説明

反射除去システム

【課題】画像内の望ましくないフィーチャを除去するための方法と装置を提供する。
【解決手段】画像を空間ドメイン136から周波数ドメイン138に変換することにより、変換済み画像140を形成する。変換済み画像140にフィルタ152を適用することにより、周波数ドメイン138内にフィルタ済み画像154を形成する。フィルタ済み画像154を周波数ドメイン138から空間ドメイン136に戻すことにより、修正済み画像156を形成する。修正済み画像156における望ましくないフィーチャ126の強度は、元の画像内の望ましくないフィーチャ126の強度と比較して増大している。修正済み画像156を用いて画像から望ましくないフィーチャ126を除去することにより、処理済み画像160を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して画像処理に関し、具体的には、望ましくないフィーチャを画像から除去することに関するものである。さらに具体的には、本発明は、画像内の望ましくない輝点を除去するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
状況によって、センサシステムを用いて生成したシーンの画像内に望ましくないフィーチャが現れることがある。例えば、シーン内の表面からの光の反射が、センサシステムによって検出され、そのようなシーンについて生成された画像内に輝点として現れる場合がある。光線が表面に当たるとき、光は表面から反射しうる。このような光線は、入射光線とも呼ばれる。光は、シーン内の様々な種類のオブジェクトの表面から反射しうる。このようなオブジェクトには、例えば、限定されないが、人、建造物、航空機、自動車、葉、人工構造体、及び他の適切な種類のオブジェクトが含まれる。
【0003】
表面での光の反射は、拡散反射と鏡面反射とに分類される。拡散反射は、入射光線が表面から複数の方向に反射されるときに起こる。
【0004】
鏡面反射は、入射光線が表面から主に一方向に反射されるときに起こる。具体的には、鏡面反射は、入射光線と反射光線とが、表面に直行する軸に対して同じ角度を有するときに起こる。シーン内の鏡面反射は、センサシステムによって生成された画像内に輝点として現れることがある。輝点は、画像内において、その中に含まれるピクセルの強度の値が、輝度に関して選択された何らかの閾値より大きな一領域である。
【0005】
鏡面反射が、大きな表面積に反射された光によって生じるとき、この反射を「グレア」と呼ぶ。鏡面反射が、小さな表面積に反射された光であるとき、この反射を「グリント」と呼ぶ。グリントは、画像内において、周囲の画像部分と比較して大きな強度を有する小さなフィーチャとして現れる場合がある。換言すると、グリントは、画像内の小さな輝点として現れる場合がある。典型的には、グリントによって引き起こされた画像内の輝点は、画像内における望ましくないフィーチャである。
【0006】
この種の望ましくないフィーチャが画像内に生じるとき、シーンの画像内のオブジェクトの特徴を識別及び/又は解析することが必要以上に困難になる。例えば、オブジェクトの画像を生成するとき、画像内に望ましくないフィーチャが存在すると、オブジェクトの識別は、必要以上に困難であるか、又は必要以上に時間を要する。このような望ましくないフィーチャは、オブジェクト自体の識別に使用されるオブジェクトの特徴を識別することをさらに困難にしうる。
【0007】
別の一実施例として、時間をずらしてオブジェクトの連続画像を取得する場合、このような画像を互いに比較することにより、オブジェクト内に変化があるかどうかを決定することができる。画像を使用して、オブジェクトの後続の画像に不整合が生じているかどうかを決定することができる。これらの画像内に、グリントによって生じた輝点のような望ましくないフィーチャが存在すると、不整合の識別がさらに困難になり、且つ識別に必要以上に時間がかかる。
【0008】
画像内のグリントを低減するための現在利用可能な幾つかのシステムは、撮像システムに取り付けられた高速光学機械を使用する。これらの光学機械には、例えば、偏光板及び光学フィルタが含まれる。これらの種類の光学機械は、撮像システムを通過する光の全体的透過率を低下させることができる。光の透過率を低下させることにより、撮像システムによって生成される画像内に供給される情報量が低減しうる。さらに、これらの種類の光学機械は、撮像システムシステムの重量及びコストを必要以上に増大させうる。
【0009】
したがって、上述した問題の少なくとも一部と、起こりうる他の問題とを考慮する方法と装置を有することが有利である。
【発明の概要】
【0010】
有利な一実施形態では、画像内の望ましくないフィーチャを除去する方法が提供される。画像を空間ドメインから周波数ドメインに変換することにより、変換済み画像を形成する。変換済み画像にフィルタを適用し、周波数ドメイン内にフィルタ済み画像を形成する。フィルタ済み画像を周波数ドメインから空間ドメインに戻すことにより、修正済み画像を形成する。修正済み画像における望ましくないフィーチャの強度は、元の画像内の望ましくないフィーチャの強度より増大している。修正済み画像を用いて画像から望ましくないフィーチャを除去することにより、処理済み画像を形成する。
【0011】
他の代替え的実施形態では、処理済み画像を使用して画像内の特徴及び/又はオブジェクトを識別することを考慮する。さらに、本方法では、処理済み画像を使用して、画像内のオブジェクト内に不整合が存在するかどうかを決定する。また、処理済み画像を使用してオブジェクト内に不整合が存在するかどうかを決定することは、さらに、処理済み画像をオブジェクトの別の画像と比較することにより、比較スペクトルを形成すること、並びに比較スペクトルを使用して不整合が存在するかどうかを決定することを含む。
【0012】
別の有利な実施形態では、装置はコンピュータシステムを含む。コンピュータシステムは、画像を空間ドメインから周波数ドメインに変換することにより、変換済み画像を形成する。コンピュータシステムは、さらに、変換済み画像にフィルタを適用することにより、周波数ドメイン内にフィルタ済み画像を形成する。コンピュータシステムは、さらに、フィルタ済み画像を周波数ドメインから空間ドメインに変換により変換により戻すことにより、修正済み画像を形成する。修正済み画像内の望ましくないフィーチャの強度は、元の画像内の望ましくないフィーチャの強度より増大している。コンピュータシステムは、さらに、修正済み画像を用いて画像から望ましくないフィーチャを除去することにより、処理済み画像を形成する。
【0013】
本装置は、また、シーンの画像を生成するセンサシステムを随意で含むことができ、ここで画像内の望ましくないフィーチャは、シーン内のグリントにより生じた画像内の輝点である。さらに考慮されるのは、画像を空間ドメインから周波数ドメインに変換することにより変換済み画像を形成する装置に、画像を空間ドメインから周波数ドメイン内の変換済み画像に変換する画像のフーリエ変換を演算するように構成されたコンピュータシステムを含めることである。
【0014】
装置は、変換済み画像にフィルタを適用することにより周波数ドメイン内にフィルタ済み画像を形成するような構成において、フィルタ済み画像を形成するルートフィルタを使用することにより、フーリエ変換の位相成分の位相に影響を与えること無く、画像のフーリエ変換の振幅成分の振幅を拡大縮小するコンピュータシステムを有することもできる。この場合、ルートフィルタは、振幅を非線型的に拡大縮小する。
【0015】
他の任意の機構の考慮によれば、修正済み画像を使用して望ましくないフィーチャを画像から除去することにより処理済み画像を形成する構成において、コンピュータシステムは、修正済み画像に閾値を適用して、閾値より大きな値を有する画像内のピクセルを保持することにより閾値適用画像を形成し;修正済み画像を、画像の点拡がり関数を用いて畳込むことにより、畳込み済み画像を形成し、ここで畳込み済み画像により、この畳込み済み画像内の望ましくないフィーチャの第1の位置が示され、この第1の位置は元の画像内の望ましくないフィーチャの第2の位置に対応しており;且つ、畳込み済み画像を元の画像から減算することにより処理済み画像を形成し、ここで元の画像内の望ましくないフィーチャの第2の位置の画像部分が元の画像から除去されることにより、望ましくないフィーチャが除去される。
【0016】
また別の有利な実施形態では、ビークル検査システムは、センサシステム、画像処理プロセッサ、及び画像アナライザを備えている。センサシステムは、ビークルの画像を生成する。画像処理プロセッサは、センサシステムから画像を受け取る。画像処理プロセッサは、さらに、画像を空間ドメインから周波数ドメインに変換することにより、変換済み画像を形成する。画像処理プロセッサは、さらに、変換済み画像にフィルタを適用することにより、周波数ドメイン内にフィルタ済み画像を形成する。画像処理プロセッサは、さらに、フィルタ済み画像を周波数ドメインから空間ドメインに戻すことにより、修正済み画像を形成する。修正済み画像における望ましくないフィーチャの強度は、元の画像内の望ましくないフィーチャの強度より増大している。画像処理プロセッサは、さらに、修正済み画像を用いて画像から望ましくないフィーチャを除去することにより、処理済み画像を形成する。画像アナライザは、処理済み画像を解析して、ビークル内に不整合が存在するかどうかを決定する。
【0017】
