即放性形態および徐放性形態のトラマドールを有するマルチパーティキュレート処方物
【課題】 トラマドールまたはその塩を含有する即放性粒子および徐放性粒子の薬学的組成物を提供する。
【解決手段】 この組成物は、被験体に経口投与後、実質的にpH非依存的様式でトラマドールまたはその塩の即放性放出および徐放性放出を提供する。この組成物は、カプセル、キャプレット、包または他の固体剤形中に含まれ、これらの剤形は、固体の薬学的組成物を維持し、次いで放出するように適合されている。
【解決手段】 この組成物は、被験体に経口投与後、実質的にpH非依存的様式でトラマドールまたはその塩の即放性放出および徐放性放出を提供する。この組成物は、カプセル、キャプレット、包または他の固体剤形中に含まれ、これらの剤形は、固体の薬学的組成物を維持し、次いで放出するように適合されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験体への経口投与後にトラマドールを二段階放出させるための、トラマドールを含有するマルチパーティキュレート処方物に関する。より詳細には、本発明は、即放性放出と徐放性放出とを組み合わせたトラマドールの放出を提供するマルチパーティキュレート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トラマドールは、中枢作用合成鎮痛薬である。トラマドールは、一般的にはその2つの光学異性体のラセミ混合物として投与される。塩酸トラマドールの既知の物理的特性のいくつかを以下に挙げる:a)水への溶解度:790mg/mL(24℃において);b)水への溶解度:840mg/mL(37℃において);c)飽和溶液のpH:5.0;d
)飽和溶液の密度:1.1079(37℃において);e)37℃における粘度(飽和溶
液):86.5cp;およびf)DSC融点:181.3℃。
【0003】
トラマドールの光学異性体は、種々のレセプターに対して異なる親和性を示す。(+/−)−トラマドールは、ミューレセプターの選択的アゴニストであり、優先的にセロトニン再摂取を示すが、(−)−トラマドールは、主にノルアドレナリン再摂取を示す。これら2つの光学異性体の作用は、相補的かつ相乗的であり、(+/−)−トラマドールの鎮痛作用をもたらす。ULTRAM(登録商標)の経口投与後、塩酸トラマドールは、68%のバイオアベイラビリティーを示し、2時間以内にピークの血清中濃度に達する。この排出反応は、100mgの経口単回投与後、5.1時間のトラマドール半減期および9時間のM1誘導体半減期を持ち、2−コンパートメント反応と記載され得る。これは、親薬剤とそのM1誘導体の約2倍の蓄積を説明し、これは、塩酸トラマドールでの複数回投与処置の間に観察される。
【0004】
塩酸トラマドールの推奨1日量は、4〜6時間毎に50mg〜100mgであり、最大用量は400mg/日;即放性塩酸トラマドール(100mg)の経口単回投与後の鎮痛効果持続時間は約6時間である。副作用および特に吐き気は用量に依存するため、添加用量が多い場合に現れる傾向がかなり強い。処置の初日の間のこの投与量の低減は耐容性の向上において重要な因子である。他の副作用は、一般的にはオピオイドの副作用と類似しているが、これらは通常それほど重篤ではなく、呼吸抑制、不快気分、および便秘などが挙げられ得る。トラマドールは、他の鎮痛剤、特に末梢作用を伴う鎮痛剤と同時に投与され得るが、CNS機能を抑制する薬物は、トラマドールの鎮痛効果を増強し得る。
【0005】
ラセミトラマドールは、50mgの即放性錠剤として商品名ULTRAM(登録商標)(Ortho−McNeil)で市販されており、この錠剤は、以下から構成される:a)塩酸トラマドール50mg;b)コーンスターチ;c)微結晶性セルロース;d)ラクトース;e)ステアリン酸マグネシウム;f)デンプングリコール酸ナトリウム;g)HPMC;h)PEG;i)ポリソルベート80;j)二酸化チタン;およびk)ワックス。
【0006】
トラマドールを含有する徐放性(Extended/controlled release)剤形は、商品名RALIVIRA(登録商標)ERで市販されている。ビーズ、顆粒、ペレット、粉末またはマルチパーティキュレート形態のトラマドールを含有するカプセル処方物が文献中で報告されている。特許文献および化学文献によって、トラマドールの徐放性放出(controlled,extended or sustained
release)および即放性放出を提供する錠剤またはカプセル処方物が開示されている。
【0007】
徐放性形態の粒状の塩酸トラマドールを含有するカプセルの投与は食事によって影響されないことが文献で報告されているが、関連する処方物が、SMB Technologies or Laboratoiries SMB SA(Brussels,Belgium)の処方物として唯一定義された。同様の結果が、徐放性形態のペレット化された塩酸トラマドールを含有するカプセルについて報告された(Asta Medica
Group or Temmler Pharma Gmbh;Marburg,Germany)。
【0008】
いくつかの特許文献および参考文献は、内部徐放コアを被膜する外部即放層を有する複層コーティングされたビーズまたは球を使用することを示唆している。他の参考文献は、カプセル内に含まれる即放性粒子およびコーティングされた徐放性粒子の混合物の使用を示唆している。いくつかの参考文献は放出速度制御膜として半透膜を用いることを開示しており、これらの参考文献のいくつかは、その半透膜を微細孔コーティングに転換するためにその膜にポアフォーマを用いることを示唆している。これらの参考文献の大部分は、徐放性ビーズのまわりに放出速度制御コーティングを形成するためにエチルセルロース、酢酸セルロース、またはEUDRAGIT(登録商標)という商品名のポリ(メタクリレート)−コ−(メチルメタクリレート)コポリマーを使用している。
【0009】
米国特許第6,156,342号は、2種類の異なるペレットまたは錠剤である、即放性のペレットまたは錠剤と徐放性のペレットまたは錠剤とを含有するカプセルを開示している。この徐放性ペレットは、酢酸セルロース、EUDRAGIT(登録商標)S100、トリアセチン、PEG400および製菓用の砂糖を含有する微細孔膜を含む。この徐放性ペレットまたは徐放性錠剤からの塩酸トラマドールの放出は、pH依存的であるようであり、人工胃液(simulated gastric fluid(SGF))と人工腸液(simulated intestinal fluid(SIF))との比で計算される場合、トラマドール放出においてかなり大きくかつ顕著な差異がある。
【0010】
トラマドールのpH依存的徐放は、薬物の徐放における再現性の欠如によって実質的な複数の患者間および一人の患者における変動性を生じるので、望ましくない。詳細には、この薬物の吸収速度は腸を通過する際に変化し得るので、何人かの患者は他の患者よりも実質的により早く制御された速度で薬物を受容することとなる。この影響は、剤形が食事を与えられた状態および絶食の状況下で研究される場合に観察される薬物動力学において観察される差異であり得る。典型的には、この剤形は、絶食状態よりも食事を与えられた状態のほうが長時間胃の中に留まり、このことが、胃および腸におけるこの剤形からの薬物放出の量を変化させる。食事を与えられた状態および絶食状態の薬物動力学におけるこの差異についての他の理由は、下部消化管に対して胃腸管の方が薬物の吸収がより高いためであり得る。この場合において、胃におけるより長い滞留が、上部消化管により大量の薬物を暴露させることによってより大きな吸収をもたらし得る。高用量で早すぎる速度で投与された場合、トラマドールの潜在的な毒性によってpH依存的徐放があまり望ましくないものとなる。
【0011】
既知の技術のいずれも、徐放性粒子からのトラマドールの放出が実質的にpH非依存的である、即放性および徐放性を組み合わせたトラマドールのマルチパーティキュレート剤形を開示していない。従って、薬物の徐放において任意の実質的なpH依存性の欠如を示す、改良された即放性および徐放性を組み合わせたマルチパーティキュレート剤形が必要とされており、それによって複数の患者間または一人の患者における変動性をほとんどなくしてより再現性のある薬物放出特性がもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、この技術固有の不都合のいくつかまたはすべてを克服することを目的としている。本発明は、少なくとも2種類の粒子の異なる集合を含有する粒子組成物を含有するカプセルからの、トラマドールの即放および徐放の二段階放出を提供する。第1の粒子の集合は、経口投与された場合かまたは水環境に暴露された場合、トラマドールの即放を提供する。第2の粒子の集合は、経口投与された場合かまたは水環境に暴露された場合、トラマドールの徐放を提供する。徐放性粒子からのトラマドールの放出は実質的にはpH非依存的であり、このことは、徐放性粒子からのトラマドールの放出が人工胃液と人工腸液で比較される場合、所定の時点における放出速度または放出されたトラマドールの総量において10%未満、5%未満、または2.5%未満の差異が存在することを意味している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のマルチパーティキュレート組成物およびマルチパーティキュレート剤形は、被験体に1日1回投与される。これらは、痛みおよびトラマドールに治療的に応答する他の適応症、障害または症状の処置に適している。トラマドール(遊離塩基または塩)は、哺乳類の中程度乃至中程度に重篤な痛みの管理に必要とされている。例えば、この組成物は、抜歯、分娩、関節炎、外傷、または炎症に関する痛みを処置するために投与される。この組成物は、他の鎮痛剤と組み合わせて使用され得る。即放性粒子は、2時間またはそれ未満、1時間またはそれ未満、30分またはそれ未満、あるいは約10分またはそれ未満の時間内、被験体にトラマドールの初回添加用量を提供するのに十分な量で存在する。いくつかの実施形態において、即放性粒子中の100mg用量の塩酸トラマドールは、1〜3時間または1.9〜2.3時間のTmaxで200〜600ng/mLの範囲のトラマドール血漿濃度を提供し得る。徐放性粒子は、投与後12時間以上、16時間以上、20時間以上かつ約24時間まで、約28時間まで、または約32時間までの時間、トラマドールの連続維持用量を被験体に提供するのに十分な量で存在する。この処方物の徐放性部分由来の血漿濃度は、徐放性形態で150〜300mg用量の塩酸トラマドールを投与後18時間にわたって100〜500ng/mLであり得る。
【0014】
本発明の組成物はヒトのような哺乳類に投与され、有利な薬物動力学特性を提供し得る。いくつかの実施形態において、この組成物は塩酸トラマドールを含有する既知の徐放性組成物と比較して実質的に生物学的同等である。他の実施形態において、この組成物は固有のトラマドール血漿特性を提供する。本発明のいくつかの実施形態は、本明細書中に記載されるような薬物放出特性を提供する。
【0015】
本発明の1つの局面では、トラマドールを含有するビーズ/粒子の組成物を含有するマルチパーティキュレート剤形を提供する。この単位剤形は、少なくとも2種類の異なるタイプのビーズの混合物を含有する。第1のグループのビーズは、トラマドールの即放(immediate/rapid release)を提供し、第2のグループのビーズは、トラマドールの徐放を提供する。このビーズは、投与を容易にするために必要に応じてカプセル剤形で提供される;あるいは、これらは、無包装形態または包の剤形で被験体に投与され得る。いくつかの実施形態において、この組成物はカプセルで提供され、使用中、カプセルが半分に分かれ、組成物がアップルソースのような柔らかい食べ物の上または飲料中にばら撒かれる。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態は、市販されている即放性の製品であるULTRAM(登録商標)の投与で一般的に観察される食事による影響の低減効果を提供する。
【0017】
この徐放性粒子は、酢酸酪酸セルロースまたは酢酸プロピオン酸セルロースのような放
出速度制御材料でコーティングされる。この徐放性粒子のコアは、放出速度制御材料を含み得るかまたは排除し得る。このコーティングは、ポアフォーマを含み、それによって使用の間にそのコーティングに微細孔を形成(render)する。いくつかの例示的な実施形態において、徐放性粒子の単回投与は、約10〜350mgまたは50〜350mgまたは約150mgの塩酸トラマドールを放出する。負荷量または初回投与量として、この量は50mg未満に低減され得る。徐放性粒子から放出されるトラマドールのインビトロ溶解速度または総量は、実質的にはpH非依存的である。
【0018】
即放性粒子は、放出速度制御材料でコーティングされていない。これらの粒子から薬物が放出するのにかかる最大時間は、一般的にはインビトロで2時間またはそれ未満、1時間またはそれ未満、30分またはそれ未満、15分またはそれ未満、あるいは10分またはそれ未満の範囲内である。いくつかの実施形態において、コーティングされていない粒子から放出されるトラマドールの総量は、本明細書中に記載されるアッセイを用いて測定した場合、インビトロで約10分以内で90質量%である。いくつかの例示的な実施形態において、これらコーティングされていない即放性粒子の単回投与は、約10〜100mgまたは約50mgの塩酸トラマドールを放出する。
【0019】
本発明の1つの局面は、マルチパーティキュレート薬学的組成物を提供し、以下を含有する:
トラマドールおよび少なくとも1種類の薬学的賦形剤を含有する即放性粒子の集合体;ならびに
コア組成物およびそのコア組成物を包む放出速度制御コーティング組成物を含有するコーティングされていない徐放性粒子の集合体であって、ここで、このコア組成物は、トラマドールおよび少なくとも1種類の薬学的賦形剤を含有し、かつこのコーティング組成物は、半透性ポリマー、ポアフォーマおよび可塑剤を含有し、かつこの徐放性粒子は、トラマドールの実質的にpH非依存的放出を提供する、集合体。
【0020】
本発明の別の局面は、カプセルシェルおよび本明細書中において定義するような薬学的組成物を含有する二段階放出カプセル剤形を提供する。
【0021】
徐放性粒子の集合中に存在するトラマドールの量は、即放性粒子の集合体中に存在するトラマドールの量よりも多くまたは少なくあり得る。いくつかの実施形態は、即放性粒子中よりも徐放性粒子中に多量のトラマドールを提供する。
【0022】
本発明はまた、トラマドールの実質的にpH非依存的な放出を提供する徐放性粒子を提供し、この粒子は以下を含有する:
トラマドールおよび少なくとも1種類の賦形剤を含有するコア;ならびに
このコアを包む半透性コーティングであって、このコーティングはフィルム形成半透性ポリマー、水溶性または水浸食性ポアフォーマ、および可塑剤を含有する、コーティング;ここで、
このポアフォーマは、粒子が水環境に暴露された後、溶解または浸食され、それによりその半透膜に微細孔を形成(render)し、その結果、そのコアからのトラマドールのpH非依存的放出を提供する。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態は、酢酪酸セルロースまたは酢酸プロピオン酸セルロースを含有する半透性ポリマーを含む。本発明のいくつかの実施形態は、200〜8000の分子量を持つPEG、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ジエチルフタレート、またはジブチルセバケートを含有する可塑剤を含む。本発明のいくつかの実施形態は、スクロース、ソルビトールまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有するポアフォーマを含む。
【発明の効果】
【0024】
徐放性粒子からのトラマドールの放出は、代表的には1次オーダー、疑似1次オーダー、ゼロオーダー、疑似ゼロオーダー、またはS字状の放出特性に従う。いくつかの実施形態において、徐放性粒子からのトラマドールの放出は、最初の遅延時間を伴ってほぼ1次オーダー放出に従う。この即放性粒子は、水環境への暴露後、すぐにかまたは2時間もしくはそれ未満の時間で薬物を放出し得る。本発明の粒子がカプセルシェル内に含まれている場合、この粒子からのトラマドールの最初の放出は、シェルがその粒子と水環境との接触に十分に有用な水環境中に溶解または浸食される時間まで少なくとも遅延される。
【0025】
本発明の剤形は、粒状組成物の投与に適しているので、カプセル(ハードまたはソフト)、キャプレット、錠剤、サシェ、粒状混合物、または薬学的産業分野で既知の他の固形剤形であり得る。
【0026】
徐放性形態と即放性形態で存在するトラマドールの割合は、薬学的組成物中に存在する徐放性粒子および即放性粒子それぞれの総重量または総体積を制御することによって調節される。いくつかの実施形態において、少なくとも50質量%、または約50質量%〜100質量%、または約65質量%〜85質量%の徐放性形態のトラマドールが存在し、約50質量%以下、または0質量%〜50質量%、または約15質量%〜35質量%の即放性粒子中のトラマドールが存在する。この組成物中の即放性粒子および徐放性粒子の量は、広範囲に変化し得る。たとえば、即放部分は、塩酸トラマドールが0〜100mgまたは0<〜100mgであり、徐放性部分は、塩酸トラマドールが0〜400mgまたは0<〜400mgである。いくつかの実施形態において、この剤形は約50mgの即放性塩酸トラマドールおよび150mgの徐放性塩酸トラマドールを含有する。いくつかの実施形態において、マルチパーティキュレート組成物を含有する薬学的組成物は、約25〜100mg、または約50mgの即放性形態の塩酸トラマドールを含有し、かつ約50〜300mg、または150mgの徐放性形態の塩酸トラマドールを含有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下の図面は本明細書の一部を形成し、特許請求される発明の代表的な実施形態を記載する。当業者は、これらの図面および本明細書の記載を考慮して、過度な実験を行うことなく本発明を実施し得る。
【図1】図1は、本発明の代表的な即放性粒子の断面図を示す。
【図2】図2は、本発明の代表的な徐放性粒子の断面図を示す。
【図3】図3は、即放性粒子と徐放性粒子の混合物を含有するカプセルの側面図を示す。
【図4】図4は、実施例1の方法Aに従って作製された即放性粒子の放出特性を示す。
【図5】図5は、(適用したコーティング溶液の量に基づく)異なる量のコーティングを含む徐放性粒子の放出特性を示す。コーティングされていない粒子は、実施例1の方法Aに従って作製され、次いで実施例2の方法Aのようにコーティングされた。
【図6】図6は、(適用したコーティング溶液の量に基づく)異なる量のコーティングを含む徐放性粒子の放出特性を示す。コーティングされていない粒子は実施例1の方法Bに従って作製され、次いで、実施例2の方法Aのようにしてコーティングされた(異なるバッチの粒子を除いて、図5と同様)。
【図7】図7は、徐放性粒子の放出特性を示す。コーティングされていない粒子は実施例1の方法Bに従って作製され、次いで、実施例2の方法Bのようにしてコーティングされた。
【図8】図8は、徐放性粒子の放出特性を示す。コーティングされていない粒子は実施例1の方法Bに従って作製され、次いで、コーティング溶液中のスクロースおよびクエン酸トリエチルの量を変えながら、実施例2の方法Bのようにしてコーティングされた(曲線Aは、CAB 171−15PGの割合と同様に、スクロース35%およびTEC30%;曲線Bは、スクロース45%およびTEC30%;曲線Cは、スクロース55%およびTEC30%;曲線Dは、スクロース45%およびTEC20%)。
【図9】図9は、実施例3の方法Bに従って作製されたカプセルに入れた即放性ビーズと徐放性ビーズの組み合わせの放出特性を示す。コーティングしていない粒子は、4400gのコーティング量を使用して、図6と同様に調製される。トラマドールの全量は、塩形態(すなわち、塩酸トラマドール)として与えられる。図9におけるデータは、実施例3の方法Bで与えられるようにして調製された粒子からのものである(即放性ビーズおよび徐放性ビーズの重量を含む)。
【図10】図10は、実施例3の方法Cに従って作製された徐放性カプセルの放出特性を示す。これらの粒子は、図7のように調製された。トラマドールの全量は、塩形態(すなわち、塩酸トラマドール)として与えられる。図10におけるデータは、実施例3の方法Cにおけるようにして調製された粒子からのものである。
【図11】図11は、実施例3の方法Dに従って調製された徐放性カプセル剤形によって提供される、インビトロでの放出特性の組み合わせを示す。トラマドールの全量は、塩形態(すなわち、塩酸トラマドール)として与えられる。
【図12】図12は、Ultram(登録商標)錠剤(三角形)50mgを2錠か、または塩酸トラマドール50mgを含有する即放性ビーズ102mg(実施例1の方法B)と塩酸トラマドール150mgを含有する徐放性ビーズ388mg(実施例2の方法Bのようにコーティングされた即放性ビーズ)とから各々なる、0番の(#0)ハードゼラチンカプセルに被包された本発明の徐放性カプセル剤形(四角形)を2錠のいずれかを投与した後のビーグル犬におけるインビボでの血漿中トラマドール濃度の時間特性を示す。
【図13】図13は、塩酸トラマドール50mgを含有する即放性ビーズ101mg(実施例3の方法D)と、塩酸トラマドール150mgを含有する徐放性ビーズ388mg(実施例2の方法Bのようにコーティングされた即放性ビーズ)とから各々なる、0番のハードゼラチンカプセルに被包された本発明の徐放性カプセル剤形を2錠投与後に食べ物を与えられたビーグル犬(黒四角)または絶食状態のビーグル犬(白四角)のいずれかにおけるインビボでの血漿中トラマドール濃度の時間特性を示す。
【図14】図14は、図4の即放性粒子と図5の徐放性粒子とを混合することによって調製された徐放性カプセル剤形(2400gのバッチコーティング)によって提供されるインビトロでの放出特性の組み合わせを示す。即放性部分は全塩酸トラマドールの50%に相当し、徐放性部分は全塩酸トラマドールの50%に相当する。
【0028】
[発明の詳細な説明]
本明細書中で使用される場合、半透性ポリマーは、徐放性粒子のコアをコーティングするのに使用されるフィルムを形成するポリマーまたはポリマーの組み合わせである。半透性ポリマーは、コーティングされた徐放性粒子中に水を拡散させるが、そのコーティングを通してトラマドールを外に出すことは許容しない。代わりに、トラマドールはコーティングの微細孔を通って放出され、この微細孔はコーティング中に元から存在するポアフォーマの溶解によって形成されたものである。従って、徐放性粒子の半透膜は、粒子が使用される水環境中に暴露された後、微細孔半透膜に変わる。特に適切な半透性ポリマーとしては、酢酪酸セルロース(CAB)および酢酸プロピオン酸セルロース(CAP)が挙げられる。このような材料は、Eastman Chemical(Kingsport,TN)から容易に購入することができる。CAPおよびCABは、様々なグレードで市販されているが、これらのうちのいくつかを以下の表に詳述する。
【0029】
【表1】
【0030】
コーティングを形成するために個々に使用される場合、好ましいポリマーは、上記の場合CAB 381−20、CAB 171−15およびCAP−482−20である。一般的には、好ましい半透性ポリマーは、約1〜100ポアズまたは≧50ポアズの粘度を有し、かつ約100〜300℃または約140〜240℃の融点を有する。
【0031】
このコーティングはまた、半透性ポリマーの組み合わせを含有し得る。異なるポリマーは、所望のポリマーコーティングを達成するために種々の比率にて合わせられ得る。この異なるポリマーの組み合わせは、どちらの開始ポリマーと比較した場合でも、異なるガラス遷移温度、粘度および/または流体力学特性を有するポリマー混合物をもたらす。この実施形態において、比較的高い粘度のポリマーを比較的低い粘度のポリマーと組み合わせて、膜を形成するのに使用される半透性ポリマー組成物を形成し得る。例示的なポリマー混合物は、高い側の粘性のポリマーよりも低い粘度を示し、低い側の粘度のポリマーよりも高い粘性を示す。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「ポアフォーマ」は、水環境中に容易に溶解するかまたは浸食される材料または材料の組み合わせであり、コーティング組成物中に組み込まれ得る。徐放性粒子が水環境に暴露されると、このポアフォーマは、コーティング組成物から溶解するかまたは浸食され、そのコーティングに微細孔を形成する。言い換えると、コーティング中の微細孔は、意図された使用環境中の水性流体に徐放性粒子が暴露されている間に形成される。次いで、トラマドールは、そのように形成された微細孔を介して徐放性粒子を出ていく。
【0033】
使用環境中で微細孔が形成されるコーティングの調製方法は既知であり、例えば、以下:米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第4,063,064号、第4,088,864号、第4,816,263号、第4,200,098号、第4,285,987
