説明

卵巣癌の治療のための組成物および方法

本発明は、卵巣癌の治療において、驚くほど効果的な抗癌薬物の組み合わせ、それを含む薬学的組成物、およびそれらの使用に関する。特に、本発明は、少なくとも2つの化学療法薬剤(特に、タキサン化合物および白金化合物)と組み合わせた、細胞傷害性化合物(例えば、免疫共役体)に連結されたCD56抗体の投与が、卵巣がんの治療において、単独で使用された抗癌剤の相加効果を超えて、治療指数を改善するという発見に基づいている。本発明の一実施形態において、細胞傷害性化合物に連結されたCD56抗体またはそのフラグメントと、さらなる化学療法薬剤との組み合わせは、卵巣癌の治療指数において、相乗効果を有する。本発明はまた、治療有効量のそのような組み合わせを投与することによって、卵巣癌細胞等の選択された細胞集団の成長を調節する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
卵巣癌は、米国で2007年に推定22,430の新しい症例および15,280人の死亡を提示した、女性の生殖器官の最も一般的な癌である(Jemal et al.,CA Cancer J.Clin.2007,57(1):43−56)。卵巣癌の約70%は、進行した段階で診断され、そのような癌を患っている女性のうちの30%のみが、5年生存すると予測され得る(Cho and Shih,Annu.Rev.Pathol.2009,4:284−313)。
【0002】
卵巣癌の現行の治療には、外科手術、放射線療法、化学療法、およびこれらの組み合わせが含まれる。卵巣癌の標準的な第一選択の化学療法は、タキサンと白金含有薬物との組み合わせである。しかしながら、そのような組み合わせは、患者に対する毒性リスクを示し、細胞傷害性化学療法への耐性が、卵巣癌に苦しむ女性における治療不全および死亡の主な原因となっている。例えば、Lage and Denkert,Recent Results Cancer Res.2007,176:51−60を参照のこと。さらに、タキサンと組み合わせた白金薬剤による進行した卵巣癌の治療は、現在、約45%の5年生存率によって制限されている。例えば、March et al,Journal of Clinical Oncology,2007,25(29):4528−4535を参照のこと。
【0003】
例えば、卵巣癌細胞が皮下または腹膜腔のいずれかに注射される異種移植片モデルが、新規の治療薬、または標準的な化学療法薬物の投与のための修正レジメンの試験のために、広範囲にわたって使用されている。例えば、Vanderhyden et al.,Reproductive Biology and Endocrinology,2003,1:67を参照のこと。
【0004】
殺作用の異なる機序を有する、例えば、細胞中の異なる標的を有する抗癌薬物が、組み合わせて使用されている。例えば、モノクローナル抗体(例えば、抗CD56抗体)に連結されたマイタンシノイド化合物(例えば、DM1)を含むマイタンシノイド免疫共役体と、(1)パクリタキセル、(2)シスプラチンおよびエトポシド、(3)ドセタキセルとの組み合わせが、特許文献1および特許文献2(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるような、小細胞肺癌(SCLC)異種移植片モデルに使用された。加えて、モノクローナル抗体に連結されたマイタンシノイド化合物を含むマイタンシノイド免疫共役体と、(1)プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブ)、(2)免疫調節薬剤/抗血管形成剤(サリドマイドもしくはレナリドマイド)、または(3)DNAアルキル化剤(メルファラン)との、任意でコルチコステロイド(デキサメタゾン)のさらなる添加を伴う組み合わせが、多発性骨髄腫異種移植片モデルにおいて使用された。
【0005】
殺作用の異なる機序を有する抗癌薬物が組み合わされる実験系において、独立した標的を有する抗癌薬物(相互排他的薬物)が、相加的、相乗的、あるいは拮抗的様式で作用することが観察されている。ChouおよびTalalayは、定性的および定量的な様式で、そのような実験結果を正確に記載するための数学的方法を開発した(Chou and Talalay,Adv.Enzyme Regul.1984,22:27−55)。ChouおよびTalalayは、2つの相互排他的な薬物の組み合わせが、全濃度範囲にわたって同種の効果、つまり、それらの組み合わせが、相加的、相乗的、または拮抗的な種類の効果を示すことを示した。ほとんどの薬物の組み合わせが相加効果を示す。しかしながら場合によっては、組み合わせが相加効果より低い、あるいは高い効果を示すことがある。これらの組み合わせは、それぞれ拮抗的または相乗的と呼ばれる。拮抗効果または相乗効果は、一般に、予測不可能であると見なされ、予期しない実験的発見である。Knight et al.,BMC Cancer 2004,4:83、T.H.Corbett et al.,Cancer Treatment Reports,1982,66:1187、およびTallarida,J.Pharmacol.Exp.Ther.,2001 298(3):865−72を参照のこと。
【0006】
卵巣癌を治療するための新規かついっそう有効な方法が当技術分野において必要である。さらに、相乗作用を示し、癌、例えば、卵巣癌の治療および予防のために有効に使用することができる、薬物の組み合わせを見つける必要が依然として存在する。本発明は、そのような方法および薬物の組み合わせを対象とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,303,749号明細書
【特許文献2】米国特許第7,601,354号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、卵巣癌の治療における抗癌剤の組み合わせ、それを含む薬学的組成物、およびそれらの使用に関する。特に、本発明は、マウス/ヒト(異種移植片)モデル系において、少なくとも2つの化学療法薬剤(特に、タキサン化合物(パクリタキセルもしくはドセタキセル等))および白金化合物(カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、イプロプラチン、オルマプラチン、もしくはテトラプラチン化合物等)と組み合わせた、細胞傷害性化合物(例えば、免疫共役体)に連結されたCD56に特異的に結合する抗体の投与が、単独で使用される抗癌剤の相加効果に加えて、卵巣癌の治療における治療指数を改善するという発見に基づく。本発明の一実施形態において、細胞傷害性化合物(すなわち、「免疫共役体」)に連結されたCD56に特異的に結合する抗体と、さらなる化学療法薬剤との組み合わせは、卵巣癌の治療指数において、(単一化合物と薬剤のみの予測された組み合わせた相加効果と比較して)相乗効果を有する。本発明はまた、治療有効量のそのような組み合わせを投与することによって、卵巣癌細胞等の選択された細胞集団の成長を調節する方法も提供する。
【0009】
一実施形態において、本発明の薬学的組成物は、ヒト化抗体N901−マイタンシノイド共役体(huN901−DM1またはIMGN901)、タキサン化合物、および白金化合物を含む。一実施形態において、薬学的組成物中のタキサン化合物は、パクリタキセルまたはドセタキセルのうちの1つまたはその両方である。一実施形態において、薬学的組成物中の白金化合物は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、イプロプラチン、オルマプラチン、もしくはテトラプラチン化合物のうちの1つ、またはそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせである。一実施形態において、本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0010】
一実施形態において、免疫共役体は、タキサン化合物および白金化合物と組み合わせて投与されるヒト化抗体N901マイタンシノイド共役体(huN901−DM1またはIMGN901)であり、この組み合わせは、免疫共役体のみ、タキサン化合物のみ、白金化合物のみ(または第3化合物の不在下での、前述の2つの任意の組み合わせ)を用いる相加効果と比較して、卵巣癌の治療において、治療相乗効果を有するか、または治療指数を改善する。一実施形態において、タキサン化合物は、パクリタキセルまたはドセタキセルのうちの1つまたはその両方である。一実施形態において、白金化合物は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、イプロプラチン、オルマプラチン、もしくはテトラプラチン化合物のうちの1つ、またはそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせである。
【0011】
本明細書に使用される「治療相乗効果」は、共役体と1つ以上の化学療法薬剤との組み合わせが、それぞれが、単独で使用される時の共役体および化学治療薬剤の相加効果を上回る、卵巣癌の治療における治療効果をもたらす。
【0012】
本発明のこれらおよび他の態様は、本明細書で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】OVCAR−3ヒト卵巣癌異種移植片における、(対照に対して2つの異なる用量での)IMGN901治療のみの抗腫瘍効果を示す。
【0014】
【図2】(2つの異なる用量での)IMGN901ならびにパクリタキセル+カルボプラチン単独に対する、2つの異なる用量でのIMGN901とパクリタキセル+カルボプラチンとを用いた、COLO720Eヒト卵巣癌異種移植片の併用療法の抗腫瘍効果を示す。
【0015】
【図3】確立した皮下COLO720Eヒト卵巣癌異種移植片における、軽減された用量のIMGN901とパクリタキセル+カルボプラチン(すなわち、「低用量」併用療法)での抗腫瘍効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
卵巣癌
卵巣癌は、卵巣の異なる部分から生じる癌性増殖である。卵巣癌の最も一般的な型(80%以上)は、卵巣の外膜(上皮組織)から生じる。しかしながら、ファローピウス管(上皮組織)もまた、卵巣内に見られるものと、同種の癌に発展する傾向がある。卵巣および管は、互いに密接な関係があるため、これらの細胞が、卵巣癌を模倣することができることが仮定される。他の型の卵巣癌は、卵細胞から生じる可能性がある(すなわち、胚細胞腫瘍)。卵巣癌のリスクは、年齢と共に増加し、妊娠に伴って減少する。生涯リスクは、約1.6%と概算されているが、罹患した一親等の血縁者がいる女性は、より高い(約5%)リスクを有する。突然変異したBRCA1またはBRCA2遺伝子を持つ女性は、25%から60%のリスクを抱え、これは、特異的変異体によって異なる。卵巣癌は、女性における癌による5番目の主な死因であり、婦人科癌による主要な死因である。
【0017】
本発明は、卵巣癌の治療で用いる改善された薬学的組成物およびその方法を提供する。
【0018】
共役体および免疫共役体
本発明の1つの構成要素は、「共役体」を産生するために細胞傷害性化合物(例えば、DM1等のマイタンシノイド化合物(以下にさらに説明される))に連結された、または「共役された」CD56抗体を利用する。したがって、CD56抗体(またはその抗原結合フラグメント、例えば、CD56抗体の抗原結合ドメインを含むフラグメント)が、細胞傷害性化合物に連結された場合に、この組み合わせた抗体/細胞傷害性化合物部分が、本明細書では、「免疫共役体」と称される。本発明の免疫共役体は、さらなる細胞傷害性化合物または化学療法薬剤と組み合わされて、卵巣癌の治療に有用な相乗効果(相乗作用(synergy))を生じる。
【0019】
相乗作用
ChouおよびTalalay(Adv.Enzyme Regul.,22:27−55(1984))は、組み合わせた薬物効果の実験結果を定性的および定量的な様式で記載するための数学的方法を開発した。相互排他的な薬物に対して、一般化等効果(isobol)方程式が、任意の程度の効果に適用されることが示された(Chou and Talalayの52頁を参照のこと)。等効果またはアイソボログラムは、同程度の効果を有する2つの薬物のすべての用量組み合わせのグラフ表現であり、例えば、2つの細胞傷害性薬物の組み合わせは、20%または50%の細胞殺滅等の同程度の細胞死滅に影響を及ぼす。アイソボログラムにおいて、直線は、相加効果を示し、凹曲線(直線の下の曲線)は、相乗効果を表わし、凸曲線(直線の上の曲線)は、拮抗効果を表わす。これらの曲線はまた、2つの相互に排他的な薬物の組み合わせが、全濃度範囲にわたって同種の効果を示し、その組み合わせが、相加的、相乗的、または拮抗的のいずれかであることを示す。ほとんどの薬物の組み合わせが相加効果を示す。しかしながら、場合によっては、組み合わせは、相加効果を下回る、または上回る効果を示す。これらの組み合わせは、それぞれ、拮抗的または相乗的と呼ばれる。拮抗効果または相乗効果は、予測不可能であり、予期しない実験的発見である。組み合わせは、その最適用量で使用する構成物質のうちの1つまたはもう一方よりも治療的に優れている場合、治療相乗効果を明示する。T.H.Corbett et al.,Cancer Treatment Reports,66,1187(1982)を参照のこと。Tallarida RJ(J Pharmacol Exp Ther.2001 Sep;298(3):865−72)は、「明らかに類似する効果を生成する2つの薬物は、場合により、同時に使用すると、増大または減少した効果をもたらす。これらの事例を単純な相加作用と区別するために定量的評価が必要とされる。」と言及している。
