説明

原稿圧着板の開閉装置

【課題】開閉装置を、画像読取り装置の装置本体から取り外すことなく、容易に且つ迅速に調節操作することができる原稿圧着板の開閉装置を提供する。
【解決手段】画像読取り装置の装置本体に取り付けられる取付部材と、該取付部材にヒンジ軸を介して回動自在に枢着されると共に原稿圧着板を支持する支持アーム部材と、該支持アーム部材内に摺動自在に設けられる一対の第1スライダーおよび第2スライダーと、これら第1および第2スライダー間に挟設される圧縮コイルスプリングと、から成る原稿圧着板の開閉装置において、上記第1スライダーおよび第2スライダーのいずれか一方のスライダーの内側に固設される固定ネジと、該固定ネジに回転自在に螺合する弾力調整円盤と、該弾力調整円盤の外周部に設けられる回転操作手段と、から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、スキャナー、或いは、これら複合機器等の画像読取り装置における原稿圧着板の開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の原稿圧着板の開閉装置としては、上記画像読取り装置の装置本体に取り付けられる取付部材と、該取付部材に回動自在に枢着されると共に原稿圧着板を支持する支持アーム部材と、該支持アーム部材内に摺動自在に納められる第1スライダーおよび第2スライダーと、これらのスライダー間に挟装されると共に上記原稿圧着板を開く方向に上記支持アーム部材を付勢する圧縮コイルバネと、該圧縮コイルバネの付勢力(弾力)を調節する手段と、から成る原稿圧着板の開閉装置があった。
【0003】
そして、上記圧縮コイルバネの弾力を調節する手段は、一方のスライダー内に回転可能に設けられ、圧縮コイルバネ内に延びるアジャスト部を有する操作プレートと、該アジャスト部に軸方向に設けられ、軸回りに回転しないと共に上記圧縮コイルバネの端部が当接するアジャストプレートと、上記操作プレートに設けられ、上記スライダーに設けられた貫通孔から外部に露出される操作部とを有し、該操作部を介して上記操作プレートを回転させてアジャスト部に対するアジャストプレートの位置を調節して圧縮コイルバネの弾力を調節するように構成されていた。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−58790
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の原稿圧着板の開閉装置における圧縮コイルバネの弾力を調節する手段は、上記操作プレートに設けられた操作部が、上記スライダーに設けられた貫通孔から外部に露出して、該貫通孔の外部から調節操作するように構成されているので、開閉装置を、画像読取り装置の装置本体から取り外さないと、調節操作をすることができない等の問題点があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解決して、開閉装置を、画像読取り装置の装置本体から取り外すことなく、容易に且つ迅速に調節操作することができる原稿圧着板の開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の原稿圧着板の開閉装置は、画像読取り装置の装置本体に取り付けられる取付部材と、該取付部材にヒンジ軸を介して回動自在に枢着されると共に原稿圧着板を支持する支持アーム部材と、該支持アーム部材内に摺動自在に設けられる一対の第1スライダーおよび第2スライダーと、これら第1および第2スライダー間に挟設される圧縮コイルスプリングと、から成る原稿圧着板の開閉装置において、上記第1スライダーおよび第2スライダーのいずれか一方のスライダーの内側に固設される固定ネジと、該固定ネジに回転自在に螺合する弾力調整円盤と、該弾力調整円盤の外周部に設けられる回転操作手段と、から構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の原稿圧着板の開閉装置は、開閉装置を、画像読取り装置の装置本体から取り外すことなく、容易に且つ迅速に調節操作することができる。特に、開閉装置の正面からアクセスして、弾力調整円盤を容易に回転操作できるので、本開閉装置を取り付けた画像読取り装置の本体(この種の多くの装置は建物の壁面や書棚等を背にして、接触状態で配置されている)および原稿圧着板を移動させる必要は無い。また、回転操作は、手や例えばスパナなどの簡単な工具により容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の原稿圧着板の開閉装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2A】図1の開閉装置の縦断斜視図である。