号および第5,912,268号に記載され、これらの関連する記載は、本明細書中に参照により組み入れられる。
【0034】
例示的な「ポアフォーマ」としては、以下が挙げられる:ポリ(エチレングリコール)(PEG)、炭水化物、糖、還元糖アルコール、ソルビトール、ポリオール、キシリトール、マンニトール、ラクトース、スクロース、フルクトース、マルトース、デキストロース、水溶性または水浸食性誘導体化デンプン、水溶性または水浸食性誘導体化セルロース、水溶性または水浸食性ポリマー、尿素、塩、およびこれらの組み合わせ。特に適切な材料としては、糖、ポリオール、水溶性または水浸食性誘導体化セルロース、および水溶性または水浸食性ポリマーが挙げられる。特定の材料としては、スクロース、ソルビトールおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
【0035】
非水性溶媒と共に調製されるコーティングについて、このコーティング材料は、一般的には懸濁液というよりはむしろ溶液である。コーティング溶液を得るために、このポアフォーマを非水溶性溶媒中に溶解し、コーティング溶液を形成する。上記のポアフォーマのいくつかは、変性されていない(unmodified)非水溶性溶媒中に溶けない可能性があるが、ポアフォーマの溶解を助けるために、1種類またはそれ以上の共溶媒が非水溶性溶媒に加えられ得る。
【0036】
特定の微細孔コーティングを通過するトラマドールの放出速度は、そのコーティングの空隙率および/またはそのコーティングの厚さを調節することによって制御される。コーティングの空隙率は、その組成によって変化する:コーティング中のポアフォーマの含有量を大きくするほど、得られる微細孔コーティングの空隙率は大きくなる。コーティングは一般的には約10〜60質量%または30〜45%のポアフォーマを含有する。コーティングに加えられるポアフォーマの量は、コーティング溶液中に存在する可塑剤の量に依存し得る。この可塑剤が特に有効である場合、コーティング溶液中のポリマーはコーティングの形成中にポアフォーマを包み、それによって粒子が水環境中に暴露された場合にポアフォーマが溶け出すのを防ぐことができる。結果的には、このポアフォーマはあまり有効ではない。可塑剤があまり有効でない場合、ポアフォーマはコーティングの形成中にポリマーによってほとんど包まれず、ポアフォーマがより有効となる。
【0037】
コーティングに使用され得る可塑剤としては、一般的に薬物送達デバイスのポリマーコーティング中に取り込まれる可塑剤すべてが含まれる。可塑剤は、一般的には機械的特性を改善し、ポリマーフィルムの柔軟性を向上させる。可塑剤は、一般的には結合力のある分子間力を低減し、ポリマー鎖の可動性を増加させることにより、ポリマー−ポリマー間の相互作用を低減する。この作用は、Tg(ガラス遷移温度)もしくは軟化温度および弾性率の低減、ポリマーの可動性の増加のようなポリマーおよびそのフィルムの特性の変化によるものであり、従って、膜またはフィルムの形成過程を容易にする。非毒性でありかつ非刺激性である好ましい薬学的可塑剤は;移行、押出、または揮発傾向が低く;かつフィルム中のポリマーとの良好な混和性を有する。このコーティング中に使用され得る可塑剤としては以下が挙げられるが、これらは例示的であり以下に限定されるわけではない;アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、プロピレングリコール、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、イソプロピルフタレート、ジメチルフタレート、ダクチルフタレート(dactyl phthalate)、ジブチルセバケート、ジメチルセバケート、ヒマシ油、モノステアリン酸グリセロール、精製ココナッツオイル、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、その他またはこれらの組み合わせ。いくつかの実施形態において、可塑剤は200〜8000の分子量を持つPEG、クエン酸のエステル、およびフタル酸のエステルである。特定の可塑剤としては、200〜8000の分子量を持つPEG、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ジエチ
ルフタレート、およびジブチルセバケートが挙げられる。
【0038】
適切な可塑剤としてはまた、以下が挙げられるが、これらは例示的であり以下に限定されるわけではない;低分子量ポリマー、オリゴマー、コポリマー、オイル、小さな有機分子、脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオール、エステル型可塑剤、グリコールエステル、ポリ(プロピレングリコール)、マルチブロックポリマー、シングルブロックポリマー、低分子量ポリ(エチレングリコール)、クエン酸エステル型可塑剤、トリアセチン、プロピレングリコールおよびグリセリン。このような可塑剤としては、以下も挙げられ得る;エチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、スチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよび他のポリ(エチレングリコール)化合物、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸ソルビトール、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸エチル、ジブチルセバケート、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチルならびにグリコール酸アリル。このような可塑剤はすべて市販されており、AldrichまたはSigma Chemical Co.などの供給業者より購入可能である。可塑剤の組み合わせもまた、本発明の処方物において使用され得る。PEGベースの可塑剤は、市販されているかまたはPoly(ethylene glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications(J.M.Harris,Ed.;Plenum Press,NY)(この開示は、本明細書中に参照により組み入れられる)に開示されるような種々の方法で作製され得る。
【0039】
本明細書中に記載のカプセルは、少なくとも1週間、3週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年または2年の貯蔵保管期間を有する。たとえば、少なくとも6ヶ月の保管期間を有するカプセルは、そのカプセルのシェルが少なくとも6ヶ月の貯蔵期間の間、貯蔵安定性試験で不合格とならない。許容保管期間の基準は、所定のカプセル製品およびその貯蔵安定条件に従って必要に応じて設定される。薬剤師によって調剤され、薬局の客に売られる製品については、1週間ほどに短い保管期間が適切であることに留意されるべきである。
【0040】
用語「シェル」は、本明細書中で使用される場合、カプセル剤形のシェルまたは粒子から作製される充填組成物をカプセル化するために使用されるケース詰め(encasement)材料またはカプセル化材料を意味する。カプセルシェルを形成するかまたは別の組成物をカプセル化するために使用するのに適切ないずれの材料も本発明に従って使用され得る。
【0041】
このシェルは、硬質または軟質であり得、いずれの材料も本発明のカプセル中に使用され得るこのようなシェルを調製するために適切である。このカプセルシェルの調製に適切な材料としては以下が挙げられる;ソフトゼラチン、ハードゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、動物性ゼラチン、寒天、魚類性(fish(piscine))ゼラチンまたはこれらの組み合わせ。他の適切な材料としては以下が挙げられる:ポリビニル(polvinyl)アルコール/酢酸ポリビニルコポリマー(米国特許第3,300,546号);ヒドロキシブチルメチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースとのブレンド(米国特許第4,765,916号);酢酸ポリビニル(米国特許第2,560,649号、第3,346,502);水溶性ゼラチン(米国特許第3,525,426号);ポリビニルアルコール(米国特許第3,528,921号、第3,534,851号、第3,556,765号、第3,634,260号、第3,671,439号、第3,706,670号、第3,857,195号、第3,877,928号、第4,367,156号、第4,747,976号、第5,270,054);プルラン(米国特許第3,784,39
0号、第4,623,394号、第6,887,307);塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、フラン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、アクリルアミド、エチレン、プロピレン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、上述の酸のいずれかの塩、およびこれらの混合物のようなモノマーから誘導されるポリマー;ポリ塩化ビニル;ポリプロピレン;アクリル酸/マレイン酸コポリマー;ポリアクリル酸ナトリウム;ポリビニルピロリドン;グルコマンナンおよび必要に応じてグリセリンのような多価アルコールを含む別の天然の多糖類(米国特許第4,851,394号);プラスチックおよびポリ乳酸/ポリグリコライド(Elanco Animal Health Co.);HPMC(Shionogi Qualicaps Co.Ltd.(Nara Japan);SUHEUNG CAPSULES CO.LTD.(KYUNGGI−DO,KOREA)およびCapsugel);あるいはこれらの組み合わせ。基本的には、カプセルシェルの調製として当業者に公知であるいずれの材料も、本発明のカプセルに使用され得る。適切なデンプンカプセルは、Vilivalamら(Pharmaceutical Science & Technology Today(2000),3(2),64−69)に従って作製および使用され得る。結腸送達のためのキトサンカプセルは、Yamamoto(Kobunshi(1999),48(8),595)またはTozakiら(Drug Delivery System(1997),12(5),311−320)に従って作製および使用され得る。他の適切なシェル材料は、変性(modified)デンプンおよびイオタ−カラギーナンを含有するフィルム形成組成物を開示する米国特許出願No.2002/0081331(R.P.Scherer Technologies Inc.((Cardinal Health,Inc.))に開示されている。
【0042】
必須ではないが、本発明の処方物は、保存剤、吸着剤、酸化防止剤、酸性化剤、アルカリ化剤、抗菌剤、付着防止剤(antiadherent)、バインダー、緩衝剤、着色剤、希釈剤、直接圧縮賦形剤、電解液、崩壊剤、着香料(flavorant)、流動促進剤(glidant)、不透明化剤(opaquant)、艶出剤(polishing agent)、塩、安定剤、甘味剤、カプセルへの用途が当業者に公知である他の賦形剤、またはこれらの組み合わせを含有し得る。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「アルカリ化剤」は、アルカリ媒体を提供するために使用される化合物を意味する。このような化合物としては、例えば、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、およびトリエタノールアミン(trolamine)ならびに当業者に公知である他の化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0044】
本明細書中で使用される場合、用語「酸性化剤」は、酸性媒体を提供するために使用される化合物を意味する。このような化合物としては、例えば、酢酸、アミノ酸、クエン酸、フマル酸、ならびに塩酸、アスコルビン酸、および硝酸のような他のアルファヒドロキシ酸、ならびに当業者に公知である他の化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0045】
本明細書中で使用される場合、用語「吸着剤」は、物理的手段または化学的(化学吸着)手段によってその表面上に他の分子を保持し得る薬剤を意味する。このような化合物としては、例えば、粉末状炭および活性炭ならびに当業者に公知である他のこのような材料が挙げられるがこれらに限定されない。
【0046】
本明細書中で使用される場合、用語「酸化防止剤」は、酸化を阻害する薬剤を意味し、よってその薬剤は、酸化工程による調製物の劣化を防ぐために使用される。このような化
合物としては、例えば;アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ビタミンE、ビタミンE誘導体、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび当業者に知られている他の物質があるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書中で使用される場合、用語「緩衝剤」は、希釈時または酸やアルカリの添加時のpH変化に抵抗するために使用される化合物を意味する。このような化合物としては、例えば酒石酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、一塩基性酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムの無水物および二水和物、並びに当業者に公知である他の物質があるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書中で使用される場合、用語「甘味剤」は、調製物に甘味を付与するために使用される化合物を意味する。このような化合物としては例えば、アスパルテーム、デキストロース、グリセリン、マンニトール、サッカリンナトリウム、ソルビトール、スクロース、フルクトース、砂糖代替品、人工甘味料、および当業者に公知である他のこのような材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書中で使用される場合、用語「付着防止剤」は、製造過程で杵および臼に錠剤処方物成分が固着するのを防ぐ薬剤を意味する。このような化合物としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ベヘン酸グリセリル、ポリ(エチレングリコール)、水素化植物油、鉱物油、ステアリン酸、これらの組み合わせおよび当業者に公知である他のこのような材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書中で使用される場合、用語「バインダー」は、固体処方物中の粉末粒子の接着を引き起こすために使用される物質を意味する。このような化合物としては、例えばアラビアゴム、アルギン酸、トラガント、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリ(ビニルピロリドン)、圧縮糖(例えば、NuTab)、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、メチルセルロース、ポビドン、アルファ化澱粉、これらの組み合わせおよび当業者に知られている他の物質があるが、これらに限定されない。必要である場合、他のバインダーもまた本発明の処方物中に含有され得る。代表的なバインダーとして、デンプン、ポリエチレングリコール、グアーガム、多糖、ベントナイト、糖、転化糖、ポロキサマー(PLURONIC(登録商標)F68、PLURONIC(登録商標)F127)、コラーゲン、アルブミン、非水性溶剤に溶解したセルロース、これらの組合せなどが挙げられる。他のバインダーとしては、例えば、ポリ(プロピレングリコール)、ポリオキシエチレン−ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレンエステル、ポリエチレンソルビタンエステル、ポリ(エチレンオキシド)、微結晶セルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、これらの組合せおよび当業者に公知である他の物質が挙げられる。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「希釈剤」または「充填剤」は固体剤形の調製において所望のかさ高さ、流動性および圧縮特性をもたらすために充填剤として使用される不活性物質を意味する。このような化合物としては例えば第二リン酸カルシウム、カオリン、スクロース、マンニトール、微結晶セルロース、粉末セルロース、沈降炭酸カルシウム、ソルビトール、デンプン、これらの組み合わせおよび当業者に知られている他の物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「直接圧縮賦形剤」は直接圧縮処方物で使用される化合物を意味する。このような化合物としては、例えば第二リン酸カルシウム(例えばDitab(登録商標))、微結晶セルロース、直打用ラクトース(例えば、Tablettose(登録商標)、Lactose DT)、これらの組み合わせおよび当業者に知ら
れている他の物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「流動促進剤」は圧縮中の流動性を向上させ凝結防止効果を得るために錠剤およびカプセル処方物中で使用される物質を意味する。このような化合物としては、例えばコロイドシリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、シリコンヒドロゲル、コーンスターチ、タルク、これらの組み合わせおよび当業者に公知である他の物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「滑沢剤」は圧縮中の摩擦を減少させるために固体処方物中に使用される薬剤を意味する。このような化合物としては例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、これらの組み合わせ、および当業者に公知である他のこのような物質があるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「不透明化剤」は、錠剤のコーティングまたはカプセル中で使用され、感光性薬剤の場合に光に対する安定性を補助し得る有益な不透明度を付与する化合物を意味する。これは、単独で、または着色剤と組合せて使用され得る。このような化合物としては例えば、二酸化チタン、および当業者に公知である他のこのような物質があるが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「艶出剤」は粒子または剤形の表面に光沢を付与するために使用される化合物を意味する。このような化合物としては例えば、カルナウバろう、白ろう、これらの組み合わせおよび当業者に公知である他のこのような物質があるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「崩壊剤」は塊状固体の破壊を促進してより容易に分散または溶解するより小さな粒子とするために固体投与形態中で使用される化合物を意味する。代表的な崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムスターチグリコレート、クロスポビドン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、そのアルファ化デンプンおよび加工デンプンなどのデンプン、甘味料、ベントナイトなどの粘土、微結晶セルロース(例えばAvicel(登録商標))、カルボキシメチルセルロースカルシウム、セルロースポリアクリリンカリウム(例えばAmberlite(登録商標))、アルギン酸塩、ナトリウムスターチグリコレート、寒天、グアール、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、トラガントなどのガム、これらの組み合わせおよび当業者に公知である他のこのような材料があるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「着色剤」は、薬学的調製物に色を付与するために使用される化合物を意味する。このような化合物としては、たとえば、FD&C Red No.3、FD&C Red No.20、FD&C Yellow No.6、FD&C
Blue No.2、FD&C Green No.5、FD&C Orange No.5、FD&C Red No.8、カラメルおよび酸化鉄(黒、赤、黄)、他のFD&C色素ならびにブドウ皮抽出物、ビートレッド粉末(beet red powder)、ベータカロチン、アナトー色素、カーマイン、ウコン、パプリカなどの天然の着色剤、これらの組み合わせならびに当業者に公知である他のこのような材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「着香料(flavorant)」は、薬学的調製物に好まれる香味およびしばしば香りを付与するために使用される化合物を意味する。代表的な着香料(flovoring agents or flavorants)としては、例えば、合成の風味油と風味芳香剤および/または天然の油、植物、葉、花、果実な
どからの抽出物並びにこれらの組み合わせが挙げられる。これらには、シナモン油、冬緑油、ペパーミント油、丁子油、月桂樹油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、針葉樹油、ナツメグ油、セージ油、苦扁桃油および桂皮油もまた含まれ得る。他の有用な着香料(flavors)としては、バニラ、レモン、オレンジ、グレープ、ライムおよびグレープフルーツを含む柑橘油、ならびにりんご、西洋なし、桃、いちご、きいちご、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットなどを含む果実の精油が挙げられる。特に有用であることがわかった着香料しては、市販のオレンジ、グレープ、チェリーおよびバブルガム着香料並びにこれらの混合物が挙げられる。着香料の量は、所望の感覚受容性を含む多数の因子に依存し得る。着香料は、当業者に望まれる任意の量で存在する。特に好ましい着香料は、グレープおよびチェリーの着香料ならびにオレンジなどの柑橘系着香料である。
【0060】
本発明の送達デバイスとしてはまた、固定油、ピーナッツ油、ゴマ油、綿実油、コーン油およびオリーブ油のような油;オレイン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸のような脂肪酸;並びにオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリドおよびアセチル化脂肪酸グリセリドのような脂肪酸エステルも挙げられ得る。このデバイスとしてはまた、エタノール、イソプロパノール、ヘキサデシルアルコール、グリセロールおよびプロピレングリコールのようなアルコール;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールのようなグリセロールケタール;ポリ(エチレングリコール)450のようなエーテル;鉱油およびワセリンのような石油炭化水素;水;薬学的に適切な界面活性剤、懸濁化剤または乳化剤;あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
セッケンおよび合成洗剤は、洗剤組成物の界面活性剤としておよびビヒクルとして使用され得る。適切なセッケンとしては、脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム、およびトリエタノールアミン塩が挙げられる。適切な洗剤としては、ジメチルジアルキルアンモニウムハライド、アルキルピリジウムハライド、および酢酸アルキルアミンのような陽イオン洗剤;スルホン酸アルキル、スルホン酸アリール、スルホン酸オレフィン、硫酸アルキル、硫酸オレフィン、硫酸モノグリセリド、およびスルホサクシネートのような陰イオン洗剤;脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリ(オキシエチレン)−ブロック−ポリ(オキシプロピレン)コポリマーのような非イオン洗剤;アルキルβ―アミノプロピオネートおよび2−アルキルイミダゾール四級アンモニウム塩のような両性洗剤;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
