説明

印刷装置

【課題】 第1及び第2のプラテンに対する第1及び第2の印字ヘッドのヘッド荷重を適正に得ることができるようにする。
【解決手段】 アッパーフレーム23を有する装置本体1と、この装置本体1内に用紙搬送路4を介して対向配置され、用紙2の一面側に印刷する第1のサーマルヘッド10及び第1のプラテンローラ11、さらに用紙2の他面側に印刷する第2のサーマルヘッド20及び第2のプラテンローラ21と、第1及び第2のサーマルヘッド10.20を第1及び第2のプラテンローラ11,21に弾性的に押し付ける第1及び第2のスプリング13,24とを具備し、第1のプラテンローラ11及び第2のサーマルヘッド20はアッパーフレーム23、第1のサーマルヘッド10及び第2のプラテンローラ21は装置本体1側にそれぞれ取り付けられ、第1及び第2のサーマルヘッド10,20は、第1及び第2のプラテンローラ11,21に対する押付方向が互いに交差するように配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙の両面に同時に印字する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の印字装置には、装置本体内に用紙搬送路中に用紙搬送方向下流側に位置して第1の印字部、用紙搬送方向上流側に位置して第2の印字部を配置し、第1及び第2の印字部により用紙の両面に同時に印字するものがある。
【0003】
第1の印字部は、印字ヘッドとしての第1のサーマルヘッドと、この第1のサーマルヘッドに用紙搬送路を介して対向配置され用紙を搬送する第1のプラテンローラとを備えて構成される。第2の印字部は、印字ヘッドとしての第2のサーマルヘッドと、この第2のサーマルヘッドに用紙搬送路を介して対向配置され用紙を搬送する第2のプラテンローラとを備えて構成される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】米国特許第6,784,906号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、装置本体には開閉部材が設けられ、この開閉部材を開放することにより、用紙の補充などが行なわれるようになっている。そして、この開閉部材に上記した第1の印字部の第1のプラテンローラと第2の印字部の第2のサーマルヘッドとが取り付けられ、開閉部材が閉じられることにより、第1のプラテンローラに第1のサーマルヘッドが押し付けられ、また、第2のプラテンローラに第2のサーマルヘッドが押し付けられるようになっている。第1及び第2のサーマルヘッドは第1及び第2のバネ材のバネ力により押し付けられる。
【0005】
しかしながら、従来においては、第1及び第2のプラテンローラに対する第1及び第2のサーマルヘッドの押付方向が互いに逆方向となっていいたため、押付力が互いに影響を受け、第1及び第2のプラテンローラに対する第1及び第2のサーマルヘッドのヘッド荷重を適正な状態にするのが困難になり、良好な印字が期待できなくなるという不都合があった。
【0006】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、第1及び第2のプラテンに対する第1及び第2の印字ヘッドのヘッド荷重を適正に得ることができるようにした印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載のものは、開閉部材を有する装置本体と、この装置本体内に用紙搬送路を介して対向配置され、用紙の一面側に印刷する第1の印字ヘッド及び第1のプラテン、さらに用紙の他面側に印刷する第2の印字ヘッド及び第2のプラテンと、前記第1及び第2の印字ヘッドを前記第1及び第2のプラテンに弾性的に押し付ける第1及び第2のバネ材とを具備し、前記第1のプラテン及び前記第2の印字ヘッドは前記開閉部材、前記第1の印字ヘッド及び前記第2のプラテンは前記装置本体側にそれぞれ取り付けられ、前記第1及び第2の印字ヘッドは、前記第1及び第2のプラテンに対する押付方向が互いに交差するように配設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1及び第2のプラテンに対する第1及び第2の印字ヘッドのヘッド荷重を適正に得ることができ、良好な印字が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態にかかる印刷装置を示すものである。
【0010】
図中1は装置本体で、この装置本体1内には用紙2を供給するリール部3が設けられている。用紙2はその両面が感熱印刷面となっており、用紙搬送路4に沿って引き出されるようになっている。
【0011】
用紙搬送路4中には第1及び第2の印字部6,7が配設されている。第1の印字部6は用紙の搬送方向下流側に位置し、第2の印字部7は用紙の搬送方向上流側に位置している。
【0012】
