説明

印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用データ生成装置、印刷用データ生成プログラム及び印刷用データ生成方法

【課題】飛行曲がり現象によるバンディング現象を解消または殆ど目立たなくすることができる新規な印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用データ生成装置、印刷用データ生成プログラム及び印刷用データ生成方法を提供する。
【解決手段】印刷装置100を、画像データを取得する画像データ取得部10と、自装置の有する印刷ヘッド200における特定の印刷ノズルの特性に基づき画像データの各画素データに対する印刷ノズルの使用内容を設定する印刷ノズル設定部12と、印刷ノズルの特性情報を記憶するノズル情報記憶部14と、画像データと、飛行曲がり量の大きさに基づき印刷結果における「白スジ」及び「濃いスジ」の発生を低減することが可能な印刷用データを生成する印刷用データ生成部18と、印刷用データに基づき、画像をインクジェット方式によって印刷用紙に印刷する印刷部20とを含んだ構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置や複写機、OA機器のプリンタ等に用いられる印刷装置および印刷装置制御プログラム並びに印刷装置制御方法に係り、特に、複数色の液体インクの微粒子を印刷用紙(記録材)上に吐出して所定の文字や画像を描画するようにした、いわゆるインクジェット方式の印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用データ生成装置、印刷用データ生成プログラム及び印刷用データ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下は、印刷装置、特にインクジェット方式を採用したプリンタ(以下、「インクジェットプリンタ」と称す)について説明する。
インクジェットプリンタは、一般に安価でかつ高品質のカラー印刷物が容易に得られることから、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの普及に伴い、オフィスのみならず一般ユーザにも広く普及してきている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタは、一般に、インクカートリッジと印刷ヘッドとが一体的に備えられたキャリッジなどと称される移動体が、印刷媒体(用紙)上を、その紙送り方向に対し垂直な方向に往復しながらその印刷ヘッドのノズルから液体インクの粒子をドット状に吐出(噴射)することで、印刷媒体上に所定の文字や画像を描画して所望の印刷物を作成するようになっている。そして、このキャリッジに黒色(ブラック)を含めた4色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のインクカートリッジと各色ごとの印刷ヘッドを備えることで、モノクロ印刷のみならず、各色を組み合わせたフルカラー印刷も容易に行えるようになっている(さらに、これら各色に、ライトシアンやライトマゼンタなどを加えた6色や7色、あるいは8色のものも実用化されている)。
【0004】
また、このようにキャリッジ上の印刷ヘッドを紙送り方向に対し垂直な方向に往復させながら印刷を実行するようにしたタイプのインクジェットプリンタでは、1ページ全体をきれいに印刷するために印刷ヘッドを数十回から100回以上も往復動させる必要があるため、他の方式の印刷装置、例えば、複写機などのような電子写真技術を用いたレーザープリンタなどに比べて大幅に印刷時間がかかるといった欠点がある。
【0005】
これに対し、印刷用紙の幅と同じ(もしくは長い)寸法の長尺の印刷ヘッドを配置してキャリッジを使用しないタイプのインクジェットプリンタでは、印刷ヘッドを印刷用紙の幅方向に移動させる必要がなく、いわゆる1走査(1パス)での印刷が可能となるため、前記レーザープリンタと同様に高速な印刷が可能となる。また、印刷ヘッドを搭載するキャリッジやこれを移動させるための駆動系などが不要となるため、プリンタ筐体の小型・軽量化が可能となり、さらに静粛性も大幅に向上するといった利点も有している。なお、前者方式のインクジェットプリンタを一般に「マルチパス型プリンタ」、後者方式のインクジェットプリンタを一般に「ラインヘッド型プリンタ」または「シリアルプリンタ」と呼んでいる。
【0006】
ところで、このようなインクジェットプリンタに不可欠な印刷ヘッドは、直径が10〜70μm程度の微細なノズルを一定の間隔を隔てて1列、または印刷方向に複数列に配設してなるものであるため、製造誤差によって一部のノズルのインクの吐出方向が傾いてしまったり、ノズルの位置が理想位置とはずれた位置に配置されてしまい、そのノズルで形成されるドットの着弾位置が理想位置よりもずれてしまうといった、いわゆる「飛行曲がり現象」を発生してしまうことがある。また、ノズルのばらつき特性により、そのばらつきが大きいものとしては、インク量が理想量と比較して非常に多くなったり少なくなったりするものが存在する。
【0007】
この結果、その不良ノズルを用いて印刷された部分に、いわゆる「バンディング(スジ)現象」と称される印刷不良が発生して、印刷品質を著しく低下させてしまうことがある。すなわち、「飛行曲がり」現象が発生すると、隣り合うノズルにより吐出されたドット間距離が不均一となり、隣接ドット間の距離が正常時より長くなる部分には「白スジ(印刷用紙が白色の場合)」が発生し、隣接ドット間の距離が正常時より短くなる部分には、「濃いスジ」が発生する。また、インク量の値が理想とは外れている場合も、インク量が多いノズル部分に関しては、濃いスジ、インク量が少なくなる部分では白スジが発生する。
【0008】
特に、このようなバンディング現象は、前述したような「マルチパス型プリンタ」(シリアルプリンタ)の場合よりも、印刷ヘッドもしくは印刷媒体が固定(1パス印刷)である「ラインヘッド型プリンタ」の方に顕著に発生し易い(マルチパス型プリンタでは、印刷ヘッドを何回も往復させることを利用してバンディングを目立たなくする技術がある)。
【0009】
そのため、このような「バンディング現象」による一種の印刷不良を防止するために、印刷ヘッドの製造技術の向上や設計改良などといった、いわゆるハード的な部分での研究開発が鋭意進められているが、製造コスト、技術面などから100%「バンディング現象」が発生しない印刷ヘッドを提供するのは困難となっている。
そこで、現状では前記のようなハード的な部分での改良に加え、以下に示すような印刷制御といった、いわゆるソフト的な手法を用いてこのような「バンディング現象」を低減するような技術が併用されている。
【0010】
例えば、以下に示す特許文献1や特許文献2では、ノズルのばらつきやインクの不吐出に対処するために、濃度が薄い部分にはシェーディング補正技術を用いてヘッドのばらつきの対処を行い、濃度が濃い部分については他の色を用いて代用(例えば、ブラックで印刷する場合にはシアンまたはマゼンタなどを代用)してバンディングやばらつきが目立たないように設定している。
【0011】
また、以下に示す特許文献3においては、ベタ画像(すなわち下地が見えないくらいに塗りつぶされた画像)に関しては不吐出ノズルの近傍画素の隣接ノズルの吐出量を増やし、ノズル全体でベタ画像を生成するという手法を取り入れている。
また、以下に示す特許文献4においては、各ノズルのばらつき量を誤差拡散にフィードバックして処理し、ノズルのインクの吐出量のばらつきを吸収してバンディング現象を回避している。
【特許文献1】特開2002−19101号公報
【特許文献2】特開2003−136702号公報
【特許文献3】特開2003−63043号公報
【特許文献4】特開平5−30361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1及び上記特許文献2の従来技術などのように他の色を用いてバンディング現象やばらつきを低減する手法では、処理を施した部分の色相が変わってしまうことから、カラー写真画像印刷のように高画質・高品質が要求される印刷には適さない。
また、濃度が濃い部分について、不吐出ノズルの情報を左右に振り分けるなどによって「白スジ現象」を回避する方法は、これを前述した「飛行曲がり現象」に適用した場合には、白スジは低減可能であるが、濃度が濃い部分には依然としてバンディングが残ってしまうという問題がある。
【0013】
また、上記特許文献3の従来技術などのような方法では、印刷物がベタ画像であれば問題ないが、中間階調の印刷物である場合は、この方法を利用することができない。また、細い線などは他の色を用いて埋める方法はごく僅かな使用であれば問題ないが、他の色が連続して発生するような画像においては、前者と同様に画像の一部の色相が変化してしまうといった問題が残る。
【0014】
また、上記特許文献4の従来技術などのような方法では、ドットの形成内容がずれるという問題に対しては、適切なフィードバックを行う処理が複雑となり、解決が困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、飛行曲がり現象が要因のバンディング現象による画質の劣化を解消または殆ど目立たなくすることができ、更にインクの吐出不良による画質の劣化を解消または殆ど目立たなくすることができる新規な印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用データ生成装置、印刷用データ生成プログラム及び印刷用データ生成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
〔形態1〕 上記目的を達成するために、形態1の印刷装置は、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷するようにした印刷装置であって、
前記画像を構成するM(M≧2)値の画素値を有する画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報を記憶する位置ずれ量情報記憶手段と、
前記取得した画像データと、前記位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御する印刷用データ生成手段と、
前記印刷用データに基づき、前記印刷ヘッドによって前記画像を前記媒体に印刷する印刷手段と、を備えることを特徴としている。
【0016】
このような構成であれば、画像データ取得手段によって、画像を構成するM値(M≧2)の画素値を有する画像データを取得することが可能であり、位置ずれ量情報記憶手段によって、各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報を記憶することが可能であり、印刷用データ生成手段によって、前記取得した画像データと、前記位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御することが可能であり、印刷手段によって、印刷用データに基づき、前記印刷ヘッドによって前記画像を前記媒体に印刷することが可能である。
【0017】
従って、例えば、ドットの形成位置が理想位置からずれたノズルの「飛行曲り現象」によって発生する「バンディング現象」による「白スジ」や「濃いスジ」等の印刷画質の劣化を低減するための情報を生成するときに、前記位置ずれ量の大きさ、即ち飛行曲がり量の大きさに応じて、その生成の有無、生成量等を制御することができるので、「バンディング現象」による「白スジ」や「濃いスジ」等の印刷画質の劣化を低減できると共に、当該画質劣化を低減させる処理によって生じる元の印刷画質への悪影響を最小限に留めることができるという効果が得られる。
【0018】
ここで、上記ドットとは、1または複数のノズルから吐出されたインクが印刷に用いられる媒体に着弾して形成される1つの領域をいう。また、「ドット」は面積が「ゼロ」ではなく、一定の大きさ(面積)をもつことは勿論、大きさごとに複数種類存するものである。但し、インクを吐出して形成されたドットは必ずしも真円になるとは限らない。例えば、楕円形などの真円以外の形状でドットが形成された場合は、その平均的な径をドット径として扱ったり、ある量のインクを吐出して形成されたドットの面積と等しい面積を有する真円の等価ドットを想定し、該等価ドットの径をドット径として扱ったりすることもある。また、濃度の異なるドットの打ち分け方法としては、例えば、ドットの大きさが同じで濃度が異なるドットを打つ方法、濃度が同じで大きさの異なるドットを打つ方法、濃度が同じでインクの吐出量が異なるドットであり、重ね打ちにより濃度を異ならせる方法などが考えられる。また、1つのノズルから吐出された1つのインク滴が分離して着弾してしまった場合も1つのドットとするが、2つのノズルまたは1つのノズルから時間を前後して形成された2つ以上のドットがくっついてしまった場合は、2つのドットが形成されたものとする。(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0019】
また、上記画像データ取得手段は、スキャナ手段などの光学的印刷結果読み取り手段などから入力された画像データを取得したり、LANやWAN等のネットワークを介して外部装置に記憶された画像データを受動的又は能動的に取得したり、印刷装置の有するCDドライブ、DVDドライブなどの駆動装置を介してCD−ROM、DVD−ROMなどの記録媒体から画像データを取得したり、印刷装置の有する記憶装置に記憶された画像データを取得したりなどする。つまり、前記取得には、少なくとも入力、獲得、受信および読出が含まれる(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0020】
また、上記「位置ずれ量情報記憶手段」は、位置ずれ量情報をあらゆる手段でかつあらゆる時期に記憶するものであり、位置ずれ量情報をあらかじめ記憶してあるものであってもよいし、位置ずれ量情報をあらかじめ記憶することなく、本印刷装置の動作時に外部からの入力等によって位置ずれ量情報を記憶するようになっていてもよい。例えば、工場出荷時などの本印刷装置が製品として売り出される前に、スキャナ手段などの光学的印刷結果読み取り手段などを利用して印刷ヘッドによる印刷結果からその印刷ヘッドを構成する各ノズルのドット形成位置のずれ量を検査してその検査結果を予め記憶したり、印刷装置の使用時に、前記工場出荷時と同様に印刷ヘッドを構成する各ノズルのドット形成位置のずれ量を検査してその検査結果を記憶したりするなど、製品の使用時に記憶された状態にできるタイミングであればどのようなタイミングでも良い。また、印刷装置の使用後に、その印刷ヘッドの特性が変化した場合に対応するために定期的にあるいは所定の時期にスキャナ手段などの光学的印刷結果読み取り手段など利用してその印刷ヘッドによる印刷結果からその印刷ヘッドの印字位置ずれ量を検査してその検査結果を工場出荷時などのデータと共に、あるいはそのデータに上書きして記憶したりするなど位置ずれ情報を更新できるようにしても良い。(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0021】
また、上記ノズルのドット形成内容に関する情報とは、画像データの各画素値に対する、ドットの有無(ノズルによりドットを形成する、形成しない)に関する情報と、形成する場合のドットのサイズ(例えば、大・中・小の3種類のいずれか)に関する情報等のノズルによってドットを形成する際に必要な情報から構成されるものであり、例えば、形成サイズが一種類しかない場合は、ドットの有無に関する情報だけで構成しても良い。
【0022】
また、上記「バンディング現象」とは、ドット形成位置が理想の形成位置からずれているノズルによる、いわゆる「飛行曲がり現象」によって、印刷結果に「白スジ」と共に「濃いスジ」が同時に発生する印刷不良のことをいうものとする(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0023】
また、上記「飛行曲がり現象」とは、前述したように単なる一部のノズルの不吐出現象とは異なり、インクは吐出するものの、その一部のノズルの吐出方向が傾くなどしてドットが理想位置よりずれて形成されてしまう現象をいう(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0024】
また、この「白スジ」とは、「飛行曲がり現象」によって隣接ドット間の距離が所定の距離よりも広くなる現象が連続的に発生して印刷媒体の下地の色がスジ状に目立ってしまう部分(領域)をいい、また、「濃いスジ」とは、同じく「飛行曲がり現象」によって隣接ドット間の距離が所定の距離よりも短くなる現象が連続的に発生して印刷媒体の下地の色が見えなくなったり、あるいはドット間の距離が短くなることによって相対的に濃く見えたり、さらにはずれて形成されたドットの一部が正常なドットと重なり合ってその重なり合った部分が濃いスジ状に目立ってしまう部分(領域)をいうものとする。また、白スジはインク量が少ないノズルが原因で発生する場合があり、一方、濃いスジはインク量が多いノズルが原因で発生する場合がある。(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0025】
また、「印刷画質の劣化を低減させるための情報」とは、ノズルのドット形成位置が理想位置からずれている結果生じる印刷画質の劣化を低減するための情報であり、例えば、上記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対して、当該ノズルによってドットを形成しないようにしたり、当該ノズルに対応する画像部分に対してバンディングが目立たなくなるドットパターンでドットを形成する等の上記ドットの形成内容に関する情報の一形態となる。但し、このドットの形成内容に関する情報は、同じ画素値に対する、バンディング現象に関与しない正常なノズルに対する場合のドットの形成内容に関する情報とは内容が異なるものとなる。(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0026】
〔形態2〕 更に、形態2の印刷装置は、形態1の印刷装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、印刷画質の劣化が目立つような部分に対して、前述した劣化を低減するための情報を生成することが可能となるので、目立つ部分は元の画質よりは多少劣化するが、バンディング現象による劣化部分を目立たなくする状態にできるという効果が得られる。
【0027】
ここで、上記「位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方」とは、位置ずれ量が所定量以上のノズルのみ、位置ずれ量が所定量以上のノズルの近傍のノズルのみ、及び位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの3つのケースが含まれる。例えば、位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの場合は、例えば、「飛行曲がり現象」によって、上記「白スジ」が発生した場合は、ドットの形成位置がずれたノズル及びそのずれたドットに対して距離が通常のケースよりも広くなった正常なドットを形成するノズルを含むものとなり、また、上記「濃いスジ」の場合は、同じく「飛行曲がり現象」によってドットの形成位置がずれたノズル及びそのずれたドットに対して距離が通常のケースよりも短く、あるいは一部または全部が重なり合った正常なドットを形成するノズルを含むものとなる。なお、この例に限らず、近傍の範囲を、該当ノズルの両隣3つのノズル等もっと拡大しても良い。また、劣化を低減するための情報の生成処理は、上記3つのケースの中から選択されたいずれか1つのノズルに対応する画素の全てに対して行われる。(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0028】
また、上記「前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素」とは、位置ずれ量が所定量以上のノズルの形成するドットに対応する画素、位置ずれ量が所定量以上のノズルの近傍のノズルの形成するドットに対応する画素、及び位置ずれ量が所定量以上のノズルとその近傍のノズルの両方の形成するドットに対応する画素の3つのケースが含まれる(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0029】
また、上記「近傍のノズル」とは、特に限定するものではないが、例えば、前記劣化を低減するための情報を生成する対象となる前記位置ずれ量が所定量以上となるノズルを中心とした周囲約2〜10画素あたり(解像度によっても変化する)を担当するノズルのことを指す。すなわち、この近傍の範囲が広すぎると粒状性が悪化するなどの画質劣化の生じる領域が広くなり、また、解像度によってはピンポイント過ぎると、その部分だけが特異な状態になるからである。
【0030】
〔形態3〕 更に、形態3の印刷装置は、形態2の印刷装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行い、前記位置ずれ量が所定量未満のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行わないことを特徴としている。
【0031】
このような構成であれば、印刷画質の劣化が目立つような部分に対して、前述した劣化を低減するための情報を生成し、位置ずれが生じていても印刷画質の劣化が目立たない部分に対しては、前述した劣化を低減するための情報を生成しないようにすることが可能となるので、目立つ部分は元の画質よりは多少劣化するが、バンディング現象による劣化部分を目立たなくする状態にでき、目立たない部分に対しては元の画質を維持することができるので、印刷画像全体の画質を向上できるという効果が得られる。
【0032】
〔形態4〕 更に、形態4の印刷装置は、形態1乃至3のいずれか1の印刷装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素に対して、当該画素の一部あるいは全部に対応したドットのサイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなる前記劣化を低減するための情報を生成することを特徴としている。
【0033】
このような構成であれば、例えば、印刷画質の劣化する画像部分及びその近傍に対して、この部分に対する、画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値から決定されるドットサイズとは異なる、位置ずれ量に応じたサイズのドットを形成することによって、画質の劣化をより適切に低減することができるという効果が得られる。
ここで、上記「位置ずれ量に応じたサイズ」とは、位置ずれ量そのものに応じたサイズの他、位置ずれ量から算出できる、例えば、位置のずれたドットと他のドットとの間の距離などに応じたサイズなども含むものとする。つまり、位置ずれ量の大きさ及び位置のずれた方向によって、ドットの間隔が広がった場合は、形成するドットのサイズを位置ずれ量が大きいほど大きくし、ドットの間隔が狭まった場合は、形成するドットのサイズを位置ずれ量が大きいほど小さくする。但し、印刷ヘッドの性能によって、それぞれ形成できるドットの最大サイズ及び最小サイズには限界があるため、その範囲内において形成可能なサイズとなる(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0034】
〔形態5〕 更に、形態5の印刷装置は、形態4の印刷装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも大きくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値のサイズよりも大きく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報を生成することを特徴としている。
【0035】
このような構成であれば、ドットの間隔が理想の間隔よりも大きくなるところは、その近傍に形成されるドットのサイズを、画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値から決定されるドットのサイズよりも大きく且つ前記ドットの間隔の大きさに応じたサイズにすることが可能となるので、いわゆる飛行曲がり現象によって発生するバンディング現象による「白スジ」を効果的に解消または殆ど目立たなくすることができるという効果が得られる。つまり、ドットの間隔が理想の間隔よりも大きくなるということは、このドットを形成するノズルに飛行曲りが発生していると共に、ドットの間隔が大きくなる部分に前述した「白スジ」が発生する可能性が高いことを意味するので、このように白スジが発生する可能性の高い箇所の近傍に形成されるドットのサイズを素の画素値に対するドットサイズよりも大きくする(そのような劣化を低減するための情報を生成する)ことによって、白スジが発生する可能性のある箇所(ドットが形成されない空白箇所)の面積を小さくすることができるので、白スジが発生する場合に、それを解消または殆ど目立たなくすることができる。
