説明

収容構造体装置

【課題】可動部材の開閉操作性を向上させることができ、コスト上有利な、収容構造体装置の提供。
【解決手段】(a)固定部材20と、(b)固定部材20に対して閉位置30aと開位置30bとに移動可能とされている可動部材30と、(c)ばね部材41を備えており、可動部材30が開閉途中の所定位置30cおよび所定位置30cよりも閉位置30a側にあるとき、ばね部材41で可動部材30を閉位置30a側に付勢しており、可動部材30が所定位置30cよりも開位置30b側にあるとき、ばね部材41のばね力を可動部材30が所定位置30cにあるときにおけるばね力と同程度に維持しつつ、ばね部材41による可動部材30の付勢を解除している、付勢・付勢解除装置40と、を有する収容構造体装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用グローブボックス装置等の収容構造体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の収容構造体装置は、たとえば、特許文献1,2,3に開示されている。
(a)特許文献1は、可動部材を閉位置から開位置に移動させる際、プル式のノブを操作してロックを解除し、可動部材を開位置から閉位置に移動させる際、可動部材をロックがかかる閉位置に達するまで手動で操作する装置を開示している。
(b)特許文献2は、可動部材を閉位置から開位置に移動させる際、プッシュ式のノブを操作してロックを解除し、可動部材を開位置から閉位置に移動させる際、可動部材をロックがかかる閉位置に達するまで手動で操作する装置を開示している。
(c)特許文献3は、モータを用いて可動部材の開閉を行なう装置を開示している。
【0003】
しかし、従来の収容構造体装置には、つぎの問題点がある。
(a)特許文献1、(b)特許文献2
可動部材を閉位置から開位置に移動させる際に比較的小さいノブを操作しなければならないため、可動部材の開操作性に改善の余地がある。また、可動部材を開位置から閉位置に移動させる際に可動部材を開位置から閉位置までの全域にわたって手動で操作しなければならないため、可動部材の閉操作性に改善の余地がある。
(c)特許文献3
モータを用いているため、モータ及びその他配線等が必要であり、コスト上不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−285021号公報
【特許文献2】特開2005−104192号公報
【特許文献3】特開平2−267038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来(a)、(b)に比べて可動部材の開閉操作性を向上させることができ、従来(c)に比べてコスト上有利な、収容構造体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 固定部材と、
前記固定部材に対して閉位置と開位置とに移動可能とされている可動部材と、
ばね部材を備えており、前記可動部材が前記閉位置と前記開位置との間の所定位置にあるときおよび該所定位置よりも前記閉位置側にあるとき、前記ばね部材で前記可動部材を前記閉位置側に付勢しており、前記可動部材が前記所定位置よりも前記開位置側にあるとき、前記ばね部材のばね力を前記可動部材が前記所定位置にあるときにおけるばね力と同程度に維持しつつ、前記ばね部材による前記可動部材の付勢を解除している、付勢・付勢解除装置と、
を有する収容構造体装置。
(2) 前記付勢・付勢解除装置は、前記固定部材と前記可動部材の一方に設けられる係合突起と、前記可動部材の移動方向に延びる第1のレール部と該第1のレール部に連なり該第1のレール部の延び方向と異なる方向に延びる第2のレール部とを備え前記固定部材と前記可動部材の他方に設けられるガイドレールと、前記係合突起が係脱可能な係合受け部と前記ガイドレールに沿って移動する第1、第2のガイド突起とを備えるロック片と、を備えており、
前記ばね部材は、前記ロック片を前記固定部材と前記可動部材の前記他方に対して付勢しており、
前記可動部材が前記所定位置および該所定位置よりも前記閉位置側にあるとき、前記第1、第2のガイド突起がともに前記第1のレール部に位置しており、前記係合突起と前記係合受け部とが係合し合っており、前記ばね部材で前記ロック片を付勢することで前記可動部材を前記閉位置側に付勢しており、
