説明

双方向昇降圧チョッパ回路

【課題】双方向昇降圧チョッパ回路において、入出力電圧の変動状態によってもスナバコンデンサ電圧残留による非ソフトスイッチング領域が生じることなく、運転領域において全域ソフトスイッチングを行う。
【解決手段】スナバコンデンサ20とスナバダイオード30との接続点と直流電源1a、1bとの間に、ダイオード50と補助スイッチ40と可飽和リアクトル60とを直列接続した直列接続体70を接続し、スナバコンデンサに蓄積された電圧を直流電源に回生する際に、直流電源の電圧に対するチョッパ部の出力電圧の昇圧率を2以上とすることによってスナバコンデンサ20の電圧残留を零とし、入出力電圧の変動状態によってもスナバコンデンサ電圧残留による非ソフトスイッチング領域が生じることなく、運転領域において全域ソフトスイッチングを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池電気自動車(以下、FCEVとも呼ぶ)、ハイブリッド自動車(以下、HEVとも呼ぶ)、電気自動車(以下、EVとも呼ぶ)に用いられる電力変換器の高効率・高電力密度化のための回路方式に関し,特に、共振によるサージ電圧の発生の防止とソフトスイッチング方式の回路システムに関する。
【背景技術】
【0002】
FCEV,HEV,EV等の電気自動車関連分野では、燃料電池やバッテリ等の電気エネルギー発生手段を用いてインバータ,モータを駆動する。この駆動では、加速走行時や定速走行時では発生した電力を消費する他、減速走行時にはモータの回生電力をバッテリ等の電気エネルギー蓄積手段に充電する。そのため、電源と負荷との間において双方向に直流電力フローを制御する必要がある。
【0003】
また、これらの加速走行、定速走行、減速走行等の各運転領域では、入出力電圧がバッテリの状態やモータの回転数等の運転条件によって大きく変動する。そのため、昇圧動作と降圧動作を組み合わせる必要があるため、双方向昇降圧チョッパが使用されている。
【0004】
従来、リアクトルを用いて電圧の昇圧や降圧を行なう昇降圧チョッパ回路が知られている。この昇降圧動作は,IGBT等のスイッチング素子を高速でオン・オフすることによってリアクトルに直流電力を蓄積し、この直流電力を出力することで昇降圧を行なう。
【0005】
このスイッチング素子の動作として,ハードスイッチング方式とソフトスイッチング方式が知られている。ハードスイッチング方式では、スイッチング素子のターンオンあるいはターンオフにおいて電圧と電流が交差する時間が長いため、電力損失が大きいという問題がある。このスイッチング損失は,スイッチング周波数の高周波化に伴って増大する。ハードスイッチング方式を用いた燃料電池回路としては、例えば、特許文献1や特許文献2が知られている。
【0006】
これに対して、ソフトスイッチング方式は共振現象等を利用して電圧または電流を零とした状態でスイッチング動作を行なうものであり、これによって電力損失を低減しようとするものである。電気自動車関連分野では高効率が求められるため、ソフトスイッチング方式によるチョッパ回路が求められている。
【0007】
ソフトスイッチング方式のチョッパ回路は、従来より多くの方式が提案されている。図10に示す回路は、従来提案されるソフトスイッチング方式のチョッパ回路の一例である(特許文献3)。図10は昇圧チョッパ回路の一例であり、107は直流リアクトル、102は出力ダイオード、103は出力コンデンサであり、出力コンデンサ103に並列に主スイッチ111を接続している。
【0008】
この主スイッチ111には、スナバコンデンサ112とスナバダイオード113の直列接続体が並列接続され、このスナバコンデンサ112とスナバダイオード113の中間点に補助スイッチ104と回生ダイオード105と補助共振リアクトル106の直列接続体の一端が接続される。直列接続体の他端は入力電源101の正電圧端子に接続される。また、回生ダイオード105と補助共振リアクトル106との接続点と入力電源101の負電圧端子との間には帰還ダイオード108が接続される。入力電源101は直流入力電源である。
【0009】
このような回路において、主スイッチ111と同期して付勢される補助スイッチ104の動作によって、スナバコンデンサ112のエネルギーは回生ダイオード105を介して補助共振リアクトル106へ移る。その後、補助共振リアクトル106に移ったエネルギーは、補助共振リアクトル106、電源101および帰還ダイオード108で形成される閉回路によって電源101へ回生される。
【0010】
しかしながら、この従来回路はスナバコンデンサ112の充電電荷を入力電源101へ共振現象を利用して回生させるため、入力電圧Vinに対する出力電圧Voutの比である昇圧率α(=Vout/Vin)が2.0未満の領域において、スナバコンデンサ112の充電電圧が零まで放電できずに、残留電圧が生じる非ソフトスイッチング領域がある。
【0011】
図11にソフトスイッチング領域および非ソフトスイッチング領域を示し、図12はソフトスイッチング領域および非ソフトスイッチング領域での代表的な動作波形を示す。
【0012】
図11において、(a)で示す領域は昇圧率αが2.0以上の領域を示し、(b),(c)で示す領域は昇圧率αが2.0〜1.0の領域を示している。領域(b)と領域(c)の境界は負荷電力で定まる。
【0013】
この境界領域は、スナバコンデンサ112に残留していた電圧が放電して完全に零となる完全放電条件により定まるものであり、残留電荷がこの間に通流する補助スイッチ電流の積分電荷よりも小さいという条件から、出力電圧Voutは
Vout>2Vin−1/2・(L/(C・Vin))・(Pout/(Vin・η))
の式で表される。(非特許文献1)
【0014】
また、図12は、スナバコンデンサ112の電圧V112、主スイッチの電流I111を示し、図12(a)はソフトスイッチング領域での電圧,電流を示し、図12(b),(c)は非ソフトスイッチング領域での電圧,電流を示している。