第1の印字部6は、第1の印字ヘッドとしての第1のサーマルヘッド10を有し、この第1のサーマルヘッド10には用紙搬送路4を介してプラテンローラ11が対向配置されている。第1のサーマルヘッド10はその下部側が支軸10aを介して本体フレーム1aに回動自在に支持され、上部側が第1のバネ材としての第1のスプリング13によって弾性的に押圧され、発熱面を第1のプラテンローラ11に圧接させている。第1のプラテンローラ11は図示しない駆動機構により回転駆動されるようになっている。
【0013】
第2の印字部7は、第2の印字ヘッドとしての第2のサーマルヘッド20を有し、この第2のサーマルヘッド20には用紙搬送路4を介して第2のプラテンローラ21が対向配置されている。第2のプラテンローラ21は本体フレーム1aの上部側中央部に回転自在に取り付けられ、図示しない駆動機構によって回転駆動されるようになっている。
【0014】
第2のサーマルヘッド20は、開閉部材としてのアッパーフレーム23の略中央部に支軸20aを介して回動自在に取り付けられている。この第2のサーマルヘッド20は、第2のバネ材としての第2のスプリング24によって下方に弾性的に押圧され、その発熱面を第2のプラテンローラ21に圧接させている。
【0015】
アッパーフレーム23はその一端部側が支軸23aを介して本体フレーム1aに回動自在に支持され、このアッパーフレーム23の回動端部側に上記した第1のプラテンローラ11が回転自在に取り付けられている。
【0016】
即ち、アッパーフレーム23には、第1のプラテンローラ11及び第2のサーマルヘッド20が取り付けられ、本体フレーム1aには第1のサーマルヘッド10及び第2のプラテンローラ21が取り付けられている。
【0017】
第1及び第2のサーマルヘッド10,20は、上記したように第1及び第2のプラテンローラ11,21に第1及び第2のスプリング13,24の付勢力によって押し付けられるが、その押付方向は互いに交差する方向となっている。即ち、第1のサーマルヘッド10は開閉部材23の開閉方向に対して交差する方向、第2のサーマルヘッド20は開閉部材23の開閉方向に押し付けられるようになっている。
【0018】
また、アッパーフレーム23の側面部には係止部材としての係止ピン26が設けられ、この係止ピン26には、フック部材としてのフックレバー27が係脱自在に係合されている。フックレバー27はその下部側が支軸27aを介して回動自在に取り付けられている。係止ピン26とフックレバー27とによりロック手段28が構成されている。
【0019】
アッパーフレーム23は、用紙2の補充時等に、図示しないロック解除機構によって係止ピン26とフックレバー27の係合が解除されることにより、開放されるようになっている。
【0020】
次に、上記したように構成される印刷装置の印刷動作について説明する。
【0021】
まず、リール部3から用紙2を引き出し、この用紙2を第1の印字部6と第2の印字部7と間に掛け渡して第1及び第2のサーマルヘッド10,20と第1及び第2のプラテンローラ11,21との間に介在させる。この状態から第1の印字部6の第1のプラテンローラ11及び第2の印字部7のプラテンローラ21を図示しない駆動機構により図示矢印で示すように回転駆動させる。これにより、用紙2が図示矢印方向にフィードされ、第1のサーマルヘッド10により用紙2の一面側に印字されるとともに、第2のサーマルヘッド20により用紙2の他面側に印字されることになる。
【0022】
ところで、この印字により用紙2が使用済みになると、用紙2を新たに補充する必要がある。
【0023】
次に、用紙2の補充動作について説明する。
【0024】
この場合には、まず、操作ボタン(図示しない)を押し下げてフックレバー27を支軸27aを中心として時計方向に回動させる。この回動によりフックレバー27が係止ピン26から離脱されてロックが解除される。このロック解除により、第2のスプリング24の反発力によりアッパーフレーム23が支軸23aを中心として少し上方に回動される。オペレータは、この上方に回動されたアッパーフレーム23の回動端を手に持って図2に示すようにアッパーフレーム23を略90度回動させることにより開放する。このようにアッパーフレーム23を開放させたのち、用紙2の補充を行なう。用紙2の補充を終えたのちは、アッパーフレーム23を下方に回動させて再度閉じた状態とする。
【0025】
上記したように、この実施の形態によれば、第1及び第2のプラテンローラ11,21に対する第1及び第2のサーマルヘッド10,20の押付方向を直交する方向とするため、第1及び第2のサーマルヘッド10,20の押付力が互いに影響し合うことがなく、適切なヘッド荷重とすることができ、良好な印刷が可能となる。
【0026】
また、アッパーフレーム23が閉じられて係止ピン26とフックレバー27とが係合してロックされたときには、第2のサーマルヘッド20が第2のプラテンローラ21に圧接して第2のスプリング24が圧縮されるとともに、第1のプラテンローラ21が第1のサーマルヘッド10に圧接して第1のスプリング13が圧縮される。
