説明

印刷装置、印刷装置の制御方法、及びプログラム

【課題】 ユーザからの指示により、検品装置の検品結果を反映したレコード単位の再印刷処理あるいは継続印刷処理を実行する。
【解決手段】 複数のページから構成される複数のレコードを1つのジョブとして処理する印刷装置において、レコード単位の印刷処理を終了するまでに、検品装置から取得している検品結果にエラー情報が含まれているかどうかを判断する(S20)。そして、エラー情報が含まれているとジョブ制御部が判断した場合、印刷処理が終了したレコードに後続するレコードの印刷処理を停止して、検品結果から生成されるレコード情報を含む印刷指示画面を表示部に表示する(S21)ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検品装置による検品処理を行いながら印刷処理を実行する印刷装置、印刷装置の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷物に対して、その印刷物が正しく印刷されているかを検査する検品装置というものがある。この場合、検品装置が搬送される印刷物をスキャンしその画像から正しく印刷されたかどうかを判断する処理を実行する。その際、印刷結果をまとめて検品する検品システムや、印刷装置と同期してもし印刷物が正しくないと思われる場合には印刷装置が停止するインライン検品印刷システムが知られている。
【0003】
また、VDP(Variable Data Printing/Variable Data Publishing)と呼ばれるものが知られている。これは、例えばダイレクトメールのように、相手先に応じてそれぞれコンテンツが異なるような印刷である。
【0004】
一般にはデータベース上にある宛先などの可変な情報を、事前に用意したレイアウトに当てはめて印刷する。単純に宛先だけが変わるものもあれば、相手の情報に応じてレイアウト上に使用する画像コンテンツや使用する用紙が変わり、それに伴ってページ数が変わるようなものもある。VDP印刷のジョブは、多くのレコードを含んだ大きな一つのジョブであるのが一般的である。
【0005】
また、上記のインライン検品システムでは、印刷ページを走査して複数の電子原稿と照合して重複・抜け・白紙を検知し、エラー時に再印刷を要求するものが知られている(例えば特許文献1)。
【0006】
さらにVDP印刷の場合には、エラーの生じたレコードからなる再印刷用の可変印刷データを自動的に生成するものが知られている(例えば特許文献2)。これを用いればエラーの起きたページを含むレコードのみを再印刷することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−65447号公報
【特許文献2】特開2009―75634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように構成されたインライン検品システムでもオフライン検品システムでも、ジョブ全体を印刷した後に、エラーが見つかったページのみを差し替えるのは、非常に大変な作業である。
例えば特許文献1の方法では、エラー時には再印刷を要求するが、元の印刷はそのまま継続されてしまうので、その中から目的のエラーページを探すのは困難である。
【0009】
また、特許文献2の方法では、エラーの生じたレコードのみを容易に再印刷できるので、レコード単位で差し替えればよいといったメリットがあるが、そのレコードが印刷結果全体のどこにあるかを探す手間はかかるので全体としては効率的でない場合もある。いずれの方法でも、オペレータの基本的な操作ミスによって多くのページやレコードがエラーになってしまった場合であっても、全体を印刷は実行されるので、無駄に用紙やトナーを消費してしまう問題がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、ユーザからの指示により、検品装置の検品結果を反映したレコード単位の再印刷処理あるいは継続印刷処理を実行できる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の印刷装置は以下に示す構成を備える。
複数のページから構成される複数のレコードを1つのジョブとして処理する印刷装置であって、前記印刷装置により印刷された用紙の画像を読取って印刷状態を検品する検品装置から通知される検品結果を取得する取得手段と、前記ジョブから生成される印刷データをレコード単位に印刷する印刷手段と、前記印刷手段がレコード単位の印刷処理を終了するまでに、前記取得手段が前記検品装置から取得している検品結果にエラー情報が含まれているかどうかを判断する判断手段と、前記エラー情報が含まれていると前記判断手段が判断した場合、前記印刷手段により印刷処理が終了したレコードに後続するレコードの印刷処理を停止して、前記検品結果から生成されるレコード情報を含む印刷指示画面を表示部に表示するジョブ制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検品装置の検品結果を反映したレコード単位の再印刷処理あるいは継続印刷処理を実行できる。
また、排紙された印刷物の中から正常に印刷処理されたレコードの印刷物と、検品エラーとなったレコードの印刷物とを特定して、再印刷されるレコードの印刷物と検品エラーとなったレコードの印刷物とを確実に差し替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態を示す印刷システムの一例を示す概略図である。
【図2】印刷装置のコントローラのハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】検品装置内のコントローラのハードウエア構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示したコントローラのソフトウエア構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示した検品装置のコントローラの構成を示す概略図である。
【図6】図3に示した文書管理にあるジョブの内部構成例を示す図である。
【図7】図3に示したUIパネルに表示されるUIを示す図である。
【図8】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図9】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図10】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図11】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図12】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図13】検品装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図14】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図15】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図16】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図17】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。以下、検品装置による検品処理を行いながら印刷処理を実行する印刷装置、印刷装置の制御方法、及びプログラムについて詳述する。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態を示す印刷装置、検品装置を含む印刷システムの一例を示す概略図である。なお、本実施形態においては、複数のページから構成される複数のレコードを1つのジョブとして処理する印刷装置を例とするが、同等の印刷処理機能を備える複合機で構成されていてもよい。