【0015】
図11の領域(a)は昇圧率αが2.0以上の領域であり、図12(a)に示すソフトスイッチング領域の電圧,電流の関係に示すように、共振現象によってスナバコンデンサ112の電圧V112は完全放電する。この完全放電を行うことによって、主スイッチ111のターンオンおよびターンオフにおいて、スイッチング動作は零電圧,零電流で行われ、ソフトスイッチングが達成される。
【0016】
図11の領域(b)は昇圧率αが2.0未満の領域であり、図12(b)に示すように、スナバコンデンサ112の電圧V112に残留電圧が生じる。この残留電圧の発生によって、主スイッチ111のターンオンは非零電圧および非零電流で、ターンオフは零電圧および零電流で行うスイッチング動作する非ソフトスイッチング領域(b)となる。
【0017】
また、図11の領域(c)は昇圧率αが2.0未満の領域において、出力が軽負荷時に生じる領域である。この領域(c)では、図12(c)に示すように、主スイッチ111のターンオンおよびターンオフを非零電圧および非零電流でスイッチング動作する非ソフトスイッチング領域(c)となる。
【0018】
以上のように、従来回路は、スナバコンデンサ112の残留電圧の発生によって非ソフトスイッチング領域が生じ、電力損失が発生するという課題がある。
【0019】
また、図10に示す従来回路では、補助共振リアクトル106に移ったエネルギーが入力電源101へ回生した後、回生ダイオード105の蓄積電荷がダイオードリカバリする際にサージ過電圧が発生する。
【0020】
図13(a)は補助スイッチ104の電流を示し、図13(b)は補助スイッチ104の電圧を示している。
【0021】
図13(b)の電圧に示すように、主スイッチ111のターンオフ時にも補助スイッチ104の漂遊容量と補助共振リアクトル106の共振現象によるサージ過電圧Vp1が補助スイッチ104の両端に発生する。
【0022】
回生ダイオード105のダイオードリカバリによるサージ過電圧、共振現象によるサージ過電圧が、補助スイッチ104や回生ダイオード105の定格電圧を越えると、素子破損にいたる場合がある。また、サージ過電圧で素子が直接破損しない場合であっても、サージ過電圧により制御回路が誤動作したり、ゲート回路が誤動作して主スイッチ111や補助スイッチ104が破損してしまう恐れがあるという課題もある。
【0023】
また、図10に示す従来回路では、出力ダイオード102が主回路に直列に接続されているため、その順電圧による電力損失が大きくなるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開2002−63923号公報
【特許文献2】特開2005−295671号公報
【特許文献3】特開2001−224165号公報
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】平成20年電気学会全国大会講演論文集、4-071,pp.117-118,20083/19〜21,“SAZZコンバータにおけるソフトスイッチング領域外動作特性”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
上記したように,従来提案されているチョッパ回路では、下記のような非ソフトスイッチング領域,熱損失および素子破損の課題を有している。
【0027】
(1)入・出力電圧比と出力電力の条件によっては,非ソフトスイッチング領域が生じるという課題がある。
【0028】
(2)回生ダイオードの蓄積電荷による逆回復(ダイオードリカバリ)によるサージ過電圧や、補助スイッチ104の漂遊容量によるサージ過電圧の発生によるノイズによって制御回路が誤動作し,素子破損にいたる恐れがあるという課題がある。
【0029】
上記したスイッチングに係わる課題の他に、
(3)出力ダイオードの順電圧による電力損失が大きいという課題がある。
【0030】
したがって、低損失でかつ高信頼性が得られる双方向昇降圧チョッパ回路では、上記したスイッチングに係わる課題の他、出力ダイオードに係わる課題は、双方向昇降圧チョッパ回路では低損失でかつ高信頼性を達成する上で支障となる。
【0031】
そこで、本発明は,前記した課題点を解決するためになされたものであり、双方向昇降圧チョッパ回路のスイッチングに係わる課題、出力ダイオードに係わる課題を解決することを目的とする。
【0032】
本発明は、双方向昇降圧チョッパ回路のスイッチングに係わる課題の解決において、入出力電圧の変動状態によってもスナバコンデンサ電圧残留による非ソフトスイッチング領域が生じることなく、運転領域において全域ソフトスイッチングの可能な回路方式を提供することを目的とする。
【0033】
本発明は、双方向昇降圧チョッパ回路のスイッチングに係わる課題の解決において、回生ダイオードの逆回復による過電圧を防ぐことを目的とする。
【0034】
本発明は、双方向昇降圧チョッパ回路のスイッチングに係わる課題の解決において、補助スイッチのターンオフ時の漂遊容量による過電圧を抑制することを目的とする。
【0035】
また、本発明は、出力ダイオードの順電圧による電力損失を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上記目的を達成するため、本発明の双方向昇降圧チョッパ回路は、昇圧動作および降圧動作を双方向で行なう双方向昇降圧チョッパ回路において、昇圧動作を行なう昇圧チョッパ部および降圧動作を行なう降圧チョッパ部を備える。
【0037】
本発明の昇圧チョッパ部および降圧チョッパ部は、主スイッチとこの主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードと、ダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した直列接続体とを備え、直列接続体の一端を前記スナバコンデンサとスナバダイオードとの接続点に接続し、直列接続体の他端を直流電源に接続し、直流電源の電圧に対するチョッパ部の出力電圧の昇圧率を2以上とする。
