説明

原稿サイズ検出装置

【課題】原稿カバーが高速で閉じられる場合でも、原稿台に置かれた原稿のサイズが正確に判定される低廉な原稿読取装置を提供する。
【解決手段】原稿台と、前記原稿台に置かれた原稿に光を照射する光源と、前記原稿台に置かれた原稿を覆うカバー体と、前記光源からの光が前記原稿台に置かれた原稿によって反射された反射光を検出する検出手段と、第1〜第3のフォトセンサと、前記カバー体の開角度に起因して前記3個のフォトセンサを下記表1の如くに動作せしめる遮蔽板との検出手段の出力信号に基づいて、前記カバー体の開角度がαの時に、副走査方向の大きさの判定を行い、前記カバー体の開角度がα(α>α)の時に、主走査方向の大きさの判定を行う判定手段とを具備する原稿サイズ検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原稿サイズ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ等の装置は画像読取部を持っている。前記画像読取部は光学モジュールを具備する。前記光学モジュールは、例えば光源と、光電変換素子(CCD)と、複数のミラーと、レンズとを具備する。前記光源は、原稿台に載置された原稿を照射する。前記ミラーは、前記光源からの光が前記原稿で反射された反射光を折り返して前記CCDに導く。前記レンズは、前記ミラーと前記CCDとの間に設けられ、前記ミラーで反射された光を集光し、前記CCDに結像させる。前記光学モジュールの両端部にはワイヤが連結されている。前記ワイヤが巻き付けられているドラムをモータの回転によって駆動し、該ワイヤが巻き上げられ、前記光学モジュールが副走査方向(副走査方向は主走査方向と直交)に牽引され、前記光学モジュールは原稿と平行に副走査方向に移動する。そして、画像読取が行われる。前記画像読取部は、原稿台に原稿を載置し、ADFユニット(自動給紙装置)の原稿カバーを閉める途中で、主走査方向と副走査方向との二つの方向の原稿サイズ(大きさ:原稿幅と長さ)の検出(判別)が行われる。すなわち、原稿台に載置された原稿がA4,A3,B4等の定型原稿の中のどのサイズであるかの判定が行われる。
【0003】
主査方向のサイズ(原稿端までの長さ)の検出・判定は、光学モジュールが或る位置で主走査方向を読取った時のCCDの出力波形の変化から行われる。主走査方向のCCD出力波形は、原稿台上の原稿有部と原稿無部との境で、大きく変化する。すなわち、前記境界部でCCD出力波形が大きく変化することから、その個所が原稿端であると考えられる。
【0004】
副走査方向のサイズ検出には、光学モジュールが移動する副走査方向のレールに設けられたサイズセンサが用いられる。該サイズセンサには発光部と受光部とが一対となったフォトセンサが用いられる。該サイズセンサの原稿検出の原理は、該サイズセンサの発光部から光が発射され、該光が原稿に当り、該原稿に当って反射した反射光を該サイズセンサの受光部が受光すると、原稿有りと判定される。該原稿の反射光が該サイズセンサの受光部に受光しない時は、原稿無と判定される。前記フォトセンサが複数個(例えば、2個)設けられることによって、前記サイズセンサが構成される。そして、二つのフォトセンサからの信号の組み合わせから、副走査方向の原稿サイズが判定される。
【0005】
原稿台上に置かれた原稿のサイズを検出(判定)する基本的な技術思想は上述した通りである。原稿の主走査方向および副走査方向のサイズ検出には、ADFユニットの原稿カバーの特定の開角度(閉角度)がトリガーになっている。この為、即ち、原稿カバーが閉まる途中の設定角度(原稿カバーが特定の開角度)でサイズ検出を行う為、装置には原稿カバー角度検出機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−258386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の装置は、上下方向において一つのライン上に配置された2個または3個の光学センサと、前記光学センサの光を遮る為のセンサフラグ(原稿カバーの開角度によって上下動するセンサフラグ)とを有している。前記センサフラグの位置(高さ)を検出した光学センサが何れの高さ位置の光学センサであるかによって、原稿カバーの開角度が特定される。
【0008】
しかしながら、この提案の装置では、主走査方向の原稿サイズの判定が上手く行われ難い。例えば、複写に際して、原稿カバーが閉じられる速度は高速である。ゆっくり閉じられることが有るにしても、高速で閉じられる場合も有る。従って、高速の場合にも対処できることが必要である。原稿カバーの開角度(閉角度)が、例えば18°と12°との状態において、サイズ検出が行われるとする。このような場合、2個の光学センサでは高速処理が対応できない。すなわち、高速で原稿カバーが閉じられた場合のネックは、物理的なセンサの切り替わりが発生してから制御側がその切り替わりを認識するまでの時間差である。高速反応が求められる場合、センサの出力信号の切り替わりをトリガーとして処理を開始する割り込み処理方式が用いられる。この割り込み処理を行う為には、CPUに基板設計の初期段階で割り込み検出用のポートを設定する必要が有る。設定できるポートの総数はCPU内で限られていること、かつ、装置の多機能化に伴って他の機能で必要とされるポート数が増えている傾向にあることから、割り込み検出用のポートを余分に設けることが出来ない。好ましくは、原稿カバー角度検出に使用する割り込みポートの数は1個である。しかしながら、光センサが上述の2個の場合には、ポート数を1個とすることが出来ない。特許文献1には、光センサが3個の場合も記載が有るものの、この場合でも2個の場合と同じである。すなわち、ポート数を1個にすることが出来ない。
