対象となる印字ヘッド200の吐出精度情報を取得し、次のステップS106に移行してバンディング画素特定手段12がその吐出精度情報に基づいて前記画像データを構成する画素のうち、バンディングを発生する画素(群)を特定する。
【0086】
次に、このようにして取得した画像データを構成する各画素のなかでバンディングを発生する画素(群)が特定されたならば、次のステップS108に移行してN値化データ生成手段16が後述するような誤差拡散手段17による誤差拡散処理を併用したN値化処理を実施した後、次のステップS110に移行して印刷データ生成手段18がそのN値に対応するサイズのドットを各画素ごとに設定した印刷用のデータを生成する。
【0087】
そして、最後のステップS112に移行して印刷手段20がその印刷用データに基づいて前記印字ヘッド200を利用して所定の印刷を実行することで、バンディング現象による白スジや濃いスジが殆ど目立たない高品質の印刷物を確実に得ることができる。 次に、図11のフローチャート図に示すように、前記ステップS108におけるN値化処理は、先ず最初のステップS200において処理対象となる注目画素を設定する。
【0088】
通常、印刷過程で行われている一般的なN値化処理は、画像の左端の画素を始点とし、その画素から画像データのノズル配列方向に順次注目画素を移動しながら最後に画像の右下の画素を処理するようになっているため、本実施の形態でもこのような方向に従って注目画素が順次移動するものとする。
このようにして先ず最初の注目画素が特定されたならば、次の判断ステップS202に移行してその注目画素のその次の画素(その注目画素の隣に位置している未処理画素)に着目し、その未処理画素がバンディング発生画素であるか否かを判断する。
【0089】
この結果、その注目画素の次の画素がバンディング発生画素でない判断したとき(No)は、ステップS203側に移行するが、これとは反対に、その注目画素の次の画素がバンディング発生画素であると判断したとき(Yes)は、ステップS204側にそれぞれ移行する。
図12は、一部にバンディング発生画素群を有するN値化処理中の画像データの一部を示したものであり、図の例では注目画素のその次の画素は通常の未処理画素である(つまりバンディング発生画素ではない)ことから、ステップS203側に移行し、その注目画素を前述した図7に示すようなN値化変換テーブル300Aに従ってN値化してから次のステップS205に移行してそのN値化に伴って発生した誤差を図12に示すような通常の誤差拡散マトリクスに従ってその周囲の未処理画素に拡散することになる。
【0090】
図12の誤差拡散マトリクスは、いわゆる「Floyd & Steinberg型」と称される一般的な誤差拡散マトリクスであり、N値化に伴って発生した誤差を16等分にし、そのうちの7等分を次の注目画素に、1等分を右下の未処理画素に、5等分を直下の未処理画素に、3等分を左下の未処理画素にそれぞれ拡散(分配)するようにしたものである。
【0091】
例えば、注目画素の画素値(輝度値)が256階調で「125」であった場合にこれを図7に示すN値化変換テーブル300Aに従ってN値化すると、そのN値は「5」となると共に、「16(125−109)」の誤差が発生する。
従って、その注目画素に対応するドットは小ドットとなると共に発生した誤差「16」のうち、「7」は、次の注目画素に、「1」は右下の未処理画素に、「5」は直下の未処理画素に、「3」は左下の未処理画素にそれぞれ拡散(分配)されることになる。
【0092】
なお、このN値化に伴って全く誤差が発生しなかったり(例えば、画素値(輝度値)が256階調で「109」などの場合)、反対にマイナスの誤差が発生した場合(例えば、画素値(濃度値)が256階調で「96以上、109未満」などの場合)には、誤差拡散が行われなかったり、あるいはそのマイナスの誤差がそのまま前記誤差拡散マトリクスに従って拡散(分配)されることになることはいうまでもない。
【0093】
そして、図11のステップS205に戻り、このようにしてN値化処理と誤差拡散処理が終了したならば、次の判断ステップS207に移行し、全画素についてのN値化処理が終了したか否かを判断し、全画素についてのN値化処理が終了したと判断したとき(Yes)は、処理を終了することになるが、全画素についてのN値化処理が終了していないと判断したとき(No)は、次のステップS209に移行してその次の画素に注目画素を移動して前記ステップS202に処理に戻ることになる。
【0094】
一方、前記ステップS202において、その注目画素の次の画素がバンディング発生画素であると判断したとき(Yes)は、ステップS204側に移行し、その注目画素を処理するまえに、そのバンディング発生画素をN値化処理する。
具体的には、先ず、このステップS204においてそのバンディング発生画素に関する具体的な情報、すなわち、飛行曲がり方向および相対位置ずれ量を図8に示す吐出精度記録テーブル300Bに基づいて検出する。
【0095】