上記の他に種々の他の成分が所望の放出特性をデバイスに提供するために本発明の処方物に加えられ得る。このような成分としては例えば、モノステアリン酸グリセリン、ナイロン、酢酪酸セルロース、d,l−ポリ(乳酸)、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、デンプン、誘導体化デンプン、アセチル化モノグリセリド、ゼラチンコアセルベート、ポリ(スチレン−マレイン酸)コポリマー、グリコワックス、カストールワックス、ステアリルアルコール、グリセロールパルミトステアレート、ポリエチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、1,3−ブチレン−グリコールジメチルアクリレ
ート、エチレングリコール−ジメタクリレートおよびメタクリレートハイドロゲルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
製薬分野で使用される化合物は、一般的には種々の機能または目的を果たすことを理解されるべきである。従って、本明細書中で定義される化合物が1回しか言及されないかまたは本明細書で2つ以上の用語を定義するために使用される場合、その目的または機能は単に指定された目的または役割に限定されるものと解釈すべきではない。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「トラマドール」は、他に特定されない限り、トラマドールの全ての公知の形態を意味する。トラマドールはラセミ体、光学的に純粋な形態または光学的に富化された(enriched)形態で存在し得る。このトラマドールはま
た、薬学的に受容可能な塩形態または遊離塩基形態として存在し得る。本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能な塩」とはイオン的に結合した対を形成する必要がある場合に酸性化剤と共に反応させることによって変性(modify)されたトラマドールのことをいう。薬学的に受容可能な塩の例としては、たとえば、非毒性無機酸または非毒性有機酸から形成される従来の非毒性塩が挙げられる。適切な非毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルホン酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸および当業者に公知であるか本明細書中に記載されたような無機酸由来の塩が挙げられる。これらの塩は、アミノ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸(hydroxymaleic)、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、および当業者に公知である他の物質のような有機酸である酸性化剤から調製され得る。他の適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th.ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,1985,p.1418中に見いだされ、この関連する開示は参考として本明細書中で援用される。トラマドールの好ましい塩形態としては、トラマドールの塩酸塩(Degussa Chemical)、酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩、マレイン酸塩およびフマル酸塩が挙げられる。
【0065】
トラマドールは、遊離塩基または塩のいずれかとして本発明の組成物および剤形中に含有され得る。トラマドールが遊離塩基で含まれる場合、酸酸性化剤(acid acidifying agent)がその組成物または剤形中に含有され得る。その組成物が水環境に暴露された後、酸が溶解してインサイチュでトラマドールと接触し、それによってトラマドールの塩を形成して、トラマドール塩が組成物から放出されたかのようにその溶解を補助する。
【0066】
「薬学的に受容可能な」という句は、本明細書において、妥当な医学的判断の範囲内であり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、あるいはいかなる他の問題または面倒なしにヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適しており、合理的な利点/危険性の比率に相応する化合物、材料、組成物および/または剤形を示すために使用される。
【0067】
本発明の各単位用量に取り込まれるトラマドールの量は、少なくとも1種類以上の剤形でありかつ公知の薬学原理に従って選択され得る。治療的化合物の有効量は、特に企図される。用語「有効量」は、例えば医薬品について、薬学的に有効な量が企図されるということが理解される。薬学的に有効な量とは、必要なまたは所望の治療反応に十分なトラマドールの量、言い換えれば、患者に投与されたときに明らかな生物学的反応を引き出すために十分な量である。この明らかな生物学的反応は、活性物質の単回投与または複数回投与の結果として起こり得る。単位用量は、カプセルのような1つ以上の剤形を含み得る。任意の患者についての特定の用量は、以下を含む様々な因子に依存することが理解される;治療される適応症、その適応症の重篤度、患者の健康状態、年齢、性別、体重、食事制限、薬学的応答、使用される特定の剤形および他のこのような因子。
【0068】
塩酸トラマドールの推奨される1日量は、4〜6時間ごとに50〜100mgであり、最大用量は400mg/日である。本発明のマルチパーティキュレート組成物および剤形は、即放性粒子形態中に第1の量のトラマドールを含有し、徐放性粒子形態中に第2の量のトラマドールを含有する。単位用量中の即放性粒子および徐放性粒子の総質量を100%とすると、第1の量の即放性粒子は、0〜100mg、0<〜100mg、または20〜75mgの塩酸トラマドールを含有し、第2の量の徐放性粒子は、50〜400mgの塩酸トラマドールまたは75〜225mgの塩酸トラマドールを含有する。代表的には、
第1の量は、単位用量中の粒子の総質量(即放性粒子および徐放性粒子のすべて)の20〜30質量%であり、第2の量はそれぞれ単位用量の粒子の総質量の80〜70質量%である。
【0069】
個々の粒子中に存在するトラマドールの量は、粒子の20質量%〜90質量%まで変化し得る。いくつかの実施形態において、トラマドールの量の範囲は、粒子の30質量%〜60質量%、20質量%〜60質量%、または40質量%〜50質量%である。使用される球状化(spheronization)方法は、50質量%より低い薬物濃度を容易に取り込むことができるが、通常投与に必要とされる粒子の量はより大きくなる。この粒子に存在するトラマドールの量は、粒子を調製するために使用される球状化技術に依存し得る。ロートグラニュレーション(Rotogranulation)は、約90質量%までのトラマドールまたはトラマドール塩を含有する粒子を作製するために使用され得る。
【0070】
即放性粒子内に含まれるパーティキュレート組成物および徐放性粒子のコーティングされていないコアは、本明細書中に開示される方法または薬学的粒子の調製について公知である比較的適切な任意の手段によって調製され得る。代表的な方法としては、乾式造粒、湿式造粒、押出成形、球状化、またはこれらの組み合わせが挙げられる。代表的な押出成形/球状化方法において、トラマドールおよび賦形剤は、液体と混合してパン生地のようなコンシステンシーを有する均一または均質な混合物を形成する。混合の間に材料が球を生成し始める時点で水をゆっくりとかきまぜながら加える。次いで、パン生地のような塊を、約1mmの穴のアレイを有するスクリーンを備えた押出機を用いて押し出して鎖状の(stranded)押し出し物を形成する。次いで、この鎖を鎖の直径に近い長さを持つ粒子に分ける。マルメライザー(marumerizer)で粒子を丸める(球状化する)。次いでこの粒子をたとえば、トレイ乾燥機、タンブル乾燥機、コーン乾燥機、マイクロ波乾燥機、または流動床乾燥機を用いて乾燥する。
【0071】
球状化方法を使用する場合、球状化助剤を含有することが有用であり得る。球状化助剤は、粒子のマトリックス内に含まれる材料または材料の組み合わせであり、粒子の球状化の間に球体の形成を助ける。適切な材料としては、微結晶セルロース(MC)のようなセルロースが挙げられ、その適切なグレードは、商品名AVICEL(登録商標)(FMC
Biopolymer)で購入することができる。AVICEL(登録商標)の特定のグレードとしては、PH−101、PH−105、RC−581、RC−591、およびCL−611が挙げられる。AVICEL(登録商標)のPHグレードは、微結晶セルロースを含有する。PHグレードは以下のような違いがある。
【0072】
【表2】
【0073】
AVICEL(登録商標)のRCグレードおよびCLグレードは、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウムの磨砕混合物(an attritted mixture)を含有する。AVICEL(登録商標)RC−581、RC−591およびCL−611は、微結晶セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムとして、U.S.Pharmacopeia/National Formulary
に記載され、また分散性(dispersible)セルロースとしてBritish Pharmacopoeiaに記載されている。RCグレードおよびCLグレードは以下のような違いがある。
【0074】
【表3】
【0075】
球状化助剤は、それが存在する組成物の重量をベースに約20質量%〜80質量%、または約30質量%〜50質量%の量で存在し得る。
本明細書で記載される場合、バインダーは、粒子中に含有され得る。特に適切なバインダーはデンプンである。デンプンのある特定のグレードとして、Starch1500(Colorcon)があるが、他のグレードであるデンプンの形態および型もまた使用され得る。適切なデンプンは、Ultrachem Ltd.(UK)、Cerestar(Mechelen,Belgium,Europe)、National Starch & Chemical(Bridgewater,NJ),American Maize Products(Hammond,Indiana)のような業者から入手され得る。
【0076】
所望の場合、本発明の粒子または剤形は、その技術で通常なされるように上塗りでコーティングされ、所望の輝き、色、味または他の審美的特徴を提供し得る。上塗りの調製に適切な材料は、当業者に公知である。
【0077】
図1は、本発明に従って作製された代表的な即放性粒子(1)の断面図を示す。この粒子は、賦形剤のマトリックス内に分散されたトラマドールを含有する。この粒子は、球体として示されているが、任意の粒子形状が使用され得る。従って、本発明の粒子は棒状、ビーズ、ペレット、球、楕円、ダンベルまたは薬学分野で使用される他の公知の粒子形状として成形することができる。いくつかの実施形態において、徐放性粒子は球状である。なぜならば球状は単位表面積あたりに必要なコーティングの量が最も少ないからである。
【0078】
コーティングされた粒子またはコーティングされていない粒子の直径または長さは、一般的には0.5〜3mmまたは約1〜約1.4mmである。これらのサイズ範囲が、剤形または薬学的組成物中にビーズが含まれる場合の含量均一性と粒子サイズとの間のバランスを提供するのに好ましい。一般的には、粒子サイズが小さいほどより再現性のある含量均一性を得ることが容易であるが、粒子サイズが小さいほど、一般的には大きい粒子と同じようなトラマドール放出特性を達成するために粒子1バッチあたりの総コーティング重量がより多く必要となる。これは、粒子サイズが小さいほどより大きな粒子と同じ放出特性を得るために必要となるコーティングがより厚くなるからである。
【0079】
図2は、本発明に従って作製された代表的な徐放性粒子(2)の断面図を示す。この実施形態において、徐放性粒子(2)は、即放性粒子(1)の一部を本明細書に記載されるフィルム形成組成物でコーティング(3)することによって調製される。このフィルム形成組成物は、半透性ポリマー(フィルム形成ポリマーまたはコアに適用し乾燥させた場合に半透膜を形成するポリマーの組み合わせ)、ポアフォーマおよび可塑剤を含有する。それによって、他のコーティングされていないコア(即放性粒子)の重量に関して、コーティングの重量および厚さを本明細書に詳述されるように変化させることで、所望の薬物放出特性を有する徐放性粒子を提供し得る。一般的にはコーティングの重量は、コーティングされる粒子の重量をベースに5〜50質量%または10〜25質量%の範囲である。
【0080】
図3は、即放性粒子(1)の集合体および徐放性粒子(2)の集合体を入れたカプセルシェル(6)を含むカプセル剤形(5)の側面図を示す。即放性粒子が徐放性粒子のコアとして使用される場合、コーティングされていない即放性粒子は、典型的にはコーティングされていない徐放性粒子よりも直径が小さいが、粒子サイズにおけるこのような関係は、本発明を実施するために必要ではない。平均して、コーティングされた粒子は、表面コーティングの存在に起因して、それが作製された対応するコーティングされていない粒子よりもわずかに大きい直径を有する。
【0081】
実施例1に従って調製された即放性粒子のインビトロ放出特性を実施例4の方法に従って評価した。図4は、水中、SIF中またはSGF中で測定された代表的な即放性粒子の放出特性を示す。この結果は、粒子が水媒体に暴露された後20分以内または15分よりも早く放出が完了していることを示す。この結果はまた、これらの粒子からのトラマドールの放出は、実質的にpH非依存的であることも示している。USP(米国薬局方)は用量の90%が放出されるのにかかる時間という点で即放性粒子形態を定義している。一般的には、剤形が薬物の90%を45分で放出する場合、即放性投与処方物と定義される。
【0082】
実施例2に従って調製された徐放性粒子のインビトロ放出特性を、実施例4の方法に従って評価した。図5、図6および図8は、水中で測定された代表的な徐放性粒子の放出特性を示す。図5に示される薬物放出特性は、40%の薬物負荷で1バッチの塩酸トラマドールに適用されたコーティングの異なる量(凡例を参照)の影響を示す。粒子に適用されるコーティングの量が多くなるほど、コーティングがより厚くかつ薬物放出がよりゆっくりとなる。
【0083】
図6は、徐放性粒子のコーティングの厚さが増加することによって予想され得るトラマドールの放出特性における変化を示す。より厚いコーティングは、他の同様に処方されたコーティングと比較した場合にトラマドールの放出速度が減少し、トラマドールの初期放出にわずかな遅れを生じる。従って、このコーティングの厚さは、十分トラマドールの放出速度を減少させるので、水環境への暴露後または投与後10時間以上、12時間以上、14時間以上、18時間以上、または20時間以上の時間にわたって連続的な徐放を提供するのに十分である。しかしながら、このコーティングの厚さは、水環境への暴露後または投与後36時間以内、32時間以内、28時間以内、または24時間以内に徐放性粒子からのトラマドールの放出が完了するのに十分な薄さである。図6の粒子は、40質量%の薬物添加量を含有する図5の粒子と対比して50質量%の薬物添加量を含有する。粒子へのコーティングの量を変化させることによって、薬物放出は10時間から24時間まで延長され得る。いくつかの実施形態において、コーティングは十分薄いので、コーティングされた粒子が水環境中におかれた場合に24時間より少ない時間で薬物の90%より多くが放出される。いくつかの実施形態において、コーティングの厚さは、約20〜300μmまたは約50〜150μmである。
【0084】
図7は、水中で測定された代表的な徐放性粒子の放出特性を示す。この結果は、粒子の
水媒体への暴露後に放出が完了することを示している。このデータは、塩酸トラマドールの放出を20時間より長い時間まで延長するのに十分なコーティングが適用されていることを示している。
【0085】
図8に示されるデータは、追加のポアフォーマ(スクロース)が徐放性粒子からの塩酸トラマドールの放出速度に対して有する影響を示している。ダッシュ一点線(A)は、35%のスクロース(CAB 171−15PGの割合として示す)のデータを示し、点線(B)は45%のスクロースのデータを示し、そして実線(C)は、55%のスクロースのデータを示している。これらの3つのコーティングは30%のクエン酸トリエチル(CAB 171−15PGの割合として)を含有する。破線(D)は、塩酸トラマドールの放出におけるクエン酸トリエチルの影響を実証するデータを示す。このTECは、45%のスクロースによって20%まで低減された。放出速度は、可塑剤の量が減るに従って増加している。このことは、TECがCAB 171−15PGの良好な可塑剤であることを示している。特定の機構にこだわることなく、可塑剤の量が少ないほど速度が速い理由は、TECがより少ない場合、ポリマーが30%のTECでより高度に可塑化される場合と同じように、ポリマーがスクロースを包囲してスクロースがコーティングを出る能力を遮断することができないからであると考えられる。結果として、コーティング中の全体的な空隙率がより大きくなる。
【0086】
即放性粒子と徐放性粒子を合わせてカプセルに入れた徐放性薬学的組成物または剤形を形成する場合、トラマドールは、十分な量のシェルが溶解し、粒子が水環境の暴露を受けた後に起こる粒子の濡れの後に始まる徐放期間に実質的に連続的に放出され、一般的には、薬物の放出は投与(または水環境への暴露)後約30分以内に始まり、投与(または水環境への暴露)後約10〜24時間で終了する。図9は、実施例3、方法Bに従って調製された徐放性カプセル剤形によって提供された、組み合わせのインビトロ放出特性を示している。水性流体への暴露後15分以内にその剤形はその中に装入されているトラマドールの約25%を放出し、その後18〜24時間にわたって、その剤形はトラマドール装入量(残りの75%)の放出を完了する。その結果は、トラマドールの放出が実質的にpH非依存的であることを示す。いくつかの実施形態において、徐放性粒子の薬物放出特性はおよそ一次である。
【0087】
図10は、実施例3、方法Cに従って調製された徐放性カプセル剤形によって提供された、組み合わせのインビトロ放出特性を示す。水性流体への暴露後15分以内にその剤形はその中に装薬されているトラマドールの約25%〜30%を放出し、その後20〜30時間にわたって、この剤形はトラマドール装入量(残りの75%〜70%(それぞれ))の放出を完了する。この結果は、トラマドールの放出が実質的にpH非依存的であることを示している。
【0088】
本発明は、以下:第1装入のトラマドールおよび少なくとも1種類の賦形剤を含む即放性粒子の集合;コアおよびそのコアを包む半透性コーティング、第2装入のトラマドールおよび少なくとも1種類の賦形剤を含有するコア、ならびにフィルム形成半透性ポリマー、ポアフォーマおよび可塑剤を含有するコーティングを含む徐放性粒子の集合;を含有する徐放性剤形を提供し、この剤形は実質的にpH非依存的様式で延長された期間をとおしてトラマドールを放出する。
【0089】
この徐放性剤形に含まれるべき即放性粒子と徐放性粒子の量は、所望の薬物動力学性能またはその剤形によって提供される臨床的影響に依存する。トラマドールのより高い初回添加用量(血漿濃度)が所望される場合、その剤形はより高い相対割合で即放性粒子を含有する。トラマドールのより低い初回添加用量(血漿濃度)が所望される場合、その剤形はより低い相対割合で即放性粒子を含有する。同様に、より高く維持されたトラマドール
の血漿濃度が所望される場合、その剤形はより高い相対割合で徐放性粒子を含有する。より低く維持されたトラマドールの血漿濃度が所望される場合、その剤形はより低い相対割合で徐放性粒子を含有する。
【0090】
ターゲット徐放性剤形に含まれるべき即放性粒子および徐放性粒子の実際の量は、粒子のそれぞれの集合体中に存在するトラマドールの濃度を計算し、各タイプの粒子を必要とされる量で加え、所望のターゲット徐放性剤形を提供することによって決定され得る。例えば、ターゲットカプセルは、即放性形態の塩酸トラマドール50mgと徐放性形態の塩酸トラマドール150mgとを含有し得る。この場合において、塩酸トラマドール50mgと等価である(かまたは含有する)重量の即放性粒子が決定され、塩酸トラマドール150mgと等価である(かまたは含有する)重量の徐放性粒子が決定される。次いで、それらの量の即放性粒子と徐放性粒子を合わせてカプセル内に入れる。
【0091】
実施例6に詳述される方法に従って、目標重量のトラマドールと等価である粒子(即放性または徐放性)の量を決定し得る。この場合において、粒子の集合体についての薬物添加量(質量%で示されるかまたは粒子100mgあたりのトラマドールのmgとして示される)が決定される。例えば、1バッチの即放性粒子が50%の薬物添加量(粒子100mgあたり50mgの塩酸トラマドール)である場合、50mgの塩酸トラマドールを提供するために100mgの粒子をカプセルに加える必要がある。
【0092】
図11は、実施例3、方法Dに従って調製した徐放性カプセル剤形によって提供される組み合わせのインビトロ放出特性を示す。水性流体への暴露後15分以内に、その剤形はその中に装入されているトラマドールの約25%を放出し、その後20〜30時間にわたり、その剤形はトラマドール装入量(残りの75%)の放出を完了する。その結果は、トラマドールの放出が実質的にpH非依存的であることを示している。この剤形の徐放性部分を調製するために使用した方法において、充填ビーズは使用していない。
【0093】
図14は100mgの塩酸トラマドールを含有する即放性形態(図4の粒子を使用する)および100mgの塩酸トラマドールを含有する徐放性形態(2400gのコーティングをしたものとして示された図5の粒子を使用する)を含有する徐放性カプセル剤形によって提供される組み合わせのインビトロ放出特性を示す。この特性は、溶液中に存在するトラマドールの量の急速な増加後、トラマドールの放出が完了するまでトラマドールの量が徐々に増加していることを示している。この特定のバッチの徐放性粒子は、水環境への暴露後12時間以内にトラマドールの放出をほとんど完了する(>95%)ので、1日2回の投与に特に適切である。
【0094】
徐放性剤形のインビボ性能を実施例5、試験AおよびBに従って評価した。本発明の徐放性カプセルをビーグル犬に経口投与し、投与後のそれらの結晶中に存在するトラマドールの濃度を定期的に測定した。実施例5、試験Aからのトラマドールの血漿濃度特性を図12に示す。このデータは、本発明の即放性部分は、1単位用量のULTRAM(登録商標)と等しい初期血漿濃度を提供し、徐放性粒子は12時間よりも長い時間上昇するかまたは持続するトラマドール血漿濃度を提供することを示している。実施例5、試験Bのトラマドールの血漿濃度特性は、図13に示す。このデータは、本発明は、餌を与えた状態および絶食状態のどちらにおいてもトラマドールの持続した血漿濃度を示すことを表している。
【0095】
50mgのトラマドール(遊離塩基または塩)を含有する即放性粒子と150mgのトラマドール(遊離塩基または塩)を含有する徐放性粒子とを含有する剤形をヒト被験体に投与した場合、血漿トラマドール濃度は投与後最初の60分間で急速に100〜450ng−トラマドール/ml−血漿の濃度まで上昇ことが予想され得る。その後、平均の血漿
トラマドール濃度は投与後少なくとも12時間、100ng/mlより多いままであり得る。このことから、本明細書に記載したように、トラマドール即放性粒子および徐放性粒子を含有する本発明の剤形が、トラマドールについて広範囲に異なる血漿特性を提供するのに適合し得ると言える。
【0096】
上記の説明および下記の実施例を考慮して、当業者は過度の実験を行なうことなく特許請求された本発明を実施することができる。前記の説明は本発明の実施形態の調製物を製造するための特定の手順を詳細に記載している次の実施例を参照するとより良く理解されよう。これらの実施例でなされた言及はすべて説明のためである。次の実施例は完全なものとして理解すべきではなく、単に本発明の範囲内と考えられる多くの実施形態のうちの幾つかの例示に過ぎない。
【実施例】
【0097】
[実施例1]
即放性粒子の調製
方法A:40%の薬物添加の塩酸トラマドールビーズの調製
以下の成分を示された量で提供した。
【表4】
【0098】
これらの固形物を、44gの水をゆっくりと加えながら20分間にわたってプラネタリーミキサー(planetary mixer)中で混合し、造粒した。この湿った生地を1.2mmのスクリーンを備えたNica E−140押し出し機を用いて押し出した。この押し出し物を、1000rpmで回転している2mmのV字溝付き(V−groved)プレートを備えたマルメライザー(Luwa QJ−230)に加え、5分間球体化した。この球体を室温にてトレー乾燥した。1〜1.4mmの範囲内のビーズが72%収率で得られた。トラマドールのインビトロ放出特性を、実施例4に従って測定した。その薬物放出はpH非依存性であり、95%を超える薬物が、水性検定溶液に曝露後10分以内に放出された。
【0099】
方法B:50%の薬物添加の塩酸トラマドールビーズの調製
以下の成分を示された量で提供した。
【表5】
【0100】