【0009】
従って、本発明が解決しようとする課題は、上記問題点を解決することである。特に、原稿カバーが高速で閉じられる場合でも、原稿台に置かれた原稿のサイズが正確に判定される低廉な原稿読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題は、
原稿台と、
前記原稿台に置かれた原稿に光を照射する光源と、
前記原稿台に置かれた原稿を覆うカバー体と、
前記光源からの光が前記原稿台に置かれた原稿によって反射された反射光を検出する検出手段と、
第1のフォトセンサ、第2のフォトセンサ、及び第3のフォトセンサと、
前記カバー体の開角度に起因して前記3個のフォトセンサを下記表1または下記表2の如くに動作せしめる遮蔽板と、
前記検出手段の出力信号に基づいて、前記カバー体の開角度がαの時に、前記原稿の副走査方向の大きさの判定を行い、前記カバー体の開角度がα(α>α)の時に、前記原稿の主走査方向の大きさの判定を行う判定手段
とを具備することを特徴とする原稿サイズ検出装置によって解決される。


【発明の効果】
【0011】
原稿カバーが高速で閉じられる場合でも、原稿台に置かれた原稿のサイズが正確に判定される。しかも、この装置は低廉なコストで得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】原稿カバー角度検出機構としてのアクチェータユニット取付説明図
【図2】透過型フォトセンサ取付側面図
【図3】透過型フォトセンサ取付正面図
【図4】α(原稿カバー開角度)>18°の時の透過型フォトセンサと遮蔽板との関係を示す説明図
【図5】α(原稿カバー開角度)=18°の時の透過型フォトセンサと遮蔽板との関係を示す説明図
【図6】α(原稿カバー開角度)=12°の時の透過型フォトセンサと遮蔽板との関係を示す説明図
【図7】α(原稿カバー開角度)=0°の時の透過型フォトセンサと遮蔽板との関係を示す説明図
【図8】原稿カバー開状態における原稿サイズ検出装置の概略斜視図
【図9】原稿サイズ検出装置の内部機構を示す概略斜視図
【図10】原稿サイズ検出装置の内部機構図
【図11】反射型サイズセンサ取付図
【図12】原稿カバー閉動作時における外光を示す説明図
【図13】外光が入った時のCCD出力図
【図14】外光が入った時のCCD出力図
【図15】外光が入った時のCCD出力図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は原稿サイズ検出装置である。この原稿サイズ検出装置は、例えばファクシミリ機、複写機、複合機などの画像読取装置に搭載される。勿論、これ等に限られない。本装置は原稿台を具備する。本装置は光源を具備する。前記光源は前記原稿台に置かれた原稿に光を照射する。本装置は原稿カバー(カバー体)を具備する。前記カバー体は前記原稿台に置かれた原稿を覆う。本装置は検出手段を具備する。前記検出手段は前記光源からの光が前記原稿台に置かれた原稿によって反射された反射光を検出する。前記検出手段は、例えばCCDである。本装置は3個のフォトセンサ(第1のフォトセンサ、第2のフォトセンサ、第3のフォトセンサ)を具備する。本装置は遮蔽板を具備する。前記遮蔽板は、前記カバー体の開角度(閉角度)に起因して前記3個のフォトセンサを前記表1または前記表2の如くに動作せしめる。例えば、前記カバー体の閉動作に伴って、前記遮蔽板は前記3個のフォトセンサを前記表1または前記表2の如くに動作せしめる。本装置は判定手段を具備する。前記判定手段は、前記検出手段の出力信号に基づいて、前記カバー体の開角度(閉角度)がαの時に、前記原稿の副走査方向の大きさの判定を行い、前記カバー体の開角度(閉角度)がα(α>α)の時に、前記原稿の主走査方向の大きさの判定を行う。前記判定手段はコンピュータである。例えば、CPUである。斯くの如きの構成とすることによって、原稿カバー角度検出に使用する割り込みポートの数が1個で済む。
【0014】
前記原稿サイズ検出装置において、好ましいαは5°〜25°である。更に好ましいαは12°〜22°である。好ましいαは4°〜24°である。更に好ましいαは8°〜18°である。α>αである。好ましい(α−α)は1°〜10°である。更に好ましい(α−α)は4°〜8°である。上記数値範囲が好ましい理由は次の通りである。αが大きすぎた場合には、例えば外光による影響が過度になり、原稿サイズ検出に誤作動の恐れが高くなる。αが小さ過ぎた場合には、原稿サイズ検出から次の動作に移る時間が少な過ぎ、これ、また、誤作動の恐れが高くなる。種々の実験の結果、上記数値範囲の場合に、原稿サイズ検出の誤作動が起き難かった。
【0015】
前記原稿サイズ検出装置において、好ましくは、前記カバー体の閉角度がαの時に前記光源が点灯する。そして、前記反射光が前記検出手段で検出され、前記検出手段の出力信号に基づいて、前記判定手段が原稿の大きさの判定を行うよう構成されている。
【0016】
前記原稿サイズ検出装置において、好ましくは、前記遮蔽板は第1の遮蔽板と第2の遮蔽板とを具備する。前記第1の遮蔽板および前記第2の遮蔽板は、好ましくは、切欠部を有する。前記切欠部を有する第1の遮蔽板の動作によって、前記第1のフォトセンサが前記表1(又は前記表2)の如くに動作する。前記切欠部を有する第2の遮蔽板の動作によって、前記第2のフォトセンサ及び前記第3のフォトセンサが、前記表1(又は前記表2)の如くに動作する。
【0017】