この結果、そのバンディング発生画素の飛行曲がり方向がプラス(+)方向、すなわち、注目画素との距離(ドット間距離)が長くなっていると判断したとき(Yes)は、ステップS206に移行してその相対位置ずれ量を検出し、その相対位置ずれ量が所定値内であると判断したとき(Yes)は、ステップS210側に移行するが、その相対位置ずれ量が所定値を超えると判断したときは、その相対位置ずれ量に応じてそのバンディング発生画素をN値化する。例えば、処理対象となるバンディング発生画素の画素値(輝度)が「182」であって、その相対位置ずれ量が「4(μm)」未満であれば、図9のN値化選択テーブル300Cに示すように、そのバンディング発生画素に対して通常のN値化を選択することになる。通常のN値化は、図7に示したように、ドット番号0〜7の8種が選択される可能性がある。例えば、その相対位置ずれ量が「9(μm)」であった場合には、図9に示すように、通常N値化の結果がドット番号が2であった場合には、「1〜3値上」の「ドット番号3〜5」が選択され、通常N値化の結果がドット番号6であった場合には、ドットサイズの制約条件により、「ドット番号7」が選択されることになる。
【0096】
すなわち、注目画素とその次のバンディング発生画素とのドット間が大きい場合には、その大きさに応じてそのバンディング発生画素のN値も大きくなり、これによって対応するドットも大きいものとなる。これによって、バンディング発生画素に対応するドットのサイズが本来のサイズよりも大きくなる方向に働くため、隣接するトッド間の距離が短くなってバンディング発生画素近傍の白スジが目立ち難くなる。
【0097】
一方、前記ステップS204においてそのバンディング発生画素の飛行曲がり方向がプラス(+)方向でない、すなわち、マイナス(−)方向であって注目画素側に偏っていると判断したとき(No)、および前記ステップS206において相対位置ずれ量が少ないと判断したとき(Yes)は、注目画素とバンディング発生画素との間に白スジが発生しないと考えられため、この場合はステップS210側に移行してそのバンディング発生画素に対して通常のN値化を実施する。なお、注目画素との距離(ドット間距離)が「0」であるときは、前記ステップS202においてステップS203側に移動する流れとなるため、このステップS204では考慮する必要がない。
【0098】
次に、このようにして注目画素の次に位置するバンディング発生画素に対するN値化処理が終了したならば、次のステップS212に移行してそのバンディング発生画素のN値化処理に際して発生した誤差のすべてをその注目画素の画素値に加算(吸収)してから次のステップS214に移行してその注目画素をN値化処理する。
この際、バンディング発生画素のN値化処理に際して発生した誤差は、プラスの場合もあればマイナスの場合もあることから、注目画素の画素値は常に増加するとは限らず、減少する場合も当然にある。
【0099】
従って、この誤差を吸収した後の注目画素のN値化に伴ってその注目画素に対応するドットは、常に本来よりも大きなものが選択されるとは限らず、本来よりも小さくなる場合もあり、平均するとそのサイズの増減は殆どないものと考えられる。
反対にこのようにそのドットサイズが一律の場合よりも個別に変化することにより、中間調化が促進されてよりその画像データの画質を向上させることができる。
【0100】
その後、このようにしてバンディング発生画素の誤差を吸収してから注目画素のN値化を行ったならば、その注目画素のN値化に際して発生した誤差をそのバンディング発生画素(処理済みのみならず未処理画素についても)を除くような特殊な誤差拡散マトリクスを用いて他の未処理画素に所定の比率で拡散する。
これによって、その注目画素のN値化に際して発生した誤差を有効活用することができるため、その画像データの画質をより向上させることができる。また、バンディング発生画素を除いて誤差を拡散するようにしたことから、その誤差を有効に活用することができる。
【0101】
図13は、注目画素の次の画素がバンディング発生画素である場合を示したものであり、注目画素をN値化するまえにその隣りに位置している未処理画素U1であるバンディング発生画素に対してN値化処理を実施し、その処理で発生した誤差のすべてを吸収し(2)てからその注目画素をN値化処理した後、そのN値化処理で発生した誤差をバンディング発生画素を除くその周囲の画素に所定の比率で誤差拡散(3)する状態を示したものである。
【0102】
すなわち、図の例では、その注目画素をN値化処理した際に発生した誤差を4等分し、その誤差の1等分ずつを図示矢印に示すように次の注目画素U2と、その注目画素U2の直下の未処理画素と、注目画素の右下およびその直下の未処理画素とにそれぞれ拡散するようにしている。
そして、このようにして注目画素のN値化および誤差拡散処理が終了したならば、次のステップS218に移行してそのN値化処理したバンディング発生画素の次に(ノズル配列方向前隣りに)未処理画素が存在するか否かを判断し、次の未処理画素が存在しないと判断したとき(No)は、全画素についてN値化が終了したものとみなしてN値化処理を終了することになるが、これとは反対にバンディング発生画素の次に未処理画素が存在すると判断したとき(Yes)は、次のステップS220に移行してそのバンディング発生画素の次の未処理画素に注目画素を移動し、前記ステップS202に処理に戻って、その画像データを構成する全画素についてN値化処理が終了するまで同様の処理を繰り返すことになる。
【0103】
これによって、バンディング発生画素が飛行曲がりを起こしてそのバンディング発生画素に対応するドットの印字位置が注目画素に対して通常の距離よりも離れている場合は、そのドットも大きいものが選択されるようになるためその近傍の白スジが目立ち難くなると共に、そのバンディング発生画素のN値化に際して発生した画素を注目画素に取り込んでその注目画素をN値化し、その注目画素のN値化で発生した誤差をバンディング発生画素を除くその近傍の画素に拡散させるようにしたため、そのバンディング発生画素近傍の画素値が小さくなってそのドットサイズが本来よりも小さくなる方向に働く。この結果、バンディング発生画素近傍の白スジと共にそのバンディング発生画素に発生する濃いスジも同様に目立ち難くすることが可能となる。