【0027】
従って、第2のスプリング24の反力により係止ピン26とフックレバー27の上下方向のガタを吸収し、第1のスプリング13の反力により水平方向のガタを吸収でき、第1及び第2のプラテンローラ11,21に対する第1及び第2のサーマルヘッド10,20の位置決め精度を向上できる。
【0028】
また、係止ピン26とフックレバー27との係合を解除してロックを解除したときには、第2のスプリング24の反力によりアッパーフレーム23が上方に少し押し上げられるため、アッパーフレーム23の上方への開放操作も容易になる。
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る印刷装置110について図3を参照して説明する。図3は、アッパーフレーム23及びカバー部30が閉じたときの印刷装置110の概略図である。なお、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0029】
印刷装置110は、装置本体1の開口を開閉する蓋部として、アッパーフレーム23と、このアッパーフレーム23と一体に動作するカバー部30とを備えている。アッパーフレーム23は、支軸23aにより、装置本体1の外郭を構成する筐体としてのハウジング111に回動可能に連結されている。支軸23aが支持される支持孔23bは長軸を水平方向とする楕円形状であり、支軸23aが水平方向に移動可能となっている。
【0030】
アッパーフレーム23の上方に設けられたカバー部30は、ロック解除機構としてのボタン部31、アーム32、支持軸体33、及び板バネ34を具備している。これらは、一体に構成され、このうち、ボタン部31、支持軸体33、及び板バネ34は、一直線状に並べられている。
【0031】
ボタン部31の下面は開口されており、フックレバー27が挿入可能な凹部35が設けられている。凹部35には、フックレバー27の先端に設けられた傾斜面27bが摺動可能に形成された傾斜面31aが設けられている。なお、傾斜面31aは、支軸23aに接近するにつれて、装置本体1の底面に接近するように傾斜している。この傾斜面31aの上側にはさらに傾斜角度の大きい急傾斜面31bが連設されている。ボタン部31を押し下げることにより、傾斜面31aが傾斜面27bに当接し、傾斜面27bが押圧される。これによって、フックレバー27の先端部を右側に移動させるとともにフックレバー27を支軸27aを中心にR1方向に回動させ、弾性部材29による付勢力に抗して係止ピン26とフックレバー27との係止を解除することができる。
【0032】
アーム32は、カバー部30の内側に配置され、ボタン部31の側部から支軸23aに向かって延びている。支持軸体33は、アーム32における、ボタン部31の反対側の端部に連結されている。支持軸体33は、カバー部30の内面に設けられた支持手段(図示しない)によって、支軸23aと平行な軸を中心として回動可能に支持されている。
【0033】
板バネ34は、支持軸体33における、アーム32の反対側の部位から支軸23aに向かって延び、支軸23aに最も近い部位には、カバー部30の上壁に向かって延びる当接部34aが形成されている。なお、当接部34aは、常にカバー部30の上壁に弾性的に当接し、ボタン部31は、板バネ34によって、常に上側に付勢されている。
【0034】
アッパーフレーム23の中間部には、装置本体1のハウジング111に当接する当接部材38が設けられている。この当接部材38の一端部は伸縮可能なバネ部材37を介してアッパーフレーム23に接続されている。このバネ部材37の弾性復元力により当接部材38の姿勢が規制され、当接部材38が装置本体1を付勢し、アッパーフレーム23が開く方向に付勢される。
【0035】
フックレバー27の上端部は、支軸27aを中心としたR1方向の回動に伴って、ボタン部31の凹部35に挿脱可能である。フックレバー27の上端部、即ちカバー部30が装置本体1の収容スペースを閉じた閉状態において、カバー部30と対向する部位には、ボタン部31の傾斜面31aによって押圧される傾斜面27bが形成されている。傾斜面27bは、傾斜面31aと同様に支軸23aに接近するにつれて、装置本体1の底壁に接近するように傾斜している。傾斜面27bは、ボタン部31の凹部35の傾斜面31aに対して摺動可能に形成されている。また、フックレバー27の上部には係止ピン26と係合する係合凹部27cが形成されている。
【0036】
フックレバー27の支軸27aを中心とした係合凹部27cの反対側、すなわち下部には連動部材の一例としてのリンク部材16の一端が取り付けられている。リンク部材16の他端は、第1のサーマルヘッド10の支軸10aよりも下方の端部に形成された長孔状の取付部10bを介して、クリアランスを有した状態で回動可能に取り付けられる。すなわち、第1のサーマルヘッド10とフックレバー27とが棒状のリンク部材16で接続されている。このクリアランスにより、ボタン部31に一定以上の力が加わらない限りフックレバー27が回動しないため、通常時に一定の印字圧力が確保される。