【0020】
相乗効果は、ChouおよびTalalayの組み合わせ指数(CI)方法を用いて測定することができる(Chang et al.,Cancer Res.45:2434−2439,(1985))、これは、半有効原則(median−effect principle)に基づく。この方法は、細胞毒性の様々なレベルで、2つの薬物間の相乗作用、相加作用、または拮抗作用の程度を計算する。CI値が1未満である場合、2つの薬物間には相乗作用がある。CI値が1である場合、相加効果があるが、相乗効果はない。1を上回るCI値は、拮抗作用を示す。CI値が小さいほど、相乗効果が大きくなる。別の実施形態において、相乗効果は、微小抑制濃度(FIC)を用いることによって決定される。この微小値は、単独で作用する薬物のIC50の関数として、組み合わせて作用する薬物のIC50を表わすことによって決定される。2つの相互作用の薬物については、それぞれの薬物のFIC値の合計が、相乗的相互作用の大きさを表わす。FICが1未満である場合、2つの薬物間の相乗作用がある。FIC値の1は、相加効果を示す。FIC値が小さいほど、相乗的相互作用が大きくなる。
【0021】
拮抗効果または相乗効果の予測不可能性が、当業者に周知であることは、例えば、Knightらによるいくつかの他の研究において実証されている。BMC Cancer 2004,4:83を参照のこと。本研究では、著者らは、乳癌、結腸直腸癌、食道癌および卵巣癌、原発部位不明の癌、皮膚およびブドウ膜黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、ならびに肉腫を含む、多種多様の固形腫瘍に対する、ゲフィチニブ(イレッサとしても既知である)の作用を単独で、または異なる細胞傷害性薬物(シスプラチン、ゲムシタビン、オキサリプラチン、およびトレオスルファン)と組み合わせて測定した。
【0022】
彼らは、単一薬剤ゲフィチニブに対する腫瘍の試験を実施した時に認められた腫瘍成長阻害(TGI)の程度に不均一性が存在することを発見した。腫瘍の7%(6/86)において、著しい腫瘍成長阻害が認められたが、大部分が、より控えめな反応を示し、低度のTGIとなった。興味深いことに、ゲフィチニブは、異なる細胞傷害性薬物と組み合わせて使用する場合に、陽性と陰性の両方の効果があった。試験した腫瘍の59%(45/76)において、ゲフィチニブの相加が現れ、細胞傷害性薬剤または組み合わせの効果が促進するように思われた(これらのうち、11%(5/45)は、その指数SUMについて50%を上回って減少した)。腫瘍の38%(29/76)において、TGIは、ゲフィチニブと細胞傷害性薬物との組み合わせを使用した場合に、単独の細胞傷害性薬物と比較して減少した。残りの3%(2/76)において、変化は認められなかった。
【0023】
著者らは、異なる細胞傷害性薬剤(シスプラチン、ゲムシタビン、オキサリプラチン、トレオスルファンおよびトレオスルファン+ゲムシタビン)と組み合わせたゲフィチニブが、両刀の剣であること、つまり、成長速度に対するその効果によって、一部の腫瘍は、併用細胞傷害性化学療法に対してより耐性を有するようになり得る一方、サイトカイン媒介細胞生存(抗アポトーシス)機序に対するその効果は、他の個体からの腫瘍における同一の薬物に対する感受性を増大させ得るという結論を下す。7頁の結論を参照されたく、また、Knight et al.,BMC Cancer 2004,4:83の図3も参照されたい。したがって、本研究により、同一の目的に対して有用であることが知られている2つの化合物を、その目的のために組み合わせた場合に、予期する効果を必ずしも示さない場合があることが証明される。
【0024】
活性薬剤の高度に有効な組み合わせ、すなわち、相乗混合物を発見することは、困難な試みである。薬剤の潜在的な組み合わせの数が莫大であるため、セレンディプティは有効な手段ではない。例えば、5000個の潜在的な薬剤という比較的小さいパレットであっても何兆個の可能な5倍の組み合わせが存在する。また、機序の知識から潜在的な組み合わせを推測する他の通常の発見戦略も、生体の多くの生物学的評価項目が複数の経路によって影響を受けることから、その可能性が制限される。これらの経路は、多くの場合不明であり、既知であっても、経路が相互に作用して生物学的評価項目を生成する方式は、多くの場合不明である。
【0025】
以前に実証された場合であっても、薬物の組み合わせの相乗使用によって、新しい相乗作用の組み合わせを探索する必要性が除去されず、これは、相乗効果が予測不可能であるためである。例えば、高活性抗レトロウイルス療法(HAART)に関連した後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療において、HIV−1ウイルスの逆転写酵素(RT)およびウイルスのプロテアーゼ(PR)の阻害剤のカクテル療法が、ウイルス複製の相乗阻害を示すと考えられている。その後、興味深いことに、2種類のRT阻害剤内においても、相乗効果が認められ、すなわち、ヌクレオシドRT阻害剤(NRTI)は、PR阻害剤の不在下において、非ヌクレオシドRT阻害剤(NNRTI)との相乗効果を示した。例えば、NRTI、AZT(ジドブジン)、およびNNRTI、ネビラピンは、組み合わせて投与される場合に相乗効果を示す(Basavapathruni A et al.,J.Biol.Chem.,Vol.279,Issue 8,6221−6224,February 20,2004)。したがって、相乗効果を示し、かつ衰弱性疾患の治療および予防、特に、卵巣癌等の特殊な型の癌の治療に関して有効に使用され得る薬物の組み合わせを発見する必要がさらにある。
【0026】
本発明の一実施形態において、驚くことに、CD56結合免疫共役体、タキサン化合物、および白金化合物の組み合わせを含む薬学的組成物が、卵巣癌の治療において、相乗的治療効果を生じることが発見されている。
【0027】
本明細書に使用される「相乗効果」という用語は、化合物の組み合わせによって生じた相加的治療効果を上回る治療効果を指し、組み合わせで得られた治療効果が、そうでなければ、それらの化合物の個々の投与のみからもたらされたであろう相加効果を超える。本発明の実施形態は、卵巣癌の治療において、相乗効果を生じる方法を含み、該効果は、対応する相加効果よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも500%、または少なくとも1000%高い。
【0028】
いくつかの実施形態において、相乗効果は、薬剤または化合物のうちの1つ以上が「低用量」で(すなわち、単独で投与される場合、非治療的であると見なされるであろう用量を用いて)投与される、卵巣癌の治療において得られ、他の化合物または薬剤と組み合わせた低用量の化合物または薬剤の投与(低用量または治療用量のいずれかで投与される)が、そうでなければ、それらの化合物の個々の投与のみからもたらされたであろう相加効果を超える、相乗効果をもたらす。いくつかの実施形態において、相乗効果は、「低用量」で投与された薬剤または化合物のうちの1つ以上の投与によって達成され、低用量は、毒性または他の望ましくない副作用を軽減または回避するように提供される。
【0029】
一実施形態において、相乗効果は、卵巣癌の治療において得られ、低用量で投与される薬剤または化合物のうちの1つ以上は、IMGN901、パクリタキセル、および/またはカルボプラチンのうちのいずれか1つ、または1つ以上のこれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態において、相乗効果は、卵巣癌の治療において得られ、投与される薬剤または化合物は、低用量のIMGN901、低用量のパクリタキセル、および低用量のカルボプラチンを含む。
CD56抗体およびそのフラグメント
【0030】
本発明に使用されるCD56に免疫特異的に結合する抗体(すなわち、「CD56抗体」)には、CD56抗体もしくはCD56結合フラグメント、部分、またはその他の抗原結合型の任意の型が含まれる。これらには、例えば、以下のような様々な型の抗体およびそのフラグメントが含まれるが、これらに限定されない:
●抗原およびその誘導体または類似体、例えば、

●ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント、

●キメラ、霊長類化、ヒト化、完全ヒト抗体、またはその抗原結合フラグメント、

●表面再構成(resurfaced)抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、米国特許第5,639,641号を参照のこと)、

●一本鎖、Fv、sFv、scFv、Fab、Fab′、およびF(ab′)2等の抗体のエピトープ結合フラグメント(Parham,J.Immunol.131:2895−2902(1983)、Spring et al,J.Immunol.113:470−478(1974)、Nisonoff et al,Arch.Biochem.Biophys.89:230−244(1960))。
【0031】
CD56結合剤として生成され、使用され得る多様多種な抗原結合分子型のさらなる例が、続いて、本明細書にさらに詳細に論じられる。
【0032】
IMGN901
IMGN901の抗体部分は、元来N901に由来した。N901は、CD56と反応性であるIgG1マウスモノクローナル抗体(抗N901とも称される)であり、神経内分泌系起源の腫瘍上に発現される。例えば、Griffin et al,J.Immunol.130:2947−2951(1983)および米国特許第5,639,641号を参照のこと。
【0033】
CD56抗原は、神経内分泌系起源の腫瘍細胞の表面上に発現される神経細胞接着分子(NCAM)であり、これには、小細胞肺癌(SCLC)、カルチノイド腫瘍、およびメルケル細胞癌(MCC)が含まれる。CD56は、卵巣腫瘍のうちの約56%に発現される。CD56はまた、多発性骨髄腫のうちの約70%に発現される。
【0034】
異なるバージョンのヒト化N901の調製は、例えば、Roguska et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:969−973(1994)、およびRoguska et al,Protein Eng.,9:895:904(1996)によって記載され、これらの開示は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。ヒト化抗体を示すために、「hu」または「h」という文字が、抗体の名前の前に表示される。例えば、ヒト化N901は、huN901またはhN901と称されてもよい。
【0035】
IMGN901は、CD56結合モノクローナル抗体、huN901、およびマイタンシノイド細胞傷害剤、DM1からなる抗体薬物共役体(ADC)である。huN901/DM1共役の例示的な説明については、米国特許第7,303,749号、実施例1を参照のこと。米国特許第7,303,749号(発明者:R.V.J.Chari、2007年12月4日に特許取得済み)の全体は、参照することにより本明細書に組み込まれる。マイタンシノイド化合物に関するさらなる情報もまた、本明細書でさらに検討される。
【0036】
IMGN901は、腫瘍細胞の表面上に発現したCD56に対して高親和性に結合する。一旦結合すると、共役体は、内在化され、DM1が放出される。
【0037】
DM1は、チュブリン重合および微小管の組み立てを抑制する抗有糸分裂剤である。Remillard S.et al.,1975,Science 189:1002−1005)を参照のこと。また、「Takeda(Osaka,Japan)によって提供されたアンサマイトシンP−3が、本明細書および米国特許第5,208,020号に記載されるように、ジスルフィド含有マイタンシノイドDM1に変換されたこと」を説明する米国特許第7,303,749号、実施例1も参照のこと。米国特許第5,208,020号(発明者:Chariら、1993年5月4に特許取得済み)の全体が、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0038】
IMGN901は、卵巣癌のヒト異種移植片前臨床モデルにおける単一の薬剤として著しい抗腫瘍活性を示す。
【0039】
マイタンシノイドおよび他の抗有糸分裂剤
有糸分裂阻害剤(抗有糸分裂剤)は、癌治療および細胞遺伝的研究によく使用される植物性アルカロイド等の天然物質から一般的に由来する薬物の一種である。癌細胞が増殖し、最終的には、連続的な有糸分裂を通して、転移する。一般に、有糸分裂阻害剤は、微小管重合を抑制し、ひいては、癌性増殖を防ぐことによって、細胞が有糸分裂することを阻止する。有糸分裂阻害剤は、有糸分裂を干渉し、停止させることによって作用する(通常、細胞周期のM期中)ため、細胞は、もはや分割され得ない。有糸分裂に生じさせることが必要であるチュブリン重合は、有糸分裂阻害剤によって抑えられ、それによって、有糸分裂を阻止することができる。癌の治療に使用される有糸分裂阻害剤のいくつかの例には、マイタンシノイドDM1、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビンが含まれる。
【0040】
本発明に使用することができるマイタンシノイドは、当技術分野で周知であり、既知の方法に従って、天然源から単離され得るか、または既知の方法に従って、合成的に調製され得る。適切なマイタンシノイドの例には、マイタンシノールおよびマイタンシノール類似体が含まれる。適切なマイタンシノール類似体の例には、修飾された芳香環を有するものおよび他の位置での修飾を有するものが含まれる。
