双方向DC/DCコンバータ、ソーラー充電システム、及び移動体
【課題】高効率化を図ることができる双方向DC/DCコンバータを提供する。
【解決手段】双方向DC/DCコンバータは、トランスと、前記トランスの低電圧側巻線に接続される第1スイッチング回路と、前記トランスの高電圧側巻線に接続される第2スイッチング回路とを備える。昇圧動作時に、前記第1スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより昇圧され、前記第2スイッチング回路により整流される。降圧動作時に、前記第2スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより降圧され、前記第1スイッチング回路により整流される。そして、前記昇圧動作時における最大昇圧倍率が前記降圧動作時における最大降圧倍率の逆数よりも大きい。
【解決手段】双方向DC/DCコンバータは、トランスと、前記トランスの低電圧側巻線に接続される第1スイッチング回路と、前記トランスの高電圧側巻線に接続される第2スイッチング回路とを備える。昇圧動作時に、前記第1スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより昇圧され、前記第2スイッチング回路により整流される。降圧動作時に、前記第2スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより降圧され、前記第1スイッチング回路により整流される。そして、前記昇圧動作時における最大昇圧倍率が前記降圧動作時における最大降圧倍率の逆数よりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向にDC/DC変換を行うことができる双方向DC/DCコンバータ並びにこれを備えたソーラー充電システム及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
双方向にDC/DC変換を行うことができる双方向DC/DCコンバータは従来から種々の構成が提案されている。例えば、特許文献1に開示されている電源装置(双方向DC/DCコンバータ)は、図19に示すように、プッシュプル回路101と、トランス102と、フルブリッジ回路103と、コンデンサ104と主バッテリ105との間に設けられる昇圧チョッパ回路とを備える構成である。
【0003】
特許文献1に開示されている電源装置は、補機バッテリ100から主バッテリ105への充電時に、リレー接点106を遮断し、プッシュプル回路101→トランス102→フルブリッジ回路103(整流回路として使用)→昇圧チョッパ回路の経路で昇圧動作を行う。また、特許文献1に開示されている電源装置は、主バッテリ105から補機バッテリ100への充電時に、リレー接点106を導通させ、フルブリッジ回路103→トランス102→プッシュプル回路101の経路で降圧動作を行う。
【0004】
なお、特許文献1に開示されている電源装置は、ハイブリッド電気自動車用に用途が限定されている。このため、特許文献1に開示されている電源装置では、主バッテリ105から補機バッテリ100への充電が主用途であり、補機バッテリ100から主バッテリ105への充電は主として主バッテリ105の残量不足時に補機バッテリ100からエンジン始動用モータへの逆送電するために行われる。したがって、特許文献1に開示されている電源装置は、大電力の伝送を必要としないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−50402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、近年の自動車搭載電池の大容量化に伴い、電力伝送の高効率化が求められている。特に電気自動車は航続距離が大きな課題となっており、電気を効率よく使うシステムが不可欠となってきている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている電源装置では、リレー接点106に機械式リレーを用いた場合、リレー自体の消費電力が大きな損失の要因という問題があった。そこで、リレー接点106において大きな損失が発生しないようにリレー接点106に電磁リレーを用いることが考えられるが、この場合には接点磨耗によって信頼性が低下するという新たな問題が起こる。また、リレー接点106の代わりにトランジスタ等のスイッチング素子を用いることも考えられるが、この場合にはスイッチング素子を駆動するための高電圧電源を別途設ける必要が生じるため、複雑な回路構成となりコストがかかるという新たな問題と主バッテリ105から補機バッテリ100への充電時に常時スイッチング素子をONにするには通常のドライバによる駆動が不可能であるため工夫が必要であるという新たな問題とが起こる。
【0008】
本発明は、上記の状況に鑑み、高効率化を図ることができる双方向DC/DCコンバータ並びにこれを備えたソーラー充電システム及び移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る双方向DC/DCコンバータは、トランスと、前記トランスの低電圧側巻線に接続される第1スイッチング回路と、前記トランスの高電圧側巻線に接続される第2スイッチング回路とを備え、昇圧動作時に、前記第1スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより昇圧され、前記第2スイッチング回路により整流され、降圧動作時に、前記第2スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより降圧され、前記第1スイッチング回路により整流され、前記昇圧動作時における最大昇圧倍率が前記降圧動作時における最大降圧倍率の逆数よりも大きい構成(第1の構成)とする。
【0010】
また、上記第1の構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記降圧動作時に、前記第1スイッチング回路内のスイッチング素子が同期整流素子として動作する構成(第2の構成)としてもよい。
【0011】
また、上記第1の構成又は上記第2の構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記昇圧動作時に、前記第2スイッチング回路内のスイッチング素子が同期整流素子として動作する構成(第3の構成)としてもよい。
【0012】
また、上記第1〜第3のいずれかの構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記昇圧動作時に、前記第2スイッチング回路が倍電圧整流回路として動作する構成(第4の構成)としてもよい。
【0013】
また、上記第4の構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記第2スイッチング回路が、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、第3スイッチング素子と、第4スイッチング素子と、第5スイッチング素子と、第1コンデンサと、第2コンデンサとを備え、前記トランスの前記高圧側巻線の一端に前記第1スイッチング素子の一端及び前記第2スイッチング素子の一端が接続され、前記トランスの前記高圧側巻線の他端に前記第3スイッチング素子の一端、前記第4スイッチング素子の一端、及び前記第5スイッチング素子の一端が接続され、前記第1スイッチング素子の他端、前記第3スイッチング素子の他端、及び前記第1コンデンサの一端が共通接続され、前記第2スイッチング素子の他端、前記第4スイッチング素子の他端、及び前記第2コンデンサの一端が共通接続され、前記第1コンデンサの他端、前記第2コンデンサの他端、及び前記第5スイッチング素子の他端が共通接続される構成(第5の構成)としてもよい。
【0014】
また、上記第5の構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記第5スイッチング素子が互いの寄生ダイオードが逆方向接続される2つのMOSFETによって構成される構成(第6の構成)としてもよい。
【0015】
また、上記第5の構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記第2コンデンサが充電時に前記第2コンデンサの一端の電位よりも前記第2コンデンサの他端の電位の方が高くなり、前記第2スイッチング回路が、前記第2コンデンサに並列に接続される放電回路を備える構成(第7の構成)としてもよい。
【0016】
また、上記第5〜第7のいずれかの構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記第1スイッチング素子及び前記3スイッチング素子がそれぞれノーマリーオントランジスタであり、前記第2スイッチング素子及び前記4スイッチング素子がそれぞれノーマリーオフトランジスタである、又は、前記第1スイッチング素子及び前記3スイッチング素子がそれぞれノーマリーオフトランジスタであり、前記第2スイッチング素子及び前記4スイッチング素子がそれぞれノーマリーオントランジスタである構成(第8の構成)としてもよい。
【0017】
また、本発明に係るソーラー充電システムは、太陽電池と、前記太陽電池から出力される電力を蓄える第1蓄電装置と、前記第1蓄電装置よりも電圧が大きい第2蓄電装置と、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との間の電力伝送を行う双方向DC/DCコンバータとを備え、前記双方向DC/DCコンバータが上記第1〜第8のいずれかの構成の双方向DC/DCコンバータである構成とする。
【0018】
また、本発明に係る移動体は、上記構成のソーラー充電システムを備える構成とする。
【0019】
また、上記構成の移動体において、前記ソーラー充電システムが備える第2蓄電装置から出力される電力を移動体の駆動用電力として用いる構成とすることが望ましい。更に、前記第2蓄電装置の電圧を前記第1蓄電装置の電圧より高くすることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る双方向DC/DCコンバータは、トランスと、前記トランスの低電圧側巻線に接続される第1スイッチング回路と、前記トランスの高電圧側巻線に接続される第2スイッチング回路とを備え、昇圧動作時に、前記第1スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより昇圧され、前記第2スイッチング回路により整流され、降圧動作時に、前記第2スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより降圧され、前記第1スイッチング回路により整流され、前記昇圧動作時における最大昇圧倍率が前記降圧動作時における最大降圧倍率の逆数よりも大きい構成である。このような構成によると、前記トランスの前記低圧側巻線に対する前記高圧側巻線の巻数倍率を最小限にして昇降圧両方の仕様を満たす双方向DC/DCコンバータを実現することができる。したがって、前記トランスの前記低圧側巻線に対する前記高圧側巻線の巻数倍率が大きいほど大きくなる前記トランスの抵抗成分を低減することができ、高効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を示す図である。
【図1B】本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの変形例を示す図である。
【図1C】本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの変形例を示す図である。
【図1D】昇降圧チョッパ回路の昇圧動作時における各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図1E】昇降圧チョッパ回路の降圧動作時における各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図2】本発明の第2実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を示す図である。
【図3】昇圧動作における本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】昇圧動作における本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの電流経路を示す図である。
【図5】降圧動作における本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】降圧動作における本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの電流経路を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を示す図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を示す図である。
【図10】電気自動車用ソーラー充電システムの概略構成例を示す図である。
【図11】第1好適例に係るプッシュプル回路の構成を示す図である。
【図12】第1好適例に係るプッシュプル回路の各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図13】第1好適例に係るプッシュプル回路の接続点Aの電圧と接続点Bの電圧をシミュレーションで求めた結果を示す図である。
【図14】図20に示す従来のサージ電圧抑制手段を有するプッシュプル回路の接続点Aの電圧と接続点Bの電圧をシミュレーションで求めた結果を示す図である。
【図15】トランジスタ駆動用ドライバの電源構成の第1実施例を示す図である。
【図16】トランジスタ駆動用ドライバの電源構成の第2実施例を示す図である。