【0104】
図14(a)は、大小2種類のドットが格子状に印字されたベタ画像のドットパターンであり、飛行曲がる現象が発生しているバンディング発生画素列の中央部分のドット間に白い縦スジが目立つと同時に、その右側のドット列部分に濃いスジが発生したように見えてしまう。
これに対し、図14(b)は、このように飛行曲がる現象が発生している同じベタ画像に対して本発明を適用したものであり、飛行曲がり現象に関与するドットの一部が大きなドットに変化しているため、ドット間の白い縦スジが目立たなくなっていると共に、そのバンディング発生画素列の右側のドット列の一部のドットの大きさが小さく変化しているため、その部分に発生していた濃いスジも殆ど目立たなくなっている。
【0105】
これによって、飛行曲がり現象によるバンディング現象を抑制できるだけでなく、面積階調の通常の部分と均一にすることが可能となるため、より高品質な印刷物を得ることができる。すなわち、本発明は、飛行曲がり方向がプラス方向の場合(注目画素とバンディング発生画素とのドット間が開いている場合)は、ドットサイズを大きくする処理をし、反対に飛行曲がり方向がマイナス方向の場合(注目画素とバンディング発生画素とのドット間が狭い場合)は、ドットサイズを大きくする処理を行わないが、前述したような本発明特有のN値化処理および誤差拡散処理を用いてドット間が離れている画素のN値化処理を実施する結果、ドットサイズを大きくしたバンディング発生画素に近接しているドットは自動的に小さくなるように処理されることになる。これは、すなわち、ドット間が相対的に離れている部分と、ドット間が相対的に近接している部分は概して隣接して存在するという特性を利用したものである。
【0106】
また、図15は、本発明の他の実施の形態を示したものであり、バンディング発生画素で発生した誤差をその近傍の画素に拡散させないで、その周囲の広い範囲の未処理画素に亘ってその誤差を拡散させるようにしたものである。
すなわち、図示するように本実施の形態は、前記実施の形態のように注目画素をN値化処理するに際してその次の(ノズル配列方向前隣り)未処理画素がバンディング発生画素であるか否かを判断するのではなく、さらにその1つ先、すなわち注目画素の2つ先の未処理画素U1まで着目し、その未処理画素U1がバンディング発生画素である場合、その注目画素をN値化処理するまえに、その未処理画素U1を一律に画素値を加算してN値化処理するのみならずさらにその前後の各未処理画素U2,U3までもまとめてN値化処理し、それらの処理で発生した誤差をまとめて注目画素に吸収してからその注目画素をN値化処理し、その誤差をそれら処理済みの画素を除く他の未処理画素に拡散するようにしたものである。
【0107】
これによって、前記実施の形態と同様に、バンディング発生画素とその近傍の画素値を比較的小さく抑えることができるのでバンディングが目立ち難くなる。
また、前述したような本発明の特徴は、既存の印字ヘッド200および印刷手段20そのものには、殆ど手を加えることなくその印字ヘッド特性に合わせて画像データを印刷用のデータに変換処理するようにしたため、印字ヘッド200や印刷手段20として特に専用のものを用意する必要はなく、従来から既存のインクジェット方式の印字ヘッド200や印刷手段20(プリンタ)をそのまま活用することができる。
【0108】
従って、本発明の印刷装置100から印字ヘッド200と印刷手段22とを分離すれば、その機能はパソコンなどの汎用の情報処理装置(画像処理装置)のみで実現することも可能となる。その際、これら機能は、PCパソコン(PC)などの汎用のコンピュータシステムを用いてソフトウェアによって前記各手段を実現することができる。なお、印字ヘッド、印刷手段、切り出し切り出し部分などは、印刷装置側に配置すれば良い。
【0109】
また、本発明は飛行曲がり現象のみならず、インクの吐出方向は垂直(正常)であるもののノズルの形成位置が正規の位置よりもずれている結果、形成されるドットが飛行曲がり現象と同じ結果となる場合にも全く同様に適用できることは勿論である。さらにインク詰まりなどにより、特定のノズルからインクが吐出しなくなるような不具合に対しても同様に適用可能である。
【0110】
また、本発明の印刷装置100は、ラインヘッド型のインクジェットプリンタのみならず、マルチパス型のインクジェットプリンタにも適用可能であり、ラインヘッド型のインクジェットプリンタであれば、飛行曲がり現象などが発生していても白スジや濃いスジが殆ど目立たない高品質の印刷物を1パスで得ることが可能となり、また、マルチパス型のインクジェットプリンタであれば、往復動作回数を減らすことができるため、従来よりも高速印刷が可能となる。例えば、1印刷で所望の画質が実現できる場合、K回の往復印字で印刷していた場合と比較すると、印刷時間を1/Kに短縮することができる。
【0111】
図16は、ラインヘッド型のインクジェットプリンタとマルチパス型のインクジェットプリンタとによるそれぞれの印刷方式を示したものである。