考慮される他のビークル検査システムは表示システムを含むことができ、画像アナライザは、この表示システム上に、ビークル内に不整合が存在するかどうかを示す表示を提供することができる。別の好ましい画像アナライザは、さらに、ビークル内に不整合が存在するかどうかを示すレポートを生成することができる。
【0018】
上記のフィーチャ、機能及び利点は、本発明の様々な実施形態で独立に実現することが可能であるか、他の実施形態において組み合わせることが可能である。これらの実施形態について、後述の説明及び添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
新規のフィーチャと考えられる有利な実施形態の特徴は、特許請求の範囲に明記される。しかしながら、有利な実施形態と、好ましい使用モードと、さらにはその目的及び利点とは、添付図面を参照して本発明の有利な一実施形態の後述の詳細な説明を読むことにより最もよく理解されるであろう。
【0020】
【図1】有利な一実施形態による画像処理環境のブロック図である。
【図2】有利な一実施形態による画像処理プロセッサのブロック図である。
【図3】有利な一実施形態によるパンクロ画像を示している。
【図4】有利な一実施形態による閾値適用画像を示している。
【図5】有利な一実施形態による処理済み画像を示している。
【図6】有利な一実施形態による振幅スペクトルを示している。
【図7】有利な一実施形態による、画像から望ましくないフィーチャを除去するプロセスのフロー図である。
【図8】有利な一実施形態による画像解析プロセスのフロー図である。
【図9】有利な一実施形態による画像解析プロセスのフロー図である。
【図10】有利な一実施形態によるデータ処理システムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
種々の有利な実施形態は、一又は複数の検討事項を認識し、且つ考慮している。例えば、種々の有利な実施形態は、異なる波長を用いてシーンの画像を生成できることを認識し、且つ考慮している。換言すると、シーン内のオブジェクトに対して複数の波長測定を行うことができる。異なる波長を使用してシーンの画像を生成することにより、シーン内の反射(例えば、グリント)に応答して画像内に現れるフィーチャを識別し、画像から除去することができる。
【0022】
しかしながら、種々の有利な実施形態は、幾つかのセンサはこの種の波長測定を行うことができないことを認識し、且つ考慮している。例えば、パンクロ画像センサはこの種の情報を提供しない。パンクロ画像センサは、画像がデータをグレイの網掛けで含む単一帯域を提供するに過ぎない。
【0023】
種々の有利な実施形態は、また、フィルタリングを実行して画像に関するデータ内の望ましくないフィーチャを抑えることができることを認識し、且つ考慮している。しかしながら、種々の有利な実施形態は、シーン内のオブジェクトの画像内において、グリントによって生じた望ましくないフィーチャを他のフィーチャから差別化することは、必要以上に困難であり、及び/又は時間がかかることを認識し、且つ考慮している。
【0024】
加えて、種々の有利な実施形態は、高速光学機械を使用する現在利用可能なグリント低減システムが、以前に生成された画像内のグリントを除去できないことを認識し、且つ考慮している。例えば、オブジェクトの試験及び評価に使用される履歴データには、数週間、数ヶ月、又は数年前の画像が含まれる。種々の有利な実施形態は、これらの以前に生成された画像内のグリントを低減することが望ましいことを認識し、且つ考慮している。
【0025】
種々の有利な実施形態は、また、現在利用可能なグリント低減システムが、環境条件のような変動する条件に合わせて適合できないことを認識し、且つ考慮している。例えば、撮像システムによって生成された画像内のグリントを低減する偏光板を備えた現在利用可能な撮像システムでは、変化する気象条件、風の条件、及び/又は他の種類の環境条件を考慮するように偏光板を調整することは不可能である。その結果、撮像システムによって生成された画像の一部が、望ましくない数のグリントを有することがある。
【0026】
さらに、現在利用可能な幾つかのグリント低減システムは、撮像システムのレンズの偏光を調整する電動式光学フィルタを使用することができる。種々の有利な実施形態は、これらの種類のシステムが、画像処理において、1秒当たりに生成されるフレーム数を増加させることができないことを認識し、且つ考慮している。その結果、画像処理において、ほぼ実時間でグリントを低減することが、現在利用可能なシステムでは不可能である。
したがって、種々の有利な実施形態により、グリントによって生じた望ましくないフィーチャを画像から除去するための方法と装置を提供する。種々の有利な実施形態では、望ましくないフィーチャとは、画像解析の困難性を増す、及び/又は画像解析にかかる時間を引き伸ばすフィーチャである。
【0027】
有利な一実施形態では、画像内の望ましくないフィーチャを除去する方法が提供される。画像を空間ドメインから周波数ドメインに変換することにより、変換済み画像を形成する。変換済み画像にフィルタを適用することにより、周波数ドメイン内にフィルタ済み画像を形成する。フィルタ済み画像を周波数ドメインから空間ドメインに戻すことにより、修正済み画像を形成する。修正済み画像における望ましくないフィーチャの強度は、元の画像内の望ましくないフィーチャの強度より増大している。修正済み画像を用いて画像から望ましくないフィーチャを除去することにより、処理済み画像を形成する。
【0028】
この情報は、この後、任意の数の異なる目的に使用することができる。例えば、処理済み画像を使用して、画像内に捕捉されたシーン内のオブジェクトを識別し、オブジェクト内の不整合を識別し、オブジェクトの特徴を識別し、及び/又は画像内のオブジェクトに関する他の適切な操作を実行することができる。
【0029】
ここで図1を参照する。図1は、有利な一実施形態による画像処理環境のブロック図である。このような実施例では、画像処理環境100は、シーン102、センサシステム104、及びコンピュータシステム105を含む。センサシステム104は、シーン102の画像106を生成する。
【0030】
図示のように、センサシステム104は任意の数のセンサ108を含む。本明細書で使用する「任意の数のアイテム」は、一又は複数のアイテムを意味する。例えば、「任意の数のセンサ」は、一又は複数のコンピュータを意味する。このような実施例では、任意の数のセンサ108は、帯域112内の電磁放射を検出するように構成された任意の数の撮像センサ110の形態をとることができる。
【0031】
帯域112は、周波数又は波長の連続帯域である。帯域112が電磁放射の可視スペクトル内にあるとき、任意の数の撮像センサ110は、パンクロ画像114の形態でセンサ102の画像106を生成する。帯域112が電磁放射のスペクトルの他の部分内にあるとき、画像106は広帯域画像と呼ばれる。
【0032】
このような実施例において、画像106はパンクロ画像114の形態をとる。パンクロ画像114は、黒から白に亘るグレイシェードを含むのみである。具体的には、このような種類の画像内のピクセルの値は、強度情報のみを含んでいる。換言すると、パンクロ画像114内のピクセルの値は、強度を示しているのであって、色を示しているのではない。
【0033】
一実施例として、任意の数のオブジェクト116がシーン102内に存在している。シーン102内の任意の数のオブジェクト116には、例えば、限定されないが、ビークル、航空機、自動車、人、建造物、人工構造、道路、樹木、緑地、海面、湖面、及び他の適切な種類のオブジェクトが含まれる。
【0034】
任意の数の撮像センサ110は、シーン102内の任意の数のオブジェクト116の輝度を検出して、画像118を生成するように構成されている。画像118は、このような実施例では二次元画像である。具体的には、任意の数の撮像センサ110は、任意の数のセンサ110において検出される帯域112内の光の強度を測定し、画像118内の各ピクセルの値を生成する。例えば、値は約0〜255である。このように、画像118はパンクロ画像である。
【0035】
センサシステム104は、処理のために画像118をコンピュータシステム105に送る。このような実施例では、コンピュータシステム105は任意の数のコンピュータを含む。コンピュータシステム105内に複数のコンピュータが存在する場合、これらのコンピュータは相互に通信することができる。
【0036】
図示のように、コンピュータシステム105内には画像処理プロセッサ120及び画像アナライザ122が存在する。画像処理プロセッサ120及び画像アナライザ122は、コンピュータシステム105内で、ハードウェア、ソフトウェア、又はこの二つの組み合わせを使用して実装することができる。幾つかの実施形態では、これらのモジュールを、コンピュータシステム105内の他のコンポーネントから独立して使用することができる。
【0037】
これらのモジュールは、ハードウェアとして実装されるとき、所望の機能及び/又はプロセスを実行するように構成された任意の数の回路を使用して実装することができる。このような任意の数の回路には、例えば、集積回路、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックアレイ、汎用ロジックアレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルロジックデバイス、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、プログラマブルロジックコントローラ、マクロセルアレイ、及び他の適切な種類の回路のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0038】
