説明

原稿読取装置

【課題】 Uターン方式の両面読取を行う原稿読取装置であって、部品点数をより減少させることができる原稿読取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 原稿は、原稿トレイから繰り込まれ、導入路を経由して読取搬送路へ順方向に進入する。読取搬送路上では、原稿は順方向及び逆方向に搬送され、順方向の搬送時に第1面を読み取られ、逆方向の搬送時に第2面を読み取られる。原稿読取手段は、順方向に搬送中の原稿の原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、原稿の第1面を読み取る。また、読取搬送路上には、回転方向を切替可能な切替ローラが設けられる。この切替ローラは、逆方向に搬送中の原稿の原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、回転方向を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置に係り、更に詳しくは、原稿の両面読取を行う原稿読取装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を自動搬送し、原稿の両面を読み取ることができる原稿読取装置が広く普及している。両面読取が可能な原稿読取装置には、例えば、自動搬送中に原稿の表裏を反転させて1つのイメージセンサを用いて原稿の両面読取を行う2パス1スキャナ方式が知られている。
【0003】
この2パス1スキャナ方式の両面読取には、原稿の搬送中に搬送方向を切り替えるスイッチバックを行うことにより、イメージセンサに対し原稿を同一方向に2回通過させるスイッチバック方式と(例えば、特許文献1)、Uターン路を用いて搬送路を交差させ、1つのイメージセンサに対し原稿を逆方向に2回通過させるUターン方式とが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−252250
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Uターン方式を採用した場合、原稿の搬送経路が複雑化するため、多数の経路切替用のデバイスが必要になる。例えば、搬送経路を切り替えるためのソレノイドや、原稿の搬送距離を測定するためのカウンタ、搬送経路の切替タイミングを求めるための原稿検出センサなどのデバイスが必要となる。
【0006】
特に、イメージセンサの読取位置では、原稿が2方向から進入することから、読取タイミングを求めるための原稿検出センサがそれぞれ必要となる。また、原稿を2方向に搬送するための機構も要求される。このため、部品点数が増加し、製品コスト及び製品サイズが増大するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、Uターン方式の両面読取を行う原稿読取装置であって、部品点数をより減少させることができる原稿読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明による原稿読取装置は、原稿を順方向及び逆方向に搬送することができる読取搬送路と、原稿トレイから繰り込まれた上記原稿を上記読取搬送路へ順方向に進入させる導入路と、上記読取搬送路を順方向に通過した上記原稿をUターンさせ、上記読取搬送路へ逆方向に進入させるUターン路と、上記読取搬送路を逆方向に通過した上記原稿を排出口へ搬送する排出路と、上記読取搬送路上に配置され、上記原稿を検出する原稿検出センサと、上記読取搬送路上に配置され、順方向の搬送時に上記原稿の第1面を読み取り、逆方向の搬送時に上記原稿の第2面を読み取る原稿読取手段と、上記読取搬送路上に設けられ、回転方向を切替可能な切替ローラとを備え、上記原稿読取手段が、順方向に搬送中の上記原稿の上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、上記原稿の第1面を読み取り、上記切替ローラが、逆方向に搬送中の上記原稿の上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、上記回転方向を切り替えることによって原稿の搬送方向を逆方向から順方向に切り替えるように構成される。
【0009】
この様な構成によれば、読取搬送路上に配置された切替ローラの回転方向を切り替えることにより、原稿読取手段に対して原稿を2方向へ通過させることができ、原稿を搬送するローラの数を減少させることができる。しかも、原稿検出センサが、原稿が2回通過する位置に配置され、順方向の搬送時には、原稿の第1面の読取タイミングを求めるために用いられ、逆方向の搬送時には、切替ローラによる原稿の搬送方向を逆方向から順方向に戻すタイミングを求めるために用いられる。このため、部品点数を減少させ、製品を小型化することができる。
【0010】
第2の本発明による原稿読取装置は、上記構成に加え、上記排出路及び上記Uターン路が交差する交差部に配置され、逆転時に上記Uターン路上の上記原稿を上記読取搬送路へ進入させ、正転時に上記排出路上の上記原稿を上記排出口へ搬送する排出ローラを備え、上記排出ローラが、逆方向に搬送中の上記原稿の上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、逆転から正転へ回転方向を切り替えるように構成される。
【0011】
この様な構成によれば、原稿検出センサが、排出ローラの回転方向を切り替えるタイミングを求めるためにも共用されるので、原稿検出センサの数を更に減少させることができる。また、原稿を排出口へ排出するための排出ローラが、Uターン路における原稿の搬送にも共用される。従って、部品点数をより減少させることができる。
【0012】
第3の本発明による原稿読取装置は、上記構成に加え、上記切替ローラが、逆方向に搬送中の原稿後端の上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、上記回転方向を切り替えることによって原稿の搬送方向を逆方向から順方向に切り替えるように構成される。
【0013】
第4の本発明による原稿読取装置は、上記構成に加え、逆方向に搬送中の上記原稿の上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、上記原稿トレイから次の原稿を繰り込む原稿繰込手段を備えるように構成される。
【0014】
この様な構成によれば、原稿検出センサが原稿トレイから次の原稿を繰り込む繰込タイミングを求めるためにも共用されるので、部品点数を更に減少させることができる。
【0015】
第5の本発明による原稿読取装置は、上記構成に加え、上記切替ローラが、順方向に搬送中の上記原稿の上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、上記回転方向を切り替えることによって原稿の搬送方向を順方向から逆方向に切り替えるように構成される。
【0016】
この様な構成によれば、原稿検出センサにより、切替ローラの2度の回転方向の切替タイミングがそれぞれ求められる。このため、部品点数をより減少させることができる。
【0017】
第6の本発明による原稿読取装置は、原稿を順方向及び逆方向に搬送することができる読取搬送路と、原稿トレイから繰り込まれた上記原稿を上記読取搬送路へ順方向に進入させる導入路と、上記読取搬送路を順方向に通過した上記原稿をUターンさせ、上記読取搬送路へ逆方向に進入させるUターン路と、上記読取搬送路を逆方向に通過した上記原稿を排出口へ搬送する排出路と、上記Uターン路上に配置され、上記原稿を検出する原稿検出センサと、上記読取搬送路上に配置され、順方向の搬送時に上記原稿の第1面を読み取り、逆方向の搬送時に上記原稿の第2面を読み取る原稿読取手段と、上記読取搬送路上に設けられ、回転方向を切替可能な切替ローラとを備え、上記原稿読取手段が、上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、逆方向に搬送中の上記原稿の第2面を読み取り、上記切替ローラが、上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、上記回転方向を切り替えることによって原稿の搬送方向を逆方向から順方向に切り替えるように構成される。
