説明

印刷装置

【課題】ロール紙の残量を正確に把握し、ユーザにとって無駄の少ない印刷装置を提供する。
【解決手段】ロール紙の残量値を記憶するための記憶素子を具えたRFIDタグ103をロール紙に付加するとともに、ロール紙の終端から所定長さ分手前の位置に所定残量識別マーク201を付加する。この所定残量識別マーク201は所定残量識別マーク検知手段により検出する。所定残量識別マーク検知手段による前記所定残量識別マークの検知に応じて、記憶素子に記憶された残量値を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙を用いて印刷を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの出力装置の一つとしてインクジェットプリンタが家庭用においても業務用においても広く使われるようになってきている。特に最近では、ポスターなど業務用途に大判プリンタが広く使われつつある。この場合、記録紙としてはロール紙が用いられる場合が多い。
【0003】
大判プリンタを用いて印刷を行う場合、印刷物を一枚ずつカットすることも多いが、その一方で複数の画像データを連続して印刷し出力された印刷物を巻取り装置(リワインダ)と呼ばれる用紙巻取り機構部を用いて巻き取ることも多い。終夜運転のみならず、何枚も同じ画像を出力するいわゆる“数焼き”のような場合にも巻取り装置が使用される。巻取り装置は印刷装置のスタンド部に装着されていることが多い。
【0004】
ロール紙を用いて印刷を行う場合に問題となるのは、これから印刷しようとしている印刷枚数あるいは長さがセットされているロール紙で印刷できるかどうかということである。ロール紙が新品であれば全体の長さがわかるので印刷できる枚数も想定できるが、中途半端に使ったロール紙のような場合にはおおまかな予測に基づいて印刷している場合が多い。このために印刷途中でロール紙が無くなって、印刷が無駄になってしまうことがある。
【0005】
特に画像データが10000mm以上もあるような長尺印刷を行っている時に、ロール紙が途中でなくなってしまうようなこともある。この場合には、印刷に要した時間がまったくの無駄になると共にインクも無駄に消費してしまうことになる。したがって、ロール紙の残量を管理しておくことはユーザにとって大きな問題となっている。
【0006】
ロール紙の残量を知る手段として、ラベルが仮着されたロール紙の紙管部にRFID等の無線通信により情報の書き込みおよび読み出しが行える素子を取り付け、初期枚数から印刷した枚数をその都度減算してラベル残数を管理する方法が提案されている(特許文献1)。
【0007】
別の例ではやはりロール紙の紙管近傍に記録素子を付加して連続紙の初期の長さから印刷した量を減算し、残量を記憶管理する方法も提案されている(特許文献2)。
【0008】
さらに別の例では紙管本体の周囲にクッション材の一部を除去した収納部にRFIDタグを貼着する技術も提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2003−145899号公報
【特許文献2】特開2003−054803号公報
【特許文献3】特開2004−210432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし上記特許文献1に開示の技術では、ロール状ラベル紙のように製作時の初期枚数が正確に管理できるものであれば残数管理は容易であるが、連続紙の残量の長さを管理をしようとすると、必ずしも容易ではない。更に途中で紙ジャムが発生した場合、或いは意図的に何枚かをカットしたりする作業があると残量には狂いが生じる。
【0010】
一方、特許文献2の方法によれば、一応の残量管理はできると考えられる。しかし、次の点でなお改善の余地がある。すなわち、大判の記録媒体等では通常、ロール製作時点で初期の公称値を確保する為に、実際の長さを公称値より多少長めに設定する。例えば公称値30.5[m]であれば製作時は32.5〜31.0[m]の範囲に収める。従って、用紙エンド付近になるとあたかも実際の残量に狂いが生じたかの様に見える。そのため、例えば、公称値に従って生成された残量では所望の印刷長に若干足りないと判断されてロール紙を新品に交換したところ、実際の残量はその印刷長に対応できたというような事態が生じうる。
【0011】
以上のような課題を鑑み、本発明は為されたもので、ロール紙の残量を正確に把握し、ユーザにとって無駄の少ない印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による印刷装置は、ロール紙を供給するロール紙供給部と、このロール紙供給部から前記ロール紙を搬送する用紙搬送手段と、前記ロール紙の残量値を記憶するための記憶素子を具えた印刷装置において、前記ロール紙の終端から所定長さ分手前の位置に所定残量識別マークを付加し、前記所定残量識別マークを検知する所定残量識別マーク検知手段をさらに有することを特徴とする。所定残量識別マークは、ロール紙の終端から既知の所定長さ分手前の位置に付加されているので、そのマークが検知された時点で、ロール紙があとどれだけ残っているか(ロール紙残量)を正確に認識することが可能となる。