同図(A)に示すように、矩形状の印刷用紙Pの幅方向を画像データのノズル配列方向、長手方向を画像データのノズル配列に対して垂直方向とした場合、ラインヘッド型のインクジェットプリンタでは、同図(B)に示すように、印字ヘッド200がその印刷用紙Sの紙幅分の長さを有しており、この印字ヘッド200を固定し、この印字ヘッド200に対して前記印刷用紙Sをノズル配列に対して垂直方向に移動させることでいわゆる1パス(動作)で印刷を完了するようにしている。
【0112】
なお、いわゆるフラットベット式のスキャナのように印刷用紙Sを固定し、印字ヘッド200側をそのノズル配列に対して垂直方向に移動させたり、あるいは両方をそれぞれ反対方向に移動させながら印刷を行うことも場合も可能である。
これに対し、マルチパス型のインクジェットプリンタは、同図(C)に示すように、紙幅分の長さに比べてはるかに短い印字ヘッド200をノズル配列方向と直交する方向に位置させ、これをノズル配列方向に何度も往復動させながら印刷用紙Sを所定のピッチずつノズル配列に対して垂直方向に移動させることで印刷を実行するようにしている。
【0113】
従って、後者のマルチパス型のインクジェットプリンタの場合は、前者のラインヘッド型のインクジェットプリンタに比べて印刷時間がかかるといった欠点がある反面、任意の箇所に印刷ヘッド200を繰り返し位置させることができることから前述したようなバンディング現象のうち特に白スジ現象の軽減については、ある程度の対応が可能となっている。
【0114】
図17は、印字方向とノズル配列方向との関係を示す概略図である。(A)は、ノズル配列方向と印字方向とが垂直な場合、(B)はノズル配列方向と印字方向とが斜めになっている場合を示す。
これまでに説明した「ノズル配列方向」および「ノズル配列に対して垂直方向」と、「印字方向」との関係については、同図(A)に示すように、矩形状の印刷用紙Sの長手方向を画像データの「ノズル配列方向」、幅方向を画像データの「ノズル配列に対して垂直方向」とし、「ノズル配列方向」と「印字方向」とがほぼ垂直な場合について説明したが、同図(B)に示すように、「ノズル配列方向」と「印字方向」とが斜めになっている場合も考えられる。すなわち、印字ヘッドが印字方向に対して斜めに配列され、このままの状態で印字方向に移動することになる。この場合、「印字方向」に平行な方向を「各ノズルが連続して印刷する方向」といい、「印字方向に垂直な方向」を「各ノズルが連続して印刷する方向に対して垂直方向」という。このように印字方向に対してノズル配列方向を斜めにすれば、高解像度の画像が得ることができることが分かっている。本実施の形態では、ノズル配列方向と印字方向とが垂直であっても、あるいはノズル配列方向と印字方向とが斜めになっている場合であっても適用可能である。
【0115】
また、本実施の形態ではインクをドット状に吐出して印刷を行うインクジェットプリンタを例に説明したが、本発明は、印字機構がライン状に並んだ形態の印字ヘッドを用いた他の印刷装置、例えば熱転写プリンタまたは感熱式プリンタなどと称されるサーマルヘッドプリンタについても適用可能である。
また、図3では、印字ヘッド200の各色ごとに設けられた各ノズル群50、52,54,56は、その印字ヘッド200の長手方向に直線状にノズルNが連続した形態となっているが、図17に示すように、これら各ノズル群50、52,54,56をそれぞれ複数の短尺のノズルユニット50a、50b、...50nで構成し、これを印字ヘッド200の移動方向の前後に配列するように構成しても良い。特に、このように各ノズル群50、52,54,56ごとに複数の短尺のノズルユニット50a、50b、...50nで構成すれば、長尺のノズルユニットで構成する場合に比べて大幅に歩留まりが向上する。
【0116】
また、前述した本発明の印刷装置100を実現するための、各手段は既存の殆どの印刷装置に組み込まれたコンピュータシステムを用いたソフトウェア上で実現することが可能であり、そのコンピュータプログラムは、予め半導体ROMに記憶させた状態で製品中に
組み込んだり、インターネットなどのネットワークを介して配信する他、図18に示すようにCD−ROMやDVD−ROM、FDなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体Rを介することによって所望するユーザなどに対して容易に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明に係る印刷装置100の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明に係る印刷装置を実現するコンピュータシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る印字ヘッドの構造を示す部分拡大底面図である。
【図4】本発明に係る印字ヘッドの構造を示す部分拡大側面図である。
【図5】飛行曲がり現象が発生しない理想的なドットパターンの一例を示す概念図である。
【図6】1つのノズルの飛行曲がり現象によって形成されるドットパターンの一例を示す概念図である。
【図7】N値化変換およびドットサイズ変換テーブルの一例を示す図である。
【図8】印字ヘッド200を構成する各ノズルN(ノズル番号)ごとの吐出精度を記録した吐出精度記録テーブルの一例を示す図である。
【図9】相対位置ずれ量とN値選択方法の一例を示すN値選択テーブルを示す図である。
【図10】本発明に係る印刷装置100の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図11】N値化処理の流れを詳しく示したフローチャート図である。
