説明

印字装置

【課題】 RFIDタグを組み込んだRFIDラベルに対して印字を施す機能とRFID情報を読み書きする機能とを備え、RFIDタグの損傷などによって読み書きエラーが発生する不良RFIDラベルを正確に検出することができる印字装置の提供を目的とする。
【解決手段】 RFIDラベルに対して情報の記録を行うラベルプリンタ1において、RFIDラベル用紙6を搬送するプラテンローラ7と、RFID読み書き用アンテナ16を有し、このアンテナ16によってRFIDタグに対して情報の読み書きを行う読み書き手段と、RFIDタグに対して読み書きされた情報のエラーを判定する判定手段と、読み書きされた情報が、判定手段によってエラーと判定されたときは、その位置で、または、当該RFIDラベルをアンテナ16によって読み書き可能な範囲内で正方向または逆方向に搬送して、RFIDタグに対して情報の読み書きを再度行う再読み書き手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で情報の読み書きが行えるRFID(Radio Frequency Identification)タグを組み込んだRFIDラベルに対して印字を施す機能と、RFID情報の書き込み/読み出しを行う読み書き機能とを備えた印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電波により非接触で情報の書き込み/読み出し(以下、読み書きと略す)が行えるRFIDタグを組み込んだRFIDラベルに対して、その表面に製品や生産者の情報およびそれらをコード化したバーコードなどの印字を施す印字機能を備えると共に、RFIDタグのメモリに情報の読み書きを行う読み書き機能を備えた印字装置が知られている。この印字装置で使用されるRFIDラベルには、裏面に粘着剤層を設けたラベルと剥離台紙との間にRFIDタグを組み込んだ粘着タイプのもの、あるいは二枚の印字用紙の間に接着剤でRFIDタグを両面から貼り合わせて形成した両面表示タイプのものなどがあるが、これらの多くは、紙や合成フィルムなどの薄い基材が用いられており、表面に強い衝撃を加えたり、ラベルを折り曲げたり、静電気を与えたりすると、RFIDタグを構成するアンテナとICチップとの結線部分やICチップ自体に破損が生じ、RFIDラベルとしての機能を果たさなくなる場合がある。そこで、印字装置でバーコードなどの印字とRFID情報を書き込んだRFIDラベルを発行する際に、RFIDタグに対する読み書きテストを行ってエラーの有無を確認し、読み書き機能が損なわれた不良RFIDラベルの発行の未然防止が図られている。
しかしながら、RFIDタグに対する情報の読み書きエラーは、必ずしも上記のようなRFIDタグ自体の不良によるものだけでなく、RFIDタグの読み書き環境によっても発生する。すなわち、RFIDタグは、リーダ/ライタのアンテナが出力する磁束を受けて読み書きのエネルギーとして使用しているが、この磁束は周囲の金属などの影響を受け易く、またアンテナに対するRFIDタグの角度(相対位置)によって受け渡されるエネルギー量が変化するため、これらが原因となってRFIDチップ内のメモリに対して読み書きするだけのエネルギーが得られない場合に、読み書きエラーが発生するためである。したがって、読み書き機能が損なわれた不良RFIDラベルを選定する際に、一度のエラー判定のみでそのRFIDラベルを不良品と判定して廃棄するのでは、高価なRFIDラベルの無駄が多くなってコストアップにつながることになる。そこで、合否判定を下す前に、二度、三度と読み書きのリトライを行い、それでもRFIDタグへの読み書きが行えない場合には、不良品として処理を行うといった工夫がなされている。このようなものとして、例えば、記録媒体を停止することなく搬送中の非接触ICに書き込みし、もしも正しく書き込みされていないことを判別した場合にはリトライする。又リトライしても正しい書き込みがされない場合には該当の記録媒体への記録も行わないようにする。