【図17】第2好適例に係るプッシュプル回路の構成を示す図である。
【図18】第2好適例に係るプッシュプル回路の各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図19】特許文献1に開示されている電源装置の構成を示す図である。
【図20】従来のサージ電圧抑制手段を有するプッシュプル回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0023】
図1Aは本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を示す図である。図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータは、NチャネルMOSFETであるトランジスタTL1及びTL2によって構成されトランスTR1の低圧側巻線に接続されるプッシュプル回路と、巻線比(低圧側巻線と高圧側巻線との巻数比)が1:NであるトランスTR1と、NチャネルMOSFETであるトランジスタTH1〜TH4によって構成されトランスTR1の高圧側巻線に接続されるフルブリッジ回路と、当該フルブリッジ回路とメインバッテリB1との間に設けられるNチャネルMOSFETであるトランジスタTH5並びにコンデンサCH1及びCH2とを備えている。
【0024】
トランジスタTL1のドレインはトランスTR1の低圧側巻線の一端に接続され、トランジスタTL2のドレインはトランスTR1の低圧側巻線の他端に接続され、トランジスタTL1及びTL2の各ソースはサブバッテリB1の負極に接続される。サブバッテリB1の正極はトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップに接続される。なお、サブバッテリB1の正極と負極との間にコンデンサを設け、降圧動作時に平滑用のコンデンサとして機能させてもよい。
【0025】
トランスTR1の高圧側巻線の一端にはトランジスタTH1のソース及びトランジスタTH2のドレインが接続され、トランスTR1の高圧側巻線の他端にはトランジスタTH3のソース、トランジスタTH4のドレイン、及びトランジスタTH5のドレインが接続されている。トランジスタTH1のドレイン及びトランジスタTH3のドレイン、及びコンデンサCH1の一端がメインバッテリB2の正極に接続され、トランジスタTH2のソース及びトランジスタTH4のソース、及びコンデンサCH2の一端がメインバッテリB2の負極に接続される。そして、コンデンサCH1の他端及びコンデンサCH2の他端がトランジスタTH3のソースに接続される。なお、各トランジスタのソース−ドレイン間には並列にダイオード(以下、並列ダイオードと呼ぶ)が接続されているが、この並列のダイオードは各トランジスタの寄生ダイオード(内蔵ダイオード)または外的に並列接続されたダイオード等であってもよい。また、メインバッテリB2はサブバッテリB1よりも高電圧のバッテリである。また、インダクタPL1、PL2、SL1はトランスTR1の寄生インダクタである。但し、インダクタSL1は、(トランスTR1の寄生インダクタ以外の)外的インダクタを含んでいてもよい。この場合、インダクタSL1のインダクタンスを調整することによって出力電圧の制御範囲を変化させることができる。同様に、PL1、PL2に外的インダクタを接続することによって出力電圧の制御範囲を変化させることもできるが、トランジスタTL1、TL2がOFFするときに発生するサージのエネルギーが更に大きくなるため、好ましくない。一方、高電圧側に位置するSLIを流れる電流は相対的に小さくなるため、サージの影響を受けにくい。即ち、出力電圧の制御範囲を変化させるためにインダクタを追加する場合は、SL1に対して行うのが好ましい。また、インダクタSL1の代わりに図1Bに示すようにインダクタSL2を設けてもよい。また、図示はしないがSL1及びSL2を共に備える構成としてもよい。
【0026】
また、図1Cに示すように、コンデンサCH1及びCH2とメインバッテリB2との間に、NチャネルMOSFETであるトランジスタTC1及びTC2と、インダクタLC1と、コンデンサCC1とによって構成される昇降圧チョッパ回路を設けてもよい。上記昇降圧チョッパ回路は、トランジスタTC2のスイッチング動作により昇圧を行う。この昇圧動作時に、トランジスタTC1の並列ダイオードに電流が流れるタイミングに合わせてトランジスタTC1をONにして同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減する。また、上記昇降圧チョッパ回路は、トランジスタTC1のスイッチング動作により降圧を行う。この降圧動作時に、トランジスタTC2の並列ダイオードに電流が流れるタイミングに合わせてトランジスタTC2をONにして同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減する。昇圧動作時における各トランジスタのタイミングチャートを図1Dに、降圧動作時における各トランジスタのタイミングチャートを図1Eにそれぞれ示す。昇圧動作時、降圧動作時のいずれにおいても、トランジスタTC1をONにする期間とトランジスタTC2をONにする期間を交互に繰り返すが、トランジスタTC1及びTC2の同時ONを防止するためにデッドタイムを設けている。なお、本実施例では、同期整流によりダイオード素子通過分の損失を低減しているが、同期整流は必ずしも必要ではなく、上記昇降圧チョッパ回路に流れる電流が十分に小さい場合、同期整流を行わず、昇圧動作時は、トランジスタTC1を常にOFFにし、トランジスタTC2のみをスイッチング動作させ、降圧動作時は、トランジスタTC2を常にOFFにし、トランジスタTC1のみをスイッチング動作させてもよい。
【0027】
図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータは、昇圧動作時にトランジスタTH5を常時ONにして、サブバッテリB1から出力される直流電圧を上記プッシュプル回路で交流電圧に変換し、トランスTR1によって昇圧し、トランジスタTH1及びTH2とトランジスタTH5とコンデンサCH1及びCH2とによって構成される倍電圧整流回路で整流することで、DC/DC変換を行い、当該DC/DC変換後の電圧をメインバッテリB2に供給する。トランスTR1の巻線比が1:Nであるため、本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでの(インダクタPL1,PL2,SL1による電圧変化を除く)固定昇圧倍率は2N倍である。尚、トランジスタTL1およびTL2の駆動電圧のデューティを変化させることにより、寄生インダクタに流れる電流iの変化率(di/dt)(>0)を変化させ、出力電圧および出力電流を制御することができる。
【0028】
また、図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータは、降圧動作時にトランジスタTH5を常時OFFにして、メインバッテリB2から出力される直流電圧を上記フルブリッジ回路で交流電圧に変換し、トランスTR1によって降圧し、トランジスタTL1及びTL2によって整流することで、DC/DC変換を行い、当該DC/DC変換後の電圧をサブバッテリB1に供給する。巻線比が1:Nであるため、本発明の第1実施形態に係るDC/DCコンバータでの(寄生インダクタの効果を除く)固定降圧倍率は1/N倍である。尚、トランジスタTH1、TH2、TH3、TH4のゲート駆動電圧のデューティを変化させることにより、寄生インダクタに流れる電流iの変化率(di/dt)(>0)を変化させ、出力電圧および出力電流を制御することができる。
【0029】
図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでは、サブバッテリB1とトランスの低圧側巻線との間に設ける回路をプッシュプル回路にしているが、サブバッテリB1とトランスの低圧側巻線との間に設ける回路はプッシュプル回路に限定されることはなく、例えば、図2に示す本発明の第2実施形態に係る双方向DC/DCコンバータのようにサブバッテリB1とトランスの低圧側巻線との間に設ける回路をNチャネルMOSFETであるトランジスタTL1〜TL4によって構成されるフルブリッジ回路にしてもよい。なお、図2において図1Aと同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0030】
図2に示す本発明の第2実施形態に係る双方向DC/DCコンバータも図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータと同様に、各トランジスタのソース−ドレイン間には並列ダイオードが接続される。また、図2に示す本発明の第2実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでは、図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータで用いられたトランスTR1(低圧側巻線にセンタータップが設けられているトランス)の代わりに、トランスTR2(低圧側巻線にセンタータップが設けられていないトランス)を用いている。トランスTR2においてもトランスTR1と同様に低圧側巻線と高圧側巻線との巻数比を1:Nとする。
【0031】
ここで、本発明に係る双方向DC/DCコンバータの固定昇圧倍率が固定降圧倍率の逆数よりも大きい理由について説明する。
【0032】
例えば、サブバッテリB1の電圧をVsub、その電圧範囲をVsub_min(最小) 〜 Vsub_max(最大)、メインバッテリB2の電圧をVmain、電圧範囲をVmain_min(最小)〜 Vmain_max(最大)、トランスの低圧側巻線と高圧側巻線等で決まるデューティに依存しない固定昇圧倍率をα、トランスの巻線比等で決まるデューティに依存しない固定降圧倍率を1/β、トランスの全寄生インダクタンスに等価なインダクタンス(トランス高電圧側に設置)をL、トランス高電圧側巻線に流れる電流をIとする。
この場合、昇圧動作において、
Vmain = αVsub − L(dI/dt)
が成り立つ。
スイッチング損失を低減するため、トランジスタTL1、TL2のスイッチングをゼロ電流スイッチング(若しくは、十分小さい電流値でのスイッチング)とすると、トランジスタTL1、TL2のいずれか一方がオン状態のときの(dI/dt)は正となるため、
Vmain = αVsub − L(dI/dt) < αVsub
が成り立つ。サブバッテリB1およびメインバッテリB2の電圧範囲を考慮すると、
Vmain_max < αVsub_min ・・・(数式1)
となるように固定昇圧倍率(例えば、トランスの巻線比)を選ぶ必要がある。
【0033】
次に、降圧動作において、
Vsub = (1/β){Vmain − L(dI/dt)}
が成り立つ。
スイッチング損失を低減するため、トランジスタTH1、TH2、TH3、TH4のスイッチングのうち、トランス端子間に生じる電圧の向きを反転させるスイッチングをゼロ電流スイッチング(若しくは、十分小さい電流値でのスイッチング)とすると、トランジスタTH1とTH4がオン状態(オフ状態)且つトランジスタTH2とTH3がオフ状態(オン状態)のときの(dI/dt)は正となるため、
Vsub = (1/β){Vmain − L(dI/dt)} < (1/β)Vmain
が成り立つ。サブバッテリB1およびメインバッテリB2の電圧範囲を考慮すると、
Vsub_max < (1/β)Vmain_min・・・(数式2)
となるように固定降圧倍率(例えば、トランスの巻線比)を選ぶ必要がある。
【0034】
双方向DC−DCコンバータにおいては、数式1と数式2は同時に満たされる必要があるから、数式1、数式2より、
Vsub_max < (1/β)Vmain_min < (α/β)Vsub_min
∴ (α/β) > (Vsub_max/Vsub_min)>1・・・(数式3)
が成り立つ。従って、固定昇圧倍率αおよび固定降圧倍率(1/β)をトランスの巻線比だけで決めるとすると、昇圧時のトランスの巻線比を1:α、降圧時のトランスの巻線比を1:β(<α)とするなど、昇圧時と降圧時とで異なる巻数比を採用する必要あり、回路構成が非常に複雑となる。一方、図1Aの回路は、トランスTR1の巻線比が1:Nなので、α=2N、β=Nの場合に相当し、数式3を満たす。即ち、図1Aの回路は、昇圧時と降圧時でトランスの巻線比を変える必要がないため、簡単な回路構成によって双方向DC−DCコンバータを構成することができる。
【0035】
次に、昇圧動作時における本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートを図3に示す。
【0036】
トランジスタTL1をONにしてトランスTR1の低圧側巻線に電流を流すと、トランスTR1の高圧側巻線に起電力が発生してトランジスタTH5及びTH1を通る電流が流れる(図4参照)。このとき、トランジスタTH1の寄生ダイオードに電流が流れるタイミングに合わせてトランジスタTH1をONにして同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減する。同様に、トランジスタTL2をONにしてトランスTR1の低圧側巻線に電流を流すと、トランスTR1の高圧側巻線に起電力が発生してトランジスタTH2及びTH5を通る電流が流れる。このとき、トランジスタTH2の並列ダイオードに電流が流れるタイミングに合わせてトランジスタTH2をONにして同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減する。これにより、より一層高効率化を図ることができる。
【0037】
トランジスタTL1をONにする期間とトランジスタTL2をONにする期間とが交互に繰り返されるが、トランジスタTH1及びTH2が同時にONになると大きな短絡電流が流れてしまうので、トランジスタTH1及びTH2の同時ONを防止するために、トランジスタTH1及びTH2が共にOFFになる期間(デッドタイム)を設けている。これにより、より一層高効率化を図ることができる。