【0038】
本発明は、スナバコンデンサとスナバダイオードとの接続点と直流電源との間に、ダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した直列接続体を接続し、スナバコンデンサに蓄積された電圧を直流電源に回生する際に、直流電源の電圧に対するチョッパ部の出力電圧の昇圧率を2以上とすることによってスナバコンデンサの電圧残留を零とし、入出力電圧の変動状態によってもスナバコンデンサ電圧残留による非ソフトスイッチング領域が生じることなく、運転領域において全域ソフトスイッチングの可能とすることができる。
【0039】
また、本発明は、ダイオードおよび補助スイッチに可飽和リアクトルを直列接続することによって、回生ダイオードの逆回復による過電圧を防ぐことができる。
【0040】
また、本発明は、ダイオードおよび補助スイッチに可飽和リアクトルを直列接続することによって、補助スイッチのターンオフ時の漂遊容量による過電圧を抑制することができる。
【0041】
本発明の双方向昇降圧チョッパ回路は、チョッパ回路をブリッジ接続してなる四象限チョッパ回路、あるいは二象限チョッパ回路で構成することができる。
【0042】
本発明の四象限チョッパ回路は、昇圧動作および降圧動作を双方向で行なう双方向昇降圧チョッパ回路において、第1と第2の直流電源と、第1と第2の直流電源に対してそれぞれ並列接続した第1と第2の入力コンデンサと、主リアクトルと、負荷に対して並列接続した出力コンデンサと、昇圧動作を行う2つの昇圧チョッパ部と降圧動作を行なう2つの降圧チョッパ部とを備える。
【0043】
本発明が備える昇圧チョッパ部は、第1の昇圧動作を行なう第1の昇圧チョッパ部と第2の昇圧動作を行なう第2の昇圧チョッパ部とを備える。
【0044】
本発明の第1の昇圧チョッパ部は、一方の極を第2の直流電源の負の電圧端子に接続し、他方の極を主リアクトルの一端に接続した主スイッチと、主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードとの直列接続体と、スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と2分割した直流電源の中間点との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した第1の直列接続体を備える。
【0045】
本発明の第2の昇圧チョッパ部は、一方の極を第2の直流電源の負の電圧端子に接続し、他方の極を主リアクトルの他方の端子に接続した主スイッチと、主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードとの直列接続体と、スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と2分割した直流電源の中間点との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した第2の直列接続体を備える。
【0046】
本発明が備える降圧チョッパ部は、第1の降圧動作を行なう第1の降圧チョッパ部と第2の降圧動作を行なう第2の降圧チョッパ部とを備える。
【0047】
本発明の第1の降圧チョッパ部は、一方の極を第1の直流電源の正の電圧端子に接続し、他方の極を主リアクトルの一端に接続した主スイッチと、主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードとの直列接続体と、スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と2分割した直流電源の中間点との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した第3の直列接続体を備える。
【0048】
本発明の第2の降圧チョッパ部は、一方の極を出力コンデンサの正の電圧端子に接続し、他方の極を主リアクトルの他方の端子に接続した主スイッチと、主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードの直列接続体と、スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と第1の直流電源の正の電圧端子との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した第4の直列接続体とを備える。
【0049】
本発明の各チョッパ部が備える各補助スイッチは、主スイッチよりも先にオンすることによって主スイッチのスイッチング動作を零電圧および零電流で行なう。
【0050】
本発明の二象限チョッパ回路の一形態は、第1の昇圧チョッパ部と第1の降圧チョッパ部とからなり、昇圧動作および降圧動作を双方向で行なう双方向昇降圧チョッパ回路において、第1と第2の直流電源と、第1と第2の直流電源に対してそれぞれ並列接続した第1と第2の入力コンデンサと、主リアクトルと、負荷に対して並列接続した出力コンデンサと、昇圧動作を行う昇圧チョッパ部と降圧動作を行なう降圧チョッパ部とを備える。
【0051】
この形態の昇圧チョッパ部は、一方の極を第2の直流電源の負の電圧端子に接続し、他方の極を主リアクトルの一端に接続した主スイッチと、主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードとの直列接続体と、スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と2分割した直流電源の中間点との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した昇圧側直列接続体を備える。
【0052】