これらの固形物を、67gの水をゆっくりと加えながら20分間にわたってプラネタリーミキサー中で混合し、造粒した。この湿った生地を1.2mmのスクリーンを備えたNica E−140押し出し機を用いて押し出した。この押し出し物を、1000rpmで回転している2mmのV字溝付きプレートを備えたマルメライザー(Luwa QJ−230)に加え、10分間球体化した。この球体を室温にてトレー乾燥した。1〜1.4mmの範囲内のビーズが37%の収率で得られた。トラマドールのインビトロ放出特性を、実施例4に従って決定した。その薬物放出はpH非依存性であり、95%を超える薬物
が、10分間で放出された。
【0101】
方法C:60%の薬物負荷の塩酸トラマドールビーズの調製
以下の成分を示された量で提供した。
【表6】
【0102】
これらの固形物を、56gの水をゆっくりと加えながら20分間にわたってプラネタリーミキサー中で混合し、造粒した。この湿った生地を1.2mmのスクリーンを備えたNica E−140押し出し機を用いて押し出した。この押し出し物を、1000rpmで回転している2mmのV字溝付きプレートを備えたマルメライザー(Luwa QJ−230)に加えた。この材料は、非常に大きな1つのビーズを形成した。この材料を収集して再度押し出し、この押し出し物を5分間乾燥した。この押し出し物をマルメライザーに加えると、粉砕したが球体化しなかった。噴霧容器から適度の水をこの物質に噴霧すると、この材料は15分後に球体化した。この球体を室温にてトレー乾燥した。1〜1.4mmの範囲内のビーズが57%の収率で得られた。
【0103】
方法D:AVICEL(登録商標)RC−581を使用した、50%の薬物添加の塩酸トラマドールビーズの調製
以下の成分を示された量で提供した。
【表7】
【0104】
これらの固形物を、82gの水をゆっくりと加えながら20分間にわたってプラネタリーミキサー中で混合し、造粒した。この湿った生地を1.0mmのスクリーンを備えたNica E−140押し出し機を用いて押し出した。この押し出し物を、1000rpmで回転している2mmのV字溝付きプレートを備えたマルメライザー(Luwa QJ−230)に加えた。この材料は、非常に大きな1つのビーズを形成した。この材料を収集して再度押し出し、この押し出し物を5分間乾燥した。この押し出し物をマルメライザーに加えると、粉砕したが球体化しなかった。噴霧容器から水をこの材料に噴霧すると、この材料は15分間で球体化した。これらのビーズはあまり球状ではなく、ダンベル形であった。これらの球を室温にてトレー乾燥した。1〜1.4mmの範囲内のビーズが71%の収率で得られた。
【0105】
方法E:AVICEL(登録商標)RC−581およびAVICEL(登録商標)PH−100を使用した、50%の薬物添加の酸トラマドールビーズの調製
以下の成分を示された量で提供した。
【表8】
【0106】
これらの固形物を、74gの水をゆっくりと加えながら20分間にわたってプラネタリーミキサー中で混合し、造粒した。この湿った生地を1.2mmのスクリーンを備えたNica E−140押し出し機を用いて押し出した。この押し出し物を、1000rpmで回転している2mmのV字溝付きプレートを備えたマルメライザー(Luwa QJ−230)に加えた。この材料は、非常に大きな1つのビーズを形成した。この物質を収集して再度押し出した。この押し出し物をマルメライザーに加えると、粉砕したが球体化しなかった。ビーズのバルクは、1.4mmよりも多少大きかった。この球体を室温にてトレー乾燥した。1〜1.4mmの範囲内のビーズが34%の収率で得られた。
【0107】
方法F:AVICEL(登録商標)RC−581およびAVICEL(登録商標)PH−100を使用した、50%の薬物添加の塩酸トラマドールビーズの調製
以下の成分を示された量で提供した。
【表9】
【0108】
これらの固形物を、64gの水をゆっくりと加えながら20分間にわたってプラネタリーミキサー中で混合し、造粒した。この湿った生地を1.0mmのスクリーンを備えたNica E−140押し出し機を用いて押し出した。この押し出し物を、1000rpmで回転している2mmのV字溝付きプレートを備えたマルメライザー(Luwa QJ−230)に加えた。この押し出し物をマルメライザーに加えると、粉砕し、球体化した。ビーズのバルクは、1〜1.4mmの間であった。この球体を室温にてトレー乾燥した。1〜1.4mmの範囲内のビーズが72%の収率で得られた。
この実施例に従って調製した即放性粒子を実施例2の徐放性粒子と組み合わせて使用して、本発明のマルチパーティキュレート組成物を形成した。
【0109】
[実施例2]
徐放性粒子の調製
方法A:実施例1に従って調製したビーズのコーティング
以下の成分を示された量で提供した。
【表10】
【0110】
いくつかのバッチのコーティング溶液を調製し、充填ビーズ(0.7〜0.84mm)800gを使用したUniGlatt流動床コーターでビーズ(1.2〜1.4mm)40gをコーティングした。充填ビーズを使用したのは、使用したUniGlattコーターは、コーティングを行うのに約800g〜900gのビーズが必要であるからである。これでは、一回のコーティングを行うのに約500gの塩酸トラマドールが必要とされる。ビーズを調製するための薬物および時間を節約するために、充填ビーズを使用してコーティング充填物(charge)を作製することが便利でありコスト効率が良い。活性(active)ビーズは、標準的なメッシュのスクリーンを使用して篩がけすることにより充填ビーズと分けることが可能である。
コーターの操作条件は以下のとおりである。
【表11】
【0111】
1200g、1600g、2000g、2800g、3600gおよび4400gのコーティング溶液を適用したのちに活性ビーズのサンプルを除去した。塩酸トラマドールのビーズから水への放出(USP溶解装置No.2を使用して37℃、50rpmで、900mLの水中で測定した場合)を図6に示す。貫流システムを用いて20時間にわたり5分ごとに各溶解フラスコ中で吸収を測定した。ビーズを粉砕し、270nmにおける吸収から薬物の量を測定することによって、100%の値を決定した。ビーズのコーティングが増加すると塩酸トラマドールの放出速度は減少することがわかる。
【0112】
方法B:実施例1に従って調製したビーズのコーティング
以下の成分を示された量で提供した。
【表12】
【0113】
50gのビーズ(1.2〜1.4mm)を、800gの充填ビーズ(0.7〜0.84mm)を使用してUniGlatt流動床コーターでコーティングした。活性ビーズは、標準的なメッシュのスクリーンを用いて篩がけすることによって充填ビーズから分けることができる。
コーターの操作条件は以下のとおりである。
【0114】
【表13】
【0115】
3300gのコーティング溶液を適用した後、活性ビーズを充填ビーズから分離した。ビーズからの塩酸トラマドールの放出特性(方法Aに記載したとおりに測定した)を、図7に示す。
この実施例に従って調製した徐放性粒子を実施例1の即放性粒子と組み合わせて使用して本発明のマルチパーティキュレート組成物を形成した。
【0116】
[実施例3]
即放性粒子および徐放性粒子のマルチパーティキュレート組成物を含有するカプセルの調製方法A:即放性ビーズと徐放性ビーズとを合わせてハードゼラチンカプセルに入れたコンビネーション生成物を得る調製方法
50mg用量の塩酸トラマドールを得るのに必要な即放性粒子の量(重量105mg)を、使用する即放性粒子(実施例1に従って調製された)のバッチに基づいて計算した。150mg用量の塩酸トラマドールを得るのに必要な徐放性粒子の量(重量401mg)を、使用する徐放性粒子(実施例2に従って調製した)のバッチに基づいて計算した。算出された量の即放性粒子と算出された量の徐放性粒子とを合わせてカプセルシェル内に入れ、必要に応じてシールして200mg単位用量の塩酸トラマドールを含むカプセル剤形を得た。
【0117】
方法B:即放性ビーズと徐放性ビーズとを合わせてハードゼラチンカプセルに入れたコンビネーション生成物を得る調製方法
実施例1(方法A)のコーティングされていないビーズ内の塩酸トラマドールの濃度を測定すると47.6質量%であった。従って、合わせた生成物の即放性部分が50mg用量の塩酸トラマドールを得るためには105mgのビーズが必要である。
使用されるコーティングされたビーズ(徐放性ビーズ)のバッチは、4400gのコーティングを受けた実施例2(方法A)のバッチである。これらのビーズのアッセイによって薬物含有量が37.4質量%であると示された。従って、150mg用量の塩酸トラマドールのためにはこれらのビーズが401mg必要となる。
【0118】
必要量の即放性ビーズおよび徐放性ビーズを0番のハードゼラチンカプセルに充填した。SGF、水またはSIFを使用して本明細書に記載したとおりにSGF、水、およびSIF媒体中での溶解試験を実施するためにいくつかのカプセルを調製した。この結果を図9に示す。見られるようにそのペレットからのトラマドールの放出は実質的にpH非依存的である。
【0119】
方法C:即放性ビーズと徐放性ビーズとを合わせてハードゼラチンカプセルに入れたコンビネーション生成物を得る調製方法
実施例1(方法B)のコーティングされていないビーズ内の塩酸トラマドールの濃度を測定すると49質量%であった。従って、合わせた生成物の即放性部分が50mg用量の塩酸トラマドールを得るためには102mgのビーズが必要である。
使用されたコーティングされたビーズ(徐放性粒子)は、3300gのコーティングを受けた実施例2(方法B)のビーズであった。これらのビーズのアッセイによって薬物含有量が38.7質量%であると示された。従って、150mg用量の塩酸トラマドールの
ためにはこれらのビーズが388mg必要となる。必要量のコーティングしたビーズおよびコーティングしていないビーズを0番のハードゼラチンカプセルに充填した。上述したとおりに、SGF、水、およびSIF媒体中で溶解試験を実施するためにいくつかのカプセルを調製した。図10に示す結果は、塩酸トラマドールの最初の即放の後に徐放が続くことを示している。この薬物放出は、実質的にpH非依存的である。
【0120】
方法D:即放性ビーズと徐放性ビーズとを合わせてハードゼラチンカプセルに入れたコンビネーション生成物を得る調製方法
充填ビーズを使用せずに大きいバッチをコーティングするために、実施例2の方法Fを使用していくつかのバッチの粒子を調製した。使用した粒子は、14メッシュを通過し、18メッシュに保持される粒子(1.4〜1mmの間)を含んでいた。
コーティングされていないビーズ(実施例1、方法F)内の塩酸トラマドールの濃度を測定すると48.3質量%であった。従って、合わせた生成物の即放性部分が50mg用
量の塩酸トラマドールを得るためには104mgのビーズが必要である。
【0121】
これらのコーティングされていないビーズ約800gを実施例2方法Bを用いてコーティングした。これらのビーズは2500gのコーティングを受けた。これらのビーズのアッセイによって薬物含有量が39.0質量%であると示された。従って、150mg用量の塩酸トラマドールのためにはこれらのビーズが385mg必要となる。必要量のコーティングされたビーズおよびコーティングされていないビーズを0番のハードゼラチンカプセルに充填した。SGF中で、水中で、SIF中でおよびSGFに2時間の後SIF媒体中に残りの時間配置して、溶解試験を実施するためにいくつかのカプセルを調製した。図11に示す結果は、塩酸トラマドールの最初の即放の後徐放が続いていることを示している。この薬物放出は、検討されたすべての条件下にて実質的にpH依存的でないことを示している。
実施例1および実施例2に従って調製された粒子を組み合わせて使用して、本発明のマルチパーティキュレート組成物を形成する。
【0122】
[実施例4]
インビトロ溶解アッセイ
方法A:即放性ビーズについて
このビーズからの塩酸トラマドールの放出を50rpmのパドル回転および37℃の媒質でUSP溶解方法No.2を用いて測定した。この放出を水中、人工胃液(酵素なし)
(SGF)および人工腸液pH6.8(酵素なし)(SIF)中で測定した。放出された
塩酸トラマドールの濃度を、UV分光光度計を用いて270nmの波長で6分間、1/2分ごとに分光光度的に測定した。
【0123】
方法B:徐放性ビーズについて
20時間または24時間、5分ごとに塩酸トラマドールの濃度を測定したこと以外は方法Aと同じようにアッセイを実施した。
【0124】
[実施例5]
インビボ評価
試験A:実施例3、方法CのトラマドールER剤形のインビボ評価
3匹の絶食させたオスのビーグル犬に即放性ULTRAM(登録商標)(Ortho−McNeil Pharmaceuticals,Inc.,Control 5GG103)の50mg錠を2錠、または本発明の200mgカプセル剤形(実施例3、方法Cに従って調製した50mgが即放性、150mgが徐放性のもの)を2錠のいずれかを与えた後、水を30ml与えた。血液サンプルを予め決めておいた時点で収集し、質量検出を備える公認された(validated)HPLCアッセイによってトラマドールおよ
びその主要な代謝物を分析した。図12は、ULTRAM(登録商標)(黒三角)および本発明の徐放性処方物(黒四角)の両方について、時間の関数としての平均トラマドール血漿濃度(±SD)のプロットである。見られるように、本発明の処方物の血漿濃度は、即放性ULTRAM(登録商標)処方物と同じように迅速に上昇している。しかしながら、本発明の処方物の血漿濃度は、少なくとも12時間にわたり比較的一定なままであり、24時間にわたってトラマドール濃度が上昇したままである。
【0125】
試験B:実施例3、方法DのトラマドールER剤形のインビボ評価
4匹のオスのビーグル犬に本発明の200mgカプセル剤形(実施例3、方法Dにしたがって調製した50mgが即放性、150mgが徐放性のもの)を2錠与えた後、水を30ml与えた。検討の間は、少なくとも2週間のウオッシュアウト期間をもたせ、餌を与えた状態または絶食させた状態のいずれかでその処方物を与えた。餌を与える方の検討では、犬に薬物投与の寸前に餌を摂らせた。全ての検討において、犬に8時間後および24時間後に餌を与えた。血液サンプルを予め決めておいた時点で収集し、質量検出を備えた公認された(validated)HPLCアッセイによってトラマドールおよびその主要な代謝物を分析した。図13は、餌を与えた状態(黒四角)および絶食させた状態(白四角)で、本発明の徐放性処方物について時間の関数としての平均トラマドール血漿濃度(±SD)のプロットである。見られるように、本発明の処方物の血漿濃度は、餌を与えた状態と絶食させた状態のどちらにおいても迅速に上昇し、少なくとも8時間は比較的一定である。血漿トラマドール濃度の時間曲線下面積は、餌を与えた状態が220,879±27,047ng・min/mLであり、絶食した状態が189,313±82,551ng・min/mLであり、両方の状態において実質的に等価なトラマドール暴露を示している。
【0126】
[実施例6]
本発明の粒子中の薬物添加量の測定
許容範囲の吸収値を得るために秤量したコーティングされたビーズまたはコーティングされていないビーズを砕き、その砕いたビーズを既知の量の水に溶解することによって、分光光度計によってビーズの薬物含有量を測定した。塩酸トラマドールのUVスペクトログラムは、約220nm、270nm、および275nmの波長で特異的なピークを示している。270nmにおける薬物の測定された吸光係数から、このサンプル中の薬物の濃度を測定した。
【0127】
上記は本発明の特定の実施形態の詳細な説明である。本発明の特定の実施形態を例示するために本明細書で開示したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更をすることができることは理解されよう。従って、本発明は添付した特許請求の範囲による以外には限定されない。本明細書で開示され、特許請求された実施形態はすべて本発明の開示に照らして過度の実験を行なうことなく製造および実施することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験体への経口投与後にトラマドールを二段階放出させるための、トラマドールを含有するマルチパーティキュレート処方物に関する。より詳細には、本発明は、即放性放出と徐放性放出とを組み合わせたトラマドールの放出を提供するマルチパーティキュレート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トラマドールは、中枢作用合成鎮痛薬である。トラマドールは、一般的にはその2つの光学異性体のラセミ混合物として投与される。塩酸トラマドールの既知の物理的特性のいくつかを以下に挙げる:a)水への溶解度:790mg/mL(24℃において);b)水への溶解度:840mg/mL(37℃において);c)飽和溶液のpH:5.0;d
)飽和溶液の密度:1.1079(37℃において);e)37℃における粘度(飽和溶
液):86.5cp;およびf)DSC融点:181.3℃。
【0003】
トラマドールの光学異性体は、種々のレセプターに対して異なる親和性を示す。(+/−)−トラマドールは、ミューレセプターの選択的アゴニストであり、優先的にセロトニン再摂取を示すが、(−)−トラマドールは、主にノルアドレナリン再摂取を示す。これら2つの光学異性体の作用は、相補的かつ相乗的であり、(+/−)−トラマドールの鎮痛作用をもたらす。ULTRAM(登録商標)の経口投与後、塩酸トラマドールは、68%のバイオアベイラビリティーを示し、2時間以内にピークの血清中濃度に達する。この排出反応は、100mgの経口単回投与後、5.1時間のトラマドール半減期および9時間のM1誘導体半減期を持ち、2−コンパートメント反応と記載され得る。これは、親薬剤とそのM1誘導体の約2倍の蓄積を説明し、これは、塩酸トラマドールでの複数回投与処置の間に観察される。
【0004】
塩酸トラマドールの推奨1日量は、4〜6時間毎に50mg〜100mgであり、最大用量は400mg/日;即放性塩酸トラマドール(100mg)の経口単回投与後の鎮痛効果持続時間は約6時間である。副作用および特に吐き気は用量に依存するため、添加用量が多い場合に現れる傾向がかなり強い。処置の初日の間のこの投与量の低減は耐容性の向上において重要な因子である。他の副作用は、一般的にはオピオイドの副作用と類似しているが、これらは通常それほど重篤ではなく、呼吸抑制、不快気分、および便秘などが挙げられ得る。トラマドールは、他の鎮痛剤、特に末梢作用を伴う鎮痛剤と同時に投与され得るが、CNS機能を抑制する薬物は、トラマドールの鎮痛効果を増強し得る。
【0005】
ラセミトラマドールは、50mgの即放性錠剤として商品名ULTRAM(登録商標)(Ortho−McNeil)で市販されており、この錠剤は、以下から構成される:a)塩酸トラマドール50mg;b)コーンスターチ;c)微結晶性セルロース;d)ラクトース;e)ステアリン酸マグネシウム;f)デンプングリコール酸ナトリウム;g)HPMC;h)PEG;i)ポリソルベート80;j)二酸化チタン;およびk)ワックス。
【0006】
トラマドールを含有する徐放性(Extended/controlled release)剤形は、商品名RALIVIRA(登録商標)ERで市販されている。ビーズ、顆粒、ペレット、粉末またはマルチパーティキュレート形態のトラマドールを含有するカプセル処方物が文献中で報告されている。特許文献および化学文献によって、トラマドールの徐放性放出(controlled,extended or sustained
release)および即放性放出を提供する錠剤またはカプセル処方物が開示されている。
【0007】
徐放性形態の粒状の塩酸トラマドールを含有するカプセルの投与は食事によって影響されないことが文献で報告されているが、関連する処方物が、SMB Technologies or Laboratoiries SMB SA(Brussels,Belgium)の処方物として唯一定義された。同様の結果が、徐放性形態のペレット化された塩酸トラマドールを含有するカプセルについて報告された(Asta Medica
Group or Temmler Pharma Gmbh;Marburg,Germany)。
【0008】
いくつかの特許文献および参考文献は、内部徐放コアを被膜する外部即放層を有する複層コーティングされたビーズまたは球を使用することを示唆している。他の参考文献は、カプセル内に含まれる即放性粒子およびコーティングされた徐放性粒子の混合物の使用を示唆している。いくつかの参考文献は放出速度制御膜として半透膜を用いることを開示しており、これらの参考文献のいくつかは、その半透膜を微細孔コーティングに転換するためにその膜にポアフォーマを用いることを示唆している。これらの参考文献の大部分は、徐放性ビーズのまわりに放出速度制御コーティングを形成するためにエチルセルロース、酢酸セルロース、またはEUDRAGIT(登録商標)という商品名のポリ(メタクリレート)−コ−(メチルメタクリレート)コポリマーを使用している。
【0009】
米国特許第6,156,342号は、2種類の異なるペレットまたは錠剤である、即放性のペレットまたは錠剤と徐放性のペレットまたは錠剤とを含有するカプセルを開示している。この徐放性ペレットは、酢酸セルロース、EUDRAGIT(登録商標)S100、トリアセチン、PEG400および製菓用の砂糖を含有する微細孔膜を含む。この徐放性ペレットまたは徐放性錠剤からの塩酸トラマドールの放出は、pH依存的であるようであり、人工胃液(simulated gastric fluid(SGF))と人工腸液(simulated intestinal fluid(SIF))との比で計算される場合、トラマドール放出においてかなり大きくかつ顕著な差異がある。
【0010】
トラマドールのpH依存的徐放は、薬物の徐放における再現性の欠如によって実質的な複数の患者間および一人の患者における変動性を生じるので、望ましくない。詳細には、この薬物の吸収速度は腸を通過する際に変化し得るので、何人かの患者は他の患者よりも実質的により早く制御された速度で薬物を受容することとなる。この影響は、剤形が食事を与えられた状態および絶食の状況下で研究される場合に観察される薬物動力学において観察される差異であり得る。典型的には、この剤形は、絶食状態よりも食事を与えられた状態のほうが長時間胃の中に留まり、このことが、胃および腸におけるこの剤形からの薬物放出の量を変化させる。食事を与えられた状態および絶食状態の薬物動力学におけるこの差異についての他の理由は、下部消化管に対して胃腸管の方が薬物の吸収がより高いためであり得る。この場合において、胃におけるより長い滞留が、上部消化管により大量の薬物を暴露させることによってより大きな吸収をもたらし得る。高用量で早すぎる速度で投与された場合、トラマドールの潜在的な毒性によってpH依存的徐放があまり望ましくないものとなる。
【0011】
既知の技術のいずれも、徐放性粒子からのトラマドールの放出が実質的にpH非依存的である、即放性および徐放性を組み合わせたトラマドールのマルチパーティキュレート剤形を開示していない。従って、薬物の徐放において任意の実質的なpH依存性の欠如を示す、改良された即放性および徐放性を組み合わせたマルチパーティキュレート剤形が必要とされており、それによって複数の患者間または一人の患者における変動性をほとんどなくしてより再現性のある薬物放出特性がもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、この技術固有の不都合のいくつかまたはすべてを克服することを目的としている。本発明は、少なくとも2種類の粒子の異なる集合を含有する粒子組成物を含有するカプセルからの、トラマドールの即放および徐放の二段階放出を提供する。第1の粒子の集合は、経口投与された場合かまたは水環境に暴露された場合、トラマドールの即放を提供する。第2の粒子の集合は、経口投与された場合かまたは水環境に暴露された場合、トラマドールの徐放を提供する。徐放性粒子からのトラマドールの放出は実質的にはpH非依存的であり、このことは、徐放性粒子からのトラマドールの放出が人工胃液と人工腸液で比較される場合、所定の時点における放出速度または放出されたトラマドールの総量において10%未満、5%未満、または2.5%未満の差異が存在することを意味している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のマルチパーティキュレート組成物およびマルチパーティキュレート剤形は、被験体に1日1回投与される。これらは、痛みおよびトラマドールに治療的に応答する他の適応症、障害または症状の処置に適している。トラマドール(遊離塩基または塩)は、哺乳類の中程度乃至中程度に重篤な痛みの管理に必要とされている。例えば、この組成物は、抜歯、分娩、関節炎、外傷、または炎症に関する痛みを処置するために投与される。この組成物は、他の鎮痛剤と組み合わせて使用され得る。即放性粒子は、2時間またはそれ未満、1時間またはそれ未満、30分またはそれ未満、あるいは約10分またはそれ未満の時間内、被験体にトラマドールの初回添加用量を提供するのに十分な量で存在する。いくつかの実施形態において、即放性粒子中の100mg用量の塩酸トラマドールは、1〜3時間または1.9〜2.3時間のTmaxで200〜600ng/mLの範囲のトラマドール血漿濃度を提供し得る。徐放性粒子は、投与後12時間以上、16時間以上、20時間以上かつ約24時間まで、約28時間まで、または約32時間までの時間、トラマドールの連続維持用量を被験体に提供するのに十分な量で存在する。この処方物の徐放性部分由来の血漿濃度は、徐放性形態で150〜300mg用量の塩酸トラマドールを投与後18時間にわたって100〜500ng/mLであり得る。