【0037】
さらに、フックレバー27の下端には、弾性部材29の一端が取り付けられている。弾性部材29は、例えば伸縮可能なばね部材で構成されている。弾性部材29の他端は装置本体1のハウジング111に接続されている。一定以上の力でボタン部31が押下されるとフックレバー27がR1方向に傾くとともにこの弾性部材29が伸長する。弾性部材29は、ボタン部31にかかる押圧力が取り除かれると収縮し、その弾性復元力によりフックレバー27の下端を引っ張ることにより、フックレバー27の傾きを、係止ピン26と係合凹部27cが係止する方向、すなわちR1と反対の方向に規制する。
【0038】
閉状態においてプラテンローラ11の上方には、用紙2を切断するためのカッタ機構17が設けられている。用紙2の先端部は、第1のサーマルヘッド10と第1のプラテンローラ11との間を、下から上に向って縦方向に進み、カッタ機構17を通ってから矢印Bで示す上方に排出されるようになっている。
【0039】
このように構成された印刷装置110では、次のようにして用紙2を交換する。すなわち、ボタン部31を押し下げると、凹部35の傾斜面31aがフックレバー27の傾斜面27bを押圧する。傾斜面31a及び傾斜面27bは傾斜しているため、ボタン部31の下方への運動にともなって互いに摺動し、フックレバー27の上端部が図中右側に移動するとともにフックレバー27が支軸27aを中心にR1方向に回動する。これにより、係止ピン26と係合凹部27cとの係止が解除される。
【0040】
フックレバー27と係止ピン26との係合が解除されると、バネ部材37の付勢力により当接部材38がR2方向に回動する力によって、アッパーフレーム23が支軸23aを中心にR3方向に回動し、アッパーフレーム23の先端部が僅かに上昇する。
【0041】
このとき、ボタン部31は、依然として、使用者の指によって押圧されている。そのため、アッパーフレーム23は僅かに開き、係止ピン26が僅かに上昇するものの、ボタン部31やフックレバー27の位置は変化しない。これにより、係止ピン26がフックレバー27の係合凹部27cよりも高い位置に移動する。これにより、ボタン部31の押圧が解除されても、係止ピン26とフックレバー27とが再係合することがない。この状態では、フックレバー27の傾斜面27bが凹部35の傾斜面31aを図中左側へ押圧することになる。したがって、アッパーフレーム23は、全体的に図中左側へ付勢されることとなる。このため、支持孔23bが楕円形状であるため、アッパーフレーム23の支軸23aが左方向に移動する。
【0042】
また、フックレバー27のR1方向の回動に伴って、フックレバー27の下端部に取り付けられた弾性部材29が引っ張られて伸長し、弾性復元力が生じる。また、フックレバー27の回動に伴い、リンク部材16が図中左側に引っ張られる。取付部10bに設けられたクリアランスによって定められる所定値以上、リンク部材16が移動すると、第1のサーマルヘッド10の下端部が図中左側に引っ張られる。これに伴い第1のサーマルヘッド10が支軸10aを中心にR4方向に回動する。このときサーマルヘッド10は、アッパーフレーム23の開閉に伴って移動するプラテンローラ11の移動軌跡から離れる方向に退避する。このため、サーマルヘッド10及びプラテンローラ11による摩擦力が取り除かれる。
【0043】
ボタン部31の押圧が解除されると、カバー部30及びアッパーフレーム23がR3方向に大きく回動し、開状態となる。また、ボタン部31の押圧が解除されると、ボタン部31は板バネ34からの付勢によって、支持軸体33を中心に回動するとともにカバー部30に対して元の位置に戻る。
【0044】
さらに、ボタン部31を押圧する力の解除に伴って弾性部材29の弾性復元力によりフックレバー27の下端が図中左側方向に引っ張られ、フックレバー27が起立する。これに伴い、リンク部材16が再度図中右側方向へ戻るとともに第1のサーマルヘッド10もR4の反対方向に回動して閉状態と同じ姿勢に戻る。
【0045】
用紙2の交換を行った後は、カバー部30を押圧してR3と反対の方向に回動させると、最初に当接部材38が装置本体1に当接し、バネ部材37をゆっくりと引き伸ばしながら、アッパーフレーム23がゆっくりと閉じる。さらに、アッパーフレーム23が閉まる方向に押圧されると、係止ピン26が係合凹部27cに当接されて案内される。そして、係止ピン26とフックレバー27とが係合し、プラテンローラ11がサーマルヘッド10に当接する。
【0046】