【0014】
図1において、2000はホストコンピュータで、ネットワーク1を介して印刷装置2と通信可能に構成されている。1002は検品装置であり、印刷装置2から排紙された用紙の画像を読み取って印刷結果をチェックする機能処理を実行する。検品装置1002は、ネットワーク1を経由して印刷装置2と情報を相互に送信する。なお、印刷装置2は、ホストコンピュータ2000から受信するジョブから生成される印刷データをレコード単位に印刷する。
なお、ホストコンピュータ2000は、プロドライバ等を含む印刷制御プログラムが生成した上述したVDPを実行するためのジョブを印刷装置2に対して送信する。
図2は、図1に示した印刷装置2内のコントローラのハードウエア構成を示すブロック図である。
【0015】
図2において、100はコントローラで、CPU11、RAM12、プログラムROM13、データROM14等を備える。CPU11は、プログラムROM13に記憶されたプログラムに基づいて動作する。RAM12は、CPU11が動作する際のメインメモリおよび一時的に情報を記憶する領域として使用される。データROM14はプログラムが動作する際に呼び出されるフォントなどの固定情報が記憶される。
【0016】
15は通信インタフェースで、ネットワーク1と接続しホストコンピュータ2000からのジョブを受け取り、検品装置1002と検品情報を相互送信する。16は操作部インタフェースで、UIパネルとコントローラ100とを接続する。
【0017】
17はプリンタインタフェースで、プリンタタエンジン160とコントローラ100を接続する。18は外部メモリインタフェースで、ハードディスクやフラッシュメモリとコントローラ100を接続する。なお、上記11〜18はシステムバス20で接続されている。
図3は、図1に示した検品装置1002内のコントローラのハードウエア構成を示すブロック図である。
【0018】
図3において、1100はコントローラで、CPU1011、RAM1012、プログラムROM1013、データROM1014等を備える。CPU1011は、プログラムROM1013に記憶されたプログラムに基づいて動作する。RAM1012は、CPU1011が動作する際のメインメモリおよび一時的に情報を記憶する領域として使用される。データROM1014は、プログラムが動作する際に呼び出される文字フォント照合用データやバーコード情報などの固定情報が記憶される。
1015は通信インタフェースで、ネットワーク1と接続し、印刷装置2と検品情報を相互送信する。1016は操作部インタフェースで、UIパネルとコントローラ1100を接続する。
【0019】
1017はスキャナインタフェースで、スキャナエンジン1160とコントローラ1100を接続する。1018は外部メモリインタフェースで、ハードディスクやフラッシュメモリとコントローラ1100を接続する。上記1011〜1018は、システムバス20で接続されている。
【0020】
図4は、図1に示した印刷装置2に内蔵されるコントローラ100のソフトウエア構成及びその周辺デバイスとの対応を示すブロック図である。
図4において、110はジョブ制御部である。120はUI制御部で、操作部インタフェース16を制御しUIパネル200と通信する。130は通信処理部で、通信インタフェース15を制御する。なお、ジョブ制御部110は、後述するように印刷装置2により印刷された用紙の画像を読取って印刷状態を検品する検品装置1002から通知される検品結果を取得することが可能に構成されている。
【0021】
135はイベント処理部であり、通信処理部130から受け取る検品結果イベントおよびジョブ制御部から受け取るページ補正イベントを処理する。140は画像処理部で、ジョブのページのイメージを作成する。150はプリンタ制御部で、プリンタインタフェース17を制御する。160はプリンタエンジンで、プリンタインタフェース17経由でプリンタ制御部150から制御される。
170は文書管理部で、ホストコンピュータ2000から受信したジョブの情報を保存している。300は保存されているジョブで、複数のレコード310とページ320とから構成される。
【0022】
なお、上記ジョブ300、レコード310、ページ320は、図2に示した外部メモリ30上に保存されていて、文書管理部170により管理されている。また、ジョブ制御部110、UI制御部120、通信処理部130、イベント処理部135、画像処理部140、プリンタ制御部150制御および文書管理部170の管理処理は、プログラムROM13内の各プログラムに従ってCPU11により実行される。
図5は、図1に示した検品装置1002のコントローラのソフトウェアブロックおよびその周辺構成を示す概略図である。
【0023】
図5において、1110はジョブ制御部で、UI制御部1120、ログ制御部1170、スキャナ制御部1150、画像処理部1140、通信処理部1130を制御する。なお、UI制御部1120は、操作部インタフェース1016を制御し、UIパネル1200と通信する。1130は通信処理部で、通信インタフェース1015を制御する。
【0024】
1140は画像処理部で、読み取った画像から検品判定を行なう。1150はスキャナ制御部で、スキャナインタフェース1017を制御する。1160はスキャナエンジンで、スキャナインタフェース1017経由でスキャナ制御部1150から制御される。
1170はログ制御部で、検品結果のログ情報を保存している。
【0025】
なお、1110、1120、1130、1140、1150の制御およびログ制御部1170の処理は、それぞれプログラムROM1013内のプログラムに従ってCPU1011により実行される。
図6は、図3に示した文書管理部170にあるジョブ300の内部構成例を示す図である。
図6において、ジョブ300には一つもしくは複数のレコードの情報を持ち、各レコードは一つもしくは複数のページの情報を持つ。
図7は、図2に示したUIパネル200に表示されるユーザインタフェース(UI)の一例を示す図である。本例は、UIパネル200に表示されるリカバリ印刷操作画面の一例を示す。なお、Webアプリケーションを実行するホストコンピュータ2000上の印刷装置管理画面上に表示する構成とし、後述するような印刷指示をホストコンピュータ2000から受付可能に構成してもよい。
図7において、210はUIパネル200に表示されたリカバリ印刷画面である。211はジョブに含まれるレコードのリストである。本例では、停止したレコードから何レコード手前でエラーページ出力があったことを表示し、その後何レコードについては、正常ページ出力があった状態、あるいはエラーページ出力があった状態を表示することが可能に構成されている。