本明細書において、列挙されたアイテムと共に使用する「〜のうちの少なくとも1つの」という表現は、列挙されたアイテムのうちの一又は複数からなる様々な組み合わせが使用可能であり、且つ列挙された各アイテムが1つだけあればよいことを意味する。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定しないが、「アイテムA」、又は「アイテムAとアイテムB」を含む。この例は、「アイテムAとアイテムBとアイテムC」、又は「アイテムBとアイテムC」も含む。他の例として、「〜のうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定しないが、「2個のアイテムAと1個のアイテムBと10個のアイテムC」、「4個のアイテムBと7個のアイテムC」、並びに他の適切な組み合わせを含む。
【0039】
さらに、このような実施例では、コンピュータシステム105は表示システム124も含む。表示システム124は、一又は複数の表示デバイスを含みうる。このような実施例では、コンピュータシステム105内の様々なコンポーネントは、特定の実装態様に応じて同じ位置にあっても、異なる位置にあってもよい。
【0040】
幾つかの実施例では、コンピュータシステム105は、ネットワークデータ処理システムのような、分散コンピュータシステムでもよい。他の実施例では、コンピュータシステム105は、ソフトウェアでなくハードウェアにプロセスが実装されるハードウェア回路から全体が構成されてもよい。
【0041】
このような実施例では、画像処理プロセッサ120は、画像118を受け取って処理する。具体的には、画像処理プロセッサ120は、画像118から望ましくないフィーチャ126を除去するために画像118を処理する。さらに詳細には、画像処理プロセッサ120は、シーン102内の望ましくない反射130により生じた望ましくないフィーチャ126を画像118から除去するために画像118を処理する。具体的には、望ましくない反射130はグリント131である。
【0042】
グリント131は、画像118に現れるシーン102内の任意の数のオブジェクト116の表面からの光の鏡面反射である。グリントは、画像118内において、画像118の、それを取り囲む部分より大きな強度を有する小さな輝点として現れる。このようにして、シーン102内においてグリント131により生じた望ましくないフィーチャ126は、画像118内において望ましくない輝点128の形態をとる。画像処理プロセッサ120は、現在の形態の画像118を使用して、画像内118のいずれの輝点がグリント131により生じたものなのかを識別することができない。
【0043】
例えば、画像処理プロセッサ120は、画像118内の輝点132を検出することができる。輝点132は、1つのピクセル、2つのピクセル、又は他の何らかの適切な数のピクセルを含みうる。しかしながら、画像処理プロセッサ120は、輝点132がシーン102内のグリント134によって生じたもので、画像118内における望ましくない輝点128の1つであるかどうかを決定することができない。例えば、画像118内の輝点132の強度は、輝点132がシーン102内のグリント134によって生じたものかどうかを決定するために十分に高くない。その結果、画像処理プロセッサ120は、輝点132が望ましくない輝点128の1つであるか、又はシーン102内の任意の数のオブジェクト116の1つのフィーチャであるかを決定することができない。
【0044】
このような実施例では、画像118の現在の形態は空間ドメイン136内にある。空間ドメイン136は、画像118の像空間である。具体的には、空間ドメイン136は、画像118のための二次元空間である。一実施例では、空間ドメイン136は、画像118のxy座標系を用いて画定される。画像118のx座標は、画像118の水平方向を表し、y座標は画像118の垂直方向を表わす。
【0045】
画像処理プロセッサ120は、画像118を空間ドメイン136から周波数ドメイン138へ変換することにより、変換済み画像140を形成する。具体的には、画像処理プロセッサ120は、画像118のフーリエ変換(FT)142を演算して、画像118を空間ドメイン136から周波数ドメイン138へ変換することにより、変換済み画像140を形成する。このような実施例では、フーリエ変換142は、離散的フーリエ変換(DFT)及び高速フーリエ変換(FFT)から選択されたどちらか1つである。空間ドメイン136が2次元空間であるとき、フーリエ変換142も2次元フーリエ変換である。
【0046】
このような実施例では、変換済み画像140は振幅成分144と位相成分146とを含む。振幅成分144は、画像118のフーリエ変換142の振幅を特定する。このような振幅はマグニチュードとも呼ばれる。位相成分146は、画像118のフーリエ変換142の位相を特定する。
【0047】
振幅成分144は、例えば、振幅スペクトルによって表される。位相成分146は、例えば、位相スペクトルによって表される。振幅スペクトル及び位相スペクトルは、周波数に関してフーリエ変換142の振幅及び位相をそれぞれ座標に示す。
【0048】
このような実施例では、変換済み画像140は画像118と同数のピクセルを有している。具体的には、変換済み画像140は、画像118と同じピクセルの寸法を有している。
【0049】
変換済み画像140内の各ピクセルは、画像118内の異なる空間周波数148を表わす。画像118内の空間周波数148は、画像118内における隣接ピクセルに対するピクセルの値の変化率である。具体的には、空間周波数148は、画像118の特定の部分の、選択された距離150当たりのピクセルの強度の値に生じた変化の数と定義される。選択された距離150は、変換済み画像140に関する、例えば、ピクセル、ミリメートル、センチメートル、又は他の何らかの適切な距離の単位といった単位とすることができる。
【0050】
このように、変換済み画像内での位置の変化は空間周波数148の変化に対応している。さらに、変換済み画像140内のピクセルの値は、ピクセルが示す特定の空間周波数148における、選択された距離150内での最も明るいグレイレベルと最も暗いグレイレベルとの差異を示す。選択された距離150内における最も明るいグレイレベルから最も暗いグレイレベルまでのこのような変化は、一区間又は一周期と呼ばれる。
【0051】
例えば、10ピクセル毎の一周期の空間周波数148を表わす変換済み画像140内のピクセルが20という値を有する場合、10ピクセル分の画像118内のピクセル強度の値は、最も明るいグレイレベルから最も暗いグレイレベルへと変化するか、又は最も暗いレベルから最も明るいグレイレベルへと変化する。さらに、最も明るいグレイレベルと最も暗いグレイレベルとのコントラストは、ピクセルの値の約2倍である。換言すると、このようなコントラストは、最も明るいグレイレベルと最も暗いグレイレベルとの間における約40のグレイレベルである。
【0052】
このような実施例では、画像118内の小さなフィーチャは、それよりも大きなフィーチャと比較して高い空間周波数を有する。その結果、画像118内の小さなフィーチャは、変換済み画像140において、画像118内のそれよりも大きなフィーチャと比較して高い周波数成分で表される。
【0053】
換言すると、画像118内のこのような小さなフィーチャは、画像118内のそれよりも大きなフィーチャと比較したとき、変換済み画像140内の高い空間周波数に対応するピクセル内に現れ、画像118内の大きなフィーチャは、変換済み画像140内の低い空間周波数に対応するピクセル内に現れる。一実施例として、グリント131によって生じた画像118内の望ましくない輝点128は、画像118内において小さなフィーチャでありえ、変換済み画像140内において高い周波数成分内に現れる。
【0054】
このような実施例では、画像処理プロセッサ120は、変換済み画像140にフィルタ152を適用することにより、周波数ドメイン138内にフィルタ済み画像154を形成する。フィルタ152は、例えば、限定しないが、非線型フィルタ、線形フィルタ、高周波通過フィルタ、及び/又は他の何らかの適切な種類のフィルタの形態をとることができる。
【0055】
このような実施例では、フィルタ152は、画像118のフーリエ変換142の振幅成分144を、位相成分146を変化させることなく、変化させるように構成されている。具体的には、フィルタ152は、変換済み画像140の高周波成分の振幅を変化させる。
【0056】
さらに詳細には、フィルタ152が変換済み画像140に適用されると、変換済み画像140内の高周波成分の振幅が、変換済み画像140内の低周波成分の振幅に対して増加する。換言すると、フィルタ済み画像154における高周波成分の振幅と低周波成分の振幅との比は、変換済み画像140における高周波成分の振幅と低周波成分の振幅との比と比べて低下する。
【0057】
換言すると、変換済み画像140における高周波成分の振幅は、フィルタ済み画像154において増強されているので、このような高周波成分に対応する画像118内のフィーチャも増強される。具体的には、画像118内のグリント131によって生じる望ましくない輝点128に対応する高周波成分の振幅は、フィルタ済み画像154において増強される。