或いは書き込みが正常に出来ない旨のマーキングを記録するようにした記録装置に関する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−150914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、IC書き込みに失敗した場合には、RFIDタグをIC書き込みリトライ位置までバックフィードを行い、この状態から再び搬送ユニットを駆動し、RFIDユニット(アンテナ)の通信範囲にラベルが給紙されたらIC書き込みを行うようになっているため、リトライ回数が多くなると、IC書き込みリトライ位置までのバックフィードおよび通信範囲まで搬送するのに時間を要し、スループットの低下につながるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、RFIDタグを組み込んだRFIDラベルに対して印字を施す機能とRFID情報を読み書きする機能とを備え、RFIDタグの損傷などによって読み書きエラーが発生する不良RFIDラベルを正確に検出することができる印字装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の印字装置は、RFIDタグを組み込んだRFIDラベルに対して情報の記録を行う印字装置において、前記RFIDラベルを搬送する搬送手段と、RFID読み書き用アンテナを有し、このアンテナによって前記RFIDタグに対して情報の読み書きを行う読み書き手段と、前記RFIDタグに対して読み書きされた前記情報のエラーを判定する判定手段と、前記読み書き手段によって読み書きされた前記情報が、前記判定手段によってエラーと判定されたときは、その位置で、または、前記RFIDラベルを前記アンテナによって読み書き可能な範囲内で正方向または逆方向に搬送して、前記RFIDタグに対して前記情報の読み書きを再度行う再読み書き手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の印字装置は、RFIDタグを組み込んだRFIDラベルに対して情報の記録を行う印字装置において、前記RFIDラベルを搬送する搬送手段と、RFID読み書き用アンテナを有し、このアンテナによって前記RFIDタグに対して情報の読み書きを行う読み書き手段と、前記RFIDタグに対して読み書きされた前記情報のエラーを判定する判定手段と、前記読み書き手段によって読み書きされた前記情報が、前記判定手段によってエラーと判定されたときは、前記アンテナの位置を前記RFIDタグに対して変位させた後、前記RFIDタグに対して前記情報の読み書きを再度行う再読み書き手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
前記アンテナの位置の変位は、前記RFID読み書き用アンテナの回転によって行われる。
【0009】
前記判定手段は、判定回数をカウントするカウンタを備えており、前記判定回数が所定回数に達するまでに正常である旨の判定が行われた場合には、前記RFIDラベルに対する印字開始を通知し、正常である旨の判定が行われることなく前記判定回数が前記所定回数に達した場合には、ラベル不良を通知することができる。
【0010】
また、前記RFIDタグに対する前記情報の読み書きは、前記RFIDタグを停止させた状態で行うことが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の印字装置は、読み書き手段によって読み書きされた情報が、判定手段によってエラーと判定されたときは、その位置で、または、RFIDラベルをアンテナによって読み書き可能な範囲内で正方向または逆方向に搬送して、RFIDタグに対して情報の読み書きを再度行う再読み書き手段を備えたので、RFIDタグとアンテナとの相対位置や装置内の環境影響を変化させることができ、読み書き環境やRFIDラベルの仕様など、RFIDタグの不良以外の様々な要因に基づく読み書きエラーの影響を除くことが可能となる。
【0012】
また、本発明の印字装置は、読み書き手段によって読み書きされた情報が、判定手段によってエラーと判定されたときは、アンテナの位置をRFIDタグに対して変位させ、RFIDタグに対して情報の読み書きを再度行う再読み書き手段を備えたので、RFIDタグとアンテナとの相対位置や装置内の環境影響を変化させることができ、RFIDタグの不良以外の読み書き環境やRFIDラベルの仕様などの様々な要因に基づく読み書きエラーの影響を除くことが可能となる。
【0013】
また、アンテナの位置の変位をRFID読み書き用アンテナの回転によって行うようにしたので、アンテナを正逆方向に移動する場合と比較して動作時間の短縮を図ることができる。