【0018】
この様な構成によれば、読取搬送路上に配置された切替ローラの回転方向を切り替えることにより、原稿読取手段に対して原稿を2方向へ通過させることができ、原稿を搬送するローラの数を減少させることができる。しかも、原稿検出センサが、原稿の第2面の読取タイミングを求めるために用いられるとともに、切替ローラによる原稿の搬送方向を逆方向から順方向に戻すタイミングを求めるために共用される。このため、部品点数を減少させ、製品を小型化することができる。
【0019】
第7の本発明による原稿読取装置は、上記構成に加え、上記Uターン路上に配置され、原稿の搬送速度を低下させることにより、上記原稿の斜行を矯正するレジストローラを備え、上記レジストローラが、上記原稿検出センサの検出タイミングに基づいて、上記搬送速度を上昇させるように構成される。
【0020】
この様な構成によれば、原稿検出センサが、原稿の斜行矯正終了後のレジストローラの回転速度を上昇させるタイミングを求めるために共用される。このため、部品点数を更に減少させることができる。また、原稿の第2面の読取前に、原稿の斜行を矯正することができるので、例えば、原稿をUターンさせる際に斜行が生じた場合にも、原稿の第2面の読取画像に位置ずれが生じることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による原稿読取装置は、読取搬送路上に配置された切替ローラの回転方向を切り替えることにより、原稿読取手段に対して原稿を2方向へ通過させることができ、原稿を搬送するローラの数を減少させることができる。しかも、原稿検出センサが、原稿が2回通過する位置に配置され、順方向の搬送時には、原稿の第1面の読取タイミングを求めるために用いられ、逆方向の搬送時には、切替ローラによる原稿の搬送方向を逆方向から順方向に戻すタイミングを求めるために用いられる。このため、部品点数を減少させ、製品を小型化することができる。
【0022】
また、原稿検出センサが、排出ローラの回転方向を切り替えるタイミングを求めるためにも共用されるので、原稿検出センサの数を更に減少させることができる。また、原稿を排出口へ排出するための排出ローラが、Uターン路における原稿の搬送にも共用される。従って、部品点数をより減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態による原稿読取装置の一構成例を示した外観図である。
【図2】図1の複合機100の要部の一構成例を示した断面図である。
【図3】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図4】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図5】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図6】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図7】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図8】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図9】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図10】図1の複合機100の要部について一構成例を示した機能ブロック図である。
【図11】原稿検出センサDS4による長原稿の先端検知時の処理の一例を示したフローチャートである。
【図12】原稿検出センサDS4による長原稿の後端検知時の処理の一例を示したフローチャートである。
【図13】原稿検出センサDS5による長原稿の先端又は後端検知時の処理の一例を示したフローチャートである。
【図14】原稿検出センサDS4による短原稿の先端検知時の処理の一例を示したフローチャートである。
【図15】原稿検出センサDS5による短原稿の先端又は後端検知時の処理の一例を示したフローチャートである。
【図16】原稿検出センサDS6による長原稿又は短原稿の後端検知時の処理の一例を示したフローチャートである。
【図17】実施の形態2の原稿検出センサDS5による長原稿の先端検知時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図18】実施の形態2の原稿検出センサDS5による短原稿の先端又は後端検知時の動作の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態による原稿読取装置の一構成例を示した外観図であり、原稿読取装置の一例として複合機100が示されている。複合機(MFP:Multifunction Peripheral)100は、画像読取時に原稿の自動搬送を行うADF(Auto Document Feeder)装置10と、画像読取、印刷、ファクシミリ送受信などを行うMFP本体部30とによって構成される。
【0025】
MFP本体部30の操作パネル31には、ユーザが操作入力を行うためのスタートキー、テンキーなどの操作入力部31aと、ユーザに対し、動作状態を表示出力するためのディスプレイ31bが設けられている。例えば、ユーザは、操作入力部31aへの操作入力を行うことにより、原稿の片面読取及び両面読取のいずれかを指定することができる。
【0026】
また、MFP本体部30の上面には、図示しないコンタクトガラスが形成され、このコンタクトガラス上にADF装置10が開閉可能に配置されている。つまり、この複合機100は、コンタクトガラス上に載置された原稿を読み取るフラットベッド方式、ADF装置10により自動搬送中の原稿を読み取るADF方式のいずれの方式でも原稿を読み取ることができる。
【0027】
ADF装置10は、原稿トレイ11及び排出トレイ12を備え、その内部には搬送路が形成されている。原稿トレイ11内の原稿は、1枚ずつ分離して繰り込まれ、搬送路に沿って搬送され、排出トレイ12へ排出される。この搬送路は、MFP本体部30のコンタクトガラス上を通過するように形成されており、原稿は、コンタクトガラス上を通過する際にMFP本体部30によって読み取られる。
【0028】
図2は、図1の複合機100の要部の一構成例を示した断面図であり、主としてADF装置10の内部構造が模式的に示されている。図中のA1〜A11は原稿の搬送路である。B2は原稿の読取位置であり、B1及びB3〜B8は、2以上の搬送路の分岐点、合流点又は交差部である。
【0029】
<原稿読取部32>
原稿読取部32は、読取位置B2を通過する原稿の画像を読み取るイメージセンサであり、投光器32a及びラインセンサ32bからなるスキャナユニットを構成している。投光器32aからの照射光はコンタクトガラス上の原稿によって反射され、多数の受光素子が直線状に配置されたラインセンサ32bによって検出される。この配列方向と交差する方向に、原稿又はラインセンサ32bを相対的に移動させれば、2次元画像を読み取ることができる。ADF方式で画像読取を行う場合、スキャナユニットを静止させ、搬送中の原稿について画像読取が行われる。
【0030】
この複合機100では、2パス1スキャナ方式を採用し、1個の原稿読取部32を用いて原稿の両面読取を行っている。2パス1スキャナ方式とは、原稿の表裏を反転させ、同じ原稿読取部32で原稿を2回読み取らせる両面読取の方法である。一般的な2パス1スキャナ方式の原稿読取装置では、原稿をスイッチバックさせることにより原稿の表裏を反転させ、別の搬送路を通って原稿読取部32の手前に合流させ、原稿読取部32を同じ方向に2回通過させる。これに対し、複合機100では、原稿をUターンさせることによって原稿の表裏を反転させ、原稿読取部32を2回通過させる。このとき、原稿が原稿読取部32を通過する方向は、1回目及び2回目で逆方向となる。
【0031】
