説明

印鑑照合装置、印鑑照合方法およびコンピュータプログラム

【課題】鑑照合結果の照合率を向上することが可能な印鑑照合装置を提供する。
【解決手段】本発明の印鑑照合装置は、スキャンされた帳票に含まれる印鑑イメージと帳票の捺印欄の位置情報を含む基準帳票情報とに基づいて、基準帳票情報の捺印欄の位置情報に対する印鑑イメージの変形量を算出する変形量比較処理部と、予め登録された登録印鑑イメージを変形量に基づいて変形した変形登録印鑑イメージを生成する変形処理部と、変形登録印鑑イメージと印鑑イメージとを照合する印鑑照合処理部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帳票に捺印された印鑑の印鑑イメージを登録印鑑イメージと照合する印鑑照合装置、印鑑照合方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、捺印した帳票をファクシミリ(「FAX」とも称する。)等で送信先へ送信すると、帳票に捺印された印鑑の印鑑イメージが変形して、予め登録されている登録印鑑イメージとの照合が困難になる場合がある。このような状況に対して、例えば特許文献1には、帳票の複数の基準枠線や基準点を元に、FAXにより変形した印鑑イメージに補正処理を加え、変形する前のイメージの再現を行う技術が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、変形された帳票の印鑑イメージを補正して、正確な印鑑イメージを確実に取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−274597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、FAX等の画像解像度はあまり高くない。このため、特許文献1に記載の技術のようにFAX等の解像度の低い印鑑イメージに基づいて補正処理を行うと、さらに荒い印鑑イメージとなってしまい、照合結果の照合率が低下する可能性があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、印鑑照合結果の照合率を向上することが可能な、新規かつ改良された印鑑照合装置、印鑑照合方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、スキャンされた帳票に含まれる印鑑イメージと帳票の捺印欄の位置情報を含む基準帳票情報とに基づいて、基準帳票情報の捺印欄の位置情報に対する印鑑イメージの変形量を算出する変形量比較処理部と、予め登録された登録印鑑イメージを変形量に基づいて変形した変形登録印鑑イメージを生成する変形処理部と、変形登録印鑑イメージと印鑑イメージとを照合する印鑑照合処理部と、を備えることを特徴とする、印鑑照合装置が提供される。
【0007】
本発明によれば、印鑑照合の際に、スキャンされた帳票に含まれる印鑑イメージではなく、解像度の高い登録印鑑イメージを変形量に基づき変形させて、2つの印鑑イメージを照合する。これにより、照合する印鑑イメージが粗くなる度合いを抑制することができ、印鑑照合結果の照合率を向上させることができる。
【0008】
変形量比較処理部は、捺印欄の対角にある2点の相対座標についての、基準帳票情報に基づく値と印鑑イメージから取得された値との差異を変形量として算出してもよい。
【0009】
また、変形処理部は、変形量より印鑑イメージが変形していると判定した場合に、登録印鑑イメージを変形量に基づき変形した変形登録印鑑イメージを生成してもよい。このとき、印鑑照合処理部は、印鑑イメージが変形している場合には変形登録印鑑イメージと印鑑イメージとを照合し、印鑑イメージが変形していない場合には登録印鑑イメージと印鑑イメージとを照合する。
【0010】
さらに、印鑑照合処理部は、変形登録印鑑イメージと印鑑イメージとを照合し、照合率を算出してもよい。
【0011】
本発明の印鑑照合装置は、照合した2つのイメージを重ね合わせた重ね合わせ画像を生成して表示部に表示させる表示処理部をさらに備えてもよい。変形処理部は、印鑑イメージを変形量に基づいて、基準帳票情報の捺印欄の位置情報に対する変形量がなくなるように変形して変形印鑑イメージを生成し、表示処理部は、変形印鑑イメージと、登録印鑑イメージとを重ね合わせて重ね合わせ画像を生成する。
【0012】
変形処理部は、変形量より印鑑イメージが変形していると判定した場合に、印鑑イメージを変形量に基づき変形した変形印鑑イメージを生成してもよい。このとき、表示処理部は、印鑑イメージが変形している場合には登録印鑑イメージと変形印鑑イメージとを重ね合わせ、印鑑イメージが変形していない場合には登録印鑑イメージと印鑑イメージとを重ね合わせる。
