説明

反射光の基準測定装置及びその装置の較正方法

【課題】測定装置を較正するため、較正位置に移動した場合にも、より高い正確性で較正できる較正方法を提供する。
【解決手段】光出口開口部17を含む中空体3と光検出器4,5および光源6は、測定位置から較正位置へスイッチするため、回転可能である。中空体は、その内部に拡散散乱層15があり、光源から発せられる光は、中空体の内部で全方向に拡散され、この拡散光の一部は、光出口開口部を通して中空体を出る。測定装置の位置に応じて、その後、試料X(測定位置)へ、又は、参照基準7(較正位置)へ通過する。そこから、少なくとも部分的に、光出口開口部を通って中空体の中へ送り戻される。第1光検出器4は両位置において光出口開口部を通って中空体の中に入射する光を受信するよう整列され、第2光検出器5は両位置において拡散散乱層による散乱光を受信するよう整列される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料上で反射する光を測定する装置に関し、その装置は、その試料を照射するため光出口開口部を有する中空体を含み、その内部には、散乱層、その層を照射する光源、第1検出軸に沿って配置される第1光検出器、及び、第2検出軸に沿って配置される第2光検出器を含む。同様に、本発明は、そうした装置を較正する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的のため、光の語は、如何なる電磁放射線にも言及し、その電磁放射線は光学装置によって操作され得るもので、即ち、詳しくは、紫外線光、可視光及び赤外線である。光検出器の検出軸は、例えば、視野の回転軸であり、詳しくは、それは光検出器の光軸であってもよい。幾何学の点からは、それは光検出器に始まる空間線である。光検出器の各々は、例えば、1本の又は束の光ファイバーの一端であってもよく、詳しくは、光学励起プローブを含む。それから、光ファイバー又はその束は、例えば、分光計の光電変換器につながる。分光計は、例えば、入射スリット、回折格子のような回折要素、及び光電変換器、また、任意的にコントロールユニットを含む。
【0003】
上述の種類の測定装置は、例えば、ドイツ特許公報19528855A1により知られており、その開示内容、詳しくは、スペクトルエネルギー分布φ及び輝度率関数βの検出に関しては、可能な限り本明細書に援用される。光源から内部層に錯乱される光は、光出口開口部を通って中空体から出ることができる。光出口開口部の前に置かれた試料では、光は、少なくとも部分的には、光出口開口部へ送られ(後方錯乱及び/又はそこで反射する)、その結果、光は中空体に再入射する。第1光検出器はこの光(測定光、そこで試料の特性がコーディングされる)を検出するよう供給され、その光は中空体の中へ散乱して反射される;第1光検出器は、散乱層上の又はその中の中空体の内部で散乱する光(参照光、そこで光源の特性がコーディングされる)を検出するよう、供給される。参照光を含むことは、反射及び/又は透過で測定されるスペクトルエネルギー分布を決定するのに役立ち、検出ビームパスの波長依存の光学透過特性及び光源の放出特性の短時間の変動に左右されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許公報19528855A1
【0005】
そうした測定装置は、他の応用例とともに、光学製品の製造で、及び/又は、その品質管理において使用される。ここでは、光学特性例えば反射及び/又は透過作用を、光の波長の関数として測定することが、しばしば必要である。この例は、赤外線フィルタとして作用するフィルタ層の光学分析であり、それは、熱放射をブロックするが、可視光はできる限り妨害されずに通過することが許容されるべきである。そうしたフィルタ層は、例えば、建築用ガラスや自動車ガラスに適用される。他の例は、反射防止コーティングであり、詳しくは、広帯域用の反射防止であり、可視光の範囲内で可能な限り最低の反射を有するべきである。スペクトル依存性の測定は、そうしたコーティングの製造プロセス中と、その光学特性の最終品質管理の一部としての両方で必要となる。
【0006】
反射及び/又は透過で測定される関心試料表面のスペクトルエネルギー分布を、検出ビームパスの波長依存の光学透過特性及び光源の放出特性における長期的変化に関係なく決定するためには、測定装置の検出ビームパスにおける参照規準を測定することにより、測定装置を較正することが必要である。一般に、少なくとも1つのいわゆる白色基準が使用され、入射光を広く散乱し、一般的には、試料で測定されるべき全ての波長で、最大の反射率及び/又は透過率を有する。
【0007】
当業界において知られる測定装置を較正するためには、参照基準は試料の前で或いは試料の代わりに検出ビームパスへ移動するか、又は、ドイツ特許公報19528855A1のように、測定装置が、試料から離れて、並行に較正位置へ移動する。これらの場合の全ておいて、相対的な移動のために、移動される対象物の位置合わせにおいて不正確性が生じる。このため、参照基準は、光出口開口部から、試料と同じ距離にあるとは限らない。また、光出口開口部に対する参照基準の傾斜は、この移動のために変化し得る。しかしながら、距離又は方向のわずかな変動は、測定される光強度において大きな相違につながり、即ち、較正測定の大きなエラーをもたらす。較正の大きなエラーは、その後、試料測定にも影響する。
【0008】
また、相対的移動は、幾何学測定の妨害を生じることがある。例えば、光ファイバーの光学特性は、それらが動くときには変化する。加えて、当業界において知られる測定装置の参照基準は、汚れることがある。これは、詳しくは、モニターされる製造工程、例えば、スパッタリングのために発生する。また、周囲温度が、当業界において知られる測定装置の参照基準に影響することがある。較正の正確性は、著しく影響を与えることがある。加えて、参照基準の処理は、試料が真空中で使用され且つ測定される場合は、極めて複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の技術的課題は、上述の種類の装置を提供することであり、その装置はより高い正確性で較正され、更に、そうした装置の較正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の技術的課題は、請求項1又は10に示される特徴を有する装置によって達成され、更に、請求項21又は22に示される特徴を有する方法によって達成される。