【0038】
次に、降圧動作時における本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートを図5に示す。
【0039】
トランジスタTH1及びTH4をONにしてトランスTR1の高圧側巻線に電流を流すと、トランスTR1の低圧側巻線に起電力が発生してトランジスタTL1を通る電流が流れる(図6参照)。このとき、トランジスタTL1の並列ダイオードに電流が流れるタイミングに合わせてトランジスタTL1をONにして同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減する。同様に、トランジスタTH3及びTH2をONにしてトランスTR1の高圧側巻線に電流を流すと、トランスTR1の低圧側巻線に起電力が発生してトランジスタTL2を通る電流が流れる。このとき、トランジスタTL2の並列ダイオードに電流が流れるタイミングに合わせてトランジスタTL2をONにして同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減する。これにより、より一層高効率化を図ることができる。
【0040】
トランジスタTH1及びTH4をONにする期間とトランジスタTH2及びTH3をONにする期間とが交互に繰り返されるが、トランジスタTH1及びTH2が同時にONになると大きな短絡電流が流れてしまい、トランジスタTH3及びTH4が同時にONになると大きな短絡電流が流れてしまうので、トランジスタTH1及びTH2の同時ON並びにトランジスタTH3及びTH4の同時ONを防止するために、トランジスタTH1〜TH4が共にOFFになる期間(デッドタイム)を設けている。これにより、より一層高効率化を図ることができる。
【0041】
図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータや図2に示す本発明の第2実施形態に係る双方向DC/DCコンバータのように、トランジスタTH5を1つのMOSトランジスタのみで構成した場合、例えば、降圧動作開始時等において、コンデンサCH2が充電されたままの状態にてトランジスタTH4がONしたときに、トランジスタTH5の内蔵ダイオード及びトランジスタTH4を介してコンデンサCH2が短絡し、大きな短絡電流が流れてしまい、コンデンサCH2、トランジスタTH4、及びトランジスタTH5がダメージを受けてしまう。
【0042】
そこで、例えば、図7に示す本発明の第3実施形態に係る双方向DC/DCコンバータや図8に示す本発明の第4実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を採用することが望ましい。なお、図7及び図8において図1Aと同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0043】
図7に示す本発明の第3実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでは、トランジスタTH5をソース同士が接続され共通のゲート制御信号がゲートに供給される2つのNチャネルMOSFETによって構成する。これにより、トランジスタTH4がONしたときであっても、トランジスタTH5の内蔵ダイオード及びトランジスタTH4を介してコンデンサCH2が短絡されなくなる。
【0044】
また、図8に示す本発明の第4実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでは、コンデンサCH2に並列に抵抗RH1及びトランジスタTH6によって構成される放電回路が設けられている。降圧動作時の初期において、トランジスタTH4をONにする前に、トランジスタTH6をONにしてコンデンサCH2の両端電圧が略0[V]になるまで抵抗RH1による放電を実施した後にトランジスタTH6をOFFにし、その後トランジスタTH4をONにする。これにより、トランジスタTH4がONになって、トランジスタTH5の内蔵ダイオード及びトランジスタTH4を介してコンデンサCH2が短絡されても大きな短絡電流が流れなくなる。
【0045】
次に、図9に示す本発明の第5実施形態に係る双方向DC/DCコンバータについて説明する。図9に示す本発明の第5実施形態に係る双方向DC/DCコンバータはノーマリーオンデバイスを用いることを特徴としている。
【0046】
GaN系トランジスタ、SiC系トランジスタ等の化合物パワーデバイスはゲート容量が小さく、かつ、オン抵抗が低いという特徴を有しているため、Si系パワーデバイスに代わる次世代パワーデバイスとして期待されている。当該化合物パワーデバイスは、低抵抗のP型活性層を形成することが難しいため、現状ではノーマリーオンN型デバイスが一般的である。ノーマリーオンデバイスを用いた場合、ノーマリーオンデバイスを駆動するドライバが故障したときに当該ノーマリーオンデバイスがON状態にとなる可能性が高いため、ノーマリーオンデバイスを駆動するドライバが故障したときでも短絡等が生じないように配慮する必要がある。
【0047】
そこで、図9に示す本発明の第5実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでは、トランジスタTH1及びTH3にノーマリーオンデバイスを用いている。これにより、トランジスタTH1における小ゲート容量によるスイッチング損の低減及び低オン抵抗による抵抗損の低減の両立と、トランジスタTH3における小ゲート容量によるスイッチング損の低減及び低オン抵抗による抵抗損の低減の両立とが可能となる。また、故障によりトランジスタTH1及びTH3のいずれかが短絡したとしても、メインバッテリB2の正極−負極間の短絡とならないので、安全性が確保される。図9に示す本発明の第5実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでは、トランジスタTH1及びTH3をノーマリーオンデバイスとし、トランジスタTH2及びTH4をノーマリーオフデバイスとする構成であるが、この構成とは逆に、トランジスタTH1及びTH3をノーマリーオフデバイスとし、トランジスタTH2及びTH4をノーマリーオンデバイスとする構成でも構わない。なお、ノーマリーオンデバイスに化合物トランジスタを用いた場合、例えばGaN系トランジスタであればソース−ドレイン間に内蔵ダイオードが形成されず、また例えばSiC系トランジスタであればソース−ドレイン間に形成される内蔵ダイオードの性能が良好でないため、図9に示すようにノーマリーオンデバイス(トランジスタTH1及びTH3)に並列にダイオードを接続することが望ましい。
【0048】
本発明に係る双方向DC/DCコンバータは、例えば図10に示す電気自動車用ソーラー充電システムに適用することができる。
【0049】
図10に示す電気自動車用ソーラー充電システムは、複数の太陽電池セルが配置されているソーラーパネル1と、ソーラーパネル1の出力電力が最大になるようにソーラーパネル1の出力電圧を制御するMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御部2と、サブバッテリ4を管理して制御する制御回路3と、ソーラーパネル1の出力電力を蓄えるサブバッテリ4と、サブバッテリ4から出力される直流電圧をDC/DC変換してメインバッテリ7に供給するDC/DCコンバータ5と、メインバッテリ7を管理して制御する制御回路6と、サブバッテリ4よりも容量が大きいメインバッテリ7とを備えている。また、図10においては図示していないが、DC/DCコンバータ5内の各スイッチング素子のON、OFFを制御するための制御信号を生成する回路も電気自動車内に設けられている。
【0050】
本発明に係る双方向DC/DCコンバータを図10に示す電気自動車用ソーラー充電システムに適用する場合、DC/DCコンバータ5を本発明に係る双方向DC/DCコンバータにすればよい。これにより、メインバッテリ7から出力される直流電圧をDC/DC変換してサブバッテリ4に供給することも可能になる。
【0051】
電気自動車に設けられているインバータ8は、メインバッテリ7から出力される直流電圧をモータ駆動用交流電圧に変換する。電気自動車に設けられているモータ9は、インバータ8から出力されるモータ駆動用交流電圧によって回転駆動する。モータ9の回転により電気自動車の駆動輪が回転する。電気自動車の制動時にモータ9で発生する回生エネルギーは制御回路6によって回収され、メインバッテリ7に蓄えられる。また、サブバッテリ4から出力される直流電圧はヘッドライト等の電源としても利用される。
【0052】
図10においては、本発明に係る双方向DC/DCコンバータを備えたソーラー充電システムを電気自動車用ソーラー充電システムとしたが、他の移動体(例えばバイク等)用のソーラー充電システムとすることも当然可能である。
【0053】
ここで、本発明に係る双方向DC/DCコンバータにおいて、前記トランスの低電圧側巻線に接続されるスイッチング回路にプッシュプル回路を採用した場合、前記トランスの低電圧側巻線の寄生インダクタに起因するサージ電圧を抑制する手段をプッシュプル回路に設けることが高効率化の観点から望ましい。
【0054】
以下、上記のサージ電圧を抑制する手段について説明する。
【0055】
図11は第1好適例に係るプッシュプル回路の構成を示す図である。図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路は、NチャネルMOSFETであるトランジスタTL1及びTL2と、ダイオードDAC1及びDAC2と、NチャネルMOSFETであるトランジスタTAC1及びTAC2とを備えている。
【0056】
トランジスタTL1のドレインはトランスTR1の低圧側巻線の一端に接続され、トランジスタTL2のドレインはトランスTR1の低圧側巻線の他端に接続され、トランジスタTL1及びTL2の各ソースはサブバッテリB1の負極に接続される。なお、図11では、トランスTR1の低圧側巻線の寄生インダクタンスを寄生インダクタンスPL1及びPL2として図示している。また、各トランジスタのソース−ドレイン間には並列ダイオードが接続されているが、この並列のダイオードは各トランジスタの寄生ダイオード(内蔵ダイオード)または外的に並列接続されたダイオード等であってもよい。
【0057】
ダイオードDAC1のアノードはトランジスタTL1のドレインに接続され、ダイオードDAC1のカソードはトランジスタTAC1のドレインに接続され、トランジスタTAC1のソースはサブバッテリB1の正極及びトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップに接続される。同様に、ダイオードDAC2のアノードはトランジスタTL2のドレインに接続され、ダイオードDAC2のカソードはトランジスタTAC2のドレインに接続され、トランジスタTAC2のソースはサブバッテリB1の正極及びトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップに接続される。
【0058】
図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路では、トランジスタTL1のドレインとトランスTR1の低圧側巻線の一端との接続点AからダイオードDAC1を経由してサブバッテリB1の正極及びトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップとの接続点に至る経路の導通と遮断とをトランジスタTAC1が切り替え、当該経路が導通しているときにトランスTR1の寄生インダクタPL1に起因するサージ成分が発生すれば、当該サージ成分はダイオードDAC1を経由してサブバッテリB1の正極及びトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップとの接続点に還流される。同様に、図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路では、トランジスタTL2のドレインとトランスTR1の低圧側巻線の他端との接続点BからダイオードDAC2を経由してサブバッテリB1の正極及びトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップとの接続点に至る経路の導通と遮断とをトランジスタTAC2が切り替え、当該経路が導通しているときにトランスTR1の寄生インダクタPL2に起因するサージ成分が発生すれば、当該サージ成分はダイオードDAC2を経由してサブバッテリB1の正極及びトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップとの接続点に還流される。
【0059】
したがって、トランジスタTL1がONからOFFに切り替わる時点でトランジスタTAC1がON状態であり、トランジスタTL2がOFFからONに切り替わる時点でトランジスタTAC1がOFF状態であり、トランジスタTL2がONからOFFに切り替わる時点でトランジスタTAC2がON状態であり、トランジスタTL1がOFFからONに切り替わる時点でトランジスタTAC2がOFF状態である必要がある。このため、トランジスタTL1、TL2、TAC1、及びTAC2のON、OFF切り替えは例えば図12に示すようなタイミングで行うとよい。図12に示すようなタイミングでトランジスタTL1、TL2、TAC1、及びTAC2のON、OFF切り替えを行う場合、トランジスタTAC1の制御端子に供給する制御信号はトランジスタTL1の制御端子に供給する制御信号を遅延させるだけで生成することができ、トランジスタTAC2の制御端子に供給する制御信号はトランジスタTL2の制御端子に供給する制御信号を遅延させるだけで生成することができるので、トランジスタTAC1の制御端子に供給する制御信号及びトランジスタTAC2の制御端子に供給する制御信号の生成が容易である。
