説明

反応性エチレン基で修飾されたポリ(メタ)アクリレートおよびその使用

本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート中の部分的に架橋したポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートをベースとする合成樹脂に関する。前記合成樹脂は、(a)イソシアネート基反応性基を持たない(メタ)アクリレートモノマー(I)と、イソシアネート基反応性基を有する(メタ)アクリレートモノマー(II)を準備することと、(b)前記(メタ)アクリレートモノマー(I)および(II)を重合させ、イソシアネート基反応性基を有するポリ(メタ)アクリレート(III)を生成することと、(c)前記ポリ(メタ)アクリレート(III)と、イソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(IV)とを、前記イソシアネート化合物(IV)におけるイソシアネート基の5〜40%が、前記イソシアネート基反応性基と反応し、これにより、任意の1個の化合物(IV)が、そのイソシアネート基の2個以上で、任意の2個以上の(III)と反応し2〜20倍の重量平均分子量の増加を伴う(III)の部分的な架橋が起こるように反応させることと、(d)工程(c)で得られた化合物を、(メタ)アクリレートモノマー(II)と反応させることとによって得られる。前記合成樹脂は、例えば、有利な物理的および化学的特性を有する複合材料、複合加工物、および塗料の製造における使用に適したラジカル硬化性組成物において結合剤として使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート中のポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートと、任意に(メタ)アクリレートおよび/または反応性希釈剤とをベースとする合成樹脂、ならびにその製造に関するものである。特に前記ポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートの側鎖に存在する反応性エチレン基により、本発明の合成樹脂は、ラジカル硬化性であり、複数の物質の混合物の結合剤として使用可能である。さらに本発明は、これらの混合物から得られる複合材料および加工物、ならびにこれらの結合剤、複合材料、および加工物自体の製造および使用に関するものである。さらに、本発明の合成樹脂は、塗料の製造にも使用可能である。
【背景技術】
【0002】
複合体とは、異なる材料を組み合わせることで得られ、かつ個々の成分の化学的・物理的性質よりも優れた化学的・物理的性質を有する材料である。
【0003】
これらは、例えば、土木工学、科学技術(自動車産業、航空宇宙技術、電気および電子工学、機械および装備工学等)、ならびに医療分野で使用されている。
【0004】
最も一般的な複合材料の製造方法は、1以上の挿入材料を機械的・熱的に母材と結合させるものである。機械的・熱的結合の代替となる方法は、均質な出発物質から相分離によって複合体の成分を調製するものである。当該技術分野の現状では、機械的・熱的結合方法のみが、多量成分の生成および低コストでの大量生産に適している。前記相分離方法は、製造コストがそれ程問題にならない、極めて高い負荷にさらされる少量の成分の製造に適している。
【0005】
複合体の成分としては、例えば、繊維複合体、帯状複合体、層状複合体、および粒子複合体に加工可能な、金属、木材、ガラス、ポリマー、およびセラミック材料が挙げられる。
【0006】
次に、例えば、最も主要なタイプの繊維強化プラスチックは、ガラス繊維強化プラスチック(GFP)である。基本的に、繊維強化プラスチックの本質的な利点は、その部分的に優れた機械的性質により金属の代わりに使用することができ、重量が大幅に削減されることである。
【0007】
典型的な粒子複合材料であるポリマーコンクリートは、本発明の合成樹脂と基本的に置き換え可能な合成樹脂を母材とする複合材料の他の例である。例えば、加工特性および/または取り扱い性を向上させるためには、ポリマーコンクリート中の水硬性結合剤を、合成樹脂、特に、反応性樹脂をベースとするコンクリート添加剤(RHコンクリート(RH concrete))と、部分的または完全に置き換える。
【0008】
合成樹脂をベースとする母材を用いたこれら全ての複合材料における重要な側面として、母材樹脂と各種充填剤間の結合が挙げられる。
【0009】
無機充填剤の場合、前記結合は、接着促進剤を介した間接的な結合である場合が多い。よって、無機充填剤は、例えば、シラン化されていることが多い。
【0010】
有機充填剤と母材樹脂との間には、物理的・化学的結合、化学的結合、または接着により、直接結合が形成される。
【0011】
物理的・化学的結合による直接結合は、例えば、ポリマー充填剤が母材モノマーによって可溶化された際に形成され得る。部分的膨潤と呼ばれるこの可溶化は、メチルメタクリレート(MMA)/ポリメチルメタクリレート(PMMA)をベースとする注型用樹脂中で起こる。注型用樹脂は、通常、添加剤を加えたMMAである液体と、添加剤を加えたPMMAである粉末という2種類の成分を少なくとも含む系である。前記メチルメタクリレート成分を前記ポリメチルメタクリレート成分と混合すると、前記液体により前記粉末が可溶化され、前記PMMAビーズの粒度分布およびモル質量に応じて、概ね迅速にペーストまたは高粘性溶液となる生地が得られる。この可溶化プロセスは、重合反応の開始時に中断される。このプロセスの間に前記MMAから形成された新たな糸状分子は、充填剤として添加された前記PMMA粉末粒子間に広がり、その糸状分子によって密接に絡みつき、これによって、物理的な固着がまず起こる。しかしながら、水素による橋かけ結合も形成される場合があり、かつ/または、かなり限られた程度ではあるが、連鎖移動反応が起こり得る、すなわち、さらなる化学的結合が起こる可能性がある。この種の結合は、部分的相互貫入ネットワークであると見なされる可能性さえある。
【0012】
基本的に、化学的結合による直接結合は、母材モノマーが充填剤ポリマーとグラフト反応することが可能である場合に形成される。このようなグラフト反応は、前記充填剤ポリマーが、例えば、不飽和二重結合または、例えば、ヒドロペルオキシド基、アミノ基、もしくはカルボキシ基のようなその他の反応性官能基をその表面に有する場合に起こり得る。
【0013】
物理的・化学的結合による、特に、化学的結合によるこのような直接結合は、極めて強固で耐久性がある。
【0014】
MMA/PMMAをベースとする注型用樹脂のラジカル硬化中に見られる問題は、発熱反応である。この反応中に、前記メチルメタクリレートの一部が蒸発し、気泡、クラック、および放散(emissions、emissionen)を招く。
【0015】
さらに、ポリマーを形成するモノマーの反応には、常に、収縮または縮小とも呼ばれる、程度の差はあるが大体において著しい体積の減少が伴う。これは、モノマーの構成要素間の長い分子間距離が、ポリマー鎖における共有結合の、前記長い分子間距離よりもかなり短い距離に取って代わられることに起因する。さらに、硬化の際に、エントロピーおよび自由体積の両方が減少する。基本的に、モノマーの分子量および側鎖の空間的必要条件が増加し、1モノマー当たりの反応基の含有量が減少するにつれ、体積の減少は少なくなると言える。
【0016】
MMA(ここに溶解されたPMMA等のポリマーを任意にさらに含む)等のモノマーメタクリレート10〜50重量%、被覆充填剤50〜90重量%、およびその他各種の成分からなる物質の混合物を反応鋳造法で加工する、平板(例えば、調理台)または成形品(例えば、流し台)等の加工物の製造では、系全体の硬化の際の収縮も、充填度の増加に伴い、もちろん減少する。これは、固体粒子が、その体積に関しては、反応中変化しないためである。
【0017】
そのような加工物に関しては、その耐スクラッチ性および熱的安定性を高めるため、また、しばしば光学効果を生じさせるため、硬化の際に充填材料を表面に蓄積させる試みがなされている。反射面を得るためにそのような表面を研磨すると、表面における充填材料が、各ポリメタクリレートのガラス転移温度を超える温度で、硬化中に生じる応力を緩和するために変化してしまい、不完全(ミラー効果に関して)な表面が得られる。
【0018】
ポリメタクリレートをベースとする複合体は、各種耐性(耐紫外線性および/または耐薬品性)が既にその他の複合体よりも優れているため、熱安定性および耐薬品性はさらに高まるが、各種複合体における既存の利点を維持したまま、気泡およびクラックの数および大きさの縮小、放散および収縮の低下はもちろん、光学的な改善(光沢、輝度、色の深さ)をも達成することが望ましい。