【0058】
その後、画像処理プロセッサ120は、変換済み画像140の逆フーリエ変換155を演算することにより、周波数ドメイン138内の変換済み画像140を空間ドメイン136に戻す。このような変換により、修正済み画像156が形成される。具体的には、修正済み画像156における小さなフィーチャ、例えば、グリント131によって生じた望ましくない輝点128の強度は、画像118におけるこのようなフィーチャの強度より増加している。このように、グリント131によって生じた望ましくない輝点128を他のフィーチャから区別することは、画像118より修正済み画像156においてずっと容易である。
【0059】
次いで、画像処理プロセッサ120は、修正済み画像156を用いて、グリント131によって生じた望ましくない輝点128を修正済み画像156から除去する。具体的には、画像処理プロセッサ120は、修正済み画像156内の望ましくない輝点128の位置158を特定し、次いで画像118内の位置158にある望ましくない輝点128を減らす、及び/又は除去する。このような実施例では、修正済み画像156から望ましくない輝点128を低減及び/又は除去することにより、処理済み画像160が形成される。このようにして、グリント131によって生じる望ましくない輝点128は抑制される。
【0060】
画像処理プロセッサ120は、処理済み画像160を解析のために画像アナライザ122に送る。画像アナライザ122は、処理済み画像160を任意の数の異なる方法で解析することができる。例えば、画像アナライザ122は、処理済み画像160を使用して、任意の数のオブジェクト116の特徴162を識別することができる。任意の数のオブジェクト116の特徴162には、例えば、任意の数のオブネクト116のうちの1つのオブジェクトの、内部の不整合、縁の不整合、寸法の不整合、識別の不整合、及び/又は他の適切な種類の特徴の不整合が含まれる。
【0061】
幾つかの実施例では、画像処理プロセッサ120及び画像アナライザ122は、ビークル検査システム164に実装される。ビークル検査システム164は、処理済み画像160を使用して、任意の数のオブジェクト116のうちのオブジェクト168に不整合166が存在するかどうかを決定するように構成されている。このような実施例では、オブジェクト168はビークルである。このような実施例では、オブジェクト168内の不整合は、オブジェクト168内において存在するはずのない、又は望ましくない、オブジェクト168内のフィーチャ又は特徴である。
【0062】
不整合166を識別することは、任意の数の異なる方法で実行することができる。例えば、処理済み画像160を、データベース172に格納された画像170と比較することができる。画像170は、オブジェクト168の画像118の生成に先行して生成された、オブジェクト168の別の画像である。画像170との処理済み画像160のこのような比較を使用して、不整合166が存在するかどうかを決定することができる。
【0063】
他の実施例では、画像処理プロセッサ120及び画像アナライザ122は、オブジェクト識別システム174に実装される。この種の実装態様では、画像アナライザ122は、画像170と処理済み画像160とを比較することにより、オブジェクト168の識別176を生成することができる。幾つかの事例では、処理済み画像160をデータベース172内に存在する複数の画像と比較することにより、オブジェクト168を識別することができる。
【0064】
このような実施例では、ビークル検査システム164及び/又はオブジェクト識別システム174は、画像アナライザ122によって実行された処理済み画像160の解析結果を使用して、表示システム124上に表示を生成することができる。幾つかの実施例では、画像アナライザ122は、表示システム124上にオブジェクト168内の不整合166の表示を提供することができる。
【0065】
他の実施例では、画像アナライザ122は、オブジェクト168内に不整合166が存在するかどうかの表示、オブジェクト168の特徴162の識別176、オブジェクト168の識別、及び/又は他の適切な情報を含むレポートを生成する。このレポートは、例えば、表示システム124上に表示される、クライアントにeメールされる、データベースに格納される、及び/又は他の何らかの適切な方法で管理される。
【0066】
さらに、実装態様に応じて、画像処理プロセッサ120及び/又は画像アナライザ122は、表示システム124上に画像を表示するように構成される。例えば、画像処理プロセッサ120及び/又は画像アナライザ122は、表示システム124上に、画像118及び/又は処理済み画像160のいずれかを表示することができる。
【0067】
図1に示す画像処理環境100は、有利な実施形態を実施できる方法に対する物理的又はアーキテクチャ的な制限を示唆することを意図していない。図示されたコンポーネントに加えて及び/又は代えて、他のコンポーネントを使用することができる。幾つかのコンポーネントは不必要になることもある。また、ブロックは、幾つかの機能的なコンポーネントを示すために提示されている。有利な実施形態において実施される場合、これらのブロックの一又は複数を、異なるブロックに統合及び/又は分割することができる。
【0068】
例えば、幾つかの実施例では、画像アナライザ122及び画像処理プロセッサ120は異なる位置に配置されてもよい。例えば、画像処理プロセッサ120は、センサシステム104と同じプラットフォームに位置してもよく、画像アナライザ122は、センサシステム104から離れた他の何らかのプラットフォームに位置してもよい。他の実施例では、画像処理プロセッサ120及び画像アナライザ122は、コンピュータシステム105内の同じモジュール内に実装することができ。
【0069】
さらに、ビークルとして説明されているが、オブジェクト168は、任意の数の異なる形態を取ることができる。例えば、オブジェクト168は、可動プラットフォーム、固定プラットフォーム、陸上ベース構造、水上ベース構造、宇宙ベース構造、航空機、水上艦、戦車、人員運搬車、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋、ダム、製造工場、建造物、外板パネル、エンジン、ガス配管系の一区間、及び他の適切なオブジェクトから選択された1つとすることができる。
【0070】
次に図2を参照する。図2は、有利な一実施形態による画像処理プロセッサのブロック図である。この実施例では、画像処理プロセッサ200は、図1の画像処理プロセッサ120の一実装態様の例である。図示のように、画像処理プロセッサ200は、変換ユニット202、フィルタユニット204、逆変換ユニット206、閾値ユニット208、点拡がり関数推定器210、畳込みユニット212、及びフィーチャ除去ユニット214を含む。
【0071】
この実施例では、変換ユニット202は、センサシステム(例えば、図1のセンサシステム104)から画像216を受け取る。この実施例では、画像216はパンクロ画像218の形態をとる。さらに、画像216は空間ドメイン200内にある。空間ドメイン220は、画像216の二次元の像空間である。この実施例では、空間ドメイン220内の画像216は、関数、H(x,y)で表される。
【0072】
画像216の関数、H(x,y)は、画像216内のピクセルのx,y位置に対する同ピクセルの値を求めるための関数である。画像216内のピクセルは行と列とに構成されている。このような実施例では、ピクセルのx位置は特定の行を識別し、y位置は特定の列を識別する。
【0073】
輝点221が画像216内に現れる。輝点221は、画像216の、輝点221を取り囲む部分と比較して大きな強度を有する画像216内の小さなフィーチャである。輝点221の少なくとも一部は、画像216によって捕捉されたシーン内のグリントによって生じた輝点と、シーン内のオブジェクトのフィーチャである輝点とを区別するために十分に大きな強度を有さないことがある。画像処理プロセッサ200は、このような区別を行うために画像216を処理する。
【0074】
図示のように、変換ユニット202は、画像216を空間ドメイン220から周波数ドメイン222へ変換することにより、変換済み画像224を形成する。具体的には、変換ユニット202は、画像216のフーリエ変換(FT)226を演算することにより、変換済み画像224を形成する。画像216のフーリエ変換226は、関数、H(u,v)によって表される。画像216の関数、H(u,v)は、画像216の関数、H(x,y)を周波数ドメイン222に変換したものである。
【0075】
このような実施例では、フィルタユニット204は、変換ユニット202から周波数ドメイン222内の変換済み画像224を受け取る。フィルタユニット204は、変換済み画像224に対してルートフィルタ228を適用することにより、フィルタ済み画像230を生成する。この実施例では、ルートフィルタ228は、パラメータ232、αを使用して、画像216のフーリエ変換226の振幅成分を、フーリエ変換226の位相成分を変化させることなく変化させる非線型フィルタである。
【0076】
具体的には、パラメータ232、αは、0〜1の値を有する指数である。ルートフィルタ228は、フーリエ変換226の振幅成分をパラメータ232のパワーまで上昇させる。この操作は、フーリエ変換226の振幅成分のα番目のルートを取ることに相当する。換言すると、フィルタ済み画像230は、以下の等式によって表される。
F(u,v)=|H(u,v)|jθ(u,v) (1)