【0013】
前記所定残量識別マークは前記ロール紙の印刷面とは逆の裏面に付加することができる。これにより、印刷面に印刷された画像を損なうことがない。
【0014】
前記所定残量識別マーク検知手段による前記所定残量識別マークの検知に応じて、前記記憶素子に記憶された残量値を補正する残量補正手段を有することが望ましい。これにより、その時点まで記録管理していたロール紙残量が実際のロール紙残量から誤差が生じていても、所定残量識別マークの検知時のロール紙残量を正確に把握し、以後のロール紙残量をより正確に管理することができる。
【0015】
新品のロール紙の使い始めにおいては十分な用紙残量があるので、必ずしも正確な残量の把握は必要ない反面、ロール紙を使用していくに従ってロール紙の端部に近づいていくと、用紙残量が重要となってくる。本発明では、ロール紙の終端の手前の所定残量位置に所定残量識別マークを付加することにより、このようなロール紙使用の実際上の要請に適性に応えることが可能となる。
【0016】
前記記憶素子は前記ロール紙の紙管近傍に配置することができる。紙管近傍に配置することにより、記憶素子を個々のロールに対応づけるとともに、印刷処理への支障を避けることができる。
【0017】
前記記憶素子は印刷装置本体が内蔵する無線通信手段により書き込みおよび読み出しを行うことが好ましい。これにより、記憶素子を含むデバイスに対して非接触状態でデータの書き込み/読み出しが行える。
【0018】
前記所定残量識別マークを検知しない場合、前記残量値を補正しないことことにより、所定残量識別マークがついているロールとそうでないロールが混在しても本発明の印刷装置は使用可能である。
【0019】
より具体的には、用紙の搬送量を検出する搬送量検出手段をさらに有することが好ましく、この残量補正手段は前記所定残量識別マークが検出されたとき、その印刷開始からのロール紙搬送量を確認し、前記記憶素子に記憶された残量値を、前記ロール紙搬送量と当該印刷の印刷長と前記所定残量とに基づいて更新する。これによって、所定残量識別マークが検出された時点に送出済のロール紙の長さを、正確な用紙残量に反映させることができる。
【0020】
本発明は、他の見地によれば、用紙残量を記憶するための記憶素子を有するとともに、終端から所定量手前に所定残量識別マークが付加されたロール紙と、前記ロール紙を搬送する用紙搬送手段と、前記所定残量識別マークを検知する所定残量識別マーク検知手段と、前記所定残量を超える印刷長の印刷が発生した場合、警報を出力する警報手段とを備えたことを特徴とする。これによって、現在のロール紙残量が目的の印刷長をまかなえるか否かを、より正確に判断し、まかなえない場合に警報を出力することにより、ユーザにその旨を知らしめて無駄な印刷の実行を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明においてはロール紙に記憶素子を付加し、ロール紙の残量を管理すると共に、ロール紙終端部手前に所定残量識別マークを付加してこれを検出することによって、ロール紙の残量を正確な値に補正することができる。その結果として、ロール紙の残量を有効に利用し、用紙の無駄な消費を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態について、以下に図を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態における印刷装置の一例としてインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。ここでは、シリアルプリンタ型のインクジェット記録装置を例に説明するが、用紙全幅に亘って記録素子を配置したいわゆるラインプリンタ型のインクジェット記録装置であってもよい。
【0024】
本実施の形態におけるインクジェット記録装置100には、キャリッジモータ109の駆動力によって左右に往復移動するキャリッジ110が設けられており、このキャリッジ110には複数種のインクを吐出する記録ヘッド(不図示)、および複数のインクカートリッジ111が着脱可能に搭載されている。
【0025】
また、記録装置100には、キャリッジ110の移動に伴って間欠的に用紙(記録媒体)108が搬送される。
【0026】
用紙108がロール状に巻かれたロール101の紙管102には、無線通信により情報の書き込みおよび読み出しが行える記憶素子を含むRFIDタグ103が付加されて、その記憶素子に、通信アンテナ107を介して無線により用紙残量の書き換えが可能である。この例では紙管102の一端部の内側円筒空洞の表面に付加している。この付加の具体的な方法としては、RFIDタグ103を紙管102に埋め込む他、RFIDタグ103を内蔵したラベルを紙管102に貼り付ける等、他の任意の方法を利用することができる。
【0027】
用紙108の搬送は搬送モータ104の駆動力により搬送ローラ軸105を介してキャリッジの移動方向とほぼ直交する用紙搬送方向の前後に搬送可能である。搬送モータ104のモータ軸に結合されたロータリエンコーダ106により、用紙の前後搬送量を精密に測定することができる。
