説明

印刷装置及び印刷装置における機能追加方法

【課題】外部記憶媒体が接続されたときに機能が追加されるとともに、外部記憶媒体の接続が解除されたときに追加された機能を使用不能な状態に無効化できるうえ、外部記憶媒体を再接続したときに最初の接続時より速やかに機能を使用可能な有効状態にすることができる印刷装置及び印刷装置における機能追加方法を提供する。
【解決手段】外部記憶媒体20の接続を検知すると、外部記憶媒体20から第2ファームウェアプログラムFW2を読み込んで再起動することにより、プリンター11に追加サービス部41を追加する。外部記憶媒体20が抜き取られてその接続が検知されなくなると、無効化処理部44が通信機能を無効化する。このとき、表示部13BにおけるIP通信のユーザーインターフェイスはグレイアウトされることにより無効化される。その後、外部記憶媒体20の再接続が検知されると、有効化処理部45が通信機能を有効にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部記憶媒体がドングル(許可キー)として接続されることにより外部記憶媒体からプログラムを読み込んで機能が追加される印刷装置及び印刷装置における機能追加方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置では、印刷機能を実現する印刷エンジンを駆動制御するためのプログラム(ファームウェア用プログラム)が不揮発性メモリーに記憶されており、CPUがこのプログラムを実行して印刷エンジンを駆動制御することにより印刷媒体に印刷が施される。また、この種の印刷装置において、スキャナー、コピー、FAXなどの印刷機能以外の機能を有する複合機能型の印刷装置(いわゆる複合機)も知られている。この種の複合機においても、原稿をスキャンする際のスキャナーエンジンの駆動制御、原稿をコピーする際のスキャナーエンジンとプリントエンジンの各駆動制御、FAX処理部の駆動制御のためのプログラム(ファームウェア用プログラム)が予め不揮発性メモリーに記憶されている。
【0003】
例えば特許文献1には、あて先番号と該あて先番号の抽出登録プログラムを格納した記憶媒体を機器に装着することで、該あて先番号を読み出して送信先として指定が可能な通信装置が開示されている。この通信装置は、記憶媒体からあて先番号を読み出して送信先として指定が可能ではあるが、通信機能は予め機器に備えられている。
【0004】
また、特許文献2には、外部記憶媒体(SDカード)が接続されると、この外部記憶媒体からプログラムを本体内のメモリーに読み込んで機能(OCR部、辞書部、仮名変換部)を追加する機能追加部を備えたファクシミリ装置が開示されている。また、このファクシミリ装置では、外部記憶媒体を本体から抜き取ると、本体内のメモリーのプログラムが消去されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−130788号公報
【特許文献2】特開2006−86657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば有料又は無料のサービスとして、許可されたユーザーのみが印刷装置に機能を追加できるようにしたいという要望がある。特許文献2に記載されたファクシミリ装置では、機能追加部により、外部記憶媒体からプログラムを本体内のメモリーに読み込んで機能(OCR部、辞書部、仮名変換部)を追加することはできる。しかし、外部記憶媒体を抜き取ると、プログラムが消去される構成であったため、外部記憶媒体を再接続した際には、再度、外部記憶媒体からプログラムをロードして起動させる必要がある。このため、外部記憶媒体の接続が一旦解除された後に、外部記憶媒体が再接続されたときに機能を使用可能な有効状態になるまでに、最初の接続時と同程度の所要時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、外部記憶媒体が接続されたときに機能が追加されるとともに、外部記憶媒体の接続が解除されたときに追加された機能を使用不能な状態に無効化できるうえ、外部記憶媒体を再接続したときに最初の接続時より速やかに機能を使用可能な有効状態にすることができる印刷装置及び印刷装置における機能追加方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的の一つを達成するために、本発明の態様の一つは、印刷装置において、外部記憶媒体が接続されたか否かを検知する検知手段と、前記検知手段で外部記憶媒体の接続が検知されると、印刷装置に機能を追加するためのプログラムを前記外部記憶媒体から読み込んで起動させることにより前記機能を追加するとともに追加した当該機能を有効にする起動手段と、前記機能が追加された状態において、前記検知手段で前記外部記憶媒体の非接続が検知されると、前記プログラムの起動状態のまま前記機能を無効にする無効化手段と、を備えたことを要旨とする。
【0009】
本発明の一実施態様によれば、外部記憶媒体の接続が検知されると、起動手段が、印刷装置に機能を追加するためのプログラムを外部記憶媒体から読み込んで起動させることにより、その機能を追加するとともに追加した当該機能が有効にされる。このため、印刷装置において、追加された機能の使用が可能になる。機能が追加された状態において、外部記憶媒体が取り外され、検知手段で外部記憶媒体の非接続が検知されると、無効化手段により記プログラムの起動状態のまま、追加されていた機能が無効にされる。例えば、外部記憶媒体の再接続が検知されたときには、無効化されている機能を有効にすれば、その機能が再び使用できるようになる。例えば、外部記憶媒体が再接続される度に、外部記憶媒体から機能の追加のためのプログラムを読み込んでそれを起動させる処理を行う必要がなく、機能の有効化処理で済ませられるので、外部記憶媒体を再接続してから、速やかに機能を使用可能な状態にすることができる。
【0010】
本発明の態様の一つである印刷装置では、電源投入時に不揮発性記憶手段から第1プログラムを読み込んで起動させる第1起動手段を更に備え、前記プログラムは前記機能を実現するための機能用プログラム及び前記第1プログラムとを含む第2プログラムであり、前記起動手段は、前記第2プログラムを外部記憶媒体から読み込んで再起動することにより前記機能を追加することが好ましい。
【0011】
本発明の一実施態様によれば、電源投入時に第1起動手段は不揮発性記憶手段から第1プログラムを読み込んで起動させる。そして、外部記憶媒体の接続が検知されると、機能を実現するための機能用プログラム及び第1プログラムとを含む第2プログラムが外部記憶媒体から読み込まれて再起動されることにより、印刷装置に機能が追加される。このとき、第1プログラムに替え、機能を追加しうる第2プログラムが再起動されることにより、追加の機能以外の第1プログラムに基づく他の機能ごと置き換えるので、例えば第1プログラムを起動したまま、機能用プログラムを追加して起動させる構成に比べ、動作エラーなどが発生しにくい。
【0012】
本発明の態様の一つである印刷装置では、前記無効化手段は、前記外部記憶媒体の非接続が検知されると、前記第2プログラムを起動したまま前記機能を無効化することが好ましい。
【0013】
本発明の一実施態様によれば、無効化手段は、外部記憶媒体の非接続が検知されると、第2プログラムを起動したまま機能を無効化する。例えば、外部記憶媒体の再接続が検知されたときには、無効化されている機能を有効にすれば、その機能が再び使用できるようになる。例えば、外部記憶媒体が再接続される度に、外部記憶媒体から第2プログラムを読み込んでそれを再起動させる処理を行う必要がなく、機能の有効化処理で済ませられるので、外部記憶媒体を再接続してから、速やかに機能を使用可能な状態にすることができる。
【0014】
本発明の態様の一つである印刷装置では、前記検知手段が外部記憶媒体の再接続を検知した場合、前記無効化された前記機能を有効にする有効化手段を更に備えていることが好ましい。
【0015】
本発明の一実施態様によれば、検知手段が外部記憶媒体の再接続を検知した場合、有効化手段により、無効化された機能が有効とされる。その結果、追加された機能が再び使用できるようになる。例えば、外部記憶媒体が再接続される度に、外部記憶媒体から第2プログラムを読み込んでそれを再起動させる処理を行う必要がなく、機能の有効化処理で済ませられるので、外部記憶媒体を再接続してから、速やかに機能を使用可能な状態にすることができる。
【0016】
本発明の態様の一つである印刷装置では、前記検知手段が外部記憶媒体の再接続を検知しても、前記第2プログラムが起動済みであれば、前記起動手段は前記外部記憶媒体からの前記第2プログラムの読み込みは行わないことが好ましい。
【0017】
本発明の一実施態様によれば、検知手段が外部記憶媒体の再接続を検知しても、第2プログラムが起動済みであれば、起動手段による外部記憶媒体からの第2プログラムの読み込みは行われない。すなわち、外部記憶媒体の再接続時に、第2プログラムが起動済みであれば、有効手段は無効化されている機能の有効化を行い、起動手段による外部記憶媒体からの第2プログラムの読み込みは行われない。外部記憶媒体の再接続時には第2プログラムの読み込み及び起動が不要なので、外部記憶媒体を再接続してから、速やかに機能を使用可能な状態にすることができる。
【0018】