前記可動部材が前記所定位置よりも前記開位置側にあるとき、前記第2のガイド突起が前記第1のレール部から前記第2のレール部に移動することで、前記ロック片の前記第1のレール部に沿う移動を規制して前記ばね部材のばね力を前記可動部材が前記所定位置にあるときにおけるばね力と同程度に維持しつつ、前記係合突起と前記係合受け部との係合を解除して前記ばね部材による前記可動部材の付勢を解除している、(1)記載の収容構造体装置。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)の収容構造体装置によれば、つぎの効果を得ることができる。
付勢・付勢解除装置が、可動部材が所定位置および所定位置よりも閉位置側にあるとき、可動部材を閉位置側に付勢しているため、(i)ノブを操作してロックを解除しなくても閉位置にある可動部材が使用者の意思に反して開位置側に移動してしまうことを防止できる。そのため、ノブを操作してロックを解除する機構を無くすことができる。また、(ii)可動部材を手動で閉位置から所定位置を越えて開位置側に移動させるだけで、閉位置にある可動部材を開位置に移動させることができる。よって、従来(a)、(b)に比べて可動部材の開操作性を向上させることができる。
また、付勢・付勢解除装置が、可動部材が所定位置および所定位置よりも閉位置側にあるとき、可動部材を閉位置側に付勢しており、可動部材が所定位置よりも開位置側にあるとき、ばね部材のばね力を維持しつつ可動部材の付勢を解除しているため、開位置にある可動部材を手動で所定位置に移動させるだけで、付勢・付勢解除装置により可動部材を所定位置から閉位置に移動させることができる。よって、従来(a)、(b)に比べて可動部材の閉操作性を向上させることができる。
さらにまた、付勢・付勢解除装置がばね部材を備えているため、可動部材を固定部材に対して移動させるためのモータは不要である。そのため、モータ及びその他配線等が不要であり、従来(c)に比べてコスト上有利である。
【0008】
上記(2)の収容構造体装置によれば、つぎの効果を得ることができる。
可動部材が所定位置および所定位置よりも閉位置側にあるとき、第1、第2のガイド突起がともに第1のレール部に位置しており係合突起と係合受け部とが係合し合っているため、ばね部材でロック片を介して可動部材を閉位置側に付勢することができる。
また、可動部材が所定位置よりも開位置側にあるとき、第2のガイド突起が第1のレール部から第2のレール部に移動することにより、ロック片の第1のレール部に沿う移動を規制することができ、ばね部材のばね力を可動部材が所定位置にあるときにおけるばね力と同程度に維持することができる。
また、可動部材が所定位置よりも開位置側にあるとき、第2のガイド突起が第1のレール部から第2のレール部に移動することにより、係合受け部を備えるロック片を係合突起に対して移動させることができる。そのため、係合突起と係合受け部との係合を解除することができ、ばね部材による可動部材の閉位置側への付勢を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明実施例1の収容構造体装置の分解斜視図である。
【図2】本発明実施例1の収容構造体装置の、可動部材が閉位置にあるときの、付勢・付勢解除装置の固定部材及び可動部材に対する位置関係を示す側方模式図である。
【図3】本発明実施例1の収容構造体装置の、可動部材が開位置にあるときの、付勢・付勢解除装置の固定部材及び可動部材に対する位置関係を示す側方模式図である。
【図4】本発明実施例1の収容構造体装置の、可動部材が所定位置にあるときの、付勢・付勢解除装置の拡大側方模式図である。
【図5】本発明実施例1の収容構造体装置の、可動部材を所定位置から開位置側に移動させたときの、付勢・付勢解除装置の拡大側方模式図である。
【図6】本発明実施例1の収容構造体装置の、可動部材を開位置から閉位置側に移動させて所定位置直前に達したときの、付勢・付勢解除装置の拡大側方模式図である。
【図7】本発明実施例1の収容構造体装置の、付勢・付勢解除装置とその近傍の拡大断面図である。
【図8】本発明実施例1の収容構造体装置の変形例を示す図であり、ガイドレールの第2のレール部に延長部が設けられている場合の、可動部材を所定位置から開位置側に移動させたときの付勢・付勢解除装置の拡大側方模式図である。