【0036】
ここで、上記「複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズル」とは、複数のノズルにおけるそれぞれ隣接するドットを形成するノズルの組のことである(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0037】
また、上記「ドットの間隔」とは、例えば、隣接する2つのドットの中心間距離など、ドットとドットとの間隔を規定するものであればどのようなものでも良い(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0038】
また、上記「理想の間隔」とは、理想的なドット間隔であるドット間距離dを基準にして、当該距離dから予め設定された許容誤差範囲内の距離(間隔)であり、ドット間隔の実測値を距離d’、許容誤差をΔdとすると、理想の間隔は、|d’|<|d+Δd|の範囲内に含まれる(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0039】
また、上記「画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値」とは、例えば、パソコンなどの印刷指示装置から送られてくるオリジナルの画像データ(RGB→CMYK)の画素値、あるいは前述した劣化を低減するための情報を生成する前の何ら加工を施していない画像データの有する画素値のことである(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0040】
また、上記「近傍に形成するドット」とは、特に限定するものではないが、例えば、前記劣化を低減するための情報を生成する対象となるドットの間隔が理想の間隔よりも大きくなるところの画素を担当するノズルを中心とした周囲約2〜10画素あたり(解像度によっても変化する)のことを指す。具体例を挙げると、形成するドットの間隔が理想の間隔よりも大きくなる2つのノズルの形成するドットと、当該2つのノズルにそれぞれ隣接する所定数のノズルが形成するドットとが、「その近傍に形成するドット」に該当する(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0041】
また、上記「ドットの間隔の大きさに応じたサイズ」とは、ドットの間隔とドットのサイズとは単調増加の関係にあることから、ドットの間隔が大きければ大きいほどドットのサイズは大きいものとなり、ドットの間隔が小さければ小さいほどドットのサイズは小さいものとなる。但し、印刷ヘッドの性能によって、それぞれ形成できるドットの最大サイズ及び最小サイズには限界があるため、その範囲内において形成可能なサイズとなる(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0042】
〔形態6〕 更に、形態6の印刷装置は、形態4又は5の印刷装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも小さくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値のサイズよりも小さく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報か、又は当該近傍に形成するドットを間引く情報を生成することを特徴としている。
【0043】
このような構成であれば、ドットの間隔が理想の間隔よりも小さくなるところは、その近傍に形成されるドットのサイズを、画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値から決定されるドットのサイズよりも小さく且つ間隔の大きさに応じたサイズにする、あるいは前記近傍に形成されるドットを間引くことが可能となるので、いわゆる飛行曲がり現象によって発生するバンディング現象による「濃いスジ」を効果的に解消または殆ど目立たなくすることができるという効果が得られる。つまり、ドットの間隔が理想の間隔よりも小さくなるということは、このドットを形成するノズルに飛行曲りが発生していると共に、ドットの間隔が小さくなる部分に前述した「濃いスジ」が発生する可能性が高いことを意味するので、このように濃いスジが発生する可能性の高い箇所の近傍に形成されるドットのサイズを素の画素値に対するドットサイズよりも小さくする、あるいは前記近傍に形成されるドットを間引く(そのような劣化を低減するための情報を生成する)ことによって、濃いスジが発生する可能性のある箇所(例えば、ドットが接近又は重なっている箇所)を無くす又は該当箇所のドットが、離間する又は重ならないようにすることができるので、濃いスジが発生する場合に、それを解消または殆ど目立たなくすることができる。
【0044】
〔形態7〕 更に、形態7の印刷装置は、形態1乃至6のいずれか1の印刷装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記劣化を低減するための情報の量が、前記位置ずれ量に応じた量となるように前記生成処理を制御することを特徴としている。
このような構成であれば、印刷画質の劣化を低減するために生成される、例えば、画質が劣化する画像部分に対する通常のドットサイズとは異なるサイズのドットを形成する情報、本来は形成されるドットを間引いたりする情報などの生成量を、例えば、位置ずれ量が大きいときは多くし、小さいときは少なくするなど、画質の劣化度に応じた生成量にすることが可能となる。
【0045】
従って、劣化部分における元々の画素値に対応した印刷用データを、劣化部分を目立たなくするための最低限且つ効果的な情報に変更することになり、飛行曲がり現象によって発生するバンディング現象による「白スジ」及び「濃いスジ」の解消または殆ど目立たなくするための処理によって発生する元の画質への悪影響を最小限に留めることができるという効果が得られる。
【0046】
〔形態8〕 更に、形態8の印刷装置は、形態1乃至7のいずれか1の印刷装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記劣化を低減するための情報として、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方によって形成される印刷画像の解像度を、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度より低く、且つ前記位置ずれ量情報に基づく解像度に変更する情報を生成することを特徴としている。
【0047】
このような構成であれば、バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方によって形成される印刷画像の解像度を、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度より低く且つ位置ずれ量の大きさに応じた解像度にする情報を生成することが可能であり、例えば、バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方によって形成されるドットを、位置ずれ量の大きさに応じた量だけ間引く等して印刷画像の解像度を落とすことによって、バンディング現象によって発生する「白スジ」や「濃いスジ」の部分を目立たなくすることができると共に、画質劣化を低減させる処理によって生じる元の印刷画質への悪影響を最小限に留めることができるという効果が得られる。
【0048】
ここで、上記「バンディング現象に関与するノズル」とは、飛行曲がり現象を発生しており、これによってバンディング現象を発生させるノズルのことである(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0049】
〔形態9〕 更に、形態9の印刷装置は、形態1乃至7のいずれか1の印刷装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素値の構成する画像の解像度が、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度よりも高い解像度となるように前記画像データを変換すると共に、前記高解像度化した画像データの画素値から、前記素の画素値に対応するノズルのドット形成位置に最も近いものを選択し、当該選択した画素値を、選択されなかった画素値及び前記位置ずれ量情報に基づき補正して、当該補正した画素値に基づき前記ドット形成内容に関する情報を生成することを特徴としている。
【0050】
このような構成であれば、例えば、パソコンなどの印刷指示装置から送られてくるオリジナルの画像データ(RGB→CMYK)を高解像度化して画素数が増大した高解像度の画像データを生成し、当該画像データを構成する各画素値のなかから、ノズルの実際のドット形成位置に対応する画素値を選択し、当該選択した画素を、選択されなかった画素値及びドット形成情報に基づき補正して、当該補正した画素値に対するドット形成内容に関する情報を生成する。そして、このようにして生成された印刷用データに基づいて印刷手段が印刷を実行することで、形成位置のずれたノズルによって「飛行曲がり現象」が発生していてもバンディング現象による「白スジ」は勿論、「濃いスジ」も効果的に解消または殆ど目立たなくすることができ、更に、位置ずれ量の大きさに基づき、選択画素値の補正内容を制御することも可能であり、これによって、画質劣化を低減させる処理によって生じる元の印刷画質への悪影響を最小限に留めることができるので、高品質な印刷物を得ることができるという効果が得られる。
【0051】
ここで、上記「選択した画素値を、選択されなかった画素値及び位置ずれ量情報に基づき補正」とは、誤差拡散処理を行うことを前提とした補正であり、例えば、選択した画素の周辺で且つ選択されなかった画素の画素値に基づき補正量を決定し、当該決定された補正量を用いて選択した画素の画素値を補正して印刷データへの画像変換を行う。本形態では、選択されなかった画素の画素値に加え、位置ずれ量情報にも基づいて補正量を決定する(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0052】
〔形態10〕 更に、形態10の印刷装置は、形態1乃至7のいずれか1の印刷装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記ドット形成内容に関する情報として、少なくともノズル配列方向と交差する方向に、前記ノズルが、前記印刷装置の印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度に対応する位置に基準ドットを形成するための情報と、当該基準ドットとは異なる位置に拡張ドットを形成するための情報とを生成するようになっていると共に、当該拡張ドットの形成サイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなるように前記生成処理を制御することを特徴としている。
【0053】
このような構成であれば、基準ドット及びそれと位置の異なる拡張ドットにより粒状感を抑えて画質を確保し、且つ拡張ドットの位置を基準ドットの位置からノズル配列方向と交差する方向にずらすことによりバンディング現象を低減することができるという効果が得られる。
更に、拡張ドットの形成サイズを、位置ずれ量に応じたサイズとすることが可能となるので、バンディング現象による「白スジ」は勿論、「濃いスジ」も効果的に解消または殆ど目立たなくすることができるという効果が得られる。
【0054】
〔形態11〕 更に、形態11の印刷装置は、形態1乃至10のいずれか1の印刷装置において、
前記印刷ヘッドは、前記媒体の装着領域よりも広い範囲に亘って前記ノズルが連続して配列された印刷ヘッドであることを特徴としている。
このような構成であれば、前述したように、いわゆる1走査(1パス)で印刷が終了するラインヘッド型の印刷ヘッドを用いた場合に特に発生し易いバンディング現象による「白スジ」や「濃いスジ」を目立たなくするのに効果的な印刷用データを生成することができるという効果が得られる。
【0055】
ここで、「1走査の印字」とは、各ノズルが印字対象とする紙送り方向(ヘッド移動方向)の1ラインについては、そのラインは担当するノズルのみで印字を行い、且つ担当ノズルが一度通過した時点で、そのラインの印字は終了することをいう(以下の「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用データ生成装置」に関する形態、「印刷用データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである)。
【0056】
〔形態12〕 更に、形態12の印刷装置は、形態1乃至10のいずれか1の印刷装置において、
前記印刷ヘッドは、前記媒体の紙送り方向に直交する方向に往復動しながら印刷を実行する印刷ヘッドであることを特徴としている。
前述したバンディング現象は、ラインヘッド型の印刷ヘッドの場合に顕著にみられるが、マルチパス型の印刷ヘッドの場合でも発生する。従って、このような構成であれば、前記形態1乃至10のいずれか1の印刷方法をマルチパス型の印刷ヘッドの場合に適用することが可能となるので、マルチパス型の印刷ヘッドで発生したバンディング現象による「白スジ」や「濃いスジ」も目立たなくするのに効果的な印刷用データを生成することができるという効果が得られる。
【0057】
また、マルチパス型の印刷ヘッドの場合は、印刷ヘッドの走査を繰り返すなどの工夫を施すことで、前記のようなバンディング現象を回避することが可能であるが、前記の形態1乃至10のいずれか1の印刷装置を適用すれば、印刷ヘッドを同じ箇所を何度も走査させる必要がなくなるため、より高速な印刷を実現することも可能となる。
【0058】
〔形態13〕 一方、上記目的を達成するために、形態13の印刷装置制御プログラムは、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷するようにした印刷装置を制御するのに使用する印刷装置制御プログラムであって、
前記画像を構成するM値(M≧2)の画素値を有する画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記取得した画像データと、前記各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御する印刷用データ生成ステップと、
前記印刷用データに基づき、前記印刷ヘッドによって前記画像を前記媒体に印刷する印刷ステップとからなる処理をコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含むことを特徴としている。
【0059】
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態1の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
また、インクジェットプリンタなどといった現在市場に出回っている殆どの印刷装置は中央処理装置(CPU)や記憶装置(RAM、ROM)、入出力装置などからなるコンピュータシステムを備えており、そのコンピュータシステムを用いてソフトウェアによって前記各手段を実現することができるため、専用のハードウェアを作成して前記各手段を実現する場合に比べて経済的かつ容易に実現することができる。
さらに、プログラムの一部を書き換えることによって機能改変や改良などによるバージョンアップも容易に行うことができる。
【0060】
〔形態14〕 更に、形態14の印刷装置制御プログラムは、形態13の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態2の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0061】
〔形態15〕 更に、形態15の印刷装置制御プログラムは、形態13又は14の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行い、前記位置ずれ量が所定量未満のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行わないことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態3の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0062】
〔形態16〕 更に、形態16の印刷装置制御プログラムは、形態13乃至15のいずれか1の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素に対して、当該画素値の一部あるいは全部に対応したドットのサイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなる前記劣化を低減するための情報を生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態4の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0063】
〔形態17〕 更に、形態17の印刷装置制御プログラムは、形態16の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも大きくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値のサイズよりも大きく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報を生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態5の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0064】
〔形態18〕 更に、形態18の印刷装置制御プログラムは、形態16又は17の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも小さくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値のサイズよりも小さく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報か、又は当該近傍に形成するドットを間引く情報を生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態6の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0065】
〔形態19〕 更に、形態19の印刷装置制御プログラムは、形態13乃至18のいずれか1の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報の量が、前記位置ずれ量に応じた量となるように前記生成処理を制御することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態7の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0066】
〔形態20〕 更に、形態20の印刷装置制御プログラムは、形態13乃至19のいずれか1の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報として、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方によって形成される印刷画像の解像度を、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度より低く、且つ前記位置ずれ量情報に基づく解像度に変更する情報を生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態8の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0067】
〔形態21〕 更に、形態21の印刷装置制御プログラムは、形態13乃至19のいずれか1の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素値の構成する画像の解像度が、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度よりも高い解像度となるように前記画像データを変換すると共に、前記高解像度化した画像データの画素値から、前記素の画素値に対応するノズルのドット形成位置に最も近いものを選択し、当該選択した画素値を、選択されなかった画素値及び前記位置ずれ量情報に基づき補正して、当該補正した画素値に基づき前記ドット形成内容に関する情報を生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態9の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0068】
〔形態22〕 更に、形態22の印刷装置制御プログラムは、形態13乃至19のいずれか1の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記ドット形成内容に関する情報として、少なくともノズル配列方向と交差する方向に、前記ノズルが、前記印刷装置の印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度に対応する位置に基準ドットを形成するための情報と、当該基準ドットとは異なる位置に拡張ドットを形成するための情報とを生成するようになっていると共に、当該拡張ドットの形成サイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなるように前記生成処理を制御することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態10の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0069】
〔形態23〕 一方、上記目的を達成するために、形態23の印刷装置制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
形態13乃至形態22のいずれか1の印刷装置制御プログラムが記録されていることを特徴としている。
これによって、形態13乃至形態22のいずれか1の印刷装置制御プログラムと同様の作用及び効果が得られると共に、CD−ROMやDVD−ROM、MOなどの記録媒体を介して前記印刷プログラムを容易に授受することが可能となる。
【0070】
〔形態24〕 一方、上記目的を達成するために、形態24の印刷装置制御方法は、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷するようにした印刷装置を制御するのに使用する印刷装置制御方法であって、
前記画像を構成するM値(M≧2)の画素値を有する画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記取得した画像データと、前記各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御する印刷用データ生成ステップと、
前記印刷用データに基づき、前記印刷ヘッドによって前記画像を前記媒体に印刷する印刷ステップと、を含むことを特徴としている。
これによって、形態1の印刷装置と同等の作用効果が得られる。
【0071】
〔形態25〕 更に、形態25の印刷装置制御方法は、形態24の印刷装置制御方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行うことを特徴としている。
これによって、形態2の印刷装置と同等の作用効果が得られる。
【0072】
〔形態26〕 更に、形態26の印刷装置制御方法は、形態25の印刷装置制御方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行い、前記位置ずれ量が所定量未満のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行わないことを特徴としている。
これによって、形態3の印刷装置と同等の作用効果が得られる。
【0073】
〔形態27〕 更に、形態27の印刷装置制御方法は、形態24乃至26のいずれか1の印刷装置制御方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素に対して、当該画素値の一部あるいは全部に対応したドットのサイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなる前記劣化を低減するための情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態4の印刷装置と同等の作用効果が得られる。
【0074】
