印刷装置
【課題】読み取り良好なバーコードを印刷する。
【解決手段】印刷するための画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向とが略平行であるか否かを判定する方向判定部76と、方向判定部76により略平行であると判定された場合、画像データの位置及び画質のうち少なくともいずれか一方を変換する変換部77とを備える。
【解決手段】印刷するための画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向とが略平行であるか否かを判定する方向判定部76と、方向判定部76により略平行であると判定された場合、画像データの位置及び画質のうち少なくともいずれか一方を変換する変換部77とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードの印刷を適切に行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、黒線及び白線の組合せによる縞模様により数値や文字等の情報を示すバーコードが良く知られている。
【0003】
このバーコードは、黒線及び白線の線幅が厳密に規定されているので、印刷されたバーコードにインクの「にじみ」が発生した場合や、黒線の一部が印刷できずに白線となる「とぎれ」が発生した場合、正確に情報を表現することができなくなる場合がある。
【0004】
特許文献1には、縦方向バーコードと横方向バーコードの各々について別個にバー幅情報を設定し、バーコードの印刷時に、バーコードが縦方向バーコードか横方向バーコードかを判断し、この判断の結果、該当する方向のバーコードのバー幅情報を読み出してバーコードの画像を描画するバーコード生成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−210136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のバーコード生成装置では、縦方向バーコード又は横方向バーコードのバー幅情報を読み出してバーコードの画像を描画しているが、にじみやとぎれに関する対策は施されていない。そのため、にじみやとぎれが発生した場合に読み取り良好なバーコードを印刷することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、読み取り良好なバーコードを印刷する印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第1の特徴は、印刷するための画像データに含まれる特定画像の方向と、搬送路面上を搬送される印刷媒体の搬送方向とが略平行であるか否かを判定する方向判定手段と、前記方向判定手段により略平行であると判定された場合、前記画像データの位置及び画質のうち少なくともいずれか一方を変換する変換手段とを備えたことにある。
【0009】
本発明に係る印刷装置の第2の特徴は、前記変換手段は、前記方向判定手段により略平行であると判定された場合、前記特定画像の方向と、印刷媒体の搬送方向とが略直角になるように、前記画像データを回転する画像回転手段を有することにある。
【0010】
本発明に係る印刷装置の第3の特徴は、前記画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットと、前記主走査方向における、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定するつなぎ目判定手段と、を更に備え、前記変換手段は、前記つなぎ目判定手段により、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合に、前記つなぎ目のない領域が大きくなるように、前記画像データの方向を決定する画像方向決定手段、を有することにある。
【0011】
本発明に係る印刷装置の第4の特徴は、前記変換手段は、前記印刷媒体の種類に応じて、前記特定画像の濃度を設定する濃度設定手段を、有することにある。
【0012】
本発明に係る印刷装置の第5の特徴は、前記変換手段は、前記特定画像を黒色で印刷する場合において、前記特定画像を印刷するインクのインク色が複数のインク色の組合せであるときに、前記特定画像を印刷するインクのインク色を黒色のインクに変換するインク色変換手段、を有することにある。
【0013】
本発明に係る印刷装置の第6の特徴は、前記変換手段は、前記特定画像を印刷するインクのインク色が暖色である場合に、寒色のインクに変換するインク色変換手段、を有することにある。
【0014】
本発明に係る印刷装置の第7の特徴は、前記画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットと、前記主走査方向における、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定するつなぎ目判定手段と、前記印刷媒体の主走査方向における幅が、前記インクジェットユニットの幅より短いか否かを判定する幅判定手段と、を更に備え、前記変換手段は、前記つなぎ目判定手段により、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定され、かつ前記幅判定手段により前記印刷媒体の主走査方向における幅が、前記インクジェットユニットの幅より短いと判定された場合、前記主走査方向における、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないように、前記画像データを前記主走査方向にスライドさせるスライド手段、を有することにある。
【0015】
本発明に係る印刷装置の第8の特徴は、画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットと、前記主走査方向における、前記画像データに含まれる特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定するつなぎ目判定手段と、前記複数配置されたインクジェットヘッド間の濃度差を評価するための濃度評価画像が前記印刷媒体から読み取られた場合に、前記読み取られた濃度評価画像に基づいて、前記複数配置されたインクジェットヘッド毎に印刷された画像のにじみ度合いを示すドットゲインを算出するドットゲイン算出手段と、前記つなぎ目判定手段により、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合、前記ドットゲイン算出手段により算出されたドットゲインに基づいて、前記画像データの位置又は画質を変換する変換手段と、を備えたことにある。
【0016】
本発明に係る印刷装置の第9の特徴は、前記複数配置されたインクジェットヘッド毎に、前記画像データに含まれる濃度評価画像の濃度に対する前記読み取られた濃度評価画像の濃度を示すドットゲイン特性を算出するドットゲイン特性算出手段と、を更に備え、前記変換手段は、前記つなぎ目判定手段により前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置につなぎ目が重なったと判定された前記インクジェットヘッドのうち、前記ドットゲイン算出手段により算出されたドットゲインが最小となるインクジェットヘッドを選択し、選択されなかった他のインクジェットヘッドに対応する前記ドットゲイン特性を前記選択されたインクジェットヘッドに対応する前記ドットゲイン特性に変換することにある。
【0017】
本発明に係る印刷装置の第10の特徴は、前記ドットゲインと、前記画像データを印刷可能なデータ形式に変換するためのプロファイルとを、前記ドットゲインが大きい程、前記印刷媒体に印刷される特定画像の濃度が薄くなるように前記プロファイルを関連づけてプロファイル情報として記憶するプロファイル情報記憶手段、を更に備え、前記変換手段は、前記プロファイル情報記憶手段に記憶されたプロファイル情報に基づいて、前記複数配置されたインクジェットヘッド毎に算出されたドットゲインに対応する前記プロファイルを決定することにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る印刷装置の第1の特徴によれば、特定画像の方向と印刷媒体の搬送方向とが略平行である場合に、画像データの位置及び画質のうち少なくともいずれか一方を変換するので、読み取り良好な特定画像を印刷することができる。
【0019】
本発明に係る印刷装置の第2の特徴によれば、特定画像の方向と搬送方向とが略直角になるように、画像データを回転するので、特定画像のとぎれを低減することができる。
【0020】
本発明に係る印刷装置の第3の特徴によれば、特定画像が印刷媒体に印刷される位置と、インクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合に、つなぎ目のない領域が大きくなるように、画像データの方向を決定するので、より読み取り良好な特定画像を印刷することができる。
【0021】
本発明に係る印刷装置の第4の特徴によれば、印刷媒体の種類に応じて、特定画像の濃度を設定するので、特定画像のにじみを低減することができる。
【0022】
本発明に係る印刷装置の第5の特徴によれば、インク色が複数のインク色の組合せであるときに、特定画像を印刷するインクのインク色を黒色のインクに変換するので、特定画像のにじみを低減することができる。
【0023】
本発明に係る印刷装置の第6の特徴によれば、特定画像を印刷するインクのインク色が暖色である場合に、寒色のインクに変換するので、より読み取り良好な特定画像を印刷することができる。
【0024】
本発明に係る印刷装置の第7の特徴によれば、特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なり、かつ印刷媒体の主走査方向における幅が、インクジェットユニットの幅より短い場合、主走査方向における、特定画像が印刷媒体に印刷される位置と、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないように、画像データを主走査方向にスライドさせるので、より読み取り良好な特定画像を印刷することができる。
【0025】
本発明に係る印刷装置の第8の特徴によれば、特定画像が印刷媒体に印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合、ドットゲイン算出手段により算出されたドットゲインに基づいて、画像データの位置又は画質を変換するので、インクジェットヘッド間によるインクの吐出量の誤差を低減しつつ、特定画像のにじみを低減することができる。
【0026】
本発明に係る印刷装置の第9の特徴によれば、つなぎ目が重なったと判定されたインクジェットヘッドのうち、ドットゲインが最小となるインクジェットヘッドを選択し、選択されなかった他のインクジェットヘッドに対応するドットゲイン特性を選択されたインクジェットヘッドに対応するドットゲイン特性に変換するので、大容量の記憶媒体を備えることなく、インクジェットヘッド間によるインクの吐出量の誤差を低減しつつ、特定画像のにじみを低減することができる。
【0027】
本発明に係る印刷装置の第10の特徴によれば、記憶されたプロファイル情報に基づいて、複数配置されたインクジェットヘッド毎に算出されたドットゲインに対応するプロファイルを決定するので、複雑な計算を行うことなく、インクジェットヘッド間によるインクの吐出量の誤差を低減しつつ、特定画像のにじみを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1が備えるインクジェットヘッドユニットの平面図である。
【図2】(a)は、画像データに含まれるバーコードの一例を示しており、(b)は、画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙の搬送方向とが略平行である場合において、ノズルの不吐出により、とぎれが発生したバーコードの一例を示した図である。
【図3】本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置の機能構成を示す機能構成図である。
【図4】本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置による処理手順を示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置が備える変換部の画像回転部による画像データの回転を説明した図である。
【図6】(a)は、用紙種類が「一般普通紙」である場合において3ドロップに設定されて印刷されたバーコードの一例を示した図であり、(b)は、(a)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図であり、(c)は、用紙種類が「一般普通紙」である場合において5ドロップに設定されて印刷されたバーコードの一例を示した図であり、(d)は、(c)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図である。
【図7】本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置の機能構成を示す機能構成図である。
【図8】本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置によるドットゲイン調整処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置が備えるドットゲイン算出部によるドットゲインの算出を説明した図である。
【図10】本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置による印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図11】(a)は、RAMに記憶されたインクジェットヘッド毎の平均ドットゲイン特性を示しており、(b)は、インクジェットヘッドの平均ドットゲイン特性に対する逆補正特性の適用を説明した図であり、(c)は、逆補正特性が適用されたインクジェットヘッドの平均ドットゲイン特性に対し最も小さいインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性の適用を示した図であり、(d)は、逆補正特性及び最も小さいインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性が適用されたインクジェットヘッド毎の平均ドットゲイン特性を示している。
【図12】(a)は、インクジェットヘッドにおいて、逆補正特性及びインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性が適用された場合におけるインクジェットヘッドにより印刷されたバーコードの一例を示した図であり、(b)は、(a)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図であり、(c)は、比較のため、従来技術におけるインクジェットヘッドにより印刷されたバーコードの一例を示した図であり、(d)は、(c)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図である。
【図13】(a)は、ドットゲインとプロファイルとが関連付けられたプロファイル情報の一例を示しており、(b)は、プロファイルの一例を示した図である。
【図14】本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置による印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
本発明の実施例1では、画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットを備え、インクジェットヘッドのノズルからインクを用紙に向けて吐出して画像や文字などを印刷するインクジェット印刷装置1を例に挙げて説明する。
【0031】
<インクジェット印刷装置1の構成>
図1は、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1が備えるインクジェットヘッドユニットの平面図である。
【0032】
インクジェットユニット11は、主走査方向、即ち用紙Pの搬送方向と直交する方向に複数のノズルが配列されたライン型の複数のインクジェットヘッド110〜116を有する。
【0033】
そして、インクジェットユニット11の下部を用紙Pが副走査方向に搬送されながら、複数のインクジェットヘッド110〜116からインクが吐出されることにより印刷される。ここで、搬送される用紙Pの主走査方向における幅をLp、インクジェットユニット11の幅をLjとすると、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1では、Ljは、A4縦の長さである297(mm)+クリアランス数(mm)であるので、例えば、A4(210mm×297mm)、A3(297mm×420mm)、B4(257mm×364mm)等の短辺が297(mm)以下である用紙であれば、印刷可能である。
【0034】
インクジェットユニット11は、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各色のインクジェットヘッドを有している。具体的には、インクジェットユニット11は、シアン(C)のインクを貯留したインクジェットヘッド110a〜110fと、ブラック(K)のインクを貯留したインクジェットヘッド112a〜112fと、マゼンダ(M)のインクを貯留したインクジェットヘッド114a〜114fと、イエロー(Y)のインクを貯留したインクジェットヘッド116a〜116fとを備える。
【0035】
インクジェットヘッド110a,110c,110eとインクジェットヘッド110b,110d,110fとは、搬送される用紙Pの主走査方向において隙間無くシアン(C)のインクを吐出することができるように、主走査方向に2列に配置されている。
【0036】