<搬送路A1〜A11>
ADF装置10内には、搬送路A1〜A11が形成され、片面読取、短原稿の両面読取及び長原稿の両面読取の場合に原稿の搬送経路がそれぞれ異なる。片面読取を行う場合、原稿は搬送路A1,A2,A3,A4,A9,A10の順に搬送される。この搬送経路を片面パスと呼ぶことにする。また、短原稿の両面読取を行う場合、A1,A2,A3,A4,A9,A11,A7,A2,A8,A4,A9,A10の順に搬送される。この搬送経路を短原稿用両面パスと呼ぶことにする。長原稿の両面読取を行う場合、A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A2,A8,A4,A9,A10の順に搬送される。この搬送経路を長原稿用両面パスと呼ぶことにする。
【0032】
搬送路A1及び搬送路A2は横向きU字状の搬送路を構成しており、搬送路A1を図中の右から左へ搬送された原稿が、読取位置B2を左から右へ通過する。搬送路A1は、原稿トレイ11から繰り込まれた原稿を分岐点B1まで搬送する導入路であり、いずれの搬送経路にも共通して用いられる。
【0033】
搬送路A2は、原稿を双方向に搬送可能な読取搬送路であり、原稿読取部32により、搬送路A2上の読取位置B2を通過する原稿の読取が行われる。搬送路A2では、搬送路A1から進入した原稿を分岐点B3まで搬送し、搬送路A3側へ進入させる。また、搬送路A7から進入した原稿を分岐点B1まで搬送し、搬送路A8側へ進入させる。ここでは、分岐点B1から読取位置B2を通過して分岐点B3へ至る搬送方向を順方向とし、分岐点B3から分岐点B1へ至る搬送方向を逆方向とする。
【0034】
原稿トレイ11内に収容された原稿の上面を第1面、下面を第2面とすれば、順方向に読取位置B2を通過する原稿の第1面の読取が行われ、逆方向に読取位置B2を通過する原稿の第2面の読取が行われる。
【0035】
搬送路A3,A4,A5,A6,A7は、この順に、搬送路A2を順方向に通過した長原稿をUターンさせて表裏を反転させる長原稿用Uターン路を構成しており、この長原稿用Uターン路を通過した原稿は、分岐点B3から搬送路A2へ逆方向に進入する。搬送路A3は、順方向に搬送路A2を通過した原稿を分岐点B3からほぼ直線的に合流点B4へ搬送する搬送路である。搬送路A4は、搬送路A3又は搬送路A8を通過した原稿を分岐点B5へ直線的に搬送し、搬送路A9又は搬送路A5の上側へ進入させる搬送路である。搬送路A5は、搬送路A4を通過した原稿を交差部B8へ搬送し、搬送路A6へ進入させる横向きU字状の搬送路であり、時計回りに原稿を搬送することによって表裏を反転させる。搬送路A6は、搬送路A5を通過した原稿を合流点B7へ直線的に搬送する搬送路である。搬送路A7は、搬送路A6を通過した原稿を分岐点B3へほぼ直線的に搬送し、搬送路A2へ逆方向に進入させる搬送路である。
【0036】
搬送路A3,A4,A9,A11,A7は、この順に、搬送路A2を順方向に通過した短原稿をUターンさせて表裏を反転させる短原稿用Uターン路を構成しており、この短原稿用Uターン路を通過した原稿は、長原稿用Uターン路を通過した原稿と同様、分岐点B3から搬送路A2へ逆方向に進入する。搬送路A9は、搬送路A4を通過した原稿を分岐点B6へ搬送し、搬送路A10又は搬送路A11へ進入させる搬送路である。搬送路A11は、搬送路A9を通過した原稿を合流点B7へ搬送する搬送路である。搬送路A9及びA11は、それぞれ横向きU字状の上半分及び下半分に相当する搬送路であり、時計回りに原稿を搬送することによって表裏を反転させる。
【0037】
搬送路A8,A4,A9,A10は、この順に、搬送路A2を逆方向に通過した長原稿又は短原稿を排出口24へ搬送する排出路を構成している。搬送路A8は、逆方向に搬送路A2を通過した原稿を分岐点B1からほぼ直線的に合流点B4へ搬送する搬送路である。搬送路A10は、搬送路A9を通過した原稿を交差部B8へほぼ直線的に搬送し、排出口24から排出する搬送路である。すなわち、交差部B8では、排出路及び長原稿用Uターン路が交差している。
【0038】
<原稿トレイ11>
原稿トレイ11は、原稿を積み重ねて載置する原稿台13と、これらの原稿を位置決めするための原稿ストッパ14とを備えている。原稿台13上の原稿は、送り方向の先端(図中では左端)が原稿ストッパ14によって位置決めされており、最上部の原稿の先端付近が繰込ローラ15に接触した状態となっている。
【0039】
複合機100では、繰込ローラ15及び複数の搬送ローラにより原稿の繰込及び搬送が行われる。ここでは、繰込ローラ15,分離ローラ16a,リタードローラ16b及びレジストローラ17が、第1搬送モータにより駆動され、複数の搬送ローラ18、切替ローラ19、レジストローラ20及び排出ローラ23が第2搬送モータにより駆動されるものとする。
【0040】
<繰込ローラ15>
繰込ローラ15は、原稿トレイ11内の原稿を搬送路へ繰り込む原稿繰込手段である。繰込ローラ15及び分離ローラ16aは原稿の送り方向に回転駆動され、リタードローラ16bは戻り方向に回転駆動される。このため、原稿トレイ11内の原稿は、上から順に繰込ローラ15によって搬送路A1へ繰り込まれ、原稿が重送状態で繰り込まれた場合、互いに逆回転している分離ローラ16a及びリタードローラ16bによって最上部の原稿のみが分離され、送り方向に搬送される。
【0041】
<レジストローラ17>
レジストローラ17は、繰込ローラ15及び分離ローラ16aと非同期に回転させることが可能な搬送ローラであり、分離ローラ16a及び分岐点B1に挟まれた搬送路A1上に配置されている。このレジストローラ17は、繰込ローラ15及び分離ローラ16aの駆動中に停止させることができる。レジストローラ17を停止させることにより、搬送中の原稿先端の搬送速度を急激に低下させ、原稿を弛ませて斜行を矯正することができる。ここでは、クラッチを用いて第1搬送モータから伝達される駆動力を遮断することにより、レジストローラ17を停止させるものとする。
【0042】
<搬送ローラ18>
搬送ローラ18は、回転駆動される駆動ローラと、搬送路を挟んで駆動ローラに対向して配置された従動ローラからなる。搬送路A1〜A11には、最短の原稿長より短い間隔で多数の搬送ローラ18が配置され、これらの搬送ローラ18によって原稿が搬送路上を搬送される。ここでは、各搬送ローラ18が互いに同期して回転するものとする。
【0043】
第2搬送モータは、搬送ローラ18、レジストローラ20、切替ローラ19及び排出ローラ23をそれぞれ駆動する。このとき、切替ローラ19、レジストローラ20及び排出ローラ23は、搬送ローラ18とは非同期に駆動される。
【0044】
<切替ローラ19>
切替ローラ19は、回転方向を切替可能な搬送ローラであり、ここでは、読取位置B2と分岐点B1とに挟まれた搬送路A2上に配置されている。この切替ローラ19は、正転時には原稿を順方向に搬送し、逆転時には原稿を逆方向に搬送する。切替ローラ19の回転方向は、例えば、切替ローラ19に回転力を伝達するクラッチのオンオフを切り替えることによって反転される。
【0045】
<レジストローラ20>
レジストローラ20は、他の搬送ローラ18と非同期に回転速度を低下させることが可能な搬送ローラであり、搬送路A7上に配置されている。このレジストローラ20は、例えば、クラッチを用いて第2搬送モータから伝達される駆動力を遮断することにより、回転速度が低下した状態となる。回転速度を低下させることにより、原稿先端の搬送速度を急激に低下させ、原稿の斜行を矯正することができる。
【0046】
<排出ローラ23>
排出ローラ23は、回転方向を切替可能な搬送ローラであり、搬送路A5と搬送路A10との交差部B8に配置されている。この排出ローラ23は、正転時には、搬送路A10上の原稿を排出口24から排出トレイ12へ排出する。逆転時には、搬送路A5上の原稿を搬送路A6へ進入させる。排出ローラ23は、例えば、ソレノイド及びクラッチを用いることにより、その回転方向が反転される。
【0047】
<分岐爪21,22>