【0060】
ここで、図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路の接続点Aの電圧と接続点Bの電圧をシミュレーションで求めた結果を図13に示す。また、比較のため、図20に示す従来のサージ電圧抑制手段(ツェナーダイオードZD1及びZD2)を有するプッシュプル回路の接続点Aの電圧と接続点Bの電圧をシミュレーションで求めた結果を図14に示す。図13及び図14それぞれにおいて、太線は接続点Aの電圧を示しており、細線は接続点Bの電圧を示している。また、図13及び図14それぞれにおいて、サブバッテリB1の電圧は12Vとした。
【0061】
図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路によると、トランスTR1の寄生インダクタPL1に起因する接続点Aの電圧上昇及びトランスTR1の寄生インダクタPL2に起因する接続点Bの電圧上昇を大幅に低減することができる。このため、接続点A、接続点Bの電圧がトランジスタTAC1、TAC2の耐圧を越えて上昇し、トランジスタTAC1、TAC2を破壊するのを防ぐことが出来る。また、図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路によると、トランスTR1の寄生インダクタPL1及びPL2に起因するサージ成分を回路の外部に捨てることなく、接続点A→ダイオードDAC1→トランジスタTAC1→トランスTR1のセンタータップ→寄生インダクタPL1→接続点A、または、接続点B→ダイオードDAC2→トランジスタTAC2→トランスTR1のセンタータップ→寄生インダクタPL2→接続点Bの電流経路で還流させているため、寄生インダクタPL1、PL2に溜まったエネルギーを(ツェナーダイオード等で消費することなく)高電圧側に転送することができ、従って、損失を大幅に低減することができる。
【0062】
次に、トランジスタTAC1及びTAC2駆動用ドライバの電源構成例について説明する。
【0063】
トランジスタTAC1及びTAC2駆動用ドライバの電源構成の第1実施例を図15に示す。図15において図11と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。なお、図15に記載している電圧値は一例である。
【0064】
図15に示す第1実施例では、トランジスタTAC1及びTAC2をそれぞれノーマリーオフトランジスタとしている。例えば、バッテリB1の電圧が12Vの場合、トランジスタTAC1駆動用のゲートドライバDV1は、トランジスタTAC1のソース電圧(例えば12V)にトランジスタTAC1の閾値電圧を超える電圧を加えた電圧の電源(例えば24V電源)を必要とし、トランジスタTAC2駆動用のゲートドライバDV2は、トランジスタTAC2のソース電圧(例えば12V)にトランジスタTAC2の閾値電圧を超える電圧を加えた電圧の電源(例えば24V電源)を必要とする。そこで、図15に示す第1実施例では、トランジスタTL1のドレイン電圧を抵抗R1及び逆流防止用ダイオードD1を経由して更にコンデンサC1により平滑して直流電圧を得る電源(例えば24V電源)をゲートドライバDV1に接続し、トランジスタTL2のドレイン電圧を抵抗R2及び逆流防止用ダイオードD2を経由して更にコンデンサC2により平滑して直流電圧を得る電源(例えば24V電源)をゲートドライバDV2に接続している。また、図示はしていないが、ゲートドライバDV1にはトランジスタTAC1をOFFするための電圧の電源(例えばトランジスタTAC1のソース端子)も接続し、ゲートドライバDV2にはトランジスタTAC2をOFFするための電圧の電源(例えばトランジスタTAC1のソース端子)も接続する。なお、図15に示す第1実施例とは異なり、トランジスタTL1のドレイン電圧を用いて直流電圧を得る電源(例えば24V電源)をゲートドライバDV2に接続し、トランジスタTL2のドレイン電圧を用いて直流電圧を得る電源(例えば24V電源)をゲートドライバDV1に接続することも可能である。このようなトランジスタTAC1、TAC2を駆動するための電源電圧が得られるのは、図13に示すように、トランジスタTAC1オフ時のトランジスタTAC1のドレイン電圧、および、トランジスタTAC2オフ時のトランジスタTAC2のドレイン電圧が、サブバッテリB1の電圧(例えば、12V)の約2倍(例えば、約24V)となるからである。
【0065】
このような電源構成によると、トランジスタTAC1のソース電圧(例えば12V)にトランジスタTAC1の閾値電圧を超える電圧を加えた電圧を生成するための特別な回路(例えば、サブバッテリB1の出力電圧を倍の電圧に昇圧する回路)及びトランジスタTAC2のソース電圧(例えば12V)にトランジスタTAC2の閾値電圧を超える電圧を加えた電圧を生成するための特別な回路(例えば、サブバッテリB1の出力電圧を倍の電圧に昇圧する回路)を設ける必要がないため、簡易な回路構成となる。
【0066】
トランジスタTAC1及びTAC2駆動用ドライバの電源構成の第2実施例を図16に示す。図16において図11と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。なお、図16に記載している電圧値は一例である。
【0067】
図16に示す第2実施例では、トランジスタTAC1及びTAC2をそれぞれノーマリーオントランジスタとしている。この場合、トランジスタTAC1駆動用のゲートドライバDV3は、トランジスタTAC1のソース電圧(例えば12V)より大きい電圧の電源を必要とせず、トランジスタTAC2駆動用のゲートドライバDV4は、トランジスタTAC2のソース電圧(例えば12V)より大きい電圧の電源を必要としない。そこで、図16に示す第2実施例では、他の制御回路用電源(例えば5V電源)をゲートドライバDV3及びDV4に接続している。すなわち、他の制御回路用電源(例えば5V電源)を他の制御回路(例えば他のトランジスタを駆動するためのドライバ、センサ等)とゲートドライバDV3及びDV4とで共用するようにする。また、図示はしていないが、ゲートドライバDV3にはトランジスタTAC1をONするための電圧の電源(例えば12V電源)も接続し、ゲートドライバDV4にはトランジスタTAC2をONするための電圧の電源(例えば12V電源)も接続する。
【0068】
このような電源構成によると、ゲートドライバDV3及びDV4専用に電源を設ける必要がないため、電源回路を構成する部品点数を削減することができる。また、図16に示す第2実施例においてノーマリーオントランジスタであるトランジスタTAC1及びTAC2として、GaN系トランジスタやSiC系トランジスタ等のオン抵抗がSi系トランジスタよりも小さい化合物トランジスタを用いることで、さらに損失を低減することができる。なお、トランジスタTAC1及びTAC2に化合物トランジスタを用いた場合、例えばGaN系トランジスタであればソース−ドレイン間に内蔵ダイオードが形成されないため、図16においてはトランジスタTAC1及びTAC2の並列ダイオードを図示していないが、図15と同様にトランジスタTAC1及びTAC2と並列な位置にダイオードが接続されていても良い。
【0069】
次に、第2好適例に係るプッシュプル回路について説明する。図17は第2好適例に係るプッシュプル回路の構成を示す図である。図17において図11と同一の部分には、図11中のトランジスタTAC1及びTAC2を図17ではトランジスタTAC1A及びTAC2Aに変更した以外は同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0070】
図17に示す第2好適例に係るプッシュプル回路は、図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路からダイオードDAC1及びDAC2を取り除き、その代わりに同期整流用トランジスタTAC1B及びTAC2Bを設けた構成である。同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減することができるので、より一層高効率化を図ることができる。
【0071】
図17に示す第2好適例に係るプッシュプル回路では、トランジスタTL1がONからOFFに切り替わった後でトランジスタTAC1BがOFFからONに切り替わり、トランジスタTAC1AがONからOFFに切り替わる前にトランジスタTAC1BがONからOFFに切り替わり、トランジスタTL2がONからOFFに切り替わった後でトランジスタTAC2BがOFFからONに切り替わり、トランジスタTAC2AがONからOFFに切り替わる前にトランジスタTAC2BがONからOFFに切り替わる必要がある。このため、トランジスタTL1、TL2、TAC1A、TAC2A、TAC1B、及びTAC2BのON、OFF切り替えは例えば図18に示すようなタイミングで行うとよい。
【0072】
図17に示す第2好適例に係るプッシュプル回路におけるトランジスタTAC1及びTAC2駆動用ドライバの電源構成例は、図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路の場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0073】
なお、上述した各実施形態及び上記の各変形例の内容は、矛盾がない限り、任意に組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 ソーラーパネル
2 MPPT制御部
3 制御部
4 サブバッテリ
5 DC/DCコンバータ
6 制御回路
7 メインバッテリ
8 インバータ
9 モータ
B1 サブバッテリ
B2 メインバッテリ
CH1、CH2、C1、C2 コンデンサ
D1、D2、DAC1、DAC2 ダイオード
DV1〜DV4 ゲートドライバ
R1、R2 抵抗
TL1〜TL4 トランジスタ
TH1〜TH5 トランジスタ
TAC1、TAC2 トランジスタ
TR1、TR2 トランス
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向にDC/DC変換を行うことができる双方向DC/DCコンバータ並びにこれを備えたソーラー充電システム及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
双方向にDC/DC変換を行うことができる双方向DC/DCコンバータは従来から種々の構成が提案されている。例えば、特許文献1に開示されている電源装置(双方向DC/DCコンバータ)は、図19に示すように、プッシュプル回路101と、トランス102と、フルブリッジ回路103と、コンデンサ104と主バッテリ105との間に設けられる昇圧チョッパ回路とを備える構成である。
【0003】
特許文献1に開示されている電源装置は、補機バッテリ100から主バッテリ105への充電時に、リレー接点106を遮断し、プッシュプル回路101→トランス102→フルブリッジ回路103(整流回路として使用)→昇圧チョッパ回路の経路で昇圧動作を行う。また、特許文献1に開示されている電源装置は、主バッテリ105から補機バッテリ100への充電時に、リレー接点106を導通させ、フルブリッジ回路103→トランス102→プッシュプル回路101の経路で降圧動作を行う。
【0004】
なお、特許文献1に開示されている電源装置は、ハイブリッド電気自動車用に用途が限定されている。このため、特許文献1に開示されている電源装置では、主バッテリ105から補機バッテリ100への充電が主用途であり、補機バッテリ100から主バッテリ105への充電は主として主バッテリ105の残量不足時に補機バッテリ100からエンジン始動用モータへの逆送電するために行われる。したがって、特許文献1に開示されている電源装置は、大電力の伝送を必要としないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−50402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、近年の自動車搭載電池の大容量化に伴い、電力伝送の高効率化が求められている。特に電気自動車は航続距離が大きな課題となっており、電気を効率よく使うシステムが不可欠となってきている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている電源装置では、リレー接点106に機械式リレーを用いた場合、リレー自体の消費電力が大きな損失の要因という問題があった。そこで、リレー接点106において大きな損失が発生しないようにリレー接点106に電磁リレーを用いることが考えられるが、この場合には接点磨耗によって信頼性が低下するという新たな問題が起こる。また、リレー接点106の代わりにトランジスタ等のスイッチング素子を用いることも考えられるが、この場合にはスイッチング素子を駆動するための高電圧電源を別途設ける必要が生じるため、複雑な回路構成となりコストがかかるという新たな問題と主バッテリ105から補機バッテリ100への充電時に常時スイッチング素子をONにするには通常のドライバによる駆動が不可能であるため工夫が必要であるという新たな問題とが起こる。
【0008】
本発明は、上記の状況に鑑み、高効率化を図ることができる双方向DC/DCコンバータ並びにこれを備えたソーラー充電システム及び移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る双方向DC/DCコンバータは、トランスと、前記トランスの低電圧側巻線に接続される第1スイッチング回路と、前記トランスの高電圧側巻線に接続される第2スイッチング回路とを備え、昇圧動作時に、前記第1スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより昇圧され、前記第2スイッチング回路により整流され、降圧動作時に、前記第2スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより降圧され、前記第1スイッチング回路により整流され、前記昇圧動作時における最大昇圧倍率が前記降圧動作時における最大降圧倍率の逆数よりも大きい構成(第1の構成)とする。
