説明

原稿画像読取用照明装置、画像読取装置および画像形成装置

【課題】読み取られた原稿画像の画質低下を低減しつつ、無駄な電力消費を低減すること。
【解決手段】画像が記録された原稿(Gi)の幅方向全域に照射される照射光を発光する光源(1,1′)であって、発光する平面状の発光部(1a,1a′)を有し、前記原稿(Gi)の幅方向両端部に対応する前記発光部(1a,1a′)の発光面積(Sb)が、前記原稿の幅方向中央部に対応する前記発光部(1a,1a′)の発光面積(Sa)に比べて大きい前記発光部(1a,1a′)を有する前記光源(1,1′)を備えたことを特徴とする原稿画像読取用照明装置(A1,A1′,A1″)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像読取用照明装置、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源から照射された照射光を、プラテンガラス上の原稿で反射させ、反射された反射光を、反射ミラーで反射させて結像レンズで集束させて固体撮像素子で撮像することにより、前記原稿の画像を読み取る画像読取装置、いわゆる、スキャナが知られている。
前記画像読取装置では、前記結像レンズにより前記原稿からの反射光が集束されるため、コサイン4乗則により、前記原稿の幅方向の両端部に近付くほど前記反射光の光量が低下し、画像が暗くなった状態で撮像されることが知られている。なお、コサイン4乗則とは、前記固体撮像素子に入射する入射角、いわゆる、画角をθとし、入射前の光の照度をLとし、入射後の光の照度をLとした場合、前記照度Lが、以下の式(1)で示される法則のことである。
L=Lcosθ …(1)
【0003】
このため、前記画像読取装置では、前記幅方向両端部の反射光の前記照度Lに定数を積算することにより、前記幅方向両端部および前記幅方向中央部の反射光の各照度Lを同じにする処理、いわゆる、シェーディング処理や、前記結像レンズに対して、前記反射光の入射方向上流側に遮光板を配置し、前記幅方向中央部の反射光を遮光することにより、前記幅方向両端部および前記幅方向中央部の反射光の各照度Lを同じにする処理、いわゆる、サジタルストップが一般的に行われている。
すなわち、従来公知の前記画像読取装置では、撮像されたノイズ成分も前記定数で増幅させる可能性がある前記シェーディング処理や、前記反射光が遮光されて前記幅方向中央部の絶対光量を落として前記光源のエネルギーの無駄を発生させる前記サジタルストップが行われることにより、前記幅方向両端部が暗くならないように前記画像を補正している。
【0004】
また、近年、前記画像読取装置において、前記光源の小型化や、前記光源の消費電力や発熱量の低減のため、有機エレクトロルミネッセンス、いわゆる、有機ELを用いた有機EL光源が採用され始めている。
前記有機EL光源を有する前記画像読取装置について、例えば、下記の特許文献1に記載の技術が知られている。
【0005】
特許文献1としての特開2000−115470号公報には、光源から照射された照射光を、原稿台ガラス(2)上の原稿(1)で反射させ、反射された反射光を、反射ミラー(6,7)で反射させ、結像レンズ(8)で集束させて光電変換素子(9)で原稿画像を読み取る原稿読取装置において、前記光源を、前記原稿(1)に対向する2つの発光領域を有する発光面(12)と、前記2つの発光領域の挟部としてのスリット部(13)とを有するコの字型のエレクトロルミネッセンスランプ、いわゆる、ELランプ(11)によって構成する技術が記載されている。
【0006】
特許文献1には、前記発光面(12)を、前記原稿(1)および前記原稿台ガラス(2)に対して平行に配置し、且つ、前記反射光を、前記スリット部(13)から前記スリット部(13)の垂直下方に設けられた前記反射ミラー(6)に導出することにより、前記原稿(1)において、前記スリット部(13)の中央部を照明中心とする広範囲で一様な光量分布を形成させる技術が記載されている。
すなわち、特許文献1には、コサイン4乗則を考慮せず、前記2つの発光領域により、前記原稿(1)の幅方向および長さ方向の広範囲を同じ光量で照射する技術が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−115470号公報(「0003」、「0004」、「0014」〜「0018」、図1〜図3、図6、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、読み取られた原稿画像の画質低下を低減しつつ、無駄な電力消費を低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の原稿画像読取用照明装置は、
画像が記録された原稿の幅方向全域に照射される照射光を発光する光源であって、発光する平面状の発光部を有し、前記原稿の幅方向両端部に対応する前記発光部の発光面積が、前記原稿の幅方向中央部に対応する前記発光部の発光面積に比べて大きい前記発光部を有する前記光源、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の原稿画像読取用照明装置において、
コサイン4乗則に応じて、前記発光部の前記幅方向中央部から前記幅方向両端部に向かうに連れて前記発光面積が大きくなるように設定された前記光源、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の原稿画像読取用照明装置において、
発光する発光素子としての有機エレクトロルミネッセンス素子が平面状に配置された前記発光部を有する前記光源、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の原稿画像読取用照明装置において、
前記光源を支持する透明で平面状の透明基盤と、
前記発光部の外縁に沿って形成され且つ前記発光部から発光する前記照射光を透過する透過口と、前記透明基盤の外形に沿って設けられた遮光部とを有し、前記透明基盤と前記原稿との間に配置された遮光部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の原稿画像読取用照明装置において、