前記原稿サイズ検出装置において、好ましくは、前記第1のフォトセンサと、前記第2のフォトセンサ及び第3のフォトセンサとは、上下方向において異なるライン上に配置されている。前記第2のフォトセンサと前記第3のフォトセンサとは、上下方向において、同一ライン上の異なる高さ位置に配置されている。
【0018】
前記原稿サイズ検出装置において、好ましくは、前記カバー体は前記原稿台の一端側における前記副走査方向に沿った方向に軸芯を有する軸を中心として回動開閉式に構成されている。前記遮蔽板は前記カバー体の回動軸芯側の端部に配置されている。
【0019】
前記原稿サイズ検出装置において、好ましくは、前記検出手段の出力信号に加わった前記カバー体の開角度(閉角度)α時に入射して来た外光に基づく信号をマスキングするマスキング手段を具備する。
【0020】
本実施形態の原稿サイズ検出装置は、画像読取装置(例えば、原稿台上を開閉するカバー体を具備し、原稿の主走査方向に配置されたCCDを副走査方向に走行させて原稿台上に置かれた原稿の画像の読取りを行う装置)において、主走査方向と副走査方向との原稿サイズを自動的に検出する機能を有する。本装置は、特に、下記(1)の特徴を具備する。場合によっては、好ましくは、下記(2)以下の特徴も具備する。
【0021】
(1) 原稿カバー開角度(閉角度)を検出する為、フォトセンサ(例えば、透過型フォトセンサ)が3個設けられた。但し、単に、3個のフォトセンサが設けられたと言うのみでは無い。フォトセンサの配置に特徴が有る。かつ、フォトセンサに対して配置される遮蔽板(遮光板)に特徴が有る。前記表1または表2を満たす如くに前記フォトセンサや前記遮蔽板は構成される点が大きな特徴である。斯くの如きの構成によって、原稿カバーの開角度(閉角度)α,αが検出される。前記表1または表2における角度αの時に原稿サイズ検出用の光源が点灯され、角度αの時に主走査方向における原稿サイズの判定の為のCCDの出力信号が判別される。CCDの出力波形から原稿サイズ(主走査方向の大きさ(長さ))が判定される。
【0022】
例えば、図1〜図7に示される如く構成される。近接スイッチは無い。3個の透過型フォトセンサ32(32a,32b,32c)が装置背面側に実装されている。勿論、3個の透過型フォトセンサ32(32a,32b,32c)の配置は、前記表1または表2を満たしたものである。アクチェータユニット33の構成部品であるロッド34に設けた2枚の遮蔽板35(35a,35bc)が、3個の透過型フォトセンサ32(32a,32b,32c)のセンサ光の遮蔽(遮光)と通光(透光:受光)とを行う。3個の透過型フォトセンサ32(32a,32b,32c)の出力の組合せによって、原稿カバーの開角度(閉角度)が検出される。この機構により、高価な近接スイッチが用いられずとも、安価な透過型フォトセンサで済む。そして、原稿カバーに取り付けられていたマグネットが必要なくなる。更に、装置背面側に透過型フォトセンサ32が実装される為、装置手前側までケーブルを延ばす必要が無い。ケーブル長を短くすることが出来、装置の価格低減が図れる。更に、画像読取装置手前側に設けていた近接スイッチやマグネットの取り付けに必要だったスペースや構造が不要となる。
【0023】
(2) 筐体の背面に設けられた孔に前記フォトセンサの爪が挿入されることによって、前記フォトセンサが取り付けられる。前記フォトセンサは、該筐体の背面上に互い違いに配置されている。フォトセンサのセンサ光を遮蔽する為の板状部を有したロッドと該ロッドを上方へ押し上げる為のバネを設けたベースからなるアクチェータユニットが、前記3個のフォトセンサに押し当てられ、該筐体に該アクチェータユニットがネジ止めされる。該アクチェータユニットのベースは各フォトセンサに当る。すなわち、前記フォトセンサは、前記筐体と前記アクチェータユニットとで挟持されている。この為、前記フォトセンサは前記孔から抜け落ちることが無い。
【0024】
例えば、図1に示される如く構成される。原稿カバーの開角度検出機構としてアクチェータユニット33が設けられている。このアクチェータユニット33のベース37と筐体38とによって、筐体38に取り付けられた3個の透過型フォトセンサ32(32a,32b,32c)は挟み込まれており、3個の透過型フォトセンサ32(32a,32b,32c)が浮き上がらないようになっている。このことによって、輸送時などに外力(例えば、落下)が作用しても、透過型フォトセンサ32の外れや脱落と言った事故が起き難い。
【0025】
(3) 主走査方向11における原稿サイズの検出は次のように行われる。例えば、CCD出力波形により原稿端の判別が行われる。この時、原稿カバー3によって原稿は完全に遮光されている訳でもない。従って、蛍光灯や太陽等の外光28がCCDに入る場合が有る。この外光28によって、CCD出力波形は影響を受ける。その結果、原稿サイズの判定に間違いが起きる。そこで、外光が入る範囲において、マスキング(例えば、電気的処理によるマスキング)処理が行われる。すなわち、外光28が入っても、CPUが原稿サイズを判断する時、外光28によるCCD出力波形の変動領域は排除される。これによって、原稿サイズ検出の判定に外光の影響が起きなくなる。
【0026】
例えば、軽量化、小型化、省スペース化、低コスト化の観点から、ファクシミリや複写機などの画像読取装置では、レンズの光路長を短くした短焦点レンズが用いられることが多い。短焦点レンズの画角は広い為、光学モジュールの視野角は広い。このことは、原稿カバー3の閉動作途中において、原稿カバー3によって遮られない外光(例えば、天井に設けられた蛍光灯や太陽光)28が存在することを意味する。すなわち、原稿カバー3によって遮られない外光28が原稿台7に照射される。この状態で主走査方向11における原稿サイズの検出が行われると、外光28が照射された範囲に原稿13が無い場合は、CCDの出力波形に前記外光28による波形(凸波形)が発生する。この凸波形の発生により、凸波形端まで原稿13が有ると誤判断される。すなわち、原稿端の正しい判別が出来ない。この為、短焦点レンズを採用する装置では、原稿カバーを装置前方(ユーザー側)に大きく延長することが考えられた。すなわち、原稿カバー3を装置前方(ユーザー側)に長くしておけば、原稿カバー3の閉動作途中においても、外光28が原稿台面に照射されない。従って、誤動作が起き難い。しかしながら、そうすると、装置が大きくなる。