インクジェットヘッド110a〜110fには、シアン(C)のインクを収容するインク溜室が設けられており、このインク溜室内にはピエゾ素子が配置されている。そして、このピエゾ素子に吐出電圧が印加されることにより、インク溜室に連通するノズルからシアン(C)のインクを吐出する。そのため、第1列目のインクジェットヘッド110a,110c,110eと、第2列目のインクジェットヘッド110b,110d,110fとの主走査方向において重なり合う部分(つなぎ目部分)には、重畳してシアン(C)のインクが吐出される。
【0037】
また、ブラック(K)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各色のインクジェットヘッドにおいても、同様に、搬送される用紙Pの主走査方向において隙間無くそれぞれ主走査方向に2列に配置されており、それぞれブラック(K)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出する。
【0038】
このように、インクジェットユニット11は、各色毎に、主走査方向に複数のインクジェットヘッド110〜116が配列されているので、例えば、インクジェットヘッド110〜116のうち1つのノズルが不吐出であると、画像データに含まれる特定画像の一つであるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向とが略平行である場合、とぎれが発生する。
【0039】
図2(a)は、画像データに含まれるバーコードの一例を示しており、図2(b)は、画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向とが略平行である場合において、印刷の際、ノズルの不吐出により、とぎれが発生したバーコードの一例を示した図である。
【0040】
画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向とが略平行である場合、図2(a)に示したバー201を描画するインクジェットヘッドのノズルが不吐出であると、図2(b)に示したバー202のように、とぎれが発生し、これにより2本のバーに分断させて印刷される。このように、黒線の一部が印刷できずに白線としてしまうとぎれが発生すると、バーコード全体として正確に情報を表現することができなくなる。
【0041】
また、インクジェットヘッドから吐出されるインクの吐出量が多すぎる場合や、印刷される用紙Pの浸透性が高い場合、バーコードが印刷された用紙Pのインクがにじみ、規定のバー幅と異なるバーコードとして印刷してしまう場合がある。上述したように、インクジェットユニット11は、主走査方向に複数のインクジェットヘッドが配列されているので、特に、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目において、1画素に複数のノズルが吐出する。これにより、吐出されるインクの吐出量が多くなりすぎ、にじみが発生する可能性が高い。
【0042】
本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1では、このような印刷されたバーコードの「とぎれ」や「にじみ」を低減するものである。
【0043】
<インクジェット印刷装置1の機能構成>
図3は、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1の機能構成を示す機能構成図である。
【0044】
図3に示すようにインクジェット印刷装置1は、画像読取部2と、給紙部3と、印刷部4と、排紙部5と、操作パネル部6と、制御ユニット7とを備えている。
【0045】
画像読取部2は、インクジェット印刷装置1の上部に設けられ、スキャナ等の装置によって被複写物である原稿から画像データを光電的に読み取り、制御ユニット7へ供給する。
【0046】
給紙部3は、図示しない給紙台に積層載置された用紙Pを1枚ずつピックアップして搬送し、斜行補正するとともに所定のタイミングで印刷部4に供給する。
【0047】
印刷部4は、上述したインクジェットユニット11と、給紙部3から供給された用紙Pをインクジェットユニット11まで搬送する搬送部(図示しない)とを備え、搬送部により搬送された用紙Pに対して、インクジェットユニット11が、制御ユニット7から供給された画像データに基づいて、インクを吐出して用紙Pに付着させることにより画像を印刷する。
【0048】
排紙部5は、インクジェットユニット11により画像が印刷された用紙Pを収納する。
【0049】
操作パネル部6は、インクジェット印刷装置1の上部に設けられ、表示/入力パネル61と、印刷等を開始させるためのスタートキー、印刷等を停止させるためのストップキー、印刷枚数等を入力するためのテンキー(いずれも図示せず)等の各種操作キーとを備え、利用者操作に基づく操作信号を制御ユニット7に供給する。
【0050】
操作パネル部6の表示/入力パネル61は、前面に配置された感圧式あるいは静電式の透明なタッチパネルと、このタッチパネルの裏面に配置された液晶表示パネル(いずれも図示せず)とを有している。利用者は、液晶表示パネルの表示画面を見ながら、タッチパネルの表面を指などで直接触れることで各種の設定入力操作等を行うことができる。
【0051】
表示/入力パネル61は、利用者操作に応じて、後述する印刷モード(通常印刷モード又はバーコードモード)等の印刷条件を指定するための画面を表示する。なお、印刷モードの設定は、表示/入力パネル61、又はインクジェット印刷装置1に接続されたコンピュータによりプリンタドライバが実行されることにより表示された設定画面から、行われる。
【0052】
制御ユニット7は、RAM71と、ROM72と、制御部75とを備えている。
【0053】
RAM71は、揮発性半導体等で構成され、制御部75が各種処理を実行する上で必要なデータ等を記憶する。
【0054】
ROM72は、不揮発性半導体等で構成され、制御部75が実行する各種制御プログラム等を記憶している。
【0055】
制御部75は、その機能上、方向判定部76と、つなぎ目判定部78と、幅判定部79と、変換部77とを備えている。
【0056】
方向判定部76は、印刷するための画像データに含まれる特定画像の一つであるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向(副走査方向)とが略平行であるか否かを判定する。
【0057】
つなぎ目判定部78は、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116のつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定する。
【0058】
幅判定部79は、用紙Pの主走査方向における幅が、インクジェットユニット11の幅より短いか否かを判定する。
【0059】
変換部77は、方向判定部76により略平行であると判定された場合、画像データの位置又は画質を変換する。
【0060】
変換部77は、画像回転部77aと、画像方向決定部77bと、濃度設定部77cと、インク色変換部77eと、スライド部77gとを備える。
【0061】
画像回転部77aは、方向判定部76により、印刷するための画像データに含まれる特定画像の一つであるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向(副走査方向)とが略平行であると判定された場合、バーコードの方向と、用紙Pの搬送方向とが略直角になるように、画像データを回転する。
【0062】
画像方向決定部77bは、つなぎ目判定部78により、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッド110のつなぎ目の位置とが重なると判定された場合に、つなぎ目のない領域が大きくなるように、画像データの方向を決定する。
【0063】
濃度設定部77cは、用紙Pの種類に応じて、バーコードの濃度を設定する。
【0064】
インク色変換部77eは、バーコードを黒色で印刷する場合において、バーコードを印刷するインクのインク色が複数のインク色の組合せであるときに、バーコードを印刷するインクのインク色を黒色のインクに変換する。また、インク色変換部77eは、バーコードを印刷するインクのインク色が暖色である場合に、寒色のインクに変換する。
【0065】
スライド部77gは、つなぎ目判定部78により、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116のつなぎ目の位置とが重なると判定され、かつ幅判定部79により用紙の主走査方向における幅が、インクジェットユニット11の幅より短いと判定された場合、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数のインクジェットヘッド110〜116のつなぎ目の位置とが重ならないように、画像データを主走査方向にスライドさせる。
【0066】
<インクジェット印刷装置1の作用>
次に、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1の作用について説明する。
【0067】
図4は、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1による処理手順を示したフローチャートである。
【0068】
図4に示すように、制御部75は、印刷が要求されたか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、制御部75は、利用者の操作により操作パネル部6から、印刷処理を要求する操作信号が供給されたか否かを判定する。
【0069】
ステップS101において、印刷が要求されたと判定された場合(YESの場合)、制御部75は、バーコードモードが設定されているか否かを判定する(ステップS102)。具体的には、制御部75は、利用者の操作により操作パネル部6の表示/入力パネル61から、バーコードモードを設定する操作信号が供給されたか否かを判定する。ここで、バーコードモードとは、バーコードを正確に印刷するための印刷モードのことをいう。なお、バーコードモードの設定は、表示/入力パネル61、又はインクジェット印刷装置1に接続されたコンピュータによりプリンタドライバが実行されることにより表示された設定画面から、行われる。
【0070】
ステップS101において、バーコードモードが設定されていないと判定された場合(NOの場合)、制御部75は、印刷するための画像データの中にバーコードがあるか否かを判定する(ステップS103)。
【0071】
ステップS103において、画像データの中にバーコードがないと判定された場合(NOの場合)、制御部75は、通常印刷を実行する(ステップS105)。具体的には、制御部75からの指示に基づき、印刷部4が、画像データに基づいて、インクジェットヘッドにインクを吐出することにより用紙Pに画像を印刷する。
【0072】
一方、ステップS101において、バーコードモードが設定されたと判定された場合(YESの場合)、又はステップS103において、画像データの中にバーコードがあると判定された場合(YESの場合)、制御部75の方向判定部76は、画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向とが略平行であるか否かを判定する(ステップS107)。
【0073】
ステップS107において、画像データに含まれるバーコードの方向と、用紙Pの搬送方向とが略平行であると判定された場合(YESの場合)、変換部77の画像回転部77aは、バーコードの方向と、用紙Pの搬送方向とが略直角になるように、画像データを90°回転する(ステップS109)。
【0074】
図5は、変換部77の画像回転部77aによる画像データの回転を説明した図である。
【0075】
図5に示すように、画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送方向とが略平行である画像データ301を、時計回りに90°回転させてバーコードの方向と用紙Pの搬送方向とが略直角になるような画像データ302を生成すると共に、反時計回りに90°回転させてバーコードの方向と用紙Pの搬送方向とが略直角になるような画像データ303を生成する。
【0076】
これにより、図5のバーコード302aの拡大図に示すように、インクジェットヘッドのノズルが不吐出であった場合においても、バーコードの方向と略直角の方向に沿って白線302bが形成されるので、とぎれによって1本のバーが2本のバーに分断されることなく、読み取り可能なバーコードを印刷することができる。
【0077】
図4に戻り、ステップS109において画像データが90°回転されると、変換部77のつなぎ目判定部78は、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定する(ステップS110)。
【0078】
ステップS110において、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合(YESの場合)、変換部77の幅判定部79は、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、インクジェットユニット11の幅Ljより短いか否かを判定する(ステップS111)。上述したように、インクジェットユニット11の幅Ljは、A4縦の長さである297(mm)にクリアランスα(mm)を加えた297+α(mm)であるので、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、297(mm)である場合、略同一であると判定し、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、297(mm)未満である場合、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、インクジェットユニット11の幅Ljより短いと判定する。例えば、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、A5横の長さである148(mm)である場合、インクジェットユニット11の幅Ljより短いと判定する。
【0079】
ステップS111において、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、インクジェットユニット11の幅Ljより短いと判定された場合(YESの場合)、変換部77のスライド部77gは、画像データをスライドさせる(ステップS113)。具体的には、スライド部77gは、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないように、画像データを主走査方向にスライドさせる。これにより、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないので、重なり部分において発生しやすい「にじみ」の発生を低減することができる。
【0080】
一方、ステップS111において、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、インクジェットユニット11の幅Ljと略同一と判定された場合(NOの場合)、画像方向決定部77cは、つなぎ目のない領域が大きくなるように、画像データの方向を決定する(ステップS115)。具体的には、画像方向決定部77cは、図5に示した画像データ302及び画像データ303のうち、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目のない領域が大きくなるいずれか一方の画像データを選択する。これにより、バーコードは、つなぎ目のない領域が大きく印刷されるので、読み取りが容易なバーコードを印刷することができる。
【0081】
次に、変換部77のインク色変換部77eは、インク色の変換処理を行う(ステップS117)。例えば、バーコードを黒色で印刷する場合、バーコードを印刷するインクのインク色がコンポジットK、即ち、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の組合せで、バーコードを印刷する場合、インク色変換部77eは、バーコードを印刷するインクのインク色を単色であるブラック(K)に変換する。これにより、1画素当たりのインクの吐出量を低減することができるので、にじみを低減することができる。
【0082】
また、バーコードを印刷するインクのインク色が、例えばマゼンダ(M)等の暖色である場合に、インク色変換部77eは、シアン(C)やブラック(K)等の寒色のインクに変換する。印刷されたバーコードを読み取るバーコードリーダーは、一般的に、発光源として赤色LEDが採用され、赤色LEDから発光されたLED光の反射光を測定することによりパーコードを読み取る。そのため、暖色のインクを寒色のインクに変換することにより、バーコードリーダーによる読み取りが容易なバーコードを印刷することができる。
【0083】
次に、変換部77の濃度設定部77cは、用紙の種類を判定する(ステップS119)。具体的には、濃度設定部77cは、利用者の操作により操作パネル部6の表示/入力パネル61から、設定された用紙種類に基づいて、印刷する用紙Pの種類を判定する。
【0084】
ステップS119における判定の結果、用紙種類が、「一般普通紙」(例えば、理想科学工業株式会社製理想用紙薄口)である場合、バーコードを描画するためのインクジェットヘッドのドロップ数を、2ドロップさげて設定する(ステップS121)。例えば、5ドロップを3ドロップとして設定する。
【0085】
また、ステップS119における判定の結果、用紙種類が、「IJ(インクジェット)用マット紙」である場合、バーコードを描画するためのインクジェットヘッドのドロップ数を1ドロップ下げて設定する(ステップS123)。
【0086】
さらに、ステップS119における判定の結果、用紙種類が、「IJ(インクジェット)用はがき」である場合、バーコードを描画するためのインクジェットヘッドのドロップ数を、ステップS123と同様に、1ドロップ下げて設定する(ステップS125)。
【0087】
次に、制御部75は、各種設定に基づいて、印刷を実行する(ステップS127)。