【図2B】図1の開閉装置の縦断側面図である。
【図3A】図1の開閉装置の開状態の縦断斜視図である。
【図3B】図1の開閉装置の開状態の縦断側面図である。
【図4】図3Aの部分拡大説明図である。ただし、圧縮コイルスプリングは除去されている。
【図5】弾力調整円盤の操作説明図である。ただし、圧縮コイルスプリングおよび低摩擦円盤は除去されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の原稿圧着板の開閉装置の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の原稿圧着板の開閉装置の一実施例を示す斜視図、および図2Aはその縦断斜視図および図2Bは縦断側面図であって、1は複写機などの画像読取り装置の機器本体(図示せず)に取り付け固定される取付部材、2は該取付部材1にヒンジ軸3を介して回動自在に枢着される支持アーム部材、および4は該支持アーム部材2にリフト軸5を介して回動自在に支持されるリフトアーム部材である。
【0011】
上記リフト軸5は、上記支持アーム部材2の先端部(上記ヒンジ軸3から離れた位置)に設けられ、上記リフトアーム部材4を上記支持アーム部材2とは逆方向に、しかもこれと重なる(支持アーム部材2がリフトアーム部材4内に納まる)ように回動するよう構成されている。該リフトアーム部材4には、原稿圧着板(図示せず)が装着される。該原稿圧着板には、必要に応じて、ADF(原稿自動送り装置)が設けられる。
【0012】
図3A、3Bから明らかなように、上記支持アーム部材2は、上記リフトアーム部材4と共に、上記取付部材1に対して上記ヒンジ軸3を中心に回動して、上記原稿圧着板(図示せず)を開状態にすることができる。
【0013】
図2A、2Bおよび図3A、3Bから明らかなように、上記支持アーム部材2内には、一対の第1スライダー6および第2スライダー7が摺動自在に設けられている。これらの第1および第2スライダー6,7間には、圧縮コイルスプリング8(本実施例では4つのコイルスプリングが同心円状に重なっている。)が挟まれて圧縮状態で収容されていて、上記第1スライダー6を作動ピン9に弾性的に押圧するようになっている。該作動ピン9は、上記リフトアーム部材4とともに上記リフト軸5を中心に回動するように、該リフトアーム部材4に取り付けられている。また、上記圧縮コイルスプリング8は、上記第2スライダー7にも弾性的に押接されている。
【0014】
上記第2スライダー7の外方(図2Bにおいて左方)には、受圧ピン10が配置されている。該受圧ピン10は、上記ヒンジ軸2と平行に上記取付部材1に取り付けられている。該受圧ピン10には、上記第2スライダー7の外側に一体的に形成されているカム部7aが、上記圧縮コイルスプリング8の弾発力により弾性的に押接している。
【0015】
図4からも明らかなように、上記第2スライダー7の内側(圧縮コイルスプリング8側)には、固定基板11aを介して、固定ネジ11が埴設されている。詳細には、上記第2スライダー7の内側に固定基板11aを一体的に取り付け、該固定基板11aに明けた孔に、固定ネジ11の基部を圧入して、カシメ状態で固設する。なお、固定ネジ11の固定方法は、溶接やネジ止め等であってもよく、上記圧入に限定するものではない。
【0016】
上記固定ネジ11には雄ネジが形成されていて、上記弾力調整円盤12の孔に形成された雌ネジと回転自在に螺合している。従って、弾力調整円盤12を回転させると、該弾力調整円盤12が上記固定ネジ11の軸方向(図4で上下方向)に移動する。上記弾力調整円盤12の外周部には回転操作手段である操作用突起12aが形成されていて、該弾力調整円盤12を容易かつ確実に回転操作することができるようにしている。該回転操作手段は、上記操作用突起12aに限定するものではなく、多数の放射状の穴など、要するに、上記弾力調整円盤12を外周側から回転操作し得る構造のものであれば、いずれの構成でもよい。なお、上記固定ネジ11の長さ(先端部の高さ)を可変に構成することで、該固定ネジ11の先端部にダンパー14の端部が当接してこれが効くタイミングを変えることができ、その結果、原稿圧着板の開閉角度を変えることができる。
【0017】