【0014】
本発明の組成物はヒトのような哺乳類に投与され、有利な薬物動力学特性を提供し得る。いくつかの実施形態において、この組成物は塩酸トラマドールを含有する既知の徐放性組成物と比較して実質的に生物学的同等である。他の実施形態において、この組成物は固有のトラマドール血漿特性を提供する。本発明のいくつかの実施形態は、本明細書中に記載されるような薬物放出特性を提供する。
【0015】
本発明の1つの局面では、トラマドールを含有するビーズ/粒子の組成物を含有するマルチパーティキュレート剤形を提供する。この単位剤形は、少なくとも2種類の異なるタイプのビーズの混合物を含有する。第1のグループのビーズは、トラマドールの即放(immediate/rapid release)を提供し、第2のグループのビーズは、トラマドールの徐放を提供する。このビーズは、投与を容易にするために必要に応じてカプセル剤形で提供される;あるいは、これらは、無包装形態または包の剤形で被験体に投与され得る。いくつかの実施形態において、この組成物はカプセルで提供され、使用中、カプセルが半分に分かれ、組成物がアップルソースのような柔らかい食べ物の上または飲料中にばら撒かれる。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態は、市販されている即放性の製品であるULTRAM(登録商標)の投与で一般的に観察される食事による影響の低減効果を提供する。
【0017】
この徐放性粒子は、酢酸酪酸セルロースまたは酢酸プロピオン酸セルロースのような放
出速度制御材料でコーティングされる。この徐放性粒子のコアは、放出速度制御材料を含み得るかまたは排除し得る。このコーティングは、ポアフォーマを含み、それによって使用の間にそのコーティングに微細孔を形成(render)する。いくつかの例示的な実施形態において、徐放性粒子の単回投与は、約10〜350mgまたは50〜350mgまたは約150mgの塩酸トラマドールを放出する。負荷量または初回投与量として、この量は50mg未満に低減され得る。徐放性粒子から放出されるトラマドールのインビトロ溶解速度または総量は、実質的にはpH非依存的である。
【0018】
即放性粒子は、放出速度制御材料でコーティングされていない。これらの粒子から薬物が放出するのにかかる最大時間は、一般的にはインビトロで2時間またはそれ未満、1時間またはそれ未満、30分またはそれ未満、15分またはそれ未満、あるいは10分またはそれ未満の範囲内である。いくつかの実施形態において、コーティングされていない粒子から放出されるトラマドールの総量は、本明細書中に記載されるアッセイを用いて測定した場合、インビトロで約10分以内で90質量%である。いくつかの例示的な実施形態において、これらコーティングされていない即放性粒子の単回投与は、約10〜100mgまたは約50mgの塩酸トラマドールを放出する。
【0019】
本発明の1つの局面は、マルチパーティキュレート薬学的組成物を提供し、以下を含有する:
トラマドールおよび少なくとも1種類の薬学的賦形剤を含有する即放性粒子の集合体;ならびに
コア組成物およびそのコア組成物を包む放出速度制御コーティング組成物を含有するコーティングされていない徐放性粒子の集合体であって、ここで、このコア組成物は、トラマドールおよび少なくとも1種類の薬学的賦形剤を含有し、かつこのコーティング組成物は、半透性ポリマー、ポアフォーマおよび可塑剤を含有し、かつこの徐放性粒子は、トラマドールの実質的にpH非依存的放出を提供する、集合体。
【0020】
本発明の別の局面は、カプセルシェルおよび本明細書中において定義するような薬学的組成物を含有する二段階放出カプセル剤形を提供する。
【0021】
徐放性粒子の集合中に存在するトラマドールの量は、即放性粒子の集合体中に存在するトラマドールの量よりも多くまたは少なくあり得る。いくつかの実施形態は、即放性粒子中よりも徐放性粒子中に多量のトラマドールを提供する。
【0022】
本発明はまた、トラマドールの実質的にpH非依存的な放出を提供する徐放性粒子を提供し、この粒子は以下を含有する:
トラマドールおよび少なくとも1種類の賦形剤を含有するコア;ならびに
このコアを包む半透性コーティングであって、このコーティングはフィルム形成半透性ポリマー、水溶性または水浸食性ポアフォーマ、および可塑剤を含有する、コーティング;ここで、
このポアフォーマは、粒子が水環境に暴露された後、溶解または浸食され、それによりその半透膜に微細孔を形成(render)し、その結果、そのコアからのトラマドールのpH非依存的放出を提供する。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態は、酢酪酸セルロースまたは酢酸プロピオン酸セルロースを含有する半透性ポリマーを含む。本発明のいくつかの実施形態は、200〜8000の分子量を持つPEG、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ジエチルフタレート、またはジブチルセバケートを含有する可塑剤を含む。本発明のいくつかの実施形態は、スクロース、ソルビトールまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有するポアフォーマを含む。
【発明の効果】
【0024】
徐放性粒子からのトラマドールの放出は、代表的には1次オーダー、疑似1次オーダー、ゼロオーダー、疑似ゼロオーダー、またはS字状の放出特性に従う。いくつかの実施形態において、徐放性粒子からのトラマドールの放出は、最初の遅延時間を伴ってほぼ1次オーダー放出に従う。この即放性粒子は、水環境への暴露後、すぐにかまたは2時間もしくはそれ未満の時間で薬物を放出し得る。本発明の粒子がカプセルシェル内に含まれている場合、この粒子からのトラマドールの最初の放出は、シェルがその粒子と水環境との接触に十分に有用な水環境中に溶解または浸食される時間まで少なくとも遅延される。
【0025】
本発明の剤形は、粒状組成物の投与に適しているので、カプセル(ハードまたはソフト)、キャプレット、錠剤、サシェ、粒状混合物、または薬学的産業分野で既知の他の固形剤形であり得る。
【0026】
徐放性形態と即放性形態で存在するトラマドールの割合は、薬学的組成物中に存在する徐放性粒子および即放性粒子それぞれの総重量または総体積を制御することによって調節される。いくつかの実施形態において、少なくとも50質量%、または約50質量%〜100質量%、または約65質量%〜85質量%の徐放性形態のトラマドールが存在し、約50質量%以下、または0質量%〜50質量%、または約15質量%〜35質量%の即放性粒子中のトラマドールが存在する。この組成物中の即放性粒子および徐放性粒子の量は、広範囲に変化し得る。たとえば、即放部分は、塩酸トラマドールが0〜100mgまたは0<〜100mgであり、徐放性部分は、塩酸トラマドールが0〜400mgまたは0<〜400mgである。いくつかの実施形態において、この剤形は約50mgの即放性塩酸トラマドールおよび150mgの徐放性塩酸トラマドールを含有する。いくつかの実施形態において、マルチパーティキュレート組成物を含有する薬学的組成物は、約25〜100mg、または約50mgの即放性形態の塩酸トラマドールを含有し、かつ約50〜300mg、または150mgの徐放性形態の塩酸トラマドールを含有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下の図面は本明細書の一部を形成し、特許請求される発明の代表的な実施形態を記載する。当業者は、これらの図面および本明細書の記載を考慮して、過度な実験を行うことなく本発明を実施し得る。
【図1】図1は、本発明の代表的な即放性粒子の断面図を示す。
【図2】図2は、本発明の代表的な徐放性粒子の断面図を示す。
【図3】図3は、即放性粒子と徐放性粒子の混合物を含有するカプセルの側面図を示す。
【図4】図4は、実施例1の方法Aに従って作製された即放性粒子の放出特性を示す。
【図5】図5は、(適用したコーティング溶液の量に基づく)異なる量のコーティングを含む徐放性粒子の放出特性を示す。コーティングされていない粒子は、実施例1の方法Aに従って作製され、次いで実施例2の方法Aのようにコーティングされた。
【図6】図6は、(適用したコーティング溶液の量に基づく)異なる量のコーティングを含む徐放性粒子の放出特性を示す。コーティングされていない粒子は実施例1の方法Bに従って作製され、次いで、実施例2の方法Aのようにしてコーティングされた(異なるバッチの粒子を除いて、図5と同様)。
【図7】図7は、徐放性粒子の放出特性を示す。コーティングされていない粒子は実施例1の方法Bに従って作製され、次いで、実施例2の方法Bのようにしてコーティングされた。
【図8】図8は、徐放性粒子の放出特性を示す。コーティングされていない粒子は実施例1の方法Bに従って作製され、次いで、コーティング溶液中のスクロースおよびクエン酸トリエチルの量を変えながら、実施例2の方法Bのようにしてコーティングされた(曲線Aは、CAB 171−15PGの割合と同様に、スクロース35%およびTEC30%;曲線Bは、スクロース45%およびTEC30%;曲線Cは、スクロース55%およびTEC30%;曲線Dは、スクロース45%およびTEC20%)。
【図9】図9は、実施例3の方法Bに従って作製されたカプセルに入れた即放性ビーズと徐放性ビーズの組み合わせの放出特性を示す。コーティングしていない粒子は、4400gのコーティング量を使用して、図6と同様に調製される。トラマドールの全量は、塩形態(すなわち、塩酸トラマドール)として与えられる。図9におけるデータは、実施例3の方法Bで与えられるようにして調製された粒子からのものである(即放性ビーズおよび徐放性ビーズの重量を含む)。
【図10】図10は、実施例3の方法Cに従って作製された徐放性カプセルの放出特性を示す。これらの粒子は、図7のように調製された。トラマドールの全量は、塩形態(すなわち、塩酸トラマドール)として与えられる。図10におけるデータは、実施例3の方法Cにおけるようにして調製された粒子からのものである。
【図11】図11は、実施例3の方法Dに従って調製された徐放性カプセル剤形によって提供される、インビトロでの放出特性の組み合わせを示す。トラマドールの全量は、塩形態(すなわち、塩酸トラマドール)として与えられる。
【図12】図12は、Ultram(登録商標)錠剤(三角形)50mgを2錠か、または塩酸トラマドール50mgを含有する即放性ビーズ102mg(実施例1の方法B)と塩酸トラマドール150mgを含有する徐放性ビーズ388mg(実施例2の方法Bのようにコーティングされた即放性ビーズ)とから各々なる、0番の(#0)ハードゼラチンカプセルに被包された本発明の徐放性カプセル剤形(四角形)を2錠のいずれかを投与した後のビーグル犬におけるインビボでの血漿中トラマドール濃度の時間特性を示す。
【図13】図13は、塩酸トラマドール50mgを含有する即放性ビーズ101mg(実施例3の方法D)と、塩酸トラマドール150mgを含有する徐放性ビーズ388mg(実施例2の方法Bのようにコーティングされた即放性ビーズ)とから各々なる、0番のハードゼラチンカプセルに被包された本発明の徐放性カプセル剤形を2錠投与後に食べ物を与えられたビーグル犬(黒四角)または絶食状態のビーグル犬(白四角)のいずれかにおけるインビボでの血漿中トラマドール濃度の時間特性を示す。
【図14】図14は、図4の即放性粒子と図5の徐放性粒子とを混合することによって調製された徐放性カプセル剤形(2400gのバッチコーティング)によって提供されるインビトロでの放出特性の組み合わせを示す。即放性部分は全塩酸トラマドールの50%に相当し、徐放性部分は全塩酸トラマドールの50%に相当する。
【0028】
[発明の詳細な説明]
本明細書中で使用される場合、半透性ポリマーは、徐放性粒子のコアをコーティングするのに使用されるフィルムを形成するポリマーまたはポリマーの組み合わせである。半透性ポリマーは、コーティングされた徐放性粒子中に水を拡散させるが、そのコーティングを通してトラマドールを外に出すことは許容しない。代わりに、トラマドールはコーティングの微細孔を通って放出され、この微細孔はコーティング中に元から存在するポアフォーマの溶解によって形成されたものである。従って、徐放性粒子の半透膜は、粒子が使用される水環境中に暴露された後、微細孔半透膜に変わる。特に適切な半透性ポリマーとしては、酢酪酸セルロース(CAB)および酢酸プロピオン酸セルロース(CAP)が挙げられる。このような材料は、Eastman Chemical(Kingsport,TN)から容易に購入することができる。CAPおよびCABは、様々なグレードで市販されているが、これらのうちのいくつかを以下の表に詳述する。
【0029】
【表1】
【0030】
コーティングを形成するために個々に使用される場合、好ましいポリマーは、上記の場合CAB 381−20、CAB 171−15およびCAP−482−20である。一般的には、好ましい半透性ポリマーは、約1〜100ポアズまたは≧50ポアズの粘度を有し、かつ約100〜300℃または約140〜240℃の融点を有する。
【0031】
このコーティングはまた、半透性ポリマーの組み合わせを含有し得る。異なるポリマーは、所望のポリマーコーティングを達成するために種々の比率にて合わせられ得る。この異なるポリマーの組み合わせは、どちらの開始ポリマーと比較した場合でも、異なるガラス遷移温度、粘度および/または流体力学特性を有するポリマー混合物をもたらす。この実施形態において、比較的高い粘度のポリマーを比較的低い粘度のポリマーと組み合わせて、膜を形成するのに使用される半透性ポリマー組成物を形成し得る。例示的なポリマー混合物は、高い側の粘性のポリマーよりも低い粘度を示し、低い側の粘度のポリマーよりも高い粘性を示す。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「ポアフォーマ」は、水環境中に容易に溶解するかまたは浸食される材料または材料の組み合わせであり、コーティング組成物中に組み込まれ得る。徐放性粒子が水環境に暴露されると、このポアフォーマは、コーティング組成物から溶解するかまたは浸食され、そのコーティングに微細孔を形成する。言い換えると、コーティング中の微細孔は、意図された使用環境中の水性流体に徐放性粒子が暴露されている間に形成される。次いで、トラマドールは、そのように形成された微細孔を介して徐放性粒子を出ていく。
【0033】
使用環境中で微細孔が形成されるコーティングの調製方法は既知であり、例えば、以下:米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第4,063,064号、第4,088,864号、第4,816,263号、第4,200,098号、第4,285,987
号および第5,912,268号に記載され、これらの関連する記載は、本明細書中に参照により組み入れられる。
【0034】
例示的な「ポアフォーマ」としては、以下が挙げられる:ポリ(エチレングリコール)(PEG)、炭水化物、糖、還元糖アルコール、ソルビトール、ポリオール、キシリトール、マンニトール、ラクトース、スクロース、フルクトース、マルトース、デキストロース、水溶性または水浸食性誘導体化デンプン、水溶性または水浸食性誘導体化セルロース、水溶性または水浸食性ポリマー、尿素、塩、およびこれらの組み合わせ。特に適切な材料としては、糖、ポリオール、水溶性または水浸食性誘導体化セルロース、および水溶性または水浸食性ポリマーが挙げられる。特定の材料としては、スクロース、ソルビトールおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
【0035】
非水性溶媒と共に調製されるコーティングについて、このコーティング材料は、一般的には懸濁液というよりはむしろ溶液である。コーティング溶液を得るために、このポアフォーマを非水溶性溶媒中に溶解し、コーティング溶液を形成する。上記のポアフォーマのいくつかは、変性されていない(unmodified)非水溶性溶媒中に溶けない可能性があるが、ポアフォーマの溶解を助けるために、1種類またはそれ以上の共溶媒が非水溶性溶媒に加えられ得る。
【0036】
特定の微細孔コーティングを通過するトラマドールの放出速度は、そのコーティングの空隙率および/またはそのコーティングの厚さを調節することによって制御される。コーティングの空隙率は、その組成によって変化する:コーティング中のポアフォーマの含有量を大きくするほど、得られる微細孔コーティングの空隙率は大きくなる。コーティングは一般的には約10〜60質量%または30〜45%のポアフォーマを含有する。コーティングに加えられるポアフォーマの量は、コーティング溶液中に存在する可塑剤の量に依存し得る。この可塑剤が特に有効である場合、コーティング溶液中のポリマーはコーティングの形成中にポアフォーマを包み、それによって粒子が水環境中に暴露された場合にポアフォーマが溶け出すのを防ぐことができる。結果的には、このポアフォーマはあまり有効ではない。可塑剤があまり有効でない場合、ポアフォーマはコーティングの形成中にポリマーによってほとんど包まれず、ポアフォーマがより有効となる。
【0037】
コーティングに使用され得る可塑剤としては、一般的に薬物送達デバイスのポリマーコーティング中に取り込まれる可塑剤すべてが含まれる。可塑剤は、一般的には機械的特性を改善し、ポリマーフィルムの柔軟性を向上させる。可塑剤は、一般的には結合力のある分子間力を低減し、ポリマー鎖の可動性を増加させることにより、ポリマー−ポリマー間の相互作用を低減する。この作用は、Tg(ガラス遷移温度)もしくは軟化温度および弾性率の低減、ポリマーの可動性の増加のようなポリマーおよびそのフィルムの特性の変化によるものであり、従って、膜またはフィルムの形成過程を容易にする。非毒性でありかつ非刺激性である好ましい薬学的可塑剤は;移行、押出、または揮発傾向が低く;かつフィルム中のポリマーとの良好な混和性を有する。このコーティング中に使用され得る可塑剤としては以下が挙げられるが、これらは例示的であり以下に限定されるわけではない;アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、プロピレングリコール、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、イソプロピルフタレート、ジメチルフタレート、ダクチルフタレート(dactyl phthalate)、ジブチルセバケート、ジメチルセバケート、ヒマシ油、モノステアリン酸グリセロール、精製ココナッツオイル、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、その他またはこれらの組み合わせ。いくつかの実施形態において、可塑剤は200〜8000の分子量を持つPEG、クエン酸のエステル、およびフタル酸のエステルである。特定の可塑剤としては、200〜8000の分子量を持つPEG、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ジエチ
ルフタレート、およびジブチルセバケートが挙げられる。
【0038】
適切な可塑剤としてはまた、以下が挙げられるが、これらは例示的であり以下に限定されるわけではない;低分子量ポリマー、オリゴマー、コポリマー、オイル、小さな有機分子、脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオール、エステル型可塑剤、グリコールエステル、ポリ(プロピレングリコール)、マルチブロックポリマー、シングルブロックポリマー、低分子量ポリ(エチレングリコール)、クエン酸エステル型可塑剤、トリアセチン、プロピレングリコールおよびグリセリン。このような可塑剤としては、以下も挙げられ得る;エチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、スチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよび他のポリ(エチレングリコール)化合物、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸ソルビトール、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸エチル、ジブチルセバケート、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチルならびにグリコール酸アリル。このような可塑剤はすべて市販されており、AldrichまたはSigma Chemical Co.などの供給業者より購入可能である。可塑剤の組み合わせもまた、本発明の処方物において使用され得る。PEGベースの可塑剤は、市販されているかまたはPoly(ethylene glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications(J.M.Harris,Ed.;Plenum Press,NY)(この開示は、本明細書中に参照により組み入れられる)に開示されるような種々の方法で作製され得る。
【0039】
本明細書中に記載のカプセルは、少なくとも1週間、3週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年または2年の貯蔵保管期間を有する。たとえば、少なくとも6ヶ月の保管期間を有するカプセルは、そのカプセルのシェルが少なくとも6ヶ月の貯蔵期間の間、貯蔵安定性試験で不合格とならない。許容保管期間の基準は、所定のカプセル製品およびその貯蔵安定条件に従って必要に応じて設定される。薬剤師によって調剤され、薬局の客に売られる製品については、1週間ほどに短い保管期間が適切であることに留意されるべきである。
【0040】
用語「シェル」は、本明細書中で使用される場合、カプセル剤形のシェルまたは粒子から作製される充填組成物をカプセル化するために使用されるケース詰め(encasement)材料またはカプセル化材料を意味する。カプセルシェルを形成するかまたは別の組成物をカプセル化するために使用するのに適切ないずれの材料も本発明に従って使用され得る。
【0041】
このシェルは、硬質または軟質であり得、いずれの材料も本発明のカプセル中に使用され得るこのようなシェルを調製するために適切である。このカプセルシェルの調製に適切な材料としては以下が挙げられる;ソフトゼラチン、ハードゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、動物性ゼラチン、寒天、魚類性(fish(piscine))ゼラチンまたはこれらの組み合わせ。他の適切な材料としては以下が挙げられる:ポリビニル(polvinyl)アルコール/酢酸ポリビニルコポリマー(米国特許第3,300,546号);ヒドロキシブチルメチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースとのブレンド(米国特許第4,765,916号);酢酸ポリビニル(米国特許第2,560,649号、第3,346,502);水溶性ゼラチン(米国特許第3,525,426号);ポリビニルアルコール(米国特許第3,528,921号、第3,534,851号、第3,556,765号、第3,634,260号、第3,671,439号、第3,706,670号、第3,857,195号、第3,877,928号、第4,367,156号、第4,747,976号、第5,270,054);プルラン(米国特許第3,784,39
0号、第4,623,394号、第6,887,307);塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、フラン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、アクリルアミド、エチレン、プロピレン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、上述の酸のいずれかの塩、およびこれらの混合物のようなモノマーから誘導されるポリマー;ポリ塩化ビニル;ポリプロピレン;アクリル酸/マレイン酸コポリマー;ポリアクリル酸ナトリウム;ポリビニルピロリドン;グルコマンナンおよび必要に応じてグリセリンのような多価アルコールを含む別の天然の多糖類(米国特許第4,851,394号);プラスチックおよびポリ乳酸/ポリグリコライド(Elanco Animal Health Co.);HPMC(Shionogi Qualicaps Co.Ltd.(Nara Japan);SUHEUNG CAPSULES CO.LTD.(KYUNGGI−DO,KOREA)およびCapsugel);あるいはこれらの組み合わせ。基本的には、カプセルシェルの調製として当業者に公知であるいずれの材料も、本発明のカプセルに使用され得る。適切なデンプンカプセルは、Vilivalamら(Pharmaceutical Science & Technology Today(2000),3(2),64−69)に従って作製および使用され得る。結腸送達のためのキトサンカプセルは、Yamamoto(Kobunshi(1999),48(8),595)またはTozakiら(Drug Delivery System(1997),12(5),311−320)に従って作製および使用され得る。他の適切なシェル材料は、変性(modified)デンプンおよびイオタ−カラギーナンを含有するフィルム形成組成物を開示する米国特許出願No.2002/0081331(R.P.Scherer Technologies Inc.((Cardinal Health,Inc.))に開示されている。