本発明の態様の一つである印刷装置では、表示手段と、操作手段と、前記機能が有効な場合に、前記操作手段による選択操作が可能な状態で機能のユーザーインターフェイスを前記表示手段に表示し、前記機能が無効の場合に、前記ユーザーインターフェイスを消去するか又は選択操作不能な無効状態で前記表示手段に表示する表示制御手段と、を更に備えていることが好ましい。
【0019】
本発明の一実施態様によれば、機能が有効な場合に、操作手段による選択操作が可能な状態で機能のユーザーインターフェイスが表示手段に表示される。よって、操作手段を操作して機能のユーザーインターフェイスを選択することにより機能の使用が可能になる。また、機能が無効の場合に、機能のユーザーインターフェイスは消去されるか又は選択操作不能な無効状態で表示手段に表示される。よって、機能が無効の場合は、操作手段を操作しても機能を使用することができない。例えば、外部記憶媒体の接続が解除された後、印刷装置の内部で機能(機能用プログラム又は第2プログラム)が起動状態のまま保持されていても、ユーザーが機能を使用できない状態にすることができる。
【0020】
本発明の態様の一つである印刷装置では、前記検知手段が外部記憶媒体の再接続を検知して、前記有効化手段が、無効化されている前記機能を有効にするに伴って、前記表示制御手段は、前記機能が無効のときに、消去されていた又は無効状態で表示されていた前記機能のユーザーインターフェイスを前記操作手段による選択操作可能な有効状態で前記表示手段に表示することが好ましい。
【0021】
本発明の一実施態様によれば、検知手段が外部記憶媒体の再接続を検知した際に、有効化手段が、無効化されている機能を有効にする。この機能の有効化に伴って、有効化手段は、機能が無効のときに消去されていた又は無効状態で表示されていた機能のユーザーインターフェイスを、操作手段による選択操作可能な有効状態で表示手段に表示される。機能のユーザーインターフェイスが表示手段に有効状態で表示されることにより、機能を選択操作してその機能を使用することが可能になる。
【0022】
本発明の態様の一つは、印刷装置の機能追加方法において、外部記憶媒体が接続されたか否かを検知する検知ステップと、外部記憶媒体の接続が検知されると、印刷装置に機能を追加するためのプログラムを前記外部記憶媒体から読み込んで起動させることにより前記機能を追加するとともに追加した当該機能を有効にする起動ステップと、前記機能が追加された状態において、前記外部記憶媒体の非接続が検知されると、前記プログラムの起動状態のまま前記機能を無効にする無効化ステップと、を備えたことを要旨とする。本発明の一実施態様によれば、上記印刷装置に係る発明と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態のプリンターの構成を示すブロック図。
【図2】通信機能追加前のプリンター及びサーバーの機能構成を示すブロック図。
【図3】通信機能追加後のプリンター及びサーバーの機能構成を示すブロック図。
【図4】外部記憶媒体内のデータの階層構造を示す模式図。
【図5】(a)データ通信用設定ファイル、(b)通信機能付きファームウェアプログラムをそれぞれ示す模式図。
【図6】(a)〜(c)表示部の画面遷移を示す模式図。
【図7】外部記憶媒体検出処理ルーチンを示すフローチャート。
【図8】外部記憶媒体抜取り処理ルーチンを示すフローチャート。
【図9】サーバー処理ルーチンを示すフローチャート。
【図10】第2実施形態における通信機能追加後のプリンター及びサーバーの機能構成を示すブロック図。
【図11】(a)〜(c)表示部の画面遷移を示す模式図。
【図12】外部記憶媒体検出処理ルーチンを示すフローチャート。
【図13】外部記憶媒体抜取り処理ルーチンを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1に示す印刷装置の一例であるプリンター11は、スキャナー機能、印刷機能、コピー機能を併せ持つ複合機である。また、プリンター11は、インターネットNWを介してサーバー100と接続され、サーバー100との間でデータの送受信が可能なネットワーク通信機能を備えている。
【0025】
プリンター11は、その全体的な制御を司るコントローラー12、操作パネル13、スキャンエンジン14、プリントエンジン15(印刷エンジン)、ファクシミリ通信部(以下、「FAX通信部16」と称す)、外部メモリーインターフェイス(以下、「外部メモリーI/F17」と称す)及び通信インターフェイス(以下、「通信I/F18」と称す)などを備えている。操作パネル13は、ユーザーが操作するための操作部13A、及びメニューや各種設定項目、印刷対象の画像などを表示するための表示部13Bを備えている。例えばユーザーが表示部13Bのメニューの中から操作部13Aを操作して印刷を選択すると、表示部13Bに、印刷時の設定項目として、用紙種、用紙サイズ、印刷品質、印刷色、印刷枚数などの各種設定項目の設定値を選択するための設定画面が表示され、操作部13Aを選択操作して各種設定項目の設定内容(設定値)を設定するようになっている。
【0026】
外部メモリーI/F17は、プリンター11のスロット19に挿入された外部記憶媒体20にコントローラー12がアクセスするためのものである。コントローラー12は、外部メモリーI/F17を介して外部記憶媒体20にアクセスして、外部記憶媒体20内のデータ(ファイル)の検索及びデータの読出し(読込み)などを行うこと可能である。なお、本例の外部メモリーI/F17は、画像データ等のデータの外部記憶媒体20への書込みも行うことが可能である。
【0027】
通信I/F18は、インターネットNWを介してプリンター11をサーバー100に接続させるためのものであり、所定の通信プロトコルに従って通信制御を行う公知の通信インターフェイスである。プリンター11は、通信I/F18を介してインターネットNWに接続してサーバー100との通信が可能になる。本実施形態のサーバー100は、インターネットNWに接続された複数のプリンター11間でのデータの送受信を支援し、一のプリンター11から送信されたデータに基づく文書や画像などをその送信先のプリンター11に印刷させることができるサービスを提供する。このサービスを受けるためには、識別番号(ID)を兼ねた通信番号がプリンター11に設定されている必要がある。本実施形態では、通信番号のデータが記憶された外部記憶媒体20が、スロット19に挿着されたプリンター11だけが上記サービスの提供を受けられるようになる。つまり、本例では、通信番号が記憶された外部記憶媒体20が、プリンター11がサービスを受けるためのドングル(許可キー)として機能する。
【0028】
例えば図1に示す複数台のプリンター11を、図1におけて括弧( )内に示すように、プリンター11A,11B,11C,11Dとする。ドングルとして機能する外部記憶媒体20を複数台のうち一つのプリンター11Aに挿着すると、そのプリンター11Aは、他のプリンターがプリンター11Aの通信番号を指定して送信してサーバー100に一時格納されたデータをサーバー100から受信可能になる。そして、プリンター11Aは、その受信データを外部記憶媒体20内のデータ格納領域DAに書き込んだり、その受信データに基づく文書や画像を印刷したりすることが可能になる。また、この外部記憶媒体20を例えば他のプリンター11Bに挿着すると、そのプリンター11Bが通信番号のプリンターになる。つまり、外部記憶媒体20を挿着しさえすれば、出張先や旅行先などの現地のプリンターを使ってそのユーザーの通信番号宛のデータの受信及び印刷を行うことが可能になる。
【0029】
スキャンエンジン14は、列状をなす光学式(CCD方式又はCMOS方式)の読取装置と、読取装置を原稿読み取り方向である走査方向に移動させるためのモーター等を含む駆動系とを備えて構成される。また、プリントエンジン15は、印刷媒体の一例である用紙を搬送する搬送モーターを含む搬送駆動系、及びカートリッジから供給されたインクを用紙に付着させて印刷する印刷ヘッドなどを備えて構成される。印刷ヘッドは、インクジェット記録方式又はドットインパクト記録方式が採用されるが、トナーを用紙に定着させて印刷するレーザー記録方式も採用できる。
【0030】
また、FAX通信部16は不図示の電話回線に接続され、電話回線を介した着信を検出可能なリング検出部を備える。コントローラー12は、リング検出部からのリング検出信号の入力により電話回線を介したファックスの着信があることを認知すると、FAX通信部16を接続状態とし、電話回線を介して送られてきたファックスデータをFAX通信部16を介して受信する。このFAX通信部16は、プリンター11からファックスデータを送信する際にも使用される。
【0031】
また、操作部13Aには、プリンター11の電源をオン/オフするために操作される電源スイッチ、表示部13Bに表示されたメニュー画面中の選択項目を選択操作するための選択スイッチ、選択された所定動作の開始を指示するためのスタートスイッチなどが含まれる。もちろん、表示部13Bとして、その画面を軽く押圧操作(タッチ操作)することにより、その押圧した選択項目の入力が可能なタッチパネル式のものを採用することもできる。
【0032】
