説明

原料種子浸漬用容器,原料種子浸漬システム及び原料種子浸漬用容器の排水管並びに原料種子の浸漬方法

【課題】簡素な構成で浸漬水を入れ替えることができる原料種子浸漬用容器を提供する。
【解決手段】
原料種子浸漬用容器10であって、上縁13が浸漬時の水位よりも一定高さ以上高く形成された容器側壁部12と、容器10の底部11に設けられ、浸漬に用いた水を排出する排水口14と、排水口14に接続されて10容器の外部に装備された排水管20と、を備え、排水管20は、排水口20に接続される入口端部21と、排水口14よりも低位に高さ設定された出口端部23と、入口端部21と出口端部23との間に形成され、入口端部21よりも上方に上昇し屈曲部22Aで屈曲して出口端部23まで下降する中間部22とをそなえ、屈曲部22Aには鉛直方向最上に位置する最上部を有し、最上部22gは浸漬時の水位よりも高く且つ容器側壁部12の上縁13よりも低く設定された、サイフォン構造に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、もやしやかいわれ大根や豆苗の芽もの野菜を含む野菜類の栽培に関し、特に、栽培に用いる原料種子を浸漬する原料種子浸漬用容器、原料種子浸漬システム、原料種子浸漬用容器の排水管及び原料種子の浸漬方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な芽もの野菜には、リョクトウ,エンドウ,ダイズ,ケツルアズキ等のものがあり、スプラウトなどとも呼ばれ、代表的なものには「もやし」や「かいわれ大根」や「豆苗」がある。このような芽もの野菜の栽培は、原料の種子を洗浄し殺菌処理した後、発芽促進のため、前処理として温水中に所定の時間漬込む浸漬処理(仕込処理とも称される)を行ない、その後、栽培容器内に入れて定期的に撒水して成長させ栽培する。
【0003】
例えば、特許文献1には、もやしの栽培工程の前処理として浸漬処理を行なうことが示されている。この浸漬処理では、原料種子に含水させて、発芽の準備(催芽)、若しくは、催芽から発芽までを行なう。具体的には、原料種子を容器に入れ、温水を容器内に給水し、この給水された浸漬水に原料種子を例えば数時間浸漬することで催芽、或いは、催芽及び発芽をさせる。
【0004】
浸漬処理が終了すると、原料種子を浸漬水から取り出すか、或いは、容器内の浸漬水を排出するなどして、原料種子の浸漬を停止することになるが、最も作業効率がよいのは、容器内の浸漬水を排出する方法である。そこで、容器に排水口を設け、この排水口から浸漬水を排水して浸漬処理を終了し、栽培工程へ移行する。なお、例えば、もやし類の場合、栽培容器は、例えば、500kg,1t又は2tといった大容量のものが使用され、浸漬処理においても、この栽培容器を使用する場合がある。
【0005】
また、これらの浸漬処理及び栽培工程は、発芽野菜に必要な環境を効率的に維持するために外界と遮蔽されて温度及び湿度が保たれるように区画された室内で行なわれ、遮光された室内で行なわれる場合もある。
栽培工程で用いる栽培室の場合には、撒水機等の水を供給する装置が備えられることが一般的であり、通常、作業者が室内に入ることなく遠隔操作によって、水の供給を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−283887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、浸漬処理では、この栽培室を兼用する場合や専用の浸漬室を用いる場合があるが、浸漬処理でも、浸漬水の給水や排水を作業者が室内に入ることなく遠隔操作によって行なえるようにすることが要望されている。この場合、給水には栽培室と同様の撒水機等の水供給装置を適用することができるが、排水を遠隔操作で行なうには、排水口を遠隔操作によって開閉できるようにする手段が必要である。
【0008】
また、浸漬処理による催芽の目的は、発芽の促進と発芽を均一に行なう点にあるが、浸漬処理において浸漬時間を長く設定すると、浸漬水の上層と下層との温度差が生じてこの催芽作用にもばらつきが生じるので、これを抑制するため、或いは、浸漬時間を長く設定すると、水温や水質が変化して最適な浸漬条件を続行することができないため、栽培容器に浸漬された浸漬水を入れ替える場合がある。この浸漬水の入れ替えの際にも、容器内の浸漬水の排出と供給とが必要になり、浸漬環境を維持するためや作業効率を確保するためには、排水口を遠隔操作によって開閉できるようにする手段が必要になる。
【0009】
このように排水口を遠隔操作によって開閉する手段としては、排水口に電磁バルブ等の開閉バルブを設け、このバルブを電気制御して開閉するものが考えられる。
しかし、浸漬時の室内は上述のように区画され管理されており、多湿であって、さらに、容器周辺は給水時に水に晒される環境下にあるため、排水口に電磁バルブ等の電気を用いた開閉装置を適用すると、装置の耐久性が課題となり、耐久性を確保するための防水加工や、頻繁なメンテナンス等が必要になり、コストがかかる上に、かかる処理を行なったとしても、装置の十分な耐久性や信頼性を確保し難い。
【0010】
電気を用いた開閉装置が使えないため、排水口に手動のバルブを適用し、手動で開閉することが考えられる。この場合、浸漬処理が行なわれる室内に栽培容器を入れる前に給水し、この室内から容器を出して手動によりは排水を行なうことができるが、室内では作業効率が確保し難く、室内の環境を維持するために区画され管理されるため、室内で浸漬水を入れ替えることができない。
【0011】
さらに、浸漬処理と栽培工程とのそれぞれで専用の容器を使用すると、コストがかかり、原料種子を浸漬容器から栽培容器に移す作業が必要になり、作業負担となり栽培効率を低下させるため、既存の栽培容器を用いて浸漬処理を行なえるようにしたい。
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたものであり、簡素な構成で原料種子浸漬用容器内の水の入れ替えができるようにした、原料種子浸漬用容器及びこれに装備される排水管を提供し、また、かかる容器を用いて、室内の環境を維持し作業効率を向上することができるようにした原料種子浸漬システム及び原料種子の浸漬方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の原料種子浸漬用容器は、芽もの野菜を含む野菜類を栽培するための原料種子を水に浸漬する浸漬時に用いる原料種子浸漬用容器であって、上縁が前記浸漬時の水位よりも一定高さ以上高く形成された容器側壁部と、前記容器の底部に設けられ、前記浸漬に用いた水を排出する排水口と、前記排水口に接続されて前記容器の外部に装備された排水管と、を備え、前記排水管は、前記排水口に接続される入口端部と、前記排水口よりも低位に高さ設定された出口端部と、前記入口端部と出口端部との間に形成され、前記入口端部よりも上方に上昇し屈曲部で屈曲して前記出口端部まで下降する中間部とをそなえ、前記屈曲部には鉛直方向最上に位置する最上部を有し、前記最上部は前記浸漬時の水位よりも高く且つ前記容器側壁部の前記上縁よりも低く設定された、サイフォン構造に形成されていることを特徴としている。
【0013】
また、前記排水管の前記最上部の高さを調整する高さ調整機構を有していることが好ましい。
また、前記高さ調整機構は、前記排水口に接続された前記排水管を傾倒させる傾倒機構であることが好ましい。
また、前記排水管は、前記容器内の水位と連動する排水管内の水位を確認する水位確認窓を有することが好ましい。
【0014】
また、前記容器は、前記底部よりも上方に、前記原料種子は透過しないが水分は透過する透水構造を有し前記原料種子を下方から支持する透水支持板が配置されることが好ましい。