【0019】
上記記述を考慮すると、モノマー(メタ)アクリレートが同時に部分〜完全置換された状態で、前記任意に存在するポリマーの代わりに、ラジカル硬化性であり、よって架橋性の(メタ)アクリレート樹脂を含む合成樹脂を使用することがこの目的に適うと考えられる。
【0020】
このような樹脂は、反応基を有する不飽和化合物として、架橋反応においてフリーラジカルを介した膜形成を起こさせるものであるが、その例としては、特に、アクリル化ポリエステル、アクリル化ウレタン、アクリル化ポリアクリレート、アクリル化エポキシ樹脂、オリゴエーテルアクリレート、ならびに不飽和ポリエステル/スチレン結合剤が挙げられる。
【0021】
ウレタン(メタ)アクリレートは、その耐摩耗性と可撓性の高さから、特にPVCおよびコルクフローリングの保護膜に使用されている。その他の利用分野としては、木材塗装、オーバープリントワニス、印刷用インク、および皮革塗装が挙げられる。さらに、ウレタン(メタ)アクリレートは、フレキシブルプラスチック基板用のコーティング系にも使用されている。電気産業界では、ウレタン(メタ)アクリレートは、シルクスクリーンインクやプリント回路基板のソルダーレジストに使用されている。
【0022】
多数の出発物質から調製可能なウレタン(メタ)アクリレート化合物には、いくつかの代表例がある。
【0023】
基本的には、(メタ)アクリル化ウレタンは、イソシアネート基とヒドロキシル基含有アクリレートまたはメタクリレートモノマーとの反応によって得られる。各種ジイソシアネートを使用した場合には、それぞれに対応するジビニル生成物が得られる。
【0024】
最も単純なウレタン(メタ)アクリレートは、ジイソシアネートとヒドロキシル基含有アクリレートまたはメタクリレートモノマーとの反応によって形成される。さらなるヒドロキシル基含有化合物、例えば、ヒドロキシル基を2個以上有するポリオール、ポリエステル、またはポリエーテルを使用した場合には、鎖延長が起こる。
【0025】
数個のヒドロキシル基を有する出発物質を使用することにより、多数のウレタン(メタ)アクリレートを調製することができる。可撓性を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ジイソシアネートと長鎖ジオールおよびヒドロキシル基含有モノマーとの反応によって形成される。また、ジイソシアネートと、程度の差はあれ概ね高度に分岐した多官能性ポリオールおよびヒドロキシル基含有モノマーとの反応により、程度の差はあれ概ね硬質のウレタン(メタ)アクリレートが形成される。
【0026】
調製には、基本的に2つの方法がある。一方法として、ヒドロキシル基含有初期縮合物(precondensate)または付加重合体を、過剰量のジイソシアネートと反応させることが可能である。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを添加することにより、不飽和ウレタン(メタ)アクリレートが形成される。あるいは、前記ジイソシアネートおよびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートをまず反応させ、その後、得られたセミ付加物(semiadduct)を、ヒドロキシル基含有重縮合物または付加重合体と反応させてもよい。
【0027】
ウレタン(メタ)アクリレートは、主にポリエステルウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート、およびポリオールウレタン(メタ)アクリレートの3つに分類される。
【0028】
特性が大きく異なる各種ウレタン(メタ)アクリレート化合物が市販されている。例えば、鎖長、反応基濃度、およびその他の機能パラメータに関して、高分子骨格の改変は、生成物の特性に様々な点で影響を与える。
【0029】
ウレタン(メタ)アクリレートの分野における近年の進歩には、二官能性のα,ω−ポリメタクリレートジオールをベースとしたウレタン(メタ)アクリレートの調製(欧州特許第1132414号明細書(特許文献1)参照)が挙げられる。本発明のポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートは、当該特許に記載のものとは、より大きな分子量を通常有すること、所望される場合には最終的にこれらの(メタ)アクリレートのみが反応性溶媒中に存在することを可能にする特殊な調製方法、ならびに、末端官能基のみを含むものではないことから多官能性であるという点において相違している。
【0030】
欧州特許出願第1306399号明細書(特許文献2)には、ウレタン結合によって結合された重合性不飽和基を側鎖に有するアシル樹脂と、1分子当たり少なくとも1個の重合性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとを含む光硬化性プライマー組成物が記載されている。前記プライマー組成物は、ヒドロキシル基含有アシル樹脂と、イソシアネート基および重合性不飽和基を含有する化合物とを反応させるか、あるいは、イソシアネート基を含有するアシル樹脂と、ヒドロキシル基および重合性不飽和基を含有する化合物とを反応させることにより調製される。
【0031】
アクリロ−アクリレートは、「ポリ(メタ)アクリレート骨格」の基本部分と官能基とが本発明のポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートと共通するものであるが、好適な官能性および非官能性モノマーを通常の有機溶媒中でラジカル開始重合させることによって得ることができる。未反応の過酸化物は、反応混合物を数時間反応温度に保つことによって破壊される。次に、好適な機能性アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーを添加し、温度範囲TR=50〜120℃で反応させる。
【特許文献1】欧州特許第1132414号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第1306399号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明の目的は、複合材料および相当する加工物の製造に使用されるラジカル硬化性の物質混合物の調合に適した合成樹脂、ならびに、物質混合物、複合材料、および前記加工物自体を提供することである。本発明の別の目的は、 塗料の製造に使用されるラジカル硬化性の物質混合物の調合に適した合成樹脂、ならびに前記塗料自体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
対応する複合材料および加工物は、すでに市場に出回っているものよりも、その特性が優れているべきである。したがって、接着用プラスチックは、常に(メタ)アクリレート系であるべきであり、例えば、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、またはエポキシ樹脂をベースとする複合材料および加工物は、特に、耐紫外線性でも耐色性でもなく、かつ/または光沢や透明性も示さない。よって、必要に応じて、この新規な系は、仕上げ塗料が不要なように、高品質で光学的性能の良い表面を提供する。適用可能な用途は多数あり、また、得られる加工物としては、例えば、鍋類の把手、電気装置のスイッチ、シェルシート、風力タービン翼、装飾面、ガーデンタイル、ベンチ、または調理台および流し台が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の材料は、
・衝撃強度
・耐紫外線性
・疎水性、疎油性
といった良好な特性を維持しながらも、公知の材料と比較して、以下を特徴とする。
・本発明の材料には、気泡およびクラックがないか、あるいはこれらが少なくかつ小さい。
・本発明の材料は、より高い熱安定性および耐薬品性を示す。
・その製造中に、収縮および放散が起こらないか、あるいは少ない。
・本発明の材料は、より迅速に製造できる。
・本発明の材料は、光学特性が向上している。
【0035】
さらに、本発明の材料および加工物の製造に使用される硬化性組成物は、向上した流動挙動を特徴とし、よって、結局は、前記硬化性組成物に含有される充填剤がより良好に濡れることを特徴とする。
【0036】
