反転板の取付構造及び取付方法
【課題】反転板の直径寸法が粘着テープの幅寸法よりも小さくなっても、粘着テープによる反転板の貼り付け力を低下させることなく空気逃げを形成することができて反転板をスムーズに動作させることができる反転板の取付構造及び取付方法を提供する。
【解決手段】反転板10を、粘着テープ50によってスイッチ回路基板80に貼り付ける。反転板10の外周にはこの反転板10を取り付けていた反転板連結体100との連結部101を切断した連結部切断部11が設けられており、この連結部切断部11の部分が露出するように、粘着テープ50の外周辺に切断部露出用切り欠き51を設ける。
【解決手段】反転板10を、粘着テープ50によってスイッチ回路基板80に貼り付ける。反転板10の外周にはこの反転板10を取り付けていた反転板連結体100との連結部101を切断した連結部切断部11が設けられており、この連結部切断部11の部分が露出するように、粘着テープ50の外周辺に切断部露出用切り欠き51を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動接点板などの反転板を粘着テープによってスイッチ回路基板などの取付部材に貼り付ける反転板の取付構造及び取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1の第7図に示すように、弾性金属板をドーム形状に形成してなる反転板(2)を粘着テープ(4)によってスイッチ回路基板(9)のスイッチ接点部(10)上に貼り付けることで構成される押圧スイッチがある。そして近年、この種の構造の押圧スイッチの小型化の要求により、反転板(2)の直径が粘着テープ(4)の幅よりも小さくなってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−87225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため以下のような問題が生じた。
(1)図10に示すように、反転板500の直径寸法が粘着テープ510の幅寸法よりも小さくなると、反転板500の表面全体が粘着テープ510によって覆われて密閉される。このため反転板500を押圧して反転した際に反転板500の下面側の空間にある空気が外部に逃げず、このためこの押圧スイッチのスムーズな動作が阻害されてしまう。この問題を解決するには、粘着テープ510の幅寸法を反転板500の直径寸法よりも小さくすればよいが、そうすると粘着テープ510による反転板500の貼り付け力が低下してしまう。
【0005】
(2)反転板500のスイッチ回路基板530への貼り付けは、例えば図11に示すように、帯状の金属板からなる反転板連結体550の内部に連続して複数の反転板500を打ち抜き加工によって形成し、その際各反転板500を連結部560によって反転板連結体550に連結しておき、次に各反転板500上に長尺な粘着テープ510を貼り付け、次に粘着テープ510を各反転板500の両側においてカット(ハーフカット570)し、最後に連結部560の部分をカットしながら粘着テープ510を貼り付けた反転板500を反転板連結体550から取り外して前記図10に示すスイッチ回路基板530上に貼り付けることによって行われる。しかしながら反転板500の直径寸法が粘着テープ510の幅寸法よりも小さいと、連結部560をカットする際にその上に粘着テープ510があるため、粘着テープ510がカットの邪魔になったり、カット用ポンチに粘着材が付着したりすることで、前記連結部560のカットがスムーズに行えなくなる恐れがあった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、たとえ反転板の直径寸法が粘着テープの幅寸法よりも小さく(または同一程度に)なっても、粘着テープによる反転板の貼り付け力を低下させることなく空気逃げを形成することができて反転板をスムーズに動作させることができ、また帯状の反転板連結体に連結部によって接続した反転板をスムーズにカットすることができてスイッチ回路基板等の取付部材に容易に貼り付けることができる反転板の取付構造及び取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の発明は、一方の面側に突出する湾曲面を有する反転板を、粘着テープによって取付部材に貼り付ける反転板の取付構造において、前記反転板の外周にはこの反転板を取り付けていた反転板連結体との連結部を切断した連結部切断部が設けられており、この連結部切断部の部分が露出するように、粘着テープの外周辺に切断部露出用切り欠きを設けたことを特徴とする反転板の取付構造にある。
【0008】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の反転板の取付構造であって、前記粘着テープは、前記切断部露出用切り欠きの部分に露出している部分を除いて反転板全体を覆っていることを特徴とする反転板の取付構造にある。
【0009】
本願請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の反転板の取付構造であって、前記反転板は複数枚であってそれらの外周辺を接近させてそれぞれ粘着テープによって取付部材に貼り付けられ、前記複数枚の反転板の相互に接近している外周辺の部分が露出するように、粘着テープの外周辺に外周辺露出用切り欠きを設けたことを特徴とする反転板の取付構造にある。
【0010】
本願請求項4に記載の発明は、請求項1または2または3に記載の反転板の取付構造であって、前記取付部材は、前記反転板を可動接点板として取り付けることで押圧スイッチが構成されるスイッチ接点部を有するか、或いは前記反転板をクリック板として取り付けることで押圧スイッチが構成されるスイッチ接点部を有してなるスイッチ回路基板であることを特徴とする反転板の取付構造にある。
【0011】
本願請求項5に記載の発明は、一方の面側に突出する湾曲面を有する反転板を、粘着テープによって取付部材に貼り付ける反転板の取付方法において、帯状の金属板に順次連結部によって反転板を取り付けてなる反転板連結体と、外周辺に順次切断部露出用切り欠きを形成してなる粘着テープとを用意し、前記反転板の湾曲面が突出する面側に前記粘着テープを貼り付け、その際前記各切断部露出用切り欠き内に前記各反転板の連結部を位置させ、前記粘着テープと前記連結部とをそれぞれ切断することで個品化された粘着テープを貼り付けた反転板を反転板連結体から取り出して前記取付部材上に貼り付けることを特徴とする反転板の取付方法にある。
【発明の効果】
【0012】
