説明

印字装置、表示方法、表示制御プログラム

【課題】 言語に応じて文字情報を所定の方向にスクロール表示させるとともに、多言語の文字列を同時に印刷して印字物を作成する印字装置を提供する。
【解決手段】 印字装置は、各行言語格納手段と、文字列データ格納手段と、表示手段と、画面位置検出手段と、前記文字列のデータを前記表示手段に所定方向でスクロール表示させる表示制御手段と、印字データ生成手段と、印字手段と、を備え、前記表示手段に前記複数行の各文字列のデータを表示中に前記表示手段の画面をタッチされたときに、前記画面位置検出手段で検出された選択された画面位置から文字列の行を検出し、検出された行から前記各行言語格納手段により言語を検出し、検出された前記言語の読む方向に基づいて、前記表示制御手段が前記文字列のデータをスクロール表示させる方向制御手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、言語に応じて文字情報を表示させるとともに、多言語の文字列を同時に印刷して印字物を作成する印字装置と、該印字装置において言語に応じて文字情報を表示させる表示方法と、この印字装置に言語に応じて文字情報を表示させる表示方法を実現させるための表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テープ部材を収納したテープカセットを装置内にセットし、そのテープ部材の印字テープに対して、キーボード等の入力手段から入力された或いは他の機器から出力された文字等を任意に印字することで、固有のラベルを作成できる装置として印字装置がある。
【0003】
このような印字装置で作成されたラベルの用途が拡大されてきている。その結果、印字装置には、ラベルの用途などを考慮した、他の印字装置には存在しない印字種類や、印字時の処理なども種々採用されている。
【0004】
例えば、鉄道や観光名所などの多くの者が往来する公共的な場所において、トイレや非常口などを案内するために、案内表示を印刷したラベルが用いられるようになってきた。そこで、公共的な場所に用いられるラベルを作成するにあたって、外国人にも表記の内容を認識できるように外国語を併記することができる印字装置が提案されている。
【0005】
但し、ラベル作成にあたって、ラベル作成装置の液晶パネルでは表示範囲が狭いことが多く、作成ラベルの表示文字を左右にスクロールさせて全文を確認する必要があった。また、多言語のラベルには、左から右に読む日本語、英語等により作成される場合や、右から左に読むアラビア語等により作成される場合があり、さらに両者が混在する場合もある。
【0006】
そこで、特許文献1には、文字列の記述方向が異なる複数の言語に応じて、文字列やアイコンなどの画面レイアウトを適正に行うことを可能にした情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−40351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1の情報処理装置は、文字列の記述方向が異なる複数の言語に応じて、文字列やアイコンなどの画面レイアウトを自動で適正とするが、言語に応じて長文文字列を所定の方向にスクロール表示させて、全文を簡単に確認できるものではなかった。
【0009】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、言語に応じて文字情報を所定の方向にスクロール表示させるとともに、多言語の文字列を同時に印刷して印字物を作成する印字装置と、該印字装置において言語に応じて文字情報を所定の方向にスクロール表示させる表示方法と、言語に応じて文字情報を所定の方向にスクロール表示させる表示方法を印字装置に実現させるための表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る印字装置は、被印字媒体に行単位で言語が設定される文字列からなる複数行の文字列を印字した印字物を作成する印字装置であって、前記行単位で設定された言語を格納する各行言語格納手段と、前記複数行の各文字列のデータを格納する文字列データ格納手段と、前記複数行の各文字列のデータを表示させる表示手段と、前記表示手段の画面のタッチにより入力されて選択された画面位置を検出する画面位置検出手段と、前記文字列のデータを前記表示手段に所定方向でスクロール表示させる表示制御手段と、前記文字列データ格納手段によって格納された文字列のデータに基づいて複数行に文字列を配置した印字パターンデータを生成する印字データ生成手段と、前記印字データ生成手段によって生成された印字パターンデータに基づいて前記被印字媒体に複数行の各文字列を印字する印字手段と、を備え、前記表示手段に前記複数行の各文字列のデータを表示中に前記表示手段の画面をタッチされたときに、前記画面位置検出手段で検出された選択された画面位置から文字列の行を検出し、検出された行から前記各行言語格納手段により言語を検出し、検出された前記言語の読む方向に基づいて、前記表示制御手段が前記文字列のデータをスクロール表示させる方向制御手段を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る印字装置は、前記画面位置検出手段としてタッチパネルを備えることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明に係る印字装置は、前記表示制御手段が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に前記表示手段に表示されている複数行の全ての文字列のデータをスクロール表示させることがある。