【0011】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項において特定される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の側面に従って、本装置は、測定位置から較正位置へスイッチされ、光出口開口部は、測定位置では第1検出軸上にあり(しかし、第2検出軸上にはない)、かつ、較正位置では第2検出軸上にある(しかし、第1検出軸上にはない)。本発明の目的のため、光出口開口部が所定の軸上にあるということは、この軸が光出口開口部を通過するということを意味する。同じことは、拡散性散乱層にも当てはまる。
【0013】
測定位置においては、光出口開口部は、試料を照射し、第1光検出器が光出口開口部を通過して試料から入射する光を受信するよう配置される。較正位置においては、光出口開口部は、試料の代わりに第2検出軸にある別の測定場所を照射するよう配置される。光検出器と検出軸との位置合わせは、位置をスイッチするときでも、同じままである。それ故、較正位置では、第2光検出器は、別の測定場所から光を受信する。
【0014】
同じ測定装置を用いて、その装置を他の位置に移動させる必要なく、2つの異なる測定場所で測定することができる。詳しくは、参照基準が別の場所に配置され、直線的に移動されるべき参照基準を測定する(拡散散乱表面から参照光を受信することを含む)こうした装置の必要なく、そこに永久に留まることができる。唯一の前提条件は、試料を妨害することなく、参照基準を位置合わせすることである。この装置は、従って、従来の測定装置に比べ、より高い精度で較正されることが可能になる。
【0015】
測定と較正において、最高の精度を達成するため、測定位置での第1光検出器と光出口開口部との間の距離は、較正位置での第2光検出器と光出口開口部との間の距離と同一であり得る。
【0016】
従って、有利な実施形態では、参照基準のホルダーは中空体外部に配置されるか、又は、参照基準は第2検出軸上にあるように配置される。これは、参照基準と第2光検出器との間の距離を、試料と第1光検出器との間の距離と同じにすることを可能にする。この距離は、後続の較正セッションでも同じに保たれてもよい。同じことは、第2光検出器に対する参照基準の傾斜にも当てはまる。この配置のため、本装置は、従来の装置よりも高い精度で較正されることが可能になる。
【0017】
各光検出器は、中空体内部又は中空体外部に配置されてもよい。外部に配置される各光検出器のため、中空体は対応する検出アパーチャを含むべきである。
【0018】
中空体は、有利には、測定位置において、拡散散乱層の第1領域が第2検出軸上にあり、かつ、較正位置において、拡散散乱層の第2領域が第1検出軸上にあるように形成されてもよい。この配置のため、拡散散乱層からの参照光は両方の位置で受信されることが可能である:即ち、測定位置では第2光検出器によって、較正位置では第1検出器によって受信される。測定位置から較正位置へスイッチするとき、その2つの光検出器はその機能をスイッチする。拡散散乱層の第1領域と第2領域が同一の反射特性を有すると仮定すれば、第1及び第2光検出器の感度比は、僅かな労力で決定されることができ、そして、較正でも用いることができる。
【0019】
位置間でスイッチできることは、光出口開口部の効果的な再配置を通して達成される。これは、僅かな労力で達成されることができ、例えば、a)光出口開口部が、第1検出軸に沿った位置から、第2検出軸に沿った位置へ移動される場合(逆も同様)、又はb)中空体が第2検出軸上の参照光出口開口部を含み、試料の光出口開口部と参照の光出口開口部とが少なくとも交互に近接している場合、のいずれかである。
【0020】
a)の場合、中空体は、例えば、光出口開口部が第1位置と第2位置の間で、後方及び前方へ移動可能なように設定され、その第1位置では、第1検出軸が光出口開口部を通って伸び、第2検出軸が拡散散乱層を通って伸び、その第2位置では、第1検出軸が拡散散乱層を通って伸び、第2検出軸が光出口開口部を通って伸びる。詳しくは、このように処理されるようにするため、中空体は、移動可能なように、特に回転可能なように取り付けられる。代替的に、光出口開口部を有する中空体の一部分だけが、移動可能であり、例えば、それは中空体の周りに伸びるストリップであり、一方、中空体の残りは静止している。本装置が中空体外部に配置される1つ以上の光検出器を含む場合、中空体は、有利には、可能な位置の数に対応する各光検出器用の多数の検出ホールを含むべきである。好ましくは、近接する光検出器の2つの検出ホールの各々は、互いに一致するべきである。
【0021】
b)の場合、中空体は、2つの測定光出口開口部を含み、第1検出軸は試料の光出口開口部を通って伸び、第2検出軸は参照の光出口開口部を通って伸びる。この目的のため、シャッターが、例えば、中空体の内部又は外部に配置され、試料の光出口開口部と参照の光出口開口部との間で前後に移動可能である。代替的に、各光出口開口部を他方と独立に閉じること、例えば、個々のスクリーン詳しくは絞りスクリーンによって閉じることが可能である。
【0022】
有利には、第1光検出器は、測定位置では、光出口開口部を通って中空体の中へ入射する光を、較正位置では、層によって散乱される光を受信するように整列される。有利には、第2光検出器は、測定位置では、層によって散乱される光を、較正位置では、光出口開口部を通って中空体の中へ入射する光を受信するように整列される。
【0023】
第1光検出器は、好ましくは、測定位置では、光出口開口部を通って中空体に入射する光を排他的に受信するように光学的に設計される。第2光検出器は、好ましくは、測定位置では、内部層によって散乱される光を排他的に受信するように光学的に設計される。この目的のため、光検出器は、例えば、個々のスクリーン及び/又はレンズ光学系と共に備え付けられる。
【0024】
特に好ましい実施形態では、光検出器と検出軸とは前記の位置と関係なく、空間的に固定される。これは、不正確な位置合わせ、及び光ファイバーを移動させることによる光学的変化から生じる問題を回避する。
【0025】
特に正確な較正が、一実施形態によって可能になり、その実施形態では、測定位置において、層を通る第2検出軸の交点で第2検出軸と拡散反射層の表面法線との間に形成される角度が、較正位置において、層を通る第1検出軸の交点で第1検出軸と拡散反射層の表面法線との間に形成される角度と一致する。これにより、参照基準を測定するときの測定配置は、測定位置における試料を測定するときの測定配置とほぼ等しくなる。