請求項1,2に記載の発明によれば、反転板外周の連結部切断部の部分が、粘着テープの切断部露出用切り欠きの部分に露出するので、たとえ反転板の直径寸法が粘着テープの幅寸法よりも小さく(または同一程度に)なっても、粘着テープによる反転板の貼り付け力を低下させることなく空気逃げを形成することができて反転板にスムーズな反転動作を行わせることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、複数枚の反転板をそれらの外周辺を接近させてそれぞれ粘着テープによって取付部材に貼り付けたとしても、粘着テープの外周辺に外周辺露出用切り欠きを設けたので、一方の反転板を貼り付ける粘着テープの上にもう一方の反転板が乗り上げることを確実に防止できる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、スイッチ回路基板のスイッチ接点部上に反転板を取り付けてなる押圧スイッチが構成できる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、連結部の部分が、粘着テープの切断部露出用切り欠きの部分に露出するので、たとえ反転板の直径寸法が粘着テープの幅寸法よりも小さく(または同一程度に)なっても、連結部の切断が、粘着テープによって阻害されることなくスムーズに行え、取付部材への反転板の取り付けが容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】反転板の取付構造1−1の要部拡大斜視図である。
【図2】反転板の取付構造1−1の一部分解斜視図である。
【図3】反転板の取付構造1−1の製造方法説明図である。
【図4】粘着テープ50の一部を示す図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は側面図である。
【図5】粘着テープ50にカット溝311を形成した状態を示す平面図である。
【図6】反転板連結体100の一部を示す平面図である。
【図7】粘着テープ50を貼り付けた反転板連結体100の一部を示す平面図である。
【図8】粘着テープ50にカット部391を形成した状態を示す平面図である。
【図9】反転板連結体100の連結部101を切断した状態を示す平面図である。
【図10】従来の反転板500の取付構造を示す要部拡大斜視図である。
【図11】反転板連結体550に粘着テープ510を貼り付けた状態を示す図である。
【図12】2枚の反転板10−1,2を接近して貼り付けた場合の問題点説明図である。
【図13】反転板の取付構造1−2の平面図である。
【図14】反転板10−1,2を接近してスイッチ回路基板80に貼り付けた状態を示す平面図である。
【図15】反転板10−1,2を接近してスイッチ回路基板80に貼り付けた状態を示す平面図である。
【図16】反転板10−1〜5を接近してスイッチ回路基板80に貼り付けた状態を示す平面図である。
【図17】粘着テープ50にカット溝311,313を形成した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る反転板の取付構造1−1を示す要部拡大斜視図、図2はその一部分解斜視図である。両図に示すようにこの反転板の取付構造1−1は、反転板10を粘着テープ50によって取付部材(以下「スイッチ回路基板」という)80に貼り付けて構成されている。なお以下の説明において、「上」とは取付部材80から反転板10側を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
【0018】
反転板10は、弾性金属板を略円形であって一方の面側(図1では上側)に突出する湾曲面を有して構成されている。この反転板10は下記するように押圧スイッチの一方の接点を構成する可動接点板である。反転板10の外周辺の180°対向する位置には一対の連結部切断部11が設けられている。連結部切断部11は、この反転板10を取り付けていた下記する反転板連結体100との連結部101を切断した部分である。
【0019】
粘着テープ50は下面に粘着層を有する可撓性を有する合成樹脂フイルムであり、その外周辺の対向する一対の位置(2か所)には略円弧状に切り欠かれてなる切断部露出用切り欠き51が設けられている。これら切断部露出用切り欠き51は、この粘着テープ50を反転板10に貼り付けた際に連結部切断部11の部分が露出する位置に形成されている。粘着テープ50の幅寸法(連結部切断部11の部分の幅寸法を除く)L1は、反転板10の直径寸法よりも大きく形成されている。
【0020】
スイッチ回路基板80は可撓性を有する合成樹脂フイルム製の基板81の表面にスイッチ接点部83を形成して構成されている。スイッチ接点部83は中央の点状の中央接点パターン831とその周囲を囲む周囲接点パターン833とを具備して構成され、それぞれからは回路パターン835,837が引き出されている。なお各回路パターン835,837上には図示しない絶縁層が被覆されている。なおこの例では基板81として合成樹脂フイルム製のものを用いたが、硬質の基板を用いても良い。
【0021】
そして反転板10の上面に粘着テープ50を貼り付けたものを、スイッチ回路基板80のスイッチ接点部83上に載置し、その際反転板10の外周辺の部分を周囲接点パターン833上に当接し、反転板10の外周からはみ出している粘着テープ50の下面をスイッチ回路基板80の上面に貼り付ける。これによって押圧スイッチSが完成する。
【0022】
このとき反転板10は両連結部切断部11の周囲部分を除いて粘着テープ50によって覆われる。言い換えれば粘着テープ50は切断部露出用切り欠き51の部分に露出している部分を除いて反転板10全体を覆っている。そして反転板10の中央部分を粘着テープ50の上から押圧すると、反転板10が反転し、反転板10の下面中央部分が中央接点パターン831に当接し、スイッチがオンする。前記反転板10への押圧を解除すれば、反転板10はその弾性復帰力によって元の形状に自動復帰し、スイッチはオフする。反転板10の反転の際にはクリック感覚が生じる。
【0023】
以上説明したように押圧スイッチSは、一方の面側に突出する湾曲面を有する反転板10を、粘着テープ50によってスイッチ回路基板80に貼り付ける反転板10の取付構造1−1であり、反転板10の外周にこの反転板10を取り付けていた反転板連結体100との連結部101を切断した連結部切断部11が設けられており、この連結部切断部11の部分が露出するように、粘着テープ50の外周辺に切断部露出用切り欠き51を設けている。このとき粘着テープ50は、切断部露出用切り欠き51の部分に露出している部分を除いて反転板10全体を覆っている。