【0013】
表示処理部は、少なくとも重ね合わせ画像および照合率を表示部に表示させてもよい。
【0014】
さらに、表示処理部は、重ね合わせ画像を構成する登録印鑑イメージおよび印鑑イメージを表示部に表示させてもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、スキャンされた帳票に含まれる印鑑イメージと帳票の捺印欄の位置情報を含む基準帳票情報とに基づいて、基準帳票情報の捺印欄の位置情報に対する印鑑イメージの変形量を算出するステップと、予め登録された登録印鑑イメージを変形量に基づいて変形した変形登録印鑑イメージを生成するステップと、変形登録印鑑イメージと印鑑イメージとを照合するステップと、を含むことを特徴とする、印鑑照合方法が提供される。
【0016】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、スキャンされた帳票に含まれる印鑑イメージと帳票の捺印欄の位置情報を含む基準帳票情報とに基づいて、基準帳票情報の捺印欄の位置情報に対する印鑑イメージの変形量を算出する変形量比較処理部と、予め登録された登録印鑑イメージを変形量に基づいて変形した変形登録印鑑イメージを生成する変形処理部と、変形登録印鑑イメージと印鑑イメージとを照合する印鑑照合処理部と、を備えることを特徴とする印鑑照合装置として機能させるコンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、印鑑照合結果の照合率を向上することが可能な印鑑照合装置、印鑑照合方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る印鑑照合システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る印鑑照合システムの印鑑照合サーバおよびオペレータ処理用端末の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】同実施形態に係る印鑑照合システムによる処理の流れを示す説明図である。
【図4】同実施形態に係るオペレータ処理用端末による印鑑照合処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】照合結果画面の一例を示す説明図である。
【図6】同実施形態に係るオペレータ処理用端末等のハードウェア一構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<1.印鑑照合システムの概略構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る印鑑照合システムの概略構成について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る印鑑照合システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
本実施形態に係る印鑑照合システム1は、予め登録された登録印鑑イメージと、FAX等でスキャンされ送信された印鑑イメージ(受信印鑑イメージ)とを照合するためのシステムである。印鑑照合システム1は、図1に示すように、印鑑照合サーバ100と、公衆回線網400を介してFAX500と接続されたFAXサーバ200と、印鑑照合サーバ100およびFAXサーバと接続され、印鑑照合処理を行う印鑑照合装置であるオペレータ処理用端末300とからなる。
【0022】
印鑑照合サーバ100は、登録印鑑イメージ、FAX等から受信した帳票の受信印鑑イメージ、そして、帳票に関する情報(基準帳票情報)を保持し、オペレータ処理用端末300からの要求に応じてこれらの情報を提供するサーバである。登録印鑑イメージ、受信印鑑イメージ、および帳票基準情報は、印鑑照合サーバ100のデータベース110に記録されている。
【0023】
FAXサーバ200は、公衆回線網400を介して接続されたFAX500からの帳票データを受信する。FAXサーバ200は、受信した帳票データを印鑑照合サーバ100へ送信する。帳票データには受信印鑑イメージが含まれている。
【0024】