【0014】
また、RFIDタグの搬送を停止させた状態でRFIDタグに対する情報の読み書きを行うようにしたので、RFIDに対する情報の読み書きを安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るラベルプリンタを示す概略側面図である。同図に示すように、ラベルプリンタ1は主として、供給手段2、RFIDリーダ/ライタ3、印字手段4などによって構成されている。
【0017】
供給手段2の供給軸5には、ロール状に巻回されたRFIDラベル用紙6が装着されている。RFIDラベル用紙6は、印字手段4のプラテンローラ7を回転駆動することにより供給軸5から繰り出され、RFIDリーダ/ライタ3を経て印字手段4に移送される。RFIDリーダ/ライタ3の手前には、センサ8が設けられており、このセンサ8によって台紙9の検出マーク(不図示)を検出する。そして、印字手段4は、センサ8が検出マークを検出したタイミングに基づいて、印字を開始する。
【0018】
印字手段4は、対向して配置されたプラテンローラ7とサーマルヘッド(印字ヘッド)10とによって構成される。このプラテンローラ7とサーマルヘッド10との間には、供給手段2から繰り出されたRFIDラベル用紙6と、供給リール11から繰り出されたインクリボン12とが供給される。そして、サーマルヘッド10の発熱素子(印字素子)13を発熱してインクリボン12のインクを溶解することによりRFIDラベル用紙6にインクを転写して印字する。印字後のRFIDラベル用紙6は、取出口14から取り出され、また印字後のインクリボン12は、巻き取りリール15に巻き取られる。なお、印字手段4の印字方式は、熱転写式に限定するものではなく、感熱式やインクジェット式であってもよい。
【0019】
また、供給手段2と印字手段4との間に配設されているRFIDリーダ/ライタ3は、アンテナ16を備えている。アンテナ16は、RFIDラベル用紙6の搬送通路に近接して配置されている。
【0020】
次に、ラベルプリンタで印字を施すRFIDラベルについて説明する。
【0021】
図2は、本実施の形態のラベルプリンタ1で印字を施すロール状のRFIDラベル用紙6を示す斜視図である。同図に示すように、RFIDラベル用紙6は、帯状に形成された台紙(剥離紙)9に、多数のRFIDラベル17が所定の間隔で下層19の裏面に設けられた粘着剤(不図示)を介して仮着された構成となっている。
【0022】
RFIDラベル17は、積層された上層18と下層19とからなり、上層18と下層19との間にICチップ20およびアンテナ21が配設されている。一方、台紙9は、RFIDラベル17を一枚ごとに切断するためのミシン目22が形成されるとともに、裏面に検出マーク(不図示)が所定の間隔で印刷されている。なお、図2は、RFIDラベル用紙6の一例であり、RFIDラベル用紙6の構成はこれに限定されるものではない。例えば、台紙9にミシン目22が形成されていないRFIDラベル用紙6や、RFIDラベル17が連続的に連なっているRFIDラベル用紙6であってもよい。
【0023】
RFIDリーダ/ライタ3は、このアンテナ16と、RFIDラベル17のアンテナ21とを介してICチップ20と通信し、ICチップ20に対する情報の書き込みやICチップ20からの情報の読み取りを行う。
【0024】
図3はラベルプリンタ1とRFIDラベル17の要部を示すブロック図である。
【0025】
同図に示すように、ラベルプリンタ1の制御部本体を構成するCPU23は、バス24を介してROM25、RAM26と接続されている。ROM25には後述するフロー図4に示す処理を行うプログラム等が記憶され、RAM26には各種メモリのエリアが形成されている。CPU23は、ヘッドコントローラ27にも接続されており、このヘッドコントローラ27によってサーマルヘッド10を制御する。
【0026】
また、CPU23は、バス24を介して駆動制御コントローラ28に接続され、この駆動制御コントローラ28によってモータドライバ29を制御し、パルスモータ30を駆動させてRFIDラベル用紙6を搬送する。駆動制御コントローラ28は、A/D変換器31を介してセンサ8に接続されており、センサ8が台紙9の検出マーク(不図示)を検出したタイミングに基づいてパルスモータ30を駆動する。
【0027】