【0024】
このように構成された押圧スイッチSによれば、粘着テープ50の幅寸法L1を大きく維持できるので粘着テープ50による反転板10の貼り付け力は低下しない。一方反転板10の外周の連結部切断部11の部分が、粘着テープ50の切断部露出用切り欠き51の部分に露出するので、たとえ反転板10の直径寸法が粘着テープ50の幅寸法L1よりも小さく(または同一程度に)なっても、空気逃げが形成できて反転板10にスムーズな動作を行わせることができる。
【0025】
次に反転板連結体100に連結した反転板10に粘着テープ50を取り付けてスイッチ回路基板80に貼り付けるまでの反転板10の取付方法を説明する。図3は反転板の取付構造1−1の製造方法の全体概略説明図である。同図において300は粘着テープリール、310はテープカット部、330は剥離シート巻き取りリール、350は反転板連結体リール、370はテープ貼り付け部、390はテープカット部、410は連結部切断部、430は反転板連結体巻取リールである。
【0026】
粘着テープリール300には帯状で長尺の粘着テープ50が巻き付けられている。この粘着テープ50には、図4に示すように、粘着テープ50の粘着層を形成した側の面に粘着テープ50と同一形状の剥離シート(セパレータ)55が貼り付けられている。
【0027】
そして粘着テープリール300から引き出された帯状の粘着テープ50には、テープカット部310において、図5に示すように、その両外側辺に一対ずつ、略円弧形状のカット溝311が形成される。このカット溝311は前記切断部露出用切り欠き51の形状と同一形状である。カット溝311は粘着テープ50のみを完全にカットし剥離シート55は完全にはカットしておらず、いわゆるハーフカット状態となっている。
【0028】
次に、剥離シート55は粘着テープ50から引き剥がされて剥離シート巻き取りリール330に巻き取られる。このとき剥離シート55側に粘着テープ50のカット溝311に囲まれた部分(カットされた部分)が取り残され、これによって粘着テープ50の両側辺には一対ずつ切断部露出用切り欠き51が形成される。
【0029】
次に前記粘着テープ50の剥離シート55を剥がした粘着面に、反転板連結体リール350から引き出した反転板連結体100をテープ貼り付け部370において貼り付けていく。図6は反転板連結体100の一部を示す平面図である。同図に示すように反転板連結体100は、帯状の弾性金属板中に、連続して同一形状の反転板10を打ち抜き加工して構成されている。反転板10は外周辺の180°対向する位置に接続されている接続部101によってその両外側にある連結部103に連結されている。また各反転板10の間の位置にはこれらを仕切るように両連結部103間を直接連結する連絡部105が形成されている。各連結部103中には送り孔107が形成されている。図7は粘着テープ50を貼り付けた反転板連結体100の一部を示す平面図である。同図に示すように粘着テープ50は連続して各反転板10の湾曲面が突出する面側に貼り付けられ、その際前記各切断部露出用切り欠き51内に前記反転板10の接続部101をそれぞれ位置させている。
【0030】
次に図3に示すテープカット部390において、図8に示すように粘着テープ50を各反転板10の間の位置(連絡部105上)において切断する(カット部391)。カット部391において粘着テープ50は切断されているが、連絡部105は切断されておらず、いわゆるハーフカット状態となっている。
【0031】
次に図3に示す連結部切断部410において、図9に示すように切断部露出用切り欠き51内の連結部101をカット用ポンチによって切断する。これによって個品化された各反転板10を貼り付けた個品化された粘着テープ50の両端部が連絡部105に貼り付けられた状態で反転板連結体100に取り付けられた状態となる。
【0032】
そして個品化された反転板10と粘着テープ50を1つずつ反転板連結体100から取り外して、図2に示すようにスイッチ回路基板80のスイッチ接点部83上に貼り付ければ図1に示す押圧スイッチSが完成する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。例えばテープカット部390と連結部切断部410の設置位置を逆にし、先に連結部101を切断した後に粘着テープ50を切断しても良い。
【0033】
以上説明したように、上記反転板10のスイッチ回路基板80への取付方法は、帯状の金属板に順次連結部101によって反転板10を取り付けてなる反転板連結体100と、外周辺に順次切断部露出用切り欠き51を形成してなる粘着テープ50とを用意し、反転板10の湾曲面が突出する面側に粘着テープ50を貼り付け、その際各切断部露出用切り欠き51内に各反転板10の連結部101を位置させ、粘着テープ50と連結部101とをそれぞれ切断することで個品化された粘着テープ50を貼り付けた反転板10を反転板連結体100から取り出してスイッチ回路基板80上に貼り付ける取付方法である。
【0034】
この取付方法によれば、連結部101の部分が粘着テープ50の切断部露出用切り欠き51の部分に露出するので、たとえ反転板10の直径寸法が粘着テープ50の幅寸法よりも小さく(または同一程度に)なっても、連結部101の切断が粘着テープ50によって阻害されることなくスムーズに行え、スイッチ回路基板80への反転板10の取り付けが容易になる。つまり連結部101をカットする際にその上に粘着テープ50があると粘着テープ50がカットの邪魔になったり、カット用ポンチに粘着材が付着したりすることで連結部101のカットがスムーズに行えなくなる恐れがあったが、この問題を確実に防止できる。
【0035】
ところで、上記反転板10の取付構造においては、さらに以下のような問題があった。即ち図12に示すように、2枚の反転板10−1,2をそれぞれ接近した状態でスイッチ回路基板80に貼り付けた場合、一方の反転板10−1を貼り付けるための粘着テープ50−1の外周辺57の上に、次に貼り付けようとする反転板10−2の外周辺が乗ってしまい、その下にある図示しない周囲接点パターンとの間に接触不良を生じてしまう恐れがあった。
【0036】
図13はこの問題をも解決した反転板の取付構造1−2の平面図である。同図に示す反転板の取付構造1−2において、前記図1〜図9に示す反転板の取付構造1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図9に示す反転板の取付構造1−1と同じである。この取付構造1−2において前記取付構造1−1と相違する点は、粘着テープ50の前記切断部露出用切り欠き51を設けた一対の外周辺以外の対向する一対の外周辺57に、反転板10の外周辺を露出させるための外周辺露出用切り欠き59を設けた点である。この外周辺露出用切り欠き59内に露出させる反転板10の外周辺は、他の反転板10の外周辺に接近して設置される。