【0026】
212はリカバリ対象となるレコードを設定するチェックボックスである。213はリカバリ印刷画面210で設定されたレコードの印刷を指示するための指定レコード印刷ボタンである。ここで、指定レコード印刷ボタン213は、ユーザからチェックボックス212で選択されたレコードのための再印刷要求を受け付けるためのボタンとして機能する。
214はリカバリ印刷後に継続印刷を指示するための継続印刷ボタンである。ここで、ジョブ制御部110は、継続印刷ボタン214の押下指示を、表示部に表示された印刷指示画面を介して受付ける。ユーザが本画面上で継続印刷ボタン214を押下すると、ジョブ制御部110は、印刷を停止したレコード以降のレコードに対する継続印刷要求を受け付ける。具体的には、ユーザが図7に示す画面表示状態で、継続印刷ボタン214を押下すると、ジョブ制御部110は、レコード8以降のレコードに対する継続印刷要求を受け付ける。
本実施形態によれば、各レコードの枚数がばらばらの場合や、印刷パフォーマンスを低下させたくない場合に柔軟に対応して、ユーザビリティーを向上できる。
【0027】
図8は、本実施形態を示す印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、図1に示した印刷装置2のコントローラ100のジョブ制御部110のジョブ印刷処理例である。なお、ジョブ制御部110はCPU11、RAM12、プログラムROM13、データROM14等からなる。また、各ステップの手順はジョブ制御部110のプログラムROM13に記憶され、CPU11により実行される。以下、図1、図2、図4、図6を参考に、図8のフローチャートに従って、通常の印刷処理を説明する。
〔通常の印刷処理〕
【0028】
ホストコンピュータ2000からジョブは送信され、ジョブ制御部110は、ネットワーク1、通信処理部130経由で、そのジョブを受け取る。ジョブ制御部110は、ジョブを受け取ったことを認識すると、まず、イベント処理部135にジョブを開始したことを通知する(S11)。さらに、ジョブ制御部110は、ジョブの情報を読み取り文書管理部170に保存する(S12)。そして、ジョブ制御部110は、ジョブの情報からレコードの情報を読み出し(S13)レコードの処理に入る。
【0029】
ここで、ジョブ制御部110は、全レコードの処理を終了しているかどうかを判断し、レコードがあると判断した場合(S14)、さらに、ジョブ制御部110は、レコード内の全てのページの処理を終了しているかどうかを判断する。ここで、全てのページの処理を終了していないとジョブ制御部110が判断した場合、S16へ進む。
そして、S16で、ジョブ制御部110は、ページの処理を実行して、画像処理部140で画像処理を行ない、プリンタ制御部150へページの印刷を依頼する。
【0030】
次に、ジョブ制御部110は、ページの印刷が開始されたら、その時の時刻を元にそのページを持つ紙が排紙される時刻を予測し、文書管理部170上のページ320に予測時刻を保存する(S17)。そして、ジョブ制御部110は、印刷開始後に、各種のセンサの情報からジャム等でジョブに印刷エラーが発生しているかどうかを判断する。ここで、印刷エラーが発生していないと判断した場合、例えばエラーがなく本来のページが排出された場合には、何も処理を実行せずに、S15へ戻る。
一方、S18で、印刷時エラーが発生しているとジョブ制御部110が判断した場合、本来出すべきより多くのページを排紙してしまう場合がある。
このような印刷時エラーが発生したと判断した場合、ジョブ制御部110は、重複したページ数をページ補正通知イベントとして、イベント処理部135へ通知して(S19)、S15へ戻る。
そして、ジョブ制御部110は、S15に戻りレコード内の全ページの処理が終わるまでS16からS19の処理を繰り返す。
このようにして、S15において、レコードの処理が終了したとジョブ制御部110が判断した場合に、S20へ進む。
【0031】
そして、S20で、ジョブ制御部110は、文書管理部170上のページ情報に検品エラーを検出しているかどうかを判断する。ここで、文書管理部170上のページ情報に検品エラーを検出しているとジョブ制御部110が判断した場合、レコード単位での検品エラー時のリカバリ処理を行なう(S21)。
【0032】
一方、S20で、検品エラーを検出していないとジョブ制御部110が判断した場合は、S22へ進み、ジョブ制御部110は次のレコードの情報を取得し(S22)、S14へ戻り処理を繰り返す。そして、S14で、ジョブ制御部110が全レコードの処理が終了していると判断した場合は、ジョブ印刷処理を終了する。
なお、図8に示すS20の検品エラーを確認するタイミングにおいては、S15でYESと判断されたレコードそのものではなく、当該S15でYESとすでに判断されて検品装置1002に搬送されたレコードに対する検品エラーである。つまり、すでに印刷されたレコードに対する検品エラー処理と、次のレコードの印刷処理とは並行処理されており、当該検品エラーによって、停止されるレコードとは、S15でYESと判断された、次のレコードである。
また、S20は、レコード単位の印刷処理が終了するまでに、検品装置1002からの検品結果を判断する場合について説明したが、ジョブ制御部110が、レコード単位の印刷処理を複数レコード分終了するまでに、検品装置1002からの検品結果を判断する構成としてもよい。ここで、複数レコード(Nレコード)のNは、固定値としてもよいし、ユーザの印刷処理環境に応じて、可変設定可能な値としてもよい。
具体的には、ジョブ制御部110が複数のレコードの印刷処理を終了するまでに、検品装置1002から取得する検品結果にエラー情報が含まれているかどうかを判断し、その判断結果に従い再印刷処理、継続印刷処理を制御する。
さらに、印刷装置2による印刷処理が高速に処理されるエンジンを備える場合には、上記処理では、印刷パフォーマンスが低下してしまう場合がある。
そこで、ジョブ制御部110が検品装置1002から取得する検品結果にエラー情報が含まれていると判断した後、印刷装置2が印刷処理中のレコードから停止可能な最短のレコード区切り位置を検出する工程を加える。そして、ジョブ制御部110は、当該工程で検出したレコード区切り位置のレコードに対する継続印刷要求を受け付ける。
また、その際、ジョブ制御部110は、以下の停止条件を加えて総合的に判断してもよい。
(1)レコードの先頭ページの印刷開始時点で検品装置1002がエラーを検出している場合には、印刷処理を停止する。
(2)複数のレコードでエラーを検知している場合は、印刷装置2がいずれかのレコードのいずれかのページの印刷処理中であっても、途中のページで印刷処理を停止して、他のページを破棄する。
(3)同一レコード内でエラーを複数検出した場合において、一定のページ数出力した場合に停止して、残ページの印刷処理を停止する。
〔リカバリ印刷処理〕
【0033】