また、前記排水管の前記最上部の高さを、前記透水支持板よりも低位まで調整可能な高さ調整機構を有していることが好ましい。
【0015】
また、本発明の原料種子浸漬システムは、芽もの野菜を含む野菜類を栽培するための原料種子を浸漬するシステムであって、上記の原料種子浸漬用容器を収容する浸漬室と、前記原料種子が投入されて前記浸漬室内に収容された前記容器に、水を供給する水供給装置と、前記水供給装置の作動を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記水供給装置に対して、前記容器に予め設定された前記浸漬時の水位まで水を供給する給水制御と、前記容器に前記排水管の前記最上部よりも上方までさらに水を供給しサイフォンの原理により前記排水管を通じて前記容器内の水を排出する排水制御とを、実施することを特徴としている。
【0016】
また、本発明の原料種子浸漬用容器の排水管は、芽もの野菜を含む野菜類を栽培するための原料種子を水に浸漬する浸漬時に用いる容器であって、上縁が前記浸漬時の水位よりも一定高さ以上高く形成された容器側壁部と、前記容器の底部に設けられ、前記浸漬に用いた水を排出する排水口と、を備えた原料種子浸漬用容器における、前記排水口に接続されて前記容器の外部に装備される排水管であって、前記排水口に接続される入口端部と、前記排水口よりも低位に高さ設定された出口端部と、前記入口端部と前記出口端部との間に形成され、前記入口端部よりも上方に上昇し屈曲部で屈曲して前記出口端部まで下降する中間部とを有し、前記屈曲部には鉛直方向最上に位置する最上部を有し、前記最上部は前記浸漬時の水位よりも高く且つ前記容器側壁部の前記上縁よりも低く設定された、サイフォン構造に形成されていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の原料種子の浸漬方法は、上記の原料種子浸漬用容器を用いて、芽もの野菜を含む野菜類を栽培するための原料種子を水に浸漬する原料種子の浸漬方法であって、前記原料種子が投入された前記容器内に予め設定された前記浸漬時の水位まで水を供給する浸漬水供給工程と、その後、前記容器内に水を貯留して前記容器内で前記原料種子を水に浸漬する浸漬工程と、前記浸漬工程の完了後、前記容器内にさらに水を供給しサイフォンの原理により前記排水管を通じて前記容器内の水を排出する浸漬水排出工程と、を有することを特徴としている。
【0018】
また、前記浸漬工程では、途中で、前記容器内にさらに水を供給しサイフォンの原理により前記排水管を通じて前記容器内の水を排出し、その後、前記容器内に予め設定された前記浸漬時の水位まで水を供給して、前記容器内の水を入れ替える浸漬水入替工程を断続的に実施することが好ましい。
また、前記浸漬に用いる水には除菌剤が添加されていることが好ましい。
【0019】
また、前記浸漬処理を実施する浸漬室として、前記野菜類の栽培を実施する栽培室を利用し、前記原料種子浸漬用容器として、前記野菜類を栽培するための栽培用容器を利用することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の原料種子浸漬用容器,原料種子浸漬システム,排水管又は原料種子の浸漬方法によれば、容器内への給水及び容器内からの排水を、水の供給と停止とを行なうだけで実施することができる。水の供給及び停止を容器から離れた水源側から遠隔操作することも容易であり、簡易な構成で遠隔操作により容器内への給水及び容器内からの排水を行なうことができる。したがって、湿気が多くまた給水時に水がかかりやすい容器周りの排水管に、遠隔操作で開閉させる電磁バルブ等の電気的な要素を設ける必要がなく、電気的な要素の水分付着による不具合を招くことがない。
【0021】
また、排水管の最上部の高さを調整する高さ調整機構を有していれば、浸漬時の水位や排水のために上昇させる水位を適宜設定することができる。
また、最上部の高さ調整機構が傾倒機構であれば、浸漬時の水位や排水のために上昇させる水位を容易に変更することができる。
また、排水管が水位確認窓を有していれば、容器内の水位を確認することができる。
【0022】
また、底部よりも上部に配置され、原料種子を下方から支持する透水支持板が、原料種子は透過しないが水分は透過する透水構造を有していれば、容器の底部にある排水口と透水支持板上の原料種子との間を離隔させて、排水口近傍の流速が上がる排水時に、原料種子を痛めることがない。もちろん、排水時の原料種子の流出もない。
また、排水管の最上部が透水支持板よりも低位に調整可能であれば、浸漬処理で用いた容器に催芽又は発芽させた原料種子を入れたままで、次の、栽培工程に移行する場合、容器上方から撒いた水が容器下方から流出する状態として、容器に水を溜めることなく栽培工程に適した撒水の排水を行なうことができる。また、透水支持板よりも上位に水を貯留することがなく、透水支持板よりも上位の水を排水することができる。
【0023】
また、浸漬水への漬け込みと浸漬水の入れ替えとを断続的に実施すれば、原料種子を浸漬する際に浸漬水を入れ替えて、浸漬処理することができる。
また、浸漬に用いる水に除菌剤が添加されていれば、浸漬処理とともに、除菌を行なうことができる。これにより、作業効率を確保することができる。
また、浸漬室として栽培室を利用すれば、既存の設備を利用して浸漬処理を行なうことができ、原料種子浸漬用容器として栽培用容器を利用すれば、浸漬処理の後、催芽又は発芽された原料種子を別容器に移し替える作業を省略することができ、作業性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるコンテナ(原料種子浸漬用容器)の構成を示す図であり、(a)はそのコンテナの断面図、(b)はその排水管を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるコンテナ(原料種子浸漬用容器)が収容される浸漬室を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるコンテナ(原料種子浸漬用容器)、特に、その排水管の変形例を示す図であり、(a)は第1変形例を示す側面図、(b)は第2変形例を示す正面図、(c)は第2変形例を示す側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる浸漬処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる浸漬処理の撒水量及びコンテナ内水位のタイムチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる高さ調整機構付きの排水管をそなえたコンテナを示す斜視図であり、(a),(b),(c)の順に、排水管の最上部を低下させた状態を示す。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる排水管を示す斜視図であり、(a)は本実施形態にかかる排水管を示す図であり、(b)〜(e)はその変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
〔第1実施形態〕
図1〜図5は、本発明の第1実施形態にかかるコンテナ(原料種子浸漬用容器)及び排水管を説明するもので、図1(a)はそのコンテナを示す断面図、図1(b)はその排水管を示す斜視図であり、図2はコンテナが収容される浸漬室を示す斜視図、図3はその排水管の変形例を示すコンテナの図であり、(a)は第1変形例を示す側面図、(b)は第2変形例を示す正面図、(c)は第2変形例を示す側面図であり、図4はその浸漬処理を示すフローチャート、図5はその浸漬処理の際の浸漬水の供給とコンテナ内水位とを示すタイムチャートである。なお、本実施形態では、芽もの野菜の原料種子に着目して説明するが、本発明は、芽もの野菜のみならず、その他の野菜の原料種子にも適用できる。