【0028】
一方、リニヤスケール113およびセンサ(図示せず)を用いたリニアエンコーダにより、キャリッジ110の現在位置を測定できるようになっている。
【0029】
なお、本発明と直接関係はないが、図中の114は記録ヘッドのキャップ機構、115は記録ヘッドのクリーニングするワイパブレードである。
【0030】
本実施の形態では、RFIDタグ103への初期値の書き込みは、ロール紙の出荷前に行なう。例えばロール紙の長さの初期値が30mの場合、30000[mm]という数値を入力しておく。コンピュータにおいては、一般的に16進数で処理するために、実際にメモリに格納されるデータとしては、7530hという値になるが、説明が煩雑になる可能性があるので、以下の説明では単なる10進数の数値として扱う。
【0031】
一方、使用した用紙長はロータリエンコーダ106の解像度が1200dpiである場合には、(30000mm/25.4mm)×1200dpi=1417323というような値となるが下位の何桁かは省略しても問題はない。
【0032】
続いて本発明の特徴的な部分であるロール紙の終端から所定長さ分手前に所定残量識別マークを加えたものに関して図2を用いて説明する。この「所定長さ」をどの程度に設定するかは、特に限定するものではない。
【0033】
RFIDタグ103は紙管102の内側に付加されていることに加えて、さらに用紙108の記録面とは反対側の裏面には所定残量識別マーク201が印刷されている。このマークは用紙108の終端から例えば2mの位置に示される。また、長尺の印刷に対応できるようにある程度の長さ(例えば10000mm超)とすることも可能である。この所定残量識別マーク201は正確な位置にマーキングされているので、不図示のフォトインタラプタ等のセンサで検知したなら、用紙の残量は僅か(例えば2m)となり、RFIDタグ103内の記憶素子に書き込まれる用紙残量値をこの時点で正確に補正できる。
【0034】
図3に、記録装置100の概略のハードウェア構成を示す。
【0035】
記録装置100はCPU302を有し、このCPU302がプログラム制御により装置各部を制御することにより記録装置の動作が行われる。CPU302が実行するプログラムは、この例では、再書き込み可能な不揮発性メモリであるフラッシュROM303に記憶されている。
【0036】
CPU302の作業用メモリとしてRAM304も用意されている。さらにCPU302はオペレーションパネル311からのキー入力の受け付け、オペレーションパネル311上のLCD等の表示装置の制御も行う。
【0037】
外部のホストPC(Personal Computer)300から記録装置のインタフェースコントローラ301に画像データが受信されると、CPU302はインタフェースコントローラ301を制御し、メモリコントローラ306を介してこの画像データを画像メモリ(VRAM)307にビットマップデータとして一時的に記憶させる。
【0038】
必要な記録データが画像メモリ307にセットされると、CPU302は先ずサーボロジック回路316をアクセスし、モータ駆動部309を介して搬送モータ104を駆動し、用紙108を印字開始位置まで搬送し、停止させる。
【0039】
続いてやはりサーボロジック回路316のキャリッジモータ109側をアクセスし、モータ駆動部309を介してキャリッジモータ109の駆動を開始する。
【0040】
そしてキャリッジ110の動きによってリニヤスケールの透過光に応じて得られるリニアエンコーダの出力がサーボロジック回路316にフィードバックされる。ロータリエンコーダ106の出力に同期し、キャリッジ110が用紙108上の記録開始位置に到達後、画像メモリ307の読み出しが開始され、メモリコントローラ306から記録ヘッド制御回路308を介して記録ヘッド310に記録データが転送される。
【0041】
ロール101の紙管102に付加されたRFIDタグ103への書き込み、読み出しはCPU302の指示により、通信アンテナ107を使って、RFIDリーダ/ライタ317から行なう。温度センサ等312は記録装置100の装置内部温度、或いは記録ヘッド310内部センサ等を示している。所定残量検知センサ314は、本実施の形態では、ロール紙の所定残量識別マーク201を検知する識別マーク検知手段の一例としてのフォトインタラプタである。
【0042】
また、用紙先端検知センサ315はロール紙の先端(若しくは後端)を検知する。場合により所定残量検知センサ314は用紙先端検知センサ315と共用することもある。
【0043】
所定残量検知センサ314等の出力は、ADコンバータ318を介して読み出し可能である。もう一つの再書き込み可能な不揮発性メモリEEPROM305は記録ヘッド相互の微小なレジスト調整値やインク残量、そして本実施の形態に関わる用紙の種類や用紙残量等、装置固有の値を記憶する。
【0044】
次に図4により、本実施の形態による用紙残量検知処理の手順例を説明する。この処理の実行手順を表すプログラムは、前述したように、フラッシュROM303内に格納され、CPUがこれを読み出して解釈実行することにより、この処理が実現される。