【0027】
そこで、原稿カバー3が装置前方(ユーザー側)に長くなくとも、即ち、外光28が原稿台7面に照射されても、外光28が入射して原稿サイズ検出に影響のある範囲は電気的にマスキング処理されることにした。これにより、前記凸波形は電気的に削除され、外光28による影響が表れないようになった。電気的マスキングを施す範囲は、例えば主走査方向11で検出できる最大サイズの原稿幅と、それよりも1サイズ小さい原稿幅の中間の位置から、主走査方向読み取り最大までの範囲である。すなわち、主走査方向における原稿サイズ検出時における原稿カバー3の開角度(閉角度)は外光が電気的マスキングの範囲内になるよう設定される。この範囲で電気的マスキング処理が施された場合、電気的マスキング範囲より小さい幅の原稿は、そのまま、原稿端が検出される。電気的マスキングの範囲に掛かる原稿幅の原稿の場合は、前記電気的マスキングによって、原稿端の判別が出来ない。従って、この場合は、最大原稿サイズと判定する。斯くの如きに構成させた場合、装置手前側に原稿カバー3を不必要に長く伸ばさなくても済む。すなわち、小型化が図れる。かつ、外光に影響せず、全ての大きさの原稿サイズの検出が可能になる。
【0028】
(4) 外光28が該電気的マスキングを行える範囲内になるように、原稿カバー3の開角度(閉角度)が設定される。
【0029】
原稿サイズ検出における外光対策を施した主走査方向の原稿サイズ検出の精度向上を目的として、特開2004−126132号公報では、原稿カバーを閉める際、原稿カバー角度が或る角度に達した時、主走査方向のサイズ検出が行われている。主走査方向のサイズ検出の直前に光学モジュールの光源を消灯した状態でCCD出力を読み取り、外光の入射位置が検知され、これが除去される。これによって、外光の影響が排除されている。しかしながら、特開2004−126132号公報では、原稿カバーが開いている状態から閉じるまでの短い時間に、光源未点灯状態で1回、光源を点灯させて更に1回と合計2回のCCD出力読み取りが行われている。この為、オペレータが急速に原稿カバーを閉じた場合、その速度に原稿検出が追従できず、誤検出となる。一般的に、CCDや光学モジュール用の光源は、電源投入後、安定動作までに数ms〜数十ms程度必要である。更に、CCD出力読み取り回数が増加している為、これに伴うソフト処理が複雑になる。
【0030】
これに対して、本実施形態の装置では、外光が電気的マスキングの範囲になるように原稿カバーの角度が設定されている。従って、外光の入射位置を検知する為のCCD出力確認を事前に実施する必要が無い。主走査方向の原稿サイズ検出用のCCD出力波形確認時の処理についても、取得した出力波形データを外光入射エリアだけ読み捨ててマスキングする処理の為、外光排除の為にソフト制御上特別大きな負荷が掛かることは無い。勿論、外光入射エリアのデータがマスキングで除外されている為、外光の影響を排することが出来ている。従って、少ない処理で外光の影響が排除され、原稿サイズ検出判定が高精度になる。
【0031】
(5) 電気的処理によるマスキングの為、ソフト制御上、特別に大きな負荷が掛かることはない。外光入射エリアのデータがマスキングして除外されている為、外光の影響が排除される。少ない処理で外光の影響が排され、原稿検出精度が向上する。
【0032】
例えば、特開2006-261848号公報は、原稿サイズ検出の手法として、原稿カバーが或る規定の角度になったことの検出が行われると、それをトリガーとして光源を点灯させ、光源が規定光量に達するまでソフト制御によって事前に設定されているタイマ分Waitを掛け、Wait終了後に、初めて、読み取りする手法を提案している。しかしながら、この場合でも、オペレータが急速に原稿カバーを閉じた場合には、タイマが間に合わず、原稿カバーが完全に閉じてからサイズ検出用の読み取りをすることが有る。この為、誤検出の恐れが有った。更に、読み取りを開始する時の原稿カバーの角度が明確ではない為、オペレータによる原稿カバーを閉じる速度の個人差の要因などにより、読み取り時の原稿カバー角度にバラツキが生じる。この為、サイズ検出結果が安定しない。
【0033】
さて、特開2006-261848号公報では、動作のトリガーとなる原稿カバー角度設定は一つしか設定できなかった。これに対して、本実施形態の装置では、トリガーとなる原稿カバーの角度を複数持たせることが出来る。従って、前記課題が解決される。すなわち、本実施形態の装置では、光源を点灯させる原稿カバー開角度と、サイズ検出用の読み取りを行う原稿カバー開角度とを、別々に、設定することで、光源を点灯させるタイミングと読み取りを行うタイミングを制御することが可能になる。各々の動作開始タイミングは異なる原稿カバー開角度で設定されている為、オペレータの操作に拘わらずに、常に、一定のタイミングで読み取りを行うことが出来る。これにより、原稿サイズ検出精度が向上する。
【0034】
