説明

反射材の構造、反射材の製造方法、および反射材の用途

反射材は積層構造である。上記積層構造の複数の層は、順にPET膜(1)、PU層(2)、ガラスビーズ(3)、PU層(4)、高い透過性の着色層(5)、弾性PU層(6)、反射金属層(7)、弾性PU層(8)、および接着層である。上記反射材は、安全帽、反射する衣類または標識に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射材の構造、製造方法、および用途に関する。より詳しくは、積層プロセスによって形成される複合的な層状構造を有している着色反射材に関する。
【背景技術】
【0002】
時代の変化によって、従来の反射ステッカーは、市場の要求に対処することができなくなった。反射材の表面上に繊細な着色パターンを設けるために、スクリーン印刷が典型的に用いられる。スクリーン印刷は、消費者の要望に応じて、ガラスビーズ層の表面上にカラーインクを印刷する。しかし、ガラスビーズをカラーインクによって被覆する際に、ガラスビーズ層の不規則な表面によって、被覆インクの厚さ、およびしたがって被覆インクを乾燥させることによって形成される着色層の厚さの制御が困難であるという点において、スクリーン印刷プロセスは不都合である。ガラスビーズ層がインクによって均一に被覆されないために、上記着色層の厚さは、ガラスビーズ層の凸部分においてより薄く、凹部分においてより厚い。したがって、直角をなして入射した光の反射と、斜めに入射した光の反射との間には著しい相違があり、このようにして生じた色は均一ではない。
【0003】
さらに、夜間におけるサイクリングの安全性のために、多くの自転車の運転者は警告灯を購入し、彼らの自転車にそれを取り付ける。代替的に夜間の運転の安全性を高めるために、反射帯、反射ステッカー、または他の反射装置が自転車に取り付けられる。これらの警告灯または反射装置は、自転車のフレームに付加的に取り付ける必要があり、取り付けの容易さのために、紛失し易く、破損し易い。特に、反射帯または反射ステッカーをしばらく使用すると、上記反射帯または反射ステッカーの厚さが損なわれる傾向にあり、したがって自転車の外観を損なわせる。さらに、反射ステッカーは夜間において視認性が高いが、自転車の一部の領域のみに貼り付けられ得るので、限られた効果しか生じ得ない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の上記課題を解決し、着色反射材ならびにそれらの製造方法および用途を提供することである。
【0005】
上記の目的を実現するための技術的な解決方法は、順序付けて一体に積層されている、PET膜、PU層、マイクロガラスビーズ、もう1つのPU層、高い光透過性を有している着色層、弾性PU層、金属反射層、もう1つの弾性PU層、および接着層を含んでいる複合的な層状構造を有している着色反射材である。
【0006】
上記の解決方法における着色反射材は以下のように製造される。まず、ガラスビーズ層を表面層の上に形成する。上記ガラスビーズ層は、上記表面層の上に配置されているマイクロガラスビーズを含んでいる。より詳細には、上記マイクロガラスビーズは、上記表面層の上に配置される間に当該表面層の上に接着される。上記マイクロガラスビーズは、透明であり、したがって光透過性を有している。次に、上記マイクロガラスビーズを所定の位置に固定し、上記マイクロガラスビーズの安定性および密集度を向上させるために、上記マイクロガラスビーズの上にPU層を設ける。その後、高い光透過性を有している着色層を上記PU層の上に設ける。高い光透過性を有している着色層は、UV印刷によって上記PU層の上に印刷される着色パターンである。その後、高い光透過性を有している着色層の上に金属反射層を設ける。上記金属反射層は上記マイクロビーズを通過する光を偏向させ得る。それによって、上記金属反射層は高い光透過性を有している上記着色層の明度および色度を向上させる。最後に、弾性PU層および接着層を上記金属反射層の上に形成する。
【0007】
PUはポリウレタンの略語である。
【0008】
PETは、ポリエチレンテレフタレートの省略形であり、現在、最も一般的に用いられている熱可塑性ポリエステルである。
【0009】
本発明において提案されている着色反射材は、光を反射することが求められる種々の製品および分野(例えば、安全ヘルメット、反射性を有している衣類、反射性を有している標識、および反射性を有している熱転写膜)に適用可能である。
【0010】
本発明の更なる特徴および利点の詳細な説明を、添付の以下の図面を参照して以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の構造を示している概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、本発明は、複合的な層状構造を有している着色反射材を開示している。開示されている上記反射材は、順序付けて一体に積層されている、表面層1、PU層2、マイクロガラスビーズ3、もう1つのPU層4、高い光透過性を有している着色層5、弾性PU層6、金属反射層7、もう1つの弾性PU層8、および接着層9を含んでいる。
【0013】