プリンター11は、コントローラー12がスキャンエンジン14及びプリントエンジン15を駆動制御し、スキャンエンジン14で読み取った原稿の画像データに基づく画像をプリントエンジン15に印刷させることにより、原稿の「コピー」を行う。さらにプリンター11は、コントローラー12がプリントエンジン15を駆動制御することにより、外部記憶媒体20に記憶された複数の画像データに基づく各画像の中から表示部13Bに表示させつつユーザーにより選択操作された画像を印刷する「カード印刷」を行う。その他、プリンター11は、不図示のホスト装置と接続した状態では、コントローラー12がスキャンエンジン14を駆動制御することにより、原稿の「スキャン」を行ってスキャンデータをホスト装置へ転送したり、ホスト装置内のプリンタードライバー(図示省略)から受信した印刷データに基づく画像を印刷したりすることも可能になっている。
【0033】
ここで、「カード印刷」とは、スロット19に挿着された例えばメモリーカードなどの外部記憶媒体20に記憶された各種データの中からユーザーが操作パネル13の操作で選択した画像データを読み取り、その画像データに基づく画像(写真等)を印刷する際のモードである。特に本例のプリンター11は、ファクシミリ機能(FAX機能)を備え、FAXの送受信及び受信したFAX画像を印刷することも可能である。また、本実施形態のプリンター11はその本体に設けられたUSBポートのコネクター(図示省略)に挿着されたUSBメモリー中から読み込んだ画像データに基づく画像を印刷することも可能になっている。さらに、プリンター11は、その本体に設けられたディスク読取装置(図示省略)のトレイにセットされたディスク(光ディスク又は磁気ディスク)中から読み込んだ画像データに基づく画像を印刷することも可能である。
【0034】
このように本実施形態の外部記憶媒体20は、スロット19に挿抜されるメモリーカード、コネクターに挿着されるUSBメモリー、ディスク読取装置にセットされるディスク(光ディスク又は磁気ディスク)などの可搬型の記憶装置を指す。なお、この外部記憶媒体20には、例えばUSBコネクターに接続される外付けタイプの可搬型ハードディスク装置も含まれる。
【0035】
本実施形態のコントローラー12は、コンピューター21(マイクロコンピューター)を備えている。コンピューター21は、CPU22(中央処理装置)、ASIC23(Application Specific IC(特定用途向けIC))、不揮発性メモリー24及びRAM25を備えている。CPU22は、不揮発性メモリー24に記憶されたプログラムを実行することにより、プリンター11に、操作部13Aを操作した際の操作信号の受付け、操作信号などに応じた表示部13Bの表示内容の切替え、スキャン、印刷、コピー、FAXなどの所定動作を行う。ASIC23は、プリンター11が入力した画像データを基に印刷ヘッドの駆動系が用いることが可能な形式のヘッド制御データを生成する画像処理を行い、生成したヘッド制御データを記録ヘッドの駆動系へ転送することにより、記録ヘッドの制御を司る。なお、ASIC23を廃止し、全ての処理及び制御をCPU22が行う構成としてもよい。
【0036】
不揮発性メモリー24には、プリンター11を起動させるためのブートプログラム、OS(オペレイティング・システム)用のプログラム、プリンター11に印刷、コピー、FAXなどの所定動作を行わせるためのファームウェアプログラム(ファームウェア用プログラムデータ)及び各種の設定データなどが記憶されている。少なくともファームウェアプログラムは圧縮された状態で不揮発性メモリー24に格納されている。CPU22はプリンター11の電源オン時に不揮発性メモリー24から各プログラムを読み出し、その読み出した各プログラムをRAM25上に展開して起動させる。
【0037】
次に、コンピューター21の機能構成と、不揮発性メモリー24及び外部記憶媒体20内のデータ構成と、サーバー100の機能構成とを、図2及び図3を用いて説明する。ここで、図2は外部記憶媒体20が非接続状態にあるときのプリンター11の構成を示し、図3は外部記憶媒体20が接続状態にあるときのプリンター11の構成を示す。そして、図2には、CPU22が不揮発性メモリー24に記憶された第1ファームウェアプログラムFW1を実行することにより、コンピューター21内に構築される機能構成が示されている。また、図3には、CPU22が外部記憶媒体20に記憶された第2ファームウェアプログラムFW2を実行することにより、コンピューター21内に構築される機能構成が示されている。
【0038】
まず図2を用いて、外部記憶媒体20が非接続状態のときのプリンター11の機能構成などについて説明する。図2に示すように、プリンター11内の不揮発性メモリー24には、第1ファームウェアプログラムFW1と、プリンター11の機種を示す機種情報TIと、インターネット接続用のIPアドレスADとが記憶されている。
【0039】
コンピューター21内には、不揮発性メモリー24及びRAM25の他、CPU22が第1ファームウェアプログラムFW1を実行することにより構築される各部30〜40が設けられている。各部30〜40は、全体制御を司る主制御部30と、主に外部記憶媒体20の検出時に起動される各部31〜34,38,39、外部記憶媒体20の非接続状態において、コピー動作、印刷動作、FAX動作、表示動作を含む所定動作を行う各部35〜37,40に分かれる。まず各部31〜34,38,39について説明し、その後、各部35〜37,40について説明する。
【0040】
検知手段の一例である検出部31は、外部記憶媒体20の接続を検出する。詳しくは、検出部31は、例えば外部メモリーI/F17(図1を参照)からの入力信号に基づいて外部記憶媒体20の接続/非接続(接続の有無)を検出する。例えば入力信号がロウ(Low)であれば非接続であり、ハイ(High)であれば接続である。
【0041】
読込/書込部32は、外部記憶媒体20内のデータの検索、外部記憶媒体20からのデータの読込み(読出し)及び外部記憶媒体20へのデータの書込み(書替え)を行う。
ここで、図2に示すように、外部記憶媒体20内にはデータ格納領域DAが設けられており、読込/書込部32は外部記憶媒体20にアクセスすることにより、データ格納領域DAからの画像データ等の読み出し、及びデータ格納領域DAへの画像データ等の書き込みを行う。例えば「カード印刷」時には、読込/書込部32は、データ格納領域DAから印刷対象の画像データを読み出し、それを印刷に使用するため印刷処理部36に渡す。なお、通信番号取得部33及びログオン処理部34は、プリンター11にドングル(許可キー)として機能する外部記憶媒体20(図3参照)が接続されたときに起動されるものであるので、図3に示すコンピューター21の機能構成と共に後で説明する。
【0042】
展開部38は、ドングル(許可キー)として使用される図3に示す外部記憶媒体20の検出時に、この外部記憶媒体20から読み出した圧縮状態の第2ファームウェアプログラムFW2をRAM25に展開する展開処理を行う。なお、プリンター11の電源オン時に不揮発性メモリー24から読み出した圧縮状態の第1ファームウェアプログラムFW1をRAM25上に展開する展開処理は、本例では主制御部30が行う。
【0043】
起動手段の一例である再起動部39は、RAM25に展開された第2ファームウェアプログラムFW2を再起動させる再起動処理(再ブート処理)を行う。なお、第1ファームウェアプログラムFW1の起動処理は本実施形態では主制御部30が行う。よって、本実施形態では、主制御部30により第1起動手段が構成される。
【0044】
第1表示処理部40は、表示部13Bにメニュー画面及び設定画面などのユーザーインターフェイス画面(以下「UI画面」という)を表示させる。例えば第1ファームウェアプログラムFW1には、メニュー画面及び設定画面などの第1ユーザーインターフェイス画面データ(以下、単に「第1UI画面データ」という)が含まれている。第1表示処理部40は、プリンター11の電源オン後にメニュー画面である第1UI画面51(図6(a))を表示させたり、その第1UI画面51中に選択対象として表示される「コピー」、「カード印刷」、「FAX」などの複数の機能(モード)のうち選択された1つの設定画面を表示させたりする。
【0045】
コピー処理部35は、操作部13Aの操作により「コピー」を実行させる指示を受け付けると、スキャンエンジン14を駆動させて原稿の読取りを行うとともに、読み取った原稿の画像データを基に印刷データを生成し、その印刷データに基づく画像をプリントエンジン15を駆動させて印刷(コピー)する。
【0046】
印刷処理部36は、通常の外部記憶媒体がスロット19に挿着された状態で「カード印刷」を実行させる指示を受け付けると、外部記憶媒体から読み込んだ画像データを基に印刷データを生成し、その印刷データに基づく画像をプリントエンジン15を駆動させて印刷する。カード印刷の他にホスト装置から受信した印刷データに基づく画像の印刷も印刷処理部36が司る。
【0047】
FAX処理部37は、FAX通信部16のリング検出部からのリング検出信号の入力により電話回線を介したファックスの着信があることを認知すると、FAX通信部16を接続状態とし、電話回線を介して送られてきたファックスデータをFAX通信部16を介して受信する受信処理を行う。また、FAX処理部37は、プリンター11からFAX通信部16を介してファックスデータを送信する送信処理も行う。
【0048】
ここで、プリンター11に挿着される図2に示す外部記憶媒体20は、ドングル(許可キー)として使用される。ユーザーは、プリンター11に通信機能を追加させたい場合は、ドングル機能をもつ外部記憶媒体20をプリンター11のスロット19に挿着する。なお、ドングル機能を有しない通常の外部記憶媒体を挿着した場合でも、プリンター11は外部記憶媒体中の画像データに基づく画像を印刷する「カード印刷」は行うことができる。