前記光源を支持する平面状の基盤であって、前記発光部の外縁に沿って形成され且つ前記発光部から発光する前記照射光を透過する透過部と、前記透過部の外方で前記基盤の外形に沿って形成され、前記発光部の外縁より外方に漏光することを防止する漏光防止部とを有する前記基盤、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
前記技術的課題を解決するために、請求項6記載の発明の画像読取装置は、
画像が記録された原稿の幅方向全域に前記照射光を照射する請求項1から5のいずれかに記載の原稿画像読取用照明装置と、
前記照射光が照射された前記原稿から反射した反射光を結像する結像部材と、
前記結像部材により結像された前記反射光を撮像する撮像部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
前記技術的課題を解決するために、請求項7記載の発明の画像形成装置は、
画像が記録された原稿の幅方向全域に前記照射光を照射して前記画像を読み取る請求項6に記載の画像読取装置と、
読み取られた前記画像を媒体に記録する画像記録装置と、
前記媒体を搬送する媒体搬送装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べ、読み取られた原稿画像の画質低下を低減しつつ、無駄な電力消費を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べ、前記原稿から反射した反射光を結像した場合に、前記原稿の幅方向全域の画像を鮮明に読み取ることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、前記照射光の光量を維持しつつ、本発明の構成を有しない場合に比べ、前記光源の小型化、低消費電力化、低発熱量化ができる。
請求項4に記載の発明によれば、前記発光部の外縁より外方に漏光した光が乱反射等して、前記原稿に照射されることを防止でき、前記原稿の幅方向全域における光量分布が、前記発光部の形状に対応する分布にすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べ、前記発光部の外縁より外方に漏光した光が乱反射等して、前記原稿に照射されることを低減でき、前記原稿の幅方向全域における光量分布が、前記発光部の形状に対応する分布にし易くすることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べ、読み取られた原稿画像の画質低下を低減しつつ、無駄な電力消費を低減することができる。
請求項7に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べ、前記媒体に記録される前記画像の画質低下を低減しつつ、無駄な電力消費を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例である実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置Uは自動原稿搬送装置U1と、これを支持し且つ上端に透明な原稿読取面PGを有する画像形成装置本体U2とを備えている。
前記自動原稿搬送装置U1は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容される原稿給紙部TG1と、原稿給紙部TG1から給紙され前記原稿読取面PG上の原稿読取位置を通過して搬送される原稿Giが排出される原稿排紙部TG2とを有している。
前記画像形成装置本体U2は、利用者が画像形成動作開始等の作動指令信号を入力操作する操作部UIと、露光光学系A等を有する。
【0021】
前記自動原稿搬送装置U1で原稿読取面PG上を搬送される原稿Giまたは手動で原稿読取面PG上に置かれた原稿Giからの反射光は、前記露光光学系Aを介して、撮像部材の一例としての固体撮像素子CCDにより撮像されて、赤R、緑G、青Bの電気信号に変換される。
画像情報変換部IPSは、固体撮像素子CCDから入力される前記RGBの電気信号を黒K、イエローY、マゼンタM、シアンCの画像情報に変換して一時的に記憶し、前記画像情報を所定の時期に潜像形成用の画像情報として潜像形成装置駆動回路DLに出力する。
なお、原稿画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒Kのみの画像情報が潜像形成装置駆動回路DLに入力される。
【0022】
前記潜像形成装置駆動回路DLは、図示しない各色Y,M,C,Kの各駆動回路を有し、入力された画像情報に応じた信号を所定の時期に、各色毎に配置された潜像形成装置LHy,LHm,LHc,LHkに出力する。
前記自動原稿搬送装置U1、前記原稿読取面PG、前記露光光学系A、前記固体撮像素子CCD、前記画像情報変換部IPS等により、実施例1の画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)が構成されている。
【0023】
図2は実施例1の画像形成装置の要部拡大説明図である。
前記画像形成装置Uの重力方向中央部に配置された可視像形成装置Uy,Um,Uc,Ukはそれぞれ、Y、M、C、およびKの各色の可視像を形成する装置である。
潜像形成装置LHy〜LHkの各潜像書込光源から出射した図示しないY,M,C,Kの潜像書込光は、それぞれ、回転する像保持体PRy,PRm,PRc,PRkに入射する。なお、実施例1では、前記潜像形成装置LHy〜LHkは、いわゆる、LED:Light Emitting Diodeアレイにより構成されている。
前記Yの可視像形成装置Uyは、回転する像保持体PRy、帯電器CRy,潜像形成装置LHy、現像装置Gy、転写器T1y、像保持体清掃器CLyを有している。なお、実施例1では、前記像保持体PRy、帯電器CRy、像保持体清掃器CLyが、画像形成装置本体U2に対して一体的に着脱可能な像保持体ユニットとして構成されている。