オペレータ処理用端末300は、登録印鑑イメージと受信印鑑イメージとの照合処理を行う装置であって、1または複数(図1では3台)のオペレータ処理用端末300が印鑑照合サーバ100と接続されている。本実施形態に係るオペレータ処理用端末300は、照合対象の登録印鑑イメージおよび受信印鑑イメージを印鑑照合サーバ100から取得し、照合処理を行う。このとき、オペレータ処理用端末300は、受信印鑑イメージの変形量を算出して、その変形量だけ登録印鑑イメージを変形させた後、受信印鑑イメージと変形後の登録印鑑イメージとを照合する。このように、FAX500で受信した解像度の低い受信印鑑イメージを補正する代わりに、解像度の高い登録印鑑イメージを変形することで、イメージの粗さを抑え、印鑑照合結果の照合率を向上させることができる。
【0025】
このような印鑑照合システム1の構成とこれによる印鑑照合処理について、以下詳細に説明していく。
【0026】
<2.機能構成>
図2は、本実施形態に係る印鑑照合システム1の印鑑照合サーバ100およびオペレータ処理用端末300の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0027】
[印鑑照合サーバ100]
印鑑照合サーバ100は、図2に示すように、データベース110と、登録印鑑イメージ情報取得処理部120と、基準帳票情報取得処理部130と、受信帳票イメージ情報取得処理部140と、照合用情報送信部150とを備える。
【0028】
データベース110は、印鑑の照合処理に必要な情報を記憶する記憶部であって、例えば、登録印鑑イメージ情報や基準帳票情報、受信帳票イメージ情報等を記憶する。データベース110には、後述する登録印鑑イメージ情報取得処理部120により登録印鑑イメージ情報が記録され、後述する基準帳票情報取得処理部130により基準帳票情報が記録される。また、後述する受信帳票イメージ情報取得処理部140により受信帳票イメージ情報が記録される。また、データベース110に記憶された情報は、後述する照合用情報送信部150により取得され、オペレータ処理用端末300へ送信される。
【0029】
登録印鑑イメージ情報取得処理部120は、顧客の登録印鑑イメージを取得し、データベース110へ記録する。登録イメージ情報取得処理部120は、顧客より予め届けられた印鑑のイメージを取得し、データベース110(図3の登録印鑑イメージ情報記憶部112)に記録する。
【0030】
基準帳票情報取得処理部130は、基準帳票情報を取得し、データベース110へ記録する。基準帳票情報とは、帳票の基準枠線情報と、捺印欄の位置情報(座標データ)とを含む情報である。当該情報より、印鑑が捺印された位置を特定することができる。基準帳票情報取得処理部130は、取得した基準帳票情報を、データベース(図3の基準帳票情報記憶部114)に記録する。
【0031】
受信帳票イメージ情報取得処理部140は、公衆回線網400を介してFAX500から受信したFAXサーバ200から受信帳票イメージ情報を取得し、データベース110へ記録する。受信帳票イメージ情報取得処理部140は、受信した受信帳票イメージ情報をデータベース(図3の受信帳票イメージ情報記憶部116)に記録する。
【0032】
照合用情報送信部150は、オペレータ処理用端末300からの要求に応じて、要求された顧客の登録印鑑イメージ情報、受信帳票イメージ情報、および基準帳票情報をデータベース110から取得し、オペレータ処理用端末300へ送信する。
【0033】
[オペレータ処理用端末300]
印鑑照合処理を行う印鑑照合装置であるオペレータ処理用端末300は、照合用情報受信部310と、印鑑イメージ切り出し部320と、変形量比較処理部330と、印鑑イメージ変形・補正処理部340と、印鑑照合処理部350と、重ね合わせ画面表示処理部360と、表示部370とからなる。
【0034】
印鑑イメージ切り出し部320は、受信帳票イメージ情報および基準帳票情報に基づいて、受信帳票イメージ情報を取得する。印鑑イメージ切り出し部320は、基準帳票情報より受信帳票イメージ情報より、印鑑が捺印された位置を特定し、印鑑の捺印された部分を受信印鑑イメージ情報として切り出す。印鑑イメージ切り出し部320は、受信印鑑イメージ情報を変形量比較処理部330へ出力する。
【0035】
変形量比較処理部330は、印鑑イメージ切り出し部320により切り出された受信印鑑イメージと、基準帳票情報の捺印欄の位置情報とを比較して、受信印鑑イメージの変形量を算出する。変形量比較処理では、例えば、捺印欄の対角にある2点の相対座標についての、基準帳票情報に基づく値と印鑑イメージから取得された値との差異を変形量として算出する。具体的には、捺印欄の左上隅を基準点として捺印欄の右下隅までの相対座標を算出し、基準帳票情報の正常な捺印欄の位置情報に対する、受信印鑑イメージの相対座標の差異を変形量とする処理が行われる。算出された変形量は、印鑑イメージ変形・補正処理部340および印鑑照合処理部350へ出力される。