【0049】
本実施形態では、プリンター11に接続された外部記憶媒体20からプリンター11が読み込んだ第2ファームウェアプログラムFW2を実行することによりプリンター11に通信機能が追加される。このため、外部記憶媒体20の非接続時及びドングル機能を有さない通常の外部記憶媒体の接続時は、通信機能がないので、図6(a)に示すように、「コピー」、「カード印刷」、「FAX」の各機能(モード)が選択可能に表示される第1UI画面51が表示される。
【0050】
一方、サーバー100は、内部のCPUがRAMに記憶されたプログラムデータを実行することにより、その内部に認証部101及び登録部102が構築されている。また、サーバー100内にはRAMの少なくとも一部の記憶領域よりなるデータ格納部103が設けられている。各部101,102は、外部記憶媒体20が挿着されたプリンター11から追加サービスの提供を受けるためのアクセスがあると起動する。なお、各部101〜103の機能は、図3を参照して後述する。
【0051】
次にドングル機能を有する外部記憶媒体20が接続されたときのプリンター11の機能構成を説明する。
図3に示すように、外部記憶媒体20には、プリンターの機種毎に用意された第2ファームウェアプログラムFW2、通信番号CNのデータ、画像データなどが格納されるデータ格納領域DAが用意されている。ここで、第2ファームウェアプログラムFW2は、第1ファームウェアプログラムFW1で実現されるプリンター11の機能(コピー、カード印刷、FAX)に、通信機能のサービスを追加するために用意されたものである。
【0052】
ここで、まず外部記憶媒体20内のデータ構造について図4を用いて説明する。
図4に示すように、「Root」の下位階層にIPプリントのフォルダー「IPPRINT」があり、さらにその下位階層には、受信フォルダー「RCV」、セットアップフォルダー「SETUP」、送信フォルダー「SND」、ファームデータフォルダー「FIRMDATA」、コンテンツフォルダー「CONTENTS」及びユーザーデータフォルダー「USERDAT」がある。
【0053】
受信フォルダー「RCV」はIP通信でデータを1件受信する毎に作成される。受信フォルダー「RCV」には、IP通信で受信した画像データ(例えばjpeg形式の画像データ)が送信元の通信番号毎に対応付けて格納されている。
【0054】
セットアップフォルダー「SETUP」には、データ通信用の設定ファイルSFが格納されている。図5(a)に示すように、データ通信用の設定ファイルSFには、IP通信のための設定情報が記述されており、その中の1つに通信番号CNが含まれている。この通信番号CNは、例えばプリンター11間でIP通信を行う電話番号として提供され、前述の通信サービスをサーバー100に許可してもらうための識別番号として使用される。また、送信フォルダー「SND」には、未送信及び送信失敗のデータが格納される。
【0055】
ファームデータフォルダー「FIRMDATA」には、通信機能のサービスをプリンターに追加する第2ファームウェアプログラムFW2がプリンターの機種毎に用意されている。図4に示す例では、第2ファームウェアプログラムFW2として、機種Aの通信機能付きファームウェアプログラム、機種Bの通信機能付きファームウェアプログラム、機種Cの通信機能付きファームウェアプログラムの3種類が格納されている。このうち外部記憶媒体20が接続されたプリンターの機種に対応する1つの第2ファームウェアプログラムFW2がプリンターへ読み込まれる。
【0056】
コンテンツフォルダー「CONTENTS」には、データ通信用のコンテンツデータ群が格納されている。第2ファームウェアプログラムFW2を実行中のプリンター11は、コンテンツデータ群を用いて表示部13Bに各種のコンテンツ情報を表示する。例えば宣伝用のコンテンツ情報も用意されており、定期又は不定期の所定時期になると、表示部13Bにコンテンツ情報を表示してユーザーへの所定情報の報知や宣伝なども行われる。
【0057】
ユーザーデータフォルダー「USERDAT」には、アドレス帳データ、送信履歴データ、受信履歴データが格納されている。アドレス帳データは、登録者の名前と通信番号とが対応付けられた一覧データである。
【0058】
図5(b)に示すように、機種Aの通信機能付きファームウェアプログラム(第2ファームウェアプログラム)FW2は、機種Aの機能追加前のファームウェアプログラム(第1ファームウェアプログラムFW1)と共通な部分と、通信機能対応の第2UI画面データ及び通信プログラム(機能用プログラム)などを含む通信機能部分からなる追加部分とから構成される。
【0059】
図3に戻って、コンピューター21内にソフトウェアにより構築された各部30〜39は、図2のものと同様である。図3に示す検出部31が、外部記憶媒体20のプリンター11への接続を検出すると、読込/書込部32が、外部記憶媒体20内のデータを検索し、設定ファイルSFを探す。図3の例では、外部記憶媒体20内に設定ファイルSFが見つかるので、読込/書込部32はこの設定ファイルSFを読み込む。読込/書込部32は読み込んだ設定ファイルSFを通信番号取得部33へ渡す。
【0060】
通信番号取得部33は、設定ファイルSF中から記述された通信番号CNを取得する。
ログオン処理部34は、少なくとも通信番号取得部33が通信番号CNを取得したときには、サーバー100にアクセスして通信番号を送ることによりログオン処理を行う。通信番号はサーバー100がログオン処理を行うときの識別番号として用いられる。なお、ログオン処理部34は、サーバー100へのログオン状態を解除するときにはログアウト処理も行う。
【0061】
ここで、サーバー100の機能構成を説明する。図3に示すサーバー100が備える認証部101は、プリンター11から受け付けた通信番号が正規のものであるか否かを判定する認証処理を行う。認証部101が正規の通信番号であると判定し、認証が得られると、登録部102はその認証された通信番号を登録し、通信番号登録の旨をプリンター11へ通知する。
【0062】
この通信番号登録の旨を受信すると、プリンター11内の主制御部30は、不揮発性メモリー24からプリンターの機種情報を読み出し、読込/書込部32に機種に対応する第2ファームウェアプログラムFW2の読込みを指示する。読込/書込部32は、プリンター11の機種Aに対応する第2ファームウェアプログラムFW2を外部記憶媒体20から読み込む。
【0063】
展開部38は、読込/書込部32が外部記憶媒体20から読み込んだプリンター11Aの機種Aに対応する圧縮状態の第2ファームウェアプログラムFW2をRAM25に展開する。
【0064】
再起動部39は、展開部38が圧縮状態の第2ファームウェアプログラムFW2をRAM25に展開すると、プリンター11を再起動する。この再起動により、第2ファームウェアプログラムFW2の一部(通信プログラム)によって実現される図3に示す追加サービス部41がプリンター11に追加される。
【0065】
図3に示すように、追加サービス部41は、プリンター11間の通信を実現するための通信部42と、「IP通信」の機能が追加されたメニュー画面である第2UI画面52(図6(b)参照)を表示部13Bに表示するための第2表示処理部43と、追加サービス部41を無効にする無効化処理部44及び追加サービス部41を有効にする有効化処理部45などを備えている。
【0066】
通信部42は、送信先の通信番号を指定してデータをサーバー100に送信する送信部42Aと、サーバー100のデータ格納部103に格納されたデータをプリンター11がサーバー100から受信する受信部42Bとを備える。
【0067】
第2表示処理部43は、プリンター11の再起動により起動され、第2ファームウェアプログラムFW2中の第2ユーザーインターフェイス画面データ(以下「第2UI画面データ」という)に基づき図6(b)に示す第2UI画面52を表示部13Bに表示させる。
【0068】
図6(a)に示すように、外部記憶媒体20の挿入前の第1UI画面51には、「コピー」、「カード印刷」、「FAX」の3つの機能の各表示領域61〜63が表示される。この状態で外部記憶媒体20をスロット19へ挿入すると、サーバー100での通信番号の登録及びプリンター11の第2ファームウェアプログラムFW2の展開後の再起動を経て、図6(b)に示すように「IP通信」の表示領域64が追加される。つまり、初期には第2UI画面52はIP通信が有効化された状態で表示される。
【0069】
図3に示す無効化処理部44は、外部記憶媒体20が抜き取られたときに、追加サービス部41が提供する通信機能を、無効化する処理を行う。つまり、RAM25に展開されて起動されている第2ファームウェアプログラムFW2のうち通信機能に係る部分(追加サービス部分)が無効化される。このとき、第2表示処理部43は無効化処理部44からの無効化指示を受け付けると、図6(b)に示す第2UI画面52において有効であった「IP通信」の表示領域64を無効化し、図6(c)の第3UI画面53に示すように「IP通信」の表示領域64をグレイアウトする。この結果、外部記憶媒体20を抜き取ると、図6(b)の第2UI画面52から、「IP通信」の表示領域64がグレイアウト(無効化)された図6(c)に示す第3UI画面53へ切り換わる。この第3UI画面53では、「IP通信」の表示領域64を選択するための操作部13Aの選択操作が不能になる。つまり、第3UI画面53では「IP通信」を選択操作することができなくなる。この結果、追加サービスの通信機能が使用不能になる。