【0026】
〔コンテナ(原料種子浸漬用容器)〕
まず、図1を用いて、原料種子Sを投入されて浸漬処理に用いる原料種子浸漬用容器としてのコンテナ10を説明する。
このコンテナ10は、ステンレス又は樹脂材(好ましくは繊維強化樹脂)により形成されている。
【0027】
図1に示すように、コンテナ10は、底部11と四方の側壁からなる側壁部(容器側壁部)12と上部開口17とを備える。
底部11は、底面部11aとこの底面部11aの四方の縁部から上方に起立した側面部11bとからなり、底面部11aには、コンテナ10内の水を排出する排水口14が設けられ、この排水口14に後述の特徴的な排水管20が接続される。
【0028】
側壁部12は、コンテナ10の四方を囲う側壁であって、その上端に上部開口17を区画する上縁13を有する。また、この例では、側壁部12は、上部開口17に向けて僅かに広がるように各側壁が微小に傾斜している。
底部11の側面部11bはその上方の側壁部12の下端部よりも内側(底面部11aの中央側)にシフトして設けられており、この底部11の側面部11bと側壁部12との間には段部15が介設されている。この段部15は、底部11の側面部11bの各上端から側壁部12の各下端にかけて延在する水平面である。
【0029】
上部開口17は、底面部11aに相対する上縁13で区画される部分であり、開放されている。すなわち、コンテナ10の上方は開放されている。
コンテナ10内の段部15の上には、透水支持板16が載置されている。この透水支持板16は、原料種子Sの外形よりも十分に小さい孔が多数設けられており、原料種子Sは透過しないが水分は透過する透水構造となっている。透水支持板16は、例えば、樹脂性板或いは防食処理された板金等の板状部材に、上記の孔を多数設けたものとしているが、原料種子Sの外径よりも小さいスリットを複数有するスノコ状の板状部材又はこれらの孔やスリットを組み合わせた板状部材を適用してもよい。
【0030】
また、透水支持板16は、浸漬処理を行なう前に、段部15の上に載せて用いられ、この透水支持板16の上に原料種子Sが投入される。これにより、透水支持板16上に投入された原料種子Sと排水口14が設けられる底面部11aとの間は離隔される。透水支持板16は、コンテナ10に対して着脱自在であり、コンテナ10から取り外して容易に洗浄することもできる。
【0031】
〔浸漬室〕
次に、図2を用いて、第1実施形態にかかるコンテナ(原料種子浸漬用容器)10が収容されて浸漬処理が行なわれる浸漬室1について説明する。
なお、芽もの野菜とは、例えば、リョクトウ,エンドウ,ダイズ,ケツルアズキ等の、原料種子Sを発芽させた野菜の新芽を指し、スプラウトとも称される。代表的な芽もの野菜に「もやし」や「かいわれ大根」や「豆苗」がある。
【0032】
浸漬室1は、浸漬処理を行なう室であって、原料種子Sが投入されたコンテナ10を複数台(この例では、コンテナ10を2台横並びにしたものを複数組)収容可能な大きさであって、コンテナ10を浸漬室1へ搬入する入口扉4と、コンテナ10を浸漬室1から搬出する出口扉5とを備えている。
入口扉4及び出口扉5は浸漬室1の対向する2つの壁面に設けられ、浸漬室1の一側(図2中、左側)の入口扉4からコンテナ10を浸漬室1内に搬入し、浸漬室1の他側(図2中、右側)の出口扉5からコンテナ10を搬出するようになっている。
【0033】
また、ここでは、浸漬室1の一側に、浸漬室1と隣接して準備室(準備スペース)8が設けられ、浸漬室1の他側に、浸漬室1と隣接して栽培室[若しくはコンテナ10を栽培室に搬入する準備室(準備スペース)]9が設けられている。これにより、コンテナ10は作業段階に応じて、一方向(図2中、右方向)に搬送されるように構成されている。
浸漬時には、入口扉4及び出口扉5を閉鎖することにより、浸漬室1内を外界と遮断し、温度や湿度に関して原料種子Sの浸漬に必要な雰囲気を維持できるようになっている。
【0034】
この浸漬室1の内部には、下方へ向けて水を撒水する撒水機2が装備される。この撒水機2には、温度調整された地下水や工業用水を供給する撒水供給装置3が接続されている。
撒水供給装置3は、地下水や工業用水を貯留するタンク3aと、タンク3a内の水を温度調整する調温装置3bと、タンク3aと撒水機2との間を接続する水供給配管3cと、水供給配管3cに介装されて温度調整されたタンク3a内の水を圧送するポンプ3dとを備えている。水供給配管3cの下流端は浸漬室1の内部に導入され、可撓性のホース2aを介して撒水機2と接続されている。これにより、ポンプ3dが作動すると撒水機2から水が散水され、この撒水機2による撒水によりコンテナ10内に浸漬水が供給される。
【0035】
なお、浸漬水には、ミネラルが豊富なため地下水が用いられることが好ましく、除菌剤が添加されていてもよい。
撒水機2は、撒水ノズルを持つ円筒状の撒水パイプ2bをそなえている。この撒水パイプ2bは、浸漬室1の上部(天井の下)に水平に且つ浸漬室1の幅方向(コンテナ10の搬送方向と直交する方向)に延びるように配向され、浸漬室1内に収容された全てのコンテナ10内にその上方から撒水できるように、浸漬室1の幅方向と交差する方向(コンテナ10の搬入搬出方向)に図示しない駆動装置により水平移動するようになっている。
【0036】
水供給配管3cの下流端と撒水機2とを接続する可撓性のホース2aはコイル状に形成され、撒水パイプ2bの移動中にも、この移動に応じてコイル形状を伸縮変形させながら、撒水パイプ2bに対して撒水供給装置3から常時支障なく給水可能に構成されている。
また、撒水パイプ2bの撒水ノズルは断続的に複数設けられている。これらの撒水ノズルは、撒水機2が移動しながら直下のコンテナ10に撒水しても、コンテナ10への給水に無駄がないように、直下に収容されたコンテナ10の幅方向(コンテナの搬送方向と直交する方向)の領域W2に収まるように位置設定されている。すなわち、収容されたコンテナ10の列(図2の左右方向)ごとに設けられた撒水ノズルの一端から他端までの領域W1は、収容されたコンテナ10のそれぞれの幅方向領域W2の直上に収まるように設定されている。
【0037】
また、撒水機2及び撒水供給装置3には、制御装置100が接続されている。この制御装置100には、図示しないコントロールパネルが設けられ、コントロールパネルを通じて、遠隔操作により撒水パイプ2bの水平移動(撒水パイプ2bの走行速度の増減も含む)、上記のようなポンプ3dを制御することによる撒水パイプ2bへの水の供給(給水量の調整も含む)及び調温装置3bを制御することによる給水温度の調整を行なう。
【0038】
浸漬室1の床面には、撒水機2からの撒水やコンテナ10から排出された水等の浸漬室1の床面の水を室内から排出する浸漬室排水口6が設けられる。
なお、浸漬室1には、図示しない室内の温度調整を行なう空調装置等も備えられ、浸漬室1内が制御装置100を通じて設定された温調に制御される。
このような浸漬室1において、浸漬処理が行なわれる。
【0039】
〔排水管〕
次に、図1(b)を用いて、コンテナ10に装着される排水管20を説明する。
排水管20は、コンテナ10内の水を排出するものであり、コンテナ10の排水口14に接続される入口端部21と、水を浸漬室1の床に排出する出口端部23と、これらの端部21,23の間に屈曲形成された中間部22とを有して構成される。
【0040】
入口端部21は、排水口14とシールジョイント21Aを介して結合される。本実施形態の場合、底部11の底面部11aに排水口14が形成されるため、入口端部21は、排水口14に対して開口を上向きにして接続される。