〔形態28〕 更に、形態28の印刷装置制御方法は、形態27の印刷装置制御方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも大きくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値のサイズよりも大きく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態5の印刷装置と同等の作用効果が得られる。
【0075】
〔形態29〕 更に、形態29の印刷装置制御方法は、形態27又は28の印刷装置制御方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも小さくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値のサイズよりも小さく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報か、又は当該近傍に形成するドットを間引く情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態6の印刷装置と同等の作用効果が得られる。
【0076】
〔形態30〕 更に、形態30の印刷装置制御方法は、形態24乃至29のいずれか1の印刷装置制御方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報の量が、前記位置ずれ量に応じた量となるように前記生成処理を制御することを特徴としている。
これによって、形態7の印刷装置と同等の作用効果が得られる。
【0077】
〔形態31〕 更に、形態31の印刷装置制御方法は、形態24乃至30のいずれか1の印刷装置制御方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報として、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方によって形成される印刷画像の解像度を、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度より低く、且つ前記位置ずれ量情報に基づく解像度に変更する情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態8の印刷装置と同等の作用効果が得られる。
【0078】
〔形態32〕 更に、形態32の印刷装置制御方法は、形態24乃至30のいずれか1の印刷装置制御方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素値の構成する画像の解像度が、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度よりも高い解像度となるように前記画像データを変換すると共に、前記高解像度化した画像データの画素値から、前記素の画素値に対応するノズルのドット形成位置に最も近いものを選択し、当該選択した画素値を、選択されなかった画素値及び前記位置ずれ量情報に基づき補正して、当該補正した画素値に基づき前記ドット形成内容に関する情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態9の印刷装置と同等の作用効果が得られる。
【0079】
〔形態33〕 更に、形態33の印刷装置制御方法は、形態24乃至30のいずれか1の印刷装置制御方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記ドット形成内容に関する情報として、少なくともノズル配列方向と交差する方向に、前記ノズルが、前記印刷装置の印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度に対応する位置に基準ドットを形成するための情報と、当該基準ドットとは異なる位置に拡張ドットを形成するための情報とを生成するようになっていると共に、当該拡張ドットの形成サイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなるように前記生成処理を制御することを特徴としている。
これによって、形態10の印刷装置と同等の作用効果が得られる。
【0080】
〔形態34〕 一方、上記目的を達成するために、形態34の印刷用データ生成装置は、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷するようにした印刷装置において使用される印刷用データを生成する印刷用データ生成装置であって、
前記画像を構成するM(M≧2)値の画素値を有する画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報を記憶する位置ずれ量情報記憶手段と、
前記取得した画像データと、前記位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御する印刷用データ生成手段と、を備えることを特徴としている。
【0081】
すなわち、本形態は、前記印刷装置のような実際に印刷を実行するための印刷手段を含むのではなく、元のM値の画像データに基づいて印刷ヘッドの特性に応じた印刷用データを生成するようにしたものである。
従って、形態1の印刷装置と同様の作用及び効果を得ることができると共に、例えば、本形態で生成した印刷用データを印刷装置に送るだけで、当該印刷装置で印刷処理を実行できる構成とすることが可能となるので、このような構成にすることで、専用の印刷装置を用意することなく、既存のインクジェット方式の印刷装置をそのまま利用することができる。
また、パソコンなどの汎用の情報処理装置を利用することができるため、パソコンなどの印刷指示装置とインクジェットプリンタとからなる既存の印刷システムをそのまま活用することができる。
【0082】
〔形態35〕 更に、形態35の印刷用データ生成装置は、形態34の印刷用データ生成装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行うことを特徴としている。
これによって、形態2の印刷装置と同様の作用及び効果が得られる。
【0083】
〔形態36〕 更に、形態36の印刷用データ生成装置は、形態34又は35の印刷用データ生成装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行い、前記位置ずれ量が所定量未満のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行わないことを特徴としている。
これによって、形態3の印刷装置と同様の作用及び効果が得られる。
【0084】
〔形態37〕 更に、形態37の印刷用データ生成装置は、形態34乃至36のいずれか1の印刷用データ生成装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素に対して、当該画素値の一部あるいは全部に対応したドットのサイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなる前記劣化を低減するための情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態4の印刷装置と同様の作用及び効果が得られる。
【0085】
〔形態38〕 更に、形態38の印刷用データ生成装置は、形態37の印刷用データ生成装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも大きくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値のサイズよりも大きく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態5の印刷装置と同様の作用及び効果が得られる。
【0086】
〔形態39〕 更に、形態39の印刷用データ生成装置は、形態37又は38の印刷用データ生成装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも小さくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値のサイズよりも小さく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報か、又は当該近傍に形成するドットを間引く情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態6の印刷装置と同様の作用及び効果が得られる。
【0087】
〔形態40〕 更に、形態40の印刷用データ生成装置は、形態34乃至39のいずれか1の印刷用データ生成装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記劣化を低減するための情報の量が、前記位置ずれ量に応じた量となるように前記生成処理を制御することを特徴としている。
これによって、形態7の印刷装置と同様の作用及び効果が得られる。
【0088】
〔形態41〕 更に、形態41の印刷用データ生成装置は、形態34乃至40のいずれか1の印刷用データ生成装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記劣化を低減するための情報として、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方によって形成される印刷画像の解像度を、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度より低く、且つ前記位置ずれ量情報に基づく解像度に変更する情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態8の印刷装置と同様の作用及び効果が得られる。
【0089】
〔形態42〕 更に、形態42の印刷用データ生成装置は、形態34乃至40のいずれか1の印刷用データ生成装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素値の構成する画像の解像度が、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度よりも高い解像度となるように前記画像データを変換すると共に、前記高解像度化した画像データの画素値から、前記素の画素値に対応するノズルのドット形成位置に最も近いものを選択し、当該選択した画素値を、選択されなかった画素値及び前記位置ずれ量情報に基づき補正して、当該補正した画素値に基づき前記ドット形成内容に関する情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態9の印刷装置と同様の作用及び効果が得られる。
【0090】
〔形態43〕 更に、形態43の印刷用データ生成装置は、形態34乃至40のいずれか1の印刷用データ生成装置において、
前記印刷用データ生成手段は、前記ドット形成内容に関する情報として、少なくともノズル配列方向と交差する方向に、前記ノズルが、前記印刷装置の印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度に対応する位置に基準ドットを形成するための情報と、当該基準ドットとは異なる位置に拡張ドットを形成するための情報とを生成するようになっていると共に、当該拡張ドットの形成サイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなるように前記生成処理を制御することを特徴としている。
これによって、形態10の印刷装置と同様の作用及び効果が得られる。
【0091】
〔形態44〕 一方、上記目的を達成するために、形態44の印刷用データ生成プログラムは、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷するようにした印刷装置において使用される印刷用データを生成するのに使用する印刷用データ生成プログラムであって、
前記画像を構成するM値(M≧2)の画素値を有する画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記取得した画像データと、前記各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御する印刷用データ生成ステップとからなる処理をコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含むことを特徴としている。
【0092】
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態34の印刷用データ生成装置と同等の作用および効果が得られる。
【0093】
〔形態45〕 更に、形態45の印刷用データ生成プログラムは、形態44の印刷用データ生成プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態35の印刷用データ生成装置と同等の作用および効果が得られる。
【0094】
〔形態46〕 更に、形態46の印刷用データ生成プログラムは、形態44又は45の印刷用データ生成プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行い、前記位置ずれ量が所定量未満のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行わないことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態36の印刷用データ生成装置と同等の作用および効果が得られる。
【0095】
〔形態47〕 更に、形態47の印刷用データ生成プログラムは、形態44乃至46のいずれか1の印刷用データ生成プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素に対して、当該画素値の一部あるいは全部に対応したドットのサイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなる前記劣化を低減するための情報を生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態37の印刷用データ生成装置と同等の作用および効果が得られる。
【0096】
〔形態48〕 更に、形態48の印刷用データ生成プログラムは、形態47の印刷用データ生成プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも大きくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値のサイズよりも大きく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報を生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態38の印刷用データ生成装置と同等の作用および効果が得られる。
【0097】
〔形態49〕 更に、形態49の印刷用データ生成プログラムは、形態47又は48の印刷用データ生成プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも小さくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値のサイズよりも小さく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報か、又は当該近傍に形成するドットを間引く情報を生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態39の印刷用データ生成装置と同等の作用および効果が得られる。
【0098】
〔形態50〕 更に、形態50の印刷用データ生成プログラムは、形態44乃至49のいずれか1の印刷用データ生成プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報の量が、前記位置ずれ量に応じた量となるように前記生成処理を制御することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態40の印刷用データ生成装置と同等の作用および効果が得られる。
【0099】
〔形態51〕 更に、形態51の印刷用データ生成プログラムは、形態44乃至50のいずれか1の印刷用データ生成プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報として、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方によって形成される印刷画像の解像度を、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度より低く、且つ前記位置ずれ量情報に基づく解像度に変更する情報を生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態41の印刷用データ生成装置と同等の作用および効果が得られる。
【0100】
〔形態52〕 更に、形態52の印刷用データ生成プログラムは、形態44乃至50のいずれか1の印刷用データ生成プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素値の構成する画像の解像度が、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度よりも高い解像度となるように前記画像データを変換すると共に、前記高解像度化した画像データの画素値から、前記素の画素値に対応するノズルのドット形成位置に最も近いものを選択し、当該選択した画素値を、選択されなかった画素値及び前記位置ずれ量情報に基づき補正して、当該補正した画素値に基づき前記ドット形成内容に関する情報を生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態42の印刷用データ生成装置と同等の作用および効果が得られる。
【0101】
〔形態53〕 更に、形態53の印刷用データ生成プログラムは、形態44乃至50のいずれか1の印刷用データ生成プログラムにおいて、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記ドット形成内容に関する情報として、少なくともノズル配列方向と交差する方向に、前記ノズルが、前記印刷装置の印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度に対応する位置に基準ドットを形成するための情報と、当該基準ドットとは異なる位置に拡張ドットを形成するための情報とを生成するようになっていると共に、当該拡張ドットの形成サイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなるように前記生成処理を制御することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態43の印刷用データ生成装置と同等の作用および効果が得られる。
【0102】
〔形態54〕 一方、上記目的を達成するために、形態54の印刷用データ生成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
形態44乃至形態53のいずれか1の印刷用データ生成プログラムが記録されていることを特徴としている。
これによって、形態44乃至形態53のいずれか1の印刷用データ生成プログラムと同様の作用及び効果が得られると共に、CD−ROMやDVD−ROM、FD(フレキシブルディスク)などの記録媒体を介して前記印刷プログラムを容易に授受することが可能となる。
【0103】
〔形態55〕 一方、上記目的を達成するために、形態55の印刷用データ生成方法は、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷するようにした印刷装置において使用される印刷用データを生成するのに使用する印刷用データ生成方法であって、
前記画像を構成するM値(M≧2)の画素値を有する画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記取得した画像データと、前記各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御する印刷用データ生成ステップと、を含むことを特徴としている。
【0104】
これによって、形態34の印刷用データ生成装置と同等の作用及び効果が得られる。
ここで、画像データ取得ステップは、例えば、印刷用データを生成するPC等の情報処理装置の有するROM等の記憶媒体に格納されたプログラムをCPUが実行することで、例えば、スキャナ等の入力装置、HDD等の記憶装置、入出力I/Fなどが協働して実行され、印刷用データ生成ステップは、印刷用データを生成するPC等の情報処理装置の有するROM等の記憶媒体に格納されたプログラムをCPUが実行することで行われる。
【0105】
〔形態56〕 更に、形態56の印刷用データ生成方法は、形態55の印刷用データ生成方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行うことを特徴としている。
これによって、形態35の印刷用データ生成装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0106】
〔形態57〕 更に、形態57の印刷用データ生成方法は、形態55又は56の印刷用データ生成方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行い、前記位置ずれ量が所定量未満のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行わないことを特徴としている。
これによって、形態36の印刷用データ生成装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0107】
〔形態58〕 更に、形態58の印刷用データ生成方法は、形態55乃至57のいずれか1の印刷用データ生成方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素に対して、当該画素値の一部あるいは全部に対応したドットのサイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなる前記劣化を低減するための情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態37の印刷用データ生成装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0108】
〔形態59〕 更に、形態59の印刷用データ生成方法は、形態58の印刷用データ生成方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも大きくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値のサイズよりも大きく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態38の印刷用データ生成装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0109】
〔形態60〕 更に、形態60の印刷用データ生成方法は、形態58又は59の印刷用データ生成方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも小さくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値のサイズよりも小さく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報か、又は当該近傍に形成するドットを間引く情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態39の印刷用データ生成装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0110】
〔形態61〕 更に、形態61の印刷用データ生成方法は、形態55乃至60のいずれか1の印刷用データ生成方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報の量が、前記位置ずれ量に応じた量となるように前記生成処理を制御することを特徴としている。
これによって、形態40の印刷用データ生成装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0111】
〔形態62〕 更に、形態62の印刷用データ生成方法は、形態55乃至61のいずれか1の印刷用データ生成方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記劣化を低減するための情報として、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方によって形成される印刷画像の解像度を、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度より低く、且つ前記位置ずれ量情報に基づく解像度に変更する情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態41の印刷用データ生成装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0112】