ここで、F(u,v)はフィルタ済み画像230を表しており、|H(u,v)|は画像216のフーリエ変換226の振幅成分であり、uは周波数ドメイン222内の周波数の水平成分であり、vは周波数ドメイン222内の周波数の垂直成分であり、αは0〜1のパラメータ232であり、eは指数関数であり、θは位相角であり、jは−1の平方根である。
【0077】
パラメータ232の値αは、変換済み画像224の高周波成分の振幅が低周波成分の振幅より増加されるように選択される。具体的には、変換済み画像224の高周波成分の振幅を、変換済み画像224の低周波成分の振幅よりも大きな幅で増大させる。幾つかの事例では、変換済み画像224内において、高周波成分の振幅を低周波成分の振幅よりも小さな幅で低減させる。
【0078】
フィルタユニット204によって生成されたフィルタ済み画像230は、逆変換ユニット206に送られる。逆変換ユニット206は、周波数ドメイン222内のフィルタ済み画像230の逆フーリエ変換234を演算することにより、フィルタ済み画像230を周波数ドメイン222から空間ドメイン220に戻して修正済み画像236の形態にする。
【0079】
この実施例では、輝点238が修正済み画像236に現れる。輝点238は、画像216内の輝点221とほぼ同じである。空間ドメイン220における修正済み画像236内の輝点238は、画像216内の輝点221より大きな強度を有している。具体的には、輝点238は、画像216によって捕捉されたシーン内のグリントによって生じた輝点を、シーン内のオブジェクトのフィーチャである輝点から区別することができるような強度を有する。
【0080】
図示のように、閾値ユニット208は、逆変換ユニット206から修正済み画像236を受け取る。閾値ユニット208は、修正済み画像236に閾値240、K を適用する。具体的には、閾値240を修正済み画像236に適用すると、修正済み画像236内の、閾値240、K 以下の値を有するピクセルは、概ねゼロ又は何らかの最小値の振幅を有するように設定され、修正済み画像236内の、閾値240、K を上回る値を有するピクセルはそのままとされて、空間ドメイン220内に閾値適用画像242が形成される。
【0081】
閾値240は、画像216に補足されたシーン内のグリントにより生じたすべての輝点238が識別可能となるように選択される。例えば、修正済み画像236内の、閾値240、K を上回る値を有するピクセルは、輝点238のうちの一組の輝点244のピクセルである。本明細書で使用する「一組のアイテム」は、ゼロ個以上のアイテムを意味する。例えば、一組のアイテムは、場合によってはヌル値又は空の組でありうる。具体的には、一組の輝点244には、画像216に補足されたシーン内の輝点により生じうる輝点238のうちの輝点が含まれる。幾つかの実施例では、一組の輝点244は、一組のグリント点とも呼ばれる。
【0082】
一組の輝点244は、閾値適用画像242内の一組の位置245に位置している。この実施例では、パラメータ232は、一組の輝点244のうちの1つの輝点が約1ピクセルの幅を有するように選択される。具体的には、パラメータ232は、一組の輝点244の中で最小の輝点が約1ピクセル以下を占めるように選択される。さらに、幾つかの実施例では、閾値ユニット208は、修正済み画像236に対して2つ以上の閾値を適用するように構成することができる。
【0083】
畳込みユニット212は、画像216の点拡がり関数246を用いて閾値適用画像242を畳み込むことにより、空間ドメイン220内に畳込み済み画像248を生成するように構成される。この実施例では、点拡がり関数246は、点拡がり関数推定器210によって生成される。点拡がり関数246は、画像216を生成したセンサシステムの、点源又は点オブジェクトに対する応答を表している。
【0084】
例えば、図1のシーン102内の点のフィーチャは、例えば、センサシステムとオブジェクトとの間の距離に基づいて、画像216内において約1ピクセルを占めるシーン内のオブジェクトのフィーチャである。しかしながら、画像216を生成するセンサシステムでは、この点のフィーチャが画像216内でぼやけ、その結果点のフィーチャが1ピクセル以上を占めることがある。点拡がり関数246は、点のフィーチャのこのようなぼけを表現している。換言すると、点拡がり関数246は、画像216を生成したシステムによる点のフィーチャのぼけを表現している。このような実施例では、点拡がり関数246は、ガウス関数、p(x,y)の形態をとることができる。
【0085】
一実施例では、点拡がり関数推定器210は、画像216を使用して点拡がり関数246を推定する。他の実施例では、点拡がり関数推定器210は、ユーザ入力、データベース、又は他の何らかの適切なソースから点拡がり関数246を取得することができる。例えば、画像216を生成したセンサシステムのパラメータは周知であり、センサシステムの点拡がり関数246は既に規定されている。
【0086】
このような実施例では、畳込みユニット212は、閾値適用画像242を用いて点拡がり関数246を畳み込むことにより畳込み済み画像248を生成し、これが一組の輝点244の一組の位置245を推定することにより、最終的な輝点の組250に対する最終的な位置の組252を形成する。最終的な位置の組252に位置する最終的な輝点の組250は、画像216に対するグリントの寄与を推定する。
【0087】
具体的には、最終的な位置の組252は、センサシステムによるぼけの影響を考慮する。換言すると、最終的な位置の組252は、画像216内の輝点221のうちの対応する輝点の位置に相当する位置である。推定される点拡がり関数246と、空間ドメイン220内の閾値適用画像242の関数との畳込みは、一方を反転させてシフトした後で、これら2つの関数の積を積分することである。
【0088】
図示のように、フィーチャ除去ユニット214は、畳込み済み画像248を受け取るように構成されている。幾つかの実施例では、フィーチャ除去ユニット214が畳込み済み画像248を受け取る前に畳込み済み画像248に利得253を適用する。このような実施例では、利得253は、画像216を生成したセンサシステムの種類、画像216内の輝点に影響しうるシーン内のグリント、及び/又は他の適切な要因を説明するように選択される。
【0089】
フィーチャ除去ユニット214は、画像216から畳込み済み画像248を減算する。換言すると、畳込み済み画像248内の最終的な輝点の組250の最終的な位置の組252に対応する画像216内の位置に位置する画像216の部分が、画像216から除去されて、処理済み画像256が形成される。このような除去は、画像216からの、望ましくないフィーチャ254の除去である。具体的には、このような除去は、画像216に補足されたシーン内のグリントにより生じる望ましくないフィーチャ254の除去である。
【0090】
この実施例では、望ましくないフィーチャ254の除去は、最終的な輝点の組250の最終的な位置の組252に対応する位置に位置する画像216の部分のピクセル値を、ゼロ又はゼロ以外の何らかの最小値に設定することにより実行される。ゼロ以外の最小値は、画像216内の輝点221のうちの1つ点が、グリント以外の他の反射によって生じている可能性を考慮するように選択される。例えば、輝点は拡散反射によっても生じうる。
【0091】
画像処理プロセッサ200は、画像アナライザ(例えば、図1の画像アナライザ122)に処理済み画像256を送る。このようにして、望ましくないフィーチャ254がまだ存在している画像216ではなく、望ましくないフィーチャ254が除去された処理済み画像256に対して解析を行うことができる。処理済み画像256の解析は、画像216の解析より正確である。
【0092】
図2に示す画像処理プロセッサ200は、有利な実施形態を実施できる方法に対する物理的又はアーキテクチャ的な制限を示唆することを意図していない。このような実施例では、画像処理プロセッサ200は、図示されたコンポーネントに加えて、及び/又は代えて、他の種類のコンポーネントを使用して実装されうる。さらに、図示された幾つかのコンポーネントを他のコンポーネントと組み合わせることができるか、又は機能を追加のコンポーネントにさらに分離することができる。
【0093】
例えば、閾値ユニット208は、フィーチャ除去ユニット214の一部として実装することができる。幾つかの実施例では、変換ユニット202と逆変換ユニット206の両方によって実施される機能を実施する、双方向変換ユニットを設けてもよい。
【0094】
図3は、有利な一実施形態によるパンクロ画像を示している。パンクロ画像300は、図1の画像106及び図2のパンクロ画像218のうちの1つの一例である。パンクロ画像300は、航空機の胴体の一区画の画像である。パンクロ画像300は、グレイスケールの画像である。図示のように、輝点302がパンクロ画像300内に存在する。輝点302の少なくとも一部は、パンクロ画像300に補足されたシーン内のグリントにより生じている。輝点304は、少なくとも部分的にグリントにより生じている輝点302の1つの例である。輝点304は、パンクロ画像300内の位置306に位置している。
【0095】
図4は、有利な一実施形態による閾値適用画像を示している。閾値適用画像400は、図2の閾値適用画像242の一実装態様の一例である。具体的には、閾値適用画像400は、図2の画像処理プロセッサ200によって図3のパンクロ画像300を処理した後に図2の閾値ユニット208によって生成された画像の一例である。