原稿カバーの閉速度が、オペレータの原稿カバー閉速度の個人差などの要因により、バラツクことは前述の通りである。この速度のバラツキに対応できるよう、角度センサの信号の切り替わりの瞬間を検出する割り込み処理にて角度検出を行う。検出する角度一つに付き一つの角度検出センサを設け、各々の角度検出センサの切り替わりの瞬間を検出する手法が知られている。しかしながら、割り込み処理を行う為には、基板設計の初期段階で割り込み検出用のポートを設定する必要が有る。設定できるポートの総数はCPU内で限られていること、装置の多機能化に伴って他の機能で必要とされるポート数が増えている傾向にある為、割り込み検出用のポートを余分に設けることが出来ない。この為、原稿サイズ検出角度を増減させる必要が生じた場合に対応できない。そして、原稿サイズ誤検出の恐れが有る。
【0035】
本実施形態の装置では、例えば図1に示される如きの遮蔽板を持つロッドが使用されている。これにより、角度検出のトリガーを一つのフォトセンサ32aのみに集約させ、割り込み検出ポートの数を一つとした。原稿サイズ検出を行う原稿カバー開角度に、信号の切り替わりを設け、割り込み処理が発生した時点で、表1,2に基づき、原稿カバー開角度の判定が行われる。そして、検出すべき原稿カバー角度の増減にも対応が可能となり、原稿サイズ検出が確実になる。
【0036】
以下、本発明になる原稿サイズ検出装置を具備した原稿読取装置が詳細に説明される。
【0037】
図1〜図15は本発明になる原稿サイズ検出装置を具備した原稿読取装置(例えば、複写機)の説明図である。図1は原稿カバーの角度検出機構としてのアクチェータユニット取付の説明図、図2,3は透過型フォトセンサ取付図、図4〜図7は原稿カバー開角度に応じた透過型フォトセンサと遮蔽板との関係を示す説明図、図8は原稿カバー開状態における原稿サイズ検出装置の概略斜視図、図9,10は原稿サイズ検出装置の内部機構を示す概略斜視図、図11は反射型サイズセンサ取付図、図12は原稿カバー閉動作時における外光を示す説明図、図13〜図15は外光が入った時のCCD出力図である。
【0038】
各図中、1は原稿読取装置である。2はADFユニットである。3は原稿カバー(カバー体)である。7は原稿台である。10は副走査方向を示す。11は主走査方向を示す。13は原稿である。22は光学モジュールである。23はレンズである。24は光源である。25はCCD(検出手段)である。26はミラーである。28は外光である。29はCCD波形である。30は外光による波形凸部である。31は外光による原稿端である。32(32a,32b,32c)は透過型フォトセンサである。33はアクチュエータユニットである。34はロッドである。35(35a,35bc)は遮蔽板(遮光板)である。36はスプリングである。37はベースである。38は筐体である。39はマスキング範囲を示す。40はワイヤである。41はドラムである。42は駆動部である。43はレールである。44はサイズセンサである。45は発光部である。46は受光部である。47は基板である。48はホルダである。49はアクチュエータユニット固定孔である。50はネジである。
【0039】
本実施形態における原稿サイズ検出装置は可動式の光学モジュール22を有する。光学モジュール22は、画像読取装置1の原稿台7に載置された原稿13に照射する光源24を有する。光学モジュール22は、光源24から反射された光を折り返して光電変換素子(CCD)25に導く複数のミラー26を有する。光学モジュール22はレンズ23を有する。このレンズ23は、ミラー26とCCD25との間に設けられ、該ミラー26で反射された光を集光し、CCD25に結像させる。光学モジュール22を副走査方向10に移動させる為、光学モジュール22は、副走査方向10に伸びた2本のレール43の上部に載っている。光学モジュール22の両端部にワイヤ40が連結されている。副走査方向(主走査方向11と直交)10に光学モジュール22を走行させる為、ワイヤ40が巻き付けられているドラム41と、ドラム41を回転させる駆動部42とが設けられている。
【0040】
副走査方向10における原稿サイズの検出には、二つの反射型サイズセンサ44が用いられる。反射型サイズセンサ44は、発光部45と受光部46とが対になったものである。反射型サイズセンサ44は、画像読取装置1内の光学モジュール22の軌道であるレール43に取り付けられた二つのホルダ48によって保持されている。反射型サイズセンサ44は、特に、傾斜させて取り付けられている。二つの反射型サイズセンサ44は、副走査方向10方向に長い長方形の基板47の上に実装されている。
【0041】
主走査方向11の原稿サイズの検出には、光源24からの原稿13による反射光に基づくCCD波形が用いられる。原稿サイズ検出の為の光源24の点灯は原稿カバー3の開角度(閉角度)がトリガーとなっている。原稿カバー3の角度(開角度:閉角度)検出機構は、3個の透過型フォトセンサ32(32a,32b,32c)と2枚の遮蔽板35(35a,35bc)とによって構成される。すなわち、透過型フォトセンサ32(32a,32b,32c)が、図1〜図7に示される如く、設けられる。透過型フォトセンサ32は次のようにして取り付けられている。図2に示される如く、筐体38に孔が設けられている。この孔に透過型フォトセンサ32の爪が差し込まれる。これによって、透過型フォトセンサ32は筐体38に掛止(固定)される。このままでは、透過型フォトセンサ32は、爪と孔との掛止によって、引っ掛かっているのみであるから、外力次第で外れる恐れが有る。そこで、2枚の遮蔽板35を具備するアクチェータユニット33のベース37が透過型フォトセンサ32に当接するように押し付けられる。そして、アクチェータユニット33は筐体38の孔49に差し込まれる。すなわち、透過型フォトセンサ32は、ベース37と筐体38とによって挟持されるように設けられる。この後、アクチェータユニット33は、ネジ50で、筐体38に固定される。斯くの如きに構成させることで、透過型フォトセンサ32は、ガタツクことなく、しっかりと、筐体38に取り付けられている。