【0041】
修飾された芳香環を有するマイタンシノールの適切な類似体のいくつかの具体的な例としては、
(1)C−19−デクロロ(米国特許第4,256,746)(アンサミトシンP2のLAH還元により調製される)、
(2)C−20−ヒドロキシ(またはC−20−デメチル)+/−C−19−デクロロ(米国特許第4,361,650号および第4,307,016号)(ストレプトミセスまたはアクチノミセスを用いる脱メチル化もしくはLAHを用いる脱塩素化により調製される)、および
(3)C−20−デメトキシ、C−20−アシルオキシ(−OCOR)、+/−デクロロ(米国特許第4,294,757号)(塩化アシルを用いるアシル化により調製される)が含まれる。
【0042】
他の位置に修飾を有するマイタンシノールの適切な類似体のいくつかの具体的な例としては、
(1)C−9−SH(米国特許第4,424,219号)(マイタンシノールのHSまたはPとの反応により調製される)、
(2)C−14−アルコキシメチル(デメトキシ/CHOR)(米国特許第4,331,598号)、
(3)C−14−ヒドロキシメチルまたはアシルオキシメチル(CHOHまたはCHOAc)(米国特許第4,450,254号)(ノカルジアから調製される)、
(4)C−15−ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4,364,866号)(ストレプトミセスによるマイタンシノールの転化により調製される)、
(5)C−15−メトキシ(米国特許第4,313,946号および第4,315,929号)(トレウィアヌディフローラより単離される)、
(6)C−18−N−デメチル(米国特許第4,362,663号および第4,322,348号)(ストレプトミセスによるマイタンシノールの脱メチル化により調製される)、および
(7)4,5−デオキシ(米国特許第4,371,533号)(マイタンシノールの3塩化チタン/LAH還元により調製される)が含まれる。
【0043】
本発明に有用なチオール含有マイタンシノイドの合成は、米国特許第5,208,020号、第5,416,064号、第6,333,410号、第7,276,497号、および第7,301,019号に開示されている。
【0044】
C−3位、C−14位、C−15位、またはC−20位にチオール部分を有するマイタンシノイドは、すべて有用であることが期待される。C−3位が好ましく、マイタンシノールのC−3位は特に好ましい。また、N−メチル−アラニン含有C−3チオール部分マイタンシノイド、およびN−メチル−システイン含有C−3チオール部分マイタンシノイド、およびそれぞれの類似体も好ましい。
【0045】
本発明において有用なN−メチル−アラニン含有C−3チオール部分マイタンシノイド誘導体のいくつかの具体的な例は、式M1、M2、M3、M6、およびM7によって表される。
【化1】

式中、
lは、1〜10の整数であり、
Mayは、マイタンシノイドである。
【化2】

式中、
およびRは、H、CH、またはCHCHであり、同一または異なってもよく、
mは、0、1、2、または3であり、
Mayは、マイタンシノイドである。
【化3】

式中、
nは、3〜8の整数であり、
mayは、マイタンシノイドである。
【化4】

式中、
lは、1、2、または3であり、
は、ClまたはHであり、
は、HまたはCHである。
【化5】

式中、
、R、R、Rは、H、CH、またはCHCHであり、同一または異なってもよく、
mは、0、1、2、または3であり、
Mayは、マイタンシノイドである。
【0046】
本発明において有用なN−メチル−システイン含有C−3チオール部分マイタンシノイド誘導体の具体例は、式M4およびM5によって表される。
【化6】

式中、
oは、1、2、または3であり、
pは、0〜10の整数であり、
mayは、マイタンシノイドである。
【化7】

式中、
oは、1、2、または3であり、
qは、0〜10の整数であり、
は、ClまたはHであり、
は、HまたはCHである。
【0047】
マイタンシノイドのいくつかの実施形態はまた、米国特許第5,208,020号、第5,416,064号、第6,333,410号、第6,441,163号、第6,716,821号、第RE39,151号、第7,276,497号にも記載されている。
【0048】
本発明の一実施形態において、卵巣癌の治療において使用される薬学的組成物は、IMGN901、パクリタキセルおよびドセタキセルのうちの1つまたは両方、ならびにカルボプラチン、シスプラチン、およびオキサリプラチンのうちの1つまたは任意の組み合わせを含む。本発明の一実施形態において、卵巣癌の治療において使用される薬学的組成物は、IMGN901、パクリタキセル、およびカルボプラチンを含む。
共役連結
【0049】
本発明の細胞結合剤は、二官能性架橋試薬を細胞結合剤と反応させることによって修飾され得、それによって、細胞結合剤へのリンカー分子の共有結合をもたらす。本明細書に使用される「二官能性架橋試薬」は、本明細書に記載の薬物等の薬物に細胞結合剤を共有結合する任意の化学部分である。本発明の好ましい実施形態において、連結部分の一部は、薬物によって提供される。この点において、薬物は、薬物への細胞結合剤の結合に使用されるより大きなリンカー分子の一部である連結部分を含む。例えば、マイタンシノイドDM1またはDM4を形成するために、マイタンシンのC−3位でのエステル側鎖は、米国特許第5,208,020号、第6,333,410号、および第7,276,497号に記載されるように、遊離スルフヒドリル基(SH)を有するように修飾される。マイタンシンのこのチオール化された形式は、修飾された細胞結合剤と反応して、共役体を形成することができる。したがって、最終のリンカーは、2つの成分から組み立てられ、そのうちの1つは、架橋試薬によって提供され、他方は、DM1またはDM4からの側鎖によって提供される。
【0050】
リンカー試薬が、薬物および細胞結合剤のそれぞれの治療性(例えば、細胞毒性)、および標的化特性の保持を提供する限り、任意の適切な二官能性架橋試薬が、本発明に関連して使用することができる。好ましくは、リンカー分子は、薬物と細胞結合剤が、相互に化学的に結合(例えば、共有結合)されるように、化学結合(上述のような)によって薬物を細胞結合剤に結合する。好ましくは、連結試薬は、開裂可能なリンカーである。より好ましくは、リンカーは、穏和な条件下で、すなわち、薬物の活性が影響を受けない細胞内条件下で開裂される。適切な開裂可能なリンカーの例には、ジスルフィドリンカー、酸解離性リンカー、光解離性リンカー、ペプチターゼ解離性リンカー、およびエステラーゼ解離性リンカーが含まれる。ジスルフィド含有リンカーは、生理学的条件下で起こり得るジスルフィド交換により開裂可能なリンカーである。酸解離性リンカーは、酸性pHにおいて開裂可能なリンカーである。例えば、エンドソームおよびリソソーム等のある種の細胞内区画は、酸性pH(pH4〜5)を有し、酸解離性リンカーの開裂に適切な条件を提供する。光解離性リンカーは、体表面および光にアクセス可能な多くの体腔において有用である。さらに、赤外光は、組織を貫通することができる。ペプチターゼ解離性リンカーは、細胞内部または外部のある種のペプチドを開裂するために使用され得る(例えば、Trouet et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79:626−629(1982)、およびUmemoto et al.,Int.J.Cancer,43:677−684(1989)を参照のこと)。
【0051】
一実施形態において、細胞傷害性化合物は、ジスルフィド結合またはチオエーテル結合を介して細胞結合剤に連結されている。リンカー分子は、細胞結合剤と反応し得る反応化学基を含む。細胞結合剤との反応に例示的な反応化学基は、N−サクシニミジルエステルおよびN−スルホスクシンイミジルエステルである。加えて、リンカー分子は、反応化学基、例えば、薬物と反応して、ジスルフィド結合を形成することができるジチオピリジル基を含むことができる。リンカー分子の特定の実施形態には、例えば、N−サクシニミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(SPDP)(例えば、Carlsson et al.,Biochem.J.,173:723−737(1978)を参照のこと)、N−サクシニミジル4−(2−ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)(例えば、米国特許第4,563,304号を参照のこと)、N−サクシニミジル4−(2−ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)(例えば、CAS登録番号341498−08−6を参照のこと)、および米国特許第6,913,748号に記載される他の反応架橋剤が含まれる。
【0052】
本発明の実施形態は、上記の共役体を生成する開裂可能なリンカーおよび開裂不可能なリンカーの両方を含む。開裂不可能なリンカーは、マイタンシノイド、ビンカ・アルカロイド、ドラスチン、オーリスタチン、またはクリプトフィシン等の薬物を安定共有結合して連結することができる任意の化学的部分である。開裂不可能なリンカーは、薬物または細胞結合剤が活性を保持する条件下で、酸誘導開裂、光誘導開裂、ペプチターゼ誘導開裂、エステラーゼ誘導開裂、およびジスルフィド結合開裂に実質的に抵抗性を有する。
【0053】
薬物と細胞結合剤との間の開裂不可能なリンカーを形成する適切な架橋試薬は、当技術分野において周知である。開裂不可能なリンカーの例には、細胞結合剤と反応するためのN−サクシニミジルエステル、またはN−スルホサクシニミジルエステル部分、ならびに薬物と反応するためのマレイミドベースまたはハロアセチルベースの部分を有するリンカーが含まれる。マレイミドベースの部分を含む架橋試薬には、N−サクシニミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボン酸エステル(SMCC)、SMCC(LC−SMCC)の「長鎖」類似体であるN−サクシニミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−カプロン酸アミド)、κ−マレイミドウンデカン酸N−サクシニミジルエステル(KMUA)、γ−マレイミド酪酸N−サクシニミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−(α−マレイミドアセトキシ)−スクシンイミドエステル(AMAS)、サクシニミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサン酸塩(SMPH)、N−サクシニミジル4−(p−マレイミドフェニル)−酪酸塩(SMPB)、およびN−(p−マレイミドフェニル)イソシアン酸塩(PMPI)が含まれる。ハロアセチルベースの部分を含む架橋試薬には、N−サクシニミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノ安息香酸塩(SIAB)、N−サクシニミジルヨード酢酸(SIA)、N−サクシニミジルブロモ酢酸(SBA)、およびN−サクシニミジル3−(ブロモアセトアミド)プロピオン酸塩(SBAP)が含まれる。
【0054】
また、開裂不可能なリンカーを形成する硫黄原子を欠く他の架橋試薬も、本発明の実施形態として使用することができる。そのようなリンカーは、例えばジカルボン酸ベースの部分由来であることができる。適切なジカルボン酸ベースの部分には、一般式(IX):
HOOC−X−Y−Z−COOH
(IX)
のα,ω−ジカルボン酸が含まれるが、これに限定されず、式中、Xは、2から20個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、Yは、3から10個の炭素原子を有するシクロアルキルまたはシクロアルケニル基であり、Zは、6から10個の炭素原子を有する置換もしくは非置換芳香族基であるか、または置換もしくは非置換複素環基であり、ここで、ヘテロ原子は、N、O、またはSから選択され、l、m、およびnのそれぞれは、0または1であるが、但し、l、m、およびnがすべて同時にゼロでない。
【0055】
本明細書に開示される例示的な開裂不可能なリンカーは、米国特許出願第10/960,602号(米国公開第2005/0169933号)に記載されている。本発明において使用され得る他のリンカーは、荷電リンカーまたは親水性リンカーを含み、それぞれ、米国特許出願第12/433,604号(米国公開第2009/0274713号)および第12/574,466号(米国公開第2010/0129314号)に記載されている。
【0056】
代替として、米国特許第6,441,163 B1号に開示されるように、薬物は、まず、細胞結合剤との反応に適切な反応エステルを導入するように修飾され得る。活性化リンカー部分を含有するこれらのマイタンシノイドの細胞結合剤との反応によって、開裂可能または開裂不可能な細胞結合剤マイタンシノイド共役体を生成する別の方法が提供される。
【0057】
タキサン
タキサン化合物は、細胞機能において重要な役割を果たしている、微小管と称される細胞構造に作用することにより、癌細胞の増殖を阻害する。正常な細胞増殖が行われている間、微小管は、細胞が分裂を開始した時点で形成される。一旦細胞が分裂を停止すると、微小管は、分解または破壊される。タキサン化合物は、微小管の分解を止めるため、癌細胞が微小管で詰まり(clog)始め、これらは増殖も分裂もできなくなる。
【0058】