また、CPU23は、RFIDリーダ/ライタ3の通信手段32を介してアンテナ16に接続され、このアンテナ16からRFIDラベル17のアンテナ21に信号を送受信する。
【0028】
一方、RFIDラベル17は、ICチップ20を有しており、このICチップ20が、通信手段33を介してアンテナ21からラベルプリンタ1のアンテナ16に信号を送受信する。34はホストコンピュータ35と印字データや発行履歴のデータを送受信するための通信インタフェース(通信I/F)、36はキーボードコントローラ37を介して設けられたキーボード、38はLCDコントローラ39を介して設けられたLCD(液晶ディスプレイ)を示し、いずれも前記バス24を介してCPU23に接続されている。
【0029】
次にラベルプリンタ1が行う動作について図4に示すフロー図に基づき説明する。
【0030】
まず、図示しない電源スイッチの投入により処理がスタートし、メモリやCPU23等のハードウエアチェックが行われ、用紙位置をホームポジションまで搬送し、ROM25内のプログラムをRAM26に読み込んで実行可能にする、所謂イニシャル処理が行われる。アンテナ16と交信可能な所定位置まで搬送されて受信待機しているRFIDラベル17に対して、ホストコンピュータ35からRFIDラベル17内のICに書込む情報が送信されると、通信I/F34を介してこれを受信する(ステップS1)。
【0031】
ここで、ホストコンピュータ35からラベルプリンタ1に送信するコマンドは、RFID書込データ,2,5,印字データのように、各データをカンマで区切った形式で送信することができる。すなわち、RFIDラベル17へ書き込むデータと印字データとの間には、読み書きエラーの設定数(エラーの設定数)と読み書きエラーの許容数(エラーの許容数)を指定できるようになっており、上記の例では、エラーの設定数は2回、エラーの許容数は5回となっている。ここで、エラーの設定数は、RFIDラベル17を所定位置に停止した状態で読み書きエラー判定を行う繰り返し回数の最大値であり、エラーの許容数は、RFIDラベル17に対して読み書きエラー判定を行う繰り返し回数の最大値である。エラーの設定数は、エラーの許容数の範囲内で任意に設定される。
【0032】
ステップS2では、後述するステップS7でカウントした読み書きエラー判定の読み書きエラー回数(エラーカウント)をクリアする。すなわち、RFIDラベル17への最初の書き込みの場合、エラーカウントはゼロである。
【0033】
ステップS3では、RFIDラベル17へのRFIDリーダ/ライタ3からアンテナ16を介してICチップ20に電気的書き込みを行う。
【0034】
ステップS4では、RFIDリーダ/ライタ3からRFIDラベル17に書き込み内容を照合する問い合わせを行い、読み書きエラー判定を行う。ここで、読み書きエラー判定によって読み書きエラーなしの判定が行われるのは、電気的書き込みと、書き込み内容の照合(読み込み)の両方に成功した場合である。
【0035】
書き込みエラーなしの場合(Nの場合)は、ステップS5において、RFIDラベル17の表面に、ラベルプリンタ1のサーマルヘッド10を用いて視覚的・光学的な情報(文字やバーコード、二次元コードなど)の書込を行い、ラベルプリンタ1からホストコンピュータ35へとRFID17の発行部数などを含んだ発行履歴が転送される。これは、例えば正常に発行されたRFIDラベル17のシリアルナンバーをホストコンピュータ35に転送することによって行われる。
【0036】
そして、ステップS6で、予めセットしたRFIDラベル17の発行枚数と前記発行履歴を比較して、指定した発行枚数に達したならば(Yの場合)、一連の処理を終了する。
【0037】
また、ステップS6で、発行履歴の枚数が指定発効枚数に満たない場合(Nの場合)は、ステップS3にリターンする。
【0038】
一方、ステップS4で、読み書きエラーありの場合(Yの場合)は、ステップS7でエラーの回数を加算して、これをエラーカウントとして記憶する。次いで、ステップS8で、エラーカウントとエラーの設定数とを比較する。エラーカウントが設定数以内の場合(Nの場合)は、ステップS3にリターンする。
【0039】
ステップS8で、エラーカウントがエラーの設定数を超える場合(Yの場合)はステップS9に移り、エラーカウントとエラーの許容数とを比較する。エラーカウントがエラーの許容数以内の場合(Nの場合)はステップS10に移り、エラーカウントが偶数か否かの判定を行う。