【0096】
図示のように、閾値適用画像400は、ゼロ値を有するピクセル402と、非ゼロ値を有するピクセル404とを含む白黒画像である。非ゼロ値を有するピクセル404は、閾値適用画像400内における、グリントによって生じた図3のパンクロ画像300内の輝点302の部分の位置に対応する位置を特定する。
【0097】
図5は、有利な一実施形態による処理済み画像を示している。処理済み画像500は、図2の処理済み画像256の一実装態様の一例である。具体的には、処理済み画像500は、図3のパンクロ画像300を処理してパンクロ画像300から望ましくないフィーチャを除去した後で図2の画像処理プロセッサ200が生成した画像の一例である。このような望ましくないフィーチャは、グリントにより生じた図3のパンクロ画像300内の輝点302部分である。
【0098】
具体的には、パンクロ画像300の点拡がり関数を用いて図4の閾値適用画像400を畳み込むことにより、畳込み済み画像が形成される。このような畳込みは、図2の画像処理プロセッサ200内の畳込みユニット212によって実行される。図2の画像処理プロセッサ200内のフィーチャ除去ユニット214は、パンクロ画像300から畳込み済み画像を減算する事により処理済み画像500を生成する。図示のように、処理済み画像500は、グレイスケールの画像である。
【0099】
このような実施例では、処理済み画像500内の位置502は、パンクロ画像300内の位置306に対応している。処理済み画像500に示すように、処理済み画像500内における航空機の胴体区画からのグリントの影響は、位置502においてはぼほ除去されている。具体的には、パンクロ画像300内の位置306と比較した場合、位置502におけるグリントの影響はほぼ除去されている。位置502内に残る輝度は、航空機の胴体区画からの拡散反射の影響である。
【0100】
ここで図6を参照する。図6は、有利な一実施形態による振幅スペクトルを示している。この実施例では、プロット600は、水平軸602と垂直軸604を有する。水平軸602は、1サンプル当たりの周期で示す空間周波数である。垂直軸604は振幅である。図示のように、プロット600は振幅スペクトル606と振幅スペクトル608とを含む。
【0101】
振幅スペクトル606は、変換済み画像224(例えば、図2の変換済み画像224)の振幅成分の表現の一例である。振幅スペクトル608は、フィルタ済み画像(例えば、図2のフィルタ済み画像230)の振幅成分の表現の一例である。フィルタ済み画像は、変換済み画像224に図2のルートフィルタ228を適用した結果である。
【0102】
図示のように、振幅スペクトル606と振幅スペクトル608により、フィルタ済み画像230における低周波成分の振幅に対する高周波成分の振幅の比が、変換済み画像224における低周波成分の振幅に対する高周波成分の振幅の比より小さいことが示されている。換言すると、変換済み画像224にルートフィルタ228が適用されると、高周波成分の振幅が低周波成分の振幅と比較して増大する。この実施例では、ルートフィルタ228が適用されると、変換済み画像224のすべての周波数の振幅が低減する。
【0103】
次に図7を参照する。図7は、有利な一実施形態による、画像から望ましくないフィーチャを除去するプロセスのフロー図である。図7に示されたプロセスは、図1の画像処理環境100で実施することができる。具体的には、種々の有利な実施形態の一又は複数を図1の画像処理プロセッサ120で実施することができる。加えて、特定の実装態様によっては、図1の画像アナライザ122を使用して幾つかの工程を実施することもできる。
【0104】
このプロセスは、センサシステムによって生成されたシーンの画像を受け取ることにより開始される(工程700)。この実施例では、センサシステムは、パンクロ画像として画像を生成する任意の数のパンクロ画像センサを含む。この実施例では、シーンの画像は空間ドメインにおいて生成される。
【0105】
次に、プロセスは、画像を空間ドメインから周波数ドメインに変換することにより、変換済み画像を形成する(工程702)。具体的には、工程702では、プロセスは、空間ドメイン内の画像を周波数ドメイン内の変換済み画像に変換する画像のフーリエ変換を演算する。画像のフーリエ変換は、振幅成分と位相成分とを含む。さらに、この実施例では、フーリエ変換は、離散的フーリエ変換(DFT)又は高速フーリエ変換(FFT)とすることができる。
【0106】
次いで、プロセスは、変換済み画像にフィルタを適用することにより、周波数ドメイン内にフィルタ済み画像を形成する(工程704)。この実施例では、工程704のフィルタはルートフィルタである。具体的には、ルートフィルタは、フーリエ変換の位相成分の位相を変化させることなく、フーリエ変換の振幅成分の振幅を拡大縮小する。ルートフィルタは、フーリエ変換の振幅成分の振幅を非線形的に拡大縮小するように構成されている。
【0107】
その後、プロセスは、フィルタ済み画像を周波数ドメインから空間ドメインに戻すことにより、修正済み画像を形成する(工程706)。工程706では、フィルタ済み画像の逆フーリエ変換を演算することにより、周波数ドメイン内のフィルタ済み画像を空間ドメイン内の修正済み画像に変換する。シーン内のグリントにより生じた修正済み画像内のすべての望ましくないフィーチャの強度は、シーンの画像内の望ましくないフィーチャの強度より増大される。換言すると、修正済み画像内のすべての望ましくないフィーチャの強度は、センサシステムによって生成された画像内の望ましくないフィーチャの強度と比較した場合、画像の他の部分に対して増強される。
【0108】
次いで、プロセスは、修正済み画像に閾値を適用することにより、閾値適用画像を形成する(工程708)。工程708では、閾値を上回る値を有する修正済み画像内のピクセルが保持されて閾値適用画像が形成される。保持されるすべてのピクセルは、センサシステムによって検出されたシーン内のグリントにより生じた望ましくないフィーチャを含んでいる。具体的には、修正済み画像は、一組の輝点を含む。この輝点の組は、シーン内のグリントにより、センサシステムが生成する画像内に現れる小さなフィーチャに対応している。
【0109】
次に、プロセスは、画像の点拡がり関数を用いて修正済み画像を畳込むことにより、畳込み済み画像を形成する(工程710)。畳込み済み画像は、修正済み画像において識別された輝点の組に対応する一組の位置を示す。一組の位置は、センサシステムによって生成されるぼけの影響を考慮している。
【0110】
次いで、プロセスは、センサシステムによって生成された画像から畳込み済み画像を減算することにより、グリントによって生じたすべての望ましくないフィーチャを除去して処理済み画像を形成し(工程712)、その後終了する。工程712では、センサシステムによって生成された画像から畳込み済み画像を減算することにより、修正済み画像内の一組の輝点の一組の位置に対応する位置に位置している画像の部分がすべて除去される。
【0111】
次に図8を参照する。図8は、有利な実施形態による、画像解析プロセスのフロー図である。図8に示すプロセスは、図1の画像処理環境100で実施することができる。具体的には、このプロセスは、図1の画像アナライザ122で実施される。
【0112】
プロセスは、処理済み画像を受け取ることにより開始される(工程800)。この処理済み画像は、図7に記載の工程を用いて図1の画像処理プロセッサ120によって生成された画像である。具体的には、この処理済み画像は、図7の工程712において形成された処理済み画像でありうる。
【0113】
プロセスは、処理済み画像を解析して結果を生成する(工程802)。結果により画像内のオブジェクトに不整合の存在が示唆されるかどうかを決定する(工程804)。オブジェクトに不整合が存在する場合、プロセスは、不整合の存在の表示を生成し(工程806)、その後終了する。この表示は、表示装置上に提供されるか、eメールで送信されるか、データベースに格納されるか、又は他の何らかの適切な方法で処理される。
【0114】
工程804に戻り、オブジェクトに不整合が存在しない場合、プロセスは、この不整合の存在の表示を生成し(工程808)、その後終了する。
【0115】
工程802において実行される解析は、任意の数の異なる方法で実行することができる。例えば、解析は、処理済み画像に対して直接実行することができる。処理済み画像内のデータは、以前に撮像されたオブジェクトの他の画像と比較されてもよい。このような比較を使用して、オブジェクトに変化が生じたかどうかを決定することができる。このような変化は、オブジェクトに不整合が存在するかどうかを決定するために使用可能である。このような実施例では、不整合はオブジェクト内の望ましくない変化でありうる。
【0116】
次に図9を参照する。図9は、有利な実施形態による、画像解析プロセスのフロー図である。図9に示すプロセスは、図1の画像処理環境100で実施することができる。具体的には、このプロセスは、図1の画像アナライザ122で実施される。
【0117】
プロセスは、処理済み画像を受け取ることにより開始される(工程900)。この処理済み画像は、図7に記載の工程を用いて画像処理プロセッサ120によって生成された画像である。具体的には、この処理済み画像は、図7の工程712において形成された処理済み画像でありうる。
【0118】