【0013】
そして、本発明に係る印字装置は、前記表示制御手段が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に、検出された言語の文字列のデータのみをスクロール表示させることがある。
【0014】
本発明に係る印字装置の表示方法は、被印字媒体に行単位で言語が設定される文字列からなる複数行の文字列を印字した印字物を作成する印字装置を用いて、前記複数行の文字列を表示手段に表示させる表示方法であって、前記行単位で設定された言語を格納する各行言語格納処理と、前記複数行の各文字列のデータを格納する文字列データ格納処理と、前記複数行の各文字列のデータを前記表示手段に表示させる表示処理と、前記表示手段の画面のタッチにより入力されて選択された画面位置を検出する画面位置検出処理と、前記文字列のデータを前記表示手段に所定方向にスクロール表示させる表示制御処理と、前記文字列データ格納処理によって格納された文字列のデータに基づいて複数行に文字列を配置した印字パターンデータを生成する印字データ生成処理と、前記印字データ生成処理によって生成された印字パターンデータに基づいて前記被印字媒体に複数行の文字列を印字する印字処理と、を実行し、前記表示手段に前記複数行の文字列のデータを表示中に前記表示手段の画面をタッチされたときに、前記画面位置検出処理で検出された画面位置から文字列の行を検出し、検出された行から前記各行言語格納処理により言語を検出し、検出された前記言語の読む方向に基づいて、前記表示制御処理により文字列のデータをスクロール表示させる方向制御処理を実行することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る印字装置の表示方法は、前記表示制御処理が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に前記前記表示手段に表示されている複数行の全ての文字列のデータをスクロール表示させる処理を実行することがある。
【0016】
さらに、本発明に係る印字装置の表示方法は、前記表示制御処理が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に、検出された言語の文字列のデータのみをスクロール表示させる処理を実行することがある。
【0017】
本発明に係る印字装置の表示制御プログラムは、被印字媒体に行単位で言語が設定される文字列からなる複数行の文字列を印字した印字物を作成する印字装置を用いて前記複数行の文字列を表示手段に表示させる表示方法を実現するための表示制御プログラムであって、前記行単位で設定された言語を格納する各行言語格納処理と、前記複数行の各文字列のデータを格納する文字列データ格納処理と、前記複数行の各文字列のデータを前記表示手段に表示させる表示処理と、前記表示手段の画面のタッチにより入力された画面位置を検出する画面位置検出処理と、前記文字列のデータを前記表示手段に所定方向にスクロール表示させる表示制御処理と、前記文字列データ格納処理によって格納された文字列のデータに基づいて複数行に文字列を配置した印字パターンデータを生成する印字データ生成処理と、前記印字データ生成処理によって生成された印字パターンデータに基づいて前記被印字媒体に複数行の文字列を印字する印字処理と、を実行し、前記表示手段に前記複数行の文字列のデータを表示中に前記表示手段の画面をタッチされたときに、前記画面位置検出処理で検出された画面位置から文字列の行を検出し、検出された行から前記各行言語格納処理により言語を検出し、検出された前記言語の読む方向に基づいて、前記表示制御処理により文字列のデータをスクロール表示させる方向制御処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る印字装置の表示制御プログラムは、前記表示制御処理が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に前記表示手段に表示されている前記複数行の全ての文字列のデータをスクロール表示させる処理をコンピュータに実行させることがある。
【0019】