【0026】
詳しくは、測定位置においては、第1検出軸は(好ましくは拡散反射試料のためだけに)、光出口開口部の中心軸と一致することが可能であり、又は、(好ましくは部分的に方向性を持って反射する試料のため)8°の角度を形成することができる。
【0027】
所定の実施形態では、本装置は、参照位置へスイッチすることができ、第1及び第2検出軸が拡散散乱層を通って伸びる。それ故、相対感度、即ち、第1光検出器と第2光検出器との感度の比は、例えば、それらの光検出器の信号値の商を計算することにより、決定される。
【0028】
参照位置におけるその2つの光検出器は、層の異なる位置に方向付けられるが、充分に均一な層では、散乱作用は同じである。
【0029】
詳しくは、参照位置においては、測定位置で第2検出軸上に又はその近くにある拡散散乱層の場所は、第1検出軸上に又はその近くにあることができる。本発明の目的のため、“近い”は、中空体の光出口開口部の直径より小さい距離を意味する。この特に有利な参照位置では、拡散散乱層の同じ領域は、第1光検出器によって検出され、そこから、参照光が測定位置における第2検出器によって受信される。これは、有利には、層の同じ(少なくとも近似的に)位置から光を受信することにより、非常に高精度で、第1光検出器と第2光検出器の相対感度を決定するのに役立つ。
【0030】
他の有利な実施形態では、本装置は、第3検出軸にそって配置される第3光検出器を含み、その装置は、追加的に、補助的な較正位置にスイッチされることが可能であり、その補助的な較正位置では、光出口開口部は第3検出軸上にあり、詳しくは、中空体の外部の追加参照基準は第3検出軸上にあるように、追加参照基準のホルダー又は追加参照基準を含む。補助的な較正位置では、光出口開口部は、第2の代替的な測定場所を照射するように配置される。この目的を達成するため、中空体は、適切に操作され得る。第3光検出器が中空体の外部に配置される場合は、それは、第3光検出器のため3つの検出ホールを含み、(もしあれば)他の検出ホールと部分的に一致することができる。第3位置では、第3光検出器は補助(追加)参照基準を測定するために使用され、前記第3検出軸に配置され、特に、そこに永久に存在する。その補助参照基準は、例えば、反射率50%のグレー基準であってもよい。このように決定される補助参照基準の反射率関数に基づいて、例えば、装置に含まれるコントロールユニットを使用して、光出口開口部をカバーするシャッターが著しく汚れているどうかをチェックすることが可能であろう。もしそうなら、コントロールユニットは視覚的又は聴覚的な警告を発することができる。
【0031】
好ましくは、中空体は、全ての位置の間で本装置がスイッチするために、回転軸に対して回転できるように取り付けられるべきである。
【0032】
本発明の第2の側面によれば、本装置を測定位置から較正位置へスイッチするため、光出口開口部と光検出器を含む中空体は、第1検出軸と異なる軸の周りを回転するように取り付けられるべきで、第1光検出器は、光出口開口部を通って中空体に入射する光を受信するため両位置において整列され、及び、第2光検出器は層によって散乱される光を受信するため両位置において整列される。
【0033】
同じ測定装置を使用して、従って、装置を他の場所に移動させる必要なく、2つの異なる測定場所で測定することが可能になる。詳しくは、参照基準は別の測定場所に配置されることができ、また、その必要なく、又は、直線的に移動されるべき参照基準(拡散散乱表面からの反射光を受信することを含む)を測定する装置の必要なく、そこに永久に存在することができる。唯一の前提は、試料を妨害することなく、参照基準を(一度)位置合わせすることである。従って、装置は、従来の測定装置よりも高い精度で較正されることができる。
【0034】
従って、有利な実施形態では、参照基準のホルダー又は参照基準が中空体の外側に配置され、そうして参照基準は較正位置で第1検出軸上にある。これは、参照基準と第1光検出器との間の距離を、試料と第1光検出器との間の距離と等しくなるよう設定することを可能にする。この距離は、後続の較正セッションでも等しく維持されることができる。同じことは、第1光検出器に対する参照基準の傾きにも当てはまる。
【0035】
以下で説明する変形例は、本発明の両側面に当てはまる。
【0036】
所定の方法で1つ以上のストッパーで中空体の移動を制限することは有利である。特に、本発明の第2の側面によれば、これによって、参照基準と中空体の相対方向の変動を回避することができる。
【0037】
有利には、一方のホルダー/参照基準と他方の試料との間に、シールドが提供される。この構成は、参照基準を試料の周囲環境から保護することを可能にする。そうして、参照基準は、機械的に影響を受けることが少なくなり、長期的に、較正精度を維持する。そうした実施形態では、好ましくは、シールドは、ホルダー/参照基準を取り囲むケーシングを含み、中空体に対して開いている。この構成により、参照基準は、特に良好に保護される。有利には、この場合において、中空体の光出口開口部は透明な保護スクリーンによってカバーされる。参照基準を取り囲むケーシングは、シールで周囲環境から保護され、特に、僅かな労力で真空の中で測定装置を使用することを可能にする。なぜなら、参照基準は、試料の処理及び/又は測定の間でさえも、その場所に留まることができるからである。
【0038】
参照基準だけをシールドする代わりに、シールドは、試料から、中空体、ホルダー/参照基準、及び、光検出器を保護することができ、そのシールドは、主要な光出口開口部が測定位置に位置する領域で透明な保護スクリーンを有する光出口開口部を含むことができる。このように、参照基準を含む測定装置は、試料の環境から保護される。
【0039】
シールドが中空体、ホルダー/参照基準、及び光検出器の周りで共通のケーシングである場合、特に高いレベルの保護が達成される。この実施形態は、参照基準が試料の処理及び/又は測定の間でさえも、その場所に留まることができるので、特に、僅かな労力で真空の中で使用されることもできる。
【0040】
有利には、中空体は、統合球体又は統合チューブ、詳しくは、第1検出器と第2検出器の幾つかのオフセットパラレルペアを備えた統合チューブである。統合球体と同じく、統合チューブは、拡散散乱層と共に、開口部を除いて、内部の何処にでも備え付けることができる。しかし、統合球体と異なり、開口部の例外を有しつつ、例えば、微細寸法の並進不変性の断面を含む。そうしたチューブは、ドイツ特許公報102010041749(A1)で言及され、その開示は、可能な限り本明細書に援用される。