【図12】本発明で適用可能な通常の誤差拡散マトリクスを示す図である。
【図13】本発明で適用可能な特殊な誤差拡散マトリクスを示す図である。
【図14】ノズルの吐出精度が正常な場合と飛行曲がりを起こしている場合、および本発明を適用した場合のそれぞれのドットパターンを示す図である。
【図15】本発明で適用可能な特殊な誤差拡散マトリクスを示す図である。
【図16】マルチパス型のインクジェットプリンタとラインヘッド型のインクジェットプリンタとによる印刷方式の違いを示す説明図である。
【図17】印字方向とノズル配列方向との関係を示す概略図である。(A)は、ノズル配列方向と印字方向とが垂直な場合、(B)はノズル配列方向と印字方向とが斜めになっている場合を示す図である。
【図18】印字ヘッドの構造の他の例を示す概念図である。
【図19】本発明に係るプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0118】
100...印刷装置、200...印字ヘッド、10...吐出精度情報取得手段、12...バンディング画素特定手段、14...画像データ取得手段、16...N値化データ生成手段、17...誤差拡散手段、18...印刷データ生成手段、20...印刷手段、22...印字ヘッド特性記憶部、24...印字ヘッド特性検出部、60...CPU、62...RAM、64...ROM、66...インターフェース、70...記憶装置、72...出力装置、74...入力装置、50...ブラックノズル群、52...イエローノズル群、54...マゼンタノズル群、56...シアンノズル群、300A...N値化変換テーブル、300B...吐出精度記録テーブル、300C...N値化選択テーブル、P(U1〜U3)...画素、S...印刷媒体(用紙)、N...ノズル、R...記録媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを備えた印字ヘッドと、
当該印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、
当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、
前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、
前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、
前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、
当該印刷データ生成手段で生成した印刷用データに基づいて印刷を実行する印刷手段と、を備え、
前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の直前に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、
前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除くその近傍の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
ノズルを備えた印字ヘッドと、
当該印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、
当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、
前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、
前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、
前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、
当該印刷データ生成手段で生成した印刷用データに基づいて印刷を実行する印刷手段と、を備え、
前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の近傍に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、
前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除く他の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷装置において、
前記N値化データ生成手段は、前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の印刷装置において、
前記N値化データ生成手段は、前記バンディング発生画素をN値化すると共に、当該バンディング発生画素の近傍の画素も同時にN値化することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の印刷装置において、
前記M値の画像データを取得する画像データ取得手段を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の印刷装置において、