さらに、本発明に係る印字装置の表示制御プログラムは、前記表示制御処理が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に、検出された言語の文字列のデータのみをスクロール表示させる処理をコンピュータに実行させることがある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、言語に応じて文字情報を所定の方向にスクロール表示させるとともに、多言語の文字列を同時に印刷して印字物を作成する印字装置と、該印字装置において言語に応じて文字情報を所定の方向にスクロール表示させる表示方法と、言語に応じて文字情報を所定の方向にスクロール表示させる表示方法を印字装置に実現させるための表示制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る印字装置の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る印字装置の内部拡大図及びテープカセットの斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る印字装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態における複数行の文字列のデータの表示方法の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態における複数行の文字列のデータの表示方法を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態における複数行の文字列のデータの表示方法を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態における複数行の文字列のデータで作成されたラベルの説明図である。
【図8】本発明の実施形態における複数行の文字列のデータの表示方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の実施形態に係る印字装置1の平面図であり、図2は、この印字装置1に使用するテープカセット21の外観及び印字装置1の内部構造の一部を示す斜視図である。印字装置1は、表面に印字面を備え裏面が粘着面とされた印字テープと、粘着面に貼付される剥離テープと、が積層されて形成されたテープ部材31に文字等を印字する装置である。
【0023】
この印字装置1は、図1に示すように、筐体2の上面にキーボード入力部3、表示部4及びカセット装填部8を塞ぐ開閉蓋5が形成されている。また、図示しないが、筐体2には、パーソナルコンピュータ等の外部機器と接続するための入力端子、電源コードが接続される電源端子、メモリーカード等の記憶媒体が挿入される挿入口等も形成されている。
【0024】
キーボード入力部3は、文字データを入力する文字入力キー、印字開始を指示する印字キー、表示部4の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、印字モードの設定や各種設定処理を行う種々の制御キーによって構成されている。表示部4は、印字装置1におけるメインパネルとしての液晶表示パネル等であり、表示部4には、入力されたデータに関する画像、各種の設定のための選択メニュー、各種の処理に関するメッセージ等が表示される。
【0025】
また、印字装置1は、本発明の表示手段であるサブパネルとしてのタッチパネル表示部62を備える。そして、印字装置1は、タッチパネル表示部62への画面タッチによる画面位置指定可能なようにタッチペン64を有する。
【0026】
タッチパネル表示部62は、画面位置指定手段として備えるタッチパネルと表示装置である液晶表示パネルとが一体化された入力可能な表示パネルである。
【0027】
なお、図1に示したようにタッチパネル表示部62は、小型の液晶表示パネルであることから、長文のラベル作成時にはパネル上に全文を表示させることができないこともある。
【0028】
したがって、タッチパネル表示部62は、長文の文字列を表示させるときに文字列が次々とパネル外に移行するように言語の読み方向に応じた方向にスクロール表示させる。
【0029】
なお、表示部4が画面タッチによる画面位置の指定及び表示の両機能を備えたサブパネル同様のタッチパネルとする構成としても構わない。
【0030】
そして、開閉蓋5の内側には、図2に示すように、テープ部材31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部8が形成されている。カセット装填部8内には、テープ印字機構45と、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受部15と、が形成されている。
【0031】
このテープ印字機構45は、縦方向に配列された印字素子と、印字ヘッドとされるサーマルヘッド11と、サーマルヘッド11との間でテープ部材31及びインクリボン35を挟み込んでこれを搬送するプラテンローラ12と、印字に使用したインクリボン35をテープカセット21内に巻取るリボン巻取軸13と、を備える。
【0032】
また、カセット装填部8の一端部に筐体2の外に通じるテープ繰出部7が形成されており、このテープ繰出部7には、テープ部材31の印字テープ及び剥離テープを幅方向に切断するフルカット手段としてのフルカット機構17と、テープ部材31の印字テープのみを切断するハーフカット手段としてのハーフカット機構18が組み込まれている。