【0088】
このように、ステップS119〜S125において、濃度設定部77cは、用紙Pの種類に応じて、バーコードの濃度を設定するので、用紙Pに印刷されたバーコードがにじみ、規定のバー幅と異なるバーコードとして印刷することを防止することができる。
【0089】
図6(a)は、用紙種類が「一般普通紙」である場合において3ドロップに設定されて印刷されたバーコードの一例を示した図であり、図6(b)は、図6(a)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図である。なお、図6(b)の縦軸は、濃度が濃い程、低くなるように示している。
【0090】
図6(a)、(b)に示すように、バーコードを描画するためのインクジェットヘッドのドロップ数が3ドロップに設定されているので、にじみが少なく良好なバーコードの画像を得ることができる。
【0091】
図6(c)は、比較のため、用紙種類が「一般普通紙」である場合において5ドロップに設定されて印刷されたバーコードの一例を示した図であり、図6(d)は、図6(c)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図である。なお、図6(c)の縦軸は、図6(b)と同様に、濃度が濃い程、低くなるように示している。
【0092】
図6(c)、(d)に示すように、バーコードを描画するためのインクジェットヘッドのドロップ数が5ドロップに設定されているので、コントラストは高なる一方、にじみが多く、規定のバー幅と異なるバーコードとして印刷される可能性がある。
【0093】
以上のように、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1によれば、方向判定部76により、印刷するための画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向とが略平行であると判定された場合、読み取り可能なバーコードが印刷されるように、画像データの位置及び画質のうち少なくともいずれか一方を変換するので、バーコードのにじみやとぎれを低減することができる。
【0094】
なお、本発明の実施例1では、特定画像としてバーコードを例に挙げて説明したが、バーコードに限らず、数値や文字等の情報を示す方向性のあるコードであればよい。
【0095】
なお、本発明の実施例1では、インクジェットヘッド110〜116のノズルからインクを吐出する際、各ノズルと対応して設けられた各ピエゾ素子に吐出電圧を印加して振動板を変位させてインク溜室内のインクをノズルから吐出させるピエゾ方式を採用したが、これに限らない。例えば、静電ギャップに吐出電圧を印加して振動板を変位させてインク溜室内のインクをノズルから吐出させる静電方式や、インク溜室内の微小ヒータでインクを加熱して膜沸騰状態となって生じた気泡による圧力変化でインクをノズルから吐出させる膜沸騰インクジェット方式などを適用してもよい。
【実施例2】
【0096】
本発明の実施例2では、画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットを備え、ドットゲイン特性を補正することによりインクジェットユニット間のインクの吐出量を調整して、インクを用紙に向けて吐出することにより、画像や文字などを印刷するインクジェット印刷装置1を例に挙げて説明する。
【0097】
<インクジェット印刷装置1の構成>
本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1のハードウェア構成は、図1に示した本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1のハードウェア構成と同一であるので、説明を省略する。
【0098】
<インクジェット印刷装置1の機能構成>
図7は、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1の機能構成を示す機能構成図である。
【0099】
図7に示すようにインクジェット印刷装置1は、画像読取部2と、給紙部3と、印刷部4と、排紙部5と、操作パネル部6と、制御ユニット7とを備えている。このうち、画像読取部2と、給紙部3と、印刷部4と、排紙部5と、操作パネル部6については、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1が備えるそれぞれ同一符号が付された構成と同一であるので、説明を省略する。
【0100】
制御ユニット7は、RAM71と、ROM72と、制御部75とを備えている。このうち、RAM71と、ROM72とは、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1が備えるそれぞれ同一符号が付された構成と同一であるので、説明を省略する。
【0101】
制御部75は、その機能上、つなぎ目判定部78と、ドットゲイン算出部80と、ドットゲイン特性算出部82と、変換部81とを備える。
【0102】
つなぎ目判定部78は、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116のつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定する。
【0103】
ドットゲイン算出部80は、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116それぞれの間の濃度差を評価するための濃度評価画像が原稿から読み取られた場合に、読み取られた濃度評価画像に基づいて、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116毎に印刷された画像のにじみ度合いを示すドットゲインを算出する。
【0104】
ドットゲイン特性算出部82は、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116毎に、画像データに含まれる濃度評価画像の濃度に対する読み取られた濃度評価画像の濃度を示すドットゲイン特性を算出する。
【0105】
変換部81は、つなぎ目判定部78により、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116のつなぎ目の位置とが重なると判定された場合、つなぎ目判定部78によりバーコードが用紙Pに印刷される位置につなぎ目が重なったと判定されたインクジェットヘッド110〜116のうち、ドットゲイン算出部80により算出されたドットゲインが最小となるインクジェットヘッドを選択し、選択されなかった他のインクジェットヘッドに対応するドットゲイン特性を選択されたインクジェットヘッド110〜116に対応するドットゲイン特性に変換する。
【0106】
<インクジェット印刷装置1の作用>
次に、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1の作用について説明する。
【0107】
本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1は、主にドットゲイン調整処理と、印刷処理を行う。そのため、各々の処理について以下に詳細に説明する。
【0108】
≪ドットゲイン調整処理≫
本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1におけるドットゲイン調整処理の詳細について説明する。
【0109】
図8は、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1によるドットゲイン調整処理の処理手順を示したフローチャートである。以下、インクジェットユニット11に備えられたインクジェットヘッド110を例に挙げて説明するが、その他インクジェットヘッド112,114,116についても同様である。
【0110】
図8に示すように、制御部75は、ドットゲイン調整が要求されたか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、制御部75は、利用者の操作により操作パネル部6から、ドットゲイン調整を要求する操作信号が供給されたか否かを判定する。例えば、利用者が、ドットゲイン調整するためのモードであるにじみ調整モードを選択する操作を行った場合、制御部75は、ドットゲイン調整を要求する操作信号が供給されたと判定する。
【0111】
ステップS201において、ドットゲイン調整が要求されたと判定された場合(YESの場合)、制御部75のドットゲイン算出部80は、画像読取部2により、原稿から濃度評価画像が読み取られた否かを判定する(ステップS203)。ここで、濃度評価画像とは、原稿の上下に複数配置されたインクジェットヘッド間の濃度差を評価するための画像であり、詳細は後述する。
【0112】
次に、ドットゲイン算出部80は、平均ドットゲインを算出する(ステップS205)。具体的には、ドットゲイン算出部80は、画像読取部2により読み取られた濃度評価画像に基づいて、インクジェットヘッド毎に印刷された画像のにじみ度合いを示すドットゲインを算出する。
【0113】
図9は、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1が備えるドットゲイン算出部80によるドットゲインの算出を説明した図である。
【0114】
図9に示すように、印刷された用紙Pの上下には、インクジェットヘッド毎に、濃度評価画像500が印刷されており、図9の拡大図Aに示すように、濃度評価画像500は、左から右に向かって濃度が徐々に濃くなるように印刷されたグラデーション画像と、このグラデーション画像の左右の両端付近に対応して2ドット幅のバー502,504と、4ドット幅のバー503,505とが印刷されている。
【0115】
そこで、ドットゲイン算出部80は、印刷された2ドット幅のバー502,504と、4ドット幅のバー503,505とに基づいて、ドットゲインを算出する。具体的には、ドットゲイン算出部80は、図9の拡大図Bに示すように、4ドット幅のバー503について、画像データにおける線幅Rと、読み込まれた用紙Pにおける線幅Sとの差をドットゲインDGとして算出する。
【0116】
次に、ドットゲイン算出部80は、インクジェットヘッド毎に、ドットゲインDGの平均である平均ドットゲインDGAVEを算出する。具体的には、ドットゲイン算出部80は、同一のインクジェットヘッドにおける上下2カ所に印刷された2ドット幅のバー502,504と、4ドット幅のバー503,505の合計8つのバーについてそれぞれのドットゲインDGを算出し、その平均値である平均ドットゲインDGAVEを算出する。
【0117】
また、ドットゲイン算出部80は、他のインクジェットヘッド110a〜110eについても、同様に、平均ドットゲインDGAVEを算出する。
【0118】
図8に戻り、ドットゲイン特性算出部82は、平均ドットゲイン特性を算出する(ステップS207)。具体的には、ドットゲイン特性算出部82は、濃度評価画像500に含まれるグラデーション画像501に基づいて、画像データにおけるグラデーション画像の濃度と、読み込まれた用紙Pにおけるグラデーション画像の濃度との関係をドットゲイン特性として算出する。
【0119】
次に、ドットゲイン特性算出部82は、インクジェットヘッド毎に、ドットゲイン特性DPの平均である平均ドットゲイン特性DPAVEを算出する。具体的には、ドットゲイン特性算出部82は、同一のインクジェットヘッドにおける上下2カ所に印刷された2つのグラデーション画像についてそれぞれのドットゲイン特性DPを算出し、その平均値である平均ドットゲイン特性DPAVEを算出する。
【0120】
また、ドットゲイン特性算出部82は、他のインクジェットヘッド110a〜110eについても、同様に、平均ドットゲイン特性DPAVEを算出する。
【0121】
次に、ドットゲイン特性算出部82は、平均ドットゲインと平均ドットゲイン特性とを関連付けて記憶する(ステップS209)。具体的には、ドットゲイン特性算出部82は、ステップS205において算出された平均ドットゲインDGAVEと、平均ドットゲイン特性DPAVEとを、インクジェットヘッド毎に関連付けて、RAM71に記憶させる。
【0122】
なお、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1では、インクジェットヘッド毎に、濃度評価画像500に含まれる複数のグラデーション画像と、複数のバーに基づいて、それぞれ平均ドットゲインDGAVEと、平均ドットゲイン特性DPAVEとを算出したが、これに限らず、インクジェットヘッド毎に、濃度評価画像500に含まれる1つのグラデーション画像と、1つのバーに基づいて、それぞれドットゲインDGと、ドットゲイン特性DPとを算出するようにしてもよい。
【0123】
≪印刷処理≫
本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1における印刷処理の詳細について説明する。
【0124】
図10は、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1による印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。以下、インクジェットユニット11に備えられたインクジェットヘッド110を例に挙げて説明するが、その他インクジェットヘッド112,114,116についても同様である。
【0125】
図10に示すように、制御部75は、印刷が要求されたか否かを判定する(ステップS301)。具体的には、制御部75は、利用者の操作により操作パネル部6から、印刷処理を要求する操作信号が供給されたか否かを判定する。
【0126】
ステップS301において、印刷が要求されたと判定された場合(YESの場合)、制御部75のつなぎ目判定部78は、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定する(ステップS303)。
【0127】
ステップS303において、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないと判定された場合(NOの場合)、制御部75は、該当のインクジェットヘッドを用いて通常印刷を実行する(ステップS305)。具体的には、制御部75からの指示に基づき、印刷部4が、画像データに基づいて、該当するインクジェットヘッドにインクを吐出することにより用紙Pに画像を印刷する。
【0128】
一方、ステップS303において、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合(YESの場合)、制御部75の変換部81は、跨ったインクジェットヘッド、即ちつなぎ目の位置が重なるインクジェットヘッドの数をCに代入し、カウンタiの値に“1”を代入する(ステップS307)。
【0129】
次に、変換部81は、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEが、最も小さいか否かを判定する(ステップS309)。具体的には、変換部81は、RAM71から跨ったインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲインDGAVEを読み出し、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEが、読み出した平均ドットゲインDGAVEの中で最も小さいか否かを判定する。
【0130】
ステップS309において、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEが、最も小さいと判定された場合(YESの場合)、変換部81は、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲイン特性DPAVEを適用する(ステップS311)。具体的には、変換部81は、RAM71から第i番目のインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性DPAVEを読み出し、適用する。
【0131】
一方、ステップS309において、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEが、最も小さくないと判定された場合(NOの場合)、変換部81は、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲイン特性DPAVEの逆補正特性を適用する(ステップS317)。詳細は後述する。
【0132】
次に、変換部81は、平均ドットゲインDGAVEが、最も小さいインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性DPAVEを、ステップS317において逆補正特性が適用された第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲイン特性DPAVEに適用する(ステップS319)。
【0133】
図11は、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1が備える変換部81によるステップS317における逆補正特性の適用、及びステップS319における最も小さいインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性DPAVEの適用を説明した図である。
【0134】
図11(a)は、RAM71に記憶されたインクジェットヘッド毎の平均ドットゲイン特性DPAVEを示しており、図11(b)は、インクジェットヘッド110aの平均ドットゲイン特性DPAVEに対する逆補正特性の適用を説明した図であり、図11(c)は、逆補正特性が適用されたインクジェットヘッドの平均ドットゲイン特性DPAVEに対する最も小さいインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性DPAVEの適用を示した図であり、図11(d)は、逆補正特性及び最も小さいインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性DPAVEが適用されたインクジェットヘッド毎の平均ドットゲイン特性DPAVEを示している。