【特許文献2】ドイツ特許公報102010041749A1
【0041】
好ましくは、両検出軸は、中空体を通る。もしそうなら、試料と光出口開口部との間の距離は測定位置ではゼロに近く、とても高い測定精度を可能にする。
【0042】
本発明の第1側面に従った装置は、全ての可能な実施形態において、以下のように較正される。即ち、本装置は較正位置にスイッチされ、光出口開口部を通って入射する光が第2光検出器によって参照基準スペクトルエネルギー分布として受信され、拡散層によって散乱される光が、光源のスペクトルエネルギー分布として第1光検出器を用いて受信され、そして、これらの2つのスペクトルエネルギー分布に基づいて、参照基準の反射率関数が決定される。波長依存のスペクトルエネルギー分布は、光検出器から下流に設置された分光計を用いて決定される。同様に、参照基準の波長依存の反射率関数が決定される。
【0043】
先行のクレーム従った較正手順が実行された後、本装置は後で測定位置にスイッチされ、その後、光出口開口部を通って入射する光が、第1光検出器によって試料のスペクトルエネルギー分布として受信され、そして、拡散層によって散乱される光は第2光検出器によって光源のスペクトルエネルギー分布として受信され、そして、試料の反射率関数が、これら2つのエネルギー分布と較正手順で決定される参照基準の反射率関数とを用いて、決定される。いうまでもなく、較正手順は、1つ又は複数の測定がなされた後に実行されてもよい。有利には、前と後に実行される。例えば、試料の反射率関数を決定するため、2つの較正の間に補間される参照基準の反射率関数が使用される。
【0044】
本発明の第1の側面に従って、試料の反射光を測定することは、一般的には以下のステップを含む:
1 第1検出軸上に試料を置くステップ
2 第2検出軸上に参照基準を置くステップ
3 第1検出軸上に拡散散乱層を試料の前に置くステップ
4 拡散光を生成するため、拡散散乱層を照射するステップ
5 生成された光の一部を参照基準に方向付けるステップ
6 参照基準から第2検出軸に沿って、参照基準のスペクトルエネルギー分布として光を受信するステップ
7 拡散散乱層から第1検出軸に沿って、参照基準のスペクトルエネルギー分布に対する光源のスペクトルエネルギー分布として光を受信するステップ
8 第1検出軸から拡散散乱層を取り除くステップ
9 第2検出軸上に拡散散乱層を参照基準の前に置くステップ
10 生成された光の一部を試料に方向付けるステップ
11 第1検出軸に沿って、試料のスペクトルエネルギー分布として、試料から光を受信するステップ
12 第2検出軸に沿って、試料のスペクトルエネルギー分布に対する光源のスペクトルエネルギー分布として、拡散散乱層から光を受信するステップ
代替的に、9/10/11/12のステップ群の後に、3/5/6/7のステップ群を実行することも可能である。ステップ6と7の順序は、選択的であり、詳しくは、それらは同時に実行されることもできる。同じことがステップ11と12にも当てはまる。当然に、照射(ステップ4)は、少なくとも受信ステップ(5/6/7及び10/11/12)の間は継続されなければならない。ステップ1,2及び3の順序は、選択的であり、詳しくは、それらは同時に実行されることもできる。
【0045】
層の配置と除去は、層の平行移動及び/又は回転によって実行可能である。層の異なる領域が、各検出軸に配置され得る。
【0046】
上述のステップは、例えば、個別のソフトウェアモジュールによって実行されてもよい。代替的に、1つのソフトウェアモジュールが、複数又は全てのステップを実行してもよい。
【0047】
上述の装置を用いて測定することの目的は、試料の反射率関数を決定することである。これは、次のステップを実行することで達成される:
― 参照基準のスペクトルエネルギー分布に基づいて、及び、参照基準スペクトルエネルギー分布に対する光源のスペクトルエネルギー分布を用いて、参照基準の反射率関数を決定するステップ
― 試料のスペクトルエネルギー分布に基づいて、及び、試料のスペクトルエネルギー分布に対する光源のスペクトルエネルギー分布を用いて、試料の反射率関数を決定するステップ
これらのステップは、例えば、個別のソフトウェアモジュールによって実行されてもよい。代替的に、1つのソフトウェアモジュールが複数又は全てのステップを実行してもよい。
【0048】
有利には、試料の反射率関数が決定される前に、参照基準の反射率関数は、第1及び第2の光検出器を用いて、異なる感度に調節される。
【0049】
参照基準のスペクトルエネルギー分布に基づいて、及び、参照基準のスペクトルエネルギー分布に対する光源のスペクトルエネルギー分布を使用して、参照基準の反射率関数を決定することは、参照基準のスペクトルエネルギー分布と、参照基準のスペクトルエネルギー分布に対する光源のスペクトルエネルギー分布との取得の後(上記のステップ6/7)、いつでも実行されることができる。試料の反射率関数を決定する前に即座にこれを実行する必要はない。
【0050】
好ましくは、参照基準からの光と試料からの光は、中空体の光出口開口部を通って受信され、その内部には、拡散散乱層が配置される。
【0051】
本発明の全ての側面において、2つ又は3つの検出軸は、好ましくは全てが同じ空間平面内にある。
【0052】
本発明は、また、コンピュータプログラム及びコントロールユニットを含み、そうした較正と測定プロセスを実行するために設定され、詳しくは、上記のソフトウェアモジュールである。また、そうしたコントロールユニットを備えた装置も含まれる。
【0053】
本発明は、詳しくは、連続的な製造プロセス(インライン)の間の、又は、大きい表面を備えた試料の連続的なテストの間の反復測定に適し、その試料は連続的に装置を通過する。
【0054】
試料による反射光の測定に加えて、本装置は、代替的に又は同時に、試料を通って透過される光の測定のために使用されてもよい。これは、光出口開口部の反対の試料の側に、少なくとも1つの光検出器を必要とする。本発明の両側面において、光の透過は、測定位置で測定されるのみである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本発明は、例示的な実施形態を用いて以下でより詳細に説明される。図面においては:
【図1A】図1Aは、測定位置における第1の測定装置を示す。