また、出口端部23は開口を下向きにして装備される。この出口端部23は、排水管20がコンテナ10に装着されると、排水口14の鉛直方向位置(入口端部21の鉛直方向位置)よりも鉛直方向低位に位置するように形状設定されている。
【0041】
中間部22は、これら両端部21,23の間を連通するが、入口端部21が開口を上向きにしているため、中間部22の上流側には、入口端部21の直下で略水平方向に屈曲する第1屈曲部22aと、この第1屈曲部22aから底面部11aの外側に延出するように略水平方向に延びる水平管部22bとが設けられている。中間部22には、さらに、この水平管部22bから鉛直上方に屈曲する第2屈曲部22cと、第2屈曲部22cから鉛直上方に延びる第1鉛直管部22dと、この第1鉛直管部22dから鉛直下方に180度屈曲する第3屈曲部22eと、第3屈曲部22eから鉛直下方に延びる第2鉛直管部22fとを有し、第2鉛直管部22fの下端に出口端部23が設けられている。
【0042】
第3屈曲部22eは、排水管20がコンテナ10に装着されると排水管20で最も鉛直方向上方に位置する最上部22gを有している。
また、このときの最上部22gは、コンテナ10内に浸漬用の温水を入れる際の基準水位よりも高く且つコンテナ10の上縁13よりも低く設定されており、これにより、排水管20がコンテナ10に基準姿勢で装着されると、排水管20はサイフォン構造として機能する。
【0043】
また、第1鉛直管部22dと第2鉛直管部22fとは互いに隣接し、第3屈曲部22eはこれらの鉛直管部22d,22fを180度屈曲して連結している。つまり、これらの鉛直管部22d,22f及び第3屈曲部22eは、排水管20をコンテナ10に装着すると、コンテナ10の側壁部12に隣接するが、本実施形態では可能な限り排水管20がコンテナ10の側壁部12に接近するように設定されている。具体的には、排水管20をコンテナ10に取り付けると、第1鉛直管部22dはコンテナ10に接触又は近接し、第1鉛直管部22dと第2鉛直管部22fとも接触又は近接している。
【0044】
したがって、図1(a)に二点鎖線で示すように、他のコンテナ10が接近して配置されても、排水管20は、他のコンテナ10の側壁部12に接することはない。このため、浸漬室1にコンテナ10が収容された際に排水管20が収容効率を下げることがない。コンテナ10の収容効率を考慮しなければ、第1鉛直管部22dとコンテナ10との間、第1鉛直管部22dと第2鉛直管部22fとの間を広げてもよい。
【0045】
シールジョイント21Aは、例えばクイックジョイント(カプラ)のような構造となっており、液密性を保持しながら、容易に着脱可能な構成となっている。通常、このようなシールジョイント21Aは、排水口14側に固定されるジョイント部と入口端部21の側に固定されるジョイント部とが互いに着脱する構造となっている。シールジョイント21Aは、かかるクイックジョイントに限らず、排水口14側と入口端部21側との双方に互いに螺合するネジを加工し両者をシールリング等により螺装する構造や、両者をクランプ等により締結させるものを用いてもよい。なお、排水口14の構造は、従来の排水口14そのままでも、適宜のアダプタ部材を適用してもよい。
【0046】
なお、本実施形態の排水管20の入口端部21の近傍の水平管部22b下部には、水平管部22bの図示しない開口を手動で開閉して排水管20内の水を排水可能なコック22hが設けられ、常時はこの開口を閉鎖しておき、必要に応じてこのコック22hを操作して、排水管20内の水を完全除去できるようになっている。
また、コンテナ10の底部11に、排水管20が装着される排水口14とは別に、手動で開閉できる排水口を別途用意し、必要に応じて手動でこの別の排水口を開いて、コンテナ10の水を完全除去できるようにしてもよい。
【0047】
〔作用〕
本発明の第1実施形態にかかるコンテナ10,排水管20及び浸漬室1は上述のように構成されるため、例えば、図4のフローチャートに示すように浸漬処理が行なわれる。
図4は、制御装置100による撒水機2及び撒水供給装置3の制御を示すフローチャートである。
【0048】
まず、ステップS10では、準備室8で、それぞれのコンテナ10に原料種子Sを投入する。
次に、ステップS20では、原料種子Sの投入されたこれらのコンテナ10を入口扉4から浸漬室1へ搬入し、搬入終了後、入口扉4を閉じ、浸漬室1を外界から遮断された状態(入口扉4及び出口扉5がともに遮閉された状態)にする。この際、コンテナ10内には透水支持板16上に載置された原料種子Sのみが投入され、浸漬水は入っていない。
【0049】
次に、ステップS30の浸漬水供給工程を実施する。この浸漬水供給工程では、制御手段100により、撒水機2及び撒水供給装置3を作動させ、各コンテナ10内へ浸漬水を浸漬水位まで供給する。
ここで、浸漬水位とは、排水管20の最上部22gよりも下位であって投入された原料種子Sよりも上位となるように設定された水位である。また、浸漬水位は、原料種子Sの種類毎や投入量によってそれぞれ設定されてもよい。
【0050】
次に、ステップS40の浸漬工程を実施する。この浸漬工程では、コンテナ10内を浸漬水位まで浸漬水を貯留した状態で予め設定した時間だけ原料種子Sを浸漬水に浸漬する。
そして、所定時間が経過するとステップS50の浸漬水排水工程を実施する。この浸漬水排水工程では、コンテナ10内にさらに給水して最上部22gより上位の水位とし、サイフォンの原理により排水管20を通じてコンテナ10内の浸漬水を排出する。
【0051】
以下、浸漬処理における撒水量及びコンテナ10内の水位の変化を、図5に示す浸漬処理のタイムチャートを用いて説明する。この例では、浸漬工程の途中に、浸漬水の入れ替え(浸漬水入替工程)を1回だけ行なっている。また、図5は一つのコンテナ10に着目して示している。
ここでは、撒水機2を稼働させて撒水する際の撒水量(ポンプ3dの吐出流量により決まる単位時間当たりの撒水量)は一定としており、タイムスケジュールは予め設定されている。1つのコンテナ10上を一端から他端まで移動する間に所要の給水量が得られるように、稼働時の撒水機2の撒水パイプ2bの走行速度も貯水時の走行速度と排水時の走行速度とが予め設定されている。
【0052】
まず、時点t0で、コンテナ10が浸漬室1に収容された後、入口扉4が閉められて浸漬室1が外界から遮蔽された状態でコンテナ10が収容される。
次の時点t1において、撒水パイプ2bが走行して撒水を開始する。この撒水時には、撒水パイプ2bが1つのコンテナ10上を移動する間に、コンテナ10内の水位は撒水量に略比例して上昇する(時点t1〜時点t2、浸漬水供給工程)。
【0053】
時点t2では、コンテナ10内の水位が浸漬水位となり、コンテナ10内への撒水機2の撒水が終了し、浸漬工程が開始される。
浸漬水位とは、排水管20の最上部22gよりも下位であって投入された原料種子Sよりも上位となるように定められ水位であって、原料種子Sの浸漬処理に適した水位として設定される。なお、この浸漬水位は、原料種子Sの種類毎や投入量によってそれぞれ設定される。
【0054】
そして、コンテナ10内には浸漬水が貯留される状態が継続し、原料種子Sが浸漬水に浸漬される(時点t2〜時点t3)。
一定浸漬時間を経た時点t3では、排水のために、再び撒水機2の撒水パイプ2bが走行しながらの撒水を開始し、コンテナ10内に給水する。この給水により、コンテナ10内の水位はさらに上昇し、撒水パイプ2bがコンテナ10上を移動する間に最上部22gよりも上位まで達する(時点t3〜時点t4)。なお、ここでは、図5に示すように排水のための給水量は浸漬水の貯水のための給水量の略半分であり、時点t3〜時点t4における排水のための給水時の撒水機パイプ2bの走行速度は、時点t1〜時点t2における貯水のための給水量時の撒水機パイプ2bの走行速度の略2倍としている。これにより、1つのコンテナ10上を一端から他端まで移動する際に、貯水時の略半分の水がコンテナ10内に供給される。