【図9】本発明実施例2の収容構造体装置の、可動部材が閉位置にあるときの、付勢・付勢解除装置の固定部材及び可動部材に対する位置関係を示す側方模式図である。
【図10】本発明実施例2の収容構造体装置の、可動部材が開位置にあるときの、付勢・付勢解除装置の固定部材及び可動部材に対する位置関係を示す側方模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜図8は、本発明実施例1の収容構造体装置を示しており、図9、図10は、本発明実施例2の収容構造体装置を示している。
本発明実施例1と実施例2にわたって共通する部分には、本発明実施例1と実施例2にわたって同じ符号を付してある。
まず、本発明実施例1と実施例2にわたって共通する部分を説明する。
【0011】
本発明実施例の収容構造体装置10は、たとえば、図2に示すように、車両の助手席前方のインストルメントパネル部位に配置される、いわゆるビンタイプ(ボックス部自体が開閉動するタイプ)の車両用グローブボックス装置である。ただし、収容構造体装置10は、いわゆるドアタイプ(ドアのみが開閉動するタイプ)の車両用グローブボックス装置であってもよいし、車両用グローブボックス装置に限定されるものではなく、インストルメントパネルの車幅方向中央部かつ下部に配置される車両用センターロアボックス装置であってもよく、車室天井に配置される車両用小物入れ装置であってもよく、その他の装置であってもよい。
以下、本発明実施例および図示例では、収容構造体装置10がいわゆるビンタイプの車両用グローブボックス装置である場合を例にとって説明する。
【0012】
収容構造体装置10は、図1に示すように、固定部材20と、可動部材30と、付勢・付勢解除装置40と、を有する。
【0013】
固定部材20は、車両の内装部材であるインストルメントパネルに対して固定される部材である。固定部材20は、図2に示すように、車室側(車両後方)に開放する凹部21aを備える凹部形成壁21を備える。凹部形成壁21は、インストルメントパネルに一体に形成されていてもよく、インストルメントパネルと別体に形成されてインストルメントパネルに固定して取付けられていてもよい。
【0014】
可動部材30は、上方に開放し収容物を収容可能な収容部Sを備える。可動部材30は、固定部材20に対して閉位置30a(図2参照)と開位置30b(図3参照)とに移動可能とされている。可動部材30には、閉位置30aから開位置30b側に自重による力が常にかかっている。可動部材30の固定部材20に対する開閉スピードは、図示略のダンパを用いて緩やかにされていてもよい。可動部材30の固定部材20に対する移動は、直線動であってもよく、揺動であってもよく、回動であってもよい。なお、図示例では、可動部材30が固定部材20に対して軸芯Pまわりに回動可能とされている場合を示している。
【0015】
可動部材30は、図2に示す閉位置30aにあるとき、可動部材30の一部が固定部材20に当接しておりそれ以上固定部材20に対して閉側に移動することが規制されている。可動部材30が閉位置30aにあるとき、可動部材30と固定部材20との当接打音は固定部材20と可動部材30の少なくともいずれか一方に設けられるクッションゴム51により抑制されている。可動部材30が閉位置30aにあるとき、収容部Sの開口は凹部21a内に位置しており、使用者は収容部Sに収容物を出し入れできない。
可動部材30は、図3に示す開位置30bにあるとき、可動部材30の一部からなるストッパ31が固定部材20の図示略のストッパ当接部に当接しておりそれ以上固定部材20に対して開側に移動することが規制されている。可動部材30が開位置30aにあるとき、可動部材30と固定部材20との当接打音は固定部材20と可動部材30の少なくともいずれか一方に設けられる図示略のゴム部材により抑制されていてもよい。可動部材30が開位置30bにあるとき、収容部Sの開口が凹部21aから出て車室内に位置しており、使用者は収容部Sに収容物を出し入れできる。
【0016】
付勢・付勢解除装置40は、可動部材30の車両左右方向一側部のみに対応させて設けられていてもよく、可動部材30の車両左右方向両側部に対応させて一対設けられていてもよい。
【0017】