【0070】
また、図3に示す有効化処理部45は、図6(c)に示す「IP通信」の表示領域64が無効化された第3UI画面53が表示された状態で、外部記憶媒体20がスロット19に再挿入されたことが検出部31により検知されると、追加サービス部41が提供する通信機能を再び有効にする処理を行う。つまり、RAM25に展開されて起動されている第2ファームウェアプログラムFW2のうち通信機能に係る部分が有効化される。このとき、第2表示処理部43は有効化処理部45からの有効化指示を受け付けると、図6(c)に示す第3UI画面53において無効であった「IP通信」の表示領域64を有効化し、図6(b)の第2UI画面52に示すように「IP通信」の表示領域64をグレイアウトでない表示状態に切り換える。この結果、外部記憶媒体20を再接続すると、図6(c)の第3UI画面53から図6(b)に示す第2UI画面52へ切り換わる。すなわち、無効化されていた「IP通信」の表示領域64が有効化され、操作部13AによるIP通信の選択操作が可能になる。
【0071】
読込/書込部32により検索されて読み込まれた設定ファイルSF中の通信番号CNが通信番号取得部33により取得されると、ログオン処理部34は、その通信番号CNをインターネットNWを介してサーバー100に送信する。サーバー100は、受信した通信番号CNが登録済みのものであるかどうかを判断する認証処理を行い、登録済みであると認証されれば、その通信番号CNを登録する。
【0072】
この登録によって、一のプリンターから通信番号を指定して他のプリンターへサーバー100を介してデータを送信し、その送信先のプリンターにデータに基づく文書や画像などを印刷させるIPプリントが可能になる。もちろん、送信元はパーソナルコンピューターなどIP通信が可能な電子機器であればよく、この場合、送信先の通信番号を指定して印刷などさせたい画像等のデータを送信することが可能である。このとき、プリンター11は、外部記憶媒体20が接続されると、自身の通信番号を宛先とするデータを受信してそのデータを外部記憶媒体20のデータ格納領域に格納したり、そのデータに基づく画像を印刷したりすることができる。
【0073】
サーバー100のデータ格納部103には、送信元のプリンター11や他の電子機器からサーバー100が受信したデータが一時的に格納される。サーバー100は、送信先の通信番号が割り当てられたプリンター11がサーバー100に接続されると、データ格納部103に一時格納されているデータをその送信先のプリンター11へ送信する。サーバー100は、通信番号の登録時にプリンター11のIPアドレスを取得し、通信番号とIPアドレスとを対応付けて保存しているので、登録されている通信番号に対応付けられたIPアドレスを指定してデータを送信する。このため、送信先として指定された通信番号が割り当てられたプリンター11へデータは送信される。
【0074】
図6(b)に示す第2UI画面52が表示された状態で、操作部13Aの操作により「IP通信」が選択されると、図3に示す通信部42が起動される。通信部42の起動状態では外部記憶媒体20中のアドレス帳を表示部13Bに表示してその中から送信先を指定することができる。そして、表示部13Bに表示される通信用画面の案内に従って操作部13Aを操作することにより、印刷対象の画像データの選択、送信先の通信番号の指定などを行って、IP通信による印刷データの送信及び送信先のプリンターによる印刷データに基づく画像の印刷を行うことが可能になる。
【0075】
ここで、外部記憶媒体20には、図2に示すように、プリンター11の複数の機種(例えば機種A、機種B、機種C)に対応する複数種の第2ファームウェアプログラムFW2が記憶されている。不揮発性メモリー24には、プリンター11の機種を特定可能な機種データ(例えば機種番号データ等)が記憶されており、主制御部30は、機種データ又は機種データから特定される機種の情報を読込/書込部32に伝える。読込/書込部32は、主制御部30に指示された機種に対応する第2ファームウェアプログラムFW2を外部記憶媒体20から読み込む。例えば図2に示すプリンター11が機種Aであるとすると、読込/書込部32は外部記憶媒体20内のデータを対象に機種Aに対応する第2ファームウェアプログラムFW2を検索し、検索の結果得られた第2ファームウェアプログラムFW2を外部記憶媒体20から読み込むようになっている。
【0076】
通信番号取得部33は、外部記憶媒体20内に格納された通信番号のデータを読込/書込部32を介して読み出すことにより取得する。そして、通信番号取得部33は、取得した通信番号のデータをインターネットNWを介してサーバー100へ送信する。このときの通信番号の送信は、詳しくは通信I/F18(図1を参照)を介して行われる。
【0077】
ログオン処理部34は、通信I/F18を介してインターネット接続を行うとともに、不揮発性メモリー24に記憶された規定のサーバー100のIPアドレス(図示省略)にアクセスしてサーバー100にログオンする処理を行う。
【0078】
次に、プリンター11の作用を、図8及び図9に示すフローチャートに基づいて、必要に応じて図6(a)〜(c)に示す画面の遷移図を参照しつつ説明する。まず図7に示す外部記憶媒体検出処理ルーチンについて説明する。
【0079】
まずステップS11では、外部記憶媒体20を検出(検知)できたか否かを判断する。外部記憶媒体20の接続が検知されなければ当該ルーチンを終了し、一方、外部記憶媒体20の接続が検知されればステップS12に進む。
【0080】
ステップS12では、国別仕向け対応国であるか否かを判断する。ここで、サーバー100が提供する通信サービスは、所定の仕向け国でのみ利用できる。よって、国別仕向け対応国でなければ当該処理を終了し、国別仕向け対応国であればステップS13に進む。
【0081】
ステップS13では、外部記憶媒体20内のデータ通信用の設定ファイルSFを検索する。
次のステップS14では、データ通信用の設定ファイルSFがあるか否かを判断する。設定ファイルSFがなければ当該ルーチンを終了し、一方、設定ファイルSFがあればステップS15に進む。
【0082】
ステップS15では、外部記憶媒体20からプリンター11の機種に対応する第2ファームウェアプログラムを読み込んで展開し再起動する。
次のステップS16では、設定ファイルSF中の通信番号をサーバー100に通知する。
【0083】
次のステップS17では、サーバーから通信番号の登録通知があったか否かを判断する。すなわち、プリンター11からサーバー100へ通知した通信番号がサーバー100において登録された旨の通知をサーバー100から受信したか否かを判断する。サーバー100から登録通知があればステップS18に進んで、第2UI画面52を表示する。なお、サーバー100への通信番号CNの通知から、サーバー100から所定時間経過しても登録通知がなかったり、又は登録できない旨の通知があったりした場合は、当該ルーチンを終了する。
【0084】
そして、次のステップS19では、IP通信機能を有効化する。つまり、通信部42が起動され、プリンター11はサーバー100との間でインターネットNWを介したデータの送信及び受信が可能になる。このとき、サーバー100にこのプリンター11Aに割り当てられた通信番号宛のデータが格納されていれば、サーバー100はそのデータを通信番号に対応するIPアドレスを指定してプリンター11Aへ送信する。
【0085】
そして、ステップS20では、サーバー100からデータを受信したか否かを判断する。データの受信がなければ当該ルーチンを終了し、一方、データを受信すればステップS21に進む。
【0086】
ステップS21では、その受信したデータに基づく文書や画像などの印刷対象を印刷する。すなわち、外部記憶媒体20をプリンター11Aに接続すると、そのプリンター11Aには通信番号CNが割り当てられ、そのときこの通信番号CNを送信先とするデータがサーバー100に格納されていれば、そのデータがプリンター11Aへ送信されてプリンター11Aによりその受信データに基づく印刷が行われる。
【0087】
その後、通信番号CNが登録された状態において、ユーザーが図6(b)に示す第2UI画面52で操作部13Aを操作して「IP通信」を選択すると、図3に示す通信部42が起動されるとともに通信用画面が表示される。この通信用画面において、ユーザーは操作部13Aの操作により表示部13Bにアドレス帳を表示させてその中から送信先の通信番号を指定するとともに相手先のプリンターに印刷させたいデータを指定した後、送信実行の操作を行う。この送信実行操作の結果、通信部42(詳しくは送信部42A)は、送信先の通信番号を含むデータをサーバー100へ送信し、サーバー100は送信先のプリンターが既に登録されていれば(つまり送信先の通信番号が格納された外部記憶媒体20が接続されたプリンターがネットワーク接続されていれば)、通信番号で特定されたIPアドレスを有するプリンターへデータを送信する。この結果、送信先の通信番号が格納された外部記憶媒体20が接続されたプリンターにおいて、IP通信によるデータの受信及び受信データに基づく文書や画像などの印刷が行われる。