【0055】
最上部22gよりも上位まで給水すると、サイフォンの原理により、コンテナ10内の浸漬水が排出される(時点t4〜時点t5)。時点t5において、コンテナ10内から浸漬水が全て排出される。
そして、次の時点t6では、時点t1と同様に撒水機2によるコンテナ10内への貯水のための給水を開始する。
【0056】
時点t6〜時点t7では、時点t1〜時点t2と同様に、給水によりコンテナ10内の水位が上昇する。そして、時点t7では、時点t2と同様にコンテナ内の水位が浸漬水位となる。
このようにして、浸漬工程において、時点t3〜時点t7では浸漬水の入れ替えが行なわれる。
【0057】
そして、コンテナ10内には浸漬水が貯留される状態が継続し、原料種子Sが浸漬水に浸漬される(時点t7〜時点t8)。
時点t8では、浸漬工程から浸漬水排出工程に移行して、時点t3と同様に撒水し、時点t9で時点t4と同様に撒水を停止する。
時点t10では、時点t5と同様にコンテナ内の浸漬水が全て排出された状態となり、浸漬水排出工程が終了する。
【0058】
時点t10で浸漬処理を終了し、その後、出口扉5を開き、コンテナ10を浸漬室1から栽培室に搬入する準備室9へと搬出して、次の栽培工程に移行する。
なお、芽もの野菜が豆苗であれば、浸漬処理後、催芽又は発芽された原料種子Sをトレイ状の栽培容器に播種し、栽培工程を実施する。
【0059】
図5では、原料種子を浸漬する浸漬時間(時点t2〜t3,時点t7〜t8)を便宜上短く表示しているが、この浸漬時間(時点t2〜t3,時点t7〜t8)は浸漬水の入替時間(時点t3〜時点t7)に対して十分に長い時間である。
また、図5では、浸漬水の入れ替えが1回の場合を例示したが、時点t3〜時点t7の浸漬水の入れ替え処理を任意の回数行なってもよい。
【0060】
〔効果〕
したがって、本実施形態にかかるコンテナ(原料種子浸漬用容器)10及び排水管20によれば、排水管20の最上部22gが浸漬水位よりも高くかつコンテナ10の上縁13よりも低く設定され、コンテナ10の底面部11aに接続される入口端部21よりも出口端部23が低位に設けられているため、浸漬水を供給する際には、浸漬水位まで水を供給すれば浸漬水を貯留することができ、浸漬水を排出する時には、コンテナ10内にさらに水を供給して水位を排水管20の最上部22gよりも高くすれば、排水管20によるサイフォンの原理によって、コンテナ10の排水口14から排出され始め、この段階で給水を止めれば、その後コンテナ10内の水がその底面部11aまで排水される。
【0061】
つまり、このように、コンテナ10内への給水及びコンテナ10内からの排水を、水の供給と停止とを行なうだけで実施することができ、湿気が多くまた給水時に水がかかりやすいコンテナ10周りの排水管20に、遠隔操作で開閉させる電磁バルブ等の電気的な要素を設ける必要がなく、電気的な要素の水分付着による不具合を招くことがない。
また、本実施形態の場合、制御装置100に予め撒水にかかる各部の動作プログラムを設定するだけで、自動で、浸漬水の供給(浸漬水供給工程)や浸漬水の排出(浸漬水排出工程)や、さらには、浸漬水の入れ替え処理(浸漬水入替工程)を実施することができ、作業負担を大幅に軽減することができる。
【0062】
また、コンテナ10の底面部11aに設けられた排水口14と段部15に載置された透水支持板16上に投入された原料種子Sとの間が離隔され、排水時に排水口14近傍の流速が上がっても、原料種子Sを痛めることがない。
また、芽もの野菜栽培を実施する栽培室で浸漬処理を行なえば、一般に栽培室に備えられる撒水機2,撒水供給装置3及び制御装置100を利用して、コンテナ10内への給水及びコンテナ10内からの排水を行なうことができる。すなわち、既存の設備を利用して、排水管20又は排水口14に電磁バルブ等の電気的な要素を設ける必要無く、浸漬水の入替をすることができる。
【0063】
また、閉鎖された浸漬室1においても、浸漬水位まで給水することで原料種子Sを浸漬することができ、最上部22gよりも上位まで給水することでコンテナ10内から排水することができ、コンテナ10内への給水及び排水を、撒水供給装置3による水の供給と停止とを行なうだけで実施することができる。
また、排水管20は公知のコンテナの排水口と接続可能であるため、既存のコンテナを活用して、コンテナ10内への給水及びコンテナ10内からの排水を行なうことができる。この場合に、電気的な要素を設ける必要が無く、浸漬水の供給及び排出の信頼性を確保することができる。
【0064】
浸漬工程において、原料種子Sを催芽又は発芽させる浸漬水への漬け込みと浸漬水の入れ替えとを断続的に実施すれば、原料種子を浸漬するとともに浸漬水を入れ替えることができる。この浸漬水を入れ替えにより、浸漬中に浸漬水の上層及び下層で生じる温度差を小さくすることができ、原料種子Sの催芽又は発芽を均一にすることができ、また、浸漬水の温度低下を緩和し、原料種子Sの浸漬処理が促進され、浸漬時間を短縮することができる。そのため、芽もの野菜の生産効率を向上することができる。
【0065】
また、浸漬水に除菌剤を添加すれば、原料種子Sを催芽又は発芽させるとともに、原料種子Sの除菌を行なうことができる。この除菌剤は、浸漬処理中に経時的に効果が低下することが考えられるので、この除菌剤が添加された浸漬水を入れ替えれば、除菌剤成分の維持することができ、また、除菌剤成分の量や質等を変更することができる。
また、コンテナ10の側壁部12は、上部開口17へ向けて僅かに広がるように各側壁が微小に傾斜しており、鉛直管部22d,22f及び第3屈曲部22eは、側壁部に近接して設けられるため、複数のコンテナ10の上縁13が接するように詰めて浸漬室1に収容しても、排水管20が隣接するコンテナ10に干渉することなく、浸漬室1にコンテナ10を効率的に収容することができ、生産効率を維持したまま、簡易な構成で浸漬水の給排水をすることができる。
【0066】
また、浸漬室1の一側に、浸漬室1と隣接して準備室(準備スペース)8が設けられ、浸漬室1の他側に、浸漬室1と隣接して栽培室[若しくはコンテナ10を栽培室に搬入する準備室(準備スペース)]9が設けられれば、原料種子の浸漬処理及びこれに続く芽もの野菜の栽培を一連の流れで実施することができ、作業効率を確保することができる
また、撒水パイプ2bの撒水ノズルの一端から他端までの領域W1は、収容されたコンテナ10の幅W2の直上に収まるように設定されているため、コンテナ10外へ漏出させることなく無駄なく給水することができる。これにより、撒水量を削減することができる。
【0067】
〔コンテナの変形例〕
以下、本実施形態のコンテナ10の変形例を説明する。
図1に示すコンテナ10に替えて、図3(a)に示すコンテナ110を用いてもよい。
コンテナ110は、底部111を備え、この底部111は、底面部111aとこの底面部111aの四方の縁部から上方に起立した側面部111bとからなる。
【0068】
この側面部111bの相対する二面には、それぞれ第1排水口114a及び第2排水口114bが設けられる。
第1排水口114aには第1排水管20Rが接続され、第2排水口114bには第2排水管20Lが接続される。
その他の構成はコンテナ10と同様の構成である。
【0069】
第1排水管20R及び第2排水管20Lは、入口端部21R,21Lを排水口114a,114bに対して横向きにして接続される。このため、排水管20の第1屈曲部22aに相当する部位がない。