【0033】
さらに、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、テープ部材31が巻装されたテープコア23、未使用のインクリボン35が巻装されたリボン供給コア24、使用済みのインクリボン35を巻取るリボン巻取コア25が夫々収納されている。また、テープカセット21のカセットケース22には、カセット装填部8内にテープカセット21を装填した場合にサーマルヘッド11が位置するヘッド配置部27が形成されている。
【0034】
また、カセットケース22の隅部には、カセット装填部8のカセット受部15と係合し、このカセット受部15によって支持される被係合部29が形成されている。そして、このカセットケース22の被係合部29には、図示しないがテープカセット21の種類に応じた所定の凹凸が形成されており、カセット装填部8のカセット受部15には、テープカセット21が装填された場合にカセットケース22の被係合部29に形成された凹凸を判別する所定のテープ幅検出スイッチ16が形成されている。
【0035】
そして、印字装置1は、カセットケース22がカセット装填部8に装填されると、カセットケース22の被係合部29とカセット装填部8のカセット受部15に形成されたテープ幅検出スイッチ16の幾つか或いは全部が係合し、係合したテープ幅検出スイッチ16が押下されて、このオン状態となったテープ幅検出スイッチ16の組み合わせによってテープカセット21のテープ幅等の種類を判別できるようになっている。
【0036】
つまり、この印字装置1は、テープカセット21の種類が内蔵するテープ部材31の幅等によって異なるため、このテープカセット21の種類を判別することによって、印字対象物であるテープの幅、テープ色等を識別することができ、制御部40がテープ幅に適合した印字データを作成することができるようになっている。
【0037】
この印字装置1は、印字の指示がされると、テープ部材31及びインクリボン35がテープカセット21から繰り出され、プラテンローラ12とサーマルヘッド11との間にこれらのテープ部材31及びインクリボン35が重ね合わされた状態で挟み込まれて搬送される。
【0038】
そして、サーマルヘッド11が印字データに基づいて発熱駆動され、インクリボン35のインクがテープ部材31の印字テープに熱転写されて印字テープに印字が行われ、印字が終了すると設定によりフルカット機構17又はハーフカット機構18が作動してテープ部材31が幅方向に切断され、1枚のテープ状のラベルが作成される。
【0039】
図3は、この印字装置1の回路構成を示すブロック図である。この印字装置1は、図3に示すように、システム全体を司る制御手段であるとともに画面位置検出手段及び印字データ生成手段とされる制御部40を備える。
【0040】
そして、制御部40には、記憶手段としてのROM41、RAM42と、入力手段としてのキーボード入力部3と、タッチパネル入力部60と、が接続されている。制御部40は、画面位置検出手段として、タッチパネル入力部60にタッチペン64による画面タッチがされて画面位置指定入力を行われると、入力された画面位置を示す座標データを検出する。
【0041】
さらに、制御部40には、表示部4を駆動させる表示部駆動回路63と、タッチパネル表示部62を駆動させる表示制御手段としてのタッチパネル表示部駆動回路61とが接続されている。
【0042】
このタッチパネル表示部駆動回路61は、制御部40の指示によりタッチパネル表示部62を表示手段として駆動させる。
【0043】
例えば、タッチパネル表示部駆動回路61は、タッチパネル表示部62を制御して、長文の文字列を表示させるにあたって、文字列が次々とパネル外に移行するように言語の読み方向に応じた方向にスクロール表示させる。具体的には、タッチパネル表示部駆動回路61は、長文の文字列を表示中、日本語、英語、中国語及び韓国語の文字列のデータであれば、左から右に文字を読むことから左方向にスクロール表示させ、アラビア語、ヘブライ語及びペルシア語の文字列のデータであれば、右から左に文字を読むことから右方向にスクロール表示させる制御を行う。
【0044】
そして、この印字装置1は、複数行の文字列のラベルを作成するにあたって、多言語ラベル作成モードを有する。そして、多言語ラベル作成モードにおいて、行数の設定、各行の言語の設定及び各行の文字列(例えば、日本語で「こんにちは」)をユーザに設定されることにより、各行に夫々の言語で「こんにちは」を示す文字列が設定され、タッチパネル表示部62等に複数行の文字列のデータをプレビュー表示させ、ユーザによる印字キーの押下により印刷を開始させることとなる。
【0045】
そして、多言語ラベル作成モードにおける各設定が行われると、制御部40は、各行の言語を各行言語格納手段であるRAM42に格納させる。さらに、制御部40は、複数行の文字列のデータを文字列データ格納手段であるRAM42に格納させる。
【0046】
そして、制御部40は、印刷処理を実行する場合には印字データ生成手段として、文字列データ格納手段に格納された文字列のデータに基づいて印字パターンデータを生成する。