前記M値の画像データを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記印字ヘッドは、前記媒体の幅分の長さを有し、前記媒体の幅方向に移動することなく1走査での印刷を可能とする印字ヘッドであることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記印字ヘッドは、前記媒体の幅よりも短い長さを有し、前記媒体の幅方向に往復動する印字ヘッドであることを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
コンピュータを、
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、
当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、
前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、
前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、
前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、
当該印刷データ生成手段で生成した印刷用データに基づいて印刷を実行する印刷手段と、を備え、
前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の直前に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、
前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除くその近傍の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする印刷プログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、
当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、
前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、
前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、
前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、
当該印刷データ生成手段で生成した印刷用データに基づいて印刷を実行する印刷手段と、を備え、
前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の近傍に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、
前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除く他の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする印刷プログラム。
【請求項11】
請求項9または10に記載の印刷プログラムを記録した、コンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項12】
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得ステップと、
当該吐出精度情報取得ステップで取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定ステップと、
前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成ステップと、
前記N値化データ生成ステップで前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散ステップと、
前記N値化データ生成ステップで生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成ステップと、
当該印刷データ生成ステップで生成した印刷用データに基づいて印刷を実行する印刷ステップと、を含み、
前記N値化データ生成ステップは、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定ステップで特定されたバンディング発生画素の直前に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、
前記誤差拡散ステップは、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除くその近傍の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする印刷方法。
【請求項13】
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得ステップと、
当該吐出精度情報取得ステップで取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定ステップと、
前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成ステップと、
前記N値化データ生成ステップで前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散ステップと、