【0088】
例えばプリンター11Aに外部記憶媒体20を接続してユーザーAさんがデータを送信し、その同じプリンター11AにユーザーBさんがその送信先に指定された通信番号が格納された外部記憶媒体20を接続すると、Bさんは、Aさんが送信したデータを同じプリンターで印刷して取得することもできる。
【0089】
また、添削用紙や定期配信資料を自宅のプリンター11Aでいつも受信して印刷している場合において、たまたま旅先の宿泊施設や遠方の知人宅に行った場合に、その宿泊施設や知人宅にあるプリンター11Bに外部記憶媒体20を接続することにより、そのプリンター11Bでいつものように添削結果や資料を印刷して取得することができる。
【0090】
ここで、通信機能が不要になって外部記憶媒体20をプリンター11から抜き取った場合に行われる外部記憶媒体抜取り処理ルーチンについて、図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0091】
まずステップS31では、外部記憶媒体20の抜取りを検出したか否かを判断する。外部記憶媒体20の抜取りを検出すれステップS32に進み、一方、抜取りが検出されなければ当該ルーチンを終了する。
【0092】
ステップS32では、サーバー100に通信番号の登録削除を依頼する。
次のステップS33では、IP通信機能の無効化を行う。すなわち、無効化処理部44が、追加サービス部41を無効にする無効化処理を行う。この無効化処理により表示部13Bに表示された図6(b)に示す第2UI画面52が、「IP通信」の表示領域64がグレイアウトされた図6(c)に示す第3UI画面53へ切り換わる。この結果、グレイアウトされた「IP通信」の選択操作が不能になる。
【0093】
このため、ユーザーは追加サービスのIP通信機能を使えなくなる。このように外部記憶媒体20を接続しているときだけIP通信機能を行うことができるので、許可されたユーザーだけがIP通信機能を使用することができる。
【0094】
一方、サーバー100は通信番号の登録及び登録削除のために図9にフローチャートで示すサーバー処理ルーチンを行う。すなわち、図9に示すステップS41において、プリンター11から通信番号の通知があったか否かを判断する。通信番号の通知があればステップS42に進み、通信番号の通知がなければステップS43に進む。
【0095】
ステップS42において通信番号を登録する。このとき通知番号は識別番号を兼ねているので、その通信番号が許可済みのものであるか否かを判定する認証を認証部101が行い、認証されれば、その通信番号が登録部102により登録される。なお、認証されなかった場合は、その通信番号の登録拒否の旨をプリンター11へ送信する。
【0096】
ステップS43では、プリンター11から通信番号の登録削除依頼があったか否かを判断する。登録削除依頼があればステップS44に進み、登録削除依頼がなければ当該ルーチンを終了する。
【0097】
ここで、サーバー100は通知番号を登録した場合は、その通知番号を送信先とするデータがデータ格納部103に格納されていないかを検索し、該当するデータが存在すれば、そのデータを通信番号に対応するIPアドレスを指定してプリンター11へ送信する。
【0098】
以上詳述したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)外部記憶媒体20の接続が検知された場合に、外部記憶媒体20から第2ファームウェアプログラムFW2を読み込んで起動することにより通信機能が追加される構成なので、許可されたユーザーのみがプリンター11で通信機能を使用できる。
【0099】
(2)外部記憶媒体20が抜き取られて接続が検知されなくなると、通信機能の無効化処理を行うため、第2ファームウェアプログラムFW2の起動状態を保持できる。このため、通信機能を無効とし印刷機能などの他の機能を有効とするために第1ファームウェアプログラムの展開及び起動の処理を行わずに済む。
【0100】
(3)外部記憶媒体20が抜き取られた後は、第2ファームウェアプログラムFW2が通信機能を無効にしただけの起動状態にあるので、その後、外部記憶媒体20が再接続されたときは、有効化処理部45が通信機能の有効化処理を行うだけで通信機能を追加できる。このため、外部記憶媒体20の再接続の度に、第2ファームウェアプログラムFW2の展開及び再起動を行う必要がない。すなわち、外部記憶媒体20が再接続されたときに、速やかに通信機能を追加できる。
【0101】
(4)読込/書込部32が外部記憶媒体20を検索して設定ファイルSFを取得できれば、その設定ファイルSF中の通信番号CNをサーバー100へ送信して通信番号CNの登録を依頼する。そして、サーバー100において通信番号CNが認証されて登録された旨の登録通知をサーバー100から受信すると、プリンター11は有効化処理部45により通信機能を有効にするとともに、「IP通信」の表示領域64(ユーザーインターフェイス)が有効とされた第2UI画面52を表示部13Bに表示させる。このように通信番号CNを識別番号(識別子)としてサーバー100で認証された場合のみ通信機能が有効とされるので、正規の通信番号CNが格納された外部記憶媒体20を接続した許可されたユーザーのみがプリンター11において通信機能を使用できるようになる。
【0102】
(5)正規の通信番号CNが格納された外部記憶媒体20をプリンター11に接続すると、そのプリンター11に通信機能が付与されてサーバー100にそれまで格納されていた他のプリンターからの送信データを受信することができる。そして、印刷処理部36がその受信データに印刷処理を施して得たヘッド制御データに基づきプリントエンジン15を制御することにより、その受信データに基づく文書や画像などの印刷対象を用紙などの印刷媒体に印刷することができる。
【0103】
(6)外部記憶媒体20が抜き取られた際は、第2表示処理部43(表示制御手段)が、「IP通信」の表示領域64が選択可能な有効状態となった第2UI画面52から、「IP通信」の表示領域64が選択不能な無効(グレイアウト)状態となった第3UI画面53に切り換える表示制御を行う。このため、外部記憶媒体20を抜き取って通信機能が選択不能な無効状態になったことは、表示部13Bに第3UI画面53が表示されたことをもってユーザーは視認することができる。
【0104】
(7)外部記憶媒体20が再接続された際は、第2表示処理部43(表示制御手段)が、「IP通信」の表示領域64が選択不能な無効(グレイアウト)状態となった第3UI画面53から、「IP通信」の表示領域64が選択可能な有効状態となった第2UI画面52に切り換える表示制御を行う。このため、外部記憶媒体20を再接続して通信機能が選択可能な有効状態になったことは、表示部13Bに第2UI画面52が表示されたことをもってユーザーは視認することができる。
【0105】
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。前記第1実施形態では、外部記憶媒体20を接続することでプリンター11に通信機能を追加したが、この第2実施形態は、外部記憶媒体20を接続することでプリンター11に特殊色印刷機能を追加する構成の例である。
【0106】
図10は、外部記憶媒体20を接続した状態にあるプリンター11の機能構成を示すブロック図である。図10に示すように、外部記憶媒体20が接続されていないときの機能構成、すなわち追加サービス部以外の部分については、基本的に第1実施形態の構成と同様である。すなわち、プリンター11内のコンピューター21は、主制御部30、検出部31、読込/書込部32、コピー処理部35、印刷処理部36、FAX処理部37、展開部38及び再起動部39を備えている。その他、コンピューター21は、識別番号取得部69と認証部70を備えている。
【0107】
本実施形態の外部記憶媒体20に記憶された第2ファームウェアプログラムFW2は、特殊色補正印刷の機能を実現するためのプログラムが第1ファームウェアプログラムFW1に追加されたものである。また、外部記憶媒体20に記憶された設定ファイルSFには、識別番号IDが格納されている。
【0108】
識別番号取得部69は、検出部31が外部記憶媒体20の接続を検出したときに読込/書込部32が検索して得た設定ファイルSF内の識別番号(識別子)を取得する。認証部70は、識別番号が許可されたものであるか否かを判定することにより認証を行う。識別番号が認証されると、主制御部30は、不揮発性メモリー24から機種情報TIを読み出し、機種に対応する第2ファームウェアプログラムFW2の読込みを読込/書込部32に指示する。読込/書込部32は主制御部30の指示に従って、機種情報TIに基づく機種に対応する第2ファームウェアプログラムFW2を読み込むようになっている。そして、その読み込まれた第2ファームウェアプログラムFW2を展開部38が展開し、その展開後に再起動部39が再起動を行う。この再起動によりコンピューター21内に追加サービス部71が追加される。このように外部記憶媒体20が接続された状態では、プリンター11に追加サービス部71が追加される。
【0109】
本実施形態の追加サービス部71は、特殊色補正印刷部72、第2表示処理部73、無効化処理部74及び有効化処理部75を備えている。