【0045】
記録動作の命令を受信すると、CPU302はRFIDタグ103の記憶素子に保存されている用紙残量値(L1とする)を、RFIDリーダ/ライタ317、通信アンテナ107を介して読み出し、この値L1をRAM304にコピーし、保存する(ステップ401)。
【0046】
次に用紙の搬送位置を示す用紙搬送位置カウンタの値を零クリアする(S402)。用紙搬送位置カウンタはサーボロジック回路316内部に具えたUp/Downカウンタであり、用紙搬送部のロータリエンコーダ106の出力に応じて、UPカウント或いはDOWNカウントして、用紙の搬送量を検出することができる。
【0047】
続いて用紙残量値L1が印刷に用いる印刷長L3より大きいかを判断し、L1が大きければ(S403−Yes)、印刷は可能なので用紙搬送を開始する(S404)。もしも用紙残量値L1が不足していたなら(S403−No)動作は一旦中断し、オペレーションパネル311から警報1を送出する(S415)。この警報1はユーザに対して、現在の用紙残量では印刷しようとしている印刷長をまかなえないことを知らしめるために出力される表示および/または音である。表示にはテキスト表示の他、LEDのようなインジケータの発光であってもよい。また、「音」は例えば「ロール紙の長さが足りません」のような予め定めた音声メッセージであってもよい。
【0048】
一定時間経過毎に(S405−Yes)、所定残量検知センサ314により所定残量識別マーク201が検知されたかをチェックし、否なら(S406−No)、続いて印刷開始位置に到達したかを判定し(S407)、到達するまで繰り返す。
【0049】
印刷位置に到達したら(S407−Yes)、1行分の印刷を行う(S408)。1行印刷後、これで印刷が完了していなければ(S409−No)、S405に戻る。
【0050】
上記一連の処理は印刷が完了するまで繰り返されるが、この間に所定残量識別マークが検知されると(S406−Yes)、即座に用紙搬送位置カウンタの値を読み出し(S411)、この値L4をRAM304に保存する(S412)。
【0051】
続いて所定残量L2と、搬送後の残っている印刷長(L3−L4)とを比較する(S413)。図5に、所定残量L2、印刷長L3、搬送量L4の関係を示す。(この例では所定残量L2で印刷長L3がまかなえる場合を示している。)現在の用紙残量で印刷の残り部の印刷が可能なら(S413−Yes)、残量補正フラグをセット(ON)した後(S414)、S407に戻って印刷を継続する。残量補正フラグをセットすることは、用紙残量が所定残量識別マーク201の検知により用紙残量の補正を行う必要があることを意味する。用紙残量が不足していたなら(S413−No)、警報2を送出して動作は停止する(S416)。この際の警報2は上記警報1と同じとすることもできるが、好ましくは異ならせることにより、所定残量マークが検出されたことも含めてユーザに知らしめる。また、S413において、L2>(L3−L4)の条件が満足された場合にも、所定残量識別マーク201が検出されたことのみをユーザに報知する警報3を発生するようにしてもよい。
【0052】
再度戻って、全ての印刷が完了すると(S409−Yes)、CPU302は残量補正フラグがセットされているかをチェックし、否なら(S410−No)、RAM304内の用紙残量値L1を(L1−L3)に更新し、RFIDタグ103の記憶素子に書き込み(S417)、処理を終了する。
【0053】
S409にて残量補正フラグがセットされていたなら(S410−Yes)、RAM304内の用紙残量値L1をL2−(L3−L4)に更新し、RFIDタグ103の記憶素子に書き込む(S418)。この更新により、ロール紙の使用に伴って更新管理されてきた用紙残量は、その当初の誤差のみならずその後に発生した累積誤差も含めて、正確な用紙残量に補正される。最後に残量補正フラグをクリアして(S419)、処理は終了する。
【0054】
所定残量識別マーク201はロール紙の終端から所定量手前、例えば2mの位置に正確にマーキングすることが可能なので、本マークが検知された後の用紙残量値はより精密な値となる。
【0055】
また、以上の処理において所定残量識別マーク201が検出されない場合には、S411〜S416およびS418〜S419の分岐処理が実行されないだけで、図4の処理自体に何ら支障はないので、本実施の形態の記録装置は、使用するロール紙で、所定残量識別マーク201がついているものとそうでないものが混在しても使用可能である。
【0056】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも、種々の変形、変更を行うことが可能である。
【0057】
例えば、所定残量識別マーク201の検知は、ロール紙の残量によらず常時行うようにしたが、所定残量識別マーク201の位置(所定残量L2)は既知なので、所定残量識別マーク201が検出される大凡の時期は残量値L1に基づいて推定でき、残量値L1がL2に近づいた所定の時点(例えば残量値L1がL2より所定量だけ大きい値Lx以下になった時点)までは、所定残量検知センサ314の機能を停止し、当該時点に達した後、所定残量検知センサ314を機能させるようにしてもよい。これにより、所定残量検知センサ314の無駄な検知動作を省略することができる。