【0010】
また、上記第1の構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記降圧動作時に、前記第1スイッチング回路内のスイッチング素子が同期整流素子として動作する構成(第2の構成)としてもよい。
【0011】
また、上記第1の構成又は上記第2の構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記昇圧動作時に、前記第2スイッチング回路内のスイッチング素子が同期整流素子として動作する構成(第3の構成)としてもよい。
【0012】
また、上記第1〜第3のいずれかの構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記昇圧動作時に、前記第2スイッチング回路が倍電圧整流回路として動作する構成(第4の構成)としてもよい。
【0013】
また、上記第4の構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記第2スイッチング回路が、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、第3スイッチング素子と、第4スイッチング素子と、第5スイッチング素子と、第1コンデンサと、第2コンデンサとを備え、前記トランスの前記高圧側巻線の一端に前記第1スイッチング素子の一端及び前記第2スイッチング素子の一端が接続され、前記トランスの前記高圧側巻線の他端に前記第3スイッチング素子の一端、前記第4スイッチング素子の一端、及び前記第5スイッチング素子の一端が接続され、前記第1スイッチング素子の他端、前記第3スイッチング素子の他端、及び前記第1コンデンサの一端が共通接続され、前記第2スイッチング素子の他端、前記第4スイッチング素子の他端、及び前記第2コンデンサの一端が共通接続され、前記第1コンデンサの他端、前記第2コンデンサの他端、及び前記第5スイッチング素子の他端が共通接続される構成(第5の構成)としてもよい。
【0014】
また、上記第5の構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記第5スイッチング素子が互いの寄生ダイオードが逆方向接続される2つのMOSFETによって構成される構成(第6の構成)としてもよい。
【0015】
また、上記第5の構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記第2コンデンサが充電時に前記第2コンデンサの一端の電位よりも前記第2コンデンサの他端の電位の方が高くなり、前記第2スイッチング回路が、前記第2コンデンサに並列に接続される放電回路を備える構成(第7の構成)としてもよい。
【0016】
また、上記第5〜第7のいずれかの構成の双方向DC/DCコンバータにおいて、前記第1スイッチング素子及び前記3スイッチング素子がそれぞれノーマリーオントランジスタであり、前記第2スイッチング素子及び前記4スイッチング素子がそれぞれノーマリーオフトランジスタである、又は、前記第1スイッチング素子及び前記3スイッチング素子がそれぞれノーマリーオフトランジスタであり、前記第2スイッチング素子及び前記4スイッチング素子がそれぞれノーマリーオントランジスタである構成(第8の構成)としてもよい。
【0017】
また、本発明に係るソーラー充電システムは、太陽電池と、前記太陽電池から出力される電力を蓄える第1蓄電装置と、前記第1蓄電装置よりも電圧が大きい第2蓄電装置と、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との間の電力伝送を行う双方向DC/DCコンバータとを備え、前記双方向DC/DCコンバータが上記第1〜第8のいずれかの構成の双方向DC/DCコンバータである構成とする。
【0018】
また、本発明に係る移動体は、上記構成のソーラー充電システムを備える構成とする。
【0019】
また、上記構成の移動体において、前記ソーラー充電システムが備える第2蓄電装置から出力される電力を移動体の駆動用電力として用いる構成とすることが望ましい。更に、前記第2蓄電装置の電圧を前記第1蓄電装置の電圧より高くすることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る双方向DC/DCコンバータは、トランスと、前記トランスの低電圧側巻線に接続される第1スイッチング回路と、前記トランスの高電圧側巻線に接続される第2スイッチング回路とを備え、昇圧動作時に、前記第1スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより昇圧され、前記第2スイッチング回路により整流され、降圧動作時に、前記第2スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより降圧され、前記第1スイッチング回路により整流され、前記昇圧動作時における最大昇圧倍率が前記降圧動作時における最大降圧倍率の逆数よりも大きい構成である。このような構成によると、前記トランスの前記低圧側巻線に対する前記高圧側巻線の巻数倍率を最小限にして昇降圧両方の仕様を満たす双方向DC/DCコンバータを実現することができる。したがって、前記トランスの前記低圧側巻線に対する前記高圧側巻線の巻数倍率が大きいほど大きくなる前記トランスの抵抗成分を低減することができ、高効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を示す図である。
【図1B】本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの変形例を示す図である。
【図1C】本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの変形例を示す図である。
【図1D】昇降圧チョッパ回路の昇圧動作時における各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図1E】昇降圧チョッパ回路の降圧動作時における各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図2】本発明の第2実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を示す図である。
【図3】昇圧動作における本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】昇圧動作における本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの電流経路を示す図である。
【図5】降圧動作における本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】降圧動作における本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの電流経路を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を示す図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を示す図である。
【図10】電気自動車用ソーラー充電システムの概略構成例を示す図である。
【図11】第1好適例に係るプッシュプル回路の構成を示す図である。
【図12】第1好適例に係るプッシュプル回路の各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図13】第1好適例に係るプッシュプル回路の接続点Aの電圧と接続点Bの電圧をシミュレーションで求めた結果を示す図である。
【図14】図20に示す従来のサージ電圧抑制手段を有するプッシュプル回路の接続点Aの電圧と接続点Bの電圧をシミュレーションで求めた結果を示す図である。
【図15】トランジスタ駆動用ドライバの電源構成の第1実施例を示す図である。
【図16】トランジスタ駆動用ドライバの電源構成の第2実施例を示す図である。
【図17】第2好適例に係るプッシュプル回路の構成を示す図である。
【図18】第2好適例に係るプッシュプル回路の各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図19】特許文献1に開示されている電源装置の構成を示す図である。
【図20】従来のサージ電圧抑制手段を有するプッシュプル回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0023】
図1Aは本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を示す図である。図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータは、NチャネルMOSFETであるトランジスタTL1及びTL2によって構成されトランスTR1の低圧側巻線に接続されるプッシュプル回路と、巻線比(低圧側巻線と高圧側巻線との巻数比)が1:NであるトランスTR1と、NチャネルMOSFETであるトランジスタTH1〜TH4によって構成されトランスTR1の高圧側巻線に接続されるフルブリッジ回路と、当該フルブリッジ回路とメインバッテリB1との間に設けられるNチャネルMOSFETであるトランジスタTH5並びにコンデンサCH1及びCH2とを備えている。
【0024】
トランジスタTL1のドレインはトランスTR1の低圧側巻線の一端に接続され、トランジスタTL2のドレインはトランスTR1の低圧側巻線の他端に接続され、トランジスタTL1及びTL2の各ソースはサブバッテリB1の負極に接続される。サブバッテリB1の正極はトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップに接続される。なお、サブバッテリB1の正極と負極との間にコンデンサを設け、降圧動作時に平滑用のコンデンサとして機能させてもよい。
【0025】
トランスTR1の高圧側巻線の一端にはトランジスタTH1のソース及びトランジスタTH2のドレインが接続され、トランスTR1の高圧側巻線の他端にはトランジスタTH3のソース、トランジスタTH4のドレイン、及びトランジスタTH5のドレインが接続されている。トランジスタTH1のドレイン及びトランジスタTH3のドレイン、及びコンデンサCH1の一端がメインバッテリB2の正極に接続され、トランジスタTH2のソース及びトランジスタTH4のソース、及びコンデンサCH2の一端がメインバッテリB2の負極に接続される。そして、コンデンサCH1の他端及びコンデンサCH2の他端がトランジスタTH3のソースに接続される。なお、各トランジスタのソース−ドレイン間には並列にダイオード(以下、並列ダイオードと呼ぶ)が接続されているが、この並列のダイオードは各トランジスタの寄生ダイオード(内蔵ダイオード)または外的に並列接続されたダイオード等であってもよい。また、メインバッテリB2はサブバッテリB1よりも高電圧のバッテリである。また、インダクタPL1、PL2、SL1はトランスTR1の寄生インダクタである。但し、インダクタSL1は、(トランスTR1の寄生インダクタ以外の)外的インダクタを含んでいてもよい。この場合、インダクタSL1のインダクタンスを調整することによって出力電圧の制御範囲を変化させることができる。同様に、PL1、PL2に外的インダクタを接続することによって出力電圧の制御範囲を変化させることもできるが、トランジスタTL1、TL2がOFFするときに発生するサージのエネルギーが更に大きくなるため、好ましくない。一方、高電圧側に位置するSLIを流れる電流は相対的に小さくなるため、サージの影響を受けにくい。即ち、出力電圧の制御範囲を変化させるためにインダクタを追加する場合は、SL1に対して行うのが好ましい。また、インダクタSL1の代わりに図1Bに示すようにインダクタSL2を設けてもよい。また、図示はしないがSL1及びSL2を共に備える構成としてもよい。
【0026】
また、図1Cに示すように、コンデンサCH1及びCH2とメインバッテリB2との間に、NチャネルMOSFETであるトランジスタTC1及びTC2と、インダクタLC1と、コンデンサCC1とによって構成される昇降圧チョッパ回路を設けてもよい。上記昇降圧チョッパ回路は、トランジスタTC2のスイッチング動作により昇圧を行う。この昇圧動作時に、トランジスタTC1の並列ダイオードに電流が流れるタイミングに合わせてトランジスタTC1をONにして同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減する。また、上記昇降圧チョッパ回路は、トランジスタTC1のスイッチング動作により降圧を行う。この降圧動作時に、トランジスタTC2の並列ダイオードに電流が流れるタイミングに合わせてトランジスタTC2をONにして同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減する。昇圧動作時における各トランジスタのタイミングチャートを図1Dに、降圧動作時における各トランジスタのタイミングチャートを図1Eにそれぞれ示す。昇圧動作時、降圧動作時のいずれにおいても、トランジスタTC1をONにする期間とトランジスタTC2をONにする期間を交互に繰り返すが、トランジスタTC1及びTC2の同時ONを防止するためにデッドタイムを設けている。なお、本実施例では、同期整流によりダイオード素子通過分の損失を低減しているが、同期整流は必ずしも必要ではなく、上記昇降圧チョッパ回路に流れる電流が十分に小さい場合、同期整流を行わず、昇圧動作時は、トランジスタTC1を常にOFFにし、トランジスタTC2のみをスイッチング動作させ、降圧動作時は、トランジスタTC2を常にOFFにし、トランジスタTC1のみをスイッチング動作させてもよい。
