説明

原稿搬送装置

【課題】原稿移動、光学系固定型の原稿搬送装置において、画像読み取り時の原稿ぶれ等を防ぎ、画像ジターの発生をおさえる原稿搬送装置を提供することを課題とする。
【解決手段】読み取り部10の上のコンタクトガラス101上を原稿1が搬送される際に、搬送ベルト駆動ローラ11および搬送ベルト従動ローラ12を懸架する搬送ベルト13によって、原稿1をコンタクトガラス101上に面で加圧される様にして、読み取り部10上での原稿ぶれ等を防ぎ、画像ジターの発生をおさえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機やファクシミリ装置の原稿移動、光学系固定型のADFに係り、特に読み取り部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー機やファクシミリ装置の原稿移動、光学系固定型のADF(いわゆるシートスルータイプ)には、特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
この特許文献1に記載されたものにおいては、図5に示すように、原稿Pは搬送ローラ204により導入バス205内を通して読み取り位置202へ導かれる。読み取り位置202の上方近傍には、読み取り位置202と協働してシートガイドを構成するガイド板203が配設されている。さらに読み取り位置202の下方には、原稿Pの画像情報を読み取るための光学系201が固定状態で配設されている。このように、画像情報の読み取りは、光学系201を固定し、原稿Pを移動しながら読み取る流し込みで行われる。
【0004】
また、読み取り部の上方で原稿をおさえる原稿搬送装置として、特許文献2に記載されたものがある。
【0005】
この特許文献2に記載されたものにおいては、図6に示すように、原稿用紙210は原稿送給経路213を通して、写像ステーション212に搬送され、光学系211の上方で搬送ローラ214によってコンタクトガラス215に押し付けられ、光学系211によって読み取られる。
【特許文献1】特開平6−247642号公報
【特許文献2】特開平7−175279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような自動原稿送り装置のように、コンタクトガラスと対向する位置にガイド板を設けた場合では、ガイド板とコンタクトガラスとの間で原稿があばれ、特に、原稿先端が読み取り部下流のローラに進入するとき、また、原稿後端が読み取り部上流のローラを抜けるとき、原稿の搬送が不安定になり、画像ジターが発生する。
【0007】
一方、上記特許文献2に記載されているような原稿処理機にあっては、読み取り部の上に、原稿をコンタクトガラスに接触させるローラが設けられているが、コンタクトガラスとは点接触であるため、上記特許文献1に記載されているものよりは有利であるものの、上記と同様に原稿の搬送が不安定になることによる画像ジターが発生するという欠点があった。
【0008】
そこで本発明は、画像読み取り位置上を原稿がコンタクトガラス上に面で接触するようにして原稿を搬送させ、画面ジターを防ぎ、高精度な画像読み取りを実現させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、上記目的達成のため、原稿を搬送させながら読み取る原稿搬送装置において、所定の読み取り位置でコンタクトガラス上の原稿を読み取る原稿読み取り手段と、前記原稿を読み取り位置を含む前後で前記コンタクトガラスに加圧させながら、前記コンタクトガラス上を搬送させる原稿搬送手段と、を備え、前記原稿搬送手段は、無端状の搬送ベルトと、第1の加圧位置で前記搬送ベルトを前記コンタクトガラスに加圧させる駆動ローラと、コンタクトガラスの原稿搬送方向に延在する方向において前記駆動ローラの隣の第2の加圧位置で前記搬送ベルトを前記コンタクトガラスに加圧させる加圧ローラと、を有し、前記読み取り位置を、前記第1の加圧位置と前記第2の加圧位置との間に配置することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の原稿搬送装置によれば、読み取り位置の前後で原稿をコンタクトガラスに加圧させているので、原稿が読み取り位置の前後でコンタクトガラスと面で接触するため、原稿のぶれ等が無く、画像ジターの発生をおさえることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1〜図4は、本発明に係る原稿搬送装置の両面原稿読み取りタイプの一実施例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、原稿搬送装置は、原稿テーブル2,給紙ガイド板3,底板4,コロ5,分離ベルト6,分離コロ7,プルアウトローラ8,プルアウト従動ローラ9,読み取り部10,搬送ベルト駆動ローラ11,搬送ベルト従動ローラ12,搬送ベルト13,補助ローラ14,補助従動ローラ15,排紙ローラ16,排紙下従動ローラ17,排紙上従動ローラ18,切替爪19,排紙部20,反転ローラ21,反転従動ローラ22,中間トレイ23,排紙センサ24,ガイド部材50,本体100およびコンタクトガラス101を備えている。
【0014】
この原稿搬送装置においては、原稿テーブル2上に第一画像面を上向きに原稿1をセットし、本体100からの信号により最上位の原稿1から一枚ずつ順に給送される。以下に、その動作手順を説明する。
【0015】
原稿1の先端は、給紙ガイド板3に突き当たることにより位置決めされる。
【0016】
底板4は、図示していないSOLにより支点4aを中心に矢印A方向へ上昇し、原稿1を下から呼び出し、コロ5に加圧する。加圧された原稿1は最上位から順に分離ベルト6,分離コロ7および外装を兼ねたガイド部材50からなる分離部へ給送され1枚ずつ分離される。
【0017】
分離された原稿1は、プルアウトローラ8,プルアウト従動ローラ9とを有する第一搬送経路を通り、読み取り部10へ搬送される。読み取り部10は、コンタクトガラス101,搬送ベルト駆動ローラ11,搬送ベルト従動ローラ12,搬送ベルト13からなり、搬送ベルト13は、コンタクトガラス101に加圧することにより搬送力を得ている。