図9は、本実施形態を示す印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、図1に示した印刷装置2のコントローラ100のジョブ制御部110によるS21に対応するレコード単位での検品エラーリカバリ印刷処理の詳細手順例である。以下、図1、図2、図4、図6、図7を参考に、図9のフローチャートに従って、検品エラーが発生した場合のリカバリ印刷処理の一例を説明する。なお、各ステップの手順はジョブ制御部110のプログラムROM13に記憶され、CPU11により実行される。以下、ジョブ制御部110が検品結果にエラー情報が含まれていると判断した場合、印刷装置2により印刷処理が終了したレコードに後続するレコードの印刷処理を停止する制御について説明する。なお、その際、ジョブ制御部110は、検品装置1002から取得する検品結果から生成されるレコード情報を含む印刷指示画面を表示部に表示する制御を後述するように実行する。
【0034】
図8に示したS21において、検品エラーが発生しているとジョブ制御部110が判断した場合、まず、S31において、ジョブ制御部110は、文書管理部170のジョブ、レコード、ページ情報を読み出す(S31)。
【0035】
そして、ジョブ制御部110は、UI制御部120経由でUIパネル200上にレコード単位での検品結果の情報を、エラーレコード/正常レコードを出力順に表示する。その表示例を、図7の211に示す。
【0036】
次に、ジョブ制御部110は、UIパネル200上に表示されたUIに対するユーザからの指示を待つ(S33)。ここで、ユーザはUI200の表示から、現在レコード7まで出力が完了して、レコード8以降は停止中(ジョブ処理待ち)の状態で、レコード4の中のいずれかのページでエラーを検知した状態であることを確認する。
【0037】
そして、ユーザがUI210上のチェックボックス212のレコード4を選択して、指定レコード印刷ボタン213を押下する。この際、ジョブ制御部110は、UI制御部120経由でリカバリ印刷の指示を受け取っているかどうかを判断する(S34)。ここで、UI制御部120経由でリカバリ印刷の指示を受け取っているとジョブ制御部110が判断した場合、S35へ進む。
【0038】
そして、S35で、ジョブ制御部110は、最初のレコードの情報を取得し、全指定レコードの印刷を終了しているかどうかを判断する(S36)。ここで、全指定レコードの印刷を終了しているとジョブ制御部110が判断した場合、S32へ戻る。一方、S36で、全指定レコードの印刷を終了していないとジョブ制御部110が判断した場合、S37へ進み、ジョブ制御部110は、再印刷すべきレコードのリカバリ印刷を開始するため、リカバリ印刷処理の開始をイベント処理部135に通知する(S37)。
【0039】
そして、S38で、ジョブ制御部110は、レコード内の全てのページの処理を終了しているかどうかを判断する。ここで、全てのページの処理を終了していないとジョブ制御部110が判断した場合、S39へ進み、ジョブ制御部110は、画像処理部140と、プリンタ制御部150を制御して、ページの印刷処理を行なう。そして、ジョブ制御部110は、ページの印刷が開始されたら、その時の時刻を元にそのページを持つ紙が排紙される時刻を予測し、文書管理部170上のページ320に予測時刻を保存する(S40)。そして、ジョブ制御部110は、印刷開始後に、各種のセンサの情報からジャム等でジョブに印刷エラーが発生しているかどうかを判断する(41)。ここで、印刷エラーが発生していないと判断した場合、例えばエラーがなく本来のページが排出された場合には、何も処理を実行せずに、S38へ戻る。
【0040】
一方、S41で、印刷時エラーが発生したとジョブ制御部110が判断した場合、ジョブ制御部110は、重複したページ数をページ補正通知イベントとして、イベント処理部135へ通知して(S42)、S38へ戻る。
【0041】
そして、S38で、ジョブ制御部110がレコード内の全ページの印刷が終了していると判断した場合は、S43へ進む。そして、S43において、ジョブ制御部110は、次のレコードの情報を文書管理部170から取得し、S36へ戻り、同様の処理を繰り返す。
【0042】
なお、S36において、指定されたレコードのリカバリ印刷処理が全て終了したら、S32へ戻り、ジョブ制御部110は、UI制御部120経由で現在のジョブの情報からレコードの状態をUIパネル200上に再度表示する。
【0043】
ここで、ユーザが再度エラーを確認した場合、繰り返しリカバリ印刷処理を指示することができる。このようにして、エラーが無くなればユーザはリカバリ印刷されたレコードの出力結果を、エラーのあった出力と容易に差し替えることができる。
【0044】
その後、ユーザが、図7に示したUI画面上の継続印刷ボタン214を押下したことをジョブ制御部110が検出した場合、処理は、S34からS44へ進む。そして、ジョブ制御部110は、リカバリ印刷処理を終了したことをイベント処理部135に通知して、リカバリ印刷処理を終了する。
〔出力時刻予測処理〕
【0045】
図10は、本実施形態を示す印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、図1に示した印刷装置2のコントローラ100のジョブ制御部110によるS40に対応する出力時刻予測処理の詳細手順例である。以下、図1、図2、図4、図6、図7を参考に、図10のフローチャートに従って、出力時刻予測処理の一例を説明する。なお、各ステップの手順はジョブ制御部110のプログラムROM13に記憶され、CPU11により実行される。
【0046】
まず、ジョブ制御部110は、OS等から現在の時刻を取得し(S51)、現在のエンジンの紙搬送速度を取得する(S52)。そして、ジョブ制御部110は、印刷すべきページが両面印刷であるかどうかを判断する(S53)。ここで、印刷すべきページが両面印刷すべきページであるとジョブ制御部110が判断した場合は、S58へ進む。
【0047】
一方、ここで、印刷すべきページが両面印刷すべきページでないとジョブ制御部110が判断した場合は、ジョブ制御部110は、搬送距離を片面印刷のパスの経路である、マーカーから排紙先までの距離とする(S54)。そして、ジョブ制御部110は、S54で求めた距離をS52で求めた搬送速度で割って搬送時間を求める(S55)。
【0048】
さらに、ジョブ制御部110は、S51で求めた現在の時刻に搬送時間を加えて出力予測時刻とし(S56)、文書管理部170の該当するレコードの該当するページに情報として書き込んで(S57)、本処理を終了する。
【0049】
一方、S53で、印刷すべきページが両面印刷であるとジョブ制御部110が判断した場合は、ジョブ制御部110は、印刷すべき当該ページが先に印刷されるページか後に印刷されるページかを判断する(S58)。ここで、印刷すべき当該ページが後に印刷するページであるとジョブ制御部110が判断した場合は、片面印刷のページと同様にS54へ行き以降の処理を継続する。
一方、S58で、印刷すべき当該ページが、両面のうち先に印刷されるページあるとジョブ制御部110が判断した場合、S59へ進む。
【0050】
そして、ジョブ制御部110は、搬送距離を、両面印刷のパスの経路である、マーカーから両面反転ユニット、反転給紙パス、再度マーカー、排紙先までの距離とする(S59)。次に、ジョブ制御部110は、この距離をS52で求めた搬送速度で割って搬送時間を求める(S60)。さらに、ジョブ制御部110は、S51で求めた現在の時刻に搬送時間を加えて出力予測時刻とし、文書管理部170の該当するレコードの該当するページに情報として書き込んで(S57)、本処理を終了する。
〔イベント処理〕
【0051】