【0027】
図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータは、昇圧動作時にトランジスタTH5を常時ONにして、サブバッテリB1から出力される直流電圧を上記プッシュプル回路で交流電圧に変換し、トランスTR1によって昇圧し、トランジスタTH1及びTH2とトランジスタTH5とコンデンサCH1及びCH2とによって構成される倍電圧整流回路で整流することで、DC/DC変換を行い、当該DC/DC変換後の電圧をメインバッテリB2に供給する。トランスTR1の巻線比が1:Nであるため、本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでの(インダクタPL1,PL2,SL1による電圧変化を除く)固定昇圧倍率は2N倍である。尚、トランジスタTL1およびTL2の駆動電圧のデューティを変化させることにより、寄生インダクタに流れる電流iの変化率(di/dt)(>0)を変化させ、出力電圧および出力電流を制御することができる。
【0028】
また、図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータは、降圧動作時にトランジスタTH5を常時OFFにして、メインバッテリB2から出力される直流電圧を上記フルブリッジ回路で交流電圧に変換し、トランスTR1によって降圧し、トランジスタTL1及びTL2によって整流することで、DC/DC変換を行い、当該DC/DC変換後の電圧をサブバッテリB1に供給する。巻線比が1:Nであるため、本発明の第1実施形態に係るDC/DCコンバータでの(寄生インダクタの効果を除く)固定降圧倍率は1/N倍である。尚、トランジスタTH1、TH2、TH3、TH4のゲート駆動電圧のデューティを変化させることにより、寄生インダクタに流れる電流iの変化率(di/dt)(>0)を変化させ、出力電圧および出力電流を制御することができる。
【0029】
図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでは、サブバッテリB1とトランスの低圧側巻線との間に設ける回路をプッシュプル回路にしているが、サブバッテリB1とトランスの低圧側巻線との間に設ける回路はプッシュプル回路に限定されることはなく、例えば、図2に示す本発明の第2実施形態に係る双方向DC/DCコンバータのようにサブバッテリB1とトランスの低圧側巻線との間に設ける回路をNチャネルMOSFETであるトランジスタTL1〜TL4によって構成されるフルブリッジ回路にしてもよい。なお、図2において図1Aと同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0030】
図2に示す本発明の第2実施形態に係る双方向DC/DCコンバータも図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータと同様に、各トランジスタのソース−ドレイン間には並列ダイオードが接続される。また、図2に示す本発明の第2実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでは、図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータで用いられたトランスTR1(低圧側巻線にセンタータップが設けられているトランス)の代わりに、トランスTR2(低圧側巻線にセンタータップが設けられていないトランス)を用いている。トランスTR2においてもトランスTR1と同様に低圧側巻線と高圧側巻線との巻数比を1:Nとする。
【0031】
ここで、本発明に係る双方向DC/DCコンバータの固定昇圧倍率が固定降圧倍率の逆数よりも大きい理由について説明する。
【0032】
例えば、サブバッテリB1の電圧をVsub、その電圧範囲をVsub_min(最小) 〜 Vsub_max(最大)、メインバッテリB2の電圧をVmain、電圧範囲をVmain_min(最小)〜 Vmain_max(最大)、トランスの低圧側巻線と高圧側巻線等で決まるデューティに依存しない固定昇圧倍率をα、トランスの巻線比等で決まるデューティに依存しない固定降圧倍率を1/β、トランスの全寄生インダクタンスに等価なインダクタンス(トランス高電圧側に設置)をL、トランス高電圧側巻線に流れる電流をIとする。
この場合、昇圧動作において、
Vmain = αVsub − L(dI/dt)
が成り立つ。
スイッチング損失を低減するため、トランジスタTL1、TL2のスイッチングをゼロ電流スイッチング(若しくは、十分小さい電流値でのスイッチング)とすると、トランジスタTL1、TL2のいずれか一方がオン状態のときの(dI/dt)は正となるため、
Vmain = αVsub − L(dI/dt) < αVsub
が成り立つ。サブバッテリB1およびメインバッテリB2の電圧範囲を考慮すると、
Vmain_max < αVsub_min ・・・(数式1)
となるように固定昇圧倍率(例えば、トランスの巻線比)を選ぶ必要がある。
【0033】
次に、降圧動作において、
Vsub = (1/β){Vmain − L(dI/dt)}
が成り立つ。
スイッチング損失を低減するため、トランジスタTH1、TH2、TH3、TH4のスイッチングのうち、トランス端子間に生じる電圧の向きを反転させるスイッチングをゼロ電流スイッチング(若しくは、十分小さい電流値でのスイッチング)とすると、トランジスタTH1とTH4がオン状態(オフ状態)且つトランジスタTH2とTH3がオフ状態(オン状態)のときの(dI/dt)は正となるため、
Vsub = (1/β){Vmain − L(dI/dt)} < (1/β)Vmain
が成り立つ。サブバッテリB1およびメインバッテリB2の電圧範囲を考慮すると、
Vsub_max < (1/β)Vmain_min・・・(数式2)
となるように固定降圧倍率(例えば、トランスの巻線比)を選ぶ必要がある。
【0034】
双方向DC−DCコンバータにおいては、数式1と数式2は同時に満たされる必要があるから、数式1、数式2より、
Vsub_max < (1/β)Vmain_min < (α/β)Vsub_min
∴ (α/β) > (Vsub_max/Vsub_min)>1・・・(数式3)
が成り立つ。従って、固定昇圧倍率αおよび固定降圧倍率(1/β)をトランスの巻線比だけで決めるとすると、昇圧時のトランスの巻線比を1:α、降圧時のトランスの巻線比を1:β(<α)とするなど、昇圧時と降圧時とで異なる巻数比を採用する必要あり、回路構成が非常に複雑となる。一方、図1Aの回路は、トランスTR1の巻線比が1:Nなので、α=2N、β=Nの場合に相当し、数式3を満たす。即ち、図1Aの回路は、昇圧時と降圧時でトランスの巻線比を変える必要がないため、簡単な回路構成によって双方向DC−DCコンバータを構成することができる。
【0035】
次に、昇圧動作時における本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートを図3に示す。
【0036】
トランジスタTL1をONにしてトランスTR1の低圧側巻線に電流を流すと、トランスTR1の高圧側巻線に起電力が発生してトランジスタTH5及びTH1を通る電流が流れる(図4参照)。このとき、トランジスタTH1の寄生ダイオードに電流が流れるタイミングに合わせてトランジスタTH1をONにして同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減する。同様に、トランジスタTL2をONにしてトランスTR1の低圧側巻線に電流を流すと、トランスTR1の高圧側巻線に起電力が発生してトランジスタTH2及びTH5を通る電流が流れる。このとき、トランジスタTH2の並列ダイオードに電流が流れるタイミングに合わせてトランジスタTH2をONにして同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減する。これにより、より一層高効率化を図ることができる。
【0037】
トランジスタTL1をONにする期間とトランジスタTL2をONにする期間とが交互に繰り返されるが、トランジスタTH1及びTH2が同時にONになると大きな短絡電流が流れてしまうので、トランジスタTH1及びTH2の同時ONを防止するために、トランジスタTH1及びTH2が共にOFFになる期間(デッドタイム)を設けている。これにより、より一層高効率化を図ることができる。
【0038】
次に、降圧動作時における本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの各トランジスタのON、OFF切り替えのタイミングを示すタイミングチャートを図5に示す。
【0039】
トランジスタTH1及びTH4をONにしてトランスTR1の高圧側巻線に電流を流すと、トランスTR1の低圧側巻線に起電力が発生してトランジスタTL1を通る電流が流れる(図6参照)。このとき、トランジスタTL1の並列ダイオードに電流が流れるタイミングに合わせてトランジスタTL1をONにして同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減する。同様に、トランジスタTH3及びTH2をONにしてトランスTR1の高圧側巻線に電流を流すと、トランスTR1の低圧側巻線に起電力が発生してトランジスタTL2を通る電流が流れる。このとき、トランジスタTL2の並列ダイオードに電流が流れるタイミングに合わせてトランジスタTL2をONにして同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減する。これにより、より一層高効率化を図ることができる。
【0040】
トランジスタTH1及びTH4をONにする期間とトランジスタTH2及びTH3をONにする期間とが交互に繰り返されるが、トランジスタTH1及びTH2が同時にONになると大きな短絡電流が流れてしまい、トランジスタTH3及びTH4が同時にONになると大きな短絡電流が流れてしまうので、トランジスタTH1及びTH2の同時ON並びにトランジスタTH3及びTH4の同時ONを防止するために、トランジスタTH1〜TH4が共にOFFになる期間(デッドタイム)を設けている。これにより、より一層高効率化を図ることができる。
【0041】
図1Aに示す本発明の第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータや図2に示す本発明の第2実施形態に係る双方向DC/DCコンバータのように、トランジスタTH5を1つのMOSトランジスタのみで構成した場合、例えば、降圧動作開始時等において、コンデンサCH2が充電されたままの状態にてトランジスタTH4がONしたときに、トランジスタTH5の内蔵ダイオード及びトランジスタTH4を介してコンデンサCH2が短絡し、大きな短絡電流が流れてしまい、コンデンサCH2、トランジスタTH4、及びトランジスタTH5がダメージを受けてしまう。
【0042】
そこで、例えば、図7に示す本発明の第3実施形態に係る双方向DC/DCコンバータや図8に示す本発明の第4実施形態に係る双方向DC/DCコンバータの構成を採用することが望ましい。なお、図7及び図8において図1Aと同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0043】
図7に示す本発明の第3実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでは、トランジスタTH5をソース同士が接続され共通のゲート制御信号がゲートに供給される2つのNチャネルMOSFETによって構成する。これにより、トランジスタTH4がONしたときであっても、トランジスタTH5の内蔵ダイオード及びトランジスタTH4を介してコンデンサCH2が短絡されなくなる。
【0044】
また、図8に示す本発明の第4実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでは、コンデンサCH2に並列に抵抗RH1及びトランジスタTH6によって構成される放電回路が設けられている。降圧動作時の初期において、トランジスタTH4をONにする前に、トランジスタTH6をONにしてコンデンサCH2の両端電圧が略0[V]になるまで抵抗RH1による放電を実施した後にトランジスタTH6をOFFにし、その後トランジスタTH4をONにする。これにより、トランジスタTH4がONになって、トランジスタTH5の内蔵ダイオード及びトランジスタTH4を介してコンデンサCH2が短絡されても大きな短絡電流が流れなくなる。
【0045】
次に、図9に示す本発明の第5実施形態に係る双方向DC/DCコンバータについて説明する。図9に示す本発明の第5実施形態に係る双方向DC/DCコンバータはノーマリーオンデバイスを用いることを特徴としている。
【0046】
GaN系トランジスタ、SiC系トランジスタ等の化合物パワーデバイスはゲート容量が小さく、かつ、オン抵抗が低いという特徴を有しているため、Si系パワーデバイスに代わる次世代パワーデバイスとして期待されている。当該化合物パワーデバイスは、低抵抗のP型活性層を形成することが難しいため、現状ではノーマリーオンN型デバイスが一般的である。ノーマリーオンデバイスを用いた場合、ノーマリーオンデバイスを駆動するドライバが故障したときに当該ノーマリーオンデバイスがON状態にとなる可能性が高いため、ノーマリーオンデバイスを駆動するドライバが故障したときでも短絡等が生じないように配慮する必要がある。
【0047】