【0037】
図14は上記構成の粘着テープ50―1,2を用いて2枚の反転板10−1,2を接近してスイッチ回路基板80に貼り付けた状態を示す平面図である。同図に示すように2枚の反転板10―1,2は、両粘着テープ50−1,2の外周辺露出用切り欠き59を設けた外周辺57を対向させて貼り付けられており、これによって両反転板10―1,2の露出した外周辺が接近して取り付けられている。このように構成すれば、両反転板10―1,2の外周辺が接近して取り付けられた場合でも、一方の反転板10−1を貼り付けるための粘着テープ50−1の外周辺57の上に、次に貼り付けようとする反転板10−2の外周辺が乗ることはなく、何れの反転板10−1,2もその下にある図示しない周囲接点パターンに確実に接続される。なお粘着テープ50−1,2に上記外周辺露出用切り欠き59を設けた場合、両粘着テープ50−1,2の対向する外周辺57はこれらを例えば図15に示すように重ね合わせて接着しても、反転板10−1,2の外周辺の下側に粘着テープ50−1,2が位置することはなく、上述のように何れの反転板10−1,2も確実にその下にある図示しない周囲接点パターンに接続される。なおこのように構成すれば、粘着テープ50−1,2による接着力が増大する。
【0038】
図16は上記図13に示す粘着テープ50−1〜5を用いて5枚の反転板10−1〜5をそれらの外周辺が接近するようにスイッチ回路基板80に貼り付けた状態を示す平面図である。このように多数枚の反転板10−1〜5の外周辺を接近して取り付ける場合も、上記と同様に、貼り付けた何れかの反転板10−1〜5の粘着テープ50−1〜5の外周辺の上に、次に貼り付けようとする反転板10−1〜5の外周辺が乗ることはなく、何れの反転板10−1〜5も確実にその下にある図示しない周囲接点パターンに接続される。この例の場合、切断部露出用切り欠き51と外周辺露出用切り欠き59が対向している部分においても同様に反転板10の外周辺を接近して設置することができることが分かる。
【0039】
上記外周辺露出用切り欠き59を有する粘着テープ50を製造するには、図17に示すように、粘着テープリール300から引き出された帯状の粘着テープ50に、前記テープカット部310において、前記切断部露出用切り欠き51となる略円弧形状のカット溝311と、前記外周辺露出用切り欠き59となる略半円形のカット溝313とを形成する。両カット溝311,313は何れも前記図5の場合と同様、いわゆるハーフカット状態となっている。そして粘着テープ50から剥離シート55を引き剥がした際、剥離シート55側に粘着テープ50のカット溝311,313に囲まれた部分(カットされた部分)が取り残され、これによって粘着テープ50に切断部露出用切り欠き51と外周辺露出用切り欠き59とが形成される。以下の工程は前記の場合と同様である。
【0040】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では反転板10を可動接点板として用い、基板81の表面に形成したスイッチ接点部83上にこの可動接点板10を取り付けて押圧スイッチSを形成したが、例えば2枚の基板(少なくとも押圧する側の基板が可撓性を有するフレキシブル基板)の対向する面に接点パターンを設けて所定の隙間を介して対向させたスイッチ接点部(いわゆるメンブレンスイッチ)を構成し、一方の接点パターンを設けたフレキシブル基板の反対側の面に反転板をクリック板として取り付けて押圧スイッチを形成してもよい。さらに反転板を取り付ける取付部材は、スイッチ回路基板80以外の各種部材(例えばスイッチ接点部を設置していない部材上に反転板を設置し、この反転板を押圧することでクリック感覚のみを得るような場合)であっても良い。また上記実施形態では連結部101を切断した際に連結部101の一部を反転板10の外周辺に残したが、反転板10から完全に連結部101がなくなるように切断しても良い。
【符号の説明】
【0041】
1−1 反転板の取付構造
10 反転板(可動接点板)
11 連結部切断部
50 粘着テープ
51 切断部露出用切り欠き
59 外周辺露出用切り欠き
80 スイッチ回路基板(取付部材)
81 基板
83 スイッチ接点部
100 反転板連結体
101 連結部
S 押圧スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動接点板などの反転板を粘着テープによってスイッチ回路基板などの取付部材に貼り付ける反転板の取付構造及び取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1の第7図に示すように、弾性金属板をドーム形状に形成してなる反転板(2)を粘着テープ(4)によってスイッチ回路基板(9)のスイッチ接点部(10)上に貼り付けることで構成される押圧スイッチがある。そして近年、この種の構造の押圧スイッチの小型化の要求により、反転板(2)の直径が粘着テープ(4)の幅よりも小さくなってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−87225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため以下のような問題が生じた。
(1)図10に示すように、反転板500の直径寸法が粘着テープ510の幅寸法よりも小さくなると、反転板500の表面全体が粘着テープ510によって覆われて密閉される。このため反転板500を押圧して反転した際に反転板500の下面側の空間にある空気が外部に逃げず、このためこの押圧スイッチのスムーズな動作が阻害されてしまう。この問題を解決するには、粘着テープ510の幅寸法を反転板500の直径寸法よりも小さくすればよいが、そうすると粘着テープ510による反転板500の貼り付け力が低下してしまう。
【0005】