このような反射材を製造するために、PET膜が表面層1として使用され、マイクロガラスビーズ3を含んでいるガラスビーズ層が表面層1の上に設けられる。マイクロガラスビーズ3は、表面層1の上に配置され、形成されているPU層2によって表面層1に対して接着される。マイクロガラスビーズ3は、光透過性を有するために透明である必要がある。その後、PU層4が上記ガラスビーズ層の上に設けられる。PU層4は、マイクロガラスビーズ3を所定の位置に固定し、マイクロガラスビーズ3の安定性および密集度を向上させる役割を果たす。次に、高い光透過性を有している着色層5がPU層4の上に設けられる。より詳細には、高い光透過性を有している着色層5は、UV印刷プロセスによってPU層4の上に印刷されている着色パターンである。その後、金属反射層7が、高い光透過性を有している着色層5の上に設けられる。光がマイクロガラスビーズ3を通過し、金属反射層7に衝突すると、光が反射されて、高い光透過性を有している着色層5の明度および色度を向上させるように、金属反射層7は光を偏向させ得る。その次に、弾性PU層8および接着層9が金属反射層7の上に順序付けて設けられる。
【0014】
本発明の着色反射材は、光を反射させることを求められる様々な製品および分野に適用され得る。例えば、本発明は、反射材層として実現され得、フィルムの剥離を伴うか、または伴わない転写印刷技術(transfer printing technique) によって対象物に接着され得る。さらに、異なる視覚効果を与えるという観点から、上記PU層の表面の上に異なるパターンを印刷することが可能である。また、高い光透過性を有している着色層の上にある上記ガラスビーズ層は、光を反射し得る。上記ガラスビーズ層がPU層にいったん接着されると、上記PU層が、高い光透過性を有している上記着色層に対して直接に接着され得る。したがって、上記反射材層が接着される対象物が曲がっている場合、上記着色層は上記対象物に沿って曲がり得る。よって、複雑に湾曲している表面を有している対象物に対して上記着色反射材を使用し得る。
【0015】
上記反射材の構造および製造プロセスを以下に説明する。例えば、フィルムの剥離を伴う転写印刷技術によって、上記反射材が対象物に接着される。ここで、上記フィルムは上記反射材を上記対象物に対して貼り付けられる媒介物として使用されている。光を反射させるためのガラスビーズ層とともに吹き付け被覆される上記PU層は、上記高い光透過性を有している着色層を用いて印刷される。高い光透過性を有している上記着色層において溶解せず、この例においては上記ガラスビーズ層から除去可能な上記PU層を用いて、上記ガラスビーズ層は被覆される。このように、上記反射材層は、転写印刷を用いて表面に小さい曲率を有している対象物に対して直接に接着され得、したがって上記反射材および上記対象物の全体としての厚さを減少させる。
【0016】
また、本発明は、安全ヘルメット、反射性を有している服、反射性を有している標識などに適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合的な層状構造を有している反射材であって、順序付けて一体に積層されている、PET膜、PU層、マイクロガラスビーズ、もう1つのPU層、高い光透過性を有している着色層、弾性PU層、金属反射層、もう1つの弾性PU層、および接着層を備えている、反射材。
【請求項2】
表面層の上にガラスビーズ層を設けるステップであって、当該ガラスビーズ層がマイクロガラスビーズを含んでおり、当該マイクロガラスビーズが上記表面層の上に配置され、当該表面層に接着される、ステップと、
上記ガラスビーズ層の上にPU層を設けるステップと、
UV印刷によって上記PU層の上に印刷されている着色パターンである高い光透過性を有している着色層を、上記PU層の上に設けるステップと、
高い光透過性を有している上記着色層の上に金属反射層を設けるステップと、
上記金属反射層の上に弾性PU層および接着層を設けるステップとを包含している、反射材の製造方法。
【請求項3】
安全ヘルメットに適用される、請求項1に記載の反射材。
【請求項4】
反射性を有している衣類に適用される、請求項1に記載の反射材。
【請求項5】
反射性を有している標識に適用される、請求項1に記載の反射材。
【請求項6】
反射性を有している標識に適用される、請求項1に記載の反射材。

【図1】
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【公表番号】特表2012−519306(P2012−519306A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552311(P2011−552311)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【国際出願番号】PCT/CN2010/070234
【国際公開番号】WO2011/085561
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(511216558)
【氏名又は名称原語表記】Ching−Hua HSU
【住所又は居所原語表記】No.49,Jin Jiang 1st Road,Guan Yin Industrial Zone,Guan Yin Taoyuan City,Taiwan
【Fターム(参考)】