〔形態63〕 更に、形態63の印刷用データ生成方法は、形態55乃至61のいずれか1の印刷用データ生成方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素値の構成する画像の解像度が、前記画像データ取得ステップで取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度よりも高い解像度となるように前記画像データを変換すると共に、前記高解像度化した画像データの画素値から、前記素の画素値に対応するノズルのドット形成位置に最も近いものを選択し、当該選択した画素値を、選択されなかった画素値及び前記位置ずれ量情報に基づき補正して、当該補正した画素値に基づき前記ドット形成内容に関する情報を生成することを特徴としている。
これによって、形態42の印刷用データ生成装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0113】
〔形態64〕 更に、形態64の印刷用データ生成方法は、形態55乃至61のいずれか1の印刷用データ生成方法において、
前記印刷用データ生成ステップにおいては、前記ドット形成内容に関する情報として、少なくともノズル配列方向と交差する方向に、前記ノズルが、前記印刷装置の印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度に対応する位置に基準ドットを形成するための情報と、当該基準ドットとは異なる位置に拡張ドットを形成するための情報とを生成するようになっていると共に、当該拡張ドットの形成サイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなるように前記生成処理を制御することを特徴としている。
これによって、形態43の印刷用データ生成装置と同等の作用及び効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0114】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づき説明する。図1〜図13は、本発明に係る印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用データ生成装置、印刷用データ生成プログラム及び印刷用データ生成方法の第1の実施の形態を示す図である。
【0115】
まず、本発明に係る印刷装置100の構成を図1に基づき説明する。図1は、本発明に係る印刷装置100の構成を示すブロック図である。
印刷装置100は、ラインヘッド型の印刷装置であり、図1に示すように、外部装置や記憶装置等から所定画像を構成する画像データを取得する画像データ取得部10と、自装置の有する後述する印刷ヘッド200における特定の印刷ノズルの特性に基づき画像データの各画素データに対する印刷ノズルの使用内容を設定する印刷ノズル設定部12と、後述するノズル特性検出部16で検出された印刷ノズルの特性情報及び位置ずれ量情報を記憶したり、工場出荷前などに予め測定試験等によって検出されたノズル特性情報及び位置ずれ量情報を記憶したりするノズル情報記憶部14と、テスト印刷を行い印刷ヘッド200における各印刷ノズルの特性(飛行曲りを発生するノズルか否か等)を検出可能なノズル特性検出部16と、画像データと、当該画像データに対する印刷ノズル設定部12の設定内容とに基づき、後述する印刷部20において、画像データの画像を印刷媒体S(ここでは、印刷用紙)に印刷するための印刷用データを生成する印刷用データ生成部18と、印刷用データに基づき画像データの画像を、インクジェット方式によって印刷用紙に印刷する印刷部20とを含んだ構成となっている。
【0116】
画像データ取得部10は、例えば、1画素あたり各色(R、G、B)ごとの階調(輝度値)が8ビット(0〜255)で表現される多値の画像データを取得する機能を有しており、このような画像データを、外部装置及び自装置の入力装置等からの印刷指示に応じて、LANやWAN等のネットワークを介して外部装置から取得したり、自装置の備える図示しないCDドライブ、DVDドライブなどの駆動装置を介してCD−ROM、DVD−ROMなどの記録媒体から取得したり、自装置の有する後述する記憶装置70から取得したりすることが可能となっている。更に、多値のRGBデータを色変換処理して前記印刷ヘッド200の各インクに対応する多値のCMYK(4色の場合)データに変換する機能も同時に発揮するようになっている。
【0117】
印刷ノズル設定部12は、画像データ取得部10において取得した画像データに対する印刷指示に応じて、ノズル情報記憶部14から、印刷ヘッド200の各ノズルNの特性を示すノズル特性情報を読み出し、当該読み出したノズル特性情報と、印刷指示に対応した画像データとに基づき、ノズルのドット形成内容が画像を印刷用紙上に正確に印刷する理想的な位置からずれているノズル(特に、飛行曲りを発生するノズル)がある場合に、当該ノズルと、その近傍のノズルとの少なくとも一方を、画像データの各画素データ毎に、当該画素データの印刷に対して使用するか否かを設定すると共に、当該設定した内容に基づき、画像データに対して、ノズル不使用箇所に対応する画素データの間引き処理と、当該間引き処理による該当画像部分の面積階調の低下を抑制するための濃度値分散処理とを施す機能を有している。
【0118】
ノズル情報記憶部14は、後述するインクジェット方式の印刷部20で用いられている印刷ヘッド200におけるノズルの特性情報及び当該ノズルによって形成されるドットの位置ずれ量情報を記憶する機能を有したものである。ここで、ノズルの特性情報とは、具体的に、図3及び図4に示すように印刷部20で用いられている印刷ヘッド200における各ノズルNに対して、飛行曲がり現象が発生しているか否か、及び飛行曲がり現象が発生している場合は、その飛行曲がり現象を引き起こしている異常ノズルNがどれであるかを具体的に特定する情報である。本実施の形態においては、飛行曲り量の大きさが所定値よりも小さいときは、飛行曲り現象が発生していないと判断する。また、位置ずれ量情報とは、具体的に、各ノズルNのドット形成位置の理想形成位置からのずれ量(いわゆる飛行曲り量の大きさ)と、各ノズルNによって形成されるドットのピッチ(隣り合うドットの中心間距離)を示す情報とを含んだものである。
【0119】
図3は、本発明の印刷ヘッド200の構造を示す部分拡大底面図であり、図4は、その部分拡大側面図である。
図3に示すように、この印刷ヘッド200は、ブラック(K)インクを専用に吐出する複数個のノズルN(図では18個))が、ノズル配列方向に直線状に配列されたブラックノズルモジュール50と、同じくイエロー(Y)インクを専用に吐出する複数個のノズルNが、ノズル配列方向に直線状に配列されたイエローノズルモジュール52と、同じくマゼンタ(M)インクを専用に吐出する複数個のノズルNが、ノズル配列方向に直線状に配列されたマゼンタノズルモジュール54と、同じくシアン(M)インクを専用に吐出する複数個のノズルNが、ノズル配列方向に直線状に配列されたシアンノズルモジュール56といった4つのノズルモジュール50、52、54及び56を含んだ構成となっている。そして、これら4つのノズルモジュールにおける各同じ番号のノズルNが、図3に示すように、印刷方向(ノズル配列方向に対して垂直方向)において一直線上に並ぶようにノズルモジュール50、52、54及び56が一体的に配列して構成されている。従って、各ノズルモジュールを構成する複数のノズルNは、それぞれノズル配列方向に直線状に配列され、4つのノズルモジュールにおける各同じ番号のノズルNは、それぞれ印刷方向に直線状に配列される。
【0120】
また、このような構造をした印字ヘッド200は、各ノズルN1、N2、N3…ごとにそれぞれ設けられた図示しないインクチャンバー内に供給されたインクをそれら各インクチャンバーごとに設けられた図示しないピエゾ素子(piezo actuator)などの圧電素子によって各ノズルN1、N2、N3…から吐出することで、白色の印刷用紙上に円形のドットを印字すると共に、さらに、この圧電素子に加える電圧を多段階に制御することによってインクチャンバーからのインクの吐出量を制御して各ノズルN1、N2、N3…ごとにサイズの異なるドットが印字可能となっている。また、時系列的に短時間で2段階でノズルに電圧を加え、印刷用紙上にて2つの吐出を組み合わせて1つのドットを構成する場合もある。この場合、ドットのサイズによって吐出速度が異なることを利用して、小さいドットにつづいて大きいドットを吐出することによって、紙面上でほぼ同位置にインクを着弾させて1つのさらに大きいドットを構成させることが可能である。
【0121】
更に、図4は、これら4つのノズルモジュール50、52、54及び56のなかのブラックノズルモジュール50のうち、左から6番目のノズルN6が飛行曲がり現象を起こしており、そのノズルN6から印刷媒体S上にインクが斜め方向に吐出され、これによって印刷媒体S上に形成されたドットが、当該ノズルN6の隣りの正常なノズルN7から吐出され且つ印刷媒体S上に形成されたドットの近傍に形成されてしまう状態を示している。
【0122】
図1に戻って、ノズル特性検出部16は、印刷装置100の使用後に、その印刷ヘッド200の特性が変化した場合に対応するために定期的にあるいは所定の時期にスキャナ手段などの光学的印刷結果読み取り手段など利用してその印刷ヘッド200による印刷結果からその印刷ヘッド200の特性を検査してその検査結果を前記ノズル情報記憶部14のデータと共に、あるいはそのデータに上書きして保存するようになっている。更に、各ノズルの飛行曲り量と、各ノズルNの形成するドットのドット間距離を測定し、当該飛行曲り量及び当該ドット間距離情報をノズル情報記憶部14に保存するようになっている。なお、この印刷ヘッド200の特性は、製造段階である程度固定されてしまい、インク詰まりなどによる吐出不良を除けば製造後に変化することは比較的稀であると考えられている。従って、工場出荷時に検査してノズル情報記憶部14にあらかじめ記憶させておけば、個々の印刷装置にノズル特性検出部を設定する必要がない場合がほとんどである。
【0123】
印刷用データ生成部18は、後に詳述するが、前記印刷ノズル設定部12から取得した画像データに基づき、当該画像データを、後述するインクジェット方式の印刷部20において利用される印刷用のデータ、つまり、画像データにおける各画素データごとに所定の色及び所定のサイズのドットを打つか、及びドットを打たないかに関するデータに変換(以下、適宜「2値化」または「ハーフトーニング」という)する機能を有するものである。この変換に際しては、上記の異常ノズル及びその近傍の正常ノズルによる各画素データ毎のドットの形成の有無などを考慮して、異常ノズルの飛行曲りによって発生するバンディングを含む画像部分を、当該画像部分に対応するノズルの一部を不使用にしたり、当該不使用としたノズル近傍の他のノズルの形成ドットサイズを制御したりすることで低解像度化した印刷用データを生成するようになっている。なお、低解像度化した印刷用データを生成するに際しては、異常ノズルの飛行曲りの大きさやドット間隔などのドットの位置情報に応じて、ノズルを不使用とする画素データの量を制御する。
【0124】
印刷部20は、印刷媒体S又は印刷ヘッド200の一方、あるいは双方を移動させながら前記印刷ヘッド200に形成された前記ノズルモジュール50,52,54及び56からインクをそれぞれドット状に噴射して前記印刷媒体S上に多数のドットからなる所定の画像を形成するようにしたインクジェット方式のプリンタであり、前述した印刷ヘッド200の他に、この印刷ヘッド200を印刷媒体(用紙)S上をその幅方向に往復移動させる図示しない印刷ヘッド送り機構(マルチパス型の場合)、前記印刷媒体(用紙)Sを移動させるための図示しない紙送り機構、前記2値化データに基づいて印刷ヘッド200のインクの吐出を制御する図示しない印刷制御機構などから構成されている。
【0125】
なお、この印刷装置100は、前記画像データ取得部10、印刷ノズル設定部12、ノズル特性検出部16、印刷用データ生成部18、印刷部20などにおける上記各機能をソフトウェア上で実現するため、及び上記各機能の実現に必要なハードウェアを制御するソフトウェアを実行するためのコンピュータシステムを備えている。このコンピュータシステムのハードウェア構成は、図2に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)60と、主記憶装置(Main Storage)を構成するRAM(Random Access Memory)62と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)64との間をPCI(Peripheral Component Interconnect)バスやISA(Industrial Standard Architecture)バス等からなる各種内外バス68で接続すると共に、このバス68に入出力インターフェース(I/F)66を介して、HDD等の外部記憶装置(Secondary Storage)70や、印刷部20やCRT、LCDモニター等の出力装置72、操作パネルやマウス、キーボード、スキャナなどの入力装置74、および図示しない印刷指示装置などと通信するためのネットワークケーブルLなどを接続したものである。
【0126】
そして、電源を投入すると、ROM64等に記憶されたBIOS等のシステムプログラムが、ROM64に予め記憶された各種専用のコンピュータプログラム、あるいは、CD−ROMやDVD−ROM、フレキシブルディスク(FD)等の記憶媒体を介して、またはインターネット等の通信ネットワークを介して記憶装置70にインストールされた各種専用のコンピュータプログラムを同じくRAM62にロードし、そのRAM62にロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPU60が各種リソースを駆使して所定の制御および演算処理を行うことで前述したような各機能をソフトウェア上で実現するようになっている。
【0127】
更に、印刷装置100は、CPU60によって、ROM64の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、図5のフローチャートに示す印刷処理を実行するようになっている。なお、前述したようにドットを形成するための印刷ヘッド200は、一般に4色および6色などといった複数種類の色のドットをほぼ同時に形成できるようになっているが、以下の例では説明を判り易くするためにいずれのドットもいずれか1色(単色)の印刷ヘッド200によって形成されたものとして説明する(モノクロ画像)。
【0128】
図5は、印刷装置100における印刷処理を示すフローチャートである。
印刷処理は、CPU60によって実行されると、図5に示すように、まず、ステップS100に移行するようになっている。
ステップS100では、画像データ取得部10において、ネットワークケーブルLを介して接続された外部装置からの印刷指示情報が送られてくることにより、あるいは入力装置74を介して印刷指示情報が入力されたことにより、印刷指示があったか否かを判定し、印刷指示があったと判定された場合(Yes)はステップS102に移行し、そうでない場合(No)は印刷指示があるまで判定処理を繰り返す。
【0129】
ステップS102に移行した場合は、画像データ取得部10において、印刷指示に対応する画像データを、上記したように、外部装置、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体、HDD等の記憶装置70などから取得する処理を行い、これにより画像データを取得したか否かを判定し、取得したと判定された場合(Yes)は、当該取得した画像データを印刷ノズル設定部12に伝送してステップS104に移行し、そうでない場合(No)は、印刷指示元に対して印刷不可などの返答を行った後、当該印刷指示に対する印刷処理を放棄してステップS100に移行する。ここで、画像データは、複数の多値の画素データがマトリクス状に配列され構成されたデータであり、その行方向は、印刷ヘッド200のノズル配列方向と一致し、その列方向は印刷ヘッド200の印刷方向と一致する。
【0130】
ステップS104に移行した場合は、印刷ノズル設定部12において、ノズル情報記憶部14からノズル特性情報を読み出してステップS106に移行する。
ステップS106では、印刷ノズル設定部12において、ステップS102で取得した画像データから所定領域の画素データを選択してステップS108に移行する。ここで、所定領域とは、画像データにおける異常ノズルに対応する画素データ列及びその近傍にある所定数の画素データ列(例えば、異常ノズルに対応する列の左右4列ずつの8列の画素)を含むデータ領域である。
【0131】
ステップS108では、印刷ノズル設定部12において、ステップS104で読み出したノズル特性情報及びステップS106で選択した所定領域の画素データに基づき、印刷ヘッド200において、当該所定領域の画素データに対して飛行曲りを発生する異常ノズルが対応しているか否かを判定し、対応していると判定された場合(Yes)はステップS110に移行し、そうでない場合(No)はステップS118に移行する。
【0132】
ステップS110に移行した場合は、飛行曲りを発生する異常ノズルに対応する画素データが含まれるので、印刷ノズル設定部12及び印刷用データ生成部18において、当該所定領域の画素データに対して、飛行曲りを考慮した印刷用データを生成してステップS112に移行する。
ステップS112では、印刷用データ生成部18において、画像データの全領域の画素データに対して印刷用データの生成処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)はステップS114に移行し、そうでない場合(No)はステップS106に移行する。
【0133】
ステップS114に移行した場合は、印刷用データ生成部18において、ステップS108で生成した印刷用データを印刷部20に出力してステップS116に移行する。
ステップS116では、印刷部20において、印刷用データ生成部18からの印刷用データに基づき、印刷処理を実行してステップS100に移行する。
一方、ステップS108において、印刷ヘッド200に飛行曲りを発生する異常ノズルがなくステップS118に移行した場合は、該当する画像データの所定領域に対して、後述する誤差拡散処理などを併用した通常のデータ変換(2値化処理)による印刷用データを生成してステップS112に移行する。
【0134】
次に、図6に基づき、ステップS110の飛行曲りを考慮した印刷用データの生成処理を詳細に説明する。
図6は、印刷装置100における、飛行曲りを考慮した印刷用データの生成処理を示すフローチャートである。
この印刷用データの生成処理は、飛行曲りを発生する異常ノズルとその近傍のノズルに対する位置ずれ量情報から、飛行曲りの大きさを考慮して、画像データの所定領域に対応する画素データに当該ノズルを使用するか否かを設定し、当該設定結果に基づき前記所定領域の画素データに対して間引き処理及び濃度値分散処理を行い、当該処理後の画像データに基づき印刷用データを生成する処理であって、ステップS110において実行されると、図6に示すように、まず、ステップS200に移行するようになっている。
【0135】
ステップS200では、印刷ノズル設定部12において、所定領域の画素データを解析して、当該所定領域の各画素データと印刷ヘッド200の各ノズルNとの対応関係を取得してステップS202に移行する。この解析処理は、画像のサイズや印刷指示情報(指定用紙サイズ、印刷モード等)などを解析し、各画素データと各ノズルNとの対応関係を取得するものであるが、これに限らず、画像データの各サイズや印刷モードに対して、対応関係の情報を予めROM64等に記憶しておくことで解析処理を省くようにしても良い。
【0136】
ステップS202では、ノズル情報記憶部14から、飛行曲りを発生する異常ノズルとその近傍のノズルとの少なくとも一方に対する位置ずれ量情報を読み出してステップS204に移行する。
ステップS204では、ステップS200の解析結果と、ステップS202で読み出した位置ずれ量情報に含まれる、各ノズルNのドット形成位置の理想の形成位置からのずれ量の大きさとに基づき、飛行曲りの発生している異常ノズルとその近傍のノズルに対応する画素列に対し、処理対象とする行としない行とを設定してステップS206に移行する。
【0137】
ここで、本実施の形態における印刷ノズル設定部12においては、飛行曲りの発生するノズルについて、その飛行曲りの大きさ(理想位置とのずれ量)が大きいほど、そのノズル及び当該ノズルの近傍のノズルに対応する画素列における処理対象とする画素データの割合(ここでは、処理対象とする行数)を多くし、飛行曲りの大きさが小さいほど、そのノズル及び当該ノズルの近傍のノズルに対応する画素列における処理対象とする画素データの割合(ここでは、処理対象とする行数)を少なくする制御を行う。
【0138】
ステップS206では、印刷ノズル設定部12において、ステップS200の解析結果と、ステップS204の設定結果と、ノズル情報記憶部14から読み出したノズル特性情報とに基づき、処理対象として設定された行に対しては不使用とするノズルNを設定し、処理対象と設定されなかった行に対しては該当する全てのノズルNを使用する設定をしてステップS208に移行する。
【0139】
ここで、本実施の形態においては、処理対象に設定された行においては、飛行曲りを発生する異常ノズルに対応する全画素データに対して、当該異常ノズルを不使用とする設定を行うと共に、当該異常ノズルに対して両隣にあるノズルをそれぞれ一つ隔てた2つのノズルに対しても、当該ノズルに対応する画素データに対して不使用と設定する。例えば、図3において、ノズルN6が飛行曲りを発生する異常ノズルであった場合に、その両隣にあるノズルN5及びノズルN7を一つ隔てたノズルN4及びノズルN8についても、対応する画素データに対してこれらのノズルを不使用とする設定を行う。
【0140】
ステップS208では、印刷ノズル設定部12において、ノズルNの使用可否の設定が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)はステップS210に移行し、そうでない場合(No)はステップS206に移行して設定処理を続行する。
ステップS210に移行した場合は、印刷ノズル設定部12において、画像データの所定領域から間引き処理及び濃度値分散処理が未処理の画素データを選択してステップS212に移行する。
【0141】
ステップS212では、印刷ノズル設定部12において、ステップS210で選択した画素データと、ステップS204の設定情報とに基づき、選択した画素データが不使用ノズルに対応した(間引き対象の)データか否かを判定し、間引き対象のデータであると判定された場合(Yes)はステップS214に移行し、そうでない場合(No)はステップS216に移行する。
【0142】
ステップS214に移行した場合は、印刷ノズル設定部12において、ステップS210で選択した画素データを間引きする(ドットを形成しないようにする)処理を行うと共に、当該間引き対象の画素データの両隣の画素データに対して、間引き対象の画素データの示す濃度値を分散する処理を行ってステップS216に移行する。本実施の形態においては、例えば、間引き対象の画素データの示す濃度値を2分して当該2分した値を、両隣の画素データの示す濃度値に加算する。このようにすることで、間引きされた画素の濃度をその両隣の画素によって補填することができるので、間引きによって生じる面積階調の損失を防止することができる。
【0143】
ステップS216では、印刷ノズル設定部12において、全ての画素データが選択され、且つ処理が終了したか否かを判定し、終了したと判定された場合(Yes)は、間引き処理及び濃度値分散処理後の画像データを印刷用データ生成部18に伝送してステップS218に移行し、そうでない場合(No)はステップS206に移行する。
ステップS218に移行した場合は、印刷用データ生成部18において、間引き処理及び濃度値分散処理後の画像データから、2値化処理が未処理の画素データを選択してステップS220に移行する。
【0144】
ステップS220では、印刷用データ生成部18において、ステップS218で選択した画素データに対して2値化処理を行いステップS222に移行する。ここで、2値化処理とは、一般に、ある数値範囲などに含まれる多値のデータと、所定の閾値(例えば、ある数値範囲における中央値など)とを比較して、その閾値を境に多値のデータを2種類の数値のいずれか一方に変換する処理である。例えば、0〜255の数値範囲に多値データがある場合に、閾値を中央値である「127」に設定し、「127」より多値データの数値が大きければ「255」、閾値以下なら「0」といったように、多値データを2種類の数値のいずれか一方に変換する。本実施の形態においては、印刷用データを生成するので、印刷媒体にドットを形成するか否かを、例えば、形成するなら「1」、形成しないなら「0」といったようにこれら2値のいずれか一方に変換する処理となる。更に、本実施の形態においては、形成する、しないの2値だけでは無く、画素データの示す濃度値に応じてノズルの形成するドットサイズを複数種類設け、これら複数のドットサイズ毎の濃度値に応じた数値範囲から閾値を設定し、画素データ(多値のデータ)とこれら閾値とを比較し、画素データを、各ドットサイズに対して、形成する、しないのいずれか一方を示す数値に変換する。例えば、ドットサイズがN種類(N≧2)の場合は、各ドットサイズ毎に、前記「形成する」を表し且つ当該サイズ毎に異なる数値を設定することで(この場合、「形成しない」は、共通して「0」とする)、画像データをN値化することになる。