【0058】
ロール紙の残量値を記憶するための記憶素子の読み書きは非接触で行う例を示したが、接触型のインタフェースを利用するものであってもよい。
【0059】
印刷装置として、インクジェット記録を行うものを例として説明したが、記録方式はインクジェットに限るものではない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の印刷装置は特に高画質が要求される分野で大判のロール紙に印刷する業務用記録装置として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態における印刷装置の一例としてインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態において用いるロール紙のイメージ図である。
【図3】図1に示したインクジェット記録装置の概略のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態による用紙残量検知処理の手順例を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における所定残量L2、印刷長L3、搬送量L4の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
100…インクジェット記録装置
110…キャリッジ
101…ロール
102…紙管
103…RFIDタグ
104…搬送モータ
105…搬送ローラ軸
106…ロータリエンコーダ
107…通信アンテナ
108…用紙
109…キャリッジモータ
110…キャリッジ
111…インクカートリッジ
113…リニアスケール
201…所定残量識別マーク
301…インタフェースコントローラ
303 フラッシュROM
305 EEPROM
306…メモリコントローラ
307…画像メモリ
308…記録ヘッド制御回路
309…モータ駆動部
310…記録ヘッド
311…オペレーションパネル
312…温度センサ等
314…所定残量検知センサ
315…用紙先端検知センサ
316…サーボロジック回路
317…RFIDリーダ/ライタ
318…A/Dコンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を供給するロール紙供給部と、このロール紙供給部から前記ロール紙を搬送する用紙搬送手段と、前記ロール紙の残量値を記憶するための記憶素子を具えた印刷装置において、
前記ロール紙の終端から所定長さ分手前の位置に所定残量識別マークを付加し、前記所定残量識別マークを検知する所定残量識別マーク検知手段をさらに有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記所定残量識別マークは前記ロール紙の印刷面とは逆の裏面に付加されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記所定残量識別マーク検知手段による前記所定残量識別マークの検知に応じて、前記記憶素子に記憶された残量値を補正する残量補正手段を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記記憶素子は前記ロール紙の紙管近傍に配置することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記記憶素子は印刷装置本体が内蔵する無線通信手段により書き込みおよび読み出しを行うことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記所定残量識別マークを検知しない場合、前記残量値を補正しないことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項7】
用紙の搬送量を検出する搬送量検出手段をさらに有し、前記残量補正手段は前記所定残量識別マークが検出されたとき、その印刷開始からのロール紙搬送量を確認し、前記記憶素子に記憶された残量値を、前記ロール紙搬送量と当該印刷の印刷長と前記所定残量とに基づいて更新することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項8】
用紙残量を記憶するための記憶素子を有するとともに、終端から所定量手前に所定残量識別マークが付加されたロール紙と、
前記ロール紙を搬送する用紙搬送手段と、
前記所定残量識別マークを検知する所定残量識別マーク検知手段と、
前記所定量を超える印刷長の印刷が発生した場合、警報を出力する警報手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2006−256097(P2006−256097A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76593(P2005−76593)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】