この形態の降圧チョッパ部は、一方の極を第1の直流電源の正の電圧端子に接続し、他方の極を主リアクトルの一端に接続した主スイッチと、主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードとの直列接続体と、スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と2分割した直流電源の中間点との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した降圧側直列接続体を備える。
【0053】
この形態の各チョッパ部の各補助スイッチは、主スイッチよりも先にオンすることによって主スイッチのスイッチング動作を零電圧および零電流で行なう。
【0054】
本発明の二象限チョッパ回路は、上記形態において、第1の昇圧チョッパ部の可飽和リアクトルと第1の降圧チョッパ部の可飽和リアクトルを共通化し、一つの可飽和リアクトルで構成することができる。この構成では、昇圧側直列接続体が備える可飽和リアクトルと前記降圧側直列接続体が備える可飽和リアクトルを共通の一つの可飽和リアクトルで構成し、この可飽和リアクトルの一端を2分割した直流電源の中間点に接続する。
【0055】
本発明の二象限チョッパ回路の他の形態は、第2の昇圧チョッパ部と第2の降圧チョッパ部とからなり、昇圧動作および降圧動作を双方向で行なう双方向昇降圧チョッパ回路において、第1と第2の直流電源と、第1と第2の直流電源に対してそれぞれ並列接続した第1と第2の入力コンデンサと、主リアクトルと、負荷に対して並列接続した出力コンデンサと、昇圧動作を行う昇圧チョッパ部と降圧動作を行なう降圧チョッパ部とを備える。
【0056】
この形態の昇圧チョッパ部は、一方の極を第2の直流電源の負の電圧端子に接続し、他方の極を主リアクトルの他方の端子に接続した主スイッチと、主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードとの直列接続体と、スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と2分割した直流電源の中間点との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した昇圧側直列接続体を備える。
【0057】
この形態の降圧チョッパ部は、一方の極を出力コンデンサの正の電圧端子に接続し、他方の極を主リアクトルの他方の端子に接続した主スイッチと、主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードの直列接続体と、スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と第1の直流電源の正の電圧端子との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した降圧側直列接続体とを備える。
【0058】
この形態の各チョッパ部の各補助スイッチは、主スイッチよりも先にオンすることによって主スイッチのスイッチング動作を零電圧および零電流で行なう。
【0059】
また、本発明の双方向昇降圧チョッパ回路は、主スイッチを半導体スイッチで構成し、この半導体スイッチに逆並列接続されるボディダイオードを出力ダイオードとし、主電流がボディダイオードを通流中に半導体スイッチをオン制御する同期整流する。
【0060】
この同期整流によって、出力ダイオードの順電圧による電力損失を抑制することができる。
【0061】
本発明の双方向昇降圧チョッパ回路において、第1の直流電源と第2の直流電源は、一つの直流電源を2分割し、分割した2つの端子間に第1の入力コンデンサおよび第2の入力コンデンサをそれぞれ並列接続して構成することができる。
【0062】
本発明の態様によれば、運転領域全域にわたって補助スイッチの作用によって主スイッチのスイッチング動作を零電圧および零電流で行なうことができる。
【0063】
また、本発明の態様によれば、可飽和リアクトルによって、回生ダイオードの逆回復による過電圧を防ぎ、また、補助スイッチのターンオフ時の漂遊容量による過電圧を抑制することができる。
【0064】
また、本発明の態様によれば、半導体スイッチを例えばパワーMOSFETで構成し、この半導体スイッチを同期整流によって逆並列ダイオードの順電圧を低減し、電力損失を低減することができる。
【0065】
本発明によれば,双方向昇降圧チョッパ回路を全域でソフトスイッチングさせ、損失を低減し、過電圧を抑制することができ、低損失で高信頼性の電力変換装置を構成することができる。
【発明の効果】
【0066】
本発明によれば、双方向昇降圧チョッパ回路のスイッチングに係わる課題の解決において、入出力電圧の変動状態によってもスナバコンデンサ電圧残留による非ソフトスイッチング領域が生じることなく、運転領域において全域ソフトスイッチングを可能とすることができる。
【0067】
本発明によれば、双方向昇降圧チョッパ回路のスイッチングに係わる課題の解決において、回生ダイオードの逆回復による過電圧を防ぐことができる。
【0068】
本発明によれば、双方向昇降圧チョッパ回路のスイッチングに係わる課題の解決において、補助スイッチのターンオフ時の漂遊容量による過電圧を抑制することができる。
【0069】
また、本発明によれば、出力ダイオードの順電圧による電力損失を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の双方向昇降圧チョッパ回路が備える昇圧チョッパ回路と降圧チョッパ回路とを説明するための図である。
【図2】本発明の第1の形態を説明するための回路図である。
【図3】本発明の第1の形態の各動作モードにおける等価回路図である。
【図4】本発明の第1の形態の動作タイムチャートである。
【図5】本発明の補助スイッチのサージ過電圧の抑制を説明するための図である。
【図6】本発明の回生ダイオードのサージ過電圧を説明するための図である。
【図7】本発明の第2の形態を説明するための回路図である。