【図1B】図1Bは、較正位置における第1の測定装置を示す。
【図2A】図2Aは、測定位置における第2の測定装置を示す。
【図2B】図2Bは、較正位置における第2の測定装置を示す。
【図2C】図2Cは、参照位置における第2の測定装置を示す。
【図3】図3は、第2の測定装置の測定及び較正方法のフローチャートを示す。
【図4】図4は、第3位置における第3の測定装置を示す。 全ての図において、均等な部分には同様な識別符号が付される。
【0056】
図1A及びBは、本発明の第2の側面に従った例示的な測定装置1の断面図を示し、その測定装置は測定位置と較正位置との間でスイッチ可能である。部分図1Aは測定位置での装置1を示し、部分図1Bは較正位置での装置を示す。装置1は、製造モニタリングシステムの一部であり、試料X、例えば被覆フラットガラスが装置1を通過する。
【0057】
装置1は、統合球体の形態である中空体3を入れるケーシング2と、第1光検出器4と、第2光検出器5と(各光検出器は個々の光ファイバーに接続された励磁プローブの形態であり)、光源6と、参照基準7と、2つの光学シャッター8と、分光計9とを含む。ケーシング2は、透明な保護プレート11を有する光路開口部10を含む。分光計9の内部には、入射スリット12、画像回折格子13、及び、例えばシリコン製の光電検出器14が一例として配置される。参照基準7はホルダー24内に配置される。
【0058】
中空体3は、その内部に拡散散乱層15を備え、それは例えば硫酸バリウムの白色被覆であり、そして中空体は例えば3つの開口部を含む:層15を照射するための光源6を備えたブラインドスタッドが、一例として、光入口開口部16に接続される。光源6によって送出される光は、層15で拡散されて反射し、そうして、光は、中空体3の内部で全方向に散乱され、層15での拡散反射は何度も繰り返されることになる。拡散散乱層は、中空体それ自体によって形成されてもよい。
【0059】
この散乱光の一部は、光出口開口部17を通って中空体3から出ることができる。装置1の位置に応じて、その散乱光は、その後、試料X(測定位置)又は参照基準7(較正位置)へと通過する。そこから、少なくとも部分的に、光出口開口部17を通って中空体3の中へ送り戻され、第1光検出器4によって受信される。光検出器4は、光出口開口部17と整列し、光出口開口部を通って排他的に中空体に入ってくる光の一部を受信する。この目的のため、凸面光学装置が、第1光検出器4の前に配置される。層15によって散乱される光の他の部分は、第2光検出器5で受信され、その光検出器は例えば、その前に配置されるチューブ状のシャッターを有し、検出器ホール18を通って中空体3に挿入される。シャッターは、外側が被覆され、例えば、中空体3の内部と同じ拡散散乱物質で被覆される。
【0060】
光検出器4と5の両方とも、光ファイバー19の端部として具体化され、それぞれ光学的励磁プローブ20につながっている。光ファイバー19は、閉じることのできるシャッター8を通じて入射する光を分光計9へ方向付ける。シャッター8の設定に応じて、分光計9は、光出口開口部17を通じて中空体に入射し第1光検出器4によって受信される測定光、又は、層15から第2光検出器5によって受信される参照光(それは、瞬間的な光源放射を表し、光源6の輝度変化の補償に使用される)の一方を検出する。分光計9では、スリット12を通して入射する光は、格子13によって空間的スペクトル的にスプリットされ、検出器14を通り、空間的解像度が検出される。検出器14は、コントロールユニット21に接続され、そのコントロールユニットは、値を測定することに加えて、シャッター8、光源6及びドライブ22により装置1の位置をコントロールするように備え付けられる。
【0061】
ドライブ22は、統合球体3を中心軸のうちの1つ軸の周りに、例えば、図の平面に対して垂直に伸びる中心軸の周りに回転するように具体化される。
【0062】
そうした回転においては、光検出器4,5は、例示の場合には、中空体3にしっかりと固定されているので、中空体3と一緒に回転する。測定位置から較正位置へとスイッチすることは、中空体3をドライブ22を用いて向きを変えることによって達成され、そうして、光出口開口部17と、光出口開口部17を通って伸びる第1光検出器4の第1検出軸Aとは、試料Xと整列しないが、参照基準7とは整列する(即ち、一列に並ぶ)。第2検出軸Bは、また、この移動の間に回転する。このため、この例では、第2光検出器5は、装置1の位置にかかわらず、拡散散乱層15の同一平面から参照光を常に受信する。
【0063】
較正位置で第1光検出器4によって放出される信号は、コントロールユニット21によってデジタル化され、参照基準のスペクトルエネルギー分布として保存される。較正位置で第2光検出器5によって放出される信号は、コントロールユニット21によってデジタル化され、光源のスペクトルエネルギー分布として保存される。これらの2つの関数から、コントロールユニット21は参照基準の反射率関数を、例えばドイツ特許公報19528855A1に従って、決定する。
【0064】
試料の特性を測定するため、コントロールユニット21は、装置1をドライバー22を用いて測定位置にスイッチする。第1検出軸Aは、その後、試料Xを通過する。測定位置で第1光検出器4から放出される信号は、コントロールユニット21によってデジタル化され、現在の測定場所の試料のスペクトルエネルギー分布として保存される。測定位置で第2光検出器5によって放出される信号は、コントロールユニット21によってデジタル化され、試料のスペクトルエネルギー分布に対する光源のスペクトルエネルギー分布として保存される。これらの2つのスペクトルエネルギー分布に基づき、参照基準の反射率関数を使用して、コントロールユニット21は、現在の測定位置の試料の反射率関数を、例えばドイツ特許公報19528855A1に従って、決定する。
【0065】
試料の反射率関数を分析することにより、コントロールユニットは、例えば、特定の試料の特性値をモニターし、それを所望の値や所望の隔たりと比較することができる。
【0066】
何らかの偏差が検出された場合は、これを記録するか、例えば、及び/又は、視覚的な及び/又は聴覚的な警告を発する。
【0067】
ケーシング2は、例えば、円筒状壁面部23を有し、それは、例えば、ドイツ特許公報3818815A1で定義されるような光ガイド装置として形成されることができる。しかし、その壁面部23は省くこともできる。
【特許文献3】ドイツ特許公報3818815A1
【0068】