【0042】
必須ではないが、本発明の処方物は、保存剤、吸着剤、酸化防止剤、酸性化剤、アルカリ化剤、抗菌剤、付着防止剤(antiadherent)、バインダー、緩衝剤、着色剤、希釈剤、直接圧縮賦形剤、電解液、崩壊剤、着香料(flavorant)、流動促進剤(glidant)、不透明化剤(opaquant)、艶出剤(polishing agent)、塩、安定剤、甘味剤、カプセルへの用途が当業者に公知である他の賦形剤、またはこれらの組み合わせを含有し得る。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「アルカリ化剤」は、アルカリ媒体を提供するために使用される化合物を意味する。このような化合物としては、例えば、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、およびトリエタノールアミン(trolamine)ならびに当業者に公知である他の化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0044】
本明細書中で使用される場合、用語「酸性化剤」は、酸性媒体を提供するために使用される化合物を意味する。このような化合物としては、例えば、酢酸、アミノ酸、クエン酸、フマル酸、ならびに塩酸、アスコルビン酸、および硝酸のような他のアルファヒドロキシ酸、ならびに当業者に公知である他の化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0045】
本明細書中で使用される場合、用語「吸着剤」は、物理的手段または化学的(化学吸着)手段によってその表面上に他の分子を保持し得る薬剤を意味する。このような化合物としては、例えば、粉末状炭および活性炭ならびに当業者に公知である他のこのような材料が挙げられるがこれらに限定されない。
【0046】
本明細書中で使用される場合、用語「酸化防止剤」は、酸化を阻害する薬剤を意味し、よってその薬剤は、酸化工程による調製物の劣化を防ぐために使用される。このような化
合物としては、例えば;アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ビタミンE、ビタミンE誘導体、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび当業者に知られている他の物質があるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書中で使用される場合、用語「緩衝剤」は、希釈時または酸やアルカリの添加時のpH変化に抵抗するために使用される化合物を意味する。このような化合物としては、例えば酒石酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、一塩基性酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムの無水物および二水和物、並びに当業者に公知である他の物質があるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書中で使用される場合、用語「甘味剤」は、調製物に甘味を付与するために使用される化合物を意味する。このような化合物としては例えば、アスパルテーム、デキストロース、グリセリン、マンニトール、サッカリンナトリウム、ソルビトール、スクロース、フルクトース、砂糖代替品、人工甘味料、および当業者に公知である他のこのような材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書中で使用される場合、用語「付着防止剤」は、製造過程で杵および臼に錠剤処方物成分が固着するのを防ぐ薬剤を意味する。このような化合物としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ベヘン酸グリセリル、ポリ(エチレングリコール)、水素化植物油、鉱物油、ステアリン酸、これらの組み合わせおよび当業者に公知である他のこのような材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書中で使用される場合、用語「バインダー」は、固体処方物中の粉末粒子の接着を引き起こすために使用される物質を意味する。このような化合物としては、例えばアラビアゴム、アルギン酸、トラガント、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリ(ビニルピロリドン)、圧縮糖(例えば、NuTab)、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、メチルセルロース、ポビドン、アルファ化澱粉、これらの組み合わせおよび当業者に知られている他の物質があるが、これらに限定されない。必要である場合、他のバインダーもまた本発明の処方物中に含有され得る。代表的なバインダーとして、デンプン、ポリエチレングリコール、グアーガム、多糖、ベントナイト、糖、転化糖、ポロキサマー(PLURONIC(登録商標)F68、PLURONIC(登録商標)F127)、コラーゲン、アルブミン、非水性溶剤に溶解したセルロース、これらの組合せなどが挙げられる。他のバインダーとしては、例えば、ポリ(プロピレングリコール)、ポリオキシエチレン−ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレンエステル、ポリエチレンソルビタンエステル、ポリ(エチレンオキシド)、微結晶セルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、これらの組合せおよび当業者に公知である他の物質が挙げられる。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「希釈剤」または「充填剤」は固体剤形の調製において所望のかさ高さ、流動性および圧縮特性をもたらすために充填剤として使用される不活性物質を意味する。このような化合物としては例えば第二リン酸カルシウム、カオリン、スクロース、マンニトール、微結晶セルロース、粉末セルロース、沈降炭酸カルシウム、ソルビトール、デンプン、これらの組み合わせおよび当業者に知られている他の物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「直接圧縮賦形剤」は直接圧縮処方物で使用される化合物を意味する。このような化合物としては、例えば第二リン酸カルシウム(例えばDitab(登録商標))、微結晶セルロース、直打用ラクトース(例えば、Tablettose(登録商標)、Lactose DT)、これらの組み合わせおよび当業者に知ら
れている他の物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「流動促進剤」は圧縮中の流動性を向上させ凝結防止効果を得るために錠剤およびカプセル処方物中で使用される物質を意味する。このような化合物としては、例えばコロイドシリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、シリコンヒドロゲル、コーンスターチ、タルク、これらの組み合わせおよび当業者に公知である他の物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「滑沢剤」は圧縮中の摩擦を減少させるために固体処方物中に使用される薬剤を意味する。このような化合物としては例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、これらの組み合わせ、および当業者に公知である他のこのような物質があるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「不透明化剤」は、錠剤のコーティングまたはカプセル中で使用され、感光性薬剤の場合に光に対する安定性を補助し得る有益な不透明度を付与する化合物を意味する。これは、単独で、または着色剤と組合せて使用され得る。このような化合物としては例えば、二酸化チタン、および当業者に公知である他のこのような物質があるが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「艶出剤」は粒子または剤形の表面に光沢を付与するために使用される化合物を意味する。このような化合物としては例えば、カルナウバろう、白ろう、これらの組み合わせおよび当業者に公知である他のこのような物質があるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「崩壊剤」は塊状固体の破壊を促進してより容易に分散または溶解するより小さな粒子とするために固体投与形態中で使用される化合物を意味する。代表的な崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムスターチグリコレート、クロスポビドン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、そのアルファ化デンプンおよび加工デンプンなどのデンプン、甘味料、ベントナイトなどの粘土、微結晶セルロース(例えばAvicel(登録商標))、カルボキシメチルセルロースカルシウム、セルロースポリアクリリンカリウム(例えばAmberlite(登録商標))、アルギン酸塩、ナトリウムスターチグリコレート、寒天、グアール、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、トラガントなどのガム、これらの組み合わせおよび当業者に公知である他のこのような材料があるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「着色剤」は、薬学的調製物に色を付与するために使用される化合物を意味する。このような化合物としては、たとえば、FD&C Red No.3、FD&C Red No.20、FD&C Yellow No.6、FD&C
Blue No.2、FD&C Green No.5、FD&C Orange No.5、FD&C Red No.8、カラメルおよび酸化鉄(黒、赤、黄)、他のFD&C色素ならびにブドウ皮抽出物、ビートレッド粉末(beet red powder)、ベータカロチン、アナトー色素、カーマイン、ウコン、パプリカなどの天然の着色剤、これらの組み合わせならびに当業者に公知である他のこのような材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「着香料(flavorant)」は、薬学的調製物に好まれる香味およびしばしば香りを付与するために使用される化合物を意味する。代表的な着香料(flovoring agents or flavorants)としては、例えば、合成の風味油と風味芳香剤および/または天然の油、植物、葉、花、果実な
どからの抽出物並びにこれらの組み合わせが挙げられる。これらには、シナモン油、冬緑油、ペパーミント油、丁子油、月桂樹油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、針葉樹油、ナツメグ油、セージ油、苦扁桃油および桂皮油もまた含まれ得る。他の有用な着香料(flavors)としては、バニラ、レモン、オレンジ、グレープ、ライムおよびグレープフルーツを含む柑橘油、ならびにりんご、西洋なし、桃、いちご、きいちご、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットなどを含む果実の精油が挙げられる。特に有用であることがわかった着香料しては、市販のオレンジ、グレープ、チェリーおよびバブルガム着香料並びにこれらの混合物が挙げられる。着香料の量は、所望の感覚受容性を含む多数の因子に依存し得る。着香料は、当業者に望まれる任意の量で存在する。特に好ましい着香料は、グレープおよびチェリーの着香料ならびにオレンジなどの柑橘系着香料である。
【0060】
本発明の送達デバイスとしてはまた、固定油、ピーナッツ油、ゴマ油、綿実油、コーン油およびオリーブ油のような油;オレイン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸のような脂肪酸;並びにオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリドおよびアセチル化脂肪酸グリセリドのような脂肪酸エステルも挙げられ得る。このデバイスとしてはまた、エタノール、イソプロパノール、ヘキサデシルアルコール、グリセロールおよびプロピレングリコールのようなアルコール;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールのようなグリセロールケタール;ポリ(エチレングリコール)450のようなエーテル;鉱油およびワセリンのような石油炭化水素;水;薬学的に適切な界面活性剤、懸濁化剤または乳化剤;あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
セッケンおよび合成洗剤は、洗剤組成物の界面活性剤としておよびビヒクルとして使用され得る。適切なセッケンとしては、脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム、およびトリエタノールアミン塩が挙げられる。適切な洗剤としては、ジメチルジアルキルアンモニウムハライド、アルキルピリジウムハライド、および酢酸アルキルアミンのような陽イオン洗剤;スルホン酸アルキル、スルホン酸アリール、スルホン酸オレフィン、硫酸アルキル、硫酸オレフィン、硫酸モノグリセリド、およびスルホサクシネートのような陰イオン洗剤;脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリ(オキシエチレン)−ブロック−ポリ(オキシプロピレン)コポリマーのような非イオン洗剤;アルキルβ―アミノプロピオネートおよび2−アルキルイミダゾール四級アンモニウム塩のような両性洗剤;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
上記の他に種々の他の成分が所望の放出特性をデバイスに提供するために本発明の処方物に加えられ得る。このような成分としては例えば、モノステアリン酸グリセリン、ナイロン、酢酪酸セルロース、d,l−ポリ(乳酸)、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、デンプン、誘導体化デンプン、アセチル化モノグリセリド、ゼラチンコアセルベート、ポリ(スチレン−マレイン酸)コポリマー、グリコワックス、カストールワックス、ステアリルアルコール、グリセロールパルミトステアレート、ポリエチレン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、1,3−ブチレン−グリコールジメチルアクリレ
ート、エチレングリコール−ジメタクリレートおよびメタクリレートハイドロゲルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
製薬分野で使用される化合物は、一般的には種々の機能または目的を果たすことを理解されるべきである。従って、本明細書中で定義される化合物が1回しか言及されないかまたは本明細書で2つ以上の用語を定義するために使用される場合、その目的または機能は単に指定された目的または役割に限定されるものと解釈すべきではない。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「トラマドール」は、他に特定されない限り、トラマドールの全ての公知の形態を意味する。トラマドールはラセミ体、光学的に純粋な形態または光学的に富化された(enriched)形態で存在し得る。このトラマドールはま
た、薬学的に受容可能な塩形態または遊離塩基形態として存在し得る。本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能な塩」とはイオン的に結合した対を形成する必要がある場合に酸性化剤と共に反応させることによって変性(modify)されたトラマドールのことをいう。薬学的に受容可能な塩の例としては、たとえば、非毒性無機酸または非毒性有機酸から形成される従来の非毒性塩が挙げられる。適切な非毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルホン酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸および当業者に公知であるか本明細書中に記載されたような無機酸由来の塩が挙げられる。これらの塩は、アミノ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸(hydroxymaleic)、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、および当業者に公知である他の物質のような有機酸である酸性化剤から調製され得る。他の適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th.ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,1985,p.1418中に見いだされ、この関連する開示は参考として本明細書中で援用される。トラマドールの好ましい塩形態としては、トラマドールの塩酸塩(Degussa Chemical)、酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩、マレイン酸塩およびフマル酸塩が挙げられる。
【0065】
トラマドールは、遊離塩基または塩のいずれかとして本発明の組成物および剤形中に含有され得る。トラマドールが遊離塩基で含まれる場合、酸酸性化剤(acid acidifying agent)がその組成物または剤形中に含有され得る。その組成物が水環境に暴露された後、酸が溶解してインサイチュでトラマドールと接触し、それによってトラマドールの塩を形成して、トラマドール塩が組成物から放出されたかのようにその溶解を補助する。
【0066】
「薬学的に受容可能な」という句は、本明細書において、妥当な医学的判断の範囲内であり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、あるいはいかなる他の問題または面倒なしにヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適しており、合理的な利点/危険性の比率に相応する化合物、材料、組成物および/または剤形を示すために使用される。
【0067】
本発明の各単位用量に取り込まれるトラマドールの量は、少なくとも1種類以上の剤形でありかつ公知の薬学原理に従って選択され得る。治療的化合物の有効量は、特に企図される。用語「有効量」は、例えば医薬品について、薬学的に有効な量が企図されるということが理解される。薬学的に有効な量とは、必要なまたは所望の治療反応に十分なトラマドールの量、言い換えれば、患者に投与されたときに明らかな生物学的反応を引き出すために十分な量である。この明らかな生物学的反応は、活性物質の単回投与または複数回投与の結果として起こり得る。単位用量は、カプセルのような1つ以上の剤形を含み得る。任意の患者についての特定の用量は、以下を含む様々な因子に依存することが理解される;治療される適応症、その適応症の重篤度、患者の健康状態、年齢、性別、体重、食事制限、薬学的応答、使用される特定の剤形および他のこのような因子。
【0068】
塩酸トラマドールの推奨される1日量は、4〜6時間ごとに50〜100mgであり、最大用量は400mg/日である。本発明のマルチパーティキュレート組成物および剤形は、即放性粒子形態中に第1の量のトラマドールを含有し、徐放性粒子形態中に第2の量のトラマドールを含有する。単位用量中の即放性粒子および徐放性粒子の総質量を100%とすると、第1の量の即放性粒子は、0〜100mg、0<〜100mg、または20〜75mgの塩酸トラマドールを含有し、第2の量の徐放性粒子は、50〜400mgの塩酸トラマドールまたは75〜225mgの塩酸トラマドールを含有する。代表的には、
第1の量は、単位用量中の粒子の総質量(即放性粒子および徐放性粒子のすべて)の20〜30質量%であり、第2の量はそれぞれ単位用量の粒子の総質量の80〜70質量%である。
【0069】
個々の粒子中に存在するトラマドールの量は、粒子の20質量%〜90質量%まで変化し得る。いくつかの実施形態において、トラマドールの量の範囲は、粒子の30質量%〜60質量%、20質量%〜60質量%、または40質量%〜50質量%である。使用される球状化(spheronization)方法は、50質量%より低い薬物濃度を容易に取り込むことができるが、通常投与に必要とされる粒子の量はより大きくなる。この粒子に存在するトラマドールの量は、粒子を調製するために使用される球状化技術に依存し得る。ロートグラニュレーション(Rotogranulation)は、約90質量%までのトラマドールまたはトラマドール塩を含有する粒子を作製するために使用され得る。
【0070】
即放性粒子内に含まれるパーティキュレート組成物および徐放性粒子のコーティングされていないコアは、本明細書中に開示される方法または薬学的粒子の調製について公知である比較的適切な任意の手段によって調製され得る。代表的な方法としては、乾式造粒、湿式造粒、押出成形、球状化、またはこれらの組み合わせが挙げられる。代表的な押出成形/球状化方法において、トラマドールおよび賦形剤は、液体と混合してパン生地のようなコンシステンシーを有する均一または均質な混合物を形成する。混合の間に材料が球を生成し始める時点で水をゆっくりとかきまぜながら加える。次いで、パン生地のような塊を、約1mmの穴のアレイを有するスクリーンを備えた押出機を用いて押し出して鎖状の(stranded)押し出し物を形成する。次いで、この鎖を鎖の直径に近い長さを持つ粒子に分ける。マルメライザー(marumerizer)で粒子を丸める(球状化する)。次いでこの粒子をたとえば、トレイ乾燥機、タンブル乾燥機、コーン乾燥機、マイクロ波乾燥機、または流動床乾燥機を用いて乾燥する。
【0071】
球状化方法を使用する場合、球状化助剤を含有することが有用であり得る。球状化助剤は、粒子のマトリックス内に含まれる材料または材料の組み合わせであり、粒子の球状化の間に球体の形成を助ける。適切な材料としては、微結晶セルロース(MC)のようなセルロースが挙げられ、その適切なグレードは、商品名AVICEL(登録商標)(FMC
Biopolymer)で購入することができる。AVICEL(登録商標)の特定のグレードとしては、PH−101、PH−105、RC−581、RC−591、およびCL−611が挙げられる。AVICEL(登録商標)のPHグレードは、微結晶セルロースを含有する。PHグレードは以下のような違いがある。
【0072】
【表2】
【0073】
AVICEL(登録商標)のRCグレードおよびCLグレードは、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウムの磨砕混合物(an attritted mixture)を含有する。AVICEL(登録商標)RC−581、RC−591およびCL−611は、微結晶セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムとして、U.S.Pharmacopeia/National Formulary
に記載され、また分散性(dispersible)セルロースとしてBritish Pharmacopoeiaに記載されている。RCグレードおよびCLグレードは以下のような違いがある。
【0074】
【表3】
【0075】
球状化助剤は、それが存在する組成物の重量をベースに約20質量%〜80質量%、または約30質量%〜50質量%の量で存在し得る。
本明細書で記載される場合、バインダーは、粒子中に含有され得る。特に適切なバインダーはデンプンである。デンプンのある特定のグレードとして、Starch1500(Colorcon)があるが、他のグレードであるデンプンの形態および型もまた使用され得る。適切なデンプンは、Ultrachem Ltd.(UK)、Cerestar(Mechelen,Belgium,Europe)、National Starch & Chemical(Bridgewater,NJ),American Maize Products(Hammond,Indiana)のような業者から入手され得る。
【0076】
所望の場合、本発明の粒子または剤形は、その技術で通常なされるように上塗りでコーティングされ、所望の輝き、色、味または他の審美的特徴を提供し得る。上塗りの調製に適切な材料は、当業者に公知である。
【0077】