プロセスは、次いで、処理済み画像を解析することにより画像内のオブジェクトを識別する(工程902)。この解析は、任意の数の異なる方法で実行することができる。例えば、以前の画像又は他のデータのデータベースを、処理済み画像内のデータとの比較として使用することができる。このような比較に基づいて、オブジェクトの識別を行うことができる。この識別により、特定のオブジェクトが識別されるか、又は画像内のオブジェクトが未知であることが示唆される。
【0119】
次いで、プロセスは、オブジェクトの識別の表示を生成し(工程904)、その後終了する。この表示は、例えば、オブジェクトを識別するレポートである。
【0120】
次に図10を参照する。図10は、有利な実施形態によるデータ処理システムを示している。このような実施例では、データ処理システム1000を使用して、図1のコンピュータシステム105に含まれる一又は複数のコンピュータを実施することができる。この例示的な実施例では、データ処理システム1000は通信フレームワーク1002を含み、これによりプロセッサユニット1004、メモリ1006、固定記憶域1008、通信ユニット1010、入出力(I/O)ユニット1012、及び表示ユニット1014の間の通信が行われる。
【0121】
プロセッサユニット1004は、メモリ1006にローディングされるソフトウェアに対する命令を実行するように働く。プロセッサユニット1004は、特定の実装態様に応じて、任意の数のプロセッサ、マルチプロセッサコア、又は他の何らかの種類のプロセッサとすることができる。本明細書でアイテムに言及して「任意の数の」というとき、一又は複数のアイテムを意味する。さらに、プロセッサユニット1004は、単一チップ上にメインプロセッサと二次プロセッサとが共存する任意の数の異種プロセッサシステムを使用して実施されてもよい。別の実施例では、プロセッサユニット1004は同種のプロセッサを複数個含む対称型マルチプロセッサシステムであってもよい。
【0122】
メモリ1006及び固定記憶域1008は、記憶装置1016の例である。記憶装置は、情報を一時的に及び/又は恒久的に格納できる何らかのハードウェア部分であり、この情報には、例えば、限定されないが、データ、機能的形態のプログラムコード、及び/又はその他の適切な情報が含まれる。記憶装置1016は、このような実施例では、コンピュータで読込可能な記憶デバイスとも呼ばれる。このような実施例では、メモリ1006は、例えば、ランダムアクセスメモリ又は他の何らかの適切な揮発性又は不揮発性の記憶装置であってもよい。固定記憶域1008は、特定の実装態様に応じて様々な形態をとることができる。
【0123】
例えば、固定記憶域1008は、一又は複数のコンポーネント又はデバイスを含みうる。例えば、固定記憶域1008は、ハードドライブ、フラッシュメモリ、書換え形光ディスク、書換え可能磁気テープ、又はそれらの何らかの組み合わせである。固定記憶域1008によって使用される媒体は、取り外し可能なものでもよい。例えば、取り外し可能なハードドライブを固定記憶域1008に使用することができる。
【0124】
このような実施例では、通信ユニット1010は、他のデータ処理システム又はデバイスとの通信を行う。このような実施例では、通信ユニット1010はネットワークインターフェースカードである。通信ユニット1010は、物理的通信リンク及び無線の通信リンクのいずれか一方又は両方を使用することによって、通信を行うことができる。
【0125】
入出力ユニット1012により、データ処理システム1000に接続可能な他のデバイスによるデータの入力及び出力が可能になる。例えば、入出力ユニット1012は、キーボード、マウス、及び/又は他の何らかの適切な入力装置を介してユーザ入力のための接続を提供することができる。さらに、入出力ユニット1012は、プリンタに出力を送ることができる。ディスプレイ1014は、ユーザに対して情報を表示する機構を提供する。
【0126】
オペレーティングシステム、アプリケーション、及び/又はプログラムに対する命令は、通信フレームワーク1002を介してプロセッサユニット1004と通信する記憶装置1016内に配置されうる。このような実施例では、命令は固定記憶域1008上において機能的な形態になっている。これらの命令は、メモリ1006にローディングされてプロセッサユニット1004によって実行される。種々の実施形態のプロセスは、メモリ(例えば、メモリ1006)に配置される、コンピュータで実施される命令を使用して、プロセッサユニット1004によって実行されうる。
【0127】
これらの命令は、プログラムコード、コンピュータで使用可能なプログラムコード、又はコンピュータで読込可能なプログラムコードと呼ばれ、プロセッサユニット1004内の1つのプロセッサによって読込まれて実行されうる。種々の実施形態のプログラムコードは、様々な物理的記憶媒体又はコンピュータで読込可能な記憶媒体(例えば、メモリ1006又は固定記憶域1008)上に具現化されうる。
【0128】
プログラムコード1018は、選択的に取り外し可能なコンピュータで読込可能な媒体1020上に機能的な形態で配置され、データ処理システム1000にローディング又は転送されて、プロセッサユニット1004によって実行される。プログラムコード1018及びコンピュータで読込可能な媒体1020は、このような実施例ではコンピュータプログラム製品1022を形成する。一実施例では、コンピュータで読込可能な媒体1020は、コンピュータで読込可能な記憶媒体1024又はコンピュータで読込可能な信号媒体1026である。
【0129】
コンピュータで読込可能な記憶媒体1024は、例えば、固定記憶域1008の一部であるドライブ又は他のデバイスに挿入又は配置されて、固定記憶域1008の一部である、ハードディスなどの記憶装置上に転送される光ディスク又は磁気ディスクなどを含みうる。コンピュータで読込可能な記憶媒体1024は、データ処理システム1000に接続されているハードドライブ、サムドライブ、又はフラッシュメモリなどの固定記憶域の形態もとりうる。幾つかの例では、コンピュータで読込可能な記憶媒体1024は、データ処理システム1000から着脱可能でなくともよい。
【0130】
このような実施例では、コンピュータで読込可能な記憶媒体1024は、プログラムコード1018を伝搬又は転送する媒体ではなくプログラムコード1018を保存するために使用される物理的な又は有形の記憶装置である。コンピュータで読込可能な記憶媒体1024は、コンピュータで読込可能な有形の記憶装置又はコンピュータで読込可能な物理的な記憶装置とも呼ばれる。換言すると、コンピュータで読込可能な記憶媒体1024は、人が触れることのできる媒体である。
【0131】
代替的に、プログラムコード1018は、コンピュータで読込可能な信号媒体1026を用いてデータ処理シスム1000に転送可能である。コンピュータで読込可能な信号媒体1026は、例えば、プログラムコード1018を含む伝播されたデータ信号であってもよい。例えば、コンピュータで読込可能な信号媒体1026は、電磁信号、光信号、及び/又は他のいずれかの適切な種類の信号であってもよい。これらの信号は、無線通信リンク、光ファイバケーブル、同軸ケーブル、有線、及び/又は他のいずれかの適切な種類の通信リンクといった通信リンクによって転送される。換言すると、本発明の実施例では、通信リンク及び/又は接続は物理的なもの又は無線によるものでありうる。
【0132】
幾つかの有利な実施形態では、プログラムコード1018は、コンピュータで読込可能な信号媒体1026により他のデバイス又はデータ処理システムからネットワークを介して固定記憶域1008にダウンロードされて、データ処理システム1000内で使用される。例えば、サーバーデータ処理システムのコンピュータで読込可能な記憶媒体に格納されたプログラムコードは、ネットワークを介してサーバーからデータ処理システム1000にダウンロードすることができる。プログラムコード1018を提供するデータ処理システムは、サーバーコンピュータ、クライアントコンピュータ、又はグラムコード1018を保存及び転送することができる他の何らかのデバイスであってもよい。
【0133】
データ処理システム1000に例示されている種々のコンポーネントは、種々の実施形態を実施できる方法をアーキテクチャ的に制限するものではない。種々の有利な実施形態を、データ処理システム1000に図解されているコンポーネントに追加の又はその代わりのコンポーネントを含むデータ処理システム内において実施することができる。図10に示す他のコンポーネントは、図示の実施例から変更することができる。種々の実施形態は、プログラムコードを実行できる任意のハードウェアデバイス又はシステムを使用して実施することができる。一実施例として、データ処理システムは、無機コンポーネントと一体化した有機コンポーネントを含むことができる、及び/又は全体を人間を除く有機コンポーネントで構成することができる。例えば、記憶装置は、有機半導体で構成することができる。
【0134】
別の実施例では、プロセッサユニット1004は、特定の用途のために製造又は構成された回路を有するハードウェアユニットの形態をとってもよい。この種のハードウェアは、工程を実行するように構成された記憶装置からメモリにプログラムコードをローディングする必要なく、工程を実施することができる。
【0135】