排水管20R,20Lの中間部22R,22Lの上流側には、入口端部21R,21Lが段部115の外側へ向けて短い直線の水平管部22bR,22bLが設けられている。
【0070】
この水平管部22bR,22bLには、それぞれ第1バルブ29R,第2バルブ29Lが介装されている。このバルブ29R,29Lは、手動開閉弁である。つまり、バルブ29R,29Lの何れか一方を遮閉し他方を開放すれば、使用する排水管20R,20Lの何れかを選択することができる。
第1排水管20Rの最上部22gRと第2排水管20Lの最上部22gLとは異なるように設定される。図3(a)の例では、最上部22gRの方が最上部22gLよりも高くなるように設定されている。
【0071】
なお、底面部111aに排水口114a,114bを設けてもよい。これに合わせて、排水管20L,20Rの入口端部及び中間部22L,22Rの上流側は、図1(b)に示す排水管20の入口端部21及び第1屈曲部22aの形状と同様に形成される。また、排水管20L,20Rのその他の構成についても排水管20と同様の構成である。
したがって、コンテナ110及び排水管20L,20Rによれば、バルブ29R,29Lの何れか一方を閉鎖し他方を開放すれば、使用する排水管20R,20Lの何れかを選択することができる。
【0072】
例えば原料種子Sの投入量が異なるため浸漬水位が異なる設定の場合であっても、使用する排水管20R,20Lの何れかを選択することができるため、異なる浸漬処理に対応することができる。この際、排水管20R,20Lを取り外すことなく使用する排水管20R,20Lを選択することができるため、作業効率が確保できる。
また、コンテナ10に替えて、図3(b),(c)に示すコンテナ210を用いてもよい。
【0073】
コンテナ210は、底部211と四方の側壁からなる側壁部212とを備える。
この側壁部212は、コンテナ210の四方を囲う側壁であって、その上端に上部開口217を区画する上縁213を有する。また、この例では、側壁部212は、上部開口217に向けて僅かに広がるように各側壁が微小に傾斜している。
底部211は、底面部211aとこの底面部211aの四方の縁部から上方に起立した側面部211bとからなる。
【0074】
この側面部211bには、コンテナ210内の水を排出する排水口214が設けられている。この排水口214には排水管620が接続される。
この排水管620は、例えば、ホースのような可撓性管から形成される。この排水管620の中間部622は、コンテナ210の側壁部212に接して或いは近接して設置される。中間部622を側壁部212に昇降可能に係止するために、係止部材218が側壁部212に固設されている。この係止部材218により、中間部622の自由端側(出口側端部)はコンテナ210の側壁部212に接した状態或いは接近した状態で上昇及び下降しうるようになっている。
【0075】
排水管620を側壁部212に固定するもう一つの部材として、第1掛止部219a及び第2掛止部219bが側壁部212に設けられている。
これらの掛止部219a,219bは弾性部材からなり、この弾性力によって鉛直方向最上に位置する最上部622gを有する屈曲部622Aを掛止するものであり、何れか一方が用いられる。つまり、屈曲部622Aを第1掛止部219a又は第2掛止部219bの何れかに掛止するかにより、屈曲部622A自体が変位し排水管620の最上部622gの高さが調整可能となる。
【0076】
屈曲部622Aを掛止部219a,219bの何れに掛止しても出口端部623の高さは入口端部621よりも低位となるように、排水管620の長さが設定されている。
その他の構成はコンテナ10と同様である。
したがって、排水管620の中間部622は、コンテナ210の側壁部212に接して或いは近接して設置されるため、スペースを節減することができる。浸漬室1等の室にコンテナ210を複数台収容する場合に、効率よく収容することができる。
【0077】
また、屈曲部622Aを第1掛止部219a又は第2掛止部219bの何れかに掛止するかにより、排水管620の最上部622gを調整可能となるため、設定された浸漬水位や、排水のために上昇させる水位に応じて最上部622gの高さを容易に変更して調整することができる。
【0078】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を、図6及び図7を用いて説明する。なお、第1実施形態と重複する説明は省略する。
図6は本発明の第2実施形態にかかる高さ調整機構付き排水管をそなえたコンテナを示す斜視図であり、(a),(b),(c)の順に、排水管の最上部を低下させた状態を示す。また、図7は本発明の第2実施形態にかかる排水管を示す斜視図であり、(a)は本実施形態にかかる排水管を示す図、(b)〜(e)はその変形例を示す図である。
なお、コンテナ210は第1実施形態の変形例[図3(b),(c)参照]のものと同様の構成のものを用いる。
【0079】
図6(a)〜(c)及び図7(a)に示すように、排水管120は、第1鉛直管部122dの一部が透明管で形成された透明部124を有する。すなわち、排水管120の管内の水位が透明部124の下端よりも高く上端よりも低ければ、外部からコンテナ210内の水位と連動する管内の水位を確認することができる。
透明部124には、目盛りが付され、基準位置を示す例えば矢印のマークが付されている。この基準位置としては、例えば、浸漬水位が相当する。また、コンテナ210内へこれ以上の給水は危険と設定された危険水位等の水位にマークを付してもよい。
【0080】
シールジョイント121Aは、例えば、図3(a)〜(c)に例示するようなコンテナ110,210の底側壁111b,211bに設けられた排水口114,214に排水管120を結合する。
また、このシールジョイント121Aは、図示しない排水口114,214側の部材と結合するが、この排水管120側の部材と排水口側の部材とは、その軸心周りに節度感をもって回動可能となっている。したがって、このシールジョイント121Aの両部材が相対回転し且つ適宜の相対角度で固定する構造よって、中間部122を鉛直方向から側方へ傾倒させる傾倒機構が構成されて、この傾倒機構が、屈曲部122Aの有する最上部122gの高さを調整可能にする高さ調整機構として構成される。
【0081】
図6(a)は、コンテナ210に装備される排水管120の透明管部124が、鉛直方向に沿っており、出口端部123が鉛直下方を向く基準姿勢を示すものである。
この基準姿勢から、鉛直方向に沿った透明管部124を例えば45度傾倒させると、図6(b)に示すように、最上部122gが基準姿勢のときよりも低位になる。この姿勢を特殊姿勢という。
【0082】
図6(b)の姿勢からさらに45度回転させると、すなわち、基準姿勢から90度回転させると、図6(c)に示すように、全ての中間部122及び出口端部123の高さが同位となり、排水管120の何れの部位の高さも透水支持板16よりも低位となる。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
したがって、第2実施形態の排水管120及びコンテナ210によれば、最上部122gを調整可能に構成されるため、浸漬水位や排水のために上昇させる水位の設定変更に、簡素な構成で対応することができる。
【0083】
シールジョイント121Aを介して排水管120を回転させるだけで最上部122gの高さ調整をすることができ、迅速な浸漬水位等の設定変更に対応することができる。
高さ調整機構が傾倒機構であるため、簡素な構成で浸漬水位等の設定変更に対応することができる。
また、排水管120は透明部124を有するため、コンテナ210内の水位を外部から確認することができる。