図1は、本発明に従って作製された代表的な即放性粒子(1)の断面図を示す。この粒子は、賦形剤のマトリックス内に分散されたトラマドールを含有する。この粒子は、球体として示されているが、任意の粒子形状が使用され得る。従って、本発明の粒子は棒状、ビーズ、ペレット、球、楕円、ダンベルまたは薬学分野で使用される他の公知の粒子形状として成形することができる。いくつかの実施形態において、徐放性粒子は球状である。なぜならば球状は単位表面積あたりに必要なコーティングの量が最も少ないからである。
【0078】
コーティングされた粒子またはコーティングされていない粒子の直径または長さは、一般的には0.5〜3mmまたは約1〜約1.4mmである。これらのサイズ範囲が、剤形または薬学的組成物中にビーズが含まれる場合の含量均一性と粒子サイズとの間のバランスを提供するのに好ましい。一般的には、粒子サイズが小さいほどより再現性のある含量均一性を得ることが容易であるが、粒子サイズが小さいほど、一般的には大きい粒子と同じようなトラマドール放出特性を達成するために粒子1バッチあたりの総コーティング重量がより多く必要となる。これは、粒子サイズが小さいほどより大きな粒子と同じ放出特性を得るために必要となるコーティングがより厚くなるからである。
【0079】
図2は、本発明に従って作製された代表的な徐放性粒子(2)の断面図を示す。この実施形態において、徐放性粒子(2)は、即放性粒子(1)の一部を本明細書に記載されるフィルム形成組成物でコーティング(3)することによって調製される。このフィルム形成組成物は、半透性ポリマー(フィルム形成ポリマーまたはコアに適用し乾燥させた場合に半透膜を形成するポリマーの組み合わせ)、ポアフォーマおよび可塑剤を含有する。それによって、他のコーティングされていないコア(即放性粒子)の重量に関して、コーティングの重量および厚さを本明細書に詳述されるように変化させることで、所望の薬物放出特性を有する徐放性粒子を提供し得る。一般的にはコーティングの重量は、コーティングされる粒子の重量をベースに5〜50質量%または10〜25質量%の範囲である。
【0080】
図3は、即放性粒子(1)の集合体および徐放性粒子(2)の集合体を入れたカプセルシェル(6)を含むカプセル剤形(5)の側面図を示す。即放性粒子が徐放性粒子のコアとして使用される場合、コーティングされていない即放性粒子は、典型的にはコーティングされていない徐放性粒子よりも直径が小さいが、粒子サイズにおけるこのような関係は、本発明を実施するために必要ではない。平均して、コーティングされた粒子は、表面コーティングの存在に起因して、それが作製された対応するコーティングされていない粒子よりもわずかに大きい直径を有する。
【0081】
実施例1に従って調製された即放性粒子のインビトロ放出特性を実施例4の方法に従って評価した。図4は、水中、SIF中またはSGF中で測定された代表的な即放性粒子の放出特性を示す。この結果は、粒子が水媒体に暴露された後20分以内または15分よりも早く放出が完了していることを示す。この結果はまた、これらの粒子からのトラマドールの放出は、実質的にpH非依存的であることも示している。USP(米国薬局方)は用量の90%が放出されるのにかかる時間という点で即放性粒子形態を定義している。一般的には、剤形が薬物の90%を45分で放出する場合、即放性投与処方物と定義される。
【0082】
実施例2に従って調製された徐放性粒子のインビトロ放出特性を、実施例4の方法に従って評価した。図5、図6および図8は、水中で測定された代表的な徐放性粒子の放出特性を示す。図5に示される薬物放出特性は、40%の薬物負荷で1バッチの塩酸トラマドールに適用されたコーティングの異なる量(凡例を参照)の影響を示す。粒子に適用されるコーティングの量が多くなるほど、コーティングがより厚くかつ薬物放出がよりゆっくりとなる。
【0083】
図6は、徐放性粒子のコーティングの厚さが増加することによって予想され得るトラマドールの放出特性における変化を示す。より厚いコーティングは、他の同様に処方されたコーティングと比較した場合にトラマドールの放出速度が減少し、トラマドールの初期放出にわずかな遅れを生じる。従って、このコーティングの厚さは、十分トラマドールの放出速度を減少させるので、水環境への暴露後または投与後10時間以上、12時間以上、14時間以上、18時間以上、または20時間以上の時間にわたって連続的な徐放を提供するのに十分である。しかしながら、このコーティングの厚さは、水環境への暴露後または投与後36時間以内、32時間以内、28時間以内、または24時間以内に徐放性粒子からのトラマドールの放出が完了するのに十分な薄さである。図6の粒子は、40質量%の薬物添加量を含有する図5の粒子と対比して50質量%の薬物添加量を含有する。粒子へのコーティングの量を変化させることによって、薬物放出は10時間から24時間まで延長され得る。いくつかの実施形態において、コーティングは十分薄いので、コーティングされた粒子が水環境中におかれた場合に24時間より少ない時間で薬物の90%より多くが放出される。いくつかの実施形態において、コーティングの厚さは、約20〜300μmまたは約50〜150μmである。
【0084】
図7は、水中で測定された代表的な徐放性粒子の放出特性を示す。この結果は、粒子の
水媒体への暴露後に放出が完了することを示している。このデータは、塩酸トラマドールの放出を20時間より長い時間まで延長するのに十分なコーティングが適用されていることを示している。
【0085】
図8に示されるデータは、追加のポアフォーマ(スクロース)が徐放性粒子からの塩酸トラマドールの放出速度に対して有する影響を示している。ダッシュ一点線(A)は、35%のスクロース(CAB 171−15PGの割合として示す)のデータを示し、点線(B)は45%のスクロースのデータを示し、そして実線(C)は、55%のスクロースのデータを示している。これらの3つのコーティングは30%のクエン酸トリエチル(CAB 171−15PGの割合として)を含有する。破線(D)は、塩酸トラマドールの放出におけるクエン酸トリエチルの影響を実証するデータを示す。このTECは、45%のスクロースによって20%まで低減された。放出速度は、可塑剤の量が減るに従って増加している。このことは、TECがCAB 171−15PGの良好な可塑剤であることを示している。特定の機構にこだわることなく、可塑剤の量が少ないほど速度が速い理由は、TECがより少ない場合、ポリマーが30%のTECでより高度に可塑化される場合と同じように、ポリマーがスクロースを包囲してスクロースがコーティングを出る能力を遮断することができないからであると考えられる。結果として、コーティング中の全体的な空隙率がより大きくなる。
【0086】
即放性粒子と徐放性粒子を合わせてカプセルに入れた徐放性薬学的組成物または剤形を形成する場合、トラマドールは、十分な量のシェルが溶解し、粒子が水環境の暴露を受けた後に起こる粒子の濡れの後に始まる徐放期間に実質的に連続的に放出され、一般的には、薬物の放出は投与(または水環境への暴露)後約30分以内に始まり、投与(または水環境への暴露)後約10〜24時間で終了する。図9は、実施例3、方法Bに従って調製された徐放性カプセル剤形によって提供された、組み合わせのインビトロ放出特性を示している。水性流体への暴露後15分以内にその剤形はその中に装入されているトラマドールの約25%を放出し、その後18〜24時間にわたって、その剤形はトラマドール装入量(残りの75%)の放出を完了する。その結果は、トラマドールの放出が実質的にpH非依存的であることを示す。いくつかの実施形態において、徐放性粒子の薬物放出特性はおよそ一次である。
【0087】
図10は、実施例3、方法Cに従って調製された徐放性カプセル剤形によって提供された、組み合わせのインビトロ放出特性を示す。水性流体への暴露後15分以内にその剤形はその中に装薬されているトラマドールの約25%〜30%を放出し、その後20〜30時間にわたって、この剤形はトラマドール装入量(残りの75%〜70%(それぞれ))の放出を完了する。この結果は、トラマドールの放出が実質的にpH非依存的であることを示している。
【0088】
本発明は、以下:第1装入のトラマドールおよび少なくとも1種類の賦形剤を含む即放性粒子の集合;コアおよびそのコアを包む半透性コーティング、第2装入のトラマドールおよび少なくとも1種類の賦形剤を含有するコア、ならびにフィルム形成半透性ポリマー、ポアフォーマおよび可塑剤を含有するコーティングを含む徐放性粒子の集合;を含有する徐放性剤形を提供し、この剤形は実質的にpH非依存的様式で延長された期間をとおしてトラマドールを放出する。
【0089】
この徐放性剤形に含まれるべき即放性粒子と徐放性粒子の量は、所望の薬物動力学性能またはその剤形によって提供される臨床的影響に依存する。トラマドールのより高い初回添加用量(血漿濃度)が所望される場合、その剤形はより高い相対割合で即放性粒子を含有する。トラマドールのより低い初回添加用量(血漿濃度)が所望される場合、その剤形はより低い相対割合で即放性粒子を含有する。同様に、より高く維持されたトラマドール
の血漿濃度が所望される場合、その剤形はより高い相対割合で徐放性粒子を含有する。より低く維持されたトラマドールの血漿濃度が所望される場合、その剤形はより低い相対割合で徐放性粒子を含有する。
【0090】
ターゲット徐放性剤形に含まれるべき即放性粒子および徐放性粒子の実際の量は、粒子のそれぞれの集合体中に存在するトラマドールの濃度を計算し、各タイプの粒子を必要とされる量で加え、所望のターゲット徐放性剤形を提供することによって決定され得る。例えば、ターゲットカプセルは、即放性形態の塩酸トラマドール50mgと徐放性形態の塩酸トラマドール150mgとを含有し得る。この場合において、塩酸トラマドール50mgと等価である(かまたは含有する)重量の即放性粒子が決定され、塩酸トラマドール150mgと等価である(かまたは含有する)重量の徐放性粒子が決定される。次いで、それらの量の即放性粒子と徐放性粒子を合わせてカプセル内に入れる。
【0091】
実施例6に詳述される方法に従って、目標重量のトラマドールと等価である粒子(即放性または徐放性)の量を決定し得る。この場合において、粒子の集合体についての薬物添加量(質量%で示されるかまたは粒子100mgあたりのトラマドールのmgとして示される)が決定される。例えば、1バッチの即放性粒子が50%の薬物添加量(粒子100mgあたり50mgの塩酸トラマドール)である場合、50mgの塩酸トラマドールを提供するために100mgの粒子をカプセルに加える必要がある。
【0092】
図11は、実施例3、方法Dに従って調製した徐放性カプセル剤形によって提供される組み合わせのインビトロ放出特性を示す。水性流体への暴露後15分以内に、その剤形はその中に装入されているトラマドールの約25%を放出し、その後20〜30時間にわたり、その剤形はトラマドール装入量(残りの75%)の放出を完了する。その結果は、トラマドールの放出が実質的にpH非依存的であることを示している。この剤形の徐放性部分を調製するために使用した方法において、充填ビーズは使用していない。
【0093】
図14は100mgの塩酸トラマドールを含有する即放性形態(図4の粒子を使用する)および100mgの塩酸トラマドールを含有する徐放性形態(2400gのコーティングをしたものとして示された図5の粒子を使用する)を含有する徐放性カプセル剤形によって提供される組み合わせのインビトロ放出特性を示す。この特性は、溶液中に存在するトラマドールの量の急速な増加後、トラマドールの放出が完了するまでトラマドールの量が徐々に増加していることを示している。この特定のバッチの徐放性粒子は、水環境への暴露後12時間以内にトラマドールの放出をほとんど完了する(>95%)ので、1日2回の投与に特に適切である。
【0094】
徐放性剤形のインビボ性能を実施例5、試験AおよびBに従って評価した。本発明の徐放性カプセルをビーグル犬に経口投与し、投与後のそれらの結晶中に存在するトラマドールの濃度を定期的に測定した。実施例5、試験Aからのトラマドールの血漿濃度特性を図12に示す。このデータは、本発明の即放性部分は、1単位用量のULTRAM(登録商標)と等しい初期血漿濃度を提供し、徐放性粒子は12時間よりも長い時間上昇するかまたは持続するトラマドール血漿濃度を提供することを示している。実施例5、試験Bのトラマドールの血漿濃度特性は、図13に示す。このデータは、本発明は、餌を与えた状態および絶食状態のどちらにおいてもトラマドールの持続した血漿濃度を示すことを表している。
【0095】
50mgのトラマドール(遊離塩基または塩)を含有する即放性粒子と150mgのトラマドール(遊離塩基または塩)を含有する徐放性粒子とを含有する剤形をヒト被験体に投与した場合、血漿トラマドール濃度は投与後最初の60分間で急速に100〜450ng−トラマドール/ml−血漿の濃度まで上昇ことが予想され得る。その後、平均の血漿
トラマドール濃度は投与後少なくとも12時間、100ng/mlより多いままであり得る。このことから、本明細書に記載したように、トラマドール即放性粒子および徐放性粒子を含有する本発明の剤形が、トラマドールについて広範囲に異なる血漿特性を提供するのに適合し得ると言える。
【0096】
上記の説明および下記の実施例を考慮して、当業者は過度の実験を行なうことなく特許請求された本発明を実施することができる。前記の説明は本発明の実施形態の調製物を製造するための特定の手順を詳細に記載している次の実施例を参照するとより良く理解されよう。これらの実施例でなされた言及はすべて説明のためである。次の実施例は完全なものとして理解すべきではなく、単に本発明の範囲内と考えられる多くの実施形態のうちの幾つかの例示に過ぎない。
【実施例】
【0097】
[実施例1]
即放性粒子の調製
方法A:40%の薬物添加の塩酸トラマドールビーズの調製
以下の成分を示された量で提供した。
【表4】
【0098】
これらの固形物を、44gの水をゆっくりと加えながら20分間にわたってプラネタリーミキサー(planetary mixer)中で混合し、造粒した。この湿った生地を1.2mmのスクリーンを備えたNica E−140押し出し機を用いて押し出した。この押し出し物を、1000rpmで回転している2mmのV字溝付き(V−groved)プレートを備えたマルメライザー(Luwa QJ−230)に加え、5分間球体化した。この球体を室温にてトレー乾燥した。1〜1.4mmの範囲内のビーズが72%収率で得られた。トラマドールのインビトロ放出特性を、実施例4に従って測定した。その薬物放出はpH非依存性であり、95%を超える薬物が、水性検定溶液に曝露後10分以内に放出された。
【0099】
方法B:50%の薬物添加の塩酸トラマドールビーズの調製
以下の成分を示された量で提供した。
【表5】
【0100】
これらの固形物を、67gの水をゆっくりと加えながら20分間にわたってプラネタリーミキサー中で混合し、造粒した。この湿った生地を1.2mmのスクリーンを備えたNica E−140押し出し機を用いて押し出した。この押し出し物を、1000rpmで回転している2mmのV字溝付きプレートを備えたマルメライザー(Luwa QJ−230)に加え、10分間球体化した。この球体を室温にてトレー乾燥した。1〜1.4mmの範囲内のビーズが37%の収率で得られた。トラマドールのインビトロ放出特性を、実施例4に従って決定した。その薬物放出はpH非依存性であり、95%を超える薬物
が、10分間で放出された。
【0101】
方法C:60%の薬物負荷の塩酸トラマドールビーズの調製
以下の成分を示された量で提供した。
【表6】
【0102】
これらの固形物を、56gの水をゆっくりと加えながら20分間にわたってプラネタリーミキサー中で混合し、造粒した。この湿った生地を1.2mmのスクリーンを備えたNica E−140押し出し機を用いて押し出した。この押し出し物を、1000rpmで回転している2mmのV字溝付きプレートを備えたマルメライザー(Luwa QJ−230)に加えた。この材料は、非常に大きな1つのビーズを形成した。この材料を収集して再度押し出し、この押し出し物を5分間乾燥した。この押し出し物をマルメライザーに加えると、粉砕したが球体化しなかった。噴霧容器から適度の水をこの物質に噴霧すると、この材料は15分後に球体化した。この球体を室温にてトレー乾燥した。1〜1.4mmの範囲内のビーズが57%の収率で得られた。
【0103】
方法D:AVICEL(登録商標)RC−581を使用した、50%の薬物添加の塩酸トラマドールビーズの調製
以下の成分を示された量で提供した。
【表7】
【0104】
これらの固形物を、82gの水をゆっくりと加えながら20分間にわたってプラネタリーミキサー中で混合し、造粒した。この湿った生地を1.0mmのスクリーンを備えたNica E−140押し出し機を用いて押し出した。この押し出し物を、1000rpmで回転している2mmのV字溝付きプレートを備えたマルメライザー(Luwa QJ−230)に加えた。この材料は、非常に大きな1つのビーズを形成した。この材料を収集して再度押し出し、この押し出し物を5分間乾燥した。この押し出し物をマルメライザーに加えると、粉砕したが球体化しなかった。噴霧容器から水をこの材料に噴霧すると、この材料は15分間で球体化した。これらのビーズはあまり球状ではなく、ダンベル形であった。これらの球を室温にてトレー乾燥した。1〜1.4mmの範囲内のビーズが71%の収率で得られた。
【0105】
方法E:AVICEL(登録商標)RC−581およびAVICEL(登録商標)PH−100を使用した、50%の薬物添加の酸トラマドールビーズの調製
以下の成分を示された量で提供した。
【表8】
【0106】
これらの固形物を、74gの水をゆっくりと加えながら20分間にわたってプラネタリーミキサー中で混合し、造粒した。この湿った生地を1.2mmのスクリーンを備えたNica E−140押し出し機を用いて押し出した。この押し出し物を、1000rpmで回転している2mmのV字溝付きプレートを備えたマルメライザー(Luwa QJ−230)に加えた。この材料は、非常に大きな1つのビーズを形成した。この物質を収集して再度押し出した。この押し出し物をマルメライザーに加えると、粉砕したが球体化しなかった。ビーズのバルクは、1.4mmよりも多少大きかった。この球体を室温にてトレー乾燥した。1〜1.4mmの範囲内のビーズが34%の収率で得られた。
【0107】
方法F:AVICEL(登録商標)RC−581およびAVICEL(登録商標)PH−100を使用した、50%の薬物添加の塩酸トラマドールビーズの調製
以下の成分を示された量で提供した。
【表9】
【0108】
これらの固形物を、64gの水をゆっくりと加えながら20分間にわたってプラネタリーミキサー中で混合し、造粒した。この湿った生地を1.0mmのスクリーンを備えたNica E−140押し出し機を用いて押し出した。この押し出し物を、1000rpmで回転している2mmのV字溝付きプレートを備えたマルメライザー(Luwa QJ−230)に加えた。この押し出し物をマルメライザーに加えると、粉砕し、球体化した。ビーズのバルクは、1〜1.4mmの間であった。この球体を室温にてトレー乾燥した。1〜1.4mmの範囲内のビーズが72%の収率で得られた。
この実施例に従って調製した即放性粒子を実施例2の徐放性粒子と組み合わせて使用して、本発明のマルチパーティキュレート組成物を形成した。
【0109】
[実施例2]
徐放性粒子の調製
方法A:実施例1に従って調製したビーズのコーティング
以下の成分を示された量で提供した。
【表10】
【0110】
いくつかのバッチのコーティング溶液を調製し、充填ビーズ(0.7〜0.84mm)800gを使用したUniGlatt流動床コーターでビーズ(1.2〜1.4mm)40gをコーティングした。充填ビーズを使用したのは、使用したUniGlattコーターは、コーティングを行うのに約800g〜900gのビーズが必要であるからである。これでは、一回のコーティングを行うのに約500gの塩酸トラマドールが必要とされる。ビーズを調製するための薬物および時間を節約するために、充填ビーズを使用してコーティング充填物(charge)を作製することが便利でありコスト効率が良い。活性(active)ビーズは、標準的なメッシュのスクリーンを使用して篩がけすることにより充填ビーズと分けることが可能である。
コーターの操作条件は以下のとおりである。
【表11】
【0111】
1200g、1600g、2000g、2800g、3600gおよび4400gのコーティング溶液を適用したのちに活性ビーズのサンプルを除去した。塩酸トラマドールのビーズから水への放出(USP溶解装置No.2を使用して37℃、50rpmで、900mLの水中で測定した場合)を図6に示す。貫流システムを用いて20時間にわたり5分ごとに各溶解フラスコ中で吸収を測定した。ビーズを粉砕し、270nmにおける吸収から薬物の量を測定することによって、100%の値を決定した。ビーズのコーティングが増加すると塩酸トラマドールの放出速度は減少することがわかる。
【0112】
方法B:実施例1に従って調製したビーズのコーティング
以下の成分を示された量で提供した。
【表12】
【0113】
50gのビーズ(1.2〜1.4mm)を、800gの充填ビーズ(0.7〜0.84mm)を使用してUniGlatt流動床コーターでコーティングした。活性ビーズは、標準的なメッシュのスクリーンを用いて篩がけすることによって充填ビーズから分けることができる。
コーターの操作条件は以下のとおりである。
【0114】
【表13】
【0115】
3300gのコーティング溶液を適用した後、活性ビーズを充填ビーズから分離した。ビーズからの塩酸トラマドールの放出特性(方法Aに記載したとおりに測定した)を、図7に示す。
この実施例に従って調製した徐放性粒子を実施例1の即放性粒子と組み合わせて使用して本発明のマルチパーティキュレート組成物を形成した。
【0116】
[実施例3]
即放性粒子および徐放性粒子のマルチパーティキュレート組成物を含有するカプセルの調製方法A:即放性ビーズと徐放性ビーズとを合わせてハードゼラチンカプセルに入れたコンビネーション生成物を得る調製方法
50mg用量の塩酸トラマドールを得るのに必要な即放性粒子の量(重量105mg)を、使用する即放性粒子(実施例1に従って調製された)のバッチに基づいて計算した。150mg用量の塩酸トラマドールを得るのに必要な徐放性粒子の量(重量401mg)を、使用する徐放性粒子(実施例2に従って調製した)のバッチに基づいて計算した。算出された量の即放性粒子と算出された量の徐放性粒子とを合わせてカプセルシェル内に入れ、必要に応じてシールして200mg単位用量の塩酸トラマドールを含むカプセル剤形を得た。
【0117】
方法B:即放性ビーズと徐放性ビーズとを合わせてハードゼラチンカプセルに入れたコンビネーション生成物を得る調製方法
実施例1(方法A)のコーティングされていないビーズ内の塩酸トラマドールの濃度を測定すると47.6質量%であった。従って、合わせた生成物の即放性部分が50mg用量の塩酸トラマドールを得るためには105mgのビーズが必要である。
使用されるコーティングされたビーズ(徐放性ビーズ)のバッチは、4400gのコーティングを受けた実施例2(方法A)のバッチである。これらのビーズのアッセイによって薬物含有量が37.4質量%であると示された。従って、150mg用量の塩酸トラマドールのためにはこれらのビーズが401mg必要となる。
【0118】
必要量の即放性ビーズおよび徐放性ビーズを0番のハードゼラチンカプセルに充填した。SGF、水またはSIFを使用して本明細書に記載したとおりにSGF、水、およびSIF媒体中での溶解試験を実施するためにいくつかのカプセルを調製した。この結果を図9に示す。見られるようにそのペレットからのトラマドールの放出は実質的にpH非依存的である。
【0119】
方法C:即放性ビーズと徐放性ビーズとを合わせてハードゼラチンカプセルに入れたコンビネーション生成物を得る調製方法
実施例1(方法B)のコーティングされていないビーズ内の塩酸トラマドールの濃度を測定すると49質量%であった。従って、合わせた生成物の即放性部分が50mg用量の塩酸トラマドールを得るためには102mgのビーズが必要である。
使用されたコーティングされたビーズ(徐放性粒子)は、3300gのコーティングを受けた実施例2(方法B)のビーズであった。これらのビーズのアッセイによって薬物含有量が38.7質量%であると示された。従って、150mg用量の塩酸トラマドールの
ためにはこれらのビーズが388mg必要となる。必要量のコーティングしたビーズおよびコーティングしていないビーズを0番のハードゼラチンカプセルに充填した。上述したとおりに、SGF、水、およびSIF媒体中で溶解試験を実施するためにいくつかのカプセルを調製した。図10に示す結果は、塩酸トラマドールの最初の即放の後に徐放が続くことを示している。この薬物放出は、実質的にpH非依存的である。
【0120】
方法D:即放性ビーズと徐放性ビーズとを合わせてハードゼラチンカプセルに入れたコンビネーション生成物を得る調製方法
充填ビーズを使用せずに大きいバッチをコーティングするために、実施例2の方法Fを使用していくつかのバッチの粒子を調製した。使用した粒子は、14メッシュを通過し、18メッシュに保持される粒子(1.4〜1mmの間)を含んでいた。
コーティングされていないビーズ(実施例1、方法F)内の塩酸トラマドールの濃度を測定すると48.3質量%であった。従って、合わせた生成物の即放性部分が50mg用
量の塩酸トラマドールを得るためには104mgのビーズが必要である。