可能な代替実施形態では(図示しないが)、光検出器4,5は、その回転軸が中空体3の回転軸Qと同一の場合、中空体3と独立に回転できるように備え付けられる。
【0069】
例示的な実施形態は、測定は、位置がスイッチする間、光ファイバー19の移動によって影響を受けるという不利な点を有する。
【0070】
図2は、本発明の第1の側面に従って、測定装置1の断面図を示し、こうした不利な点を有しない。部分図2Aは、測定位置での装置1を示し、部分図2Bは、較正位置での、部分図2Cは、参照位置での装置を示す。装置1は、例えば、製造モニタリングシステムの一部であり、試料Xは例えば平面ガラスで被覆されており、装置1を通過する。
【0071】
装置1は、統合球体の形態である中空体3、第1光検出器4、第2光検出器5、(各光検出器は個々の光ファイバーに接続された励磁プローブの形態である)、及び、光源6、参照基準7を含む。側面シールド28が、光源6の周りに配置され、光源6から光検出器4,5に直接光が伝播するのを防ぐ。中空体3は、試料Xを散乱光で照射するための光出口開口部17を有し、それは透明な保護プレート11でカバーされている。参照基準は分離ケーシング25に取り囲まれ、中空体3に向かって開かれている。そのケーシングと中空体3との間には、シール26が配置されて、試料Xの周囲環境からの影響に対して参照基準を保護する。
【0072】
中空体3は、その内部に拡散散乱層15が供給され、例えば、硫酸バリウムの白色被覆である。光源6から発せられる光は、層15で拡散的に反射され、光は中空体3の内部で全方向に拡散され、その結果、層15の拡散反射は何度も繰り返される。この拡散光の一部は、光出口開口部17を通して中空体3を出る。装置1の位置に応じて、それは、その後、試料X(測定位置)へ、又は、参照基準7(較正位置)へ通過する。そこから、少なくとも部分的に、光出口開口部17を通って中空体3の中へ送り戻される。
【0073】
装置1は、測定位置と較正位置との間でスイッチすることができる。この目的のため、中空体3は、例えば図1で示されるドライブを用いて、例えば、図の平面に対して垂直に伸びる中心軸の周りに、回転することができる。そうした回転においては、光検出器4,5は中空体3と一緒に回転しない。というのも、それらは互いに一定の距離で、検出軸A又はBに関して空間的に固定され、例えば、試料の法線(第1光検出器)又は参照基準の法線(第2光検出器)に対して8°の角度で空間的に固定した方法で方向付けられるからである。検出軸AとBは、スイッチングの間、一定のままである。光検出器4,5の空間的に固定した構成のため、試料と第1光検出器との間の距離と、参照基準と第2光検出器との間の距離とは、装置1の位置にかかわらず一定であるだけでなく、例えば、同一である。
【0074】
測定位置においては、光出口開口部17を通って送出される光は、第1光検出器4によって受信される。光検出器4は第1検出方向Aに沿って、光出口開口部17へ整列され、光出口開口部17を通って中空体3の中へ排他的に入射する光の一部を受信する。層15で散乱する光の他の一部は、第2検出方向に沿って第2光検出器5によって受信される。
【0075】
両方の光検出器の検出軸A,Bは、それぞれ、中空体3を通じて、各検出ホール18を通って伸びる。図1で示されるように、光検出器4,5は、スイッチオン又はオフされることが可能な分光計(図示しない)に接続される。第1光検出器4は、光出口開口部17を通して測定光を受信するために用いられ、試料上の現在の測定位置の試料スペクトルエネルギー分布を決定するために用いられる。第2光検出器5は、拡散参照光を受信するのに役立ち、試料のスペクトルエネルギー分布に対して光源のスペクトルエネルギー分布を決定するのに使用される。
【0076】
測定位置から較正位置へスイッチングすることは、中空体3を回転させることにより実現され、そうして、光出口開口部17は第1検出軸A上にはもうなく、第2検出軸B上にある。第1光検出器4は、それから、試料Xに整列されず、拡散散乱層15に整列される。第2光検出器5は、拡散散乱層15に整列されず、参照基準7に整列される。今度は、第2光検出器5は、光出口開口部17を通して測定光を受信するのに役立ち、参照基準スペクトルエネルギー分布を決定するのに使用される。対照的に、第1光検出器4は、今度は拡散参照光を受信するのに使用され、そこから、参照基準のスペクトルエネルギー分布に対する光源のスペクトルエネルギー分布が決定される。
【0077】
試料の反射率関数を計算するよう当業界で知られたやり方で参照基準の反射関数を使用可能にするため、参照基準反射率関数は、光検出器4,5から分光器9への2つの検出チャンネルの相対感度に基づいて、例えばその相対感度で乗じることにより調整されなければならない。相対感度は波長依存であってもよい。
【0078】
相対感度は、例えば、装置1を測定位置から参照位置にスイッチすることにより決定されてもよい。これは、例えば、中空体3を、測定位置と較正位置の間でスイッチするときと、同じ回転軸Qの周りに同じ角度だけ逆の回転方向に回転させることにより、なされる。この結果、第1光検出器4は、拡散散乱層15の同じ領域で方向付けられ、そこに第2光検出器5が測定位置において方向付けられる。それ故、測定光は、調節スペクトルエネルギー分布のために検出され、測定位置での光源のスペクトルエネルギー分布に対して(代替的に、参照位置での第2光検出器5によって検出される光源のスペクトルエネルギー分布に対して)、検出チャンネルの相対感度を定義する。第1光検出器4による測定光の検出の間、光源6の輝度変化を補償するため、参照光は知られた方法で、第2光検出器5によって検出されることができる。
【0079】
代替的には、相対感度は、参照基準7、又は、試料Xの代わりに同一の参照基準を置くことにより、及び、測定位置での第1光検出器をスペクトルエネルギー分布を検出するために使用することにより、決定される。そのスペクトルエネルギー分布は、それから、第2光検出器によって検出されるスペクトルエネルギー分布と比較される(成分ごとに)。第1光検出器4での測定光の検出の間、光源6の輝度変化を補償するため、参照光は、知られたやり方で、第2光検出器5によって検出されることが可能であり、逆も同様である。
【0080】