【0036】
印鑑イメージ変形・補正処理部340は、変形量比較処理部330にて算出された受信印鑑イメージの変形量に基づいて、受信印鑑イメージや登録印鑑イメージを変形・補正する変形処理部である。印鑑イメージ変形・補正処理部340は、後述する印鑑照合処理部350による照合処理のため、登録印鑑イメージを変形量だけ変形させる。登録印鑑イメージの変形処理は、例えば、変形量、例えば捺印欄の対角にある2点(具体的には、捺印欄の左上隅から右下隅まで)の相対座標の差異に応じて、登録印鑑イメージを拡大または縮小して変形させる。また、印鑑イメージ変形・補正処理部340は、後述する表示部370に照合結果を表示する際に、受信印鑑イメージを正常な印鑑イメージに近づくように変形量に基づき拡大または縮小して変形する。このように、印鑑イメージ変形・補正処理部340により変形・補正された印鑑イメージは、印鑑照合処理部350または重ね合わせ画面表示処理部360へ出力される。
【0037】
印鑑照合処理部350は、印鑑イメージ変形・補正処理部340により変形された登録印鑑イメージと受信印鑑イメージとを照合し、照合率を算出する。そして、印鑑照合処理部350は、照合率を照合結果として表示部370へ出力して表示させる。
【0038】
重ね合わせ画面表示処理部360は、印鑑イメージ変形・補正処理部340により変形された受信印鑑イメージと登録印鑑イメージとを重ね合わせた画像を表示部370に表示させるための重ね合わせ画像を作成する表示処理部である。登録印鑑イメージを変形して表示することは業務上問題となるため、ここでは受信印鑑イメージを変形して表示部370に表示させる。重ね合わせ画面表示処理部360は、作成した重ね合わせ画像を含む照合結果画面の情報を表示部370へ出力する。
【0039】
表示部370は、情報を表示する表示装置であって、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を用いることができる。表示部370には、印鑑照合処理部350により算出された照合率や重ね合わせ画像表示処理部360により作成された照合結果画面等が表示される。後述する図5に示すように、照合結果画面には、登録印鑑イメージや受信印鑑イメージを表示してもよい。
【0040】
<3.印鑑照合処理>
このような機能を有する印鑑照合システム1は、図3および図4に示すような処理により、予め登録された印鑑イメージ(登録印鑑イメージ)と、FAX等によりスキャンされ受信した帳票に捺印された印鑑イメージ(受信印鑑イメージ)とを照合する。図3は、本実施形態に係る印鑑照合システム1による処理の流れを示す説明図である。図4は、本実施形態に係るオペレータ処理用端末300による印鑑照合処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
[3−1.前準備処理]
オペレータ処理用端末300による印鑑照合処理の前準備として、印鑑照合サーバ100により印鑑照合処理に必要な情報の取得が行われる。具体的には、図3の処理(1)〜(3)が前準備として行われる。
【0042】
まず、印鑑照合サーバ100は、予め顧客の登録印鑑のイメージデータを登録印鑑イメージとして登録印鑑イメージ情報記憶部112に記憶させる(処理(1))。登録印鑑のイメージデータは、例えば顧客から登録印鑑の情報を受けたとき等に登録印鑑イメージ情報記憶部112に記録することができる。
【0043】
また、印鑑照合サーバ100は、変形されていない未記載の帳票イメージ600から罫線情報と捺印欄602の位置情報とを基準帳票情報として数値化し、基準帳票情報記憶部114に記憶させる(処理(2))。基準帳票情報は、帳票の種類毎に予め取得して基準帳票情報記憶部114に記憶させてもよく、オペレータが必要に応じて基準帳票情報記憶部114に記憶させてもよい。
【0044】
そして、印鑑照合サーバ100は、FAX500等により送信された捺印された帳票をFAXサーバ200で受信し、当該受信帳票イメージ610を受信帳票イメージ情報として受信帳票イメージ情報記憶部116に記憶させる(処理(3))。本実施形態では、受信帳票イメージ情報記憶部116には、捺印欄612を含む受信帳票イメージ610全体を記憶している。
【0045】
このように、印鑑照合処理を行う前準備として、印鑑照合サーバ100のデータベース110に、登録印鑑イメージ、基準帳票情報および受信帳票イメージが記憶される。
【0046】
[3−2.印鑑照合処理]
オペレータ処理用端末300では、印鑑照合サーバ100に登録された各情報を用いて、受信帳票イメージ610内の被照合印鑑イメージと登録印鑑イメージとの照合が行われる。以下では、図3および図4に基づき印鑑照合処理の説明を行う。