図11は、本実施形態を示す印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、図1に示した印刷装置2のコントローラ100のイベント処理部135のジョブ単位のイベント処理手順例である。以下、図1、図2、図4、図8、図9を参考に、図11のフローチャートに従って、出力時刻予測処理の一例を説明する。なお、各ステップの手順はイベント処理部135のプログラムROM13に記憶され、CPU11により実行される。
図8のS11で印刷ジョブが開始されたら、イベント処理部135もジョブ単位でのイベント処理を開始する。
【0052】
イベント処理部135は、文書管理部170が管理しているジョブの全ページを終了しているかどうかを判断する(S71)。ここで、イベント処理部135は、ジョブがある間はイベントを受け取るのを待つ(S72)。そして、受け取ったイベントが検品装置1002からの検品通知であるかどうかを判断する(S73)。ここで、イベント処理部135がイベントを受け取ったと判断した場合、S74へ進む。
【0053】
そして、イベント処理部135は、そのイベントを受け取った時刻から、ジョブのどのページに対するイベントかを計算する(S74)。なお、各ページには排紙予測時刻が書かれているので、それと比較することによりどのページに対するものかを推測する。
【0054】
なお、検品装置1002からのイベントには検品装置1002が起動した時点からのページ番号が含まれているが、印刷装置2で印刷した順序とは全く同じではないので、印刷装置2内に保存されているどのページを指すイベントかを補正する必要がある。そこで、S74でページカウンタを補正した場合には、イベント処理部135はこれを排紙される順序を示すページカウンタに記憶させる。
【0055】
次に、イベント処理部135は、イベントの通知内容が検品で正常であるかどうかを判断する(S75)。ここで、通知内容が検品で正常であるとイベント処理部135が判断した場合には、イベント処理部135は該当するページカウンタが示すページに正常終了だったことを書き込み(S76)、S71へ戻る。
一方、S75で、検品エラーであるとイベント処理部135が判断した場合は、検品エラーであることを書き込んで(S77)、S71へ戻り、さらに、次のイベントを待つ。
【0056】
一方、S73で、イベントが検品通知でないとイベント処理部135が判断した場合は、通知されたイベントがジョブ制御部110からのページ補正通知であるかどうかを判断する(S78)。ここで、通知されたイベントがページ補正通知であるとイベント処理部135が判断した場合は、イベント処理部135はページカウンタを補正数分戻して(S79)、S71へ戻る。
【0057】
一方、S78で、イベントの通知がページ補正通知でないとイベント処理部135が判断した場合は、通知されたイベントがリカバリ印刷の開始の通知であるのか、リカバリ印刷の終了の通知であるのかを判断する(S80)。ここで、通知されたイベントの属性がリカバリ印刷を開始したものであるとイベント処理部135が判断した場合は、イベント処理部135はページカウンタをリカバリ印刷のレコードの先頭を指すよう補正して(S81)、S71へ戻る。
【0058】
一方、通知されたイベントの属性がリカバリ印刷を終了したイベントであるとイベント処理部135が判断した場合は、イベント処理部135は、ページカウンタを最後の出力の次のページへ補正して(S82)、S71へ進む。
一方、S71で、ジョブの印刷処理が終了しているとイベント処理部135が判断した場合は、イベント処理を終了する。
〔検品処理〕
【0059】
図12は、本実施形態を示す検品装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、図3に示した検品装置1002のコントローラ1100のジョブ制御部1110の検品処理例である。ジョブ制御部1110はCPU1011、RAM1012、プログラムROM1013、データROM1014等からなり、各ステップの手順はジョブ制御部1110のプログラムROM1013に記憶され、CPU1011により実行される。以下、図1、図3、図5を参考に、図12のフローチャートに従って検品処理を説明する。
なお、検品処理は、出力結果単独での検品と、印刷装置2側からの正解データを照合して行なう検品があるが、説明を簡単にするために後者の図示は行なわない。
【0060】
検品装置1002が起動すると、ジョブ制御部1110は、RAM1012上にある検品装置1002で処理したページ数を示すページカウンタを初期化する(S91)。印刷装置2から印刷結果が排紙されると、ジョブ制御部1110はスキャナ制御部1150経由でスキャナエンジン1160を動作させてページ単位で印刷結果を検品するためのスキャンを開始する(S92)。
【0061】
ジョブ制御部1110は、ページカウンタをインクリメントし(S93)、排紙されたページの画像を読み取る(S94)。そして、ジョブ制御部1110は、その画像を画像処理部1140でチェックしエラーかどうか判断する(S95)。なお、チェックは当該ページの描画情報との比較によるものとする。
【0062】
ここで、ジョブ制御部1110がチェックした結果が正常であると判断した場合(S96)、ジョブ制御部1110はページカウンタの値および正常であることを通信処理部1130経由で印刷装置2に通知して(S97)、S93へ戻る。
【0063】
一方、S96で、チェックした結果がエラーであるとジョブ制御部1110が判断した場合、ジョブ制御部1110は、ページカウンタの値およびエラーであることを通信処理部1130経由で印刷装置2に通知して(S98)、S93へ戻る。ジョブ制御部110は、検品装置1002が動作している限りこの処理を繰り返す。
【0064】
これにより、ジョブ制御部1110は、検品装置1002が通知する検品エラー情報を取得したタイミングで、検品エラーとなったレコードを文書管理部170で管理するジョブ情報から特定できる。そして、ジョブ制御部1110は、当該検品エラー情報を取得時に、すでに印刷処理が開始されている後続のレコードはそのまま印刷処理を続行させ、その次のレコードについては、印刷処理が開始されないように制御できる。
【0065】
したがって、複数のレコードが連なるような1つのジョブの処理中に、検品エラーとなった時点で処理されているレコードはそのまま印刷し、その次のレコードについては印刷されずに済む。その際、ユーザは、リカバリ印刷と、リカバリ印刷に代えて、後続のレコードの印刷処理を開始させることも可能となる。例えば検品エラーとなったレコードの印刷結果と、検品エラーが通知された時点で処理中のレコードまでの排紙結果を排紙先から取り除いた状態で、残る全レコードの印刷処理を終了させることも可能となる。
【0066】
本実施形態によれば、印刷装置2で複数のレコードを持つジョブの印刷を行なっている間に、検品装置1002でエラーページを検出すると、その後のレコードを印刷開始する前に印刷処理を停止させることが可能となる。
【0067】
そして、UI上には何レコード前にエラーのページがあるか、その後に何レコードの正常出力があるかが表示されていて一目で確認できる。ユーザは、表示されたUI画面に表示されたボタンを指示することで、エラーページを含むレコードのみをリカバリ印刷指示する。そして、印刷が終了するとリカバリ印刷した結果の出力に対する正常もしくはエラーの検品結果がUI画面上に再度表示される。