前記可視像形成装置Um,Uc,Ukはいずれも前記Yの可視像形成装置Uyと同様に構成されている。
【0024】
図1,図2において、前記各像保持体PRy,PRm,PRc,PRkはそれぞれの帯電器CRy,CRm,CRc,CRkにより帯電された後、画像書込位置Q1y、Q1m,Q1c,Q1kにおいて、前記潜像書込光により、その表面に静電潜像が形成される。前記像保持体PRy,PRm,PRc,PRk表面の静電潜像は、現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kにおいて、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤保持体の一例としての現像ロールR0y,R0m,R0c,R0kに保持された現像剤により可視像の一例としてのトナー像に現像される。
その現像されたトナー像は、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに接触する1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kに搬送される。前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて中間転写ベルトBの裏面側に配置された1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから所定の時期にトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。
【0025】
前記各像保持体PRy〜PRk上のトナー像は前記1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトBに1次転写される。1次転写後の像保持体PRy,PRm,PRc,PRk表面の残留物、付着物は、像保持体清掃器CLy,CLm,CLc,CLkにより清掃される。清掃された前記像保持体PRy,PRm,PRc,PRk表面は、帯電器CRy,CRm,CRc,CRkにより再帯電される。
【0026】
前記像保持体PRy〜PRkの上方には、上下移動可能且つ前方に引き出し可能な中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、中間転写体駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、中間転写体張架部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としてのアイドラロールRfおよび二次転写領域対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、前記1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kとを有している。そして、前記中間転写ベルトBは、前記各ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより構成される中間転写体支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより回転移動可能に支持されている。
【0027】
前記バックアップロールT2aに接する中間転写ベルトBの表面に対向して2次転写部材の一例としての二次転写ロールT2bが配置されており、前記各ロールT2a,T2bにより2次転写器T2が構成されている。また、2次転写ロールT2bおよび中間転写ベルトBの対向する領域には2次転写領域Q4が形成される。
前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kで一次転写器T1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトB上に順次重ねて転写された単色または多色のトナー像は、前記2次転写領域Q4に搬送される。
前記一次転写器T1y〜T1k、中間転写ベルトBおよび二次転写器T2等により、実施例1の転写装置T1+T2+Bが構成されている。
前記像保持体PRy〜PRk、前記現像装置Gy〜Gk、前記転写装置T1+T2+B等により実施例1の画像記録装置(PRy〜PRk+Gy〜Gk+T1+T2+B)が構成されている。
【0028】
前記可視像形成装置Uy〜Ukの下方には、ガイド部材の一例としての左右一対のガイドレールGRが3段設けられており、前記ガイドレールGRには、給紙容器の一例としての給紙トレイTR1〜TR3が前後方向に出入可能に支持されている。給紙トレイTR1〜TR3に収容された媒体の一例としての記録シートSは、媒体取出し部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、媒体捌き部材の一例としてのさばきロールRsにより1枚ずつ分離される。そして、記録シートSは、媒体搬送路の一例であるシート搬送路SHに沿って媒体搬送部材の一例としての複数の搬送ロールRaにより搬送され、2次転写領域Q4のシート搬送方向上流側に配置された転写領域搬送時期調節部材の一例としてのレジロールRrに送られる。前記シート搬送路SH、シート搬送ロールRa、レジロールRr等により媒体搬送装置(SH+Ra+Rr)が構成されている。
【0029】
前記レジロールRrは、前記中間転写ベルトBに形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送されるのに時期を合わせて、前記記録シートSを2次転写領域Q4に搬送する。記録シートSが前記2次転写領域Q4を通過する際、前記バックアップロールT2aは接地され、2次転写器T2bには前記制御部Cにより制御される電源回路Eからトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。このとき、前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写器T2により記録シートSに転写される。