付勢・付勢解除装置40は、ばね部材41を備えている。付勢・付勢解除装置40は、可動部材30が固定部材20に対して閉位置30aと開位置30bとの間の所定位置30cにあるときおよび所定位置30cよりも閉位置30a側にあるとき、ばね部材41で可動部材30を固定部材20に対して閉位置30a側に付勢している。付勢・付勢解除装置40は、可動部材30が固定部材20に対して所定位置30cよりも開位置30b側にあるとき、ばね部材41のばね力を可動部材30が固定部材20に対して所定位置30cにあるときにおけるばね力と同程度に維持しつつ、ばね部材41による可動部材30の固定部材20に対する閉位置30a側への付勢を解除している。
【0018】
付勢・付勢解除装置40は、ばね部材41に加えて、さらに、図4に示すように、固定部材20と可動部材30の一方に固定して設けられる係合突起42と、固定部材20と可動部材30の他方に固定して設けられるガイドレール43と、ガイドレール43に沿って移動するロック片44と、を備える。
【0019】
ばね部材41は、コイルスプリングからなる。ただし、ばね部材41は、コイルスプリングに限定されるものではなく、コンストンスプリングからなっていてもよく、その他のスプリングからなっていてもよい。ばね部材41は、一端部で固定部材20と可動部材30のうちガイドレール43が設けられる部材(固定部材20と可動部材30の他方)に設けられるばね固定部41aに連結されるとともに、他端部でロック片44に設けられるロック片側ばね固定部41bに連結されており、ロック片44をガイドレール43が設けられる部材(固定部材20と可動部材30の他方)に対して付勢している。
【0020】
ばね部材41は、ばね部材41の中間部がガイドレール43および/またはロック片44に干渉しロック片44のガイドレール43に沿う移動を邪魔するおそれがある場合には、ばね固定部41aが設けられる部材に、ばね部材41を収容してばね部材41の姿勢を規制するばね部材収容部41cを設けることが望ましい。ばね部材収容部41cでばね部材41の姿勢を規制することで、ばね部材41の中間部がロック片44のガイドレール43に沿う移動を邪魔することを抑制できるからである。
【0021】
係合突起42は、図1に示すように、円柱状または円筒状の突起である。係合突起42は、係合突起42が設けられる部材(固定部材20と可動部材30の一方)と別体に形成されて該部材に固定して取付けられていてもよいが、部品点数低減のため該部材に一体に形成されていることが望ましい。
【0022】
ガイドレール43は、図2に示すように、可動部材30の固定部材20に対する移動方向に延びる第1のレール部43aと、第1のレール部43aの延び方向一端部に連なり第1のレール部43aの延び方向と異なる方向に延びる第2のレール部43bと、を備える。図示例のように可動部材30が固定部材20に対して軸芯Pまわりに回動可能とされている場合、第1のレール部43aは軸芯Pを中心とする円弧状に延びており、第2のレール部43bは軸芯Pを中心とする半径方向に延びている。
【0023】
第2のレール部43bは、第1のレール部43aから直線状に延びている。ただし、第2のレール部43bは、図8に示すように、後述する第2のガイド突起44cの第2のレール部43bでの移動量を大にするために、第1のレール部43aから直線状に延びる直線部に加えて、さらに、ばね部材41側に折れ曲って若干量延びる延長部43dを備えていてもよい。
【0024】
ロック片44は、図1に示すように、樹脂製の型成形品であり一部品構成とされている。ロック片44は、係合突起42が係脱可能な係合受け部44aと、ガイドレール43に入り込んでおりガイドレール43に沿って移動する第1、第2のガイド突起44b、44cと、を備える。
【0025】
係合受け部44aは、第1、第2のガイド突起44b、44cに対して、ロック片側ばね固定部41bと反対側に設けられている。係合受け部44aは、互いに対向し合う第1、第2の対向壁部44e,44fを備える。第1、第2の対向壁部44e、44fの間には係合突起42が出入り可能とされており、第1、第2の対向壁部44e、44fの間に係合突起42が入り込むことで、係合突起42と係合受け部44aとが係合し合い、第1、第2の対向壁部44e、44fの間から係合突起42が抜ける(外れる)ことで、係合突起42と係合受け部44aとの係合が解除される。
【0026】
第1、第2のガイド突起44b、44cは、ともに、同じ大きさであり、ガイドレール43に沿って滑らかに移動できるように円柱状または円筒形状とされている。第1、第2のガイド突起44b、44cの横断面視における直径は、ガイドレール43の第1、第2のレール部43a、43bの幅より僅かに小とされている。