【0042】
アクチェータユニット33は、透過型フォトセンサ32の光を遮光(遮蔽)または透光(受光)させる為の遮蔽板35(35a,35bc)を、2枚、具備している。更に、ベース37と、ロッド34と、スプリング36とを具備している。ロッド34は、スプリング36によって、上方に付勢されている。閉状態または閉動作中の原稿カバー3がロッド34の先端に当接している。従って、ロッド34の上下方向における高さは原稿カバー3の閉角度(開角度)と関連している。すなわち、ロッド34は、原稿カバー3の開閉動作に連動して、上下動する。但し、原稿カバー3が90°(90°以下でも良い)の如くに大きく開いた状態であって、ロッド34の上端部に原稿カバー3側からの押圧力が作用しなくても、かつ、ロッド34に上方への付勢力がスプリング36によって加えられていても、ロッド34は抜け取れないようになっている。例えば、ベース37又は筐体38の適宜な個所にアクチェータユニット33の一部が引っ掛かり、ロッド34はそれ以上には上方に移動できないようになっている。例えば、遮蔽版35(35a,35bc)は、図4に示される位置より上側に移動できないようになっている。
【0043】
3個の透過型フォトセンサ32(第1のフォトセンサ32a、第2のフォトセンサ32b、第3のフォトセンサ32c)と2枚の遮蔽板35(35a,35bc)との関係は、例えば次のように構成されている。第1のフォトセンサ32aの側方に第2のフォトセンサ32bと第3のフォトセンサ32cとが配置されている。第2のフォトセンサ32bと第3のフォトセンサ32cとは、上下方向において、同一ライン上に配置されている。切欠部を有する遮蔽版35aが第1のフォトセンサ32aに対応して配置されている。上下動する遮蔽版35aは、遮蔽版35aの位置(高さ)によって、第1のフォトセンサ32aの光を遮光(遮蔽)したり、透光(受光)したりする。切欠部を有する遮蔽版35bcが第2のフォトセンサ32b及び第3のフォトセンサ32cに対応して配置されている。上下動する遮蔽版35bcは、遮蔽版35bcの位置(高さ)によって、第2のフォトセンサ32bや第3のフォトセンサ32cの光を遮光(遮蔽)したり、透光(受光)したりする。特に、図4に示される如く、原稿カバー3が十分に開いている状態では、遮蔽板35と透過型フォトセンサ32とは、遮蔽板35(35a,35bc)が透過型フォトセンサ32(第1のフォトセンサ32a、第2のフォトセンサ32b、第3のフォトセンサ32c)の光を遮光(遮蔽)することがないよう構成(配置)されている。原稿カバー3が閉じられて来て、カバー体開角度がα(例えば、18°)になった時、遮蔽板35と透過型フォトセンサ32との関係は、図5に示される如きのものとなるよう構成(配置)されている。すなわち、遮蔽板35aが第1のフォトセンサ32aの光を遮光(遮蔽)し始めるよう構成(配置)されている。かつ、遮蔽板35bcが第2のフォトセンサ32b及び第3のフォトセンサ32cの光を遮光(遮蔽)することがないよう構成(配置)されている。原稿カバー3が更に閉じられて来て、カバー体開角度がα(例えば、12°)になった時、遮蔽板35と透過型フォトセンサ32との関係は、図6に示される如きのものとなるよう構成(配置)されている。すなわち、遮蔽板35aの切欠部が第1のフォトセンサ32aの位置に対応し始めるので、それまで遮光(遮蔽)状態にあった第1のフォトセンサ32aは受光状態に切り換わる。かつ、それ以前において、それまで受光状態にあった第2のフォトセンサ32bは遮蔽板35bcによって遮光(遮蔽)されているよう構成(配置)されている。但し、第3のフォトセンサ32cは、依然として、受光状態である。原稿カバー3が完全に閉じられる(カバー体開角度が0°)ようになると、遮蔽板35と透過型フォトセンサ32との関係は、図7に示される如きのものとなるよう構成(配置)されている。すなわち、遮蔽板35aの切欠部が第1のフォトセンサ32aの位置に対応しているので、第1のフォトセンサ32aは受光状態のままである。遮光状態にあった第2のフォトセンサ32bは遮蔽板35bcによって遮光(遮蔽)されたままである。しかしながら、それまで、ずっと、受光状態にあった第3のフォトセンサ32cは、遮蔽板35bcによって遮光(遮蔽)されるよう構成(配置)されている。
【0044】
この結果、原稿カバー3の閉角度(開角度)に連動して上下動するロッド34(ロッド34と共に上下動する2枚の遮蔽板35(35a,35bc))によって、透過型の第1のフォトセンサ32a、第2のフォトセンサ32b、第3のフォトセンサ32cは、下記の表1の如きの状態(Low(受光)・High(遮光))になる。3個のフォトセンサ32a,32b,32cと2個の遮蔽板35a,35bcとの具体的構成が上記具体例の場合、α=18°,α=12°であった。原稿台7に原稿13が載置され、原稿カバー3が閉じられ出す。原稿カバー3の閉動作開始時においては、3個のフォトセンサ32a,32b,32cと2個の遮蔽板35a,35bcとは、図4に示される状態である。この時点では、遮蔽板35a,35bcはフォトセンサ32a,32b,32cの位置まで到達していない。従って、何れのフォトセンサ32a,32b,32cも、発光部の光を受光部が受光している。この状態におけるフォトセンサ32a,32b,32cの出力はLowである。この出力Low状態(フォトセンサ32a,32b,32cの受光部は発光部の光を受光)が原稿カバー3の開角度(閉角度)が18°まで続く。