前記ラジカル硬化性組成物を使用して複合材料、複合加工物、塗料、または同等の塗膜を製造する場合、完成品に閉じ込められた溶媒およびその他の揮発成分により、硬化の際に問題が生じることが往々にしてある。このことは特に、紫外線硬化等の比較的迅速な硬化方法が用いられる場合に当てはまる。例えば、硬度および耐スクラッチ性が低下し、気泡および空洞が形成され、耐薬品性が損なわれ、このような複合加工物またはこのような塗料でコーティングされた物品の使用が、不快臭または健康への悪影響等の望ましくない副作用を伴う場合がある。加工物または塗装表面から揮発成分が徐々に放出され、これに続いて凝縮現象および塵埃粒子との凝集が起こることにより、塗装部分近傍の表面に、多くの場合油質または粘着性である膜が形成される場合もあり、これにより、例えば、新車のフロントガラスまたは新築もしくはリフォームされたアパートの部屋の表面の灰色化が生じる。このような作用は、「フォギング(fogging)」とも呼ばれている。よって、これらの不利点を伴うことなく、上述の利点を提供する調合物が望ましい。
【0037】
特に、これらの目的、ならびに、向上した特性を有する複合材料および加工物または塗料の調製に一般的に使用可能な新規ラジカル硬化性系の調製は、本発明の主題によって達成される。
【0038】
驚くべきことに、より詳細に以下に説明する請求項記載の本発明の合成樹脂の使用により、優れたラジカル硬化性組成物を提供できることがわかった。これらの組成物を任意に添加剤と組み合わせて調合しラジカル硬化性の塊を形成することができ、この塊から、先に述べた要件を満たす複合材料および加工物、さらに塗料を製造することができる。
【0039】
したがって、本発明によって調製した複合材料、加工物、および塗料は、特にその熱安定性および耐薬品性の点で、先に述べた従来公知のものよりも優れている。さらに、従来技術とは対照的に、本発明の複合材料および加工物においては、クラックや気泡は見られず、かつ収縮の程度も著しく低い。さらに、前記複合材料および加工物において、各種硬化性組成物のチキソトロピックな流動挙動と共に、色の深さおよび輝度の向上を確認することができる。結局のところ、これらの特性は、本発明によって調製されるポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートおよびウレタン(メタ)アクリレートにおける付加的構造ユニット(ウレタン基)により、添加剤、特に充填剤の濡れがより良好であるために得られるものである。本発明によれば、接着促進剤による、添加剤、特に充填剤のコーティングを、レオロジー添加剤の添加と同様、割愛できる。よって、本発明によって調製された合成樹脂は、通常は粘性の溶液として、あるいは、分子間相互作用が強力な場合は、蝋状の塊として存在する。
【0040】
本発明に固有の別の特徴は、従来技術と比べて、硬化時間および硬化に要するエネルギーを低減することができるということである。これは、特に、本発明の合成樹脂においては、分子量がより大きい多官能性ポリ(メタ)アクリレートの含有量が極めて大きいことに起因する。この分子量がより大きく、かつ特に部分的に架橋した(これについては、以下に実証する)ポリ(メタ)アクリレートの含有量により、最終的な硬化の際に生じる応力が低減する。このような応力の低減がなければ、製造された加工物の品質に悪影響が及ぶおそれがある。
【0041】
ポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートおよびウレタン(メタ)アクリレートにおける脂肪族構造は、樹脂系にさらなる疎水性を付与し、よって高度の耐薬品性に寄与する。
【0042】
硬化された本発明の樹脂系の耐紫外線性もまた注目に値する。例えば、好ましい実施形態において、本発明の合成樹脂に含有される成分は、紫外線下で不安定な芳香族構造またはその他の構造を全く含まない。
【0043】
よって、一実施形態においては、本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート中のポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートをベースとする合成樹脂であって、(a)イソシアネート基反応性基(イソシアネート基に反応性な基)を持たない(メタ)アクリレートモノマー(I)と、イソシアネート基反応性基を有する(メタ)アクリレートモノマー(II)を準備することと、(b)前記(メタ)アクリレートモノマー(I)および(II)を重合させ、イソシアネート基反応性基を有するポリ(メタ)アクリレート(III)を生成することと、(c)前記ポリ(メタ)アクリレート(III)と、イソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(IV)とを、前記イソシアネート化合物(IV)におけるイソシアネート基の5〜40%、好ましくは10〜30%が前記イソシアネート基反応性基と反応し、これにより、任意の1個の化合物(IV)が、そのイソシアネート基の2個以上で、任意の2個以上の(III)と反応し2〜20倍の重量平均分子量の増加を伴う(III)の部分的な架橋が起こるように反応させることと、(d)工程(c)で得られた化合物を、(メタ)アクリレートモノマー(II)と反応させることとによって得られる合成樹脂に関するものである。
【0044】
本発明において、「ウレタン」という用語は、ポリ(メタ)アクリレート(III)のイソシアネート基反応性基および/または(メタ)アクリレート(II)と、イソシアネート化合物(IV)のイソシアネート基との付加生成物を指す。イソシアネート基反応性基の種類に応じ、例えば、カルバミン酸エステル基(−O−(CO)−NH−)、カルボニルオキシカルバモイル基(−(CO)−O−(CO)−NH−)、カルバミド基(−NH−(CO)−NH−)、および/またはチオカルバミン酸−S−エステル基(−S−(CO)−NH−)を含む構成単位を形成することができる。
【0045】
工程(c)で得られる、イソシアネート基反応性基を有するポリ(メタ)アクリレート(III)とイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(IV)の高分子付加生成物(V)において、(III)と(IV)とは付加反応で形成されたウレタン構成単位を介して結合されている。よって、付加生成物(V)は、少なくとも1個の遊離イソシアネート基((IV)由来)を含む基にウレタン構成単位を介して結合されるポリマー骨格((III)由来)を示している。この時点で、付加生成物(V)は、その遊離イソシアネート基を介し、工程(c)においてさらなるポリ(メタ)アクリレート(III)に結合し、これにより部分的に架橋された生成物を形成することができる一方、他方では、工程(d)においてさらなる(メタ)アクリレート(II)と反応できる。
【0046】
同時に、工程(c)で添加された過剰量または未反応のイソシアネート化合物(IV)が(メタ)アクリレート(II)と反応し、工程(d)においてウレタン(メタ)アクリレートが形成される。後者はまた、本発明の合成樹脂において反応性希釈剤の役割も担っている。
【0047】
過剰量のイソシアネート化合物(IV)が、工程(c)において効果的に使用される。このことは、存在している化合物(III)のイソシアネート基反応性基の総数に対し、イソシアネート化合物(IV)の分子が過剰であることを意味する。工程(c)において、イソシアネート基反応性基1モル当たり、2.5〜20モル当量のイソシアネート化合物(IV)を添加することが好ましい。
【0048】
工程(c)においてイソシアネート基反応性基と反応するイソシアネート化合物(IV)のイソシアネート基の割合は、例えば、化学量論的に、すなわち、過剰量のイソシアネート化合物(IV)を、例えば、工程(a)で使用されるモノマー(I)および(II)の量に基づいて算出可能な、(III)と(IV)の反応前に存在するイソシアネート基反応性基の数に基づき、相応に選択することにより求めることができる。
【0049】
あるいは、イソシアネート基反応性基と反応するイソシアネート化合物(IV)のイソシアネート基の割合は、工程(c)における反応後にも依然として存在する遊離イソシアネート基を(例えば、ドイツ工業規格(DIN)53185の滴定法によって)求めることで検証できる。
【0050】
好ましい実施形態において、本発明は、工程(b)における反応および/または工程(c)における反応が溶媒の存在下で行われる合成樹脂に関するものである。工程(b)における反応と工程(c)における反応を、同一の溶媒中で行うことが特に好ましい。本発明によれば、使用した溶媒は、工程(c)での反応後および/または反応中に除去することができる。その間、工程(c)で添加されたイソシアネート化合物(IV)が、一時的にその機能を果たすことができる。特殊な実施形態においては、粘度を調整するため、工程(d)の前および/または後に反応性希釈剤を添加することができる。