7bは操作用開口であって、上記第2スライダー7のバネカバー7cの上記弾力調整円盤12の外周部に対面する部分に開設されており、上記操作用突起12aを外部から操作できるようになっている。該操作用開口7bは、不使用時に粘着テープ等のシール材により閉塞することが、安全上あるいは故障原因を無くす上などで、望ましい。
【0018】
13は低摩擦(摩擦抵抗の低い)材料から成る低摩擦円盤であって、上記弾力調整円盤12と上記圧縮コイルスプリング8の間に挟設されている。従って、上述のように弾力調整円盤12を回転させても、上記低摩擦円盤13の滑り作用により、その回転トルクは上記圧縮コイルスプリング8に伝わり難くなる。上記低摩擦円盤13に代えて、或いは該低摩擦円盤13と共に、上記弾力調整円盤12のスプリング側表面を鏡面処理や低摩擦剤によるコーティング処理して、上記圧縮コイルスプリング8へのトルク伝達を少なくするようにしてもよい。なお、上記弾力調整円盤12は、一対の第1スライダー6および第2スライダー7のいずれか一方あるいは両方に配置することができる。
【0019】
なお、14は、オイルダンパーであって、原稿圧着板の開閉の急な動きを緩衝する。上記実施例では、圧縮コイルスプリング8を1箇所に配置したが、2箇所に併設してもよい。また、百科事典のように厚い原稿を対象にしない場合には、上記リフトアーム部材4、リフト軸5、作動ピン9等を省略して、原稿圧着板を支持アーム部材2に取り付けるようにしてもよい。この場合、第1スライダー6は、支持アーム部材2に端板等を設けて、これに当接せしめる。
【0020】
上記実施例では、上記固定ネジ11や上記弾力調整円盤12などを、上記第2スライダー7側に設ける構成で説明したが、上記第1スライダー6側に設けてもよい。
【符号の説明】
【0021】
1 取付部材
2 支持アーム部材
3 ヒンジ軸
4 リフトアーム部材
5 リフト軸
6 第1スライダー
7 第2スライダー
7a カム部
7b 操作用開口
8 圧縮コイルスプリング
9 作動ピン
10 受圧ピン
11 固定ネジ
11a 固定基板
12 弾力調整円盤
12a 操作用突起
13 低摩擦円盤
14 オイルダンパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取り装置の装置本体に取り付けられる取付部材と、該取付部材にヒンジ軸を介して回動自在に枢着されると共に原稿圧着板を支持する支持アーム部材と、該支持アーム部材内に摺動自在に設けられる一対の第1スライダーおよび第2スライダーと、これら第1および第2スライダー間に挟設される圧縮コイルスプリングと、から成る原稿圧着板の開閉装置において、上記第1スライダーおよび第2スライダーのいずれか一方のスライダーの内側に固設される固定ネジと、該固定ネジに回転自在に螺合する弾力調整円盤と、該弾力調整円盤の外周部に設けられる回転操作手段と、から構成されることを特徴とする原稿圧着板の開閉装置。
【請求項2】
前記回転操作手段が、弾力調整円盤の外周部に形成される操作用突起であることを特徴とする請求項1に記載の原稿圧着板の開閉装置。
【請求項3】
前記スライダーのバネカバーの上記弾力調整円盤の外周部に対面する部分に、操作用開口を開設することを特徴とする請求項1または2に記載の原稿圧着板の開閉装置。
【請求項4】
前記弾力調整円盤と圧縮コイルスプリングの間に、低摩擦円盤を挟設することを特徴とする請求項1、2または3に記載の原稿圧着板の開閉装置。
【請求項5】
前記支持アーム部材2の先端部に、リフト軸を介してリフトアーム部材を回動自在に設け、該リフトアーム部材に上記原稿圧着板を装着することを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の原稿圧着板の開閉装置。
【請求項6】
前記固定ネジの長さを変えるように構成することを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の原稿圧着板の開閉装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−181416(P2012−181416A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45003(P2011−45003)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(592264101)下西技研工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】