【0018】
第一画像面のみの読み取り(片面モード)の場合は、原稿1は読み取り部10にて、画像情報を読み取られた後、補助ローラ14,補助従動ローラ15,排紙ローラ16,排紙下従動ローラ17とを有する第二搬送経路を通り排紙部20へ搬送される。切替爪19は、通常はBの位置に保持されている。
【0019】
第一画像面および第二画像面読み取り(両面モード)の場合は、第一画像面読み取り後、第二搬送経路を通り、排紙センサ24に原稿先端が到達したのを検知して切替爪19が図示していないSOLによりB’の位置に下降し、反転ローラ21,反転従動ローラ22とを有するスイッチバックパスである第三搬送経路を通り中間トレイ23上に搬送される。切替爪19は、原稿後端が排紙センサ24を通過し一定時間(原稿後端が排紙ローラ16を通過し、切替爪19上に達するまでの時間)経過した後、図示していないSOLが解除されることによりBの位置に復帰する。
【0020】
切替爪19復帰後、反転ローラ21が逆回転し、排紙ローラ16,排紙上従動ローラ18とを有する第四搬送経路に進入する。原稿先端は、排紙ローラ16,排紙上従動ローラ18とのニップ部に進入するが、このとき、排紙ローラ16は停止しており、いわゆるスキューの突き当て補正を行う。突き当て補正終了後、原稿1は、第四搬送経路および第一搬送経路を通り読み取り部10にて第二画像面の画像情報を読み取られる。
【0021】
第二画像面読み取り後、このままの状態で排紙部20へ排出すると、第二画像面が下向きでスタックされ、原稿のページ順狂いが生じる。第一画像面が下向きでスタックされるよう、原稿1は、第二搬送経路を通り、切替爪19がB’の位置に下降し、第三搬送経路を通り、中間トレイ23上に搬送された後、切替爪19がBの位置に復帰し、第四搬送経路、第一搬送経路、第二搬送経路を通って排紙部20へ排出される。
【0022】
第2図では、搬送ベルト13内に加圧部材である加圧ローラ25を設けた例を示す。
【0023】
加圧ローラ25は、自重により落下し、搬送ベルト13をはさんでコンタクトガラス101に接している。
【0024】
これにより、コンタクトガラス101と搬送ベルト13との密着度が増し、加圧ローラ25が無い場合よりも大きな搬送力を得ることができる。
【0025】
第3図では、加圧ローラ25に自重以上の圧を与えた例を示す。
【0026】
加圧ローラ25の軸受け31に受け部材33を介して圧縮スプリング32を設けることで、加圧ローラ25に矢印C方向への圧を与え、自重のみの場合よりも大きな搬送力を得ることができる。
【0027】
第4図は、加圧ローラ25が発泡材である例を示す。
【0028】
加圧ローラ25は、固定されており、加圧ローラ25の中心からコンタクトガラス101までの距離Dよりも、加圧ローラ25の自然状態での半径を大きく設定してある。このため、加圧ローラ25は押しつぶされる形になり、そのときの発泡材の反発力により、加圧ローラ25は、搬送ベルト13に加圧する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る原稿搬送装置の一実施例を示す図である。
【図2】搬送ベルト内に加圧ローラを設けた図である。
【図3】加圧ローラに自重以上の圧を与えた例を示す図である。
【図4】加圧ローラに発泡材を使用した例を示す図である。
【図5】従来の自動原稿送り装置の一例を示す図である。
【図6】従来の原稿処理機の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 原稿
2 原稿テーブル
3 給紙ガイド板
4 底板
5 コロ
6 分離ベルト
7 分離コロ
8 プルアウトローラ
9 プルアウト従動ローラ
10 読み取り部
11 搬送ベルト駆動ローラ
12 搬送ベルト従動ローラ
13 搬送ベルト
14 補助ローラ
15 補助従動ローラ
16 排紙ローラ
17 排紙下従動ローラ
18 排紙上従動ローラ
19 切替爪
20 排紙部
21 反転ローラ
22 反転従動ローラ
23 中間トレイ
24 排紙センサ
25 加圧ローラ
31 軸受け
32 圧縮スプリング
33 受け部材
50 ガイド部材
100 本体
101 コンタクトガラス
201 光学系
202 読み取り位置
203 ガイド板
204 搬送ローラ
205 導入バス
210 原稿用紙
211 光学系
212 写像ステーション
213 原稿送給経路
214 搬送ローラ
215 コンタクトガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送させながら読み取る原稿搬送装置において、
所定の読み取り位置でコンタクトガラス上の原稿を読み取る原稿読み取り手段と、
前記原稿を読み取り位置を含む前後で前記コンタクトガラスに加圧させながら、前記コンタクトガラス上を搬送させる原稿搬送手段と、を備え、
前記原稿搬送手段は、無端状の搬送ベルトと、第1の加圧位置で前記搬送ベルトを前記コンタクトガラスに加圧させる駆動ローラと、コンタクトガラスの原稿搬送方向に延在する方向において前記駆動ローラの隣の第2の加圧位置で前記搬送ベルトを前記コンタクトガラスに加圧させる加圧ローラと、を有し、
前記読み取り位置を、前記第1の加圧位置と前記第2の加圧位置との間に配置することを特徴とする原稿搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−168995(P2006−168995A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364281(P2005−364281)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【分割の表示】特願平9−214273の分割
【原出願日】平成9年8月8日(1997.8.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】