【0135】
図11(a)に示すように、RAM71には、インクジェットヘッド110a〜110fに対応する平均ドットゲイン特性DPAVEとして、610a〜610fが記憶されている。なお、平均ドットゲイン特性DPAVEを示した610a〜610fは、x軸に、入力濃度(画像データにおけるグラデーション画像の濃度)を示し、y軸に、出力濃度(読み込まれた用紙Pにおけるグラデーション画像の濃度)を示している。
【0136】
以下、印刷されるバーコードがインクジェットヘッド110a〜110bに跨り、インクジェットヘッド110a〜110bに対応する平均ドットゲインDGAVEの中で、インクジェットヘッド110bに対応する平均ドットゲインDGAVEが最も小さい場合を例に挙げて説明する。
【0137】
インクジェットヘッド110aの平均ドットゲイン610aは最も小さくないので、図11(b)に示すように、変換部81は、インクジェットヘッド110aの平均ドットゲイン特性610aに、平均ドットゲイン特性610aのx−y軸を変換した逆補正特性611を適用する。これにより、変換部81は、入力濃度(x軸)と出力濃度(y軸)とがリニアな関係となる特性612を得る。
【0138】
次に、図11(c)に示すように、変換部81は、逆補正特性611が適用された特性612に、平均ドットゲインDGAVEが最も小さいインクジェットヘッド110bに対応する平均ドットゲイン特性610bを適用する。これにより、インクジェットヘッド110bと同一の平均ドットゲイン特性である平均ドットゲイン特性610bを得る。
【0139】
そして、図11(d)に示すように、変換部81は、平均ドットゲイン特性610aにおいて、逆補正特性及び平均ドットゲインDGAVEが最も小さいインクジェットヘッド110bに対応する平均ドットゲイン特性610bが適用されたインクジェットヘッド毎の平均ドットゲイン特性DPAVEを得る。
【0140】
これにより、バーコードを印刷するインクジェットヘッド110の平均ドットゲイン特性DPAVEが同一となり、インクジェットヘッド110間によるインクの吐出量の誤差を低減できるので、バーコードのにじみを低減することができる。
【0141】
図10に戻り、変換部81は、カウンタiの値に“1”だけ加算する(ステップS313)。
【0142】
次に、変換部81は、カウンタiの値が跨ったインクジェットヘッドの数C以上か否かを判定する(ステップS315)。
【0143】
ステップS315において、カウンタiの値が跨ったインクジェットヘッドの数C以上であると判定された場合、制御部75は、平均ドットゲインDGAVEに基づいて印刷を実行する(ステップS321)。
【0144】
図12(a)は、インクジェットヘッド110aにおいて、逆補正特性及びインクジェットヘッド110bに対応する平均ドットゲイン特性610bが適用された場合におけるインクジェットヘッド110a,110bにより印刷されたバーコードの一例を示した図であり、図12(b)は、図12(a)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図である。なお、図12(b)の縦軸は、濃度が濃い程、低くなるように示している。
【0145】
図12(a),(b)に示すように、インクジェットヘッド110a,110bにより印刷されたバーコードは、両方共に、にじみが少なく良好なバーコードの画像を得ることができる。
【0146】
図12(c)は、比較のため、従来技術におけるインクジェットヘッド110a,110bにより印刷されたバーコードの一例を示した図であり、図12(d)は、図12(c)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図である。なお、図12(d)の縦軸は、濃度が濃い程、低くなるように示している。
【0147】
図12(c),(d)に示すように、インクジェットヘッド110aによりインクが吐出されて印刷されたバーコードは、コントラストは高なる一方、にじみが多く、規定のバー幅と異なるバーコードとして印刷される可能性がある。
【0148】
以上のように、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1によれば、つなぎ目判定部78により、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合、つなぎ目判定部78によりバーコードが用紙Pに印刷される位置につなぎ目が重なったと判定されたインクジェットヘッドのうち、ドットゲイン算出部80により算出されたドットゲインが最小となるインクジェットヘッド110を選択し、選択されなかった他のインクジェットヘッド110に対応するドットゲイン特性を選択されたインクジェットヘッド110に対応するドットゲイン特性に変換するので、インクジェットヘッド110間によるインクの吐出量の誤差を低減しつつ、バーコードのにじみを低減することができる。
【実施例3】
【0149】
本発明の実施例3では、画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットを備え、プロファイルを用いてインクジェットユニット間のインクの吐出量を調整してインクを用紙に向けて吐出することにより、画像や文字などを印刷するインクジェット印刷装置1を例に挙げて説明する。
【0150】
<インクジェット印刷装置1の構成>
本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1のハードウェア構成は、図1に示した本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1のハードウェア構成と同一であるので、説明を省略する。
【0151】
<インクジェット印刷装置1の機能構成>
本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1の機能構成は、図7に示した本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1の機能構成と同様であり、画像読取部2と、給紙部3と、印刷部4と、排紙部5と、操作パネル部6と、制御ユニット7とを備えている。このうち、制御ユニット7が備えるRAM71と、制御部75の変換部81とがその機能上、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1が備えるRAM71と、変換部81とそれぞれ異なるので、この本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1が備えるRAM71と、変換部81とについて説明する。
【0152】
RAM71は、揮発性半導体等で構成され、制御部75が各種処理を実行する上で必要なデータ等を記憶する。また、RAM71は、ドットゲインと、画像データを印刷可能なデータ形式に変換するためのプロファイルとを、ドットゲインが大きい程、用紙Pに印刷される特定画像の濃度が薄くなるようにプロファイルを関連づけてプロファイル情報として記憶する。
【0153】
図13は、RAM71に記憶されたプロファイル情報の一例を示した図である。図13(a)は、ドットゲインとプロファイルとが関連付けられたプロファイル情報の一例を示しており、図13(b)は、プロファイルの一例を示した図である。
【0154】
図13(a)に示すように、ドットゲイン701が大きい程、用紙Pに印刷される特定画像の濃度が薄くなるようにプロファイル702が関連付けられてプロファイル情報として記憶されている。
【0155】
変換部81は、RAM71に記憶されたプロファイル情報に基づいて、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116毎に算出されたドットゲインに対応するプロファイルを決定する。
【0156】
<インクジェット印刷装置1の作用>
次に、本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1の作用について説明する。本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1は、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1と同様に、主にドットゲイン調整処理と、印刷処理を行う。このうち、ドットゲイン調整処理については、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1によるドットゲイン調整処理と同一処理であるので、説明を省略する。
【0157】
≪印刷処理≫
本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1における印刷処理の詳細について説明する。
【0158】
図14は、本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1による印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。以下、インクジェットユニット11に備えられたインクジェットヘッド110を例に挙げて説明するが、その他インクジェットヘッド112,114,116についても同様である。なお、図14に示したフローチャートの各ステップのうち、図10に示したフローチャートにおける同一ステップ番号が付されたステップの処理は同一であるので、説明を省略する。
【0159】
図14に示すように、ステップS303において、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないと判定された場合(NOの場合)、制御部75は、標準プロファイルであるプロファイルNO.3を用いて通常印刷を実行する(ステップS401)。
【0160】
また、ステップS309において、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEが、最も小さいと判定された場合(YESの場合)、変換部81は、RAM71から標準プロファイルであるプロファイルNO.3を読み出し、第i番目のインクジェットヘッドにプロファイルNO.3を適用する(ステップS403)。
【0161】
一方、ステップS309において、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEが、最も小さくないと判定された場合(NOの場合)、変換部81は、RAM71から第i番目のインクジェットヘッドに適用するプロファイルを読み出し、適用する(ステップS405)。具体的には、変換部81は、RAM71から第i番目のインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲインDGAVEを読み出し、RAM71に記憶されたプロファイル情報に基づいて、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEに対応するプロファイルを抽出して、適用する。
【0162】
また、ステップS315において、カウンタiの値が跨ったインクジェットヘッドの数C以上であると判定された場合、制御部75は、適用されたプロファイル基づいて印刷を実行する(ステップS407)。
【0163】
以上のように、本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1によれば、つなぎ目判定部78により、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合、RAM71に記憶されたプロファイル情報に基づいて、複数配置されたインクジェットヘッド110毎に算出された平均ドットゲインDGAVEに対応するプロファイルを決定して印刷するので、インクジェットヘッド110間によるインクの吐出量の誤差を低減しつつ、バーコードのにじみを低減することができる。
【符号の説明】
【0164】
1…インクジェット印刷装置
2…画像読取部
3…給紙部
4…印刷部
5…排紙部
6…操作パネル部
7…制御ユニット
11…インクジェットユニット
61…表示/入力パネル
71…RAM
72…ROM
75…制御部
76…方向判定部
77,81…変換部
77a…画像回転部
77b…画像方向決定部
77c…濃度設定部
77e…インク色変換部
77g…スライド部
78…つなぎ目判定部
79…幅判定部
80…ドットゲイン算出部
82…ドットゲイン特性算出部
110…インクジェットヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードの印刷を適切に行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、黒線及び白線の組合せによる縞模様により数値や文字等の情報を示すバーコードが良く知られている。
【0003】
このバーコードは、黒線及び白線の線幅が厳密に規定されているので、印刷されたバーコードにインクの「にじみ」が発生した場合や、黒線の一部が印刷できずに白線となる「とぎれ」が発生した場合、正確に情報を表現することができなくなる場合がある。
【0004】
特許文献1には、縦方向バーコードと横方向バーコードの各々について別個にバー幅情報を設定し、バーコードの印刷時に、バーコードが縦方向バーコードか横方向バーコードかを判断し、この判断の結果、該当する方向のバーコードのバー幅情報を読み出してバーコードの画像を描画するバーコード生成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−210136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のバーコード生成装置では、縦方向バーコード又は横方向バーコードのバー幅情報を読み出してバーコードの画像を描画しているが、にじみやとぎれに関する対策は施されていない。そのため、にじみやとぎれが発生した場合に読み取り良好なバーコードを印刷することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、読み取り良好なバーコードを印刷する印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第1の特徴は、印刷するための画像データに含まれる特定画像の方向と、搬送路面上を搬送される印刷媒体の搬送方向とが略平行であるか否かを判定する方向判定手段と、前記方向判定手段により略平行であると判定された場合、前記画像データの位置及び画質のうち少なくともいずれか一方を変換する変換手段とを備えたことにある。
【0009】
本発明に係る印刷装置の第2の特徴は、前記変換手段は、前記方向判定手段により略平行であると判定された場合、前記特定画像の方向と、印刷媒体の搬送方向とが略直角になるように、前記画像データを回転する画像回転手段を有することにある。
【0010】
本発明に係る印刷装置の第3の特徴は、前記画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットと、前記主走査方向における、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定するつなぎ目判定手段と、を更に備え、前記変換手段は、前記つなぎ目判定手段により、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合に、前記つなぎ目のない領域が大きくなるように、前記画像データの方向を決定する画像方向決定手段、を有することにある。
【0011】
本発明に係る印刷装置の第4の特徴は、前記変換手段は、前記印刷媒体の種類に応じて、前記特定画像の濃度を設定する濃度設定手段を、有することにある。
【0012】
本発明に係る印刷装置の第5の特徴は、前記変換手段は、前記特定画像を黒色で印刷する場合において、前記特定画像を印刷するインクのインク色が複数のインク色の組合せであるときに、前記特定画像を印刷するインクのインク色を黒色のインクに変換するインク色変換手段、を有することにある。
【0013】
本発明に係る印刷装置の第6の特徴は、前記変換手段は、前記特定画像を印刷するインクのインク色が暖色である場合に、寒色のインクに変換するインク色変換手段、を有することにある。
【0014】
本発明に係る印刷装置の第7の特徴は、前記画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットと、前記主走査方向における、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定するつなぎ目判定手段と、前記印刷媒体の主走査方向における幅が、前記インクジェットユニットの幅より短いか否かを判定する幅判定手段と、を更に備え、前記変換手段は、前記つなぎ目判定手段により、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定され、かつ前記幅判定手段により前記印刷媒体の主走査方向における幅が、前記インクジェットユニットの幅より短いと判定された場合、前記主走査方向における、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないように、前記画像データを前記主走査方向にスライドさせるスライド手段、を有することにある。
【0015】
本発明に係る印刷装置の第8の特徴は、画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットと、前記主走査方向における、前記画像データに含まれる特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定するつなぎ目判定手段と、前記複数配置されたインクジェットヘッド間の濃度差を評価するための濃度評価画像が前記印刷媒体から読み取られた場合に、前記読み取られた濃度評価画像に基づいて、前記複数配置されたインクジェットヘッド毎に印刷された画像のにじみ度合いを示すドットゲインを算出するドットゲイン算出手段と、前記つなぎ目判定手段により、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合、前記ドットゲイン算出手段により算出されたドットゲインに基づいて、前記画像データの位置又は画質を変換する変換手段と、を備えたことにある。