分岐爪21及び22は、2以上の搬送路のうち、いずれかを原稿の搬送先として選択する搬送経路の切替手段であり、例えば、爪状の回転部材と図示しないソレノイドとにより構成される。この場合、ソレノイドが回転部材を回動させることによって、搬送先が選択される。
【0048】
分岐爪21は、搬送路A4上の原稿を搬送路A5及びA9のいずれかへ案内する搬送経路の切替手段であり、分岐点B5に配置されている。具体的には、長原稿用Uターン路へ原稿を案内する場合には、原稿を搬送路A5側へ進入させる。一方、短原稿用Uターン路又は排出路へ原稿を案内する場合には、原稿を搬送路A9側へ進入させる。
【0049】
分岐爪22は、搬送路A9上の原稿を搬送路A10及びA11のいずれかへ案内する搬送経路の切替手段であり、分岐点B6に配置されている。具体的には、短原稿用Uターン路へ原稿を案内する場合には、原稿を搬送路A11側へ進入させる。一方、排出路へ原稿を案内する場合には、原稿を搬送路A10側へ進入させる。
【0050】
原稿トレイ11内に収容された原稿の上面を第1面、下面を第2面とすれば、長原稿用両面パス及び短原稿用両面パスでは、第1面及び第2面の順で原稿が2回読み取られ、片面パスでは、原稿の第1面のみが読み取られる。すなわち、長原稿用両面パスが選択されている場合、原稿は、搬送路A1を経由して、搬送路A2上を順方向に搬送され、原稿読取部32により、搬送路A2上の読取位置B2においてその第1面が読み取られる。その後、原稿は、搬送路A3,A4,A5,A6,A7からなる長原稿用Uターン路を経由して、搬送路A2上を逆方向に搬送され、その第2面が読み取られる。第2面の読取後、原稿は、搬送路A8,A4,A9,A10からなる排出路を経て排出口24から排出される。長原稿用両面パスでは、短原稿用両面パスに比べてUターン路の経路長が短く、より原稿長の長い原稿の両面読取を行うことができる。
【0051】
短原稿用両面パスでは、原稿が、長原稿用Uターン路の代わりに、搬送路A3,A4,A9,A11,A7からなる短原稿用Uターン路を搬送される点を除いて長原稿用両面パスと同じ搬送路を搬送される。短原稿用両面パスは、長原稿用両面パスに比べてUターン路の経路長が短く、Uターン路上の搬送時間を短くすることができる。このため、原稿長の短い原稿であれば、長原稿用両面パスに比べて原稿の搬送効率を向上させることができる。
【0052】
片面パスでは、第1面の読取までの搬送経路は、長原稿用両面パス及び短原稿用両面パスと共通であるが、その後、原稿はUターンすることなく、搬送路A3,A4,A9,A10を順に経由して排出口24へ排出される。
【0053】
<原稿検出センサDS1〜DS6>
ADF装置10には、複数の原稿検出センサDS1〜DS6が設けられている。原稿検出センサDS1及びDS2は、原稿トレイ11に設けられ、原稿台13に載置された原稿を検出している。一方、原稿検出センサDS3〜DS5は、それぞれ異なる検出位置で搬送中の原稿の到着又は通過を検出している。なお、これらの原稿検出センサDS1〜DS5には光センサを用いることができる。
【0054】
原稿検出センサDS1は、原稿トレイ11上に原稿が載置されているか否かを検出する原稿載置検出手段である。例えば、反射型の光センサを原稿ストッパ14付近の原稿台13に埋設し、原稿の先端付近を検出すれば、原稿の有無を判別することができる。
【0055】
原稿検出センサDS2は、原稿の送り方向の長さを検出する原稿長検出手段である。例えば、原稿検出センサDS1より後方の原稿台13に光センサを埋設しておくことにより、原稿長が所定の長さ以上であるか否かを判別することができる。この場合、サイズの異なる2以上の原稿が積み重ねて載置されていれば、最大の原稿長が検出される。また、送り方向の位置を互いに異ならせて2以上の原稿検出センサDS2を配置すれば、原稿長が所定範囲内の長さであることを検出することもできる。
【0056】
原稿検出センサDS3〜DS6は、搬送路上の予め定められた検出位置を監視し、搬送中の原稿の位置を検出する搬送状態検出手段であり、上記検出位置に対する原稿の到達又は通過を検出している。つまり、原稿の先端を検出している場合には、原稿が検出位置に到達したことを判別することができ、原稿の後端を検出している場合には、原稿が検出位置を通過したことを判別することができる。また、例えば、原稿検出センサDS3〜DS6による原稿検出後の搬送距離を測定することにより、搬送中の原稿の位置を特定することができる。
【0057】
原稿検出センサDS3は、分離ローラ16a及びレジストローラ17に挟まれた搬送路A1上に配置され、繰込ローラ15によって原稿トレイ11から搬送路A1に繰り込まれた原稿を検出している。原稿検出センサDS3は、例えば、停止中のレジストローラ17を駆動させるタイミングを求めるために用いられる。
【0058】
原稿検出センサDS4は、搬送路A2上に配置されており、ここでは、分岐点B1及び切替ローラ19に挟まれた位置に配置されている。原稿検出センサDS4は、原稿読取部32による第1面の読取開始及び読取終了のタイミングを求めるためのセンサであり、順方向の搬送時には読取位置B2への到達又は通過直前の原稿の先後端を検出している。また、逆方向の搬送時には、読取位置B2に到達又は通過直後の原稿の先後端を検出している。
【0059】
原稿検出センサDS5は、搬送路A7上に配置され、搬送中の原稿を検出する。ここでは、原稿検出センサDS5が、合流点B7及びレジストローラ20に挟まれた搬送路A7上に配置されており、レジストローラ20及び読取位置B2に到達する直前の原稿を検出するものとする。この原稿検出センサDS5は、原稿読取部32による第2面の読取開始及び読取終了のタイミングを求めるためのセンサであり、更に、レジストローラ20による斜行補正の終了タイミングを求めるためにも用いられる。
【0060】
原稿検出センサDS6は、搬送路A10上の排出ローラ23よりも上流に配置されており、排出口24から排出される原稿の後端を検出している。
【0061】
この複合機100では、Uターン方式により、原稿をスイッチバックさせることなく原稿の両面読取を行うため、原稿の高速搬送を実現することができる。また、原稿が2回通過する搬送路A2上に原稿検出センサDS4が配置され、順方向の搬送時には、原稿の第1面の読取タイミングを求めるために用いられ、逆方向の搬送時には、切替ローラ19の回転方向を逆転から正転に切り替えるタイミングを求めるために用いられる。このため、複合機100の部品点数を減少させ、製品を小型化することができる。
【0062】
図3〜図9は、図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。ADF装置10では、片面読取、短原稿用両面読取及び長原稿用両面読取の3つの読取方法のいずれか一つがユーザによって選択される。なお、片面読取及び両面読取のいずれかをユーザが選択し、両面読取が選択された場合には、原稿検出センサDS2が検出した原稿サイズに基づいて、2つの読取方法のいずれかが選択されるようにしてもよい。
【0063】
<片面読取>
図3の(a)及び(b)は、片面読取についての説明図であり、搬送路A1〜A11上における原稿の搬送状態が時系列順に示されている。片面読取では、原稿は、搬送路A1を経由し、搬送路A2を順方向に搬送されて読取位置B2を通過した後、搬送路A3,A4,A9,A10を順に経由して排出される。つまり、原稿は、読取位置B2を1回のみ通過し、排出トレイ12へ排出される。この場合、分岐点B5では、原稿が分岐爪21により搬送路A9側へ案内され、分岐点B6では、分岐爪22により搬送路A10側へ案内される。また、片面読取では、切替ローラ19及び排出ローラ23は正転にのみ駆動され、回転方向の切替は行われない。また、図中の(b)に示した通り、後続の原稿の繰込は、先行する原稿が排出される前に開始される。
【0064】
<短原稿の両面読取>
図4〜図6の(a)〜(h)は、短原稿の両面読取についての説明図であり、搬送路A1〜A11上における原稿の搬送状態が時系列順に示されている。図4(a)に示すとおり、原稿は、搬送路A1を経由し、搬送路A2を順方向に搬送されて読取位置B2に到達する。
【0065】