試料の特性を測定するため、コントロールユニット21は装置1をドライブ(図示しない)を用いて測定位置へスイッチする。測定位置での第1光検出器4によって発せられる信号はコントロールユニット21によってデジタル化され、現在の測定位置の試料スペクトルエネルギー分布として保存される。測定位置での第2光検出器5により発せられる信号は、コントロールユニット21によってデジタル化され、試料のスペクトルエネルギー分布に対する光源のスペクトルエネルギー分布として保存される。これらの2つのスペクトルエネルギー分布と調整された参照基準の反射率関数とに基づいて、コントロールユニット21は、例えばドイツ特許公報19528855A1に従って、現在の測定場所の試料の反射率関数を決定する。
【0081】
試料の反射率関数を分析することにより、コントロールユニットは、例えば、特定の試料の特性値をモニターし、それを所望の値や所望の間隔と比較することができる。何らかの偏差が検出された場合は、例えば、これを記録するか、及び/又は、視覚的及び/又は聴覚的警告を発することもできる。
【0082】
図1で示されるように、装置1は、分光器9と共通のケーシング2の中に配置されることができ、光ファイバー19によって分光計と接続されることも可能である。
【0083】
図3は、図2に示される装置の較正方法及び測定方法のフローチャートを示す。
【0084】
図4は、図2と同様の装置1を示し、それは追加的に補助的な較正位置へスイッチすることができる。図では、装置1はこの補助的な較正位置にある。図2に従った装置の実施形態に加えて、例示の装置1は第3検出ホール18に第3光検出器を含み、それは第3検出軸Cに沿って整列され、例えば第3光学シャッターを通して分光計に接続され、そうしてスイッチオン又はオフされる。補助的な較正位置では、光出口開口部17は第3検出軸Cにある。補助的な参照基準29が中空体3の外部で第3検出軸Cに配置され、例えば、平均反射率50%を有する。補助的参照基準29は、例えば分離ケーシング25の中にシール26により配置され、ホルダー(図示しない)を形成する。第3光検出器27を用いて、補助参照基準29からの測定光は、追加の参照基準の反射率関数を決定するため、検出される。同じ位置で、層15からの参照光が、検出チャンネルの相対感度を決定するため、第1光検出器4と第2光検出器5によって検出される。
【0085】
全方向チャンネルの共通分光計の代わりに、検出チャンネルの全て又は少なくとも幾つかは、分離した分光計を含んでもよい。その後、それぞれのスペクトルエネルギー分布の調整のため相対感度を決定することが、実行されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料上の反射光を測定する装置であって、該装置は、
前記試料を照射する、光出口開口部を有する中空体であり、その内部に拡散散乱層を有する中空体と、
前記層を照射する光源と、
第1検出軸に沿って配置される第1光検出器と、
第2検出軸に沿って配置される第2光検出器と、を含み、
前記装置は、測定位置から較正位置へスイッチすることができ、前記光出口開口部は、前記測定位置では前記第1検出軸上にあり、前記較正位置では前記第2検出軸上にある、装置。
【請求項2】
前記第1光検出器は、
― 前記測定位置では、前記光出口開口部を通って前記中空体に入射する光と、
― 前記較正位置では、前記層によって拡散される光と、
を受信するよう構成される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第2光検出器は、
― 前記測定位置では、前記層によって拡散される光と、
― 前記較正位置では、前記光出口開口部を通って前記中空体に入射する光と、
を受信するよう構成される、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項4】
前記光検出器と前記光検出軸とは、前記装置の位置に関係なく、空間的に固定される、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項5】
前記測定位置における、前記層を通る第2検出軸の交点で前記第2検出軸と前記拡散散乱層の表面法線とで形成される角度は、前記較正位置における、前記層を通る第1検出軸の交点で前記第1検出軸と前記拡散散乱層の表面法線とで形成される角度と一致する、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項6】
参照基準のホルダーが前記中空体の外側に配置されるか、又は、参照基準が前記第2検出軸上にあるように配置される、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項7】
前記装置は追加的に参照位置にスイッチすることができ、前記参照位置では、前記第1検出軸と前記第2検出軸とが前記拡散散乱層を通って伸び、詳しくは、前記測定位置において前記第2検出軸上に又はその近くに位置する前記拡散散乱層の或る場所が、前記第1検出軸上に又はその近くに位置する、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項8】
空間的に固定された第3検出軸に沿って整列される第3光検出器を含み、追加的に、補助較正位置にスイッチすることができ、その位置では、前記光出口開口部は前記第3検出軸上にあり、詳しくは、補助参照基準のホルダー又は補助参照基準の配置によって、前記補助参照基準は前記中空体の外部にあり、且つ前記第3検出軸上にある、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記中空体は前記位置の間でスイッチするために回転可能であり、好ましくは、回転軸の周りに回転する、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項10】
試料上の反射光を測定する装置であって、該装置は、
前記試料を照射する、光出口開口部を有する中空体であり、その内部に拡散散乱層を有する中空体と、
前記層を照射する光源と、
第1検出軸に沿って配置された第1光検出器と、
第2検出軸に沿って配置された第2光検出器と、を含み、
前記中空体は、前記光出口開口部と前記光検出器とを含み、前記装置を測定位置から較正位置へスイッチするため前記第1検出軸とは異なる軸の周りに回転することができ、前記第1光検出器は、前記光出口開口部を通って前記中空体に入射する光を受信するため、両方の位置に整列され、及び、前記第2光検出器は、前記層によって拡散された光を受信するため、両方の位置に整列される、装置。
【請求項11】
参照基準のホルダーが前記中空体の外側に配置されるか、又は参照基準が、較正位置では、前記第1検出軸上にあるように配置される、請求項10記載の装置。