【0084】
また、最上部122gが透水支持板16よりも低位に調整可能であるため、浸漬処理で用いたコンテナ210に催芽又は発芽させた原料種子Sを入れたままで、次の、栽培工程に移行すれば、コンテナ210上方から撒いた水がコンテナ210下方から流出する状態として、コンテナ210に水を溜めることなく栽培工程に適した撒水の排水を行なうことができる。また、透水支持板16よりも上位に水を貯留することがなく、透水支持板16よりも上位の水を排水することができる。
【0085】
なお、排水管120は、コンテナ110に装備されてもよい、この場合、最上部122gの高さの異なる排水管120をそれぞれ装備することとなる。
以下、第2実施形態にかかる排水管120の変形例を説明する。
図7(b)に示す排水管220は、コンテナ10の底面部11aに設けられた排水口14に接続される。
【0086】
この排水管220は、水平管部222bの一端と第2屈曲部222cの一端との間に可撓性管継部225を有する。この可撓性管継部225は、水平管部222bと第2屈曲部222cとの軸方向の角度を変更し固定することができる。ここでは、蛇腹状の樹脂性パイプによって構成され、蛇腹の一側を拡張させて蛇腹の他側を収縮させることにより、水平管部222bの一端と第2屈曲部222cの一端との軸方向の角度を変更してこの変形状態に固定し、これにより、鉛直管部222d,222f及び屈曲部222c,222eを傾倒する傾倒機構が構成される。この傾倒機構、排水管220の最上部222gの高さを調整する自在に構成され高さ調整機構が傾倒機構となっている。
【0087】
図7(c)に示す排水管320は、コンテナ10の底面部11aに設けられた排水口14に接続される。
この排水管320は、中間部322の屈曲部322Aが別体に形成され、これらの屈曲部322Aと鉛直管部322d,322fとにはシール部326がそれぞれ介装される。このシール部326により液密を確保する。
【0088】
屈曲部322Aの内径は、鉛直管部322d,322fの外径と略等しく形成され、互いに摺動及び固定自在に嵌挿される。つまり、排水管320の最上部322gの高さ及び出口端部323の高さを調整自在に構成される。もちろん、出口端部323の高さは、排水溝14に接続される入口端部321よりも低位に調整可能となっている。
図7(d)の排水管420は、コンテナ10の底面部11aに設けられた排水口14に接続される。
【0089】
この排水管420は、水平管部422bの一端及び第1屈曲部422aの一端が中空のボールジョイント424として形成されている。このボールジョイント424により、鉛直管部422d,422f及び屈曲部422c,422eを傾倒する傾倒機構が構成される。この傾倒機構が、排水管420の最上部422gの高さを調整自在な高さを調整する高さ調整機構となっている。
【0090】
なお、ボールジョイント424の外周に二点鎖線で示すように、例えば蛇腹状のシール部材を設けてもよい。
水平管部422bに対して第2屈曲部422cより下流側の中間部422を90度回転すれば、図6(c)のように、最上部422g及び出口端部423の高さが同位となり、排水管420の何れの部位の高さも透水支持板16よりも低位となる。
【0091】
図7(e)の排水管520は、コンテナ10の底面部11aに設けられた排水口14に接続される。
この排水管520は、水平管部522bの一端の内径が第2屈曲部522cの一端の外径に略等しく形成され、回動及び固定自在に嵌挿される。すなわち、この結合構造により、水平管部522bに対して第2屈曲部522cよりも下流側の中間部522を傾倒する傾倒機構が構成される。そして、この傾倒機構が、排水管520の最上部522gの高さを調整する高さ調整機構となっている。
【0092】
水平管部522bに対して中間部522を90度回転すれば、最上部522g及び出口端部523の高さが同位となり、排水管520の何れの部位の高さも底面部11aよりも低位となる。
なお、水平管部522bの一端及び第2屈曲部522cの一端の外周に二点鎖線で示すように、例えば蛇腹状のシール部材を設けてもよい。
【0093】
〔効果〕
したがって、これらの排水管220,320,420,520によれば、最上部の高さ調整可能に構成されているため、浸漬水位や、排水のために上昇させる水位の設定変更に対応することができる。
排水管220,420,520によれば、高さ調整機構が傾倒機構であるため、簡素な構成で浸漬水位等の設定変更に対応することができる。
【0094】
また、最上部222g,422g,522gが透水支持板16よりも低位に調整可能であるため、浸漬処理で用いたコンテナ10に催芽又は発芽させた原料種子Sを入れたままで、次の、栽培工程に移行すれば、コンテナ10上方から撒いた水がコンテナ10下方から流出する状態として、コンテナ10に水を溜めることなく栽培工程に適した撒水の排水を行なうことができる。また、透水支持板16よりも上位に水を貯留することがなく、透水支持板16よりも上位の水を排水することができる。
【0095】
なお、本実施形態の排水管120,220,320,420,520は、第1鉛直管部122d,222d,322d,422d,522dと第2鉛直管部122f,222f,322f,422f,522fとが離れて形成されているが、図1に示す排水管20のように鉛直管部どうしが接するものとしてもよい。
また、入口端部121,221,321,421,521と第1鉛直管部122d,222d,322d,422d,522dと第2鉛直管部122f,222f,322f,422f,522fとが同一平面上に構成される例を示したが、入口端部121,221,321,421,521と第1鉛直管部122d,222d,322d,422d,522dとが構成される第1平面と、第1鉛直管部122d,222d,322d,422d,522dと第2鉛直管部122f,222f,322f,422f,522fとが構成される第2平面とが直交するように(それぞれの鉛直管部がコンテナ210の側壁部212に並んで沿うように)構成されてもよい。
【0096】
〔その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上述の実施形態では、コンテナ10,110,210は、その側壁部12,112,212が上部開口17,117,217に向けて僅かに広がるように各側壁が微小に傾斜している形状を説明したが、コンテナは、その側壁部は上部開口に向けて鉛直に延在するキューブ形状であってもよい。これによれば、コンテナの形状がシンプルとなり、排水管を外したコンテナ単体の収容効率を向上することができる。
【0097】
また、上述の実施形態では、対向する2つの壁面に入口扉4及び出口扉5が設けられる浸漬室1を説明したが、入口扉及び出口扉を兼用して共通の一つの扉とし、浸漬室には何れか一方の扉4,5のみ設けられる構成としてもよい。この場合、一つの扉を閉鎖することで浸漬室内を外界と遮断することができる。
また、上述の浸漬室1として芽もの野菜を栽培する栽培室を利用してもよい。これによれば、既存の設備を利用して浸漬処理を行なうことができる。
【0098】
また、芽もの野菜の栽培を行なう栽培コンテナを上述のコンテナ10,110,210として利用し、浸漬室1として芽もの野菜を栽培する栽培室を利用してもよい。これによれば、浸漬処理の後、催芽又は発芽された原料種子Sを別コンテナに移し替える作業を省略することができ、作業性を確保することができる。この場合、排水管10を取り外す、又は、排水管120,220,420,520の最上位122g,222g,422g,522gの最上位が透水支持板16よりも低位に調整すれば、栽培工程における撒水をそのまま排水して既存の栽培工程に適用することができる。
【0099】