【0145】
また、本実施の形態においては、各ドットサイズ毎に形成する「1」、しない「0」の2値化処理を行い、ドットサイズの情報は、「形成する」と判断されたものの中から最も大きいサイズを選択し、形成する「1」に対してそのサイズ情報を付加する。
また、本実施の形態においては、2値化処理の方法として誤差拡散の手法を用いており、これによって、面積諧調による階調表現が可能となる。
【0146】
この誤差拡散処理とは、多値のデータをある閾値を境に2値化処理する際に、その閾値との差を捨ててしまうのではなく、誤差としてこれから処理する複数の画素に拡散させて活用するようにしたものであり、従来公知のものそのものである。例えば、処理対象となる注目画素が8ビット(256階調)で表現可能でその階調が「101」であった場合、通常の2値化処理では、その階調は閾値(中間値)である「127」に満たないため、「0」すなわちドットを形成しない画素として処理されてしまい、「101」は、そのまま捨てられてしまう。これに対し、誤差拡散処理の場合は、その「101」が所定の誤差拡散マトリックスに従ってその周囲の未処理の画素に対して拡散されることになるため、例えば、選択画素の右隣の画素が通常の2値化処理のみでは選択画素と同じく閾値に満たないことから「ドットを形成しない」として処理されてしまっていたのが、選択画素の誤差を受け取ることによってその濃度値が閾値を超えて「ドットを形成する」というような取り扱いを受けることとなり、より元の画像データに近い2値化データを得ることが可能となる。
【0147】
ステップS222では、印刷用データ生成部18において、所定領域における全ての画素データに対して、誤差拡散処理による2値化処理が終了したか否かを判定し、終了したと判定された場合(Yes)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
ここで、本実施の形態における印刷用データは、各画素ごとに所定の色のドットを形成するか否か及びそのドットの大きさに関するデータであり、すべての画素に対して必ずしもドットが形成されるとは限らない。特に、本実施の形態においては、飛行曲りを発生する異常ノズルに対応した画素データ及びその近傍のノズル(例えば、異常ノズルの両隣のノズルを1つ隔てた位置にある2つのノズル)に対応する画素データを間引きし、当該間引きした画素データの示す濃度値をその両隣の画素データに分散することで、飛行曲りの発生する列の画素及びその近傍の画素からなる画像部分の解像度を低下させると共に、当該解像度低下による面積階調の低下を抑制する。
【0148】
更に、飛行曲りの大きさに応じて、処理対象とする画素データの行の割合を上記のように制御することで、飛行曲りの大きさが比較的に大きいところは処理対象の行が多くなりバンディングを解消するための処理がより多く行われるようにし、一方、飛行曲りの大きさが比較的に小さいところは、処理対象の行が少なくなりバンディングを解消するための処理がより行われなくようにしている。
【0149】
次に、図7〜図13に基づき、本実施の形態の動作を説明する。
ここで、図7は、いわゆる飛行曲がりを発生する異常ノズルがないブラックノズルモジュール50のみで形成されるドットパターンの一例を示した図であり、図8は、ブラックノズルモジュール50のうち、ノズルN6が飛行曲がり現象を発生している場合に形成されるドットパターンの一例を示した図である。また、図9(a)は、図8に示す飛行曲りの発生している場合に形成されるドットパターンの一部を示す図であり、(b)は(a)のドットパターンから、処理対象として設定された行におけるノズルN4、ノズルN6及びノズルN8にそれぞれ対応する列画素データを間引く様子を示す図であり、(c)は、間引き対象の画素データの両隣の画素データに濃度値を分散する一例を示す図である。また、図10は、飛行曲りの大きさと処理対象とする画素列の割合との関係を示す図である。また、図11は、各ノズルNが形成可能なドットサイズの一例を示す図であり、図12は、間引き処理後の画像データに対する誤差拡散処理の拡散方向の一例を示す図である。また、図13(a)は、飛行曲りの発生していない印刷ヘッドによって形成されたベタ画像のドットパターンの一例を示す図であり、(b)は、ノズルN6に飛行曲りが発生している印刷ヘッドによって形成されたベタ画像のドットパターンの一例を示す図であり、(c)は、ノズルN6の飛行曲りを考慮した印刷用データに基づき形成されたドットパターンの一例を示す図である。
【0150】
図7に示すように、飛行曲りを発生する異常ノズルがないブラックノズルモジュール50によって形成されるドットパターンは、前述したような、「白スジ」や「濃いスジ」といったようなノズル間隔のずれによって発生するバンディング現象が生じない。
一方、飛行曲りの発生するノズルを含んだブラックノズルモジュール50による印刷結果については、図8に示すように、そのノズルN6によって形成されるドットがその右隣りの正常なノズルN7で形成されるドット側に、距離aだけずれてしまい、この結果、ノズルN6によって形成されるドットと、その左隣りのノズルN5によって形成されるドットとの間に「白スジ」が発生してしまっている。
【0151】
上記した「白スジ」は、いわゆる一様の濃度で印刷された印刷物であって、しかも印刷用紙が白でインクがブラックなどのように極端に濃度が異なる組み合わせの場合に、より顕著に目立ってしまい、印刷物の品質を極端に悪化させてしまう。
一方、ブラックノズルモジュール50ではなく、他の色に対応したノズルモジュール52,54及び56を用いた場合は、上記したように飛行曲りによってノズルN6が距離aだけずれたことにより、ノズルN6とその右隣りのノズルN7とが距離aの分だけ両者間の距離が近くなるために、これらのノズルが形成するドットの密度が高くなり(ドットが重なる場合もある)、この部分が「濃いスジ」となって目立ってしまい、この場合も印刷物の品質を極端に悪化させてしまう。
【0152】
従って、本発明に係る印刷装置100では、飛行曲がりの原因となるノズル、すなわち、異常ノズルN6だけでなくその近傍のノズルに対応する画素データを、印刷対象の画像データから間引きして、飛行曲りの発生している箇所の画像部分の解像度を低下させることによって「白スジ」又は「濃いスジ」を目立たなくすると共に、間引き対象の画素データの示す濃度値を両隣の画素データに分散することによって、当該画像部分の面積階調の低下を抑え、面積階調を略維持した状態で解像度を低下させることが可能である。更に、飛行曲りの大きさに応じて、間引き処理の対象とする画素の行の割合を制御することで、飛行曲りの比較的大きいところは、「白スジ」又は「濃いスジ」を目立たなくする処理を多く行い、一方、飛行曲りの比較的小さいところは、「白スジ」又は「濃いスジ」を目立たなくする処理を少なめに抑えることで、元の画素値をなるべく維持した状態で2値化を行うことが可能である。
【0153】
まず、印刷装置100は、画像データ取得部10において、外部装置等から印刷指示情報を受信すると(ステップS100)、当該印刷指示情報に対応する画像データを、印刷指示情報の送信元である外部装置等から取得し、当該取得した画像データを印刷ノズル設定部12に伝送する(ステップS102)。一方、印刷ノズル設定部12は、ノズル情報記憶部14からノズル特性情報を読み出し(ステップS104)、上記取得した画像データから所定領域の画素データを選択して(ステップS106)、当該選択した所定領域の画素データ及び上記読み出したノズル特性情報から、印刷ヘッド200のブラックノズルモジュール50において、所定領域の画素データに対して飛行曲りを発生する異常ノズルが対応しているか否かを判定し(ステップS108)、飛行曲りを発生する異常ノズルが対応している場合は、飛行曲りを考慮した印刷用データの生成処理に移行する(ステップS110)。
【0154】
飛行曲りを考慮した印刷用データの生成処理は、まず、印刷ノズル設定部12において、所定領域の画素データ及びノズル特性情報に基づき、当該所定領域の画素データから、飛行曲りを発生するノズル及びその近傍のノズルに対応する画素データを間引きする処理を行う。ここでは、前述同様にブラックノズルモジュール50におけるノズルN6に飛行曲がりが発生しており、当該ブラックノズルモジュール50による印刷結果が、図9(a)に示すように、ノズルN6によって形成されたドットがノズルN7によって形成されたドット側に距離aだけずれ、このため、ノズルN5とノズルN6との間の距離が正常時に比べて広くなっており、一方、ノズルN6とノズルN7との間の距離が正常時に比べて狭くなっている。従って、印刷ノズル設定部12においては、まず、所定領域の画像データを解析し(ステップS200)、次いで、ノズル特性情報記憶部14から位置ずれ量情報を読み出し(ステップS202)、当該位置ずれ量情報と、図10に示す、飛行曲り量と処理対象行の割合との関係に基づいて、所定領域の画像データに対して、処理対象とする行としない行とを設定する(ステップS204)。本実施の形態においては、図10に示す関係に基づき、飛行曲り量が4[μm]であれば、所定領域の画像データを構成する画素行の1/6を処理対象の行として設定し、6[μm]であれば、所定領域の画像データを構成する画素行の1/3を処理対象の行として設定するといったように飛行曲り量に応じて処理対象とする行数の割合を変更する。ここでは、ノズルN6がノズルN7の方向に6.3[μm]ずれているとして、図10より、所定領域の画像データを構成する画素行の1/2を処理対象の行として設定する。本実施の形態においては、所定領域の画像データにおける奇数行を処理対象として設定する。また、本実施の形態においては、図10に示すように、飛行曲り量が2[μm]以下の場合には、飛行曲りが発生していない(割合「0」)と判断する。
【0155】
上記したように処理対象の行が設定されると、図9(b)に示すように、処理対象の行(奇数行)における、飛行曲がりを発生するノズルN6と、当該ノズルN6の両隣のノズルN5及びノズルN7をそれぞれ1つずつ隔てた先にあるノズルN4及びノズルN8とに対応する画素データに対してこれらノズルN4、ノズルN6及びノズルN8を不使用とする設定を行い(ステップS206)、当該設定内容に基づき、これら不使用ノズルに対応する画素データを上記取得した画像データから間引きする処理を行う。その際、間引き対象の画素データの示す濃度値を、当該画素データの両隣にある画素データに分散する処理も行う(ステップS212,S214)。
【0156】
この分散処理は、例えば、間引き対象のノズルに対応する画素データの示す濃度値を2分(2分に限らない)した値を、その両隣にあるノズルに対応する画素データの示す濃度値に加算する処理であって、例えば、図9(c)に示すように、間引き対象であるノズルN6に対応するある画素データの示す濃度値が「26」であった場合に、これを2分した値(以下、分散値と称す)「13」を、その両隣にあるノズルN5及びノズルN7に対応する画素データの示す濃度値にそれぞれ加算する。同様に、ノズルN4に対応する画素データの示す濃度値「16」を2分した「8」を、その両隣にあるノズルN3及びノズルN5に対応する画素データの示す濃度値に加算し、ノズルN8に対応する画素データの示す濃度値「36」を2分した「18」を、その両隣にあるノズルN7及びノズルN9に対応する画素データの示す濃度値に加算する。このようにして濃度値が分散されると、図9(c)に示すように、ノズルN3に対応する濃度値は、その初期値「8」にノズル4からの分散値「8」を加えた「16」となり、ノズルN5に対応する濃度値は、その初期値「22」にノズルN4及びノズルN6からの分散値「8」及び「13」を加えた「43」となり、ノズルN7に対応する濃度値は、その初期値「30」にノズルN6及びノズルN8からの分散値「13」及び「18」とを加えた「51」となり、ノズルN9に対応する濃度値は、その初期値「40」にノズルN8からの分散値「18」を加えた「58」となる。つまり、上記間引き処理及び上記濃度値分散処理によって、上記取得した画像データは、ノズルN4、ノズルN6及びノズルN8に対応する画素データが間引きされると共に、前述したようにそれらに対応する画素データの示す濃度値が両隣の画素データに分散されたものに変換される。
【0157】
次いで、間引き処理及び濃度値分散処理の施された画像データは、印刷用データ生成部18に伝送され、そこで、当該画像データの2値化処理が行われる(ステップS220)。
2値化処理は、前述したように、各画素データの示す濃度値を、ノズルが形成可能な複数種類のドットサイズにそれぞれ設定された閾値と比較して、その比較結果に基づき、各ドットサイズのドットを形成する(「1」)、しない(「0」)を設定する処理である。
【0158】
本実施の形態において、ドットサイズの種類としては、図11に示すように、「極大」、「大」、「中」、「小」の4種類が用いられ、それぞれ、画素データの示す濃度値が「0」〜「24未満」の範囲にある場合は、「ドットなし」となってドットが打たれず、画素データの示す濃度値が「24以上」〜「126」の範囲にある場合は濃度値「84」に相当するサイズ「小」のドットを形成し、画素データの示す濃度値が「126以上」〜「212」の範囲にある場合は濃度値「168」に相当するサイズ「中」のドットを形成し、画素データの示す濃度値が「212以上」〜「298」の範囲にある場合は濃度値「255」に相当するサイズ「大」のドットを形成し、濃度値が「298」よりも大きい場合は濃度値「340」に相当するサイズ「極大」のドットを形成する。
【0159】
また、2値化処理は、例えば、誤差拡散法などの手法を用いて行う。ここで、誤差拡散法において処理対象となる各画素データの示す濃度値をαとすると、「α≦84」であれば小ドットに対して形成する、即ち「1」となり、「85<α」であれば形成しない、即ち「0」となる。同様に、中ドットに対しては、「86≦α≦168」であれば「1」となり、「α<85」及び「168<α」であれば「0」となり、更に、大ドットに対しては、「169≦α≦255」であれば「1」となり、「α≦168」であれば「0」となり、尚更に、極大ドットに対しては、「255<α」であれば「1」となり、「α≦255」であれば「0」となる。つまり、これらの比較結果に基づき、上記4種類のドットサイズに対して、ドットを形成することを示す数値「1」が一つでもあれば、それらのうち最も大きいドットサイズに対して「1」となっているものを選択し、一方、全てのドットサイズについて、形成しないことを示す数値「0」となった場合は「0」を選択する。
【0160】
なお、本実施の形態における誤差拡散処理においては、図12(a)に示すように間引きされた画素を無視して、その次の未処理画素に誤差を拡散し、また、図12(b)に示すような誤差拡散マトリックスを用いることができる。また、テキストなどに注力した処理では、誤差拡散に限らず、単純に各画素の閾値比較により値を決定したり、また、他の面積階調表現方法としてディザなどの手法を用いても良い。
【0161】
このように、間引き処理及び濃度値分散処理の施された所定領域の各画素データ毎に、当該画素データを上記4種類のうちいずれか1のサイズのドットを形成することを示す値、又は形成しないことを示す値「0」のいずれかに変換する。例えば、形成することを示す値としては「1」に、サイズを示す情報を付加して、極大ドットを「LL1」、大ドットを「L1」、中ドットを「M1」、小ドットを「S1」とした場合は、これらのうちいずれか1つの値か、形成しないことを示す「0」のどちらか一方に変換されることになる。
【0162】
なお、このようにドットサイズを制御する技術的方法としては、例えば、印刷ヘッドにピエゾ素子(piezo actuator)を使用した方式の場合は、そのピエゾ素子に加える電圧を変えてインクの吐出量をコントロールすることで容易に実現可能となっている。
上記2値化処理が、上記間引き処理及び上記濃度値分散処理の施された画像データの所定領域における全画素データに対して終了し(ステップS218)、且つ画像データの全領域に対する画素データ対して完了すると(ステップS112)、この2値化処理の施された画像データが印刷用データとして印刷部20に出力される(ステップS114)。
【0163】
そして、印刷部20においては、印刷用データ生成部18から出力された印刷用データに基づき、ブラックノズルモジュール50を用いて印刷媒体にドット形成(印刷)が行われる(ステップS116)。この形成結果は、図13(c)に示すように、奇数行(1,3,5,・・・)においては、ノズルN4、ノズルN6及びノズルN8に対応するドットが形成されず、これらのノズルに隣り合うノズルN3、ノズルN5、ノズルN7及びノズルN9に対応する箇所のドットサイズが、図13(b)に示すように、ノズルN6に飛行曲りが起きている状態を考慮せずに(上記した間引き処理及び濃度値分散処理を行わない)通常の印刷用データを生成した場合のドット形成結果のものと比較して、大きなサイズになっているのが解る。この結果は、上記した濃度値の分散により発生するもので、間引き対象の画素データから分散された値により、ノズルN3、ノズルN5、ノズルN7及びノズルN9に対応する画素データの示す濃度値が、ドットサイズ「小」、「中」又は「大」の数値範囲から、ドットサイズ「中」、「大」又は「極大」の数値範囲に変化したためである。なお、図13(a)は、間引き処理及び濃度値分散処理を施していない画像データから生成された通常の印刷用データに基づき、飛行曲りの発生しているノズルの無い正常なブラックノズルモジュール50によって、印刷媒体にドットが形成された理想的な結果を示している。マクロ的な視点で見ると、図13(c)の印刷結果は、図13(a)の理想的な印刷結果と比較すると、多少のざらつき感が発生することは否めないものの、視覚的に白スジ及び濃いスジと認識される現象を図13(b)に示す飛行曲りを考慮しない場合の印刷結果よりも目立たなくすることができ、トータルとしての画質を改善できる。
【0164】
また、図10に示す、飛行曲り量と処理対象行の割合との関係に基づいて、飛行曲り量の大きさに応じて、バンディングを解消するための間引き処理を行う画素行の割合を制御するようにしたので、間引き処理によって生じる元の印刷画質への悪影響を最小限に抑え、飛行曲り量の大きさを考慮せずに処理を行うよりも画質を改善できる。
上記第1の実施の形態において、画像データ取得部10は、形態1、8、34及び41のいずれか1の画像データ取得手段に対応し、ノズル情報記憶部14は、形態1又は34の位置ずれ量情報記憶手段に対応し、印刷ノズル選択部12及び印刷用データ生成部18は、形態1、7、8、34、40及び41のいずれか1の印刷用データ生成手段に対応し、印刷部20は、形態1の印刷手段に対応する。
【0165】
上記第1の実施の形態において、ステップS102は、形態13、20、24、31、44、51、55及び62のいずれか1の画像データ取得ステップに対応し、ステップS108及びステップS110は、形態13、19、20、24、30、31、44、50、51、55、61及び62のいずれか1の印刷用データ生成ステップに対応し、ステップS116は、形態13又は24の印刷ステップに対応する。
【0166】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態を図面に基づき説明する。図14〜図17は、本発明に係る印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用データ生成装置、印刷用データ生成プログラム及び印刷用データ生成方法の第2の実施の形態を示す図である。
【0167】
本実施の形態の印刷装置、並びにコンピュータシステムの構成は上記第1の実施の形態の図1、図2と同様のものとなる。本実施の形態では、上記第1の実施の形態の図5におけるステップS110で行われる印刷用データの生成処理が、図14のものに変更されている。
この図14の印刷用データ生成処理は、上記第1の実施の形態とその生成原理は同じだが、飛行曲り量の大きさに基づいて、飛行曲りを発生するノズルに対応する画素列に対してドットを拡大する割合を決定し、前記画素列の各画素毎に乱数を用いた抽選処理を行い、当選した画素については、前記決定した発生割合を考慮したドット拡大処理を行うと共に、ドットを拡大した画素の周辺画素のドットを縮小又は間引き処理する。以下、上記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、上記第1の実施の形態と重複する部分については説明を省略する。
【0168】
図14に基づき、本実施の形態におけるステップS110の飛行曲りを考慮した印刷用データの生成処理を詳細に説明する。
図14は、印刷装置100の印刷用データ生成部18における、飛行曲りを考慮した印刷用データの生成処理を示すフローチャートである。
この印刷用データの生成処理は、飛行曲りを発生する異常ノズルの飛行曲り量の大きさに基づき、当該異常ノズルに対応する画素列における大ドットの形成割合を決定すると共に、当該異常ノズルに対応する画素列の各画素毎にドットサイズを拡大する抽選処理を行い、この抽選に当選した画素について、前記大ドットの形成割合を考慮した拡大処理を行い、当該処理後の画像データに基づき印刷用データを生成する処理であって、ステップS110において実行されると、図14に示すように、まず、ステップS300に移行するようになっている。
【0169】
ステップS300では、ノズル情報記憶部14から、所定領域の画像データに対応した、ノズル特性情報及び位置ずれ量情報を読み出してステップS302に移行する。
ステップS302では、ステップS300で読み出したノズル特性情報及び位置ずれ量情報に基づき、飛行曲りに対応する異常ノズルの形成するドットの理想位置からのずれ量に基づき、所定領域の画像データにおける異常ノズルに対応する画素列に対する、各画素のドットサイズを元のサイズから「大ドット」へと変更するドット拡大処理を行う割合を決定してステップS304に移行する。本実施の形態においては、飛行曲り量が大きいほど、ドット拡大処理を行う割合を高くし、飛行曲り量が小さいほど、ドット拡大処理を行う割合を低くする。
【0170】
ステップS304では、所定領域の画像データから、未処理の画素データを選択してステップS306に移行する。
ステップS306では、ステップS304で選択した画素データに対して2値化処理を行いステップS308に移行する。ここで、2値化処理は、上記第1の実施の形態と同様に誤差拡散の手法を用いる。
【0171】
ステップS308では、ステップS306の2値化処理の結果、選択画素のドットが形成されるか否かを判定し、形成されると判定された場合(Yes)はステップS310に移行し、そうでない場合(No)はステップS326に移行する。
ステップS310に移行した場合は、選択画素が、ドット拡大処理の抽選対象か否かを判定し、抽選対象の画素であると判定された場合(Yes)はステップS312に移行し、そうでない場合(No)はステップS326に移行する。本実施の形態においては、抽選対象の画素として、飛行曲りに対応するノズルとその左隣のノズルとに対応する画素を、ドット拡大処理の実行抽選対象として設定する。
【0172】
ステップS312に移行した場合は、ステップS302で設定した割合を用いて、ドット拡大処理を行うか否かの抽選を行いステップS314に移行する。本実施の形態においては、ステップS302で設定した割合に応じて所定の乱数を用いた抽選を行う。
ステップS314に移行した場合は、選択画素が、ステップS312の抽選において、ドット拡大処理対象に当選したか否かを判定し、当選したと判定された場合(Yes)はステップS316に移行し、そうでない場合(No)はステップS326に移行する。
【0173】
ステップS316に移行した場合は、選択画素の近傍に既に処理が終了した「大」ドットが存在するか否かを判定し、存在すると判定された場合(Yes)はステップS318に移行し、そうでない場合(No)はステップS320に移行する。
ステップS318に移行した場合は、ステップS302で設定した割合が50%以上か否かを判定し、50%以上であると判定された場合(Yes)はステップS320に移行し、そうでない場合(No)はステップS326に移行する。
【0174】
ステップS320に移行した場合は、選択画素のドットに対して、ドット拡大処理を実行してステップS322に移行する。
ステップS322では、選択画素近傍の処理済み画素のドットに対して縮小処理または間引き処理を実行してステップS324に移行する。このドット縮小処理及び間引き処理は、近傍の処理済みのドットを、現在のサイズから一段階小さいサイズに変更する処理であり、近傍ドットが一番小さいサイズの場合は、そのドットを間引く。
【0175】