【0068】
このリカバリ印刷結果表示により、リカバリ印刷が正常であれば、ユーザは容易にそれまでに出力された結果の最後から数レコード戻ったところにあるエラーの出力結果を抜き取り、リカバリ印刷した結果と差し替えることができる。また、リカバリ印刷が再度エラーになるようであれば、原因を取り除けるまで何度でもそのレコードだけを印刷することも可能となる。
さらに、検品装置1002により印刷エラーが発生してからは、無駄なページを印刷することがあっても、次のレコードに対する印刷処理は開始されないように制御されているため、用紙やトナーの無駄を抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、1つのレコードのページ数が異なる場合、例えばVDPデータを例とするが、1つのレコードのページ数が同じ場合であっても、本発明を適用可能である。
本実施形態によれば、排紙された印刷物の中から正常に印刷処理されたレコードの印刷物と、検品エラーとなったレコードの印刷物とを特定して、再印刷されるレコードの印刷物と検品エラーとなったレコードの印刷物とを確実に差し替えることができる。
【0069】
〔第2実施形態〕
上記実施形態では、数ページからなるレコードを想定しているので、エラーを検知してすぐ次のレコードの印刷を停止すればよかった。
しかし、レコード内のページ数が、例えば500ページを越えるような非常にページ数が多い場合には、やはり無駄に用紙やトナーを消費してしまう場合がある。
【0070】
そこで、以下の実施形態では、非常にページ数が多いジョブで検品エラーが発生した場合の処理を詳述する。なお、ハードウエアやソフトウエアの構成等に対応する図1〜図7、図9〜図12は第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0071】
図13は、本実施形態を示す印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、図1に示した印刷装置2のコントローラ100のジョブ制御部110のジョブ印刷処理手順例である。以下、図1、図2、図4、図6を参考に、図13のフローチャートに従って、出力時刻予測処理の一例を説明する。なお、各ステップの手順はイベント処理部135のプログラムROM13に記憶され、CPU11により実行される。
なお、S111〜S119は第1実施形態における図8のフローチャートのS11〜S19同じなので説明を省略する。
【0072】
各ページの印刷ごとに、ジョブ制御部110は、そのレコード内で停止する条件に該当するかどうかをチェックする(S120)。ここで、停止する条件に該当するとジョブ制御部110が判断した場合、1レコード内での検品エラー時のリカバリ印刷処理を行なう(S121)。
【0073】
次に、ジョブ制御部110は、1レコード内での検品エラー時のリカバリ印刷処理中で、キャンセルの指示があるかどうかを判断する(S122)。ここで、キャンセルの指示があるとジョブ制御部110が判断した場合、本処理を終了する。
【0074】
一方、S120で、ジョブ制御部110が継続条件に該当すると判断した場合、もしくはS122で、ジョブ制御部110がキャンセルの指示がないと判断した場合、S115へ戻り、処理を継続する。
なお、S123〜S125は図8のフローチャートのS20〜S22と同じなので説明を省略する。
【0075】
図14は、本実施形態を示す印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、図1に示した印刷装置2のコントローラ100のジョブ制御部110の印刷処理のうちの、レコード内停止条件を判断する処理手順例である。以下、図1、図2、図4、図6を参考に、図14のフローチャートに従って、レコード内停止条件を判断する処理の一例を説明する。なお、各ステップの手順はイベント処理部135のプログラムROM13に記憶され、CPU11により実行される。
【0076】
まず、ジョブ制御部110は、1ページの印刷処理を行なう毎に、現在印刷中のページを含んでいるレコード内のページを最初からチェックして、検品エラーがあるかどうかを判断する(S131)。ここで、検品エラーページがあるとジョブ制御部110が判断した場合、さらに、ジョブ制御部110は、そのページから現在の出力ページ数までがある一定の値L(しきい値L)より大きいかどうか判断する(S132)。
【0077】
ここで、そのページから現在の出力ページ数までがある一定の値L(しきい値L)より大きいとジョブ制御部110が判断した場合、すなわち、レコードが大きくなかなか次のレコードが開始しないと判断した場合、印刷処理を停止すると決定する。
【0078】
一方、S131で検品エラーがない、もしくはS132でエラーページから現在の出力ページまでがL未満であるとジョブ制御部110が判断した場合、ジョブ印刷処理を継続すると決定する。つまり、ジョブ制御部110は、もうすぐレコード単位での処理が終了するかもしれないと判断した場合、ジョブ印刷処理を継続すると決定する。なお、本処理におけるLの数値は、印刷装置2に固定で持つかユーザが設定あるいは印刷すべきジョブの最大ページ数等を考慮して可変に設定できるものとする。
【0079】
図15は、本実施形態を示す印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、図1に示した印刷装置2のコントローラ100のジョブ制御部110による、図13に示したS121における1レコード内での検品エラー時の検品エラーリカバリ印刷処理の詳細手順例である。以下、図1、図2、図4、図6、図7を参考に、図15のフローチャートに従って、検品エラーが発生した場合のリカバリ印刷処理の一例を説明する。なお、各ステップの手順はジョブ制御部110のプログラムROM13に記憶され、CPU11により実行される。以下、図1、図2、図4、図6を参考に、図15のフローチャートに従って、1レコード内での検品エラー時のリカバリ処理を説明する。
【0080】
検品装置1002が実行する印刷装置2から排紙搬送される画像の検品処理において、検品エラーが発生し1レコード内での検品エラーリカバリ処理に入ったら、ジョブ制御部110は、文書管理部170の現在処理中のレコードを参照する(S151)。さらにジョブ制御部110は、UI制御部120経由でUIパネル200上にエラーのあるレコードの関わる情報を表示し(S152)、UIパネル200からユーザによる指示入力を待つ(S153)。
【0081】
ここで、ジョブ制御部110は、ユーザからの指示入力がキャンセル指示であるかどうかを判断する(S154)。ここで、ユーザからの指示入力がキャンセル指示であるとジョブ制御部110が判断した場合は、ジョブ制御部110は本処理を終了する。
【0082】
一方、S154で、ユーザからの指示入力がキャンセル指示でないと判断した場合、ジョブ制御部110は、ユーザからの指示入力がレコードのリカバリ印刷の指示であるかどうかを判断する(S155)。ここで、ユーザからの指示入力がレコードのリカバリ印刷の指示でないとジョブ制御部110が判断した場合は、例えば印刷継続指示であるとジョブ制御部110が判断した場合は、本処理を終了する。
【0083】