【0047】
まず、オペレータ処理用端末300の照合用情報受信部310は、照合対象である受信帳票イメージ610を印鑑照合サーバ100の受信帳票イメージ情報記憶部116から取得する(S100)。そして、印鑑イメージ切り出し部320は、照合用情報受信部310により取得された受信帳票イメージ610から印鑑イメージ(受信印鑑イメージIMG2)を捺印欄612も含めて取得する(S102)。印鑑イメージ切り出し部320は、例えば捺印欄612をフォーマット認識して特定したり、あるいは、印鑑の押印位置から捺印欄612を特定したりする等の方法により、受信印鑑イメージIMG2を切り出すことができる。図4のステップS100およびS102の処理は、図3の処理(4)に対応する。
【0048】
次いで、照合用情報受信部310は、照合対象の印鑑が捺印された帳票の基準帳票情報を印鑑照合サーバ100の基準帳票情報記憶部114から取得する(S104)。基準帳票情報には、上述したように、帳票の罫線情報や捺印欄の位置情報(座標データ)が含まれている。取得した基準帳票情報は、印鑑イメージ切り出し部320へ出力される。図4のステップS104の処理は、図3の処理(5)に対応する。
【0049】
印鑑イメージ切り出し部320が取得した受信印鑑イメージIMG2および基準帳票情報は、変形量比較処理部330へ出力される。変形量比較処理部330は、受信印鑑イメージIMG2と基準帳票情報に含まれる捺印欄の位置情報とに基づいて、受信印鑑イメージの変形量を取得する(S106)。変形量比較処理部330は、例えば、捺印欄の対角にある2点のうち1点(具体的には例えば左上隅)を基準点として、捺印欄の対角にある2点のうちの他の1点(具体的には例えば右下隅)までの相対座標を求め、基準帳票情報に含まれる正常な捺印欄の位置情報に対する受信印鑑イメージIMG2の相対座標の差異を変形量として求める。図4のステップS106の処理は、図3の処理(6)に対応する。
【0050】
一方、照合用情報受信部310は、さらに照合対象の登録印鑑イメージIMG1を登録印鑑イメージ記憶部112から取得する(S108)。取得した登録印鑑イメージIMG1は、印鑑イメージ変形・補正処理部340および重ね合わせ画面表示処理部360へ出力される。図4のステップS108の処理は、図3の処理(7)に対応する。
【0051】
次いで、印鑑イメージ変形・補正処理部340は、変形量比較処理部330にて算出された変形量より、受信印鑑イメージIMG2が正常な状態から変形しているか否かを判定する(S110)。当該判定は、例えば算出した変形量を所定の基準変形量と比較することにより行うことができる。印鑑イメージ変形・補正処理部340は、算出した変形量が基準変形量より大きい場合には、受信印鑑イメージIMG2は変形していると判定し、ステップS108にて取得した登録印鑑イメージIMG1を、変形量比較処理部330にて算出された受信印鑑イメージIMG2の変形量に基づき変形させる。(S112)。
【0052】
ステップS112では、変形のない登録印鑑イメージIMG1を受信印鑑イメージIMG2に近づけるように拡大または縮小させ、登録印鑑イメージIMG1を受信印鑑イメージIMG2と同じ変形をした状態にする。これにより、被照合印鑑イメージである受信印鑑イメージIMG2と照合可能な変形登録印鑑イメージIMG1aが生成される。登録印鑑イメージIMG1は、FAX500等で受信した受信印鑑イメージIMG2と比較して解像度が高い。解像度の高い登録印鑑イメージIMG1を変形させることで、イメージが粗くなる度合いを抑制することができ、印鑑照合結果の照合率を向上させることができる。なお、図4のステップS112の処理は、図3の処理(8)に対応する。
【0053】
一方、ステップS110にて変形量が基準変形量以下である場合には、印鑑イメージ変形・補正処理部340は、受信印鑑イメージIMG2は変形していないと判定し、ステップS112の処理を行わず、ステップS114の処理へ進む。
【0054】
その後、印鑑照合処理部350は、印鑑イメージを照合し、2つの印鑑イメージの照合率を算出する(S114)。印鑑照合処理部350は、ステップS112にて登録印鑑イメージIMG1が変形された場合には、図3に示すように、変形登録印鑑イメージIMG1aと受信印鑑イメージIMG2とを照合する。一方、受信印鑑イメージIMG2が変形しておらず、登録印鑑イメージIMG1を変形した登録印鑑イメージIMG1aが生成されていない場合には、印鑑照合処理部350は、登録印鑑イメージIMG1と受信印鑑イメージIMG2とを照合する。