(2)反転板500のスイッチ回路基板530への貼り付けは、例えば図11に示すように、帯状の金属板からなる反転板連結体550の内部に連続して複数の反転板500を打ち抜き加工によって形成し、その際各反転板500を連結部560によって反転板連結体550に連結しておき、次に各反転板500上に長尺な粘着テープ510を貼り付け、次に粘着テープ510を各反転板500の両側においてカット(ハーフカット570)し、最後に連結部560の部分をカットしながら粘着テープ510を貼り付けた反転板500を反転板連結体550から取り外して前記図10に示すスイッチ回路基板530上に貼り付けることによって行われる。しかしながら反転板500の直径寸法が粘着テープ510の幅寸法よりも小さいと、連結部560をカットする際にその上に粘着テープ510があるため、粘着テープ510がカットの邪魔になったり、カット用ポンチに粘着材が付着したりすることで、前記連結部560のカットがスムーズに行えなくなる恐れがあった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、たとえ反転板の直径寸法が粘着テープの幅寸法よりも小さく(または同一程度に)なっても、粘着テープによる反転板の貼り付け力を低下させることなく空気逃げを形成することができて反転板をスムーズに動作させることができ、また帯状の反転板連結体に連結部によって接続した反転板をスムーズにカットすることができてスイッチ回路基板等の取付部材に容易に貼り付けることができる反転板の取付構造及び取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の発明は、一方の面側に突出する湾曲面を有する反転板を、粘着テープによって取付部材に貼り付ける反転板の取付構造において、前記反転板の外周にはこの反転板を取り付けていた反転板連結体との連結部を切断した連結部切断部が設けられており、この連結部切断部の部分が露出するように、粘着テープの外周辺に切断部露出用切り欠きを設けたことを特徴とする反転板の取付構造にある。
【0008】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の反転板の取付構造であって、前記粘着テープは、前記切断部露出用切り欠きの部分に露出している部分を除いて反転板全体を覆っていることを特徴とする反転板の取付構造にある。
【0009】
本願請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の反転板の取付構造であって、前記反転板は複数枚であってそれらの外周辺を接近させてそれぞれ粘着テープによって取付部材に貼り付けられ、前記複数枚の反転板の相互に接近している外周辺の部分が露出するように、粘着テープの外周辺に外周辺露出用切り欠きを設けたことを特徴とする反転板の取付構造にある。
【0010】
本願請求項4に記載の発明は、請求項1または2または3に記載の反転板の取付構造であって、前記取付部材は、前記反転板を可動接点板として取り付けることで押圧スイッチが構成されるスイッチ接点部を有するか、或いは前記反転板をクリック板として取り付けることで押圧スイッチが構成されるスイッチ接点部を有してなるスイッチ回路基板であることを特徴とする反転板の取付構造にある。
【0011】
本願請求項5に記載の発明は、一方の面側に突出する湾曲面を有する反転板を、粘着テープによって取付部材に貼り付ける反転板の取付方法において、帯状の金属板に順次連結部によって反転板を取り付けてなる反転板連結体と、外周辺に順次切断部露出用切り欠きを形成してなる粘着テープとを用意し、前記反転板の湾曲面が突出する面側に前記粘着テープを貼り付け、その際前記各切断部露出用切り欠き内に前記各反転板の連結部を位置させ、前記粘着テープと前記連結部とをそれぞれ切断することで個品化された粘着テープを貼り付けた反転板を反転板連結体から取り出して前記取付部材上に貼り付けることを特徴とする反転板の取付方法にある。
【発明の効果】
【0012】
請求項1,2に記載の発明によれば、反転板外周の連結部切断部の部分が、粘着テープの切断部露出用切り欠きの部分に露出するので、たとえ反転板の直径寸法が粘着テープの幅寸法よりも小さく(または同一程度に)なっても、粘着テープによる反転板の貼り付け力を低下させることなく空気逃げを形成することができて反転板にスムーズな反転動作を行わせることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、複数枚の反転板をそれらの外周辺を接近させてそれぞれ粘着テープによって取付部材に貼り付けたとしても、粘着テープの外周辺に外周辺露出用切り欠きを設けたので、一方の反転板を貼り付ける粘着テープの上にもう一方の反転板が乗り上げることを確実に防止できる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、スイッチ回路基板のスイッチ接点部上に反転板を取り付けてなる押圧スイッチが構成できる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、連結部の部分が、粘着テープの切断部露出用切り欠きの部分に露出するので、たとえ反転板の直径寸法が粘着テープの幅寸法よりも小さく(または同一程度に)なっても、連結部の切断が、粘着テープによって阻害されることなくスムーズに行え、取付部材への反転板の取り付けが容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】反転板の取付構造1−1の要部拡大斜視図である。
【図2】反転板の取付構造1−1の一部分解斜視図である。
【図3】反転板の取付構造1−1の製造方法説明図である。
【図4】粘着テープ50の一部を示す図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は側面図である。
【図5】粘着テープ50にカット溝311を形成した状態を示す平面図である。
【図6】反転板連結体100の一部を示す平面図である。
【図7】粘着テープ50を貼り付けた反転板連結体100の一部を示す平面図である。
【図8】粘着テープ50にカット部391を形成した状態を示す平面図である。
【図9】反転板連結体100の連結部101を切断した状態を示す平面図である。
【図10】従来の反転板500の取付構造を示す要部拡大斜視図である。
【図11】反転板連結体550に粘着テープ510を貼り付けた状態を示す図である。
【図12】2枚の反転板10−1,2を接近して貼り付けた場合の問題点説明図である。
【図13】反転板の取付構造1−2の平面図である。
【図14】反転板10−1,2を接近してスイッチ回路基板80に貼り付けた状態を示す平面図である。
【図15】反転板10−1,2を接近してスイッチ回路基板80に貼り付けた状態を示す平面図である。
【図16】反転板10−1〜5を接近してスイッチ回路基板80に貼り付けた状態を示す平面図である。