【0016】
本発明に係る印刷装置の第9の特徴は、前記複数配置されたインクジェットヘッド毎に、前記画像データに含まれる濃度評価画像の濃度に対する前記読み取られた濃度評価画像の濃度を示すドットゲイン特性を算出するドットゲイン特性算出手段と、を更に備え、前記変換手段は、前記つなぎ目判定手段により前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置につなぎ目が重なったと判定された前記インクジェットヘッドのうち、前記ドットゲイン算出手段により算出されたドットゲインが最小となるインクジェットヘッドを選択し、選択されなかった他のインクジェットヘッドに対応する前記ドットゲイン特性を前記選択されたインクジェットヘッドに対応する前記ドットゲイン特性に変換することにある。
【0017】
本発明に係る印刷装置の第10の特徴は、前記ドットゲインと、前記画像データを印刷可能なデータ形式に変換するためのプロファイルとを、前記ドットゲインが大きい程、前記印刷媒体に印刷される特定画像の濃度が薄くなるように前記プロファイルを関連づけてプロファイル情報として記憶するプロファイル情報記憶手段、を更に備え、前記変換手段は、前記プロファイル情報記憶手段に記憶されたプロファイル情報に基づいて、前記複数配置されたインクジェットヘッド毎に算出されたドットゲインに対応する前記プロファイルを決定することにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る印刷装置の第1の特徴によれば、特定画像の方向と印刷媒体の搬送方向とが略平行である場合に、画像データの位置及び画質のうち少なくともいずれか一方を変換するので、読み取り良好な特定画像を印刷することができる。
【0019】
本発明に係る印刷装置の第2の特徴によれば、特定画像の方向と搬送方向とが略直角になるように、画像データを回転するので、特定画像のとぎれを低減することができる。
【0020】
本発明に係る印刷装置の第3の特徴によれば、特定画像が印刷媒体に印刷される位置と、インクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合に、つなぎ目のない領域が大きくなるように、画像データの方向を決定するので、より読み取り良好な特定画像を印刷することができる。
【0021】
本発明に係る印刷装置の第4の特徴によれば、印刷媒体の種類に応じて、特定画像の濃度を設定するので、特定画像のにじみを低減することができる。
【0022】
本発明に係る印刷装置の第5の特徴によれば、インク色が複数のインク色の組合せであるときに、特定画像を印刷するインクのインク色を黒色のインクに変換するので、特定画像のにじみを低減することができる。
【0023】
本発明に係る印刷装置の第6の特徴によれば、特定画像を印刷するインクのインク色が暖色である場合に、寒色のインクに変換するので、より読み取り良好な特定画像を印刷することができる。
【0024】
本発明に係る印刷装置の第7の特徴によれば、特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なり、かつ印刷媒体の主走査方向における幅が、インクジェットユニットの幅より短い場合、主走査方向における、特定画像が印刷媒体に印刷される位置と、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないように、画像データを主走査方向にスライドさせるので、より読み取り良好な特定画像を印刷することができる。
【0025】
本発明に係る印刷装置の第8の特徴によれば、特定画像が印刷媒体に印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合、ドットゲイン算出手段により算出されたドットゲインに基づいて、画像データの位置又は画質を変換するので、インクジェットヘッド間によるインクの吐出量の誤差を低減しつつ、特定画像のにじみを低減することができる。
【0026】
本発明に係る印刷装置の第9の特徴によれば、つなぎ目が重なったと判定されたインクジェットヘッドのうち、ドットゲインが最小となるインクジェットヘッドを選択し、選択されなかった他のインクジェットヘッドに対応するドットゲイン特性を選択されたインクジェットヘッドに対応するドットゲイン特性に変換するので、大容量の記憶媒体を備えることなく、インクジェットヘッド間によるインクの吐出量の誤差を低減しつつ、特定画像のにじみを低減することができる。
【0027】
本発明に係る印刷装置の第10の特徴によれば、記憶されたプロファイル情報に基づいて、複数配置されたインクジェットヘッド毎に算出されたドットゲインに対応するプロファイルを決定するので、複雑な計算を行うことなく、インクジェットヘッド間によるインクの吐出量の誤差を低減しつつ、特定画像のにじみを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1が備えるインクジェットヘッドユニットの平面図である。
【図2】(a)は、画像データに含まれるバーコードの一例を示しており、(b)は、画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙の搬送方向とが略平行である場合において、ノズルの不吐出により、とぎれが発生したバーコードの一例を示した図である。
【図3】本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置の機能構成を示す機能構成図である。
【図4】本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置による処理手順を示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置が備える変換部の画像回転部による画像データの回転を説明した図である。
【図6】(a)は、用紙種類が「一般普通紙」である場合において3ドロップに設定されて印刷されたバーコードの一例を示した図であり、(b)は、(a)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図であり、(c)は、用紙種類が「一般普通紙」である場合において5ドロップに設定されて印刷されたバーコードの一例を示した図であり、(d)は、(c)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図である。
【図7】本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置の機能構成を示す機能構成図である。
【図8】本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置によるドットゲイン調整処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置が備えるドットゲイン算出部によるドットゲインの算出を説明した図である。
【図10】本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置による印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図11】(a)は、RAMに記憶されたインクジェットヘッド毎の平均ドットゲイン特性を示しており、(b)は、インクジェットヘッドの平均ドットゲイン特性に対する逆補正特性の適用を説明した図であり、(c)は、逆補正特性が適用されたインクジェットヘッドの平均ドットゲイン特性に対し最も小さいインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性の適用を示した図であり、(d)は、逆補正特性及び最も小さいインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性が適用されたインクジェットヘッド毎の平均ドットゲイン特性を示している。
【図12】(a)は、インクジェットヘッドにおいて、逆補正特性及びインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性が適用された場合におけるインクジェットヘッドにより印刷されたバーコードの一例を示した図であり、(b)は、(a)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図であり、(c)は、比較のため、従来技術におけるインクジェットヘッドにより印刷されたバーコードの一例を示した図であり、(d)は、(c)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図である。
【図13】(a)は、ドットゲインとプロファイルとが関連付けられたプロファイル情報の一例を示しており、(b)は、プロファイルの一例を示した図である。
【図14】本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置による印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
本発明の実施例1では、画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットを備え、インクジェットヘッドのノズルからインクを用紙に向けて吐出して画像や文字などを印刷するインクジェット印刷装置1を例に挙げて説明する。
【0031】
<インクジェット印刷装置1の構成>
図1は、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1が備えるインクジェットヘッドユニットの平面図である。
【0032】
インクジェットユニット11は、主走査方向、即ち用紙Pの搬送方向と直交する方向に複数のノズルが配列されたライン型の複数のインクジェットヘッド110〜116を有する。
【0033】
そして、インクジェットユニット11の下部を用紙Pが副走査方向に搬送されながら、複数のインクジェットヘッド110〜116からインクが吐出されることにより印刷される。ここで、搬送される用紙Pの主走査方向における幅をLp、インクジェットユニット11の幅をLjとすると、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1では、Ljは、A4縦の長さである297(mm)+クリアランス数(mm)であるので、例えば、A4(210mm×297mm)、A3(297mm×420mm)、B4(257mm×364mm)等の短辺が297(mm)以下である用紙であれば、印刷可能である。
【0034】
インクジェットユニット11は、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各色のインクジェットヘッドを有している。具体的には、インクジェットユニット11は、シアン(C)のインクを貯留したインクジェットヘッド110a〜110fと、ブラック(K)のインクを貯留したインクジェットヘッド112a〜112fと、マゼンダ(M)のインクを貯留したインクジェットヘッド114a〜114fと、イエロー(Y)のインクを貯留したインクジェットヘッド116a〜116fとを備える。
【0035】
インクジェットヘッド110a,110c,110eとインクジェットヘッド110b,110d,110fとは、搬送される用紙Pの主走査方向において隙間無くシアン(C)のインクを吐出することができるように、主走査方向に2列に配置されている。
【0036】
インクジェットヘッド110a〜110fには、シアン(C)のインクを収容するインク溜室が設けられており、このインク溜室内にはピエゾ素子が配置されている。そして、このピエゾ素子に吐出電圧が印加されることにより、インク溜室に連通するノズルからシアン(C)のインクを吐出する。そのため、第1列目のインクジェットヘッド110a,110c,110eと、第2列目のインクジェットヘッド110b,110d,110fとの主走査方向において重なり合う部分(つなぎ目部分)には、重畳してシアン(C)のインクが吐出される。
【0037】
また、ブラック(K)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各色のインクジェットヘッドにおいても、同様に、搬送される用紙Pの主走査方向において隙間無くそれぞれ主走査方向に2列に配置されており、それぞれブラック(K)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出する。
【0038】
このように、インクジェットユニット11は、各色毎に、主走査方向に複数のインクジェットヘッド110〜116が配列されているので、例えば、インクジェットヘッド110〜116のうち1つのノズルが不吐出であると、画像データに含まれる特定画像の一つであるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向とが略平行である場合、とぎれが発生する。
【0039】
図2(a)は、画像データに含まれるバーコードの一例を示しており、図2(b)は、画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向とが略平行である場合において、印刷の際、ノズルの不吐出により、とぎれが発生したバーコードの一例を示した図である。
【0040】
画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向とが略平行である場合、図2(a)に示したバー201を描画するインクジェットヘッドのノズルが不吐出であると、図2(b)に示したバー202のように、とぎれが発生し、これにより2本のバーに分断させて印刷される。このように、黒線の一部が印刷できずに白線としてしまうとぎれが発生すると、バーコード全体として正確に情報を表現することができなくなる。
【0041】
また、インクジェットヘッドから吐出されるインクの吐出量が多すぎる場合や、印刷される用紙Pの浸透性が高い場合、バーコードが印刷された用紙Pのインクがにじみ、規定のバー幅と異なるバーコードとして印刷してしまう場合がある。上述したように、インクジェットユニット11は、主走査方向に複数のインクジェットヘッドが配列されているので、特に、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目において、1画素に複数のノズルが吐出する。これにより、吐出されるインクの吐出量が多くなりすぎ、にじみが発生する可能性が高い。
【0042】
本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1では、このような印刷されたバーコードの「とぎれ」や「にじみ」を低減するものである。
【0043】
<インクジェット印刷装置1の機能構成>
図3は、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1の機能構成を示す機能構成図である。
【0044】
図3に示すようにインクジェット印刷装置1は、画像読取部2と、給紙部3と、印刷部4と、排紙部5と、操作パネル部6と、制御ユニット7とを備えている。
【0045】
画像読取部2は、インクジェット印刷装置1の上部に設けられ、スキャナ等の装置によって被複写物である原稿から画像データを光電的に読み取り、制御ユニット7へ供給する。
【0046】
給紙部3は、図示しない給紙台に積層載置された用紙Pを1枚ずつピックアップして搬送し、斜行補正するとともに所定のタイミングで印刷部4に供給する。
【0047】
印刷部4は、上述したインクジェットユニット11と、給紙部3から供給された用紙Pをインクジェットユニット11まで搬送する搬送部(図示しない)とを備え、搬送部により搬送された用紙Pに対して、インクジェットユニット11が、制御ユニット7から供給された画像データに基づいて、インクを吐出して用紙Pに付着させることにより画像を印刷する。
【0048】
排紙部5は、インクジェットユニット11により画像が印刷された用紙Pを収納する。
【0049】
操作パネル部6は、インクジェット印刷装置1の上部に設けられ、表示/入力パネル61と、印刷等を開始させるためのスタートキー、印刷等を停止させるためのストップキー、印刷枚数等を入力するためのテンキー(いずれも図示せず)等の各種操作キーとを備え、利用者操作に基づく操作信号を制御ユニット7に供給する。
【0050】
操作パネル部6の表示/入力パネル61は、前面に配置された感圧式あるいは静電式の透明なタッチパネルと、このタッチパネルの裏面に配置された液晶表示パネル(いずれも図示せず)とを有している。利用者は、液晶表示パネルの表示画面を見ながら、タッチパネルの表面を指などで直接触れることで各種の設定入力操作等を行うことができる。
【0051】
表示/入力パネル61は、利用者操作に応じて、後述する印刷モード(通常印刷モード又はバーコードモード)等の印刷条件を指定するための画面を表示する。なお、印刷モードの設定は、表示/入力パネル61、又はインクジェット印刷装置1に接続されたコンピュータによりプリンタドライバが実行されることにより表示された設定画面から、行われる。
【0052】
制御ユニット7は、RAM71と、ROM72と、制御部75とを備えている。
【0053】
RAM71は、揮発性半導体等で構成され、制御部75が各種処理を実行する上で必要なデータ等を記憶する。
【0054】
ROM72は、不揮発性半導体等で構成され、制御部75が実行する各種制御プログラム等を記憶している。
【0055】
制御部75は、その機能上、方向判定部76と、つなぎ目判定部78と、幅判定部79と、変換部77とを備えている。
【0056】
方向判定部76は、印刷するための画像データに含まれる特定画像の一つであるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向(副走査方向)とが略平行であるか否かを判定する。
【0057】