【0055】
印鑑の照合処理は、既存の手法を用いて行うことができ、照合結果として例えば照合率が出力される。照合率は、数値が高いほど2つの印鑑イメージが類似することが示し、照合率が所定の値以上である場合にこれらの印鑑イメージは同一であるとみなすことができる。図4のステップS114の処理は、図3の処理(9)に対応する。
【0056】
印鑑イメージの照合が行われると、照合結果をオペレータに通知するための処理が行われる。まず、印鑑イメージ変形・補正処理部340は、受信印鑑イメージIMG2の変形の有無を判定する(S116)。ステップS116の処理は、ステップS110と同様に行うことができる。そして、印鑑イメージ変形・補正処理部340は、受信印鑑イメージIMG2が変形されていると判定した場合には、受信印鑑イメージIMG2を変形量に基づいて変形する(S118)。
【0057】
ステップS118は、オペレータに照合結果を通知するための処理であり、登録印鑑イメージIMG1を変形させて表示するのは業務上問題がある。このため、ステップS118では、受信印鑑イメージIMG2を登録印鑑イメージIMG1に近づけるように変形量だけ拡大または縮小させ、変形受信印鑑イメージIMG2aを生成する。すなわち、ステップS118では、受信印鑑イメージIMG2が正常な印鑑イメージに対する変形量がなくなるように変形される。これにより、オペレータに対して照合結果をわかりやすく通知することが可能となる。図4のステップS118の処理は、図3の処理(10)に対応する。
【0058】
一方、ステップS116にて変形量が基準変形量以下である場合には、印鑑イメージ変形・補正処理部340は、受信印鑑イメージIMG2は変形していないと判定し、ステップS118の処理を行わず、ステップS120の処理へ進む。
【0059】
その後、重ね合わせ画面表示処理部360により、2つの印鑑イメージを重ね合わせた画像が生成されるとともに、照合結果をオペレータに通知するために表示部370に表示する照合結果画面が生成される。重ね合わせ画像は、登録印鑑イメージIMG1と、変形受信印鑑イメージIMG2a(受信印鑑イメージIMG2が変形している場合)または受信印鑑イメージIMG2(受信印鑑イメージIMG2が変形していない場合)とを重ねた画像である。生成された照合結果画面は、表示部370に表示される(S120)。図4のステップS120の処理は、図3の処理(11)に対応する。
【0060】
照合結果画面371の一例を図5に示す。照合結果画面371には、図5に示すように、登録印鑑に対応する口座明細情報372や登録印鑑情報373、受信印鑑情報374、照合結果情報375、照合率376等が表示される。照合結果画面371の登録印鑑情報373には登録印鑑イメージIMG1が表示される。また、受信印鑑情報374には、受信印鑑イメージIMG2が変形している場合には変形受信印鑑イメージIMG2aが表示され、受信印鑑イメージIMG2が変形していない場合には受信印鑑イメージIMG2が表示される。この際、変形受信印鑑イメージIMG2aを表示させる場合には、オペレータが変形されたイメージが表示されていることを認識できるように、例えば「受信印鑑(形状変形表示)」等と画面上に表示させてもよい。そして、照合結果情報375には、重ね合わせ画面表示処理部360により生成された重ね合わせ画像が表示され、照合率376には、印鑑照合処理部350により算出された照合率が表示される。
【0061】
以上、本実施形態に係る印鑑照合システム1の構成とこれによる印鑑照合処理について説明した。本実施形態に係る印鑑照合システム1では、印鑑照合の際に、FAX500により送信され受信した受信帳票イメージ610の受信印鑑イメージIMG2ではなく、解像度の高い登録印鑑イメージIMG1を、帳票送信時に生じた変形量に基づき変形させて、2つの印鑑イメージを照合する。これにより、照合する印鑑イメージが粗くなる度合いを抑制することができ、印鑑照合結果の照合率を向上させることができる。
【0062】
<4.ハードウェア構成例>
本実施形態に係る印鑑照合システム1の印鑑照合サーバ100、FAXサーバ200、オペレータ処理用端末300の各処理は、典型的には、ソフトウェアを用いて実行される。ソフトウェアを用いて各処理を実行する場合には、ソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ、または例えば図6に示したハードウェア構成を有する汎用コンピュータなどを用いて実行される。図6は、オペレータ処理用端末300のハードウェア構成の一例を示しているが、印鑑照合サーバ100およびFAXサーバ200も同様に構成することができる。