前記N値化データ生成ステップで生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成ステップと、
当該印刷データ生成ステップで生成した印刷用データに基づいて印刷を実行する印刷ステップと、を含み、
前記N値化データ生成ステップは、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定ステップで特定されたバンディング発生画素の近傍に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、
前記誤差拡散ステップは、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除く他の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする印刷方法。
【請求項14】
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、
当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、
前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、
前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、
前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、
前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の近傍に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、
前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除く他の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項15】
コンピュータを、
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得手段と、
当該吐出精度情報取得手段で取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定手段と、
前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成手段と、
前記N値化データ生成手段で前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散手段と、
前記N値化データ生成手段で生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、
前記N値化データ生成手段は、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定手段で特定されたバンディング発生画素の近傍に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、
前記誤差拡散手段は、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除く他の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載の画像処理プログラムを記録した、コンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項17】
ノズルを備えた印字ヘッドのノズルの吐出精度情報を取得する吐出精度情報取得ステップと、
当該吐出精度情報取得ステップで取得された前記印字ヘッドのノズルの吐出精度情報に基づいてM値(M≧3)の画像データのなかからバンディングを発生する画素を特定するバンディング画素特定ステップと、
前記M値の画像データを構成する画素のうちの注目画素の注目する順序を示す方向に沿って順に特定される注目画素からN値(M>N≧2)の画像データを生成するN値化データ生成ステップと、
前記N値化データ生成ステップで前記注目画素をN値化する際に発生した、注目画素の誤差をN値化前の未処理画素に拡散していく誤差拡散ステップと、
前記N値化データ生成ステップで生成されたN値の画像データに基づいて印刷用データを生成する印刷データ生成ステップと、を含み、
前記N値化データ生成ステップは、前記注目画素が前記注目する順序においてバンディング画素特定ステップで特定されたバンディング発生画素の近傍に移ったときは、当該N値の画像データを生成する前に、前記バンディング発生画素をその相対着弾位置ずれ量に応じてN値化すると共に、当該バンディング発生画素のN値化で発生した誤差を前記注目画素に伝搬してから当該注目画素をN値化処理するようになっており、
前記誤差拡散ステップは、前記注目画素の誤差を拡散するときは、その誤差を前記バンディング発生画素およびN値化済みの画素を除く他の未処理画素に拡散させるようになっていることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−182022(P2006−182022A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345947(P2005−345947)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】