原稿カバー3の開角度(閉角度)が18°に至ると、遮蔽板35aの下端部がフォトセンサ32aの発光部の光を遮光する(図5参照)。これによって、第1のフォトセンサ32aは出力がLowからHighに変化する(切り替わる)。但し、第2のフォトセンサ32bや第3のフォトセンサ32cは、遮蔽板35bcがフォトセンサ32b,32cの発光部の光を遮光していないので、フォトセンサ32b,32cの発光部の光は受光部で受光されている。従って、フォトセンサ32b,32cの出力はLowのままである。第2のフォトセンサ32b及び第3のフォトセンサ32cの出力がLowで、かつ、第1のフォトセンサ32aの出力がLowからHighに変化した時点は、原稿カバー3の開角度(閉角度)がα(例えば、18°)である。原稿カバー3が引き続いて閉じられる。原稿カバー3の開角度(閉角度)がα(例えば、12°)に至るまでは、3個のフォトセンサ32a,32b,32cの状態は、原稿カバー3の開角度(閉角度)がα(例えば、18°)の時と同じである。そして、原稿カバー3の開角度(閉角度)がα(例えば、12°)に至った時点で、遮蔽板35aによる遮光が解除される。すなわち、第1のフォトセンサ32aの発光部の光は受光部で受光される。従って、第1のフォトセンサ32aは出力がHighからLowに変化する(切り替わる)。原稿カバー3の開角度(閉角度)が12°の時点で、遮蔽板35bcがフォトセンサ32bの発光部の光を遮光する。これによって、第2のフォトセンサ32bは出力がLowからHighに変化する(切り替わる)。但し、第3のフォトセンサ32cは、遮蔽板35bcがフォトセンサ32cの発光部の光を遮光していないので、フォトセンサ32cの発光部の光は受光部で受光されている(図6参照)。従って、フォトセンサ32cの出力はLowのままである。更に引き続いて原稿カバー3は閉じられる。完全に閉じられるまでは、原稿カバー3の開角度(閉角度)が12°の時点と同様である。そして、完全に閉じられても、第1のフォトセンサ32aや第2のフォトセンサ32bは、それまでの状態と同じであるものの、第3のフォトセンサは、遮蔽板35bcによって、始めて、遮光される(図7参照)。すなわち、第3のフォトセンサは、出力がLowからHighに変化する(切り替わる)。

【0045】
本実施形態の原稿サイズ検出装置はマスキング装置(図示せず)を具備している。このマスキング装置は、CCD25によって読み取られた原稿13からの反射光などが光電変換された情報(CCD出力波形29)における原稿端相当部29aの判別が正しく行われるのを容易にするものである。CCD出力情報に対してマスキング装置による電気的処理が行われると、CCD出力波形29の所望の領域がマスキングされる。すなわち、カバー体3が完全に閉じられた状態であれば、CCD25は、基本的には、点灯した光源24の光の原稿13による反射光しか受光しない。しかしながら、カバー体3が完全に閉じられてなければ、CCD25は前記反射光の他にも外光を受光する。この外光が除外されなければ、CCD出力波形29から原稿の大きさを判定することは出来ない。そこで、本実施形態にあっては、前記外光に起因した誤判をなくす為、マスキング装置が、外光に起因するCCD出力情報をマスキングするものとした。尚、このようなマスキング装置は公知であるから、詳細は省略される。そして、前記マスキング装置でマスキングされたCCD出力情報に基づいて前記原稿13の主走査方向の大きさの判定が行われる。
【0046】
次に、上記実施形態の原稿サイズ検出装置の動作が説明される。原稿サイズ検出は、原稿カバー3の開角度(閉角度)αがトリガーとして行われる。原稿カバー3が開いた状態から閉まった状態(α=0°)になるまでに、(1) 原稿カバー開、(2) 光源の点灯(α=18°)、(3) 副走査方向の原稿サイズ検出(α=18°)、(4) 主走査方向の原稿サイズ検出(α=12°)、(5) 原稿カバー閉(α=0°)の順番で動作が進む。原稿カバー3の角度検出機構である3個の透過型フォトセンサ32a,32b,32cとアクチェータユニット33(特に、2枚の遮蔽板35a,35bc)とによって、角度αの検出が行われ、上記(1)(2)(3)(4)(5)の動作が進む。
【0047】
上記(1)の動作が更に詳しく説明される。原稿カバー3が十分に開いている状態の時、アクチェータユニット33のロッド34は原稿カバー3によって、押し込まれていない。この時、3個の透過型フォトセンサ32a,32b,32cは表1における[カバー体開角度>α(例えば、18°)]の状態であり、CPUは原稿カバー3が開いていると判断する。
【0048】
この後、引き続いて、原稿カバー3は閉方向に動く。そうすると、3個の透過型フォトセンサ32a,32b,32cは、原稿カバー3と連動するロッド34に取り付けられている遮蔽板35a,35bcによって、表1における[カバー体開角度=α(例えば、18°)]の状態に至る。カバー体開角度がα(例えば、18°)時における3個の透過型フォトセンサ32a,32b,32cからの出力情報を受けて、CPUは原稿カバー3の開角度(閉角度)がα(例えば、18°)であると判断する。そこで、これをトリガーとして、CPUは光源24を点灯させる。
【0049】
光源24の点灯をトリガーとして、副走査方向10の原稿サイズの検出が行われる。すなわち、2個のサイズセンサ44の出力信号に基づいて、副走査方向10の原稿サイズの検出が行われる。この副走査方向10の原稿サイズの検出は従来と同じであるから詳細は省略される。
【0050】