【図17】粘着テープ50にカット溝311,313を形成した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る反転板の取付構造1−1を示す要部拡大斜視図、図2はその一部分解斜視図である。両図に示すようにこの反転板の取付構造1−1は、反転板10を粘着テープ50によって取付部材(以下「スイッチ回路基板」という)80に貼り付けて構成されている。なお以下の説明において、「上」とは取付部材80から反転板10側を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
【0018】
反転板10は、弾性金属板を略円形であって一方の面側(図1では上側)に突出する湾曲面を有して構成されている。この反転板10は下記するように押圧スイッチの一方の接点を構成する可動接点板である。反転板10の外周辺の180°対向する位置には一対の連結部切断部11が設けられている。連結部切断部11は、この反転板10を取り付けていた下記する反転板連結体100との連結部101を切断した部分である。
【0019】
粘着テープ50は下面に粘着層を有する可撓性を有する合成樹脂フイルムであり、その外周辺の対向する一対の位置(2か所)には略円弧状に切り欠かれてなる切断部露出用切り欠き51が設けられている。これら切断部露出用切り欠き51は、この粘着テープ50を反転板10に貼り付けた際に連結部切断部11の部分が露出する位置に形成されている。粘着テープ50の幅寸法(連結部切断部11の部分の幅寸法を除く)L1は、反転板10の直径寸法よりも大きく形成されている。
【0020】
スイッチ回路基板80は可撓性を有する合成樹脂フイルム製の基板81の表面にスイッチ接点部83を形成して構成されている。スイッチ接点部83は中央の点状の中央接点パターン831とその周囲を囲む周囲接点パターン833とを具備して構成され、それぞれからは回路パターン835,837が引き出されている。なお各回路パターン835,837上には図示しない絶縁層が被覆されている。なおこの例では基板81として合成樹脂フイルム製のものを用いたが、硬質の基板を用いても良い。
【0021】
そして反転板10の上面に粘着テープ50を貼り付けたものを、スイッチ回路基板80のスイッチ接点部83上に載置し、その際反転板10の外周辺の部分を周囲接点パターン833上に当接し、反転板10の外周からはみ出している粘着テープ50の下面をスイッチ回路基板80の上面に貼り付ける。これによって押圧スイッチSが完成する。
【0022】
このとき反転板10は両連結部切断部11の周囲部分を除いて粘着テープ50によって覆われる。言い換えれば粘着テープ50は切断部露出用切り欠き51の部分に露出している部分を除いて反転板10全体を覆っている。そして反転板10の中央部分を粘着テープ50の上から押圧すると、反転板10が反転し、反転板10の下面中央部分が中央接点パターン831に当接し、スイッチがオンする。前記反転板10への押圧を解除すれば、反転板10はその弾性復帰力によって元の形状に自動復帰し、スイッチはオフする。反転板10の反転の際にはクリック感覚が生じる。
【0023】
以上説明したように押圧スイッチSは、一方の面側に突出する湾曲面を有する反転板10を、粘着テープ50によってスイッチ回路基板80に貼り付ける反転板10の取付構造1−1であり、反転板10の外周にこの反転板10を取り付けていた反転板連結体100との連結部101を切断した連結部切断部11が設けられており、この連結部切断部11の部分が露出するように、粘着テープ50の外周辺に切断部露出用切り欠き51を設けている。このとき粘着テープ50は、切断部露出用切り欠き51の部分に露出している部分を除いて反転板10全体を覆っている。
【0024】
このように構成された押圧スイッチSによれば、粘着テープ50の幅寸法L1を大きく維持できるので粘着テープ50による反転板10の貼り付け力は低下しない。一方反転板10の外周の連結部切断部11の部分が、粘着テープ50の切断部露出用切り欠き51の部分に露出するので、たとえ反転板10の直径寸法が粘着テープ50の幅寸法L1よりも小さく(または同一程度に)なっても、空気逃げが形成できて反転板10にスムーズな動作を行わせることができる。
【0025】
次に反転板連結体100に連結した反転板10に粘着テープ50を取り付けてスイッチ回路基板80に貼り付けるまでの反転板10の取付方法を説明する。図3は反転板の取付構造1−1の製造方法の全体概略説明図である。同図において300は粘着テープリール、310はテープカット部、330は剥離シート巻き取りリール、350は反転板連結体リール、370はテープ貼り付け部、390はテープカット部、410は連結部切断部、430は反転板連結体巻取リールである。
【0026】
粘着テープリール300には帯状で長尺の粘着テープ50が巻き付けられている。この粘着テープ50には、図4に示すように、粘着テープ50の粘着層を形成した側の面に粘着テープ50と同一形状の剥離シート(セパレータ)55が貼り付けられている。
【0027】
そして粘着テープリール300から引き出された帯状の粘着テープ50には、テープカット部310において、図5に示すように、その両外側辺に一対ずつ、略円弧形状のカット溝311が形成される。このカット溝311は前記切断部露出用切り欠き51の形状と同一形状である。カット溝311は粘着テープ50のみを完全にカットし剥離シート55は完全にはカットしておらず、いわゆるハーフカット状態となっている。
【0028】
次に、剥離シート55は粘着テープ50から引き剥がされて剥離シート巻き取りリール330に巻き取られる。このとき剥離シート55側に粘着テープ50のカット溝311に囲まれた部分(カットされた部分)が取り残され、これによって粘着テープ50の両側辺には一対ずつ切断部露出用切り欠き51が形成される。
【0029】
次に前記粘着テープ50の剥離シート55を剥がした粘着面に、反転板連結体リール350から引き出した反転板連結体100をテープ貼り付け部370において貼り付けていく。図6は反転板連結体100の一部を示す平面図である。同図に示すように反転板連結体100は、帯状の弾性金属板中に、連続して同一形状の反転板10を打ち抜き加工して構成されている。反転板10は外周辺の180°対向する位置に接続されている接続部101によってその両外側にある連結部103に連結されている。また各反転板10の間の位置にはこれらを仕切るように両連結部103間を直接連結する連絡部105が形成されている。各連結部103中には送り孔107が形成されている。図7は粘着テープ50を貼り付けた反転板連結体100の一部を示す平面図である。同図に示すように粘着テープ50は連続して各反転板10の湾曲面が突出する面側に貼り付けられ、その際前記各切断部露出用切り欠き51内に前記反転板10の接続部101をそれぞれ位置させている。