【0051】
(メタ)アクリレートモノマー(I)および(メタ)アクリレートモノマー(II)は、工程(a)において、100:1〜1:1、より好ましくは20:1〜4:1のモル比で使用されることが好ましい。特殊な実施形態においては、イソシアネート化合物(IV)を、工程(c)において、イソシアネート基反応性基1モル当たり、2.5〜20モル当量、より好ましくは4〜12モル当量使用することができる。(メタ)アクリレートモノマー(II)を、工程(d)において残存しているイソシアネート基1モル当たり、1.0〜1.1モル当量使用することが好ましい。このようにして、最終生成物である本発明の合成樹脂中に、遊離イソシアネート基が全く残存しないようにすることが好ましい。
【0052】
本発明で使用されている(メタ)アクリレートという用語は、メタクリレートとアクリレートの両方を含む。
【0053】
本発明によれば、イソシアネート基反応性基を持たない(メタ)アクリレート(I)が、工程(a)で使用される。イソシアネート基反応性基を持たない(メタ)アクリレート(I)としては、本発明においては、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。ここで、当該エステルのアルコール部は、炭素原子を好ましくは1〜18個、より好ましくは1〜8個、最も好ましくは1〜4個含み、直鎖状または分枝状のいずれであってもよい。また、当該エステルのアルコール部は、酸素、窒素、または硫黄等のヘテロ原子を1〜8個任意に含んでいてもよい。
【0054】
上述の(メタ)アクリル酸エステルの例としては、特に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブチルジグリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(methoxpolyethyleneglycol-(meth)acrylate)、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンチオールジ(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールトリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペントールヘキサ(メタ)アクリレート(dipentolhexa(meth)acrylate)、ビスフェノールAとエチレンオキシドの付加生成物のジ(メタ)アクリレート、ジウレタンジ(メタ)アクリレート、および/またはポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0055】
これらの例の中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、およびイソボルニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0056】
ポリ(メタ)アクリレート(poly(meth)acrylat)(III)中で共重合された(interpolymerized)(メタ)アクリレートモノマー(I)を、最大70%まで、反応性エチレン基を有する他のモノマーで置き換えることができる。この目的には、ビニルトルエン、ビニルアセテート、スチレン、ならびにN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドおよび3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等、イソシアネート基反応性基を持たない(メタ)アクリルアミドから選択される化合物を使用することができる。
【0057】
本発明に不可欠な別の成分として、イソシアネート基反応性基を有する(メタ)アクリレートモノマー(II)が工程(a)で使用されている。次のイソシアネート化合物との反応を確実に生じさせるため、本発明の(メタ)アクリレートは、イソシアネート基反応性基を含む。基本的に、これには、例えば、イソシアネート基との反応により化学結合し得る少なくとも1の求核基を有する(メタ)アクリレートモノマーが含まれ、前記求核基は、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アミノ基、およびメルカプト基から選択される基、好ましくはヒドロキシル基、アミノ基、およびメルカプト基から選択される基、より好ましくはヒドロキシ基およびアミノ基から選択される基、最も好ましくはヒドロキシル基である。先に挙げた基から選択される異なる基を有する複数の(メタ)アクリレートモノマー(II)の混合物を使用することも可能である。イソシアネート基反応性基の種類または求核基に応じ、例えば、カルバミン酸エステル基、カルボニルオキシカルバモイル基、カルバミド基、および/またはチオカルバミン酸−S−エステル基を含む構成単位が形成され得る。本発明においては、これらは「ウレタン」という用語で総称されるが、これは形成された構成単位がウレタン構造由来であるからである。カルバミン酸エステル基、カルバミド基、および/またはチオカルバミン酸−S−エステル基を含む構成単位が好ましく、カルバミン酸エステル基および/またはカルバミド基を含む構成単位がより好ましく、カルバミン酸エステル基を含む構成単位が最も好ましい。通常、本発明で使用される求核基の1個以上、好ましくは1個、2個、3個、または4個、より好ましくは1個が、C2-10炭化水素基、好ましくはC2-4炭化水素基と結合し、これが、(例えば、メチロール(メタ)アクリルアミドにおける結合のような)エステルまたはアミド結合、好ましくはエステル結合を介して前記(メタ)アクリレートの酸性基と結合する。好ましくは、前記求核基は、1個以上、好ましくは1個、2個、3個、または4個、最も好ましくは1個のヒドロキシル基であることが好ましい。2個のヒドロキシル基の使用例として、ジヒドロキシ官能性グリセリンモノ(メタ)アクリレートについて述べる。ヒドロキシル官能性を有する実用上好ましいアクリル系モノマーは、ヒドロキシ−C2-10−アルキル−アクリレートであり、特に、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)およびヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)等のヒドロキシ−C2-10−アルキル−アクリレートである。対応する、より毒性の低いヒドロキシ−C2-10−アルキル−メタクリレート、特に、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ−C2-10−アルキル−メタクリレートを使用することもできる。使用可能なさらに別のモノアクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ならびにグリシジル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸の等モル反応生成物が挙げられる。本発明によれば、トリメチロールジアクリレート(TMDA)、トリメチロールプロパン−ジ(メタ)アクリレート、またはグリセリン−ジ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ官能性ジ(メタ)アクリレート、およびペンタエリスロールトリアクリレート(pentaerithrol triacrylate)(PETA)等のヒドロキシル官能性トリアクリレートを使用することができる。相応の結合剤は、塗膜および/または複合体において、特に高い架橋密度を示す。(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリルアミドのモノマーとしての使用は、これらとイソシアネートとの結合の安定性があまり高くないことから、本発明においては好適性が低い。
【0058】