本実施形態にかかる印刷装置110によっても上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、用紙2を交換する際に、ボタン部31を押し下げるだけの簡単な操作でカバー部30を開閉することができるとともに、プラテンローラ11を他の部材に干渉させることを防止できる。開閉動作の際にサーマルヘッド10をプラテンローラ11から退避させることにより、両者の摩擦を防止し、開閉動作を容易にするとともに、部材の損傷を防止することができる。伸縮可能な弾性部材29により、力が作用していない際にフックレバー27の傾きを規制することができる。取付部10bを長孔状に形成し、クリアランスを設けたことにより、所定値以上の力が入力されない限りサーマルヘッド10が移動しないため、開閉時以外の通常時における印字圧力を安定させることができる。
【0047】
また、使用者によって押圧されたボタン部31を元の位置に戻すために、板バネ34を使用したため、従来のコイルスプリングほどの大きな収容スペースが不要であるから、サーマルプリンタが小型化する。ボタン部31、支持軸体33、及び板バネ34の当接部34aは、一直線状に配置されているため、ボタン部31に大きな力が加わっても開閉部材の捩れを防止できるとともにボタン部31の傾きを防止することができる。
【0048】
なお、この発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる印刷装置を示す概略的構成図。
【図2】図1の印刷装置のアッパーフレームが開放された状態を示す図。
【図3】本発明の第2実施形態にかかる印刷装置を示す概略的構成図。
【符号の説明】
【0050】
1…装置本体、2…用紙、4…用紙搬送路、6…第1の印字部、7…第2の印字部、
10…第1のサーマルヘッド(第1の印字ヘッド)、
11…第1のプラテンローラ(第1のプラテン)、
13…第1のスプリング(第1のバネ材)、16…リンク部材(連動部材)、
20…第2のサーマルヘッド(第2の印字ヘッド)、
21…第2のプラテンローラ(第2のプラテン)、
23…アッパーフレーム(開閉部材)、24…第2のスプリング(第2のバネ材)、
26…係止ピン(係止部材)、27…フックレバー(フック部材)、28…ロック手段、29…弾性部材、30…カバー部、31…ボタン部、37…バネ部材、38…当接部材、110…印刷装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部を有する装置本体と、
この装置本体内に用紙搬送路を介して対向配置され、用紙の一面側に印刷する第1の印字ヘッド及び第1のプラテン、さらに用紙の他面側に印刷する第2の印字ヘッド及び第2のプラテンと、
前記第1及び第2の印字ヘッドを前記第1及び第2のプラテンに弾性的に押し付ける第1及び第2のバネ材とを具備し、
第1のプラテン及び前記第2の印字ヘッドは前記蓋部、前記第1の印字ヘッド及び前記第2のプラテンは前記装置本体側にそれぞれ取り付けられ、
前記第1及び第2の印字ヘッドは、前記第1及び第2のプラテンに対する押付方向が互いに交差するように配設されたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記蓋部が閉塞されたとき、該蓋部をロックするロック手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記ロック手段は前記蓋部に設けられた係止部材と、この係止部材に係脱自在に係合するフック部材とを有して構成されることを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のバネ材は、前記蓋部のロック時には、押付力に抗して圧縮されることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項5】
押圧操作される開閉ボタンと、
前記蓋部を開方向に付勢する蓋部付勢手段と、
前記フック部材を前記係止部へ係止させる方向へ付勢するフック付勢部材と、
前記第1の印字ヘッドと前記フック部材とを連動させる連動部材と、を具備し、
前記フック部材は、前記開閉ボタンの操作に応じて押圧されることで前記フック部材を、前記係止部から脱する方向へ回動させる被押圧部と、前記回動に伴って前記係止部に係止及び解除可能に構成された被係止部とを有し、
前記開閉ボタンが押圧され、前記フック付勢部材による付勢力に抗して前記フック部材が回動すると、前記係止部と前記被係止部との係止が解除されるとともに、前記連動部材を介して前記第1の印字ヘッドが前記第1のプラテンから退避させられることを特徴とする請求項3記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−30435(P2008−30435A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14112(P2007−14112)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】