次に、図4(b)に示すとおり、原稿は、搬送路A3,A4,A9,A11,A7からなる短原稿用Uターン路を搬送される。この場合、分岐点B5では、原稿が分岐爪21により搬送路A9側へ案内され、分岐点B6では、分岐爪22により搬送路A11側へ案内される。また、図4(b)に示すとおり、原稿の先端が搬送路A7上の基準位置E1に到達したときに、切替ローラ19の回転方向が正転から逆転に切り替わる。原稿先端の基準位置E1への到達は、例えば、原稿検出センサDS4による原稿先端の検出後の搬送距離を測定することによって判別される。
【0066】
更に、図4(c)に示すとおり、レジストローラ20による原稿の斜行の矯正が行われる。斜行の矯正は、回転速度を低下させたレジストローラ20に搬送中の原稿先端を接触させ、原稿を弛ませることによって行われる。斜行の矯正後、レジストローラ20の回転速度を上昇させ、原稿を搬送路A2へ逆方向に進入させる。
【0067】
図5(d)〜図6(g)に示すとおり、搬送路A2を通過した原稿は搬送路A8,A4,A9,A10からなる排出路を搬送される。この場合、図5(e)に示すとおり、原稿の後端が基準位置E2を通過したときに、繰込ローラ15による次の原稿の繰込が開始される。また、分岐点B5では、原稿は分岐爪21により、搬送路A4から搬送路A9側に案内され、図5(f)に示すとおり、原稿先端が搬送路A9上の基準位置E3に到達したときに、切替ローラ19の回転方向が逆転から正転に再度切り替わる。更に、分岐点B6では、原稿は分岐爪22により、搬送路A9から搬送路A10側に案内され、排出トレイ12へ排出される(図6(g))。また、図6(h)に示すとおり、次の原稿が、正転駆動される切替ローラ19により、搬送路A2上を順方向に搬送され、その第1面が読み取られる。
【0068】
<長原稿の両面読取>
図7〜図9の(a)〜(i)は、長原稿の両面読取についての説明図であり、搬送路A1〜A11上における原稿の搬送状態が時系列順に示されている。原稿は、短原稿の両面読取の場合と同様に、搬送路A2を順方向に搬送されて読取位置B2に到達する(図7(a))。
【0069】
次に、図7(b)〜図8(d)に示すとおり、原稿は搬送路A3,A4,A5,A6,A7からなる長原稿用Uターン路を搬送される。この場合、分岐点B5では、原稿が分岐爪21により搬送路A5側へ案内される。また、図7(b)に示すとおり、原稿の先端が搬送路A5上の基準位置E4に到達したときに、排出ローラ23の回転方向を正転から逆転に切り替える。排出ローラ23の回転方向の切替タイミングはより早くてもよいが、例えば、排出ローラ23の回転方向の切替にソレノイドを用いる場合、このソレノイドの逆転時の消費電力が正転時に比べて大きくなることが考えられる。この場合、逆転への切替タイミングを遅らせることにより、消費電力を低減させることができる。
【0070】
また、図7(c)に示すとおり、原稿の後端が搬送路A3上の基準位置E5を通過したときに、切替ローラ19の回転方向が正転から逆転に切り替わる。原稿後端の基準位置E5の通過は、例えば、原稿検出センサDS4の検出位置からの原稿後端の搬送距離を測定することによって判別される。更に、図8(d)に示すとおり、レジストローラ20による原稿の斜行の矯正が行われる。斜行の矯正後、レジストローラ20の回転速度を上昇させ、原稿を搬送路A2へ逆方向に進入させる。
【0071】
図8(e)〜図9(g)に示すとおり、搬送路A2を通過した原稿は搬送路A8,A4,A9,A10からなる排出路を搬送される。この場合、分岐点B5では、原稿が分岐爪21により、搬送路A9側へ案内され、分岐点B6では、原稿が分岐爪22により、搬送路A10側へ案内される。
【0072】
また、図8(f)に示すとおり、原稿の先端が搬送路A9上の基準位置E6に到達したときに、排出ローラ23の回転方向が逆転から正転に切り替わる。更に、図9(g)に示すとおり、原稿の後端が基準位置E2を通過したときに、繰込ローラ15による次の原稿の繰込が開始される。この基準位置E2は、短原稿の繰込開始の基準位置と同一である。また、図9(h)に示すとおり、原稿の後端が搬送路A2上の基準位置E7を通過したときに、切替ローラ19の回転方向が逆転から正転に切り替わる。基準位置E7は、原稿検出センサDS4の検出位置と一致する構成であってもよい。その後、図9(i)に示すとおり、正転駆動される切替ローラ19により、次の原稿が搬送路A2上を順方向に搬送され、その第1面が読み取られる。
<複合機100の機能構成>
【0073】
図10は、図1の複合機100の要部について一構成例を示した機能ブロック図である。この複合機100は、原稿検出センサDS4〜DS6、原稿検出センサDS2、搬送位置特定部41、搬送制御部42、原稿読取部32、繰込制御部43、切替ローラ19、レジストローラ20、排出ローラ23及び繰込ローラ15により構成される。
【0074】
原稿検出センサDS4〜DS6は、搬送中の原稿を検出する原稿検出手段であり、原稿の先端及び後端を検出すれば、先端検出信号及び後端検出信号をそれぞれ出力する。原稿検出センサDS4は、搬送路A2上の検出位置を監視し、搬送路A2を順方向又は逆方向に搬送される原稿をそれぞれ検出する。ここでは、原稿検出センサDS4が搬送路A2上の読取位置B2の近傍に配置され、順方向の搬送時には、読取位置B2に進入する直前の原稿を検出するものとする。
【0075】
原稿検出センサDS5は、搬送路A7上の検出位置を監視し、短原稿用Uターン路又は長原稿用Uターン路を搬送中の原稿を検出する。ここでは、原稿検出センサDS5が搬送路A7上のレジストローラ20及び読取位置B2の近傍に配置され、レジストローラ20及び読取位置B2に到達する直前の原稿を検出するものとする。
【0076】
原稿検出センサDS6は、搬送路A10上の排出ローラ23よりも上流に配置されており、排出口24から排出される原稿の後端を検出する。
【0077】
原稿検出センサDS2は、原稿台13上に載置された原稿の送り方向の長さを検出する原稿長検出手段である。サイズの異なる2以上の原稿が積み重ねて載置されていれば、最大の原稿長を検出する。
【0078】
搬送位置特定部41は、原稿検出センサDS4〜DS6による検出タイミングに基づいて、搬送中の原稿位置を特定する位置特定手段である。具体的には、原稿検出センサDS4〜DS6の先端検出信号及び後端検出信号の入力後に、これらの検出位置からの搬送距離を測定することにより、原稿位置を算出している。ここでは、第2搬送モータがステッピングモータからなり、このステッピングモータに供給されるステップ数を計数することにより、原稿の搬送距離を測定するものとする。また、原稿検出センサDS2により検出された原稿長を差し引くことにより、原稿検出センサDS4,DS5の先端検出信号に基づいて原稿の後端の位置を特定することができ、その逆を特定することもできる。なお、タイマーを用いて原稿の搬送時間を計測することにより、搬送距離を測定する構成であってもよい。
【0079】
また、搬送距離に基づいて原稿位置を特定する場合、原稿の検出位置からの搬送距離が短ければ、原稿位置をより精度よく特定することができる。このため、搬送位置特定部41は、搬送中の原稿により近い原稿検出センサの検出タイミングに基づいて原稿位置を特定する。
【0080】
搬送制御部42は、原稿検出センサDS4〜DS6による原稿の検出タイミングに基づいて、切替ローラ19、レジストローラ20及び排出ローラ23をそれぞれ制御する制御手段である。搬送制御部42は、搬送位置特定部41により特定された原稿位置に基づいて、切替ローラ19及び排出ローラ23の回転方向を切り替えるための制御信号を生成する。また、この原稿位置に基づいて、レジストローラ20による斜行補正を終了させ、回転速度を上昇させるための制御信号を生成する。
【0081】
切替ローラ19は、搬送路A2上に設けられ、回転方向を切替可能な搬送ローラである。この切替ローラ19は、搬送制御部42の制御信号に基づいて、回転方向を切り替える動作を行う。例えば、長原稿の第1面読取後、搬送路A3上の基準位置E5(図7(c))に対する原稿後端の通過に基づいて、回転方向を正転から逆転へ切り替える動作を行う。この回転方向の切替により、搬送路A2上の搬送方向が順方向から逆方向に切り替わる。具体的には、搬送位置特定部41が、原稿検出センサDS4の検出タイミングに基づいて、検出位置からの原稿後端の搬送距離を測定し、基準位置E5に対する原稿の通過を判別する。