一方、S155でリカバリ印刷指示であるとジョブ制御部110が判断した場合は、レコードの先頭からリカバリ印刷を行うため、S156へ進む。そして、S156で、ジョブ制御部110は、レコード内の停止前のページまでリカバリ印刷処理を完了しているかどうかを判断する。ここで、レコード内の停止前のページまでリカバリ印刷処理を完了していると判断した場合は、本処理を終了する。
一方、S156で、レコード内の停止前のページまでリカバリ印刷処理を完了していないとジョブ制御部110が判断した場合は、S157へ進む。
【0084】
そして、通常の印刷処理と同様にジョブ制御部110は、ジョブの1ページを印刷するページ印刷処理を実行する(S157)。次に、ジョブ制御部110は、そのページ印刷処理時の時刻から出力予測時刻をページに保存する(S158)。
【0085】
次に、ジョブ制御部110は、リカバリ印刷時にエラーがあるかどうかを判断する(S159)。ここで、リカバリ印刷時にエラーがあるとジョブ制御部110が判断した場合は、ジョブ制御部110は、イベント処理部135へページ補正通知イベントを送信して(S160)、S156へ戻る。
一方、S159で、リカバリ印刷時にエラーが無いとジョブ制御部110が判断した場合は、何もせず、次のページを処理する。
このようにして、ジョブ制御部110がレコード内で停止しているページの前のページの処理まで終了したら(S156)、ジョブ制御部110は、本処理を終了する。
【0086】
本実施形態によれば、レコードに含まれるページが多く、エラーを検出したレコードをまだ印刷している場合でも印刷を停止させることが可能となる。また、その際、ユーザはリカバリ印刷処理を実行させることにより、検品エラーが発生したレコードの先頭ページから停止しているページまでを再度印刷して検品することができる。
【0087】
そして、再印刷による検品でエラーが発生していない場合、出力結果の中から、途中まで印刷した現在のレコードを取り除き、残りの印刷を継続できる。一方、検品で再度エラーになるようであれば、ユーザはジョブをキャンセルすることも可能となる。また、本実施形態は、リカバリ処理を変更する必要がないため、つまり、第1実施形態と処理と矛盾しないため、一つのシステム内で本処理を共存させることも可能となる。
【0088】
〔第3実施形態〕
第1、第2実施形態では、リカバリ印刷処理を実行することで、検品エラーとなったジョブを再度印刷すれば正しく出力できる場合について説明した。
しかしながら、処理されたジョブの元のデータが間違っている場合、もしくは印刷装置2のエンジンの不調によりエラーページが多発するような場合に、リカバリ印刷処理を即座に停止したい場合に柔軟に対応できない場合がある。
そこで、上記の要因等に対して柔軟に印刷処理を行う実施形態について詳述する。
なお、なお、ハードウエアやソフトウエアの構成等に対応する図1〜図7、図9〜図13、図15は第2実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0089】
図16は、本実施形態を示す印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、図1に示した印刷装置2のコントローラ100のジョブ制御部110の印刷処理のうちの、図13に示すS120に対応するレコード内停止条件を判断する処理手順例である。以下、図1、図2、図4、図6を参考に、図16のフローチャートに従って、レコード内停止条件を判断する処理の一例を説明する。なお、各ステップの手順はイベント処理部135のプログラムROM13に記憶され、CPU11により実行される。
【0090】
ジョブ制御部110は、1ページの印刷処理を行なう毎に、現在印刷中のページを含んでいるレコード内のページを最初からチェックして、検品エラーがあるかどうかを判断する(S133)。ここで、検品エラーページがあるとジョブ制御部110が判断した場合、同じレコード内にいくつエラーページがあるかどうかを判断する。具体的には、ジョブ制御部110は、同じレコード内にエラーページ数がある一定の値Mより大きいかどうかを判断する(S134)。
【0091】
ここで、同じレコード内にエラーページ数がある一定の値Mより大きいとジョブ制御部110が判断した場合、元のデータが間違っているか、印刷装置2のエンジンが不調と判断して、次のレコードまで待たずにジョブ制御部110は印刷処理を停止する。
【0092】
一方、S133で検品エラーがない、もしくはS134でエラーページ数がM未満であるとジョブ制御部110が判断した場合、レコード単位でのリカバリ印刷が最適であると判断し、ジョブ印刷処理を継続する。なお、この一定の値の数値は、印刷装置2に固定で持つか、ユーザが設定あるいは可変設定(他の停止条件との関係で可変設定する)できるように構成してもよい。
【0093】
本実施形態によれば、レコード内に複数のエラーページがあると判断した場合には、まだそのレコードを印刷していても印刷を即座に停止できるように制御することが可能となる。これにより、リカバリ印刷開始直後に、ユーザがリカバリ印刷を停止させることが可能となる。
〔第4実施形態〕
第1、第2実施形態では、リカバリ印刷処理を実行することで、検品エラーとなったジョブを再度印刷すれば正しく出力できる場合について説明した。
【0094】
しかしながら、処理されたジョブの元のデータが間違っている場合、もしくは印刷装置2のエンジンの不調によりエラーページが多発するような場合に、リカバリ印刷処理を即座に停止したい場合に柔軟に対応できない場合がある。
そこで、上記の要因等に対して柔軟に印刷処理を行う他の実施形態について詳述する。
なお、なお、ハードウエアやソフトウエアの構成等に対応する図1〜図7、図9〜図13、図17は第2実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0095】
図17は、本実施形態を示す印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、図1に示した印刷装置2のコントローラ100のジョブ制御部110の印刷処理のうちの、図13に示すS120に対応するレコード内停止条件を判断する処理手順例である。以下、図1、図2、図4、図6を参考に、図17のフローチャートに従って、レコード内停止条件を判断する処理の一例を説明する。なお、各ステップの手順はイベント処理部135のプログラムROM13に記憶され、CPU11により実行される。
【0096】
ジョブ制御部110は、1ページの印刷処理を行なうごとに、現在印刷中のページを含んでいるレコード内のページを最初からチェックして、検品エラーがあるかどうかを判断する(S135)。ここで、検品エラーページがあれば、ジョブ制御部110は同じレコード内にエラーページが連続しているかどうかを判断する。具体的には、ジョブ制御部110は同じレコード内にエラーページが連続している連続数がある一定の値N以上かどうか判断する(S136)。ここで、ジョブ制御部110は同じレコード内にエラーページが連続している連続数がある一定の値N以上であると判断した場合、元のデータが間違っているか、印刷装置のエンジンが不調と判断する。この場合、ジョブ制御部110は次のレコードまで待たずに印刷処理を停止する。
【0097】