タキサン化合物は、当技術分野において周知であり、かつ例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)としてBristol−Myers Squibb,Princeton,N.J.から入手可能)およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)としてSanofi−Aventis(U.S),Bridgewater,NJから入手可能)等が含まれる。米国食品医薬品局(FDA)または外国の当該局から認可されつつある他のタキサン化合物も、本発明の方法および組成物において使用することも企図される。本発明に使用することができる他のタキサン化合物には、例えば、10th NCI−EORTC Symposium on New Drugs in Cancer Therapy,Amsterdam,page 100,第382号および第383号(1998年6月16〜19日);ならびに米国特許第4,814,470号、第5,721,268号、第5,714,513号、第5,739,362号、第5,728,850号、第5,728,725号、第5,710,287号、第5,637,484号、第5,629,433号、第5,580,899号、第5,549,830号、第5,523,219号、第5,281,727号、第5,939,567号、第5,703,117号、第5,480,639号、第5,250,683号、第5,700,669号、第5,665,576号、第5,618,538号、第5,279,953号、第5,243,045号、第5,654,447号、第5,527,702号、第5,415,869号、第5,279,949号、第5,739,016号、第5,698,582号、第5,478,736号、第5,227,400号、第5,516,676号、第5,489,601号、第5,908,759号、第5,760,251号、第5,578,739号、第5,547,981号、第5,547,866号、第5,344,775号、第5,338,872号、第5,717,115号、第5,620,875号、第5,284,865号、第5,284,864号、第5,254,703号、第5,202,448号、第5,723,634号、第5,654,448号、第5,466,834号、第5,430,160号、第5,407,816号、第5,283,253号、第5,719,177号、第5,670,663号、第5,616,330号、第5,561,055号、第5,449,790号、第5,405,972号、第5,380,916号、第5,912,263号、第8,808,113号、第5,703,247号、第5,618,952号、第5,367,086号、第5,200,534号、第5,763,628号、第5,705,508号、第5,622,986号、第5,476,954号、第5,475,120号、第5,412,116号、第5,916,783号、第5,879,929号、第5,861,515号、第5,795,909号、第5,760,252号、第5,637,732号、第5,614,645号、第5,599,820号、第5,310,672号、第RE34,277号、第5,877,205号、第5,808,102号、第5,766,635号、第5,760,219号、第5,750,561号、第5,637,723号、第5,475,011号、第5,256,801号、第5,900,367号、第5,869,680号、第5,728,687号、第5,565,478号、第5,411,984号、第5,334,732号、第5,919,815号、第5,912,264号、第5,773,464号、第5,670,673号、第5,635,531号、第5,508,447号、第5,919,816号、第5,908,835号、第5,902,822号、第5,880,131号、第5,861,302号、第5,850,032号、第5,824,701号、第5,817,867号、第5,811,292号、第5,763,477号、第5,756,776号、第5,686,623号、第5,646,176号、第5,621,121号、第5,616,739号、第5,602,272号、第5,587,489号、第5,567,614号、第5,498,738号、第5,438,072号、第5,403,858号、第5,356,928号、第5,274,137号、第5,019,504号、第5,917,062号、第5,892,063号、第5,840,930号、第5,840,900号、第5,821,263号、第5,756,301号、第5,750,738号、第5,750,562号、第5,726,318号、第5,714,512号、第5,686,298号、第5,684,168号、第5,681,970号、第5,679,807号、第5,648,505号、第5,641,803号、第5,606,083号、第5,599,942号、第5,420,337号、第5,407,674号、第5,399,726号、第5,322,779号、第4,924,011号、第5,939,566号、第5,939,561号、第5,935,955号、第5,919,455号、第5,854,278号、第5,854,178号、第5,840,929号、第5,840,748号、第5,821,363号、第5,817,321号、第5,814,658号、第5,807,888号、第5,792,877号、第5,780,653号、第5,770,745号、第5,767,282号、第5,739,359号、第5,726,346号、第5,717,103号、第5,710,099号、第5,698,712号、第5,683,715号、第5,677,462号、第5,670,653号、第5,665,761号、第5,654,328号、第5,643,575号、第5,621,001号、第5,608,102号、第5,606,068号、第5,587,493号、第5,580,998号、第5,580,997号、第5,576,450号、第5,574,156号、第5,571,917号、第5,556,878号、第5,550,261号、第5,539,103号、第5,532,388号、第5,470,866号、第5,453,520号、第5,384,399号、第5,364,947号、第5,350,866号、第5,336,684号、第5,296,506号、第5,290,957号、第5,274,124号、第5,264,591号、第5,250,722号、第5,229,526号、第5,175,315号、第5,136,060号、第5,015,744号、第4,924,012号、第6,118,011号、第6,114,365号、第6,107,332号、第6,072,060号、第6,066,749号、第6,066,747号、第6,051,724号、第6,051,600号、第6,048,990号、第6,040,330号、第6,030,818号、第6,028,205号、第6,025,516号、第6,025,385号、第6,018,073号、第6,017,935号、第6,011,056号、第6,005,138号、第6,005,138号、第6,005,120号、第6,002,023号、第5,998,656号、第5,994,576号、第5,981,564号、第5,977,386号、第5,977,163号、第5,965,739号、第5,955,489号、第5,939,567号、第5,939,566号、第5,919,815号、第5,912,264号、第5,912,263号、第5,908,835号、および第5,902,822号に記載されるものが含まれる。
【0059】
本発明に使用することができる他の化合物は、タキサン様機序を介して作用するものである。タキサン様機序を介して作用する化合物には、腫瘍細胞または他の過増殖性細胞疾患のような急激に増殖している細胞に対し、微小管安定化作用および細胞毒性を発揮する能力を有する化合物が含まれる。そのような化合物には、例えば、エポシロン化合物、例えば、エポシロンA、B、C、D、E、およびF、ならびにそれらの誘導体が含まれる。FDAまたは外国のその当該局から認可されつつあるタキサン様機序を介して作用する化合物(例えば、エポシロン化合物)も、本発明の方法および組成物において使用することが好ましい。エポシロン化合物およびそれらの誘導体は、当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第6,121,029号、第6,117,659号、第6,096,757号、第6,043,372号、第5,969,145号、第5,886,026号、およびPCT公開WO第97/19086号、WO第98/08849号、WO第98/22461号、WO第98/25929号、WO第98/38192号、WO第99/01124号、WO第99/02514号、WO第99/03848号、WO第99/07692号、WO第99/27890号、およびWO第99/28324号に記載されている。
【0060】
白金化合物
本発明の実施形態において一成分として使用することができる白金化合物には、例えば、シスプラチン(PLATINOL(登録商標)として、Bristol−Myers Squibb,Princeton,N.J.から入手可能)、カルボプラチン(PARAPLATIN(登録商標)として、Bristol−Myers Squibb,Princeton,N.J.から入手可能)、オキサリプラチン(ELOXATINE(登録商標)として、Sanofi−Aventis(U.S),Bridgewater,NJから入手可能)、イプロプラチン(iproplatin)、オルマプラチン(ormaplatin)、テトラプラチン等が含まれる。FDAまたはその外国の当該局から認可されつつある他の白金化合物も、本発明の方法および組成物への使用が企図される。癌を治療するのに有用である白金化合物は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第4,994,591号、第4,906,646号、第5,902,610号、第5,053,226号、第5,789,000号、第5,871,710号、第5,561,042号、第5,604,095号、第5,849,790号、第5,705,334号、第4,863,902号、第4,767,611号、第5,670,621号、第5,384,127号、第5,084,002号、第4,937,262号、第5,882,941号、第5,879,917号、第5,434,256号、第5,393,909号、第5,117,022号、第5,041,578号、第5,843,475号、第5,633,243号、第5,178,876号、第5,866,169号、第5,846,725号、第5,646,011号、第5,527,905号、第5,844,001号、第5,832,931号、第5,676,978号、第5,604,112号、第5,562,925号、第5,541,232号、第5,426,203号、第5,288,887号、第5,041,581号、第5,002,755号、第4,946,954号、第4,921,963号、第4,895,936号、第4,686,104号、第4,594,238号、第4,581,224号、第4,250,189号、第5,829,448号、第5,690,905号、第5,665,771号、第5,648,384号、第5,633,016号、第5,460,785号、第5,395,947号、第5,256,653号、第5,132,323号、第5,130,308号、第5,106,974号、第5,059,591号、第5,026,694号、第4,992,553号、第4,956,459号、第4,956,454号、第4,952,676号、第4,895,935号、第4,892,735号、第4,843,161号、第4,760,156号、第4,739,087号、第4,720,504号、第4,544,759号、第4,515,954号、第4,466,924号、第4,462,998号、第4,457,926号、第4,428,943号、第4,325,950号、第4,291,027号、第4,291,023号、第4,284,579号、第4,271,085号、第4,234,500号、第4,234,499号、第4,200,583号、第4,175,133号、第4,169,846号、第5,922,741号、第5,922,674号、第5,922,302号、第5,919,126号、第5,910,102号、第5,876,693号、第5,871,923号、第5,866,617号、第5,866,615号、第5,866,593号、第5,864,024号、第5,861,139号、第5,859,034号、第5,855,867号、第5,855,748号、第5,849,770号、第5,843,993号、第5,824,664号、第5,821,453号、第5,811,119号、第5,798,373号、第5,786,354号、第5,780,478号、第5,780,477号、第5,776,925号、第5,770,593号、第5,770,222号、第5,747,534号、第5,739,144号、第5,738,838号、第5,736,156号、第5,736,119号、第5,723,460号、第5,697,902号、第5,693,659号、第5,688,773号、第5,674,880号、第5,670,627号、第5,665,343号、第5,654,287号、第5,648,362号、第5,646,124号、第5,641,627号、第5,635,218号、第5,633,257号、第5,632,982号、第5,622,977号、第5,622,686号、第5,618,393号、第5,616,613号、第5,612,019号、第5,608,070号、第5,595,878号、第5,585,112号、第5,580,888号、第5,580,575号、第5,578,590号、第5,575,749号、第5,573,761号、第5,571,153