【0063】
図6に示すように、オペレータ処理用端末300において、CPU902は、オペレータ処理用端末300の動作全般を制御する。ROM(Read Only Memory)904には、一連の処理の一部又は全部を記述したプログラム及び制御データ等が格納される。RAM(Random Access Memory)906には、CPU902により用いられるプログラムやデータ等が処理の実行時に一時的に記憶される。
【0064】
CPU902、ROM904、及びRAM906は、内部バス908を介して相互に接続される。内部バス908にはさらに、入出力インタフェース910が接続される。入出力インタフェース910は、CPU902、ROM904、およびRAM906と、表示部912、入力部914、音声出力部915、HDD916、ドライブ917、ネットワークインタフェース918および外部インタフェース919とを接続する。
【0065】
表示部912は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)などを用いて、ユーザに画面を表示する。入力部914は、例えばボタン、スイッチ、レバー、マウスやキーボードなどの入力手段を介して、ユーザからの指示やデータの入力を受け付ける。音声出力部915は、例えばスピーカ等であって、音声をユーザに伝達する。
【0066】
HDD916はプログラムやデータの記憶に用いられる。ドライブ917は、例えば光ディスク、又はフラッシュメモリを始めとする半導体メモリなどの記憶媒体の読取装置であって、HDD916と同様にプログラムやデータが記録された記憶媒体の情報を読み取ったり、記憶媒体へ情報を書き込んだりする。ネットワークインタフェース918および外部インタフェース919は、ネットワークを介する通信処理を仲介する。
【0067】
各処理をソフトウェアで実行する場合には、例えばROM904、HDD916あるいはドライブ917により読取可能な記憶媒体に格納されたプログラムが、実行時にRAM906に読み込まれ、CPU902によって実行される。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0069】
例えば、上記実施形態では、受信印鑑イメージは、FAX500によりスキャンされて送信された帳票に含まれる画像であったが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、受信印鑑イメージは、スキャナ等でスキャンされた後にメール等で送信された帳票イメージに含まれるものであってもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、図4のステップS110およびS116にて受信印鑑イメージの変形の有無を確認し、受信印鑑イメージが変形されている場合にのみ登録印鑑イメージや受信印鑑イメージを変形させたが、本発明はかかる例に限定されない。ステップS110およびS116の処理は必ずしも実行しなくともよく、この場合、変形量比較処理部330にて算出された変形量に基づき、印鑑イメージ変形・補正処理部340により変形される。
【0071】
さらに、上記実施形態では、オペレータ処理用端末300にて印鑑照合処理を行ったが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、オペレータ処理用端末300では照合対象を特定する情報を送信して印鑑照合サーバ100に印鑑照合処理を実行させてもよい。このとき、印鑑照合サーバ100は、印鑑イメージ切り出し部320、変形量比較処理部330、印鑑イメージ変形・補正処理部340、印鑑照合処理部350、重ね合わせ画面表示処理部360の機能を備えるものとする。そして、印鑑照合サーバ100は、印鑑照合処理による照合結果をオペレータ処理用端末300へ送信し、オペレータ処理用端末300の表示部370に当該照合結果を表示させてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 印鑑照合システム
100 印鑑照合サーバ
110 データベース
112 登録印鑑イメージ情報記憶部
114 基準帳票情報記憶部
116 受信帳票イメージ情報記憶部
120 登録印鑑イメージ情報取得処理部
130 基準帳票情報取得処理部
140 受信帳票イメージ情報取得処理部
150 照合用情報送信部
200 FAXサーバ
300 オペレータ処理用端末
310 照合用情報受信部
320 印鑑イメージ切り出し部
330 変形量比較処理部
340 印鑑イメージ変形・補正処理部
350 印鑑照合処理部