【0082】
更に、切替ローラ19は、長原稿の第2面読取後、搬送路A2上の基準位置E7(図9(h))に対する原稿の通過に基づいて、回転方向を逆転から正転へ切り替える動作を行う。すなわち、逆転への切替時と同様に、原稿検出センサDS4の検出タイミングに基づいて、回転方向を切り替える。特に、原稿検出センサDS4の後端検出信号に基づいて、基準位置E7の通過を判別することが望ましい。この場合、原稿の先端を検出する場合に比べて、原稿の搬送距離がより短くなることから、原稿の通過を更に精度良く判別することができる。
【0083】
レジストローラ20は、搬送路A7上に配置され、原稿の搬送速度を低下させることにより、原稿の斜行を矯正することが可能な搬送ローラである。具体的には、原稿検出センサDS5の検出タイミングに基づいて、原稿先端の搬送速度を急激に低下させることにより、原稿を弛ませ、原稿の斜行を矯正する。この場合、原稿に生じた弛みは、その後にレジストローラ20の回転速度を上昇させることによって解消される。
【0084】
斜行矯正の終了後、レジストローラ20は、原稿検出センサDS5の検出タイミングに基づいて、原稿の搬送速度を上昇させ、搬送路A2へ逆方向に原稿を進入させる。ここでは、原稿検出センサDS5による原稿先端の検出タイミングから一定期間経過後に、原稿の搬送速度を上昇させるものとする。
【0085】
排出ローラ23は、交差部B8に配置され、切替ローラ19と同様に回転方向が切替可能な搬送ローラである。この排出ローラ23は、逆転時に長原稿用Uターン路上の原稿を搬送路A2へ逆方向に進入させるとともに、正転時に排出路上の原稿を排出口24から排出させる。
【0086】
この排出ローラ23は、搬送制御部42の制御信号に基づいて、回転方向を切り替える動作を行う。例えば、第1面読取後の長原稿を搬送路A2へ逆方向に進入させるために、搬送路A5上の基準位置E4(図7(b))への原稿の到達に基づいて、回転方向を正転から逆転に切り替える。この場合、搬送位置特定部41が、原稿検出センサDS4の検出タイミングに基づいて、検出位置からの原稿先端の搬送距離を測定し、基準位置E4への原稿の到達を判別するものとする。
【0087】
また、第2面読取後の長原稿を排出口24へ排出するために、搬送路A9上の基準位置E6(図8(f))への原稿の到達に基づいて、回転方向を逆転から正転に切り替える。ここでは、搬送位置特定部41が、原稿検出センサDS4の検出タイミングに基づいて、基準位置E6への原稿の到達を判別するものとする。
【0088】
原稿読取部32は、搬送路A2上に設けられ、読取位置B2を通過する原稿の読取を行うスキャナユニットである。この原稿読取部32は、原稿検出センサDS4による原稿の検出タイミングに基づいて、順方向に搬送中の原稿の第1面の読取を行う。すなわち、搬送位置特定部41が、原稿検出センサDS4の先端検出信号及び後端検出信号の入力後の搬送量を測定することにより、読取位置B2に対する原稿の先端の到達及び後端の通過をそれぞれ判別する。更に、この判別結果に基づいて、原稿読取部32が、原稿の先端が読取位置B2に到達してから後端が読取位置B2を通過するまでの間、原稿の読取を行う。
【0089】
また、原稿読取部32は、原稿検出センサDS5の検出タイミングに基づいて、逆方向に搬送中の原稿の第2面の読取を行う。この場合、第1面の読取と同様に、原稿の先端が読取位置B2に到達してから後端が読取位置B2を通過するまでの間、原稿の読取を行うものとする。
【0090】
繰込制御部43は、原稿検出センサDS4による原稿の検出タイミングに基づいて、繰込ローラ15を制御する制御手段であり、搬送位置特定部41により特定された原稿位置に基づいて、繰込ローラ15による繰込を開始させるための制御信号を生成する。
【0091】
繰込ローラ15は、繰込制御部43の制御信号に基づいて、原稿トレイ11から次の原稿を繰り込む原稿繰込手段である。例えば、短原稿又は長原稿の搬送時に、基準位置E2に対する原稿後端の通過に基づいて、次の原稿の繰込を開始する。この場合、搬送位置特定部41が、原稿検出センサDS4の検出タイミングに基づいて、基準位置E2に対する原稿後端の通過を判別するが、図5(e)及び図9(g)に示すように、原稿後端の基準位置E2の通過時には、原稿検出センサDS4は原稿後端を検出していない。このため、搬送位置特定部41は、原稿検出センサDS4による原稿先端の検出時に、検出位置から原稿長を差し引くことにより、原稿の後端位置を算出する。更に、算出された後端位置からの搬送距離を測定することによって、基準位置E2に対する原稿後端の通過を判別する。また、基準位置E2が読取位置B2と一致する構成であっても良い。
【0092】
原稿の搬送効率を向上させるという観点からみれば、原稿の搬送間隔をなるべく短くすることが望ましい。しかしながら、原稿同士の接触を防止するため、前の原稿の後端が分岐点B1を搬送路A8側へ通過した後に、次の原稿の先端が分岐点B1に到達するように原稿を繰り込む必要がある。このため、繰込ローラ15は、分離ローラ16a及びリタードローラ16bによる重送状態の分離やレジストローラ17による斜行の矯正にかかる時間も含め、原稿同士が接触しないように原稿の繰込タイミングを決定している。具体的には、重送状態の分離や斜行の矯正が最小時間で終了した場合にも、前の原稿の先端が分岐点B1を通過後に、次の原稿が分岐点B1へ到達するタイミングで原稿の繰込を行う。
【0093】
特に、原稿検出センサDS5,DS6に比べて分岐点B1に近い原稿検出センサDS4の検出タイミングに基づいて、原稿の繰込を行うことにより、搬送距離の測定誤差に起因する搬送間隔のずれをより小さくすることができる。このため、原稿同士の接触を精度よく抑制しつつ、搬送間隔を短くすることができる。
【0094】
本実施の形態によれば、搬送路A2上に配置された切替ローラ19の回転方向を切り替えることにより、原稿読取部32に対して原稿を2方向へ通過させることができ、原稿を搬送するローラの数を減少させることができる。しかも、原稿検出センサDS4が、原稿が2回通過する位置に配置され、順方向の搬送時には、原稿の第1面の読取タイミングを求めるために用いられ、逆方向の搬送時には、切替ローラ19による原稿の搬送方向を逆方向から順方向に戻すタイミングを求めるために用いられる。このため、部品点数を減少させることができ、製品を小型化することができる。
【0095】
<原稿検出時の動作のフローチャート>
図11〜図13は、原稿検出センサDS4又はDS5による長原稿の搬送制御の一例を示し、図14及び図15は、原稿検出センサDS4,DS5による短原稿の搬送制御の一例を示している。また、図16は、原稿検出センサDS6による長原稿又は短原稿の搬送制御の一例を示している。
【0096】
図11のステップS101〜S106は、原稿検出センサDS4による長原稿の先端検知時の処理の一例を示したフローチャートである。このフローチャートの処理は、長原稿の両面読取時に原稿検出センサDS4から先端検出信号が出力されると開始される。まず、搬送位置特定部41が、同一原稿について何回目の先端検出であるのかを判別する(ステップS101)。その原稿が1回目に検出された場合、つまり、順方向へ搬送中である場合であれば、搬送位置特定部41が検出位置から所定量の搬送が行われたと判別したときに、原稿読取部32が原稿の第1面の読取を開始する。更に、検出位置から搬送路A5上の基準位置E4まで原稿先端が搬送されたと搬送位置特定部41により判別されると、長原稿用Uターン路上の原稿を搬送可能となるように、排出ローラ23が回転方向を正転から逆転に切り替え、処理を終了する(ステップS103)。一方、その原稿が2回目に検出された場合であれば、搬送位置特定部41が検出位置から所定量の搬送が行われたと判別したときに、搬送制御部42が、原稿を搬送路A9側に案内するように分岐点B5の分岐爪21を切り替える(ステップS104)。このとき、分岐点B6の分岐爪22は、原稿を搬送路A10側に案内する状態となっている。このため、逆方向に搬送路A2を通過した原稿は、排出路側へ案内される。