また、上述の実施形態では、浸漬室1及び栽培室は、外界から遮断された構造となっているが、外界と遮断しつつ室内を覗くことができる窓を設けてもよい。これによれば、浸漬処理中においても、排水管120の透明部124を視認することができ、コンテナ内の水位を容易に確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の原料種子浸漬用容器は、芽もの野菜の栽培のためのみならず、葉もの野菜やつるもの野菜等の種々の野菜又は稲の苗の栽培のためにも適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 浸漬室
2 撒水機
2a ホース
2b 撒水パイプ
3 撒水供給装置
3a タンク
3b 調温装置
3c 水供給配管
3d ポンプ
4 入口扉
5 出口扉
6 浸漬室排水口
8 準備室
9 栽培室
10,110,210 コンテナ(原料種子浸漬用容器)
11,111,211 底部
11a,111a,211a 底面部
11b,111b,211b 側面部
12,112,212 側壁部(容器側壁部)
13,113,213 上縁
14,114,214 排水口
15,115,215 段部
16 透水支持板
17,117,217 上部開口
20,20R,20L,120,220,320,420,520,620 排水管
21,21R,21L,121,221,321,421,521,621 入口端部
21A シールジョイント
22,22R,22L,122,222,322,422,522,622 中間部
22a 第1屈曲部
22b 水平管部
22c 第2屈曲部
22d 第1鉛直管部
22e 第3屈曲部
22f 第2鉛直管部
22g,22gR,22gL,122g,222g,322g,422g,522g,622g 最上部
22A,22AR,22AL,122A,222A,322A,422A,522A,622A 屈曲部
23,23R,23L,123,223,323,423,523,623 出口端部
100 制御装置
218 係止部材
219a 第1掛止部
219b 第2掛止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芽もの野菜を含む野菜類を栽培するための原料種子を水に浸漬する浸漬時に用いる原料種子浸漬用容器であって、
上縁が前記浸漬時の水位よりも一定高さ以上高く形成された容器側壁部と、
前記容器の底部に設けられ、前記浸漬に用いた水を排出する排水口と、
前記排水口に接続されて前記容器の外部に装備された排水管と、を備え、
前記排水管は、
前記排水口に接続される入口端部と、前記排水口よりも低位に高さ設定された出口端部と、前記入口端部と前記出口端部との間に形成され、前記入口端部よりも上方に上昇し屈曲部で屈曲して前記出口端部まで下降する中間部とをそなえ、前記屈曲部には鉛直方向最上に位置する最上部を有し、前記最上部は前記浸漬時の水位よりも高く且つ前記容器側壁部の前記上縁よりも低く設定された、サイフォン構造に形成されている
ことを特徴とする、原料種子浸漬用容器。
【請求項2】
前記排水管の前記最上部の高さを調整する高さ調整機構を有している
ことを特徴とする、請求項1記載の原料種子浸漬用容器。
【請求項3】
前記高さ調整機構は、前記排水口に接続された前記排水管を傾倒させる傾倒機構である
ことを特徴とする、請求項2記載の原料種子浸漬用容器。
【請求項4】
前記排水管は、前記容器内の水位と連動する排水管内の水位を確認する水位確認窓を有する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の原料種子浸漬用容器。
【請求項5】
前記容器は、
前記底部よりも上方に、前記原料種子は透過しないが水分は透過する透水構造を有し前記原料種子を下方から支持する透水支持板が配置される
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の原料種子浸漬用容器。
【請求項6】
前記排水管の前記最上部の高さを、前記透水支持板よりも低位まで調整可能な高さ調整機構を有している
ことを特徴とする、請求項5記載の原料種子浸漬用容器。
【請求項7】
芽もの野菜を含む野菜類を栽培するための原料種子を水に浸漬するシステムであって、
請求項1〜6の何れか1項に記載の原料種子浸漬用容器を収容する浸漬室と、
前記原料種子が投入されて前記浸漬室内に収容された前記容器に、水を供給する水供給装置と、
前記水供給装置の作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記水供給装置に対して、前記容器に予め設定された前記浸漬時の水位まで水を供給する給水制御と、前記容器に前記排水管の前記最上部よりも上方までさらに水を供給しサイフォンの原理により前記排水管を通じて前記容器内の水を排出する排水制御とを、実施する
ことを特徴とする、原料種子浸漬システム。
【請求項8】
芽もの野菜を含む野菜類を栽培するための原料種子を水に浸漬する浸漬時に用いる容器であって、上縁が前記浸漬時の水位よりも一定高さ以上高く形成された容器側壁部と、前記容器の底部に設けられ、前記浸漬に用いた水を排出する排水口と、を備えた原料種子浸漬用容器における、前記排水口に接続されて前記容器の外部に装備される排水管であって、
前記排水口に接続される入口端部と、前記排水口よりも低位に高さ設定された出口端部と、前記入口端部と出口端部との間に形成され、前記入口端部よりも上方に上昇し屈曲部で屈曲して前記出口端部まで下降する中間部とを有し、前記屈曲部には鉛直方向最上に位置する最上部を有し、前記最上部が前記浸漬時の水位よりも高く且つ前記容器側壁部の前記上縁よりも低く設定された、サイフォン構造に形成されている
ことを特徴とする、原料種子浸漬用容器の排水管。
【請求項9】
請求項1〜6の何れか1項に記載の原料種子浸漬用容器を用いて、芽もの野菜を含む野菜類を栽培するための原料種子を水に浸漬する原料種子の浸漬方法であって、
前記原料種子が投入された前記容器内に予め設定された前記浸漬時の水位まで水を供給する浸漬水供給工程と、
その後、前記容器内に水を貯留して前記容器内で前記原料種子を水に浸漬する浸漬工程と、
前記浸漬工程の完了後、前記容器内にさらに水を供給しサイフォンの原理により前記排水管を通じて前記容器内の水を排出する浸漬水排出工程と、を有する
ことを特徴とする、原料種子の浸漬方法。
【請求項10】
前記浸漬工程では、途中で、前記容器内にさらに水を供給しサイフォンの原理により前記排水管を通じて前記容器内の水を排出し、その後、前記容器内に予め設定された前記浸漬時の水位まで水を供給して、前記容器内の水を入れ替える浸漬水入替工程を断続的に実施する
ことを特徴とする、請求項9記載の原料種子の浸漬方法。
【請求項11】
前記浸漬に用いる水には除菌剤が添加されている
ことを特徴とする、請求項9又は10記載の原料種子の浸漬方法。
【請求項12】
前記浸漬処理を実施する浸漬室として、前記野菜類の栽培を実施する栽培室を利用し、
前記原料種子浸漬用容器として、前記野菜類を栽培するための栽培用容器を利用する
ことを特徴とする、請求項9〜11の何れか1項に記載の原料種子の浸漬方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−178987(P2012−178987A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42782(P2011−42782)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000149273)株式会社大生機械 (35)
【Fターム(参考)】