【0030】
次に図3に示すテープカット部390において、図8に示すように粘着テープ50を各反転板10の間の位置(連絡部105上)において切断する(カット部391)。カット部391において粘着テープ50は切断されているが、連絡部105は切断されておらず、いわゆるハーフカット状態となっている。
【0031】
次に図3に示す連結部切断部410において、図9に示すように切断部露出用切り欠き51内の連結部101をカット用ポンチによって切断する。これによって個品化された各反転板10を貼り付けた個品化された粘着テープ50の両端部が連絡部105に貼り付けられた状態で反転板連結体100に取り付けられた状態となる。
【0032】
そして個品化された反転板10と粘着テープ50を1つずつ反転板連結体100から取り外して、図2に示すようにスイッチ回路基板80のスイッチ接点部83上に貼り付ければ図1に示す押圧スイッチSが完成する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。例えばテープカット部390と連結部切断部410の設置位置を逆にし、先に連結部101を切断した後に粘着テープ50を切断しても良い。
【0033】
以上説明したように、上記反転板10のスイッチ回路基板80への取付方法は、帯状の金属板に順次連結部101によって反転板10を取り付けてなる反転板連結体100と、外周辺に順次切断部露出用切り欠き51を形成してなる粘着テープ50とを用意し、反転板10の湾曲面が突出する面側に粘着テープ50を貼り付け、その際各切断部露出用切り欠き51内に各反転板10の連結部101を位置させ、粘着テープ50と連結部101とをそれぞれ切断することで個品化された粘着テープ50を貼り付けた反転板10を反転板連結体100から取り出してスイッチ回路基板80上に貼り付ける取付方法である。
【0034】
この取付方法によれば、連結部101の部分が粘着テープ50の切断部露出用切り欠き51の部分に露出するので、たとえ反転板10の直径寸法が粘着テープ50の幅寸法よりも小さく(または同一程度に)なっても、連結部101の切断が粘着テープ50によって阻害されることなくスムーズに行え、スイッチ回路基板80への反転板10の取り付けが容易になる。つまり連結部101をカットする際にその上に粘着テープ50があると粘着テープ50がカットの邪魔になったり、カット用ポンチに粘着材が付着したりすることで連結部101のカットがスムーズに行えなくなる恐れがあったが、この問題を確実に防止できる。
【0035】
ところで、上記反転板10の取付構造においては、さらに以下のような問題があった。即ち図12に示すように、2枚の反転板10−1,2をそれぞれ接近した状態でスイッチ回路基板80に貼り付けた場合、一方の反転板10−1を貼り付けるための粘着テープ50−1の外周辺57の上に、次に貼り付けようとする反転板10−2の外周辺が乗ってしまい、その下にある図示しない周囲接点パターンとの間に接触不良を生じてしまう恐れがあった。
【0036】
図13はこの問題をも解決した反転板の取付構造1−2の平面図である。同図に示す反転板の取付構造1−2において、前記図1〜図9に示す反転板の取付構造1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図9に示す反転板の取付構造1−1と同じである。この取付構造1−2において前記取付構造1−1と相違する点は、粘着テープ50の前記切断部露出用切り欠き51を設けた一対の外周辺以外の対向する一対の外周辺57に、反転板10の外周辺を露出させるための外周辺露出用切り欠き59を設けた点である。この外周辺露出用切り欠き59内に露出させる反転板10の外周辺は、他の反転板10の外周辺に接近して設置される。
【0037】
図14は上記構成の粘着テープ50―1,2を用いて2枚の反転板10−1,2を接近してスイッチ回路基板80に貼り付けた状態を示す平面図である。同図に示すように2枚の反転板10―1,2は、両粘着テープ50−1,2の外周辺露出用切り欠き59を設けた外周辺57を対向させて貼り付けられており、これによって両反転板10―1,2の露出した外周辺が接近して取り付けられている。このように構成すれば、両反転板10―1,2の外周辺が接近して取り付けられた場合でも、一方の反転板10−1を貼り付けるための粘着テープ50−1の外周辺57の上に、次に貼り付けようとする反転板10−2の外周辺が乗ることはなく、何れの反転板10−1,2もその下にある図示しない周囲接点パターンに確実に接続される。なお粘着テープ50−1,2に上記外周辺露出用切り欠き59を設けた場合、両粘着テープ50−1,2の対向する外周辺57はこれらを例えば図15に示すように重ね合わせて接着しても、反転板10−1,2の外周辺の下側に粘着テープ50−1,2が位置することはなく、上述のように何れの反転板10−1,2も確実にその下にある図示しない周囲接点パターンに接続される。なおこのように構成すれば、粘着テープ50−1,2による接着力が増大する。
【0038】
図16は上記図13に示す粘着テープ50−1〜5を用いて5枚の反転板10−1〜5をそれらの外周辺が接近するようにスイッチ回路基板80に貼り付けた状態を示す平面図である。このように多数枚の反転板10−1〜5の外周辺を接近して取り付ける場合も、上記と同様に、貼り付けた何れかの反転板10−1〜5の粘着テープ50−1〜5の外周辺の上に、次に貼り付けようとする反転板10−1〜5の外周辺が乗ることはなく、何れの反転板10−1〜5も確実にその下にある図示しない周囲接点パターンに接続される。この例の場合、切断部露出用切り欠き51と外周辺露出用切り欠き59が対向している部分においても同様に反転板10の外周辺を接近して設置することができることが分かる。
【0039】
上記外周辺露出用切り欠き59を有する粘着テープ50を製造するには、図17に示すように、粘着テープリール300から引き出された帯状の粘着テープ50に、前記テープカット部310において、前記切断部露出用切り欠き51となる略円弧形状のカット溝311と、前記外周辺露出用切り欠き59となる略半円形のカット溝313とを形成する。両カット溝311,313は何れも前記図5の場合と同様、いわゆるハーフカット状態となっている。そして粘着テープ50から剥離シート55を引き剥がした際、剥離シート55側に粘着テープ50のカット溝311,313に囲まれた部分(カットされた部分)が取り残され、これによって粘着テープ50に切断部露出用切り欠き51と外周辺露出用切り欠き59とが形成される。以下の工程は前記の場合と同様である。