【図8】本発明の第3の形態を説明するための回路図である。
【図9】本発明の第4の形態を説明するための回路図である。
【図10】従来の回路例を説明するための回路図である。
【図11】従来回路のソフトスイッチング領域と非ソフトスイッチング領域を説明するための図である。
【図12】従来回路のソフトスイッチング領域と非ソフトスイッチング領域における回路動作の相違を説明するための図である。
【図13】従来の回路の補助スイッチのサージ過電圧を示す図である。
【図14】従来の回路の回生ダイオードのサージ過電圧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0072】
以下,本発明の実施例を図面によって説明する。
【0073】
図1は本発明の双方向昇降圧チョッパ回路が備える昇圧チョッパ回路と降圧チョッパ回路とを説明するための図である。
【0074】
図1(a)は、本発明の双方向昇降圧チョッパ回路が備える昇圧チョッパ回路の一回路例である。
【0075】
昇圧チョッパ部は、主スイッチ10の一方の極を第2の直流電源1bの負の電圧端子に接続し、他方の極を第1の直流電源1aの正の電圧端子に接続し、主スイッチ10の両極間にスナバコンデンサ20とスナバダイオード30との直列接続体を接続し、スナバコンデンサ20とスナバダイオード30の接続点と第1の直流電源1aと第2の直流電源1bとの中間点との間に、補助スイッチ40と回生ダイオード50と可飽和リアクトル60とを直列接続した第1の直列接続体70を接続し、主スイッチ10の一方の極を主リアクトル7と降圧チョッパ部の主スイッチのボディダイオードを介して出力端に接続する。
【0076】
スナバコンデンサ20の電荷は第2の直流電源1bへ共振放電する。このとき、第2の直流電源1bの電圧は出力電圧Voutの1/2電圧であるため、スナバコンデンサ20は完全放電して残留電圧は存在しないため、常にソフトスイッチング動作を行うことができる。
【0077】
また、第1の直列接続体70が備える可飽和リアクトル60は、回生ダイオード50の蓄積電荷の逆回復によるサージ過電圧や補助スイッチ40の浮遊容量によるサージ過電圧を負担し、補助スイッチ40や回生ダイオード50に加わる電圧を低減して、素子破損を防ぐことができる。
【0078】
図1(b)は、本発明の双方向昇降圧チョッパ回路が備える降圧チョッパ回路の一回路例である。
【0079】
降圧チョッパ部は、主スイッチ10の一方の極を第1の直流電源1aの正の電圧端子に接続し、他方の極を昇圧チョッパ部の主スイッチのボディダイオードを介して直流電源1bの負の電圧端子に接続する。
【0080】
主スイッチ10の両極間にスナバコンデンサ20とスナバダイオード30との直列接続体を接続し、スナバコンデンサ20とスナバダイオード30の接続点と第1の直流電源1aと第2の直流電源1bとの中間点との間に、補助スイッチ40と回生ダイオード50と可飽和リアクトル60とを直列接続した第1の直列接続体70を接続し、主スイッチ10の他方の極を主リアクトル7を介して出力端に接続する。
【0081】
スナバコンデンサ20の電荷は第2の直流電源1bへ共振放電する。このとき、第2の直流電源1bの電圧は出力電圧Voutの1/2電圧であるため、スナバコンデンサ20は完全放電して残留電圧は存在しないため、常にソフトスイッチング動作を行うことができる。
【0082】
また、第1の直列接続体70が備える可飽和リアクトル60は、回生ダイオード50の蓄積電荷の逆回復によるサージ過電圧や補助スイッチ40の浮遊容量によるサージ過電圧を負担し、補助スイッチ40や回生ダイオード50に加わる電圧を低減して、素子破損を防ぐことができる。
【0083】
また、主スイッチ10のボディダイオードを出力ダイオードとして構成し、この主スイッチ10を同期整流することによって主スイッチ10の順電圧による電力損失を低減させることができる。
【0084】
次に、図2を用いて四象限チョッパ回路の回路例を説明する。図2において、3は出力コンデンサ、5は負荷、7は直流リアクトル、11,12,13,14は主スイッチ、21,22,23,24はスナバコンデンサ、31,32,33,34はスナバダイオード、41,42,43,44は補助スイッチ、51,52,53,54は回生ダイオード、61,62,63,64は可飽和リアクトルである。
【0085】
主スイッチ11〜14は、例えばIGBTやMOSFET等の半導体デバイスからなっている。また、補助スイッチ41〜44,回生ダイオード51〜54,可飽和リアクトル61〜64は補助共振回路を構成している。
【0086】
図2において、双方向昇降圧チョッパ回路は、2つの昇圧チョッパ部A,Bと2つの降圧チョッパ部C,Dを備える。
【0087】
第1の昇圧チョッパ部Aは、主スイッチ13,スナバコンデンサ23,スナバダイオード33、および補助スイッチ43,回生ダイオード53,可飽和リアクトル63からなる第1の直列接続体73を備える。
【0088】
第2の昇圧チョッパ部Bは、主スイッチ11,スナバコンデンサ21,スナバダイオード31、および補助スイッチ41,回生ダイオード51,可飽和リアクトル61からなる第2の直列接続体71を備える。
【0089】
第1の降圧チョッパ部Cは、主スイッチ14,スナバコンデンサ24,スナバダイオード34、および補助スイッチ44,回生ダイオード54,可飽和リアクトル64からなる第3の直列接続体74を構成する。
【0090】
第2の降圧チョッパ部Dは、主スイッチ12,スナバコンデンサ22,スナバダイオード32、および補助スイッチ42,回生ダイオード52,可飽和リアクトル62からなる第4の直列接続体72を備える。
【0091】
双方向昇降圧チョッパ回路は、直流電源を2分割した第1の直流電源1aと第2の直流電源1bを備え、第1の入力コンデンサ4aを第1の直流電源1aに並列接続し、第2の入力コンデンサ4bを第2の直流電源1bに並列接続する。
【0092】