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbにより清掃される。
【0030】
前記トナー像が2次転写された記録シートSは、定着装置Fの加熱用定着部材の一例としての加熱ロールFhおよび加圧用定着部材の一例としての加圧ロールFpの圧接領域である定着領域Q5に搬送され、前記定着領域を通過する際に加熱定着される。加熱定着された記録シートSは、媒体排出部材の一例としての排出ローラRhから媒体排出部の一例としての排紙トレイTRhに排出される。
なお、前記加熱ロールFh表面には、記録シートSの前記加熱ロールFhからの離型性を良くするための離型剤が離型剤塗布装置Faにより塗布されている。
【0031】
前記ベルトモジュールBMの上方にはイエローY,マゼンタM,シアンC,黒Kの各現像剤を収容する現像剤補給容器の一例としての現像剤カートリッジKy,Km,Kc,Kkが配置されている。各現像剤カートリッジKy,Km,Kc,Kkに収容された現像剤は、前記現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤の消費に応じて、図示しない現像剤補給路から前記各現像装置Gy,Gm,Gc,Gkに補給される。なお、実施例1では、前記現像剤として、磁性のキャリアと、外添剤が付与されたトナーとを含む二成分現像剤により構成されている。
【0032】
図1において、前記画像形成装置Uは上側枠体UFと下側枠体LFとを有しており、上側枠体UFには、前記可視像形成装置Uy〜Ukおよび可視像形成装置Uy〜Ukよりも上方に配置された部材、すなわち、ベルトモジュールBM等が支持されている。
また、下側枠体LFには、前記給紙トレイTR1〜TR3を支持するガイドレールGRおよび前記各トレイTR1〜TR3から給紙を行う前記給紙部材、すなわち、ピックアップロールRp,さばきロールRs,シート搬送ロールRa等が支持されている。
【0033】
図3は実施例1の画像読取装置の拡大説明図である。
図4は実施例1の原稿画像読取用照明装置の拡大説明図である。
図5は実施例1の有機EL光源および遮光部材の拡大説明図である。
図3〜図5において、実施例1の前記露光光学系Aは、前記原稿Giの幅方向全域に照射光を照射する原稿画像読取用照明装置A1と、前記原稿読取位置の原稿Giで反射された前記照射光の反射光を反射する原稿画像読取用反射装置A2と、反射された前記反射光を結像する結像部材の一例としての結像光学系A3とを有する。
【0034】
実施例1の前記原稿画像読取用照明装置A1は、図1および図3の実線および破線に示すように、前記原稿Giの長さ方向、すなわち、左右方向における左端部から右端部までスライド移動可能に支持された光源支持部材の一例としてのフルレートキャリッジFRCを有する。実施例1の前記フルレートキャリッジFRCの内部には、透明で平板状の透明基盤Kが支持されている。前記透明基盤Kの下側面には、前記照射光を発光する光源の一例としての有機EL光源1が支持されている。
【0035】
図5において、実施例1の前記有機EL光源1は、発光する発光素子の一例としての有機EL素子が平面状に配置された発光部1aを有している。実施例1の前記発光部1aは、前後方向、すなわち、前記原稿の幅方向に沿って延びた状態で配置されている。なお、前記有機EL素子の構成等については、例えば、特許文献1等に記載されており、公知であるため、詳細な説明を省略する。
また、実施例1の前記発光部1aは、前記発光部1aの前記幅方向中央部から前記幅方向両端部に向かうに連れて、左右方向、すなわち、前記原稿Giの長さ方向の長さが直線的に長くなるように予め設定されている。
【0036】
すなわち、前記発光部1aは、図5に示すように、前記発光部1aの幅方向中央部における前記長さ方向の最短距離である中央部最短距離をLAとし、前記発光部1aの前記幅方向両端部における前記長さ方向の最長距離である両端部最長距離をLBとした場合に、LB>LAに予め設定されている。
したがって、実施例1の前記発光部1aは、前記原稿Giの幅方向両端部に対応する前記発光部1aの幅方向単位長L0当たりの発光面積Sbが、前記原稿Giの幅方向中央部に対応する前記発光部1aの前記幅方向単位長L0当たりの発光面積Saに比べて大きくなっている。
【0037】
また、実施例1の前記透明基盤Kの上面側には前記照射光を遮光する遮光部材2が支持されている。実施例1の前記遮光部材2は、前記発光部1aの外縁に沿って形成され且つ前記発光部1aから発光する前記照射光を透過する透過口2aと、前記透明基盤Kの外形に沿って設けられた遮光部2bとを有する。
また、前記フルレートキャリッジFRCの内部には、前記透明基盤Kの右側に対向して前記原稿Giに照射されずに右方に拡散した前記照射光を上方の前記原稿Giに向けて反射する角度で照射光反射板3が支持されている。さらに、前記透明基盤Kと前記遮光部材2との中間部には、反射光透過口4が形成されており、前記反射光透過口4の下方には、前記原稿Giで反射された前記照射光の反射光を左方の前記原稿画像読取用反射装置A2に向けて反射する第1の反射光学系の一例としての第1反射ミラー6が支持されている。
【0038】
また、実施例1の前記原稿画像読取用反射装置A2は、図1および図3の実線および破線に示すように、左右方向における左端部から中央部まで、すなわち、前記フルレートキャリッジFRCの半分の移動距離分だけスライド移動可能に支持された反射光学系支持部材の一例としてのハーフレートキャリッジHRCを有する。実施例1の前記ハーフレートキャリッジHRCには、前記第1反射ミラー6で反射された前記反射光を下方に反射する第2の反射光学系の一例としての第2反射ミラー7と、前記第2反射ミラー7の下方に配置されて、前記第2反射ミラー7で反射された前記反射光を右方の前記結像光学系A3に向けて反射する第3の反射光学系の一例としての第3反射ミラー8とが支持されている。