ステップS324では、選択画素の拡大変更およびその周辺画素の縮小処理または間引き処理に伴って発生した各ドットのドットサイズ変更による誤差を未処理画素に対して誤差拡散してステップS326に移行する。
ステップS326では、選択画素のドットサイズを確定してステップS328に移行する。
【0176】
ステップS328では、所定領域の画像データにおける全画素データに対してステップS304〜ステップS326までの処理が行われたか否かを判定し、行われたと判定された場合(Yes)は一連の処理を終了して元の処理に戻り、そうでない場合(No)はステップS304に移行する。
次に、図15〜図17に基づき、本実施の形態の動作を説明する。
【0177】
ここで、図15は、本発明の印刷処理によって形成されたドット変更の過程を示す概念図である。また、図16は、飛行曲り量とドット拡大処理の実行割合との関係を示す図である。また、図17は、本発明の印刷処理によって形成されたドット変更によるドットパターンの一例を示す概念図である。
本実施の形態においても、上記第1の実施の形態における図8に示すように、ブラックノズルモジュール50のノズルN6に飛行曲りが発生しており、そのノズルN6によって形成されるドットがその右隣りの正常なノズルN7で形成されるドット側に、距離aだけずれてしまい、この結果、ノズルN6によって形成されるドットと、その左隣りのノズルN5によって形成されるドットとの間に「白スジ」が発生してしまっている。
【0178】
本実施の形態における飛行曲りを考慮した印刷用データの生成処理は、まず印刷用データ生成部18において、ノズル特性情報記憶部14から、ステップS106で選択された所定領域の画像データに対応したノズル特性情報及び位置ずれ量情報を読み出す(ステップS300)。ここでは、図8に示すドットパターンに対応した画像データに対応するノズル特性情報及び位置ずれ量情報を読み出す。次いで、前記読み出したノズル特性情報及び位置ずれ量情報に基づき、飛行曲りを発生する異常ノズル(ここでは、ノズルN6)に対して、当該異常ノズルに対応する画素列について、元のドットサイズを「大ドット」へと変更するドット拡大処理を行う割合を設定する(ステップS302)。本実施の形態において、この割合は、図16に示す、飛行曲り量とドット拡大処理の実行割合との関係に基づいて設定を行う。例えば、ノズルN6の飛行曲り量が6[μm]であった場合は、図16に示すように、ドット拡大処理の実行割合を30%に設定し、ノズルN6の飛行曲り量が10[μm]であった場合は、図16に示すように、ドット拡大処理の実行割合を50%に設定する。
【0179】
ドット拡大処理の実行割合を設定したら、次に、選択した所定領域の画像データから未処理の画素データを1つ選択し(ステップS304)、当該選択画素データに対して2値化処理を行う(ステップS306)。
2値化処理は、前述したように、各画素データの示す濃度値を、ノズルが形成可能な複数種類のドットサイズにそれぞれ設定された閾値と比較して、その比較結果に基づき、各ドットサイズのドットを形成する(「1」)、しない(「0」)を設定する処理である。
【0180】
本実施の形態において、ドットサイズの種類としては、上記第1の実施の形態の図11に示すように、「極大」、「大」、「中」、「小」の4種類のうち「大」、「中」、「小」の3種類を用い、それぞれ、画素データの示す濃度値が「1」〜「84」の範囲にある場合はサイズ「小」のドットを形成し、画素データの示す濃度値が「85」〜「168」の範囲にある場合はサイズ「中」のドットを形成し、画素データの示す濃度値が「169」〜「255」の範囲にある場合はサイズ「大」のドットを形成し、画素データの示す濃度値が「0」のときは、ドットを形成しない。
【0181】
また、2値化処理においては、上記第1の実施の形態と同様に誤差拡散処理の手法を用い、例えば、図12(b)に示すような誤差拡散マトリックスを用いて誤差拡散処理が行われる。
2値化処理が終了すると、その画素データに対してドットが形成されるか否かを判定し(ステップS308)、ドットが形成される場合は、更に、その画素データが抽選処理対象か否かを判定し(ステップS310)、抽選処理対象であると判定されると、上記設定したドット拡大処理の実行割合に基づき、乱数を用いた抽選処理を行う(ステップS312)。ここでは、選択画素データがノズルN6に対応する画素データであるとし、更に、ノズルN6の飛行曲り量が6[μm]であるとして、実行割合「30%」を用いて抽選が行われたとする。
【0182】
上記抽選処理によって、選択画素データが、ドット拡大処理の実行対象として当選すると(ステップS314)、近傍の処理済みの画素データのドット(ここでは、選択画素データの真上のドットのみを対象とする)に「サイズ大」のドットがあるか否かを判定し(ステップS316)、近傍の処理済みの画素データのドットに「サイズ大」となるドットが無いと判定されると、選択画素データに対してドット拡大処理を実行し(ステップS320)、更に、選択画素データのドット近傍の処理済みの画素データのドットサイズを縮小又は間引きする処理を行う(ステップS322)。一方、近傍に「サイズ大」となる画素データがある場合は、実行割合が50%以上か否かを判定し、ここでは実行割合が30%であるので、選択画素データのドット拡大処理を行わずに、当該画素データのドットサイズを現在のサイズに確定する(ステップS326)。
【0183】
以下、選択画素データのドットが、図15(a)に示すように、「小ドット」となる画素データであり、更に、当該画素データが抽選によってドット拡大処理の実行対象に当選した場合を説明する。図15(a)に示すように、選択画素データのドットの真上のドットは「中ドット」であるので、この場合は、図15(b)に示すように、ドット拡大処理が実行され、選択画素データのドットサイズが「小ドット」から「大ドット」に変更される。これによって、飛行曲がり現象によって発生する白スジ部分に大ドットが形成されるようになるため、白スジ部分を消滅するまたは殆ど目立たなくすることが可能となる。
【0184】
更に、拡大処理されたドットの真上のドットは「中サイズ」のドットであるので、図15(c)に示すように、これを「小ドット」へと一段階小さいドットサイズへと変更する。これによって、先に変更した選択画素部分の面積階調が元の面積階調、あるいは他の正常な部分の面積階調とほぼ同じとなるため、その補正箇所が他の部分より目立ってしまうといった不都合も効果的に回避することができる。
【0185】
このように、ドット拡大処理の実行割合が30%の場合に、上記同様の処理を繰り返し行うことで、図8に示す各ドットのサイズが確定され、選択した所定領域の画像データに対する印刷用データが生成される。そして、当該生成された印刷用データによって実行される図8に示す画像部分の印刷処理結果は、図17に示すように、異常なノズルN6だけでなくその左隣のノズルN5によって形成されるドットの大きさを元のドットに比べて変更、または間引くように2値化処理されたものとなり、これによって、その「白スジ」部分に大ドットが形成され、その「白スジ」を消滅するまたは殆ど目立たなくすると共に、その修正部分の面積階調を他の正常な部分の面積階調と合わせてその修正部分が目立ってしまうのを確実に回避することが可能となる。
【0186】
上記第2の実施の形態において、画像データ取得部10は、形態1、5、6、34、38及び39のいずれか1の画像データ取得手段に対応し、ノズル情報記憶部14は、形態1又は34の位置ずれ量情報記憶手段に対応し、印刷ノズル選択部12及び印刷用データ生成部18は、形態1、2、3、4、5、6、34、35、36、37、38及び39のいずれか1の印刷用データ生成手段に対応し、印刷部20は、形態1の印刷手段に対応する。
【0187】
上記第2の実施の形態において、ステップS102は、形態13、17、18、24、28、29、44、48、49、55、59及び60のいずれか1の画像データ取得ステップに対応し、ステップS108及びステップS110は、形態13、14、15、16、17、18、24、25、26、27、28、29、44、45、46、47、48、49、55、56、57、58、59及び60のいずれか1の印刷用データ生成ステップに対応し、ステップS116は、形態13又は24の印刷ステップに対応する。
【0188】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態を図面に基づき説明する。図18〜図23は、本発明に係る印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用データ生成装置、印刷用データ生成プログラム及び印刷用データ生成方法の第3の実施の形態を示す図である。
【0189】
本実施の形態の印刷装置は、上記第1及び第2の実施の形態の図1の印刷装置100から、ノズル設定部12を除外したものに相当し、コンピュータシステムは、上記第1及び第2の実施の形態の図1と、印刷ヘッドは、上記第1及び第2の実施の形態の図3とそれぞれ同様のものとなる。更に、本実施の形態では、上記第1及び第2の実施の形態の図5における印刷処理、並びに図6又は図14における印刷用データの生成処理が、図19及び図20のものに変更されている。
【0190】
そして、上記第1及び第2の実施の形態と異なるのは、画像データを高解像度化し、飛行曲りを発生するノズルについては、高解像度化した画像データから、当該ノズルのドット形成位置が、高解像度化前の理想形成位置に最も近くなる画素データを選択して印刷用データを生成する点と、選択画素データ近傍の選択しなかった画素データの濃度値と、選択画素データの飛行曲り量の大きさとに基づき選択画素データの濃度値を補正する点にある。以下、上記第1及び第2の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、上記第1及び第2の実施の形態と重複する部分については同じ符号を付し説明を省略する。
【0191】
まず、本発明に係る印刷装置300の構成を図18に基づき説明する。図18は、本発明に係る印刷装置300の構成を示すブロック図である。
印刷装置300は、ラインヘッド型の印刷装置であり、図18に示すように、外部装置や記憶装置等から所定画像を構成する画像データを取得する画像データ取得部10と、後述するノズル特性検出部16で検出された印刷ノズルの特性情報及び位置ずれ量情報を記憶したり、工場出荷前などに予め測定試験等によって検出されたノズル特性情報及び位置ずれ量情報を記憶したりするノズル情報記憶部14と、テスト印刷を行い印刷ヘッド200における各印刷ノズルの特性(飛行曲りを発生するノズルか否かや、ノズルのドット形成位置等)を検出可能なノズル特性検出部16と、画像データと、ノズル特性情報記憶部12の記憶内容とに基づき、印刷部20において、画像データの画像を印刷媒体S(ここでは、印刷用紙)に印刷するための印刷用データを生成する印刷用データ生成部18と、印刷用データに基づき画像データの画像を、インクジェット方式によって印刷用紙に印刷する印刷部20とを含んだ構成となっている。
【0192】
印刷用データ生成部18は、画像データ取得部10で取得した画像データ(以下、第1画像データと称す)を高解像度化し、当該高解像度化した画像データから印刷ヘッド200の各ノズルに対応する画素データを選択して第2画像データを生成する。
この第2画像データの生成時においては、飛行曲りの発生する異常ノズルについては、高解像度化前の画素データに対応する高解像度後の複数の画素データから、ノズルのドット形成位置が理想の形成位置となる画素データを選択し、それ以外の正常なノズルについては、高解像度前と同じ画素データを選択する。
【0193】
更に、このようにして生成された第2画像データを、高解像化画像において未選択の画素データによって補正し第3画像データを生成する。
この補正処理は、選択画素データと当該選択画素データ近傍の未選択画素データとの画素値の平均値を選択画素データの画素値とする処理であり、選択画素データに対応するノズル又はその近傍のノズルが飛行曲りに対応している場合は、当該飛行曲り量の大きさに応じて、選択画素データに対する平均を算出する近傍画素データの数を制御する。
【0194】
そして、第3画像データが生成されると、当該第3画像データに対して、上記第1及び第2の実施の形態と同様の2値化処理を施して印刷用データを生成する。
なお、本実施の形態においては、第1画像データの解像度と、印刷ヘッド200の解像度(画素数および画素ピッチ)はいずれも一致しているものとする。
図19は、印刷装置300における印刷処理を示すフローチャートである。
【0195】
印刷処理は、CPU60によって実行されると、図19に示すように、まず、ステップS400に移行するようになっている。
ステップS400では、画像データ取得部10において、ネットワークケーブルLを介して接続された外部装置からの印刷指示情報が送られてくることにより、あるいは入力装置74を介して印刷指示情報が入力されたことにより、印刷指示があったか否かを判定し、印刷指示があったと判定された場合(Yes)はステップS402に移行し、そうでない場合(No)は印刷指示があるまで判定処理を繰り返す。
【0196】
ステップS402に移行した場合は、画像データ取得部10において、印刷指示に対応する第1画像データを、上記したように、外部装置、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体、HDD等の記憶装置70などから取得する処理を行い、これにより第1画像データを取得したか否かを判定し、取得したと判定された場合(Yes)は、当該取得した第1画像データを印刷用データ生成部18に伝送してステップS404に移行し、そうでない場合(No)は、印刷指示元に対して印刷不可などの返答を行った後、当該印刷指示に対する印刷処理を放棄してステップS400に移行する。
【0197】
ステップS404では、印刷用データ生成部18において、第1画像データに対する印刷用データを生成する印刷データ生成処理を実行してステップS406に移行する。
ステップS406では、印刷用データ生成部18において、印刷用データの生成処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)はステップS408に移行し、そうでない場合(No)はステップS404に移行して処理を継続する。
【0198】
ステップS408に移行した場合は、印刷用データ生成部18において、ステップS406で生成した印刷用データを印刷部20に出力してステップS410に移行する。
ステップS410では、印刷部20において、印刷用データ生成部18からの印刷用データに基づき、印刷処理を実行してステップS400に移行する。
次に、図20に基づき、ステップS404の印刷用データの生成処理を詳細に説明する。
【0199】
図20は、印刷装置300における、印刷用データの生成処理を示すフローチャートである。
この印刷用データの生成処理は、上記したように第1画像データを高解像度化した第2画像データを生成し、当該第2画像データからドットの形成位置が理想の形成位置に最も近い画素データを選択し、当該選択画素データを、飛行曲り量の大きさを考慮して未選択の画素データで補正して第3画像データを生成し、当該第3画像データに基づき印刷用データを生成する処理であって、ステップS404において実行されると、図20に示すように、まず、ステップS500に移行するようになっている。
【0200】
ステップS500では、第1画像データから所定領域の未処理の画像データを選択してステップS502に移行する。
ステップS502では、ステップS500で選択した所定領域の第1画像データを高解像度化して第2画像データを生成しステップS504に移行する。本実施の形態において、この高解像度化処理は、印刷ヘッド200を構成するノズルの並ぶ列方向、即ち画像データの列方向の画素数を整数倍する処理であって、例えば、4倍に高解像度化する場合は、画像データの列方向の画素数を4倍する。この処理においては、例えば単純に同じ画素データを列方向に3つコピーすることでその数を増やし解像度を4倍にする。
【0201】
ステップS504では、ノズル情報記憶部14から、選択した所定領域の第1画像データに対応するノズル特性情報及び位置ずれ量情報を読み出してステップS506に移行する。
ステップS506では、ステップS502で生成した第2画像データと、ステップS504で読み出したノズル特性情報及び位置ずれ量情報とに基づき、第2画像データにおける各画素データのドット形成位置を算出してステップS508に移行する。
【0202】
ステップS508では、所定領域の第1画像データから、未処理の画素データを選択してステップS510に移行する。
ステップS510では、ステップS508で選択した画素データが、飛行曲りに対応しているか否かを判定し、対応していると判定された場合(Yes)はステップS512に移行し、そうでない場合(No)はステップS522に移行する。
【0203】
ステップS512に移行した場合は、第2画像データから、選択画素データに対する、理想のドット形成位置に最も近い画素データを選択してステップS514に移行する。以下、第2画像データから選択される選択画素データに対応した画素データを、第3画素データ候補と称す。
ステップS514では、ステップS500で選択した所定領域の画像データの全ての画素データに対して第3画素データ候補の選択処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)はステップS516に移行し、そうでない場合(No)はステップS508に移行する。
【0204】
ステップS516では、第3画素データ候補に対応する飛行曲り量に基づき、第3画素データ候補の画素値を、当該画素値と第2画像データにおけるその近傍の画素データの画素値によって補正して第3画像データを生成しステップS516に移行する。
ここで、第3画素データ候補の画素値補正処理は、上記したように、第2画像データにおける、当該第3画素データ候補の飛行曲り量の大きさ(ここでは、第3画素データ候補間のドット間距離)に応じた数の、当該第3画素データ候補とその近傍の画素データとを用いて、これらの平均値を算出し、当該平均値を第3画素データ候補の画素値とする処理である。例えば、飛行曲り量の大きさに応じて、第3画素データ候補の隣り合うドットに対して、飛行曲りに対応するドットとのドット間隔が広くなるドットに対しては、平均をとる画素データ数を増やし、飛行曲りに対応するドットとのドット間隔が狭くなるドットに対しては、平均をとる画素データ数を少なくする。また、画素値の補正された第3画素データ候補によって第3画像データが形成される。なお、本実施の形態において画素値は、輝度値である。
【0205】
ステップS518では、ステップS516で生成した第3画像データに対して2値化処理を施して印刷用データを生成しステップS520に移行する。
ステップS520では、第1画像データの全領域に対して印刷用データの生成処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)は一連の処理を終了して元の処理に戻り、そうでない場合(No)はステップS500に移行する。
【0206】
一方、ステップS510において、選択画素データが飛行曲りに対応してなく、ステップS522に移行した場合は、高解像度化前の第1画像データの画素をそのまま第3画素データ候補として選択してステップS514に移行する。
次に、図21〜図23に基づき、本実施の形態の動作を説明する。
ここで、図21は、第1画像データと、第2画像データと、第3画像データと、飛行曲がり現象を起こしているドット形成位置と、選択画素との関係を示す概念図である。また、図22は、画素値とドットサイズとの関係を示す図である。また、図23は、正常な場合と飛行曲がりを起こしている場合、および本発明を適用した場合のそれぞれのドットパターンを示す図である。
【0207】
本実施の形態においては、図23(b)のドット形成結果に示すように、上記第1の実施の形態と同様にブラックノズルモジュール50のノズルN6の形成するドットに飛行曲りが発生しており、図23(a)の理想的なドット形成結果と比べると、飛行曲りを発生するノズルN6によって形成されるドットがその右隣りの正常なノズルN7で形成されるドット側に、距離aだけずれてしまい、この結果、ノズルN6によって形成されるドットと、その左隣りのノズルN5によって形成されるドットとの間に「白スジ」が発生してしまっている。
【0208】
まず、印刷装置300は、画像データ取得部10において、外部装置等から印刷指示情報を受信すると(ステップS400)、当該印刷指示情報に対応する第1画像データを、印刷指示情報の送信元である外部装置等から取得し、当該取得した第1画像データを印刷用データ生成部18に伝送する(ステップS402)。一方、印刷用データ生成部18は、第1画像データを取得すると、印刷用データの生成処理の実行を開始する(ステップS404)。
【0209】
印刷用データの生成処理は、まず、第1画像データから所定領域の未処理の画像データを選択し(ステップS500)、当該選択した画像データを高解像度化して、第2画像データを生成する(ステップS502)。ここでは、各画素を行方向に解像度を4倍に高解像度化する。例えば、図21(A)に示すように、所定領域の第1画像データにおけるある行の画素データに着目すると、図21(B)に示すように、この行の各画素の画素数を横方向に4倍にすることで高解像度化を行う。
【0210】
所定領域の第1画像データに対する第2画像データが生成されると、次に、ノズル情報記憶部14から、所定領域の第1画像データに対応したノズル特性情報及び位置ずれ量情報を読み出し(ステップS504)、これら読み出した情報に基づき第2画像データの各画素のドット形成位置を算出する(ステップS506)。
第2画像データのドット形成位置が算出されると、所定領域の第1画像データから未処理の画素データを1つ選択して(ステップS508)、上記読み出したノズル特性情報に基づき、その画素データが飛行曲りに対応しているか否かを判定し(ステップS510)、飛行曲りに対応している場合は、第2画像データから選択画素データに対応する画素データのうち、ドットの形成位置が、理想の形成位置に最も近くなる画素データを第3画素データ候補として選択し(ステップS512)、一方、選択画素データが飛行曲りに対応していない場合は、選択画素データをそのまま第3画素データ候補として選択する(ステップS522)。
【0211】
例えば、図21に示すように第2画像データ(B)の画素値に対応するドット形成位置と、本発明の印刷装置300に備えられた印刷ヘッド200によるドット形成位置(D)に関する情報とを対応(マッチング)させた場合、左側から4番目のドット形成位置が飛行曲がり現象によって右側に1ドット分だけずれていることから、選択画素(F)は、第2画像データ(B)のうち、このドット形成位置(D)に対応する画素P4aが選択されることになる。
【0212】
更に、所定領域の全画素データに対して第3画素データ候補が選択されると(ステップS514)、第2画像データにおける、当該第3画素データ候補のドットとその両隣の画素データのドットとの飛行曲り量の大きさ、ここでは、当該第3画素データ候補のドットとその両隣の画素データのドットとのドット間隔に基づき、平均値を算出する画素データを決定し、これら画素データの画素値の平均値を算出して第3画素データ候補の画素値を補正して第3画像データを生成する(ステップS516)。
【0213】
例えば、図21(F)に示すように、第3画素データ候補である画素P4aとその左隣の画素P3とのドット間隔と、画素P4aとその右隣の画素P5とのドット間隔とを比較すると、明らかに、P4a及びP5のドット間隔の方が短い。このような場合に、間隔の短いP4a及びP5を補正する際の平均値を求める画素データの数を4つとし、一方、間隔の長いP3を補正する際の平均値を求める画素データの数を5つとする。つまり、飛行曲りの発生している画素P4aと、当該P4aとのドット間隔の短い画素P5に対しては平均値を求める画素データ数を小さくし、一方、当該P4aとのドット間隔の長い画素P5に対しては平均値を求める画素データ数を大きくする。そして、当該算出した平均値を第3画素データ候補の画素値として設定する。
【0214】
具体的には、例えば、図21に示すように、第2画像データから選択時の画素P2の画素値は「18」であったが、上記補正処理後の画素値は、図21(F)に示すように、「12+15+18+20+22」/5である「17.5」に増加することになる。また、同様に選択時の画素P3の画素値は「26」であったが、補正処理後の画素値は、「22+24+26+28+30」/5である「29.75」に大幅に増加することになる。また、この選択画素P3に隣接する、飛行曲がりを起こしている選択画素P4aの画素値は「36」であったが、補正処理により、処理後の画素値は、「32+34+36+38」/4である「35」に減少し、また、その隣り選択画素P5の画素値は「42」であったものが、補正処理により、処理後の画素値は、「41.5」に減少することになる。
【0215】
すなわち、飛行曲がり現象によりノズル間隔が長くなる画素ではその画素値が元の画素値よりも大きくなり、ノズル間隔が短くなる画素ではその画素値が元の画素値よりも小さくなるように補正処理が行われる。
第3画像データが生成されると、次いで、第3画像データを2値化して印刷用データを生成する(ステップS518)。
【0216】