【0040】
ステップS10で、エラーカウントが偶数と判定された場合(Yの場合)は、ステップS11に移り、当該エラーとなったRFIDラベル17をRFIDリーダ/ライタ3のアンテナ16による読み書き可能な範囲内で、逆方向に一定の距離搬送を行って停止し、ステップS3にリターンする。ステップS10で、エラーカウントが奇数の場合(Nの場合)は、ステップS12に移り、当該エラーとなったRFIDラベル17をアンテナ16による読み書き可能な範囲内で、正方向に一定の距離搬送を行って停止し、ステップS3にリターンする。
【0041】
一方、ステップS9で、エラーカウントがエラーの許容数を超える場合(Yの場合)は、ステップS13に移り、RFIDラベル17の発行を停止する。次のステップS14では、所定時間の間に、例えば所定キーの操作等で発行停止状態の解除が行われない場合に、一連の処理を終了する(エンド処理)。
【0042】
また、ステップS14で発行停止状態の解除が行われた場合は、ステップS2にリターンする。これにより、エラーカウントが解除され(エラーカウントがゼロとなり)、前述の操作を繰り返す。
【0043】
なお、ステップS13で発行停止となった際には、ブザー音や、ディスプレイの表示などによりオペレータに通知することができる。
【0044】
上記実施の形態においては、RFIDラベル用紙6を相対移動することによって読み書き環境の変更を行うようにしたが、読み書き環境の変更は、RFIDリーダ/ライタ3のアンテナ16の位置変更によっても可能となる。この場合は、アンテナ16の位置をRFIDラベル17に対して前後方向に移動することによっても可能であるが、また、アンテナ16を回転させることによっても可能である。このアンテナ16の移動をおこなう場合のラベルプリンタ1の動作は、例えば図4において、ステップS11を逆移動(供給軸5方向への移動)と読替え、ステップS12を正移動(取出口14方向への移動)と読み替えることによって図4に準じて行うことができる。また、アンテナ16の回転をおこなう場合のラベルプリンタ1の動作は、例えば図4において、ステップS11を時計回りの回転と読替え、ステップS12を反時計回りの回転と読み替えることによって図4に準じて行うことができるが、これらの詳細は省略する。
【0045】
読み書きエラーは、RFIDラベルの媒体そのものが不良である場合だけでなく、ラベルプリンタとRFIDラベル双方のアンテナの位置関係が調整不良な場合、RFIDラベルの搬送ルート、RFIDラベルの停止位置などの調整が不十分な場合、あるいはRFIDラベルの構成などによっても影響される。したがって、品質的には問題がないにもかかわらず、これらの原因で読み書きエラーが発生したRFIDラベルを不良品として処理すれば、高価なRFIDラベルを無駄に消費してしまうことになる。
【0046】
本実施の形態によれば、RFIDラベルに対して正常に読み書きができなかった場合、エラーカウント(エラー回数)がエラー許容数以下であれば、当該読み書きエラーとなったRFIDラベルを通信可能な範囲内で正逆方向に搬送して読み書きを行うようにしたので、一定位置または正逆一方方向に搬送して読み書きを行う場合と比べて、RFIDラベルのラベルプリンタ内における読み書き環境を大きく変化させることが可能となり、読み書き環境の影響によるエラーからの早期復帰が可能となる。
【0047】
また、必要に応じてエラー設定数を定め、エラーカウントがエラー設定数以下であれば、再度その位置で当該読み書きエラーとなったRFIDラベルに読み書き可能としたので、正逆一方方向に搬送して読み書きを行う場合と比べて、動作時間の短縮を図ることができる。
【0048】
また、RFIDリーダ/ライタのアンテナを回転させるなどによって、RFIDタグとRFIDリーダ/ライタの相対位置を変更することにより、読み書き環境の影響によるエラーからの早期復帰が可能となる。
【0049】
上記説明のごとく、本実施の形態によれば、読み書き機能が損なわれた不良RFIDラベルの検出を効率的に行うことが可能となるために、高価なRFIDラベルを無駄にすることがない。
【0050】
前記実施の形態では、読み書きエラーとなったRFIDラベルを白紙のまま空送りする例を示したが、本発明はこれに限定することなく、例えば「×」や「不良」「ERROR」等の警句を印字してもよい。