【0047】
また、制御部40は、複数行の文字列のデータをプレビュー表示させている時に、画面タッチを検出すると、検出された座標データから選択された行を検出し、予め言語格納手段に格納された各行の言語のデータから、選択された言語を検出する。そして、制御部40は、タッチパネル表示部駆動回路61を制御して、選択された言語に基づく方向にスクロール表示させる方向制御手段として機能する。
【0048】
また、制御部40には、各種機構を駆動させるためのヘッド駆動回路51とステップモータ駆動回路52とカッターモータ駆動回路53とが接続されている。
【0049】
この制御部40は、CPUであって、キーボード入力部3及びタッチパネル入力部60からのキー操作信号に応じて、又は、自動でROM41に予め記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラム等を起動させ、RAM42をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0050】
ROM41は、キーボード入力部3及びタッチパネル入力部60から入力された文字を印字するためのプログラム、本発明の表示方法を実現するための表示制御プログラム等が記憶され制御部40で読み取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体としても機能する。
【0051】
RAM42は、キー入力及びタッチペン入力された等による入力情報によって複数行の文字列のデータを格納する文字列データ格納手段とされる入力データメモリ、入力された印字情報が展開された印字パターンデータが記憶される印字データメモリ、各行言語格納手段としての各行言語データメモリ、表示部4やタッチパネル表示部62に表示されるパターンデータが記憶される表示データメモリ等の各領域が確保され、印字処理等に必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタ等が設けられている。
【0052】
ヘッド駆動回路51は、印字パターンデータに基づいて印字手段であるサーマルヘッド11を制御し、被印字媒体であるテープ部材31に印字させる。ステップモータ駆動回路52は、搬送手段を駆動させる回路であって、プラテンローラやリボン巻取軸を回転させるステップモータ46を制御し、所定の速度で長手方向にテープ部材31を搬送する。カッターモータ駆動回路53は、フルカット手段及びハーフカット手段等を制御する駆動回路であり、フルカット機構及びハーフカット機構で使用されるカッターモータ48を制御する。
【0053】
ここで、本発明の印字装置1における複数行の文字列のラベル作成時の表示制御を含む一連の流れについて図を用いて詳細に説明する。図4は、印字装置1における複数行の文字列のラベル作成時の表示制御を含む一連の流れを示すフローチャートである。図5は、複数行の文字列のプレビュー表示から1行目のアラビア語を画面タッチで選択されたときのスクロール表示の説明図である。図6は、複数行の文字列のプレビュー表示から2行目の英語を画面タッチで選択されたときのスクロール表示の説明図である。図7は、印字装置1で作成される複数行の文字列のラベル作成例の説明図である。
【0054】
先ず、多言語による複数行の文字列ラベルの作成用のデータとして、図5(a)及び図6(a)に示す1行目にアラビア語としての「こんにちは」の意味を示す文字、2行目に英語としての「こんにちは」の意味を示す文字がユーザ操作により設定されると、制御部40は文字列データを設定する処理(ステップS10)を実行する。
【0055】
制御部40は、設定された文字列データから各行言語格納手段であるRAM42に、1行目がアラビア語であり、2行目が英語であることを示すデータを格納させる各行言語格納処理(ステップS20)を実行する。
【0056】
さらに、制御部40は、ユーザ操作により設定された複数行の文字列ラベル作成用の文字列のデータを文字列データ格納手段であるRAM42に格納するために文字列データ格納処理(ステップS30)を実行する。
【0057】
そして、制御部40は、文字列のデータを文字列データ格納手段に格納させるとともに、タッチパネル表示部62に表示させるパターンデータとして記憶させる表示データメモリに格納させ、表示制御手段であるタッチパネル表示部駆動回路61を制御して、プレビュー画面をタッチパネル表示部62に表示させるプレビュー表示処理(ステップS40)を実行する。
【0058】
このプレビュー表示は、作成されるラベルの文字レイアウトと同様に表示させる。なお、実施形態におけるプレビュー表示は、図5(a)及び図6(a)に示したように、各行の文字列を中央に配置して表示させる。
【0059】
制御部40は、タッチパネル表示部62にプレビュー表示をしながら、ユーザによる印字開始を指示する印字キーが押されたか否かを判断する印字開始判断(ステップS50)を実行する。
【0060】