本実施の形態における2値化処理は、原理的には、上記第1の実施の形態と同様であるが、この例では、各画素データの示す輝度値に基づいて行われるため、各画素データの示す輝度値を、ノズルが形成可能な複数種類のドットサイズにそれぞれ設定された閾値と比較して、その比較結果に基づき、各ドットサイズのドットを形成する(「1」)、しない(「0」)を設定する処理となる。
【0217】
本実施の形態において、ドットサイズの種類としては、図22に示すように、「大」、「中」、「小」の3種類が用いられ、それぞれ、画素データの示す輝度値が「255」である場合はドットが形成されず、画素データの示す輝度値が「168」〜「254」の範囲にある場合はサイズ「小」のドットを形成し、画素データの示す輝度値が「85」〜「167」の範囲にある場合はサイズ「中」のドットを形成し、画素データの示す輝度値が「0」〜「83」の範囲にある場合はサイズ「大」のドットを形成する。
【0218】
上記2値化による印刷用データの生成処理が、画像データの全領域に対する画素データに対して完了すると(ステップS520)、この2値化処理の施された画像データが印刷用データとして印刷部20に出力される(ステップS408)。
そして、印刷部20においては、印刷用データ生成部18から出力された印刷用データに基づき、ブラックノズルモジュール50を用いて印刷媒体にドット形成(印刷)が行われる(ステップS410)。
【0219】
この形成結果は、図23(c)に示すように、飛行曲りを発生するノズルN6に対応する画素列のドットについては、図23(b)に示すように、ノズルN6に飛行曲りが起きている状態を考慮せずに(本発明の処理を行わない)生成された印刷用データに基づきドットを形成した場合の形成結果のものと比較して、大きなサイズのドット数が増えており、更に、ノズルN6の飛行曲りによって当該ノズルN6の形成するドットとのドット間隔が狭くなるノズルN7に対応する画素列のドットについては、小さいドットの数及び間引き数が増えているのが解る。
【0220】
この結果は、上記した輝度値の補正処理により発生するもので、飛行曲がり現象によりノズル間隔が長くなる画素ではその輝度値が元の値よりも大きくなり、ノズル間隔が短くなる画素ではその輝度値が元の値よりも小さくなるためである。
マクロ的な視点で見ると、図23(c)の印刷結果は、図23(a)の理想的な印刷結果と比較すると、多少のざらつき感が発生することは否めないものの、視覚的に白スジ及び濃いスジと認識される現象を図23(b)に示す飛行曲りを考慮しない印刷結果よりも目立たなくすることができる。
【0221】
また、飛行曲り量の大きさ、ここではドット間隔の大きさに基づいて、上記補正処理時の画素データ数を制御するようにしたので、より適切な輝度値への補正を行うことができるので、画質を向上させることができる。
上記第3の実施の形態において、画像データ取得部10は、形態1、9、34及び42のいずれか1の画像データ取得手段に対応し、ノズル情報記憶部14は、形態1又は34の位置ずれ量情報記憶手段に対応し、印刷用データ生成部18は、形態1、7、9、34、40及び42のいずれか1の印刷用データ生成手段に対応し、印刷部20は、形態1の印刷手段に対応する。
【0222】
上記第3の実施の形態において、ステップS402は、形態13、21、24、32、44、52、55及び63のいずれか1の画像データ取得ステップに対応し、ステップS404は、形態13、19、21、24、30、32、44、50、52、55、61及び63のいずれか1の印刷用データ生成ステップに対応し、ステップS410は、形態13又は24の印刷ステップに対応する。
【0223】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態を図面に基づき説明する。図24〜図31は、本発明に係る印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用データ生成装置、印刷用データ生成プログラム及び印刷用データ生成方法の第4の実施の形態を示す図である。
【0224】
本実施の形態の印刷装置、コンピュータシステムは、上記第3の実施の形態の図18、上記第1〜第3の実施の形態の図2とそれぞれ同様のものとなる。更に、本実施の形態では、印刷ヘッド200の構成が、上記第1〜第3の実施の形態における図3から図24のものに変更され、上記第3の実施の形態の図19におけるステップS404の印刷用データ生成処理が、図25のものに変更されている。
【0225】
この図25の印刷用データ生成処理は、印刷用データとして、画像データの各画素値に基づき各画素を基準ドット及び拡張ドットを用いて形成するための情報を生成するもので、その生成の際に、飛行曲り量の大きさに基づいて拡張ドットの形成サイズを補正する。
以下、上記第1〜第3の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、上記第1〜第3の実施の形態と重複する部分については同じ符号を付し説明を省略する。
【0226】
本実施形態の印刷装置300は、前述したようにラインヘッド型の印刷装置であり、印刷可能最大解像度は720dpiである。このラインヘッド型の印刷装置では、図24に示すように、ノズル配列方向と交差する方向に360dpiのピッチ(=1/360inch)でノズルを印刷媒体幅分配設したヘッドAと、同じくノズル配列方向と交差する方向に360dpiのピッチ(=1/360inch)でノズルを印刷媒体幅分配設したヘッドBとを、互いにノズル配列方向と交差する方向に720dpi(=1/720inch)ずらして配設してラインヘッドを構成する。そして、例えば前述したシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色毎にラインヘッドを備え、それらをノズル配列方向に正確に並べて印刷ヘッド400を構成する。従って、印刷用データに基づいて、印刷ヘッド400の各ノズルから液体インクを吐出出力しながら、その印刷ヘッド400を印刷媒体に対してノズル配列方向に移動することで、画像データを1パスで印刷することが可能となる。
【0227】
次に、図25に基づき、ステップS404の印刷用データの生成処理を詳細に説明する。
図25は、印刷装置300における、印刷用データの生成処理を示すフローチャートである。
この印刷用データの生成処理は、上記したように、画像データの各画素値に基づき各画素を基準ドット及び拡張ドットを用いて形成するための情報からなる印刷用データを生成し、且つ、その生成の際に、飛行曲り量の大きさに基づいて拡張ドットの形成サイズを補正する処理であって、ステップS404において実行されると、図25に示すように、まず、ステップS600に移行するようになっている。
【0228】
ステップS600では、画像データ取得部10において取得した画像データを構成する各画素の2値化処理を行ってステップS602に移行する。
この2値化処理は、上記第1〜第3の実施の形態と同様の処理であって、誤差拡散の手法を用いて行われる。なお、このステップS600で行われる2値化処理の数(回数)は、印刷装置300の印刷可能最大解像度の半分、つまり360dpi相当である。
【0229】
ステップS602では、2値化処理後の画像データから所定領域の未処理(拡張ドット形成前)の画像データを選択してステップS604に移行する。
ステップS604では、ノズル情報記憶部14から、ステップS602で選択した所定領域の画像データに対応するノズル特性情報及び位置ずれ量情報を読み出してステップS606に移行する。
【0230】
ステップS606では、所定領域の画像データから、拡張ドット形成前の未処理の画素データを選択してステップS608に移行する。
ステップS608では、ステップS604で読み出したノズル特性情報及び位置ずれ量情報に基づき、選択画素データが飛行曲がりに関与しているか否かを判定し、関与していると判定された場合(Yes)はステップS610に移行し、そうでない場合(No)はステップS616に移行する。
【0231】
ここで、飛行曲がりに関与している画素データは、飛行曲がりを発生している画素データそのものか、あるいは当該画素データのドットの隣に形成され、飛行曲がりを発生している画素データのドットとの間隔が通常よりも広くなっているもののことである。
ステップS610に移行した場合は、選択画素データが飛行曲がりに関与しているので、当該選択画素データの画素値と、ドット間隔の情報とに基づき、当該選択画素データに対する基準ドット及び拡張ドットを形成するための情報を生成してステップS612に移行する。
【0232】
ここで、基準ドット及び拡張ドットは、前記ステップS600で行われた2値化処理の結果に基づいており、その2値化処理で求めた濃度が保たれるように、本来、形成されるべきドット(360dpi相当の要求濃度値)を二つに分割して基準ドット及び拡張ドットを形成するための情報を生成する。具体的には、例えば本実施の形態では、前記図24に示すラインヘッドのうちヘッドAで基準ドットを形成したら、次のラインで、ヘッドBで拡張ドットを形成するように、夫々の基準ドット及び拡張ドットを形成する。つまり、本実施形態では、基準ドットに隣接してドット形成可能な位置に前記拡張ドットを形成すると共に、基準ドットを出力するノズルの隣のノズルで、当該基準ドットの次のラインに拡張ドットを形成する。また、基準ドットのドット径を拡張ドットのドット径よりも大きくするといったように、大きなドット径のドットと小さなドット径のドットとの組合せになるように基準ドット及び拡張ドットを形成するための情報を生成する。更に、ノズルで形成可能な最小ドット径の濃度(正確には単位面積あたりの濃度)の自然数倍の濃度になるように基準ドット及び拡張ドットを形成するための情報を生成すると共に、拡張ドットは飛行曲がり量に応じて最小ドット径を補正した径(飛行曲がりが生じていいなければ最小ドット径そのもの)となるようにする。なお、このときの解像度は印刷装置300の印刷可能最大解像度の1/√2倍になる。
【0233】
ステップS612では、所定領域の画像データに対して、全画素データについて、上記拡張ドットの生成処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)はステップS614に移行し、そうでない場合(No)はステップS606に移行し生成処理を続行する。
ステップS614に移行した場合は、画像データの全領域について、上記拡張ドットの生成処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)は、一連の処理を終了して元の処理に戻り、そうでない場合(No)はステップS602に移行して処理を続行する。ここで、上記生成した基準ドット及び拡張ドットを形成するための情報が印刷用データとなる。
【0234】
次に、図26〜図31に基づき、本実施の形態の動作を説明する。
ここで、図26は、ドット径と濃度との関係の説明図である。また、図27は、基準ドット及び拡張ドット形成の原理説明図である。また、図28は、選択画素データが飛行曲がりに関与していない場合の基準ドット及び拡張ドットの生成例を示す図である。また、図29は、飛行曲がり量と、拡張ドット径の補正割合との関係を示す図である。また、図30は、選択画素データが飛行曲がりに関与している場合の基準ドット及び拡張ドットの生成例を示す図である。また、図31は、補正処理後の印刷用データによる印刷結果例を示す図である。
【0235】
印刷用データの生成処理は、まず、画像データを2値化する処理を行い(ステップS600)、2値化後の画像データから所定領域の画像データを選択して(ステップS602)、当該所定領域の画像データに対応するノズル特性情報及び位置ずれ量情報を、ノズル情報記憶部14から読み出す(ステップS604)。そして、所定領域の画像データから未処理の画素データを選択して(ステップS606)、当該選択画素データが飛行曲がりに関与しているか否かを判定する(ステップS608)。
【0236】
ここで、飛行曲がりに関与しているか否かの判断は、ノズル情報記憶部14から読み出したノズル特性情報に基づき、対応するノズルが飛行曲がりを発生するか否か、及び選択画素データの隣の画素データに対応するノズルが飛行曲がりを発生するか否かを調べることで行う。これによって、選択した画素データ自身において飛行曲がりが発生するか、又は選択した画素データの隣の画素データが飛行曲がりを発生するときは、飛行曲がりの方向及び量、即ち、形成されるドットが左右のどちらにずれたか(ここでは左右に限定する)、及びどれだけずれているのか(飛行曲がり量の大きさ)を調べ、これらを考慮して、基準ドット及び拡張ドットを形成するための情報を生成する。
【0237】
ここで、基準ドット及び拡張ドットを形成するための情報を生成するの説明の前に、本実施の形態で定義するドット径相当の濃度(要求濃度値)について図26に基づき説明する。本実施の形態では、画像データの各画素を0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%の10階調度にそれぞれ対応したドット径で形成する。0%は、ドットを形成しないので、ノズルで形成可能な最小ドット径は濃度10%に相当し、残りのドット径の濃度は、最小ドット径の濃度(正確には単位面積あたりの濃度)の整数倍になっている。上記ステップS600で行われる2値化処理は、印刷装置300の印刷可能最大解像度の半分、つまり360dpiであるから、濃度100%は、360dpiのピッチP(=1/360inch)の格子を完全に覆う大きさである。格子の単位面積はP2であるから、濃度100%のドットの半径R10はP/√2である。一方、濃度X%のドット面積をP2×X/100と定義すると、濃度X%のドットの半径RX/10=P×√(X/100/π)となる。つまり、図26に示すように、濃度80%のドット半径R80は0.505P、濃度60%のドット半径R60は0.437P、濃度40%のドット半径R40は0.357P、濃度20%のドット半径R20は0.252Pとなる。
【0238】
そして、前述したように、例えば上記図24に示すラインヘッドのうちヘッドAで基準ドットを形成したら、次のラインで、ヘッドBで拡張ドットを形成するといったように、基準ドットに隣接してドット形成可能な位置に拡張ドットを形成すると共に、基準ドットを出力するノズルの隣のノズル(厳密には印刷可能最大解像度における隣のノズル)で、当該基準ドットの次のラインに拡張ドットを形成すること、並びに基準ドットのドット径を拡張ドットのドット径よりも大きくするといったように、大きなドット径のドットと小さなドット径のドットとの組合せになるように基準ドット及び拡張ドットを作成することを前提として、前記2値化処理によって求めた印刷装置300の印刷可能最大解像度の半分の要求濃度値の単位面積あたりの濃度が保たれるようにして基準ドットと拡張ドットを生成しようとすると、要求濃度値に対応するドット径と基準ドット及び拡張ドットの各ドット径とは、例えば図27のようになる。
【0239】
即ち、例えば図の要求濃度値:濃度80%に示すように基準ドットと拡張ドットとは、印刷可能最大解像度の格子上に千鳥状に配列されることになり、両者の距離は√2/720inch、解像度は720/√2となる。これらの基準ドットと拡張ドットとで、要求濃度値:濃度100%を達成するには、例えば基準ドット及び拡張ドットを共に濃度80%とすればよい。また、要求濃度値:濃度80%を達成するには、例えば基準ドットを濃度60%とし且つ拡張ドットを濃度20%とすればよい。また、要求濃度値:濃度60%を達成するには、例えば基準ドットを濃度40%とし且つ拡張ドットを濃度20%とすればよい。また、要求濃度値:濃度40%を達成するには、例えば基準ドット及び拡張ドットを共に濃度20%とすればよい。また、要求濃度値:濃度20%を達成するには、例えば基準ドットを濃度20%とし且つ拡張ドットを形成しなければよい。
【0240】
以上の原理に基づいて、基準ドット及び拡張ドットを形成するための情報の生成処理について説明する。なお、印刷装置300の印刷可能最大解像度に対応する格子(マトリックス)の座標として、例えば図28に示すように、左上を0として、右方向にx座標を、下方向にy座標を設定する。
選択画像データが飛行曲がりに関与していない場合は、その座標[x,y]の濃度(要求濃度値)P[x,y]について、その要求濃度値が、例えば80%、60%、40%である場合には、例えば、基準ドットの濃度値を60%、40%、20%に設定し、拡張ドットの濃度値をいずれも20%に設定する。一方、要求濃度値が、例えば100%である場合には、例えば、基準ドットの濃度値及び拡張ドットの濃度値を共に80%に設定する。更に、要求濃度値が、例えば20%、10%、0%である場合には、例えば、基準ドットの濃度値を20%、10%、拡張ドットの濃度値をいずれも0%(形成しない)に設定する(ステップS616)。
【0241】
具体的には、例えば座標[0,0]の要求濃度値P[0,0]が図28(a)に示すように100%である場合には、図28(b)に示すように、その座標[0,0]に形成される基準ドットのドット径は80%となり、その右隣のx座標で且つその下隣のy座標、つまり座標[1,1]に形成される拡張ドットのドット径は20%となる。同様に、2値化処理で得られた座標[2,0]の要求濃度値P[2,0]が図28(a)に示すように80%である場合には、図28(b)に示すように、その座標[2,0]に作成される基準ドットのドット径は60%となり、その右隣のx座標で且つその下隣のy座標、つまり座標[3,1]に作成される拡張ドットのドット径は20%となる。また、2値化処理で得られた座標[4,0]の要求濃度値P[4,0]が図28(a)に示すように20%である場合には、図28(b)に示すように、その座標[4,0]に作成される基準ドットのドット径は20%となり、その右隣のx座標で且つその下隣のy座標、つまり座標[5,1]に作成される拡張ドットのドット径は0%となる(実際には拡張ドットは形成されない)。また、2値化処理で得られた座標[0,2]の要求濃度値P[0,2]が図28(a)に示すように60%である場合には、図28(b)に示すように、その座標[0,2]に作成される基準ドットのドット径は40%となり、その右隣のx座標で且つその下隣のy座標、つまり座標[3,1]に作成される拡張ドットのドット径は20%となる。また、2値化処理で得られた座標[2,2]の要求濃度値P[2,2]が図28(a)に示すように40%である場合には、図28(b)に示すように、その座標[2,2]に作成される基準ドットのドット径は20%となり、その右隣のx座標で且つその下隣のy座標、つまり座標[3,3]に作成される拡張ドットのドット径は20%となる。また、2値化処理で得られた座標[4,2]の要求濃度値P[4,2]が図28(a)に示すように0%である場合には、図28(b)に示すように、その座標[4,2]に作成される基準ドットのドット径は0%となり、その右隣のx座標で且つその下隣のy座標、つまり座標[5,3]に作成される拡張ドットのドット径も0%となる(実際には基準ドットも拡張ドットも形成されない)。
【0242】
従って、基準ドット及び拡張ドットは、図28(c)に示すように、印刷装置300の印刷可能最大解像度の格子上に千鳥状に配設されることになるので、この見かけ上の解像度は印刷可能最大解像度の1/√2倍になる。しかしながら、2値化処理の数(回数)は前述のように印刷可能最大解像度の半分であるから、見かけ上の解像度よりも2値化処理の数(回数)を低減することが可能となる。
【0243】
一方、選択画素データが飛行曲がりに関与している場合には、選択画素データP[x,y]の要求濃度値に対して、まず上記飛行曲がりが関与していない場合と同様に、基準ドット及び拡張ドットの濃度値を決定し、次に、飛行曲がりの方向及び飛行曲がり量の大きさとに基づき、基準ドット及び拡張ドットの濃度値を補正する(ステップS610)。この補正処理は、図29に示す、ドット間隔と拡張ドットの補正割合との関係に基づいて行われ、飛行曲がりによって、隣のドットとの間隔が理想値より小さくなる場合は、図29に示す飛行曲がり量に応じた補正割合の分だけ拡張ドットの濃度値を減少させ、この減少した分だけ基準ドットの濃度値を増加させる。一方、隣のドットとの間隔が理想値より大きくなる場合は、図29に示す飛行曲がり量に応じた補正割合の分だけ拡張ドットの濃度値を増加させ、この増加した分だけ基準ドットの濃度値を減少させる。ここで、本実施の形態においては、図29の点線aに示すように、飛行曲がり量が所定値以下の範囲については、基準ドット及び拡張ドットの補正を行わない(補正割合0%)。
【0244】
例えば、選択画素データの座標[x,y]の濃度(要求濃度値)P[x,y]について、その基準ドットの濃度値が40%で、その拡張ドットの濃度値が20%である場合には、例えば、飛行曲がり量が、4[μm]、5.5[μm]、6[μm]、飛行曲がりの方向が左方向、且つ選択画素データは、飛行曲がりの発生する画素データの左隣であった場合、飛行曲がりの方向が左方向であるためドット間隔が小さくなるので拡張ドットの濃度値をプラス補正することになる。従って、図29に示す関係に基づき、拡張ドットの濃度値20%は、4[μm]の補正量が+10%となるので30%、同様に5.5[μm]、6[μm]の補正量が+20%、+30%となるので40%、50%に補正されることになる。更に、前記拡張ドットの濃度値補正により、基準ドットの濃度値が40%から、30%、20%、10%にそれぞれ補正されることになる。
【0245】
一方、上記と同じ条件で、飛行曲がりの方向が右方向である点だけ異なる場合は、図29の補正量は、上記とは逆に、全てマイナス補正となり、拡張ドットの濃度値20%は、4[μm]の補正量がー10%となるので10%、同様に5.5[μm]、6[μm]の補正量が−20%、ー30%となるので両者とも0%(ドットを形成しない)に補正されることになり、更に、基準ドットの濃度値が40%から、50%、60%、70%に補正されることになる。
【0246】
具体的には、図30に示すように、例えばx座標「4」の列において飛行曲がりが発生し、飛行曲がり量が5.5[μm]且つ飛行曲がりの方向が右方向であった場合、座標[3,1]の拡張ドットの濃度値P[3,1]が図30(a)に示すように0%である場合には、図29に示すように5.5[μm]の補正量は+20%となるので、図30(b)に示すように、その座標[3,1]に形成される拡張ドットのドット径は40%となる。同様に、座標[3,3]の拡張ドットの濃度値P[3,3]が図30(a)に示すように0%である場合には、図30(b)に示すように、その座標[3,3]に形成される拡張ドットのドット径は20%となる。一方、この場合において、飛行曲がりの発生しているドットの右側に位置する拡張ドットに対しては、図29に示すように5.5[μm]の補正量は−20%となるので、座標[5,1]の拡張ドットの濃度値P[5,1]が図30(a)に示すように20%である場合には、図30(b)に示すように、その座標[5,1]に形成される拡張ドットのドット径は0%となる。また、座標[5,3]の拡張ドットの濃度値P[5,3]が図30(a)に示すように20%である場合には、図30(b)に示すように、その座標[5,3]に作成される拡張ドットのドット径は0%となる。
【0247】
更に、拡張ドットの濃度値を補正したので、図30(c)に示すように、基準ドットとの濃度バランスを保つために、座標[3,1]の拡張ドットに対応する座標[2,0]の基準ドットのドット径を40%に補正し、同様に、座標[3,3]の拡張ドットに対応する座標[2,2]の基準ドットのドット径を20%に補正し、座標[5,1]の拡張ドットに対応する座標[4,0]の基準ドットのドット径を80%に補正し、座標[5,3]の拡張ドットに対応する座標[4,2]の基準ドットのドット径を80%に補正する。
【0248】
従って、基準ドット及び拡張ドットは、図30(d)に示すように、印刷装置300の印刷可能最大解像度の格子上に千鳥状に配設されることになり、見かけ上の解像度が印刷可能最大解像度の1/√2倍になると共に、飛行曲がりによって、ドット間隔が理想値より大きくなるところに形成される拡張ドットの濃度値(径)が大きくなり、ドット間隔が理想値より小さくところの拡張ドットの濃度値(径)が小さくなる。従って、粒状感を抑えると共に、飛行曲がりによって発生する「白スジ」及び「濃いスジ」を効果的に解消または殆ど目立たなくすることが可能となる。更に、2値化処理の数(回数)は前述のように印刷可能最大解像度の半分であるから、見かけ上の解像度よりも2値化処理の数(回数)を低減することが可能となる。
【0249】
上記処理を画像データの全領域に対して完了すると(ステップS614)、処理結果の基準ドット及び拡張ドットの濃度値が採用され、印刷用データが生成される。このようにして生成された印刷用データによって形成された基準ドット及び拡張ドットを、範囲を拡大して表したのが図31である。図中の比較的大きいドット径が基準ドット、比較的小さいドット径が拡張ドットである。元々の要求濃度値が全て80%の場合に上記処理を適用した結果である。従って、飛行曲がりに関与していない箇所は、基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は20%となっており、飛行曲がりに関与しているところは、基準ドット及び拡張ドットのドット径が補正されている。また、図中の矢印と共に印刷可能最大解像度の格子(マトリックス)のずれている部分が、前述した「飛行曲がり現象」などによってドット形成位置が理想位置からずれている部分に相当する。図31を見る限り、前述した「白スジ」や「濃いスジ」は見受けられず、従って「バンディング現象」も見受けられない。