360 重ね合わせ画面表示処理部
370 表示部
400 公衆回線網
500 FAX


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャンされた帳票に含まれる印鑑イメージと前記帳票の捺印欄の位置情報を含む基準帳票情報とに基づいて、前記基準帳票情報の捺印欄の位置情報に対する前記印鑑イメージの変形量を算出する変形量比較処理部と、
予め登録された登録印鑑イメージを前記変形量に基づいて変形した変形登録印鑑イメージを生成する変形処理部と、
前記変形登録印鑑イメージと前記印鑑イメージとを照合する印鑑照合処理部と、
を備えることを特徴とする、印鑑照合装置。
【請求項2】
前記変形量比較処理部は、捺印欄の対角にある2点の相対座標についての、前記基準帳票情報に基づく値と前記印鑑イメージから取得された値との差異を前記変形量として算出することを特徴とする、請求項1に記載の印鑑照合装置。
【請求項3】
前記変形処理部は、前記変形量より前記印鑑イメージが変形していると判定した場合に、前記登録印鑑イメージを前記変形量に基づき変形した前記変形登録印鑑イメージを生成し、
前記印鑑照合処理部は、前記印鑑イメージが変形している場合には前記変形登録印鑑イメージと前記印鑑イメージとを照合し、前記印鑑イメージが変形していない場合には前記登録印鑑イメージと前記印鑑イメージとを照合することを特徴とする、請求項1または2に記載の印鑑照合装置。
【請求項4】
前記印鑑照合処理部は、前記変形登録印鑑イメージと前記印鑑イメージとを照合し、照合率を算出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の印鑑照合装置。
【請求項5】
照合した2つのイメージを重ね合わせた重ね合わせ画像を生成して表示部に表示させる表示処理部をさらに備え、
前記変形処理部は、前記印鑑イメージを前記変形量に基づいて、前記基準帳票情報の捺印欄の位置情報に対する変形量がなくなるように変形して変形印鑑イメージを生成し、
前記表示処理部は、前記変形印鑑イメージと、前記登録印鑑イメージとを重ね合わせて前記重ね合わせ画像を生成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の印鑑照合装置。
【請求項6】
前記変形処理部は、前記変形量より前記印鑑イメージが変形していると判定した場合に、前記印鑑イメージを前記変形量に基づき変形した前記変形印鑑イメージを生成し、
前記表示処理部は、前記印鑑イメージが変形している場合には前記登録印鑑イメージと前記変形印鑑イメージとを重ね合わせ、前記印鑑イメージが変形していない場合には前記登録印鑑イメージと前記印鑑イメージとを重ね合わせることを特徴とする、請求項5に記載の印鑑照合装置。
【請求項7】
前記表示処理部は、少なくとも前記重ね合わせ画像および前記照合率を前記表示部に表示させることを特徴とする、請求項5または6に記載の印鑑照合装置。
【請求項8】
前記表示処理部は、前記重ね合わせ画像を構成する登録印鑑イメージおよび印鑑イメージをさらに前記表示部に表示させることを特徴とする、請求項7に記載の印鑑照合装置。
【請求項9】
スキャンされた帳票に含まれる印鑑イメージと前記帳票の捺印欄の位置情報を含む基準帳票情報とに基づいて、前記基準帳票情報の捺印欄の位置情報に対する前記印鑑イメージの変形量を算出するステップと、
予め登録された登録印鑑イメージを前記変形量に基づいて変形した変形登録印鑑イメージを生成するステップと、
前記変形登録印鑑イメージと前記印鑑イメージとを照合するステップと、
を含むことを特徴とする、印鑑照合方法。
【請求項10】
コンピュータを、
スキャンされた帳票に含まれる印鑑イメージと前記帳票の捺印欄の位置情報を含む基準帳票情報とに基づいて、前記基準帳票情報の捺印欄の位置情報に対する前記印鑑イメージの変形量を算出する変形量比較処理部と、
予め登録された登録印鑑イメージを前記変形量に基づいて変形した変形登録印鑑イメージを生成する変形処理部と、
前記変形登録印鑑イメージと前記印鑑イメージとを照合する印鑑照合処理部と、
を備えることを特徴とする印鑑照合装置として機能させるコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−247994(P2012−247994A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119136(P2011−119136)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
【Fターム(参考)】