印字開始判断(ステップS50)において、ユーザにより印字開始を指示する印字キーが押下されると、印字処理(ステップS110)に進む。制御部40は、印字データ生成手段として、文字列データ格納手段によって格納された文字列のデータに基づいて印字パターンデータを生成する印字データ生成処理を行い、生成された印字パターンデータに基づいて、印字手段を制御して被印字媒体に複数行の文字列を印字させてラベルを作成する印字処理(ステップS110)を実行する。
【0061】
制御部40は、印字処理(ステップS110)において、図5(a)及び図6(a)に示したプレビュー画面と同様の文字レイアウトで印字して、図7に示すようなラベルを作成させる。
【0062】
また、上述の印字開始判断(ステップS50)において、ユーザにより印字開始を指示する印字キーが押下されていないと判断すると、タッチパネル表示部62への画面タッチが行われたか否かを判断する画面タッチ判断(ステップS60)に進む。
【0063】
画面タッチ判断(ステップS60)において、ユーザによりタッチパネル表示部62への画面タッチが行われたと判断すると、画面位置検出処理(ステップS70)に進む。また、タッチパネル表示部62への画面タッチが行われていないと判断すると、印字開始判断(ステップS50)に戻る。
【0064】
ユーザによりタッチパネル表示部62への画面タッチが行われたと判断すると、画面位置検出手段である制御部40は、画面位置検出処理(ステップS70)として、タッチされた画面位置の座標データを検出する。
【0065】
制御部40は、座標データを検出すると、その検出された座標データが、プレビュー表示されている複数行の文字列ラベルの何れの行に該当するかを検出する。制御部40は、座標データが何れの行に該当するかを検出すると、次に各行言語格納処理(ステップS20)において、各行言語格納手段に格納された1行目がアラビア語であり、2行目が英語であることを示すデータからタッチされた画面位置の言語を検出する言語検出処理(ステップS80)を実行する。
【0066】
制御部40は、言語検出処理(ステップS80)において、例えば、図5(a)に示したように1行目の文字列が画面タッチされると、各行言語格納手段に格納されたデータから画面タッチされたのはアラビア語であると判断する。制御部40は、アラビア語が選択されたと判断し方向制御手段として、右方向にスクロール表示させるためのスクロール方向制御処理(ステップS90)を実行する。
【0067】
制御部40は、スクロール方向制御処理(ステップS90)により右方向へのスクロール表示を実施するために図5(b)、図5(c)に示すように、各行の文字列のデータを右揃いにし、右方向にスクロール表示させる表示制御処理(ステップS100)を実行する。
【0068】
なお、制御部40は、言語検出処理(ステップS80)において、例えば、図6(a)に示したように2行目の文字列が画面タッチされると、各行言語格納手段に格納されたデータから選択されたのは英語であると判断する。すると、制御部40は、英語が選択されたと判断し方向制御手段として、左方向にスクロール表示させるためのスクロール方向制御処理(ステップS90)を実行する。そして、制御部40は、スクロール方向制御処理(ステップS90)により左方向へのスクロール表示を実施するために図6(b)、図6(c)に示すように、各行の文字列のデータを左揃いにし、左方向にスクロール表示させる表示制御処理(ステップS100)を実行する。
【0069】
そして、表示制御処理(ステップS100)の実行により、選択された言語に基づいて所定方向にスクロール表示を行いながら、印字開始判断(ステップS50)に戻る。
【0070】
なお、表示制御処理(ステップS100)の実行により、選択された言語に基づいた所定方向へのスクロール表示方法は、上記に限定されるものではない。図8(a)に示すように、プレビュー表示中に1行目のアラビア語が選択されることにより、図8(b)、図8(c)に示すように1行目のアラビア語の文字列のみを所定方向である右方向にスクロール表示させる。即ち、選択された言語の文字列のデータのみをスクロール表示させても構わない。
【0071】
以上のように、本発明の実施形態によれば、プレビュー画面に表示された文字列を選択
することにより、その言語の文字の読み方向を認識して、その言語に応じて文字情報を所定の方向にスクロール表示させるとともに、多言語の文字列を同時に印刷して印字物を作成する印字装置と、該印字装置において言語に応じて文字情報を所定の方向にスクロール表示させる表示方法と、言語に応じて文字情報を所定の方向にスクロール表示させる表示方法を印字装置に実現させるための表示制御プログラムを提供することができる。
【0072】
また、本発明の実施形態によれば、多言語のラベル作成時に、予めプレビュー画面で文字のレイアウトを確認することができることから、文字位置が適正か否か等を印刷前に確認することができる。
【0073】
さらに、本発明の実施形態によれば、画面位置検出手段としてタッチパネルを用いることから、文字選択等の入力操作が容易となる。
【0074】