さらに、実施例1の前記結像光学系A3は、いわゆる、結像レンズにより構成されており、結像した前記反射光を右方の前記固体撮像素子CCDに入射させる。
【0039】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)では、前記原稿Giが前記自動原稿搬送装置U1により前記原稿読取面PG上を搬送される場合、前記各キャリッジFRC,HRCを静止させた状態で、前記有機EL光源1の発光部1aから前記原稿Giの幅方向全域に前記照射光を照射する。搬送される前記原稿Giの画像に応じた前記反射光は、前記反射光透過口4を通過し、前記各反射ミラー6〜8を介して、前記結像光学系A3で縮小結像されて、前記固体撮像素子CCDで撮像される。
【0040】
また、実施例1の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)では、手動で原稿読取面PG上に置かれた前記原稿Giから画像を読み取る場合、前記有機EL光源1の発光部1aから前記原稿Giの幅方向全域に前記照射光を照射しながら、前記各キャリッジFRC,HRCを前記原稿Giの長さ方向にスライド移動、すなわち、スキャンさせる。このとき、前記反射光の光路長が同一となるように、前記有機EL光源1を支持する前記フルレートキャリッジFRCを、前記原稿Giの長さ方向の左端部から右端部までスライド移動させると共に、前記ハーフレートキャリッジHRCを、前記フルレートキャリッジFRCの半分の移動距離である前記原稿Giの長さ方向の左端部から中央部までスライド移動させる。前記固体撮像素子CCDは、前記各キャリッジFRC,HRCのスライド移動に応じて移動する照射光が照射された領域の画像を順次撮像する。
【0041】
よって、前記固体撮像素子CCDでは、前記結像レンズA3により、前記原稿Giからの前記反射光が結像、すなわち、前記反射光の光束が集束される。なお、実施例1の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)では、前記有機EL光源1の発光部1aにおいて、図5に示す、前記原稿Giの幅方向両端部に対応する前記発光部1aの幅方向単位長L0当たりの発光面積Sbが、前記原稿Giの幅方向中央部に対応する前記発光部1aの前記幅方向単位長L0当たりの発光面積Saに比べて大きくなっている。
【0042】
したがって、実施例1の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)は、前記発光部1aにより、前記原稿Giの幅方向両端部に照射される前記照射光の光量が、前記原稿Giの幅方向中央部に照射される前記照射光の光量に比べて多くなっている。この結果、実施例1の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)は、前記結像レンズA3によって前記原稿Giからの前記反射光が結像されることにより、コサイン4乗則による影響を受けても、前記原稿Giの幅方向両端部の画像が、前記原稿Giの幅方向中央部の画像と同様に明るい状態で撮像される。この結果、実施例1の前記画像形成装置Uでは、従来公知の前記シェーディング処理や特許文献1等に比べ、読み取られた前記画像の画質低下が低減される。
【0043】
また、前記構成を備えた実施例1の前記画像形成装置Uでは、前記有機EL光源1の発光部1aには、前記有機EL素子が平面状に配置されている。したがって、実施例1の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)は、前記有機EL光源1が前記有機EL素子により構成されているため、従来公知の蛍光管等の管状光源等に比べ、前記照射光の光量を維持しつつ、光源の小型化、低消費電力化、低発熱量化が可能となる。
【0044】
また、前記構成を備えた実施例1の前記画像形成装置Uでは、前記有機EL素子が平面状に配置されていれば、前記発光部1aが構成可能であるため、前記各発光面積Sa,Sbについて、Sb>Saに設定されるように、前記発光部1aの形状を自由に変形可能である。この結果、実施例1の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)は、前記発光部1aの形状を、前記原稿Giの幅方向中央部から幅方向両端部に向かうに連れて光量が多くなるように設定することにより、従来公知の前記サジタルストップに比べ、無駄な電力消費が低減される。
【0045】
さらに、前記構成を備えた実施例1の前記画像形成装置Uでは、前記有機EL光源1が前記透明基盤Kに支持されている。このため、前記発光部1aで発光した前記照射光が、前記透明基盤Kと前記原稿読取面PGとの間や、前記透明基盤K内で乱反射等する可能性があるが、実施例1の前記原稿画像読取用照明装置A1では、前記透明基盤Kには、図4および図5に示す、前記遮光部材2が支持されている。すなわち、実施例1の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)では、前記透明基盤Kと前記原稿読取面PGとの間に配置された前記遮光部材2により、前記透過口2aを通過した前記照射光が前記原稿Giに照射されると共に、前記発光部1aの外縁より外方に漏光した光が、前記遮光部2bにより遮光される。
【0046】
この結果、前記発光部1aの外縁より外方に漏光した光が乱反射等して、前記原稿Giに照射されることが防止され、前記原稿Giの幅方向全域における光量分布が前記発光部1aの形状に対応する分布となる。すなわち、前記発光部1aの前記幅方向中央部から前記幅方向両端部に向かうに連れて多くなるように分布するようになる。
したがって、実施例1の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)では、前記遮光部材2の遮光部2bにより、前記透明基盤Kと前記原稿Giとの間に配置された前記遮光部材2が設けられていない場合に比べ、読み取り対象の前記画像の画質低下が低減される。
【実施例2】
【0047】
図6は実施例2の原稿画像読取用照明装置の拡大説明図であり、実施例1の図4に対応する説明図である。