【請求項12】
シールドが一方の前記ホルダー/参照基準と他方の試料との間に配置される、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項13】
前記シールドは前記ホルダー/参照基準の周りのケーシングであり、前記中空体に向かって開いており、詳しくは、前記ホルダー/参照基準とケーシングの周囲環境との間のシールを備える、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記シールドは、前記中空体、前記ホルダー/参照基準、及び前記光検出器を前記試料から保護し、前記シールドは、測定位置で、前記光出口開口部を含む領域で透明開口部を有し、それを覆う透明保護プレートが配置される、請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記シールドは、前記中空体、前記ホルダー/参照基準、及び前記光検出器の周りの共通ケーシングである、請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記較正位置での前記参照基準と前記光出口開口部との間の距離は、前記測定位置での前記試料と前記光出口開口部との間の距離に等しいように、前記ホルダーは配置される、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項17】
両検出軸は前記中空体を通って伸びる、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項18】
前記測定位置では、前記検出軸は、前記光出口開口部の中心軸と等しいか、又は8°の角度を形成する、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項19】
前記測定位置における、前記層を通る第2検出軸の交点で拡散散乱層の表面法線に関して第2検出軸によって形成される角度は、前記較正位置における、前記層を通る第1検出軸の交点で前記拡散散乱層の表面法線に関して第1検出軸によって形成される角度と等しい、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項20】
前記中空体は、統合球体又は統合チューブであり、特に、第1及び第2光検出器の複数のパラレルオフセットペアを備える、先行する請求項の何れか1つに記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、前記較正位置へスイッチし、その後、前記第2光検出器が、参照基準スペクトルエネルギー分布として、前記光出口開口部を通って入射する光を受信し、そして、前記第1光検出器が、前記散乱層から拡散された光を光源スペクトルエネルギー分布として受信し、これらの2つのスペクトルエネルギー分布に基づいて、参照基準反射率関数が決定される、請求項1乃至6又は9乃至17の何れか1つに記載の装置の較正方法。
【請求項22】
請求項21に記載の較正方法が実行され、その後前記装置が前記測定位置にスイッチされ、その後、前記第1光検出器が、試料のスペクトルエネルギー分布として前記光出口開口部を通って入射する光を受信し、そして、前記第2光検出器が前記散乱層によって拡散される光を、光源のスペクトルエネルギー分布として受信し、そして、前記試料の反射率関数が、これら2つのスペクトルエネルギー分布と、前記較正中に決定される前記参照基準反射率関数とに基づいて決定される、試料の反射光を測定する方法。
【請求項23】
試料による反射光を測定する方法であって、以下のステップが実行される:
第1検出軸上に試料を配置するステップ、
第2検出軸上に参照基準を配置するステップ、
前記第1検出軸上に、前記試料の前に拡散散乱層を配置するステップ、
拡散光を生成するため前記拡散散乱層を照射するステップ、
生成された光の一部を前記参照基準に方向付けるステップ、
前記第2検出軸に沿って、前記参照基準から、参照基準スペクトルエネルギー分布として、光を受信するステップ、
前記第1検出軸に沿って、前記拡散散乱層から、前記参照基準スペクトルエネルギー分布に対する光源のスペクトルエネルギー分布として、光を受信するステップ、
前記拡散散乱層を前記第1検出軸から取り除くステップ、
前記第2検出軸上に、前記参照基準の前に前記拡散散乱層を配置するステップ、
生成された光の一部を前記試料に方向付けるステップ、
前記第1検出軸に沿って、前記試料から、試料のスペクトルエネルギー分布として、光を受信するステップ、及び、
前記第2検出軸に沿って、前記拡散散乱層から、前記試料のスペクトルエネルギー分布に対する光源のスペクトルエネルギー分布として、光を受信するステップ。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、更に以下のステップを含む:
前記参照基準のスペクトルエネルギー分布を使用して、前記参照基準のスペクトルエネルギー分布に対する前記光源のスペクトルエネルギー分布を使用して、前記参照基準の反射率関数を決定するステップ、及び、
前記試料のスペクトルエネルギー分布と、前記試料のスペクトルエネルギー分布に対する前記光源のスペクトルエネルギー分布とに基づいて、前記試料の反射率関数を決定するステップ。
【請求項25】
前記参照基準からの前記光と、前記試料からの前記光は中空体の光出口開口部を通って受信され、該中空体には前記拡散散乱層が配置される、請求項23又は24の何れか1つに記載の方法。
【請求項26】
請求項23乃至25の何れか1つに記載の方法を実行するように適応される、コンピュータプログラム又はコントロールユニット。
【請求項27】
請求項26に記載のコントロールユニットを備えた、請求項1乃至20の何れか1つに記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−255781(P2012−255781A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−129039(P2012−129039)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(506151659)カール ツァイス マイクロスコピー ゲーエムベーハー (71)
【氏名又は名称原語表記】CARL ZEISS MICROSCOPY GMBH
【Fターム(参考)】