例えば、プロセッサユニット1004がハードウェアユニットの形態をとる場合、プロセッサユニット1004は、回路システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス、又は任意の数の工程を実行する他の何らかの適切な種類のハードウェアであってもよい。プログラマブルロジックデバイスの場合、このデバイスは任意の数の工程を実行する。このデバイスは、その後再構成することも、又は任意の数の工程を実行するように恒久的に構成することもできる。プログラマブルロジックデバイスの例には、例えば、プログラマブルロジックアレイ、フィールドプログラマブルロジックアレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び他の適切なハードウェアデバイスが含まれる。この種の実装態様では、種々の実施形態のプロセスがハードウェア装置で実施されるため、プログラムコード1018は省略されてもよい。
【0136】
さらに別の実施例では、プロセッサユニット1004は、コンピュータ及びハードウェアユニットの中に見出されるプロセッサの組み合わせを利用して実施することができる。プロセッサユニット1004は、プログラムコード1018を実行するように構成された任意の数のハードウェアユニット及び任意の数のプロセッサを有することができる。この実施例では、プロセスの幾つかは、任意の数のハードウェアユニットにおいて実施することができ、他のプロセスは任意の数のプロセッサで実施することができる。
【0137】
別の実施例では、バスシステムは、通信フレームワーク1002を実施するために使用することができ、システムバス又は入出力バスといった一又は複数のバスから構成することができる。言うまでもなく、バスシステムは、バスシステムに取り付けられた種々のコンポーネント又はデバイスの間でのデータ伝送を行う任意の適切な種類のアーキテクチャを使用して実施することができる。
【0138】
加えて、通信ユニットは、データの送信、データの受信、又はデータの送受信を行う任意の数のデバイスを含みうる。通信ユニットは、例えば、モデム又はネットワークアダプタ、2個のネットワークアダプタ、又はこれらの何らかの組み合わせであってもよい。さらに、メモリは、例えば、通信フレームワーク1002内に存在することがあるインターフェース及びメモリコントローラハブに見られるような、メモリ1006又はキャッシュであってもよい。
【0139】
したがって、種々の有利な実施形態により、グリントによって生じた望ましくないフィーチャを画像から除去するための方法と装置が提供される。種々の有利な実施形態では、望ましくないフィーチャとは、画像解析の困難性を増す、及び/又は画像解析にかかる時間を引き伸ばすフィーチャである。
【0140】
有利な一実施形態では、画像内の望ましくないフィーチャを除去する方法が提供される。画像を空間ドメインから周波数ドメインに変換することにより、変換済み画像を形成する。変換済み画像にフィルタを適用することにより、周波数ドメイン内にフィルタ済み画像を形成する。フィルタ済み画像を周波数ドメインから空間ドメインに戻すことにより、修正済み画像を形成する。修正済み画像における望ましくないフィーチャの強度は、元の画像内の望ましくないフィーチャの強度より増大している。修正済み画像を用いることにより、画像から望ましくないフィーチャを除去して処理済み画像を形成する。
【0141】
上述した種々の有利な実施形態の説明は、例示及び説明を目的とするものであり、完全な説明であること、又はこれらの実施形態を開示された形態に限定することを意図していない。当業者には、多数の修正例及び変形例が明らかであろう。さらに、種々の有利な実施形態は、他の有利な実施形態とは異なる利点を提供することができる。選択された一又は複数の実施形態は、実施形態の原理、実際の用途を最もよく説明するため、及び他の当業者に対し、様々な実施形態の開示内容と、考慮される特定の用途に適した様々な修正との理解を促すために選択及び記述されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像内の望ましくないフィーチャ126を除去する方法であって、
画像を空間ドメイン136から周波数ドメイン138に変換することにより、変換済み画像140を形成するステップ、
変換済み画像140にフィルタ152を適用することにより、周波数ドメイン138内にフィルタ済み画像154を形成するステップ、
フィルタ済み画像154を周波数ドメイン138から空間ドメイン136に戻すことにより、修正済み画像156を形成するステップであって、修正済み画像156内の望ましくないフィーチャ126の強度が、元の画像内の望ましくないフィーチャ126の強度と比較して増大しているステップ、並びに
修正済み画像156を用いて画像から望ましくないフィーチャ126を除去することにより、処理済み画像160を形成するステップ
を含む方法。
【請求項2】
画像を空間ドメイン136から周波数ドメイン138に変換することにより、変換済み画像140を形成するステップが、
画像を空間ドメイン136から周波数ドメイン138内の変換済み画像140に変換する画像のフーリエ変換142を演算するステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
変換済み画像140にフィルタ152を適用することにより、周波数ドメイン138内にフィルタ済み画像154を形成するステップが、
画像のフーリエ変換142の位相成分146を変化させずに画像のフーリエ変換142の振幅成分144を変化させることにより、フィルタ済み画像154を形成するステップを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
画像のフーリエ変換142の位相成分146を変化させずに画像のフーリエ変換142の振幅成分144を変化させることにより、フィルタ済み画像154を形成するステップが、
ルートフィルタ228を使用して、フーリエ変換142の位相成分146の位相に影響を与えることなく画像のフーリエ変換142の振幅成分144の振幅を拡大縮小することにより、フィルタ済み画像154を形成するステップであって、ルートフィルタ228が非線型的に振幅を拡大縮小するステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
フィルタ済み画像154を周波数ドメイン138から空間ドメイン136に戻すことにより、修正済み画像156を形成するステップが、
フィルタ済み画像154を周波数ドメイン138から空間ドメイン136に変換するフィルタ済み画像154の逆フーリエ変換142を演算するステップであって、修正済み画像156内の望ましくないフィーチャ126の強度が、元の画像内の望ましくないフィーチャ126の強度と比較して増大するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
修正済み画像156を用いて画像から望ましくないフィーチャ126を除去することにより、処理済み画像160を形成するステップが、
修正済み画像156に閾値240を適用して、閾値240を上回る値を有する修正済み画像156内のピクセルを保持することにより、閾値適用画像242を形成するステップ、
修正済み画像156を、画像の点拡がり関数246を用いて畳込むことにより、畳込み済み画像を形成するステップであって、畳込み済み画像により、元の画像内の望ましくないフィーチャ126の第2の位置158に対応する畳込み画像内の望ましくないフィーチャ126の第1の位置158が示されるステップ、並びに
画像から畳込み済み画像248を減算することにより、処理済み画像160を形成するステップであって、画像内の望ましくないフィーチャ126の第2の位置158における画像部分が画像から除去されることにより、望ましくないフィーチャ126が除去されるステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ビークル検査システムであって、
ビークルの画像106を生成するように構成されたセンサシステム104、
センサシステム104から画像を受け取り;画像を空間ドメイン136から周波数ドメイン138に変換することにより変換済み画像140を形成し;変換済み画像140にフィルタ152を適用することにより周波数ドメイン138内にフィルタ済み画像154を形成し;フィルタ済み画像154を周波数ドメイン138から空間ドメイン136に戻すことにより修正済み画像156を形成し、このとき修正済み画像156内の望ましくないフィーチャ126の強度が元の画像内の望ましくないフィーチャ126の強度と比較して増大しており;且つ処理済み画像156を用いて画像から望ましくないフィーチャ126を除去することにより処理済み画像160を形成するように構成された画像処理プロセッサ120、並びに
処理済み画像160を解析してビークル内に不整合が存在するかどうかを決定するように構成された画像アナライザ122
を備えるビークル検査システム。
【請求項8】
処理済み画像160を解析して不整合が存在するかどうかを決定するうえで、画像アナライザ122は、処理済み画像160をビークルの別の画像と比較することにより比較スペクトルを形成し;比較スペクトルを用いて不整合が存在するかどうかを決定する、請求項7に記載のビークル検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−69288(P2013−69288A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−207879(P2012−207879)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】