【0027】
ここで、本発明実施例1と実施例2にわたって共通する作動を説明する。
(A)可動部材30が閉位置30aにあるとき
図2に示すように、ロック片44の第1、第2のガイド突起44b、44cがともにガイドレール43の第1のレール部43aに位置しており、ロック片44が第1のレール部43aに沿って可動部材30の固定部材20に対する移動方向に移動可能となっている。係合突起42と係合受け部44aとが係合し合っており(係合突起42が係合受け部44aに入り込んでおり)、ロック片44を介してばね部材41の力を可動部材30に伝達可能となっている。ばね部材41でロック片44を付勢することで、可動部材30を、可動部材30の自重による開位置30b側への力よりも大きな力で閉位置30a側に付勢している。このばね部材41による付勢力により、可動部材30は固定部材20に対して閉位置30aに保持されている。
【0028】
(B)可動部材30を開位置30b側に移動させるとき
可動部材30の上部(閉位置30aにある可動部材30の上下方向中央より上方の部分)に手を掛けて手動で可動部材30を閉位置30aから開位置30b側に移動させると、第1、第2のガイド突起44b、44cがともに第1のレール部43aに位置しており、係合突起42と係合受け部44aとが係合し合っているため、ロック片44がばね部材41の付勢力に抗して第1のレール部43aに沿って移動する。
可動部材30が所定位置30cに達したとき、図4に示すように、第2のガイド突起44cが第1のレール部43aの第2のレール部43b側の端部に達する。
【0029】
(C)可動部材30を所定位置30cよりも開位置30b側に移動させるとき
図5に示すように、係合受け部44aの第2の対向壁部44fが係合突起42によって押され、第2のガイド突起44cが第1のレール部43aから第2のレール部43bに移動する。第2のガイド突起44cが第1のレール部43aから第2のレール部43bに移動するため、ロック片44の第1のレール部43aに沿う移動が規制され、ばね部材41のばね力が可動部材30が所定位置30cにあるときにおけるばね力と同程度(同じかまたは略同じ)に維持される。また、第2のガイド突起44cが第1のレール部43aから第2のレール部43bに移動するため、ロック片44の係合突起42に対する姿勢が変わり、係合突起42と係合受け部44aとの係合が解除される(係合突起42が係合受け部44aから抜ける)。
【0030】
(D)係合突起42と係合受け部44aとの係合が解除された後、さらに可動部材30を開位置30b側に移動させるとき
第2のガイド突起44cが第2のレール部43bに移動しており、係合突起42と係合受け部44aとの係合が解除されているため、ばね部材41による可動部材30の付勢が解除されている。そのため、可動部材30から手を離すことで可動部材30は自重による力で開位置30bまで移動する。なお、手動で可動部材30を開位置30bまで移動させることも可能である。
【0031】
(E)可動部材30が開位置30bにあるとき
図3に示すように、第2のガイド突起44cが第2のレール部43bに移動しており、ばね部材41のばね力が可動部材30が所定位置30cにあるときにおけるばね力と同程度に維持されている。また、係合突起42と係合受け部44aとの係合が解除されている。可動部材30は自重による力で固定部材20に対して開位置30bに保持されている。
【0032】
(F)可動部材30を閉位置30a側に移動させるとき
可動部材30を自重による力に抗して手動で開位置30bから閉位置30a側に移動させると、可動部材30が所定位置30cに達する直前で、図6に示すように、係合突起42が係合受け部44aの第1の対向壁部44eに当たる。
さらに可動部材30を閉位置30a側に所定位置30cに達するまで移動させると、係合受け部44aの第1の対向壁部44eが係合突起42によって押され、図4に示すように、第2のガイド突起44cが第2のレール部43bから第1のレール部43aに移動する。第2のガイド突起44cが第2のレール部43bから第1のレール部43aに移動するため、ロック片44の係合突起42に対する姿勢が変わり、係合突起42と係合受け部44aとが係合し合う(係合突起42が係合受け部44aに入り込む)。
【0033】