本発明の一実施形態においては、工程(b)における反応および/または工程(c)における反応を、溶媒の存在下で行うことができる。この場合、同一の溶媒を両反応に使用することが好ましい。好適な溶媒は、例えば、ヒドロキシル基またはカルボン酸基等の求核基を含まないこと、ならびに、適切な沸点、好ましくは40〜150℃の沸点、より好ましくは80〜130℃の沸点を有し、反応終了後および/または反応中に容易に除去できることを特徴とする。本発明において使用可能な好ましい溶媒としては、例えば酢酸ブチル等のエステル類、例えばメチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン類、例えばテトラヒドロフランおよびジブチルエーテル等のエーテル類、ならびに、例えばトルエン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。好適な溶媒は、当該技術分野において公知であり、前記反応に用いられる反応相手に応じ、当業者は容易に選択することができる。
【0059】
工程(b)の反応は、成分(I)および(II)のフリーラジカル溶液重合によって行われることが好ましい。この反応に溶媒を使用する場合、前記溶媒は、工程(b)の反応終了後に除去することもできるし、あるいは異なる溶媒と置き換えることもできる。好ましい実施形態においては、工程(b)で得られた反応混合物を、使用した溶媒の除去または置き換えを行うことなく、そのまま工程(c)で使用する。
【0060】
特殊な実施形態においては、前記フリーラジカル溶液重合を、触媒の使用によってサポートすることができる。フリーラジカル連鎖開始剤(free-radical chain initiators)が、触媒として好ましい。当該技術分野において公知となっている好適なフリーラジカル連鎖開始剤の例としては、過酸化ベンゾイルまたは過酸化ジラウリル等の過酸化ジアシル、t−ブチルヒドロペルオキシドまたはクメンヒドロペルオキシド等のアルキルヒドロペルオキシド、t−ブチルペルベンゾアートおよびt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート等のアルキルペルオキシエステル、ならびに、アゾジイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。成分(I)および(II)の総量に対し、1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%の触媒、例えば、フリーラジカル連鎖開始剤を使用することが好ましい。
【0061】
例えば、1−ドデカンチオール等のメルカプタンまたは2プロパノール等のアルコールを、重合調節剤として、好ましくは成分(I)および(II)の総量に対し、それぞれ0〜3重量%使用することができる。分子の大きさを制御するため、高圧、好ましくは大気圧(通常は、1.01325bar)より高い圧力から8barまでの圧力、特に好ましくは1.5〜8barの圧力、最も好ましくは1.5〜5barの圧力の下で反応を行うことも可能である。このような圧力により、使用する溶媒に応じて、必要であれば、約250℃までの高温での作業が可能となる(以下参照)。
【0062】
工程(b)における重合により、イソシアネート基反応性基を有するポリ(メタ)アクリレート(III)が生じる。
【0063】
本発明によるポリ(メタ)アクリレート(III)の形成は、通常、好適な触媒、例えば、フリーラジカル連鎖開始剤の存在下で、前記イソシアネート基反応性基を有する(メタ)アクリレート(II)と前記イソシアネート基反応性基を持たない(メタ)アクリレート(I)を反応させることによって起こる。この反応は、好適な溶媒中で起こることが好ましい。好ましい溶媒量は、成分(I)および(II)に対し、10〜150重量%、特に50〜100重量%である。前記反応を、溶媒が沸騰する温度範囲内の温度で、すなわち、還流させながら起こすと好都合である。好ましい温度は、40〜150℃、特に80〜130℃の範囲である。加圧下では、前記反応を、40〜250℃、特に100〜180℃の温度で行うことも可能である。
【0064】
本発明のポリ(メタ)アクリレート(III)は、イソシアネート基反応性基を好ましくは1〜100個、特に好ましくは1〜10個含み、かつ、好ましくは100:1〜1:1、より好ましくは20:1〜4:1の比率で存在するタイプIおよびタイプIIの(メタ)
アクリレートモノマー構成要素((meth)acrylate monomer building stones)10〜1000個からなることが好ましい。好ましいポリ(メタ)アクリレート(III)は、重量平均分子量(Mw)が約2,000〜10,000g/モル、好ましくは約4,000〜8,000g/モル、最も好ましくは約6,000g/モル(約400〜約30,000g/モルの分子量分布)である。
【0065】
工程(b)で得られたポリ(メタ)アクリレート(III)を、工程(c)において、イソシアネート基(ポリイソシアネート)を2個以上含むイソシアネート化合物(IV)と付加反応させる。
【0066】
もちろん、工程(c)において、複数の異なるポリ(メタ)アクリレート(III)を使用することもできる。
【0067】
一方では、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する脂肪族、芳香族、および複素環式イソシアネート(モノマー)が、本発明においてポリイソシアネートとして使用される。
【0068】
ポリイソシアネート(IV)の例としては、トルエン−2,4−ジイソシアネート(2,4−TDI)、トルエン−2,6−ジイソシアネート(2,6−TDI)、3−フェニル−2−エチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、クメン−2,4−ジイソシアネート、4−メトキシ−1,3−ジフェニルジイソシアネート、4−クロロ−1,3−フェニルジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4‘−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4‘−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2‘−ジイソシアネート、4−ブロモ−1,3−フェニルジイソシアネート、4−エトキシ−1,3−フェニルジイソシアネート、2,4‘−ジイソシアネート−ジフェニルエーテル、5,6−ジメチル−1,3−フェニルジイソシアネート、2,4−ジメチル−1,3−フェニルジイソシアネート、4,4−ジイソシアナトジフェニルエーテル、4,6−ジメチル−1,3−フェニルジイソシアネート、9,10−アントラセンジイソシアネート、2,4,6−トルエントリイソシアネート、2,4,4‘−トリイソシアナトジフェニルエーテル、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,3−シクロへキシレンジイソシアネート、4,4‘−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、キシレンジイソシアネート、1−イソシアナト−3−メチルイソシアナト−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,3−ビス(イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(m−TMXDI)、および1,4−ビス(イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(p−TMXDI)が挙げられる。
【0069】
さらに、先に定義したモノマーイソシアネート化合物のオリゴマー(いわゆる「プレポリマー」)、好ましくは上述の例のモノマーイソシアネート化合物のオリゴマーを使用することもできる。本発明での使用に適したオリゴマーは、イソシアネート基を2個以上含む。これらは、分子量が100〜1,500g/モルであることが好ましい。このようなオリゴマーの例は、先に定義したイソシアネートのトリマー(いわゆる「イソシアヌレート」)であり、分子量504.6g/モルのヘキサメチレントリイソシアネート(HDI)のトリマー、分子量666.9g/モルのイソホロンジイソシアネート(IPDI)のトリマー等が挙げられる。これらはいずれも、イソシアネート基に対して三官能性である。
【0070】
最終的には、先に定義したモノマーイソシアネート化合物、好ましくは上述の例のモノマーイソシアネート化合物の反応生成物を使用することができる。本発明での使用に適した反応生成物は、イソシアネート基を2個以上含む。このような反応生成物の例は、先に定義したモノマーイソシアネート化合物と、例えば、エチルグリコール、プロピルグリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、およびヘキサントリオール等のポリオールまたは水との反応により得られる化合物が挙げられる。このような化合物の例としては、イソシアネート基に対して三官能性を示す、トリメチロールプロパンの1分子と、トルエンジイソシアネート(TDI)の3分子との付加物等のポリイソシアネート−ポリオール付加物、ならびに、イソシアネート基に対して二官能性を示す、ヘキサメチレントリイソシアネート(HDI)3分子と、水1分子を反応させ、CO2を除去した反応生成物等のビウレット(biureth)化合物が挙げられる。