次に本発明の実施例2の画像形成装置Uの説明を行うが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図6において、実施例2の前記露光光学系Aは、実施例1の原稿画像読取用照明装置A1に替えて、原稿画像読取用照明装置A1′を有する。
【0048】
実施例2の前記原稿画像読取用照明装置A1′は、実施例1のフルレートキャリッジFRCに替えて、上端面が原稿読取面PGの下面に沿った平面状に形成されたフルレートキャリッジFRC′を有する。
実施例2の前記フルレートキャリッジFRC′は、実施例1の前記フルレートキャリッジFRCに比べ、前記反射光透過口4を挟んで対向する前記透明基盤Kおよび前記有機EL光源1と、前記照射光反射板3とが省略され、実施例2の反射光透過口4を挟んで、実施例2の基盤K′,K′および有機EL光源1′,1′が左右方向に対称となるように支持されている。
【0049】
図7は実施例2の有機EL光源および基盤の拡大説明図である。
図7において、実施例2の前記有機EL光源1′,1′は、実施例1の前記発光部1aに替えて、発光部1a′,1a′を有する。実施例2の前記発光部1a′,1a′は、コサイン4乗則に応じて、前記発光部1a′,1a′の前記幅方向中央部から前記幅方向両端部に向かうに連れて曲線的に長くなるように設定されている。また、実施例2の前記基盤K′,K′には、実施例1の前記遮光部材2が省略されており、前記発光部1a′,1a′の外縁に沿って形成され且つ前記発光部1a′,1a′から発光する前記照射光を透過する透過部11,11と、前記透過部11,11の外方で前記発光部1a′,1a′の外縁より外方に漏光する光を防止する漏光防止部12,12とを有する。
なお、実施例2の前記漏光防止部12,12は、例えば、透明のガラスが表面加工された、いわゆる、曇りガラスにより構成できる。また、例えば、黒色のシルク印刷により黒色化させることにより構成することも可能である。
【0050】
実施例2の前記有機EL光源1′,1′は、前記発光部1a′,1a′が前記照射光を上方に向けて照射する。また、実施例2の前記原稿Giには、前記第1反射ミラー6の上方位置であり、且つ、前記発光部1a′,1a′どうしの中間位置である反射位置AR1が配置されている。
【0051】
なお、実施例2では、前記発光部1a′,1a′どうしの距離としての第1距離L1が、3.0[mm]に予め設定されている。また、前記基盤K′,K′の反射光透過口4側端部から前記発光部1a′,1a′までの距離としての第2距離L2および第3距離L3が、0.5[mm]に予め設定されている。また、前記発光部1a′,1a′から前記原稿読取面PGの下端面までの距離としての第4距離L4が、3.0[mm]に予め設定されている。また、前記原稿読取面PGの上端面から下端面の距離、すなわち、前記原稿読取面PGの厚さL5が、4.0[mm]に予め設定されている。
さらに、実施例2では、前記発光部1aの幅方向中央部における前記長さ方向の最短距離である中央部最短距離がLA′、前記発光部1aの幅方向両端部における前記長さ方向の最長距離である両端部最長距離がLB′に予め設定されている。
【0052】
図8は反射ミラーおよび結像光学系による反射光の光路についての拡大説明図である。
図9は図8の反射光の光路の展開説明図である。
また、実施例2の前記露光光学系Aでは、図8および図9の1点鎖線で示す、各反射ミラー6〜8および前記結像レンズA3を介して前記固体撮像素子CCDで撮像する範囲、すなわち、前記原稿Giの反射位置AR1の幅方向の長さL6が、A3用紙の長さである297[mm]に応じて、300[mm]に予め設定されている。また、前記原稿読取面PGから前記固体撮像素子CCDまでの光路長L7が、410[mm]に予め設定されている。さらに、図9の1点鎖線で示す、前記原稿Giの反射位置AR1の幅方向外端部と前記結像レンズA3とを結ぶ直線と、図9の2点鎖線で示す、前記原稿Giの反射位置AR1の幅方向中央部と前記結像レンズA3とを結ぶ直線である前記反射光の光軸とがなす角度θが、21.5°に予め設定されている。
【0053】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)では、前記有機EL光源1′,1′の発光部1a′,1a′が前記照射光を上方に向けて照射する。このため、前記原稿Giにおいて、画像読取位置である前記反射位置AR1に照射される光量が最も多くなる。また、前記原稿Giの反射位置AR1の画像に応じた前記反射光は、前記反射光透過口4を通過し、前記各反射ミラー6〜8を介して、前記結像光学系A3で縮小結像されて、前記固体撮像素子CCDで撮像される。
【0054】
ここで、実施例2の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)では、前記結像レンズA3により前記原稿Giからの反射光が集束されるため、前記原稿Giの幅方向中央部から幅方向両端部に近付くほど、コサイン4乗則の影響を受けて、撮像される前記反射光の光量が低下する。例えば、前記原稿Giの反射位置AR1の幅方向両端部では、以下の式(2)により、前記結像光学系A3に入射した後の光量が、前記結像光学系A3に入射する前の光量の約75[%]になることがわかる。
cosθ=(cos(21.5°))≒0.75 …(2)
したがって、前記幅方向両端部の画像が、コサイン4乗則の影響を受けない前記幅方向中央部の画像と同様に明るい状態で撮像されるためには、以下の式(3)により、前記幅方向両端部の光量が、前記幅方向中央部の光量の約1.33[倍]となる必要があることがわかる。
0.75×1.33≒1 …(3)
【0055】
図10は実施例2の画像読取装置における光学シミュレーション実験の実験結果の説明図であり、原稿の長さ方向における発光部の距離と原稿の反射位置の照度との関係を示す関係説明図であり、横軸に発光部の距離をとり、縦軸に発光部の距離が2mmの照度を1とした場合に2mmの照度に対する2mm以上の各距離の照度の比率である照度比をとった場合のグラフの説明図である。