(G)可動部材30を所定位置30cよりも閉位置30a側に移動させるとき
第1、第2のガイド突起44b、44cがともに第1のレール部43aに位置しており、係合突起42と係合受け部44aとが係合し合っているため、可動部材30から手を離すことで可動部材30はばね部材41の付勢力で閉位置30aに達するまで固定部材20に対して移動する。なお、手動で可動部材30を閉位置30aまで移動させることも可能である。
【0034】
つぎに、本発明実施例1と実施例2にわたって共通する作用・効果を説明する。
付勢・付勢解除装置40が、可動部材30が所定位置30cおよび所定位置30cよりも閉位置30a側にあるとき、可動部材30を閉位置30a側に付勢しているため、(i)ノブを操作してロックを解除しなくても閉位置30aにある可動部材30が使用者の意思に反して開位置30b側に移動してしまうことを防止できる。そのため、ノブを操作してロックを解除する機構を無くすことができる。また、(ii)可動部材30を手動で閉位置30aから所定位置30cを越えて開位置30b側に移動させるだけで、閉位置30aにある可動部材30を開位置30bに移動させることができる。よって、従来(a)、(b)に比べて可動部材30の開操作性を向上させることができる。
また、付勢・付勢解除装置40が、可動部材30が所定位置30cおよび所定位置30cよりも閉位置30a側にあるとき、可動部材30を閉位置30a側に付勢しており、可動部材30が所定位置30cよりも開位置30b側にあるとき、ばね部材41のばね力を維持しつつ可動部材30の付勢を解除しているため、開位置30bにある可動部材30を手動で所定位置30cに移動させるだけで、付勢・付勢解除装置40により可動部材30を所定位置30cから閉位置30aに移動させることができる。よって、従来(a)、(b)に比べて可動部材の閉操作性を向上させることができる。
さらにまた、付勢・付勢解除装置40がばね部材41を備えているため、可動部材30を固定部材20に対して移動させるためのモータは不要である。そのため、モータ及びその他配線等が不要であり、従来(c)に比べてコスト上有利である。
【0035】
可動部材30が所定位置30cおよび所定位置30cよりも閉位置30a側にあるとき、第1、第2のガイド突起44b、44cがともに第1のレール部43aに位置しており係合突起42と係合受け部44aとが係合し合っているため、ばね部材41でロック片44を介して可動部材30を閉位置30a側に付勢することができる。
【0036】
可動部材30が所定位置30cよりも開位置30b側にあるとき、第2のガイド突起44cが第1のレール部43aから第2のレール部43bに移動することにより、ロック片44の第1のレール部43aに沿う移動を規制することができ、ばね部材41のばね力を可動部材30が所定位置30cにあるときにおけるばね力と同程度に維持することができる。
【0037】
可動部材30が所定位置30cよりも開位置30b側にあるとき、第2のガイド突起44cが第1のレール部43aから第2のレール部43bに移動することにより、係合受け部44aを備えるロック片44を係合突起42に対して移動させることができる。そのため、係合突起42と係合受け部44aとの係合を解除することができ、ばね部材41による可動部材30の閉位置30a側への付勢を解除することができる。
【0038】
第2のレール部43bが、図8に示すように延長部43dを備えている場合、延長部43dを備えていない場合に比べて、ばね部材41の付勢力により、第2のガイド突起44cの第2のレール部43bでの移動量を大にすることができ、係合受け部44aを備えるロック片44の係合突起42に対する移動量を大にすることができる。そのため、可動部材30を開位置30bから閉位置30a側に移動させるときに、係合突起42を係合受け部44aの第1の対向壁部44eに確実に当てることができ、係合突起42が係合受け部44aの第2の対向壁部44fに当たってしまうことを確実に防止できる。
【0039】
ノブを操作してロックを解除する機構を無くすことができるため、ノブの配置に規制がなくなるだけでなく、ノブを廃止して収容構造体装置10の意匠性を向上させることができる。
【0040】
つぎに、本発明各実施例に特有な部分を説明する。
〔実施例1〕(図1〜図8)