【0040】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では反転板10を可動接点板として用い、基板81の表面に形成したスイッチ接点部83上にこの可動接点板10を取り付けて押圧スイッチSを形成したが、例えば2枚の基板(少なくとも押圧する側の基板が可撓性を有するフレキシブル基板)の対向する面に接点パターンを設けて所定の隙間を介して対向させたスイッチ接点部(いわゆるメンブレンスイッチ)を構成し、一方の接点パターンを設けたフレキシブル基板の反対側の面に反転板をクリック板として取り付けて押圧スイッチを形成してもよい。さらに反転板を取り付ける取付部材は、スイッチ回路基板80以外の各種部材(例えばスイッチ接点部を設置していない部材上に反転板を設置し、この反転板を押圧することでクリック感覚のみを得るような場合)であっても良い。また上記実施形態では連結部101を切断した際に連結部101の一部を反転板10の外周辺に残したが、反転板10から完全に連結部101がなくなるように切断しても良い。
【符号の説明】
【0041】
1−1 反転板の取付構造
10 反転板(可動接点板)
11 連結部切断部
50 粘着テープ
51 切断部露出用切り欠き
59 外周辺露出用切り欠き
80 スイッチ回路基板(取付部材)
81 基板
83 スイッチ接点部
100 反転板連結体
101 連結部
S 押圧スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面側に突出する湾曲面を有する反転板を、粘着テープによって取付部材に貼り付ける反転板の取付構造において、
前記反転板の外周にはこの反転板を取り付けていた反転板連結体との連結部を切断した連結部切断部が設けられており、この連結部切断部の部分が露出するように、粘着テープの外周辺に切断部露出用切り欠きを設けたことを特徴とする反転板の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の反転板の取付構造であって、
前記粘着テープは、前記切断部露出用切り欠きの部分に露出している部分を除いて反転板全体を覆っていることを特徴とする反転板の取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載の反転板の取付構造であって、
前記反転板は複数枚であってそれらの外周辺を接近させてそれぞれ粘着テープによって取付部材に貼り付けられ、
前記複数枚の反転板の相互に接近している外周辺の部分が露出するように、粘着テープの外周辺に外周辺露出用切り欠きを設けたことを特徴とする反転板の取付構造。
【請求項4】
請求項1または2または3に記載の反転板の取付構造であって、
前記取付部材は、前記反転板を可動接点板として取り付けることで押圧スイッチが構成されるスイッチ接点部を有するか、或いは前記反転板をクリック板として取り付けることで押圧スイッチが構成されるスイッチ接点部を有してなるスイッチ回路基板であることを特徴とする反転板の取付構造。
【請求項5】
一方の面側に突出する湾曲面を有する反転板を、粘着テープによって取付部材に貼り付ける反転板の取付方法において、
帯状の金属板に順次連結部によって反転板を取り付けてなる反転板連結体と、外周辺に順次切断部露出用切り欠きを形成してなる粘着テープとを用意し、
前記反転板の湾曲面が突出する面側に前記粘着テープを貼り付け、その際前記各切断部露出用切り欠き内に前記各反転板の連結部を位置させ、
前記粘着テープと前記連結部とをそれぞれ切断することで個品化された粘着テープを貼り付けた反転板を反転板連結体から取り出して前記取付部材上に貼り付けることを特徴とする反転板の取付方法。
【請求項1】
一方の面側に突出する湾曲面を有する反転板を、粘着テープによって取付部材に貼り付ける反転板の取付構造において、
前記反転板の外周にはこの反転板を取り付けていた反転板連結体との連結部を切断した連結部切断部が設けられており、この連結部切断部の部分が露出するように、粘着テープの外周辺に切断部露出用切り欠きを設けたことを特徴とする反転板の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の反転板の取付構造であって、
前記粘着テープは、前記切断部露出用切り欠きの部分に露出している部分を除いて反転板全体を覆っていることを特徴とする反転板の取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載の反転板の取付構造であって、
前記反転板は複数枚であってそれらの外周辺を接近させてそれぞれ粘着テープによって取付部材に貼り付けられ、
前記複数枚の反転板の相互に接近している外周辺の部分が露出するように、粘着テープの外周辺に外周辺露出用切り欠きを設けたことを特徴とする反転板の取付構造。
【請求項4】
請求項1または2または3に記載の反転板の取付構造であって、
前記取付部材は、前記反転板を可動接点板として取り付けることで押圧スイッチが構成されるスイッチ接点部を有するか、或いは前記反転板をクリック板として取り付けることで押圧スイッチが構成されるスイッチ接点部を有してなるスイッチ回路基板であることを特徴とする反転板の取付構造。
【請求項5】
一方の面側に突出する湾曲面を有する反転板を、粘着テープによって取付部材に貼り付ける反転板の取付方法において、
帯状の金属板に順次連結部によって反転板を取り付けてなる反転板連結体と、外周辺に順次切断部露出用切り欠きを形成してなる粘着テープとを用意し、
前記反転板の湾曲面が突出する面側に前記粘着テープを貼り付け、その際前記各切断部露出用切り欠き内に前記各反転板の連結部を位置させ、
前記粘着テープと前記連結部とをそれぞれ切断することで個品化された粘着テープを貼り付けた反転板を反転板連結体から取り出して前記取付部材上に貼り付けることを特徴とする反転板の取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−138659(P2011−138659A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297081(P2009−297081)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】
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