【0051】
なお、上記実施の形態の構成は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態に係るラベルプリンタの内部構成を示す概略側面図である。
【図2】本実施の形態のプリンタで印字を施すロール状のRFIDラベルを示す斜視図である。
【図3】図1のプリンタの制御部を示すブロック図である。
【図4】図1のプリンタが行う処理のフロー図である。
【符号の説明】
【0053】
1 ラベルプリンタ
2 供給手段
3 RFIDリーダ/ライタ
4 印字手段
5 供給軸
6 RFIDラベル用紙
7 プラテンローラ
8 センサ
9 台紙
10 サーマルヘッド(印字ヘッド)
11 供給リール
12 インクリボン
13 発熱素子(印字素子)
14 取出口
15 巻き取りリール
16 アンテナ
17 RFIDラベル
18 上層
19 下層
20 ICチップ
21 アンテナ
22 ミシン目
23 CPU
24 バス
25 ROM
26 RAM
27 ヘッドコントローラ
28 駆動制御コントローラ
29 モータドライバ
30 パルスモータ
31 A/D変換器
32 通信手段(RFIDリーダライタ)
33 通信手段(RFIDタグ)
34 通信インタフェース(通信I/F)
35 ホストコンピュータ
36 キーボード
37 キーボードコントローラ
38 LCD(液晶ディスプレイ)
39 LCDコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグを組み込んだRFIDラベルに対して情報の記録を行う印字装置において、
前記RFIDラベルを搬送する搬送手段と、
RFID読み書き用アンテナを有し、このアンテナによって前記RFIDタグに対して情報の読み書きを行う読み書き手段と、
前記RFIDタグに対して読み書きされた前記情報のエラーを判定する判定手段と、
前記読み書き手段によって読み書きされた前記情報が、前記判定手段によってエラーと判定されたときは、その位置で、または、前記RFIDラベルを前記アンテナによって読み書き可能な範囲内で正方向または逆方向に搬送して、前記RFIDタグに対して前記情報の読み書きを再度行う再読み書き手段と、を備えたことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
RFIDタグを組み込んだRFIDラベルに対して情報の記録を行う印字装置において、
前記RFIDラベルを搬送する搬送手段と、
RFID読み書き用アンテナを有し、このアンテナによって前記RFIDタグに対して情報の読み書きを行う読み書き手段と、
前記RFIDタグに対して読み書きされた前記情報のエラーを判定する判定手段と、
前記読み書き手段によって読み書きされた前記情報が、前記判定手段によってエラーと判定されたときは、前記アンテナの位置を前記RFIDタグに対して変位させた後、前記RFIDタグに対して前記情報の読み書きを再度行う再読み書き手段と、を備えたことを特徴とする印字装置。
【請求項3】
前記アンテナの位置の変位は、前記RFID読み書き用アンテナの回転によって行われることを特徴とする請求項2に記載の印字装置。
【請求項4】
前記判定手段は、判定回数をカウントするカウンタを備えており、前記判定回数が所定回数に達するまでに正常である旨の判定が行われた場合には、前記RFIDラベルに対する印字開始を通知し、正常である旨の判定が行われることなく前記判定回数が前記所定回数に達した場合には、ラベル不良を通知することを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の印字装置。
【請求項5】
前記RFIDタグに対する前記情報の読み書きは、前記RFIDタグを停止させた状態で行うことを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載の印字装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−338179(P2006−338179A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−160097(P2005−160097)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】