号、第5,563,132号、第5,561,136号、第5,556,609号、第5,552,156号、第5,547,982号、第5,542,935号、第5,525,338号、第5,519,155号、第5,498,227号、第5,491,147号、第5,482,698号、第5,469,854号、第5,455,270号、第5,443,816号、第5,415,869号、第5,409,915号、第5,409,893号、第5,409,677号、第5,399,694号、第5,399,363号、第5,380,897号、第5,340,565号、第5,324,591号、第5,318,962号、第5,302,587号、第5,292,497号、第5,272,056号、第5,258,376号、第5,238,955号、第5,237,064号、第5,213,788号、第5,204,107号、第5,194,645号、第5,182,368号、第5,130,145号、第5,116,831号、第5,106,858号、第5,100,877号、第5,087,712号、第5,087,618号、第5,078,137号、第5,057,302号、第5,049,396号、第5,034,552号、第5,028,726号、第5,011,846号、第5,010,103号、第4,985,416号、第4,970,324号、第4,936,465号、第4,931,553号、第4,927,966号、第4,912,072号、第4,906,755号、第4,897,384号、第4,880,832号、第4,871,528号、第4,822,892号、第4,783,452号、第4,767,874号、第4,760,155号、第4,687,780号、第4,671,958号、第4,665,210号、第4,645,661号、第4,599,352号、第4,594,418号、第4,593,034号、第4,587,331号、第4,575,550号、第4,562,275号、第4,550,169号、第4,482,569号、第4,431,666号、第4,419,351号、第4,407,300号、第4,394,319号、第4,335,087号、第4,329,299号、第4,322,391号、第4,302,446号、第4,287,187号、第4,278,660号、第4,273,755号、第4,255,417号、第4,255,347号、第4,248,840号、第4,225,529号、第4,207,416号、第4,203,912号、第4,177,263号、第4,151,185号、第4,140,707号、第4,137,248号、第4,115,418号、第4,079,121号、第4,075,307号、第3,983,118号、第3,870,719号、第RE33,071号、第6,087,392号、第6,077,864号、第5,998,648号、および第5,902,610号に記載されている。
【0061】
投薬量および投与
本発明の実施形態は、薬学的に許容される担体、希釈剤、および/または賦形剤とともに使用される免疫共役体および細胞傷害性化合物/化学療法薬剤を含み、これらは周知であり、当業者は、臨床状況を根拠に判断することができる。適切な担体、希釈剤、および/または賦形剤の例には、(1)ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水、pH約6.5が含まれ、これは約1mg/mL〜25mg/mLのヒト血清アルブミンを含有し、(2)0.9%生理食塩水(0.9%w/v NaCl)、および(3)5%(w/v)デキストロースが含まれる。
【0062】
本明細書に記載の化合物および組成物は、適切な形式で、および当業者によって使用されるような経路によって投与することができる。様々な可能な投与様式のいくつかの例としては、非経口、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、皮内が含まれるが、これらに限定されない。様々な投与様式については、化合物または組成物は、水性または非水性の滅菌溶液、懸濁剤、または乳剤であることができる。プロピレングリコール、植物油、およびオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルを、溶剤またはビヒクルとして使用することができる。また、組成物は、アジュバント、乳化剤、または分散剤を含有することもできる。組成物はまた、滅菌水又は任意の他の注射可能な滅菌媒質中に溶解または分散することができる、滅菌固形組成物の形状であることもできる。
【0063】
薬学的組成物は、当業者が判定する任意の順序または任意の間隔で投与することができる。例えば、これらに限定されないが、細胞傷害性化合物(例えば、IMGN901)、タキサン化合物(例えば、パクリタキセル)、および白金化合物(例えば、カルボプラチン)に連結されたCD56結合剤を、順次に(任意の順序で)、同時に、または順次投与と同時投与との任意の組み合わせによって(例えば、多くの可能な例の1つにおいて、タキサンおよび白金化合物を同時投与し、その後、所望の間隔で、細胞傷害性化合物に連結されたCD56結合剤の投与することによって)投与することができる。順次または同時投与プロトコルのあらゆる組み合わせが、当業者によって決定および判定されるように、使用および実行され得る。薬学的化合物の投与は、同時であれ、順次であれ、またはその両方の組み合わせであっても、当業者の決定および判断に従って、任意の数の所望の分間隔(例えば、0〜60分間)、時間間隔(例えば、0〜24時間)、日数間隔(例えば、0〜7日)、および/または週間間隔(例えば、0〜52週間)に従って実行され得る。
【0064】
本明細書に記載の化学療法薬剤および免疫共役体の「治療有効量」は、選択された細胞集団の成長を阻害および/または患者の疾患を治療するための投薬レジメンを指し、年齢、体重、性別、患者の食事および病状、疾患の重症度、投与経路、ならびに、使用した特定の化合物の活性、有効性、薬物動態および毒物学的プロファイル等の薬理学的な検討を含む、様々な要因に従って選択される。「治療有効量」はまた、Physicians Desk Reference 2010(Publisher:PDR Network,LLC、ISBN−10:1563637480、ISBN−13:978−1563637483)等の標準的な医療テキストを参照することにより判定することもできる。本発明の実施形態は、ヒトおよび非ヒト哺乳動物における、卵巣癌を治療する方法を含む。
【0065】
本発明の薬学的/治療的組成物の投与の適切なプロトコルの例は、以下のようなパラメータを含むと考えてよいが、これに限定されない。薬学的組成物は、約5日間のそれぞれの日の静脈内ボーラスか、または約5日間の連続注入かのいずれかの形で、約5日間毎日投与することができる。
【0066】
薬学的組成物は、6週間以上の間、週1回投与することができる。薬学的組成物は、2週間または3週間毎に1回投与することができる。ボーラス用量は、約5〜約10mLのヒト血清アルブミンを添加可能な約50〜約400mLの通常の生理食塩水中に入れて投与することができる。連続注入は、約25〜約50mLのヒト血清アルブミンを添加可能な約250〜約500mLの通常の生理食塩水中に入れて、24時間毎に投与することができる。投薬量は、静脈内に1人につき約10pg〜約1000mg/kg(約100ng〜約10mg/kgの範囲)であり得る。
【0067】
治療後約1週間から約4週間で、患者は、2回目の治療を受けることができる。投与経路、賦形剤、希釈剤、投薬量、および時間に関する具体的な臨床プロトコルは、臨床状況を根拠に当業者によって決定することができる。
【0068】
本発明はまた、1つ以上の免疫共役体および1つ以上の化学療法薬剤を含む、本発明の薬学的化合物および/または組成物の1つ以上の成分が充填された1つ以上の容器を備える、薬学的キットも提供する。そのようなキットはまた、例えば、他の化合物および/または組成物、化合物および/または組成物を投与するためのデバイス、ならびに製剤または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制している政府当局により指定された様式の添付文書も含むこともできる。
【0069】
癌療法およびそれらの投薬量、投与経路および推奨される使用は、当技術分野で既知であり、Physician’s Desk Reference(PDR)等の文献に説明されている。PDRは、様々な癌の治療において使用されている薬剤の投薬量を開示する。治療的に有効であるこれらの上述の化学療法薬物の投薬レジメンおよび投薬量は、処置される特定の癌、疾患の程度、および当技術分野の医師が精通する他の要因に依存し、医師によって決定することができる。PDRの内容は、参照することによってその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。Physician’s Desk Reference(PDR)の2006年版は、サリドマイド(p979〜983)、Velcade(p2102〜2106)、およびメルファラン(p976〜979)の作用機序ならびに好適な処置用量および投与スケジュールについて開示する。PDRの内容は、参照することによりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。当業者は、本発明の教示に従って使用され得る化学療法薬剤および共役体の投与レジメンおよび投薬量を判断するために、以下のパラメータのうちの1つ以上を使用して、PDRを概観することができる。これらのパラメータには、
(1)総合索引
(a)製造業者毎
(b)製品(会社または商標薬物名毎)
(c)カテゴリ索引(例えば、「プロテアソーム阻害剤」、「DNAアルキル化剤」、「メルファラン」等)
(d)ジェネリック/化学的索引(非商標の一般的な薬物名)
(2)薬物のカラー画像
(3)FDAラベルと一致する製品情報
(a)化学的情報
(b)機能/作用
(c)適応および禁忌
(d)試験研究、副作用、警告
【0070】
類似体および誘導体
細胞傷害性薬剤および化学療法薬剤等の治療薬剤の当業者は、本明細書に記載のそのような薬剤のそれぞれを、得られる化合物が依然として出発化合物の特異性および/または活性を保持するように、修正してもよいことを容易に理解されよう。当業者はまた、これらの化合物の多くを、本明細書に記載の治療薬剤の代わりに使用してもよいことも理解されよう。したがって、本発明の治療薬剤は、本明細書に記載の化合物の類似体および誘導体を含む。
【0071】
免疫グロブリンおよび抗体
「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、本明細書では、交換可能に使用することができる。抗体または免疫グロブリンは、重鎖の少なくとも可変領域を含み、通常、重鎖および軽鎖の少なくとも可変領域を含む。脊椎動物系における基本的な免疫グロブリン構造は、当業者に十分理解される。例えば、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)を参照のこと。
【0072】
「免疫グロブリン」という用語は、生化学的に区別することができる様々な広範なクラスのポリペプチドを含む。当業者は、重鎖が、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、その中のいくつかのサブクラス(例えば、γ1−γ4)を有することを理解されよう。抗体の「クラス」をそれぞれ、IgG、IgM、IgA、IgG、またはIgEとして決定するのが、この鎖の特質である。免疫グロブリンのサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1等は、よく特徴付けられており、機能的特殊性を与えていることが知られている。これらのクラスおよびアイソタイプのそれぞれの修飾されたバージョンは、本出願の開示を考慮した当業者には容易に認識することができるので、それらは本発明の範囲内である。すべての免疫グロブリンクラスは、明らかに本発明の範囲内である。一例として、典型的なIgG免疫グロブリン分子は、分子量約23,000ダルトンの2本の同一の軽鎖ポリペプチド、および分子量53,000〜70,000の2本の同一の重鎖ポリペプチドを含む。4本の鎖は、「Y」の立体配置でジスルフィド結合され、ここで軽鎖は「Y」の口で開始し、可変領域にわたって続く重鎖をはさむ。
【0073】
軽鎖および重鎖は、構造的および機能的相同の領域に分けられる。「定常」および「可変」という用語は、機能的に使用される。これに関し、軽鎖(VL)および重鎖(VH)部分の両方の可変ドメインは、抗原認識および特異性を決定することが理解されよう。逆に、軽鎖(CL)および重鎖(CH1、CH2、またはCH3)の定常ドメインは、分泌、経胎盤移動性、Fc受容体結合性、補体結合性等の重要な生物学的性質を与える。N末端部分は可変領域であり、C末端部分は定常領域であり、CH3およびCLドメインは、それぞれ、重鎖および軽鎖のカルボキシ末端を実際に含む。
【0074】
可変領域は、抗体が、抗原上のエピトープを選択的に認識し、それに特異的に結合することを可能にする。つまり、抗体のVLドメインおよびVHドメイン、または抗体の相補性決定領域(CDR)のサブセットが組み合わさって、三次元の抗原結合部位を確定する、可変領域を形成する。この抗体の四次構造は、Yの各アームの末端に存在する抗原結合部位を提供する。より具体的には、抗原結合部位は、VHおよびVL鎖のそれぞれにある3つのCDRによって確定される。場合によっては、例えば、ラクダ科動物種に由来するか、またはラクダ科動物の免疫グロブリンに基づいて操作されたある免疫グロブリン分子、完全免疫グロブリン分子は、軽鎖がなく、重鎖のみからなり得る。例えば、Hamers Casterman et al.,Nature 363:446 448(1993)を参照のこと。