直流電源1a,1bの間に、第1の降圧チョッパ部Cと第1の昇圧チョッパ部A、第2の降圧チョッパ部Dと第2の昇圧チョッパ部Bをそれぞれ直列接続してブリッジ回路を構成し、第1の降圧チョッパ部Cと第1の昇圧チョッパ部Aの中間点と、第2の降圧チョッパ部Dと第2の昇圧チョッパ部Bの中間点との間に直流リアクトルである主リアクトル7を接続する。
【0093】
双方向昇降圧チョッパ回路の出力側には、負荷5に対して並列接続される出力コンデンサ3を備える。
【0094】
第1の昇圧動作を行なう第1の昇圧チョッパ部Aは、一方の極を第2の直流電源1bの負の電圧端子に接続し、他方の極を主リアクトル7の一端に接続した主スイッチ13と、主スイッチ13の両極間に接続したスナバコンデンサ23とスナバダイオード33との直列接続体と、スナバコンデンサ23とスナバダイオード33の接続点と2分割した直流電源1a,1bの中間点との間に接続した回生ダイオード53と補助スイッチ43と可飽和リアクトル63とを直列接続した第1の直列接続体73を備える。
【0095】
第2の昇圧動作を行なう第2の昇圧チョッパ部Bは、一方の極を第2の直流電源1bの負の電圧端子に接続し、他方の極を主リアクトル7の他方の端子に接続した主スイッチ11と、主スイッチ11の両極間に接続したスナバコンデンサ21とスナバダイオード31との直列接続体と、スナバコンデンサ21とスナバダイオード31の接続点と2分割した直流電源1a,1bの中間点との間に接続した回生ダイオード51と補助スイッチ41と可飽和リアクトル61とを直列接続した第2の直列接続体71を備える。
【0096】
第1の降圧動作を行なう第1の降圧チョッパ部Cは、一方の極を第1の直流電源1aの正の電圧端子に接続し、他方の極を主リアクトル7の一端に接続した主スイッチ14と、主スイッチ14の両極間に接続したスナバコンデンサ24とスナバダイオード34との直列接続体と、スナバコンデンサ24とスナバダイオード34の接続点と2分割した直流電源1a,1bの中間点との間に接続した回生ダイオード54と補助スイッチ44と可飽和リアクトル64とを直列接続した第3の直列接続体74を備える。
【0097】
第2の降圧動作を行なう第2の降圧チョッパ部Dは、一方の極を出力コンデンサ3の正の電圧端子に接続し、他方の極を主リアクトル7の他方の端子に接続した主スイッチ12と、主スイッチ12の両極間に接続したスナバコンデンサ22とスナバダイオード32の直列接続体と、スナバコンデンサ22とスナバダイオード32の接続点と第1の直流電源1aの正の電圧端子との間に接続した回生ダイオード52と補助スイッチ42と可飽和リアクトル62とを直列接続した第4の直列接続体72とを備える。
【0098】
各チョッパ部A,B,C,Dが備える各補助スイッチ43,44,41,42は、主スイッチ11,12,13,14よりも先にオンすることによって主スイッチ11,12,13,14のスイッチング動作を零電圧および零電流で行なう。
【0099】
以下、図3に示した各動作モードの等価回路と、図4の各部動作波形図を参照しながら双方向昇降圧チョッパ回路の動作例を説明する。ここでは、第2の昇圧チョッパ部Bについて説明する。
【0100】
[動作モード1]
図3(a)は図4の時点-t3〜-t2における動作モード1を示す等価回路である。補助スイッチ41のゲート信号Vg41を主スイッチ11のゲート信号よりも所定のごく僅かな時間だけ前に供給する。これによって、補助スイッチ41は主スイッチ11よりも先にターンオンし、可飽和リアクトル61には図示の極性に出力電圧Voと入力電圧1/2・Vinの差電圧が印加される。
【0101】
この期間、可飽和リアクトル61のインダクタンスは飽和前の大きなインダクタンスL0であるため、可飽和リアクトル61にはほとんど電流が流れない。
【0102】
[動作モード2]
時点-t2において可飽和リアクトル61が飽和すると、図3(b)に示す次の動作モード2となる。時点-t2〜-t1における動作モード2では、入出力電圧差(Vo−1/2 ・Vin)を可飽和リアクトル61の飽和後のインダクタンスL1で除した値で、線形に可飽和リアクトル61の電流I61が立ち上がり、主リアクトル7の電流I7に達し、主スイッチ12の逆並列ダイオードが逆回復してオフすると動作モード2は時点-t1で終了し、図3(c)の次の動作モード3となる。
【0103】
[動作モード3]
時点-t1よりスナバコンデンサ21は放電し、可飽和リアクトル61の飽和後のインダクタンスL1とスナバコンデンサ21の容量C21で決まる共振現象により、可飽和リアクトル61には図4のI61のように正弦波状の電流が流れる。
【0104】
スナバコンデンサ61の電圧が時点t0で零になると、主スイッチ11に図4に示すようにゲート信号Vg11が供給され次の動作モード4となる。
【0105】
[動作モード4]
この動作モード4の時点t0〜t1間に、可飽和リアクトル61に移ったエネルギーが電源1bへ回生されて零となる。
【0106】
以上の動作モード1〜4の動作により,主スイッチ11は零電圧,零電流でターンオンする。また,スナバコンデンサ21の電荷は2分割された入力直流電源の1/2電圧の電源への共振放電となるため完全放電し、電圧が残留することはなく常にソフトスイッチングで動作することができる。
【0107】
また、図10に示す従来の回路例において、共振現象の終了する時点t1に生じていた回生ダイオード105の逆回復による過電圧Vr1を図14に示す。
【0108】
一方,本発明の図2に示す構成では、図10に示す従来の補助リアクトル106に代えて可飽和リアクトル61を用いているので、従来発生していた図14の回生ダイオード105の逆回復電流-i105は、図6に示すように本発明の可飽和リアクトル61によりブロックされるので、回生ダイオード51の逆回復による過電圧は抑制される。この回生ダイオード51の改善波形を図6(b)のVr2に示す。
【0109】
また、同様に、図10に示す従来の回路例において、補助スイッチ104のターンオフする時点t2に生じていた補助スイッチ104の漂遊容量による過電圧Vp1を図13に示す。