つなぎ目判定部78は、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116のつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定する。
【0058】
幅判定部79は、用紙Pの主走査方向における幅が、インクジェットユニット11の幅より短いか否かを判定する。
【0059】
変換部77は、方向判定部76により略平行であると判定された場合、画像データの位置又は画質を変換する。
【0060】
変換部77は、画像回転部77aと、画像方向決定部77bと、濃度設定部77cと、インク色変換部77eと、スライド部77gとを備える。
【0061】
画像回転部77aは、方向判定部76により、印刷するための画像データに含まれる特定画像の一つであるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向(副走査方向)とが略平行であると判定された場合、バーコードの方向と、用紙Pの搬送方向とが略直角になるように、画像データを回転する。
【0062】
画像方向決定部77bは、つなぎ目判定部78により、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッド110のつなぎ目の位置とが重なると判定された場合に、つなぎ目のない領域が大きくなるように、画像データの方向を決定する。
【0063】
濃度設定部77cは、用紙Pの種類に応じて、バーコードの濃度を設定する。
【0064】
インク色変換部77eは、バーコードを黒色で印刷する場合において、バーコードを印刷するインクのインク色が複数のインク色の組合せであるときに、バーコードを印刷するインクのインク色を黒色のインクに変換する。また、インク色変換部77eは、バーコードを印刷するインクのインク色が暖色である場合に、寒色のインクに変換する。
【0065】
スライド部77gは、つなぎ目判定部78により、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116のつなぎ目の位置とが重なると判定され、かつ幅判定部79により用紙の主走査方向における幅が、インクジェットユニット11の幅より短いと判定された場合、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数のインクジェットヘッド110〜116のつなぎ目の位置とが重ならないように、画像データを主走査方向にスライドさせる。
【0066】
<インクジェット印刷装置1の作用>
次に、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1の作用について説明する。
【0067】
図4は、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1による処理手順を示したフローチャートである。
【0068】
図4に示すように、制御部75は、印刷が要求されたか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、制御部75は、利用者の操作により操作パネル部6から、印刷処理を要求する操作信号が供給されたか否かを判定する。
【0069】
ステップS101において、印刷が要求されたと判定された場合(YESの場合)、制御部75は、バーコードモードが設定されているか否かを判定する(ステップS102)。具体的には、制御部75は、利用者の操作により操作パネル部6の表示/入力パネル61から、バーコードモードを設定する操作信号が供給されたか否かを判定する。ここで、バーコードモードとは、バーコードを正確に印刷するための印刷モードのことをいう。なお、バーコードモードの設定は、表示/入力パネル61、又はインクジェット印刷装置1に接続されたコンピュータによりプリンタドライバが実行されることにより表示された設定画面から、行われる。
【0070】
ステップS101において、バーコードモードが設定されていないと判定された場合(NOの場合)、制御部75は、印刷するための画像データの中にバーコードがあるか否かを判定する(ステップS103)。
【0071】
ステップS103において、画像データの中にバーコードがないと判定された場合(NOの場合)、制御部75は、通常印刷を実行する(ステップS105)。具体的には、制御部75からの指示に基づき、印刷部4が、画像データに基づいて、インクジェットヘッドにインクを吐出することにより用紙Pに画像を印刷する。
【0072】
一方、ステップS101において、バーコードモードが設定されたと判定された場合(YESの場合)、又はステップS103において、画像データの中にバーコードがあると判定された場合(YESの場合)、制御部75の方向判定部76は、画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向とが略平行であるか否かを判定する(ステップS107)。
【0073】
ステップS107において、画像データに含まれるバーコードの方向と、用紙Pの搬送方向とが略平行であると判定された場合(YESの場合)、変換部77の画像回転部77aは、バーコードの方向と、用紙Pの搬送方向とが略直角になるように、画像データを90°回転する(ステップS109)。
【0074】
図5は、変換部77の画像回転部77aによる画像データの回転を説明した図である。
【0075】
図5に示すように、画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送方向とが略平行である画像データ301を、時計回りに90°回転させてバーコードの方向と用紙Pの搬送方向とが略直角になるような画像データ302を生成すると共に、反時計回りに90°回転させてバーコードの方向と用紙Pの搬送方向とが略直角になるような画像データ303を生成する。
【0076】
これにより、図5のバーコード302aの拡大図に示すように、インクジェットヘッドのノズルが不吐出であった場合においても、バーコードの方向と略直角の方向に沿って白線302bが形成されるので、とぎれによって1本のバーが2本のバーに分断されることなく、読み取り可能なバーコードを印刷することができる。
【0077】
図4に戻り、ステップS109において画像データが90°回転されると、変換部77のつなぎ目判定部78は、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定する(ステップS110)。
【0078】
ステップS110において、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合(YESの場合)、変換部77の幅判定部79は、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、インクジェットユニット11の幅Ljより短いか否かを判定する(ステップS111)。上述したように、インクジェットユニット11の幅Ljは、A4縦の長さである297(mm)にクリアランスα(mm)を加えた297+α(mm)であるので、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、297(mm)である場合、略同一であると判定し、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、297(mm)未満である場合、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、インクジェットユニット11の幅Ljより短いと判定する。例えば、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、A5横の長さである148(mm)である場合、インクジェットユニット11の幅Ljより短いと判定する。
【0079】
ステップS111において、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、インクジェットユニット11の幅Ljより短いと判定された場合(YESの場合)、変換部77のスライド部77gは、画像データをスライドさせる(ステップS113)。具体的には、スライド部77gは、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないように、画像データを主走査方向にスライドさせる。これにより、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないので、重なり部分において発生しやすい「にじみ」の発生を低減することができる。
【0080】
一方、ステップS111において、用紙Pの主走査方向における幅Lpが、インクジェットユニット11の幅Ljと略同一と判定された場合(NOの場合)、画像方向決定部77cは、つなぎ目のない領域が大きくなるように、画像データの方向を決定する(ステップS115)。具体的には、画像方向決定部77cは、図5に示した画像データ302及び画像データ303のうち、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目のない領域が大きくなるいずれか一方の画像データを選択する。これにより、バーコードは、つなぎ目のない領域が大きく印刷されるので、読み取りが容易なバーコードを印刷することができる。
【0081】
次に、変換部77のインク色変換部77eは、インク色の変換処理を行う(ステップS117)。例えば、バーコードを黒色で印刷する場合、バーコードを印刷するインクのインク色がコンポジットK、即ち、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の組合せで、バーコードを印刷する場合、インク色変換部77eは、バーコードを印刷するインクのインク色を単色であるブラック(K)に変換する。これにより、1画素当たりのインクの吐出量を低減することができるので、にじみを低減することができる。
【0082】
また、バーコードを印刷するインクのインク色が、例えばマゼンダ(M)等の暖色である場合に、インク色変換部77eは、シアン(C)やブラック(K)等の寒色のインクに変換する。印刷されたバーコードを読み取るバーコードリーダーは、一般的に、発光源として赤色LEDが採用され、赤色LEDから発光されたLED光の反射光を測定することによりパーコードを読み取る。そのため、暖色のインクを寒色のインクに変換することにより、バーコードリーダーによる読み取りが容易なバーコードを印刷することができる。
【0083】
次に、変換部77の濃度設定部77cは、用紙の種類を判定する(ステップS119)。具体的には、濃度設定部77cは、利用者の操作により操作パネル部6の表示/入力パネル61から、設定された用紙種類に基づいて、印刷する用紙Pの種類を判定する。
【0084】
ステップS119における判定の結果、用紙種類が、「一般普通紙」(例えば、理想科学工業株式会社製理想用紙薄口)である場合、バーコードを描画するためのインクジェットヘッドのドロップ数を、2ドロップさげて設定する(ステップS121)。例えば、5ドロップを3ドロップとして設定する。
【0085】
また、ステップS119における判定の結果、用紙種類が、「IJ(インクジェット)用マット紙」である場合、バーコードを描画するためのインクジェットヘッドのドロップ数を1ドロップ下げて設定する(ステップS123)。
【0086】
さらに、ステップS119における判定の結果、用紙種類が、「IJ(インクジェット)用はがき」である場合、バーコードを描画するためのインクジェットヘッドのドロップ数を、ステップS123と同様に、1ドロップ下げて設定する(ステップS125)。
【0087】
次に、制御部75は、各種設定に基づいて、印刷を実行する(ステップS127)。
【0088】
このように、ステップS119〜S125において、濃度設定部77cは、用紙Pの種類に応じて、バーコードの濃度を設定するので、用紙Pに印刷されたバーコードがにじみ、規定のバー幅と異なるバーコードとして印刷することを防止することができる。
【0089】
図6(a)は、用紙種類が「一般普通紙」である場合において3ドロップに設定されて印刷されたバーコードの一例を示した図であり、図6(b)は、図6(a)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図である。なお、図6(b)の縦軸は、濃度が濃い程、低くなるように示している。
【0090】
図6(a)、(b)に示すように、バーコードを描画するためのインクジェットヘッドのドロップ数が3ドロップに設定されているので、にじみが少なく良好なバーコードの画像を得ることができる。
【0091】
図6(c)は、比較のため、用紙種類が「一般普通紙」である場合において5ドロップに設定されて印刷されたバーコードの一例を示した図であり、図6(d)は、図6(c)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図である。なお、図6(c)の縦軸は、図6(b)と同様に、濃度が濃い程、低くなるように示している。
【0092】
図6(c)、(d)に示すように、バーコードを描画するためのインクジェットヘッドのドロップ数が5ドロップに設定されているので、コントラストは高なる一方、にじみが多く、規定のバー幅と異なるバーコードとして印刷される可能性がある。
【0093】
以上のように、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1によれば、方向判定部76により、印刷するための画像データに含まれるバーコードの方向と、搬送路面上を搬送される用紙Pの搬送方向とが略平行であると判定された場合、読み取り可能なバーコードが印刷されるように、画像データの位置及び画質のうち少なくともいずれか一方を変換するので、バーコードのにじみやとぎれを低減することができる。
【0094】
なお、本発明の実施例1では、特定画像としてバーコードを例に挙げて説明したが、バーコードに限らず、数値や文字等の情報を示す方向性のあるコードであればよい。
【0095】
なお、本発明の実施例1では、インクジェットヘッド110〜116のノズルからインクを吐出する際、各ノズルと対応して設けられた各ピエゾ素子に吐出電圧を印加して振動板を変位させてインク溜室内のインクをノズルから吐出させるピエゾ方式を採用したが、これに限らない。例えば、静電ギャップに吐出電圧を印加して振動板を変位させてインク溜室内のインクをノズルから吐出させる静電方式や、インク溜室内の微小ヒータでインクを加熱して膜沸騰状態となって生じた気泡による圧力変化でインクをノズルから吐出させる膜沸騰インクジェット方式などを適用してもよい。
【実施例2】
【0096】
本発明の実施例2では、画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットを備え、ドットゲイン特性を補正することによりインクジェットユニット間のインクの吐出量を調整して、インクを用紙に向けて吐出することにより、画像や文字などを印刷するインクジェット印刷装置1を例に挙げて説明する。
【0097】
<インクジェット印刷装置1の構成>
本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1のハードウェア構成は、図1に示した本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1のハードウェア構成と同一であるので、説明を省略する。
【0098】
<インクジェット印刷装置1の機能構成>
図7は、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1の機能構成を示す機能構成図である。
【0099】
図7に示すようにインクジェット印刷装置1は、画像読取部2と、給紙部3と、印刷部4と、排紙部5と、操作パネル部6と、制御ユニット7とを備えている。このうち、画像読取部2と、給紙部3と、印刷部4と、排紙部5と、操作パネル部6については、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1が備えるそれぞれ同一符号が付された構成と同一であるので、説明を省略する。
【0100】
制御ユニット7は、RAM71と、ROM72と、制御部75とを備えている。このうち、RAM71と、ROM72とは、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1が備えるそれぞれ同一符号が付された構成と同一であるので、説明を省略する。
【0101】
制御部75は、その機能上、つなぎ目判定部78と、ドットゲイン算出部80と、ドットゲイン特性算出部82と、変換部81とを備える。
【0102】
つなぎ目判定部78は、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116のつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定する。
【0103】
ドットゲイン算出部80は、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116それぞれの間の濃度差を評価するための濃度評価画像が原稿から読み取られた場合に、読み取られた濃度評価画像に基づいて、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116毎に印刷された画像のにじみ度合いを示すドットゲインを算出する。
【0104】
ドットゲイン特性算出部82は、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116毎に、画像データに含まれる濃度評価画像の濃度に対する読み取られた濃度評価画像の濃度を示すドットゲイン特性を算出する。
【0105】
変換部81は、つなぎ目判定部78により、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116のつなぎ目の位置とが重なると判定された場合、つなぎ目判定部78によりバーコードが用紙Pに印刷される位置につなぎ目が重なったと判定されたインクジェットヘッド110〜116のうち、ドットゲイン算出部80により算出されたドットゲインが最小となるインクジェットヘッドを選択し、選択されなかった他のインクジェットヘッドに対応するドットゲイン特性を選択されたインクジェットヘッド110〜116に対応するドットゲイン特性に変換する。