この後、引き続いて、原稿カバー3は閉方向に動く。そうすると、3個の透過型フォトセンサ32a,32b,32cは、原稿カバー3と連動するロッド34に取り付けられている遮蔽板35a,35bcによって、表1における[カバー体開角度=α(例えば、12°)]の状態に至る。カバー体開角度がα(例えば、12°)時における3個の透過型フォトセンサ32a,32b,32cからの出力情報を受けて、CPUは原稿カバー3の開角度(閉角度)がα(例えば、12°)であると判断する。これをトリガーとして、前記α(例えば、18°)時に点灯させた光源24の光が原稿13で反射された反射光のCCD出力波形29の状態を、CPUが判断する。このα時、原稿カバー3は完全には閉じていないことから、外光28が読取り範囲に入光する。従って、CCD25は、原稿13からの反射光と前記外光28との双方を受光し、合成情報が出力される。この合成情報(CCD出力波形)には、外光28に起因した凸波形30が存在する。ところが、本実施形態の装置にあっては、マスキング装置よる電気的マスキング処理が行われ、前記凸波形30はマスキングされている。そして、CPUは、High状態の出力波形端部29aが主走査方向11における原稿端であると判断する。これによって、主走査方向11における原稿の大きさが判る。しかしながら、原稿の大きさによっては、High状態の出力波形端部がマスキング領域に続いている場合も有る。このような場合には、CPUは、主走査方向11における原稿サイズは最大サイズのものであると判断する。すなわち、電気的なマスキング処理により、外光の影響が防止され、外光に起因した原稿サイズ検出のミスが起きない。
【0051】
この後、引き続いて、原稿カバー3は閉方向に動く。そうすると、3個の透過型フォトセンサ32a,32b,32cは、原稿カバー3と連動するロッド34に取り付けられている遮蔽板35a,35bcによって、表1における[カバー体開角度=0°]の状態に至る。この時、CPUは原稿カバー3が完全に閉じたと判断する。
【符号の説明】
【0052】
1 原稿読取装置
2 ADFユニット
3 原稿カバー
7 原稿台
10 副走査方向
11 主走査方向
13 原稿
22 光学モジュール
24 光源
25 CCD
28 外光
29 CCD波形
30 波形凸部
31 外光による原稿端
32,32a,32b,32c 透過型フォトセンサ
33 アクチュエータユニット
34 ロッド
35,35a,35bc 遮蔽板
37 ベース
38 筐体
39 マスキング範囲
44 サイズセンサ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台と、
前記原稿台に置かれた原稿に光を照射する光源と、
前記原稿台に置かれた原稿を覆うカバー体と、
前記光源からの光が前記原稿台に置かれた原稿によって反射された反射光を検出する検出手段と、
第1のフォトセンサ、第2のフォトセンサ、及び第3のフォトセンサと、
前記カバー体の開角度に起因して前記3個のフォトセンサを下記表1または下記表2の如くに動作せしめる遮蔽板と、
前記検出手段の出力信号に基づいて、前記カバー体の開角度がαの時に、前記原稿の副走査方向の大きさの判定を行い、前記カバー体の開角度がα(α>α)の時に、前記原稿の主走査方向の大きさの判定を行う判定手段
とを具備することを特徴とする原稿サイズ検出装置。


【請求項2】
前記αは5°〜25°であり、前記αは4°〜24°であり、1°≦α−α≦10°である
ことを特徴とする請求項1の原稿サイズ検出装置。
【請求項3】
前記カバー体の閉角度がαの時に前記光源が点灯して前記反射光が前記検出手段で検出され、前記検出手段の出力信号に基づいて、前記判定手段が原稿の主走査方向の大きさの判定を行うよう構成されてなる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の原稿サイズ検出装置。
【請求項4】
前記遮蔽板は第1の遮蔽板と第2の遮蔽板とを具備し、
前記第1の遮蔽板および前記第2の遮蔽板は切欠部が構成されてなり、
前記切欠部を有する第1の遮蔽板の動作によって前記第1のフォトセンサが前記表1または前記表2の如くに動作し、かつ、前記切欠部を有する第2の遮蔽板の動作によって前記第2のフォトセンサ及び前記第3のフォトセンサが前記表1または前記表2の如くに動作するよう構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの原稿サイズ検出装置。
【請求項5】
前記第1のフォトセンサと前記第2のフォトセンサとは上下方向において異なるライン上に配置され、
前記第2のフォトセンサと前記第3のフォトセンサとは上下方向において同一ライン上の異なる位置に配置されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかの原稿サイズ検出装置。
【請求項6】
前記カバー体は前記原稿台の一端側における前記副走査方向の軸芯を中心として回動開閉式に構成されてなり、
前記遮蔽板は前記カバー体の回動軸芯側の端部に配置されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかの原稿サイズ検出装置。
【請求項7】
前記検出手段の出力信号に加わった前記カバー体の開角度α時に入射して来た外光に基づく信号をマスキングするマスキング手段を具備する
ことを特徴とする請求項1〜請求項6いずれかの原稿サイズ検出装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−42373(P2013−42373A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178065(P2011−178065)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】