【0097】
更に、検出位置から搬送路A9上の基準位置E6まで原稿先端が搬送されたと搬送位置特定部41により判別されると、排出ローラ23が、排出路上の原稿を排出口24から排出可能となるように、回転方向を逆転から正転に切り替える(ステップS105)。また、搬送位置特定部41は、原稿検出センサDS4により検出された原稿の先端位置から原稿長を差し引くことによって原稿の後端位置を特定し、原稿の後端位置が搬送路A2上の基準位置E2を通過したと判別すると、繰込ローラ15が次の原稿の繰込を開始し、処理を終了する(ステップS106)。
【0098】
図12のステップS201〜S204は、原稿検出センサDS4による長原稿の後端検知時の処理の一例を示したフローチャートである。このフローチャートの処理は長原稿の両面読取時に原稿検出センサDS4から後端検出信号が出力されると開始される。まず、搬送位置特定部41が、同一原稿について何回目の後端検出であるのかを判別する(ステップS201)。その原稿が1回目に検出された場合であれば、搬送位置特定部41が検出位置から所定量の搬送が行われたと判別したときに、原稿読取部32が原稿の第1面の読取を終了する(ステップS202)。更に、検出位置から搬送路A3上の基準位置E5まで原稿後端が搬送されたと搬送位置特定部41により判別されると、切替ローラ19が、原稿を逆方向に搬送するように、回転方向を正転から逆転に切り替え、処理を終了する(ステップS203)。
【0099】
一方、原稿が2回目に検出された場合であれば、検出位置から搬送路A2上の基準位置E7まで原稿後端が搬送されたと搬送位置特定部41により判別されたときに、切替ローラ19が、次の原稿を順方向に搬送するように、回転方向を逆転から正転に切り替え、処理を終了する(ステップS204)。
【0100】
図13のステップS301〜S305は、原稿検出センサDS5による長原稿の先端又は後端検知時の処理の一例を示したフローチャートである。このフローチャートの処理は長原稿の両面読取時に原稿検出センサDS5から先端検出信号又は後端検出信号が出力されると開始される。まず、搬送位置特定部41が、原稿の先端及び後端のいずれが検出されたかを判別する(ステップS301)。原稿の先端が検出された場合、レジストローラ20が回転速度を低下させ、このレジストローラ20に搬送中の原稿の先端を接触させることにより、原稿の斜行の矯正が行われる(ステップS302)。更に、搬送位置特定部41が、原稿検出センサDS5の先端検出信号が入力されてから所定時間が経過したと判別すると、搬送制御部42がレジストローラ20の回転速度を上昇させ、搬送路A2へ原稿を逆方向に進入させる(ステップS303)。更に、搬送位置特定部41が検出位置から所定量の搬送が行われたと判別したときに、原稿読取部32が原稿の第2面の読取を開始し、処理を終了する(ステップS304)。
【0101】
一方、原稿の後端が検出された場合、搬送位置特定部41が検出位置から所定量の搬送が行われたと判別したときに、原稿読取部32が、原稿の第2面の読取を終了する(ステップS305)。
【0102】
図14のステップS401〜S403は、原稿検出センサDS4による短原稿の先端検知時の処理の一例を示したフローチャートである。このフローチャートの処理は短原稿の両面読取時に原稿検出センサDS4から先端検出信号が出力されると開始される。まず、搬送位置特定部41が、同一原稿について何回目の後端検出であるかを判別する(ステップS401)。その原稿が1回目に検出された場合であれば、搬送位置特定部41が検出位置から所定量の搬送が行われたと判別したときに、原稿読取部32が原稿の読取を開始し、処理を終了する(ステップS402)。一方、原稿が2回目に検出された場合であれば、搬送位置特定部41が、原稿検出センサDS4により検出された原稿の先端位置から原稿長を差し引くことによって原稿の後端位置を特定し、原稿の後端位置が基準位置E2を通過したと判別すると、繰込ローラ15が次の原稿の繰込を開始し、処理を終了する(ステップS403)。
【0103】
また、短原稿の両面読取時の原稿検出センサDS4の後端検出信号に基づく動作については、図12の長原稿の両面読取時の原稿検出センサDS4の後端検出信号に基づく動作と同一であるため、説明を省略する。
【0104】
図15のステップS501〜S506は、原稿検出センサDS5による短原稿の先端又は後端検知時の処理の一例を示したフローチャートである。このフローチャートの処理は短原稿の両面読取時に原稿検出センサDS5から先端検出信号又は後端検出信号が出力されると開始される。まず、搬送位置特定部41が、原稿の先端及び後端のいずれが検出されたかを判別する(ステップS501)。原稿の先端が検出された場合の処理は、図13のステップS302〜S304と同一であるため、説明を省略する。原稿の後端が検出された場合、検出位置から所定量の搬送が行われたと搬送位置特定部41により判別されたときに、搬送制御部42が、原稿を搬送路A10側に案内するように分岐点B6の分岐爪22を切り替える(ステップS505)。この切替により、逆方向に搬送路A2を通過した原稿が、排出路上へ案内され、排出口24から排出される。また、搬送位置特定部41が検出位置から所定量の搬送が行われたと判別したときに、原稿読取部32が、原稿の第2面の読取を終了する(ステップS506)。
【0105】
図16のステップS601〜S604は、原稿検出センサDS6による長原稿又は短原稿の後端検知時の処理の一例を示したフローチャートである。このフローチャートの処理は長原稿又は短原稿の両面読取時に原稿検出センサDS6から後端検出信号が出力されると開始される。まず、搬送位置特定部41が、原稿の後端が検出されたか否かを判別する(ステップS601)。原稿の後端が検出された場合、搬送位置特定部41が、原稿検出センサDS2の検出結果に基づいて、原稿台13上の原稿の原稿長を判別する(ステップS602)。原稿台13上の原稿が長原稿であれば、検出位置から所定量の搬送が行われ、原稿の後端が排出口24から排出されたと搬送位置特定部41により判別されたときに、搬送制御部42が、次の原稿を長原稿用Uターン路側に案内するように、分岐点B5の分岐爪21を切り替え、処理を終了する(ステップS603)。
【0106】
一方、原稿台13上の原稿が短原稿であれば、搬送位置特定部41が検出位置から所定量の搬送が行われ、原稿の後端が排出口24から排出されたと搬送位置特定部41により判別されたときに、搬送制御部42が、次の原稿を搬送路A11側に案内するように分岐点B6の分岐爪22を切り替える(ステップS604)。このとき、分岐点B5の分岐爪21は、原稿を搬送路A9側に案内する状態となっている。このため、逆方向に搬送路A2を通過した原稿は、短原稿用Uターン路上側に案内される。
【0107】
本実施の形態によれば、原稿検出センサDS4が、排出ローラ23の回転方向を切り替えるタイミングを求めるためにも共用されるので、原稿検出センサの数を減少させることができる。また、原稿を排出口24へ排出するための排出ローラ23が、Uターン路における原稿の搬送にも共用される。従って、部品点数を減少させることができる。
【0108】
しかも、原稿検出センサDS4が原稿トレイ11から次の原稿を繰り込む繰込タイミングを求めるためにも共用されるので、部品点数を更に減少させることができる。更に、原稿検出センサDS4により、切替ローラ19の2度の回転方向の切替タイミングがそれぞれ求められる。このため、部品点数をより減少させることができる。
【0109】
なお、本実施の形態では、原稿検出センサDS4による原稿先端の検出タイミングに基づいて、繰込ローラ15が、次の原稿を繰り込む構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、原稿検出センサDS4による原稿後端の検出タイミングに基づいて、次の原稿を繰り込む構成であっても良い。
【0110】
実施の形態2.