【0106】
<インクジェット印刷装置1の作用>
次に、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1の作用について説明する。
【0107】
本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1は、主にドットゲイン調整処理と、印刷処理を行う。そのため、各々の処理について以下に詳細に説明する。
【0108】
≪ドットゲイン調整処理≫
本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1におけるドットゲイン調整処理の詳細について説明する。
【0109】
図8は、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1によるドットゲイン調整処理の処理手順を示したフローチャートである。以下、インクジェットユニット11に備えられたインクジェットヘッド110を例に挙げて説明するが、その他インクジェットヘッド112,114,116についても同様である。
【0110】
図8に示すように、制御部75は、ドットゲイン調整が要求されたか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、制御部75は、利用者の操作により操作パネル部6から、ドットゲイン調整を要求する操作信号が供給されたか否かを判定する。例えば、利用者が、ドットゲイン調整するためのモードであるにじみ調整モードを選択する操作を行った場合、制御部75は、ドットゲイン調整を要求する操作信号が供給されたと判定する。
【0111】
ステップS201において、ドットゲイン調整が要求されたと判定された場合(YESの場合)、制御部75のドットゲイン算出部80は、画像読取部2により、原稿から濃度評価画像が読み取られた否かを判定する(ステップS203)。ここで、濃度評価画像とは、原稿の上下に複数配置されたインクジェットヘッド間の濃度差を評価するための画像であり、詳細は後述する。
【0112】
次に、ドットゲイン算出部80は、平均ドットゲインを算出する(ステップS205)。具体的には、ドットゲイン算出部80は、画像読取部2により読み取られた濃度評価画像に基づいて、インクジェットヘッド毎に印刷された画像のにじみ度合いを示すドットゲインを算出する。
【0113】
図9は、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1が備えるドットゲイン算出部80によるドットゲインの算出を説明した図である。
【0114】
図9に示すように、印刷された用紙Pの上下には、インクジェットヘッド毎に、濃度評価画像500が印刷されており、図9の拡大図Aに示すように、濃度評価画像500は、左から右に向かって濃度が徐々に濃くなるように印刷されたグラデーション画像と、このグラデーション画像の左右の両端付近に対応して2ドット幅のバー502,504と、4ドット幅のバー503,505とが印刷されている。
【0115】
そこで、ドットゲイン算出部80は、印刷された2ドット幅のバー502,504と、4ドット幅のバー503,505とに基づいて、ドットゲインを算出する。具体的には、ドットゲイン算出部80は、図9の拡大図Bに示すように、4ドット幅のバー503について、画像データにおける線幅Rと、読み込まれた用紙Pにおける線幅Sとの差をドットゲインDGとして算出する。
【0116】
次に、ドットゲイン算出部80は、インクジェットヘッド毎に、ドットゲインDGの平均である平均ドットゲインDGAVEを算出する。具体的には、ドットゲイン算出部80は、同一のインクジェットヘッドにおける上下2カ所に印刷された2ドット幅のバー502,504と、4ドット幅のバー503,505の合計8つのバーについてそれぞれのドットゲインDGを算出し、その平均値である平均ドットゲインDGAVEを算出する。
【0117】
また、ドットゲイン算出部80は、他のインクジェットヘッド110a〜110eについても、同様に、平均ドットゲインDGAVEを算出する。
【0118】
図8に戻り、ドットゲイン特性算出部82は、平均ドットゲイン特性を算出する(ステップS207)。具体的には、ドットゲイン特性算出部82は、濃度評価画像500に含まれるグラデーション画像501に基づいて、画像データにおけるグラデーション画像の濃度と、読み込まれた用紙Pにおけるグラデーション画像の濃度との関係をドットゲイン特性として算出する。
【0119】
次に、ドットゲイン特性算出部82は、インクジェットヘッド毎に、ドットゲイン特性DPの平均である平均ドットゲイン特性DPAVEを算出する。具体的には、ドットゲイン特性算出部82は、同一のインクジェットヘッドにおける上下2カ所に印刷された2つのグラデーション画像についてそれぞれのドットゲイン特性DPを算出し、その平均値である平均ドットゲイン特性DPAVEを算出する。
【0120】
また、ドットゲイン特性算出部82は、他のインクジェットヘッド110a〜110eについても、同様に、平均ドットゲイン特性DPAVEを算出する。
【0121】
次に、ドットゲイン特性算出部82は、平均ドットゲインと平均ドットゲイン特性とを関連付けて記憶する(ステップS209)。具体的には、ドットゲイン特性算出部82は、ステップS205において算出された平均ドットゲインDGAVEと、平均ドットゲイン特性DPAVEとを、インクジェットヘッド毎に関連付けて、RAM71に記憶させる。
【0122】
なお、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1では、インクジェットヘッド毎に、濃度評価画像500に含まれる複数のグラデーション画像と、複数のバーに基づいて、それぞれ平均ドットゲインDGAVEと、平均ドットゲイン特性DPAVEとを算出したが、これに限らず、インクジェットヘッド毎に、濃度評価画像500に含まれる1つのグラデーション画像と、1つのバーに基づいて、それぞれドットゲインDGと、ドットゲイン特性DPとを算出するようにしてもよい。
【0123】
≪印刷処理≫
本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1における印刷処理の詳細について説明する。
【0124】
図10は、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1による印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。以下、インクジェットユニット11に備えられたインクジェットヘッド110を例に挙げて説明するが、その他インクジェットヘッド112,114,116についても同様である。
【0125】
図10に示すように、制御部75は、印刷が要求されたか否かを判定する(ステップS301)。具体的には、制御部75は、利用者の操作により操作パネル部6から、印刷処理を要求する操作信号が供給されたか否かを判定する。
【0126】
ステップS301において、印刷が要求されたと判定された場合(YESの場合)、制御部75のつなぎ目判定部78は、主走査方向における、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定する(ステップS303)。
【0127】
ステップS303において、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないと判定された場合(NOの場合)、制御部75は、該当のインクジェットヘッドを用いて通常印刷を実行する(ステップS305)。具体的には、制御部75からの指示に基づき、印刷部4が、画像データに基づいて、該当するインクジェットヘッドにインクを吐出することにより用紙Pに画像を印刷する。
【0128】
一方、ステップS303において、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合(YESの場合)、制御部75の変換部81は、跨ったインクジェットヘッド、即ちつなぎ目の位置が重なるインクジェットヘッドの数をCに代入し、カウンタiの値に“1”を代入する(ステップS307)。
【0129】
次に、変換部81は、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEが、最も小さいか否かを判定する(ステップS309)。具体的には、変換部81は、RAM71から跨ったインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲインDGAVEを読み出し、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEが、読み出した平均ドットゲインDGAVEの中で最も小さいか否かを判定する。
【0130】
ステップS309において、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEが、最も小さいと判定された場合(YESの場合)、変換部81は、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲイン特性DPAVEを適用する(ステップS311)。具体的には、変換部81は、RAM71から第i番目のインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性DPAVEを読み出し、適用する。
【0131】
一方、ステップS309において、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEが、最も小さくないと判定された場合(NOの場合)、変換部81は、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲイン特性DPAVEの逆補正特性を適用する(ステップS317)。詳細は後述する。
【0132】
次に、変換部81は、平均ドットゲインDGAVEが、最も小さいインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性DPAVEを、ステップS317において逆補正特性が適用された第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲイン特性DPAVEに適用する(ステップS319)。
【0133】
図11は、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1が備える変換部81によるステップS317における逆補正特性の適用、及びステップS319における最も小さいインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性DPAVEの適用を説明した図である。
【0134】
図11(a)は、RAM71に記憶されたインクジェットヘッド毎の平均ドットゲイン特性DPAVEを示しており、図11(b)は、インクジェットヘッド110aの平均ドットゲイン特性DPAVEに対する逆補正特性の適用を説明した図であり、図11(c)は、逆補正特性が適用されたインクジェットヘッドの平均ドットゲイン特性DPAVEに対する最も小さいインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性DPAVEの適用を示した図であり、図11(d)は、逆補正特性及び最も小さいインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲイン特性DPAVEが適用されたインクジェットヘッド毎の平均ドットゲイン特性DPAVEを示している。
【0135】
図11(a)に示すように、RAM71には、インクジェットヘッド110a〜110fに対応する平均ドットゲイン特性DPAVEとして、610a〜610fが記憶されている。なお、平均ドットゲイン特性DPAVEを示した610a〜610fは、x軸に、入力濃度(画像データにおけるグラデーション画像の濃度)を示し、y軸に、出力濃度(読み込まれた用紙Pにおけるグラデーション画像の濃度)を示している。
【0136】
以下、印刷されるバーコードがインクジェットヘッド110a〜110bに跨り、インクジェットヘッド110a〜110bに対応する平均ドットゲインDGAVEの中で、インクジェットヘッド110bに対応する平均ドットゲインDGAVEが最も小さい場合を例に挙げて説明する。
【0137】
インクジェットヘッド110aの平均ドットゲイン610aは最も小さくないので、図11(b)に示すように、変換部81は、インクジェットヘッド110aの平均ドットゲイン特性610aに、平均ドットゲイン特性610aのx−y軸を変換した逆補正特性611を適用する。これにより、変換部81は、入力濃度(x軸)と出力濃度(y軸)とがリニアな関係となる特性612を得る。
【0138】
次に、図11(c)に示すように、変換部81は、逆補正特性611が適用された特性612に、平均ドットゲインDGAVEが最も小さいインクジェットヘッド110bに対応する平均ドットゲイン特性610bを適用する。これにより、インクジェットヘッド110bと同一の平均ドットゲイン特性である平均ドットゲイン特性610bを得る。
【0139】
そして、図11(d)に示すように、変換部81は、平均ドットゲイン特性610aにおいて、逆補正特性及び平均ドットゲインDGAVEが最も小さいインクジェットヘッド110bに対応する平均ドットゲイン特性610bが適用されたインクジェットヘッド毎の平均ドットゲイン特性DPAVEを得る。
【0140】
これにより、バーコードを印刷するインクジェットヘッド110の平均ドットゲイン特性DPAVEが同一となり、インクジェットヘッド110間によるインクの吐出量の誤差を低減できるので、バーコードのにじみを低減することができる。
【0141】
図10に戻り、変換部81は、カウンタiの値に“1”だけ加算する(ステップS313)。
【0142】
次に、変換部81は、カウンタiの値が跨ったインクジェットヘッドの数C以上か否かを判定する(ステップS315)。
【0143】
ステップS315において、カウンタiの値が跨ったインクジェットヘッドの数C以上であると判定された場合、制御部75は、平均ドットゲインDGAVEに基づいて印刷を実行する(ステップS321)。
【0144】
図12(a)は、インクジェットヘッド110aにおいて、逆補正特性及びインクジェットヘッド110bに対応する平均ドットゲイン特性610bが適用された場合におけるインクジェットヘッド110a,110bにより印刷されたバーコードの一例を示した図であり、図12(b)は、図12(a)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図である。なお、図12(b)の縦軸は、濃度が濃い程、低くなるように示している。
【0145】
図12(a),(b)に示すように、インクジェットヘッド110a,110bにより印刷されたバーコードは、両方共に、にじみが少なく良好なバーコードの画像を得ることができる。
【0146】
図12(c)は、比較のため、従来技術におけるインクジェットヘッド110a,110bにより印刷されたバーコードの一例を示した図であり、図12(d)は、図12(c)に示した印刷されたバーコードの濃度を示した図である。なお、図12(d)の縦軸は、濃度が濃い程、低くなるように示している。
【0147】
図12(c),(d)に示すように、インクジェットヘッド110aによりインクが吐出されて印刷されたバーコードは、コントラストは高なる一方、にじみが多く、規定のバー幅と異なるバーコードとして印刷される可能性がある。
【0148】
以上のように、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1によれば、つなぎ目判定部78により、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合、つなぎ目判定部78によりバーコードが用紙Pに印刷される位置につなぎ目が重なったと判定されたインクジェットヘッドのうち、ドットゲイン算出部80により算出されたドットゲインが最小となるインクジェットヘッド110を選択し、選択されなかった他のインクジェットヘッド110に対応するドットゲイン特性を選択されたインクジェットヘッド110に対応するドットゲイン特性に変換するので、インクジェットヘッド110間によるインクの吐出量の誤差を低減しつつ、バーコードのにじみを低減することができる。
【実施例3】
【0149】
本発明の実施例3では、画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットを備え、プロファイルを用いてインクジェットユニット間のインクの吐出量を調整してインクを用紙に向けて吐出することにより、画像や文字などを印刷するインクジェット印刷装置1を例に挙げて説明する。
【0150】
<インクジェット印刷装置1の構成>
本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1のハードウェア構成は、図1に示した本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置1のハードウェア構成と同一であるので、説明を省略する。
【0151】
<インクジェット印刷装置1の機能構成>
本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1の機能構成は、図7に示した本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1の機能構成と同様であり、画像読取部2と、給紙部3と、印刷部4と、排紙部5と、操作パネル部6と、制御ユニット7とを備えている。このうち、制御ユニット7が備えるRAM71と、制御部75の変換部81とがその機能上、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1が備えるRAM71と、変換部81とそれぞれ異なるので、この本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1が備えるRAM71と、変換部81とについて説明する。