図10に示すように、実施例2の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)では、前記原稿Giの長さ方向における前記発光部1a′,1a′の距離、いわゆる、発光寸法をxとし、x=2[mm]の場合の照度を1とし、x=2[mm]の照度に対する、x≧2の任意の距離xの照度の比率である照度比をyとした場合、前記距離xおよび前記照度比yについて、以下の近似式(4)が成立する。ここで、ln(x)は、前記距離xの自然対数logxである。
y≒0.8×ln(x)+0.462 …(4)
【0056】
この結果、例えば、前記中央部最短距離LA′が、2.0[mm]に設定された場合には、前記両端部最長距離LB′を、前記照度比yが約1.33となる約3.0[mm]に設定することにより、前記幅方向両端部の画像が、前記幅方向中央部の画像と同様に明るい状態で撮像される。
その他、実施例2の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)は、実施例1の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)と同様の作用効果を奏する。
【実施例3】
【0057】
図11は実施例3の原稿画像読取用照明装置の拡大説明図であり、実施例2の図6に対応する説明図である。
次に本発明の実施例3の画像形成装置Uの説明を行うが、この実施例3の説明において、前記実施例2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施例3は、下記の点で前記実施例2と相違しているが、他の点では前記実施例2と同様に構成されている。
図11において、実施例3の前記露光光学系Aは、実施例2の原稿画像読取用照明装置A1′に替えて、原稿画像読取用照明装置A1″を有する。
【0058】
実施例3の前記原稿画像読取用照明装置A1″は、実施例2のフルレートキャリッジFRC′に替えて、前記基盤K′,K′および前記有機EL光源1′,1′を内部で支持するフルレートキャリッジFRC″を有する。
実施例3の前記基盤K′,K′および前記有機EL光源1′,1′は、前記反射光透過口4側端部が下方に傾斜した状態で対向して支持されている。また、実施例3の前記有機EL光源1′,1′は、前記発光部1a′,1a′が前記照射光を前記反射位置AR1に向けて照射する。
【0059】
なお、実施例3では、前記基盤K′,K′および前記有機EL光源1′,1′と、前記原稿読取面PGとのなす角度、すなわち、前記基盤K′,K′および前記有機EL光源1′,1′の傾斜角度αが、20°に予め設定されている。また、実施例3では、前記発光部1a′,1a′から前記原稿読取面PGの下端面までの距離としての前記第4距離L4は、前記発光部1a′,1a′が傾斜しているため、前記発光部1a′,1a′の前記距離xに応じて変化する。このため、実施例3の前記第4距離L4は、x=3.0[mm]の場合に、3.0[mm]となるように予め設定されている。すなわち、前記第4距離L4は、x≦3.0[mm]の場合には、3.0[mm]以下となり、x≧3.0[mm]の場合には、3.0[mm]以上となるように予め設定されている。
【0060】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)では、前記有機EL光源1′,1′の発光部1a′,1a′が前記照射光を画像読取位置である前記反射位置AR1に向けて照射する。また、前記原稿Giの反射位置AR1の画像に応じた前記反射光は、前記反射光透過口4を通過し、前記各反射ミラー6〜8を介して、前記結像光学系A3で縮小結像されて、前記固体撮像素子CCDで撮像される。
【0061】
図12は実施例3の画像読取装置における光学シミュレーション実験の実験結果の説明図であり、原稿の長さ方向における発光部の距離と原稿の反射位置の照度との関係を示す関係説明図であり、横軸に発光部の距離をとり、縦軸に発光部の距離が2mmの照度を1とした場合に2mmの照度に対する2mm以上の各距離の照度の比率である照度比をとった場合のグラフの説明図であり、実施例2の図10に対応する図である。
また、図12に示すように、実施例3の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)では、前記距離xおよび前記照度比yについて、以下の近似式(5)が成立する。
y≒0.74×ln(x)+0.52 …(5)
【0062】
この結果、例えば、前記中央部最短距離LA′が、2.0[mm]に設定された場合には、前記両端部最長距離LB′を、前記照度比yが約1.33となる約3.0[mm]に設定することにより、前記幅方向両端部の画像が、前記幅方向中央部の画像と同様に明るい状態で撮像される。
その他、実施例3の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)は、実施例1,2の前記画像読取装置(U1+PG+A+CCD+IPS)と同様の作用効果を奏する。
【0063】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H06)を下記に例示する。
(H01)本発明は、電子写真方式の画像形成装置に限定されず、インクジェット記録方式の画像形成装置にも適用可能である。
(H02)本発明の前記画像記録装置(PRy〜PRk+Gy〜Gk+T1+T2+B)は、前記構成を備えた実施例1の画像形成装置Uへの適用に限定されず、例えば、プリンタ、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用することも可能である。
【0064】
(H03)前記実施例1において、前記有機EL光源1は、前記発光部1aに限定されず、例えば、実施例2の前記発光部1a′に置き換えることも可能である。
(H04)前記実施例1において、前記有機EL光源1の発光部1aは、前記透明基盤Kに支持されているが、これに限定されず、例えば、実施例2の前記基盤K′に支持されることも可能である。