【0075】
天然に生じる抗体において、それぞれの抗原結合ドメインに存在する6つの「相補性決定領域」または「CDR」は、抗体が水性環境中でその三次元立体構造をしていると仮定すると、6つのCDRは、抗原結合ドメインを形成するように特別に位置するアミノ酸の短い不連続の配列である。「フレームワーク」領域と称される、抗原結合ドメイン中のアミノ酸の残りは、分子間可変性が少ないことを示す。フレームワーク領域は、鎖間の非共有相互作用により、CDRを正しい配向に配置させる足場を形成するように作用する。位置付けされたCDRによって形成される抗原結合ドメインは、免疫反応性抗原上のエピトープに相補的な面を確定する。この相補的な表面は、抗体をその同族エピトープに非共有結合することを促進する。CDRおよびフレームワーク領域をそれぞれ含むアミノ酸は、正確に定義されているため、当業者は任意の所与の重鎖または軽鎖可変領域を容易に確認することができる(“Sequences of Proteins of Immunological Interest,” Kabat,E.,et al.,U.S.Department of Health and Human Services,(1983)、およびChothia and Lesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987)を参照されたく、これらは、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0076】
本発明の抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体、もしくは誘導体としては、ポリクローナル、モノクローナル、多特異的、ヒト、ヒト化、霊長類化、またはキメラ抗体、一本鎖抗体、エピトープ結合フラグメント、例えば、Fab、Fab′、およびF(ab′)2、Fd、Fv、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VLもしくはVHドメインのいずれかを含むフラグメント、Fab発現ライブラリーによって生成されるフラグメント、ならびに抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本明細書に開示されるCD56抗体に対する抗Id抗体を含む)が含まれるが、これらに限定されない。ScFv分子は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第5,892,019号に記載されている。本発明の免疫グロブリンまた抗体分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、または免疫グロブリン分子のサブクラスからであり得る。
【0077】
一本鎖抗体を含む抗体フラグメントは、可変領域を、単独で、または ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインの全体または一部と組み合わせて含むことができる。また、ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインとの可変領域の任意の組み合わせも含む、抗原結合フラグメントも本発明に含まれる。本発明の抗体またはその免疫特異的フラグメントは、鳥類および哺乳動物を含む任意の動物由来であってもよい。好ましくは、抗体は、ヒト、マウス、ロバ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ラマ、馬、またはニワトリ抗体である。別の実施形態において、可変領域は、軟骨魚類(例えば、サメ)起源であり得る。本明細書に使用される「ヒト」抗体には、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリー、または1つ以上のヒト免疫グロブリンに対してトランスジェニックな動物から単離され、後述するような、また例えば、Kucherlapatiらによって米国特許第5,939,598号に記載されるような、内因性免疫グロブリンを発現しない抗体が含まれる。
【0078】
「特異的に結合する」という用語は、一般に、抗体がその抗原結合ドメインによってエピトープに結合し、結合が、抗原結合ドメインとエピトープとの間にいくつかの相補性を伴うことを意味する。この定義に従うと、抗体は、それがランダムな非関連エピトープに結合し得るよりも容易にその抗原結合ドメインによってそのエピトープに結合する場合に、エピトープに「特異的に結合する」と言われる。「特異性」という用語は、ある抗体があるエピトープに結合する相対特異性を説明するために本明細書に使用される。例えば、抗体「1」は、抗体「2」よりも所定のエピトープに対して高い特異性があると見なすことができるか、または抗体「1」は、それが関連エピトープ「4」に対して有するよりも高い特異性を伴って、エピトープ「3」に結合するということができる。
【0079】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む、当技術分野で既知の多種多様の技術を用いて調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野で公知の、例えば、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.(1988)、Hammerling et al.,in:Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas Elsevier,N.Y.,563−681(1981)(該参照は、参照によりそれらの全体が組み込まれる)に教示されているものをはじめとするハイブリドーマ技術を用いて産生され得る。本明細書に使用される「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術により産生された抗体には限定されない。「モノクローナル抗体」という用語は、任意の真核性、原核性、またはファージクローンを含む単クローンに由来する抗体を指し、それが産生された方法によらない。したがって、「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術により産生された抗体には限定されない。例えば、モノクローナル抗体は、CD56ノックアウトマウスを用いて調製して、エピトープ認識の領域を増大させることができる。モノクローナル抗体は、本明細書の他の箇所に記載される、ハイブリドーマ、組み換え、およびファージディスプレイ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む、当技術分野で既知の多種多様の技術を用いて調製することができる。
【0080】
特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、既知の技法によって生成することができる。例えば、FabおよびF(ab′)2フラグメントは、組み換え技術によって、または(Fabフラグメントを産生するための)パパインまたは(F(ab′)2フラグメントを産生するための)ペプシン等の酵素を用いて、免疫グロブリン分子のタンパク質分解切断により産生され得る。F(ab′)2フラグメントは、可変領域、軽鎖定常領域、および重鎖のCH1ドメインを含有する。
【0081】
当業者はまた、抗体または抗体フラグメント(例えば、抗原結合部位)をコードするDNAがまた、ファージディスプレイライブラリー等の抗体ライブラリーに由来することもできることも認識するであろう。特に、そのようなファージを利用して、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウス)から発現された抗原結合ドメインを提示することができる。対象となる抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、例えば、標識された抗原、あるいは固体表面またはビーズに結合した、またはそれに捕獲された抗原を用いて抗原で選択し、または同定することができる。これらの方法で用いられるファージは、典型的には、Fab、Fv OE DAB(軽鎖または重鎖からの個々のFv領域)、またはファージ遺伝子IIIあるいは遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組み換えにより融合されたジスルフィド安定化Fv抗体ドメインを持つファージから発現されたfdおよびM13結合ドメインを含めたフィラメント状ファージである。例示的な方法は、例えば、EP第368684 B1号、米国特許第5,969,108号、Hoogenboom,H.R.and Chames,Immunol.Today 21:371(2000)、Nagy et al.Nat.Med.8:801(2002)、Huie et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:2682(2001)、Lui et al.,J.Mol.Biol.315:1063(2002)に記述されており、これらのそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。いくつかの刊行物(例えば、Marks et al.,Bio/Technology 10:779−783(1992))は、鎖シャッフリングによる高親和性ヒト抗体の産生、ならびに大ファージライブラリーを構築するための戦略としてのコンビナトリアル感染およびインビボ組み換えを記載している。別の実施形態において、リボソームディスプレーを用いて、ディスプレープラットホームとしてバクテリオファージを置き換えることができる(例えば、Hanes et al.,Nat.Biotechnol.18:1287(2000)、Wilson et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:3750(2001)、またはIrving et al.,J.Immunol.Methods 248:31(2001)を参照のこと)。なお別の実施形態において、細胞表面ライブラリーは、抗体についてスクリーニングすることができる(Boder et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:10701(2000)、Daugherty et al.,J.Immunol.Methods 243:211(2000))。そのような手法は、モノクローナル抗体の単離およびその後のクローニングのための伝統的なハイブリドーマ技術に対する代替法を提供する。
【0082】
抗体を作製するのに用いることができるファージディスプレイ法のさらなる例は、Brinkman et al.,J.Immunol.Methods 182:41−50(1995)、Ames et al.,J.Immunol.Methods 184:177−186(1995)、Kettleborough et al.,Eur.J.Immunol.24:952−958(1994)、Persic et al.,Gene 187:9−18(1997)、Burton et al.,Advances in Immunology 57:191−280(1994)、PCT出願第PCT/GB91/01134号、PCT公開WO第90/02809号、WO第91/10737号、WO第92/01047号、WO第92/18619号、WO第93/11236号、WO第95/15982号、WO第95/20401号、および米国特許第5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727号、第5,733,743号、および第5,969,108号に開示されたものが含まれる。
【0083】