そこで、図9に示す本発明の第5実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでは、トランジスタTH1及びTH3にノーマリーオンデバイスを用いている。これにより、トランジスタTH1における小ゲート容量によるスイッチング損の低減及び低オン抵抗による抵抗損の低減の両立と、トランジスタTH3における小ゲート容量によるスイッチング損の低減及び低オン抵抗による抵抗損の低減の両立とが可能となる。また、故障によりトランジスタTH1及びTH3のいずれかが短絡したとしても、メインバッテリB2の正極−負極間の短絡とならないので、安全性が確保される。図9に示す本発明の第5実施形態に係る双方向DC/DCコンバータでは、トランジスタTH1及びTH3をノーマリーオンデバイスとし、トランジスタTH2及びTH4をノーマリーオフデバイスとする構成であるが、この構成とは逆に、トランジスタTH1及びTH3をノーマリーオフデバイスとし、トランジスタTH2及びTH4をノーマリーオンデバイスとする構成でも構わない。なお、ノーマリーオンデバイスに化合物トランジスタを用いた場合、例えばGaN系トランジスタであればソース−ドレイン間に内蔵ダイオードが形成されず、また例えばSiC系トランジスタであればソース−ドレイン間に形成される内蔵ダイオードの性能が良好でないため、図9に示すようにノーマリーオンデバイス(トランジスタTH1及びTH3)に並列にダイオードを接続することが望ましい。
【0048】
本発明に係る双方向DC/DCコンバータは、例えば図10に示す電気自動車用ソーラー充電システムに適用することができる。
【0049】
図10に示す電気自動車用ソーラー充電システムは、複数の太陽電池セルが配置されているソーラーパネル1と、ソーラーパネル1の出力電力が最大になるようにソーラーパネル1の出力電圧を制御するMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御部2と、サブバッテリ4を管理して制御する制御回路3と、ソーラーパネル1の出力電力を蓄えるサブバッテリ4と、サブバッテリ4から出力される直流電圧をDC/DC変換してメインバッテリ7に供給するDC/DCコンバータ5と、メインバッテリ7を管理して制御する制御回路6と、サブバッテリ4よりも容量が大きいメインバッテリ7とを備えている。また、図10においては図示していないが、DC/DCコンバータ5内の各スイッチング素子のON、OFFを制御するための制御信号を生成する回路も電気自動車内に設けられている。
【0050】
本発明に係る双方向DC/DCコンバータを図10に示す電気自動車用ソーラー充電システムに適用する場合、DC/DCコンバータ5を本発明に係る双方向DC/DCコンバータにすればよい。これにより、メインバッテリ7から出力される直流電圧をDC/DC変換してサブバッテリ4に供給することも可能になる。
【0051】
電気自動車に設けられているインバータ8は、メインバッテリ7から出力される直流電圧をモータ駆動用交流電圧に変換する。電気自動車に設けられているモータ9は、インバータ8から出力されるモータ駆動用交流電圧によって回転駆動する。モータ9の回転により電気自動車の駆動輪が回転する。電気自動車の制動時にモータ9で発生する回生エネルギーは制御回路6によって回収され、メインバッテリ7に蓄えられる。また、サブバッテリ4から出力される直流電圧はヘッドライト等の電源としても利用される。
【0052】
図10においては、本発明に係る双方向DC/DCコンバータを備えたソーラー充電システムを電気自動車用ソーラー充電システムとしたが、他の移動体(例えばバイク等)用のソーラー充電システムとすることも当然可能である。
【0053】
ここで、本発明に係る双方向DC/DCコンバータにおいて、前記トランスの低電圧側巻線に接続されるスイッチング回路にプッシュプル回路を採用した場合、前記トランスの低電圧側巻線の寄生インダクタに起因するサージ電圧を抑制する手段をプッシュプル回路に設けることが高効率化の観点から望ましい。
【0054】
以下、上記のサージ電圧を抑制する手段について説明する。
【0055】
図11は第1好適例に係るプッシュプル回路の構成を示す図である。図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路は、NチャネルMOSFETであるトランジスタTL1及びTL2と、ダイオードDAC1及びDAC2と、NチャネルMOSFETであるトランジスタTAC1及びTAC2とを備えている。
【0056】
トランジスタTL1のドレインはトランスTR1の低圧側巻線の一端に接続され、トランジスタTL2のドレインはトランスTR1の低圧側巻線の他端に接続され、トランジスタTL1及びTL2の各ソースはサブバッテリB1の負極に接続される。なお、図11では、トランスTR1の低圧側巻線の寄生インダクタンスを寄生インダクタンスPL1及びPL2として図示している。また、各トランジスタのソース−ドレイン間には並列ダイオードが接続されているが、この並列のダイオードは各トランジスタの寄生ダイオード(内蔵ダイオード)または外的に並列接続されたダイオード等であってもよい。
【0057】
ダイオードDAC1のアノードはトランジスタTL1のドレインに接続され、ダイオードDAC1のカソードはトランジスタTAC1のドレインに接続され、トランジスタTAC1のソースはサブバッテリB1の正極及びトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップに接続される。同様に、ダイオードDAC2のアノードはトランジスタTL2のドレインに接続され、ダイオードDAC2のカソードはトランジスタTAC2のドレインに接続され、トランジスタTAC2のソースはサブバッテリB1の正極及びトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップに接続される。
【0058】
図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路では、トランジスタTL1のドレインとトランスTR1の低圧側巻線の一端との接続点AからダイオードDAC1を経由してサブバッテリB1の正極及びトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップとの接続点に至る経路の導通と遮断とをトランジスタTAC1が切り替え、当該経路が導通しているときにトランスTR1の寄生インダクタPL1に起因するサージ成分が発生すれば、当該サージ成分はダイオードDAC1を経由してサブバッテリB1の正極及びトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップとの接続点に還流される。同様に、図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路では、トランジスタTL2のドレインとトランスTR1の低圧側巻線の他端との接続点BからダイオードDAC2を経由してサブバッテリB1の正極及びトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップとの接続点に至る経路の導通と遮断とをトランジスタTAC2が切り替え、当該経路が導通しているときにトランスTR1の寄生インダクタPL2に起因するサージ成分が発生すれば、当該サージ成分はダイオードDAC2を経由してサブバッテリB1の正極及びトランスTR1の低圧側巻線のセンタータップとの接続点に還流される。
【0059】
したがって、トランジスタTL1がONからOFFに切り替わる時点でトランジスタTAC1がON状態であり、トランジスタTL2がOFFからONに切り替わる時点でトランジスタTAC1がOFF状態であり、トランジスタTL2がONからOFFに切り替わる時点でトランジスタTAC2がON状態であり、トランジスタTL1がOFFからONに切り替わる時点でトランジスタTAC2がOFF状態である必要がある。このため、トランジスタTL1、TL2、TAC1、及びTAC2のON、OFF切り替えは例えば図12に示すようなタイミングで行うとよい。図12に示すようなタイミングでトランジスタTL1、TL2、TAC1、及びTAC2のON、OFF切り替えを行う場合、トランジスタTAC1の制御端子に供給する制御信号はトランジスタTL1の制御端子に供給する制御信号を遅延させるだけで生成することができ、トランジスタTAC2の制御端子に供給する制御信号はトランジスタTL2の制御端子に供給する制御信号を遅延させるだけで生成することができるので、トランジスタTAC1の制御端子に供給する制御信号及びトランジスタTAC2の制御端子に供給する制御信号の生成が容易である。
【0060】
ここで、図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路の接続点Aの電圧と接続点Bの電圧をシミュレーションで求めた結果を図13に示す。また、比較のため、図20に示す従来のサージ電圧抑制手段(ツェナーダイオードZD1及びZD2)を有するプッシュプル回路の接続点Aの電圧と接続点Bの電圧をシミュレーションで求めた結果を図14に示す。図13及び図14それぞれにおいて、太線は接続点Aの電圧を示しており、細線は接続点Bの電圧を示している。また、図13及び図14それぞれにおいて、サブバッテリB1の電圧は12Vとした。
【0061】
図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路によると、トランスTR1の寄生インダクタPL1に起因する接続点Aの電圧上昇及びトランスTR1の寄生インダクタPL2に起因する接続点Bの電圧上昇を大幅に低減することができる。このため、接続点A、接続点Bの電圧がトランジスタTAC1、TAC2の耐圧を越えて上昇し、トランジスタTAC1、TAC2を破壊するのを防ぐことが出来る。また、図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路によると、トランスTR1の寄生インダクタPL1及びPL2に起因するサージ成分を回路の外部に捨てることなく、接続点A→ダイオードDAC1→トランジスタTAC1→トランスTR1のセンタータップ→寄生インダクタPL1→接続点A、または、接続点B→ダイオードDAC2→トランジスタTAC2→トランスTR1のセンタータップ→寄生インダクタPL2→接続点Bの電流経路で還流させているため、寄生インダクタPL1、PL2に溜まったエネルギーを(ツェナーダイオード等で消費することなく)高電圧側に転送することができ、従って、損失を大幅に低減することができる。
【0062】
次に、トランジスタTAC1及びTAC2駆動用ドライバの電源構成例について説明する。
【0063】
トランジスタTAC1及びTAC2駆動用ドライバの電源構成の第1実施例を図15に示す。図15において図11と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。なお、図15に記載している電圧値は一例である。
【0064】
図15に示す第1実施例では、トランジスタTAC1及びTAC2をそれぞれノーマリーオフトランジスタとしている。例えば、バッテリB1の電圧が12Vの場合、トランジスタTAC1駆動用のゲートドライバDV1は、トランジスタTAC1のソース電圧(例えば12V)にトランジスタTAC1の閾値電圧を超える電圧を加えた電圧の電源(例えば24V電源)を必要とし、トランジスタTAC2駆動用のゲートドライバDV2は、トランジスタTAC2のソース電圧(例えば12V)にトランジスタTAC2の閾値電圧を超える電圧を加えた電圧の電源(例えば24V電源)を必要とする。そこで、図15に示す第1実施例では、トランジスタTL1のドレイン電圧を抵抗R1及び逆流防止用ダイオードD1を経由して更にコンデンサC1により平滑して直流電圧を得る電源(例えば24V電源)をゲートドライバDV1に接続し、トランジスタTL2のドレイン電圧を抵抗R2及び逆流防止用ダイオードD2を経由して更にコンデンサC2により平滑して直流電圧を得る電源(例えば24V電源)をゲートドライバDV2に接続している。また、図示はしていないが、ゲートドライバDV1にはトランジスタTAC1をOFFするための電圧の電源(例えばトランジスタTAC1のソース端子)も接続し、ゲートドライバDV2にはトランジスタTAC2をOFFするための電圧の電源(例えばトランジスタTAC1のソース端子)も接続する。なお、図15に示す第1実施例とは異なり、トランジスタTL1のドレイン電圧を用いて直流電圧を得る電源(例えば24V電源)をゲートドライバDV2に接続し、トランジスタTL2のドレイン電圧を用いて直流電圧を得る電源(例えば24V電源)をゲートドライバDV1に接続することも可能である。このようなトランジスタTAC1、TAC2を駆動するための電源電圧が得られるのは、図13に示すように、トランジスタTAC1オフ時のトランジスタTAC1のドレイン電圧、および、トランジスタTAC2オフ時のトランジスタTAC2のドレイン電圧が、サブバッテリB1の電圧(例えば、12V)の約2倍(例えば、約24V)となるからである。
【0065】
このような電源構成によると、トランジスタTAC1のソース電圧(例えば12V)にトランジスタTAC1の閾値電圧を超える電圧を加えた電圧を生成するための特別な回路(例えば、サブバッテリB1の出力電圧を倍の電圧に昇圧する回路)及びトランジスタTAC2のソース電圧(例えば12V)にトランジスタTAC2の閾値電圧を超える電圧を加えた電圧を生成するための特別な回路(例えば、サブバッテリB1の出力電圧を倍の電圧に昇圧する回路)を設ける必要がないため、簡易な回路構成となる。
【0066】
トランジスタTAC1及びTAC2駆動用ドライバの電源構成の第2実施例を図16に示す。図16において図11と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。なお、図16に記載している電圧値は一例である。
【0067】