本発明実施例1では、付勢・付勢解除装置40の係合突起42が、可動部材30に設けられており、ガイドレール43が、固定部材20に設けられており、ばね部材41がロック片44を固定部材20に対して付勢している場合を示している。
【0041】
固定部材20は、図1に示すように、凹部形成壁21に固定して取付けられるプレート22と、プレート22に固定して取付けられるカバー23と、を備えている。
ばね固定部41a、ばね部材収容部41cおよびガイドレール43が、プレート22に設けられている。ロック片44は、図7に示すように、プレート22とカバー23の間に配置されており、カバー23によって第1、第2のガイド突起44b、44cがガイドレール43から抜けてしまうことが防止されている。
【0042】
本発明実施例1では、可動部材30にガイドレール43を設けたりばね部材41を配置する必要がないため、可動部材30の構造を容易に簡素化できる。
【0043】
〔実施例2〕(図9、図10)
本発明実施例2では、付勢・付勢解除装置40の係合突起42が、固定部材20に設けられており、ガイドレール43が、可動部材30に設けられており、ばね部材41がロック片44を可動部材30に対して付勢している場合を示している。
【0044】
本発明実施例2では、固定部材20にガイドレール43を設けたりばね部材41を配置する必要がないため、固定部材20の構造を容易に簡素化できる。
【符号の説明】
【0045】
10 収容構造体装置
20 固定部材
21 凹部形成壁
21a 凹部
22 プレート
23 カバー
30 可動部材
30a 閉位置
30b 開位置
30c 所定位置
40 付勢・付勢解除装置
41 ばね部材
41a ばね固定部
41b ロック片側ばね固定部
41c ばね部材収容部
42 係合突起
43 ガイドレール
43a 第1のレール部
43b 第2のレール部
44 ロック片
44a 係合受け部
44b 第1のガイド突起
44c 第2のガイド突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、
前記固定部材に対して閉位置と開位置とに移動可能とされている可動部材と、
ばね部材を備えており、前記可動部材が前記閉位置と前記開位置との間の所定位置にあるときおよび該所定位置よりも前記閉位置側にあるとき、前記ばね部材で前記可動部材を前記閉位置側に付勢しており、前記可動部材が前記所定位置よりも前記開位置側にあるとき、前記ばね部材のばね力を前記可動部材が前記所定位置にあるときにおけるばね力と同程度に維持しつつ、前記ばね部材による前記可動部材の付勢を解除している、付勢・付勢解除装置と、
を有する収容構造体装置。
【請求項2】
前記付勢・付勢解除装置は、前記固定部材と前記可動部材の一方に設けられる係合突起と、前記可動部材の移動方向に延びる第1のレール部と該第1のレール部に連なり該第1のレール部の延び方向と異なる方向に延びる第2のレール部とを備え前記固定部材と前記可動部材の他方に設けられるガイドレールと、前記係合突起が係脱可能な係合受け部と前記ガイドレールに沿って移動する第1、第2のガイド突起とを備えるロック片と、を備えており、
前記ばね部材は、前記ロック片を前記固定部材と前記可動部材の前記他方に対して付勢しており、
前記可動部材が前記所定位置および該所定位置よりも前記閉位置側にあるとき、前記第1、第2のガイド突起がともに前記第1のレール部に位置しており、前記係合突起と前記係合受け部とが係合し合っており、前記ばね部材で前記ロック片を付勢することで前記可動部材を前記閉位置側に付勢しており、
前記可動部材が前記所定位置よりも前記開位置側にあるとき、前記第2のガイド突起が前記第1のレール部から前記第2のレール部に移動することで、前記ロック片の前記第1のレール部に沿う移動を規制して前記ばね部材のばね力を前記可動部材が前記所定位置にあるときにおけるばね力と同程度に維持しつつ、前記係合突起と前記係合受け部との係合を解除して前記ばね部材による前記可動部材の付勢を解除している、請求項1記載の収容構造体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−188053(P2012−188053A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54960(P2011−54960)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】