【0121】
これらのコーティングされていないビーズ約800gを実施例2方法Bを用いてコーティングした。これらのビーズは2500gのコーティングを受けた。これらのビーズのアッセイによって薬物含有量が39.0質量%であると示された。従って、150mg用量の塩酸トラマドールのためにはこれらのビーズが385mg必要となる。必要量のコーティングされたビーズおよびコーティングされていないビーズを0番のハードゼラチンカプセルに充填した。SGF中で、水中で、SIF中でおよびSGFに2時間の後SIF媒体中に残りの時間配置して、溶解試験を実施するためにいくつかのカプセルを調製した。図11に示す結果は、塩酸トラマドールの最初の即放の後徐放が続いていることを示している。この薬物放出は、検討されたすべての条件下にて実質的にpH依存的でないことを示している。
実施例1および実施例2に従って調製された粒子を組み合わせて使用して、本発明のマルチパーティキュレート組成物を形成する。
【0122】
[実施例4]
インビトロ溶解アッセイ
方法A:即放性ビーズについて
このビーズからの塩酸トラマドールの放出を50rpmのパドル回転および37℃の媒質でUSP溶解方法No.2を用いて測定した。この放出を水中、人工胃液(酵素なし)
(SGF)および人工腸液pH6.8(酵素なし)(SIF)中で測定した。放出された
塩酸トラマドールの濃度を、UV分光光度計を用いて270nmの波長で6分間、1/2分ごとに分光光度的に測定した。
【0123】
方法B:徐放性ビーズについて
20時間または24時間、5分ごとに塩酸トラマドールの濃度を測定したこと以外は方法Aと同じようにアッセイを実施した。
【0124】
[実施例5]
インビボ評価
試験A:実施例3、方法CのトラマドールER剤形のインビボ評価
3匹の絶食させたオスのビーグル犬に即放性ULTRAM(登録商標)(Ortho−McNeil Pharmaceuticals,Inc.,Control 5GG103)の50mg錠を2錠、または本発明の200mgカプセル剤形(実施例3、方法Cに従って調製した50mgが即放性、150mgが徐放性のもの)を2錠のいずれかを与えた後、水を30ml与えた。血液サンプルを予め決めておいた時点で収集し、質量検出を備える公認された(validated)HPLCアッセイによってトラマドールおよ
びその主要な代謝物を分析した。図12は、ULTRAM(登録商標)(黒三角)および本発明の徐放性処方物(黒四角)の両方について、時間の関数としての平均トラマドール血漿濃度(±SD)のプロットである。見られるように、本発明の処方物の血漿濃度は、即放性ULTRAM(登録商標)処方物と同じように迅速に上昇している。しかしながら、本発明の処方物の血漿濃度は、少なくとも12時間にわたり比較的一定なままであり、24時間にわたってトラマドール濃度が上昇したままである。
【0125】
試験B:実施例3、方法DのトラマドールER剤形のインビボ評価
4匹のオスのビーグル犬に本発明の200mgカプセル剤形(実施例3、方法Dにしたがって調製した50mgが即放性、150mgが徐放性のもの)を2錠与えた後、水を30ml与えた。検討の間は、少なくとも2週間のウオッシュアウト期間をもたせ、餌を与えた状態または絶食させた状態のいずれかでその処方物を与えた。餌を与える方の検討では、犬に薬物投与の寸前に餌を摂らせた。全ての検討において、犬に8時間後および24時間後に餌を与えた。血液サンプルを予め決めておいた時点で収集し、質量検出を備えた公認された(validated)HPLCアッセイによってトラマドールおよびその主要な代謝物を分析した。図13は、餌を与えた状態(黒四角)および絶食させた状態(白四角)で、本発明の徐放性処方物について時間の関数としての平均トラマドール血漿濃度(±SD)のプロットである。見られるように、本発明の処方物の血漿濃度は、餌を与えた状態と絶食させた状態のどちらにおいても迅速に上昇し、少なくとも8時間は比較的一定である。血漿トラマドール濃度の時間曲線下面積は、餌を与えた状態が220,879±27,047ng・min/mLであり、絶食した状態が189,313±82,551ng・min/mLであり、両方の状態において実質的に等価なトラマドール暴露を示している。
【0126】
[実施例6]
本発明の粒子中の薬物添加量の測定
許容範囲の吸収値を得るために秤量したコーティングされたビーズまたはコーティングされていないビーズを砕き、その砕いたビーズを既知の量の水に溶解することによって、分光光度計によってビーズの薬物含有量を測定した。塩酸トラマドールのUVスペクトログラムは、約220nm、270nm、および275nmの波長で特異的なピークを示している。270nmにおける薬物の測定された吸光係数から、このサンプル中の薬物の濃度を測定した。
【0127】
上記は本発明の特定の実施形態の詳細な説明である。本発明の特定の実施形態を例示するために本明細書で開示したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更をすることができることは理解されよう。従って、本発明は添付した特許請求の範囲による以外には限定されない。本明細書で開示され、特許請求された実施形態はすべて本発明の開示に照らして過度の実験を行なうことなく製造および実施することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
即放性粒子各々がトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有する、即放性粒子の集合体;ならびに
徐放性粒子各々がコアおよび該コアを包む半透性コーティングを含有し、該コアはトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有し、かつ該コーティングは、フィルム形成半透性ポリマー、ポアフォーマ、および可塑剤を含有する徐放性粒子の集合体;
を含有し、ここで、該徐放性粒子は、トラマドールまたはその塩を、実質的にpH非依存様式にて長期間にわたって放出する、
即放性かつ徐放性の薬学的組成物。
【請求項2】
徐放性粒子の集合体中に存在するトラマドールまたはその塩の量は、即放性粒子の集合体中に存在するトラマドールまたはその塩の量よりも多い、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
即放性粒子の集合体が、25〜100mgのトラマドールまたはその塩を含有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
徐放性粒子の集合体が、50〜400mgのトラマドールまたはその塩を含有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
即放性粒子の集合体中に存在するトラマドールまたはその塩の量は、組成物中に存在するトラマドールまたはその塩の総量の25%〜50%であり、かつ徐放性粒子の集合体中に存在するトラマドールまたはその塩の量は、組成物中に存在するトラマドールまたはその塩の総量の75%〜50%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
即放性粒子は、水環境に暴露後1時間またはそれ以下の時間内にトラマドールまたはその塩を放出する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
徐放性粒子は、水環境中に暴露後少なくとも8〜12時間の期間にわたってトラマドールまたはその塩を放出する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
徐放性粒子の各々のコアが即放性粒子処方物を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
フィルム形成半透性ポリマーが酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロースまたはそれらの組み合わせを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
ポアフォーマが、糖、ポリオール、水溶性または水浸食性誘導体化セルロース、および水溶性または水浸食性ポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
可塑剤が、200〜8000の分子量を有するPEG、クエン酸のエステル、フタル酸のエステル、およびセバシン酸ジブチルからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
即放性粒子中の少なくとも1種類の賦形剤が球状化助剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
球状化助剤が微結晶性セルロースを含有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
即放性粒子中の少なくとも1種類の賦形剤が微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
即放性粒子中の少なくとも1種類の賦形剤が微結晶性セルロースおよびデンプンを含有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
即放性粒子の長さまたは直径は、0.5〜3mmの範囲であり、徐放性粒子の長さまたは直径は、0.5〜3mmの範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
カプセルシェルならびに薬学的組成物を含有する二段階放出カプセル剤形であって、該薬学的組成物は、
即放性粒子各々がトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有する、即放性粒子の集合体;および
徐放性粒子各々がコアおよび該コアを包む半透性コーティングを含有する徐放性粒子の集合体であって、該コアはトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有し、かつ該コーティングは、フィルム形成半透性ポリマー、ポアフォーマ、および可塑剤を含有する徐放性粒子の集合体;
を含有し、ここで、該徐放性粒子は、トラマドールまたはその塩を、実質的にpH非依存様式にて長期間にわたって放出する、
上記カプセル剤形。
【請求項18】
トラマドールまたはその塩の実質的にpH非依存的放出を提供する徐放性粒子であって、該粒子は、
トラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有するコア;ならびに
該コアを包む半透性コーティングであって、該コーティングは、フィルム形成半透性ポリマー、水溶性または水侵食性のポアフォーマ、および可塑剤を含有するコーティング
を含有し、ここで、該ポアフォーマは水環境中への該粒子の曝露後溶解するかまたは侵食され、それにより該半透膜に微細孔を形成し、その結果該コアからのトラマドールのpH非依存的放出を提供する、
上記徐放性粒子。
【請求項19】
トラマドールまたはその塩は、1次オーダー、疑似1次オーダー、ゼロオーダー、疑似ゼロオーダー、またはS字状の放出特性に従って放出される、請求項18に記載の粒子。
【請求項20】
即放性粒子各々がトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有する、即放性粒子の集合体;ならびに
徐放性粒子各々がコアおよび該コアを包む半透性コーティングを含有する徐放性粒子の集合体であって、該コアはトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有し、ここで、該徐放性粒子は、使用する水環境中に暴露された際にトラマドールまたはその塩を、実質的にはpH非依存様式にて長期間にわたって放出する、徐放性粒子の集合体;
を含有する、剤形。
【請求項21】
剤形は固形経口剤形である、請求項20に記載の剤形。
【請求項22】
剤形は、カプセル、キャプレット、錠剤、サシェ、および粒子混合物からなる群から選択される、請求項21に記載の剤形。
【請求項23】
即放性粒子は、使用する水環境中に暴露された際に実質的にpH非依存的様式にてトラマドールを放出する、請求項20に記載の剤形。
【請求項24】
即放性粒子は、使用する水環境中に暴露された際に実質的にpH非依存的様式にてトラマドールを放出する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の剤形または組成物。
【請求項25】
即放性粒子は、使用する水環境中に暴露後約45分以内にトラマドールの放出を完了する、請求項24に記載の剤形または組成物。
【請求項26】
トラマドールまたはその塩に治療的に応答する障害または症状を治療する方法であって、その治療の必要な被験体に請求項1〜25のいずれか1項に記載の薬学的組成物または剤形を経口投与することを包含する、上記方法。
【請求項27】
被検体にトラマドールを投与する方法であって、請求項1〜26のいずれか1項に記載の剤形または組成物の1単位用量を投与し、該剤形または組成物を被験体に投与後少なくとも8時間の期間にわたって1mlの血漿あたり少なくとも100ngのトラマドール血漿濃度を被験体中に提供することを包含する、上記方法
【請求項28】
血漿濃度の範囲が100〜450ng/mlである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
期間が少なくとも12時間である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
剤形または組成物が、
即放性粒子各々がトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有する、即放性粒子の集合体;ならびに
徐放性粒子各々がコアおよび該コアを包む半透性コーティングを含有する、徐放性粒子の集合体であって、該コアはトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有し、ここで、該徐放性粒子は、トラマドールまたはその塩を、実質的にはpH非依存様式にて長期間にわたって放出する、徐放性粒子の集合体;
を含有する、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
酸性化剤をさらに含有する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の剤形または組成物。
【請求項32】
剤形または組成物が水環境に暴露される際に、トラマドールは遊離塩基として存在し、かつ酸性化剤はトラマドールと共に塩を形成するために適用される、請求項31に記載の剤形または組成物。
【請求項1】
即放性粒子各々がトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有する、即放性粒子の集合体;ならびに
徐放性粒子各々がコアおよび該コアを包む半透性コーティングを含有し、該コアはトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有し、かつ該コーティングは、フィルム形成半透性ポリマー、ポアフォーマ、および可塑剤を含有する徐放性粒子の集合体;
を含有し、ここで、該徐放性粒子は、トラマドールまたはその塩を、実質的にpH非依存様式にて長期間にわたって放出する、
即放性かつ徐放性の薬学的組成物。
【請求項2】
徐放性粒子の集合体中に存在するトラマドールまたはその塩の量は、即放性粒子の集合体中に存在するトラマドールまたはその塩の量よりも多い、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
即放性粒子の集合体が、25〜100mgのトラマドールまたはその塩を含有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
徐放性粒子の集合体が、50〜400mgのトラマドールまたはその塩を含有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
即放性粒子の集合体中に存在するトラマドールまたはその塩の量は、組成物中に存在するトラマドールまたはその塩の総量の25%〜50%であり、かつ徐放性粒子の集合体中に存在するトラマドールまたはその塩の量は、組成物中に存在するトラマドールまたはその塩の総量の75%〜50%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
即放性粒子は、水環境に暴露後1時間またはそれ以下の時間内にトラマドールまたはその塩を放出する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
徐放性粒子は、水環境中に暴露後少なくとも8〜12時間の期間にわたってトラマドールまたはその塩を放出する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
徐放性粒子の各々のコアが即放性粒子処方物を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
フィルム形成半透性ポリマーが酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロースまたはそれらの組み合わせを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
ポアフォーマが、糖、ポリオール、水溶性または水浸食性誘導体化セルロース、および水溶性または水浸食性ポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
可塑剤が、200〜8000の分子量を有するPEG、クエン酸のエステル、フタル酸のエステル、およびセバシン酸ジブチルからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
即放性粒子中の少なくとも1種類の賦形剤が球状化助剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
球状化助剤が微結晶性セルロースを含有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
即放性粒子中の少なくとも1種類の賦形剤が微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
即放性粒子中の少なくとも1種類の賦形剤が微結晶性セルロースおよびデンプンを含有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
即放性粒子の長さまたは直径は、0.5〜3mmの範囲であり、徐放性粒子の長さまたは直径は、0.5〜3mmの範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
カプセルシェルならびに薬学的組成物を含有する二段階放出カプセル剤形であって、該薬学的組成物は、
即放性粒子各々がトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有する、即放性粒子の集合体;および
徐放性粒子各々がコアおよび該コアを包む半透性コーティングを含有する徐放性粒子の集合体であって、該コアはトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有し、かつ該コーティングは、フィルム形成半透性ポリマー、ポアフォーマ、および可塑剤を含有する徐放性粒子の集合体;
を含有し、ここで、該徐放性粒子は、トラマドールまたはその塩を、実質的にpH非依存様式にて長期間にわたって放出する、
上記カプセル剤形。
【請求項18】
トラマドールまたはその塩の実質的にpH非依存的放出を提供する徐放性粒子であって、該粒子は、
トラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有するコア;ならびに
該コアを包む半透性コーティングであって、該コーティングは、フィルム形成半透性ポリマー、水溶性または水侵食性のポアフォーマ、および可塑剤を含有するコーティング
を含有し、ここで、該ポアフォーマは水環境中への該粒子の曝露後溶解するかまたは侵食され、それにより該半透膜に微細孔を形成し、その結果該コアからのトラマドールのpH非依存的放出を提供する、
上記徐放性粒子。
【請求項19】
トラマドールまたはその塩は、1次オーダー、疑似1次オーダー、ゼロオーダー、疑似ゼロオーダー、またはS字状の放出特性に従って放出される、請求項18に記載の粒子。
【請求項20】
即放性粒子各々がトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有する、即放性粒子の集合体;ならびに
徐放性粒子各々がコアおよび該コアを包む半透性コーティングを含有する徐放性粒子の集合体であって、該コアはトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有し、ここで、該徐放性粒子は、使用する水環境中に暴露された際にトラマドールまたはその塩を、実質的にはpH非依存様式にて長期間にわたって放出する、徐放性粒子の集合体;
を含有する、剤形。
【請求項21】
剤形は固形経口剤形である、請求項20に記載の剤形。
【請求項22】
剤形は、カプセル、キャプレット、錠剤、サシェ、および粒子混合物からなる群から選択される、請求項21に記載の剤形。
【請求項23】
即放性粒子は、使用する水環境中に暴露された際に実質的にpH非依存的様式にてトラマドールを放出する、請求項20に記載の剤形。
【請求項24】
即放性粒子は、使用する水環境中に暴露された際に実質的にpH非依存的様式にてトラマドールを放出する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の剤形または組成物。
【請求項25】
即放性粒子は、使用する水環境中に暴露後約45分以内にトラマドールの放出を完了する、請求項24に記載の剤形または組成物。
【請求項26】
トラマドールまたはその塩に治療的に応答する障害または症状を治療する方法であって、その治療の必要な被験体に請求項1〜25のいずれか1項に記載の薬学的組成物または剤形を経口投与することを包含する、上記方法。
【請求項27】
被検体にトラマドールを投与する方法であって、請求項1〜26のいずれか1項に記載の剤形または組成物の1単位用量を投与し、該剤形または組成物を被験体に投与後少なくとも8時間の期間にわたって1mlの血漿あたり少なくとも100ngのトラマドール血漿濃度を被験体中に提供することを包含する、上記方法
【請求項28】
血漿濃度の範囲が100〜450ng/mlである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
期間が少なくとも12時間である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
剤形または組成物が、
即放性粒子各々がトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有する、即放性粒子の集合体;ならびに
徐放性粒子各々がコアおよび該コアを包む半透性コーティングを含有する、徐放性粒子の集合体であって、該コアはトラマドールまたはその塩および少なくとも1種類の賦形剤を含有し、ここで、該徐放性粒子は、トラマドールまたはその塩を、実質的にはpH非依存様式にて長期間にわたって放出する、徐放性粒子の集合体;
を含有する、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
酸性化剤をさらに含有する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の剤形または組成物。
【請求項32】
剤形または組成物が水環境に暴露される際に、トラマドールは遊離塩基として存在し、かつ酸性化剤はトラマドールと共に塩を形成するために適用される、請求項31に記載の剤形または組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−543791(P2009−543791A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519572(P2009−519572)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/071228
【国際公開番号】WO2008/008592
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(501408226)ザ・ユニヴァーシティ・オブ・カンザス (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/071228
【国際公開番号】WO2008/008592
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(501408226)ザ・ユニヴァーシティ・オブ・カンザス (2)
【Fターム(参考)】
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