特殊色補正印刷部72は、規定の印刷色を補正して特殊色の印刷を可能にする印刷処理を行う。詳しくは、特殊色補正印刷部72は、印刷処理部36のうちプリントエンジン15の記録ヘッドへ送られるヘッド制御データを生成する画像処理部に替わり、特殊色での印刷が可能なように補正を加えたヘッド制御データを生成する。このため、特殊色補正印刷部72が生成したヘッド制御データに基づいて記録ヘッドが印刷を行うことにより特殊色での印刷が可能になる。
【0110】
第2表示処理部43は、「特殊色補正印刷」の機能が追加されたメニュー画面である第2UI画面52(図11(b)参照)を表示部13Bに表示する機能を有する。無効化処理部74は、追加サービス部71を無効にする機能を有する。また、有効化処理部75は、追加サービス部71を有効にする機能を有する。
【0111】
ここで、表示部13Bに表示されるUI画面の遷移について図11を用いて説明する。
図11(a)に示すように、外部記憶媒体20の挿入前の第1UI画面51には、「コピー」、「カード印刷」、「FAX」の3つの機能の各表示領域61〜63が表示される。この状態で外部記憶媒体20をスロット19へ挿入すると、プリンター11の第2ファームウェアプログラムFW2の展開後の再起動を経て、図11(b)に示すように「特殊色補正印刷」の表示領域65が追加される。
【0112】
図10に示す無効化処理部74は、外部記憶媒体20が抜き取られたときに、追加サービス部71が提供する特殊色補正印刷機能を、無効化する処理を行う。つまり、RAM25に展開されて起動されている第2ファームウェアプログラムFW2のうち特殊色補正印刷機能に係る部分(追加サービス部分)が無効にされる。このとき、第2表示処理部73は無効化処理部74からの無効化指示を受け付けると、図11(b)に示す第2UI画面52において有効であった「特殊色補正印刷」の表示領域65を、図11(c)の第3UI画面53に示すようにグレイアウトすることにより無効化する。この第3UI画面53では、「特殊色補正印刷」の表示領域65を選択するための操作部13Aの選択操作が不能になる。つまり、第3UI画面53では「特殊色補正印刷」を選択操作することができなくなる。この結果、追加サービスの特殊色補正印刷が使用不能になる。
【0113】
また、図10に示す有効化処理部75は、図11(c)に示す「特殊色補正印刷」の表示領域65が無効化された第3UI画面53が表示された状態で、外部記憶媒体20がスロット19に再挿入されたことが検出部31により検知されると、追加サービス部71が提供する特殊色補正印刷機能を再び有効にする処理を行う。つまり、RAM25に展開されている第2ファームウェアプログラムFW2のうち特殊色補正印刷機能に係る部分が有効にされる。このとき、第2表示処理部73は有効化処理部75からの有効化指示を受け付けると、図11(c)に示す第3UI画面53において無効であった「特殊色補正印刷」の表示領域65を有効化し、図11(b)の第2UI画面52に示すように「特殊色補正印刷」の表示領域65を有効な表示状態(非グレイアウト表示状態)に切り換える。すなわち、無効化されていた「特殊色補正印刷」の表示領域65が有効化され、操作部13Aによる「特殊色補正印刷」の選択操作が可能になる。
【0114】
次に、プリンター11の作用を、図12及び図13に示すフローチャートに基づいて、必要に応じて図11(a)〜(c)に示す画面の遷移図を参照しつつ説明する。まず図12に示す外部記憶媒体検出処理ルーチンについて説明する。
【0115】
まずステップS51では、外部記憶媒体20を検出(検知)できたか否かを判断する。外部記憶媒体20の接続が検知されなければ当該ルーチンを終了し、一方、外部記憶媒体20の接続が検知されればステップS52に進む。
【0116】
ステップS52では、国別仕向け対応国であるか否かを判断する。特殊色補正印刷の追加サービスを受けられる国別仕向け対応国でなければ当該処理を終了し、国別仕向け対応国であればステップS53に進む。
【0117】
ステップS53では、外部記憶媒体20内の設定ファイルSFを検索する。
次のステップS54では、設定ファイルSFがあるか否かを判断する。このとき、認証部70により設定ファイルSFに格納された識別番号IDが許可されたものであるか否かを判定する認証処理が行われ、認証が得られれば該当する設定ファイルSFがあると判断し、認証が得られなければ該当する設定ファイルSFがないと判断する。設定ファイルSFがなければ当該ルーチンを終了し、一方、設定ファイルSFがあればステップS55に進む。
【0118】
ステップS55では、外部記憶媒体20からプリンター11の機種に対応する第2ファームウェアプログラムFW2を読み込んで展開し再起動する。
次のステップS56では、第2UI画面52を表示する。すなわち、それまで表示されていた図11(a)に示す第1UI画面51から、図11(b)に示すように特殊色補正印刷の表示領域65が追加された第2UI画面52に切り換える。
【0119】
そして、次のステップS57では、特殊色補正印刷を有効化する。つまり、印刷が行われるときには、印刷処理部36に加え、特殊色補正印刷部72が起動され、規定の印刷色を特殊色に補正する補正処理が施されて特殊色に対応するヘッド制御データが生成されるように特殊色補正印刷部72を有効にする。
【0120】
特殊色補正印刷部72が有効な状態で表示部13Bに表示される図11(b)に示す第2UI画面52において、特殊色補正印刷の表示領域65(ユーザーインターフェイス)は、操作部13Aの操作により選択することが可能になる。そして、この第2UI画面52で操作部13Aを操作して特殊色補正印刷の表示領域65を選択することにより、特殊色補正印刷が可能になる。
【0121】
ここで、外部記憶媒体20をプリンター11から抜き取った場合に行われる外部記憶媒体抜取り処理ルーチンについて、図13に示すフローチャートに従って説明する。
まずステップS61では、外部記憶媒体20の抜取りを検出したか否かを判断する。外部記憶媒体20の抜取りを検出すれステップS62に進み、一方、抜取りが検出されなければ当該ルーチンを終了する。
【0122】
ステップS62では、特殊色補正印刷の無効化を行う。すなわち、無効化処理部74が、追加サービス部71を無効にする無効化処理を行う。この無効化処理により表示部13Bに表示された図6(b)に示す第2UI画面52から、「特殊色補正印刷」の表示領域65がグレイアウトされた図6(c)に示す第3UI画面53に切り換わる。この結果、グレイアウトされた「特殊色補正印刷」の選択操作が不能になる。このため、ユーザーは追加サービスの特殊色補正印刷機能を使えなくなる。このように外部記憶媒体20を接続しているときだけ特殊色補正印刷を行うことができるので、許可されたユーザーだけが特殊色補正印刷を行うことができる。例えば許可されたユーザーが外部記憶媒体20を図10に示す他のプリンター11Bに接続すると、そのプリンター11Bにおいてその機種に対応する第2ファームウェアプログラムFW2が読み込まれて展開及び再起動されることにより、追加サービス部71が追加される。このため、機種の異なる他のプリンター11Bでも外部記憶媒体20を接続すれば、特殊色補正印刷機能が追加される。そして、外部記憶媒体20を抜き取れば、特殊色補正印刷は無効になるので、ユーザーが特殊色補正印刷を行った後、外部記憶媒体20を抜き取りさえすれば、以後、そのプリンター11Bを利用する他のユーザー(許可されていないユーザー)は特殊色補正印刷を行うことができない。
【0123】
以上詳述したように第2実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(8)外部記憶媒体20を接続することによりプリンター11に追加サービスとして特殊色補正印刷機能を追加することができる。また、外部記憶媒体20を抜き取れば、無効化処理部74により特殊色補正印刷機能を無効にすることができる。そして、外部記憶媒体20が再接続(再挿入)されると、有効化処理部75により特殊色補正印刷機能を有効化することができる。このように外部記憶媒体20の抜取り・再接続の際は追加機能の無効と有効によって切り換えるので、外部記憶媒体20の再接続の度に、第2ファームウェアプログラムの展開及び再起動を行う必要がない。このため、外部記憶媒体20の再接続の際には、プリンター11を比較的速やかに特殊色補正印刷機能を使用できる状態にすることができる。
【0124】
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・第1ファームウェアプログラムが、通信プログラムを構成する送信プログラムと受信プログラムのうち受信プログラムのみを含んでもよい。つまり、送信機能については外部記憶媒体20が接続されたときのみ追加されるが、受信機能については外部記憶媒体20の接続の有無に関係なくはじめから有効になる構成である。この場合、通信番号はプリンターの不揮発性メモリーに記憶されており、プリンターは外部記憶媒体20が接続されていないときは、その通信番号をサーバーへ送信することで受信専用としてサーバーに登録される。この構成によれば、外部記憶媒体20を接続していないときでも、受信データに基づく文書や画像などを印刷できる。このため、送信元からの印刷を忘れにくくなる。また、外部記憶媒体が接続されていないときにもサーバーから送られた情報サイトの情報を受信機能により受信することできる。この場合、ユーザーの設定により、情報サイトの情報を、データとして外部記憶媒体20のデータ格納領域DAに格納するか、印刷するかを選択可能な構成とすることが好ましい。
【0125】