一本鎖Fvおよび抗体を産生するのに用いることができる技法の例には、米国特許第4,946,778号および第5,258,498号、Huston et al.,Methods in Enzymology 203:46−88(1991)、Shu et al.,PNAS 90:7995−7999(1993)、およびSkerra et al.,Science 240:1038−1040(1988)に記載されたものが含まれる。ヒトおよびインビトロ検出アッセイにおける抗体のインビボ使用を含むいくつかの使用については、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体を使用するのが好ましい場合がある。キメラ抗体は、抗体の異なる部分が、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体のように、異なる動物種に由来する分子である。キメラ抗体を産生するための方法は、当技術分野で既知である。例えば、Morrison,Science 229:1202(1985)、Oi et al.,BioTechniques 4:214(1986)、Gillies et al.,J.Immunol.Methods 125:191−202(1989)、米国特許第5,807,715号、第4,816,567号、および第4,816397号を参照されたく、これらは参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。ヒト化抗体は、非ヒト種からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)、およびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する所望の抗原に結合する非ヒト種抗体に由来する抗体分子である。しばしば、ヒトフレームワーク領域内のフレームワーク残基は、CDRドナー抗体からの対応する残基で置換されて、抗原結合を改変させ、好ましくは改善するであろう。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で公知の方法によって、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を特定するための該CDRおよびフレームワーク残基の相互作用のモデリング、ならびに特定の位置における異常なフレームワーク残基を特定するための配列比較により特定される(例えば、Queenらの米国特許第5,585,089号、Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)を参照されたく、これらは参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。抗体は、例えば、CDR−グラフティング(EP第239,400号、PCT公開WO第91/09967号、米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、および第5,585,089号)、ベニアリングまたはリサーフィシング(EP第592,106号、EP第519,596号、Padlan,Molecular Immunology 28(4/5):489−498(1991)、Studnicka et al.,Protein Engineering 7(6):805−814(1994)、Roguska.et al.,PNAS 91:969−973(1994))、および鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)を含む、当技術分野で公知の種々の技術を用いてヒト化することができる。
【0084】
完全ヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置で特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを用いる前記したファージディスプレイ法を含むが、これらに限定されない、当技術分野で公知の種々の方法によって作製することができる。また、米国特許第4,444,887号および第4,716,111号、PCT公開WO第98/46645号、WO第98/50433号、WO第98/24893号、WO第98/16654号、WO第96/34096号、WO第96/33735号、およびWO第91/10741号も参照のこと。ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて産生することもできる。例えば、Lonberg and Huszar,Int.Rev.Immunol.13:65−93(1995)、WO第98/24893号、WO第96/34096号、WO第96/33735号、米国特許第5,413,923号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,569,825号、第5,661,016号、第5,545,806号、および第5,814,318号を参照のこと。
【0085】
モノクローナル抗体技法は、モノクローナル抗体の形態で、特異的細胞結合薬剤の産生を可能にする。当技術分野で特に周知の方法は、マウス、ラット、ハムスター、またはあらゆる他の哺乳動物を、対象とする抗原、例えば、無傷の標的細胞、標的細胞から単離した抗原、全ウイルス体、弱毒した全ウイルス体、およびウイルスタンパク質、例えば、ウイルスコートタンパク質で免疫化することにより産生されるモノクローナル抗体を作製する方法である。感作されたヒト細胞を使用することもできる。モノクローナル抗体を作製する別の方法は、sFv(一本鎖可変領域)、特に、sFv(例えば、Griffithsらの米国特許第5,885,793号、McCaffertyらのWO第92/01047号、LimingらのWO第99/06587号を参照のこと)のファージライブラリーの使用である。
【0086】
適切な細胞結合剤の選択は、標的とする個々の細胞集団に依存する事項であるが、適切な抗体を入手できれば、一般に、モノクローナル抗体およびそのエピトープ結合フラグメントが好ましい。
方法および技法に対するさらなるガイド
【0087】
本発明の実施は、別途指示がない限り、当技術分野の技量内にある細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組み換えDNA、および免疫学の慣用的な技術を使用するだろう。そのような技法は、文献に十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed.,Sambrook et al.,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press:(1989)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrook et al.,ed.,Cold Springs Harbor Laboratory,New York(1992),DNA Cloning,D.N.Glover ed.,Volumes I and II(1985)、Oligonucleotide Synthesis,M.J.Gait ed.,(1984)、Mullisらの米国特許第4,683,195号、Nucleic Acid Hybridization,B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1984)、Transcription And Translation,B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1984)、Culture Of Animal Cells,R.I.Freshney,Alan R.Liss,Inc.,(1987)、Immobilized Cells And Enzymes,IRL Press,(1986)、B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984)、the treatise,Methods In Enzymology,Academic Press,Inc.,N.Y.;Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells,J.H.Miller and M.P.Calos eds.,Cold Spring Harbor Laboratory(1987)、Methods In Enzymology,Vols.154 and 155(Wu et al.eds.);Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology,Mayer and Walker,eds.,Academic Press,London(1987)、Handbook Of Experimental Immunology,Volumes I−IV,D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.,(1986)、Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1986)、およびAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989)を参照のこと。
【0088】
抗体操作の一般的原理は、Antibody Engineering,2nd edition,C.A.K.Borrebaeck,Ed.,Oxford Univ.Press(1995)に記載されている。タンパク質操作の一般的原理は、Protein Engineering,A Practical Approach,Rickwood,D.,et al.,Eds.,IRL Press at Oxford Univ.Press,Oxford,Eng.(1995)に記載されている。抗体および抗体ハプテン結合の一般的原理は、Nisonoff,A.,Molecular Immunology,2nd ed.,Sinauer Associates,Sunderland,MA(1984)、およびSteward,M.W.,Antibodies,Their Structure and Function,Chapman and Hall,New York,NY(1984)に記載されている。加えて、当技術分野で公知の、具体的に記載されていない免疫学における標準的な方法は、Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,New York、Stites et al.(eds),Basic and Clinical Immunology(8th ed.),Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994)and Mishell and Shiigi(eds),Selected Methods in Cellular Immunology,W.H.Freeman and Co.,New York(1980)におけるように、一般的に従う。
【0089】
免疫学の一般的原理を記載する標準的文献研究は、Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,New York;Klein,J.,Immunology:The Science of Self−Nonself Discrimination,John Wiley & Sons,New York(1982)、Kennett,R.,et al.,eds.,Monoclonal Antibodies,Hybridoma:A New Dimension in Biological Analyses,Plenum Press,New York(1980)、Campbell,A.,“Monoclonal Antibody Technology” in Burden,R.,et al.,eds.,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Vol.13,Elsevere,Amsterdam(1984),Kuby Immunology 4th ed.Ed.Richard A.Goldsby,Thomas J.Kindt and Barbara A.Osborne,H.Freemand & Co.(2000)、Roitt,I.,Brostoff,J.and Male D.,Immunology 6th ed.London:Mosby(2001)、Abbas A.,Abul,A.and Lichtman,A.,Cellular and Molecular Immunology Ed.5,Elsevier Health Sciences Division(2005)、Kontermann and Dubel,Antibody Engineering,Springer Verlan(2001)、Sambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Press(2001)、Lewin,Genes VIII,Prentice Hall(2003)、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(1988)、Dieffenbach and Dveksler,PCR Primer Cold Spring Harbor Press(2003)を含む。
【実施例】
【0090】
次に、非限定例を参照することにより本発明を説明する。
【0091】
ヒト卵巣癌細胞株をマウスに接種し、処置前に確立させた(約100mmの平均腫瘍サイズ)。共役体投与は、DM1濃度に基づいて説明される。有効性は、対照に対する処置群の腫瘍成長の%(T/C(%))と、腫瘍倍増時間および処置による腫瘍成長遅延から決定される殺細胞数の対数(LCK)との両方として報告される。42%以下のT/Cパーセント値および/または0.5以上のLCK値は、活性であると考えられ、10%未満のT/Cパーセント値は、高度に活性であると考えられる(Bissery et al.,Cancer Res,51:4845−4852(1991)。
【0092】
実施例1.OVCAR−3ヒト卵巣癌異種移植片におけるIMGN901治療の抗腫瘍効果
卵巣癌の確立した皮下異種移植片モデルにおいて、IMGN901の抗腫瘍効果が評価された。SCIDマウスに、OVCAR−3卵巣癌細胞(1×10細胞/匹)を植菌し、右側腹部に皮下注射した。腫瘍が、約100mmのサイズに到達した時に(腫瘍細胞植菌後24日目)、マウスを3つの群にランダムに分割した(群毎に6匹)。マウスを、それぞれ、6.5mg/kgおよび13mg/kgで、単一薬剤IMGN901によって処置し、週1回、3週間にわたり静脈内投与した(24日目、31日目、39日目)。対照群の動物は、同一のスケジュールで静脈内投与したPBSを受けた。1週間に2回腫瘍サイズを測定することによって、腫瘍成長をモニタリングした。腫瘍サイズは、長さ×幅×高さ×1/2の式を用いて、計算された。
【0093】
図1.IMGN901は、13mg/kgの用量で、腫瘍成長阻害(T/C=21%)の観点では、OVCAR−3腫瘍に対して活性であった。NCI標準に従って、21%のT/C値は、活性であると考えられる。6.5mg/kgの用量は、不活性であった。
【0094】