【0071】
HDIまたはIDPI等の脂肪族ジイソシアネートを本発明にしたがって好ましく使用することにより、特に、変色に対して耐性を有する耐光性の合成樹脂が得られる。
【0072】
ポリ(メタ)アクリレート(III)とイソシアネート(isocyanat)(IV)の反応で得られる好ましい反応生成物は、通常、約1,000〜約200,000g/モルの分子量分布を有している。イソシアネート化合物(IV)との反応前の分子量と比べて、分子量が高くなっているという事実は、本発明のポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートが部分的に架橋されていることを示している。これは、例えば、イソシアネート基を2個以上の有するイソシアネート化合物(IV)の分子の一部が、2個以上のポリ(メタ)アクリレート鎖(III)におけるイソシアネート基反応性基と反応した場合に起こり得る。このようにして、2〜20倍の重量平均分子量の増加が起こる、すなわち、ポリ(メタ)アクリレート(III)の分子が平均2〜20個架橋される。
【0073】
好ましい実施形態において、使用される溶媒は、工程(c)の最中および/または終了後に除去することができる。
【0074】
工程(c)で得られた反応混合物を、工程(d)において(メタ)アクリレートモノマー(II)と反応させる。ここで、当該(メタ)アクリレートモノマー(II)のイソシアネート基反応性基が、付加反応において、残存しているイソシアネート基に付加される。
【0075】
本発明によれば、工程(c)および/または工程(d)における付加反応を、好適な触媒の使用によってサポートすることができる。例えば、トリエチルアミン、DABCO、またはジブチル錫ジラウレート等の通常のウレタン化触媒が、任意に触媒として使用される。
【0076】
(メタ)アクリレートおよび/または好適な反応性希釈剤を添加することにより、工程(d)の前または後に、好適な粘度に調整することができる。
【0077】
反応性二重結合を好ましくは1〜5個含む、従来技術において公知となっている低分子化合物を反応性希釈剤として使用することができる。以下の例が挙げられる:イソボルニルアクリレートまたはN−ビニルピロリドン等の単官能反応性希釈剤(反応性二重結合が1個);ヘキサンジオールジアクリレートまたはトリプロピレングリコールジアクリレート等の二官能反応性希釈剤(反応性二重結合が2個);ならびに、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化またはプロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化グリセリントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の、架橋密度を増加させる三官能から六官能反応性希釈剤(反応性二重結合が3〜6個)。好ましい反応性希釈剤量は、組成物全体の0〜50重量%、特に0〜30重量%の範囲である。
【0078】
前記反応性希釈剤は、二つの重要な機能を有している。一つは、ラジカル硬化性組成物の粘度を低下させることであり、もう一つは、結果として得られる複合材料もしくは加工物、または塗料の物理的・化学的特性に著しい影響を与えることである。
【0079】
典型的な組成物は、例えば、ポリマーを52重量%、ウレタン(メタ)アクリレートを25重量%、メチル(メタ)アクリレートおよび/または反応性希釈剤を23重量%含んでいてもよい。
【0080】
ここで、本発明の合成樹脂に含有される各種成分の分子質量および化学構造、当該合成樹脂中のウレタン基含有量、前記成分の比率、そしてもちろん、最終的には温度に応じて、材料は、液体または蝋様のペースト状で存在することに留意すべきである。先に述べたような状況次第で、材料がたとえ室温でさえ蝋様のペースト状で存在し得るということは、前記材料に含有されるウレタン基がその大きな要因となっている。ウレタン基は、極性の高さおよび水素による橋かけ結合を形成する能力を特徴とする。
【0081】
基本的に、1以上のポリ(メタ)アクリレート(III)と、例えばトリメチロールプロパン、ジ(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ(ペンタエリスリトール)、ネオペンチルグリコール、およびメチルプロパンジオール等のその他のポリオールと、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、または例えばネオペンチルグリコールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、トリメチロールプロパンプロポキシレート、ペンタエリスリトールエトキシレート、およびペンタエリスリトールプロポキシレート等のポリエーテルポリオールとの混合物を、工程(c)において使用することもできる。このようなポリオールを使用する場合、粘度調整のための反応性希釈剤および(メタ)アクリレートの使用を、場合により割愛することができる。しかしながら、このようなポリオールの使用は機械的特性および化学的特性の両方に悪影響を及ぼす可能性があり、このため、このような調合物は、本発明の意図においては好適とは見なされない。
【0082】
工程(d)で調製された本発明の合成樹脂は、そのまま、または添加剤と組み合わせてラジカル硬化性組成物として使用する。本発明のラジカル硬化性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート中のポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートと、任意に(メタ)アクリレートおよび/または反応性希釈剤とをベースとする上述のような合成樹脂を少なくとも1種と、当業者に公知の添加剤を1種以上任意に混合することにより調製することが好ましい。前記添加剤は、例えば、酸化チタン等の白色顔料、カーボンブラックおよび黒酸化鉄等の黒色顔料、銅フタロシアニン等の青色顔料、酸化クロムグリーン(chromoxide green)等の緑色顔料、黄酸化鉄等の黄色顔料、赤酸化鉄等の赤色顔料、およびその他の有色顔料のような顔料(顔料ペースト);例えば、アザ[18]アヌレン(aza[18]annulenes)、ニトロ染料、ニトロソ染料、アゾ染料、カルボニル染料、および硫黄染料のような染料;例えば、重晶石または永久白等のアルカリ土類硫酸塩、滑石等のケイ酸マグネシウム、雲母等のケイ酸アルミニウム、ガラス繊維等の有機および無機繊維、任意にエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、または水ガラスでコーティングされた、シリカ材料、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、チョーク、雲母鉄鉱、およびグラファイトからなるミクロスフェアのような充填剤;例えば、高度に分散したケイ酸、ベントナイト(沈降防止剤として)、ステアリン酸または蝋(内部分離剤として)、湿潤剤、および消泡剤のような添加剤;ならびに、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化もしくはプロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化グリセリントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのような多官能性架橋剤から選択されることが好ましい。好ましい添加剤量は、組成物全体の30〜90重量%、好ましくは40〜70重量%である。
【0083】
本発明のラジカル硬化性組成物は、フリーラジカル重合を促進する触媒、特にフリーラジカル連鎖開始剤、特に好ましくは過酸化物を含むことが好ましい。これらは、例えば、熱または入射光によって活性化可能であってもよい。好適なフリーラジカル連鎖開始剤の例は、特に好適な過酸化物の例も含めて、先に挙げた通りである。
【0084】
製造および保存中における本発明のラジカル硬化性組成物または合成樹脂自体の早すぎる硬化を防止するため、安定剤または阻害剤を添加することができる。