実施の形態1では、原稿検出センサDS4の検出タイミングに基づいて、切替ローラ19の逆転から正転への切替及び原稿の繰込が行われる場合の例について説明した。これに対して、本実施の形態では、原稿検出センサDS5の検出タイミングに基づいて、切替ローラ19の逆転から正転への切替及び原稿の繰込が行われる場合について説明する。切替ローラ19及び繰込ローラ15以外の構成については実施の形態1と同一であるため、説明を省略する。
【0111】
具体的には、長原稿の搬送時に、搬送路A2上の基準位置E7に対する原稿の通過に基づいて、切替ローラ19が回転方向を逆転から正転へ切り替える動作を行う。この切替により、搬送路A2上の搬送方向が逆方向から順方向に切り替わる。この場合に、本実施の形態では、原稿検出センサDS5の検出タイミングに基づいて、回転方向を切り替える。すなわち、搬送位置特定部41が、原稿検出センサDS5の後端検出信号に基づいて、検出位置から基準位置E7まで原稿後端が搬送されたことを判別する。なお、本実施の形態においても、基準位置E7が原稿検出センサDS4の検出位置と一致する構成であっても良い。
【0112】
また、繰込ローラ15が、長原稿の搬送時に、読取位置B2に対する原稿後端の通過に基づいて、次の原稿の繰込を開始する。この場合に、原稿検出センサDS5の検出タイミングに基づいて、搬送位置特定部41が読取位置B2に対する原稿後端の通過を判別し、繰込ローラ15が原稿の繰込を開始する。
【0113】
図17は、本実施の形態の原稿検出センサDS5による長原稿の先端検知時の動作の一例を示したフローチャートである。このフローチャートは長原稿の両面読取時に原稿検出センサDS5から先端検出信号又は後端検出信号が出力されると開始される。まず、搬送位置特定部41が、原稿の先端及び後端のいずれが検出されたかを判別する(ステップS701)。原稿の先端が検出された場合の処理については、図13のステップS302〜S304と同一であるため、説明を省略する。原稿の後端が検出された場合、搬送位置特定部41が検出位置から所定量の搬送が行われたと判別したときに、原稿読取部32が原稿の第2面の読取を終了する(ステップS705)。また、検出位置から基準位置E2まで原稿後端が搬送されたと搬送位置特定部41により判別されると、繰込ローラ15が次の原稿の繰込を開始する(ステップS706)。更に、検出位置から搬送路A2上の基準位置E7まで原稿後端が搬送されたと搬送位置特定部41により判別されたときに、切替ローラ19が、原稿を順方向に搬送するように、回転方向を逆転から正転に切り替え、処理を終了する(ステップS707)。
【0114】
図18は、本実施の形態の原稿検出センサDS5による短原稿の先端又は後端検知時の動作の一例を示したフローチャートである。ステップS805以外の動作は、図17のステップS701〜S707と同一であるため、説明を省略し、ステップS805の動作について説明する。すなわち、原稿の後端が検出された場合、検出位置から所定量の搬送が行われたと搬送位置特定部41により判別されたときに、搬送制御部42が、原稿を搬送路A10側に案内するように分岐点B6の分岐爪22を切り替える(ステップS805)。この切替により、逆方向に搬送路A2を通過した原稿が、排出路へ案内され、排出口24から排出される。その後、ステップS806に移る。
【0115】
また、本実施の形態の両面読取時の原稿検出センサDS4の先端検出信号又は後端検出信号に基づく動作は、原稿の繰込が行われず(図11のステップS106,図14のステップS403)、切替ローラ19の逆転から正転への切替が行われない点を除き(図12のステップS204)、図11,図12及び図14に示すフローチャートと同一であるため、説明を省略する。同様に、原稿検出センサDS6の原稿検出に基づく動作は、図16のステップS601〜S604と同一であるため、説明を省略する。
【0116】
本実施の形態によれば、搬送路A2上に配置された切替ローラ19の回転方向を切り替えることにより、原稿読取部32に対して原稿を2方向へ通過させることができ、原稿を搬送するローラの数を減少させることができる。しかも、原稿検出センサDS5が、原稿の第2面の読取タイミングを求めるために用いられるとともに、切替ローラ19による原稿の搬送方向を逆方向から順方向に戻すタイミングを求めるために共用される。このため、部品点数を減少させることができる。従って、製品コストを低減し、あるいは、製品サイズの増大を抑制することができる。
【0117】
また、原稿検出センサDS5が、原稿の斜行矯正終了後のレジストローラ20の回転速度を上昇させるタイミングを求めるために共用される。このため、部品点数を更に減少させることができる。また、原稿の第2面の読取前に、原稿の斜行を矯正することができるので、例えば、原稿をUターンさせる際に斜行が生じた場合にも、原稿の第2面の読取画像に位置ずれが生じることを抑制することができる。
【0118】
なお、実施の形態1及び2では、レジストローラ17及び20により、原稿の斜行を矯正する場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、レジストローラ17のみにより、原稿の斜行を矯正する構成であってもよい。
【0119】
また、実施の形態1及び2では、原稿検出センサDS2により、原稿台13に載置された原稿の最大長を検出する構成について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、原稿検出センサDS4の先端検出信号が生成されてから後端検出信号が生成されるまでの原稿の搬送量を測定することにより、原稿長を測定する構成であってもよい。
【0120】
また、実施の形態1及び2では、長原稿の両面読取時に、原稿検出センサDS6の検出タイミングに基づいて、原稿を搬送路A5側へ案内するように、分岐爪21を切り替える構成について説明した。また、短原稿の両面読取時に、原稿検出センサDS6の検出タイミングに基づいて、原稿を搬送路A11側へ案内するように、分岐爪22を切り替える構成について説明した。しかしながら、本発明は、原稿検出センサDS6の検出タイミングに基づいて、分岐爪21及び22を切り替える構成に限定されない。例えば、原稿検出検査DS4又はDS5の検出タイミングに基づいて、分岐爪21及び22を切り替える構成であっても良い。
【符号の説明】
【0121】
10 ADF装置
11 原稿トレイ
12 排出トレイ
13 原稿台
14 原稿ストッパ
15 繰込ローラ
16a 分離ローラ
16b リタードローラ
17,20 レジストローラ
18 搬送ローラ
19 切替ローラ
21,22 分岐爪
23 排出ローラ
24 排出口
30 MFP本体部
32 原稿読取部
41 搬送位置特定部
42 搬送制御部
43 繰込制御部
100 複合機
A1〜A11 搬送路
DS1〜DS6 原稿検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を順方向及び逆方向に搬送することができる読取搬送路と、
原稿トレイから繰り込まれた上記原稿を上記読取搬送路へ順方向に進入させる導入路と、
上記読取搬送路を順方向に通過した上記原稿をUターンさせ、上記読取搬送路へ逆方向に進入させるUターン路と、
上記読取搬送路を逆方向に通過した上記原稿を排出口へ搬送する排出路と、
上記読取搬送路上に配置され、上記原稿を検出する原稿検出センサと、
上記読取搬送路上に配置され、順方向の搬送時に上記原稿の第1面を読み取り、逆方向の搬送時に上記原稿の第2面を読み取る原稿読取手段と、
上記読取搬送路上に設けられ、回転方向を切替可能な切替ローラとを備え、
上記原稿読取手段は、順方向に搬送中の上記原稿の上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、上記原稿の第1面を読み取り、
上記切替ローラは、逆方向に搬送中の上記原稿の上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、上記回転方向を切り替えることによって原稿の搬送方向を逆方向から順方向に切り替えることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
上記排出路及び上記Uターン路が交差する交差部に配置され、逆転時に上記Uターン路上の上記原稿を上記読取搬送路へ進入させ、正転時に上記排出路上の上記原稿を上記排出口へ搬送する排出ローラを備え、
上記排出ローラは、逆方向に搬送中の上記原稿の上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、逆転から正転へ回転方向を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
上記切替ローラは、逆方向に搬送中の原稿後端の上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、上記回転方向を切り替えることによって原稿の搬送方向を逆方向から順方向に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
逆方向に搬送中の上記原稿の上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、上記原稿トレイから次の原稿を繰り込む原稿繰込手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項5】
上記切替ローラは、順方向に搬送中の上記原稿の上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、上記回転方向を切り替えることによって原稿の搬送方向を順方向から逆方向に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項6】
原稿を順方向及び逆方向に搬送することができる読取搬送路と、
原稿トレイから繰り込まれた上記原稿を上記読取搬送路へ順方向に進入させる導入路と、
上記読取搬送路を順方向に通過した上記原稿をUターンさせ、上記読取搬送路へ逆方向に進入させるUターン路と、
上記読取搬送路を逆方向に通過した上記原稿を排出口へ搬送する排出路と、
上記Uターン路上に配置され、上記原稿を検出する原稿検出センサと、
上記読取搬送路上に配置され、順方向の搬送時に上記原稿の第1面を読み取り、逆方向の搬送時に上記原稿の第2面を読み取る原稿読取手段と、
上記読取搬送路上に設けられ、回転方向を切替可能な切替ローラとを備え、
上記原稿読取手段は、上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、逆方向に搬送中の上記原稿の第2面を読み取り、
上記切替ローラは、上記原稿検出センサによる検出タイミングに基づいて、上記回転方向を切り替えることによって原稿の搬送方向を逆方向から順方向に切り替えることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項7】
上記Uターン路上に配置され、原稿の搬送速度を低下させることにより、上記原稿の斜行を矯正するレジストローラを備え、
上記レジストローラが、上記原稿検出センサの検出タイミングに基づいて、上記搬送速度を上昇させることを特徴とする請求項6に記載の原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−74544(P2013−74544A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213486(P2011−213486)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】