実施例2.COLO720Eヒト卵巣癌異種移植片におけるIMGN901処置の用量反応抗腫瘍活性
卵巣癌の確立した皮下異種移植片モデルにおいて、IMGN901の抗腫瘍効果が評価された。SCIDマウスに、COLO720E卵巣癌細胞(1×10細胞/匹)を植菌し、右側腹部に皮下注射した(COLO720Eヒト卵巣腺癌細胞株は、European Collection of Cell Cultures(ECACC,カタログ番号93072111)から得られた)。腫瘍が、約100mmのサイズに到達した時に(腫瘍細胞植菌後10日目)、マウスを4つの群にランダムに分割した(群毎に6匹)。マウスを、それぞれ、6、12、および24mg/kgで、単一薬剤IMGN901によって処置し、週1回、3週間にわたり静脈内投与した(10日目、17日目、および24日目)。対照群の動物は、同一のスケジュールで静脈内投与したPBSを受けた。1週間に2回腫瘍サイズを測定することによって、腫瘍成長をモニタリングした。腫瘍サイズは、長さ×幅×高さ×1/2の式を用いて、計算された。
【0095】
IMGN901の用量依存的活性は、COLO720E異種移植片モデルにおいて、認められた。IMGN901は、24mg/kg用量の3週間にわたる週1回投与で、COLO720E腫瘍に対して高度に活性であった。腫瘍成長阻害値(T/C)は、NCI標準によって高度に活性である0%であった。群のマウスの6匹すべてのマウスは、腫瘍退縮:6匹に部分的な退縮(PRは、初期腫瘍体積から50%を超える減少として定義される)および6匹に完全な退縮(CR)を示し、4匹のマウスは、研究の終了時(119日)で腫瘍が無腫状態であった。IMGN901はまた、12mg/kg用量の3週間にわたる毎週投与でも、活性であった。腫瘍成長阻害値(T/C)は、NCI標準によって活性であると考えられる18%であった。6匹中4匹のマウスは、4匹の部分的および2匹の完全な腫瘍退縮を示し、1匹のマウスは、研究の終了時に無腫状態であった。6mg/kg(週1回、3週間)の用量は、不活性であった。
【0096】
実施例3.IMGN901およびパクリタキセル+カルボプラチンを用いたCOLO720Eヒト卵巣癌異種移植片の併用療法の抗腫瘍効果
卵巣癌の確立した皮下異種移植片モデルにおいて、huN901−DM1とパクリタキセル+カルボプラチンとの組み合わせの抗腫瘍効果が評価された。無胸腺ヌードマウスに、COLO720Eヒト卵巣癌細胞(1×10細胞/匹)を植菌し、右側腹部に皮下注射した。腫瘍が、約80mmのサイズに到達した時に(腫瘍細胞植菌後10日目)、マウスを6つの群にランダムに分割した(群毎に6匹)。マウスを、13mg/kgの用量で、単一薬剤IMGN901によって処置し、週1回、3週間静脈内投与した(腫瘍細胞植菌後10日目、17日目、および24日目)。マウスの2つの追加群は、2つの用量レベル:高用量群のパクリタキセル(20mg/kgの静脈内投与、週1回3週間)/カルボプラチン(100mg/kgの腹腔内投与、単一注射)および低用量群のパクリタキセル(10mg/kgの静脈内投与、週1回3週間)/カルボプラチン(100mg/kgの腹腔内投与、単一注射)で、パクリタキセル/カルボプラチンの併用化学療法レジメンで処置された。2つの追加群は、個々の処置と同一用量および投与経路を用いて、IMGN901と高用量あるいは低用量のいずれかのパクリタキセル/カルボプラチンとの組み合わせで処置された。1週間に2回腫瘍サイズを測定することによって、腫瘍成長をモニタリングした。腫瘍サイズは、長さ×幅×高さ×1/2の式を用いて、計算された。
【0097】
図2.単一薬剤IMGN901は、NCI標準によって活性であると考えられる32%のT/Cを有して、COLO720E異種移植片に対して活性であった。6匹中2匹のマウスは、部分的な腫瘍退縮を示し、6匹中1匹のマウスは、完全な退縮があった。また、化学療法処置も活性であり、高用量パクリタキセル/カルボプラチンは、高度に活性があり(T/C=4%)、6匹中3匹のマウスにおいて、PRであり、6匹中2匹のマウスにおいて、CRであり、低用量パクリタキセル/カルボプラチンは、15%のT/C(NCI標準によって活性)をもたらし、腫瘍退縮は認められなかった。IMGN901と高用量あるいは低用量のいずれかのパクリタキセル/カルボプラチン化学療法との組み合わせは、NCI標準によって高度に活性であり(それぞれ、0%および1%のT/C)、すべてのマウスは、完全な腫瘍退縮を示し、研究の終了時(123日目)まで無腫状態であった。単一薬剤IMGN901あるいは化学療法のみのいずれの処置群においても、腫瘍のない生存者はなかった。
【0098】
実施例4.COLO720Eヒト卵巣癌異種移植片に対するパクリタキセル/カルボプラチンと組み合わせた低用量IMGN901の抗腫瘍効果
確立した皮下COLO 720E異種移植片において、低減した用量のIMGN901およびパクリタキセル+カルボプラチンの抗腫瘍効果が評価された。腫瘍が、約100mmのサイズに到達した時に(腫瘍細胞植菌後14日目)、マウスを腫瘍体積に基づいて、それぞれ、6匹の群にランダムに分割した。マウスは、11.4mg/kg(週に1回×3)の用量での単一薬剤IMGN901、または高用量(パクリタキセル 20mg/kg、週に1回×3/カルボプラチン、100mg/kgの腹腔内投与、単一注射)あるいは低用量(パクリタキセル 10mg/kg、週に1回×3/カルボプラチン、100mg/kgの腹腔内投与、単一注射)のいずれかでのパクリタキセル/カルボプラチンの併用化学療法で処置された。単一薬剤としてのIMGN901による処置は、62%のT/Cを有し、本研究において、不活性であった。高用量パクリタキセル/カルボプラチンは、8%のT/Cで、高度に活性である一方で、低用量パクリタキセル/カルボプラチンは、44%のT/Cを生じ、不活性であった。また、単一薬剤として試験された同一の用量で(11.4mg/kg、不活性)、ならびに同一のスケジュールでいくつかの低用量レベル(8.5、5.7、および2.8mg/kg)で、高用量および低用量の両方のパクリタキセル/カルボプラチンと組み合わせたIMGN901も評価された。
【0099】
図3.すべての用量レベルで、IMGN901と高用量パクリタキセル/カルボプラチンとの組み合わせは、高度に活性であった。化学療法のみの群(4匹のうちの1匹)における1匹のみの完全な腫瘍退縮(CR)とは対照的に、組み合わせ群においては、11.4、8.5、および5.7mg/kgのIMGN901用量レベルで、すべての動物(6匹中6匹)にCRがあり、低用量の組み合わせ(2.8mg/kg)では、6匹中3匹のマウスにCRがあった。
【0100】
表1.IMGN901および低用量パクリタキセル/カルボプラチンの両方が、単一療法(単剤療法)としては不活性であった。しかしながら、組み合わせは、11.4、8.5、および5.7mg/kgのIMGN901用量レベルで、高度に活性であった。単剤療法群において、部分的(PR)または完全な退縮(CR)はなかったが、用量依存的な腫瘍退縮が、これらの組み合わせ群において認められた。最も高い用量の組み合わせ(11.4mg/kgでのIMGN901)は、すべての動物(6匹中6匹)においてCRを生じた。IMGN901の8.5mg/kgの用量での組み合わせは、6匹中5匹のマウスにおいて、PRを生じ、6匹中3匹のマウスにおいて、CRを生じた。5.7mg/kgでのIMGN901の組み合わせ、すなわち不活性な最大用量からのIMGN901の50%減少は、高度に活性であり、5匹中4匹の動物においてPR、および%中の3匹の動物においてCRであった。最低用量の組み合わせ(IMGN901 2.8mg/kg)は、不活性であった。
【表1】

【0101】
条件
発明の概要および要約の項ではなく、発明を実施するための形態の項が、特許請求の範囲の解釈に使用されることが意図されることを認識されたい。発明の概要および要約の項は、本発明者らによって企図される本発明の1つ以上ではあるがすべてではない例示的な実施形態を説明することができ、したがって、本発明および添付の特許請求の範囲を限定することは決して意図されていない。
【0102】
具体的な実施形態に関して先に述べた説明は、本発明の一般的性質を十分に明らかにするものであるため、他者が種々の用途のために、本発明の一般概念から逸脱することなく、必要以上の実験を伴わずに、当技術分野内の知識を適用することによって、かかる特定の実施形態を容易に修正および/または適合させることが可能である、したがって、そのような適合および修正は、本明細書で提示される教示および指導に基づき、開示された実施形態の均等物の意義および範囲内となることが意図される。本明細書の用語または表現は、説明を目的とするものであり、限定を目的とするものではないことが理解されなければならず、したがって、本明細書の表現または用語は、教示および指導を踏まえて、最も密接に関連した分野の当業者によって解釈されるものとする。
【0103】
本発明の広さおよび範囲は、上記の例示的な実施形態のうちのいずれによっても制限されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD56に特異的に結合する抗体またはそのフラグメントを含む薬学的組成物であって、前記抗体またはそのフラグメントは、細胞傷害性化合物に連結され、前記薬学的組成物は、タキサン化合物および白金化合物をさらに含み、卵巣癌の治療において相乗効果を提供する、薬学的組成物。
【請求項2】
前記細胞傷害性化合物は、抗有糸分裂剤である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記抗有糸分裂剤は、マイタンシノイドである、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記マイタンシノイドは、DM1である、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記タキサン化合物は、
(a)パクリタキセル、
(b)ドセタキセル、および
(c)(a)と(b)との組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記白金化合物は、
(a)カルボプラチン化合物、
(b)シスプラチン化合物、
(c)オキサリプラチン化合物、
(d)イプロプラチン化合物、
(e)オルマプラチン化合物、
(f)テトラプラチン化合物、および
(g)(a)〜(f)のうちの2つ以上の任意の組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記抗体またはそのフラグメントは、ヒト化抗体またはそのフラグメントである、請求項1〜6のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記抗体は、huN901またはそのフラグメントである、請求項1〜6のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項9】
細胞傷害性化合物に連結された前記抗体は、IMGN901である、請求項1〜6のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項10】
IMGN901と、
(a)パクリタキセル、
(b)ドセタキセル、および
(c)(a)と(b)との組み合わせ、からなる群から選択されるタキサン化合物と、を含み、
(d)カルボプラチン化合物、
(e)シスプラチン化合物、
(f)オキサリプラチン化合物、
(g)イプロプラチン化合物、
(h)オルマプラチン化合物、
(i)テトラプラチン化合物、および
(j)(d)〜(i)のうちの2つ以上の任意の組み合わせ、からなる群から選択される白金化合物と、をさらに含む、薬学的組成物。
【請求項11】
前記組成物は、IMGN901、パクリタキセル、およびカルボプラチンを含む、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の治療的に有用な量の薬学的組成物の投与によって、卵巣癌を治療する方法。
【請求項13】
前記投与は、ヒトへのものである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記投与は、非ヒト哺乳動物へのものである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
細胞傷害性化合物に連結された前記抗体またはそのフラグメント、前記タキサン化合物、および前記白金化合物は、併用量で投与され、前記薬学的組成物中の任意の1つの薬剤または化合物の個々の量が、単独で投与される場合は治療効果がない、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
任意の1つの薬剤、化合物、細胞傷害性化合物に連結された抗体またはそのフラグメントの前記個々の量が、毒性または望ましくない副作用を軽減または排除するために非治療用量で投与される、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−518053(P2013−518053A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550164(P2012−550164)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2011/022103
【国際公開番号】WO2011/091286
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512186793)イミュノジェン, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】