【0085】
早すぎる重合の防止に適した安定剤または阻害剤の例を以下に挙げる:1,4−ジヒドロベンゼン(ヒドロキノン、HQ)、4メトキシヒドロキシベンゼン(ヒドロキノンモノメチルエーテル、HQMEまたはMEHQ)、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン(DTBHQ)、フェノチアジン(チオジフェニルアミン、PTZ)、ニトロベンゼン。
【0086】
これらは、本発明の合成樹脂に対し、50〜1,000ppm存在することが好ましい。製造中における望ましくない気相重合をも抑制するため、ニトロベンゼンを任意に添加することができる。製造中に酸素が存在すれば有利であるが、引火しやすい混合物となるおそれがある。
【0087】
本発明によれば、先に述べたラジカル硬化性組成物から複合材料および加工物を製造することができる。この目的のため、本発明のラジカル硬化性組成物を型内に配置する。この作業は、添加剤の濡れが良好であることから優れた流動挙動を示す本発明の組成物に関しては、例えば、MMA/PMMAをベースとする同等の物質混合物よりも迅速に行える。
【0088】
前記塊を型内に供給した後、前記型内の塊を、例えば、過熱蒸気で、好ましくは20〜30分間、好ましくは3〜4barの圧力下で、好ましくは70〜130℃の温度に達するまで加熱する。硬化後、得られた複合材料または相当する加工物を前記型から取り出し、公知の方法を用いてさらに加工することができる。例えば、鍋類の把手、電気装置のスイッチ、シェルシート、風力タービン翼、装飾面、ガーデンタイル、ベンチ、調理台および流し台等の加工物を、上述のラジカル硬化性組成物から、加圧、加熱、および成型を行いながらフリーラジカル重合させることにより製造することができる。
【0089】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の合成樹脂を含む本発明のラジカル硬化性組成物を硬化することによって得られる複合材料から加工物を製造する方法であって、上述の工程(a)〜(d)に加えて、以下に挙げる工程を含む方法に関する。
(e)工程(d)で得られるタイプの混合物であって、(メタ)アクリレートおよび/または好適な反応性希釈剤の添加により、所望の粘度に任意に希釈された混合物を少なくとも1種含み、さらに、例えば、顔料、染料、充填剤、添加剤、触媒である過酸化物、および多官能性架橋剤(前記各種添加剤の好適な例は、それぞれ先に挙げた通りである)から選択される当業者に公知の添加剤を1種以上任意に含む組成物を準備する工程;
(f)工程(e)の組成物を、型内において高温高圧で反応させて、複合材料または加工物を得る工程であって、好ましい温度範囲は、40〜150℃、特に70〜130℃であり、好ましい圧力範囲は、0.5〜5bar、特に3〜4barである工程;
(g)工程(f)で得られた複合材料または加工物を任意に機械加工し、最終形態を付与する工程。
【0090】
本発明の複合材料または加工物は、高い硬度と衝撃強度、光沢、色の深さ、透明度、寸法安定性、疎水性、疎油性、耐スクラッチ性、ならびに高い耐薬品性、熱安定性、および耐紫外線性を特徴とし、さらに微小クラックや気泡が全くないことも特徴とする。
【0091】
本発明の合成樹脂は、さらに、ラジカル硬化性組成物の成分として、塗料の製造にも使用することができる。この場合、前記組成物は、少なくとも1種の(メタ)アクリレートおよび/または反応性希釈剤、好ましくは反応性希釈剤を用いて所望の粘度に任意に調整することができる。好適な反応性希釈剤の例は、先に挙げた通りである。このようにして、硬化後に塗料中に閉じ込められるおそれのある従来の溶媒およびその他の揮発成分の使用は、根本的に回避することができる。これによって生じる利点については、既に説明した。塗料の製造に際し、本発明のラジカル硬化性組成物は、好ましくは紫外線照射により硬化する。有利なことに、紫外線照射による硬化を意図したラジカル硬化性組成物は、例えば、光によって活性化され、フリーラジカル重合を促進する触媒、特に、このようにして活性化可能なフリーラジカル連鎖開始剤等の光開始剤をさらに含む。本発明の塗料は、前記組成物を硬化された形態で含む。
【0092】
要約すると、本発明のポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートは、一方では、特にその製造方法を特徴とするものであると言える。前記製造方法によれば、好ましい実施形態において、ポリ(メタ)アクリレート(III)とイソシアネート化合物(IV)の反応生成物の溶液をイソシアネート化合物の存在下で揮散させることができ、これにより、含有されるポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートの分子量が好ましくは1,000〜200,000g/モルと高いにもかかわらず、必要に応じて、反応性溶媒のみを含む本発明の合成樹脂を得ることできる。また、他方では、本発明のポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートは、硬化された状態で架橋度を高くするその多官能性と、その極性の性質により、本発明のポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートの特性の範囲、ひいては、このポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートから製造することができる複合材料、複合加工物、および塗料の特性の範囲を十分に最適化する、当該材料に含有されたウレタン基とを特徴とする。
【0093】
以下の実施例において本発明をより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、いかなる点においても本発明を限定するものではない。重量%で示した情報は、その時点において存在している混合物の量を示すものである。
[実施例]
実施例A:ウレタン(メタ)アクリレート中のポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートをベースとする合成樹脂の調製
重合反応の技術分野における当業者には公知の方法で、総量30.96kgの酢酸ブチル中におけるメチルメタクリレート24.79kg、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.70kg、およびt−ブチルパーオキシベンゾエート3.26kgから、粘度が約0.3Pa・s、固形成分含有量が少なくとも47.5重量%のポリメチルメタクリレート溶液を還流させながら調製する。前記粘度は、ドイツ工業規格53015にしたがってヘプラー粘度計を用いて測定し、前記固形成分含有量は、2gの試料をザルトリウスモイスチャーアナライザー(Sartorius Moisture Analyzer)MA30により100℃で15分間測定し求める。
【0094】
次に、80℃および窒素下という条件下において、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)を5.48kg添加する。次いで、温度が180℃になるまで窒素下にて蒸留を行う。過剰量の酢酸ブチルが依然として存在する場合には、窒素供給を中止し、残存する酢酸ブチルを真空中で除去する。蒸留完了後、窒素で真空状態を解除して120℃まで冷却し、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を2.90kg添加して粘度を低下させ、得られた混合物をさらに80℃まで冷却する。80℃に達したら、メチルメタクリレート16.11kg中のヒドロキノンモノメチルエーテル0.04kgを、安定化と希釈のために添加する。
【0095】
完全に混合した後、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)10.17kg中のジブチル錫ジラウレート(dibutyl tin dilaureate)0.002kgを添加する。これを、ドイツ工業規格53185にしたがって求めたイソシアネート含有量が0.3重量%未満となるまで80℃に保つ。次に、当該混合物を冷却し、スパークラーフィルター(sparkler filter)にかけて濾過してデカントする。
【0096】
下記組成のポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレート溶液が得られる。
ポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレート:約52重量%
