反応性基含有環状ホスファゼン化合物およびその製造方法
【課題】樹脂成形体の機械的特性を損なわずにその難燃性を効果的に高めることができ、しかも樹脂成形体の高温信頼性を損ないにくいホスファゼン化合物の提供。
【解決手段】下記の式で表されるホスファゼン化合物。
nは3〜15の整数を示す。Aの一例は、下記の式で示される置換フェニルオキシ基である。
【解決手段】下記の式で表されるホスファゼン化合物。
nは3〜15の整数を示す。Aの一例は、下記の式で示される置換フェニルオキシ基である。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)で表される反応性基含有環状ホスファゼン化合物。
【化1】
(式(1)中、nは3〜15の整数を示し、Aは下記のA1基、A2基およびA3基からなる群から選ばれた基を示しかつ少なくとも一つがA3基である。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:下記の式(2)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(3)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(4)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(5)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
式(2)、(3)、(4)および(5)中のZは、炭素数が2〜6のアルケニルオキシ基、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれた基を示し、式(3)中のYは、O、S、SO2、CH2、CHCH3、C(CH3)2、C(CH3)CH2CH3若しくはCOを示し、式(4)および式(5)中のR1およびR2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示す。)
【請求項2】
式(1)において、2n個のAのうちの2〜(2n−2)個がA3基である、請求項1に記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物。
【請求項3】
式(1)のnが3若しくは4である、請求項1または2に記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物。
【請求項4】
式(1)のnが異なる二種以上の反応性基含有環状ホスファゼン化合物を含む、請求項1から3のいずれかに記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物。
【請求項5】
下記の式(6)で表される環状ホスホニトリルジハライドの全ハロゲン原子を、少なくとも一つが下記のQ3基により置換されるよう下記のQ1基、Q2基およびQ3基からなる群から選ばれた基により置換し、環状ホスホニトリル置換体を製造する工程1と、
【化6】
(式(6)中、nは3〜15の整数を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
Q1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
Q2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
Q3基:下記の式(7)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(8)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(9)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(10)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
(式(7)、式(8)、式(9)および式(10)中のZ1は、脱離したときにOH基を形成可能な保護基を示し、式(8)中のYは、O、S、SO2、CH2、CHCH3、C(CH3)2、C(CH3)CH2CH3若しくはCOを示し、式(9)および式(10)中のR1およびR2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示す。)
前記環状ホスホニトリル置換体のQ3基から前記保護基を脱離させ、ヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物を得る工程2と、
前記ヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物において、前記保護基の脱離により形成されたヒドロキシル基をアクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれた基に置換する工程3と、
を含む反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法。
【請求項6】
前記保護基が炭素数2〜6のアルケニル基であり、かつ、前記工程2において、前記環状ホスホニトリル置換体の一部のQ3基から前記保護基を脱離させる、請求項5に記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法。
【請求項7】
下記の式(6)で表される環状ホスホニトリルジハライドの全ハロゲン原子を、少なくとも一つが下記のQ3基により置換されるよう下記のQ1基、Q2基およびQ3基からなる群から選ばれた基により置換する工程を含む、
反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法。
【化11】
(式(6)中、nは3〜15の整数を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
Q1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
Q2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
Q3基:下記の式(11)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(12)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(13)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(14)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
(式(11)、式(12)、式(13)および式(14)中のZ2は、炭素数が2〜6のアルケニルオキシ基を示し、式(12)中のYは、O、S、SO2、CH2、CHCH3、C(CH3)2、C(CH3)CH2CH3若しくはCOを示し、式(13)および式(14)中のR1およびR2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示す。)
【請求項8】
下記の式(15)で表される環状ホスファゼン化合物。
【化16】
(式(15)中、nは3〜15の整数を示し、Qは下記のQ1基、Q2基およびQ3基からなる群から選ばれた基を示しかつ少なくとも一つがQ3基である。
Q1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
Q2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
Q3基:下記の式(7)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(8)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(9)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(10)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
式(7)、式(8)、式(9)および式(10)中のZ1は、脱離したときにOH基を形成可能な保護基を示し、式(8)中のYは、O、S、SO2、CH2、CHCH3、C(CH3)2、C(CH3)CH2CH3若しくはCOを示し、式(9)および式(10)中のR1およびR2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示す。)
【請求項9】
樹脂成分と、
請求項1から4のいずれかに記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物と、
を含む樹脂組成物。
【請求項10】
熱重合性モノマー、熱重合性オリゴマー、光重合性モノマーおよび光重合性オリゴマーからなる重合性材料群から選ばれた少なくとも一つの重合性材料をさらに含む、請求項9に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
請求項9または10に記載の樹脂組成物からなる樹脂成形体。
【請求項12】
請求項1から4のいずれかに記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物を含む、重合性組成物。
【請求項13】
前記反応性基含有環状ホスファゼン化合物と重合可能なモノマーおよびオリゴマーのうちの少なくとも一つの重合性材料をさらに含む、請求項12に記載の重合性組成物。
【請求項14】