【0152】
RAM71は、揮発性半導体等で構成され、制御部75が各種処理を実行する上で必要なデータ等を記憶する。また、RAM71は、ドットゲインと、画像データを印刷可能なデータ形式に変換するためのプロファイルとを、ドットゲインが大きい程、用紙Pに印刷される特定画像の濃度が薄くなるようにプロファイルを関連づけてプロファイル情報として記憶する。
【0153】
図13は、RAM71に記憶されたプロファイル情報の一例を示した図である。図13(a)は、ドットゲインとプロファイルとが関連付けられたプロファイル情報の一例を示しており、図13(b)は、プロファイルの一例を示した図である。
【0154】
図13(a)に示すように、ドットゲイン701が大きい程、用紙Pに印刷される特定画像の濃度が薄くなるようにプロファイル702が関連付けられてプロファイル情報として記憶されている。
【0155】
変換部81は、RAM71に記憶されたプロファイル情報に基づいて、複数配置されたインクジェットヘッド110〜116毎に算出されたドットゲインに対応するプロファイルを決定する。
【0156】
<インクジェット印刷装置1の作用>
次に、本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1の作用について説明する。本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1は、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1と同様に、主にドットゲイン調整処理と、印刷処理を行う。このうち、ドットゲイン調整処理については、本発明の実施例2であるインクジェット印刷装置1によるドットゲイン調整処理と同一処理であるので、説明を省略する。
【0157】
≪印刷処理≫
本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1における印刷処理の詳細について説明する。
【0158】
図14は、本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1による印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。以下、インクジェットユニット11に備えられたインクジェットヘッド110を例に挙げて説明するが、その他インクジェットヘッド112,114,116についても同様である。なお、図14に示したフローチャートの各ステップのうち、図10に示したフローチャートにおける同一ステップ番号が付されたステップの処理は同一であるので、説明を省略する。
【0159】
図14に示すように、ステップS303において、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないと判定された場合(NOの場合)、制御部75は、標準プロファイルであるプロファイルNO.3を用いて通常印刷を実行する(ステップS401)。
【0160】
また、ステップS309において、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEが、最も小さいと判定された場合(YESの場合)、変換部81は、RAM71から標準プロファイルであるプロファイルNO.3を読み出し、第i番目のインクジェットヘッドにプロファイルNO.3を適用する(ステップS403)。
【0161】
一方、ステップS309において、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEが、最も小さくないと判定された場合(NOの場合)、変換部81は、RAM71から第i番目のインクジェットヘッドに適用するプロファイルを読み出し、適用する(ステップS405)。具体的には、変換部81は、RAM71から第i番目のインクジェットヘッドに対応する平均ドットゲインDGAVEを読み出し、RAM71に記憶されたプロファイル情報に基づいて、第i番目のインクジェットヘッドの平均ドットゲインDGAVEに対応するプロファイルを抽出して、適用する。
【0162】
また、ステップS315において、カウンタiの値が跨ったインクジェットヘッドの数C以上であると判定された場合、制御部75は、適用されたプロファイル基づいて印刷を実行する(ステップS407)。
【0163】
以上のように、本発明の実施例3であるインクジェット印刷装置1によれば、つなぎ目判定部78により、バーコードが用紙Pに印刷される位置と、複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合、RAM71に記憶されたプロファイル情報に基づいて、複数配置されたインクジェットヘッド110毎に算出された平均ドットゲインDGAVEに対応するプロファイルを決定して印刷するので、インクジェットヘッド110間によるインクの吐出量の誤差を低減しつつ、バーコードのにじみを低減することができる。
【符号の説明】
【0164】
1…インクジェット印刷装置
2…画像読取部
3…給紙部
4…印刷部
5…排紙部
6…操作パネル部
7…制御ユニット
11…インクジェットユニット
61…表示/入力パネル
71…RAM
72…ROM
75…制御部
76…方向判定部
77,81…変換部
77a…画像回転部
77b…画像方向決定部
77c…濃度設定部
77e…インク色変換部
77g…スライド部
78…つなぎ目判定部
79…幅判定部
80…ドットゲイン算出部
82…ドットゲイン特性算出部
110…インクジェットヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷するための画像データに含まれる特定画像の方向と、搬送路面上を搬送される印刷媒体の搬送方向とが略平行であるか否かを判定する方向判定手段と、
前記方向判定手段により略平行であると判定された場合、前記画像データの位置及び画質のうち少なくともいずれか一方を変換する変換手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記変換手段は、
前記方向判定手段により略平行であると判定された場合、前記特定画像の方向と、印刷媒体の搬送方向とが略直角になるように、前記画像データを回転する画像回転手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットと、
前記主走査方向における、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定するつなぎ目判定手段と、を更に備え、
前記変換手段は、
前記つなぎ目判定手段により、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合に、前記つなぎ目のない領域が大きくなるように、前記画像データの方向を決定する画像方向決定手段、を有する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
前記変換手段は、
前記印刷媒体の種類に応じて、前記特定画像の濃度を設定する濃度設定手段を、有する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項5】
前記変換手段は、
前記特定画像を黒色で印刷する場合において、前記特定画像を印刷するインクのインク色が複数のインク色の組合せであるときに、前記特定画像を印刷するインクのインク色を黒色のインクに変換するインク色変換手段、を有する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項6】
前記変換手段は、
前記特定画像を印刷するインクのインク色が暖色である場合に、寒色のインクに変換するインク色変換手段、を有する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項7】
前記画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットと、
前記主走査方向における、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定するつなぎ目判定手段と、
前記印刷媒体の主走査方向における幅が、前記インクジェットユニットの幅より短いか否かを判定する幅判定手段と、を更に備え、
前記変換手段は、
前記つなぎ目判定手段により、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定され、かつ前記幅判定手段により前記印刷媒体の主走査方向における幅が、前記インクジェットユニットの幅より短いと判定された場合、前記主走査方向における、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないように、前記画像データを前記主走査方向にスライドさせるスライド手段、を有する
ことを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項8】
画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットと、
前記主走査方向における、前記画像データに含まれる特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定するつなぎ目判定手段と、
前記複数配置されたインクジェットヘッド間の濃度差を評価するための濃度評価画像が前記印刷媒体から読み取られた場合に、前記読み取られた濃度評価画像に基づいて、前記複数配置されたインクジェットヘッド毎に印刷された画像のにじみ度合いを示すドットゲインを算出するドットゲイン算出手段と、
前記つなぎ目判定手段により、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合、前記ドットゲイン算出手段により算出されたドットゲインに基づいて、前記画像データの位置又は画質を変換する変換手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
前記複数配置されたインクジェットヘッド毎に、前記画像データに含まれる濃度評価画像の濃度に対する前記読み取られた濃度評価画像の濃度を示すドットゲイン特性を算出するドットゲイン特性算出手段と、を更に備え、
前記変換手段は、
前記つなぎ目判定手段により前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置につなぎ目が重なったと判定された前記インクジェットヘッドのうち、前記ドットゲイン算出手段により算出されたドットゲインが最小となるインクジェットヘッドを選択し、選択されなかった他のインクジェットヘッドに対応する前記ドットゲイン特性を前記選択されたインクジェットヘッドに対応する前記ドットゲイン特性に変換する
ことを特徴とする請求項8記載の印刷装置。
【請求項10】
前記ドットゲインと、前記画像データを印刷可能なデータ形式に変換するためのプロファイルとを、前記ドットゲインが大きい程、前記印刷媒体に印刷される特定画像の濃度が薄くなるように前記プロファイルを関連づけてプロファイル情報として記憶するプロファイル情報記憶手段、を更に備え、
前記変換手段は、
前記プロファイル情報記憶手段に記憶されたプロファイル情報に基づいて、前記複数配置されたインクジェットヘッド毎に算出されたドットゲインに対応する前記プロファイルを決定する
ことを特徴とする請求項8記載の印刷装置
【請求項1】
印刷するための画像データに含まれる特定画像の方向と、搬送路面上を搬送される印刷媒体の搬送方向とが略平行であるか否かを判定する方向判定手段と、
前記方向判定手段により略平行であると判定された場合、前記画像データの位置及び画質のうち少なくともいずれか一方を変換する変換手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記変換手段は、
前記方向判定手段により略平行であると判定された場合、前記特定画像の方向と、印刷媒体の搬送方向とが略直角になるように、前記画像データを回転する画像回転手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットと、
前記主走査方向における、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定するつなぎ目判定手段と、を更に備え、
前記変換手段は、
前記つなぎ目判定手段により、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合に、前記つなぎ目のない領域が大きくなるように、前記画像データの方向を決定する画像方向決定手段、を有する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
前記変換手段は、
前記印刷媒体の種類に応じて、前記特定画像の濃度を設定する濃度設定手段を、有する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項5】
前記変換手段は、
前記特定画像を黒色で印刷する場合において、前記特定画像を印刷するインクのインク色が複数のインク色の組合せであるときに、前記特定画像を印刷するインクのインク色を黒色のインクに変換するインク色変換手段、を有する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項6】
前記変換手段は、
前記特定画像を印刷するインクのインク色が暖色である場合に、寒色のインクに変換するインク色変換手段、を有する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項7】
前記画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットと、
前記主走査方向における、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定するつなぎ目判定手段と、
前記印刷媒体の主走査方向における幅が、前記インクジェットユニットの幅より短いか否かを判定する幅判定手段と、を更に備え、
前記変換手段は、
前記つなぎ目判定手段により、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定され、かつ前記幅判定手段により前記印刷媒体の主走査方向における幅が、前記インクジェットユニットの幅より短いと判定された場合、前記主走査方向における、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、複数のインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重ならないように、前記画像データを前記主走査方向にスライドさせるスライド手段、を有する
ことを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項8】
画像データに基づいてインクを吐出するインクジェットヘッドを、主走査方向に複数配置したインクジェットユニットと、
前記主走査方向における、前記画像データに含まれる特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なるか否かを判定するつなぎ目判定手段と、
前記複数配置されたインクジェットヘッド間の濃度差を評価するための濃度評価画像が前記印刷媒体から読み取られた場合に、前記読み取られた濃度評価画像に基づいて、前記複数配置されたインクジェットヘッド毎に印刷された画像のにじみ度合いを示すドットゲインを算出するドットゲイン算出手段と、
前記つなぎ目判定手段により、前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置と、前記複数配置されたインクジェットヘッドのつなぎ目の位置とが重なると判定された場合、前記ドットゲイン算出手段により算出されたドットゲインに基づいて、前記画像データの位置又は画質を変換する変換手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
前記複数配置されたインクジェットヘッド毎に、前記画像データに含まれる濃度評価画像の濃度に対する前記読み取られた濃度評価画像の濃度を示すドットゲイン特性を算出するドットゲイン特性算出手段と、を更に備え、
前記変換手段は、
前記つなぎ目判定手段により前記特定画像が前記印刷媒体に印刷される位置につなぎ目が重なったと判定された前記インクジェットヘッドのうち、前記ドットゲイン算出手段により算出されたドットゲインが最小となるインクジェットヘッドを選択し、選択されなかった他のインクジェットヘッドに対応する前記ドットゲイン特性を前記選択されたインクジェットヘッドに対応する前記ドットゲイン特性に変換する
ことを特徴とする請求項8記載の印刷装置。
【請求項10】
前記ドットゲインと、前記画像データを印刷可能なデータ形式に変換するためのプロファイルとを、前記ドットゲインが大きい程、前記印刷媒体に印刷される特定画像の濃度が薄くなるように前記プロファイルを関連づけてプロファイル情報として記憶するプロファイル情報記憶手段、を更に備え、
前記変換手段は、
前記プロファイル情報記憶手段に記憶されたプロファイル情報に基づいて、前記複数配置されたインクジェットヘッド毎に算出されたドットゲインに対応する前記プロファイルを決定する
ことを特徴とする請求項8記載の印刷装置
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−115999(P2011−115999A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274269(P2009−274269)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
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