図16に示す第2実施例では、トランジスタTAC1及びTAC2をそれぞれノーマリーオントランジスタとしている。この場合、トランジスタTAC1駆動用のゲートドライバDV3は、トランジスタTAC1のソース電圧(例えば12V)より大きい電圧の電源を必要とせず、トランジスタTAC2駆動用のゲートドライバDV4は、トランジスタTAC2のソース電圧(例えば12V)より大きい電圧の電源を必要としない。そこで、図16に示す第2実施例では、他の制御回路用電源(例えば5V電源)をゲートドライバDV3及びDV4に接続している。すなわち、他の制御回路用電源(例えば5V電源)を他の制御回路(例えば他のトランジスタを駆動するためのドライバ、センサ等)とゲートドライバDV3及びDV4とで共用するようにする。また、図示はしていないが、ゲートドライバDV3にはトランジスタTAC1をONするための電圧の電源(例えば12V電源)も接続し、ゲートドライバDV4にはトランジスタTAC2をONするための電圧の電源(例えば12V電源)も接続する。
【0068】
このような電源構成によると、ゲートドライバDV3及びDV4専用に電源を設ける必要がないため、電源回路を構成する部品点数を削減することができる。また、図16に示す第2実施例においてノーマリーオントランジスタであるトランジスタTAC1及びTAC2として、GaN系トランジスタやSiC系トランジスタ等のオン抵抗がSi系トランジスタよりも小さい化合物トランジスタを用いることで、さらに損失を低減することができる。なお、トランジスタTAC1及びTAC2に化合物トランジスタを用いた場合、例えばGaN系トランジスタであればソース−ドレイン間に内蔵ダイオードが形成されないため、図16においてはトランジスタTAC1及びTAC2の並列ダイオードを図示していないが、図15と同様にトランジスタTAC1及びTAC2と並列な位置にダイオードが接続されていても良い。
【0069】
次に、第2好適例に係るプッシュプル回路について説明する。図17は第2好適例に係るプッシュプル回路の構成を示す図である。図17において図11と同一の部分には、図11中のトランジスタTAC1及びTAC2を図17ではトランジスタTAC1A及びTAC2Aに変更した以外は同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0070】
図17に示す第2好適例に係るプッシュプル回路は、図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路からダイオードDAC1及びDAC2を取り除き、その代わりに同期整流用トランジスタTAC1B及びTAC2Bを設けた構成である。同期整流を行うことでダイオード分の損失を低減することができるので、より一層高効率化を図ることができる。
【0071】
図17に示す第2好適例に係るプッシュプル回路では、トランジスタTL1がONからOFFに切り替わった後でトランジスタTAC1BがOFFからONに切り替わり、トランジスタTAC1AがONからOFFに切り替わる前にトランジスタTAC1BがONからOFFに切り替わり、トランジスタTL2がONからOFFに切り替わった後でトランジスタTAC2BがOFFからONに切り替わり、トランジスタTAC2AがONからOFFに切り替わる前にトランジスタTAC2BがONからOFFに切り替わる必要がある。このため、トランジスタTL1、TL2、TAC1A、TAC2A、TAC1B、及びTAC2BのON、OFF切り替えは例えば図18に示すようなタイミングで行うとよい。
【0072】
図17に示す第2好適例に係るプッシュプル回路におけるトランジスタTAC1及びTAC2駆動用ドライバの電源構成例は、図11に示す第1好適例に係るプッシュプル回路の場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0073】
なお、上述した各実施形態及び上記の各変形例の内容は、矛盾がない限り、任意に組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 ソーラーパネル
2 MPPT制御部
3 制御部
4 サブバッテリ
5 DC/DCコンバータ
6 制御回路
7 メインバッテリ
8 インバータ
9 モータ
B1 サブバッテリ
B2 メインバッテリ
CH1、CH2、C1、C2 コンデンサ
D1、D2、DAC1、DAC2 ダイオード
DV1〜DV4 ゲートドライバ
R1、R2 抵抗
TL1〜TL4 トランジスタ
TH1〜TH5 トランジスタ
TAC1、TAC2 トランジスタ
TR1、TR2 トランス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスと、
前記トランスの低電圧側巻線に接続される第1スイッチング回路と、
前記トランスの高電圧側巻線に接続される第2スイッチング回路とを備え、
昇圧動作時に、前記第1スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより昇圧され、前記第2スイッチング回路により整流され、
降圧動作時に、前記第2スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより降圧され、前記第1スイッチング回路により整流され、
前記昇圧動作時における最大昇圧倍率が前記降圧動作時における最大降圧倍率の逆数よりも大きいことを特徴とする双方向DC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記降圧動作時に、前記第1スイッチング回路内のスイッチング素子が同期整流素子として動作することを特徴とする請求項1に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項3】
前記昇圧動作時に、前記第2スイッチング回路内のスイッチング素子が同期整流素子として動作することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項4】
前記昇圧動作時に、前記第2スイッチング回路が倍電圧整流回路として動作することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項5】
前記第2スイッチング回路が、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、第3スイッチング素子と、第4スイッチング素子と、第5スイッチング素子と、第1コンデンサと、第2コンデンサとを備え、
前記トランスの前記高圧側巻線の一端に前記第1スイッチング素子の一端及び前記第2スイッチング素子の一端が接続され、
前記トランスの前記高圧側巻線の他端に前記第3スイッチング素子の一端、前記第4スイッチング素子の一端、及び前記第5スイッチング素子の一端が接続され、
前記第1スイッチング素子の他端、前記第3スイッチング素子の他端、及び前記第1コンデンサの一端が共通接続され、
前記第2スイッチング素子の他端、前記第4スイッチング素子の他端、及び前記第2コンデンサの一端が共通接続され、
前記第1コンデンサの他端、前記第2コンデンサの他端、及び前記第5スイッチング素子の他端が共通接続されることを特徴とする請求項4に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項6】
前記第5スイッチング素子が互いの寄生ダイオードが逆方向接続される2つのMOSFETによって構成されることを特徴とする請求項5に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項7】
前記第2コンデンサが充電時に前記第2コンデンサの一端の電位よりも前記第2コンデンサの他端の電位の方が高くなり、
前記第2スイッチング回路が、前記第2コンデンサに並列に接続される放電回路を備えることを特徴とする請求項5に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項8】
前記第1スイッチング素子及び前記3スイッチング素子がそれぞれノーマリーオントランジスタであり、前記第2スイッチング素子及び前記4スイッチング素子がそれぞれノーマリーオフトランジスタである、又は、前記第1スイッチング素子及び前記3スイッチング素子がそれぞれノーマリーオフトランジスタであり、前記第2スイッチング素子及び前記4スイッチング素子がそれぞれノーマリーオントランジスタであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項9】
太陽電池と、
前記太陽電池から出力される電力を蓄える第1蓄電装置と、
前記第1蓄電装置よりも電圧が大きい第2蓄電装置と、
前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との間の電力伝送を行う双方向DC/DCコンバータとを備え、
前記双方向DC/DCコンバータが請求項1〜8のいずれか1項に記載の双方向DC/DCコンバータであることを特徴とするソーラー充電システム。
【請求項10】
請求項9に記載のソーラー充電システムを備えることを特徴とする移動体。
【請求項11】
前記ソーラー充電システムが備える第2蓄電装置から出力される電力を移動体の駆動用電力として用いることを特徴とする請求項10に記載の移動体。
【請求項1】
トランスと、
前記トランスの低電圧側巻線に接続される第1スイッチング回路と、
前記トランスの高電圧側巻線に接続される第2スイッチング回路とを備え、
昇圧動作時に、前記第1スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより昇圧され、前記第2スイッチング回路により整流され、
降圧動作時に、前記第2スイッチング回路のスイッチング動作により生成される交流電圧が前記トランスにより降圧され、前記第1スイッチング回路により整流され、
前記昇圧動作時における最大昇圧倍率が前記降圧動作時における最大降圧倍率の逆数よりも大きいことを特徴とする双方向DC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記降圧動作時に、前記第1スイッチング回路内のスイッチング素子が同期整流素子として動作することを特徴とする請求項1に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項3】
前記昇圧動作時に、前記第2スイッチング回路内のスイッチング素子が同期整流素子として動作することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項4】
前記昇圧動作時に、前記第2スイッチング回路が倍電圧整流回路として動作することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項5】
前記第2スイッチング回路が、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、第3スイッチング素子と、第4スイッチング素子と、第5スイッチング素子と、第1コンデンサと、第2コンデンサとを備え、
前記トランスの前記高圧側巻線の一端に前記第1スイッチング素子の一端及び前記第2スイッチング素子の一端が接続され、
前記トランスの前記高圧側巻線の他端に前記第3スイッチング素子の一端、前記第4スイッチング素子の一端、及び前記第5スイッチング素子の一端が接続され、
前記第1スイッチング素子の他端、前記第3スイッチング素子の他端、及び前記第1コンデンサの一端が共通接続され、
前記第2スイッチング素子の他端、前記第4スイッチング素子の他端、及び前記第2コンデンサの一端が共通接続され、
前記第1コンデンサの他端、前記第2コンデンサの他端、及び前記第5スイッチング素子の他端が共通接続されることを特徴とする請求項4に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項6】
前記第5スイッチング素子が互いの寄生ダイオードが逆方向接続される2つのMOSFETによって構成されることを特徴とする請求項5に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項7】
前記第2コンデンサが充電時に前記第2コンデンサの一端の電位よりも前記第2コンデンサの他端の電位の方が高くなり、
前記第2スイッチング回路が、前記第2コンデンサに並列に接続される放電回路を備えることを特徴とする請求項5に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項8】
前記第1スイッチング素子及び前記3スイッチング素子がそれぞれノーマリーオントランジスタであり、前記第2スイッチング素子及び前記4スイッチング素子がそれぞれノーマリーオフトランジスタである、又は、前記第1スイッチング素子及び前記3スイッチング素子がそれぞれノーマリーオフトランジスタであり、前記第2スイッチング素子及び前記4スイッチング素子がそれぞれノーマリーオントランジスタであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項9】
太陽電池と、
前記太陽電池から出力される電力を蓄える第1蓄電装置と、
前記第1蓄電装置よりも電圧が大きい第2蓄電装置と、
前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との間の電力伝送を行う双方向DC/DCコンバータとを備え、
前記双方向DC/DCコンバータが請求項1〜8のいずれか1項に記載の双方向DC/DCコンバータであることを特徴とするソーラー充電システム。
【請求項10】
請求項9に記載のソーラー充電システムを備えることを特徴とする移動体。
【請求項11】
前記ソーラー充電システムが備える第2蓄電装置から出力される電力を移動体の駆動用電力として用いることを特徴とする請求項10に記載の移動体。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−94034(P2013−94034A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236169(P2011−236169)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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