・通信機能を無効化することなく、通信機能(IP通信)のユーザーインターフェイスである表示領域64のみを無効(グレイアウト)状態にするだけの構成としてもよい。この場合、通信プログラムを実行させるトリガーとなる「IP通信」の選択操作が不能になるので、通信機能自体が有効であっても実質的に通信機能を不能にすることができる。また、表示部13Bに表示されるUI画面を切り換えるだけで済むので、通信機能の無効化に必要な処理を簡素化できる。
【0126】
・通信プログラムを有しない第1ファームウェアプログラムを、通信プログラムを有する第2ファームウェアプログラムに置き換えて再起動することにより、通信プログラムに基づく通信機能を追加する構成に限定されない。例えば第1ファームウェアプログラムを起動したまま、外部記憶媒体20から通信プログラムをメモリーの別領域に読み込んで起動させる構成としてもよい。
【0127】
・ログオン処理部は、外部記憶媒体20の接続が検知されたときに自動でサーバー100にログオンする構成に替え、外部記憶媒体20の接続が検知されたときにさらにユーザーから通信機能を有効にする旨の操作信号を入力したときにサーバー100へログオンする構成としてもよい。この場合、外部記憶媒体20の接続検知時に、通信機能を有効にするかどうかの選択をユーザーに促す選択画面(確認画面)を表示部13Bに表示し、選択画面を見たユーザーが操作部13Aにより通信機能を有効にする操作と、通信機能を有効にしない操作とのうち一方を選択する構成とする。そして、ユーザーが操作部13Aを操作したことによるログオンの指示を受け付けると、その指示の受付けを契機にログオン処理部34がサーバー100へのログオン処理を開始する構成とする。
【0128】
・外部記憶媒体20に格納される識別子は通信番号に限定されず、IPアドレスでもよい。また、認証用の識別子と、通信先を特定する通信用の識別子とを別々に外部記憶媒体20に格納してもよい。また、識別子をIPアドレスとした場合は、外部記憶媒体の挿抜によって印刷装置に割り当てられるIPアドレスを変更してもよい。
【0129】
・機能が追加された状態の下で開始した印刷の途中で外部記憶媒体20が抜き取られたことを検知した場合は、機能の無効化は印刷の終了後に行うようにしてもよい。
・機能(「IP通信」や「特殊色印刷」)のユーザーインターフェイスの無効化はグレイアウトに限定されない。例えば機能の表示領域64,65を消去してもよい。例えば表示領域64,65の表示色を薄くしたり、表示領域64の枠線や文字を実線から破線へ変更したり、枠線や文字を他の色に変更してもよい。さらには、機能のユーザーインターフェイス(表示領域64,65)を画面から消去してもよい。
【0130】
・印刷装置は複合機に限定されない。例えば当初の機能は印刷(例えば「カード印刷」)のみで、外部記憶媒体20の接続により機能が追加される構成でもよい。
追加される機能は、通信機能(IP通信))や特殊色印刷機能に限定されない。例えばFAX機能のないプリンター又は複合機において、外部記憶媒体20を接続することによりFAX機能が追加される構成でもよい。
【0131】
・図2及び図3におけるコンピューター21内の各機能部のうち通信機能の追加に係る処理を行う機能部分を、プログラムを実行するCPUにより主にソフトウェアで実現したが、ASICなどのハードウェアで実現したり、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現したりしてもよい。
【0132】
・印刷装置は、複合機に限らず、印刷機能のみのプリンターでもよい。また、印刷装置におけるプリントエンジンの記録方式は、インクジェット記録方式、ドットインパクト記録方式、レーザー記録方式の各記録方式のうちいずれも採用できる。また、印刷装置は、シリアルプリンター、ラテラル式プリンター、ラインプリンター、ページプリンターでもよい。
【符号の説明】
【0133】
11…印刷装置の一例であるプリンター、12…コントローラー、13…操作パネル、13A…操作手段の一例である操作部、13B…表示手段の一例である表示部、15…プリントエンジン、20…外部記憶媒体、21…コンピューター、22…CPU、24…不揮発性記憶手段の一例である不揮発性メモリー、25…RAM、30…第1起動手段の一例である主制御部、31…検知手段の一例である検出部、32…読込/書込部、33…通信番号取得部、34…ログオン手段の一例であるログオン処理部、35…コピー処理部、36…印刷処理部、37…FAX処理部、38…展開部、39…起動手段の一例である再起動部、40…第1表示処理部、41,71…追加サービス部、42…追加される機能の一例である通信部、43,73…表示制御手段の一例である第2表示処理部、44,74…無効化手段の一例を構成する無効化処理部、45,75…有効化手段の一例を構成する有効化処理部、51…第1UI画面、52…第2UI画面、53…第3UI画面、64…ユーザーインターフェイスの一例であるIP通信の表示領域、65…ユーザーインターフェイスの一例である特殊色補正印刷の表示領域、70…認証部、72…追加される機能の一例である特殊色補正印刷部、100…サーバー、101…認証手段の一例である認証部、102…登録部、FW1…第1プログラムの一例である第1ファームウェアプログラム、FW2…プログラム、第2プログラムの一例である第2ファームウェアプログラム、SF…設定ファイル、CN…識別子の一例である通信番号、ID…識別子の一例である識別番号、TI…機種情報、AD…IPアドレス、NW…ネットワークの一例であるインターネット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部記憶媒体が接続されたか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段で外部記憶媒体の接続が検知されると、印刷装置に機能を追加するためのプログラムを前記外部記憶媒体から読み込んで起動させることにより前記機能を追加するとともに追加した当該機能を有効にする起動手段と、
前記機能が追加された状態において、前記検知手段で前記外部記憶媒体の非接続が検知されると、前記プログラムの起動状態のまま前記機能を無効にする無効化手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
電源投入時に不揮発性記憶手段から第1プログラムを読み込んで起動させる第1起動手段を更に備え、
前記プログラムは前記機能を実現するための機能用プログラム及び前記第1プログラムとを含む第2プログラムであり、
前記起動手段は、前記第2プログラムを外部記憶媒体から読み込んで再起動することにより前記機能を追加することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記無効化手段は、前記外部記憶媒体の非接続が検知されると、前記第2プログラムを起動したまま前記機能を無効化することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記検知手段が外部記憶媒体の再接続を検知した場合、前記無効化された前記機能を有効にする有効化手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記検知手段が外部記憶媒体の再接続を検知しても、前記第2プログラムが起動済みであれば、前記起動手段は前記外部記憶媒体からの前記第2プログラムの読み込みは行わないことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
表示手段と、
操作手段と、
前記機能が有効な場合に、前記操作手段による選択操作が可能な状態で機能のユーザーインターフェイスを前記表示手段に表示し、前記機能が無効の場合に、前記ユーザーインターフェイスを消去するか又は選択操作不能な無効状態で前記表示手段に表示する表示制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記検知手段が外部記憶媒体の再接続を検知して、前記有効化手段が、無効化されている前記機能を有効にするに伴って、前記表示制御手段は、前記機能が無効のときに、消去されていた又は無効状態で表示されていた前記機能のユーザーインターフェイスを前記操作手段による選択操作可能な有効状態で前記表示手段に表示することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
外部記憶媒体が接続されたか否かを検知する検知ステップと、
外部記憶媒体の接続が検知されると、印刷装置に機能を追加するためのプログラムを前記外部記憶媒体から読み込んで起動させることにより前記機能を追加するとともに追加した当該機能を有効にする起動ステップと、
前記機能が追加された状態において、前記外部記憶媒体の非接続が検知されると、前記プログラムの起動状態のまま前記機能を無効にする無効化ステップと、
を備えたことを特徴とする印刷装置における機能追加方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−134754(P2012−134754A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284834(P2010−284834)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】