モノマーであるメチルメタクリレート(MMA):約25重量%
ウレタン(メタ)アクリレート:約23重量%。
【0097】
この溶液は、以下のパラメータによって特徴付けられる。
ドイツ工業規格53015によるヘプラー粘度:約7.0Pa・s
ザルトリウスモイスチャーアナライザーMA30で求めた固形成分含有量(2gの試料、15分、100℃):約75重量%
国際標準化機構(ISO)4630による色指数:0〜1。
【0098】
メチルメタクリレート4.60kgでさらに希釈し、MMA含有量を30重量%とすると、下記組成の溶液が得られる。
ポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレート:約50重量%
モノマーであるメチルメタクリレート(MMA):約30重量%
ウレタン(メタ)アクリレート:約20重量%。
【0099】
この溶液は、以下のパラメータによって特徴付けられる。
ドイツ工業規格53015によるヘプラー粘度:約2.5Pa・s
ザルトリウスモイスチャーアナライザーMA30で求めた固形成分含有量(2gの試料、15分、100℃):約70重量%、
国際標準化機構4630による色指数:0〜1。
【0100】
[実施例B:ラジカル硬化性組成物の調製]
メチルメタクリレートを25重量%含む実施例Aの溶液6.03kg、メチルメタクリレート2.44kg、石英充填剤16.60kg、顔料ペースト0.5kg、ペロキサンPO(peroxan PO)0.08kgを混合する。ブルックフィールド粘度計により20℃で測定される粘度は、約0.38Pa・sである。
【0101】
[実施例C:加工物の製造]
実施例Bのラジカル硬化性組成物を、70秒以内に加工物の型に供給する。
【0102】
前記型内の塊を、3.3barの圧力下で25分間にわたり過熱蒸気で120℃まで加熱すると、MMA中のPMMAの溶液を20〜40重量%含む物質の混合物を使用した既存のものに比べて、特に以下の特性が優れた加工物が得られる。
・より優れた光沢
・より高い輝度
・色の深さの向上
・例えば型内での硬化の際の収縮が著しく低減
・気孔の数の大幅な減少
・気孔の大きさの大幅な縮小
・より平坦な(calmer)表面
・クラックがない。
【0103】
さらに、当該複合材料は、高い耐薬品性および熱安定性等、良好な機械的性質を示す。例えば、交互温冷水試験を500サイクル行った後でも、クラックや光学的明色化(optical brightening)は観察されない。さらに、これらの最適化された材料および加工物の製造に使用される組成物は、流動挙動が向上していることを特徴とし、よって、当該組成物に含有される充填剤がより均一に濡れることも特徴とする。
【0104】
よって、本発明の材料は、衝撃強度、耐紫外線性、ならびに、疎水性および疎油性等の良好な特性を保持しながらも、公知の材料と比較して、気泡およびクラックがないか、あるいはこれらが少なくかつ小さい、耐薬品性および熱安定性が向上している、その製造中に収縮および放散が起こらないか、あるいは少ない、製造時間が短い、および光学特性が向上している等、あらゆる要件を満たしている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン(メタ)アクリレート中のポリ(メタ)アクリレート−ウレタン−(メタ)アクリレートをベースとする合成樹脂であって、
(a)イソシアネート基反応性基を持たない(メタ)アクリレートモノマー(I)と、イソシアネート基反応性基を有する(メタ)アクリレートモノマー(II)を準備することと、
(b)前記(メタ)アクリレートモノマー(I)および(II)を重合させ、イソシアネート基反応性基を有するポリ(メタ)アクリレート(III)を生成することと、
(c)前記ポリ(メタ)アクリレート(III)と、イソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(IV)とを、前記イソシアネート化合物(IV)におけるイソシアネート基の5〜40%が、前記イソシアネート基反応性基と反応し、これにより、任意の1個の化合物(IV)が、そのイソシアネート基の2個以上で、任意の2個以上の(III)と反応し2〜20倍の重量平均分子量の増加を伴う(III)の部分的な架橋が起こるように反応させることと、
(d)工程(c)で得られた化合物を、(メタ)アクリレートモノマー(II)と反応させることとによって得られる合成樹脂。
【請求項2】
工程(b)における反応および/または工程(c)における反応が溶媒の存在下で生じる、請求項1に記載の合成樹脂。
【請求項3】
工程(b)における反応と工程(c)における反応が、同じ溶媒中で行われる、請求項2に記載の合成樹脂。
【請求項4】
工程(c)での反応後および/または反応中に前記溶媒が除去される、請求項3に記載の合成樹脂。
【請求項5】
さらに、工程(d)の前および/または後に、(メタ)アクリレートおよび/または反応性希釈剤を添加する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の合成樹脂。
【請求項6】
工程(a)において、前記(メタ)アクリレートモノマー(I)および前記(メタ)アクリレートモノマー(II)は、100:1〜1:1のモル比で使用される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成樹脂。
【請求項7】
工程(c)において、前記イソシアネート化合物(IV)を、前記イソシアネート基反応性基1モル当たり、2.5〜20モル当量使用する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の合成樹脂。
【請求項8】
工程(d)において、前記(メタ)アクリレートモノマー(II)を、残存しているイソシアネート基1モル当たり、1.0〜1.1モル当量使用する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の合成樹脂。
【請求項9】
ラジカル硬化性組成物を製造するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の合成樹脂の使用。
【請求項10】
前記合成樹脂が、結合剤の働きをする、請求項9に記載の合成樹脂の使用。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の合成樹脂を含むラジカル硬化性組成物。
【請求項12】
さらに、顔料、染料、充填剤、および助剤から選択される少なくとも一種の添加剤を含む、請求項11に記載のラジカル硬化性組成物。
【請求項13】
さらに、多官能性架橋剤を含む、請求項11または12に記載のラジカル硬化性組成物。
【請求項14】
複合材料、複合加工物または塗料を製造するための、請求項11〜13のいずれか一項に記載のラジカル硬化性組成物の使用。
【請求項15】
硬化された形態の、請求項11〜13のいずれか一項に記載のラジカル硬化性組成物を含む複合材料または複合加工物。
【請求項16】
請求項15に記載の複合材料または複合加工物の製造方法であって、請求項11〜13のいずれか一項に記載のラジカル硬化性組成物を硬化に付す製造方法。
【請求項17】
加圧、加熱、および成型により硬化させる、請求項16に記載の複合材料または複合加工物の製造方法。
【請求項18】
請求項11〜13のいずれか一項に記載のラジカル硬化性組成物を含む塗料。
【請求項19】
前記塗料が硬化する、請求項18に記載の塗料。
【請求項20】
請求項19に記載の硬化塗料の製造方法であって、請求項11〜13のいずれか一項に記載のラジカル硬化性組成物を硬化させる製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の塗料の製造であって、紫外線により硬化させる塗料の製造。

【公表番号】特表2008−528771(P2008−528771A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553488(P2007−553488)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000188
【国際公開番号】WO2006/081916
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(507202839)アシュラント−ズートヒェミー−ケルンフェスト ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】