【0065】
(H05)前記実施例1において、前記透明基盤Kと前記原稿Giとの間に前記遮光部材2を設けることが好ましいが、これを省略することも可能である。
(H06)前記実施例において、前記原稿Giの幅方向全域に照射される照射光を発光する光源を、平面状の前記発光部1a,1a′を有する前記有機EL光源1,1′により構成したが、これに限定されず、例えば、平面状の発光部を有する無機EL光源により構成したり、複数のLEDを平面状に並べることにより構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の画像形成装置の要部拡大説明図である。
【図3】図3は実施例1の画像読取装置の拡大説明図である。
【図4】図4は実施例1の原稿画像読取用照明装置の拡大説明図である。
【図5】図5は実施例1の有機EL光源および遮光部材の拡大説明図である。
【図6】図6は実施例2の原稿画像読取用照明装置の拡大説明図であり、実施例1の図4に対応する図である。
【図7】図7は実施例2の有機EL光源および基盤の拡大説明図である。
【図8】図8は反射ミラーおよび結像光学系による反射光の光路についての拡大説明図である。
【図9】図9は図8の反射光の光路の展開説明図である。
【図10】図10は実施例2の画像読取装置における光学シミュレーション実験の実験結果の説明図であり、原稿の長さ方向における発光部の距離と原稿の反射位置の照度との関係を示す関係説明図であり、横軸に発光部の距離をとり、縦軸に発光部の距離が2mmの照度を1とした場合に2mmの照度に対する2mm以上の各距離の照度の比率である照度比をとった場合のグラフの説明図である。
【図11】図11は実施例3の原稿画像読取用照明装置の拡大説明図であり、実施例2の図6に対応する説明図である。
【図12】図12は実施例3の画像読取装置における光学シミュレーション実験の実験結果の説明図であり、原稿の長さ方向における発光部の距離と原稿の反射位置の照度との関係を示す関係説明図であり、横軸に発光部の距離をとり、縦軸に発光部の距離が2mmの照度を1とした場合に2mmの照度に対する2mm以上の各距離の照度の比率である照度比をとった場合のグラフの説明図であり、実施例2の図10に対応する図である。
【符号の説明】
【0067】
1,1′…光源、
1a,1a′…発光部、
11…透過部、
12…漏光防止部、
2a…透過口、
2b…遮光部、
2…遮光部材、
A1,A1′,A1″…原稿画像読取用照明装置、
A3…結像部材、
CCD…撮像部材、
Gi…原稿、
K…透明基盤、漏光防止部材、
K′…基盤、
(PRy〜PRk+Gy〜Gk+T1+T2+B)…画像記録装置、
S…媒体、
Sa,Sb…発光面積、
Sa…原稿の幅方向中央部に対応する発光部の発光面積、
Sb…原稿の幅方向両端部に対応する発光部の発光面積、
(SH+Ra+Rr)…媒体搬送装置、
U…画像形成装置、
(U1+PG+A+CCD+IPS)…画像読取装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が記録された原稿の幅方向全域に照射される照射光を発光する光源であって、発光する平面状の発光部を有し、前記原稿の幅方向両端部に対応する前記発光部の発光面積が、前記原稿の幅方向中央部に対応する前記発光部の発光面積に比べて大きい前記発光部を有する前記光源、
を備えたことを特徴とする原稿画像読取用照明装置。
【請求項2】
コサイン4乗則に応じて、前記発光部の前記幅方向中央部から前記幅方向両端部に向かうに連れて前記発光面積が大きくなるように設定された前記光源、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の原稿画像読取用照明装置。
【請求項3】
発光する発光素子としての有機エレクトロルミネッセンス素子が平面状に配置された前記発光部を有する前記光源、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の原稿画像読取用照明装置。
【請求項4】
前記光源を支持する透明で平面状の透明基盤と、
前記発光部の外縁に沿って形成され且つ前記発光部から発光する前記照射光を透過する透過口と、前記透明基盤の外形に沿って設けられた遮光部とを有し、前記透明基盤と前記原稿との間に配置された遮光部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の原稿画像読取用照明装置。
【請求項5】
前記光源を支持する平面状の基盤であって、前記発光部の外縁に沿って形成され且つ前記発光部から発光する前記照射光を透過する透過部と、前記透過部の外方で前記基盤の外形に沿って形成され、前記発光部の外縁より外方に漏光することを防止する漏光防止部とを有する前記基盤、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の原稿画像読取用照明装置。
【請求項6】
画像が記録された原稿の幅方向全域に前記照射光を照射する請求項1から5のいずれかに記載の原稿画像読取用照明装置と、
前記照射光が照射された前記原稿から反射した反射光を結像する結像部材と、
前記結像部材により結像された前記反射光を撮像する撮像部材と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
画像が記録された原稿の幅方向全域に前記照射光を照射して前記画像を読み取る請求項6に記載の画像読取装置と、
読み取られた前記画像を媒体に記録する画像記録装置と、
前記媒体を搬送する媒体搬送装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−239434(P2009−239434A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80322(P2008−80322)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】