そして、本発明の実施形態によれば、前記表示制御手段が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出した言語による所定方向に複数行の全ての文字列のデータをスクロール表示させることから、日本語,英語等に限らず、アラビア語に対応した印字装置を提供することができる。
【0075】
さらに、本発明の実施形態によれば、前記表示制御手段が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に検出された言語の文字列のデータのみをスクロール表示させることから、例えば、アラビア語の文字列を選択すれば、アラビア語の個々の文字形態が、単語の語頭,語中,語尾の何処に位置するかで変化したり、ある文字と文字との連続で特殊な一文字に変化したりする文字変化を予め確認することができる。
【0076】
さらに、本発明の実施形態におけるフローチャートに示した処理は、コンピュータに実現させることのできる表示制御プログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、或いは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施形態で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等で表示制御プログラムを実行させることにより、本実施形態の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、本実施形態で述べた装置に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、記憶媒体に記憶された表示制御プログラムを読み取り可能であって、読み取った表示制御プログラムに従って制御動作を行うCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
【0077】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。本実施形態では、使用言語として日本語、英語、中国語、韓国語、アラビア語、ヘブライ語及びペルシア語を例にあげて説明してきたが、例えばフランス語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語等の他の言語についても可能とすることにより、更に便利な印字装置1を提供できる。
【符号の説明】
【0078】
1 印字装置 2 筐体
3 キーボード入力部 4 表示部
5 開閉蓋 7 テープ繰出部
8 カセット装填部 11 サーマルヘッド
12 プラテンローラ 13 リボン巻取軸
15 カセット受部 16 テープ幅検出スイッチ
17 フルカット機構 18 ハーフカット機構
21 テープカセット 22 カセットケース
23 テープコア 24 リボン供給コア
25 リボン巻取コア 27 ヘッド配置部
29 被係合部 31 テープ部材
35 インクリボン 40 制御部
41 ROM 42 RAM
45 テープ印字機構
46 ステップモータ 48 カッターモータ
51 ヘッド駆動回路 52 ステップモータ駆動回路
53 カッターモータ駆動回路 60 タッチパネル入力部
61 タッチパネル表示部駆動回路 62 タッチパネル表示部
63 表示部駆動回路 64 タッチペン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字媒体に行単位で言語が設定される文字列からなる複数行の文字列を印字した印字物を作成する印字装置であって、
前記行単位で設定された言語を格納する各行言語格納手段と、
前記複数行の各文字列のデータを格納する文字列データ格納手段と、
前記複数行の各文字列のデータを表示させる表示手段と、
前記表示手段の画面のタッチにより入力されて選択された画面位置を検出する画面位置検出手段と、
前記文字列のデータを前記表示手段に所定方向でスクロール表示させる表示制御手段と、
前記文字列データ格納手段によって格納された文字列のデータに基づいて複数行に文字列を配置した印字パターンデータを生成する印字データ生成手段と、
前記印字データ生成手段によって生成された印字パターンデータに基づいて前記被印字媒体に複数行の各文字列を印字する印字手段と、
を備え、
前記表示手段に前記複数行の各文字列のデータを表示中に前記表示手段の画面をタッチされたときに、前記画面位置検出手段で検出された選択された画面位置から文字列の行を検出し、検出された行から前記各行言語格納手段により言語を検出し、検出された前記言語の読む方向に基づいて、前記表示制御手段が前記文字列のデータをスクロール表示させる方向制御手段を有することを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記画面位置検出手段としてタッチパネルを備えること特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記表示制御手段が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に前記表示手段に表示されている前記複数行の全ての文字列のデータをスクロール表示させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印字装置。