一方、S135で検品エラーがない、もしくはS136で連続エラーページ数がN未満であるとジョブ制御部110が判断した場合、ジョブ制御部110は、レコード単位でのリカバリ印刷が最適と判断し、ジョブ印刷処理を継続する。なお、このMの数値は、印刷装置に固定で持つか、ユーザが設定あるいは可変設定(他の停止条件との関係で可変設定する)できるように構成してもよい。
【0098】
本実施形態によれば、レコード内に連続したエラーページがあると判断した場合には、まだそのレコードをリカバリ印刷していても、当該処理中のリカバリ印刷をユーザの指示で停止することができる。これにより、リカバリ印刷開始直後に、ユーザがリカバリ印刷を停止させることが可能となる。
【0099】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をパソコン(コンピュータ)等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0100】
なお、各実施形態において説明したフローチャートにおいて、記載されたステップ以外のステップを組み入れたり、ステップの処理順序を変更したりすることは、本発明の趣旨から外れるものではない。さらに、各実施形態あるいは各実施形態のステップを組み合わせた構成とすることも、本発明の趣旨から外れるものではない。
【0101】
また、本発明では、VDPジョブを例とした印刷装置を説明したが、グループソート機能を備える印刷装置に適用してもよい。この場合、シート後処理装置が印刷装置に接続されることはいうまでもない。
また、上記実施形態では、検品装置1002から通知される検品結果にエラー情報が含まれている場合に、印刷処理を停止する場合について説明したが、ジョブを停止させるための停止方法に属性を持たせ、各ジョブ毎に設定された停止方法の属性に従い、動的に停止方法を切り替える構成としてもよい。
さらに、再印刷処理で印刷した印刷ページと既に印刷した印刷ページの差し替えを確実に実行するため、ジョブ制御部110が以下のように制御してもよい。具体的には、ジョブ差し替えのためにあらかじめユーザやホストコンピュータから指示される最大ページ数を外部メモリ30に保持させ、上記検品結果からエラー情報を取得した際に、最大ページ数を超えないレコードで印刷処理を停止するように制御する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0102】
2 印刷装置
1002 検品装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のページから構成される複数のレコードを1つのジョブとして処理する印刷装置であって、
前記印刷装置により印刷された用紙の画像を読取って印刷状態を検品する検品装置から通知される検品結果を取得する取得手段と、
前記ジョブから生成される印刷データをレコード単位に印刷する印刷手段と、
前記印刷手段がレコード単位の印刷処理を終了するまでに、前記取得手段が前記検品装置から取得している検品結果にエラー情報が含まれているかどうかを判断する判断手段と、
前記エラー情報が含まれていると前記判断手段が判断した場合、前記印刷手段により印刷処理が終了したレコードに後続するレコードの印刷処理を停止して、前記検品結果から生成されるレコード情報を含む印刷指示画面を表示部に表示するジョブ制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記ジョブ制御手段は、前記表示部に表示された印刷指示画面を介して、ユーザにより選択されるレコードに対する再印刷要求を受け付けることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記ジョブ制御手段は、前記表示部に表示された印刷指示画面を介して、印刷を停止したレコード以降のレコードに対する継続印刷要求を受け付けることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記印刷手段がレコード単位の印刷処理を複数レコード分終了するまでに、前記取得手段が前記検品装置から取得している検品結果にエラー情報が含まれているかどうかを判断することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項5】
前記判断手段が前記検品装置から取得する検品結果にエラー情報が含まれていると判断した後、前記印刷手段が印刷処理中のレコードから停止可能な最短のレコード区切り位置を検出する検出手段を備え、
前記ジョブ制御手段は、前記検出手段が検出した前記レコード区切り位置のレコードに対する継続印刷要求を受け付けることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項6】
複数のページから構成される複数のレコードを1つのジョブとして処理する印刷装置の制御方法であって、
前記印刷装置により印刷された用紙の画像を読取って印刷状態を検品する検品装置から通知される検品結果を取得する取得工程と、
前記ジョブから生成される印刷データをレコード単位に印刷する印刷工程と、
前記印刷工程がレコード単位の印刷処理を終了するまでに、前記取得工程が前記検品装置から取得している検品結果にエラー情報が含まれているかどうかを判断する判断工程と、
前記エラー情報が含まれていると前記判断工程が判断した場合、前記印刷工程により印刷処理が終了したレコードに後続するレコードの印刷処理を停止して、前記検品結果から生成されるレコード情報を含む印刷指示画面を表示部に表示するジョブ制御工程と、
を備えることを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項7】
前記ジョブ制御工程は、前記表示部に表示された印刷指示画面を介して、ユーザにより選択されるレコードに対する再印刷要求を受け付けることを特徴とする請求項6記載の印刷装置の制御方法。
【請求項8】
前記ジョブ制御工程は、前記表示部に表示された印刷指示画面を介して、印刷を停止したレコード以降のレコードに対する継続印刷要求を受け付けることを特徴とする請求項6記載の印刷装置の制御方法。
【請求項9】
前記判断工程は、前記印刷工程がレコード単位の印刷処理を複数レコード分終了するまでに、前記取得手段が前記検品装置から取得している検品結果にエラー情報が含まれているかどうかを判断することを特徴とする請求項6記載の印刷装置の制御方法。
【請求項10】
前記判断工程が前記検品装置から取得する検品結果にエラー情報が含まれていると判断した後、前記印刷工程が印刷処理中のレコードから停止可能な最短のレコード区切り位置を検出する検出工程を備え、
前記ジョブ制御工程は、前記検出工程が検出した前記レコード区切り位置のレコードに対する継続印刷要求を受け付けることを特徴とする請求項6記載の印刷装置の制御方法。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれか1項に記載の印刷装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−171311(P2012−171311A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38010(P2011−38010)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】