【0110】
一方、本発明の図2に示す構成では、図10に示す従来の補助リアクトル106に代えて可飽和リアクトル61を用いているので、従来発生していた図13の補助スイッチ104の漂遊容量により発生していた補助スイッチ104の電流i104は、図5に示すように本発明の可飽和リアクトル61によりブロックされるので、補助スイッチ41の漂遊容量による過電圧はVp2に抑制される。この補助スイッチ41の改善波形を図5(b)のVp2に示す。
【0111】
次に、図7〜図9を用いて、本発明の双方向昇降圧チョッパ回路の別形態について説明する。
【0112】
図7は第1の昇圧チョッパ部Aと第1の降圧チョッパ部Bの2つのチョッパ部で構成する例である。図7に示す構成では、順方向降圧動作を第1の降圧チョッパ部Cで行い、逆方向昇圧動作を第1の昇圧チョッパ部Aを用いて行う。
【0113】
図8に示す構成は、図7に示した構成において、2つのチョッパ部の補助回路の可飽和リアクトル63と可飽和リアクトル64とを共通化した可飽和リアクトル65とする構成である。
【0114】
図9は第2の昇圧チョッパ部Bと第4の降圧チョッパ部Dの2つのチョッパ部で構成する例である。図9に示す構成では、順方向降圧動作を第2の降圧チョッパ部Dで行い、逆方向昇圧動作を第2の昇圧チョッパ部Bを用いて行う。
【0115】
また、可飽和リアクトルは、可飽和特性をもつ1個のリアクトルではなく、飽和前のインダクタンスL0を有する1個の可飽和リアクトルと、飽和後のインダクタンスL1を有するリアクトルの2個の直列接続体で構成しても良い。
【0116】
さらに,半導体スイッチ素子をMOSFETで構成し、同期整流によって主電流がその逆並列ダイオードを通流中にゲートドレイン電圧を供給し、これによって、順電圧を低減して電力損失を低減するように制御してもよい。
【符号の説明】
【0117】
1a,1b 直流電源
3 出力コンデンサ
4a,4b 入力コンデンサ
5 負荷
7 主リアクトル
10,11,12,13,14 主スイッチ
20、21,22,23,24 スナバコンデンサ
30、31,32,33,34 スナバダイオード
40,41,42,43,44 補助スイッチ
50,51,52,53,54 回生ダイオード
60,61,62,63,64,65 可飽和リアクトル
70,71,72,73,74 直列接続体
101 入力電源
102 出力ダイオード
103 出力コンデンサ
104 補助スイッチ
105 回生ダイオード
106 補助リアクトル
107 直流リアクトル
108 帰還ダイオード
111 主スイッチ
112 スナバコンデンサ
113 スナバダイオード
A,B 昇圧チョッパ部
C,D 降圧チョッパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇圧動作および降圧動作を双方向で行なう双方向昇降圧チョッパ回路において、
昇圧動作を行なう昇圧チョッパ部および降圧動作を行なう降圧チョッパ部を備え、
前記昇圧チョッパ部および降圧チョッパ部は、
前記主スイッチと当該主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードと、
ダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した直列接続体とを備え、
前記直列接続体の一端を前記スナバコンデンサとスナバダイオードとの接続点に接続し、前記直列接続体の他端を直流電源に接続し、
前記直流電源の電圧に対するチョッパ部の出力電圧の昇圧率を2以上とすることを特徴とする双方向昇降圧チョッパ回路。
【請求項2】
昇圧動作および降圧動作を双方向で行なう双方向昇降圧チョッパ回路において、
第1と第2の直流電源と、
前記第1と第2の直流電源に対してそれぞれ並列接続した第1と第2の入力コンデンサと、
主リアクトルと、
負荷に対して並列接続した出力コンデンサと、
昇圧動作を行う2つの昇圧チョッパ部と降圧動作を行なう2つの降圧チョッパ部とを備え、
第1の昇圧動作を行なう第1の昇圧チョッパ部は、
一方の極を前記第2の直流電源の負の電圧端子に接続し、他方の極を前記主リアクトルの一端に接続した主スイッチと、
前記主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードとの直列接続体と、
前記スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と前記2分割した直流電源の中間点との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した第1の直列接続体を備え、
第2の昇圧動作を行なう第2の昇圧チョッパ部は、
一方の極を前記第2の直流電源の負の電圧端子に接続し、他方の極を前記主リアクトルの他方の端子に接続した主スイッチと、
前記主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードとの直列接続体と、
前記スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と前記2分割した直流電源の中間点との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した第2の直列接続体を備え、
第1の降圧動作を行なう第1の降圧チョッパ部は、
一方の極を前記第1の直流電源の正の電圧端子に接続し、他方の極を前記主リアクトルの一端に接続した主スイッチと、
前記主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードとの直列接続体と、
前記スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と前記2分割した直流電源の中間点との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した第3の直列接続体を備え、