【請求項4】
前記表示制御手段が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に、検出された言語の文字列のデータのみをスクロール表示させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印字装置。
【請求項5】
被印字媒体に行単位で言語が設定される文字列からなる複数行の文字列を印字した印字物を作成する印字装置を用いて、前記複数行の文字列を表示手段に表示させる表示方法であって、
前記行単位で設定された言語を格納する各行言語格納処理と、
前記複数行の各文字列のデータを格納する文字列データ格納処理と、
前記複数行の各文字列のデータを前記表示手段に表示させる表示処理と、
前記表示手段の画面のタッチにより入力されて選択された画面位置を検出する画面位置検出処理と、
前記文字列のデータを前記表示手段に所定方向にスクロール表示させる表示制御処理と、
前記文字列データ格納処理によって格納された文字列のデータに基づいて複数行に文字列を配置した印字パターンデータを生成する印字データ生成処理と、
前記印字データ生成処理によって生成された印字パターンデータに基づいて前記被印字媒体に複数行の文字列を印字する印字処理と、
を実行し、
前記表示手段に前記複数行の文字列のデータを表示中に前記表示手段の画面をタッチされたときに、前記画面位置検出処理で検出された画面位置から文字列の行を検出し、検出された行から前記各行言語格納処理により言語を検出し、検出された前記言語の読む方向に基づいて、前記表示制御処理により文字列のデータをスクロール表示させる方向制御処理を実行することを特徴とする印字装置の表示方法。
【請求項6】
前記表示制御処理が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に前記表示手段に表示されている前記複数行の全ての文字列のデータをスクロール表示させる処理を実行することを特徴とする請求項5に記載の印字装置の表示方法。
【請求項7】
前記表示制御処理が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に、検出された言語の文字列のデータのみをスクロール表示させる処理を実行することを特徴とする請求項5に記載の印字装置の表示方法。
【請求項8】
被印字媒体に行単位で言語が設定される文字列からなる複数行の文字列を印字した印字物を作成する印字装置を用いて前記複数行の文字列を表示手段に表示させる表示方法を実現するための表示制御プログラムであって、
前記行単位で設定された言語を格納する各行言語格納処理と、
前記複数行の各文字列のデータを格納する文字列データ格納処理と、
前記複数行の各文字列のデータを前記表示手段に表示させる表示処理と、
前記表示手段の画面のタッチにより入力された画面位置を検出する画面位置検出処理と、
前記文字列のデータを前記表示手段に所定方向にスクロール表示させる表示制御処理と、
前記文字列データ格納処理によって格納された文字列のデータに基づいて複数行に文字列を配置した印字パターンデータを生成する印字データ生成処理と、
前記印字データ生成処理によって生成された印字パターンデータに基づいて前記被印字媒体に複数行の文字列を印字する印字処理と、
を実行し、
前記表示手段に前記複数行の文字列のデータを表示中に前記表示手段の画面をタッチされたときに、前記画面位置検出処理で検出された画面位置から文字列の行を検出し、検出された行から前記各行言語格納処理により言語を検出し、検出された前記言語の読む方向に基づいて、前記表示制御処理により文字列のデータをスクロール表示させる方向制御処理をコンピュータに実行させることを特徴とする印字装置の表示制御プログラム。
【請求項9】
前記表示制御処理が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に前記表示手段に表示されている前記複数行の全ての文字列のデータをスクロール表示させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載の印字装置の表示制御プログラム。
【請求項10】
前記表示制御処理が画面のタッチにより入力されて選択された画面位置から検出された言語による所定方向に、検出された言語の文字列のデータのみをスクロール表示させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載の印字装置の表示制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−116109(P2012−116109A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268341(P2010−268341)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】