請求項12または13に記載の重合性組成物の重合体からなる樹脂成形体。
【請求項1】
下記の式(1)で表される反応性基含有環状ホスファゼン化合物。
【化1】
(式(1)中、nは3〜15の整数を示し、Aは下記のA1基、A2基およびA3基からなる群から選ばれた基を示しかつ少なくとも一つがA3基である。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:下記の式(2)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(3)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(4)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(5)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
式(2)、(3)、(4)および(5)中のZは、炭素数が2〜6のアルケニルオキシ基、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれた基を示し、式(3)中のYは、O、S、SO2、CH2、CHCH3、C(CH3)2、C(CH3)CH2CH3若しくはCOを示し、式(4)および式(5)中のR1およびR2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示す。)
【請求項2】
式(1)において、2n個のAのうちの2〜(2n−2)個がA3基である、請求項1に記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物。
【請求項3】
式(1)のnが3若しくは4である、請求項1または2に記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物。
【請求項4】
式(1)のnが異なる二種以上の反応性基含有環状ホスファゼン化合物を含む、請求項1から3のいずれかに記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物。
【請求項5】
下記の式(6)で表される環状ホスホニトリルジハライドの全ハロゲン原子を、少なくとも一つが下記のQ3基により置換されるよう下記のQ1基、Q2基およびQ3基からなる群から選ばれた基により置換し、環状ホスホニトリル置換体を製造する工程1と、
【化6】
(式(6)中、nは3〜15の整数を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
Q1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
Q2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
Q3基:下記の式(7)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(8)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(9)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(10)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
(式(7)、式(8)、式(9)および式(10)中のZ1は、脱離したときにOH基を形成可能な保護基を示し、式(8)中のYは、O、S、SO2、CH2、CHCH3、C(CH3)2、C(CH3)CH2CH3若しくはCOを示し、式(9)および式(10)中のR1およびR2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示す。)
前記環状ホスホニトリル置換体のQ3基から前記保護基を脱離させ、ヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物を得る工程2と、
前記ヒドロキシル基含有環状ホスファゼン化合物において、前記保護基の脱離により形成されたヒドロキシル基をアクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれた基に置換する工程3と、
を含む反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法。
【請求項6】
前記保護基が炭素数2〜6のアルケニル基であり、かつ、前記工程2において、前記環状ホスホニトリル置換体の一部のQ3基から前記保護基を脱離させる、請求項5に記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法。
【請求項7】
下記の式(6)で表される環状ホスホニトリルジハライドの全ハロゲン原子を、少なくとも一つが下記のQ3基により置換されるよう下記のQ1基、Q2基およびQ3基からなる群から選ばれた基により置換する工程を含む、
反応性基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法。
【化11】
(式(6)中、nは3〜15の整数を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
Q1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
Q2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
Q3基:下記の式(11)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(12)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(13)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(14)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
(式(11)、式(12)、式(13)および式(14)中のZ2は、炭素数が2〜6のアルケニルオキシ基を示し、式(12)中のYは、O、S、SO2、CH2、CHCH3、C(CH3)2、C(CH3)CH2CH3若しくはCOを示し、式(13)および式(14)中のR1およびR2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示す。)
【請求項8】
下記の式(15)で表される環状ホスファゼン化合物。
【化16】
(式(15)中、nは3〜15の整数を示し、Qは下記のQ1基、Q2基およびQ3基からなる群から選ばれた基を示しかつ少なくとも一つがQ3基である。
Q1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
Q2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
Q3基:下記の式(7)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(8)で示される置換フェニルオキシ基、下記の式(9)で示される置換インダンオキシ基および下記の式(10)で示される置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
式(7)、式(8)、式(9)および式(10)中のZ1は、脱離したときにOH基を形成可能な保護基を示し、式(8)中のYは、O、S、SO2、CH2、CHCH3、C(CH3)2、C(CH3)CH2CH3若しくはCOを示し、式(9)および式(10)中のR1およびR2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を示す。)
【請求項9】
樹脂成分と、
請求項1から4のいずれかに記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物と、
を含む樹脂組成物。
【請求項10】
熱重合性モノマー、熱重合性オリゴマー、光重合性モノマーおよび光重合性オリゴマーからなる重合性材料群から選ばれた少なくとも一つの重合性材料をさらに含む、請求項9に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
請求項9または10に記載の樹脂組成物からなる樹脂成形体。
【請求項12】
請求項1から4のいずれかに記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物を含む、重合性組成物。
【請求項13】
前記反応性基含有環状ホスファゼン化合物と重合可能なモノマーおよびオリゴマーのうちの少なくとも一つの重合性材料をさらに含む、請求項12に記載の重合性組成物。
【請求項14】
請求項12または13に記載の重合性組成物の重合体からなる樹脂成形体。
【公開番号】特開2007−153749(P2007−153749A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347362(P2005−347362)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(591286270)株式会社伏見製薬所 (50)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(591286270)株式会社伏見製薬所 (50)
【Fターム(参考)】
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