第2の降圧動作を行なう第2の降圧チョッパ部は、
一方の極を前記出力コンデンサの正の電圧端子に接続し、他方の極を前記主リアクトルの他方の端子に接続した主スイッチと、
前記主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードの直列接続体と、
前記スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と前記第1の直流電源の正の電圧端子との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した第4の直列接続体とを備え、
前記各チョッパ部が備える前記各補助スイッチは、前記主スイッチよりも先にオンすることによって主スイッチのスイッチング動作を零電圧および零電流で行なうことを特徴とする双方向昇降圧チョッパ回路。
【請求項3】
昇圧動作および降圧動作を双方向で行なう双方向昇降圧チョッパ回路において、
第1と第2の直流電源と、
前記第1と第2の直流電源に対してそれぞれ並列接続した第1と第2の入力コンデンサと、
主リアクトルと、
負荷に対して並列接続した出力コンデンサと、
昇圧動作を行う昇圧チョッパ部と降圧動作を行なう降圧チョッパ部とを備え、
前記昇圧チョッパ部は、
一方の極を前記第2の直流電源の負の電圧端子に接続し、他方の極を前記主リアクトルの一端に接続した主スイッチと、
前記主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードとの直列接続体と、
前記スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と前記2分割した直流電源の中間点との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した昇圧側直列接続体を備え、
前記降圧チョッパ部は、
一方の極を前記第1の直流電源の正の電圧端子に接続し、他方の極を前記主リアクトルの一端に接続した主スイッチと、
前記主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードとの直列接続体と、
前記スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と前記2分割した直流電源の中間点との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した降圧側直列接続体を備え、
前記各チョッパ部が備える前記各補助スイッチは、前記主スイッチよりも先にオンすることによって主スイッチのスイッチング動作を零電圧および零電流で行なうことを特徴とする双方向昇降圧チョッパ回路。
【請求項4】
前記昇圧側直列接続体が備える可飽和リアクトルと前記降圧側直列接続体が備える可飽和リアクトルを共通の一つの可飽和リアクトルで構成し、
当該可飽和リアクトルの一端を2分割した直流電源の中間点に接続することを特徴とする、請求項3に記載の双方向昇降圧チョッパ回路。
【請求項5】
昇圧動作および降圧動作を双方向で行なう双方向昇降圧チョッパ回路において、
第1と第2の直流電源と、
前記第1と第2の直流電源に対してそれぞれ並列接続した第1と第2の入力コンデンサと、
主リアクトルと、
負荷に対して並列接続した出力コンデンサと、
昇圧動作を行う昇圧チョッパ部と降圧動作を行なう降圧チョッパ部とを備え、
昇圧チョッパ部は、
一方の極を前記第2の直流電源の負の電圧端子に接続し、他方の極を前記主リアクトルの他方の端子に接続した主スイッチと、
前記主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードとの直列接続体と、
前記スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と前記2分割した直流電源の中間点との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した昇圧側直列接続体を備え、
降圧チョッパ部は、
一方の極を前記出力コンデンサの正の電圧端子に接続し、他方の極を前記主リアクトルの他方の端子に接続した主スイッチと、
前記主スイッチの両極間に接続したスナバコンデンサとスナバダイオードの直列接続体と、
前記スナバコンデンサとスナバダイオードの接続点と前記第1の直流電源の正の電圧端子との間に接続したダイオードと補助スイッチと可飽和リアクトルとを直列接続した降圧側直列接続体とを備え、
前記各チョッパ部が備える前記各補助スイッチは、前記主スイッチよりも先にオンすることによって主スイッチのスイッチング動作を零電圧および零電流で行なうことを特徴とする双方向昇降圧チョッパ回路。
【請求項6】
前記主スイッチは半導体スイッチで構成し、当該半導体スイッチに逆並列接続されるボディダイオードを出力ダイオードとし、
主電流がボディダイオードを通流中に前記半導体スイッチをオン制御する同期整流することを特徴とする、請求項1から5の何れか一つに記載の双方向昇降圧チョッパ回路。
【請求項7】
前記第1の直流電源と前記第2の直流電源は、一つの直流電源を2分割し、当該分割した2つの端子間に第1の入力コンデンサおよび第2の入力コンデンサをそれぞれ並列接続したことを特徴とする、請求項2から6の何れか一つに記載の双方向昇降圧チョッパ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−233312(P2010−233312A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76746(P2009−76746)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【出願人】(591243103)財団法人神奈川科学技術アカデミー (271)
【Fターム(参考)】