【0250】
このように本実施の形態の印刷装置によれば、少なくともノズル配列方向と交差する方向に、印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度、本実施形態の場合印刷可能最大解像度の半分の解像度で、画像データの階調度をドット径相当の濃度に変換(2値化処理)し、その2値化処理で求めた濃度が保たれるように、印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度、本実施形態の場合、印刷可能最大解像度の半分の解像度に対応する位置の基準ドット及びそれと異なる位置の拡張ドットを生成し、且つ、基準ドット及びそれと異なる位置の拡張ドットを生成する際に、拡張ドットの形成サイズ(ドット径)を、位置ずれ量の大きさ(飛行曲がり量の大きさ)に応じたサイズとする構成としたため、2値化処理の数(回数)を印刷可能最大解像度の半分まで低減することができると共に、基準ドット及びそれと位置の異なる拡張ドットにより粒状感を抑えて画質を確保し、且つバンディング現象を低減することができる。
【0251】
上記第4の実施の形態において、画像データ取得部10は、形態1又は34の画像データ取得手段に対応し、ノズル情報記憶部14は、形態1又は34の位置ずれ量情報記憶手段に対応し、印刷用データ生成部18は、形態1、10、34及び43のいずれか1の印刷用データ生成手段に対応し、印刷部20は、形態1の印刷手段に対応する。
上記第4の実施の形態において、ステップS402は、形態13、24、44及び55のいずれか1の画像データ取得ステップに対応し、ステップS404は、形態13、22、24、33、44、53、55及び64のいずれか1の印刷用データ生成ステップに対応し、ステップS410は、形態13又は24の印刷ステップに対応する。
【0252】
なお、上記第1〜第4の実施の形態における印刷装置の特徴は、既存の印刷装置そのものには殆ど手を加えることなくその印刷ヘッドの特性に合わせて画像データから印刷用データを生成するようにしたため、印刷部20として特に専用のものを用意する必要はなく、従来から既存のインクジェット方式のプリンタをそのまま利用するができる。また、上記実施の形態における印刷装置100、300から印刷部20を分離すれば、その機能はPCなどの汎用の印刷指示端末(印刷用データ生成装置)のみで実現することも可能となる。
【0253】
また、本発明は飛行曲がり現象のみならず、インクの吐出方向は垂直(正常)であるもののノズルの形成内容が正規の位置よりもずれている結果、形成されるドットが飛行曲がり現象と同じ結果となる場合にも全く同様に適用できることは勿論である。
また、上記第1〜第4の実施の形態における印刷装置100、300は、ラインヘッド型のインクジェットプリンタのみならず、マルチパス型のインクジェットプリンタにも適用可能であり、ラインヘッド型のインクジェットプリンタであれば、飛行曲がり現象などが発生していても白スジや濃いスジが殆ど目立たない高品質の印刷物を1パスで得ることが可能となり、また、マルチパス型のインクジェットプリンタであれば、往復動作回数を減らすことができるため、従来よりも高速印刷が可能となる。
【0254】
図32(A)〜(C)は、ラインヘッド型のインクジェットプリンタとマルチパス型のインクジェットプリンタとによるそれぞれの印刷方式を示したものである。
同図(A)に示すように、矩形状の印刷用紙Sの幅方向を画像データの主走査方向(ノズル配列方向)、長手方向を画像データの副走査方向(印刷方向)とした場合、ラインヘッド型のインクジェットプリンタでは、同図(B)に示すように、印字ヘッド200がその印刷用紙Sの紙幅分の長さを有しており、この印字ヘッド200を固定し、この印字ヘッド200に対して前記印刷用紙Sを副走査方向に移動させることでいわゆる1走査(1パス動作)で印刷を完了するようにしている。なお、いわゆるフラットヘッド式のスキャナのように印刷用紙Sを固定し、印字ヘッド200側をそのノズル配列方向に対して垂直方向に移動させたり、あるいは両方をそれぞれ反対方向に移動させながら印刷を行うことも可能である。これに対し、マルチパス型のインクジェットプリンタは、同図(C)に示すように、紙幅分の長さに比べてはるかに短い印字ヘッド200を画像の主走査方向と直交する方向に位置させ、これを画像の主走査方向に何度も往復動させながら印刷用紙Sを所定のピッチずつ画像の副走査方向に移動させることで印刷を実行するようにしている。従って、後者のマルチパス型のインクジェットプリンタの場合は、前者のラインヘッド型のインクジェットプリンタに比べて印刷時間がかかるといった欠点がある反面、任意の箇所に印刷ヘッド200を繰り返し位置させることができることから前述したようなバンディング現象のうち特に白スジ現象の軽減については、ある程度の対応が可能となっている。
【0255】
また、上記第1〜第4の実施の形態ではインクをドット状に吐出して印刷を行うインクジェットプリンタを例に説明したが、本発明は、印字機構がライン状に並んだ形態の印字ヘッドを用いた他の印刷装置、例えば熱転写プリンタまたは感熱式プリンタなどと称されるサーマルヘッドプリンタについても適用可能である。
また、図3では、印刷ヘッド200の各色ごとに設けられた各ノズルモジュール50、52,54,56は、その印刷ヘッド200の長手方向に直線状にノズルNが連続した形態となっているが、図33に示すように、これら各ノズルモジュール50、52,54,56をそれぞれ複数の短尺のノズルユニット50a、50b、…50nで構成し、これを印字ヘッド200の移動方向の前後に配列するように構成しても良い。特に、このように各ノズルモジュール50、52,54,56ごとに複数の短尺のノズルユニット50a、50b、…50nで構成すれば、各ノズルユニット50a、50b、…50nの実際のドット間の距離(ピッチ)を狭くすることなく、実質的にドット間の距離をより短くすることが可能となるため、高解像度画像に対して容易に対応することができる。
【0256】
また、上記第1〜第4の実施の形態においては、経年劣化等に備えてノズル特性検出部16を有した構成の印刷装置100、300を例として説明したが、この構成に限らず、印刷装置100からノズル特性検出部16を無くした構成としても良い。この場合、ノズル特性情報及び位置ずれ量情報は、工場出荷時に検出したものや、工場出荷後に印刷装置100とは別体となっている専用の検出装置などによって検出したものを用いるようにする(検出されたノズル特性情報及び位置ずれ量情報は、ノズル情報記憶部14に記憶される)。これにより、経年劣化時やデータ破損時などにノズル特性を再検出できなくなるが、ノズル特性及びドット位置の検出に用いるスキャナ等の高額な装置を無くすことが可能となるので、大幅なコスト低減をすることができるという効果が得られる。
【0257】
また、上記第3の実施の形態においては、ノズルの列方向に対して画像データを高解像度化する例を説明したが、これに限らず、画像データの行方向に対して高解像度化(行方向の画素数を整数倍)したり、画像データ全体の解像度を高解像度化(行方向及び列方向の画素数を整数倍)しても良い。
また、上記第4の実施の形態においては、基準ドットを形成するノズルの飛行曲がりのみを考慮して拡張ドットの濃度値を補正するようにしているが、これに限らず、拡張ドットを形成するノズルの飛行曲がりも考慮して補正を行うようにしても良い。つまり、図29に示す関係を、基準ドットだけじゃなく拡張ドットのノズルに対しても用意し、基準ドットのノズルが正常であっても、拡張ドットのノズルが飛行曲がりを発生する場合に、その飛行曲がり量及び方向に基づいて、拡張ドットの濃度値を補正する。
【0258】
また、隣り合うラインの基準ドット及び拡張ドットのノズルの双方に飛行曲がりが発生しているような場合は、両者の飛行曲がり量及び方向を考慮して、拡張ドットの濃度値を補正する。
また、上記第4の実施の形態においては、飛行曲がりの関与しない基準ドット及び拡張ドットに対して、基準ドットの径よりも拡張ドットの径が小さくなるようにドット径を設定するようにしているが、これに限らず、飛行曲がりに関与していない箇所は、基準ドットの径と拡張ドットの径とを同じ値にするようにしても良い。
【0259】
これによって、粒状感が抑えられ、画像データの印刷画質が向上する。
また、上記第4の実施の形態においては、飛行曲がり量と補正割合との関係を示すグラフを、ドット間隔が大きくなる場合と(白スジ)、小さくなる場合(濃いスジ)とで同じグラフを用いるようにしたが、これに限らず、白スジ、濃いスジでそれぞれに最適な関係を求め、それぞれ別々のグラフを用いるようにしても良い。
【0260】
また、上記第4の実施の形態の印刷装置300においては、選択できるドット径の種類に制限があるため、例えば、飛行曲がり量に応じて拡張ドットの径を15%にするという補正があったときに、上記したように印刷ヘッド200は、0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%の10種類のドット径しか形成できないため、15%のドット径を形成することができない。このような場合に、ドット径が10%のドットと20%のドットとを50%ずつ形成させることで、15%という存在しないドット径にも適応するように設定することが可能である。ドット径30%及び0%を50%ずつ形成することなども可能であるが、設定目標サイズに対して,その前後のドットサイズにより実現する方が、粒状性の観点からは望ましい。このとき、拡張ドットサイズは、基準ドットサイズを超えない範囲で制御を行うことにより、拡張ドットの補正による不用意な粒状性の低下を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0261】
【図1】本発明に係る印刷装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】コンピュータシステムのハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明の印刷ヘッド200の構造を示す部分拡大底面図である。
【図4】図4の部分拡大側面図である。
【図5】印刷装置100における印刷処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態における、印刷装置100の印刷用データの生成処理を示すフローチャートである。
【図7】飛行曲がりを発生する異常ノズルがないブラックノズルモジュール50のみで形成されるドットパターンの一例を示した図である。
【図8】ブラックノズルモジュール50のうち、ノズルN6が飛行曲がり現象を発生している場合に形成されるドットパターンの一例を示した図である。
【図9】(a)は、図8に示す飛行曲りの発生している場合に形成されるドットパターンの一部を示す図であり、(b)は(a)のドットパターンからノズルN4、ノズルN6及びノズルN8にそれぞれ対応する画素データを間引く様子を示す図であり、(c)は、間引き対象の画素データの両隣の画素データに濃度値を分散する一例を示す図である。
【図10】飛行曲りの大きさと処理対象とする画素列の割合との関係を示す図である。
【図11】各ノズルNが形成可能なドットサイズの一例を示す図である。
【図12】間引き処理後の画像データに対する誤差拡散処理の拡散方向の一例を示す図である。
【図13】(a)は、飛行曲りの発生していない印刷ヘッドによって形成されたベタ画像のドットパターンの一例を示す図であり、(b)は、ノズルN6に飛行曲りが発生している印刷ヘッドによって形成されたベタ画像のドットパターンの一例を示す図であり、(c)は、ノズルN6の飛行曲りを考慮した印刷用データに基づき形成されたドットパターンの一例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態における、印刷装置100の飛行曲りを考慮した印刷用データの生成処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の印刷処理によって形成されたドット変更の過程を示す概念図である。
【図16】飛行曲り量とドット拡大処理の実行割合との関係を示す図である。
【図17】図17は、本発明の印刷処理によって形成されたドット変更によるドットパターンの一例を示す概念図である。
【図18】本発明に係る印刷装置300の構成を示すブロック図である。
【図19】印刷装置300における印刷処理を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第3の実施の形態における、印刷装置300の印刷用データの生成処理を示すフローチャートである。
【図21】第1画像データと、第2画像データと、第3画像データと、飛行曲がり現象を起こしているドット形成位置と、選択画素との関係を示す概念図である。
【図22】画素値とドットサイズとの関係を示す図である。
【図23】正常な場合と飛行曲がりを起こしている場合、および本発明を適用した場合のそれぞれのドットパターンを示す図である。
【図24】印刷ヘッドとドット径との関係説明図である。
【図25】本発明の第4の実施の形態における、印刷装置300の印刷用データの生成処理を示すフローチャートである。
【図26】ドット径と濃度との関係の説明図である。
【図27】基準ドット及び拡張ドット形成の原理説明図である。
【図28】選択画素データが飛行曲がりに関与していない場合の基準ドット及び拡張ドットの生成例を示す図である。
【図29】飛行曲がり量と、拡張ドット径の補正割合との関係を示す図である。
【図30】選択画素データが飛行曲がりに関与している場合の基準ドット及び拡張ドットの生成例を示す図である。
【図31】補正処理後の印刷用データによる印刷結果例を示す図である。
【図32】(A)〜(C)は、マルチパス型のインクジェットプリンタとラインヘッド型のインクジェットプリンタとによる印刷方式の違いを示す説明図である。
【図33】印刷ヘッドの構造の他の例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0262】
100,300…印刷装置、200…印刷ヘッド、10…画像データ取得部、12…印刷ノズル設定部、14…ノズル情報記憶部、16…ノズル特性検出部、18…印刷用データ生成部、20…印刷部、60…CPU、62…RAM、64…ROM、66…インターフェース、70…記憶装置、72…出力装置、74…入力装置、50…ブラックノズルモジュール、52…イエローノズルモジュール、54…マゼンタノズルモジュール、56…シアンノズルモジュール、P,S…印刷媒体(用紙)、L…ネットワークケーブル、N…ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷するようにした印刷装置であって、
前記画像を構成するM(M≧2)値の画素値を有する画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報を記憶する位置ずれ量情報記憶手段と、
前記取得した画像データと、前記位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御する印刷用データ生成手段と、
前記印刷用データに基づき、前記印刷ヘッドによって前記画像を前記媒体に印刷する印刷手段と、を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷用データ生成手段は、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行うことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷用データ生成手段は、前記位置ずれ量が所定量以上のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行い、前記位置ずれ量が所定量未満のノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応した画素に対して、前記劣化を低減するための情報の生成を行わないことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷用データ生成手段は、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素に対して、当該画素の一部あるいは全部に対応したドットのサイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなる前記劣化を低減するための情報を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷用データ生成手段は、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも大きくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値のサイズよりも大きく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報を生成することを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷用データ生成手段は、前記劣化を低減するための情報として、前記位置ずれによって、前記複数のノズルにおける各隣り合う2つのノズルの形成するドットの間隔が理想の間隔よりも小さくなるところは、その近傍に形成するドットのサイズを、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値のサイズよりも小さく且つ当該間隔の大きさに応じたサイズとする情報か、又は当該近傍に形成するドットを間引く情報を生成することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の印刷装置。
【請求項7】
前記印刷用データ生成手段は、前記劣化を低減するための情報の量が、前記位置ずれ量に応じた量となるように前記生成処理を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷用データ生成手段は、前記劣化を低減するための情報として、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方によって形成される印刷画像の解像度を、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度より低く、且つ前記位置ずれ量情報に基づく解像度に変更する情報を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷用データ生成手段は、前記バンディング現象に関与するノズル及びその近傍のノズルの少なくとも一方に対応する画素値の構成する画像の解像度が、前記画像データ取得手段で取得した画像データの素の画素値に基づき形成される印刷画像の解像度よりも高い解像度となるように前記画像データを変換すると共に、前記高解像度化した画像データの画素値から、前記素の画素値に対応するノズルのドット形成位置に最も近いものを選択し、当該選択した画素値を、選択されなかった画素値及び前記位置ずれ量情報に基づき補正して、当該補正した画素値に基づき前記ドット形成内容に関する情報を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記印刷用データ生成手段は、前記ドット形成内容に関する情報として、少なくともノズル配列方向と交差する方向に、前記ノズルが、前記印刷装置の印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度に対応する位置に基準ドットを形成するための情報と、当該基準ドットとは異なる位置に拡張ドットを形成するための情報とを生成するようになっていると共に、当該拡張ドットの形成サイズが、前記位置ずれ量に応じたサイズとなるように前記生成処理を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記印刷ヘッドは、前記媒体の装着領域よりも広い範囲に亘って前記ノズルが連続して配列された印刷ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記印刷ヘッドは、前記媒体の紙送り方向に直交する方向に往復動しながら印刷を実行する印刷ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項13】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷するようにした印刷装置を制御するのに使用する印刷装置制御プログラムであって、
前記画像を構成するM値(M≧2)の画素値を有する画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記取得した画像データと、前記各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御する印刷用データ生成ステップと、
前記印刷用データに基づき、前記印刷ヘッドによって前記画像を前記媒体に印刷する印刷ステップとからなる処理をコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含むことを特徴とする印刷装置制御プログラム。
【請求項14】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷するようにした印刷装置を制御するのに使用する印刷装置制御方法であって、
前記画像を構成するM値(M≧2)の画素値を有する画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記取得した画像データと、前記各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御する印刷用データ生成ステップと、
前記印刷用データに基づき、前記印刷ヘッドによって前記画像を前記媒体に印刷する印刷ステップと、を含むことを特徴とする印刷装置制御方法。
【請求項15】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷するようにした印刷装置において使用される印刷用データを生成する印刷用データ生成装置であって、
前記画像を構成するM(M≧2)値の画素値を有する画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報を記憶する位置ずれ量情報記憶手段と、
前記取得した画像データと、前記位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御する印刷用データ生成手段と、を備えることを特徴とする印刷用データ生成装置。
【請求項16】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷するようにした印刷装置において使用される印刷用データを生成するのに使用する印刷用データ生成プログラムであって、
前記画像を構成するM値(M≧2)の画素値を有する画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記取得した画像データと、前記各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御する印刷用データ生成ステップとからなる処理をコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含むことを特徴とする印刷用データ生成プログラム。
【請求項17】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷するようにした印刷装置において使用される印刷用データを生成するのに使用する印刷用データ生成方法であって、
前記画像を構成するM値(M≧2)の画素値を有する画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記取得した画像データと、前記各ノズルの前記媒体における、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれ量情報とに基づき、前記画素値毎のドット形成内容に関する情報を含む印刷用データを生成し、当該ドット形成内容に関する情報として、前記ドットの実際の形成位置と当該ドットの理想の形成位置との位置ずれによって発生するバンディング現象による印刷画質の劣化を低減するための情報を生成すると共に、前記位置ずれ量情報に基づき、前記印刷画質の劣化を低減するための情報の生成処理を制御する印刷用データ生成ステップと、を含むことを特徴とする印刷装置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−205718(P2006−205718A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265356(P2005−265356)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】